JP3728513B2 - キトサンオリゴ糖含有抗菌薬、齲蝕原性細菌の発育を抑制する方法 - Google Patents

キトサンオリゴ糖含有抗菌薬、齲蝕原性細菌の発育を抑制する方法 Download PDF

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Description

本発明は、キトサンオリゴ糖を有効成分として含有したキトサンオリゴ糖含有抗菌薬、および齲蝕原性細菌の発育を抑制する方法に関し、特に、歯科医療の臨床応用としてのみならず、家庭における齲蝕に対する自己ケアにおいても利用できるキトサンオリゴ糖含有抗菌薬および齲蝕原性細菌の発育を抑制する方法に関する。
齲蝕、いわゆる虫歯の予防・抑制に関しては、現在および過去においても、フッ素製剤が世界的にも一般的であるが、近年、キトサンの抗菌作用を利用した歯科医療への応用が注目されている。
キトサンは、カニやエビの外殻に含まれる成分であるキチンを化学処理して得られ、その構造はD−グルコサミンがβ−1,4結合で繋がった形態をしており、種々の脱アセチル化度を有する多糖類である。キトサンは、その生体に対する高い親和性を利用して、人工皮膚としても利用される一方で、近年、齲蝕の一因をなすストレプトコッカスミュータンス菌に対する抗菌作用が報告され(例えば、非特許文献1参照。)、また、キトサンを含有した歯磨剤も報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
Kimら著「Carbohydrate Research」2001年、44巻、p.71〜76 特開平9−249541号公報(請求項1)
しかし、前者はpH6において齲蝕抑制能を試験しており、このpH値では歯質の脱灰が生じるため、齲蝕予防・抑制のためには、かえって逆効果となる。一方、後者はキトサンを重合度の高いポリマーにおいてのみ試験しており、重合度の低いキトサンの有効性は不明である。
そこで、本発明は、キトサンを有効成分とし、歯質の脱灰が生じないpH値において高い効果を発揮するキトサンオリゴ糖含有抗菌薬を開発することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、キトサンの抗菌作用に着目し、鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬の構成は、キトサンオリゴ糖を有効成分とする。さらに、キトサンオリゴ糖の重合度が2〜8、脱アセチル化度が80〜100%、および/または濃度が0.5重量%以上であってグリセロリン酸カルシウムをさらに含むと好ましく、キトサンオリゴ糖含有抗菌薬のpH値が6.5以上7.4未満である、歯科用抗菌塗布薬であるとさらに好ましい。
本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬は、キトサンオリゴ糖を含有しているので、齲蝕細菌発育抑制効果が高く、したがって、歯質を侵す乳酸の生成を効果的に抑制することができ、優れた齲蝕原性細菌の抗菌効果が得られる。
また、pH値を象牙質が脱灰しないpH6.5以上にすることにより、歯肉が退縮して根面が露出したり、エナメル質が傷ついて象牙質に達する微小な隙間がある場合にも、有効に本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬を使用することができる。
本発明をより詳細に説明する。
キトサンオリゴ糖含有抗菌薬の有効成分をオリゴマーとした理由は、キトサンに関して、その重合度の影響を調べるため、モノマー、オリゴマー、ポリマーについて試験したところ、モノマー、ポリマーに比べ、オリゴマーにおいて有意にミュータンス連鎖球菌に対する発育抑制効果が見られたからである。
本発明では、オリゴ糖の重合度は2〜8の重合度とし、この範囲が好ましい。なお、使用に際してこれら以外の重合度のものを排除する趣旨ではなく、脱アセチル化度80%以上のキトサンオリゴマーが上記所定範囲の重合度を有していればよい。重合度を限定した理由は、これより重合度が高くなると抗菌作用が不十分となるからである。
また、キトサンオリゴ糖の脱アセチル化度は80〜100%が好ましい。これは、脱アセチル化度80%未満では抗菌作用が不十分であり、不都合だからである。
さらに、キトサンオリゴ糖含有抗菌薬のpH範囲が6.5以上であることが好ましいのは、象牙質の脱灰を回避するためである。歯質のうち、表面を覆うエナメル質は、象牙質に比べて、耐酸性が強く、脱灰し難い性質を有するが、歯肉が退出して象牙質が露出した根面や、傷ついたエナメル質の微小な隙間が象牙質まで到達している場合に、特に齲蝕予防・抑制の効果が求められ、このような状況においては、キトサンオリゴ糖含有抗菌薬は、象牙質の脱灰を生じないpH値に設定することが望ましいためである。
本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬中、有効成分であるキトサンオリゴ糖の濃度は0.5重量%以上であることが好ましいが、これは0.5重量%未満では齲蝕予防・抑制効果が低いからである。また、キトサンオリゴ糖の濃度の上限値については、特に制限はないが、濃度が5重量%以上になると、粘度の上昇が激しくて、完全溶解が難くなり、使用上不都合である。
本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬は液状、ペースト状、錠剤等であり、塗布剤の形態で使用すると効果的であるが、液状の場合は、洗口液として利用してもよい。特に、齲蝕は口腔内の常在菌によって発症するので、一般的な細菌感染症への対応である殺菌・消毒という方法によらず、うがいにより使用できることが簡便である。
しかし、より効果が高いのは、咬合面の小窩裂溝部、隣接面、歯肉が退出して露出した根面、歯頸部または隣接面に、ペースト状の本剤を直接塗布することである。この場合、塗布後は、少なくとも15分間は、自然乾燥させる等して、唾液との接触を控えることが望ましい。これは、齲蝕細菌発育抑制効果を得るのに必要な濃度を保持するためである。塗布操作には、綿棒、綿花、歯科用具等を使用でき、また家庭では楊枝等を使用してもよい。
なお、上記洗口剤は、超高齢化社会になったわが国において増加傾向にある根面齲蝕の予防・抑制を簡便に行えるため、利用性が高い。
さらに、キトサンは免疫賦活効果も有するため、塗布後、またはうがい後に、そのまま飲み込んだ場合でも支障ないばかりか、健康増進の面からむしろ有益であり、原料も、豊富に存在するカニやエビの外殻を原料とするため、コスト的にも有利であり、汎用性が望める。
さらに、ぺースト状にするために、本発明のキトサンオリゴ糖含有抗菌薬に、生体に為害のないグリセロリン酸カルシウム(例えば、ナカライ社製、規格特級品)を例えば5mM以上の濃度で添加すると、カルシウム、リンが歯質に沈着して、歯質の構成成分の補給効果も得られるため好ましい。
本発明を具体的に説明する。
(1)重合度およびpH値の影響
下記キトサン(モノマー、オリゴマー、ポリマー)の粉末をそれぞれ0.4%の酢酸水溶液に溶解した後、水酸化ナトリウムを使用して、pH6.0、pH6.5、pH7.4にそれぞれpH調整し、その後、濾過滅菌して、濃度4重量%のキトサン溶液を得る。
コントロールとしては、水酸化ナトリウムで上記各pH値にpH調整した酢酸溶液を使用した。
このようにして得られた各キトサン溶液およびコントロールに、S.mutansを5×10CFU/mlの濃度で加えた後、37℃で1時間反応させ、その後、この反応液0.1mlをトッド−ヘウィット寒天培地に接種し、37℃で48時間培養した。その後、寒天培地上のコロニー数を計測し、下式によりコントロールとの比を算出した。実験は各3回ずつ行い、それぞれの平均値を表1に示す。
比=コロニー数(キトサン溶液)/コロニー数(コントロール)
実験に使用した細菌、キトサン(甲陽ケミカル株式会社製)、および培地の詳細は以下の通りである。
齲蝕原性細菌:Streptococcus mutans (GS−5株)
キトサン:
モノマー;コーヨーグルコサミン(キトサンモノマー塩酸塩)
オリゴマー;オリゴグルコサミン(キトサンオリゴマー塩酸塩、2〜8糖の混合物、脱アセチル化度100%)
ポリマー;SK−2(キトサン乳酸塩、分子量約10000、脱アセチル化度80%以上)
培地:トッド−ヘヴッド(Todd−Hewitt)培地
Figure 0003728513

(注)
*印はコントロールに対して危険率1%で有意差が認められることを示す。
平均値約0.2以下を効果ありと判定した。平均値が0.2であるということは、80%の細菌発育抑制効果が得られたことを示す。
表1およびこれをグラフ化した図1に示すように、pH7.4では、モノマー、オリゴマー、ポリマーともコントロールに対比して有効性は見られないが、pH6.5およびpH6.0では、共に、オリゴマーの場合に有効であることがわかる。
(2)重合度の影響
上記の方法に準じて、pH値を6.5に設定し、キトサンオリゴマーを使用して、各濃度のキトサン溶液を調製し、上記と同様にコロニー数を計測し、比を算出した。
Figure 0003728513
表2およびこれをグラフ化した図2からわかるように、0.5重量%以上の濃度において、75%以上の齲蝕細菌発育抑制効果を示している。特に、2重量%の濃度において、最も高い細菌発育抑制効果を示している(齲蝕細菌最少発育阻止濃度)。
なお、上記と同様にして、pH6.5にて、モノマーおよびポリマーについても濃度の影響を調べ、図3および図4にそれぞれ結果を示す。いずれの場合も、コントロールに対比してあまり差がないことがわかる。
細菌発育抑制効果に対する、キトサンの重合度とキトサンオリゴ糖含有抗菌薬のpHの影響を示すグラフである。 細菌発育抑制効果に対する、キトサンオリゴマーの濃度の影響を示すグラフである。 細菌発育抑制効果に対する、キトサンモノマーの濃度の影響を示すグラフである。 細菌発育抑制効果に対する、キトサンポリマーの濃度の影響を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 脱アセチル化度が80〜100%であり、かつ重合度が2〜8であるキトサンオリゴ糖を有効成分として0.5重量%以上含有し、pH値が6.5以上7.4未満であって、グリセロリン酸カルシウムをさらに含む、キトサンオリゴ糖含有歯科用抗菌塗布薬。
  2. 前記齲蝕原性細菌がミュータンス菌である請求項1記載の抗菌薬。
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