JP2015084965A - 眼科用レーザ手術装置および眼科手術制御データ作成プログラム - Google Patents

眼科用レーザ手術装置および眼科手術制御データ作成プログラム Download PDF

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友洋 宮城
柴田 隆義
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隆義 柴田
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Abstract

【課題】走査手段の動作に起因する手術の品質の低下を効率よく抑制することができる眼科用レーザ手術装置および眼科手術制御データ作成プログラムを提供する。【解決手段】眼科用レーザ手術装置は、パルスレーザ光を患者眼の組織に集光させることで患者眼を処置する。眼科用レーザ手術装置は、レーザ光源、対物レンズ、走査ユニット、および制御ユニットを備える。レーザ光源はパルスレーザ光を出射する。対物レンズは、レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を集光させる。走査ユニットは、対物レンズによって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査する。制御ユニットは、少なくとも走査ユニットの走査に応じて、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整する。【選択図】図3

Description

本発明は、パルスレーザ光を患者眼の組織に集光させて患者眼を処置するための眼科用レーザ手術装置、および眼科手術制御データ作成プログラムに関する。
従来、患者眼における複数のターゲット位置の各々にパルスレーザ光を集光させることで患者眼を処置する技術が提案されている。例えば、特許文献1が開示する眼科用レーザ手術装置は、レーザ光源と走査手段(レーザ照射ユニット)を備える。レーザ光源は、パルスレーザ光を連続して発生させる。走査手段は、パルスレーザ光を集光させる集光位置を走査(移動)させる。集光位置では、光と組織の間に生じる相互作用によってプラズマバブルが生じ、組織が切断(破砕)される。複数のプラズマバブルが適切に配置されるように集光位置が走査されることで、組織が処置される。
特開2013−78399号公報
走査手段の動作は、手術の品質に影響を与え得る。例えば、集光位置を走査させる速度(以下、「走査速度」という)は、走査手段の性能等の影響で変化する場合がある。走査速度が変化すると、隣接するプラズマバブル間の間隔(例えば、中心間距離)が一定とならなくなり、手術の品質が低下する可能性がある。従来の技術では、走査手段の動作に起因する手術の品質の低下を効率よく抑制することは困難であった。
本開示は、走査手段の動作に起因する手術の品質の低下を効率よく抑制することができる眼科用レーザ手術装置および眼科手術制御データ作成プログラムを提供することを典型的な目的とする。
典型的な実施態様が提供する眼科用レーザ手術装置は、パルスレーザ光を患者眼の組織に集光させることで前記患者眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を前記組織において集光させる対物レンズと、前記対物レンズによって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査する走査手段と、少なくとも前記走査手段の動作に応じて、前記組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整するエネルギー調整手段とを備える。
典型的な実施態様が提供する眼科手術制御データ作成プログラムは、パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を患者眼の組織において集光させる対物レンズと、前記対物レンズによって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査する走査手段とを備えた眼科用レーザ手術装置を制御するための制御データを作成する装置によって実行される眼科手術制御データ作成プログラムであって、前記装置のプロセッサによって実行されることで、前記組織に集光させるパルスレーザ光のエネルギーを、少なくとも前記走査手段の動作に応じて前記眼科用レーザ手術装置に調整させる制御データを作成する作成ステップを前記装置に実行させることを特徴とする。
本開示によって示される眼科用レーザ手術装置および眼科手術制御データ作成プログラムによると、走査手段の動作に起因する手術の品質の低下を効率よく抑制することができる。
眼科用レーザ手術装置1の概略構成を示す図である。 パルスレーザ光のエネルギーおよび繰り返し周波数を一定としてスパイラルスキャンを行う場合のプラズマバブル5の形成状態の一例を模式的に示す図である。 CPU77が実行する制御データ作成処理のフローチャートである。 パルスレーザ光のエネルギーの変化に起因するプラズマバブル5A,5Bの位置の変化を説明するための説明図である。 本実施形態の眼科用レーザ手術装置1がスパイラルスキャンを行う場合のプラズマバブル5の形成状態の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1の概略構成について説明する。以下では、一例として、患者眼Eの軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明を行う。なお、図面では、レンズ、ミラー等の各々が1つの部材によって示されている。しかし、レンズ、ミラー等の各々は、複数の光学部品によって構成されていてもよい。
<全体構成>
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、患者眼Eの組織を処置するために使用される。本実施形態では、患者眼Eの角膜を処置することが可能な眼科用レーザ手術装置1を例示する。しかし、本実施形態で例示する技術は、患者眼Eの他の部位(例えば、水晶体等)を処置する場合にも適用できる。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、レーザ光源10、走査ユニット30、対物レンズ53、位置検出ユニット55、観察・撮影ユニット60、操作ユニット70、制御ユニット76、および調整素子80を備える。
<レーザ光源>
レーザ光源10は、パルスレーザ光を出射する。本実施形態では、レーザ光源10によって出射されたパルスレーザ光は、非線形相互作用によって組織にプラズマを誘起するために用いられる。非線形相互作用とは、光と物質とによって生じる相互作用の1つであり、光の強度(つまり、光子の密度)に比例しない応答が現れる作用である。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光を患者眼Eの透明組織内に集光(合焦)させることで、集光位置(「レーザスポット」という場合もある)または集光位置よりも僅かに光路(光束)の上流側で多光子吸収を生じさせる。多光子吸収が生じる確率は、光の強度に比例せず、非線形となる。多光子吸収によって励起状態が生じると、組織内にプラズマバブルが発生し、組織の切断・破砕等が行われる。以上の現象は、光破壊(photodisruption)と言われる場合もある。非線形相互作用による光破壊では、レーザ光による熱の影響が集光位置の周辺に加わり難い。よって、微細な処置が可能である。パルスレーザ光のパルス幅を小さくする程、少ないエネルギーで効率よく光破壊が生じる。
<走査ユニット>
走査ユニット30は、パルスレーザ光を走査することで、対物レンズ53(詳細は後述する)によって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査させる。つまり、走査ユニット30は、パルスレーザ光の集光位置を目標位置に移動させる。本実施形態の走査ユニット30は、Z走査部34およびXY走査部40を備える。
本実施形態のZ走査部34は、凹レンズ36、凸レンズ37、および駆動部38を備える。駆動部38は、凹レンズ36を光軸L1に沿って移動させる。凹レンズ36が移動することで、凹レンズ36を通過したビームの発散状態が変化する。その結果、パルスレーザ光の集光位置(レーザスポット)がZ方向に移動する。
本実施形態のXY走査部40は、Xスキャナ41、Yスキャナ44、およびレンズ47,48を備える。Xスキャナ41は、駆動部43によってガルバノミラー42を揺動させることで、パルスレーザ光をX方向に走査させる。Yスキャナ44は、駆動部46によってガルバノミラー45を揺動させることで、パルスレーザ光をY方向に走査させる。レンズ47,48は、2つのガルバノミラー42,45を共役とする。
レーザ光源10とZ走査部34の間には、ミラー31,32、およびホールミラー33が設けられている。ミラー31,32は、レーザ光源10によって出射されたパルスレーザ光を誘導する。ホールミラー33は、パルスレーザ光の光軸L1と、位置検出ユニット55(後述する)の光軸L2とを一致させる。また、XY走査部40と対物レンズ53の間には、レンズ50,51およびビームコンバイナ52が設けられている。レンズ50,51は、パルスレーザ光をリレーする。ビームコンバイナ52は、パルスレーザ光の光軸L1と、観察・撮影ユニット60(後述する)の光軸L3とを一致させる。
なお、走査ユニット30の構成は適宜変更できる。例えば、Xスキャナ41とYスキャナ44の間のレンズ47,48は省略できる。眼科用レーザ手術装置1は、ガルバノミラー42,45の代わりに、パルスレーザ光を偏向させる音響光学素子(AOM,AOD)等を用いて、パルスレーザ光のXY方向の走査を行ってもよい。1つの方向の走査を複数の素子で行ってもよい。レゾナントスキャナ、ポリゴンミラー等を用いてもよい。Z走査部34の位置は、XY走査部40の下流側等であってもよい。複数のZ走査部が眼科用レーザ手術装置1に搭載されてもよい。他の変更を走査ユニット30に加えることも可能である。
<対物レンズ>
対物レンズ53は、走査ユニット30と患者眼Eの間の光路上に設けられている。対物レンズ53は、走査ユニット30を経たパルスレーザ光を、患者眼Eの組織に集光させる。本実施形態では、患者眼Eの角膜が処置される場合、対物レンズ53から出射されたパルスレーザ光は、コンタクトレンズ54を経て患者眼Eの組織に集光される。コンタクトレンズ54のうち、患者眼Eに接触する面は、所定の曲面または平面に形成されている。コンタクトレンズ54が患者眼Eに圧平されることで、患者眼Eの角膜表面が所定の形状で固定される。なお、患者眼Eに装着されるインターフェースはコンタクトレンズ54に限られない。例えば、患者眼Eに吸引固定されたカップに液体が充填される構造の液浸インターフェースをコンタクトレンズ54の代わりに使用することも可能である。
<位置検出ユニット>
位置検出ユニット55は、走査ユニット30に対する患者眼Eの位置を検出するために用いられる。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査ユニット30に対する患者眼Eの位置を検出することで、パルスレーザ光が集光する集光位置を、断層画像(詳細は後述する)に対応付ける。集光位置を断層画像に対応付けることで、走査ユニット30等を制御するための制御データを、断層画像を用いて設定することができる。
本実施形態では、パルスレーザ光が通過する光学系の一部が、位置検出ユニット55の光学系を兼ねる。位置検出ユニット55は、ホールミラー33、集光レンズ56、開口板57、および受光素子58を備える。ホールミラー33は、中央に入射した光を透過させると共に、患者眼Eによって反射された光を光軸L2に沿って反射させる。集光レンズ56は、ホールミラー33によって反射された光を、開口板57の開口に集光する。開口板57は、中央に開口を有する共焦点開口板である。開口板57の開口は、患者眼Eにおけるパルスレーザ光の集光位置(レーザスポットの位置)と共役な関係に配置されている。受光素子58は、開口板57の開口を通過した光を受光する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、患者眼Eの位置を検出する場合、レーザ光が集光位置で光破壊を生じさせないように、レーザ光源10から出射されるレーザ光の出力を調整する。眼科用レーザ手術装置1は、走査ユニット30によって集光位置を三次元方向に移動させながら、患者眼Eからの反射光を受光素子58によって受光する。
なお、走査ユニット30に対する患者眼Eの位置を検出するための構成は、適宜変更することができる。例えば、ホールミラー33の代わりに偏光ビームスプリッタを用いて照射光と反射光を分離してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、サンプル物質等にパルスレーザ光を照射し、サンプル物質等における実際の集光位置を断層画像(後述する)によって検出してもよい。
<観察・撮影ユニット>
観察・撮影ユニット60は、患者眼Eを術者に観察させると共に、処置対象となる組織を撮影する。一例として、本実施形態の観察・撮影ユニット60は、OCTユニット61および正面観察ユニット65を備える。観察・撮影ユニット60の光軸L3は、ビームコンバイナ52によって、パルスレーザ光の光軸L1と同軸とされる。光軸L3は、ビームコンバイナ63によって、OCTユニット61の光軸L4と、正面観察ユニット65の光軸L5とに分岐する。
OCTユニット61は、光干渉の技術を用いて被検眼Eの組織の断層画像を取得する。詳細には、本実施形態のOCTユニット61は、光源、光分割器、参照光学系、走査部、および検出器を備える。光源は、断層画像を取得するための光を出射する。光分割器は、光源によって出射された光を、参照光と測定光に分割する。参照光は参照光学系に入射し、測定光は走査部に入射する。参照光学系は、測定光と参照光の光路長差を変更する構成を有する。走査部は、測定光を組織上で二次元方向に走査させる。検出器は、組織によって反射された測定光と、参照光学系を経た参照光との干渉状態を検出する。眼科用レーザ手術装置1は、測定光を走査し、反射測定光と干渉光の干渉状態を検出することで、組織の深さ方向の情報を取得する。取得した深さ方向の情報に基づいて、組織の断層画像を取得する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光が集光する位置を、術前に撮影した患者眼Eの断層画像に対応付ける。その結果、眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光を照射する動作(例えば、駆動部38,43,46の動作)を制御するための制御データを、断層画像を用いて作成することができる。なお、OCTユニット61には種々の構成を用いることができる。例えば、SS−OCT、SD−OCT、TD−OCT等のいずれをOCTユニット61として採用してもよい。
正面観察ユニット65は、患者眼Eの正面画像を取得する。本実施形態の正面観察ユニット65は、可視光または赤外光によって照明された患者眼Eを撮影し、モニタ72(後述する)に表示する。術者は、モニタ72を見ることで、患者眼Eを正面から観察することができる。
<操作ユニット>
操作ユニット70は、術者からの各種操作指示の入力を受け付ける。一例として、本実施形態の操作ユニット70は、各種操作ボタンを備えた操作部71と、モニタ72の表面に設けられたタッチパネルとを備える。しかし、ジョイスティック、キーボード、マウス等の他の構成も操作ユニット70として採用できる。なお、モニタ72には、例えば、患者眼Eの正面画像、組織の断層画像、各種操作メニュー等、種々の画像を表示させることができる。
<制御ユニット>
制御ユニット76は、CPU77、ROM78、RAM79、および不揮発性メモリ(図示せず)等を備える。CPU77は、眼科用レーザ手術装置1の各種制御(例えば、後述する制御データ作成の制御、パルスレーザ光のエネルギー調整の制御、レーザ光源10の制御、走査ユニット30の制御等)を司る。ROM78には、眼科用レーザ手術装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。RAM79は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリは、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。
<調整素子>
調整素子80は、パルスレーザ光の光路上に設けられている。調整素子80は、レーザ光源10によって出射されたパルスレーザ光の透過率および反射率の少なくともいずれかを調整することで、集光位置に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整することができる。本実施形態では、調整素子80として音響光学素子(AOM)が用いられている。音響光学素子は、制御ユニット76によって駆動制御されることで、レーザ光源10から入射したパルスレーザ光の透過率を調整する。本実施形態では、走査ユニット30よりも光路の上流側(つまり、レーザ光源10に近い側)に調整素子80が設けられている。従って、調整素子80は、走査ユニット30を経た後のパルスレーザ光の透過率を調整する場合に比べて簡易な構成となる。なお、音響光学素子以外の素子を調整素子80として使用することも可能である。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、偏光素子を回転させることでパルスレーザ光の透過率を調整してもよい。減衰器(アッテネータ)等によって透過率を調整してもよい。パルスレーザ光の反射率を調整可能なミラー、液晶素子等を調整素子80として採用してもよい。複数の素子を組み合わせて用いることも可能である。
<走査ユニットの動作と手術の品質の関係>
走査ユニット30の動作と手術の品質の関係について説明する。例えば、集光位置を走査させる際の走査速度は、一連の手術中に変化する場合がある。走査速度が変化する要因の一例として、走査ユニット30の性能が挙げられる。眼科のレーザ手術では、手術時間を極力短縮することが望まれる。走査ユニット30による集光位置の走査速度を大きくする程、手術時間は短縮される。しかし、全ての部位に対して高速且つ一定の速度で集光位置を走査することは、困難な場合がある。例えば、繰り返し振動するガルバノミラーを用いてXY方向の走査を行う場合、振動の周波数には限界がある。従って、振幅を小さくすると、振幅が大きい場合に比べて走査速度が低下せざるを得ない場合がある。
図2は、パルスレーザ光のエネルギーおよび繰り返し周波数を一定としてスパイラルスキャン(螺旋状の走査)を行う場合のプラズマバブル5の形成状態の一例を模式的に示す図である。なお、図2では、プラズマバブル5の形成状態の理解をより容易にするために、プラズマバブル5の間隔、大きさ、および螺旋の経路の間隔等は、実際のスケールとは異なるスケールで示されている。スパイラルスキャンとは、複数のレーザパルスの集光位置が螺旋に沿って走査されるように走査ユニット30を駆動する方式である。フェムト秒レーザ等の超短パルスレーザを用いて患者眼Eに切断面を形成する場合、図2に例示するスパイラルスキャンが行われる場合がある。
図2に示す例では、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーは一定である。従って、走査ユニット30において発生する収差の変動、および、患者眼Eにおいて発生する収差の変動等の影響を無視すると、それぞれの集光位置で発生するプラズマバブル5の大きさは略一定となる。仮に集光位置の走査速度が常に一定であれば、隣接する2つのプラズマバブル5の中心間距離(中心間の間隔)は一定となり、複数のプラズマバブル5は均等に配置され得る。しかし、スパイラルスキャンを行う場合、集光位置が螺旋の中心に近づく程、ガルバノミラー42,45の振幅が小さくなる。図2に示す例では、集光位置が外側から中心に向かう途中で、ガルバノミラー42,45の振動の周波数が限界に達し、走査速度が徐々に低下している。その結果、螺旋の中心に近づく程、隣接する2つのプラズマバブル5の中心間距離が短くなっている。中心間距離が短すぎると、複数のプラズマバブル5が過度に重複し、組織の切断の品質が低下する場合がある。ガルバノミラー42,45の振動の周波数が限界に達しない範囲内で、走査速度を一定とすれば、図2で例示した問題は生じない。しかし、この場合、走査ユニット30の性能を十分に活用することができない。従って、この場合の走査速度は、図2に示す場合の走査速度の平均値よりも小さくせざるを得ない。
他の場合にも走査速度は変化し得る。例えば、走査方向の反転を繰り返すラスタースキャンでは、走査ユニット30の性能が原因で、走査方向が反転する部分の近傍における走査速度が、他の部分の走査速度よりも低下する場合がある。レンズを光軸方向に移動させてZ方向の走査を行う場合にも、走査速度が変化する場合がある。慣性の影響を抑制するために、走査方向を変化させる部分で走査速度を低下させる場合もある。また、走査速度が変化し、目標の速度よりも大きくなる場合もあり得る。この場合、複数のプラズマバブル5が過度に離間して切断品質が低下する可能性がある。
走査ユニット30によって走査される集光位置に応じて収差が変動し、プラズマバブル5に影響を与える場合もある。例えば、XY走査部40によってXY方向に走査されたパルスレーザ光の光束の中心が、レンズ等の各光学素子の中心を通る光軸L1から遠ざかる程、走査ユニット30において生じる像面湾曲、非点収差等が増大する場合がある。集光位置がZ方向に走査されると、球面収差、色収差等が変動する場合もある。また、患者眼Eのうち、パルスレーザ光を集光させる位置が変化すると、患者眼Eの組織に起因する収差が変動する場合もある。収差が変動すると、パルスレーザ光の集光の状態が変化する。その結果、集光位置またはその近傍で生じるプラズマバブル5(例えば、プラズマバブル5の大きさ)が変化する場合がある。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーが、走査ユニット30の動作に応じて調整されるように、手術用の制御データを作成する。作成した制御データに従って、レーザ光源10、走査ユニット30、および調整素子80等を制御することで、走査ユニット30の動作に応じてエネルギーを調整する。詳細には、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、集光位置の走査速度、および、集光位置に応じて生じる収差の影響の少なくともいずれかに応じてエネルギーを調整する。その結果、手術の品質の低下が効率よく抑制される。
<処理>
図3を参照して、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1が実行する制御データ作成処理について説明する。制御データは、制御ユニット76による手術中の制御内容を決定するためのデータである。なお、制御データのうち、走査ユニット30を制御するためのデータは患者眼Eの断層画像等によって作成されるが、この説明は省略する。図3に示す処理は、走査ユニット30を制御するためのデータが既に作成された後の処理である。図3に示す制御データ作成処理は、制御データを作成する指示が操作部71等を介して入力された場合に、制御ユニット76のCPU77によって実行される。CPU77は、ROM78または不揮発性メモリに記憶された眼科手術制御データ作成プログラムに従って、図3に示す処理を実行する。
まず、集光位置特定カウンタNの値が「0」に初期化される(S1)。一例として、本実施形態の制御データでは、それぞれの集光位置に対して、パルスレーザ光のエネルギーを調整するためのデータ等が対応付けられる。集光位置特定カウンタNは、複数の集光位置の各々を特定するために用いられる。次いで、集光位置特定カウンタNの値に「1」が加算される(S2)。
N番目の集光位置におけるパルスレーザ光の走査速度が、走査ユニット30を制御するためのデータから取得される(S3)。例えば、XY平面上でスパイラルスキャンを行う場合、CPU77は、集光位置のXY方向(二次元方向)の走査速度を取得すればよい。三次元上で集光位置を走査させる場合には、Z走査部34およびXY走査部40による三次元上の走査の速度を取得すればよい。なお、CPU77は、実際の集光位置の走査速度を取得する代わりに、Z走査部34およびXY走査部40の駆動速度を取得してもよい。
次いで、N番目の集光位置にパルスレーザ光を集光させる際の収差の影響を示す情報が取得される(S4)。本実施形態では、走査ユニット30および患者眼Eによって生じる収差の大きさを示す概算値を、それぞれの集光位置に応じて算出するためのアルゴリズムがプログラムされている。収差の大きさの概算値は、種々のパラメータで表すことができる。例えば、二乗平均平方根(RMS)波面誤差、ストレール比、集光位置(レーザスポット)の径等の1つまたは複数を用いて収差の概算値を表現できる。一例として、本実施形態では、集光位置のZ座標(z)、Z軸からの距離(r)、およびアジマス角(φ)によって、集光位置に対応するRMSの概算値を算出する関数「RMS=f(z,r,φ)」が使用される。つまり、S4では、RMSの概算値を算出するためのアルゴリズム(関数)が使用されることで、収差の影響を示す情報が取得される。
次いで、N番目の集光位置に集光させるパルスレーザ光のエネルギーが、S3およびS4で取得された情報に応じて決定される。これにより、N番目の集光位置におけるエネルギーを調整するための制御データが作成される(S5)。本実施形態では、パルスレーザ光の走査速度(集光位置の走査速度)が遅い程、集光させるパルスレーザ光のエネルギーが小さくなるように、エネルギーが調整される。その結果、プラズマバブル5の過度な接近および離間が抑制される。また、本実施形態では、N番目の集光位置における収差の影響を考慮して、望ましい大きさのプラズマバブル5が発生するように、パルスレーザ光のエネルギーが調整される。
詳細には、本実施形態では、算出された収差の概算値と、集光されるパルスレーザ光のエネルギーと、その集光位置で生じるプラズマバブル5の大きさの概算値とを規定するアルゴリズム(以下、「エネルギー決定アルゴリズム」という)がプログラムされている。つまり、このエネルギー決定アルゴリズムは、集光されるパルスレーザ光のエネルギーと、組織に生じるプラズマバブル5の大きさとの関係を規定する。また、このエネルギー決定アルゴリズムは、集光位置に応じて生じる収差がプラズマバブル5の大きさに与える影響を規定する。一例として、本実施形態では、N番目の集光位置における望ましいプラズマバブル5の大きさ(B)と、その集光位置におけるRMSの概算値によって、その集光位置に集光させるパルスレーザ光のエネルギー(E)を算出する関数「E=f(B,RMS)」が使用される。望ましいプラズマバブル5の大きさは、その集光位置における走査速度(v)の関数「B=f(v)」によって算出される。このエネルギー決定アルゴリズムによって決定されるエネルギーは、走査速度に応じた大きさのプラズマバブル5を発生させるエネルギーとなる。また、CPU77は、前述したエネルギー決定アルゴリズムを用いることで、目的の大きさのプラズマバブル5を発生させるためのエネルギーを、収差の影響を踏まえて決定することができる。
なお、パルスレーザ光のエネルギーを決定するための方法を変更することも可能である。例えば、開発者は、複数の異なるエネルギーでサンプル物質(一例として、PMMA、水、動物眼等)にパルスレーザ光を集光させて、その結果生じたプラズマバブル5の大きさを断層画像等によって測定する。測定した結果を用いて、パルスレーザ光のエネルギーと、集光位置において生じるプラズマバブル5の大きさとを対応付けるテーブルデータを予め作成し、ROM78等に記憶させる。この場合でも、CPU77は、予め作成されたテーブルデータを参照することで、目的の大きさのプラズマバブル5を発生させるためのエネルギーを適切に決定することができる。また、この場合、テーブルデータには、集光位置に応じて生じ得る収差がプラズマバブル5に与える影響も反映されている。従って、CPU77は、テーブルデータを参照することで、収差の影響を踏まえてエネルギーを決定することができる。また、CPU77は、走査ユニット30の動作(詳細には、走査速度、および、走査される集光位置に応じて変動し得る収差の影響)の情報に加えて、他の情報も考慮してエネルギーを調整してもよい。例えば、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、白内障等の影響による患者眼Eの混濁の程度も併せて考慮して、エネルギー(E)を算出することもできる。従って、より患者眼Eに適した処置を行うことができる。また、CPU77は、患者眼Eの複数の組織(例えば、角膜上皮と角膜皮質)を一連の動作で処置する場合に、パルスレーザ光を集光させる組織の違いも考慮してエネルギーを調整してもよい。
また、収差の影響を考慮したアルゴリズムまたはテーブルデータの作成方法も、適宜選択できる。例えば、開発者は、波面センサ、ビームプロファイラ等を用いて、それぞれの集光位置にパルスレーザ光を集光させる際の収差を測定し、測定結果を用いてアルゴリズムまたはテーブルデータを作成してもよい。
次いで、N番目にパルスレーザ光を集光させる集光位置(目標位置)が、S5で決定されたパルスレーザ光のエネルギーに応じて補正される(S6)。図4を参照して、パルスレーザ光のエネルギーに応じて集光位置が変化する理由について説明する。図4に示す2つの例では、集光されるパルスレーザ光のエネルギーのみが互いに異なり、その他のパラメータ(例えば、開口数NA、集光位置等)は同一である。図4の左側の例では、多光子吸収が集光位置(レーザスポット)82において発生し、プラズマバブル5Aが生じている。これに対し、図4の右側の例では、左側の例に比べて強いエネルギーでレーザパルスが照射されている。その結果、レーザパルスのフルエンス(単位面積あたりのエネルギー量)は、組織によってレーザパルスが吸収されない場合の集光位置82よりも光路(光束)の上流側で、多光子吸収が発生するための閾値を超えている。つまり、図4の右側の例では、集光位置82よりも光路の上流側で多光子吸収が生じている。また、図4に示す例では、パルスレーザ光の光束は、光軸(Z方向)と平行に延びる。よって、図4の右側の例で発生するプラズマバブル5Bの位置は、左側の例で発生するプラズマバブル5Aの位置に比べて、パルスレーザ光の光路と平行な方向(Z方向)において、距離dだけ上流側にずれている。以上のように、多光子吸収が生じる位置が、エネルギーの大きさに応じて変化することで、プラズマバブル5の位置が変化する場合がある。
本実施形態では、CPU77は、エネルギーの大きさに起因したプラズマバブル5の位置の変動を考慮して、パルスレーザ光の集光位置を少なくともZ方向に補正し、制御データを作成する(S6)。つまり、対物レンズ53から出射されるパルスレーザ光が光軸L1と平行に延びる場合、CPU77は、集光位置をZ方向に補正する。対物レンズ53から出射されるパルスレーザ光の光束の方向が、光軸L1に対して平行でない場合、CPU77は、X,Y,Zそれぞれの方向において集光位置を補正する。その結果、目的とする位置にプラズマバブル5が発生する。例えば、CPU77は、湾曲した面が切断されるようにスパイラルスキャンを実行する場合、切断しようとする湾曲面上にプラズマバブル5が発生するように集光位置を補正する。
次いで、全ての集光位置に対する処理が終了したか否かが判断される(S7)。全ての集光位置に対する処理が終了していなければ(S7:NO)、処理はS2へ戻り、次の集光位置に対する処理が実行される(S2〜S6)。全ての集光位置に対する処理が終了すると(S7:YES)、制御データ作成処理は終了する。
図5を参照して、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1によるプラズマバブル5の形成状態の一例について説明する。図5は、制御データ作成処理(図3参照)によって作成された制御データに従って眼科用レーザ手術装置1がスパイラルスキャンを行った結果の一例を示す。図5に示す例では、集光位置が螺旋の中心部分に近づく程、集光位置の走査速度が低下している。従って、螺旋の中心部分に近づく程、隣接する2つのプラズマバブル5の中心間距離が短くなっている。しかし、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査速度が遅い程、集光されるパルスレーザ光のエネルギーが小さくなるように、調整素子80を駆動する。パルスレーザ光のエネルギーが小さくなると、組織に生じるプラズマバブル5の大きさが小さくなる。従って、図5に示すように、複数のプラズマバブル5の過度な接近、過度な重複、および過度な離間が抑制されて、均一な切断面が形成され易くなる。
なお、本実施形態では、図5に示すように、ベルヌーイの螺旋に沿って集光位置がスキャンされるように制御データが作成されている。ベルヌーイの螺旋では、中心に近づく程螺旋の間隔が短くなる。さらに、前述したように、本実施形態では、螺旋の中心に近づく程プラズマバブル5の大きさが小さくなる。従って、本実施形態では、螺旋の間隔が均等である場合に比べて、複数のプラズマバブル5による切開面の状態がより均一になる。以上のように、眼科用レーザ手術装置1は、集光させるパルスレーザ光のエネルギーを小さくする程(つまり、発生させるプラズマバブル5の大きさが小さくなる程)、集光位置の走査経路の間隔が短くなるように、集光位置の走査経路を設定するのが望ましい。また、眼科用レーザ手術装置1は、一連の処置を行う過程で動的にエネルギーを調整する。つまり、エネルギーを調整する毎に処置を中断する必要は無い。
以上説明したように、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、少なくとも走査ユニット30の動作に応じて、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整する。パルスレーザ光のエネルギーが調整されると、それぞれの集光位置において生じるプラズマバブル5の大きさが変化し得る。従って、眼科用レーザ手術装置1は、隣接するプラズマバブル5の中心間の間隔、および、プラズマバブル5の大きさの少なくとも一方が、走査ユニット30の動作に起因して変化する場合でも、手術の品質が低下することを効率よく抑制することができる。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、少なくとも走査速度に応じてパルスレーザ光のエネルギーを調整する。従って、例えば、走査速度が低下してプラズマバブル5の中心間の間隔が小さくなる場合でも、複数のプラズマバブル5が適切に組織に配置される。
例えば、走査速度が低下した場合に、レーザ光源10のパルス繰り返し周波数を低下させることで、隣接するプラズマバブル5の中心間の間隔を維持することも考えられる。しかし、この場合、眼科用レーザ手術装置1は、繰り返し周波数を円滑に変化させるための構成(例えば、繰り返し周波数の変化に起因してレーザ光源10の増幅器で生じる分散の影響を抑制するための構成等)を備える必要がある。これに対し、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、構成を複雑化しなくても、手術の品質が低下することを効率よく抑制することができる。
また、レーザ光源10から一定の繰り返し周波数で出射される複数のレーザパルスを、組織に光破壊を生じさせるレーザパルスと、組織に光破壊を生じさせないレーザパルスとに選択的に振り分ける(例えば、パルスピッキングを行う)ことで、実質的な繰り返し周波数を変更することも考えられる。しかし、この場合、実質的な繰り返し周波数を細かく調整することは困難である。これに対し、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、集光されるパルスレーザ光のエネルギーを細かく調整することができる。よって、手術の品質が低下することを容易に抑制することができる。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査速度が遅い程、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーが小さくなるように、エネルギーを調整する。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、走査速度の低下によって、隣接するプラズマバブル5の中心間の間隔が短くなっても、プラズマバブル5の過度な接近(例えば過度な重複)を抑制することができる。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光のエネルギーを調整する際に、パルスレーザ光のエネルギーとプラズマバブル5の大きさとの関係を規定するデータまたはアルゴリズムを用いる。その結果、より適切にプラズマバブル5が配置され、手術の品質がさらに向上する。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、収差がプラズマバブル5に与える影響を取得するためのアルゴリズムを使用する。アルゴリズムによって取得した情報を用いて、パルスレーザ光のエネルギーを調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、収差の影響を踏まえてプラズマバブル5を配置することができる。
パルスレーザ光のエネルギーを増加させると、増加させる前に比べてレーザ光源10に近い位置で多光子吸収が生じる場合が有り得る。この場合、プラズマバブル5が生じる位置も、エネルギーを増加させる前に比べて、パルスレーザ光の光束に沿う方向において、レーザ光源10に近い位置にずれる。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光のエネルギーに応じて、少なくとも光軸に沿う方向に集光位置を補正する。その結果、プラズマバブル5がより適切な位置に配置される。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、レーザ光源10によって出射されたパルスレーザ光の透過率および反射率の少なくともいずれかを調整することで、組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光のエネルギーを容易に調整することができる。
上記実施形態で開示された内容は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で開示された内容を変更することも可能である。まず、上記実施形態では、プラズマバブル5を発生させることで組織を処置する場合を例示した。しかし、上記実施形態で例示した技術は、プラズマバブル5を発生させずに組織の切断等を行う場合にも適用できる。つまり、眼科用レーザ手術装置1は、それぞれの集光位置において組織に生じる部分的な切断の領域が適切に配置されるように、上記実施形態で例示した技術の少なくとも一部を採用できる。本実施形態で例示した技術を、患者眼E以外の処置を行う場合に適用することも可能である。
上記実施形態で例示した技術を他の技術と組み合わせて用いることも可能である。例えば、レーザ光源10におけるパルスレーザ光の繰り返し周波数を変化させる技術を、上記実施形態で例示した技術と組み合わせてもよい。パルスピッキングによって実質的な繰り返し周波数を変更する技術を、上記実施形態で例示した技術と組み合わせてもよい。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光の光路L1に設けられた調整素子80を駆動することで、集光位置に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整する。しかし、集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整する方法は変更できる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、レーザ光源10自体の出力を調整することで、集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、組織に照射されるレーザパルスのパルス幅を伸張または圧縮することで、レーザパルスのピークエネルギーを調整し、部分的な切断領域の大きさを変化させてもよい。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査ユニット30の動作に応じてエネルギーが調整されるように予め制御データを作成し、作成した制御データに従って処置を行う。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、実際にパルスレーザ光による処置を行いながら、走査ユニット30の動作の情報を取得し、処置と並行してエネルギーを調整してもよい。
上記実施形態では、眼科用レーザ手術装置1が患者眼Eの処置を行うための制御データを、眼科用レーザ手術装置1が自ら作成する。しかし、眼科用レーザ手術装置1以外のデバイスが制御データを作成してもよい。例えば、パーソナルコンピュータのコントローラが、眼科手術制御データ作成プログラムを実行して制御データを作成してもよい。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、パーソナルコンピュータから制御データを取得し、取得した制御データに従って処置を実行すればよい。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査ユニット30による集光位置の走査速度と、走査ユニット30による走査に応じて生じ得る収差の影響とに応じて、パルスレーザ光のエネルギーを調整する。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、走査速度および収差の影響の一方に応じてエネルギーを調整することも可能である。例えば、収差の影響が小さい場合に、走査速度のみに応じてエネルギーを調整してもよい。
1 眼科用レーザ手術装置
5 プラズマバブル
10 レーザ光源
30 走査ユニット
34 Z走査部
40 XY走査部
53 対物レンズ
76 制御ユニット
77 CPU
80 調整素子
82 集光位置

Claims (8)

  1. パルスレーザ光を患者眼の組織に集光させることで前記患者眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、
    パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を前記組織において集光させる対物レンズと、
    前記対物レンズによって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査する走査手段と、
    少なくとも前記走査手段の動作に応じて、前記組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整するエネルギー調整手段と
    を備えたことを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  2. 請求項1に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記エネルギー調整手段は、
    少なくとも前記走査手段による集光位置の走査速度に応じて、前記組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  3. 請求項2に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記エネルギー調整手段は、
    前記走査速度が遅い程、前記組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーが小さくなるように、エネルギーを調整することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記エネルギー調整手段は、
    集光されるパルスレーザ光のエネルギーと、集光位置において組織に生じるプラズマバブルの大きさとの関係を規定するデータまたはアルゴリズムを用いて、少なくとも前記走査手段の動作に応じたエネルギーの調整を実行することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  5. 請求項1から4に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記エネルギー調整手段は、前記走査手段によって制御される集光位置に応じて生じ得る収差がプラズマバブルに与える影響を取得するアルゴリズムを使用し、前記アルゴリズムによって取得した情報を用いてパルスレーザ光のエネルギーを調整することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記エネルギー調整手段によって調整されるパルスレーザ光のエネルギーに応じて、前記走査手段によって制御されるパルスレーザ光の集光位置を、少なくともパルスレーザ光の光軸に沿う方向に補正する補正手段をさらに備えたことを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    パルスレーザ光の光路に設けられ、前記レーザ光源によって出射されたパルスレーザ光の透過率および反射率の少なくともいずれかを調整する調整素子をさらに備え、
    前記エネルギー調整手段は、前記調整素子を駆動することで、前記組織に集光されるパルスレーザ光のエネルギーを調整することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  8. パルスレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたパルスレーザ光を患者眼の組織において集光させる対物レンズと、
    前記対物レンズによって集光されるパルスレーザ光の集光位置を走査する走査手段と
    を備えた眼科用レーザ手術装置を制御するための制御データを作成する装置によって実行される眼科手術制御データ作成プログラムであって、
    前記装置のプロセッサによって実行されることで、
    前記組織に集光させるパルスレーザ光のエネルギーを、少なくとも前記走査手段の動作に応じて前記眼科用レーザ手術装置に調整させる制御データを作成する作成ステップ
    を前記装置に実行させることを特徴とする眼科手術制御データ作成プログラム。
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