JP2015081616A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品コストの低減を図りつつイナータンスの低減を図ることができる防振装置を提供すること。
【解決手段】振動側ブラケット20に突設された挿入部22が環状部材32の開口に挿着され、ゴム状弾性体から構成されるバネ部36が、環状部材32の内周と挿入部22の外周との間に介設される。バネ部36及び環状部材32は振動側ブラケット20に対する副振動系を構成し、環状部材32を質量体、バネ部36を弾性体とするダイナミックダンパとして機能する。ダイナミックダンパを装着する必要がないので、製品コストの低減を図りつつ振動側ブラケット20のイナータンスの低減を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は防振装置に関し、特に製品コストの低減を図りつつイナータンスの低減を図ることができる防振装置に関するものである。
自動車の車体と振動源であるエンジンとの間には、車体側への振動の伝達を抑制する防振装置が設けられる。この種の防振装置として、支持体(車体)側に取り付けられる支持側ブラケットと、支持側ブラケットに連結されると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、防振基体に連結されると共にエンジン(振動源)側に取り付けられる振動側ブラケットとを備えるものがある(特許文献1)。特許文献1に開示される防振装置では、振動側ブラケットの特定の周波数における共振振動を車体側ブラケットに伝達させ難くするため、イナータンスを考慮して振動側ブラケットの共振周波数が高く設定される。これにより、エンジン側からの高周波振動が車体側に伝達されることを防ぎ、車室内の騒音レベルを確保できる。
特開2012−13153号公報
しかしながら上述した従来の技術では、振動側ブラケットの共振周波数を高く設定するために振動側ブラケットの剛性を大きくすると、その分だけ振動側ブラケットの製品コストが嵩み、また一般に質量が大きくなるので、自動車の燃費が悪化するという問題があった。また、ダイナミックダンパを装着して振動側ブラケットの振動エネルギーを代替吸収すると、部品点数が増加する分だけ製品コストが嵩むという問題があった。
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、製品コストの低減を図りつつイナータンスの低減を図ることができる防振装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載の防振装置によれば、支持側ブラケットが支持体側に取り付けられ、振動源側に振動側ブラケットが取り付けられる。支持側ブラケット及び振動側ブラケットにゴム状弾性体から構成される防振基体が連結される。外周の少なくとも一部が防振基体に連結される環状部材は、少なくとも振動源側の一端が開口する。振動側ブラケットの所定部に挿入部が突設され、その挿入部が環状部材の開口に挿着される。ゴム状弾性体から構成されるバネ部が、環状部材の内周と挿入部の外周との間に介設され、バネ部および環状部材は、振動側ブラケットに対する副振動系を構成する。バネ部のばね定数および環状部材の質量は、振動側ブラケットのイナータンスの最大ピーク値を低下させるように設定されているので、環状部材を質量体、バネ部を弾性体とするダイナミックダンパとして機能させることができ、振動側ブラケットのイナータンスの低減を図ることができる効果がある。
また、このようにイナータンスの低減を図ることができれば、振動側ブラケットの剛性を大きくする必要や、振動側ブラケットの振動エネルギーを代替吸収するためのダイナミックダンパを設ける必要がないので、その分、製品コストの低減を図ることができるという効果がある。
請求項2の防振装置によれば、支持側ブラケットは、環状部材の軸方向と交差する交差方向における環状部材の変位を規制するストッパ部を備え、防振基体およびバネ部は、ストッパ部により環状部材の変位が規制された状態において、交差方向のばね定数が相互に異なるように設定されている。その結果、ストッパ部により環状部材の変位が規制された状態では、請求項1の効果に加え、防振基体およびバネ部の共振点を相互に異ならせて二重防振の効果を得ることができる効果がある。
請求項3記載の防振装置によれば、ゴム状弾性体から構成される外周被覆部により環状部材の外周が被覆され、外周被覆部は防振基体に連結される。環状部材の内周と外周との間を孔部が厚さ方向に貫通し、孔部に貫設されるゴム状弾性体により外周被覆部およびバネ部と連結され一体化される。これにより防振基体および外周被覆部を成形するときに一体的にバネ部を成形できる。その結果、請求項1又は2の効果に加え、バネ部を成形するときの作業性を向上できる効果がある。
請求項4記載の防振装置によれば、孔部は複数箇所に形成されると共に、環状部材の周方向に沿って防振基体から離れるにつれて数が多くなるか又は開口面積が大きくなるように設定される。その結果、ゴム状弾性体を成形するときには、環状部材を固定した成形型のキャビティにゴムを注入する注入孔を防振基体の上に形成することにより、環状部材の周方向に沿って防振基体から離れるにつれて(ゴムの流動方向下流側ほど)ゴムを環状部材の内周に孔部から流動させ易くできる。これにより請求項3の効果に加え、バネ部を形成するキャビティへゴムの注入ムラを生じ難くすることができ、製造上の欠陥をバネ部に生じ難くできる効果がある。
請求項5記載の防振装置によれば、ゴム状弾性体から構成される端面被覆部により環状部材の軸方向端面が被覆され、端面被覆部により被覆された環状部材の軸方向端面に向かって端面被覆部の端面の一部に凹部が陥没形成される。これにより、ゴム状弾性体を成形するときには、環状部材の軸方向端面の一部(凹部に対応する部分)を用いて成形型に環状部材を確実に固定できる。その結果、成形中に成形型内で環状部材がガタついたり移動したりすることを防ぎ、バネ部を成形するキャビティへゴムを確実に流動させることができる。これにより請求項1から4のいずれかの効果に加え、バネ部を形成するキャビティへのゴムの注入ばらつきを生じ難くすることができ、製造上の欠陥をバネ部に生じ難くできる効果がある。
本発明の一実施の形態における防振装置の分解立体図である。 軸方向視における防振部材の正面図である。 環状部材の斜視図である。 図2のIV−IV線における防振部材の断面図である。 防振装置の振動系モデルを示す図である。 周波数とイナータンスとの関係を示す図である。 周波数とイナータンスとの関係を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態における防振装置1の分解立体図である。なお、図1に図示する矢印X、矢印Y、矢印Zは、防振装置1が搭載される車両の前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示している(図2において同じ)。防振装置1は、自動車のエンジンを車体に対して弾性支持する装置であり、支持体である車体側に取り付けられる支持側ブラケット10と、振動源であるエンジン側に取り付けられる振動側ブラケット20と、振動側ブラケット20と支持側ブラケット10との間に介設される防振部材30とを備えている。
支持側ブラケット10は、金属製(本実施の形態ではアルミニウム合金製)の鋳造成形品であり、防振装置1の軸方向(矢印Y方向)に直交する方向(矢印X方向)に向かって直線状に延びる取付部11と、取付部11に立設される略円筒状の保持部12とを備えている。保持部12は、厚さ方向(矢印Y方向)に貫通形成されて防振装置1の軸方向(矢印Y方向)両側に開口する嵌合孔部12aが形成されている。嵌合孔部12aは軸方向視して内周が角丸矩形状に形成されている。
取付部11は、車体(図示せず)に締結固定される部位であり、上下方向(矢印Z方向)に貫通するボルト挿通孔11aが設けられている。ボルト(図示せず)がボルト挿通孔11aに挿通され車体(図示せず)に締結されることで、取付部11が車体に固定される。
保持部12は、嵌合孔部12aに防振部材30(後述する)が嵌入されることで防振部材30を保持するための部位である。防振部材30は角丸矩形状の嵌合孔部12aに嵌入されているので、保持部12に対して防振部材30の回り止めを図ることができる。
振動側ブラケット20は、金属製(本実施の形態ではアルミニウム合金製)の鋳造成形品であり、車両の上下方向(矢印Z方向)に向かって延設される本体21と、本体21と直交する方向(図1のY方向)に本体21の上部から延設される挿入部22とを備えている。本体21は振動側ブラケット20をエンジン側に固定するための部位であり、上下方向(矢印Z方向)に貫通するボルト挿通孔(図示せず)が底部に形成される。ボルト挿通孔にボルト(図示せず)を挿通し、エンジン側に形成された雌ねじ(図示せず)にボルトを螺合することで、振動側ブラケット20がエンジン側に締結固定される。
本体21は、軸方向(矢印Y方向)背面側(図1右側)に突条状のリブ21aが複数突設される。リブ21aは本体21の剛性を向上させるための部位であり、上下方向(矢印Z方向)に延設される。リブ21aが設けられるので、本体21の剛性を確保しつつ軽量化できる。
挿入部22は、防振部材30(後述する)と本体21(振動側ブラケット20)とを連結するための部位であり、軸方向視において外形が5角形の棒状に形成されている。挿入部22は、外周部を残しつつ軸方向(矢印Y方向)正面側(図1左側)がくり抜かれて薄肉状に形成されている。挿入部22は軸方向に沿って内側がくり抜かれているので、挿入部22を中実状に形成する場合と比較して振動側ブラケット20を軽量化できる。
防振部材30は、挿入部22の外周と嵌合孔部12aの内周との間に介設される部材であり、環状に形成される外側金具31と、外側金具31の内周に連結される防振基体33と、防振基体33と一体に形成されるバネ部36とを備えている。
次に図2を参照して防振部材30について説明する。図2は軸方向(矢印Y方向)視における防振部材30の正面図である。防振部材30は、外側金具31と環状部材32との間にゴム状弾性体から構成される防振基体33が介設される。外側金具31は、支持側ブラケット10の嵌合孔部12aに嵌入されると共に、内周側に環状部材32及び防振基体33が配置される金属製の部材であり、軸方向視が角丸矩形状に形成され、軸方向(矢印Y方向)に所定の長さを有している。これにより、防振部材30の外側金具31を支持側ブラケット10の嵌合孔部12aに嵌入したときの回り止めを図ることができると共に、保持力を確保できる。
環状部材32は、振動側ブラケット20の挿入部22が挿着される金属製の部材であり、軸方向視が角丸矩形の隣り合う角2つを切り落とした六角形状に形成されており、軸方向(矢印Y方向)長さが外側金具31の軸方向長さより少し大きく設定されている。外形が六角形状に形成される環状部材32は、外形が五角形状に形成される挿入部22(図1参照)に取り囲まれるので、軸回りの回り止めができる。
図3は環状部材32の斜視図である。環状部材32は、上面部32aと、上面部32aの両側縁から下方に向かって延設される一対の側面部32bと、側面部32bの下縁から斜め下方に向かって互いに近づくように延設される一対の傾斜面部32cと、傾斜面部32cの下縁同士を連結する下面部32dとを備え、環状に形成される。環状部材32は、内周と外周との間を厚さ方向に貫通する複数の孔部32e,32fが形成される。孔部32eは、上面部32aの幅方向の略中央に軸方向(矢印Y方向)に並んで2個形成され、孔部32fは、互いに対向する側面部32bの略中央に各々1個形成される。本実施の形態では、孔部32e,32fは同一の孔径に設定されている。
図2に戻って説明する。防振基体33はゴム状弾性体から構成される部材であり、振動側ブラケット20に取り付けられるエンジン側を下方から弾性支持する。防振基体33は、外側金具31の内周に下端が加硫接着されると共に、環状部材32の傾斜面部32c(図3参照)側に上端が加硫接着される一対のゴム脚状の部材である。防振基体33は、環状部材32を被覆する外周被覆部34、端面被覆部35及びバネ部36と一体に形成される。外周被覆部34は環状部材32の外周面を被覆するための部位であり、端面被覆部35は環状部材32の軸方向(矢印Y方向)両側端面を被覆するための部位であり、バネ部36は環状部材32の内周面を被覆するための部位である。
外周被覆部34は、ゴム状弾性体から構成されると共に防振基体33に連成される部位であり、環状部材32の外周面に加硫接着される。外周被覆部34は、外側金具31に対して環状部材32が前後方向(矢印X方向)に相対変位した場合に外側金具31に衝突するゴムストッパ34aが、上面部32a(図3参照)と側面部32bとの稜線付近に形成される。ゴム状弾性体によりゴムストッパ34aが形成されるので、外周被覆部34が形成されずに環状部材32の外周面が露出する場合と比較して、環状部材32が外側金具31に衝突したときに生じる異音を抑制できる。
端面被覆部35は、外周被覆部34及びバネ部36に連成されると共に環状部材32の軸方向両側端面を被覆するための部位であり、環状部材32の軸方向端面に加硫接着される。端面被覆部35を介して外周被覆部34にバネ部36が連成されるので、端面被覆部35が設けられていない場合と比較して、環状部材32の内周面に加硫接着されるバネ部36の耐剥離性を向上できる。
バネ部36は、環状部材32の内周面と挿入部22(図1参照)の外周面との間に介設される部位であり、ゴム状弾性体から構成されると共に環状部材32の内周面に加硫接着される。バネ部36は、圧入される挿入部22のロバスト性や挿入部22の圧入力や引抜力を確保するための部位であり、軸方向(矢印Y方向)に沿って突条状に内周面に突設される複数の突条部36aを有している。突状部36aは断面矩形状に形成されると共に周方向に所定の間隔をあけて突設される。
次に図4を参照して突条部36a(バネ部36)について説明する。図4は図2のIV−IV線における防振部材30の断面図である。突条部36aは、挿入部22(図1参照)が圧入される振動側ブラケット20側の軸方向端面に向かって漸次拡径する第1傾斜面36bと、支持側ブラケット10側の軸方向端面に向かって漸次拡径する第2傾斜面36cとを有している。バネ部36に第1傾斜面36bが形成されているので挿入部22をバネ部36に圧入し易くすることができる。また、バネ部36に第2傾斜面36cが形成されているので、成形型でバネ部36を成形した後の脱型作業をスムーズに行うことができる。
端面被覆部35及びバネ部36は、端面の一部に陥没形成された凹部35aが、適当な間隔をあけて設けられている。本実施の形態では、凹部35aは、上面部32a(図3参照)、側面部32b及び傾斜面部32cの軸方向端面からバネ部36の内周に亘ってそれぞれ形成される。
図2に戻って説明する。外側金具31は、ゴム状弾性体から構成されるストッパゴム部37が内周面に接着されている。ストッパゴム部37は、環状部材32の上面部32a(図3参照)に面して配置されるリバウンド側のストッパである。
次に、防振部材30の製造方法について説明する。防振部材30を製造するときには、まず、外側金具31を成形型(図示せず)に固定する。同様に、軸方向端面の一部(凹部35aに対応する部分)に成形型の一部(係止爪等)を係止して、環状部材32を成形型に固定する。次いで、防振基体33の上に形成された注入孔から成形型のキャビティにゴムを注入する。ゴムは環状部材32の周方向に沿って、傾斜面部32c、側面部32b、上面部32aの順に流動し、環状部材32の外周面から軸方向端面および孔部32e,32fを通って環状部材32の内周面に流動する。孔部32e,32fは、環状部材32の周方向に沿って防振基体33から離れるにつれて、段階的に数が多くなるように設定されているので、ゴムの流動方向下流側ほど孔部32e,32fから内周面にゴムを流動させ易くできる。これにより、バネ部36を形成するキャビティへゴムの注入ムラを生じ難くすることができ、製造上の欠陥をバネ部に生じ難くできる。
また、環状部材32は、軸方向端面の一部(凹部35aに対応する部分)を利用して成形型に固定されるので、成形中に成形型内で環状部材32がガタついたり移動したりすることを防ぎ、バネ部36を形成するキャビティへゴムを確実に流動させることができる。これにより、バネ部36を形成するキャビティへゴムの注入ムラを生じ難くすることができ、製造上の欠陥をバネ部に生じ難くできる。なお、成形後は、環状部材32を固定していた成形型の一部(係止爪等)の跡が端面被覆部35に凹部35aとして残る。
防振基体33、外周被覆部34、端面被覆部35、バネ部36及びストッパゴム部37の成形後、外側金具31を上下方向(矢印Z方向)に圧縮変形する。これにより、ストッパゴム部37を外周被覆部34に圧接させると共に、防振基体33に上下方向(矢印Z方向)の予圧縮を付与し、防振基体33の上下方向(矢印Z方向)のばね定数を増大させる。
以上のようにして製造された防振部材30は支持側ブラケット10の嵌合孔部12aに外側金具31が嵌入され、バネ部36に挿入部22が圧入される。これにより支持側ブラケット10、振動側ブラケット20及び防振部材30が連結される。ストッパゴム部37は、車両への取付状態、即ちエンジン側の重量を受けた状態で、外周被覆部34との間に所定のクリアランスを形成する。ストッパゴム部37は、リバウンド側に大きな変位を生じたときに、外周被覆部34に当接し外周被覆部34と協働してリバウンド側の過大な変位を規制する。
ここで、車両への取付状態において、環状部材32はバネ部36を介して振動側ブラケット20(挿入部22)に吊り下げられた状態にあるので、エンジン側の振動によって振動側ブラケット20が特定の周波数で共振振動すると、環状部材32が質量体として作用し、振動側ブラケット20のイナータンスに影響を与える。これを防止するため、振動側ブラケット20と環状部材32との間に介設されるバネ部34のばね定数が調整される。
次に図5を参照して、バネ部36が振動側ブラケット20のイナータンスを低減するメカニズムについて説明する。図5は防振装置1の振動系モデルを示す図である。図5に示すように防振装置1において、環状部材32の質量をM、防振基体33のばね定数をK1、バネ部36のばね定数をK2とする。なお、バネ部36のばね定数K2は、バネ部36を構成するゴム状弾性体の剛性以外に、挿入部22に対する嵌め合い代、ゴムボリューム等に基づくものである。
エンジン側の振動によって振動側ブラケット20が特定の周波数で共振振動した場合に、バネ部36があるので、振動側ブラケット20に追従して環状部材32が一体となって振動することを抑制できる。その結果、振動側ブラケット20のイナータンスの低減を図ることができる。
ここで、ばね定数をK1<K2という関係に設定すると、環状部材32の質量M及びバネ部36のばね定数K2が、振動側ブラケット20に対してダイナミックダンパとして機能する。このダイナミックダンパの固有振動数Fは、F=1/2π・(K2/M)1/2である。この関係式を用い、振動側ブラケット20のイナータンスのピークとなる周波数を考慮して、ダイナミックダンパの固有振動数をチューニングすることにより、振動側ブラケット20のイナータンスの最大ピーク値を低下させることができる。その結果、振動側ブラケット20のイナータンスを低減させることができる。
なお、振動側ブラケット20のイナータンスの最大ピーク値を低下させるために、振動側ブラケット20に別途ダイナミックダンパを装着して、振動側ブラケット20の振動エネルギーを代替吸収させることは可能である。しかし、ダイナミックダンパを装着すると、部品点数が増加する分だけ製品コストが嵩むという問題がある。
また、振動側ブラケット20の剛性を高くすることで振動側ブラケット20の固有振動数を高振動数域に設定することは可能である。しかし、振動側ブラケット20の剛性を高くすると、一般に製品コスト及び質量が増大するので、車体の質量の増大に繋がり、燃費が低下するという問題が生じる。
これに対し防振装置1によれば、環状部材32の質量M及びバネ部36のばね定数K2をダイナミックダンパとして機能させることにより、振動側ブラケット20にダイナミックダンパを別途設けることを不要にできる。その結果、質量の増大を抑制できると共に部品点数の増加を防ぎ、その分、燃費の悪化を防ぐと共に製品コストの低減を図ることができる。
また、バネ部36は、環状部材32及び挿入部22に挟持され、軸方向(矢印Y方向)と直交する厚さ方向に圧縮される。圧縮されたバネ部36によって挿入部22は環状部材32の内側に保持される。バネ部36による挿入部22の保持力を確保しつつ、バネ部36の厚さ方向(圧縮方向)のばね定数を調整することは困難である。バネ部36の厚さ方向(圧縮方向)のばね定数を小さくすると、挿入部22の嵌め合いが緩くなるからである。
ここで、防振基体33は下方から環状部材32を支持するので、振動側ブラケット20が車両左右方向(矢印Y方向)又は車両上下方向(矢印Z方向)に揺動すると、環状部材32は略軸方向(矢印Y方向)に沿って揺動する。その結果、外側金具31に対して挿入部22は軸方向(矢印Y方向)に相対変位する。ゴム状弾性体から構成されるバネ部36は、その特性上、軸方向(せん断方向)のばね定数(せん断剛性に基づくばね定数)を、厚さ方向(圧縮方向)のばね定数と比較して調整し易い(小さくし易い)。よって、環状部材32及びバネ部36によって機能するダイナミックダンパでは、軸方向(せん断方向)を共振モードとする固有振動数を、軸直角方向(圧縮方向)を共振モードとする固有振動数より調整し易くできる(小さくし易くできる)。その結果、調整し易い軸方向(せん断方向)を共振モードとする固有振動数をチューニングすることで、イナータンスを低減させ易くできる。その結果、バネ部36による挿入部22の保持力を確保しつつ、イナータンスを低減させる設計の自由度を確保できる。
また、振動側ブラケット20が車両前後方向(矢印X方向)に大きく揺動すると、ゴムストッパ34a(図2参照)が外側金具31に当接して、それ以上の変位が規制される。ゴムストッパ34a及び外側金具31により環状部材32の変位が規制された状態において、防振基体33はバネ部36より自由長が長くなるため、防振基体33はバネ部36よりばね定数が小さく設定される。即ち、防振基体33及びバネ部36は軸直角方向(矢印X方向)のばね定数が相互に異なるように設定される。この場合、防振基体33の共振点は、バネ部36の共振点より低周波側に存在する。防振基体33の共振周波数より高周波側では防振基体33が硬くなるものの、全体的にはばね定数の上昇をある程度広範囲に抑制できる。よって、防振基体33及びバネ部36による二重防振の効果を得ることができる。
次に図6及び図7を参照して、環状部材32及びバネ部36により構成されるダイナミックダンパの効果を確認した実験結果について説明する。この実験は、振動側ブラケット20(図1参照)の本体21に加わる加振力をF、挿入部22に生じる加速度をAとし、剛体共振の振動レベル(イナータンスA/F)を測定したものである。比較のため、振動側ブラケット20(ブラケット単体、以下「比較例」と称す)のイナータンスも測定した。なお、挿入部22に生じる加速度Aは、挿入部22の先端の周上の複数点の平均値をとった。
図6は振動側ブラケット20に軸方向(矢印Y方向)の加振力を加えた場合の周波数とイナータンスとの関係を示す図であり、図7は振動側ブラケット20に上下方向(矢印Z方向)の加振力を加えた場合の周波数とイナータンスとの関係を示す図である。
図6に示すように、振動側ブラケット20に軸方向(矢印Y方向)の加振力を加えた場合、比較例ではイナータンス(振動レベル)の最大ピークが約700Hzに存在した。これに対し、バネ部36を介して環状部材32を保持した振動側ブラケット20(実施例)では、ピーク周波数を約500Hzに低下させると共に、比較例に対して振動レベルを約15dB低減させることができた。
図7に示すように、振動側ブラケット20に上下方向(矢印Z方向)の加振力を加えた場合、比較例ではイナータンス(振動レベル)の最大ピークが約700Hzに存在した。これに対し、バネ部36を介して環状部材32を保持した振動側ブラケット20(実施例)では、ピーク周波数を約500Hzに低下させると共に、比較例に対して振動レベルを約20dB低減させることができた。
以上のように本実施形態によれば、環状部材32及びバネ部36のダイナミックダンパ効果により、環状部材32が埋設されたバネ部36に挿入部22を圧入した振動側ブラケット20の振動レベルを抑制することができる。これにより、エンジン側からの高周波振動が車体側に伝達されることを防ぎ、車室内の騒音レベルを確保できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態では、環状部材32が軸方向両側に開口する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも振動源(エンジン)側の一端に開口が形成されていれば、車体側の他端が有底であっても良い。この場合も環状部材32の開口から挿入部22を挿着して、防振部材30と振動側ブラケット20とを連結できるからである。
上記実施の形態では、防振部材30のバネ部36に挿入部22を圧入して防振部材30と挿入部22とを連結する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。外側金具31、環状部材32及び挿入部22を成形型に固定し、バネ部36を加硫成形すると共に挿入部22にバネ部36を加硫接着することは当然可能である。この場合も環状部材32及びバネ部36によりダイナミックダンパを構成するようにできる。なお、挿入部22にバネ部36が加硫接着される場合には突条部36aは不要である。
上記実施の形態では、環状部材32に形成される孔部32e,32fが、環状部材32の周方向に沿って防振基体33から離れるにつれて段階的に数が多くなるように設定される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、孔部32e,32fは、環状部材32の周方向に沿って防振基体33から離れるにつれて開口面積が大きくなるように設定することは当然可能である。即ち、孔部32eの開口面積>孔部32fの開口面積とする。孔部32eの開口面積を孔部32fの開口面積より大きくすることで、ゴムの流動方向下流側ほど孔部32e,32fから内周面にゴムを流動させ易くできる。よって、バネ部36を形成するキャビティへゴムの注入ムラを生じ難くすることができ、製造上の欠陥をバネ部に生じ難くできる。
上記実施の形態では、ゴムストッパ34a及び外側金具31(ストッパ部)が、防振装置1の軸方向(矢印Y方向)と直交する軸直角方向(前後方向、矢印X方向)の変位を規制するストッパとして設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限るものではない。防振装置1が配置される箇所に応じて、防振装置1の軸方向(矢印Y方向)と交差する交差方向に、変位を規制するストッパを設けることは当然可能である。
上記実施の形態では、自動車のエンジンを弾性支持するエンジンマウントとして防振装置1を用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。防振装置1を、ボディマウント、デフマウント等、種々の防振装置に適用することは当然可能である。
1 防振装置
10 支持側ブラケット
20 振動側ブラケット
22 挿入部
31 外側金具(ストッパ部)
32 環状部材
32e,32f 孔部
33 防振基体
34 外周被覆部
35 端面被覆部
35a 凹部
36 バネ部

Claims (5)

  1. 支持体側に取り付けられる支持側ブラケット及び振動源側に取り付けられる振動側ブラケットと、前記支持側ブラケット及び前記振動側ブラケットに連結されると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備える防振装置において、
    外周の少なくとも一部が前記防振基体に連結されると共に少なくとも振動源側の一端が開口する環状部材と、
    前記環状部材の開口に挿着されると共に前記振動側ブラケットの所定部に突設される挿入部と、
    ゴム状弾性体から構成されると共に前記環状部材の内周と前記挿入部の外周との間に介設されるバネ部とを備え、
    前記バネ部および前記環状部材は、前記振動側ブラケットに対する副振動系を構成し、
    前記バネ部のばね定数および前記環状部材の質量は、前記振動側ブラケットのイナータンスの最大ピーク値を低下させるように設定されていることを特徴とする防振装置。
  2. 前記支持側ブラケットは、前記環状部材の軸方向と交差する交差方向における前記環状部材の変位を規制するストッパ部を備え、
    前記防振基体および前記バネ部は、前記ストッパ部により前記環状部材の変位が規制された状態において、前記交差方向のばね定数が相互に異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
  3. ゴム状弾性体から構成されると共に前記環状部材の外周を被覆しつつ前記防振基体に連結される外周被覆部を備え、
    前記環状部材は、内周と外周との間を厚さ方向に貫通する孔部を備え、
    前記外周被覆部および前記バネ部は、前記孔部に貫設されると共に前記外周被覆部および前記バネ部と一体化したゴム状弾性体により連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防振装置。
  4. 前記孔部は、複数箇所に形成されると共に、前記環状部材の周方向に沿って前記防振基体から離れるにつれて数が多くなるか又は開口面積が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項3記載の防振装置。
  5. ゴム状弾性体から構成されると共に前記環状部材の軸方向端面を被覆する端面被覆部と、
    前記端面被覆部により被覆された前記環状部材の軸方向端面に向かって前記端面被覆部の端面の一部に陥没形成された凹部とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防振装置。
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