JP2015083562A - 特定の平均粒径を有する薬物担体を含有する口腔用組成物 - Google Patents

特定の平均粒径を有する薬物担体を含有する口腔用組成物 Download PDF

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Toshihide Aisu
俊秀 愛須
大二朗 杉山
Daijiro Sugiyama
大二朗 杉山
由美 高橋
Yumi Takahashi
由美 高橋
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保博 鳥住
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Abstract

【課題】
磨き残しや除去できなかった歯垢に付着して、歯磨き後(口ゆすぎ後)も滞留することによって、長時間にわたり歯垢を分解・除去する口腔用組成物を具現化すること。
【解決手段】
特定の平均粒径を有する薬物担体を含有する口腔用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯垢への高い滞留性を有する粒状の薬物担体を含有する口腔用組成物に関する。より詳しくは、該薬物担体が、歯磨き等の口腔清掃時において磨き残した歯垢に付着することにより、口腔清掃後も歯垢に作用して薬理作用を発揮する口腔用組成物に関する。
口腔の二大疾患であるう蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏)は、歯垢中に存在する細菌に起因するバイオフィルム感染症として考えられており、細菌のすみかである歯垢(バイオフィルム)を除去することが口腔の健康のためには何よりも重要であることが、現在、広く認識されている。その一方で、特別な状況におかれた場合を除き、歯を磨かない人は皆無であるにもかかわらず、多くの人がう蝕や歯周病に罹患しているのも現実である。
文献によってまちまちではあるが、歯垢中には300種、400種あるいは900種類以上の細菌が生息しているものと言われている。う蝕の原因菌(主として、Streptococcus mutans)が歯面に付着し、グルカンという粘着性多糖類を産生しながら歯垢を形成し定着する。う蝕は、当該菌が食事に含まれる糖質を分解する中で乳酸などの有機酸を産生し、歯面でのpHが低下して歯の溶出(脱灰)が起こることで生じるとされている。近年、う蝕予防効果のあるフッ素を配合した歯磨きや洗口液が普及したことによって、う蝕率はかなり低下してきている。
一方、歯周病は歯垢中の歯周病原因菌(主として、Porphyromonas gingivalis)とその代謝物(蛋白分解酵素、コラーゲン組織破壊酵素、細胞外マトリックス分解酵素や、菌外膜成分のLPS等)が原因で炎症を生じる歯肉の疾患であり、炎症が歯肉に限定した歯肉炎と、歯根膜や歯槽骨にまで炎症が波及した歯周炎に分けられる。歯周病は、進行すると結合組織の破壊や歯槽骨の吸収が起こり、最終的には歯が支えられなくなって抜け落ちてしまうため、極めて深刻な病気である。
本邦では、10歳代で歯肉炎の罹患率が50%を超え、次第に歯肉炎から歯周病に進展して40歳代では80%が歯周病に罹患しており、まさに国民病とも言えるものである。なお、50歳代以降では歯周病進行等による残存歯の減少に伴い、見かけ上、罹患率は減少するようになってくる(例えば、非特許文献1参照)。さらに、歯周病患者の血液を検査した最近の臨床研究結果から、歯周病では全身性の炎症が起こっていることも判明しており、糖尿病、心臓血管系疾患、低体重児出産、消化器系疾患、呼吸器系疾患、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)等にも深く関わることも明らかにされつつある。
オーラルケアでは歯垢除去が基本であり、そのための技術は以前から数多く開示され、中には実用に供されてきたものも数多くある。しかし、歯周疾患においては罹患状況の改善といった目に見える成果はほとんど表れておらず、現在においても画期的に有効な技術は見出されていないのが実情である。かかる理由としては、バイオフィルムである歯垢が、粘着性多糖(グルカン)から成り、菌塊を取り巻くように覆って存在して歯面や辺縁部に付着することで、菌が生体の感染防御機構や薬剤にさらされた場合でも、粘液層が接着力を増し、菌体を頑強に覆うことによって攻撃を防いでいることによる。
そのため、これまでの口腔用組成物では、歯垢の内部には薬剤が浸透しにくく、通常、2〜5分と言われる歯磨き時間に、バイオフィルム形成抑制剤、バイオフィルム分解剤、殺菌剤等を作用させても、それらの効果は限られることは当然とも言える。そこで、薬剤を歯垢に留まらせることができればより効果的なものとなることが期待できるが、歯磨き後に口すすぎをしなければならないため、大部分の薬剤は希釈されて口腔外に排出されてしまうという課題があり、効果的ではなかった。
これまでに、薬効成分を含浸乃至含有させた口腔用組成物として、以下のものが開示されている:
(1)歯磨ベースに、抗炎症物質のシソ抽出液を吸着させた平均粒子径0.05〜0.2μmのハイドロキシアパタイト粒子を含有する歯磨(特許文献1の第1表の試料4)は、シソ抽出液を吸着していない該粒子を含有する歯磨(同、第1表の試料3)と比較して、ヒトの歯周疾患指数(Periodontal Index)が効果的に改善されたことが開示されている(同、第2表参照)。更に、その他の抗炎症物質であるプロポリス抽出液(同、第4表の試料14)、アロエ抽出液(同、試料15)、カッコン抽出液(同、試料16)または茶エキス(同、試料17)を同粒子径のハイドロキシアパタイトに吸着した歯磨でも歯周疾患指数が効果的に改善したことが開示されている(同、第5表参照)。
(2)抗菌物質のラクトフェリンを内包したリポソーム懸濁液を0.1μmの孔径の膜で濾過したラクトフェリン内包リポソーム(よって、粒子径は0.1μm未満である)を、歯周病原性菌(Porphyromonas gingivalis)を含む培養液に添加した場合、単にラクトフェリンを添加させたものよりも、当該菌の増殖を抑制したことが開示されている(特許文献2の表1参照)。
(3)平均粒径が1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子に、水溶性薬効成分化合物が担持されてなる薬効成分複合微粒子(5nm〜1μm)を含有する口腔用組成物は、該微粒子のプラークへの浸透および滞留が良好であることが開示されている(特許文献3参照)。
(4)平均粒径が1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子と、水難溶性薬効成分と乳化剤を混合して得られる薬効成分含有複合微粒子(30nm〜5μm)の水分散液の水層が、糖アルコールで置換されてなる口腔用組成物は、該微粒子のプラークへの浸透および滞留が良好であることが開示されている(特許文献4参照)。
以上より、5nmから5μmの範囲の粒子で有効性が認められたということが漠然と開示されているのみで、実際にどのような粒径が最適であるかは不明のままであった。なお、歯垢の表面は均一構造ではなく、多数の凹凸が存在する複雑な立体構造であることは知られている(例えば、非特許文献2参照)が、いかなる粒径が歯垢への吸着がよいのかは全く解明されていない。これが解明されると、至適条件での口腔用組成物の製造が可能であり、ひいてはコスト対効果の優れた口腔用組成物の具現化が実現するものと言える。
特開2000-053550号公報 特開2007-223975号公報 特開2008-063291号公報 特開2008-007479号公報
平成17年歯科疾患実態調査結果について 厚生労働省医政局歯科保健課 2007 Dental Diamond,2 2002 p.46-49
上述のように、これまでに、歯垢(バイオフィルム)を化学的に除去する口腔用組成物が開発されてきたが、現在でも機械的除去(ブラッシング等)に勝るものはないとされている。一方で、歯を磨かない人は皆無にもかかわらず、非常に多くの人がう蝕や歯周病に罹患しているのが現状である。
そこで、本発明者らは、「歯は磨いているが実際はよく磨かれていないこと」、特に、歯間部分や歯肉溝等の磨き残しを無くすことは不可能である、という現実に着目し、「歯を磨いた後も、磨き残した部分を磨いてくれる」という、これまでにない新規なコンセプトの歯磨きの開発が不可避であることを思いつくに至った。
すなわち、本発明の課題は、磨き残しや除去できなかった歯垢に接着して、歯磨き後(口ゆすぎ後)も滞留することで、長時間にわたり歯垢を分解・除去する口腔用組成物を見いだすことである。これによって、国民病であるう蝕や歯周疾患を克服し、更には、上述のような歯周病に関連する諸疾患も予防できる画期的な技術を具現化することである。
上記課題を解決するためには、歯垢の立体構造や性質を充分理解することが必須であるが、上述のように、歯垢の表面は均一構造でなく多数の凹凸が存在する構造であるこという漠然とした知見しか見当たらない。かかる現状を鑑み、本発明者らは、先ず、いかなる粒径のものが歯垢の立体構造部分に嵌り易く、いったん嵌った後では「口ゆすぎ」しても排出されにくいのかを、鋭意探索することにした。
発明者らの仮説は、平均粒径が小さいほどプラークの表面の凹凸部分に入り込み易いが、口すすぎによって排出もされ易くなる。その一方で、平均粒径が大きくなるほどプラーク表面の凹凸部分に入りにくくなることから、至適な平均粒径が存在するはずであるというものであった。
しかし、本研究の結果、至適な平均粒径には2つのピークが存在し、9〜20μmの場合に、良好な付着量乃至滞留量を示し、平均粒径が1.5〜4μmの場合に、さらに良好な付着量乃至滞留量を示すという驚くべき事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)平均粒径が1.5〜4μmの薬物担体および/または9〜20μmの薬物担体を含有する口腔用組成物;
(2)平均粒径が3μmの薬物担体、10μmの薬物担体および/または20μmの薬物担体を含有する、前記(1)に記載の口腔用組成物;
(3)平均粒径が3μmの薬物担体を含有する、前記(1)に記載の口腔用組成物;
(4)薬物担体が、多孔質物質またはマイクロカプセルである、前記(1)〜(3)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(5)薬物が多孔質物質に吸着されている、前記(1)〜(4)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(6)薬物がマイクロカプセルに内封されている、前記(1)〜(4)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(7)多孔質物質が、シリカ粒子、ハイドロキシアパタイト粒子または炭酸カルシウム粒子である、前記(1)〜(5)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(8)マイクロカプセルがリポソームである、前記(1)〜(4)いずれか1項または前記(6)に記載の口腔用組成物;
(9)薬物が、歯垢溶解酵素、殺菌剤、抗炎症剤、プロテアーゼ阻害剤およびコラゲナーゼ阻害剤からなる群より選ばれる1種以上である、前記(1)〜(8)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(10)該薬物担体中に含有される有効成分が、歯垢溶解酵素、殺菌剤および抗炎症剤からなる群より選ばれる1種以上である、前記(1)〜(8)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(11)剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または、含漱剤である、前記(1)〜(10)いずれか1項に記載の口腔用組成物;
(12)歯垢に薬物を滞留させるための口腔用組成物の製造のための、平均粒径が1.5〜4μmおよび/または9〜20μmの薬物担体の使用;
(13)薬物担体の平均粒径が3μm、10μmおよび/または20μmである、前記(12)に記載の使用;
(14)薬物担体の平均粒径が3μmである、前記(12)に記載の使用;
(15)薬物担体が、多孔質物質またはマイクロカプセルである、前記(12)〜(14)いずれか1項に記載の使用;
(16)薬物が多孔質物質に吸着されている、前記(12)〜(15)いずれか1項に記載の使用;
(17)薬物がマイクロカプセルに内封されている、前記(12)〜(15)いずれか1項に記載の使用;
(18)多孔質物質が、シリカ粒子、ハイドロキシアパタイト粒子または炭酸カルシウム粒子である、前記(12)〜(16)いずれか1項に記載の使用;
(19)マイクロカプセルがリポソームである、前記(12)〜(15)いずれか1項または前記(17)に記載の使用;
(20)薬物が、歯垢溶解酵素、殺菌剤、抗炎症剤、プロテアーゼ阻害剤およびコラゲナーゼ阻害剤からなる群より選ばれる1種以上である、前記(12)〜(19)いずれか1項に記載の使用;
(21)該薬物担体中に含有される有効成分が、歯垢溶解酵素、殺菌剤および抗炎症剤からなる群より選ばれる1種以上である、前記(12)〜(19)いずれか1項に記載の使用;ならびに
(22)口腔用組成物の剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または、含漱剤である、前記(12)〜(21)いずれか1項に記載の使用
である。
本発明の、特定の平均粒径を有する歯垢滞留性の薬物担体を含有する口腔用組成物は、歯垢への付着性・滞留性が優れていることから、歯磨き後に口をゆすいだ後でも、磨き残した歯垢に付着して滞留して、清掃作用をもたらすため有用である。即ち、該担体中に有効成分(歯垢溶解酵素、殺菌剤、抗炎症剤、プロテアーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤等)を吸着させたものを口腔用組成物に添加すると、取り除けなかった歯垢に付着することにより、薬剤が徐々に当該歯垢部分に作用し、長時間にわたり当該歯垢を分解・除去するため、極めて有用な口腔用組成物となる。
ステンレスワイヤーに付着したプラークの写真である。 プラークに付着した粒子量mgを縦軸に、横軸は平均粒径μmを対数目盛で示したものである(N=4)。 プラークへの粒子の付着率%(式1参照)を縦軸に、横軸は平均粒径μmを対数目盛で示したものである(N=4)。
本発明に使用される薬物担体の平均粒径は、1.5〜4μmおよび/または9〜20μmであり、好ましくは、3、10および/または20μmであり、さらに好ましくは、3μmである。平均粒径の測定方法としては光子相関法(Photon Correlation Spectroscopy)、コールターカウンター法(Coulter Counter)、光学顕微鏡法(Light Microscopy)などを挙げることができるが、好ましくは、コールターカウンター法で測定することが好ましい。
本発明の口腔用組成物において、複数の平均粒径を有する薬物担体を含んでもよい。例えば、平均粒径が3μmの薬物担体と平均粒径が10μmの薬物担体と平均粒径が20μmの薬物担体とを含んでもよく、この場合、薬物担体の平均粒径のピークは3つ存在することになる。
本発明に使用される薬物担体としては、多孔質物質またはマイクロカプセルが好ましい。多孔質物質としては、シリカ粒子、ハイドロキシアパタイト粒子または炭酸カルシウム粒子が好ましい。マイクロカプセルとしては、リポソームが好ましい。本発明に使用される薬物担体は当該分野で公知の方法で製造してもよいし、市販のものを購入してもよい。
薬物担体が多孔質物質の場合、薬物がその多孔質物質に吸着され、薬物担体がマイクロカプセルの場合、薬物がそのマイクロカプセルに内封されていることが好ましい。この場合、当該分野で公知の方法に従って、薬物担体に薬物を吸着または内封させればよい。
薬物担体に吸着または内封させる薬物としては、デキストラナーゼ等の歯垢溶解酵素、塩化セチルピリジニウムやイソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤、グリチルリチン酸等の抗炎症剤、プロテアーゼ阻害作用および/またはコラゲナーゼ阻害作用を有する公知の薬剤、生薬エキス等が挙げられる。これらのうち、歯垢溶解酵素、殺菌剤または抗炎症剤が好ましい。
薬物担体に吸着または内封された薬物は薬物が徐々に放出されることが好ましく、例えば、製剤中では薬物担体からの薬物放出は無いか非常に少なく、口腔内に適用時には徐々に放出されることが好ましい。このような放出挙動にするために、薬物担体がマイクロカプセルの場合は公知の徐放性カプセル技術が利用でき、多孔質物質の場合はそのままか、必要とあれば徐放性コーティング処理することで達成される。また、放出される時間は、個々の消費者の歯磨き頻度にもより、特に限定されないが、一般的には、2時間〜24時間が望ましく、4時間〜14時間に製剤を調整することがより望ましい。
本発明に使用される薬物の含有量は、特に限定されないが、薬物担体が吸着または内封できる最大量が好ましいが、吸着または内封時の薬物の濃度によって調節できる。
本発明の口腔用組成物の具体的な剤形としては、例えば、練歯磨き、水歯磨き、洗口液、含漱剤等をあげることができ、常法に従って製造された各製剤ベースに、上述の特定の平均粒径を有する薬物担体を添加して均一に分散させることで製造することができる。
本発明において必ずしも薬物が全て薬物担体に吸着または内封されていなくてもよい。例えば、複数の薬物を含有する口腔用組成物の場合、一部の薬物が薬物担体に吸着または内封されていてもよいし、全ての薬物が薬物担体に吸着または内封されていてもよい。本発明の口腔用組成物が練歯磨きの場合は、通常の練歯磨きベース中に当該薬物担体が均一に分散した形態であることが好ましい。また、本発明の口腔用組成物が水歯磨き、洗口液および含漱剤のような液剤の場合は、通常の水歯磨き、洗口液および含漱剤ベース中に当該薬物担体が分散されている形態が好ましく、薬物担体が均一に分散するために、液の適度な粘度付加乃至担体の比重を当該ベースに近づけた製剤が好ましい。
本発明の口腔用組成物には、上記特定の平均粒径以外の薬物担体を含有させてもよい。この場合、薬物担体の全ての粒子を合算した平均粒径が上記特定の平均粒径に該当するのではなく、平均粒径のピークがそれぞれ上記特定の平均粒径の範囲に入るか否かで判断する。
以下に、試験例および製剤例をあげて本発明を更に具体的に説明する。
(試験例)歯垢への担体の付着性試験
人工プラークの形成は従前の方法(例えば、歯科医学 45(2)1982 p.190-205)に準じて実施したが、以下に本試験の詳細を述べる。
(1)使用菌株
使用する菌株として、American Type Culture Collection(ATCC)から購入したStreptococcus mutans Clarke(ATCC25175)を用いた。日本ベクトン・ディッキンソン社製のトリプティックソイブロス30gに、超純水1000mLを加えて溶解して調製されたトリプティックソイブロス溶液(以下、TSBと称す)に該菌株を摂取して培養した。この培養懸濁液0.75mLに、20%グリセリン液0.25mLを加えた菌液1mLを-80℃設定のフリ−ザ内に凍結保管した。
(2)菌の前培養
試験管にTSBを10mL入れ、上記の凍結菌液を融解して0.1mLを接種した後、脱酸素剤(アネロパック、三菱ガス化学株式会社製)を充填した嫌気ジャー内で37℃、24時間嫌気的に静置培養した。その後、別の試験管にTSBを10mL加え、培養後該菌液0.1mLを接種した後、脱酸素剤を充填した嫌気ジャー内で37℃、12時間嫌気的に静置培養した(以下、これを前培養菌液と称す)。
(3)蔗糖および酵母エキス添加TSB液の作製
TSB溶液に、蔗糖(和光純薬工業株式会社製)を5%濃度、および、酵母エキス(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を0.5%濃度となるように加えた後、高圧蒸気滅菌した。その後、試験管に10mLずつ分注した(以下、これを添加TSB試験管と称す)。
(4)人工プラーク形成法
添加TSB試験管に、TSBで40倍に希釈した前培養菌液0.05mLを接種した後、乾熱滅菌したステンレスワイヤー(直径1mm、長さ17cm)を挿入し、脱酸素剤を充填した嫌気ジャー内で37℃嫌気培養した。なお、ステンレスワイヤーはシリコン栓の中央に刺し、試験管に垂直に挿入され、底部が液に接触するようになっており、そこにプラークが生成し付着するようになる(図1)。
ステンレスワイヤーは24時間毎に、40倍に希釈した前培養菌液0.05mLを接種した添加TSB試験管に移しかえて、プラークを積層させた。72時間後に添加TSB試験管からステンレスワイヤーを取り出し、これを人工プラークの試験に用いる(以下、単にステンレスワイヤーと称す)。この状態を図1に示すが、人工プラークがステンレスワイヤーに付着していることが認められる。
(5)被験物質として用いた担体粒子
プラークへの付着性を調べるための被験物質として用いた担体粒子として、黒色着色シリカ粒子(micromod Partikeltechnologie GmbH社製、商品名sicastar)を購入して使用した。各被験物質は平均粒径に応じて、それぞれ粒子1(平均粒径1μm)、粒子3(平均粒径3μm)、粒子5(平均粒径5μm)、粒子10(平均粒径10μm)、粒子20(平均粒径20μm)、粒子100(平均粒径100μm)と称することとした。ここで、粒子1の平均粒径は光子相関法、粒子3、5、10および20の平均粒径はコールターカウンター法、粒子100の平均粒径は光学顕微鏡法で測定した値である。
(6)被験物質含有溶液
上記の各担体粒子を注射用水に懸濁して50mg/mL濃度液を作製し、それをプラスチックチューブ(8mL日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)に5mL入れたものを以下の試験に用いた(以下、単に被験物質含有溶液と称す)。
(7)人工プラークへの粒子付着試験
被験物質含有溶液中に、人工プラークが付いた上記ステンレスワイヤーを挿入・浸漬させた。なお、担体粒子の均一な懸濁状態を保持させるために、約5分おきにステンレスワイヤーを取り出して、被験物質含有溶液をタッチミキサーにて攪拌した。60分後、超純水を100mL加えたビーカーにステンレスワイヤーを入れ、スターラーでゆるやかに攪拌しながら約1分間洗浄することにより、口ゆすぎによる粒子排出(非付着粒子の除去)を模した。
(8)プラークに付着した粒子の測定
洗浄後のステンレスワイヤーの人工プラーク部分を、0.5N-NaOH溶液4mLに浸漬し人工プラークを分散懸濁させた。これを遠心分離機により分離して上清を取り除き、沈殿物(担体粒子)をプラスチックシャーレに移して乾燥させた。各被験物質の乾燥重量から対照物質の乾燥重量を引いた値を、人工プラークへの付着量として算出し、プラークに付着した粒子の量を評価した。
(9)試験結果
本試験によって得られた、プラークに付着した各担体粒子の平均付着量を表1および図2に示す(N=4)。図2より、至適な平均粒径には2つのピークが存在し、1つ目は平均粒径3μm付近、2つ目は平均粒径12μm付近であった。平均粒径3μm付近の薬物担体がもっとも高い付着量を示すことがわかる。
次に、実際の口腔用組成物に該粒子を添加した場合を想定して、口腔に適用した総粒子数(表2の被験物質含有溶液中の粒子数)から、吐き出された粒子数と口すすぎで排出された粒子を除いた実際に歯垢に付着した粒子数(表1の付着粒子数)を除した値を付着率(数1)とした。その結果を表2および図3に示す。
(数1)
粒子の歯垢への付着率=100×付着粒子数/口腔組成物に混入させた粒子数
表2および図3の結果より、歯垢への粒子の付着率においても、至適な平均粒径には2つのピークが存在し、1つ目は平均粒径3μm付近、2つ目は平均粒径12μm付近であった。平均粒径3μm付近の薬物担体がもっとも高い付着量を示すことがわかる。図3からの内挿によれば、平均粒径が1.5〜4μmの範囲にあるか、または、平均粒径が9〜20μmの範囲にある薬物担体が歯垢への滞留性に好ましいことがわかる。
(製剤例A)練歯磨き
本発明の口腔用組成物として、表3に記載の製剤を当該分野で公知の方法により調製する。
(製剤例B)洗口液
本発明の口腔用組成物として、表4に記載の製剤を当該分野で公知の方法により調製する。

Claims (19)

  1. 平均粒径が1.5〜4μmの薬物担体および/または9〜20μmの薬物担体を含有する口腔用組成物。
  2. 平均粒径が3μmの薬物担体、10μmの薬物担体および/または20μmの薬物担体を含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 平均粒径が3μmの薬物担体を含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
  4. 薬物担体が、多孔質物質またはマイクロカプセルである、請求項1〜3いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  5. 薬物が多孔質物質に吸着されている、請求項1〜4いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  6. 薬物がマイクロカプセルに内封されている、請求項1〜4いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  7. 多孔質物質が、シリカ粒子、ハイドロキシアパタイト粒子または炭酸カルシウム粒子である、請求項1〜5いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  8. マイクロカプセルがリポソームである、請求項1〜4いずれか1項または請求項6に記載の口腔用組成物。
  9. 薬物が、歯垢溶解酵素、殺菌剤、抗炎症剤、プロテアーゼ阻害剤およびコラゲナーゼ阻害剤からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜8いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  10. 該薬物担体中に含有される有効成分が、歯垢溶解酵素、殺菌剤および抗炎症剤からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜8いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  11. 剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または、含漱剤である、請求項1〜10いずれか1項に記載の口腔用組成物。
  12. 歯垢に薬物を滞留させるための口腔用組成物の製造のための、平均粒径が1.5〜4μmおよび/または9〜20μmの薬物担体の使用。
  13. 薬物担体の平均粒径が3μm、10μmおよび/または20μmである、請求項12に記載の使用。
  14. 薬物担体の平均粒径が3μmである、請求項12に記載の使用。
  15. 薬物担体が、多孔質物質またはマイクロカプセルである、請求項12〜14いずれか1項に記載の使用。
  16. 薬物が多孔質物質に吸着されている、請求項12〜15いずれか1項に記載の使用。
  17. 薬物がマイクロカプセルに内封されている、請求項12〜15いずれか1項に記載の使用。
  18. 多孔質物質が、シリカ粒子、ハイドロキシアパタイト粒子または炭酸カルシウム粒子である、請求項12〜16いずれか1項に記載の使用。
  19. マイクロカプセルがリポソームである、請求項12〜15いずれか1項または請求項17に記載の使用。
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