JP2015085390A - アクチュエータ装置 - Google Patents

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Teruaki Fujinaga
輝明 藤永
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Abstract

【課題】 停電時に、例えば、ワークの把持を継続させることができ、且つ、停電復旧時に停電時の状態から継続した継続動作を容易に行うことが可能なアクチュエータ装置を提供すること。
【解決手段】 一つ又は複数の単位動作ユニットからなる一連の動作を行うアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御装置と、上記アクチュエータ及び上記制御装置に電力を供給する電源と、停電を検知して上記アクチュエータ及び上記制御装置に上記電源に代わって電力を供給する無停電電源装置と、を具備し、上記制御装置は、停電時に上記アクチュエータに停電時に行っている単位動作ユニットが終了するまで動作させた後その状態のままで上記電源の復旧を待ち、電源復旧時には次の単位動作ユニットからの継続動作を行わせるように制御するものであることを特徴とするもの。
【選択図】 図5

Description

本発明は、例えば、産業用ロボットに組み込まれワークを把持するグリッパ等の各種アクチュエータを組み込んだアクチュエータ装置に係り、特に、停電時におけるワーク落下等のトラブルの発生を防止し、且つ、停電復旧時に停電時の状態から継続した継続動作を容易に行うことができるように工夫したものに関する。
産業用ロボットの手(ハンド)に相当する把持装置は「グリッパ」と称されており、産業用ロボットを使いこなす上で不可欠な装置である。この種のグリッパには、把持を確実にするために十分な把持力が要求されるとともに、装置としての軽量・小型化が要求されている。グリッパが軽量・小型であれば、それを搭載した産業用ロボットが、より高速・俊敏に動作できるからである。
又、最近では、グリッパの高機能化、多機能化が要求されている。すなわち、単純な把持機能だけでなく、例えば、傾斜機能、回転機能等を備えた構成である。傾斜機能、回転機能等があれば、把持したワークを持ち替えることなく移載することができ、又、ワークの斜め挿入等の作業が可能になり、その際、特別な治具を要することもないからである。それによって、作業タクトの短縮が可能になる。
この点に関して詳しく説明する。例えば、5軸以上の自由度を持つ垂直多関節ロボットの先端に、把持機能のみを備えたグリッパを搭載した場合には、そもそもロボット自体が多自由度を持っているので、単純な把持機能のみを備えたグリッパであっても、それを傾斜させることや回転させることは容易である。
しかしながら、例えば、ロボットが3軸(X,Y,Z)の直交ロボットである場合には、そこに搭載されているグリッパを傾斜させ、回転させようとすると、回転ユニットを2個使用し、1つを上記直交ロボットの先端に水平に設置し、残りの1つを先に設置した回転ユニットに垂直に設置し、その垂直に設置した回転ユニットにグリッパを取り付けるといった構成を採用する必要がある。
つまり、直交ロボットの先端に2個の回転ユニットとグリッパを取り付けなければならず、その為に広い設置スペースが必要となり、装置も大重量化してしまうことになる。そこで、把持機能と少なくとも1軸の回転機能を備えた軽量・小型のグリッパの出現が要求されていた。そのようなグリッパがあれば、使用する回転ユニットの個数を減少させることができるからである。
そのようなグリッパを開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
しかし、これらのグリッパでは、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1〜特許文献3に記載されているグリッパの場合には、把持機能と少なくとも1軸の回転機能を備えた構成を実現することはできるが、その構成が複雑であるという問題があった。又、把持力が不十分であり、又、任意の回転角度で停止させて把持/開放を行わせることができず、さらに、高コスト化してしまうという問題があった。
そこで、本件特許出願人は、単一の駆動モータによって把持動作と回転動作の両方を行うことができる小型で低コストのグリッパを出願した(特願2013−213307、未公開)。
特許第4337039号公報 特開2012−086334号公報 特開2012−245590号公報 特開2010−172968号公報
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、停電時に、グリッパによるワークの把持機能が損なわれ、ワークが落下してしまうという問題があった。
また、停電時に制御状態は記憶されず、消失してしまう。よって、停電復旧時に、停電時からの継続動作を行うことができないという問題もあった。
さらに、停電復旧時には、原点設定から作業をやり直す必要があり、復旧作業が面倒なものになってしまうという問題もあった。
尚、この問題はグリッパに限った問題ではなく、アクチュエータ全般に共通している。例えば、スライダタイプのアクチュエータを鉛直方向で用いた場合には、停電によりスライダが重力方向に落下してしまう。
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、停電時に、例えば、ワークの把持を継続させることができ、且つ、停電復旧時に停電時の状態から継続した継続動作を容易に行うことが可能なアクチュエータ装置を提供することにある。
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータ装置は、一つ又は複数の単位動作ユニットからなる一連の動作を行うアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御装置と、上記アクチュエータ及び上記制御装置に電力を供給する電源と、停電を検知して上記アクチュエータ及び上記制御装置に上記電源に代わって電力を供給する無停電電源装置と、を具備し、上記制御装置は、停電時に上記アクチュエータに停電時に行っている単位動作ユニットが終了するまで動作させた後その状態のままで上記電源の復旧を待ち、電源復旧時には次の単位動作ユニットからの継続動作を行わせるように制御するものであることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアクチュエータ装置は、請求項1記載のアクチュエータ装置において、停電を検出する停電検出装置が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるアクチュエータ装置は、請求項2記載のアクチュエータ装置において、上記停電検出装置にはリレーが設置されており、上記リレーの操作コイルには上記電源が接続されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアクチュエータ装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のアクチュエータ装置において、上記制御装置のプログラムにおいて、一つの単位動作ユニットの後又は複数の単位動作ユニット間に、停電か否かを判別する命令が組み込まれていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるアクチュエータ装置は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のアクチュエータ装置において、上記アクチュエータは、把持爪によってワークを把持/開放するグリッパであることを特徴とするものである。
又、請求項6によるアクチュエータ装置は、請求項5記載のアクチュエータ装置において、上記グリッパは、把持動作、回転動作、開放動作の3つの単位動作ユニットからなる一連の動作を行うものであることを特徴とするものである。
以上述べたように本願発明の請求項1によるアクチュエータ装置によると、一つ又は複数の単位動作ユニットからなる一連の動作を行うアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御装置と、上記アクチュエータ及び上記制御装置に電力を供給する電源と、停電を検知して上記アクチュエータ及び上記制御装置に上記電源に代わって電力を供給する無停電電源装置と、を具備し、上記制御装置は、停電時に上記アクチュエータに停電時に行っている単位動作ユニットが終了するまで動作させた後その状態のままで上記電源の復旧を待ち、電源復旧時には次の単位動作ユニットからの継続動作を行わせるように制御するので、停電時でも制御状態を維持できるとともに、上記電源が復旧された際、動作の再開を容易且つ円滑に行うことができる。
又、請求項2によるアクチュエータ装置によると、請求項1記載のアクチュエータ装置において、停電を検出する停電検出装置が設置されているので、上記電源からの電力の供給の有無を容易に判別することができる。
又、請求項3によるアクチュエータ装置によると、請求項2記載のアクチュエータ装置において、上記停電検出装置にはリレーが設置されており、上記リレーの操作コイルには上記電源が接続されているので、簡易な構成により上記電源からの電力の供給の有無を判別できる。
又、請求項4によるアクチュエータ装置によると、請求項1〜請求項3の何れかに記載のアクチュエータ装置において、上記制御装置のプログラムにおいて、一つの単位動作ユニットの後又は複数の単位動作ユニット間に、停電か否かを判別する命令が組み込まれているため、このプログラム上の処理によって停電か否かを判別することで自動的に停電対応処理及び停電復旧処理が行われるので、上記アクチュエータ装置の構成を簡単なものとすることができる。
又、請求項5によるアクチュエータ装置によると、請求項1〜請求項4の何れかに記載のアクチュエータ装置において、上記アクチュエータは、把持爪によってワークを把持/開放するグリッパであるため、停電時でもワークの把持を継続できる等の上記効果を、グリッパにおいて得ることができる。
又、請求項6によるアクチュエータ装置によると、請求項5記載のアクチュエータ装置において、上記グリッパは、把持動作、回転動作、開放動作の3つの単位動作ユニットからなる一連の動作を行うものであるので、停電となっても上記グリッパの把持の不用意な解除を防止できるとともに、上記電源が復旧された際、動作の再開を容易且つ円滑に行うことができる。
本発明の一実施の形態を示す図で、グリッパ装置の正面図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、図1のII−II断面図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、図2のIII−III矢視図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、トルク制限装置の相対回転数(r/min)と制限トルク(スリップトルク)(%)の関係を示す特性図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、制御装置と停電検出装置の構成を示す図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、グリッパを動作させる際の駆動モータの出力軸の回転を模式的に示した図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。 本発明の一実施の形態を示す図で、グリッパを動作させるプログラムの基本的な構成を示す図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、グリッパを動作させるプログラムの一例を示したプログラムリストである。 本発明の一実施の形態を示す図で、グリッパを動作させるプログラムの一例を示したプログラムリストである。
以下、図1乃至図10を参照して本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態は、本願発明を、グリッパ装置に適用したものである。
尚、アクチュエータ装置としては、このようなグリッパ装置以外にも様々なものが考えられる。
まず、ベース1があり、このベース1の上にはモータ取付プレート3を介して駆動モータ5が設置されている。この駆動モータ5にはエンコーダ6が取り付けられている。上記ベース1の下には把持部7が取り付けられている。この把持部7は次のような構成をなしている。まず、把持部ベース9があり、この把持部ベース9は中空シャフト部11を備えている。上記把持部ベース9は、軸受13を介して、上記ベース1に回転可能な状態で取り付けられている。
尚、支柱構造として上記中空シャフト部11を採用することにより剛性を高めるとともに軽量化を実現するようにしている。
上記軸受13は、外輪15と、内輪17と、これら外輪15と内輪17との間に介装された複数の転動体19等から構成されている。上記把持部ベース9の中空シャフト部11は上記内輪17内に挿入されていて、クリップリング21により固定されている。よって、把持部ベース9は上記軸受13を介して上記ベース1に対して回転可能な状態で設置されている。
上記把持部ベース9にはボール無限循環型のリニアガイド23が図示しない複数本のねじによって固定されている。上記リニアガイド23は、レール25と、このレール25に移動可能に係合・配置されたAスライダ27、Bスライダ29とから構成されている。
上記Aスライダ27にはAスライダカバ31が図示しないねじによって固定されており、同様に、上記Bスライダ29にはBスライダカバ33が図示しないねじによって固定されている。又、上記Aスライダカバ31にはA把持爪35が図示しないねじによって固定されており、同様に、Bスライダカバ33にはB把持爪37が図示しないねじによって固定されている。
上記Aスライダカバ31にはAラックギヤ39が図示しないねじによって固定されており、同様に、上記Bスライダカバ33にはBラックギヤ41が図示しないねじによって固定されている。
又、既に説明した駆動モータ5の出力軸5aは上記中空シャフト部11内に挿入・配置されている。一方、上記中空シャフト部11内にはピニオンギヤ43が挿入・配置されている。すなわち、ピニオンギヤ43は軸部43aを備えていて、この軸部43aを上記中空シャフト部11内に挿入させた状態で設置されている。そして、上記駆動モータ5の出力軸5aはその軸部43aに挿入され図示しない止めねじにより固定されている。
尚、上記したように、中空シャフト部11内に、駆動モータ5の出力軸5aとピニオンギヤ43の軸部43aを収容・配置しているので、駆動モータ5の駆動力を最短距離で伝えることができ、又、軽量・小型化を図ることができる。
上記ピニオンギヤ43は、既に説明したAラッグギヤ39とBラックギヤ41に噛合しており、よって、駆動モータ5が正転・逆転することにより、ピニオンギヤ43が正転・逆転し、それによって、Aラッグギヤ39とBラックギヤ41が相互に離接することになる。このAラッグギヤ39とBラックギヤ41の離接によって、A把持爪35とB把持爪37も相互に離接する。A把持爪35とB把持爪37が相互に接近することによりワークW(図1中仮想線で示す)が把持され、A把持爪35とB把持爪37が相互に離間することによりワークWが開放される。
尚、ワークWが、例えば、中空円筒形状をなすような場合には、A把持爪35とB把持爪37を、ワークWの中空部内に挿入した状態で使用することもある。この場合には、A把持爪35とB把持爪37が相互に離間することによりワークWが把持され、A把持爪35とB把持爪37が相互に接近することによりワークWが開放される。
上記把持部ベース9の両端には、図3に示すように、Aストッパ9a、Bストッパ9bが設けられている。上記Aスライダ27、Bスライダ29の離間動作は、上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接することにより一定量に規制される構成になっている。
因みに、上記Aスライダ27、Bスライダ29の接近動作は、その間にワークWが存在している場合には、そのワークWに当接することにより一定量に規制されることになり、ワークWが存在しない場合には、上記Aスライダ27、Bスライダ29が当接することにより一定量に規制される。
尚、上記Aスライダ27、Bスライダ29の接近動作を一定量に規制するためのストッパが、上記把持部ベース9に別途設置される構成も考えられる。
上記中空シャフト部11の図1、図2中下部は、ベース1の外部に露出・配置されていて、そこにはA歯車51が固着されている。そして、A歯車51は中空シャフト部11(把持部ベース9)と一体となってベース1に対して回転できる構成になっている。上記A歯車51にはB歯車53が噛合・配置されており、このB歯車53にはC歯車55が噛合・配置されている。上記A歯車51、B歯車53、C歯車55は、大・中・小の関係にある。上記B歯車53には、図2に示すように、軸部57が設けられており、B歯車53はその軸部57及び軸受59を介して、ベース1に対して回転可能な状態で設置されている。
上記C歯車55はトルク制限装置61に関係した状態で取り付けられている。上記トルク制限装置61は、外輪63と、この外輪63の内周側に配置された内輪65等から構成されている。上記外輪63はベース1に取付・固定されている。上記C歯車55には軸部67が設けられており、この軸部67は上記内輪65に連結されている。
尚、図中符号69は連結ピンを示している。
上記内輪65は予め設定された制限トルク以下の回転トルクが作用している間は上記外輪63に対して回転することはないが、予め設定された制限トルクを超える回転トルクが作用した場合には、外輪63に対して回転(スリップ)するように構成されている。
上記トルク制限装置61について詳しく説明する。トルク制限装置61は、常に一定の制限トルク(スリップトルク)を持っており、A歯車51の回転トルクが小さいときには、C歯車55、B歯車53、A歯車51ひいては把持部7が回転することはない。これに対して、トルク制限装置61の制限トルクを超える回転トルクが付与された場合には、C歯車55、B歯車53、A歯車51ひいては把持部7が回転することになる。
本実施の形態では、そのような構成によって、A把持爪35とB把持爪37の開閉の間は小さな回転トルクしか把持部7には負荷されないが、一旦ワークが把持されると大きな回転トルクの把持部7への負荷が可能になることを利用し、トルク制限装置を61用い、1つの駆動モータ5でも把持動作と回転動作(把持しながら回転)の両方が実現できるようにしている。詳細は後述する。
本実施の形態では、上記トルク制限装置61は、自身の軽量・小型化(小トルク化)・低コスト化ひいてはグリッパの軽量・小型化、低コスト化のために、駆動モータ5の出力軸5a及びピニオンギヤ43の軸線から離間した位置に配置されている。つまり、A歯車51、B歯車53、C歯車55を介して、把持部7の回転トルクに対し減少させた制限トルクを自身の制限トルクとして用いるようにしており、それによって、トルク制限装置61の軽量・小型化、低コスト化が実現されている。又、グリッパとしては、トルク制限装置61の制限トルクに比べてより大きな制限トルクを把持/回転の切換トルクとして用いることができる。
又、A歯車51とC歯車55の間にB歯車53を介挿させることにより、減速比を変えることなく、A歯車51及びC歯車55の歯車径を小さくすることができる。それによっても、グリッパ全体の外径を小さくすることができ、軽量・小型化を図ることができる。
又、本実施の形態において使用されるトルク制限装置61には、その制限トルクが一定で安定していることが要求される。つまり、静止状態/回転状態、回転速度の違い、連続使用時間の違いによって、制限トルクの値が変化しないことが必要となる。そこで、本実施の形態の場合には、上記トルク制限装置61として、抵抗発生部の機構が非接触タイプのものを用いている。仮に、抵抗発生部の機構が接触タイプのものであれば、静止状態/回転状態に起因した静止摩擦と動摩擦の違い、回転速度の違いに起因した発熱量の違い、連続使用時間の違いに起因した摩耗の違い等により、制限トルクが変動してしまい、高精度な把持及び回転動作の実現が困難になってしまう。
又、非接触タイプのトルク制限装置61としては、例えば、磁性体のヒステリシストルクを利用したヒステリシスタイプのものが知られている。このヒステリシスタイプのトルク発生機構は、電磁石又は永久磁石と非接触で対向した磁性体との間の磁気結合が、ヒステリシスを持つことにより発生するヒステリシストルクを用いるものであり、良好な定トルク性を備えている。
図4にその性能の一例を示す。図4は、横軸に相対回転数(r/min)をとり縦軸にスリップトルク(%)をとり、スリップトルクの相対回転数変化を示した図である。この図4から明らかなように、相対回転数に関係なく一定の制限トルクを示している。
又、図4に記した「許容スリップ工率境界」について若干説明する。本実施の形態のような、ヒステリシスタイプのトルク制限装置61の場合には、既に説明したように、磁気のヒステリシスを用いたトルク発生機構であり、発生したトルクは内輪65と外輪63のスリップとして仕事を行う。その仕事には発熱が伴い、その発熱はトルクが大きいほど、回転数が高いほど多くなる。そのような発熱に対して、安定に使える温度上昇の限界があり、それを「許容スリップ工率境界」という曲線で示している。
因みに、本実施の形態におけるトルク制限装置61の場合には、他方式のトルクリミッタと較べて非常に高い回転数まで利用可能である。
尚、図4では複数の線図が記載されているが、これは電磁石に流す電流を様々変化させて、制限トルクの大きさを変化させたものを示したものであり、何れの場合にも良好な定トルク性能を示している。
又、電磁石式は通電電流を変えることにより、発生する制限トルクを容易に変えることができるが、同じ磁力を得るためには、電磁石は永久磁石より大型にする必要がある。そこで、本実施の形態では、小型化のために永久磁石を用いたヒステリシスタイプのトルク制限装置61を用いている。
又、図1及び図5に示すように、本実施の形態のグリッパには、制御装置71が設けられている。この制御装置71は、エンコーダ6から駆動モータ5の回転角度を取得し、これに基づいて、上記駆動モータ5を制御するものである。具体的には、上記制御装置71は、回転角度指令値によって、上記駆動モータ5の回転角度を指示する。
次に、制御について説明する。
例えば、A把持爪35とB把持爪37を単に離接させるだけであれば、A把持爪35とB把持爪37が目標位置に到達した時点で、A把持爪35とB把持爪37に対する駆動力を「0」とする「位置決め制御」で事足りる。
しかしながら、ワークWを把持するためには、A把持爪35とB把持爪37を必要な押付力(把持力)でワークWに常に押し付けている必要がある。そうでなければ、ワークWの把持状態を保持することはできず、ワークWが落下してしまうからである。
そこで、本実施の形態の場合には、A把持爪35とB把持爪37を必要な押付力(把持力)で常にワークWに押し付ける「押付け制御」を採用している。この「押付け制御」では、必要な押付力(把持力)を駆動モータ5に対する把持制限電流として設定している。又、押付け完了の判定(押付け状態になっているか否か)は、駆動モータ5に流れる電流が把持制限電流に達した後、一定時間が経過したか否かで判別している。
又、本実施の形態の場合には、既に説明したように、グリッパの軽量・小型化、低コスト化を図るために、1個の駆動モータ5及び1個のエンコーダ6で全ての駆動・制御を行う構成を採用している。仮に、把持動作と回転動作をそれぞれ別々の駆動モータ(エンコーダ付き)で駆動・制御する構成であれば、それぞれの駆動モータ(エンコーダ付き)を単独で制御すればよいが、上記したように、本実施の形態の場合には、1個の駆動モータ5及び1個のエンコーダ6で全ての駆動・制御を行うようにしているので、制御には工夫が必要となる。本実施の形態の場合には、次のような工夫を凝らしている。
まず、ワークWを把持した後に回転させる場合について説明する。まず、駆動モータ5を把持に必要なある角度(又は、回転数+角度)だけ回転させて、把持部7にワークWの把持動作を行わせる。次に、把持部7を回転させるために、上記駆動モータ5をさらにある角度(又は、回転数+角度)だけ回転させる。その際、ワークWの寸法ばらつきが十分に小さくなければ、ワークWの把持に必要な駆動モータ5の回転角度(又は回転数+角度)もばらつくことになる。ワークWの把持に必要な駆動モータ5の回転角度(又は回転数+角度)にばらつきが生ずれば、当然のことながら、その後の把持部7の回転開始位置(駆動モータ5の回転角度(又は回転数+角度))にもばらつきが発生することになる。つまり、事前のプログラム設定において、把持部7の回転終了位置(駆動モータ5の回転角度(又は回転数+角度))を設定するだけでは高精度な回転を実現することはできない。
因みに、複数の寸法形状のワークWを対象にする場合にはなおさらである。
そこで、本実施の形態の場合には、回転開始位置(駆動モータ5の回転角度(又は、回転数+角度))を正確に知るために、把持完了位置での駆動モータ5の回転角度(又は、回転数+角度)をエンコーダ7から読み込み、それを基準として把持部7を所定量回転させるようにしている。A把持爪35及びB把持爪37が移動可能な範囲内であれば、どんな寸法のワークWが対象になっても、把持完了位置の駆動モータ5の回転角度(又は、回転数+角度)を知ることは可能であり、よって、それを基準として把持部7を所定量回転させるようにすれば、高精度の把持部7の回転を実現することができる。
尚、複数寸法のワークWの把持の場合は、遅くとも最大寸法のワークWを把持する位置より前に把持制限電流が設定されている「押付け制御」を採用する必要がある。そして、設定されている把持制限電流に到達し設定されている時間が経過することにより把持完了の判定を行う。その把持完了位置での駆動モータ5の回転角度(又は回転数+角度)を読み込み、それを引き続き行われる把持部7の回転の基準位置とする。
又、把持部7の回転中はトルク制限装置61の制限トルクにて常に押付け力が働く把持状態が維持されているが、通常の「位置決め制御」では、回転完了位置で駆動モータ5の推力(押付け力)は「0」になってしまい、把持力もなくなりワークWが落下してしまう。
そこで、本実施の形態では、次の2通りの制御方法によってこれを防止している。
まず、一つ目の方法であるが、把持部7の回転も把持と同様に「押付け制御」にて回転させる方法である。すなわち、把持完了後に現在位置を取得し、その現在位置に把持部7の回転角度(又は、回転数+角度)を合算した目標位置を設定し、設定電流をトルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る値(回転制限電流)に設定し、「押付け制御」にて回転させる。そして、現在位置をモニタし、目標位置に到達したならば、設定電流の値を元の把持制限電流の値に下げる。この制御方法によれば、回転中は勿論のこと、回転完了位置でもワークWの把持状態は維持され、ワークWが落下することはない。
二つ目の方法は、上記「押付け制御」では連続通電が前提であり、設定電流値をあまり大きく設定できないので、把持部7の回転時間が長くなる点を改善する方法である。把持完了後は現在位置を取得し、その現在位置に把持部7の目標回転角度(又は、回転数+角度)のX%を合算した目標位置を設定し、通常の「位置決め制御」にて回転させる。そして、把持部7の回転角度(又は、回転数+角度)のX%の回転が完了したら、「押付け制御」にて残りのY%(=100−X)を回転させる。この「押付け制御」による回転制御方法は既に説明したものと同一である。つまり、設定電流をトルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る値に設定し、「押付け制御」にて回転させる。そして、目標位置に到達した後に設定電流の値を元の把持制限電流の値に下げる。
なお、後述する図7に示すフローチャートや図9及び図10に示すソースプログラムでは、上記Y%=0としているので、押付け制御による回転は行われず、「押付け制御」の設定電流として把持制限電流だけが設定されている。
ところで、上記制御方法は、「押付け制御」による位置決めであり、目標位置近傍に到達した時に設定電流の値を把持制限電流の値に下げて停止するものである。そのため、駆動モータ5を同じ回転角度指令値によって制御して把持部7を回転させた場合であっても、上記把持部7が把持しているワークWの重量(負荷)や上記把持部7の回転速度等により、上記把持部7の回転が停止した時の角度(ωrotation)は異なる。
上記把持部7の回転が停止した時の角度(ωrotation)のばらつきの中心値を目標位置にほぼ合致させるためには、上記把持部7が把持しているワークWの重量(負荷)や上記把持部7の回転速度等の使用条件を実使用条件に合わせて実験評価し、目標値に対するずれ量から適正な補正値を設定して上記回転角度指令値に付加して補正すればよい。
しかしながら、一般のユーザにとっては、上記補正値を設定する作業は煩雑であり、各種負荷や使用条件に対して自動的に上記補正値が設定される構成が設けられていることが望ましい。さらに、負荷等の変動に対してダイナミックに補正値を変え自動追従(オートチューニング)できる構成が望まれる。
上記補正値の自動追従(オートチューニング)を精度良く行うためには,把持部7の実際の回転角度を正確に知ることが不可欠である。
本実施の形態によるグリッパでは、エンコーダ6は駆動モータ5の回転角度を示すものであり、把持部7の回転角度を示すものではない。これは、上記駆動モータ5の回転により、上記把持部7の回転だけでなく、A把持爪35とB把持爪37の開閉も行われるからである。その際、把持部7の回転角度検出用に別途エンコーダを設けることも考えられるが、それでは、構成が複雑化するとともにコストも上昇してしまう。
そこで、本実施の形態の場合には、上記エンコーダ6の角度情報のみにより、上記把持部7の回転角度(θrotation)を求めるようにしている。以下、図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は、グリッパを動作させる際の、駆動モータ5の回転を模式的に示した図である。まず、動作開始時の駆動モータ回転角度を(ωstart)とする。ここから、上記駆動モータ5がトルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値より低い電流によって図6中時計回り方向に回転・駆動されると、把持部7のA把持爪35とB把持爪37が相互に接近する方向に移動する。そして、上記A把持爪35とB把持爪37との間にワークWが把持されると、上記A把持爪35とB把持爪37はそれ以上接近できなくなる。このときの駆動モータ回転角度を(ωclose)とする。又、上記把持部7のA把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度を(θclose)とする。
次に、上記駆動モータ5がトルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る電流によって図6中時計回り方向に回転・駆動されると、上記把持部7も図6中時計回り方向に回転される。このとき、上記駆動モータ回転角度は(ωrotation)となっている。
次に、上記駆動モータ5をトルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値より低い電流によって図6中反時計回り方向に回転させて開放動作を行わせる。これにより、上記A把持爪35とB把持爪37が相互に離間する方向に移動し、上記ワークWが開放される。このとき、上記駆動モータ回転角度は(ωend)となっている。この駆動モータ回転角度(ωend)が動作終了時の駆動モータ回転角度となる。又、上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度を(θopen)とする。
この場合、図6から明らかなように、上記把持部7の回転完了時における駆動モータ回転角度(ωrotation)は、(ωstart)に(θclose)と上記把持部7の回転角度(θrotation)を足したものであり、また、(ωend)に(θopen)を足したものでもある。よって、上記把持部7の回転角度(θrotation)は次の式(I)で示される。
θrotation=(ωend−ωstart)−(θclose−θopen)―――(I)
但し、
θrotation:把持部の回転角度
ωend :動作終了時の駆動モータ回転角度
ωstart :動作開始時の駆動モータ回転角度
θclose :把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度
θopen :把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度
すなわち、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)から動作開始時の駆動モータの回転角度(ωstart)を減算し、把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)から把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を減算し、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)から動作開始時の駆動モータの回転角度(ωstart)を減算した値から、把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)から把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を減算した値を減算することにより、上記把持部7の回転角度(θrotation)を求めるようにしたものである。
又、上記した把持爪の把持方向移動、把持部の回転、及び、把持爪の開放方向移動という3つの単位動作ユニットからなる一連の動作を複数回繰り返した後の把持部7の回転角度(θrotation)は、次の式(II)、式(II′)、式(III)、式(III′)で示される。
θrotation=Σ(ωend−ωstart)−Σ(θclose−θopen
―――(II)
=Σ{(ωend−ωstart)±2δ}−Σ(θclose−θopen
―――(II′)
又は、
θrotation=(ωend−ωstart)−Σ(θclose−θopen
―――(III)
={(ωend−ωstart)±2δ}−Σ(θclose−θopen
―――(III′)
θrotation:把持部の回転角度
ωend :動作終了時の駆動モータ回転角度
ωstart :動作開始時の駆動モータ回転角度
θclose :把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度
θopen :把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度
δ :エンコーダによる駆動モータの回転角度の測定誤差
上記式(II)は、上記一連の動作の毎に上記把持部7の回転角度(θrotation)を演算し、それを加算することによって、上記一連の動作を複数回繰り返した後の把持部7の回転角度(θrotation)を求めたものである。
上記式(III)は、上記一連の動作毎に加算することはせず、最後の終了角度(ωend)と最初の開始角度(ωstart)との差より、上記一連の動作を複数回繰り返した後の回転動作角度(θrotation)求めるものである。
又、上記式(II′)は、上記式(II)についてエンコーダ6による駆動モータ5の回転角度の測定誤差(±δ)を考慮したものであり、上記式(III)′は、上記式(III)についてエンコーダ6による駆動モータ5の回転角度の測定誤差(±δ)を考慮したものである。
上記式(II′)に明瞭に示されているように、上記式(II)に示す上記把持部7の回転角度(θrotation)の求め方では、測定誤差(±δ)が累積されて大きくなり、高い精度で上記把持部7の回転角度(θrotation)を求めることは困難である。
一方、上記式(III)、(III′)のような方法では、そもそも測定誤差(±δ)の累積は無く、よって、式(III)でも高い精度で上記把持部7の回転動作角度(θrotation)を求めることができる。
そこで、本実施の形態では、上記式(III)の方法によって、上記把持部7の回転動作角度(θrotation)を求めるようにしている。
尚、上記式(II)、式(II′)、式(III)、式(III′)において、把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)の項に測定誤差項がないが、これは、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)が予め設定された設定値であり、測定によって求められるものではないからである。
因みに、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)についても測定値を用いたとすると、上記測定誤差(±δ)に加え、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)の測定誤差も累積してしまい、高い精度で上記把持部7の回転角度(θrotation)を求めることが困難となってしまう。
又、上記式(III)において、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を同じに値にすると、次の式(IV)が導かれる。
θrotation=(ωend−ωstart)―――(IV)
但し、
θrotation:把持部の回転角度
ωend :動作終了時の駆動モータ回転角度
ωstart :動作開始時の駆動モータ回転角度
又、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を同じに値にする手段として、次のようなものが考えられる。
既に述べたように、把持部ベース9には、Aスライダ27、Bスライダ29の開放方向動作を一定量に規制するための上記Aストッパ9a、Bストッパ9bが設置されている。これに加えて、上記Aスライダ27、Bスライダ29の把持方向動作を一定量に規制するための図示しない把持方向ストッパを設置するようにする。
この場合、把持方向動作を行う際、ワークWが把持される場合であれば、駆動モータ5を、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接している位置からワークWを把持する位置まで移動するように回転させればよく、逆に、開放方向作を行う際は、上記駆動モータ5を、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記ワークWを把持している位置から、上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接する位置まで移動するように回転させればよい。
又、ワークWが把持されない場合であれば、把持方向動作を行う際、駆動モータ5を、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接している位置から、上記図示しない把持方向ストッパに当接する位置まで移動するように回転させればよく、逆に、開放方向動作を行う際は、上記駆動モータ5を、上記Aスライダ27、Bスライダ29が、上記図示しない把持方向ストッパに当接している位置から、上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接する位置まで移動するように回転させればよい。
つまり、上記Aストッパ9a、Bストッパ9b、及び、図示しない把持方向ストッパを設置した構成では、開放方向動作を行う場合も把持方向動作を行う場合も、上記Aスライダ27、Bスライダ29の移動距離は全く同じであり、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)も把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)も全く同じになっている。すなわち、この場合は、上記Aストッパ9a、Bストッパ9b、及び、図示しない把持方向ストッパを設置することで、上記駆動モータ5の回転角度を指示することなしに、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を同じにしている。
又、上記図示しない把持方向ストッパを設置せず、把持方向動作を行っていき、上記Aスライダ27と上記Bスライダ29とが当接することにより上記把持方向動作を一定量に規制する場合もある。この場合も、同様に、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)は同じとなる。
又、上記把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)として予め所定の設定値を設定し、開放方向動作の際、この把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)に基づいて上記駆動モータ5を駆動することで、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)とを同じにする場合も考えられる。
尚、上記把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)の設定値は、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記図示しない把持方向ストッパに当接した状態又は上記ワークWを把持した状態から、開放方向動作を行った場合、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接しないように設定される。
この場合も、開放方向動作を行う場合も把持方向動作を行う場合も、上記Aスライダ27、Bスライダ29の移動距離は全く同じであり、上記把持爪の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)は全く同じになっている。
尚、この場合は、開放方向動作の場合、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接するまで移動させる必要がないので、把持/開放ストロークを短くでき、動作を高速にすることができる。
又、開放方向動作については、上記Aスライダ27、Bスライダ29が上記Aストッパ9a、Bストッパ9bに押付ける必要が無く、「押付け制御」より高速移動可能な「位置決め制御」のみで制御できるため、これによっても、動作を高速にすることができる。
尚、開放方向移動の所定の設定値の設定はワーク寸法やストッパとの衝突などを考慮して適切に行われる必要がある。
ところで、本実施の形態によるグリッパで用いている押付けモードによる位置決めは、目標位置近傍に到達した時に押付け制限電流値を下げて停止するものであり、把持しているワークの重量(負荷)や回転速度等によりその停止時の回転角度(停止回転角度)は異なる。
そこで、把持しているワークの重量(負荷)や回転速度等の使用条件を実使用条件に合わせて実験評価し、目標値に対するずれ量から適正な補正値を設定して回転角度指令値(θorder)に付加し補正すれば停止回転角度のばらつきの中心値を目標位にほぼ合致させることができる。
それを次の式(V)で示す。
θorder=(θtarget−K×Σα)―――(V)
但し、
θorder :回転角度指令値
θtarget:目標回転角度
×Σα:補正値
:積分項定数
α :偏差(目標回転角度(θtarget)に対するずれ量)
又、偏差(α)は次の式(VI)で示すものとなる。
α=θrotation−Σθtarget―――(VI)
但し、
θrotation:把持部の回転角度
θtarget :目標回転角度
又、所定回数だけ把持及び回転した後の累積偏差(Σα)は次の式(VII)で示すものとなる。
Σα=Σ(θrotation−Σθtarget)―――(VII)
但し、
Σα :累積偏差
θrotation:把持部7の回転角度
θtarget :目標回転角度
上記偏差(α)及び累積偏差(Σα)による補正値を用いて回転角度指令値(θorder)を示すと次の式(VIII)となる。
θorder=θtarget−(K×α+K×Σα)―――(VIII)
但し、
θorder :指令値
θtarget :目標回転角度

:比例項定数

:積分項定数
×α+K×Σα:補正値
尚、補正項はPI(Proportion/Integral)フィードバック制御の比例項(K×α)と積分項(K×Σα)に相当する。
式(VIII)によるPIフィードバック制御で単位動作を数十回以上繰り返すとほぼ一定の積分項(K×Σα)が得られる。
例えば、K=0.5、K=0.05にて、無負荷(ワークなし)にて、累積偏差(Σα)=19.8、200gのワークで、累積偏差(Σα)=−12.2が得られた。
尚、この時使用したソースプログラムを図9、図10に示す。
この得られた累積偏差(Σα)に積分項定数(K)を掛けた値(K×Σα)を目標回転角度(θtarget に補正値として加算すれば、使用条件での適正な補正値が得られたことになる。これを次の式(IX)で示す。補正値(Ki×Σα)は目標値側に入り、右項のPIフィードバック項には積分項が無い。すなわち、把持部7の回転角度(θrotation)のばらつき中心値が目標回転角度(θtarget)の中心値と同じであることを示す。
θorder=(θtarget−K×Σα)−K×α―――(IX)
但し、
θorder :指令値
θtarget:目標回転角度
:比例項定数
:積分項定数
Σα :累積偏差
α :偏差
この補正値(Ki×Σα)として、例えば、使用条件(負荷、速度、環境、etc)が決まっていれば予め適正な補正値を設定、入力しておくと最初から安定な回転角度を得ることができる。
もし負荷の異なる多くのワークWを扱わざるを得ない時は、適正な補正値を設定しなくても、何回か回転させることで、式(VIII)により自動的に補正値(Ki×Σα)が演算されて追従・設定されるのでほとんど問題はない。
因みに、実験例では最小負荷(ワークなし)から最大負荷(ワーク200g)まで10回程度の回転でほぼ追従できた。
先に述べた図9、図10のプログラムに関して簡単に説明しておく。図9、及び、図10に示したプログラムは、本件特許出願人独自のプログラム言語(SEL言語)で記述されており、ワークWの把持、把持部7の回転、ワークWの開放という一連の処理を繰り返し行うものである。
尚、ブログラムの中身については追って詳細に説明する。
又、図1及び図5に示すように、本実施の形態のグリッパ装置には、電源としての商用電源73、無停電電源装置75、直流電源装置77が設けられている。
上記商用電源73は、電力線79a、79bを介して、上記無停電電源装置75に、例えば、100Vの交流により、電力を供給している。
上記無停電電源装置75には、図示しないバッテリが設置されている。上記商用電源73から電力が供給されている場合、上記無停電電源装置75は、上記商用電源73により、上記図示しないバッテリを充電しつつ、電力線81a、81bを介して、上記直流電源装置77に交流による電力を供給する。一方、上記商用電源73からの電力の供給が停止した場合には、上記図示しないバッテリから、上記直流電源装置77に交流による電力を供給する。より詳しく説明すると、上記無停電電源装置75は、停電に起因して上記商用電源73からの入力電圧が降下することを検知し、それに基づいて、商用電源73から自らのバッテリに電源を切り替えるものである。
尚、上記無停電電源装置75から上記直流電源装置77に供給される交流は、上記商用電源73からの交流をそのまま用いる場合もあるが、必要に応じて、フィルタリングや波形成形が施される場合もある。
又、上記無停電電源装置75の図示しないバッテリから供給される交流は、正弦波又は矩形波である。
そして、上記直流電源装置77は、上記無停電電源装置75から供給される交流を、例えば、24Vの直流に変換して、電力線83a、83bを介して、上記制御装置71ひいては駆動モータ5に供給する。
尚、上記電力線83aは+側、すなわち、電位が高い側であり、上記電力線83bは−側、すなわち、電位が低い側となっている。
ここで、上記無停電電源装置75によるバックアップ時間、及び、図示しないバッテリの容量について説明する。
まず、上記駆動モータ5は、例えば、24Vで最大電流1.2Aのステッピングモータであり、必要な電力は、最大で28.8W(=1.2A×24V)であるが、上記駆動モータ5の「押付け制御」により把持部7がワークWを把持した状態を維持させる際は、最大で17.28W(=0.72A×24V)である。
又、上記制御装置71に必要な電力は、最大で28.8W(=1.2A×24V)であるが、処理を停止した場合など図示しないCPUの稼働率が低下している場合は、14.4W(=0.6A×24V)である。
後述するように、本実施の形態によるグリッパ装置は、停電時等、上記商用電源73から電力が供給されない場合(非通電状態)には、上記無停電電源装置75の図示しないバッテリによって電力を供給し、単位動作ユニット(ワークWを把持する動作、把持部7を回転させる動作、把持したワークWを開放する動作のそれぞれ)の最後まで動作を行い、その後、駆動モータ5の「押付け制御」によりワークWの落下を防止した状態を維持してから待機し、上記商用電源73の復旧を待つ。
又、上記グリッパによる上記単位動作ユニットに要する時間は、例えば、0.5秒であり、非常に短いものである。そのため、上記無停電電源装置75の図示しないバッテリによってバックアップしなければならない時間のうち、上記単位動作ユニットを最後まで行うのに要する時間は非常に短いため、上記単位動作ユニットを行う為に必要な電力(最大の電力)は十分に小さく考慮する必要はない。
よって、上記無停電電源装置75の図示しないバッテリによって供給すべき電力は、上記直流電源装置77の効率を考慮しなければ、上記駆動モータ5の「押付け制御」でワークWを把持した状態を維持するのに必要な電力(17.28W)と、処理を停止した状態の上記制御装置71に必要とされる電力(14.4W)とを加算したもの、すなわち、31.68W(=17.28W+14.4W)となる。また、上記直流電源装置77の効率を考慮すれば、上記無停電電源装置75の図示しないバッテリによって供給すべき電力は、例えば、55Wとなる。
又、上記商用電源73によって電力が供給されない時間、すなわち、停電となっている時間は、ほとんどの場合、15分以下である。
55Wの電力を15分間供給可能な図示しないバッテリを持つ市販の無停電電源装置としては、例えば、185W出力のAPC ES 325VA(APC社製)がある。これは、市販のパソコン用無停電電源装置の最も小型で廉価なものの1つである。
尚、必要に応じて、これ以上の出力電力を有する無停電電源装置75を使用してもよい。さらに大きな出力電力を有し、大容量のバッテリを有する無停電電源装置75を用いれば、さらに長い時間にわたって、必要な電力を供給することができる。
又、図1や、図5に示すように、本実施の形態によるグリッパ装置には、停電検出装置85が設置されている。この停電検出装置85には、まず、リレー87が設置されている。このリレー87には、固定接点89a、89bと、可動接点91、及び、操作コイルとしての電磁石93が設置されている。上記固定接点89aは何処にも接続されておらず、上記固定接点89bは、リレー入力用ケーブル95を介して、制御装置71のリレー入力端子97に接続されている。
上記可動接点91は、例えば、鉄製であり、ケーブル101を介して、直流電源装置77の電力線83bと接続されている。また、常時は、上記商用電源73によって上記電磁石93は通電されており、上記可動接点91は、その磁気吸引力により上記電磁石93側に引き寄せられ、図5の実線で示すように、上記固定接点89bと接触している。しかし、停電により、上記商用電源73からの電力の供給がなくなると上記電磁石93による磁気吸引力は発生せず、上記可動接点91は、図示しないバネ等の弾性力により押圧・付勢され、図5の仮想線で示すように上記固定接点89aと接触する。
すなわち、上記商用電源73から電力が供給されていれば、上記リレー入力端子97に電流が流れることにより「通電入力信号」がONになり、上記制御装置71によって上記商用電源73が通電状態であると判断され、上記商用電源73から電力が供給されなければ、上記リレー入力端子97に電流が流れず「通電入力信号」はOFFになり、上記制御装置71によって上記商用電源73が非通電状態であると判断される。
尚、上記電磁石93は、図5に示すように、ケーブル103a、103bによって商用電源73から電力を供給されることにより、磁気吸引力を発生させる。
又、上記リレー入力端子97には、図示しないフォトカプラが接続されており、上記制御装置71は上記フォトカプラによって上記リレー入力端子97に電流が流れたことを判別している。
上記制御装置71は、上記商用電源73が非通電状態であると判断した場合、グリッパの制御処理を停止した状態(「押付け制御」の状態で「通電入力信号」を待つ状態)で、上記商用電源73が復旧するまで待機する。このように上記グリッパの制御処理を停止し、上記制御装置71の図示しないCPUの稼働率が低下した状態で待機することで消費電力を抑えている。
又、既に述べたように、上記商用電源73が非通電状態となった場合、上記制御装置71は、本実施の形態によるグリッパに単位動作ユニット(「ワークWを把持する動作」、「把持部7を回転させる動作」、「把持したワークWを開放する動作」のそれぞれ)を最後まで行わせ、その後、駆動モータ5の「押付け制御」によりワークWの落下を防止した状態を維持するとともに上記制御装置71による処理を停止させ、上記商用電源73の復旧を待つ。
このように、本実施の形態によるグリッパ装置は、上記駆動モータ5を「押付け制御」の状態で維持(停止)することにより不用意なワークWの把持の解除を防止するとともに、制御装置71のCPUの稼働率が低下した状態で待機することにより消費電力を抑えている。また、後述するように、各単位動作ユニットの最後に現在位置(現在の駆動モータ5の回転角度)を取得しており、復帰後に上記現在位置の再取得や制御に必要な設定値の再計算等を行う必要がなく、円滑に次の単位動作ユニットに移行される。
因みに、上記リレー入力端子97からの信号による割り込み処理によって上記単位動作ユニットの途中であっても動作を停止させるようにすると、上記商用電源73が復旧しても上記グリッパの動作を継続して行うことが困難となってしまう。
例えば、把持部7の回転動作中、「位置決め制御」によって駆動されている際に処理を停止させると、ワークWの把持が不用意に解除されてしまい、上記ワークWが落下してしまうことが懸念される。また、上記把持部7の回転動作中に処理を停止させると、復帰後に現在位置(現在の駆動モータ5の回転角度)を取得し、後述する「目標位置」と「駆動モータ回転角度設定値」の再計算を行わなければならず、動作を再開させる際の処理が複雑になってしまう。
そこで、本実施の形態によるグリッパ装置においては、各単位動作ユニット完了後に上記商用電源73が通電状態であるか否かを判別し、非通電状態であれば待機し、通電状態となってから次の単位動作ユニットを開始する構成とすることで、容易且つ確実に、上記グリッパの動作の停止と再開を行うようにしている。
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、ワークWの把持/解放動作から説明する。
ワークWをA把持爪35とB把持爪37によって把持する場合には、駆動モータ5を正転させる。それによって、出力軸5aを介してピニオンギヤ43が正転する。このピニオンギヤ43の正転によりAラックギヤ39とBラックギヤ41が相互に接近する方向に移動する。このAラックギヤ39とBラックギヤ41の接近により、Aスライダ27とBスライダ29も相互に接近し、それによって、A把持爪35とB把持爪37も相互に接近する方向に移動する。A把持爪35とB把持爪37が相互に接近することによりワークWを把持することになる。
次に、A把持爪35とB把持爪37によって把持されたワークWを開放する場合であるが、この場合には、駆動モータ5を逆転させる。それによって、出力軸5aを介してピニオンギヤ43が逆転する。このピニオンギヤ43の逆転によりAラックギヤ39とBラックギヤ41が相互に離間する方向に移動する。このAラックギヤ39とBラックギヤ41の離間により、Aスライダ27とBスライダ29も相互に離間し、それによって、A把持爪35とB把持爪37も相互に離間する方向に移動する。A把持爪35とB把持爪37が相互に離間する方向に移動することによりワークWが開放されることになる。
次に、把持部7の回転動作について説明する。
例えば、既に説明したワークWの把持方向動作において、把持方向動作完了後、把持部7全体を回転させる場合には、トルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る電流を駆動モータ6に流す。それによって、把持部ベース9、A歯車51、B歯車53、C歯車55を介して、トルク制限装置61に、制限トルクを超えるトルクが作用する。それによって、トルク制限装置61がスリップ動作する。
すなわち、トルク制限装置61の外輪63に対して内輪65が回転することになり、それによって、C歯車55が回転する。このC歯車55の回転により、B歯車53を介してA歯車51が回転する。このA歯車51が回転することにより把持部ベース9が旋回することができ、それによって、ワークWを把持した把持部7全体が回転することになる。この把持部7の回転によりワークWの向きが変更されることになる。
上記把持部7によるワークWの把持動作、上記把持部7の回転動作、上記把持部7によるワークWの開放動作のそれぞれが、単位動作ユニットである。
ある単位動作ユニットの完了後に、商用電源73が通電状態であるか否かを判別する。そして、上記商用電源73が非通電状態であればそのままの状態で通電状態になるまで待機し、上記商用電源73が通電状態であれば次の単位動作ユニットに移行する。
以下、各単位動作ユニットをより詳細に説明する。
ピニオンギヤ43の回転がAラックギヤ39及びBラックギヤ41により直線運動に変換されている間は把持部ベース9には僅かな回転トルクしか発生しない。よって、トルク制限装置61の制限トルクにより把持部ベース9は回転しない。
これに対して、ワークWを把持しようとした場合或いはワークWがなくてAスライダ27とBスライダ29が衝突した場合には、ピニオンギヤ43の右回転運動はAラックギヤ39及びBラックギヤ41の直線運動に変換されなくなり、その結果、把持部7全体が右回転運動方向の回転トルクを受けることになる。その後、トルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る電流を駆動モータ6に流す。そして、この把持部7の回転トルクがトルク制限装置61の制限トルクを超えれば、トルク制御装置61の内輪65が回転し始め、把持部7は右回転することになる。
尚、本実施の形態では行わないが、ピニオンギヤ43が、図3中左まわり(反時計回り)に回転すれば、A把持爪35及びB把持爪37の間隔が開く。そして、全開状態(図3に示す状態)になれば、Aスライダ27及びBスライダ29は把持部ベース9に設けられているAストッパ9a及びBストッパ9bに当接し、それ以上開けない状態になる。このとき把持部ベース9には、図3中左まわり(反時計回り)の回転トルクが発生する。その後、トルク制限装置61の制限トルクに相当する電流値を上回る電流を駆動モータ6に流す。そして、トルク制限装置61の制限トルクを超える回転トルクが発生すれば把持部7は左回転することになる。
すなわち、把持部7に負荷される回転トルクを制限するトルク制限装置61を設けているので、トルク制限装置61の制限トルク以下のピニオンギヤ43の回転トルクでは、A把持爪35及びB把持爪37の把持/開放動作や把持状態維持のみが行われる。これに対して、ピニオンギヤ43の回転トルクがトルク制限装置61の制限トルクを超えると、ワークWを把持している把持部7が回転することになる。
ワークWが把持されていない場合も、全閉状態(Aスライダ27とBスライダ29が接触し押し合っている状態。)あるいは全開状態(Aスライダ27とBスライダ29がAストッパ9a、Bストッパ9bに当接してそれ以上開けない状態。)において、ピニオンギヤ43がさらに回転しようとして負荷回転トルクが増大して、トルク制限装置61による制限トルク以上の回転トルクが発生すると、全開状態あるいは全閉状態は制限トルクにて押付け維持されたままで、把持部7は回転することになる。
換言すれば、トルク制限装置61の制限トルクが、把持と回転(把持したまま)の切換スイッチとして機能することになる。つまり、制限トルク以下であれば把持動作のみであるが、制限トルクを超えると、制限トルクでワークWを押し付けている把持状態を維持したまま回転動作するものである。
以上の作用を、図7のフローチャートを参照して整理してみる。
図7に示すように、まず、初期設定が行われる(ステップS1)。この初期設定では、把持部7の把持・回転・開放動作を繰り返し行う処理で使用されるカウンタや、目標回転角度(θtarget)の累積値、偏差(α)、累積偏差(Σα)、補正値(K×Σα)、定数(K)、及び、定数(K)の初期値の設定や、エンコーダ6のカウンタを原点に戻す処理を行うとともに、A把持爪35及びB把持爪37をAストッパ9a及びBストッパ9bに当接するまで「押付け制御」により互いに離間させ、全開の状態とする。次に、現在位置(現在の駆動モータ5の回転角度)を取得する(ステップS2)。ここで取得した回転角度が動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)である。
次に、ステップS3に移行し、リレー入力端子97「通電入力信号」がONであるか否かを判別する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がONである場合は、次のステップS4に移行する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がOFFである場合は、上記ステップS3の判別を繰り返し行うことで、そのままの状態で待機する。
ステップS4では、駆動モータ5が「位置決め制御」により回転され、A把持爪35及びB把持爪37が、互いに近接する方向に、ワークWに当接しない範囲で移動される。これにより、上記把持部7による把持動作が開始される。
次に「把持制限電流」、「制限速度」、「把持完了判定時間」を設定する(ステップS5)。次に、駆動モータ5が「押付け制御」により回転され、駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至ったか否かが判別される(ステップS6)。駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至ったと判別された場合には、ステップS7に移行する。駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至っていないと判別された場合には、ステップS6の判別が繰り返し行われる。
ステップS7では、駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至っている時間が把持完了判定時間を経過したか否かが判別される。駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至っている時間が把持完了判定時間を経過したと判別された場合には、ステップS8に移行して、把持完了と判断される。駆動モータ5に流れている電流が把持制限電流に至っている時間が把持完了判定時間を経過していないと判別された場合には、ステップS7の判別が繰り返し行われる。
次に、ステップS9に移行して、駆動モータ5の現在位置がエンコーダ6から取得される。ここで取得した角度が把持方向動作終了角度(ωclose)である。
次に、ステップS10に移行し、リレー入力端子97「通電入力信号」がONであるか否かを判別する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がONである場合は、次のステップS11に移行する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がOFFである場合は、上記ステップS10の判別を繰り返し行うことで、そのままの状態で待機する。
次に、ステップS11に移行して、補正値(K×Σα+K×α)の計算が行われる。
次に、ステップS12に移行して、既に述べた「目標位置」と「駆動モータ回転角度設定値」の設定が行われる。上記「目標位置」は、現在位置である把持方向動作終了角度(ωclose)に目標回転角度(θtarget)を加算したものであり、上記「駆動モータ回転角度設定値」は、「目標位置」に、後述する把持部7による把持動作を維持させるための駆動モータ5の回転角度である「押付け角度」を加算したものである。
次に、ステップS13に移行して、「駆動モータ回転角度設定値」と補正値(K×Σα+K×α)に基づき、把持部7の回転が実行される。この把持部7の回転は、駆動モータ5の「位置決め制御」によって行われ、上記駆動モータ5は上記「駆動モータ回転角度設定値」により設定された位置から、補正値(K×Σα+K×α)分だけ手前の位置まで回転される。
次に、ステップS14に移行して、上記ステップS12で設定された「目標位置」に至ったか否かの判別が行われる。これはエンコーダ6からの信号により判別される。「目標位置」に至ったと判別された場合には、ステップS15に移行して、把持部7の「位置決め制御」による回転を停止する。
上記把持部7の「位置決め制御」による回転を停止すると、同時に、ステップS16に移行して、設定電流がワークWの把持の維持に必要な把持制限電流に設定され、上記駆動モータ5が「押付け制御」される。
尚、ここで設定される把持制限電流は、ステップS5で設定した把持制限電流よりも小さく設定することができる。
このような把持制限電流を設定することで上記把持部7の回転動作を押え込み、安定な停止状態にして、上記把持部7の回転動作の精度を高めている。これに対して、ステップS14において「目標位置」に至っていないと判別された場合には、ステップS14の判別を繰り返す。
尚、ステップS16において、上記駆動モータ5が「押付け制御」されることで、上記把持部7の回転を停止し且つワークWを把持した状態が維持される。また、前述したように、上記ステップS5で設定した把持制限電流より上記ステップS16で設定した把持制限電流を小さくすることができるが、上記ステップS16で設定した把持制限電流は、上記把持部7の回転を停止し且つワークWを把持した状態を維持できる程度に設定される。
次に、ステップS17に移行して、現在位置の取得を行う。これはエンコーダ6からの信号に基づいて行われ、ここで取得された現在位置が回転動作終了角度(ωrotation)である。
次に、ステップS18に移行し、リレー入力端子97「通電入力信号」がONであるか否かを判別する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がONである場合は、次のステップS19に移行する。上記リレー入力端子97「通電入力信号」がOFFである場合は、上記ステップS18の判別を繰り返し行うことで、そのままの状態で待機する。
次に、ステップS19に移行し、駆動モータ5が「位置決め制御」により逆転され、A把持爪35及びB把持爪37が、互いに離間する方向に、Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接しない範囲で移動される。これにより、上記把持部7による上記ワークWの開放方向動作が開始される。
次に、ステップS20に移行し、「開放制限電流」、「制限速度」、「解放完了判定時間」を設定し、駆動モータ5を「押付け制御」によりさらに逆回転させる。そして、駆動モータ5の電流が開放制限電流に至ったか否かが判別される(ステップS21)。駆動モータ5の電流が開放制限電流に至ったと判別された場合には、ステップS22に移行する。これに対して、駆動モータ5の電流が開放制限電流に至っていないと判別された場合には、ステップS21の判別が繰り返し行われる。
ステップS22では、駆動モータ5の電流が開放制限電流に至っている時間が開放完了判定時間を経過したか否かが判別される。駆動モータ5の電流が開放制限電流に至っている時間が開放完了判定時間を経過したと判別された場合には、ステップS23に移行して、開放完了と判断される。駆動モータ5の電流が開放制限電流に至っている時間が開放完了判定時間を経過していないと判別された場合には、ステップS22の判別が繰り返し行われる。
次に、ステップS24に移行して、現在位置(現在の駆動モータ5の回転角度)がエンコーダ6から取得される。ここで取得した現在位置が動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)である。
次に、ステップS25に移行して、偏差(α)の計算が行われる。すなわち、式(IV)によって、把持部7の回転角度(θrotation)が求められるとともに、式(VI)によって、偏差(α)が求められる。
次に、ステップS26に移行して、累積偏差(Σα)の計算が行われる。
次に、ステップS27に移行し、上記した、把持部7によるワークWの把持、上記把持部7の回転、及び、上記ワークWの開放という一連の処理を繰り返すか否かを判別する。繰り返す場合はステップS3に戻る。繰り返さない場合は、処理を終了する。
次に、制御装置71による駆動モータ5に対する回転角度指令値(θorder)の算出について説明する。上記回転角度指令値(θorder)は、既に述べた式(IX)により表わされ、この式(IX)は、把持部7の回転角度(θrotation)と目標回転角度(θtarget)との偏差(α)及び累積偏差(Σα)と、定数(K、K)によって、回転角度指令値(θorder)の補正を行うものである。前述した図7のフローチャートでは、上記偏差(α)及び累積偏差(Σα)は、前述したステップS25及びステップS26の処理により、既に述べた式(VI)及び式(VII)によって算出され、ステップS11の処理により上記偏差(α)と累積偏差(Σα)に基づく補正値が算出され、ステップS12の処理によって、上記目標回転角度(θtarget)に基づく駆動モータ回転角度設定値が算出される。そして、ステップS13の処理で、上記駆動モータ5が上記駆動モータ回転角度設定値から上記補正値分だけ手前まで回転されることで、上記式(IX)により表わされる上記回転角度指令値(θorder)に基づく上記駆動モータ5の回転が行われることになる。
次に、図8乃至図10を参照して、実際の動作を実現するためのプログラムを説明する。
まず、図8を参照してプログラムの基本的な構成を説明する。本実施の形態の場合には、複数の単位動作ユニットである、「把持プログラム」、「回転プログラム」、「開放プログラム」の間に、停電か否かを判別する命令「WTON 015」を組み入れている。これにより、停電時に、停電時に行っている単位動作ユニットが終了するまで動作させ、その後動作を停止させて電源復旧を待ち、電源復旧時には、何ら煩雑な作業を要することなく、次の単位動作ユニットからの継続動作が可能になる。
以下、実際のプログラムを示した図9、図10を参照して詳細に説明する。
尚、図9、図10において、左端に記されている番号は行番号を示しており、以下、この行番号を使用して説明する。
まず、2行目〜11行目には、変数の代入を示す命令「LET」が記載されていて、変数の初期化を行っている。まず、2行目には、変数「200」にカウンタの初期値として「0」が設定されている。3行目には、変数「321」に目標回転角度(θtarget)の累積値の初期値「0」が設定されている。4行目には、変数「322」に偏差(α)の初期値を示す「0」が設定されている。5行には、変数「323」に累積偏差(Σα)の初期値を示す「0」が設定されている。6行目には、変数「324」に、補正値(K×Σα)として「7.5」が設定されている。これは、後述する「目標位置」と「押付け角度」を足し合わせた駆動モータ回転角度設定値(本プログラムでは「100°」)より「7.5°」手前の位置まで、駆動モータ5を「位置決め制御」により回転させることで、把持部7の回転動作を行うことを意味している。7行目には、エンコーダ6がリセットされた際に累積偏差(Σα)が保存される変数「318」の初期値として「0」が設定されている。8行目には、K×αの計算結果が代入される変数「317」の初期値として「0」が設定されている。又、9行目には、変数「316」に定数(K)として、「0.5」が設定されており、10行目には、変数「315」に、定数(K)として「0.05」が設定されている。11行目には、K×Σαの計算結果が代入される変数「314」の初期値として「0」が設定されている。
12行目には、処理が戻ってくる行を示す命令「TAG 2」が記載されており、この場合には、後述する77行目の命令「GOTO 2」によって戻ってくる位置を示している。
13行目では、エンコーダ6のカウンタを原点に戻すことを示す命令「H0ME」が記載されており、このときの駆動モータ5の回転角度が原点(0°)となる。14行目では、駆動モータ5を定格電流に対してどの程度で運転するかを示す命令「PTRQ」が記載されており、この場合には、上記駆動モータ5を定格電流の60%で「押付け制御」する旨の設定が行われている。15行目では、上記駆動モータ5の回転角度と速度を示す命令「PAPR」が記載されており、上記命令「PTRQ」で設定された電流値で押付け制御し、「300°/sec」の速さで上記駆動モータ5を回転させる旨設定されている。16行目では、「押付け制御」の目標を示す命令「PUSH」が記載されており、上記14行目と15行目で設定された上記駆動モータ5の「押付け制御」が、ポジション「14」(−200°)を目標にして行われることが設定されている。従って、この命令により、A把持爪35及びB把持爪37が離間される方向にAスライダ27及びBスライダ29が移動されて、Aストッパ9a及びBストッパ9bに当接し、それ以上、上記A把持爪35及びB把持爪37が開かない状態になる。すなわち、上記A把持爪35及びB把持爪37が全開の状態に初期化される。
上記した2行目〜16行目までの処理が初期化処理となる。
17行目では、動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)を読み取る命令「PRDQ」が記載されていて、変数「319」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)として設定される。18行目では、待ち時間を示す命令「TIMW」が設定されていて、この場合には、「3秒間」待機することが設定されている。19行目には、処理が戻ってくる行を示す命令「TAG 1」が記載されており、この場合には、後述する79行目の「GOTO 1」から戻ってくる位置を示している。
20行目では、制御装置71の所定の入力端子が「オフ」であれば処理を停止し、上記所定の入力端子が「オン」であれば次の行に処理を進める命令「WTON」が記載されており、上記所定の入力端子は「015」と指定されている。この「015」の入力端子とはリレー入力端子97であり、リレー入力端子97への電流流れ込みがなければ上記リレー入力端子97が「オフ」、すなわち、商用電源73が「非通電状態」であれば処理は待機状態となり、リレー入力端子97への電流流れ込みが生じると上記リレー入力端子97が「オン」、すなわち、上記商用電源73が「通電状態」であれば処理が次の21行目に進む。
21行目には、駆動モータ5の制御モードを示す命令「SCRV」が記載されていて、この場合には、上記駆動モータ5を滑らかに制御するためにS字モーションのパラメータが設定される。22行目には、速度を示す命令「VEL」が設定されていて、この場合には、速度が「2400°/sec」に設定されている。23行目には、加速度を示す命令「ACC」が記載されていて、この場合には、加速度が「2G」に設定されている。24行目には、減速度を示す命令「DCL」が記載されていて、この場合には、減速度が「2G」に設定されている。25行目には、動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)を読み取る命令「PRDQ」が記載されていて、変数「300」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)として設定される。26行目には、駆動モータ5を定格に対してどの程度で運転するかを示す命令「PTRQ」が記載されており、この場合には、上記駆動モータ5を定格電流の60%で「押付け制御」する旨の設定が行われている。27行目には、上記駆動モータ5の回転角度と速度を示す命令「PAPR」が記載されており、上記命令「PTRQ」で設定された電流値で押付け制御し、「300°/sec」の速さで上記駆動モータ5を回転させる旨設定されている。
28行目には、駆動モータ5を回転させる角度を示す命令「MVDI」が記載されている。この場合は、上記駆動モータ5を「30°」だけ回転させることが設定されている。これにより、ワークWに当接しない範囲で「位置決め制御」により上記A把持爪35及びB把持爪37を高速で移動させている。29行目では、「押付け制御」の目標を示す命令「PUSH」が記載されており、この場合は、上記26行目〜27行目で設定された上記駆動モータ5の「押付け制御」が、ポジション「13」(9799°)を目標にして行われることが設定されている。上記した20行目〜29行目までの処理によって、上記把持部7による把持動作が行われ、ワークWが上記把持部7によって把持される。
30行目には、把持方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωclose)を示す命令「PRDQ」が記載されていて、この場合には、変数「301」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、把持方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωclose)として設定される。
31行目には、待ち時間を示す命令「TIMW」が記載されていて、この場合には、「1秒」間待機することが設定されている。
32行目では、既に述べた20行目と同じく、リレー入力端子97への電流流れ込みがなければ上記リレー入力端子97が「オフ」、すなわち、商用電源73が「非通電状態」であれば待機状態になり、リレー入力端子97への電流流れ込みが生じると上記リレー入力端子97が「オン」、すなわち、上記商用電源73が「通電状態」であれば処理を次の行に進める命令「WTON」が記載されている。
33行目には、加速度を示す命令「ACC」が記載されていて、この場合には、加速度が「1G」に設定されている。34行目には、減速度を示す命令「DCL」が記載されていて、この場合には、減速度が「0.2G」に設定されている。35行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合は、変数「302」に、変数「301」、すなわち、上記把持方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωclose)が設定される。36行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「302」に「100」を加算することが設定されている。すなわち、30行目でエンコーダ6によって取得された上記把持方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωclose)に、目標回転角度(θtarget)である「90°」と押付け角度(ワークWを把持する為の「押付け制御」分の駆動モータ5の回転角度)として「10°」を付加した「100°」を加算して駆動モータ回転角度設定値を算出することになる。すなわち、上記駆動モータ回転角度設定値は、上記把持方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωclose)に、目標回転角度(θtarget)を足した「目標位置」に、ワークWを把持する動作を行わせる為の駆動モータ5の回転角度である「押付け角度」が加算されたものである。37行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「199」に変数「302」の内容を設定している。すなわち、36行目で求めた駆動モータ回転角度設定値を変数「199」に設定している。38行目には、駆動モータ回転角度設定値をポジションに設定することを示す命令「PPUT」が記載されていて、この場合には、変数「199」の内容、すなわち、36行目で求めた駆動モータ回転角度設定値がポジション「99」に設定される。39行目には、駆動モータ5を定格に対してどの程度で運転するかを示す命令「PTRQ」が記載されており、この場合には、定格電流の60%で、駆動モータ5を「押付け制御」するように設定されている。これにより、把持部7が回転された後でも、ワークWを把持した状態が維持される。
40行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「325」に変数「324」の値、すなわち、補正値(K×Σα)の初期値である「7.5」が設定されている。41行目では、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「314」に変数「323」の値、すなわち、累積偏差(Σα)が設定される。42行目には、定数の乗算を示す命令「MULT」が記載されていて、この場合には、変数「314」に変数「315」の値、すなわち、定数(K)が乗算されるように設定されている。43行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「325」に変数「314」の値が加算されるように設定されている。すなわち、補正値(K×Σα)の初期値である「7.5」に、新たに計算された補正値(K×Σα)が加算されることが設定されている。44行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「317」に偏差(α)を示す変数「322」の値の内容が設定される。すなわち、45行目には、定数の乗算を示す命令「MULT」が記載されていて、この場合には、変数「317」に変数「316」の値、すなわち、定数(K)が乗算される。46行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「325」に変数「317」の値が加算される。47行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「309」に、変数「325」の内容が設定されている。すなわち、変数「309」には、K×Σα+K×αの結果が設定される。
48行目には、上記駆動モータ5の回転角度と速度を示す命令「PAPR」が記載されており、この場合には、上記駆動モータ5の回転角度として変数「309」の内容が設定され、速度として「300°/sec」が設定されている。これにより、38行目で設定したポジション「99」よりも既に求めた補正値「K×Σα+K×α」°だけ手前の角度まで、速度「300°/sec」で、「位置決め制御」により上記駆動モータ5が回転される。すなわち、38行目で設定したポジション「99」と上記変数「309」によって、駆動モータ5に対する回転角度指令値(θorder)が表現されていることになる。49行目には、「押付け制御」の目標を示す命令「PUSH」が記載されており、この場合には、38行目で設定したポジション「99」を目標に、上記駆動モータ5が39行目で設定された把持制限電流により「押付け制御」されることが設定されている。ただし、48行目と49行目の命令により、補正値を加味した把持部7の回転動作は「位置決め制御」で行われ、上記把持部7の回転後には、上記駆動モータ5は把持制限電流によって「押付け制御」され、ワークWの把持が維持され続ける。
50行目には、回転動作終了時の駆動モータ回転角度(ωrotation)を読み取る命令「PRDQ」が記載されていて、この場合には、変数「305」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、回転動作終了角度(ωrotation)として設定される。
51行目には、待ち時間を示す命令「TIMW」が記載されていて、この場合には、「3秒」待機することが設定されている。
52行目では、既に述べた20行目と同じく、リレー入力端子97への電流流れ込みがなければ上記リレー入力端子97が「オフ」、すなわち、商用電源73が「非通電状態」であれば待機状態になり、リレー入力端子97への電流流れ込みが生じると上記リレー入力端子97が「オン」、すなわち、上記商用電源73が「通電状態」であれば処理を次の行に進める命令「WTON」が記載されている。
53行目には、加速度を示す命令「ACC」が記載されていて、この場合には、加速度が「2G」に設定されている。54行目には、減速度を示す命令「DCL」が記載されていて、減速度が「2G」に設定されている。55行目には、駆動モータ5の回転角度を読み取る命令「PRDQ」が記載されていて、この場合には、変数「306」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、回転動作終了角度(ωrotation)として設定される。なお、上記変数「306」には、上記変数「305」と同じ値が設定されることになる。
56行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「320」に、変数「300」の内容、すなわち、動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)が設定される。57行目には、減算を示す命令「SUB」が記載されていて、この場合には、変数「320」から変数「301」を減算する。すなわち、変数「320」には、(ωstart−ωclose)の結果が設定される。この変数「320」の内容は、把持部7による把持に要する駆動モータ5の回転角度を確認するために用いられるものであり、上記駆動モータ5の制御そのものに用いられるものではない。
58行目には、駆動モータ5を何度回転させるかを示す命令「MVDI」が記載されている。この場合には、上記駆動モータ5を「−30°」だけ回転させることが設定されている。このようにして、A把持爪35及びB把持爪37を、Aストッパ9a、Bストッパ9bに当接しない範囲で、「位置決め制御」により高速に移動させている。
59行目には、駆動モータ5を定格に対してどの程度で運転するかを示す命令「PTRQ」が記載されており、この場合には、定格電流の60%で、駆動モータ5を「押付け制御」するよう設定されているこれにより、把持部7が回転しない状態を維持する。60行目には、には、上記駆動モータ5の回転角度と速度を示す命令「PAPR」が記載されており、上記命令「PTRQ」で設定された電流値で押付け制御し、「300°/sec」の速さで上記駆動モータ5を回転させる旨設定されている。61行目には、「押付け制御」の目標を示す命令「PUSH」が記載されており、この場合には、上記59行目〜60行目で設定された上記駆動モータ5の「押付け制御」が、ポジション「14」を目標にして行われる。ポジション「14」には、ポジションデータとして「−200°」が設定されている。62行目には、開放方向動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)を読み取る命令「PRDQ」が記載されていて、この場合には、変数「307」にエンコーダ6によって取得された上記駆動モータ5の回転角度が、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)として設定される。
63行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「200」に「1」が加算される。これによりカウンタの値が「1」増加される。64行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「321」、すなわち、把持部7の目標回転角度(θtarget)の累積値(Σθtarget)に、目標回転角度(θtarget)である「90°」を加算するように設定されている。65行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「322」に、変数「307」の内容、すなわち、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)が設定されている。
66行目には、減算を示す命令「SUB」が記載されていて、この場合には、変数「322」から変数「321」を引く。すなわち、(ωend−Σθtarget)が行われることになる。67行目には、減算を示す命令「SUB」が記載されていて、この場合には、変数「322」から変数「319」が減算される。すなわち、((ωend−Σθtarget)−ωstart)が行われ、式(IV)と式(VI)による計算が行われることになる。これにより、変数「322」には、偏差(α)が設定されることになる。
68行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「322」に変数「318」の内容が加算される。後述するように、カウンタのリセット時に、73行目で変数「318」に偏差(α)を保存するようにしているが、この変数「318」に保存された偏差(α)を用いて、上記変数「322」の偏差(α)の補正を行っている。
69行目には、加算を示す命令「ADD」が記載されていて、この場合には、変数「323」に変数「322」の内容が加算される。これにより、変数「323」には、累積偏差(Σα)が設定される。
70行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「326」に、変数「306」の内容、すなわち、回転動作終了時の駆動モータ回転角度(ωrotation)が設定されている。71行目には、減算を示す命令「SUB」が記載されていて、この場合には、変数「326」から変数「301」が減算される。すなわち、(ωrotation−ωclose)が行われる。これは、単位動作一回分の回転角度を確認するためである。
72行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「327」に変数「200」の内容、すなわち、カウンタの値が設定される。
73行目には、比較判別を示す命令「CPGE」が記載されていて、この場合には、変数「200」、すなわち、カウンタが「104以上」であるか否かが判別される。カウンタが「104以上」であれば、74行目〜77行目のリセット処理を行う。カウンタが「104以上」でなければ、78行目以降の処理が行われる。74行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「200」、すなわち、カウンタを「0」にしている。75行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「321」、すなわち、回転角度の累積値を「0」にしている。76行目には、変数を代入する命令「LET」が記載されていて、この場合には、変数「318」に、変数「322」の値、すなわち、偏差(α)が設定されている。これにより、カウンタや回転角度の累積値がリセットされた場合であっても、リセット前の偏差(α)を保存し、リセット後の原点位置(駆動モータ5の回転角度が0°の位置)がずれることで偏差(α)の値がずれてしまうことを防止するための補正(既に述べた65行目の処理)が可能となっている。なお、カウンタのリセット後であっても、変数「322」の偏差α及び変数「323」の累積偏差Σαについては、制御装置71に保存されている。
77行目には、リセット後に所定の行に戻ることを示す命令「GOTO 2」が記載されている。この場合には、「TAG 2」、すなわち、12行目に戻る。
78行目には、待ち時間を示す命令「TIMW」が記載されていて、ここでは、「3秒」間待機することが設定されている。79行目には、所定の行に戻ることを示す命令「GOTO 1」が記載されていて、この場合には、「TAG 1」、すなわち、19行目に戻り、前述した把持部7の把持動作、回転動作、解放動作が繰り返される。80行目には、プログラムの終了処理を示すラベル「SVOF」が設定されているとともに、81行目には、本プログラムを終了することを示す命令「EXIT」が記載されている。
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、本実施の形態によるグリッパにおいては、各単位動作ユニット完了後に上記商用電源73が通電状態であるか否かを判別し、非通電状態であれば単位動作ユニット完了後に待機し、停電から復旧し通電状態となったときに次の単位動作ユニットを開始するようにしているため、停電直後の状態を維持できるとともに、復旧時の動作の再開を容易且つ円滑に行うことができる。
又、停電検出装置85が設置されており、この停電検出装置85には上記商用電源73に接続されたリレー87が設置されている。そして、上記制御装置71にはリレー入力端子97が設置されており、このリレー入力端子97には上記商用電源73が通電状態であれば電流が流されるようになっているため、簡易な構成により、容易に停電か否かを判別することができる。
又、各単位動作ユニット完了時に待機状態となった場合、駆動モータ5の「押付け制御」が維持されるので、把持部7によるワークWの把持の不用意な解除を防止することができる。
又、停止時には、上記リレー入力端子97に電流が流されているか否かの判別のみを行っているため、上記制御装置71の図示しないCPUの稼働率を低く抑えることができる。これによって、消費電力が抑えられ、上記無停電電源装置75によるバックアップが可能な時間を長くすることができる。
又、各単位動作ユニットの最後に現在位置(現在の駆動モータ5の回転角度)を取得しており、その後停止するようにしているため、復帰後に上記現在位置の再取得や制御に必要な設定値の再計算等を行う必要がなく、円滑に次の単位動作ユニットに移行される。また、上記商用電源73が復旧して通電状態となれば待機状態が自動的に解除されるので、作業者による操作や設定作業等を要することなく、次の単位動作ユニットに移行させることができる。
又、本実施の形態の場合は、グリッパをプログラムによって制御しているため、グリッパ装置全体の構成が簡単なものとなっている。
又、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)から動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)を減算し、A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)からA把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を減算し、動作終了時の駆動モータ回転角度(ωend)から動作開始時の駆動モータ回転角度(ωstart)を減算した値から、A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)からA把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を減算した値を減算し、その値を把持部7の回転角度(θrotation)とするようにしたので、把持部7の回転角度を検出するセンサを設置することなく、駆動モータ5の回転角度を検出するエンコーダ6のみにより、上記把持部7の回転角度(θrotation)を得ることができ、それによって、構成を簡略化でき、且つ、制御プログラムの作成や補正値の設定作業を容易なものとすることができる。
又、A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と、A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を、同じ値に設定しているので、制御プログラムをより簡単なものとすることができる。
又、Aストッパ9a、Bストッパ9b、及び、図示しない把持方向ストッパを設置し、A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と、A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)が、同じ値になるように構成した場合は、上記A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を、容易に同じ値に設定でき、制御プログラムをより簡単なものとすることができる。
又、上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)として予め所定の設定値を設定し、開放方向動作の際、この上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)に基づいて上記駆動モータ5を駆動することで、上記A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)とを同じにする場合も、上記A把持爪35とB把持爪37の把持方向移動に要する駆動モータ回転角度(θclose)と上記A把持爪35とB把持爪37の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)を、容易に同じ値に設定でき、制御プログラムをより簡単なものとすることができる。また、この場合、上記開放方向移動は、上記把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)に基づいて駆動モータ5の回転角度を指定する「位置決め制御」によって行われるため、「押付け制御」により制御する場合よりも、上記開放方向移動を素早く行うことができる。
又、回転角度指令値(θorder)に補正値を加算して上記把持部7を回転させるようにしたので、より適切な回転角度指令値を設定し、上記把持部7の回転の精度を向上させることができる。
又、上記把持部7の回転角度(θrotation)から目標回転角度(θtarget)の総和を減算することにより、上記把持部7の目標回転角度(θtarget)からのずれである偏差(α)を求めるようにしたので、角度の測定誤差の影響を小さくし、偏差(α)をより正確に求めることができる。そのため、偏差(α)を用いて目標回転角度(θtarget)を補正することで、より精度の高い上記把持部7の回転動作を行うことができる。
又、上記把持部7の回転動作が複数回行われる場合、上記偏差(α)を累積して累積偏差(Σα)を求めるようにしたので、上記累積偏差(Σα)を用いて目標回転角度(θtarget)を補正することで、より精度の高い上記把持部7の回転動作を行うことができる。
又、上記偏差(α)及び上記累積偏差(Σα)を用いて上記補正値を求め、上記補正値を上記回転角度指令値(θorder)に加算してPIフィードバック制御を行うようにしたので、より高精度な制御を行うことができる。
又、上記把持部7を所定回数回させた後上記補正値を求め、その補正値の累積偏差(Σα)の値を回転角度指令値(θorder)の初期補正値として用いるようにしたので、プログラム立ち上げ直後から、より安定した制御が可能になる。
又、上記把持部7の回転動作は、まず、「位置決め制御」によって回転させてから、「押付け制御」によって回転・停止させる場合は、上記把持部7を素早く回転させることができる。
又、トルク制限装置61を用いることにより、単一の駆動モータ5によって把持動作と回転動作の両方を行うことができるグリッパを提供することができる。その際、単一の駆動モータ5であるので、グリッパの軽量・小型化を図ることができる。
又、単一の駆動モータ5を採用する構成であるので、複数の駆動モータを使用する構成のものに比べて、コストの低減を図ることができる。
又、ワークWの把持に関しては、いわゆる「押付け制御」を採用しているので、ワークWを確実に把持し続けることができ、ワークWを不用意に落下させるようなことを防止することができる。
又、トルク制限装置61は、その駆動機構が非接触タイプであるので、安定した制限トルクを得ることができ、それによって、精度の高い把持動作と回転動作を実現することができる。
特に、本実施の形態の場合には、トルク制限装置61は磁性体のヒステリシストルクを利用したものであるので、上記効果をより高めることができる。
又、把持部7は中空シャフト部11を介してベース1に回転可能に取り付けられているので、支柱としての構成の剛性を高めるとともに軽量化を図ることができる。
又、上記中空シャフト部11内に駆動モータ5の出力軸5aと該出力軸5aからの回転を伝達するピニオンギヤ43の軸部43aが収容・配置されているので、装置としての軽量・小型化を図ることができる。
又、本実施の形態の場合には、押付け制御により所定の把持制限電流に達した後所定時間の経過により把持部7による把持が完了したと判別し、その把持完了時の駆動モータ5の回転位置をエンコーダ7から読み込んでそれを基準として把持部7を所定量回転させるように制御しているので、把持部7の回転量を高い精度で管理することができる。
又、把持制限電流より大きい回転制限電流の「押付け制御」にて把持部7を回転させるようにしているので、回転時にワークWが不用意に開放されるようなことはない。
又、把持部7が所定量回転した後に、把持制限電流の「押付け制御」に戻して把持を維持するようにしているので、把持部7による把持状態を確実に保持することができる。又、ここで設定される把持制限電流を、ワークWを把持する際に設定した把持制限電流より小さく設定することで、上記把持部7の回転動作を押え込み、安定な停止状態にして、上記把持部7の回転動作の精度を高めることができる。
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
まず、把持部7による回転動作は行われず、ワークWの把持と開放だけが行われる構成となる場合も考えられる。このような構成であっても、停電時における上記ワークWの不用意な脱落を防止することができるとともに、復旧時における動作の再開が容易且つ円滑なものとなる。
又、ホストPLC(Programable Logic Controller)が設置され、各単位動作ユニット間に上記ホストPLCによって動作承認されているか否かを判別する処理が行われる場合も考えられる。この場合、上記ホストPLCからの信号は動作承認のためのものであり、商用電源73が通電状態であるか否かについての情報はない。よって、上記動作承認されているか否かの判別前に上記商用電源73が通電状態であるか否かの判別を行うようにしないと、停電からの復旧時に上記ホストPLCによる動作承認なしに(他の機械の停電復旧ができていない場合であっても)、次の単位動作ユニットを行ってしまうことが懸念される。
又、前記一実施の形態の場合は、一連の動作が3つの単位動作ユニットから構成されていたが、上記一連の動作に含まれる単位動作ユニットの数には様々な場合が考えられる。上記一連の動作が一つの単位動作ユニットにより構成されている場合や、4つ以上の単位動作ユニットから構成されている場合も考えられる。
又、図示した把持部の構成はあくまで一例でありそれに限定されるものではない。例えば、2個爪ではなく、3個以上の爪によりワークを把持するような構成の把持部も想定される。
又、各把持爪を離間させる方向に移動させてワークを把持し、各把持爪を近接する方向に移動させてワークを開放する場合も想定される。
又、前記したプログラムでは、開放動作を行う際、駆動モータ5を押付け制御し、ステップS21とステップS22において、上記駆動モータ5の電流が開放制限電流に至ってからの経過時間によって、開放動作が完了したか否かを判別していたが、予め設定された把持爪の開放方向移動に要する駆動モータ回転角度(θopen)だけ駆動モータ5を回転させることのみにより開放動作を行うことも考えられる。この場合、開放動作においては、上記駆動モータ5の押付け制御を行う必要がなく、高速な動作を行わせることができる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
又、前記一実施の形態の場合には、アクチュエータとしてグリッパを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、様々な構成のアクチュエータを組み込んだアクチュエータ装置に適用可能である。
例えば、ボールネジ・ボールナット方式、リニアモータ方式の一軸アクチュエータを、単独でまたは複数組み合わせて構成されたアクチュエータが、複数の単位動作ユニットを組み合わせた動作を行うものにおいて、本願発明を適用すれば、同様の効果を奏することができる。
又、前記一実施の形態の場合は、グリッパをプログラムによって制御していたが、リレー等を組み合わせたシーケンス回路によって制御するようにしてもよい。
本発明は、例えば、産業用ロボットに組み込まれワークを把持するグリッパ等の各種アクチュエータを組み込んだアクチュエータ装置に係り、特に、停電時におけるワーク落下等のトラブルの発生を防止し、且つ、停電復旧時に停電時の状態から継続した継続動作を容易に行うことができるように工夫したものに関し、特に、各種産業ロボットにおいて使用されるアクチュエータ装置に好適である。
5 駆動モータ(アクチュエータの一部)
7 把持部(アクチュエータの一部)
71 制御装置
73 商用電源(電源)
75 無停電電源装置
85 停電検出装置
87 リレー
93 電磁石(操作コイル)

Claims (6)

  1. 一つ又は複数の単位動作ユニットからなる一連の動作を行うアクチュエータと、
    上記アクチュエータを制御する制御装置と、
    上記アクチュエータ及び上記制御装置に電力を供給する電源と、
    停電を検知して上記アクチュエータ及び上記制御装置に上記電源に代わって電力を供給する無停電電源装置と、を具備し、
    上記制御装置は、停電時に上記アクチュエータに停電時に行っている単位動作ユニットが終了するまで動作させた後その状態のままで上記電源の復旧を待ち、電源復旧時には次の単位動作ユニットからの継続動作を行わせるように制御するものであることを特徴とするアクチュエータ装置。
  2. 請求項1記載のアクチュエータ装置において、
    停電を検出する停電検出装置が設置されていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  3. 請求項2記載のアクチュエータ装置において、
    上記停電検出装置にはリレーが設置されており、
    上記リレーの操作コイルには上記電源が接続されていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れかに記載のアクチュエータ装置において、
    上記制御装置のプログラムにおいて、一つの単位動作ユニットの後又は複数の単位動作ユニット間に、停電か否かを判別する命令が組み込まれていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載のアクチュエータ装置において、
    上記アクチュエータは、把持爪によってワークを把持/開放するグリッパであることを特徴とするアクチュエータ。
  6. 請求項5記載のアクチュエータ装置において、
    上記グリッパは、把持動作、回転動作、開放動作の3つの単位動作ユニットからなる一連の動作を行うものであることを特徴とするアクチュエータ装置。
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