JP2015085516A - ブロー成形体 - Google Patents

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田岡 義文
Yoshibumi Taoka
義文 田岡
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Abstract

【課題】車体等の固定部材にそのまま取り付けることができるとともに、高いトルクで締結することができ、さらには衝撃力に対する反発力を高めることができるブロー成形体を提供する。【解決手段】上側,下側樹脂シート(成形素材)10,11内にナット14が取り付けられたブラケット13を配置し、前記下側樹脂シート11の前記ナット14のねじ孔14aに対応する部分にエア注入ガン20を差し込むことにより該ねじ孔14aを介して前記シート10,11内にエアを注入し、前記エア注入ガン20により形成された前記差込み孔11bを前記ナット14に締結されるボルト17の挿通孔とした。【選択図】図1

Description

本発明は、金型内にセットされた筒状の樹脂製パリソン内に、あるいは2枚の樹脂シート間にエアを注入することにより成形されるブロー成形体に関する。
ブロー成形体を製造する場合、例えば加熱軟化させた2枚の樹脂シートをそれぞれ上型,下型にセットし、樹脂シートの間に発泡樹脂材,補強部材等を配置した状態で真空吸引しつつ、エア注入ガンにより圧縮空気を注入してブロー成形する方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
またブロー成形体の取り付けを容易に行なえるように、ブロー成形体の取付け面にボルトの頭部をインサート成形する場合がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−101587号公報 特開2001−205668号公報
ところで、前記特許文献1のブロー成形体を、例えば車両衝突時のエネルギー吸収部材として用いる場合、そのまま車体に固定することができず、また樹脂シートにエア注入孔が空いたままの残っていることから、衝撃力に対する反発力が小さくなり、エネルギー吸収性能が低いという問題がある。
一方、前記特許文献2の構造では、ボルトの頭部をインサート成形することから容易に車体に固定できるものの、ボルトの頭部をブロー成形体の壁面に埋め込むだけの構造であることから、高いトルクで締結した場合には、ボルトが取付け面から剥がれ落ちるおそれがある。
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、容易に車体等に取り付けることができるとともに、高いトルクで締結することができ、さらには衝撃力に対する反発力を高めることができるブロー成形体を提供することを課題としている。
本発明は、金型内にセットされた樹脂製の成形素材内にエアを注入することにより成形されるブロー成形体であって、前記成形素材内にナットが取り付けられたブラケットを配置し、前記成形素材の前記ナットのねじ孔に対応する部分にエア注入ガンを差し込むことにより該ねじ孔を介して前記成形素材内にエアを注入し、前記エア注入ガンにより形成された前記差込み孔を前記ナットに締結されるボルトの挿通孔としたことを特徴としている。
ここで、前記ブラケットは、ブロー成形体の衝撃力に対する吸収機能を高めるため、あるいはブロー成形体の外力に対する剛性を高めるためのものであり、用途に応じて金属板,樹脂板等により形成することとなる。またブラケットに発泡材等を一緒に内包しても良い。
本発明に係るブロー成形体によれば、ブラケットに取り付けられたナットのねじ孔に対応する部分にエア注入ガンを差し込んでエアを注入し、これにより形成された差込み孔をボルトの挿通孔としたので、該ブロー成形体を例えばエネルギー吸収体として用いる場合には、該エネルギー吸収体をそのまま車体等の固定部材にボルト締め固定して取り付けることができ、これにより軽量で安価なエネルギー吸収部材を提供できる。
本発明では、前記ナットはブラケットに固定されていることから、ブロー成形時ナットが動くことはなく、所定位置に安定した状態で位置決め固定できる。そしてブラケットに固定されたナットにボルトを締め込むことで該ブロー成形体を車体側の固定部材に取り付けることから、高いトルクで締結してもナットが剥がれ落ちることはなく、強固に締結することができる。
本発明では、前記エア注入ガンの差込み孔をボルトの挿通孔に兼用したので、該差込み孔をボルトにより塞ぐことができ、衝撃力によりエアが抜けたりすることはなく、衝撃力に対する反発力を高めることができ、エネルギー吸収機能を向上できる。
本発明の実施例1によるブロー成形体(エネルギー吸収体)の断面図である。 前記ブロー成形体の製造過程を示す図である。 前記ブロー成形体の製造過程を示す図である。 前記ブロー成形体の要部拡大図である。 前記ブロー成形体のブラケットの斜視図である。 前記ブロー成形体が配設された自動車の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図6は、本発明の実施例1によるブロー成形体を説明するための図である。本実施例では、本発明を車両衝突時の衝撃荷重を吸収するエネルギー吸収部材に適用した場合を例に説明する。また本実施例において、前後,左右という場合は、車両の前進方向に見た状態での前後,左右を意味する。
図において、1はブロー成形により形成されたエネルギー吸収体を示している。このエネルギー吸収体1は、自動車の助手席側に配設されたシート2に着座した乗員の前方に、該乗員の膝部に指向するように配設されており、車両衝突時の乗員の前方移動による膝部への衝撃力を吸収する機能を有する。
前記エネルギー吸収体1は、前記シート2の車両前方に配設されたインストルメントパネル3内に配設され、車幅方向に延びるクロスパイプ4に溶接等により固定された固定部材5に取り付けられている。なお、6はフロアパネル、7はウインドシールドガラスである。
前記エネルギー吸収体1は、樹脂製の成形素材としての上側樹脂シート10と下側樹脂シート11とを中空状をなすよう外周縁部10a,11a同士を接合してなる袋状部材12と、該袋状部材12内に配設されたブラケット13とを有する。
このブラケット13は、金属製薄板で構成されており、多数の凹凸部13aが形成された荷重吸収板13bと、該荷重吸収板13bの各コーナー部に一体に突出形成された4つの脚部13cとを有する。この各脚部13cの下端には、外側に屈曲して延びる取付け部13dが形成されている。
前記ブラケット13の各取付け部13dには、それぞれナット14が溶接により固定されており、かつ該ナット14のねじ孔14aに略同軸をなすよう連通する連通孔13eが形成されている(図4参照)。
前記ブラケット13には、衝撃吸収用ブロック材15が内包されている。このブロック材15は、PP発泡体,PS発泡体,硬質ウレタン発泡体、あるいは親水性を有する籾殻由来品,セルロースを含有するバイオ材等により形成されており、前記ブラケット13の各脚部13cの間に圧入固定されている。
前記エネルギー吸収体1は、前記ブラケット13を上側,下側樹脂シート10,11の間の、該下側樹脂シート11上に各脚部13cが当接するよう配置し、下側樹脂シート11の前記脚部13cの連通孔13e及び前記ナット14のねじ孔14aに対応する部分にエア注入ガン20を差し込んだ状態で、該連通孔13e及びねじ孔14aを介して前記樹脂シート10,11間に圧縮空気を注入することにより形成されたものである。
詳細には、図2,図3に示すように、それぞれブロー成形用凹部21d,22dが形成された上型21,下型22を開き、該上型21,下型22に加熱軟化させた上側,下側樹脂シート10,11を配置し、下側樹脂シート11上にブラケット13を載置し、該ブラケット13の各ナット14が下型22に形成されたエア注入通路22aの注入口22bに位置するよう位置決めする。ここで、図示していないが、下型22の各注入口22bの開口縁には、ナット14のねじ孔14aに係合する位置決め突起部が形成されている。
前記上型21,下型22を型締めして各樹脂シート10,11の外周縁部10a,11a同士を溶着接合するとともに、上型21,下型22の各切断刃21c,22cにより不要な部分を切り離す。
これと共に、各エア注入通路22a内にエア注入ガン20を挿入し、該エア注入ガン20の先端部で下側樹脂シート11を突き抜いて貫通させ、エア注入ガン20によりナット14のねじ孔14aから樹脂シート10,11の間に圧縮空気を注入する。これにより袋状部材12が形成される。この場合、上型21,下型22に多数の真空吸引孔を形成し、該各吸引孔により樹脂シート10,11を真空吸引しつつ、前記圧縮空気を注入することが望ましい。そして前記袋状部材12を冷却した後、上型21,下型22を開いて成形体を取り出すことによりエネルギー吸収体1が製造される。
そして前記エネルギー吸収体1を、これの上側樹脂シート11が車内側に向くように前記固定部材5にセットし、各ボルト17を固定部材5のボルト孔5aを通して、前述のエア注入ガン20により形成された下側樹脂シート11の各差込み孔11bに挿通し、前記ナット14に締め込む。これによりエネルギー吸収体1を車体の固定部材5に固定する(図1,図6参照)。このように下側樹脂シート11の差込み孔11bはボルト17の挿通孔に兼用されている。
以上のように本実施例によれば、ブロー成形される上側,下側樹脂シート10,11の間にナット14が固定されたブラケット13を配置し、該ブラケット13の各ナット14のねじ孔14aに対応する下側樹脂シート11にエア注入ガン20を貫通するよう差し込むことにより形成された差込み孔11bを利用してボルト17をナット14に締結したので、エネルギー吸収体1をそのまま車体の固定部材5にボルト17により取り付けることができ、これにより軽量で安価なエネルギー吸収部材1を提供できる。
本実施例では、前記ナット14は、板金製のブラケット13に取り付けられていることから、ブロー成形時も動くことはなく、所定位置に安定した状態で位置決め固定できる。
また本実施例ではブラケット13に固定されたナット14にボルト17を締め込むことでエネルギー吸収体1を固定部材5に取り付けるようにしたので、高いトルクでもってボルト17を締結してもナット14が剥がれ落ちることはなく、強固に締結することができる。
本実施例では、前記下側樹脂シート11のエア注入ガン20により形成された差込み孔11bをボルト17の挿通孔として兼用したので、該差込み孔11bをボルト17により塞ぐことができ、衝撃力によりエネルギー吸収体1から空気が抜けたりすることはなく、衝撃力に対する反発力を高めることができ、エネルギー吸収機能を向上できる。
なお、前記実施例では、ブラケット13を板金製としたが、本発明では、ブラケットを樹脂射出成形品としてもよく、この場合にはナット14をインサート成形することとなる。
また、前記実施例では、ブロー成形体を車両衝突時のエネルギー吸収体として用いた場合を説明したが、本発明の適用範囲は、これに限られるものではない。要はボルト,ナットにより固定部材に取り付けられるブロー成形体であれば、何れにも適用可能である。
さらにまた前記実施例では、エネルギー吸収体を、車両衝突時に乗員の膝を保護するためのニーボルスタとして用いたが、本発明のブロー成形体は、車両側突パッド,ティビアプレート,バンパ,フード,ルーフ、ドア等に配設することも可能である。
1 エネルギー吸収体(ブロー成形体)
10,11 上側,下側樹脂シート(樹脂製の形成素材)
11b 差込み孔
13 ブラケット
14 ナット
14a ねじ孔
17 ボルト
20 エア注入ガン

Claims (1)

  1. 金型内にセットされた樹脂製の成形素材内にエアを注入することにより成形されるブロー成形体であって、
    前記成形素材内にナットが取り付けられたブラケットを配置し、該成形素材の前記ナットのねじ孔に対応する部分にエア注入ガンを差し込むことにより該ねじ孔を介して前記成形素材内にエアを注入し、前記エア注入ガンにより形成された前記差込み孔を前記ナットに締結されるボルトの挿通孔とした
    ことを特徴とするブロー成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019042991A (ja) * 2017-08-31 2019-03-22 キョーラク株式会社 積層構造体及びその製造方法
JP2020007485A (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 株式会社ジェイエスピー 取付具付き複合成形体及びその製造方法

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