JP2019041999A - 眼科用レーザ装置およびインターフェース - Google Patents
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Abstract
【課題】処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光を患者眼に向けて照射するための眼科用レーザ装置およびインターフェースを提供する。【解決手段】眼科用レーザ装置は、レーザ光源、対物レンズ20、インターフェース50、インターフェース装着部60、および制御部を備える。レーザ光源はレーザ光を出射する。対物レンズ20は、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光させる。インターフェース50は、対物レンズ20と患者眼Eの間に配置されると共に、患者眼Eから離間した位置にインターフェースレンズ55を保持する。インターフェース装着部60はインターフェース50を装着する。制御部は、複数の照射モードの選択指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替える。インターフェース装着部60は、複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類のインターフェース50を装着する。【選択図】図2
Description
本開示は、眼科用レーザ装置、および、眼科用レーザ装置において使用されるインターフェースに関する。
従来、対物レンズと患者眼の間に配置されるインターフェースを介して、レーザ光を患者眼の眼内に集光させる眼科用レーザ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の眼科用レーザ手術装置におけるインターフェース装着部は、液浸インターフェースと圧平インターフェースを選択的に装着することができる。液浸インターフェースは、患者眼の水晶体を破砕する手術(以下、「水晶体手術」という)を行う際に用いられる。圧平インターフェースは、患者眼の角膜を処置して屈折率を矯正するレーシックを行う際に用いられる。液浸インターフェースは、眼から離間した位置でレンズを保持する非圧平インターフェースの一種である。圧平インターフェースは、コンタクトレンズを眼の表面に接触させることで、眼の角膜を圧平する。
レーザ光による水晶体手術では、レーシックを行う場合とは異なり、レーザ光の開口数NAを大きくしなくても水晶体を破砕することが可能である。従って、特許文献1に記載の眼科用レーザ手術装置では、レーシックを行う場合に開口数NAが大きくなるように、インターフェース等の光学系が設計されればよい。しかし、角膜よりも患者眼の奥側に、大きい開口数NAでレーザ光を集光させることが必要な場合等もある。この場合、非圧平インターフェースと圧平インターフェースを切り替えて使用するだけでは、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光を照射することは困難である。
本開示の典型的な目的は、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光を患者眼に向けて照射するための眼科用レーザ装置およびインターフェースを提供することである。
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科用レーザ装置は、レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、前記患者眼の手術、および、前記眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う眼科用レーザ装置であって、前記レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を集光させる対物レンズと、前記レーザ光の光路のうち前記対物レンズと前記患者眼の間の固定位置に配置されると共に、前記眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持するインターフェースと、前記インターフェースを装着することで、前記インターフェースを前記固定位置に固定するインターフェース装着部と、前記眼科用レーザ装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替えることが可能であり、前記インターフェース装着部は、前記複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類の前記インターフェースを装着する。
本開示における典型的な実施形態が提供するインターフェースは、レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、前記患者眼の手術、および、前記眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う眼科用レーザ装置において使用されるインターフェースであって、前記眼科用レーザ装置は、前記レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を集光させる対物レンズと、前記インターフェースを装着するインターフェース装着部と、前記処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替える制御部と、を備え、前記インターフェースは、前記インターフェース装着部に装着されることで、前記レーザ光の光路のうち前記対物レンズと前記患者眼の間に配置されると共に、前記眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持し、前記複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類の前記インターフェースが設けられている。
本開示における眼科用レーザ装置およびインターフェースによると、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光が患者眼に向けて照射される。
<概要>
本開示で例示する眼科用レーザ装置は、レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、患者眼の手術、および、眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う。本開示で例示する眼科用レーザ装置は、レーザ光源、対物レンズ、インターフェース、インターフェース装着部、および制御部を備える。レーザ光源はレーザ光を出射する。対物レンズは、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光させる。インターフェースは、レーザ光の光路のうち対物レンズと患者眼の間の固定位置に配置されると共に、眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持する。インターフェース装着部は、インターフェースを装着することで、インターフェースを固定位置に固定する。制御部は、眼科用レーザ装置の動作を制御する。制御部は、処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替えることが可能である。インターフェース装着部は、複数の照射モードに応じて設計された複数種類のインターフェースを装着する。
本開示で例示する眼科用レーザ装置は、レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、患者眼の手術、および、眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う。本開示で例示する眼科用レーザ装置は、レーザ光源、対物レンズ、インターフェース、インターフェース装着部、および制御部を備える。レーザ光源はレーザ光を出射する。対物レンズは、レーザ光源から出射されたレーザ光を集光させる。インターフェースは、レーザ光の光路のうち対物レンズと患者眼の間の固定位置に配置されると共に、眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持する。インターフェース装着部は、インターフェースを装着することで、インターフェースを固定位置に固定する。制御部は、眼科用レーザ装置の動作を制御する。制御部は、処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替えることが可能である。インターフェース装着部は、複数の照射モードに応じて設計された複数種類のインターフェースを装着する。
この場合、複数種類のインターフェースのうち、照射モードに応じた適切なインターフェースがインターフェース装着部に装着されることで、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光が照射される。従って、本開示の眼科用レーザ装置によると、大きい開口数NAでレーザ光を照射することが必要な複数の処置であっても適切に実行される。
複数種類のインターフェースは、インターフェースレンズの厚み、および、インターフェース装着部に装着された際の対物レンズからインターフェースレンズまでの空気間距離の少なくともいずれかが互いに異なるように設計されていてもよい。この場合、レーザ光を集光させる眼内の位置等に応じて、インターフェースレンズの厚みおよび空気間距離の少なくともいずれかが設計されることで、複数の処理が適切に実行される。
複数の照射モードには、IOLチューニングモードとICLチューニングモードが含まれていてもよい。IOLチューニングモードは、水晶体が除去された患者眼の眼内に挿入されている眼内レンズ(IOL(Intraocular Lens)と言われる場合もある)の屈折率を調整する照射モードである。ICLチューニングモードは、角膜と水晶体の間に挿入されている有水晶体後房レンズ(ICL(Implantable Collamer Lens)、またはフェイキックIOLと言われる場合もある)の屈折率を調整する照射モードである。ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースは、IOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースに比べて、インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たしていてもよい。
ICLチューニングモードにおいてレーザ光を集光させる眼内の位置は、IOLチューニングモードにおいてレーザ光を集光させる眼内の位置よりも角膜側(レーザ光の光路の上流側)となる。従って、前述した2つの条件の少なくともいずれかを満たすインターフェースが使用されることで、ICLチューニングモードの処置と、IOLチューニングモードの処置が、共に適切に行われる。
複数の照射モードには、老視矯正モードと角膜ポート作成モードが含まれていてもよい。老視矯正モードは、患者眼の水晶体を処置することで、患者眼の老視を矯正する照射モードである。角膜ポート作成モードは、患者眼の角膜を処置することで、患者眼の眼内に手術器具を挿入するための創口を角膜に作成する照射モードである。角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェースは、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースに比べて、インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たしていてもよい。
角膜ポート作成モードにおいてレーザ光を集光させる角膜は、老視矯正モードにおいてレーザ光を集光させる水晶体よりも光路の上流側となる。従って、前述した2つの条件の少なくともいずれかを満たすインターフェースが使用されることで、角膜ポート作成モードの処置と、老視矯正モードの処置が、共に適切に行われる。
老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースは、IOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースに比べて、インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たしていてもよい。IOLは、除去される前の水晶体の中心よりも奥側(つまり、レーザ光の光路の下流側)に位置する。従って、前述した2つの条件の少なくともいずれかを満たすインターフェースが使用されることで、老視矯正モードの処置と、IOLチューニングモードの処置が、共に適切に行われる。
なお、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースは、ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースに比べて、インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たしていてもよい。また、角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェースは、ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェース、およびIOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースに比べて、インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たしていてもよい。これらの場合、複数の照射モードの処置の各々が適切に行われる。
制御部は、選択された照射モードに対応するインターフェースとは異なるインターフェースが処置中に使用されることを禁止してもよい。この場合、選択された照射モードに対応しないインターフェースが誤って使用される可能性が、適切に低下する。
なお、選択された照射モードに対応しないインターフェースの使用を禁止するための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、インターフェース装着部に装着されたインターフェースの種類を識別してもよい。制御部は、装着されたインターフェースが、選択された照射モードに対応しないインターフェースであった場合に、レーザ光の照射を禁止する処理、および、ユーザにエラーを通知する処理等の少なくともいずれかを実行することで、対応しないインターフェースの使用を禁止してもよい。
なお、装着されたインターフェースの種類を識別する方法も、適宜選択できる。例えば、インターフェースが内部に封入されているパック、またはインターフェース本体等に、識別子(例えばバーコード、ICチップ等)が予め付されていてもよい。制御部は、識別子を読み取ることで、装着されたインターフェースの種類を識別してもよい。また、眼科用レーザ装置は、インターフェース装着部等にセンサを備えていてもよい。センサの方式には、機械式、光学式、磁気式等の種々の方式を採用できる。制御部は、インターフェース装着部に装着されたインターフェースの種類を、センサから入力される信号に基づいて識別してもよい。
また、眼科用レーザ装置は、インターフェース装着部の構造を変更する構造変更部を備えていてもよい。制御部は、選択された照射モードに対応するインターフェースのみがインターフェース装着部に取り付けられるように、選択された照射モードに応じて構造変更部を駆動させてもよい。
眼科用レーザ装置は、レーザ光の集光位置を走査させる走査部を、レーザ光の光路中に備えていてもよい。制御部は、レーザ光を集光させる位置に応じて走査部の駆動量を算出するためのテーブルまたは式を、選択された照射モードに対応するテーブルまたは式に切り替えてもよい。この場合、照射モードに応じたインターフェースによってレーザ光の集光状態が適切となることに加え、インターフェースが異なることによる走査部の駆動量の変化の影響が、照射モードに対応するテーブルまたは式によって低減される。よって、より適切にレーザ光が集光される。
本開示で例示するインターフェースは、眼科用レーザ装置のインターフェース装着部に装着されることで、レーザ光の光路のうち対物レンズと患者眼の間に配置される。インターフェースは、眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持する。本開示では、複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類のインターフェースが設けられている。この場合、複数種類のインターフェースのうち、照射モードに応じた適切なインターフェースがインターフェース装着部に装着されることで、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光が照射される。従って、本開示のインターフェースによると、大きい開口数NAでレーザ光を照射することが必要な複数の処置であっても適切に実行される。
なお、前述したように、複数種類のインターフェースは、インターフェースレンズの厚み、および、インターフェース装着部に装着された際の対物レンズからインターフェースレンズまでの空気間距離の少なくともいずれかが互いに異なるように設計されていてもよい。
また、前述したように、複数種類のインターフェースには、IOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースと、ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースが含まれていてもよい。複数種類のインターフェースには、角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェースと、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースが含まれていてもよい。複数種類のインターフェースには、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースと、IOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースが含まれていてもよい。複数種類のインターフェースには、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェースと、ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースが含まれていてもよい。また、複数種類のインターフェースには、角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェースと、ICLチューニングモードまたはIOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェースが含まれていてもよい。これらの場合のそれぞれのインターフェースは、前述した条件に従って設計されていてもよい。
なお、本開示では、眼から離間した位置にインターフェースレンズが保持される非圧平インターフェース(例えば、インターフェースレンズと眼の間に液体が充填される液浸インターフェース等)が複数種類使用される場合について主に例示する。しかし、本開示で例示する技術の少なくとも一部は、複数種類の非圧平インターフェースが使用されない場合等でも適用することが可能である。例えば、眼科用レーザ装置は、非圧平インターフェースと圧平インターフェースの各々、または、複数種類の圧平インターフェースの各々をインターフェース装着部に装着可能な場合に、選択された照射モードに対応しないインターフェースが使用されることを禁止してもよい。
この場合、眼科用レーザ装置は以下のように表現することも可能である。レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、前記患者眼の手術、および、前記眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う眼科用レーザ装置であって、前記レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を集光させる対物レンズと、前記レーザ光の光路のうち前記対物レンズと前記患者眼の間の固定位置に配置されるインターフェースと、前記インターフェースを装着することで、前記インターフェースを前記固定位置に固定するインターフェース装着部と、前記眼科用レーザ装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替えることが可能であり、前記インターフェース装着部は、前記複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類の前記インターフェースを装着し、前記制御部は、選択された照射モードに対応するインターフェースとは異なるインターフェースが処置中に使用されることを禁止することを特徴とする眼科用レーザ装置。
<実施形態>
以下、本開示における典型的な実施形態について説明する。本実施形態では、患者眼Eの手術、および、患者眼Eの眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処理を行うことが可能な眼科用レーザ装置1を例示する。なお、患者眼Eの手術とは、例えば、患者眼Eの組織の切断、破砕等を行うことを示す。また、レーザ光によって透光体(例えば、本実施形態ではICLおよびIOL)の屈折率を調整する技術は、フォトチューニングと言われる場合もある。フォトチューニングの手法としては、例えば、疎水性材料の親水性を変化させて屈折率を調整する手法、ハイドロゲル材料の親水性を変化させて屈折率を調整する手法等が知られている。本開示で例示する技術は、フォトチューニングの種々の手法に適用できる。フォトチューニングは、透光体が配置された患者眼の近視、遠視、乱視、高次収差、色収差等を矯正するために用いられてもよい。また、フォトチューニングによって多焦点性の調整が行われてもよいし、1つまたは複数のレンズが透光体の内部に作成されてもよい。
以下、本開示における典型的な実施形態について説明する。本実施形態では、患者眼Eの手術、および、患者眼Eの眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処理を行うことが可能な眼科用レーザ装置1を例示する。なお、患者眼Eの手術とは、例えば、患者眼Eの組織の切断、破砕等を行うことを示す。また、レーザ光によって透光体(例えば、本実施形態ではICLおよびIOL)の屈折率を調整する技術は、フォトチューニングと言われる場合もある。フォトチューニングの手法としては、例えば、疎水性材料の親水性を変化させて屈折率を調整する手法、ハイドロゲル材料の親水性を変化させて屈折率を調整する手法等が知られている。本開示で例示する技術は、フォトチューニングの種々の手法に適用できる。フォトチューニングは、透光体が配置された患者眼の近視、遠視、乱視、高次収差、色収差等を矯正するために用いられてもよい。また、フォトチューニングによって多焦点性の調整が行われてもよいし、1つまたは複数のレンズが透光体の内部に作成されてもよい。
図1を参照して、本実施形態の眼科用レーザ装置1の全体構成について、レーザ光源2側(つまり、レーザ光の光路の上流側)から、患者眼E側(つまり、レーザ光の光路の下流側)に順に説明する。なお、図1および図2では、説明を簡略化するために、実際の光学素子(レンズおよびミラー等)の一部のみが図示されている。
レーザ光源2は、患者眼Eの組織または透光体を処置するためのレーザ光を出射する。本実施形態では、患者眼Eの手術が行われる場合、レーザ光源2から出射されたパルスレーザ光が組織内で集光されることで、集光位置(スポット)でプラズマが発生し、組織の切断、破砕等が行われる。以上の現象は、光破壊(photodisruption)と言われる場合もある。また、透光体の屈折率が調整される場合、レーザ光源2から出射されたパルスレーザ光は、手術の場合と同様に集光され、非線形効果によって透光体に屈折率の変化を生じさせる。なお、本実施形態のレーザ光源2には、フェムト秒からピコ秒オーダーの超短パルスレーザ光を出射するデバイスが使用されている。ただし、望まれる効果が得られる場合には、超短パルスレーザ光以外のレーザ光が用いられてもよい。
以下では、レーザ光源2によって出射されるレーザ光の光路に沿う方向をZ方向とする。Z方向に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向のうちの1つをX方向とする。Z方向およびX方向に共に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向をY方向とする。
レーザ光源2よりも光路の下流側には、レーザ特性変更部3が設けられている。レーザ特性変更部3は、レーザ光源2から出射されたレーザ光の特性を変更することで、組織の手術に適したレーザ光と、透光体の屈折率の調整に適したレーザ光を選択的に下流側へ出射する。レーザ特性変更部3は、レーザ光の波長および出力等の少なくともいずれかを変更することで、レーザ光の特性を変更する。一例として、本実施形態のレーザ特性変更部3は、波長変換光学素子を備え、波長変換光学素子を通過する第1の光路と、波長変換光学素子を通過しない第2の光路を切り替えることで、レーザ光の波長を変更する。ただし、レーザ特性変更部3の具体的な構成を変更することも可能である。例えば、波長変換光学素子が光路に対して挿脱されることで、レーザ光の波長が切り替えられてもよい。また、特性が異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源が、予め設けられていてもよい。
エイミング光源4は、レーザ光が照射される位置を示すエイミング光を出射する。本実施形態では、可視のレーザ光を出射する光源が、エイミング光源4として用いられる。なお、エイミング光源4は省略してもよい。
ダイクロイックミラー5は、レーザ光の光路に設けられている。ダイクロイックミラー5は、レーザ光源2から出射されるレーザ光と、エイミング光源4から出射されるエイミング光を合波する。
ズームエキスパンダ6は、レーザ光の光路のうち、レーザ光源2とXY走査部11(後述する)の間に設けられている。ズームエキスパンダ6は、レーザ光のビーム径を変更することができる。制御部30(後述する)は、ズームエキスパンダ6を駆動してレーザ光のビーム径を変更することで、対物レンズ20(後述する)から眼Eに向けて出射される手術用レーザ光の開口数NAを調整することができる。
高速Z走査部7は、レーザ光が集光されるスポットをZ方向に走査するZ走査部の一部である。本実施形態では、高速Z走査部7は、レーザ光の光路のうち、ズームエキスパンダ6とXY走査部11の間に設けられている。一例として、本実施形態の高速Z走査部7は、負の屈折力を有する移動光学素子8と、移動光学素子8を光軸に沿って移動させる高速Z走査駆動部9とを備える。例えば、高速Z走査駆動部9には、移動光学素子8を高速で移動させることが可能なガルバノモータ等を用いてもよい。移動光学素子8とXY走査部11の間には、レンズ10が設けられている。レンズ10は、高速Z走査部7を経たレーザ光をXY走査部11に導光させる。移動光学素子8が光軸方向に移動すると、眼Eにおけるレーザ光のスポットがZ方向に移動する。高速Z走査部7は、広範囲Z走査部18(後述する)に比べて高速でスポットをZ方向に走査することができる。
XY走査部11は、光軸に交差するXY方向にレーザ光を走査する。本実施形態のXY走査部11は、X偏向デバイス12およびY偏向デバイス13を備える。X偏向デバイス12は、レーザ光をX方向に走査する。Y偏向デバイス13は、X偏向デバイス12によってX方向に走査されたレーザ光を、さらにY方向に走査する。本実施形態では、X偏向デバイス12およびY偏向デバイス13には共にガルバノミラーが採用されている。しかし、光を走査する他のデバイス(例えば、ポリゴンミラー、音響光学素子等のスキャナ)を、X偏向デバイス12およびY偏向デバイス13の少なくともいずれかに採用してもよい。また、X偏向デバイス12およびY偏向デバイス13の少なくともいずれかが、複数のスキャナを備えていてもよい。
リレー部14は、XY走査部11と対物レンズ20の間に設けられている。リレー部14は、上流側リレー光学素子15と下流側リレー光学素子16によって、XY走査部11を経たレーザ光を対物レンズ20にリレーする。
広範囲Z走査部18は、スポットをZ方向に走査するZ走査部の一部である。一例として、本実施形態の広範囲Z走査部18は、XY走査部11と上流側リレー光学素子15とを含む光学ユニットを、広範囲Z走査駆動部19によって光軸に沿って移動させることで、上流側リレー光学素子15と対物レンズ20との間の光路長を変化させる。その結果、スポットがZ方向に走査される。広範囲Z走査部18は、高速Z走査部7に比べてスポットを広範囲にZ方向に走査させることができる。なお、広範囲Z走査部18の構成は適宜変更できる。例えば、眼科用レーザ装置1は、XY走査部11よりも下流側に位置する光学素子(例えば、上流側リレー光学素子15、下流側リレー光学素子16、および対物レンズ20)の少なくともいずれかを光軸方向に移動させることで、スポットをZ方向に走査してもよい。また、高速Z走査部7のみを用いてスポットをZ方向に走査することも可能である。
対物レンズ20は、リレー部14の下流側リレー光学素子16よりも、レーザ光の光路の下流側に配置されている。対物レンズ20を通過した手術用レーザ光は、インターフェース50を経て眼Eの組織に集光される。
インターフェース50は、対物レンズ20を通過する各種光(レーザ光、エイミング光、観察光、およびOCT光)の光路のうち、対物レンズ20と患者眼Eの間の固定位置に介在する。さらに、本実施形態のインターフェース90は、患者眼Eに結合される。換言すると、本実施形態のインターフェース50は、装置本体と患者眼Eを光学的且つ物理的に接続する(装置本体と患者眼Eの間の光の伝播を仲介する)。インターフェース50の詳細については、図2を参照して後述する。
ダイクロイックミラー(光軸合成部)22は、レーザ光の光路のうち、対物レンズ20と下流側リレー光学素子16の間に設けられている。ダイクロイックミラー22は、眼科用レーザ装置1と患者眼Eの間を伝播する各種光の光軸を同軸とする。本実施形態では、ダイクロイックミラー22は、レーザ光源2から出射されたレーザ光と、エイミング光源4から出射されたエイミング光の大部分を、対物レンズ20に向けて反射させる。また、ダイクロイックミラー22は、観察光およびOCT光(詳細は後述する)の大部分を透過させる。なお、観察光は、患者眼Eによって反射されて正面画像撮影部23に入射する反射光である。OCT光は、断面画像を撮影するために断面画像撮影部24から出射される光である。
正面画像撮影部23は、患者眼Eの画像を撮影する撮影部の一部である。正面画像撮影部23は、患者眼Eによって反射された反射光(観察光)を受光することで、患者眼Eの正面画像(本実施形態では、前眼部の正面画像)を撮影する。また、正面画像撮影部23は、装置本体に装着されたインターフェース50の少なくとも一部を撮影することも可能である。
断面画像撮影部24も、正面画像撮影部23と同様に、患者眼Eの画像を撮影する撮影部の一部である。断面画像撮影部24は、患者眼Eの断面画像を撮影することができる。また、断面画像撮影部24は、インターフェース50が備えるインターフェースレンズ55(詳細は、図2を参照して後述する)の断面画像を撮影することも可能である。一例として、本実施形態の断面画像撮影部24は、OCT光源、光分割器、参照光学系、走査部、および受光素子を備える。OCT光源は、断面画像を撮影するためのOCT光を出射する。光分割器は、OCT光源によって出射されたOCT光を、参照光と測定光に分割する。参照光は参照光学系に入射し、測定光は走査部に入射する。参照光学系は、測定光と参照光の光路長差を変更する構成を有する。走査部は、測定光を二次元方向(XY方向)に走査させる。検出器は、撮影対象によって反射された測定光と、参照光学系を経た参照光との干渉状態を検出する。測定光が走査され、反射測定光と参照光の干渉状態が検出されることで、撮影対象の深さ方向の情報が取得される。取得された深さ方向の情報に基づいて、撮影対象の断面画像が取得される。
断面画像撮影部24には種々の構成を用いることができる。例えば、SS−OCT、SD−OCT、TD−OCT等のいずれを断面画像撮影部24に採用してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、光干渉以外の技術(例えば、シャインプルーク等)を用いて、撮影対象の断面画像を撮影してもよい。
ダイクロイックミラー25は、正面画像撮影部23の撮影光軸と、断面画像撮影部24の撮影光軸を同軸とする。詳細には、本実施形態では、正面画像撮影部23に入射する反射光の大部分は、ダイクロイックミラー25を透過する。断面画像を撮影するためのOCT光の大部分は、ダイクロイックミラー25によって反射される。
制御部30は、CPU31、ROM32、RAM33、および不揮発性メモリ(図示せず)等を備える。CPU31は、眼科用レーザ装置1の各種制御(例えば、レーザ光源2の制御、エイミング光源4の制御、走査部7,11,18の動作制御、画像の撮影制御等)を司る。ROM32には、眼科用レーザ装置1の動作を制御するための各種プログラムが記憶されている。RAM33は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリは、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。各種プログラム等は、不揮発性メモリに記憶されていてもよい。
表示部34は、各種画像を表示することができる。操作部35は、ユーザ(例えば、術者、検者、補助者等)によって操作される。制御部30は、ユーザによる各種操作指示の入力を、操作部35を介して受け付ける。操作部35には、例えば、表示部34に設けられるタッチパネル、各種ボタン、キーボード、マウス等の各種デバイスを適宜採用すればよい。表示部34および操作部35は、眼科用レーザ3装置1の装置本体に組み込まれていてもよいし、装置本体に有線または無線によって接続された他のデバイスであってもよい。表示部34には、画像を表示する各種デバイス(例えば、モニタ、プロジェクタ等)を用いることができる。
また、図1では、眼科用レーザ装置1のコントローラとして1つの制御部30が用いられる場合を例示した。しかし、言うまでもないが、眼科用レーザ装置1は複数のコントローラによって制御されてもよい。例えば、眼科用レーザ装置1は、各種光学素子およびアクチュエータを備えた装置本体と、装置本体に接続されるパーソナルコンピュータとを備えていてもよい。この場合、例えば、パーソナルコンピュータのコントローラがレーザの照射制御データを作成し、作成された照射制御データに従って、装置本体のコントローラがアクチュエータの駆動を制御してもよい。また、表示部34の表示制御、撮影された画像の解析、各種パラメータの演算等が、パーソナルコンピュータのコントローラによって実行されてもよい。つまり、制御処理の全てが装置本体の1つのコントローラによって実行される必要は無い。
図2を参照して、インターフェース50を装着するインターフェース装着部60の構成について説明する。本実施形態の眼科用レーザ装置1の本体には、インターフェース装着部60が設けられている。インターフェース装着部60には、インターフェース50が着脱可能に装着される。インターフェース装着部50に装着されたインターフェース50は、対物レンズ20と患者眼Eの間の固定位置に固定される。本実施形態では、ユーザがインターフェース50の基部51をインターフェース装着部60の所定箇所に取り付けると、インターフェース50の基部51とインターフェース装着部60の間に空間61が形成される。ポンプ(図示せず)によって空間61に負圧を生じさせることで、インターフェース50がインターフェース装着部60に吸引固定される。圧力センサ(例えばロードセル)62は、インターフェース装着部60と本体の間に加わる荷重を検出する。制御部30のCPU31は、圧力センサ62の値によって、インターフェース50と患者眼Eの間に加わる荷重を検出することができる。従って、CPU31は、患者眼Eに対してインターフェース50が接触したか否かを、圧力センサ62を用いて検出することも可能である。本実施形態では、インターフェース装着部60にインターフェース50が装着された状態で、本体がZ方向に移動することで、インターフェース50が患者眼Eに結合される。
インターフェース装着部60のうち、インターフェース50の基部51と接触する部分には、構造変更部64が設けられている。構造変更部64は、アクチュエータ(図示せず)によって駆動することで、インターフェース装着部60の構造を複数種類の構造に変更する。詳細は後述するが、本実施形態では複数種類のインターフェース50がインターフェース装着部60に装着される。ここで、複数種類のインターフェース50の各々の基部51の構造は、構造変更部64によって変更されるインターフェース装着部60の複数種類の構造のいずれか1つにのみ嵌まるように設計されている。従って、CPU31は、構造変更部64を駆動させることで、インターフェース装着部60に装着させることが可能なインターフェース50の種類を1つに限定することができる。なお、構造変更部64およびインターフェース50の具体的な構成は適宜変更できる。例えば、インターフェース50には、種類に応じて形状が異なる穴および突起等の少なくともいずれかが設けられていてもよい。構造変更部64は、インターフェース50の種類に応じて、対応するインターフェース50の孔および突起等に嵌まる突起および孔等を形成するように、構造を変更してもよい。また、インターフェース50の基部51の断面形状(例えば、円形、楕円形、四角形、三角形等の形状)が、種類に応じて異なっていてもよい。構造変更部64は、対応するインターフェース50の基部の断面形状に応じて、円形、楕円形、四角形、三角形等のいずれかに形状を変更してもよい。
また、インターフェース装着部60には識別センサ65が設けられている。識別センサ65は、インターフェース装着部60に装着されたインターフェース50の種類を識別する。識別センサ65の方式には、例えば、機械式、光学式、磁気式等の種々の方式を採用できる。また、インターフェース50に付された識別子(例えば、バーコード、ICチップ等)を読み取る識別子リーダーが識別センサ65として使用されてもよい。識別センサ65が配置される位置も、種々の条件に応じて適宜決定されればよい。
次に、眼科用レーザ装置1が実行することが可能な複数の照射モードの一例について説明する。眼科用レーザ装置1では、複数の処置の各々に応じた複数の照射モードが設けられている。照射モードが変更されると、スポットを走査させる位置および走査の態様等が変更され、異なる処置が行われる。CPU31は、複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替える。CPU31は、選択された照射モードに従って、レーザ光の出射および走査等を実行する。
一例として、本実施形態の照射モードには、角膜ポート作成モード、老視矯正モード、ICLチューニングモード、およびIOLチューニングモードが含まれている。
角膜ポート作成モードでは、患者眼Eの角膜を処置することで、患者眼Eの眼内に手術器具を挿入するための創口が作成される。角膜ポート作成モードは、例えば、患者眼Eの水晶体を破砕して吸引する白内障手術等において用いられる。なお、レーザ光によって水晶体を破砕する場合、角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェース50をそのまま使用してレーザ光を水晶体に集光させることも可能である。従って、レーザ光によって水晶体を破砕する水晶体手術モードが設けられている場合、角膜ポート作成モードが水晶体手術モードに組み込まれていてもよい。
老視矯正モードでは、患者眼Eの水晶体にレーザ光を集光させることで、患者眼Eの老視が矯正される。レーザ光による老視矯正の具体的な方法には、例えば、水晶体の内部に切り込みを形成して水晶体の変形を容易にする方法、および、水晶体の組織の一部の屈折率を変化させて焦点深度を大きくする方法等が提案されている。本開示で例示する技術は、種々の老視矯正の方法に適用できる。
ICLチューニングモードでは、患者眼Eの角膜と水晶体の間(つまり、水晶体の前方)に挿入されている有水晶体後房レンズ(ICL(フェイキックIOLと言われる場合もある))にレーザ光を集光させることで、前述したフォトチューニングの原理によってICLの屈折率が調整される。
IOLチューニングモードでは、水晶体が除去された患者眼Eの眼内に挿入されている眼内レンズ(IOL)にレーザ光を集光させることで、前述したフォトチューニングの原理によってIOLの屈折率が調整される。
次に、複数種類の処置における収差の影響の変化について説明する。本実施形態で例示する複数の照射モードの各々では、レーザ光を集光させるスポットの径を小さくする必要があるので、レーザ光の開口数NAを大きくしなければならない。ここで、眼球自体が持つ収差(例えば、球面収差、非点収差、およびコマ収差)の量は、眼球の位置によって異なる。従って、光学系の構成を変更せずに、複数の照射モードの各々を実行しようとすると、開口数NAを大きくする分だけ収差の影響が大きくなるので、スポットの径を小さくすることが困難となる。
図3および図4を参照して、処置の種類に応じた収差の影響の変化の一例についてさらに説明する。図3は、老視矯正を実行する場合の眼球収差量変化の一例を示す。図4は、IOLの屈折率の調整(以下、「IOLチューニング」という)を実行する場合の眼球収差量変化の一例を示す。図3に示すように、老視矯正を行う場合、前嚢側から後嚢側へ移行すると、非点収差は増加し、球面収差は減少する。また、図4に示すように、IOLチューニングを行う場合にも、非点収差は増加し、球面収差は減少する。一方で、コマ収差は、老視矯正実行時(図3参照)には前嚢側から後嚢側へ移行すると増加するが、IOLチューニング実行時(図4参照)には前嚢側から後嚢側へ移行すると減少する。従って、老視矯正とIOLチューニングの各々における収差の影響を、同一の光学系で低下させることは困難である。
以上説明したように、眼科用レーザ装置1によって複数種類の処置を実行する場合、同一の光学系で収差の影響を低下させることは難しい。そこで、本実施形態では、複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類のインターフェース50が設けられている。処置の実行時には、実行する照射モードに対応するインターフェース50がインターフェース装着部60に装着される。その結果、処置の種類に応じた適切な状態でレーザ光が照射される。
図2を参照して、本実施形態におけるインターフェース50の概略構成について説明する。前述したように、インターフェース50は、装置本体と患者眼Eの間に延びる各種光の光路のうち、対物レンズ20と患者眼Eの間の固定位置に配置される。本実施形態では、実行される処置の種類に応じて、複数種類のインターフェース50が使い分けられる。詳細には、本実施形態では、複数種類の非圧平インターフェースが用いられる。非圧平インターフェースとは、インターフェースレンズ55が患者眼Eの角膜から離間した状態で使用されるインターフェース50である。従って、非圧平インターフェースが用いられる場合、患者眼Eの角膜は圧平されない。ただし、非圧平インターフェースと共に、患者眼Eの角膜に接触する圧平インターフェースも使い分けられてもよい。
本実施形態のインターフェース50は、基部51、マウント52、吸引路53、眼固定部54、およびインターフェースレンズ55を備える。前述したように、基部51は、インターフェース装着部60に装着される。
マウント52は、インターフェース50のベースとなる部材である。マウント52は、基部51に接続される。マウント52には、Z方向(図2における上下方向)に貫通する円形の孔が形成されている。各種光は、円形の孔の内側を伝播することができる。吸引路53は、マウント52に設けられており、後述する空間56とポンプ(図示せず)の間で気体を流通させる。
眼固定部(本実施形態ではサクションリング)54は、環状(本実施形態では円環状)の部材である。本実施形態の眼固定部54は、連続した円環状に形成されている。しかし、眼固定部54の形状は開環状であってもよい。複数の部材が環状に並べられることで、環状の眼固定部54が形成されていてもよい。眼固定部54は、マウント52に形成された円形の孔の下端を取り囲むように、マウント52の下部に設けられている。眼固定部54は、患者眼E(本実施形態では、患者眼Eの角膜または強膜)に結合することで、装置本体(詳細には、装置本体に設けられた対物レンズ20、および、レーザ光の光軸等)に対する患者眼Eの位置を固定する。本実施形態では、眼固定部54とマウント52は別部材である。眼固定部54は、はめ込み、溶接、接着剤による接着等によってマウント52に固定される。しかし、眼固定部54は、マウント52と一体に形成されていてもよい。また、眼固定部54は、マウント52に対し、吸引等によって着脱可能に装着されてもよい。眼固定部54が患者眼Eに接触すると、患者眼Eの表面と眼固定部54の間に、密閉された空間56が形成される。空間56内の気体が吸引路53を通じて排出されることで、眼固定部54が患者眼Eに吸引固定される。
インターフェースレンズ55は、レーザ光の光路のうち、眼固定部54よりも装置本体側(つまり、レーザ光の光路の上流側)に配置される。本実施形態のインターフェースレンズ55は、マウント52に形成された円形の孔の上部に、接着剤等によって固定される。しかし、インターフェースレンズ55とマウント52が一体的に固定されず別部材となっていてもよい。また、インターフェースレンズ55は、マウント52に対して吸引等によって着脱可能に装着されてもよい。
前述したように、本実施形態のインターフェース50は非圧平インターフェースである。本実施形態のインターフェース50が患者眼Eに接触すると、インターフェースレンズ55と患者眼Eの表面(角膜)の間に空間57が生じる。患者眼Eの透明組織(例えば角膜等)との間の屈折率差が空気よりも小さい物質(例えば、水または粘弾性物質等の液体、または、透光性を有する弾性体)が、空間57に配置される。その結果、インターフェースレンズ55と患者眼Eの間のうち、少なくともレーザ光が通過する部分が、液体等の物質によって満たされる。従って、患者眼Eの透明組織と空気の間の屈折率差の影響(例えば、収差の発生等)が抑制される。ただし、インターフェースレンズ55と患者眼Eの間の空間57が気体で満たされる非圧平インターフェースが用いられてもよい。
なお、図2に例示するインターフェース50では、インターフェースレンズ55の数は1つである。しかし、1つのインターフェース50に複数のインターフェースレンズ55が設けられていてもよい。例えば、本実施形態のように、照射モードに応じて複数の波長を切り替える場合等には、1つのインターフェース50に複数のインターフェースレンズ55を設けることで、波長の違いによる影響を低下させること等も可能である。
図2および図5を参照して、本実施形態の複数種類のインターフェース50の違いについて説明する。図2に示すように、インターフェースレンズ55の厚みをTとする。また、インターフェース50がインターフェース装着部60に装着された際の、対物レンズ20からインターフェースレンズ55までの空気間距離をDとする。本実施形態では、複数種類のインターフェース50は、インターフェースレンズ55の厚みT(以下、単に「レンズ厚みT」という場合がある)、および空気間距離Dの少なくともいずれかが互いに異なるように設計されている。その結果、照射モードに応じた適切な状態でレーザ光が照射される。なお、図2では、対物レンズ20として1つのレンズのみが図示されているが、対物レンズ20が複数のレンズによって構成されていてもよい。一例として、本実施形態の空気間距離Dは、対物レンズ20における最も下流側のレンズの下流側レンズ面と、インターフェースレンズ55の上流側レンズ面の、光軸上の距離として規定される。
ICLチューニングモードにおいて使用されるインターフェース50(ICLチューニング用IF)は、IOLチューニングモードにおいて使用されるインターフェース50(IOLチューニング用IF)に比べて、レンズ厚みTが大きい条件、および、空気間距離Dが長い条件の少なくともいずれかを満たす。ICLチューニングモードにおいてレーザ光を集光させる眼内の位置は、IOLチューニングモードにおいてレーザ光を集光させる眼内の位置よりも角膜に近い側となる。従って、上記の2つの条件の少なくともいずれかを満たす2種類のインターフェース50が使い分けられることで、ICLチューニングモードの処置と、IOLチューニングモードの処置が、共に適切に行われる。図5に示すように、本実施形態では、ICLチューニング用IFのレンズ厚みTと、IOLチューニング用IFのレンズ厚みTは同じであるが、空気間距離DはICLチューニング用IFの方が長くなるように設計されている。つまり、本実施形態では、上記の2つの条件のうちの一方のみが満たされている。しかし、上記の2つの条件が共に満たされていてもよいことは言うまでもない(以下でも同様である)。
角膜ポート作成モードにおいて使用されるインターフェース50(角膜ポート作成用IF)は、老視矯正モードにおいて使用されるインターフェース50(老視矯正用IF)に比べて、レンズ厚みTが大きい条件、および、空気間距離Dが長い条件の少なくともいずれかを満たす。角膜ポート作成モードにおいてレーザ光を集光させる角膜の位置は、老視矯正モードにおいてレーザ光を集光させる水晶体の位置よりも光路の上流側となる。従って、上記の2つの条件の少なくともいずれかを満たす2種類のインターフェース50が使い分けられることで、角膜ポート作成モードの処置と、老視矯正モードの処置が、共に適切に行われる。図5に示すように、本実施形態では、レンズ厚みTおよび空気間距離Dは、共に、角膜ポート作成用IFの方が老視矯正用IFよりも大きい。ただし、上記の2つの条件のうちの一方のみが満たされていてもよい(以下でも同様である)。
老視矯正用IFは、IOLチューニング用IFに比べて、レンズ厚みTが大きい条件、および、空気間距離Dが長い条件の少なくともいずれかを満たす。IOLは、除去される前の水晶体の中心よりも奥側(眼底に近い側)に位置する。従って、上記の2つの条件の少なくともいずれかを満たす2種類のインターフェース50が使い分けられることで、老視矯正モードの処置と、IOLチューニングモードの処置が、共に適切に行われる。図5に示すように、本実施形態では、老視矯正用IFのレンズ厚みTと、IOLチューニング用IFの空気間距離Dは同じであるが、レンズ厚みTは老視矯正用IFの方が大きくなるように設計されている。つまり、本実施形態では、上記の2つの条件のうちの一方のみが満たされている。
老視矯正用IFは、ICLチューニング用IFに比べて、レンズ厚みTが大きい条件、および、空気間距離Dが長い条件の少なくともいずれかを満たす。図5に示すように、本実施形態では、老視矯正用IFの空気間距離DはICLチューニング用IFの空気間距離Dよりも小さいが、レンズ厚みTは老視矯正用IFの方が大きくなるように設計されている。つまり、本実施形態では、上記の2つの条件のうちの一方のみが満たされている。
角膜ポート作成用IFは、ICLチューニング用IFおよびIOLチューニング用IFに比べて、レンズ厚みTが大きい条件、および、空気間距離Dが長い条件の少なくともいずれかを満たす。図5に示すように、本実施形態では、レンズ厚みTおよび空気間距離Dは共に、角膜ポート作成用IFの方が、ICLチューニング用IFおよびIOLチューニング用IFよりも大きくなるように設計されている。
図6を参照して、本実施形態の眼科用レーザ装置1が実行する処置制御処理について説明する。制御部30のCPU31は、処置を開始する指示が入力されると、ROM32または不揮発性メモリに記憶されているプログラムに従って、図6に示す処置制御処理を実行する。
まず、CPU31は、照射モードを選択する指示の入力を受け付ける(S1)。例えば、ユーザは、操作部35を操作することで、照射モードを選択する指示を入力することができる。なお、照射モードの選択指示を受け付ける方法は、適宜選択できる。例えば、CPU31は、カルテの情報または患者ID等を読み取ることで、患者に実行する処置に対応する照射モードを判別してもよい。CPU31は、実行する照射モードを、S1で選択されたモードに設定する(S2)。
次いで、CPU31は、構造変更部64(図2参照)を駆動させることで、インターフェース装着部60の構造を、選択された照射モードに適したインターフェース50の構造に対応する構造に変更する(S3)。その結果、インターフェース装着部60に装着させることが可能なインターフェース50の種類が、照射モードに対応する種類に限定される。
インターフェース装着部60にインターフェース50が装着されると(S5:YES)、CPU31は、装着されたインターフェース50の種類を識別する(S6)。一例として、本実施形態では、CPU31は、識別センサ65(図2参照)から入力される信号に基づいて、装着されたインターフェース50の種類を識別する。しかし、インターフェース50の種類を識別する方法を変更することも可能である。例えば、本実施形態では、インターフェース装着部60に装着されたインターフェース50の少なくとも一部が、正面画像撮影部23によって撮影されている。CPU31は、正面画像撮影部23によって撮影されたインターフェース50の画像、または、インターフェース50に付されたマーク等の画像に基づいて、装着されたインターフェース50の種類を識別してもよい。
CPU31は、装着されたインターフェース50が、S1で選択された照射モードに対応するインターフェース50であるか否かを判断する(S7)。選択された照射モードに対応するインターフェース50が装着されていなければ(S7:NO)、CPU31は、レーザ光の照射を禁止すると共に、異なる種類のインターフェース50が装着されていることを示すエラーをユーザに通知する(S8)。その後、処理はS5に戻り、対応するインターフェース50が装着されるまでS5〜S8の処理が繰り返される。
以上のように、本実施形態の眼科用レーザ装置1は、装着可能なインターフェース50の種類を構造変更部64によって限定する処理(S3)と、装着されたインターフェース50を識別する処理(S6)を共に実行することで、不適切なインターフェース50が使用される可能性をさらに低下させている。しかし、これらの処理の一部のみが実行されてもよいことは言うまでもない。
選択された照射モードに対応するインターフェース50が装着されると(S7:YES)、CPU31は、レーザ光を集光させる位置に応じて走査部7,11,18(図1参照)の駆動量を算出するためのテーブルまたは式を、選択された照射モードに対応するテーブルまたは式に設定する(S10)。次いで、CPU31は、設定したテーブルまたは式に基づいて走査部7,11,18の駆動量を算出する(S11)。CPU31は、算出した駆動量に基づいて走査部7,11,18を駆動することで、処置を実行する(S12)。
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態で用いられる複数種類のインターフェース50は、全て非圧平インターフェースである。しかし、本開示で例示する技術の少なくとも一部は、複数種類の非圧平インターフェースが使用されない場合でも適用できる。例えば、眼科用レーザ装置1は、圧平インターフェースおよび非圧平インターフェースの違いに関わらず、選択された照射モードに対応しないインターフェース50が使用されることを禁止してもよい。
1 眼科用レーザ装置
2 レーザ光源
7 高速Z走査部
11 XY走査部
18 広範囲Z走査部
20 対物レンズ
30 制御部
31 CPU
50 インターフェース
55 インターフェースレンズ
60 インターフェース装着部
64 構造変更部
65 識別センサ
2 レーザ光源
7 高速Z走査部
11 XY走査部
18 広範囲Z走査部
20 対物レンズ
30 制御部
31 CPU
50 インターフェース
55 インターフェースレンズ
60 インターフェース装着部
64 構造変更部
65 識別センサ
Claims (8)
- レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、前記患者眼の手術、および、前記眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う眼科用レーザ装置であって、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を集光させる対物レンズと、
前記レーザ光の光路のうち前記対物レンズと前記患者眼の間の固定位置に配置されると共に、前記眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持するインターフェースと、
前記インターフェースを装着することで、前記インターフェースを前記固定位置に固定するインターフェース装着部と、
前記眼科用レーザ装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替えることが可能であり、
前記インターフェース装着部は、前記複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類の前記インターフェースを装着することを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項1に記載の眼科用レーザ装置であって、
前記複数種類の前記インターフェースは、前記インターフェースレンズの厚み、および、前記インターフェース装着部に装着された際の前記対物レンズから前記インターフェースレンズまでの空気間距離の少なくともいずれかが互いに異なることを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項2に記載の眼科用レーザ装置であって、
前記複数の照射モードには、
水晶体が除去された患者眼の眼内に挿入されている眼内レンズの屈折率を調整する照射モードであるIOLチューニングモードと、
角膜と水晶体の間に挿入されている有水晶体後房レンズの屈折率を調整する照射モードであるICLチューニングモードと、
が含まれており、
前記ICLチューニングモードにおいて使用される前記インターフェースは、前記IOLチューニングモードにおいて使用される前記インターフェースに比べて、前記インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、前記空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項2または3に記載の眼科用レーザ装置であって、
前記複数の照射モードには、
患者眼の水晶体を処置することで、前記患者眼の老視を矯正する照射モードである老視矯正モードと、
患者眼の角膜を処置することで、前記患者眼の眼内に手術器具を挿入するための創口を前記角膜に作成する照射モードである角膜ポート作成モードと、
が含まれており、
前記角膜ポート作成モードにおいて使用される前記インターフェースは、前記老視矯正モードにおいて使用される前記インターフェースに比べて、前記インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、前記空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項2から4のいずれかに記載の眼科用レーザ装置であって、
前記複数の照射モードには、
水晶体が除去された患者眼の眼内に挿入されている眼内レンズの屈折率を調整する照射モードであるIOLチューニングモードと、
患者眼の水晶体を処置することで、前記患者眼の老視を矯正する照射モードである老視矯正モードと、
が含まれており、
前記老視矯正モードにおいて使用される前記インターフェースは、前記IOLチューニングモードにおいて使用される前記インターフェースに比べて、前記インターフェースレンズの厚みが大きい条件、および、前記空気間距離が長い条件の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の眼科用レーザ装置であって、
前記制御部は、
選択された照射モードに対応するインターフェースとは異なるインターフェースが処置中に使用されることを禁止することを特徴とする眼科用レーザ装置。 - 請求項1から6のいずれかに記載の眼科用レーザ装置であって、
前記レーザ光の光路中に設けられ、前記レーザ光の集光位置を走査させる走査部をさらに備え、
前記制御部は、前記レーザ光を集光させる位置に応じて前記走査部の駆動量を算出するためのテーブルまたは式を、選択された照射モードに対応するテーブルまたは式に切り替えることを特徴とする眼科用レーザ装置。 - レーザ光を患者眼の眼内に集光させることで、前記患者眼の手術、および、前記眼内に配置された透光体の屈折率の調整の少なくともいずれかの処置を行う眼科用レーザ装置において使用されるインターフェースであって、
前記眼科用レーザ装置は、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を集光させる対物レンズと、
前記インターフェースを装着するインターフェース装着部と、
前記処置の種類が異なる複数の照射モードのいずれかを選択する指示を受け付けると共に、指示に応じて照射モードを切り替える制御部と、
を備え、
前記インターフェースは、前記インターフェース装着部に装着されることで、前記レーザ光の光路のうち前記対物レンズと前記患者眼の間に配置されると共に、前記眼から離間した位置にインターフェースレンズを保持し、
前記複数の照射モードの各々に応じて設計された複数種類の前記インターフェースが設けられていることを特徴とするインターフェース。
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-
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