以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1および図2に基づいて説明する。
第1実施形態の緩衝器は、図1に示すように、いわゆるモノチューブ式の油圧緩衝器で、作動流体としての油液が封入される有底円筒状のシリンダ10を有している。シリンダ10内には、ピストン11が摺動可能に嵌装され、このピストン11により、シリンダ10内が上室12および下室13の2室に区画されている。ピストン11は、ピストン本体14と、その外周面に装着される円環状の摺動部材15と、ピストン本体14に連結されるピストンロッド16のピストン本体14への挿通部分とによって構成されている。
ピストン本体14は、ピストンロッド16の一端部に連結されており、ピストンロッド16の他端側は、シリンダ10の開口側に装着されたロッドガイド17およびオイルシール18等に挿通されてシリンダ10の外部へ延出されている。
ピストンロッド16は、金属製であり、主軸部20と、これより小径でピストン本体14が取り付けられる一端側の取付軸部21とを有している。ピストンロッド16には、ピストン11とロッドガイド17との間の主軸部20に、内側にピストンロッド16を挿通させてリバウンドストッパ24および緩衝体25が設けられている。また、ピストン11よりもシリンダ10の底部側には、ピストン11側に下室13を画成するための区画体26がシリンダ10内を摺動可能に設けられている。シリンダ10内の上室12および下室13内には、油液が封入されており、区画体26により下室13と画成された室27には高圧(20〜30気圧程度)ガスが封入されている。
図2に示すように、ピストン本体14には、上室12と下室13とを連通させ、ピストン11の上室12側への移動、つまり伸び行程において上室12から下室13に向けて油液が流れ出す複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路(第1通路)30aと、ピストン11の下室13側への移動、つまり縮み工程において下室13から上室12に向けて油液が流れ出す複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路(第1通路)30bが設けられている。これらのうち半数を構成する通路30aは、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路30bを挟んで等ピッチで形成されており、ピストン11の軸方向一側(図2の上側)が径方向外側に軸方向他側(図2の下側)が径方向内側に開口している。
そして、これら半数の通路30aに、減衰力を発生する減衰力発生機構32aが設けられている。減衰力発生機構32aは、ピストン11の軸線方向の下室13側に配置されてピストンロッド16の取付軸部21に取り付けられている。通路30aは、ピストンロッド16がシリンダ10外に伸び出る伸び側にピストン11が移動するときに油液が通過する伸び側の通路を構成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構32aは、伸び側の通路30aの油液の流動を制御して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構を構成している。
また、残りの半数を構成する通路30bは、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路30aを挟んで等ピッチで形成されており、ピストン11の軸線方向他側(図2の下側)が径方向外側に軸線方向一側(図2の上側)が径方向内側に開口している。
そして、これら残り半数の通路30bに、減衰力を発生する減衰力発生機構32bが設けられている。減衰力発生機構32bは、ピストン11の軸線方向の上室12側に配置されてピストンロッド16の取付軸部21に取り付けられている。通路30bは、ピストンロッド16がシリンダ10内に入る縮み側にピストン11が移動するときに油液が通過する縮み側の通路を構成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構32bは、縮み側の通路30bの油液の流動を制御して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構を構成している。
ピストンロッド16には、取付軸部21のピストン11よりもさらに端側に減衰力可変機構35が取り付けられている。
ピストン本体14は、略円板形状をなしており、その中央には、軸方向に貫通して、上記したピストンロッド16の取付軸部21を挿通させるための挿通穴38が形成されている。
ピストン本体14の下室13側の端部には、伸び側の通路30aの一端開口位置に、減衰力発生機構32aを構成するシート部41aが、円環状に形成されている。ピストン本体14の上室12側の端部には、縮み側の通路30bの一端の開口位置に、減衰力発生機構32bを構成するシート部41bが、円環状に形成されている。
ピストン本体14において、シート部41aの挿通穴38とは反対側は、シート部41aよりも軸線方向高さが低い環状の段差部42bとなっており、この段差部42bの位置に縮み側の通路30bの他端が開口している。また、シート部41aには、軸方向に凹む通路溝(オリフィス)43aが、それぞれ通路30aからピストン11の径方向外側に延在して段差部42bに抜けるように形成されている。同様に、ピストン本体14において、シート部41bの挿通穴38とは反対側は、シート部41bよりも軸線方向高さが低い環状の段差部42aとなっており、この段差部42aの位置に伸び側の通路30aの他端が開口している。また、シート部41bにも、図示は略すが、軸方向に凹む通路溝(オリフィス)が、それぞれ通路30bからピストン11の径方向に外側に延在して段差部42aに抜けるように形成されている。
減衰力発生機構32aは、シート部41aの全体に同時に着座可能な環状のディスクバルブ45aと、ディスクバルブ45aよりも小径であってディスクバルブ45aのピストン本体14とは反対側に配置される環状のスペーサ46aと、スペーサ46aよりも大径であってスペーサ46aのピストン本体14とは反対側に配置される環状のバルブ規制部材47aとを有している。ディスクバルブ45aは複数枚の環状のディスクが重ね合わせられることで構成されており、シート部41aから離座することで通路30aを開放する。また、バルブ規制部材47aはディスクバルブ45aの開方向への規定以上の変形を規制する。
同様に、減衰力発生機構32bは、シート部41bの全体に同時に着座可能な環状のディスクバルブ45bと、ディスクバルブ45bよりも小径であってディスクバルブ45bのピストン本体14とは反対側に配置される環状のスペーサ46bと、スペーサ46bよりも大径であってスペーサ46bのピストン本体14とは反対側に配置される環状のバルブ規制部材47bとを有している。このバルブ規制部材47bは、ピストンロッド16の主軸部20の取付軸部21側の端部の軸段部48に当接している。ディスクバルブ45bも複数枚の環状のディスクが重ね合わせられることで構成されており、シート部41bから離座することで通路30bを開放する。また、バルブ規制部材47bはディスクバルブ45bの開方向への規定以上の変形を規制する。
本実施形態では、減衰力発生機構32a、32bを内周クランプのディスクバルブの例を示したが、これに限らず、減衰力を発生する機構であればよく、例えば、ディスクバルブをコイルバネで付勢するリフトタイプのバルブとしてもよく、また、ポペット弁であってもよい。
ピストンロッド16の先端部にはオネジ50が形成されており、このオネジ50に減衰力可変機構35が螺合されている。減衰力可変機構35は、ピストンロッド16のオネジ50に螺合されるメネジ52が形成された金属製の蓋部材53と、この蓋部材53にその開口側が閉塞されるように取り付けられる有底円筒状の金属製のハウジング本体54とからなるハウジング55と、このハウジング55内に摺動可能に嵌挿される金属製のフリーピストン57と、フリーピストン57とハウジング55の蓋部材53との間に介装されてフリーピストン57が軸方向一側へ移動したときに圧縮変形する金属製のコイルバネ(バネ部材)58と、フリーピストン57とハウジング55のハウジング本体54との間に介装されてフリーピストン57が軸方向他側へ移動したときに圧縮変形する金属製のコイルバネ(バネ部材)59と、フリーピストン57に焼き付けられたゴム製の弾性部材60とで構成されている。
蓋部材53は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状の蓋筒部62と、この蓋筒部62の軸方向の端部から径方向外側に延出する円板状の蓋フランジ部63とを有している。蓋筒部62の内周部に、上記したメネジ52が形成されている。
ハウジング本体54は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状のハウジング筒部65と、このハウジング筒部65の軸方向の端部を閉塞するハウジング底部66とを有している。なお、ハウジングを円筒と記述しているが、内周面は断面円形となることが望ましいものの、外周面は、多角形等断面非円形であってもよい。
ここで、ハウジング本体54には、蓋部材53が、蓋筒部62を先側にして開口側から挿入されることになり、この状態でハウジング筒部65の開口側の端部が内側に加締められることで、ハウジング本体54に蓋部材53が固定され一体化されてハウジング55を構成する。ハウジング底部66にはその中央に軸線方向に貫通する連通穴(オリフィス)67が形成されている。
フリーピストン57は、板材からプレス加工で形成されるもので、略円筒状のピストン筒部71と、このピストン筒部71の軸方向の一端部を閉塞するピストン底部72と、ピストン筒部71の軸方向の他端部から径方向外方に突出する円環状のピストンフランジ部73とを有している。
弾性部材60は、フリーピストン57におけるピストン底部72の径方向のピストン筒部71側と、ピストン筒部71の全体と、ピストンフランジ部73の全体とを覆うように形成されている。なお、弾性部材60は、コイルバネや板バネ以外の、材質自体に弾性を有する材料からなるものであれば、ゴムの他にも、袋に入れられたゲル等で形成しても良い。
具体的に、弾性部材60は、ピストン底部72の軸方向のピストン筒部71側を覆う円環板状部75と、円環板状部75に連続してピストン筒部71の内周面を覆う筒状部76と、筒状部76に連続してピストンフランジ部73における軸方向のピストン筒部71とは反対側を覆う円環状厚肉部77と、円環状厚肉部77に連続してピストンフランジ部73における外周面を覆う筒状部78と、筒状部78に連続してピストンフランジ部73における軸方向のピストン筒部71側を覆う円環板状部79と、円環板状部79に連続してピストン筒部71の外周面を覆う筒状部80と、筒状部80に連続してピストン底部72における軸方向のピストン筒部71とは反対側を覆う円環状厚肉部81とからなっている。
円環状厚肉部77は、その内周面が、フリーピストン57から軸方向に離れるほど大径となっており、その外周面において、ハウジング本体54のハウジング筒部65に摺接する。
円環状厚肉部81は、その内周面が、フリーピストン57から軸方向に離れるほど大径となり、その外周面が、フリーピストン57から軸方向に離れるほど小径となっている。円環状厚肉部81の軸方向のフリーピストン57とは反対側の先端部には、径方向に貫通する貫通溝82が形成されている。
コイルバネ58は、蓋部材53の蓋フランジ部63とフリーピストン57のピストン底部72との間に介装されており、一端側が蓋フランジ部63に当接し、他端側がピストン底部72に固着された弾性部材60の円環板状部75に当接している。
コイルバネ59は、ハウジング本体54のハウジング底部66とフリーピストン57のピストンフランジ部73との間に介装されており、一端側がハウジング底部66に当接し、他端側がピストンフランジ部73に固着された弾性部材60の円環板状部79に当接している。
コイルバネ58,59は、ハウジング55内でフリーピストン57を中立位置に保持するように軸方向両側から付勢することになる。この中立位置からフリーピストン57がコイルバネ58を縮める方向に移動した場合に、コイルバネ58を最小長さに縮めるよりも手前で、弾性部材60の円環状厚肉部77が蓋部材53の蓋フランジ部63に当接するようになっている。また、中立位置からフリーピストン57がコイルバネ59を縮める方向に移動した場合に、コイルバネ59を最小長さに縮めるよりも手前で、弾性部材60の円環状厚肉部81がハウジング本体54のハウジング底部66に当接するようになっている。
なお、減衰力可変機構35は、予め組み立てられた状態でピストンロッド16の取付軸部21のオネジ50にハウジング55のメネジ52を螺合させて取り付けられることになり、その際に、ハウジング55の蓋フランジ部63が減衰力発生機構32aのバルブ規制部材47aに当接して、減衰力発生機構32a、ピストン本体14および減衰力発生機構32bをピストンロッド16の軸段部48との間に挟持することになる。なお、減衰力可変機構35の外径つまりハウジング本体54の外径は、シリンダ10の内径よりも流路抵抗とならない程度小さく設定されている。
ピストンロッド16には、主軸部20の取付軸部21側の端部位置に径方向に沿う通路穴85が形成されており、取付軸部21には、この通路穴85に連通する通路穴86が軸方向に沿って形成されている。よって、これらの通路穴85,86によって、上室12が、減衰力可変機構35のハウジング55内に連通しており、具体的にはハウジング55と弾性部材60とフリーピストン57とで画成される上室連通室87内に連通している。また、下室13が、ハウジング55のハウジング底部66に形成された連通穴67を介してハウジング55内に連通しており、具体的にはハウジング55と弾性部材60とフリーピストン57とで画成される下室連通室88内に連通している。なお、ハウジング本体54とフリーピストン57との間に配置された弾性部材60は、ハウジング55とフリーピストン57との間を常にシールするように配置され、上室連通室87と下室連通室88との連通を常に遮断する。
通路穴85,86および上室連通室87が、ピストン11の上室12側への移動によりシリンダ10内の一方の上室12から油液が流れ出す通路(第2通路)90を構成しており、連通穴67および下室連通室88が、ピストン11の下室13側への移動によりシリンダ10内の一方の下室13から油液が流れ出す通路(第2通路)91を構成している。よって、ハウジング55には、内部に通路90の一部の流路が形成されており、内部に通路91の全体の流路が形成されている。また、フリーピストン57は、ハウジング55内に移動可能に設けられて通路90,91を上流と下流に画成する。通路30a,30bと、通路90とが、ピストンロッド16の一部を含むピストン11に設けられている。
ここで、ピストンロッド16が伸び側に移動する伸び行程では、上室12から通路30aを介して下室13に油液が流れることになるが、ピストン速度が微低速域の場合は、上室12から通路30aに導入された油液が、基本的に、ピストン11に形成された通路溝43aとシート部41aに当接するディスクバルブ45aとで画成されるコンスタントオリフィスを介して下室13に流れ、その際オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。また、ピストン速度が上昇して低速域に達すると、上室12から通路30aに導入された油液が、基本的にディスクバルブ45aを開きながらディスクバルブ45aとシート部41aとの間を通って下室13に流れることになる。このため、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。
ピストンロッド16が縮み側に移動する縮み工程では、下室13から通路30bを介して上室12に油液が流れることになるが、ピストン速度が微低速域の場合は、下室13から通路30bに導入された油液が、基本的に、ピストン11に形成された図示略の通路溝とシート部41bに当接するディスクバルブ45とで画成されるコンスタントオリフィスを介して上室12に流れ、その際オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。また、ピストン速度が上昇して低速域に達すると、下室13から通路30bに導入された油液が、基本的にディスクバルブ45bを開きながらディスクバルブ45bとシート部41bとの間を通って上室12に流れることになる。このため、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。
ここで、ピストン速度が遅いとき、つまり微低速域(例えば0.05m/s)の周波数が比較的高い領域(例えば7Hz以上)は、例えば路面の細かな表面の凹凸から生じる振動であり、このような状況では減衰力を下げるのが好ましい。また、同じくピストン速度が遅いときであっても、上記とは逆に周波数が比較的低い領域(例えば2Hz以下)は、いわゆる車体のロールによるぐらつき等の振動であり、このような状況では減衰力を上げるのが好ましい。
これに対応して、上記した減衰力可変機構35が、ピストン速度が同じように遅い場合でも、周波数に応じて減衰力を可変とする。つまり、ピストン速度が遅い時、ピストン11の往復動の周波数が高くなると、その伸び行程では、上室12の圧力が高くなって、ピストンロッド16の通路穴85,86を介して減衰力可変機構35の上室連通室87に上室12から油液を導入させるとともに減衰力可変機構35の下室連通室88から通路91内の下流側のオリフィスを構成する連通穴67を介して下室13に油液を排出させながら、フリーピストン57が軸方向の下室13側にあるコイルバネ59の付勢力に抗して軸方向の下室13側に移動する。このようにフリーピストン57が軸方向の下室13側に移動することにより、上室連通室87に上室12から油液を導入することになり、上室12から通路30aに導入され減衰力発生機構32aを通過して下室13に流れる油液の流量が減ることになる。これにより、減衰力が下がる。
続く縮み行程では、下室13の圧力が高くなるため、通路内上流側のオリフィスを構成する連通穴67を介して減衰力可変機構35の下室連通室88に下室13から油液を導入させるとともにピストンロッド16の通路穴85,86を介して上室連通室87から上室12に油液を排出させながら、それまで軸方向の下室13側に移動していたフリーピストン57が軸方向の上室12側にあるコイルバネ58の付勢力に抗して軸方向の上室12側に移動する。このようにフリーピストン57が軸方向の上室12側に移動することにより、下室連通室88に下室13から油液を導入することになり、下室13から通路30bに導入され減衰力発生機構32bを通過して上室12に流れる油液の流量が減ることになる。これにより、減衰力が下がる。
そして、ピストン11の周波数が高い領域では、フリーピストン57の移動の周波数も追従して高くなり、その結果、上記した伸び行程の都度、上室12から上室連通室87に油液が流れ、縮み行程の都度、下室13から下室連通室88に油液が流れることになって、上記のように、減衰力が下がった状態に維持されることになる。
他方で、ピストン速度が遅い時、ピストン11の周波数が低くなると、フリーピストン57の移動の周波数も追従して低くなるため、伸び行程の初期に、上室12から上室連通室87に油液が流れるものの、その後はフリーピストン57がコイルバネ59を圧縮して軸方向の下室13側で停止し、上室12から上室連通室87に油液が流れなくなるため、上室12から通路30aに導入され減衰力発生機構32aを通過して下室13に流れる油液の流量が減らない状態となり、減衰力が高くなる。
続く縮み行程でも、その初期に、下室13から下室連通室88に油液が流れるものの、その後はフリーピストン57がコイルバネ58を圧縮して軸方向の上室12側で停止し、下室13から下室連通室88に油液が流れなくなるため、下室13から通路30bに導入され減衰力発生機構32bを通過して上室12に流れる油液の流量が減らない状態となり、減衰力が高くなる。
そして、第1実施形態においては、フリーピストン57とハウジング55との軸方向の間に、材質自体に弾性を有する弾性部材60の円環状厚肉部77,81が配されているため、上記作動時にフリーピストン57が軸方向に大きく移動しても、円環状厚肉部77,81がハウジング55に先に当接し圧縮変形してフリーピストン57の移動エネルギーを吸収するとともに、フリーピストン57が直接ハウジング55あるいはピストンロッド16に接触したり、コイルバネ58,59を最小長さまで縮めることを規制する。したがって、フリーピストン57が直接ハウジング55あるいはピストンロッド16に衝突することにより発生する打音や、コイルバネ58,59が最小長さまで縮むことで生じる打音を低減することができる。これにより、緩衝器から発生する異音を低減することができる。
また、弾性部材60を用いてフリーピストン57の速度を、その移動端手前より低下させることができるため、減衰力がソフトからハードへ切り替わる過渡特性を改善することができる。
また、弾性部材60が、フリーピストン57に焼き付けて設けられているため、これらを一部品として取り扱うことができる。したがって、組付作業工数および管理コストを低減することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図3に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、第1実施形態に対して減衰力可変機構35が一部相違している。つまり、まず、第1実施形態とは一部異なる蓋部材53が用いられている。この蓋部材53は、蓋フランジ部63の外周側に円筒部101を設けた構成となっている。円筒部101の軸方向における蓋フランジ部63とは反対の先端面101aは、軸直交方向に沿っている。
また、第2実施形態においては、第1実施形態とは一部異なるハウジング本体54が用いられている。つまり、ハウジング筒部65とハウジング底部66との境界位置に、ハウジング筒部65から径方向内側に突出する環状の内側環状突起102が形成されている。内側環状突起102の軸方向におけるハウジング底部66とは反対側はハウジング底部66から離れるほど大径となる傾斜面102aとなっている。
さらに、第2実施形態においては、第1実施形態に対して異なるフリーピストン105が用いられている。第2実施形態のフリーピストン105は、円筒状のピストン筒部106と、ピストン筒部106をその軸方向中央位置にて閉塞するピストン底部107と、ピストン筒部106の軸方向中央位置の外周側から外側に延出するピストンフランジ部108とを有している。ピストンフランジ部108の軸方向両側は、互いに軸方向に離れるほど同様に小径となる傾斜面108a,108bとなっている。このフリーピストン105は金属製であるものの、切削加工を主体として形成されることになる。
蓋部材53の蓋フランジ部63と、これに対向するフリーピストン105のピストン底部107との間にコイルバネ58が配置され、ハウジング本体54のハウジング底部66と、これに対向するフリーピストン105のピストン底部107との間にコイルバネ59が配置されている。
そして、第2実施形態においては、ゴム製のOリングからなる弾性部材110が、フリーピストン105のピストンフランジ部108の傾斜面108aと、蓋部材53の円筒部101の先端面101aとの間に配置され、ゴム製のOリングからなる弾性部材111が、フリーピストン105のピストンフランジ部108の傾斜面108bと、ハウジング本体54の内側環状突起102の傾斜面102aとの間に配置されている。つまり、フリーピストン105とハウジング55との軸方向の間に、弾性部材110,111が配置されている。弾性部材110,111は、ハウジング本体54のハウジング筒部65とフリーピストン105との隙間をシールする。
コイルバネ58,59は、ハウジング55内でフリーピストン105を中立位置に保持するように軸方向両側から付勢することになる。この中立位置からフリーピストン105がコイルバネ58を縮める方向に移動した場合に、弾性部材110が蓋部材53の円筒部101の先端面101aとフリーピストン105のピストンフランジ部108の傾斜面108aとで押し潰されることになり、コイルバネ58を最小長さに縮めるよりも手前でありフリーピストン105が蓋フランジ部63に当接するよりも手前で、フリーピストン105を停止させるようになっている。また、中立位置からフリーピストン105がコイルバネ59を縮める方向に移動した場合に、弾性部材111がハウジング本体54の内側環状突起102の傾斜面102aとフリーピストン105のピストンフランジ部108の傾斜面108bとで押し潰されることになり、コイルバネ59を最小長さに縮めるよりも手前でありフリーピストン105がハウジング底部66に当接するよりも手前でフリーピストン105を停止させるようになっている。
以上に述べた第2実施形態によれば、フリーピストン105とハウジング55との軸方向の間に、材質自体に弾性を有する弾性部材110,111が配されているため、第1実施形態と同様の効果を奏することになり、その上で、弾性部材110,111としてOリングを用いるため、部品コストを低減することができる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、第1実施形態に対して減衰力可変機構35が一部相違している。つまり、まず、第1実施形態とは一部異なる蓋部材53が用いられている。この蓋部材53には、蓋筒部62と蓋フランジ部63との境界位置に、蓋筒部62から径方向外側に突出する環状の蓋段状部120が形成されている。
また、第3実施形態においては、第1実施形態とは一部異なるハウジング本体54が用いられている。つまり、ハウジング本体54には、ハウジング筒部65とハウジング底部66との境界位置に、ハウジング筒部65から径方向内側に突出する環状のハウジング段状部121が形成されている。
さらに、第3実施形態においては、第1実施形態に対して異なるフリーピストン124が用いられている。第3実施形態のフリーピストン124は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状のピストン筒部125と、このピストン筒部125の軸方向の一端部を閉塞するピストン底部126と、ピストン筒部125の軸方向の他端部から径方向外方に突出する円環状のピストンフランジ部127とを有している。
ピストン底部126には、その外周側の軸方向におけるピストン筒部125とは反対側にピストン筒部125から離れるほど小径となる面取部130が形成されており、その中央の軸方向におけるピストン筒部125とは反対側に、軸方向に凹む凹部131が形成されている。また、ピストンフランジ部127には、その外周部の軸方向における中間位置に径方向内方に凹むシール溝133が形成されており、また、その内周側の軸方向におけるピストン筒部125とは反対側に、ピストン筒部125から離れるほど大径となる面取部134が形成されている。シール溝133には、ハウジング本体54のハウジング筒部65とフリーピストン124との隙間をシールするOリングからなるシールリング135が配置されることになる。
コイルバネ58は、蓋部材53の蓋段状部120とフリーピストン124のピストン底部126との間にこれらに当接して介装されており、コイルバネ59は、ハウジング本体54のハウジング段状部121とフリーピストン124のピストンフランジ部127との間にこれらに当接して介装されている。
そして、第3実施形態においては、ゴム製のOリングからなる弾性部材110が、蓋部材53の蓋フランジ部63に当接した状態で、蓋段状部120の外側に締め代をもって嵌合されている。また、ゴム製のOリングからなる弾性部材111が、ハウジング本体54のハウジング底部66に当接した状態で、ハウジング本体54のハウジング段状部121の内側に締め代をもって嵌合されている。これら弾性部材110,111も、フリーピストン124とハウジング55との軸方向の間に配置されている。
コイルバネ58,59は、ハウジング55内でフリーピストン124を中立位置に保持するように軸方向両側から付勢することになる。この中立位置からフリーピストン124がコイルバネ58を縮める方向に移動した場合に、弾性部材110がフリーピストン124のピストンフランジ部127の面取部134を当接させることになり、弾性変形して、コイルバネ58の最小長さへの縮長およびフリーピストン124の蓋部材53への当接を規制する。また、中立位置からフリーピストン124がコイルバネ59を縮める方向に移動した場合に、弾性部材111がフリーピストン105の面取部130を当接させることになり、弾性変形して、コイルバネ59の最小長さへの縮長およびフリーピストン124のハウジング本体54への当接を規制する。
以上に述べた第3実施形態によれば、フリーピストン124とハウジング55との軸方向の間に、材質自体に弾性を有する弾性部材110,111が配されているため、第1実施形態と同様の効果を奏することになり、その上で、弾性部材110,111としてOリングを用いるため、部品コストを低減することができる。
なお、第2,第3実施形態においても、弾性部材110,111は、コイルバネや板バネ以外の、材質自体に弾性を有する材料からなるものであれば、ゴムの他にも、袋に入れられたゲル等で形成しても良い。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態を主に図5に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態においては、第1実施形態に対して、まず、伸び側の減衰力発生機構32aが相違している。第4実施形態の減衰力発生機構32aは、軸方向の上室12側つまりピストン本体14側から順に、ディスク200と、中間ディスク201と、リリーフバルブ202と、バルブ部材203と、ディスクバルブ(減衰バルブ)205と、スペーサ206と、バルブ規制部材207とを有している。
バルブ部材203は、軸直交方向に沿う有孔円板状の底部210と、底部210の内周側に形成された軸方向に沿う円筒状の内側円筒状部211と、底部210の外周側に形成された軸方向に沿う円筒状の外側円筒状部212とを有している。底部210には軸方向に貫通する複数の貫通孔213が形成されている。複数の貫通孔213を含むこのバルブ部材203の内側円筒状部211と外側円筒状部212との間の空間は、ピストン本体14の通路30aに連通することで、上室12と下室13とを連通可能であり、ピストン11の上室12側への移動によって上室12から下室13に向けて油液が流れ出す通路(第1通路)215を構成している。また、外側円筒状部212には、その軸方向の下室13側に、環状のシート部216が形成されており、図示は略すがシート部216には径方向に沿って貫通する通路溝が形成されている。なお、シート部216に形成する通路溝に換えてシート部216と接するディスクバルブ215の外周側に切り欠きを設けることにより通路を形成してもよい。
ディスク200は、ピストン本体14のシート部41aよりも小径の円板状をなしている。中間ディスク201は、ディスク200と同径をなすもので、その外周側には複数の切欠部220が形成されている。
減衰バルブ202は、ピストン本体14の通路30aとバルブ部材203の通路215との間に設けられてピストン11の摺動によって生じる油液の流れを制御して減衰力を発生させるものであり、ピストン本体14のシート部41aに着座可能な有孔円板状のディスク222と、ディスク222のピストン本体14とは反対の外周側に固着されたゴム材料からなる円環状のシール部材223とからなっている。ディスク222には、シール部材223よりも径方向内側に軸方向に貫通する貫通孔224が形成されている。この減衰バルブ202は、貫通孔224がシート部41aよりも内側に位置して中間ディスク201の切欠部220と連通可能となるように径方向の位置を合わせている。シール部材223はバルブ部材203の外側円筒状部212の内周面に接触して、減衰バルブ202とバルブ部材203の外側円筒状部212との隙間をシールする。バルブ部材203の外側円筒状部212、底部210および内側円筒状部211と、減衰バルブ202との間の空間は、減衰バルブ202に、シート部41aに当接させる閉弁方向に内圧を作用させる背圧室225となっている。また、減衰バルブ202の貫通孔224と中間ディスク201の切欠部220とを含む減衰バルブ202と中間ディスク201とで形成される油路が、背圧室225にシリンダ10内の上室12から油液を導入する背圧室入口油路226となっている。減衰バルブ202は、ピストン本体14のシート部41aから離座して開くと、通路30aからの油液をピストン本体14とバルブ部材203との間の径方向の流路227を介して下室13に流す。
ディスクバルブ205は、バルブ部材203のシート部216に着座可能な環状をなしている。ディスクバルブ205は、シート部216から離座することで背圧室225を開放するものであり、複数枚の環状のディスクが重ね合わせられることで構成されている。スペーサ206は、ディスクバルブ205よりも小径の環状をなしており、また、バルブ規制部材207は、スペーサ206よりも大径の環状をなしている。このバルブ規制部材207はディスクバルブ205の開方向への規定以上の変形を規制する。ディスクバルブ205は、背圧室225に設けられて、開弁時に背圧室225の油液を下流側に流出させる。
第1実施形態と異なる減衰力発生機構32aが設けられていることにより、ピストンロッド16が伸び側に移動する伸び行程で、減衰力発生機構32aのみが作用する場合には、ピストン速度が遅い時、上室12からの油液は、通路30aと、背圧室入口油路226および背圧室225を含む通路215と、バルブ部材203のシート部216に形成された図示略の通路溝とディスクバルブ205とで形成される排出オリフィスとを介して下室13に流れ、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。また、ピストン速度が速くなると、上室12からの油液は、通路30aと通路215とを介して、ディスクバルブ205を開きながら、ディスクバルブ205とシート部216との間を通って、下室13に流れることになり、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はやや下がることになる。
また、ピストン速度がさらに高速の領域になると、リリーフバルブ202に作用する力(油圧)の関係は、通路30aから加わる開方向の力が背圧室225から加わる閉方向の力よりも大きくなる。よって、この領域では、ピストン速度の増加に伴いリリーフバルブ202が開くことになり、ディスクバルブ205とシート部216との間を通る下室13への流れに加え、ピストン本体14とバルブ部材203との間の流路227を介して下室13に油液を流すため、減衰力の上昇を抑えることになる。このときのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はほとんどないことになる。ピストン速度が速く周波数が比較的高い、路面の段差等により生じるインパクトショック発生時において、上記のようにピストン速度の増加に対する減衰力の上昇を抑えることで、ショックを十分に吸収する。
また、インパクトショックの発生後には、発生時と同等の周波数で、振幅が小さくなりピストン速度が遅くなると、リリーフバルブ202に作用する力の関係は、通路30aから加わる開方向の力が背圧室225から加わる閉方向の力よりも小さくなり、リリーフバルブ202が閉弁方向に移動することになる。よって、リリーフバルブ202が開弁することによる上室12から下室13への流れが減少し、ディスクバルブ205とシート部216との間を通る下室13への流れが主体となるため、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が上がることになる。これにより、インパクトショック発生後のバネ下のバラツキを抑える。
また、第4実施形態においては、第1実施形態に対して、減衰力可変機構250が相違している。
第4実施形態の減衰力可変機構250は、略筒状のハウジング本体251と、ハウジング本体251の軸方向の一端側に取り付けられる底蓋部材252とを有するハウジング253を備えている。ハウジング本体251は、中央に、底蓋部材252の取付側から順に、底蓋部材252が螺合されるメネジ255と、メネジ255よりも小径の収納穴部256と、収納穴部256よりも小径のテーパ穴257と、ピストンロッド16のオネジ50に螺合されるメネジ258と、メネジ258より大径の取付穴部259とが軸方向に形成されて筒状をなしている。底蓋部材252は、外周面にメネジ255に螺合するオネジ261が形成されており、中央には軸方向に沿って貫通する連通穴262が形成されている。
また、ハウジング253は、ハウジング本体251の収納穴部256内に配置されて収納穴部256の底面および底蓋部材252の内面に当接するように配置される有底円筒状の一対のリテーナ265,266と、これらリテーナ265,266のそれぞれの内側に配置される一対のスペーサ267,268と、これらスペーサ267,268の軸方向におけるリテーナ265,266とは反対側に配置される円板状の一対のベース板269,270と、これらベース板269,270の軸方向におけるスペーサ267,268とは反対側に配置される一対のシート状のゴムからなる弾性部材271,272と、これら弾性部材271,272との軸方向の間に設けられて弾性部材271,272をベース板269,270とで挟持する略円筒状のガイド部材273とを有している。
リテーナ265,266には、底部中央に軸方向に沿って貫通孔275,276が形成されている。また、リテーナ265,266の底部からガイド部材273とハウジング本体251との径方向の隙間内に延びる側部には、径方向に延在した後に軸方向に延在して底部とは反対側に抜けるスリット265A,266Aが形成されている。また、ベース板269,270の中央にも軸方向に沿って貫通孔(オリフィス)277,278が形成されている。スペーサ267,268は、リテーナ265,266の貫通孔275,276とベース板269,270の貫通孔275,276とを常時連通可能な状態でこれらの間に挟持される。貫通孔277,278は貫通孔275,276よりも小径となっている。
ガイド部材273には、軸方向中間所定位置に外側に突出する円環状の突出部280が形成されており、この突出部280の外周部には、ハウジング本体251との隙間をシールするシールリング281を保持する円環状の保持溝282が形成されている。また、ガイド部材273には、突出部280の軸方向両外側に、径方向に貫通する複数の貫通孔283および複数の貫通孔284が形成されている。
加えて、減衰力可変機構250は、ガイド部材269内にその軸方向に沿って摺動可能に嵌合されるフリーピストン287と、フリーピストン287と各ベース板269,270との間に配置されてフリーピストン287を中立位置に保持するとともにその変位に対して抵抗力を発生する一対のコイルバネ288,289とを有している。フリーピストン287には、軸方向両側に、コイルバネ288,289を保持するための一対のスプリング保持穴291,292が軸方向に形成されており、外周面の軸方向の中間所定範囲に径方向に凹む円環状の溝部293が形成されている。溝部293はフリーピストン287のガイド部材273に対する位置に応じて貫通孔283,284への連通・遮断が切り換えられる。
コイルバネ288,289は、ハウジング253内でフリーピストン287を中立位置に保持するように軸方向両側から付勢することになる。この中立位置からフリーピストン287がコイルバネ288を縮める方向に移動した場合に、弾性部材271がフリーピストン287の軸方向の一端面を当接させることで、コイルバネ288の最小長さへの縮長およびフリーピストン287のベース板269への当接を規制する。また、中立位置からフリーピストン287がコイルバネ289を縮める方向に移動した場合に、弾性部材272がフリーピストン287の軸方向の他端面を当接させることで、コイルバネ289の最小長さへの縮長およびフリーピストン287のベース板270への当接を規制する。
第4実施形態の減衰力可変機構250は、ガイド部材273と、フリーピストン287と、ピストンロッド16側のベース板269との間に、ピストンロッド16の通路穴105,106、ピストンロッド16側のリテーナ265の貫通孔275およびピストンロッド16側のベース板269の貫通孔277を介して上室12に連通する上室連通室295が形成されている。また、ガイド部材273と、フリーピストン287と、ピストンロッド16とは反対側のベース板270との間に、ベース板270の貫通孔278、ピストンロッド16とは反対側のリテーナ266の貫通孔276および底蓋部材252の連通穴262を介して下室13に連通する下室連通室296が形成されている。
第4実施形態の減衰力可変機構250においては、フリーピストン287の中立位置では、フリーピストン287の溝部293が、ガイド部材273のすべての貫通孔283,284およびリテーナ265,266のスリット265A,266Aに連通しており、例えば伸び行程で中立位置からフリーピストン287がハウジング253に対して軸方向の下室13側に移動すると、軸方向の上室12側のコイルバネ288を伸ばしながら軸方向の下室側のコイルバネ289を縮めることになり、上室連通室295に上室12側の油液を導入する。このとき、フリーピストン287は、溝部293が軸方向の上室12側の貫通孔283を閉じ、軸方向の下室13側の貫通孔284のみと連通する状態となる。
続く縮み行程でフリーピストン287が軸方向の上室12側に移動すると、軸方向の下室側のコイルバネ289を伸ばしながら軸方向の上室12側のコイルバネ288を縮めることになり、下室連通室296に下室13側の油液を導入する。このとき、フリーピストン287は、溝部293が、軸方向両側の貫通孔283,284と連通する状態を経て、軸方向の下室側の貫通孔284を閉じ、軸方向の上室12側の貫通孔283のみと連通する状態となる。
続く伸び行程で、フリーピストン287がハウジング253に対して軸方向の下室13側に移動すると、軸方向の上室12側のコイルバネ288を伸ばしながら軸方向の下室13側のコイルバネ289を縮めることになり、フリーピストン287が溝部293を軸方向両側の貫通孔283,284に連通させる中立位置を通過した後、上記と同様に、動作する。
以上に述べた第4実施形態によれば、フリーピストン287とハウジング253との軸方向の間に、材質自体に弾性を有する弾性部材271,272が配されているため、第1実施形態と同様の効果を奏することになり、その上で、弾性部材271,272としてシート状のゴム材を用いるため、部品コストを低減することができる。
なお、第4実施形態においても、弾性部材271,272は、コイルバネや板バネ以外の、材質自体に弾性を有する材料からなるものであれば、ゴムの他にも、袋に入れられたゲル等で形成しても良い。