JP2016193028A - 眼科用レーザ手術装置 - Google Patents

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柴田 隆義
Takayoshi Shibata
隆義 柴田
村上 なほ
Naho Murakami
なほ 村上
真也 岩田
Shinya Iwata
真也 岩田
佳紀 熊谷
Yoshinori Kumagai
佳紀 熊谷
類 福岡
Rui Fukuoka
類 福岡
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Abstract

【課題】装置本体に対するインターフェースの位置および角度の少なくともいずれかがずれることによる影響を抑制することが可能な眼科用レーザ手術装置を提供する。
【解決手段】眼科用レーザ手術装置は、インターフェース、保持部、および制御部を備える。インターフェースは、手術用レーザ光の光路のうち、装置本体と眼の間に介在する。保持部は、インターフェースの少なくとも一部が着脱可能に装着されると共に、装着インターフェースを、装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを調整可能な状態で保持する。制御部は、装置本体に対する装着インターフェースの位置および角度の少なくともいずれかを検出する(S1)。制御部は、装置本体に対する装着インターフェースの装着状態を調整するために実行される調整動作を、検出した位置および角度の少なくともいずれかに基づいて制御する(S2,S6)。
【選択図】図7

Description

本開示は、手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで眼を処置する眼科用レーザ手術装置に関する。
従来、対象者の眼と装置本体との間にインターフェースを介在させた状態で、手術用レーザ光を眼に照射する眼科用レーザ手術装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の眼科用レーザ手術装置で使用されているインターフェースは、前眼部を固定するための眼球固定インターフェースを含む。
特開2015−37474号公報
インターフェースの製造誤差、およびインターフェースの装着誤差等に起因して、装置本体に対するインターフェースの位置および角度の少なくともいずれかがずれる場合がある。この場合、例えば、収差の発生、手術用レーザ光の照射範囲の変動等の不具合が生じる場合がある。
本開示の典型的な目的は、装置本体に対するインターフェースの位置および角度の少なくともいずれかがずれることによる影響を抑制することが可能な眼科用レーザ手術装置を提供することである。
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科用レーザ手術装置は、手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで前記眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、前記手術用レーザ光の光路のうち、前記装置本体と前記眼の間に介在するインターフェースと、前記インターフェースの少なくとも一部が着脱可能に装着されると共に、装着された前記インターフェースである装着インターフェースを、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを調整可能な状態で保持する保持部と、前記眼科用レーザ手術装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記装着インターフェースの、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを検出し、前記装着インターフェースの装着状態を調整するために実行される動作である調整動作を、検出した位置および角度の少なくともいずれかに基づいて制御する。
眼科用レーザ手術装置1の全体構成を示す図である。 正面画像撮影部30の概略構成を示す図である。 固視標投影部40の概略構成を示す図である。 眼科用レーザ手術装置1の機械的構成の概略を示す図である。 眼Eに結合された液浸インターフェース91の断面図である。 眼Eに結合された圧平インターフェース92の断面図である。 眼科用レーザ手術装置1のコントローラが実行するIF調整動作制御処理(眼固定部基準)のフローチャートである。 IF調整中画像105の一例を示す図である。 IFレンズ100,110の垂直位置が基準軸Sからずれている場合を模式的に示す図である。 IFレンズ100,110の垂直位置が基準軸S上にある場合を模式的に示す図である。 眼科用レーザ手術装置1のコントローラが実行するIF調整動作制御処理(レンズ基準)のフローチャートである。 垂直位置121を検出する方法の変形例の1つを説明するための説明図である。 眼固定部95とIFレンズ100,110を個別に調整する場合の、眼科用レーザ手術装置1の機械的構成の概略を示す図である。 眼科用レーザ手術装置1のコントローラが実行するIF調整動作制御処理(個別調整)のフローチャートである。 眼科用レーザ手術装置1のコントローラが実行するドッキング処理のフローチャートである。 ドッキング処理中に実行される光量調整処理のフローチャートである。 眼EのZ方向位置と、光源の供給する照明電圧の関係の一例を示す図である。 ドッキング処理中に実行されるXY方向アライメント処理のフローチャートである。 結合動作中画像131の一例を示す図である。 眼Eが位置する複数の領域と、それぞれの領域で撮影される正面画像とを模式的に示す図である。 XY方向アライメント処理中に実行される眼中心検出処理のフローチャートである。 ドッキング処理中に実行されるサイズ指標表示処理のフローチャートである。 サイズ指標表示中画像148の一例を示す図である。 結合完了時画像160の一例を示す図である。 眼科用レーザ手術装置1のコントローラが実行する照射制御データ作成処理のフローチャートである。
以下、本開示における典型的な実施形態について説明する。本実施形態では、対象者(患者または被検者)の手術または検査等を行う眼科装置の一例として、眼科用レーザ手術装置1を例示する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、対象者の眼Eの角膜および水晶体を共に処置することができる。ただし、本実施形態で例示する技術には、対象者の眼の検査を行うための眼科装置(例えば、眼を撮影する装置、視力を測定する装置、眼圧を測定する装置、眼の形状を測定する装置等)に適用できる技術も含まれる。また、本実施形態で例示する技術には、他の手術装置(例えば、レーザによって眼底の光凝固を行う装置等)に適用できる技術も含まれる。
<全体構成>
以下、図1を参照して、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1の全体構成について、手術用レーザ光源2側(つまり、手術用レーザ光の光路の上流側)から、対象者の眼E側(つまり、手術用レーザ光の光路の下流側)に順に説明する。なお、図1〜図3では、説明を簡略化するために、実際の光学素子(レンズ、ミラー等)の一部のみが図示されている。
手術用レーザ光源2は、眼Eを処置するための手術用レーザ光を出射する。本実施形態では、手術用レーザ光源2から出射されたパルスレーザ光が眼Eの組織内で集光されると、集光位置(スポット)でプラズマが発生し、組織の切断、破砕等が行われる。以上の現象は、光破壊(photodisruption)と言われる場合もある。本実施形態の手術用レーザ光源2には、例えば、フェムト秒からピコ秒オーダーのパルスレーザ光を出射するデバイスを使用することができる。以下では、手術用レーザ光源2によって出射される手術用レーザ光の光路に沿う方向をZ方向とする。Z方向に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向のうちの1つをX方向とする。Z方向およびX方向に共に交差(本実施形態では垂直に交差)する方向をY方向とする。
基準光源3は、各種制御を行う基準となる基準光(基準レーザ光)を出射する。例えば、本実施形態の基準光は、手術用レーザ光の光軸と、正面画像撮影部30(後述する)によって撮影される撮影領域との位置関係(XY方向の位置関係)を検出する際に用いられる場合がある。また、本実施形態の基準光は、正面画像撮影部30における受光素子31(図2参照)の傾きを検出する際に用いられる場合もある。さらに、本実施形態の基準光は、手術用レーザ光の照射位置を検出する際に用いられる場合もある。
本実施形態の基準光源3は、所定の形状を有する基準視標108(図8参照)を投影するための基準光を、光路上に出射することができる。この場合、基準視標108は、基準光の光軸に垂直な平面上で一次元方向または二次元方向に広がる形状を有する。また、基準光源3は、点状のスポットを投影するための基準光を光路上に出射することも可能である。基準光源3が出射する基準光の波長は適宜選択できる。また、基準光源3として採用する光源の種類も適宜選択できる。例えば、波長が約632nmの赤色レーザ光を出射するHe−Neレーザ光源、広帯域の波長のレーザ光を出射するSLDレーザ光源、赤外域のレーザ光を出射するIRレーザ光源等を、基準光源3として採用してもよい。
ダイクロイックミラー4は、手術用レーザ光の光路に設けられている。ダイクロイックミラー4は、手術用レーザ光源2から出射される手術用レーザ光と、基準光源3から出射される基準光を合波する。
ズームエキスパンダ5は、手術用レーザ光の光路のうち、手術用レーザ光源2とXY走査部10(後述する)の間に設けられている。ズームエキスパンダ5は、手術用レーザ光のビーム径を変更することができる。制御部50(後述する)は、ズームエキスパンダ5を駆動して手術用レーザ光のビーム径を変更することで、対物レンズ20(後述する)から眼Eに向けて出射される手術用レーザ光の開口数NAを調整することができる。
高速Z走査部6は、手術用レーザ光が集光されるスポットをZ方向に走査するZ走査部の一部である。本実施形態では、高速Z走査部6は、手術用レーザ光の光路のうち、ズームエキスパンダ5とXY走査部10の間に設けられている。一例として、本実施形態の高速Z走査部6は、負の屈折力を有する移動光学素子7と、移動光学素子7を光軸に沿って移動させる高速Z走査駆動部8とを備える。例えば、高速Z走査駆動部8には、移動光学素子7を高速で移動させることが可能なガルバノモータ等を用いてもよい。移動光学素子7とXY走査部10の間には、レンズ9が設けられている。レンズ9は、高速Z走査部6を経たレーザ光をXY走査部10に導光させる。移動光学素子7が光軸方向に移動すると、眼Eにおける手術用レーザ光のスポットがZ方向に移動する。高速Z走査部6は、広範囲Z走査部18(後述する)に比べて高速でスポットをZ方向に走査することができる。
XY走査部10は、光軸に交差するXY方向に手術用レーザ光を走査する。本実施形態のXY走査部10は、X偏向デバイス11およびY偏向デバイス12を備える。X偏向デバイス11は、手術用レーザ光をX方向に走査する。Y偏向デバイス12は、X偏向デバイス11によってX方向に走査された手術用レーザ光を、さらにY方向に走査する。本実施形態では、X偏向デバイス11およびY偏向デバイス12には共にガルバノミラーが採用されている。しかし、光を走査する他のデバイス(例えば、ポリゴンミラー、音響光学素子等のスキャナ)を、X偏向デバイス11およびY偏向デバイス12の少なくともいずれかに採用してもよい。また、X偏向デバイス11およびY偏向デバイス12の少なくともいずれかが、複数のスキャナを備えていてもよい。
リレー部14は、XY走査部10と対物レンズ20の間に設けられている。リレー部14は、上流側リレー光学素子15と下流側リレー光学素子16によって、XY走査部10を経た手術用レーザ光を対物レンズ20にリレーする。
広範囲Z走査部18は、スポットをZ方向に走査するZ走査部の一部である。一例として、本実施形態の広範囲Z走査部18は、XY走査部10と上流側リレー光学素子15とを含む光学ユニットを、広範囲Z走査駆動部19によって光軸に沿って移動させることで、上流側リレー光学素子15と対物レンズ20との間の光路長を変化させる。その結果、スポットがZ方向に走査される。広範囲Z走査部18は、高速Z走査部6に比べてスポットを広範囲にZ方向に走査させることができる。なお、広範囲Z走査部18の構成は適宜変更できる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、XY走査部10よりも下流側に位置する光学素子(例えば、上流側リレー光学素子15、下流側リレー光学素子16、および対物レンズ20)の少なくともいずれかを光軸方向に移動させることで、スポットをZ方向に走査してもよい。また、高速Z走査部6のみを用いてスポットをZ方向に走査することも可能である。
対物レンズ20は、リレー部14の下流側リレー光学素子16よりも、手術用レーザ光の光路の下流側に配置されている。対物レンズ20を通過した手術用レーザ光は、インターフェース90を経て眼Eの組織に集光される。
インターフェース90は、対物レンズ20を通過する各種光(手術用レーザ光、基準光、観察光、OCT光、および固視標投影光)の光路のうち、装置本体と眼Eの間に介在し、眼Eに結合される。換言すると、本実施形態のインターフェース90は、装置本体と眼Eを光学的且つ物理的に接続する(装置本体と眼Eの間の光の伝播を仲介する)。インターフェース90の構成には種々の構成(例えば、液浸インターフェース、圧平インターフェース等)を採用できる。インターフェース90の詳細については、図5および図6を参照して後述する。
ダイクロイックミラー(光軸合成部)22は、手術用レーザ光の光路のうち、対物レンズ20と下流側リレー光学素子16の間に設けられている。ダイクロイックミラー22は、眼科用レーザ手術装置1と眼Eの間を伝播する各種光の光軸を同軸とする。本実施形態では、ダイクロイックミラー22は、手術用レーザ光源2から出射された手術用レーザ光の大部分を、対物レンズ20に向けて反射させる。ダイクロイックミラー22は、基準光源3から出射された基準光の一部を反射させると共に、残りを透過させる(基準光の光路の詳細については後述する)。また、ダイクロイックミラー22は、観察光、OCT光、および固視標投影光の大部分を透過させる。なお、観察光は、眼Eによって反射されて正面画像撮影部30に入射する反射光である。OCT光は、断面画像を撮影するために断面画像撮影部23から出射される光である。固視標投影光は、眼Eを固視させるために固視標投影部40から出射される光である。
正面画像撮影部30は、眼Eの画像を撮影する撮影部の一部である。正面画像撮影部30は、眼Eによって反射された反射光(観察光)を受光することで、眼Eの正面画像(本実施形態では、前眼部の正面画像)を撮影する。また、正面画像撮影部30は、装置本体に装着されたインターフェース90の少なくとも一部を撮影することも可能である。本実施形態では、アライメント指標投影部63のアライメント・照明光源64(図4参照)によって出射される赤外光の反射光が、観察光として正面画像撮影部30によって受光される。正面画像撮影部30の詳細については、図2を参照して後述する。
断面画像撮影部23も、正面画像撮影部30と同様に、眼Eの画像を撮影する撮影部の一部である。断面画像撮影部23は、眼Eの断面画像を撮影することができる。また、断面画像撮影部23は、インターフェース90が備えるインターフェースレンズ100,110(詳細は、図5および図6を参照して後述する)の断面画像を撮影することも可能である。一例として、本実施形態の断面画像撮影部23は、OCT光源、光分割器、参照光学系、走査部、および受光素子を備える。OCT光源は、断面画像を撮影するためのOCT光を出射する。光分割器は、OCT光源によって出射されたOCT光を、参照光と測定光に分割する。参照光は参照光学系に入射し、測定光は走査部に入射する。参照光学系は、測定光と参照光の光路長差を変更する構成を有する。走査部は、測定光を二次元方向(XY方向)に走査させる。検出器は、撮影対象によって反射された測定光と、参照光学系を経た参照光との干渉状態を検出する。測定光が走査され、反射測定光と参照光の干渉状態が検出されることで、撮影対象の深さ方向の情報が取得される。取得された深さ方向の情報に基づいて、撮影対象の断面画像が取得される。
断面画像撮影部23には種々の構成を用いることができる。例えば、SS−OCT、SD−OCT、TD−OCT等のいずれを断面画像撮影部23に採用してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、光干渉以外の技術(例えば、シャインプルーク等)を用いて、撮影対象の断面画像を撮影してもよい。
固視標投影部40は、対象者の眼Eの視線を誘導する固視標を眼Eに投影することができる。つまり、固視標投影部40は、眼Eの固視を行うために用いられる。本実施形態の固視標投影部40は、眼Eへの固視標の投影状態を変更することができる。固視標投影部40の詳細については、図3を参照して後述する。
ダイクロイックミラー24は、正面画像撮影部30の撮影光軸(つまり、正面画像撮影部30に入射する反射光の光軸)と、固視標投影部40の投影光軸とを同軸とする。詳細には、本実施形態では、正面画像撮影部30に入射する反射光の大部分はダイクロイックミラー24を透過し、固視標投影部40から投影される固視標の光の大部分はダイクロイックミラー24によって反射される。
ダイクロイックミラー25は、正面画像撮影部30の撮影光軸および固視標投影部40の投影光軸を、断面画像撮影部23の撮影光軸と同軸とする。詳細には、本実施形態では、正面画像撮影部30に入射する反射光の大部分は、ダイクロイックミラー25を透過する。固視標投影部40から投影される固視標の光の大部分も、ダイクロイックミラー25を透過する。さらに、基準光源2から投影される基準光の大部分も、ダイクロイックミラー25を透過する。断面画像を撮影するためのOCT光の大部分は、ダイクロイックミラー25によって反射される。
照射位置検出部26は、手術用レーザ光源2から眼Eに延びる手術用レーザ光の光路から分岐した光路上に設けられている。一例として、本実施形態では、走査部6,10,18からダイクロイックミラー22に延びる手術用レーザ光の光路が、ダイクロイックミラー22によって分岐される。分岐された光路のうち、ダイクロイックミラー22を透過する光の光路上に、照射位置検出部26が設置されている。ただし、照射位置検出部26の設置位置を変更することも可能である。
照射位置検出部26は、手術用レーザ光の照射位置を検出する。前述したように、本実施形態では、走査部6,10,18よりも手術用レーザ光の光路の下流側に照射位置検出部26が設けられている。従って、照射位置検出部26は、走査部6,10,18によって走査される手術用レーザ光の照射位置を、より正確に検出することができる。つまり、走査部6,10,18の素子(ガルバノミラーおよびレンズ等)の駆動精度等も検出される。本実施形態では、手術用レーザ光源2から出射される手術用レーザ光と、基準光源3から出射される基準光とが同軸とされる。従って、本実施形態の照射位置検出部26は、基準光を検出することで、基準光と同軸となる手術用レーザ光の照射位置を検出することができる。また、照射位置検出部26は、手術用レーザ光を直接検出してもよい。照射位置検出部26には種々のデバイスを適宜採用できる。一例として、本実施形態では波面センサが照射位置検出部26として採用されている。この場合、照射位置に加えてレーザ光の波面も検出される。
ハーフミラー27は、ダイクロイックミラー22を透過した基準光の光路を分岐する。分岐した光路の一方は照射位置検出部26に延び、他方はミラー28に延びる。ミラー28は、ハーフミラー27から入射する基準光を反射させて、再びハーフミラー27に入射させる。ミラー28に入射する基準光の光軸と、ミラー28によって反射される基準光の光軸は同軸となる。ミラー28によって反射された基準光は、ハーフミラー27によって再び反射されて、ダイクロイックミラー22によって反射される。その後、基準光は、ダイクロイックミラー25とダイクロイックミラー24を透過し、正面画像撮影部30に入射する。その結果、基準光は、手術用レーザ光の光軸との関係が予め定められた(既知の)光軸に沿って、正面画像撮影部30の受光素子31(図2参照)に投影される。従って、正面画像の撮影領域に対する手術用レーザ光の光軸の位置関係が、正面画像によって適切に把握される。
基準光の光路について再度説明する。本実施形態では、ダイクロイックミラー4、ダイクロイックミラー22、ハーフミラー27、およびミラー28を含む光学素子が、基準光を受光素子31に投影する基準光投影部となる。ダイクロイックミラー4は、手術用レーザ光の光路のうち、走査部6,10,18よりも手術用レーザ光源2側から、手術用レーザ光の光軸と基準光の光軸を同軸として基準光を挿入する。さらに、ダイクロイックミラー22は、手術用レーザ光の光路のうち走査部6,10,18よりも眼E側で、手術用レーザ光の光軸から基準光の光軸を分岐させて、基準光を受光素子31に投影させる。この場合、走査部6,10,18の状態が劣化または衝撃等によって変動した場合でも、手術用レーザ光の光軸と基準光の光軸の関係が維持される。
また、本実施形態では、基準光の光路は、手術用レーザ光源2から照射位置検出部26に延びる手術用レーザ光の光路の少なくとも一部(詳細には、ダイクロイックミラー4からダイクロイックミラー22までの光路)と共通する光路を有する。この場合、手術用レーザ光の照射位置が、照射位置検出部26と正面画像の両方によって適切に検出される。
また、本実施形態では、ダイクロイックミラー22から眼Eに延びる手術用レーザ光の光路と、ダイクロイックミラー22から正面画像撮影部30に延びる基準光の光路とを合わせた光路が、眼Eから正面画像撮影部30に延びる正面画像撮影用の反射光の光路に一致する。
さらに、本実施形態の基準光投影部は、断面画像撮影部23の撮影光軸との関係が予め定められた光軸に沿って、正面画像撮影部30の受光素子31に基準光を投影する。詳細には、基準光の光路と、断面画像撮影部23の撮影光路は、少なくとも一部(本実施形態ではダイクロイックミラー22からダイクロイックミラー25の間)で共通する。この場合、正面画像の撮影領域と、断面画像の撮影領域(本実施形態では、断面画像撮影部23の走査部によって走査されるOCT光の走査範囲)との対応関係が変化しても、両者の対応関係が、正面画像上に写り込む基準光によって判別される。
なお、基準光源3の配置位置を変更することも可能である。例えば、走査部6,10,18の状態を検出しない場合には、眼科用レーザ手術装置1は、走査部6,10,18を通過させずに基準光を受光素子31に投影してもよい。この場合、例えば、ミラー28の代わりに基準光源3を配置してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光源2が発生させるレーザ光を基準光として用いることも可能である。つまり、手術用レーザ光源2と基準光源3を共通化することも可能である。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光源2が発生させるレーザ光を手術用レーザ光として使用する場合と基準光として用いる場合で、手術用レーザ光源2の出力、および、受光素子31を保護するためのフィルター等の少なくともいずれかを変更してもよい。
制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、および不揮発性メモリ(図示せず)等を備える。CPU51は、眼科用レーザ手術装置1の各種制御(例えば、手術用レーザ光源2の制御、基準光源3の制御、走査部6,10,18の動作制御、画像の撮影制御、固視標の投影制御等)を司る。ROM52には、眼科用レーザ手術装置1の動作を制御するための各種プログラム(例えば、後述するIF調整動作制御処理、ドッキング処理、照射制御データ作成処理等を実行するための眼科装置制御プログラム等)が記憶されている。RAM53は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリは、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。眼科装置制御プログラム等は、不揮発性メモリに記憶されていてもよい。
表示部54は、各種画像を表示することができる。操作部55は、ユーザ(例えば、術者、検者、補助者等)によって操作される。制御部50は、ユーザによる各種操作指示の入力を、操作部55を介して受け付ける。操作部55には、例えば、表示部54に設けられるタッチパネル、各種ボタン、キーボード、マウス等の各種デバイスを適宜採用すればよい。表示部54および操作部55は、眼科用レーザ手術装置1の装置本体に組み込まれていてもよいし、装置本体に有線または無線によって接続された他のデバイスであってもよい。表示部54には、画像を表示する各種デバイス(例えば、モニタ、プロジェクタ等)を用いることができる。
また、図1では、眼科用レーザ手術装置1のコントローラとして1つの制御部50が用いられる場合を例示した。しかし、言うまでもないが、眼科用レーザ手術装置1は複数のコントローラによって制御されてもよい。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、各種光学素子およびアクチュエータを備えた装置本体と、装置本体に接続されるパーソナルコンピュータとを備えていてもよい。この場合、例えば、パーソナルコンピュータのコントローラがレーザの照射制御データを作成し、作成された照射制御データに従って、装置本体のコントローラがアクチュエータの駆動を制御してもよい。また、表示部54の表示制御、撮影された画像の解析、各種パラメータの演算等が、パーソナルコンピュータのコントローラによって実行されてもよい。つまり、後述する制御処理の全てが装置本体の1つのコントローラによって実行される必要は無い。
<正面画像撮影部>
図2を参照して、正面画像撮影部30について説明する。本実施形態の正面画像撮影部30は、受光素子31、レンズ32、および受光調整部(フォーカス調整部)33を備える。受光素子31は、眼Eによって反射された反射光(観察光)を受光する。本実施形態の受光素子31は、眼Eからの反射光を受光することで、眼Eの画像(詳細には、前眼部の正面画像)を撮影する。本実施形態では、二次元受光素子(例えば、CCD、CMOS等)が採用されている。レンズ32は、眼Eの撮影対象部位と受光素子31とを共役とする。なお、図2では便宜的に1つのレンズ32のみが図示されているが、光路中に設けられる光学素子の数が1つに限定されないことは言うまでもない。受光調整部33は、受光素子31における反射光の受光状態を調整する。詳細には、本実施形態の受光調整部33は、受光素子31における反射光のフォーカス状態を調整することができる。つまり、本実施形態の受光調整部33は、反射光の光軸(撮影光軸)に沿う方向(図2の矢印A方向)に受光素子31を移動させることで、受光素子31と撮影対象部位を共役とすることができる。本実施形態の受光調整部33には、例えばモータ等が用いられる。
受光状態を調整するための構成は、適宜変更できる。例えば、正面画像撮影部30は、撮影光路上に設けられた光学素子(例えばレンズ32)を光路に沿う方向(図2の矢印B方向)に移動させる受光調整部34を備えてもよい。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31および光学素子の少なくともいずれかを光軸に沿って移動させることで、フォーカス状態を調整することができる。また、眼科用レーザ手術装置1は、受光調整部34を駆動することで、フォーカス状態以外の受光状態(例えば、正面画像の撮影倍率)を調整してもよい。また、正面画像撮影部30は、撮影光軸上への光学素子35の挿入と、撮影光軸上からの光学素子35の取り外しを行う受光調整部36を備えてもよい(図2の矢印C参照)。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、各種条件に応じて段階的に受光状態を調整できる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、角膜を手術する場合と水晶体を手術する場合とで、光学素子35の挿入および取り外しを切り換えることで、正面画像の撮影倍率を切り換えてもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、使用されるインターフェース90の種類に応じて光学素子35の挿入および取り外しを切り換えてもよい。受光調整部33,34,36のうちの2つ以上が共に駆動されてもよいし、いずれか1つが単独で駆動されてもよい。本実施形態の受光調整部33,34,36は、眼Eから受光素子31に延びる眼Eからの反射光の光路のうち、手術用レーザ光源2から眼Eに延びる手術用レーザ光の光路外の部材を駆動することで、受光素子31における反射光の受光状態を調整する。従って、受光調整を行っても手術用レーザ光への影響は生じない。
<固視標投影部>
図3を参照して、固視標投影部40について説明する。本実施形態の固視標投影部40は、固視標投影光源41、第1絞り42、第2絞り43、レンズ44、可動ステージ45、固視標移動駆動部46、固定レンズ47、可動光学素子48、および光学素子移動駆動部49を備える。固視標投影光源41は、対象者の眼Eに固視標を投影するための光(固視標投影光)を発光する。固視標投影光源41から発光される固視標投影光の光量は、制御部50によって変更される。第1絞り42および第2絞り43は、固視標の投影光路に入射する固視標投影光の光束を一定の大きさにする。レンズ44は、投影光路において、第1絞り42および第2絞り43に対して所定の位置に配置されている。
可動ステージ45には、固視標投影光源41、第1絞り42、第2絞り43、およびレンズ44が搭載されている。可動ステージ45は、投影光路の光軸(投影光軸)に対して交差する方向(図3の矢印D方向)に移動することができる。投影光軸に交差する方向に可動ステージ45が移動すると、眼Eに対する固視標の投影位置が移動する。その結果、眼Eの固視方向が変更される。固視標移動駆動部46は可動ステージ45を移動させる。固視標移動駆動部46には、例えばモータ等を使用することができる。
固定レンズ47は、投影光路上に固定されている。可動光学素子(例えば可動レンズ)48は、投影光路上に挿入される挿入位置と、投影光路上から外れる取り外し位置との間を移動する(図3の矢印E参照)。光学素子移動駆動部49は、可動光学素子48を移動させる。光学素子移動駆動部49には、モータ、ソレノイド等の各種アクチュエータを用いることができる。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eに投影される固視標の投影状態を変更することができる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、固視標投影光源41に供給する電力を調整することで、眼Eに投影される固視標投影光の光量を変更することができる。この場合、眼Eに向けて投影される固視標の明るさが変更される。また、眼科用レーザ手術装置1は、投影光路上への可動光学素子48の挿入と、投影光路からの可動光学素子48の取り外しとを、光学素子移動駆動部49を駆動して切り換えることで、固視標投影光学系の焦点距離を変更することができる。この場合、眼Eの網膜における固視標の集光状態が変更される。なお、固視標投影光学系とは、固視標投影光源41から眼Eに延びる投影光路に設けられる各種光学部材である。本実施形態の固視標投影光学系には、絞り42,43、レンズ44、固定レンズ47、および可動光学素子48が含まれる。
なお、固視標の投影状態を変更する方法は適宜選択できる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、光学素子移動駆動部49を駆動することで、可動光学素子48を投影光軸に沿う方向(図3の矢印F方向)に移動させてもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、固視標移動駆動部46を駆動することで、投影光軸に沿う方向(図3の矢印G方向)に可動ステージ45を移動させてもよい。これらの方法でも、固視標投影光学系の焦点距離が変更される。勿論、可動光学素子48と可動ステージ45を共に投影光軸に沿って移動させてもよい。
また、言うまでもないが、固視標の投影方法も変更できる。例えば、点光源の代わりに液晶表示器を用いてもよい。この場合、液晶表示器の表示領域における視標の表示位置を変更することで、眼Eの固視方向が変更される。また、複数の点光源を配置し、点灯させる点光源を切り換える方法も採用できる。
<機械的構成>
図4を参照して、眼科用レーザ手術装置1の機械的構成の概略について説明する。眼科用レーザ手術装置1は、各種光学系および走査部6,10,18等を収容する筐体60を備える。筐体の下部の一部には、筒部61が設けられている。筒部61の内部には、前述した対物レンズ20が固定される。筒部61は、眼Eに手術用レーザ光を照射するための照射端となる。
筐体60の下端には、アライメント指標投影部63が設けられている。アライメント指標投影部63は、眼Eの角膜にアライメント指標を投影する。一例として、本実施形態のアライメント指標投影部63は、有限遠の光を照射する点光源であるアライメント・照明光源64を複数備える。本実施形態では、アライメント・照明光源64が照射する光は、正面画像を撮影するための照明光源を兼ねる。しかし、アライメント光源とは別に照明光源が設けられてもよい。複数(本実施形態では8個)のアライメント・照明光源64は、筒部61の中心軸を中心として円環状に配置されている。詳細は後述するが、制御部50は、正面画像を処理することで、アライメント・照明光源64から照射されて角膜で反射される光を輝点として検出する。制御部50は、検出した輝点の位置に基づいて、装置本体に対する眼Eの位置を検出する。
なお、アライメント指標投影部63の構成も適宜変更できる。例えば、複数の点光源を環状に配置する代わりに、連続したリング状の指標を投影する環状光源が採用されてもよい。また、本実施形態では、有限遠の光でアライメント指標を投影することで、正面画像の撮影光軸に交差する方向(XY方向)における眼Eの位置が検出される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、無限遠の指標と有限遠の視標を共に眼Eに向けて投影することで、撮影光軸に沿う方向(Z方向)における眼Eの位置を、XY方向における位置と共に検出してもよい。この場合、正面画像に写り込む無限遠の指標と有限遠の視標の関係に基づいて、Z方向における眼Eの位置が検出される。また、眼科用レーザ手術装置1が備える光源とは別の光源によって照明光が眼Eに照射されてもよい。
筐体60は結合駆動部66を備える。結合駆動部66は、筐体60(装置本体)および保持部67(後述する)を眼Eに対して移動させることで、インターフェース90を眼Eに結合させる。本実施形態の結合駆動部66は、筐体60および保持部67を3方向(X,Y,Z方向)に移動させることができる。なお、装置本体と眼Eの相対的な位置関係を変化させるための具体的な方法は、筐体60を3方向に移動させる方法に限定されない。例えば、結合駆動部は、対象者を装置本体に対して移動させることで、インターフェース90を眼Eに結合させてもよい。
調整駆動部70は、筐体60と保持部67に連結している。保持部67には、インターフェース90の少なくとも一部が着脱可能に装着される。保持部67は、装着されたインターフェース90(以下、「装着インターフェース」という場合がある)の装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを調整可能な状態で、装着インターフェースを保持する。一例として、本実施形態の調整駆動部70は、装置本体に対して保持部67をXY方向に移動させることで、装置本体に対する装着インターフェースの位置を調整する。しかし、調整保持部は、装着インターフェースの角度を調整してもよい(詳細は後述する)。
保持部67は、ベース部68、第1リンク71、第2リンク72、ロック機構73、連結部74、位置検出センサ75、インターフェース装着部76、および圧力センサ77を備える。また、保持部67は、ナット80、ピン81、送りねじ82、およびモータ83を備える。
ベース部68は、調整駆動部70に連結されると共に、インターフェース90を保持するためのベースとなる。第1リンク71は、ベース部68の上端の一部に、水平方向の軸を中心として回転可能な状態で接続されている。第2リンク72は、第1リンク71の一端部に、水平方向の軸を中心として回転可能な状態で接続されている。第2リンク72は上下方向に延びている。第1リンク71が回転すると、第2リンク72は上下方向(Z方向)に移動する。第2リンク72のZ方向の移動は、ベース部68の一部によってガイドされる。
ロック機構73は、第2リンク72の一部(本実施形態では下端部近傍)に接続している。ロック機構73は、第2リンク72の移動のロックおよびロック解除を行うことができる。連結部74は、第2リンク72の一部(本実施形態では上下方向の中央部近傍)に固定されており、第2リンク72と共にZ方向に移動する。連結部74は、第2リンク72とインターフェース装着部76を連結する。位置検出センサ75は、第2リンク72のZ方向における位置を検出することで、インターフェース90のZ方向における位置を検出することができる。
インターフェース装着部76には、インターフェース90が着脱可能に装着される。本実施形態では、ユーザがインターフェース90の基部をインターフェース装着部76の所定箇所に取り付けると、インターフェース90の基部とインターフェース装着部76の間に空間78が形成される。ポンプ(図示せず)によって空間78に負圧を生じさせることで、インターフェース90がインターフェース装着部76に吸引固定される。圧力センサ(例えばロードセル)77は、インターフェース装着部76と連結部74の間に加わる荷重を検出する。制御部50のCPU51は、圧力センサ77の値によって、インターフェース90と眼Eの間に加わる荷重を検出することができる。従って、CPU51は、眼Eに対してインターフェース90が接触したか否かを、圧力センサ77を用いて検出することも可能である。
ナット80は、ベース部68に形成された穴に、Z方向に移動可能に装着されている。ナット80の上端部には、第1リンク71に下方から接触するピン81が設けられている。送りねじ82はナット80に螺合している。モータ83は送りねじ82を回転させる。モータ83が駆動して送りねじ82が回転すると、ナット80およびピン81がZ方向に移動する。その結果、第1リンク71が回転し、第2リンク72、連結部74、インターフェース装着部76、およびインターフェース90がZ方向に移動する。なお、本実施形態では、眼Eに過剰な荷重が加わったことが圧力センサ77によって検出されると、ロック機構73による第2リンク72のロックが解除され、インターフェース90が上方に移動可能な状態となる。その結果、眼Eに対する安全性が向上する。
<インターフェース>
図5および図6を参照して、インターフェース90について説明する。インターフェース90は、装置本体と眼Eの間に延びる各種光(手術用レーザ光、基準光、観察光、OCT光、および固視標投影光)の光路のうち、装置本体と眼Eの間に介在し、眼Eに結合される。本実施形態では、ユーザは、手術する部位および術式等に応じて、複数種類のインターフェース90を使い分けることができる。一例として、本実施形態における複数種類のインターフェース90には、液浸インターフェース91(図5参照)および圧平インターフェース92(図6参照)が含まれる。まず、液浸インターフェース91および圧平インターフェース92に共通する構成について説明する。なお、以下説明する構成の細部は、液浸インターフェース91と圧平インターフェース92の間で異なっていてもよい。
図5および図6に示すように、インターフェース90は、マウント93、吸引路94、眼固定部95、およびインターフェースレンズ(液浸レンズ100またはコンタクトレンズ110)を備える。
マウント93は、インターフェース90のベースとなる部材である。マウント93は、保持部67のインターフェース装着部76(図4参照)に装着されると共に、眼固定部95等を保持する。マウント93には、Z方向(図5および図6における上下方向)に貫通する円形の孔が形成されている。各種光は、円形の孔の内側を伝播することができる。吸引路94はマウント93に設けられており、後述する空間96とポンプ(図示せず)の間で気体を流通させる。
眼固定部(本実施形態ではサクションリング)95は、環状(本実施形態では円環状)の部材である。本実施形態の眼固定部95は、連続した円環状に形成されている。しかし、眼固定部95の形状は開環状であってもよい。複数の部材が環状に並べられることで、環状の眼固定部95が形成されていてもよい。眼固定部95は、マウント93に形成された円形の孔の下端を取り囲むように、マウント93の下部に設けられている。眼固定部95は、眼E(本実施形態では、眼Eの角膜または強膜)に結合することで、装置本体(詳細には、装置本体に設けられた対物レンズ20、および、手術用レーザ光の基準軸等)に対する眼Eの位置を固定する。本実施形態では、眼固定部95とマウント93は別部材である。眼固定部95は、はめ込み、溶接、接着剤による接着等によってマウント93に固定される。しかし、眼固定部95は、マウント93と一体に形成されていてもよい。また、眼固定部95は、マウント93、またはマウント93のアーム部分に対し、吸引等によって着脱可能に装着されてもよい。眼固定部95が眼Eに接触すると、眼Eの表面と眼固定部95の間に、密閉された空間96が形成される。空間96内の気体が吸引路94を通じて排出されることで、眼固定部95が眼Eに吸引固定される。
インターフェースレンズ(液浸レンズ100およびコンタクトレンズ110)は、各種光の光路のうち、眼固定部95よりも装置本体側(本実施形態では眼固定部95よりも上方)に配置される。本実施形態のインターフェースレンズ100,110は、マウント93に形成された円形の穴の上部に、接着剤等によって固定される。しかし、インターフェースレンズ100,110と眼固定部95が一体的に固定されず別部材となっていてもよい(詳細は図13を参照して後述する)。また、インターフェースレンズ100,110は、マウント93またはマウント93のアーム部分に対して吸引等によって着脱可能に装着されてもよい。
図5を参照して、液浸インターフェース91の液浸レンズ100について説明する。液浸インターフェース91が眼Eに接触すると、液浸レンズ100と眼Eの表面(角膜)の間に空間103が生じる。眼Eの透明組織(例えば角膜等)の間の屈折率差が空気よりも小さい物質(例えば、水または粘弾性物質等の液体、または弾性体)が、空間103に配置される。その結果、液浸レンズ100と眼Eの間のうち、少なくとも各種光が通過する部分が、液体等の物質によって満たされる。従って、眼Eの透明組織と空気の間の屈折率差の影響(例えば収差の発生等)が抑制される。
本実施形態では、空間103に液体を注入するための注入経路(図示せず)がマウント93に形成されている。液体は、液浸インターフェース91が眼Eに接触した状態で、注入経路を通じて空間103に注入される。しかし、空間103に液体等の物質を配置する方法は適宜変更できる。例えば、ユーザは、液浸インターフェース91が眼Eに接触した状態で、眼Eに上方から液体等の物質を配置し、その後液浸レンズ100をマウント93に装着させてもよい。
一例として、本実施形態の液浸レンズ100のレンズ面のうち、眼E側に位置する後面101、および装置本体側に位置する前面102は、共に眼E側(下側)に向けて凸状に湾曲している。この場合、例えば、レンズ面(特に後面101)によって反射したOCT光が断面画像撮影部23に直接入射する不具合等が抑制される。また、後面101および前面102の表面は、球面に沿う形状となっている。ただし、後面101および前面102の形状を変更することも可能である。例えば、後面101および前面102の少なくともいずれかを平面としてもよい。この場合、レンズ面による収差の発生が抑制される。また、後面101および前面102の少なくとも一方が、装置本体側(上側)に向けて凸状に湾曲していてもよい。この場合、制御部50は、アライメント指標投影部63(図4参照)から照射されてレンズ面で反射される光(輝点)によって、液浸レンズ100の中心位置を検出することも可能である。また、液浸レンズ100と眼固定部95が一体的に固定されている場合、制御部50は、アライメント指標によって検出した液浸レンズ100の中心を、眼固定部95の中心として各種処理を行ってもよい。また、レンズ面は非球面に沿って湾曲していてもよい。
図6を参照して、圧平インターフェース92のコンタクトレンズ110について説明する。圧平インターフェース92が眼Eに吸引固定されると、コンタクトレンズ110の後面111(レンズ面のうち眼E側の面)が、眼Eの表面(角膜を含む)に接触する。つまり、眼Eの角膜が圧平される。その結果、角膜の表面の形状が、コンタクトレンズ110の後面111の形状に変形される。よって、手術用レーザ光の照射位置が適切に設定される。また、後面111と角膜の間に空気が介在する場合に比べて、光の屈折による悪影響(例えば、角膜における収差の発生等)が抑制される。なお、コンタクトレンズ110の後面111と眼Eの表面の間の気体が吸引されることで、コンタクトレンズ110が眼Eに圧平されてもよい。
一例として、本実施形態のコンタクトレンズ110のうち、眼E側に位置する後面111は、上側に向けて凸状に湾曲している。従って、平坦な面によって眼Eを圧平する場合に比べて、圧平時の眼圧の上昇が抑制される。さらに、制御部50は、アライメント指標投影部63(図4参照)から照射されて後面111で反射される光によって、コンタクトレンズ110の中心位置を検出することも可能である。コンタクトレンズ110の前面112は、前述した液浸レンズ100の前面102と同様に、装置本体側に向けて凸状に湾曲している。後面111および前面112は、共に球面に沿った湾曲形状に形成されている。ただし、コンタクトレンズ110の後面111および前面102の形状も、液浸レンズ100と同様に変更可能である。例えば、コンタクトレンズ110の後面111を平坦面としてもよい。以上の説明から明らかなように、圧平という用語は、眼Eの角膜を平坦な形状に変形させる意味だけでなく、眼Eの角膜を平坦でない所定の形状に変形させる意味も含む。
<装置本体に対するインターフェースの調整>
図7から図14を参照して、装置本体に対するインターフェース(以下、「IF」と省略する場合もある)90の調整動作について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対するインターフェース90の位置および角度の少なくともいずれかを調整するための調整動作を実行することができる。本実施形態では、インターフェース90を眼Eに結合させるドッキング動作(詳細は後述する)が実行される前に、インターフェースの調整動作が実行される。
(眼固定部基準)
図7および図8を参照して、装置本体に対するインターフェース90の相対的な位置を、眼固定部95を基準として調整する場合について説明する。図7に示すIF調整動作制御処理(眼固定部基準)は、眼固定部95を基準としてIFの調整動作を実行する指示が制御部50に入力された場合に、制御部50のCPU51(コントローラ)によって実行される。CPU51は、ROM52または不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、図7に示すIF調整動作制御処理を実行する。
まず、CPU51は、保持部67(図4参照)に装着されたインターフェース90(装着インターフェース)における環状の眼固定部95の中心を検出する(S1)。眼固定部95の中心を検出する方法には種々の方法を採用できる。本実施形態では、液浸インターフェース91が用いられる場合、正面画像撮影部30によって撮影される正面画像の撮影領域に、液浸インターフェース91の眼固定部95の一部が含まれる(図8参照)。この場合、CPU51は、正面画像撮影部30の受光素子31によって撮影された眼固定部95の画像を処理することで、眼固定部95の中心を検出することができる。
図8に示すように、本実施形態では、液浸インターフェース91の眼固定部95における内側のエッジ97の少なくとも一部が、正面画像撮影部30によって撮影される正面画像(IF調整中画像105)に写り込む。CPU51は、受光素子31によって撮影された眼固定部95の画像を処理することで、環状の眼固定部95におけるエッジ97を検出する。CPU51は、検出したエッジ97の中心を、眼固定部95の中心として検出する。エッジ97が真円である場合、例えば、CPU51は、エッジ97上の少なくとも3点の位置を検出し、検出した位置を通過する円をフィッティング(当てはめ)してもよい。この場合、フィッティングした円の中心が、眼固定部95の中心として検出される。また、眼固定部95のうち、眼固定部95の中心に対して予め定められた位置に、正面画像撮影部30によって撮影されるマークが設けられていてもよい。この場合、CPU51は、正面画像に写り込んだマークの位置に基づいて、眼固定部95の中心を検出することができる。言うまでもないが、正面画像にはエッジ97の全体が写り込んでいる必要は無く、エッジ97の中心を検出できる程度にエッジ97が写り込んでいればよい。
なお、眼固定部95の中心を検出する方法を変更することも可能である。例えば、眼固定部95の材質が、断面画像を撮影するための光(本実施形態ではOCT光)を透過する材質である場合には、CPU51は、眼固定部95の断面画像に基づいて眼の中心を検出してもよい。また、眼固定部95に対してインターフェースレンズ100,110が一体的に配置されている場合には、CPU51は、インターフェースレンズ100,110の中心を眼固定部95の中心として検出してもよい。この場合、CPU51は、インターフェースレンズ100,110のレンズ面で反射されたアライメント指標の中心を、眼固定部95の中心として検出してもよい。実際に、本実施形態では、圧平インターフェース92が用いられる場合には、眼固定部95が正面画像の撮影領域に入らない場合がある。この場合、CPU51は、コンタクトレンズ110のレンズ面(本実施形態では後面111)で反射されたアライメント指標の中心を、眼固定部95の中心として検出することができる。また、CPU51は、インターフェースレンズ100,110の断面画像からレンズ中心を検出し、検出したレンズ中心を眼固定部95の中心としてもよい。
図7の説明に戻る。CPU51は、眼固定部95の中心を検出すると(S1)、検出した眼固定部95の中心の位置を表示部54に表示させる(S2)。本実施形態では、図8に示すように、X字状のレチクルであるクロスマーク106が表示部54の正面画像上に重畳表示されることで、眼固定部95の中心の位置が示される。なお、言うまでもないが、眼固定部95の中心の位置を表示部54上で示す方法は、適宜変更できる。
CPU51は、基準軸の位置を表示部54に表示させる(S3)。基準軸は、装着インターフェースの適正位置を決定する基準となる。基準軸には種々の軸を採用できる。例えば、XY走査部10(図1参照)によって走査される手術用レーザ光の光軸を、XY方向における走査範囲の中心に一致させた場合の光軸の位置が、基準軸の位置として用いられてもよい。XY走査部10を初期状態とした場合(例えば、XY走査部10のミラーをゼロポジションに位置させた場合)の手術用レーザ光の光軸が、基準軸として用いられてもよい。対物レンズ20の光軸、または、対物レンズ20を保持する鏡筒の物理的な中心軸が、基準軸として用いられてもよい。インターフェース90よりも手術用レーザ光の光路の上流側に位置する光学素子の光軸または物理的な軸が、基準軸として用いられてもよい。さらには、眼科用レーザ手術装置1の工学設計(例えば、各レンズの形状および配置の設計等)を行う際の基準となった軸が、基準軸として用いられてもよい。製造誤差の影響を無視できる治具をインターフェース90の代わりに保持部に装着し、装着した治具に基づいて基準軸の位置を設定してもよい。
一例として、本実施形態のCPU51は、XY走査部10を初期状態として、基準光源3から基準光を照射させる。前述したように、眼Eに照射される手術用レーザ光の光軸の位置は、正面画像撮影部30の受光素子31に入射する基準光の位置(つまり、正面画像に写り込む基準光の位置)によって検出される。従って、本実施形態では、図8に示すように、正面画像に写り込む基準光(図8に示す基準視標108)の位置が、そのまま基準軸のXY平面上の位置として表示部54に表示される。
図8に示すように、本実施形態のIF調整中画像105には、眼固定部95の中心の位置と基準軸の位置の間のずれが許容範囲内であるか否かを示す範囲呈示レチクル109が重畳表示される。クロスマーク106の中心が、円環状の範囲呈示レチクル109の内側に位置している場合、基準軸に対する眼固定部95の中心の位置ずれが許容範囲内であることを示す。許容範囲の広さは、実験等に基づいて予め定められていてもよいし、ユーザによって入力される操作指示に応じて定められてもよい。例えば、ユーザが手動で眼固定部95の位置を調整する場合、ユーザは、範囲呈示レチクル109を見ながら眼固定部95の位置を調整することで、適切な方向に、適切な距離だけ眼固定部95を移動させることができる。また、以下説明するように、眼科用レーザ手術装置1が自動で眼固定部95の位置を調整する場合、ユーザは、眼固定部95の位置が適切に調整されたか否かを、範囲呈示レチクル109によって容易に確認することができる。
また、図8に示すように、本実施形態で表示部54に表示される正面画像には、縦中心線115および横中心線116が重畳表示される。縦中心線115は、撮影領域におけるX方向(図の左右方向)の中心を示す。横中心線116は、撮影領域におけるY方向(図の上下方向)の中心を示す。従って、縦中心線115と横中心線116の交点は、受光素子31によって撮影される正面画像の撮影領域の中心となる。図8に例示する図面では、手術用レーザ光の光軸に対する受光素子31のXY方向の位置ずれが生じていない。従って、図8では、正面画像の撮影領域の中心が、基準視標108の中心に一致している。
図7の説明に戻る。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対するインターフェース90の位置を自動で調整することができる。詳細には、CPU51は、基準軸に対する眼固定部95の中心位置のずれが許容範囲内であるか否か否かを判断する(S5)。ずれが許容範囲外である場合(S5:NO)、CPU51は、調整駆動部70(図4参照)の駆動を制御して眼固定部95をXY方向に移動させることで、眼固定部95の中心の位置を基準軸に近づける(S6)。処理はS1へ戻る。ずれが許容範囲内となれば(S5:YES)、IF調整動作制御処理は終了する。なお、インターフェース90の位置を自動で調整する場合、CPU51は、インターフェース90の中心を表示部54に表示させなくてもよい。
(IFレンズ基準)
図9から図12を参照して、装置本体に対するインターフェース90の位置を、インターフェースレンズ(以下、「IFレンズ」という場合もある)100,110を基準として調整する場合について説明する。
まず、図9および図10を参照して、IFレンズ100,110を基準としてインターフェース90の位置を調整する方法の概要について説明する。図9および図10では、眼E側に凸状となっている前面102,112と基準軸Sとの関係について説明を行う。しかし、以下説明する内容は、装置本体側に凸状となっているレンズ面、および、IFレンズ100,110の後面101,111にも適用できる。
本実施形態では、基準軸Sに対するIFレンズ100,110の位置および角度が共に適切な場合(この場合については図示していない)に、走査部6,10,18によって走査される手術用レーザ光に発生し得る収差が最も小さくなるように、光学設計が行われている。基準軸Sに対するIFレンズ100,110の位置および角度が共に適切な場合には、基準軸Sと前面102,112の交点122では、基準軸Sに対する前面102の角度が垂直となる。
図9に示す状態では、基準軸Sは、基準軸Sの方向から見て(つまりXY平面上で)前面102,112のレンズ面の中心と交差している。つまり、XY方向において、基準軸Sに対する前面102,112の位置は適切であるようにも見える。しかし、図9では、IFレンズ100,110の角度が最適な角度から回転(図で示す反時計回り方向に回転)している。この場合、基準軸Sと前面102,112の交点122では、基準軸Sに対する前面102の角度が垂直とならない。その結果、前面102,112によって手術用レーザ光に発生する収差が増加する。
詳細には、図9に示す例では、前面102,112に沿う仮想的な球面117の中心位置118と、前述した交点122とを共に通過する直線120は、基準軸Sが延びる方向に対して角度△θだけ傾いている。その結果、基準軸Sが延びる方向に対して平行、且つ球面117の中心位置118を通る直線119は、基準軸Sに対して距離△XYだけずれている。
IFレンズ100,110の角度ずれを補正せずに、前面102,112によって発生する収差を抑制する方法について説明する。前述したように、本実施形態では、基準軸Sと前面102,112の交点122において、基準軸Sに対する前面102の角度が垂直となれば、前面102,112によって発生する収差は抑制される。従って、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、前面102,112のうち基準軸Sの方向に対して垂直となる垂直位置121(つまり、直線119と前面102,112の交点121)を、基準軸Sに近づける。
後面101,111のうち基準軸Sの方向に対して垂直となる垂直位置(図示せず)も、前面102,112の垂直位置121と同様に基準軸Sに近づけることが望ましい。しかし、IFレンズ100,110の角度ずれを補正できない場合等には、後面101,111および前面102,112の両方の垂直位置を基準軸Sに近づけることが困難となり得る。図5および図6に示すように、IFレンズ100,110の後面101,111が眼E、液体、または弾性体に接触する場合には、後面101,111では前面102,112に比べて収差が生じにくい。従って、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、後面101,111の垂直位置でなく前面102,112の垂直位置121を基準軸Sに近づける。
垂直位置121を検出する方法の一例について説明する。前述したように、本実施形態の前面102,112は球面に沿った形状である。この場合、球面117の中心位置118を通過する直線は、前面102,112に対して必ず垂直に交差する。従って、直線119が基準軸Sと一致するようにIFレンズ100,110の位置が調整されると、垂直位置121は基準軸S上に位置する。その結果、図10に示すように、前面102,112によって手術用レーザ光に発生する収差は最も小さくなる。基準軸Sに沿う方向から見ると、垂直位置121は、球面117の中心位置118と重複する。つまり、垂直位置121と球面117の中心位置118のXY平面上の位置は一致する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、レンズ面に沿う球面117の中心位置118を検出することで、垂直位置121を検出することができる。以上の方法は、図9に示すIF調整動作制御処理において採用されている。
図9に示すIF調整動作制御処理(レンズ基準)は、IFレンズ100,110を基準としてインターフェース90の調整動作を実行する指示が制御部50に入力された場合に、CPU51によって実行される。
まず、CPU51は、IFレンズ100,110の前面102,112における少なくとも1点の位置情報を、レンズ面情報として取得する(S10)。一例として、本実施形態では、IFレンズ100,110の2か所以上において、OCT光の光軸に平行な断面の断面画像が断面画像撮影部23によって撮影される。CPU51は、複数の断面画像の各々において、前面102,112のエッジをレンズ面情報として検出する。ここで、CPU51は、エッジ上の円弧の位置を検出してもよいし、エッジ上に位置する複数の点の位置を検出してもよい。検出すべき円弧の長さ、または点の数は、検出した円弧または複数の点に対して円をフィッティング(当てはめ)するために必要な長さまたは数以上であればよい。従って、複数の点の位置を検出する場合、CPU51は、各々の断層画像上のエッジから、円をフィッティングするために必要な3つ以上の点の位置を検出すればよい。複数の断面画像は互いに平行であっても良い。しかし、少なくとも2つの断面が互いに交差するように複数の断面画像を撮影することによって、球面117の中心位置118を検出する際の精度が向上する。
CPU51は、前面102,112のレンズ面に沿う球面117の中心位置118を、S10で取得したレンズ面情報に基づいて検出する(S11)。一例として、CPU51は、S10で取得した各々の断層画像上のエッジに対して円をフィッティングさせる。CPU51は、フィッティングさせた複数の円の全てを通過する球面117をフィッティングさせることで、球面117および中心位置118を検出することができる。
なお、レンズ面情報から球面117の中心位置118を検出する方法は、適宜変更できる。例えば、CPU51は、同一平面上に位置しない4点の位置をエッジから検出することで、検出した4点に球面117をフィッティングさせることも可能である。また、球面117の径が予め定められている場合には、CPU51は、エッジ上の3点を検出して球面117をフィッティングさせることも可能である。
次いで、CPU51は、検出した球面117の中心位置118を、表示部54の正面画像上に垂直位置121として表示させる(S12)。前述したように、基準軸Sの方向から見ると、中心位置118と垂直位置121は一致する。また、本実施形態では、正面画像撮影部30の撮影光軸は、基準軸Sと平行である。従って、正面画像上で表示された中心位置118は、垂直位置121と一致する。
次いで、CPU51は、基準軸Sの位置を表示部54に表示させる(S13)。垂直位置121および基準軸Sの表示方法は適宜選択できる。例えば、CPU51は、図8で例示したクロスマーク106を用いて垂直位置121を正面画像上に表示してもよい。また、CPU51は、図8と同様に、正面画像に写り込む基準光の位置を、そのまま基準軸Sの位置として表示してもよい。
なお、CPU51は、垂直位置121と基準軸Sのずれが許容範囲内であるか否かを示す範囲呈示レチクル109を、図8で例示した方法と同様の方法で正面画像上に重畳表示してもよい。
次いで、CPU51は、基準軸Sに対する垂直位置121のずれが許容範囲内であるか否かを判断する(S15)。ずれが許容範囲外である場合(S15:NO)、CPU51は、調整駆動部70(図4参照)の駆動を制御してIFレンズ100,110をXY方向に移動させることで、垂直位置121を基準軸Sに近づける(S16)。処理はS10へ戻る。ずれが許容範囲内となれば(S15:YES)、IF調整動作制御処理は終了する。図8に示す処理によると、インターフェース90の角度を調整しなくても、インターフェース90の位置を調整することで、収差の影響等が容易に抑制される。
(垂直位置検出方法の他の例)
図9で例示した垂直位置121の検出方法では、球面117の中心位置118を検出することで垂直位置121が検出される。しかし、他の方法を用いて垂直位置121を検出することも可能である。
例えば、図12に示す方法では、Z軸に平行であり、且つ互いに交差する2つの平面上の各々で、IFレンズ100,110の断面画像が撮影される。2つの断面の方向(つまり、それぞれの断面画像を撮影するためのOCT光の走査方向)が交差する角度は、極力垂直に近いことが望ましい。交差角度が垂直に近い程、垂直位置121の検出精度が向上する。図12に示す例では、XZ方向の断面画像(下の画像)と、YZ方向の断面画像(右の画像)が撮影されている。なお、3つ以上の断面画像が撮影されてもよい。この場合、3つ以上の断面画像のうちの少なくとも2つ以上の方向が互いに交差していればよい。次いで、それぞれの断面画像に写り込んだ前面102,112のエッジから、Z方向の位置が同一となる任意の2つの点124が検出される。検出された2つの点124の中心を通り、且つ2つの点124を結ぶ直線に対して垂直な平面が、それぞれの断面画像から特定される。特定された2つの平面が交差するXY平面上の座標が、垂直位置121のXY座標として検出される。
また、互いに交差する2つの断面画像から、Z方向の位置が全て同一となる3つ以上の点が検出されてもよい。この場合、検出される点には、同一直線上に位置しない3つの点が含まれる必要がある。この方法では、検出された3つ以上の点に対して円がフィッティングされ、フィッティングされた円の中心のXY座標が、垂直位置121のXY座標として検出される。
また、レンズ面に対するOCT光の環状走査(サークルスキャン)を実行し、撮影される断面画像のエッジのデータに基づいて、基準軸Sに対して垂直位置121が位置する方向を求めることも可能である。
図9で例示した処理では、曲面のレンズ面における複数の点の情報が、レンズ面情報として断層画像から取得される。その後、複数の点の情報から垂直位置121が検出される。しかし、CPU51は、レンズ面における垂直位置121の情報を、レンズ面情報として直接取得してもよい。例えば、CPU51は、IFレンズ100,110をXY方向に任意に動かしながら、基準軸Sと平行な光軸の光(例えば、本実施形態ではOCT光)をレンズ面に照射して、レンズ面から垂直に光が反射される位置を探索してもよい。この場合、垂直に光が反射される位置の情報が、垂直位置121のXY座標を示すレンズ面情報として直接取得される。また、前述したように、レンズ面で反射されたアライメント指標の、XY平面上における中心位置の情報が、垂直位置121のXY座標を示すレンズ面情報として取得されてもよい。以上の場合には、曲面のレンズ面における1点の情報(垂直位置121の情報)がレンズ面情報として取得される。また、CPU51は、他の画像(例えば、シャインプルーフ画像、SLO画像等)を用いて垂直位置を検出してもよい。
また、CPU51は、後面101,111のレンズ面情報を用いて、基準軸Sに対する前面102,112のXY平面上の位置を調整する基準(例えば垂直位置121)を決定してもよい。例えば、CPU51は、後面101,111が沿う球面の中心位置、または後面101,111における垂直位置を、後面101,111のレンズ面情報を用いて検出する。CPU51は、後面101,111の球面の中心位置または後面101,111の垂直位置から、前面102,112の球面117の中心位置118または垂直位置121を決定してもよい。この場合、CPU51は、後面101,111のレンズ面情報から前面102,112の中心位置118または垂直位置121を決定する際に、基準軸Sに対するIFレンズ100,110の角度等を考慮してもよい。例えば、CPU51は、基準軸Sに対するIFレンズ100,110の光軸の角度と、後面101,111に沿う球面の中心位置または垂直位置と、前面102,112に沿う球面117の径(径は予め規定されていてもよい)とを用いることで、前面102,112の中心位置118または垂直位置121を決定してもよい。IRレンズ100,110の光軸を求める方法については後述する。また、CPU51は、後面101,111および前面102,112のうち、曲率半径が小さい方のレンズ面の情報を用いてもよい。曲率半径が小さい方が、中心位置118および垂直位置121の検出精度が向上する。
(手術部位等によるインターフェース調整基準の切り換え)
図7で例示した処理によって、眼固定部95の中心が基準軸S上に一致すると、眼固定部95が固定される眼Eの角膜が、基準軸Sに対して適切な位置に調整され易い。その結果、眼Eの角膜で生じる収差が抑制され易い。また、図11で例示した処理によって、IFレンズ100,110の垂直位置121が基準軸S上に一致すると、IFレンズ100,110のレンズ面(本実施形態では前面102,112)で生じる収差が適切に抑制され易い。眼固定部95の中心とIFレンズ100,110の垂直位置121とがXY平面上で一致している場合には、眼固定部95の中心、およびIFレンズ100,110の垂直位置121の一方を基準軸S上に調整すれば、他方も基準軸S上に調整される。しかし、眼固定部95の中心とIFレンズ100,110の垂直位置121とがXY平面上でずれている場合には、いずれか一方が基準軸S上からずれてしまう。
眼Eにおける手術対象部位、装着インターフェースの種類、または実行する術式等によって、角膜で生じる収差の影響の方が大きくなる場合と、レンズ面で生じる収差の影響の方が大きくなる場合がある。従って、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、眼Eの手術対象部位、装着インターフェースの種類、および実行する術式等の少なくともいずれかを示す手術内容情報に応じて、眼固定部基準のIF調整動作制御処理(図7参照)およびIFレンズ基準のIF調整動作制御処理(図11参照)のいずれを実行するかを判断する。例えば、制御部50は、ユーザによって入力される手術内容の指定指示を入力すると共に、指定された手術内容に応じて、眼固定部95の中心、およびレンズ面の垂直位置121の一方に基づいて調整動作を制御してもよい。この場合、手術内容に応じて適切に収差の影響が抑制される。
(IFレンズと眼固定部の個別調整)
上記実施形態では、眼固定部95とIFレンズ100,110が一体的に固定されている場合について例示した。しかし、眼固定部95とIFレンズ100,110が別々に保持部に装着される場合には、眼固定部95とIFレンズ100,110を個別に装置本体に対して調整してもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90の全体、眼固定部95、およびIFレンズ100,110の少なくともいずれかの角度を調整してもよい。
図13に示す例では、IFレンズ100,110を保持する保持部と、眼固定部(サクションリング)95を保持する保持部とが別々に設けられている。また、眼科用レーザ手術装置1は、IFレンズ調整駆動部128と、サクション調整駆動部129を備える。IFレンズ調整駆動部128は、装置本体に対するIFレンズ100,110の位置および角度を調整することができる。サクション調整駆動部129は、装置本体に対する眼固定部95のXY方向の位置を調整することができる。
図14に例示するIF調整動作制御処理(個別調整)について説明する。図7および図11で例示した処理と同様の処理を実行できる部分については、説明を簡略化する。まず、CPU51は、IFレンズ100,110の光軸を検出する(S20)。IFレンズ100,110の光軸を検出する方法には種々の方法を採用できる。例えば、CPU51は、断面画像またはアライメント指標を用いて、後面101,111の頂点および前面102,112の頂点を検出し、検出した2つの頂点を結ぶ軸を光軸として検出してもよい。また、CPU51は、後面101,111の球面の中心位置と、前面102,112の球面の中心位置を検出し、検出した2つの中心位置を結ぶ軸を光軸として検出してもよい。
CPU51は、IFレンズ調整駆動部128の駆動を制御し、装置本体に対するIFレンズ100,110の角度を調整することで、IFレンズ100,110の光軸の角度を基準軸Sの角度に近づける(S21)。CPU51は、垂直位置(図14に示す例では、XY平面上におけるIFレンズ100,110の光軸の位置)を表示部54に表示させる(S22)。さらに、CPU51は、基準軸Sの位置を表示部54に表示させる(S23)。CPU51は、基準軸Sに対する垂直位置(光軸)のずれが許容範囲内であるか否かを判断する(S25)。ずれが許容範囲外であれば(S25:NO)、CPU51は、IFレンズ調整駆動部128の駆動を制御してIFレンズ100,110をXY方向に移動させることで、垂直位置を基準軸Sに近づける(S26)。処理はS22へ戻る。ずれが許容範囲内になれば(S25:YES)、処理はS28へ移行する。
CPU51は、環状の眼固定部95の中心を検出する(S28)。検出された眼固定部95の中心の位置が、表示部54に表示される(S29)。さらに、基準軸Sの位置が表示部54に表示される(S30)。CPU51は、眼固定部95の中心の位置と基準軸Sの位置の間のずれが許容範囲内であるか否かを判断する(S32)。ずれが許容範囲外である場合(S32:NO)、CPU51は、サクション調整駆動部129の駆動を制御して眼固定部95をXY方向に移動させることで、眼固定部95の中心の位置を基準軸Sに近づける(S33)。処理はS28へ戻る。ずれが許容範囲内になれば(S32:YES)、IF調整動作制御処理は終了する。
なお、図13および図14に示した例では、装置本体に対する角度が調整されるのは、IFレンズ100,110のみである。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼固定部95の角度を調整することも可能である。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、例えば、正面画像、断面画像、または眼固定部95を撮影するカメラ等を用いて、装置本体に対する眼固定部95の角度を検出してもよい。眼科用レーザ手術装置1は、検出した眼固定部95の角度が基準軸Sの角度に近づくように、サクション調整駆動部129の駆動を制御して、眼固定部95の角度を調整してもよい。
また、眼固定部95とIFレンズ100,110が一体的に固定されている場合、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対するインターフェース90の全体の角度を調整してもよい。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼固定部95の角度を基準にしてインターフェース90の角度を調整してもよいし、装置本体に対するIFレンズ100,110の角度を基準にしてインターフェース90の角度を調整してもよい。また、図13および図14に示した例では、IFレンズ100,110の光軸を検出することで、装置本体に対するIFレンズ100,110の角度が検出される。しかし、他の方法(例えば、角度を検出するためのカメラ等)を用いてIFレンズ100,110の角度が検出されてもよい。
<眼とインターフェースの結合>
図15から図23を参照して、眼Eに対してインターフェース90を結合(ドッキング)させるドッキング動作について説明する。図15に示すドッキング処理は、手術用レーザ光による眼Eの手術が行われるよりも前に、制御部50のCPU51(コントローラ)によって実行される。CPU51は、ROM52または不揮発性メモリに記憶された眼科装置制御プログラム(眼科手術制御プログラム)に従って、図15に示すドッキング処理を実行する。
まず、CPU51は、装置本体(例えば、筐体60、筒部61)およびインターフェース90の位置を、ドッキング開始前のデフォルト位置に調整する(S40)。例えば、デフォルト位置は、インターフェース90と眼Eの距離が適度に離間する位置としてもよい。一例として、本実施形態では、インターフェース90と眼Eの距離が約100mmとなる位置にデフォルト位置が設定されている。従って、装置本体がデフォルト位置にある間、ユーザは眼Eの手術前における各種処置(例えば開瞼器による眼Eの開瞼)等を行うことができる。
CPU51は、ユーザによって入力された照明光量に応じて、眼Eを照明する照明光源(本実施形態ではアライメント・照明光源64)の光量を設定する(S41)。本実施形態では、ユーザは、操作部55(図1参照)を操作することで、光量を調整する操作指示を眼科用レーザ手術装置1に入力することができる。つまり、CPU51は、操作部55(光量受付部)を介して、指示された光量を取得する。
CPU51は、保持部67に装着されたインターフェース90の種類と、実行する手術の術式を取得する。CPU51は、取得したインターフェース90の種類と術式に応じて、正面画像撮影部30によって撮影する眼Eの正面画像の倍率およびフォーカスを調整する(S42)。
装着されたインターフェース90の種類を取得する方法は適宜選択できる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、保持部67に装着されたインターフェース90の種類を検出するためのセンサ(例えば、RFIDリーダ、バーコードリーダ等)を備えていてもよい。また、CPU51は、操作部55に対して入力された術式に対応するインターフェース90の種類を、装着インターフェースとして認識してもよい。
フォーカスを眼Eに調整する方法も適宜選択できる。一例として、本実施形態のCPU51は、前述した受光調整部(図2に示す受光調整部33,34の少なくともいずれか)を駆動してフォーカス状態を変更しながら、正面画像に対して画像処理を行うことで、眼Eにフォーカスを合わせる。例えば、CPU51は、アライメント指標投影部63から眼Eに投影されているアライメント指標の輝点が、正面画像上で最も小さくなる状態を、眼Eにフォーカスが調整された状態と判断してもよい。また、正面画像に写り込んでいる眼Eの組織(例えば虹彩)が最も鮮明となる状態を、フォーカスが調整された状態と判断してもよい。
正面画像に写り込んでいる輝点または組織のフォーカス状態に基づいてフォーカスを調整する場合、CPU51は、受光調整部の駆動を制御しながら輝点または組織のフォーカス状態の変化を検出することで、受光調整部の駆動方向が正しいか否かを検出してもよい。例えば、CPU51は、受光調整部の駆動を制御して、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかを第1の方向に移動させながら、正面画像上の輝点または組織のフォーカス状態の変化(例えば、輝点の大きさの変化)を検出する。CPU51は、フォーカス状態が改善されている場合(例えば、正面画像上の輝点の大きさが、受光調整部の駆動に伴って小さく変化している場合)には、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかを、継続して第1の方向に移動させる。一方で、CPU51は、フォーカス状態が悪化している場合(例えば、正面画像上の輝点の大きさが、受光調整部の駆動に伴って大きく変化している場合)には、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかを、第1の方向とは反対の第2の方向に切り換える。この場合、フォーカス状態の自動調整が、より円滑に実行される。
また、正面画像の倍率を調整する方法も適宜選択できる。一例として、本実施形態では、装着インターフェースの種類、および実行する手術の術式の少なくともいずれかに応じて、正面画像の適切な倍率が予め定められている。前述したように、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光調整部33,34,36の少なくともいずれかを駆動することで、正面画像の撮影倍率を、装着インターフェースの種類および術式の少なくともいずれかに適した倍率に調整することができる。
次いで、CPU51は、装置本体に対する眼Eの位置を示す位置情報を取得する(S43)。本実施形態のS43では、眼Eから受光素子31に延びる光路(つまり、正面画像撮影部30の撮影光路)の光軸に沿う方向の、装置本体と眼Eの間の距離(つまり、装置本体に対する眼EのZ方向位置)が、位置情報として取得される。
眼EのZ方向位置を取得する方法について説明する。一例として、本実施形態では、受光調整部(フォーカス調整部)33,34によるフォーカス状態の調整結果に基づいて、眼EのZ方向位置が取得される。詳細には、本実施形態では、受光素子31および撮影光路上の光学部材の少なくともいずれかを、撮影光軸に沿って移動させることで、正面画像のフォーカスが眼Eに調整される。フォーカス状態が適切に調整される場合の受光素子31および光学部材の位置は、眼EのZ方向位置に応じて、テーブルまたは演算式等で予め対応付けられている。従って、CPU51は、フォーカス状態が調整された状態の、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかの位置に基づいて、装置本体と眼Eの間の距離を取得することができる。
なお、眼EのZ方向位置を取得する方法は変更できる。例えば、装置本体のZ方向位置を検出するエンコーダの値によって、眼EのZ方向位置が取得されてもよい。断面画像撮影部23によって取得される眼Eの断面画像または干渉信号によって、眼EのZ方向位置が取得されてもよい。眼EのZ方向位置を検出するためのカメラ、または超音波送受信機が用いられてもよい。また、正面画像に写り込む無限遠の指標と有限遠の視標の関係に基づいて、眼EのZ方向位置が取得されてもよい。
また、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかを移動させることで正面画像のフォーカス状態を調整する。しかし、フォーカス状態を調整する方法も変更できる。例えば、焦点距離を変化させることが可能な液体レンズ等を用いてフォーカス状態を調整することも可能である。この場合、CPU51は、液体レンズ等の状態に基づいて眼EのZ方向位置を検出することができる。
次いで、CPU51は、ドッキングの開始指示が入力されたか否かを判断する(S44)。ドッキングの開始指示は、ドッキングを行うための準備(例えば、開瞼器による眼Eの開瞼等)が完了した場合に、ユーザが操作部55を操作することで入力されてもよい。
ドッキングの開始指示が入力されると(S44:YES)、CPU51は、結合駆動部66の駆動を制御して、装置本体(例えば、筐体60、筒部61等)および保持部67を下降させる(S46)。その結果、装置本体と眼Eが徐々に近づけられる。なお、眼科用レーザ手術装置1は、対象者を移動させることで装置本体と眼Eを近づけてもよい。
CPU51は、受光調整部33,34の少なくともいずれかを制御することで、装置本体に対して徐々に近づく眼Eに対して正面画像のフォーカスを随時調整する(S47)。前述したように、本実施形態では、フォーカス状態が適切に調整される場合の受光素子31および光学部材の位置は、眼EのZ方向位置に応じて、テーブルまたは演算式等で予め対応付けられている。また、CPU51は、デフォルト位置で一旦取得された眼EのZ方向位置と、S43が行われた以後の装置本体の移動距離に応じて、その時点における眼EのZ方向位置を随時取得することができる。CPU51は、その時点における眼EのZ方向位置に応じた位置に受光素子31および光学部材を調整することで、装置本体を移動させながら正面画像のフォーカスを調整することができる。
さらに、装置本体の移動中には、光量調整処理(S48)、XY方向アライメント処理(S49)、およびサイズ指標表示処理(S50)が行われる。
<光量調整>
図16および図17を参照して、光量調整処理について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、光量調整処理を実行することで、アライメント・照明光源64から眼に照射される光の光量を調整することができる。
図16に示すように、光量調整処理が開始されると、眼EのZ方向位置が取得される(S60)。前述したように、CPU51は、受光調整部(フォーカス調整部)33,34によるフォーカス状態の調整結果に基づいて、眼EのZ方向位置を取得することができる。例えば、CPU51は、デフォルト位置でフォーカス調整を行うことで取得された眼EのZ方向位置と、その後の装置本体の移動距離に応じて、その時点における眼EのZ方向位置を取得してもよい。また、CPU51は、その時点の受光素子31および光学部材の少なくともいずれかの位置に基づいて、その時点における眼EのZ方向位置を取得してもよい。また、前述したように、断面画像撮影部23等を用いて眼EのZ方向位置を取得することも可能である。
次いで、CPU51は、眼Eの位置情報(本実施形態ではZ方向位置)に応じて、アライメント・照明光源64から眼に照射される光の光量を調整する(S61)。詳細には、本実施形態のCPU51は、アライメント・照明光源64に供給する電力を制御することで、アライメント・照明光源64から照射されて眼Eに到達する光の光量を調整する。
図17を参照して、眼EのZ方向位置(つまり、装置本体と眼Eの距離)と、光の光量との関係について説明する。本実施形態では、眼Eの位置情報の1つであるZ方向位置と、光の光量(本実施形態では、アライメント・照明光源64に供給する電圧)とを対応付けるテーブルが、不揮発性メモリに予め記憶されている。図17に例示するテーブルは種々の方法で作成することができる。例えば、本実施形態では、眼EのZ方向位置が固定された状態で、供給電圧を変化させながら観察画像(正面画像)の輝度が検出される。検出された輝度が一定の範囲内となる適切な供給電圧が探索される。次いで、それぞれのZ方向位置において適切な供給電圧をプロットしていくことで、テーブルが作成される。この場合、観察画像における基準部位(例えば、眼Eの虹彩)の輝度が一定の範囲内となるようにテーブルが作成されてもよい。また、観察画像の全体の平均輝度が一定の範囲内となるようにテーブルが作成されてもよい。
なお、眼科用レーザ手術装置1は、テーブルを用いることで、眼Eの位置と光量の関係が複雑になる場合でも適切に両者を対応付けることができる。詳細は後述するが、本実施形態では、アライメント・照明光源64から眼Eに向けて照射される光の少なくとも一部が部材(本実施形態ではインターフェース90)によって遮断される遮断領域が存在する。その結果、図17に示すように、眼Eの位置と光量の関係が複雑になる。しかし、本実施形態では、光が遮断される影響も考慮されたテーブルが作成されているので、眼Eの位置と光量の関係が適切に対応付けられる。
CPU51は、図17に例示するテーブルに従って供給電圧を調整することで、表示される観察画像の輝度を、眼EのZ方向位置に関わらず一定の範囲内に維持することができる。さらに、CPU51は、図17に示すテーブルに従って供給電圧を調整することで、眼Eで反射して受光素子31に入射する反射光の光量を、Z方向位置に関わらず一定の範囲内に維持することができる。特に、本実施形態のCPU51は、インターフェース90による照明光のケラレの影響も踏まえたうえで光量を調整することができる。
また、CPU51は、眼Eの位置情報と共に、ユーザによって入力された照明光量も考慮して、アライメント・照明光源64に供給する電圧を調整することができる。本実施形態では、図17に示すように、ユーザによって入力される照明光量(例えば、装置本体がデフォルト位置にある際に入力される照明光量)に応じて、眼EのZ方向位置と照明電圧が対応付けられている。CPU51は、眼EのZ方向位置と、ユーザによって入力された照明光量とに共に対応付けられた電圧を光源に供給する。
なお、CPU51は、位置情報から光量を演算する演算式を用いて、眼Eに到達する光の光量を調整してもよい。さらに、CPU51は、位置情報と、ユーザによって入力された照明光量とによって光量を演算する演算式を用いてもよい。
図16の説明に戻る。本実施形態では、CPU51は、アライメント・照明光源64に供給する電力の調整処理(S61)を実行しつつ、表示する観察画像(正面画像)のゲインおよびオフセットの少なくともいずれかを調整する(S62)。CPU51は、表示部54に表示される観察画像の輝度が一定の範囲内に維持されるように、ゲインおよびオフセットの少なくともいずれかを調整してもよい。この場合、CPU51は、ゲインおよびオフセットの少なくともいずれかを調整することで、観察画像における基準部位の輝度を一定の範囲内に維持してもよいし、観察画像全体の平均輝度を一定の範囲内に維持してもよい。
CPU51は、受光素子31が眼Eからの反射光を受光することで出力する受光信号に基づいて、眼Eの前眼部の観察画像データ(正面画像データ)を生成する。CPU51は、生成した観察画像データに基づいて、眼Eの正面画像を表示部54に表示させる。その結果、表示部54に表示されている正面画像が更新される(S63)。つまり、CPU51は、観察画像データを連続して生成しながら結合駆動部66を駆動し、インターフェース90を眼Eに結合させる。処理はドッキング処理(図15参照)へ戻り、XY方向アライメント処理(図18参照)へ移行する。
<XY方向のアライメント>
図18および図19を参照して、XY方向アライメント処理について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、XY方向アライメント処理を実行することで、インターフェース90の構成する部品の少なくともいずれかを基準として結合動作(ドッキング動作)を制御することができる。一例として、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、XY方向アライメント処理を実行することで、眼固定部95の内側のエッジ97(内径)によって求められる眼固定部95の中心を基準として結合動作を制御することができる。
まず、CPU51は、インターフェース90における環状の眼固定部95の中心を検出する(S1)。本実施形態では、図7に示すIF調整動作制御処理(眼固定部基準)、または、図14に示すIF調整動作制御処理(個別調整)が実行されている場合には、IF調整動作制御処理中(図7のS1または図14のS28)において眼固定部95の中心が既に検出されている。この場合、CPU51は、すでに検出されている眼固定部95の中心をそのまま用いてもよい。また、IF調整動作制御処理において、眼固定部95の中心が基準軸に合わせられている場合、CPU51は、正面画像上に写り込む基準光(例えば、図19に示す基準視標108参照)の位置に基づいて眼固定部95の中心を検出してもよい。なお、IF調整動作制御処理において眼固定部95の中心が検出されていない場合、S70では、図7のS1またはS14のS28と同様の処理によって眼固定部95の中心が検出されればよい。従って、この説明は省略する。
次いで、CPU51は、眼中心検出処理を実行する(S71)。眼中心検出処理では、眼Eの中心が検出される。この詳細は、図20および図21を参照して後述する。
CPU51は、眼固定部95の中心と眼Eの中心を、正面画像上に表示させる(S72)。図19は、結合動作中に表示される正面画像である結合動作中画像131の一例を示す図である。図19に例示する結合動作中画像131では、眼Eの虹彩132等が写り込んでいる。また、アライメント指標投影部63(図4参照)によって照射されて角膜で反射された輝点133が写り込んでいる。図19に示す例では、前述したIF調整動作制御処理において、眼固定部95の中心が基準軸Sに合わせられている。従って、CPU51は、基準軸Sの位置を示す基準視標108の位置を、そのまま眼固定部95の中心の位置として表示させる。ただし、基準視標108とは異なる態様で眼固定部95の中心の位置が表示されてもよい。また、図19に示す例では、円形の眼中心マーク135が結合動作中画像131上に重畳表示されることで、眼Eの中心の位置が示される。
さらに、CPU51は、眼Eの中心の位置と眼固定部95の中心の位置のずれが許容範囲内であるか否かを示す範囲呈示レチクル137を、結合動作中画像131上に重畳表示させる。眼中心マーク135が範囲呈示レチクル137の内側に位置している場合、眼固定部95の中心に対する眼Eの中心の位置ずれが許容範囲内であることを示す。許容範囲の広さは、実験等に基づいて予め定められていてもよいし、ユーザによって入力される操作指示に応じて定められてもよい。
図18の説明に戻る。眼Eの中心の位置に対する眼固定部95の中心の位置のずれが許容範囲内でない場合、CPU51は、結合駆動部66(図4参照)の駆動を制御して装置本体を眼Eに対してXY方向に移動させることで、眼固定部95の中心の位置を眼Eの中心の位置に近づける(S73)。前述したように、本実施形態では、眼固定部95の中心と基準軸Sが予め合わせられている場合がある。この場合、S73の処理では、基準軸Sの位置が眼Eの中心の位置に近づけられる。処理はドッキング処理(図15参照)へ戻る。なお、本実施形態では眼固定部95の中心と眼Eの中心が自動で近づけられるが、ユーザが結合動作中画像131を見ながら手動で眼固定部95の中心と眼Eの中心を近づけてもよい。また、眼固定部95の中心と眼Eの中心を自動で近づける場合には、眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95の中心と眼Eの中心の表示部54への表示を行わなくてもよい。
なお、S72およびS73の処理を変更することも可能である。例えば、CPU51は、正面画像撮影部30の受光素子31(図2参照)によって撮影された画像から、眼Eの中心位置と、基準光源3によって投影される基準光の投影位置とを検出してもよい。さらに、CPU51は、眼Eの中心位置と、基準光の投影位置とに基づいて、装置本体に対する眼Eの位置合わせ動作を制御してもよい。詳細には、CPU51は、眼Eの中心位置と基準光の投影位置を正面画像上に表示させてもよい。また、CPU51は、結合駆動部66を制御して、装置本体と眼Eの相対的な位置関係を変化させることで、眼Eの中心位置と基準光の投影位置とを近づけてもよい。この場合、基準軸Sに対して適切な位置に眼Eが固定され易い。例えば、基準軸Sが眼固定部95の中心に一致している場合には、眼固定部95が眼Eの適切な位置に固定され易い。
<眼の中心の検出>
図20および図21を参照して、眼中心検出処理について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼中心検出処理を実行する際の検出条件に応じて、眼Eの中心位置を検出する方法を切り換えることができる。一例として、本実施形態では、正面画像撮影部30および断面画像撮影部23の撮影光軸に沿う方向の、装置本体と眼Eの間の距離(つまり、眼EのZ方向位置)が検出条件として取得される。また、アライメント指標投影部63からの投影光によって生じる角膜上の輝点133の検出状態が、検出条件として取得される。
本実施形態の眼科用レーザ手術装置1が実行可能な眼Eの中心検出方法について説明する。一例として、本実施形態で実行される眼Eの中心検出方法には、輝点フィッティング検出方法、輝点重心検出方法、および形状検出方法が含まれる。
輝点フィッティング検出方法では、CPU51は、正面画像を処理することで、眼Eの角膜によって反射された1または複数のアライメント指標の輝点133を検出する。次いで、CPU51は、検出した1または複数の輝点133を通過する環状図形の中心を、眼Eの中心位置として検出する。つまり、検出された輝点133に対して環状図形がフィッティングされ、フィッティングされた環状図形の中心が眼Eの中心位置として検出される。輝点フィッティング検出方法によると、輝点重心検出方法を用いる場合に比べて正確に眼Eの中心位置が検出される。環状図形の形状は適宜選択できるが、一例として、本実施形態では楕円の環状図形が用いられる。
輝点フィッティング検出方法では、輝点133の検出状態が、環状図形を特定(フィッティング)するために十分となっている必要がある。例えば、複数の輝点133に対して楕円の環状図形をフィッティングさせる場合、フィッティングに必要な輝点133の個数が条件に応じて異なる。具体的には、輝点133の個数が4個の場合には、4個の輝点133が平行四辺形等の特定の図形の頂点となれば楕円のフィッティングが可能だが、特定の図形の頂点とならない場合には4個の輝点による楕円フィッティングは不可能である。輝点133の個数が5個以上の場合には、楕円のフィッティングが可能である。また、連続したリング状のアライメント指標を角膜に投影する場合には、リング状の輝点が検出される程度に応じて、環状図形のフィッティングの正確性が変化する。以上のように、環状図形のフィッティングが可能な条件は、フィッティングさせる図形の形状、輝点133の配置、アライメント指標の種類等によって適宜変化する。
従って、CPU51は、環状図形のフィッティングが可能か否かを判断する場合には、条件に適した判断基準を用いればよい。例えば、アライメント指標投影部63に複数の点光源を用いる場合には、CPU51は、検出された輝点133の数が閾値以上であるか否かによって、フィッティングが可能であるか否かを判断してもよい。また、連続したリング状の光源をアライメント指標投影部63に用いる場合には、CPU51は、検出された円弧状の輝点の面積、角度、および長さの少なくともいずれかが、フィッティングのために必要な閾値以上であるか否かによって、フィッティングが可能であるか否かを判断してもよい。
輝点重心検出方法では、CPU51は、正面画像を処理することで、眼Eの角膜によって反射された1または複数のアライメント指標の輝点133を検出する。次いで、CPU51は、検出した1または複数の輝点133の重心を、眼Eの中心位置として検出する。輝点重心検出方法によると、環状図形をフィッティングするために十分な輝点133が検出されない場合でも、眼Eの中心位置が簡易に検出される。また、輝点133とノイズの判別が困難な場合でも、ノイズも輝点133として認識して重心を検出することも可能である。また、輝点重心検出方法を実行する場合のCPU51の処理負荷は、輝点フィッティング検出方法を実行する場合に比べて小さい。
形状検出方法では、CPU51は、撮影部(正面画像撮影部30および断面画像撮影部23の少なくともいずれか)によって撮影された画像を処理することで、眼Eの瞳孔146(図20参照)の形状、角膜の形状、虹彩の形状、および角膜径(例えば、正面から見た場合の角膜の外形)の少なくともいずれかを検出する。CPU51は、検出した形状から、瞳孔146の中心および角膜の中心の少なくともいずれかを眼Eの中心位置として検出する。例えば、CPU51は、正面画像を処理することで、眼Eの瞳孔146の外側のエッジ(つまり、虹彩132の内側のエッジ)147を検出してもよい。この場合、CPU51は、エッジ147に対して環状図形(例えば円または楕円)をフィッティングさせて、環状図形の中心を眼Eの中心位置として検出してもよい。また、CPU51は、眼Eの角膜の断面画像を処理することで角膜の頂点位置を検出し、検出した角膜の頂点位置を眼Eの中心位置として検出してもよい。形状検出方法によると、アライメント指標の輝点133が正面画像から検出されない場合でも、眼Eの中心位置が検出される。
図20を参照して、眼Eが位置する領域と、眼Eの中心検出方法との関係について説明する。本実施形態では、撮影部の撮影光軸に沿うZ方向の、装置本体と眼Eの間の距離(つまり、眼EのZ方向位置)に応じて、複数の領域が定められている。一例として、本実施形態では、装置本体(この場合には、インターフェース90)からの距離が遠い方から順に、遠距離領域、任意領域、遮断領域、および近距離領域が定められている。
遠距離領域は、装置本体と眼Eの間の距離が第1閾値以上となる領域である。第1閾値は適宜設定できる。図20に示す例では、第1閾値は80mmに設定されている。遠距離領域では、アライメント指標投影部63と眼Eの間の距離が大きいので、輝点133が正面画像に鮮明に写らない場合がある。この場合、ノイズと輝点133の判別が困難となり得る。また、複数の輝点133が角膜の狭い領域内に密集し易いので、それぞれの輝点133の検出が困難な場合もある(図20の遠距離領域画像141参照)。一方で、遠距離領域ではインターフェース90と眼Eの間の距離が大きいので、眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの中心位置を正確に検出しなくても、中心位置をある程度検出できれば結合動作を実行することができる。従って、本実施形態のCPU51は、眼Eが遠距離領域にある場合には、十分な輝点133が検出されない場合でも小さい処理負荷で眼Eの中心位置を検出可能な輝点重心検出方法を採用する。
任意領域は、遠距離領域と遮断領域の間に定められている。任意領域は遠距離領域よりも装置本体に近いので、可能な限り正確に眼Eの中心位置が検出されることが望ましい。しかし、任意領域でも、輝点133の検出が困難となる場合があり得る(図20の任意領域画像142参照)。また、何らかの障害物(例えば、術者の手等)がアライメント指標投影部63と眼Eの間に入り込み、アライメント指標の投影光が遮断されてしまう場合もあり得る。従って、本実施形態のCPU51は、眼Eが任意領域にある場合には、アライメント指標投影部63からの投影光によって生じる角膜上の輝点133の検出状態に応じて、
複数(本実施形態では3つ)の中心検出方法を使い分ける。
遮断領域は、アライメント指標投影部63から眼Eに投影されるアライメント指標の投影光が、部材(本実施形態ではインターフェース90)によって遮断される領域である(図20の遮断領域画像143参照)。一例として、図20に示す例では、装置本体からの距離が10mm〜20mmの範囲が遮断領域として定められている。遮断領域では、アライメント指標による輝点133を検出することが困難である。従って、本実施形態のCPU51は、眼Eが遮断領域にある場合には、輝点133が検出されない場合でも眼Eの中心位置を検出することが可能な形状検出方法を採用する。
近距離領域は、装置本体と眼Eの間の距離が第2閾値以下となる領域である。第2閾値は適宜設定できるが、第1閾値と第2閾値を共に設定する場合には、第2閾値は第1閾値以下に設定される。近距離領域は、インターフェース90と眼Eが結合される直前の領域である。眼科用レーザ手術装置1は、可能な限り正確な眼Eの位置にインターフェース90を結合させることが望ましい(図20の近距離領域画像144参照)。従って、本実施形態のCPU51は、眼Eが近距離領域にある場合には、より正確に眼Eの中心位置を検出することが可能な輝点フィッティング検出方法を採用する。
なお、本実施形態のCPU51は、撮影部の撮影光軸に沿うZ方向の、装置本体と眼Eの間の距離(つまり、Z方向位置)に応じて、眼Eがいずれの領域に位置しているかを判断する。前述したように、眼EのZ方向位置を取得する方法は適宜選択できる。一例として、本実施形態では、光量調整処理(図16のS60参照)において取得された眼EのZ方向位置を利用する。
図21を参照して、本実施形態における眼中心検出処理について説明する。まず、CPU51は、眼Eが位置する領域が遠距離領域内であるか否かを判断する(S81)。眼Eが遠距離領域内にある場合には(S81:YES)、正面画像から輝点133を検出することが可能であるか否かが判断される(S82)。輝点133の検出が可能な場合(S82:YES)、輝点重心検出方法によって眼Eの中心位置が検出されて(S83)、処理はXY方向アライメント処理(図18参照)へ戻る。輝点133の検出が不可能な場合(S82:NO)、結合動作を停止させることを示す停止フラグがONとされて(S84)、処理はXY方向アライメント処理へ戻る。
眼Eが遠距離領域内にない場合には(S81:NO)、眼Eが任意領域内にあるか否かが判断される(S86)。眼Eが任意領域にある場合には(S86:YES)、輝点133に対する環状図形のフィッティングが可能であるか否かが判断される(S87)。フィッティングが可能である場合(S87:YES)、輝点フィッティング検出方法によって眼Eの中心位置が検出される(S88)。なお、本実施形態のS88では、輝点フィッティング検出方法と形状中心検出方法の両方で眼Eの中心位置を検出することが可能な場合、CPU51は、輝点フィッティング検出方法によって検出された中心位置と、形状検出方法によって検出された中心位置のずれを検出する。この場合、CPU51は、検出したずれを用いることで、以後の処理において異なる検出方法で同一の中心位置を検出することも可能である。
フィッティングが不可能である場合(S87:NO)、正面画像から輝点133を検出することが可能であるか否かが判断される(S89)。輝点133の検出が可能な場合(S89:YES)、輝点重心検出方法によって眼Eの中心位置が検出される(S90)。
次いで、CPU51は、装置本体に対する眼Eの相対的なXY方向の移動を、所定条件の成立に伴って制限する(S91)。輝点重心検出方法による眼Eの中心位置の検出精度は、他の検出方法による検出精度よりも低くなり易い。この場合、例えば、輝点フィッティング検出方法から輝点重心検出方法に切り換わった際に、検出される眼Eの中心位置が急に変化する場合がある。この影響を抑制するために、本実施形態のCPU51は、中心位置の検出方法が他の検出方法(例えば輝点フィッティング検出方法)から輝点重心検出方法に切り換わり、且つ、S90で検出された中心位置が特定領域内に位置していることを条件として、XY方向の移動を制限する。本実施形態では、S91においてXY移動制限フラグがONとされると、XY方向アライメント処理(図18参照)のS73において、装置本体およびインターフェース90のXY方向の移動が制限される(例えば、移動の禁止、移動速度の減少、および移動範囲の減少等の少なくともいずれかが実行される)。
この場合、例えば、装置本体およびインターフェース90の無駄なXY方向の移動等が抑制される。より詳細には、例えば眼EのZ方向位置が任意領域から遮断領域へ移行する際に、輝点133が徐々に消えて、眼Eの中心検出方法が輝点フィッティング検出方法から輝点重心検出方法に切り換わる場合がある。この場合に、装置本体が無駄にXY方向に移動されることが抑制されて、眼Eとインターフェース90の距離が円滑に近づく。なお、本実施形態では、S90で輝点重心検出方法によって検出された中心位置が特定領域外に位置している場合には、検出された中心位置に基づいて、装置本体がXY方向に移動される。また、特定領域は適宜設定することができる。例えば、基準軸Sを中心とする所定の円形領域が特定領域とされてもよい。また、任意領域から遮断領域へ移行する領域では、検出方法が切り換わることの影響を抑制するために、輝点重心検出方法による中心位置の検出自体が禁止されてもよい。
輝点133の検出が不可能な場合(S89:NO)、形状検出方法が実行できるか否かが判断される(S92)。可能な場合(S92:YES)、形状検出方法によって眼Eの中心位置が検出される(S93)。形状検出方法を実行できない場合(S92:NO)、停止フラグがONとされる(S94)。
眼Eが任意領域にない場合には(S86:NO)、眼Eが遮断領域内にあるか否かが判断される(S95)。眼Eが遮断領域にある場合には(S95:YES)、形状検出方法を実行できるか否かが判断される(S96)。可能な場合(S96:YES)、形状検出方法によって眼Eの中心位置が検出される(S97)。形状検出方法を実行できない場合(S96:NO)、本実施形態では、装置本体に対する眼EのXY方向の位置が適切であると仮定されて、装置本体のXY方向の移動を禁止させるフラグがONとされる(S98)。この場合、装置本体は、XY方向には移動せずにZ方向の移動を続ける。しかし、CPU51は、S98の処理を実行する代わりに停止フラグをONとしてもよい。
なお、本実施形態では、輝点フィッティング検出方法によって検出された中心位置と、形状検出方法によって検出された中心位置のずれがS88で検出されている場合がある。この場合、CPU51は、S93およびS97において、形状検出方法によって検出した中心位置と、S88で検出したずれに基づいて、眼Eの中心位置を決定する。詳細には、CPU51は、形状検出方法によって検出した中心位置から、S88で検出したずれの方向および量だけずれた位置を、眼Eの中心位置として決定する。この場合、検出方法の違いによる不具合の発生が抑制される。
眼Eが近距離領域にある場合には(S95:NO)、輝点133に対する環状図形のフィッティングが可能であるか否かが判断される(S100)。フィッティングが可能である場合(S100:YES)、輝点フィッティング検出方法によって眼Eの中心位置が検出される(S101)。フィッティングが不可能である場合(S100:NO)、停止フラグがONとされる(S102)。処理はXY方向アライメント処理へ戻る。図15に示すように、XY方向アライメント処理(S49)が終了すると、サイズ指標表示処理が行われる(S50)。
<サイズ指標の表示>
図22および図23を参照して、サイズ指標表示処理について説明する。サイズ指標150(図23参照)とは、眼固定部95のサイズを示す指標である。本実施形態のサイズ指標150は、眼固定部95のうち、眼Eに接触する部分の外形のサイズを示す。本実施形態のサイズ指標表示処理では、表示部54の正面画像上にサイズ指標150が重畳表示される。
図22に示すように、サイズ指標表示処理が開始されると、サイズ指標150の表示をOFFとする指示が入力されているか否かが判断される。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、ユーザによる操作指示の入力を受け付ける指示受付部(操作部55)を介して、正面画像上でのサイズ指標150の重畳表示(表示ON)と非表示(表示OFF)とを切り換える指示が入力される。CPU51は、入力された指示に応じて、サイズ指標150の重畳表示と非表示とを切り換えることができる。詳細には、CPU51は、サイズ指標150の表示をOFFとする指示が入力されている場合には(S110:YES)、サイズ指標150を表示させるための処理(S114〜S117)を実行することなく、処理をドッキング処理(図15参照)へ戻す。従って、ユーザは、眼Eの十分な開瞼が行われていることを確認した場合等に、サイズ指標150の表示を容易に消去させることができる。
サイズ指標150の表示をOFFとする指示が入力されていなければ(S110:NO)、CPU51は、正面画像撮影部30の撮影光路の光軸に沿うZ方向の、装置本体に対する眼Eの位置(つまり、Z方向位置)を取得する(S111)。前述したように、眼EのZ方向位置を取得する方法は適宜選択できる。本実施形態では、光量調整処理(図16のS60参照)において、受光調整部33,34(フォーカス調整部)の調整結果に基づいて眼EのZ方向位置が既に取得されている。詳細には、図16のS60では、フォーカスが眼Eに調整された状態の、正面画像撮影部30における受光素子31および光学部材の少なくともいずれかの位置に基づいて、眼EのZ方向位置が取得されている。S111では、図16のS60において取得された眼EのZ方向位置が利用される。なお、前述したように、眼EのZ方向位置を取得する方法は変更してもよい。例えば、CPU51は、断面画像撮影部23によって撮影される眼Eの断面画像に基づいて、眼EのZ方向位置を取得してもよい。
次いで、CPU51は、正面画像の撮影光路の光軸に沿う方向(Z方向)における装置本体と眼Eの間の距離が閾値以上であるか否かを判断する(S112)。装置本体と眼Eの距離が近づいた状態で、眼Eの開瞼をやり直す場合、装置本体(例えばインターフェース90)が開瞼作業の邪魔になり易い。従って、ユーザにとっては、装置本体と眼Eの間の距離が一定以上離れた状態で、開瞼が十分に行われているか否かを判断できるのが望ましい。また、インターフェース90が眼Eに結合される直前では、眼Eに対するインターフェース90のXY方向のアライメントが適切か否かをユーザに判断させるための情報が、正面画像によって十分に提示されることが望ましい。従って、装置本体と眼Eの間の距離が閾値未満である場合には、XY方向のアライメント状態の確認には用いられないサイズ指標150は非表示とされることが望ましい。よって、CPU51は、装置本体と眼Eの間の距離が閾値未満であれば(S112:NO)、サイズ指標150を表示させるための処理を実行することなく、処理をドッキング処理(図15参照)へ戻す。距離が閾値以上であれば(S112:YES)、サイズ指標150を正面画像上に表示させるための処理が行われる(S114〜S117)。なお、S112の判断基準となる閾値は、予め定められていてもよいし、ユーザによって変更されてもよい。また、眼EのZ方向位置に関わらずサイズ指標150が表示されるように、S112の判断が省略されてもよい。
サイズ指標150を表示させる場合、CPU51は、複数種類の眼固定部95のうち、使用されている眼固定部95の種類が検出される(S114)。本実施形態では、インターフェース90の種類に応じて、インターフェース90の眼固定部95の種類(眼固定部95の大きさ)も異なる場合がある。従って、S114では、CPU51は、保持部67(図4参照)に装着されたインターフェース90の種類を検出する。なお、装着インターフェースの種類を取得する方法には、ドッキング処理(図15参照)のS42において説明した方法と同様の方法を採用できる。
次いで、CPU51は、インターフェース90の種類と、眼EのZ方向位置に応じて、正面画像上に重畳表示させるサイズ指標150の大きさを決定する(S115)。本実施形態における正面画像撮影部30は、装置本体と眼Eの間の距離に応じて異なる倍率で、眼Eの前眼部の正面画像を撮影する(図20の画像141〜144参照)。この場合、ユーザは、装置本体と眼Eの間の距離に応じた適切な倍率で眼Eを観察することができる。一方で、倍率が変化する場合には、十分な開瞼が行われているか否かを正面画像から判断することが難しくなり易い。従って、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの距離(眼EのZ方向位置)に応じたサイズのサイズ指標150を表示させることで、ユーザによる開瞼状態の判断を補助する。
なお、複数種類存在する眼固定部95の各々のサイズは、不揮発性メモリ等に予め記憶されている。CPU51は、使用されている眼固定部95のサイズと、眼EのZ方向位置とに基づいて、表示させるサイズ指標150の大きさを演算によって求めてもよい。眼EのZ方向位置と、表示させるサイズ指標150の大きさとが予めテーブル等によって対応付けられていてもよい。なお、CPU51は、Z方向位置に応じた正面画像の撮影倍率の変化を考慮して、サイズ指標150の大きさを決定するのが望ましい。また、眼Eに対する眼固定部95の結合がより円滑に行われるように、CPU51は、サイズ指標150の大きさを、実際の眼固定部95のサイズよりも若干大きいサイズとしてもよい。
次いで、CPU51は、正面画像撮影部30の撮影光路の光軸に交差するXY方向における眼Eの位置(眼EのXY方向位置)を検出する(S116)。本実施形態では、前述した眼中心検出処理(図21参照)で検出された眼Eの中心位置が、眼EのXY方向位置としてS116で用いられる。
次いで、CPU51は、表示部54に表示されている正面画像のうち、眼のXY方向位置に対応する正面画像上の位置に、S115で決定された大きさのサイズ指標150を重畳表示させる(S117)。処理はドッキング処理(図15参照)へ戻る。図23に例示するサイズ指標表示中画像148では、開瞼器149によって開瞼された眼Eの正面画像と共に、眼固定部95の外形のサイズを示すサイズ指標150が表示されている。サイズ指標150の中心は、眼Eの中心位置を示す眼中心マーク135に一致している。なお、本実施形態では環状のサイズ指標150が用いられているが、サイズ指標150の表示態様を適宜変更できることは言うまでもない。例えば、サイズ指標150の内側と外側で画像の色を変化させることで、サイズ指標150の大きさをユーザに認識させてもよい。
また、図22に示すサイズ指標表示処理は、眼Eとインターフェース90の結合が完了するまで繰り返し実行される(図15参照)。従って、S115,S117によって表示されるサイズ指標の大きさは、装置本体と眼Eの間の距離の変化に応じてリアルタイムに変化する。また、S116,S117によって表示されるサイズ指標の位置も、眼EのXY方向位置に応じてリアルタイムに変化する。
なお、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、サイズ指標150の表示位置を自動的に眼Eの位置に合わせる場合と、ユーザの操作指示に応じてサイズ指標150の表示位置を移動させる場合とを、操作部55に入力された選択指示に応じて切り換えることができる。詳細には、CPU51は、サイズ指標150の自動位置合わせ、および手動位置合わせのいずれかを選択する操作指示の入力を、操作部55を介して受け付ける。手動位置合わせを選択する指示が入力された場合、CPU51は、操作部55に入力された指示によって指定された方向に、正面画像上のサイズ指標150の表示位置を移動させる。この場合、ユーザは、サイズ指標150の表示位置を、開瞼状態を容易に判断できる位置に自ら移動させることができる。
図15の説明に戻る。サイズ指標表示処理(S50)が終了すると、CPU51は、ドッキング処理を停止させるか否かを判断する(S52)。例えば、エラーが生じた場合、ユーザによって中止指示が入力された場合、または、眼中心検出処理(図21参照)において停止フラグがONとされている場合等には、CPU51はドッキング処理を停止させる。ドッキング処理を停止させる場合(S52:YES)、CPU51は、装置本体の下降動作を停止させると共に、エラー等をユーザに報知し(S53)、処理を終了させる。なお、眼Eの中心位置が適切に検出されないことを理由にドッキング処理を停止させる場合、CPU51は、眼Eと装置本体のXY方向における相対的な位置関係を、適切な位置関係に手動で調整させるように、ユーザに報知してもよい。
ドッキング処理を停止させない場合には(S52:NO)、CPU51は、眼Eに対してインターフェース90が結合されたか否かを判断する(S55)。結合完了の判断方法の詳細については後述する。結合されていなければ(S55:NO)、処理はS46へ戻り、S46〜S55の処理が繰り返される。インターフェース90が結合されると(S55:YES)、固視標の投影状態を変更する処理が行われて(S56)、ドッキング処理は終了する。
なお、上記実施形態では、ドッキング処理が開始されてから終了するまでの間、基準光源3(図1参照)から基準視標108が投影され続けている場合を例示した。しかし、基準光源3から投影される基準光は、ドッキング処理中に常に投影されなくてもよい。例えば、結合動作の開始直前と結合動作の完了後の各々で基準光が投影されてもよい。
<固視標の投影状態の変更>
固視標の投影状態を変更する処理(図15のS55,S56)について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、インターフェース90が眼Eに結合される前後で、眼Eの眼底上における固視標の結像状態が変化する場合がある。この場合、対象者による固視標の見え方が変化する。
例えば、インターフェース90の眼固定部95が眼Eに接触することで、眼Eの形状(例えば、角膜の形状)が変化して、固視標の結像状態が変化する可能性がある。また、本実施形態では、使用可能な複数種類のインターフェース90の中に、液浸レンズ100(図5参照)またはコンタクトレンズ110(図6参照)を含むインターフェース90が存在する。前述したように、液浸レンズ100は、液浸レンズ100の眼E側に位置するレンズ面(後面101)と眼Eの間に充填される液体に接触する。また、コンタクトレンズ110は眼Eに接触する。この場合、眼Eまたは液体にインターフェースレンズ100,110が接触する前後で、固視標の光の屈折率が変化し、固視標の結像状態が変化し易い。これに対し、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90が眼Eに結合される前後で固視標の投影状態を変更する。その結果、インターフェース90を眼Eに結合させることで対象者の固視に生じ得る影響が、適切に抑制される。
まず、眼Eに対してインターフェース90が結合されたことを検出する方法(図15のS55参照)について説明する。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90の自動結合検出と手動結合検出のいずれかを選択する指示の入力を、操作部55を介して受け付ける。手動結合検出が選択されている場合には、CPU51は、結合が完了したことを示す操作指示が操作部55に入力されることで、眼Eに対してインターフェース90が結合されたことを検出する。
自動結合検出が選択されている場合、本実施形態のCPU51は、正面画像上の輝点133の変化に基づいて、インターフェース90が眼Eに結合されたことを自動検出する。眼Eに対してインターフェース90が結合すると、固視標投影部40から眼Eに投影される光の屈折状態と共に、眼Eの角膜で反射して正面画像撮影部30に入射する光の屈折状態も変化する場合がある。特に、液浸レンズ100の後面101に液体が接触した場合、および、コンタクトレンズ110の後面111が眼Eの角膜に接触した場合には、角膜から正面画像撮影部30に入射する反射光の屈折状態が大きく変化する。その結果、正面画像上に写り込む輝点133の状態が変化する(輝点133が消える場合もある)。従って、CPU51は、アライメント指標によって角膜に形成される輝点133の変化を正面画像によって検出する。CPU51は、検出した輝点133の変化(例えば輝点133の消失、大きさの変化、明るさの変化等)に基づいて、インターフェース90の結合を自動検出する。
なお、眼Eに対するインターフェース90の結合を検出する方法を変更することも可能である。例えば、CPU51は、インターフェース90と眼Eの間に加わる荷重を検出する圧力センサ77(図4参照)の出力信号を用いて、インターフェース90の結合を検出してもよい。また、CPU51は、輝点133以外の正面画像の変化(例えば、正面画像に写り込んでいる眼Eの組織の形状変化)を用いても良い。CPU51は、断面画像撮影部23によって撮影される断面画像を用いてもよい。眼固定部95とIFレンズ100,110を別々にZ方向に移動させる場合には、CPU51は、眼固定部95とIFレンズ100,110の距離に基づいてインターフェース90の結合を検出してもよい。また、液浸インターフェース91が使用される場合、CPU51は、眼Eと液浸レンズ100の間に液体等が充填されたことを検出することで、眼Eに対する液浸インターフェース91の結合を自動で検出してもよい。この場合、CPU51は、液体が充填されたことを検出するセンサ等を用いてもよい。
固視標の投影状態を変更する方法(図15のS56参照)について説明する。本実施形態のCPU51は、固視標投影光の光量の変更、および、固視標投影光学系の焦点距離の変更の少なくともいずれかを実行することで、固視標の投影状態を変更することができる。これらの方法の詳細については、図3に示す固視標投影部40の説明において既に述べているので、この説明は省略する。
例えば、眼Eへのインターフェース90の結合によって、眼Eの眼底上における固視標の光の結像状態が悪化する場合がある。この場合、CPU51は、固視標投影光の光量を増加させてもよい。この場合、インターフェース90の結合の前後において、ユーザが認識する固視標の明るさの差が減少する。なお、固視標投影光の光量を増加させる場合、眼底上における固視標の結像状態が変化するよりも前に光量を増加させると、対象者が固視標の光を眩しく感じる可能性がある。従って、CPU51は、眼底上における固視標の結像状態が実際に変化した以後(例えば、IFレンズ100,110が実際に液体または眼E等に接触した以後)に光量を変化させるのが望ましい。ただし、固視標の結像状態が実際に変化するよりも前に光量を変化させても、対象者の固視に生じ得る影響は抑制される。また、CPU51は、インターフェース90が眼Eに結合される前後で、眼底上における固視標の結像状態の変化が抑制されるように、固視標投影光学系の焦点距離を変更してもよい。
また、本実施形態のCPU51は、使用されているインターフェース90(つまり、保持部67に装着されているインターフェース90)の種類に応じて、固視標の投影状態を変更する割合を変化させることができる。従って、CPU51は、インターフェース90の種類に応じて適切に、固視標の投影状態を変化させることができる。なお、使用されているインターフェース90の種類を取得する方法には、ドッキング処理(図15参照)のS42において説明した方法と同様の方法を採用してもよい。
<撮影領域の変化の影響抑制>
図24および図25を参照して、正面画像撮影部30の撮影領域が変化することで生じる影響を抑制する方法について説明する。本実施形態では、正面画像撮影部30によって撮影される正面画像に基づいて、手術用レーザ光の照射位置が決定される場合がある。この場合、受光素子31によって撮影される撮影領域と、手術用レーザ光が実際に照射される位置の対応関係が変化すると、正確な位置に手術用レーザ光を照射するのが困難になる可能性がある。
図24は、眼Eに対するインターフェース90の結合動作が完了した際の、眼Eの正面画像(結合完了時画像160)の一例である。本実施形態では、本来ならば、正面画像の撮影領域の中心である縦中心線115と横中心線116の交点162に、基準光源3によって投影される基準視標108の投影位置が一致するように、受光素子31等の各種部材が配置されている。また、受光素子31の受光面は、眼Eで反射されて受光素子31に入射する反射光の光軸(つまり、正面画像の撮影光軸)に対して所定の角度となるように調整されている。しかし、図24に示すように、正面画像の撮影光軸がずれて、正面画像の撮影領域の中心162と、基準視標108の投影位置とがXY方向にずれてしまう場合がある。また、正面画像の撮影光軸に対して、受光素子31の受光面の角度が所定の角度から傾いてしまう場合もある。これらの場合、正面画像の撮影領域と手術用レーザ光の照射位置との対応関係が変化する。
上記の対応関係の変化は、装置の製造誤差、衝撃、経年劣化等によって生じ得る。さらに、本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31における受光状態(フォーカス状態および倍率等の少なくともいずれか)を調整する受光調整部33,34,36(図2参照)を備える。この場合、上記の対応関係がさらに変化し易くなる。本実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、上記の対応関係の変化の影響を抑制し、より正確な位置に手術用レーザ光を照射することができる。
図25を参照して、照射制御データ作成処理について説明する。照射制御データ作成処理は、ドッキング処理(図15参照)の終了後に、制御部50のCPU51によって実行される。CPU51は、不揮発性メモリに記憶された眼科手術制御プログラムに従って照射制御データ作成処理を実行する。照射制御データとは、手術用レーザ光によるレーザ手術を実行する際に、走査部6,10,18等の駆動を制御するためにCPU51によって参照されるデータである。
まず、CPU51は、受光素子31によって撮影された正面画像上の眼Eの位置に基づいて、照射制御データの仮データを作成する(S120)。本実施形態のS120では、正面画像の撮影領域が正しい領域であるか否かに関わらず、撮影領域内に予め定められた基準位置を基準として仮データが作成される。一例として、本実施形態では、正面画像の撮影領域の中心162が基準位置として用いられる。
次いで、CPU51は、基準光源3から基準光(基準視標108)を受光素子31に投影する(S121)。CPU51は、インターフェース90の眼固定部95を眼Eに結合させた状態で、受光素子31によって撮影された画像の撮影領域内に予め定められた基準位置162と、画像に含まれる基準視標108の投影位置とのずれを検出する(S122)。さらに、CPU51は、受光素子31に投影された基準光によって、正面画像の撮影光軸に対する受光素子31の受光面の傾きを検出する(S123)。一例として、本実施形態のCPU51は、受光素子31によって撮影された基準視標108の形状に基づいて、受光面の傾きを検出する。しかし、受光面の傾きを検出する方法は変更可能である。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、複数の基準視標を受光素子31に投影し、撮影された複数の基準視標の位置に基づいて受光面の傾きを検出してもよい。
次いで、CPU51は、正面画像における基準位置162と基準視標108の間のずれ、および、受光素子31の受光面の傾きに基づいて、S120で作成された仮データを補正する。つまり、CPU51は、正面画像の撮影領域のずれ(位置ずれおよび角度ずれ)に起因する、撮影領域と手術用レーザ光の照射位置との対応関係の不一致が解消するように、走査部6,10,18等の駆動を制御するための照射制御データを作成する。手術中には、CPU51は、照射制御データ作成処理によって作成した照射制御データに従って走査部6,10,18等の駆動を制御する。その結果、受光素子31によって撮影された眼Eの画像と、受光素子31に投影された基準光とに基づいて、走査部6,10,18の駆動が制御される。よって、手術用レーザ光の照射の正確性が向上する。
なお、図25に例示した照射制御データ作成処理では、CPU51は、仮データを一旦作成し(S120)、作成した仮データを、位置ずれおよび角度ずれに基づいて補正する(S121〜S124)。しかし、CPU51は、位置ずれおよび角度ずれの一方に基づいて照射制御データを作成してもよい。また、CPU51は、正面画像上の眼Eの位置に加え、位置ずれおよび角度ずれの少なくとも一方を予め考慮した上で、仮データを作成することなく照射制御データを直接作成してもよい。また、CPU51は、受光素子31によって撮影された正面画像の撮影画像データを、位置ずれおよび角度ずれの少なくとも一方に基づいて補正してもよい。この場合、ずれが補正された状態の正面画像が表示部54等に表示される。
上記実施形態で例示した眼科用レーザ手術装置(眼科装置)1に採用されている技術について、再度概略的な説明を行う。
<装置本体に対するインターフェースの調整>
従来の眼科用レーザ手術装置では、インターフェースの製造誤差、および、装置に対するインターフェースの装着誤差等に起因して、装置本体に対するインターフェースの位置および角度の少なくともいずれかがずれる場合がある。この場合、例えば、収差の発生、手術用レーザ光の照射範囲の変動等の不具合が生じる場合がある。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、保持部67に装着された装着インターフェースの位置および角度の少なくともいずれかを検出する。眼科用レーザ手術装置1は、検出した位置および角度の少なくともいずれかに基づいて、調整動作を制御する。調整動作とは、装着インターフェースの装着状態を調整するために実行される動作である。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1によると、ユーザが目視で装着インターフェースの装着状態を調整する場合に比べて高い精度で、装着インターフェースの装着状態が調整される。その結果、装置本体に対する装着インターフェースのずれの影響が、より適切に抑制される。
上記実施形態のインターフェース90は、眼Eの位置を固定する環状の眼固定部95を含む。CPU51は、眼固定部95の中心を検出し、検出した中心の位置に基づいて調整動作を制御する。この場合、眼固定部95の中心が、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置に調整される。その結果、眼固定部95によって固定される眼Eの位置が、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置となる。従って、例えば、角膜によって生じる収差が抑制され得る。また、眼固定部95の中心が基準軸Sからずれる場合に比べて、手術用レーザ光の照射範囲(上記形態では、走査部6,10,18による走査範囲)が狭くなることが抑制され得る。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95を撮影可能な撮影部を備える。CPU51は、撮影部によって撮影された眼固定部95の画像を処理することで、眼固定部95の中心を検出する。詳細には、CPU51は、撮影部によって撮影された眼固定部95の画像を処理することで、環状の眼固定部95におけるエッジを検出し、検出したエッジの中心を眼固定部95の中心として検出する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95の中心を適切に検出することができる。
上記実施形態のCPU51は、眼固定部95の中心の位置と、装着インターフェースの適正位置を決定する基準となる基準軸Sの位置とを表示部54に表示させることができる。従って、ユーザは、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置に眼固定部95が配置されているか否かを、表示部54によって確認することができる。また、ユーザは、表示部54を見ながら手動で適切な位置に眼固定部95の位置を変化させることも可能である。
上記実施形態のCPU51は、調整駆動部70(図4参照)またはサクション調整駆動部129(図13参照)の駆動を制御することで、眼固定部95の中心の位置を基準軸Sに近づけることができる。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置に、自動で精度良く眼固定部95を配置することができる。
上記実施形態のインターフェース90はIFレンズ100,110を含む(図5および図6参照)。CPU51は、IFレンズ100,110の位置および角度の少なくともいずれかを検出し、検出結果に基づいて調整動作を制御する。この場合、IFレンズ100,110の装着状態が適切な状態に調整されるので、装置本体に対するIFレンズ100,110のずれに起因した不具合の発生(例えば、IFレンズ100,110による収差の発生等)が抑制される。
上記実施形態のCPU51は、曲面のレンズ面における少なくとも1点の情報をレンズ面情報として取得し、取得したレンズ面情報に基づいて、IFレンズ100,110の位置および形状の少なくともいずれかを検出する。この場合、IFレンズ100,110の状態が、IFレンズ100,110のレンズ面から直接取得される。よって、より正確にIFレンズ100,110の装着状態が調整される。
上記実施形態のCPU51は、IFレンズ100,110のうち少なくとも前面102,112のレンズ面情報に基づいて調整動作を制御する。上記実施形態におけるIFレンズ100,110の後面101,111は、眼E、液体、または弾性体に接触するので、後面101,111では前面102,112に比べて収差が生じ難い。上記実施形態では、後面101,111よりも収差が発生し易い前面102,112のレンズ面情報に基づいて調整動作が行われるので、後面101,111のレンズ面情報のみに基づいて調整動作が行われる場合に比べて、より効率よく収差が抑制される。
上記実施形態のCPU51は、前面102,112および後面101,111のうちの少なくとも一方のレンズ面のうち、基準軸Sの方向に対して垂直となる垂直位置121(図9,10,12参照)を検出する。CPU51は、検出した垂直位置121に基づいて調整動作を制御する。上記実施形態では、基準軸Sと垂直位置121が交差する場合に光学性能が向上するように光学設計が行われている。従って、垂直位置121に基づいて調整動作が行われることで、光学性能が適切に向上する。
上記実施形態のCPU51は、レンズ面のうち少なくとも3点の位置の情報から、レンズ面が沿う球面117の中心118を検出することで、垂直位置121を検出する。この場合、レンズ面に沿う球面117の中心118を通る直線は、レンズ面に対して必ず垂直となる。従って、CPU51は、より正確且つ簡単に垂直位置121を検出することができる。
上記実施形態のCPU51は、レンズ面上の垂直位置121と、装置の基準軸Sの位置とを表示部54に表示させることができる。従って、ユーザは、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置にIFレンズ100,110が配置されているか否かを、表示部54によって確認することができる。また、ユーザは、表示部54を見ながら手動で適切な位置にIFレンズ100,110の位置を変化させることも可能である。
上記実施形態のCPU51は、調整駆動部70(図4参照)またはIFレンズ調整駆動部128(図13参照)の駆動を制御することで、レンズ面上の垂直位置121を基準軸Sに近づけることができる。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光の光路に対して適切な位置に、自動で精度良くIFレンズ100,110を配置することができる。
上記実施形態のCPU51は、装置本体に対するIFレンズ100,110の角度を検出し、検出した角度に基づいて調整駆動部の駆動を制御することで、IFレンズ100,110の光軸と基準軸Sとを平行に近づける。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、IFレンズ100,110の角度ずれの影響を適切に抑制することができる。
上記実施形態における調整動作では、インターフェース90の位置および角度の少なくともいずれかが自動で調整される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、ユーザに手動でインターフェース90を調整させるための情報をユーザに提供することで、調整動作を実行してもよい。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90の移動方向および回転方向の少なくともいずれかを表示部54等によってユーザに報知することで、ユーザに手動でインターフェース90を調整させてもよい。また、インターフェース90を自動で調整する場合、眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95の中心位置またはIFレンズ100,110の垂直位置121の表示等を行わなくても良い。また、上記実施形態では、球面に沿った形状のレンズ面の垂直位置121が基準軸Sに近づけられる。しかし、上記実施形態で例示した技術の少なくとも一部は、非球面のレンズ面を有するIFレンズ100,110を用いる場合にも適用できる。
<光量調整>
眼で反射された反射光を受光して受光信号を処理する場合、種々の条件が処理に影響し得る。例えば、眼科装置の装置本体に対する眼の位置が変化すると、眼Eに到達する光の光量が変化する場合、または、眼で反射されて受光素子に受光される光の光量が変化する場合がある。この場合、装置本体と眼の位置関係に応じて受光信号の処理結果が変動してしまう可能性がある。例えば、受光信号を処理して眼の画像を生成する場合、画像の明るさが変動する可能性がある。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置(眼科装置)1は、装置本体に対する眼Eの位置に応じて、アライメント・照明光源64から照射されて眼Eに到達する光の光量を調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置の変化が受光信号の処理に与える影響を抑制することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、パルスレーザ光を眼Eの組織内に集光させて眼Eを処置する。一般的に、眼科用レーザ手術装置は、装置本体に対する眼Eの位置を眼固定部によって固定した状態で手術を行うことが望ましい。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの相対的な位置変化の影響が抑制された観察画像(正面画像および断面画像の少なくともいずれか)によって、眼Eの位置を適切に確認できる状態で、結合駆動部66を駆動させることができる。よって、より良い精度で眼固定部95が眼Eに結合される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、反射光のフォーカス状態を調整する受光調整部33,34(フォーカス調整部)を備える。CPU51は、フォーカス状態の調整結果に基づいて、受光素子31に延びる反射光の光路に沿う方向の、装置本体と眼Eの間の距離を取得する。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、フォーカス状態の調整結果を利用して容易に装置本体と眼Eの間の距離を取得することができる。また、有限遠の視標と無限遠の指標を共に角膜に投影することで、装置本体と眼Eの間の距離を取得することも考えられる。しかし、上記実施形態のように、眼Eの装置本体の間の距離が大幅に変動する場合等には、受光素子31の撮影光軸に対して斜め方向から無限遠の指標を眼Eに投影するのが困難になり易い。受光素子31の撮影光軸と平行に無限遠の指標を投影すると、レンズの反射光が受光素子31に入射する場合もある。しかし、このような場合でも、フォーカス状態の調整結果を利用することで、装置本体と眼Eの間の距離が適切に取得される。
詳細には、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31および光路上の光学部材の少なくともいずれかを移動させることで、フォーカス状態を調整することができる。CPU51は、フォーカス状態が調整された状態の、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかの位置に基づいて、装置本体と眼Eの間の距離を取得する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、フォーカス状態の調整と、眼Eとの間の距離の取得とを、より適切に実行することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、アライメント・照明光源64に供給する電力を制御することで、眼Eに到達する光の光量を調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、眼Eに到達する光の光量を簡易な構成で調整することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31に入射する反射光の光量を、装置本体に対する眼Eの位置に関わらず一定の範囲内に維持する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置の変化が受光信号の処理に与える影響を、適切に制御することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、観察画像データによって表示される観察画像の輝度を、装置本体に対する眼Eの位置に関わらず一定の範囲内に維持する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置が変化する場合でも、輝度の変化が抑制された画像データを生成することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、位置情報と光量とを対応付けるテーブル、または、位置情報から光量を演算する演算式を用いて、眼Eに到達する光の光量を調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、より適切な値に光量を調整することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置を示す位置情報と、ユーザによって入力される光量の調整指示とに応じて、眼Eに到達する光の光量を調整する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置の変化が受光信号の処理に与える影響を抑制しつつ、ユーザが所望する光量で眼Eに光を照射させることができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置を示す位置情報を取得する。取得した位置情報に応じて、撮影された正面画像のゲインおよびオフセットの少なくともいずれかを調整する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置の変化が正面画像に与える影響を、適切に抑制することができる。
上記実施形態で例示した光量調整に関する技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。例えば、上記実施形態で例示した技術は、眼Eの眼底にレーザを照射して光凝固等の手術を行う眼科用レーザ手術装置、および、眼Eの線維柱体、虹彩、硝子体等にレーザを照射する眼科用レーザ手術装置等にも適用できる。また、上記実施形態で例示した技術は、手術装置以外の眼科装置(例えば、視力測定装置、眼圧測定装置、眼底カメラ、断層画像撮影装置、角膜内皮細胞撮影装置、角膜形状測定装置等)にも適用できる。
上記実施形態では、アライメント・照明光源64に供給する電力が調整されることで、眼Eに照射される(つまり、光源から眼Eに到達する)光の光量が調整される。しかし、眼Eに照射される光の光量を調整する方法は適宜選択できる。例えば、眼科装置は、眼Eに対して移動可能な光源を備えていてもよい。この場合、眼科装置は、眼Eと光源の間の距離を調整することで、眼Eに照射される光の光量を調整してもよい。また、眼科装置は複数の光源を備えていてもよい。この場合、眼科装置は、点灯させる光源の数および位置の少なくともいずれかを変更することで、眼Eに照射される光の光量を調整してもよい。また、眼科装置は、光源と眼Eの間に遮光板を備えてもよい。この場合、眼科装置は、遮光板による遮光量を調整することで、眼Eに到達する光の光量を調整してもよい。
上記実施形態では、アライメント・照明光源64から出射される拡散光の反射光が、受光素子31によって受光される。従って、装置本体に固定されたアライメント・照明光源64と、眼Eの間の距離とに基づいて光量が調整される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、眼Eと受光素子31との間の距離に基づいて光量を調整してもよい。
上記実施形態では、アライメント・照明光源64から出射される光の光量が、テーブルまたは演算式によって決定される。しかし、装置本体と眼Eの距離に応じて光量を決定する方法を変更することも可能である。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、表示部54に表示される観察画像の輝度をリアルタイムに判定し、輝度の変化が許容範囲内となるように光量を決定してもよい。
上記実施形態で採用されている受光素子31は、眼Eの正面画像を撮影するために用いられている。しかし、他の受光素子(例えば、断面画像撮影部23の受光素子、光の干渉信号を検出するための受光素子等)についても、上記実施形態で例示した光量調整に関する技術を適用できる。また、上記実施形態の受光素子31は二次元受光素子である。しかし、一次元受光素子または単一の受光素子を用いる場合でも、上記実施形態で例示した技術を適用できる。
上記実施形態では、装置本体に対する眼EのZ方向位置が、光量を調整する基準となる位置情報として取得される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、眼EのXY方向の位置を位置情報として取得してもよい。また、上記実施形態では、眼Eに照射される光の光量と、観察画像のゲイン・オフセットとが共に調整される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、光量およびゲイン・オフセットの一方のみを調整することも可能である。
<XY方向のアライメント>
従来の眼科用レーザ手術装置では、環状のサクションリングと眼球の軸の位置関係が比較されながら、サクションリングのアライメントが行われる場合があった。この場合、眼に対するサクションリングの最適な位置が一意に定まらないので、アライメントを高い精度で行うことは困難である。眼に対する眼固定部95の結合位置がずれると、収差が発生する場合、または、望ましくない眼の変形が生じる場合等があり得る。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、環状の眼固定部95の中心を検出し、検出した眼固定部95の中心を、眼Eに対する眼固定部95の結合位置を決定するための基準とする。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、環状の眼固定部95が、より高い精度で眼Eの適正な位置に結合される。
上記実施形態のCPU51は、眼固定部95の撮影画像を処理することで、眼固定部95の中心を検出する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、実際の眼固定部95の中心を容易に検出することができる。詳細には、上記実施形態のCPU51は、眼固定部95の撮影画像を処理することで、環状の眼固定部95における内側のエッジ97の位置を検出し、検出したエッジ97の中心を眼固定部95の中心として検出する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、エッジ97の位置に基づいて高い精度で眼固定部95の中心を検出することができる。
上記実施形態のCPU51は、撮影された眼Eの画像と、検出した眼固定部95の中心の位置とを表示部54に表示させることができる。従って、ユーザは、眼Eの適正な位置に眼固定部95が結合されるか否かを、表示部54に表示された画像を見ることで確認することができる。また、ユーザは、表示部54に表示された画像を見ながら、眼Eと眼固定部95の相対的な位置を変化させることで、眼Eの適切な位置に手動で眼固定部95を結合させることも可能である。
上記実施形態のCPU51は、結合駆動部66の駆動を制御することで、眼固定部95の中心と眼Eの中心との距離を許容範囲内とした状態で、眼固定部95を眼Eに結合させることができる。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの適切な位置に、自動で精度良く眼固定部95を結合させることができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの角膜に投影されるアライメント指標に基づいて眼Eの中心を検出することができる。また、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの断面画像に基づいて眼Eの中心を検出することも可能である。従って、眼科用レーザ手術装置1は、容易に眼Eの中心を検出することができる。
上記実施形態の眼固定部95は保持部67に対して着脱可能に装着される。この場合、眼固定部95の取り換えが容易になる。一方で、保持部67に対する眼固定部95の装着位置のばらつき、または、眼固定部95の製造誤差等の影響で、装置本体に対する眼固定部95の位置が不安定になり易い。しかし、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、装置本体に対する眼固定部95の位置に関わらず、より高い精度で眼Eの適切な位置に眼固定部95が結合される。従って、良好な手術が行われ易い。ただし、上記実施形態で例示した技術は、眼固定部95が保持部67に対して着脱可能でない場合にも適用できる。
上記実施形態で例示したXY方向のアライメントの技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。例えば、上記実施形態で例示した技術は、眼Eの眼底にレーザを照射して光凝固等の手術を行う眼科用レーザ手術装置、および、眼Eの線維柱体、虹彩、硝子体等にレーザを照射する眼科用レーザ手術装置等にも適用できる。
上記実施形態では、ドッキング処理が行われる毎に眼固定部95の中心位置が検出される。しかし、眼固定部95の中心位置を検出するタイミングも適宜変更できる。例えば、CPU51は、インターフェース90が保持部67に装着されたことを検出し、インターフェース90が装着される毎に、装着されたインターフェース90における眼固定部95の中心を検出してもよい。
<眼の中心の検出>
装置本体に対する眼の位置を合わせる場合、検出可能な眼の位置の精度、または、必要となる眼の位置の検出方法が、種々の条件に応じて変化する場合がある。従来の技術では、種々の条件に関わらず、単一の方法で眼の位置が検出されていた。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、前眼部の画像(正面画像および断面画像の少なくともいずれか)を処理することで、XY方向における眼Eの中心位置を検出する中心検出処理を実行する。さらに、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、中心検出処理を実行する際の検出条件に応じて、眼Eの中心位置を検出する方法を切り換える。従って、上記実施形態によると、検出可能な眼Eの位置の精度、または、必要となる眼Eの位置の検出方法が、検出条件に変化する場合でも、検出条件に応じた適切な方法で眼Eの位置が検出される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの角膜にアライメント指標を投影すると共に、眼Eの前眼部の正面画像を撮影する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、投影されたアライメント指標によって形成される輝点133を用いて眼Eの中心位置を検出することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、輝点重心検出方法および輝点フィッティング検出方法を少なくとも実行することができる。輝点重心検出方法では、アライメント指標の輝点133の重心が眼Eの中心位置として検出される。この場合、検出される輝点133の数または面積が僅かな場合でも、簡易な処理で眼Eの中心位置が検出される。輝点フィッティング検出方法では、輝点133を通過する環状図形の中心が、眼Eの中心位置として検出される。この場合、角膜の中心位置が眼Eの中心位置としてより正確に検出される。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、検出条件に応じた適切な方法で眼Eの位置が検出される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、1または複数の輝点133を通過する環状図形を特定できる場合には、眼Eの中心位置をより正確に検出できる輝点フィッティング検出方法を用いる。眼科用レーザ手術装置1は、1または複数の輝点133を通過する環状図形を特定できない場合には、簡易な処理で眼Eの中心位置を検出できる輝点重心検出方法を用いる。従って、検出条件に応じた適切な方法で眼Eの位置が検出される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの間の距離に応じて、眼Eの中心位置を検出する方法を切り換えることができる。従って、検出可能な眼Eの位置の精度、または、必要となる眼Eの位置の検出方法が、装置本体と眼Eの間の距離に応じて変化する場合でも、検出条件に応じた適切な方法で眼Eの位置が検出される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの間の距離が第1閾値以上である場合には、輝点重心検出方法によって眼Eの中心位置を検出する。従って、装置本体に対する眼Eの位置が離れており、眼Eの中心位置をある程度検出できれば十分な場合に、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は簡易な処理で眼Eの中心位置を検出することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの間の距離が第2閾値以下である場合には、輝点フィッティング検出方法によって眼Eの中心位置を検出する。従って、装置本体に対する眼Eの位置が近接しており、眼Eの中心を極力正確に検出することが望ましい場合に、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、より正確に眼Eの中心位置を検出することができる。
輝点重心検出方法による眼Eの中心位置の検出精度は、他の検出方法(例えば、輝点フィッティング検出方法)による検出精度よりも低くなり易い。この場合、例えば、検出されていた輝点133の数または面積が減少し、輝点フィッティング検出方法から輝点重心検出方法に切り換わった際に、検出される眼Eの中心位置が急に変化する場合がある。この場合、高い精度で眼Eに位置合わせされていた装置本体が、低い精度で検出された中心位置を基準としてXY方向に移動するのは望ましくない。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、中心位置を検出する方法が輝点重心検出方法に切り換わった場合に、輝点重心検出方法によって検出された中心位置が特定領域内に位置していれば、装置本体のXY方向の移動を制限(例えば、禁止、移動速度の減少、移動範囲の減少等)する。従って、中心位置の検出方法が切り換わる際の悪影響が抑制される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、撮影部(正面画像撮影部30または断面画像撮影部23)によって撮影された画像を処理することで、眼Eの前眼部の組織(例えば、瞳孔146の形状、角膜の形状、および虹彩の形状)の少なくともいずれかを検出することができる。眼科用レーザ手術装置1は、検出した眼Eの前眼部から、瞳孔中心、角膜中心、および虹彩中心の少なくともいずれかを眼Eの中心位置として検出することができる(形状検出方法)。つまり、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、輝点133を用いた中心位置の検出と、形状に基づいた中心位置の検出とを共に実行することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、アライメント指標の輝点133によって眼Eの中心位置を検出できない場合に、形状検出方法によって眼Eの中心位置を検出することができる。従って、例えば、各種部材(本実施形態では眼固定部95)またはユーザの手等によって、アライメント指標投影部63から眼Eに投影される投影光が一時的に遮断される場合でも、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は眼Eの中心位置を適切に検出することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、アライメント指標投影部63から眼Eに投影される投影光が部材によって遮断される遮断領域内に眼Eが位置する場合に、形状検出方法によって眼Eの中心位置を検出することができる。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eが遮断領域内に位置する場合でも、眼Eの中心位置を検出することができる。
中心位置の検出方法が異なると、装置本体に対する眼Eの位置が変化していないにも関わらず、検出される中心位置が変化する場合がある。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置は、異なる方法で検出された複数の中心位置のずれを検出し、検出したずれに基づいて眼Eの中心位置を決定することができる。従って、検出方法の違いによる不都合の発生が抑制される。
詳細には、上記実施形態のCPU51は、輝点フィッティング検出方法によって検出された中心位置と、形状検出方法によって検出された中心位置とのずれを検出する。CPU51は、形状検出方法によって検出された中心位置と、前記ずれとに基づいて、眼Eの中心位置を決定することができる。この場合、輝点フィッティング検出方法によって検出される中心位置(例えば角膜中心)と、形状検出方法によって検出される中心位置(例えば瞳孔中心)とが異なる場合でも、検出方法の違いによる不都合の発生が抑制される。
上記実施形態で例示した眼Eの中心検出に関する技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。例えば、上記実施形態で例示した技術は、眼Eの眼底にレーザを照射して光凝固等の手術を行う眼科用レーザ手術装置、および、眼Eの線維柱体、虹彩、硝子体等にレーザを照射する眼科用レーザ手術装置等にも適用できる。また、上記実施形態で例示した技術は、前述した他の技術と同様に、手術装置以外の眼科装置にも適用できる。
上記実施形態では、眼EのZ方向位置と輝点133の検出状態とに基づいて、眼Eの中心位置を検出する方法が切り換えられる。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、中心位置検出方法を、他の条件に基づいて切り換えてもよい。例えば、実行される術式に応じて中心位置検出方法が切り換えられてもよい。
<サイズ指標の表示>
眼固定部が眼に結合される際に、対象者の眼が十分に開瞼されていなければ、眼結合部と眼の結合が困難となる場合がある。眼Eが十分に開瞼されているか否かを容易に判断できない場合、種々の不都合が生じ得る。例えば、眼固定部と眼の結合を一度試みた際に、眼の開瞼が不十分であることが判明すると、ユーザは開瞼をやり直して再度結合を試みる必要がある。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体と眼Eの間の距離に応じて異なる倍率で、眼Eの前眼部の正面画像を撮影し、表示部54に表示させる。眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95のサイズを示すサイズ指標150を、正面画像上に重畳表示させることができる。この場合、ユーザは、装置本体と眼Eの距離に応じた適切な倍率で眼Eを観察することができる。さらに、ユーザは、正面画像上に表示された眼Eとサイズ指標150とを比較することで、眼固定部95を眼Eに固定するために十分な開瞼が行われているか否かを容易に判断することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼固定部95のうち眼Eに接触する部分の外形のサイズを示すサイズ指標150を、正面画像上に重畳表示させる。この場合、ユーザは、眼固定部95のうち眼Eに接触する部分の大きさと、開瞼された眼Eの大きさとを同一の正面画像上で比較することができる。従って、ユーザは、十分な開瞼が行われているか否かを、より適切に判断することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼EのZ方向位置に応じて、Z方向位置における眼固定部95のサイズを示すサイズ指標150を正面画像上に重畳表示させる。この場合、正面画像上の眼の大きさに応じて、サイズ指標150の大きさも変化する。従って、ユーザは、眼EのZ方向位置に関わらず、十分な開瞼が行われているか否かを適切に判断することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、正面画像のフォーカスを眼Eに調整するフォーカス調整部(受光調整部)33,34を備える。CPU51は、フォーカス状態の調整結果に基づいて眼EのZ方向位置を取得する。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、フォーカス状態の調整結果を利用して容易に眼EのZ方向位置を取得することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31および撮影光路上の光学部材の少なくともいずれかを移動させることで、正面画像のフォーカスを調整することができる。CPU51は、正面画像のフォーカスが眼Eに調整された状態の、受光素子31および光学部材の少なくともいずれかの位置に基づいて、眼EのZ方向位置を取得する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、正面画像のフォーカス調整と、眼EのZ方向位置の取得とを、より適切に実行することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの断面画像に基づいて眼EのZ方向位置を取得することも可能である。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼EのZ方向位置を適切に検出することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、XY方向における眼Eの位置であるXY方向位置を検出し、検出したXY方向位置に対応する正面画像上の位置にサイズ指標150を重畳表示させることができる。この場合、正面画像では、撮影された眼Eの位置に対応する位置にサイズ指標150が表示される。従って、ユーザは、十分な開瞼が行われているか否かを、より容易に判断することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、正面画像上へのサイズ指標150の表示と非表示を切り換えることができる。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、サイズ指標150の表示の必要性に応じて、サイズ指標150の表示と非表示を切り換えることができる。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、十分な開瞼が行われていることが確認されたことを示す操作指示が入力された場合に、サイズ指標150を非表示としてもよい。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、複数種類の眼固定部95のうち、使用されている眼固定部95のサイズに応じて、正面画像上に重畳表示させるサイズ指標150の大きさを変更することができる。従って、何れの種類の眼固定部95を使用する場合でも、ユーザは、十分な開瞼が行われているか否かを容易に判断することができる。
上記実施形態で例示したサイズ指標の表示に関する技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。例えば、上記実施形態で例示した技術は、眼Eの眼底にレーザを照射して光凝固等の手術を行う眼科用レーザ手術装置、および、眼Eの線維柱体、虹彩、硝子体等にレーザを照射する眼科用レーザ手術装置等にも適用できる。また、上記実施形態で例示した技術は、前述した他の技術と同様に、手術装置以外の眼科装置にも適用できる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの距離(Z方向位置)を変化させながら、重畳表示させるサイズ指標150の大きさを変化させることができる。しかし、サイズ指標150は、眼EのZ方向位置を固定した状態で表示されてもよい。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、眼EのZ方向位置を固定した状態でサイズ指標150を表示し、開瞼が十分であることをユーザに確認させた後、サイズ指標150の表示を消去して結合動作を開始してもよい。
<固視標の投影状態の変更>
インターフェースが眼に結合される前後で、眼科装置から投影された固視標の、眼底上での結像状態が変化する場合がある。この場合、対象者による固視標の見え方が変化してしまう。その結果、例えば、対象者が固視標の位置を判別し難くなる可能性等が増加する。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、固視標投影部40、インターフェース90、およびCPU51を備える。固視標投影部40は、対象者の眼の視線を誘導する固視標を、眼Eに投影する。インターフェース90は、固視標の光路のうち装置本体と眼Eの間に介在し、眼Eに結合される。CPU51は、眼Eに対してインターフェース90が結合される前後で、固視標投影部40から眼Eへの固視標の投影状態を変更する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90を眼Eに結合させることで対象者の固視に生じ得る影響を、適切に抑制することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eに投影される固視標の光量を変更することで、固視標の投影状態を変更する。この場合、眼底上での固視標の結像状態が変化しても、眼科用レーザ手術装置1は、光量を変更することで、眼底上における固視標の光量の密度変化を抑制することができる。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、インターフェース90が眼Eに結合される前後で、対象者によって認識される固視標の明るさが変化することを、適切に抑制することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、固視標の光路に設けられる固視標投影光学系の焦点距離を変更する焦点距離変更部(固視標移動駆動部46および光学素子移動駆動部49の少なくともいずれか)を備える。CPU51は、固視標投影光学系の焦点距離を変更することで、固視標の投影状態を変更することができる。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、眼底上での固視標の結像状態が変化することを、適切に抑制することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、使用されているインターフェースの種類に応じて、固視標の投影状態を変更する割合を変化させることができる。使用されるインターフェース90が異なると、眼底上での固視標の結像状態の変化態様が異なる場合がある。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、複数種類のインターフェース90が使用される場合でも、インターフェース90の種類に応じて適切に、対象者の固視に生じ得る影響を抑制することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、アライメント指標を投影するアライメント指標投影部63と、前眼部の画像を撮影する撮影部を備える。CPU51は、アライメント指標によって角膜に形成される輝点133の変化を検出し、検出した輝点133の変化に基づいて、インターフェース90が結合されたか否かを検出することができる。つまり、上記実施形態では、眼Eに対してインターフェース90が結合すると、眼Eから撮影部に入射する光の屈折状態と、固視標投影部40から眼Eに投影される光の屈折状態とが共に変化する。上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、撮影部によって撮影される輝点133の変化に基づいて、適切にインターフェース90の結合を検出することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、操作部55に操作指示が入力されることで、眼Eに対してインターフェース90が結合されたことを検出することができる。この場合、ユーザが所望する適切なタイミングで、固視標投影部40から眼Eへの固視標の投影状態が変更される。
上記実施形態のインターフェース90は、眼Eに接触するコンタクトレンズ110、または、液体に接触する液浸レンズ100を含む。この場合、眼Eまたは液体にIFレンズ100,110が接触する前後で、固視標投影部40から投影される固視標の光の屈折率が変化し、固視標の結像状態が変化する。しかし、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eに対してインターフェース90が結合される前後で、固視標投影部40から眼Eへの固視標の投影状態を変更する。よって、コンタクトレンズ110または液浸レンズ100が使用される場合でも、対象者の固視に生じ得る影響が適切に抑制される。ただし、上記実施形態で例示した技術は、IFレンズ100,110を備えないインターフェースを用いる場合にも適用できる。
上記実施形態で例示した固視標の投影に関する技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。例えば、上記実施形態で例示した技術は、眼Eの眼底にレーザを照射して光凝固等の手術を行う眼科用レーザ手術装置、および、眼Eの線維柱体、虹彩、硝子体等にレーザを照射する眼科用レーザ手術装置等にも適用できる。また、上記実施形態で例示した技術は、前述した他の技術と同様に、手術装置以外の眼科装置にも適用できる。
<撮影領域の変化の影響抑制>
眼科用レーザ手術装置によって眼を処置する場合、眼の撮影画像に基づいて手術用レーザ光の照射位置を決定することも考えられる。この場合、受光素子によって撮影される撮影領域と、手術用レーザ光が実際に照射される位置の対応関係が変化すると、正確な位置に手術用レーザ光を照射するのが困難となる可能性がある。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光の光軸との関係が予め定められた光軸に沿って、眼Eの画像を撮影する受光素子31に基準光を投影させることができる。この場合、受光素子31によって撮影される撮影領域と、手術用レーザ光が実際に照射される位置の対応関係が変化しても、眼科用レーザ手術装置1またはユーザは、受光素子31に投影された基準光に基づいて手術用レーザ光の照射位置を決定することができる。その結果、より正確な位置に手術用レーザ光が照射される。
上記実施形態のCPU51は、眼Eの撮影画像と、受光素子31に投影された基準光とに基づいて、走査部6,10,18の駆動を制御する。この場合、CPU51は、基準光を用いずに走査部6,10,18の駆動を制御する場合に比べて、手術用レーザ光の光軸と受光素子31の関係をより適切に把握したうえで、撮影画像に基づく手術用レーザ光の照射制御を行うことができる。よって、眼科用レーザ手術装置1は、より正確な位置に手術用レーザ光を照射することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31における眼Eからの反射光の受光状態を調整する受光調整部33,34,36を備える。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、撮影画像のフォーカス調整、撮影画像の倍率の変更等の少なくともいずれかを行うことができる。従って、より適切な画像が撮影される。また、反射光の受光状態が調整されると、受光素子31と、眼Eから受光素子31に延びる反射光の光軸との関係(位置および角度の少なくともいずれか)が変化し易い。その結果、撮影領域と、手術用レーザ光が実際に照射される位置の対応関係が変化し易くなる。しかし、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1では、受光素子31に投影された基準光に基づいて、手術用レーザ光の照射位置が決定される。よって、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの適切な画像を撮影しつつ、手術用レーザ光の照射の正確性を向上させることができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査部6,10,18よりも上流側から、手術用レーザ光の光軸と同軸として基準光を挿入する。さらに、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、走査部6,10,18よりも下流側で、基準光の光軸を手術用レーザ光の光軸から分岐させて、基準光を受光素子31に投影させる。この場合、走査部6,10,18の状態が変動した場合でも、手術用レーザ光の光軸と基準光の光軸の関係が維持される。従って、手術用レーザ光の光軸と基準光の光軸との関係が、より正確に維持される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、所定の形状を有する視標を受光素子31に投影することができる。この場合、受光素子31における基準光の投影位置が、より容易に認識される。なお、視標を投影する場合には、CPU51は、眼Eからの反射光の光軸(つまり、撮影光軸)に対する、受光素子31の受光面の傾きを検出することも容易である。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、受光素子31の受光面の傾きを基準光によって検出し、検出した傾きに基づいて、走査部6,10,18の駆動制御、および撮影画像データの傾き補正の少なくともいずれかを実行する。その結果、より正確な位置に手術用レーザ光が照射される。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、装置本体に対する眼Eの位置を眼固定部95によって固定する。従って、眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの位置が固定されていない状態で手術を行う場合に比べて、安定した手術を行うことができる。さらに上記実施形態のCPU51は、眼固定部95を眼Eに結合させた状態で、撮影領域内の基準位置162と、基準光の投影位置とのずれを検出する。CPU51は、検出したずれに基づいて走査部6,10,18の駆動を制御する。従って、上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、撮影領域と、手術用レーザ光が実際に照射される位置の対応関係を考慮せずに眼固定部95を眼Eに結合させた場合でも、手術用レーザ光の照射の正確性を向上させることができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光の光路から分岐した光路上に、手術用レーザ光の照射位置を検出する照射位置検出部26を備える。上記実施形態の基準光の光路は、手術用レーザ光源2から照射位置検出部26に延びる光路の少なくとも一部と共通する光路を有する。この場合、眼科用レーザ手術装置1は、手術用レーザ光の照射位置を、照射位置検出部26によって適切に把握することができる。さらに、眼科用レーザ手術装置1は、照射位置が把握された手術用レーザ光の光路の少なくとも一部に基準光を通過させることで、手術用レーザ光の照射位置を、撮影画像に写り込む基準光によって適切に把握することができる。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1は、眼Eの中心位置と基準光の投影位置とに基づいて、装置本体に対する眼Eの位置合わせ動作を制御する。この場合、基準軸に対して適切な位置に眼Eが固定され易い。例えば、基準光の光軸が眼固定部95の中心に一致している場合には、眼固定部95が眼Eの適切な位置に固定され易い。
本実施形態の基準光投影部は、断面画像撮影部23の撮影光軸との関係が予め定められた光軸に沿って、基準光を受光素子31に投影する。この場合、受光素子31によって撮影される正面画像の撮影領域と、断面画像撮影部23によって撮影される断面画像の撮影領域(本実施形態では、断面画像撮影部23の走査部によって走査されるOCT光の走査範囲)との対応関係が変化しても、両者の対応関係が基準光に基づいて判別される。その結果、より正確な位置に手術用レーザ光が照射される。
上記実施形態で例示した基準光に関する技術は、超短パルスレーザを用いる眼科用レーザ手術装置以外の眼科装置にも適用できる。また、上記実施形態では、正面画像上の基準視標108と基準位置162のずれに基づいて、照射制御データの仮データが補正される。しかし、眼科用レーザ手術装置1は、基準光を他の用途に用いることも可能である。例えば、眼科用レーザ手術装置1は、正面画像上に写り込む基準光の位置と、正面画像上の基準位置162とが一致するように、装置本体に対する受光素子31の位置を移動させてもよい。また、眼科用レーザ手術装置1は、基準光によって検出される受光素子31の受光面の角度が適切な角度となるように、受光素子31の角度を調整してもよい。さらに、眼科用レーザ手術装置1は、正面画像を表示部54に表示させた状態で、手術用レーザ光の照射位置をユーザに入力させることで、照射制御データを作成してもよい。
上記実施形態の眼科用レーザ手術装置1および眼科手術制御プログラムは、以下のように表現することもできる。
手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで前記眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、前記手術用レーザ光の光路のうち、前記装置本体と前記眼の間に介在するインターフェースと、前記インターフェースの少なくとも一部が着脱可能に装着されると共に、装着された前記インターフェースである装着インターフェースを、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを調整可能な状態で保持する保持部と、前記眼科用レーザ手術装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記装着インターフェースの、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを検出し、前記装着インターフェースの装着状態を調整するために実行される動作である調整動作を、検出した位置および角度の少なくともいずれかに基づいて制御する。
眼科装置であって、対象者の眼に光を照射する光源と、前記眼によって反射された反射光を受光する受光素子と、前記眼科装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、装置本体に対する前記眼の位置を示す位置情報を取得し、取得した前記位置情報に応じて、前記光源から前記眼に照射される光の光量を調整する。
眼科装置であって、装置本体に固定され、対象者の眼に光を照射する光源と、前記眼によって反射された反射光を受光することで、前記眼における前眼部の正面画像を撮影する正面画像撮影部と、前記眼科装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記装置本体に対する前記眼の位置を示す位置情報を取得し、取得した前記位置情報に応じて、前記正面画像撮影部によって撮影された前記正面画像のゲインおよびオフセットの少なくともいずれかを調整する。
眼科装置を制御するための眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置は、対象者の眼に光を照射する光源と、前記眼によって反射された反射光を受光する受光素子と、を備え、前記眼科装置制御プログラムが前記眼科装置のプロセッサによって実行されることで、装置本体に対する前記眼の位置を示す位置情報を取得する取得ステップと、取得した前記位置情報に応じて、前記光源から前記眼に照射される光の光量を調整する光量調整ステップと、を前記眼科装置に実行させる。
手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで前記眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、前記眼に結合することで、装置本体に対する前記眼の位置を固定する環状の眼固定部と、前記眼の画像を撮影する受光素子と、前記眼科用レーザ手術装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、環状の前記眼固定部の中心を検出し、検出した前記眼固定部の中心を基準として、前記眼に対して前記眼固定部を結合させるために実行される結合動作を制御する。
眼科用レーザ手術装置を制御するための眼科手術制御プログラムであって、前記眼科用レーザ手術装置は、対象者の眼に結合することで、装置本体に対する前記眼の位置を固定する環状の眼固定部を備え、前記眼科手術制御プログラムが前記眼科用レーザ手術装置のプロセッサによって実行されることで、環状の前記眼固定部の中心を検出する中心検出ステップと、検出した前記眼固定部の中心を基準として、前記眼に対して前記眼固定部を結合させるために実行される結合動作を制御する結合動作ステップと、を前記眼科用レーザ手術装置に実行させる。
眼科装置であって、対象者の眼における前眼部の画像を撮影する撮影部と、前記眼科装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮影部によって撮影された前記画像を処理することで、前記撮影部の撮影光軸に交差するXY方向における前記眼の中心位置を検出する中心検出処理を実行すると共に、前記中心検出処理を実行する際の検出条件に応じて、前記中心位置を検出する方法を切り換える。
眼科装置を制御するための眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置は、対象者の眼における前眼部の画像を撮影する撮影部を備え、前記眼科装置制御プログラムが前記眼科装置のプロセッサによって実行されることで、前記撮影部によって撮影された前記画像から、前記撮影部の撮影光軸に交差するXY方向における前記眼の中心位置を検出する方法を、前記眼の中心位置を検出する際の検出条件に応じて切り換える切換ステップ、を前記眼科装置に実行させる。
眼科装置であって、装置本体と対象者の眼の間の距離に応じて異なる倍率で、前記眼の前眼部の正面画像を撮影する正面画像撮影部と、前記眼に結合することで、装置本体に対する前記眼の位置を固定する眼固定部と、前記眼科装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記正面画像を表示部に表示させると共に、前記眼固定部のサイズを示すサイズ視標を、前記表示部の前記正面画像上に重畳表示させる。
眼科装置を制御するための眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置は、装置本体と対象者の眼の間の距離に応じて異なる倍率で、前記眼の前眼部の正面画像を撮影する正面画像撮影部と、前記眼に結合することで、装置本体に対する前記眼の位置を固定する眼固定部と、を備え、前記眼科装置制御プログラムが前記眼科装置のプロセッサによって実行されることで、前記眼固定部のサイズを示すサイズ視標を、表示部に表示されている前記正面画像上に重畳表示させるサイズ視標表示ステップ、を前記眼科装置に実行させる。
眼科装置であって、対象者の眼の視線を誘導する固視標を前記眼に投影する固視標投影部と、前記固視標投影部によって投影される前記固視標の光路のうち、装置本体と前記眼の間に介在して前記眼に結合されるインターフェースと、前記眼科装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記眼に対して前記インターフェースが結合される前後で、前記固視標投影部から前記眼への前記固視標の投影状態を変更する。
眼科装置を制御するための眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置は、対象者の眼の視線を誘導する固視標を前記眼に投影する固視標投影部と、前記固視標投影部によって投影される前記固視標の光路のうち、装置本体と前記眼の間に介在して前記眼に結合されるインターフェースと、を備え、前記眼科装置制御プログラムが前記眼科装置のプロセッサによって実行されることで、前記眼に対して前記インターフェースが結合される前後で、前記固視標投影部から前記眼への前記固視標の投影状態を変更する投影状態変更ステップ、を前記眼科装置に実行させる。
手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで前記眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、前記眼科用レーザ手術装置の動作を制御する制御部と、前記眼によって反射された反射光を受光することで前記眼の画像を撮影する受光素子と、前記手術用レーザ光を出射する手術用レーザ光源と、前記手術用レーザ光が集光されるスポットを走査する走査部と、前記眼に照射される前記手術用レーザ光の光軸との関係が予め定められた光軸に沿って、基準光を前記受光素子に投影する基準光投影部と、を備える。
1 眼科用レーザ手術装置
2 手術用レーザ光源
3 基準光源
6 高速Z走査部
10 XY走査部
18 広範囲Z走査部
20 対物レンズ
23 断面画像撮影部
26 照射位置検出部
30 正面画像撮影部
31 受光素子
33,34,36 受光調整部
35 光学素子
40 固視標投影部
48 可動光学素子
49 光学素子移動駆動部
50 制御部
51 CPU
54 表示部
55 操作部
63 アライメント指標投影部
64 アライメント・照明光源
66 結合駆動部
67 保持部
70 調整駆動部
90 インターフェース
91 液浸インターフェース
92 圧平インターフェース
95 眼固定部
97 エッジ
100 液浸レンズ
108 基準視標
110 コンタクトレンズ
128 IFレンズ調整駆動部
129 サクション調整駆動部


Claims (11)

  1. 手術用レーザ光を対象者の眼に照射することで前記眼を処置する眼科用レーザ手術装置であって、
    前記手術用レーザ光の光路のうち、前記装置本体と前記眼の間に介在するインターフェースと、
    前記インターフェースの少なくとも一部が着脱可能に装着されると共に、装着された前記インターフェースである装着インターフェースを、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを調整可能な状態で保持する保持部と、
    前記眼科用レーザ手術装置の動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記装着インターフェースの、前記装置本体に対する位置および角度の少なくともいずれかを検出し、
    前記装着インターフェースの装着状態を調整するために実行される動作である調整動作を、検出した位置および角度の少なくともいずれかに基づいて制御することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  2. 請求項1に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記装着インターフェースは、
    前記眼に結合することで、前記装置本体に対する前記眼の位置を固定する環状の眼固定部を含み、
    前記制御部は、
    環状の前記眼固定部の中心を検出し、検出した前記眼固定部の中心の位置に基づいて前記調整動作を制御することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  3. 請求項2に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記制御部は、前記調整動作において、
    検出した前記眼固定部の中心の位置と、前記装着インターフェースの適正位置を決定する基準となる基準軸の位置とを表示部に表示させることを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  4. 請求項2または3に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記装置本体に対する前記眼固定部の位置を少なくとも調整する第1調整駆動部をさらに備え、
    前記制御部は、前記調整動作において、
    前記第1調整駆動部の駆動を制御することで、前記装着インターフェースの適正位置を決定する基準となる基準軸に、前記眼固定部の中心の位置を近づけることを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記装着インターフェースは、
    前面および後面のレンズ面の少なくとも一方が曲面によって形成されたインターフェースレンズを含み、
    前記制御部は、
    前記装置本体に対する前記インターフェースレンズの位置および角度の少なくともいずれかを検出し、検出結果に基づいて前記調整動作を制御することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  6. 請求項5に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記制御部は、
    曲面のレンズ面における少なくとも1点の情報をレンズ面情報として取得し、取得した前記レンズ面情報に基づいて、前記インターフェースレンズの位置および角度の少なくともいずれかを検出することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  7. 請求項6に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記インターフェースレンズの前記眼側に位置する前記後面は、前記眼、液体、または弾性体に接触し、
    前記制御部は、
    前記インターフェースレンズのうち少なくとも前記前面の前記レンズ面情報に基づいて、前記調整動作を制御することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  8. 請求項6または7に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記制御部は、
    前記前面および前記後面のうち少なくとも一方のレンズ面のうち、前記装着インターフェースの適正位置を決定する基準となる基準軸の方向に対して垂直となる垂直位置を、前記レンズ面情報に基づいて検出し、
    検出した前記垂直位置に基づいて前記調整動作を制御することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  9. 請求項8に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記制御部は、
    球面に沿う形状の前記レンズ面のうち少なくとも3点の位置の情報を、前記レンズ面情報として取得し、
    取得した前記レンズ面情報から前記球面の中心の位置を検出することで、前記垂直位置を検出することを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  10. 請求項8または9に記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記制御部は、前記調整動作において、
    検出した前記垂直位置と前記基準軸の位置とを表示部に表示させることを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
  11. 請求項8から10のいずれかに記載の眼科用レーザ手術装置であって、
    前記装置本体に対する前記インターフェースレンズの位置を少なくとも調整する第2調整駆動部をさらに備え、
    前記制御部は、前記調整動作において、
    前記第2調整駆動部の駆動を制御することで、前記基準軸に前記垂直位置を近づけることを特徴とする眼科用レーザ手術装置。
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