JP2015085026A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】背凭れの左右外側方に肘掛けを備えた椅子において、肘掛けに掛かる荷重に対する強度、剛性を確保し、かつ製造コストを抑える。【解決手段】左右一対の肘掛け21を背凭れ10の後方で一体に連結するとともに背凭れ10に結合された状態で左右一対の肘掛け21を支持する中間連結部22を備え、中間連結部22が、当該中間連結部22における左右に離間した位置を背凭れ10に結合可能とする左右一対の第一締結部31と、当該中間連結部22における左右一対の第一締結部31の間でこれらを結ぶ直線L1を避けた位置を背凭れ10に結合可能とする第二締結部32と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、背凭れの左右外側方に肘掛けを備えた椅子に関する。
特許文献1−4には、椅子の肘掛け取り付け構造が開示されている。
特許文献1では、背凭れの後方に離間して左右中央に位置する支柱に対し、背凭れとともに肘掛けを支持している。
特許文献2では、背凭れの後方で左右に直線状に延びる横板の左右端部に対し、左右肘掛けの後端部を支持している。
特許文献3では、背凭れの基板を脚体に支持するべく、背凭れの下方を迂回する正面視U字形状のフレームの左右上端部に、左右肘掛けの後端部を支持している。
特許文献4では、左右肘掛けの後端部から下方に延びる基部を、背凭れの左右外側部にそれぞれ支持している。
実用新案登録第3088612号公報 特公平7−57208号公報 特開2013−63174号公報 特開2012−95931号公報
しかし、特許文献1の場合、肘掛けから支柱までの距離が遠い分、肘掛けに対する上下、左右の種々の入力に耐え得るには支持腕等に高い強度、剛性が求められてしまう。
また、特許文献2の場合、背凭れの後面に肘掛け(横板)を取り付けており、特許文献1よりも強度的には有利であるが、肘掛けに上下方向の力が掛かった際に、横板の長手方向を軸として回転する方向に力が掛かり、横板を締結するボルト等に力が集中してしまう。
また特許文献3の場合、正面視U字形状のフレームと左右肘掛けとが一体形成されているため、強度的により有利であるが、このような構造体を成型する金型は複雑かつ大きなものになってしまう。
また、特許文献4の場合、肘掛けが左右で別々の部品構成となっており、かつ金型も別々に必要となるため、コスト増につながってしまう。また、肘掛けに対する左右方向への入力に対しては、基部回りの回転方向の力に対する強度、剛性の確保が困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、背凭れの左右外側方に肘掛けを備えた椅子において、肘掛けに掛かる荷重に対する強度、剛性を確保し、かつ製造コストを抑えることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る椅子は、脚体と、前記脚体に支持される座体及び背凭れと、背凭れの外側方に配置される左右の肘掛けと、を備える椅子において、前記左右の肘掛けを前記背凭れの後方で一体に連結するとともに前記背凭れに結合された状態で前記左右の肘掛けを支持する中間連結部を備え、前記中間連結部が、当該中間連結部における左右に離間した位置を前記背凭れに結合可能とする左右の第一結合部と、当該中間連結部における前記左右の第一結合部の間でこれらを結ぶ直線を避けた位置を前記背凭れに結合可能とする第二結合部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、左右の肘掛け及び中間連結部を含む一体の構造体を左右に離間した第一結合部で背凭れに支持することで、左右の肘掛けに近い位置が背凭れに支持され、肘掛けに掛かる荷重を背凭れで支持し易くなり、肘掛けの強度、剛性を高めることができる。
また、左右の第一結合部を結ぶ直線回りに生じる回転方向の力は、第一結合部の要素の強度のみならず、前記直線を避けて配置された第二結合部を含む三点以上の支持により受けることができるので、各結合部に掛かる荷重を軽減して最適設計によるコストダウンを図ることができる。
さらに、左右の肘掛け同士を中間連結部で一体に連結することで、部品点数を削減して肘掛けの取り付けを容易にすることができる。
また、背凭れの後方に位置する中間連結部を介して左右の肘掛けを連結することで、背凭れよりも下方を迂回する要素を介して左右の肘掛けを連結する場合と比べて、一体の構造体を小型化し、肘掛けの取り付けを容易にすることができる。
また、上記椅子は、前記背凭れが左右外側ほど前側に変位するように湾曲し、この湾曲に沿うように前記左右の第一結合部と前記第二結合部とが前後方向にオフセットして配置される構成でもよい。
この場合、背凭れの湾曲形状に沿って各結合部を自然に前記直線を避けた配置とすることができる。
また、上記椅子は、前記中間連結部が前記背凭れの湾曲に沿って配置される構成でもよい。
この場合、中間連結部の後方への張り出しを抑え、背凭れの後面側の嵩張りを抑えることができる。また、中間連結部の左右端部が前後方向に延びる肘掛けに沿う側に湾曲することで、中間連結部と肘掛けとが緩やかな屈曲で連なり、肘掛けに対する荷重を中間連結部に伝達し易い構造にすることができる。
また、上記椅子は、前記左右の第一結合部及び前記第二結合部が、それぞれ締結により前記背凭れに結合される構成でもよい。
この場合、肘掛けを背凭れに確実かつ着脱可能に支持することができる。
また、上記椅子は、前記中間連結部が、当該中間連結部における左右に離間した位置を前記背凭れに凹凸嵌合により結合可能とする左右の第三結合部をさらに備える構成でもよい。
この場合、肘掛けを取り付ける際の仮組みを容易に実現することができる。
また、上記椅子は、前記第三結合部が、前記左右の第一結合部よりも左右外側に配置される構成でもよい。
この場合、ボルト、ナット等の締結手段の配置スペースを確保し難い背凭れの外側端近傍でも、背凭れに中間連結部を結合することができる。また、第一結合部の締結と第三結合部の嵌合との組み合わせにより、肘掛けに入力される荷重を強固に支持することができる。
また、上記椅子は、前記左右の第一結合部及び前記第二結合部が、前記背凭れに面接触する圧接面を有する構成でもよい。
この場合、圧接面の面接触によって各結合部で荷重を受け易くすることができる。
また、上記椅子は、前記左右の肘掛け及び前記中間連結部が、一平面に沿うU字形状の連続体として一体形成される構成でもよい。
この場合、連続体の一体形成によりその製造を容易にしてコストダウンを図るとともに、肘掛け及び中間連結部間の連結部を無くして強度、剛性の確保並びに応力集中の回避を図ることができる。また、連続体を一平面に沿う形状とすることで、一体形成する際の金型を小型化かつ簡素化してコストダウンを図ることができる。
また、上記椅子は、前記左右の肘掛けが、それぞれ前記中間連結部のみに片持ち支持される構成でもよい。
この場合、肘掛けの前端側が非支持となるものの、上述の如く中間連結部が背凭れにしっかり結合されることで、肘掛けの強度、剛性を確保するとともに、肘掛けの軽量化及び取り付けの容易化を図り、かつ着座位置の開放感を向上させることができる。
本発明によれば、背凭れの左右外側方に肘掛けを備えた椅子において、肘掛けに掛かる荷重に対する強度、剛性を確保し、かつ製造コストを抑えることができる。
この発明の実施形態における椅子を前方かつ上方から見た斜視図である。 上記椅子を後方かつ上方から見た斜視図である。 上記椅子の後面図である。 上記椅子の左右方向中心の断面図である。 図4のV−V断面図である。 図5のVI−VI断面図である。 図5のVII−VII断面図である。 図5のVIII−VIII断面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、椅子の座体上に背凭れに背を向けて着座した着座者の「前方」を図中矢印FRで示し、前記着座者の「上方」を図中矢印UPで示し、上記着座者の「左方」を図中矢印LHで示す。
図1〜図4に示すように、本実施形態の椅子1は、フロアF上に載置されるキャスタ9a付きの多岐脚9と、多岐脚9の中央部より起立する脚柱9bと、脚柱9bの上端部に取り付けられる支基3と、支基3の上方に支持される座体4と、座体4の後端上方に一体的に支持される背凭れ10と、背凭れ10に支持されてその外側方に配置される左右一対の肘掛け21と、を備える。以下、多岐脚9、脚柱9b及び支基3を含む構造体を脚体2と称することがある。
座体4は、合成樹脂製の座体基板5の上面側(表面側)にクッション材6及び表皮7を設けた構成を有する。座体基板5は、平面視で概略矩形状をなし、かつ全体的に下方に凸の湾曲形状に形成される。この座体基板5に沿うようにクッション材6及び表皮7が設けられることで、座体4の表皮7側に凹状の着座面が形成される。着座面の左右中央には、表皮7を凹形状に沿わせるように下方(座体内側)に引き込み可能とする前後に長いスリット7aが形成される。
背凭れ10は、座体4と同様、合成樹脂製の背凭れ基板11の前面側(表面側)にクッション材12及び表皮13を設けた構成を有する。背凭れ基板11は、正面視で上下に長い概略台形状をなし、全体的に左右外側部が左右内側部よりも前方に変位するように湾曲して形成される。背凭れ基板11は、着座者の腰部を後方から支持し易いように、側面視で上下中間部よりもやや下側の高さとなる部位を前方に凸の頂部15とした緩やかな屈曲形状に形成される。頂部15は、肘掛け21の上面と同等の高さに設定される。
この背凭れ基板11に沿うようにクッション材12及び表皮13が設けられることで、背凭れ10の表皮13側に背凭れ面が形成される。背凭れ基板11における前記頂部15よりも上方の部位は、側面視で後方に凸となるように緩やかに湾曲して形成され、その前方に形成される背凭れ面を凹状にする。背凭れ面における頂部15よりも上方の部位の左右中央には、表皮13を凹形状に沿わせるように後方(背凭れ内側)に引き込み可能とする上下に長いスリット13aが形成される。
背凭れ10(背凭れ基板11)は、特に頂部15の高さで左右外側部を大きく前方に変位させるように湾曲し、着座者の腰部の左右方向のサポートを強める。背凭れ10の下端部と座体4の後端部とは、互いに緩やかな屈曲形状を形成するように一体に連なる。
なお、図中符号16は座体4のクッション材6の左右中央の座体基板5側に形成されて表皮7を下方に引き込む部材を収容可能とする座体内凹部、符号17は背凭れ10のクッション材12の左右中央の背凭れ基板11側に形成されて表皮13を後方に引き込む部材を収容可能とする背凭れ内凹部、符号18は両クッション材5,12間の内側に形成されて両表皮7,13間の接続部を下後方に引き込む部材を収容可能とするクッション間凹部、符号19はハンガー等のオプション部品0Pを背凭れ10の後面(背面)側の上部に取り付け可能とするオプション取り付け部、をそれぞれ示す。
図5を併せて参照し、左右の肘掛け21は、略水平に(詳細にはやや後下がりに傾斜して)配置された板形状をなし、その後端部21aが背凭れ10の外側端よりも後方に延出する。左右の後端部21aは、これらと同等の高さで背凭れ基板11の後面10aに沿って配置された中間連結部22を介して相互に一体に連結される。左右の肘掛け21及び中間連結部22は、一平面に沿うU字形状の肘掛け構造体20として一体形成されている。
なお、図4中線sf1は左右の肘掛け21の前端t1及び中間連結部22の後端t2の三点を通る平面を示し、この平面sf1から離間しないように肘掛け構造体20がU字形状に形成される。肘掛け構造体20は、例えば合成樹脂製の一体成型品である。図5中線k1は、肘掛け構造体20における背凭れ10の肘掛け21の高さでの左右外側端と同一の左右方向位置であって、左右の肘掛け21と中間連結部22との境界位置を示す。
肘掛け構造体20は、中間連結部22が背凭れ基板11に後面10a側から締結等により結合されることで、背凭れ基板11に固定的に支持される。この状態で、左右の肘掛け21は、後端部21aが中間連結部22を介して背凭れ基板11に支持されるのみであり、前端側が被支持の片持ち支持とされる。このため、肘掛け21に入力される荷重によるモーメントと反対回りのモーメントが生じるように、中間連結部22を背凭れ基板11に取り付ける必要がある。
中間連結部22は、その左右外側に設けられて互いに左右に離間する左右一対の肘掛け側第一締結部23と、中央連結部の左右中央に設けられて左右の肘掛け側第一締結部23に対して後方に変位する単一の肘掛け側第二締結部24と、左右の肘掛け側第一締結部23のさらに左右外側に設けられる左右一対の嵌合凸部25と、を有する。
一方、背凭れ基板11には、その左右外側に設けられて互いに左右に離間する左右一対の基板側第一締結部27と、背凭れ基板11の左右中央に設けられて左右の基板側第一締結部27に対して後方に変位する単一の基板側第二締結部28と、左右の基板側第一締結部27のさらに左右外側に設けられる左右一対の嵌合凹部29と、を有する。
左右の基板側第一締結部27はそれぞれ左右の肘掛け側第一締結部23に対応して設けられ、これらが左右一対の第一締結部31を構成する。基板側第二締結部28は肘掛け側第二締結部24に対応して設けられ、これらが単一の第二締結部32を構成する。左右の嵌合凹部29はそれぞれ左右の嵌合凸部25に対応して設けられ、これらが左右一対の嵌合部33を構成する。
中間連結部22は、左右肘掛け21の後端部21aに連なる左右外側部22aでは、板形状の肘掛け21に合わせてやや偏平に形成されるが、左右中央に向かうにつれて、上下の厚さを増すとともに前後幅を抑えるように徐変して形成される。これにより、中間連結部22全体の強さを維持しながら、中間連結部22を背凭れ10に取り付けた際の後方への張り出しを減少させる。
図5〜図8を参照し、肘掛け側第一締結部23は、座刳り23bを有するボルト挿通孔23aと、ボルト挿通孔23aの背凭れ10側の開口の周囲に形成され、締結により背凭れ基板11の後面10aに圧接される第一圧接面23cと、を有する。
また、肘掛け側第二締結部24は、座刳り24bを有するボルト挿通孔24aと、ボルト挿通孔24aの背凭れ10側の開口の周囲に形成され、締結により背凭れ基板11の後面10aに圧接される第二圧接面24cと、を有する。
各ボルト挿通孔23a,24aは、やや後下がりに傾斜し、互いに平行に設けられる。これら各ボルト挿通孔23a,24aに、後方からボルトb1,b2が挿通され、基板側第一締結部27及び基板側第二締結部28にそれぞれ埋設されたナットn1,n2に螺着されて締め込まれる。この状態で、各ボルトb1,b2の頭部は、それぞれ座刳り23b,24b内に収まり、中間連結部22の後方に突出することはない。
中間連結部22の前面22bは、背凭れ基板11の後面10aに沿うように形成されており、各締結部31,32の締結時には、中間連結部22の前面22bが背凭れ基板11の後面10aに当接又は微小隙を空けて近接する。中間連結部22の前面22bに沿う各圧接面23c,24cは、それぞれボルトb1,b2の中心軸線c1,c2よりも上方の上下幅が下方の上下幅よりも広くなるように設けられる。以下、各締結部31,32における各圧接面23c,24cと軸線c1,c2との交点を締結中心としての締結点p1,p2とする。
肘掛け21における着座者の肘を載せた通常使用時において、各締結部31,32には、概ね締結点p1,p2を中心とした前回りのモーメントが生じる。これに対し、圧接面23c,24cが背凭れ基板11の後面10aに密着し、締結点p1,p2よりも上方で後面10aを押圧することで、前記モーメントと反対回り(後回り)のモーメントが生じ、肘掛け21が所定高さに保持される。このとき、圧接面23c,24cが締結面よりも上方でより広く背凭れ基板11の後面10aに接することで、圧接面23c,24c及び後面10aに作用する圧力が分散、軽減される。なお、図では圧接面23c,24cは中間連結部22と面一に設けられるが、圧接面23c,24cを前方に突出させて背凭れ基板11に当接させたり、背凭れ基板11に圧接面23c,24cを当接させる台座を設けてもよい。
図5、図8を参照し、嵌合凸部25は、各ボルト挿通孔23a,24aと平行に前方へ突出する円柱形状に形成される。また、嵌合凹部29は、背凭れ基板11に嵌合凸部25と同軸に形成された例えば円形の貫通孔とされる。これにより、肘掛け構造体20を背凭れ10に取り付ける際、嵌合凸部25を嵌合凹部29に挿入することで、連結帯の位置決め及び仮組みが可能となる。なお、嵌合凹部29が有底の穴であってもよい。
嵌合部33により、中間連結部22の左右外側部22aが背凭れ基板11の外側端に近い位置に結合される。これにより、特に着座者が立ち上がるとき等に肘掛け21が受ける上下、左右への種々の入力がしっかり受け止められ、肘掛け21の剛性感が高まる。背凭れ基板11の外側端の近傍は、背凭れ10の前後の厚さが減少してナット等を設置することが困難になっているが、嵌合凹部29は単なる貫通孔等でよく、中間連結部22の極力外側に設けることが可能である。嵌合凸部25の基端の周囲には、各締結部31,32の締結時に背凭れ基板11の後面10aに圧接又は微小隙を空けて近接する対向面25cが形成される。以下、対向面25cと嵌合凸部25の中心軸線c3との交点を嵌合中心としての嵌合点p3とする。
図5を参照し、中間連結部22の左右外側部22aは、背凭れ基板11の左右外側部に沿って左右外側かつ前方に向けて斜めに湾曲する。この左右外側部22aが、前後方向に延びる肘掛け21の後端部21aに接続されるので、外側部22a及び後端部21aが鈍角を形成するように連なる。中間連結部22の左右外側部22aが単に左右外側に向けて形成される場合、外側部22a及び後端部21aが直角を形成するように連なり、当該部位に肘掛け21への入力による応力が集中し易い。一方、前述の如く外側部22a及び後端部21aが鈍角状に連なることで、当該部位への応力集中が緩和される。
左右の第一締結部31及び嵌合部33並びに第二締結部32は、背凭れ基板11の湾曲形状に沿うように、相互に前後方向にオフセットして設けられる。第二締結部32の締結点p2は、左右の第一締結部31の締結点p1を結ぶ直線L1、及び左右の嵌合部33の嵌合点p3を結ぶ直線L2のそれぞれを、後方に避けて設けられるといえる。
次に、肘掛け構造体20を背凭れ10に取り付ける手順について説明する。
まず、脚体2に支持された背凭れ10の後方より、その左右外側の嵌合凹部29に対して、肘掛け構造体20の左右外側の嵌合凸部25を挿入し、肘掛け構造体20の仮組み状態とする。嵌合凸部25及び嵌合凹部29は、相互の嵌め合いを適度な締め代に設定することで、仮組みの容易性と嵌合による結合強度とを両立させる。例えば、嵌合凸部25の外周面及び嵌合凹部29の内周面の少なくとも一方をテーパ状に形成し、仮組みを容易にしながら嵌合凸部25及び嵌合凹部29を強固に嵌合可能としてもよい。
上記仮組み後、各締結部31,32のボルト挿通孔23a,24aに後方からボルトb1,b2を挿通し、これらのボルトb1,b2を各締結部31,32のナットn1,n2に螺着し締め込むことで、各締結部31,32が締結により結合され、肘掛け構造体20(左右の肘掛け21)が規定位置に支持された取り付け状態となり、肘掛け構造体20の取り付けが完了する。
このとき、左右の肘掛け21は、その後端部21aのみが片持ち支持されるので、上下方向の荷重が加わった際には、左右の後端部21aを支持する中間連結部22には、左右方向に沿う軸回りのモーメントが生じる。このモーメントと反対回りのモーメントが生じるように、各締結部31,32及び嵌合部33が反力を発生させる。この反力は、各締結部31,32及び嵌合部33が左右方向に沿う直線上に並ぶ場合には、各締結部31,32及び嵌合部33の要素の強さ(ボルトの曲げ強さ等)に大きく依存するが、各締結部31,32及び嵌合部33が同一直線(直線L1,L2)を避けて配置されることで、これらの配置によって肘掛け21への上下方向の荷重によるモーメントに抗することが可能である。また、肘掛け21に左右方向の荷重が加わった際には、肘掛け21の基端(後端)に近い位置にて、左右の第一締結部31及び嵌合部33の組み合わせにより強固に荷重を支持することが可能である。
以上説明したように、上記実施形態の椅子1は、脚体2と、前記脚体2に支持される座体4及び背凭れ10と、背凭れ10の外側方に配置される左右一対の肘掛け21と、前記左右一対の肘掛け21を前記背凭れ10の後方で一体に連結するとともに前記背凭れ10に結合された状態で前記左右一対の肘掛け21を支持する中間連結部22と、を備え、前記中間連結部22が、当該中間連結部22における左右に離間した位置を前記背凭れ10に結合可能とする左右一対の第一締結部31と、当該中間連結部22における前記左右一対の第一締結部31の間でこれらを結ぶ直線L1を避けた位置を前記背凭れ10に結合可能とする第二締結部32と、を有するものである。
この構成によれば、左右の肘掛け21及び中間連結部22を含む一体の肘掛け構造体20を左右に離間した第一締結部31で背凭れ10に支持することで、左右の肘掛け21に近い位置が背凭れ10に支持され、肘掛け21に掛かる荷重を背凭れ10で支持し易くなり、肘掛け21の強度、剛性を高めることができる。
また、左右の第一締結部31を結ぶ直線L1回りに生じる回転方向の力は、第一締結部31の要素の強度のみならず、前記直線L1を避けて配置された第二締結部32を含む三点以上の支持により受けることができるので、各締結部31,32に掛かる荷重を軽減して最適設計によるコストダウンを図ることができる。
さらに、左右の肘掛け21同士を中間連結部22で一体に連結することで、部品点数を削減して肘掛け21の取り付けを容易にすることができる。
また、背凭れ10の後方に位置する中間連結部22を介して左右の肘掛け21を連結することで、背凭れ10よりも下方を迂回する要素を介して左右の肘掛け21を連結する場合と比べて、一体の肘掛け構造体20を小型化し、肘掛け21の取り付けを容易にすることができる。
また、前記背凭れ10が左右外側ほど前側に変位するように湾曲し、この湾曲に沿うように前記左右一対の第一締結部31と前記第二締結部32とが前後方向にオフセットして配置されることで、背凭れ10の湾曲形状に沿って各締結部31,32を自然に前記直線L1を避けた配置とすることができる。
また、前記中間連結部22が前記背凭れ10の湾曲に沿って配置されることで、中間連結部22の後方への張り出しを抑え、背凭れ10の後面10a側の嵩張りを抑えることができる。また、中間連結部22の左右端部が前後方向に延びる肘掛け21に沿う側に湾曲することで、中間連結部22と肘掛け21とが緩やかな屈曲で連なり、肘掛け21に対する荷重を中間連結部22に伝達し易い構造にすることができる。
また、前記左右一対の第一締結部31及び前記第二締結部32が、それぞれ締結により前記背凭れ10に結合されることで、肘掛け21を背凭れ10に確実かつ着脱可能に支持することができる。
また、前記中間連結部22が、当該中間連結部22における左右に離間した位置を前記背凭れ10に凹凸嵌合により結合可能とする左右一対の嵌合部33をさらに備えることで、肘掛け21を取り付ける際の仮組みを容易に実現することができる。
また、前記嵌合部33が、前記左右一対の第一締結部31よりも左右外側に配置されることで、ボルト、ナット等の締結手段の配置スペースを確保し難い背凭れ10の外側端近傍でも、背凭れ10に中間連結部22を結合することができる。また、第一締結部31の締結と嵌合部33の嵌合との組み合わせにより、肘掛け21に入力される荷重を強固に支持することができる。
また、前記左右一対の第一締結部31及び前記第二締結部32が、前記背凭れ10に面接触する圧接面23c,24cを有することで、圧接面23c,24cの面接触によって各締結部31,32で荷重を受け易くすることができる。
また、前記左右一対の肘掛け21及び前記中間連結部22が、一平面sf1に沿うU字形状の肘掛け構造体20として一体形成されることで、肘掛け構造体20の一体形成によりその製造を容易にしてコストダウンを図るとともに、肘掛け21及び中間連結部22間の連結部を無くして強度、剛性の確保並びに応力集中の回避を図ることができる。また、肘掛け構造体20を一平面sf1に沿う形状とすることで、一体形成する際の金型を小型化かつ簡素化してコストダウンを図ることができる。
また、前記左右一対の肘掛け21が、それぞれ前記中間連結部22のみに片持ち支持されることで、肘掛け21の前端側が非支持となるものの、上述の如く中間連結部22が背凭れ10にしっかり結合されることで、肘掛け21の強度、剛性を確保するとともに、肘掛け21の軽量化及び取り付けの容易化を図り、かつ着座位置の開放感を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、第一締結部31に相当する第一結合部が複数対設けられたり、第二締結部32に相当する第二結合部が複数設けられてもよい。各締結部31,32に代わり締結具ではない結合手段により背凭れ基板と中間連結部とを結合する結合部を備えてもよい。肘掛け構造体20が左右の肘掛けと中間連結部とを一体に連結した構成でもよい。肘掛け構造体20が合成樹脂製ではなくアルミ鋳造製等であってもよい。嵌合部33が背凭れに凸部、中間連結部に凹部を備えた構成でもよい。
そして、上記した構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 椅子
2 脚体
4 座体
10 背凭れ
20 肘掛け構造体
21 肘掛け
22 中間連結部
23c,24c 圧接面
31 第一締結部(第一結合部)
32 第二締結部(第二結合部)
33 嵌合部(第三結合部)
L1 直線
sf1 平面

Claims (9)

  1. 脚体と、前記脚体に支持される座体及び背凭れと、背凭れの外側方に配置される左右の肘掛けと、を備える椅子において、
    前記左右の肘掛けを前記背凭れの後方で一体に連結するとともに前記背凭れに結合された状態で前記左右の肘掛けを支持する中間連結部を備え、
    前記中間連結部が、当該中間連結部における左右に離間した位置を前記背凭れに結合可能とする左右の第一結合部と、当該中間連結部における前記左右の第一結合部の間でこれらを結ぶ直線を避けた位置を前記背凭れに結合可能とする第二結合部と、を有することを特徴とする椅子。
  2. 前記背凭れが左右外側ほど前側に変位するように湾曲し、この湾曲に沿うように前記左右の第一結合部と前記第二結合部とが前後方向にオフセットして配置されることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
  3. 前記中間連結部が前記背凭れの湾曲に沿って配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
  4. 前記左右の第一結合部及び前記第二結合部が、それぞれ締結により前記背凭れに結合されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の椅子。
  5. 前記中間連結部が、当該中間連結部における左右に離間した位置を前記背凭れに凹凸嵌合により結合可能とする左右の第三結合部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の椅子。
  6. 前記第三結合部が、前記左右の第一結合部よりも左右外側に配置されることを特徴とする請求項5に記載の椅子。
  7. 前記左右の第一結合部及び前記第二結合部が、前記背凭れに面接触する圧接面を有することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の椅子。
  8. 前記左右の肘掛け及び前記中間連結部が、一平面に沿うU字形状の連続体として一体形成されることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の椅子。
  9. 前記左右の肘掛けが、それぞれ前記中間連結部のみに片持ち支持されることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の椅子。
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