以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、液封入式防振装置110が組み込まれた液封入式防振装置ユニット100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における液封入式防振装置ユニット100の側面図である。
なお、矢印Uは車体フレームBFの上方向を、矢印Dは車体フレームBFの下方向を、矢印Lは車体フレームBFの左方向を、矢印Rは車体フレームBFの右方向を、点F及び点Bは、それぞれ車体フレームBFの前方向(図1紙面垂直奥方向)および車体フレームBFの後方向(図1紙面垂直手前方向)をそれぞれ示している。
液封入式防振装置ユニット100は、自動車のエンジンEGを支持固定しつつ、そのエンジンEGの振動を車体フレームBFへ伝達させないようにするための防振装置であり、図1に示すように、車体フレームBFに締結固定される車体側ブラケット120と、エンジンEGに締結固定されるエンジン側ブラケット130と、そのエンジン側ブラケット130と車体側ブラケット120とを連結する液封入式防振装置110と、その液封入式防振装置110と車体側ブラケット120との間に介在するゴムストッパ部材140とを主に備えて構成されている。
また、車体側ブラケット120は、アルミニウム合金などから鋳造にて形成され、図1に示すように、各取付け穴121に挿通された複数(本実施の形態では3本)のボルトB1により車体フレームBFに締結固定されている。
エンジン側ブラケット130は、アルミニウム合金などから鋳造にて形成され、図1に示すように、取付け孔群131(第1取り付け孔131a、第2取り付け孔131b、第3取り付け孔131c)に挿通された3本のボルトB2(請求項1記載の締結ボルトに対応する。)によりエンジンEGに締結固定される。
液封入式防振装置110は、エンジンEGの振動を車体フレームBFへ伝達させないようにするため装置であり、図1に示すように、車体側ブラケット120に締結固定される第1取付け金具1と、エンジン側ブラケット130に圧入固定される第2取付け金具2(図2参照)と、その第2取付け金具2と第1取付け金具1とを連結すると共にゴム状弾性体から形成される防振基体3とを主に備えている。
このように、第1実施の形態における液封入式防振装置ユニット100によれば、第1取付け金具1を車体側ブラケット120に固定すると共に、第2取付け金具2をエンジン側ブラケット130に固定し、第2取付け金具2(図2参照)と第1取付け金具1とをゴム状弾性体から形成された防振基体3によって連結する構成としたので、エンジンEGから車体フレームBFまでの振動伝達経路の一部が防振基体3によって構成される。
よって、エンジンEGの振動が車体フレームBFへ伝達されることを、振動伝達経路の一部を構成する防振基体3の振動絶縁効果により、確実に抑制することができる。その結果、異音の発生および振動の発生を大幅に低減することができる。
また、ゴムストッパ部材140は、ゴム状弾性体から構成されると共に車体側ブラケット120の上側(図1矢印U方向側)の面に取着されている。そのため、車体フレームBFに対してエンジンEGが上方向(図1矢印U方向)へ移動して、エンジン側ブラケット130が車体側ブラケット120に近接するとゴムストッパ部材140が車体側ブラケット120に当接されて、ストッパ作用を発揮する。
このように、エンジン側ブラケット130が車体側ブラケット120へ直接衝突することを防ぐことで、衝突により発生する振動が車体フレームBFへ伝達されることを、ゴムストッパ部材140の衝撃吸収効果により、確実に抑制することができる。その結果、異音の発生および振動の発生を大幅に低減することができる。
次に、図2から図9までを参照して、液封入式防振装置ユニット100の詳細な構成について説明する。図2は、液封入式防振装置ユニット100の正面図であり、図3は、液封入式防振装置ユニット100の側面図であり、図4は、液封入式防振装置ユニット100の上面図であり、図5は、図3のV−V線における液封入式防振装置ユニット100の断面図である。
なお、図2から図5では、エンジンEGがエンジン側ブラケット130に固定されておらず、エンジンEGの重量が液封入式防振装置ユニット100に荷重されていない状態の液封入式防振装置110が示されており、ゴムストッパ部材140は、液封入式防振装置110の防振基体3の弾性力により車体側ブラケット120側に押圧され、ストッパリバウンド側ゴム部142がゴムストッパ部材140の内部に埋没した状態とされている。
また、図1と同様に、矢印Uは車体フレームBFの上方向を、矢印Dは車体フレームBFの下方向を、矢印Lは車体フレームBFの左方向を、矢印Rは車体フレームBFの右方向を、矢印Fは車体フレームBFの前方向を、矢印Bは車体フレームBFの後方向をそれぞれ示している。
なお、点Lは車体フレームBFの左方向(図1紙面垂直方向奥方向)を、点Rは車体フレームBFの右方向(図1紙面垂直方向奥方向)を、点Fは車体フレームBFの前方向(図1紙面垂直方向奥方向)を、点Bは車体フレームBFの後方向(図1紙面垂直方向奥方向)を、点Dは車体フレームBFの下方向(図1紙面垂直方向奥方向)を、点Uは車体フレームBFの上方向(図1紙面垂直方向奥方向)をそれぞれ示している。
また、図5に示す矢印a方向は、加速時におけるロール方向を示すと共に、矢印d方向は、減速時におけるロール方向を示している。
車体側ブラケット120は、上述したように、液封入式防振装置110を車体フレームBFへ連結すると共に、ストッパ作用時にゴムストッパ部材140を受け止める受け面部としての役割を担う部材であり、底面部122と、一対の側壁部123と、上面部124とから、図2に示すように、枠状に構成され、これらが一体とされている。
底面部122は、図5に示すように、液封入式防振装置110の第1取付け金具1が締結固定される部位であり、ボルト通過孔122cを備える。ボルト通過孔122cは、第1取付け金具1のボルト締結孔11と連通可能に構成されている。
一対の側壁部123は、図2及び図5に示すように、所定間隔を隔てつつ互いに対向して、底面部122から立設されており、その一対の側壁部123の対向面間には、液封入式防振装置110が配置されている。また、上面部124は、一対の側壁部123の上端部(図2矢印U側)を互いに連結し、底面部122と対向する平坦面である当接面124a1を備えている。
なお、側壁部123は、図2から図5に示すように、上面部124側(図2上側)に位置する当接側壁部123aと、底面部122側(図2矢印D方向)に位置し、その厚み寸法(図2矢印FB方向寸法)が当接側壁部123aよりも厚肉に形成される厚肉側壁部123bとを備えて構成されている。
当接側壁部123aは、図2及び図5に示すように、後述するゴムストッパ部材140の複数(本実施の形態では6個)のストッパ突設ゴム部141が当接される当接面123a1を有し、その当接面123a1は、図2に示すように、ストッパ突設ゴム部141から離れる方向(図2矢印FB方向)へ向けて厚肉側壁部123bの内側面よりも凹設されている。
この凹設により、当接側壁部123aの当接面123a1をゴムストッパ部材140の外側面からより離間させることができるので、従来品のように、車体側ブラケット自体を大型化させることなく、ロール方向(矢印a又は矢印d方向)へのストローク量を確保することができる。また、前記凹設分により、車体側ブラケット120全体としての軽量化を図りつつ、厚肉側壁部123bの厚肉化により、剛性強度を確保して、車体側ブラケット120全体としての耐久性の向上を図ることができる。
ここで、当接側壁部123aの当接面123a1と後述するエンジン側ブラケット130の圧入円環部133の上側(図5矢印U側)の外側面133aとがなす対向面間距離(図2矢印FB方向距離)は、図5に示すように、加速側(図2矢印R側)及び減速側(図2矢印L側)共に、当接側壁部123aの当接面123a1とエンジン側ブラケット130の圧入円環部133の下側(図5矢印D側)の外側面133bとがなす対向面間距離(図2左右方向距離)よりも大きく(好ましくは、1.5倍以上大きく、より好ましくは、2倍以上大きく)されている。
これにより、ストッパ突設ゴム部141の突設高さをより高くして、その緩衝作用を発揮させ易くすることができるので、通常のロール負荷時には、当接面123a1への当接を緩やかとして、こもり音の発生を回避することができる。
また、底面部122の両端(図2矢印FB方向端)は、図2、図4及び図5に示すように、側壁部123を越える位置まで延設されており、その底面部122の延設部上面(図2矢印F方向側面)と側壁部123の外側面(図2矢印FB方向外側面)との間には、複数(本実施の形態では4個)の補強リブ部125が設けられ、車体側ブラケット120全体としての剛性強度が確保されている。
車体側ブラケット120の加速側(図2矢印R側)に位置する補強リブ部125には、図2、図3及び図4に示すように、ボルトB(請求項2記載の締結ボルトに対応する。)により補助ブラケット150が締結固定されている。この補助ブラケット150は、車体側ブラケット120を補強するための部材であり、鉄材料からプレス形成されると共に、ブラケット側板状部150aと、フレーム側板状部150bと、介在部150cとを備えている。
なお、補助ブラケット150は、アルミニウム合金などにて構成される車体側ブラケット120に締結されるので、電錆による侵食を防止するためにカチオン塗装が施されている。
図2及び図4に示すように、ブラケット側板状部150aは、平板状に構成され第1長孔151が貫通形成されている。フレーム側板状部150bは、平板状に構成され第2長孔152が貫通形成されている。
図3に示すように、介在部150cは、ブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bと間に介在してブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとを連結する部材であり、図3に示すように、側面視(図3紙面垂直方向視)直角に曲がった形状に構成されている。
また、車体側ブラケット120の前後方向(図3紙面垂直方向)に対して直交する仮想平面によって切り取られるブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの断面線が角度θ1を成している。
なお、角度θ1は、60度以上120度以下に設定されるのが好ましく、さらには、90度に設定されるのが最も好ましい。このように、角度θ1を90度に設定すると補助ブラケット150を車体側ブラケット120に取り付ける際の位置調整を容易とすることができる。詳細は、図7を参照して後述する。
第1長孔151は、図3に示すように、ボルトBが挿通される貫通孔であり、そのボルトBは、図2に示すように、車体側ブラケット120の加速側(図2矢印R側)に位置する補強リブ部125に螺合される。第2長孔152は、図4に示すように、ボルトB(図示せず)が挿通される貫通孔であり、そのボルトBは、車体フレームBF(図1参照)に螺合される。
それら第1長孔151および第2長孔152に挿通されるボルトBが螺進されて補助ブラケット150が車体側ブラケット120と車体フレームBFとに締結固定されることで車体側ブラケット120と車体フレームBFとが補助ブラケット150を介して連結される。よって、車体側ブラケット120の加速側(図2矢印R側)に位置する補強リブ部125が車体フレームBFによって補強される。
このように、車体側ブラケット120の加速側(図2矢印R側)に位置する補強リブ部125が補強されるので、急加速時には、車体側ブラケット120の変形を規制することができる。これにより車体側ブラケット120が破損することを防止することができる。
なお、当接面123a1では、加減速による大きな入力荷重が想定されるため、このような当接面123a1の凹設(即ち、当接側壁部123aの薄肉化)は通常は不可能であり、第1実施の形態のように、当接面123a1に補強リブ部125を連接することで初めて付与可能となったものである。これにより、軽量化と強度確保とを同時に達成することができる。
また、加速側(図2B矢印方向側)の当接面123a1では、加速により、減速よる入力荷重より大きな入力荷重が想定されるため、このような当接面123a1の凹設(即ち、当接側壁部123aの薄肉化)は補強リブ部125を追加するのみでは通常は不可能であり、加速側(図2B矢印方向側)の補強リブ部125を補助ブラケット150で車体フレームBFに固定することで初めて付与可能となったものである。これにより、軽量化と強度確保とを同時に達成することができる。
液封入式防振装置110は、図5に示すように、車体側ブラケット120を介して車体フレームBF(図1(b)参照)側に取り付けられる第1取付け金具1と、エンジン側ブラケット130が取着されると共に、そのエンジン側ブラケット130を介してエンジンEG(図1参照)側に取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これら両金具1,2を互いに連結すると共に、ゴム状弾性材から構成される防振基体3とを主に備えている。
第1取付け金具1は、図5に示すように、アルミニウム合金などから軸心O回りに対称な上窄まりの断面略円錐台形状に形成され、その下端には、平坦面として構成される締結座面14が形成され、その締結座面14には、車体側ブラケット120との締結固定用のボルト締結孔11が上方(図5矢印U方向)へ向けて凹設されている。
また、ボルト締結孔11は、図5に示すように、液封入式防振装置110の軸心と同一の軸心を有しており、そのボルト締結孔11の両側には、上下方向(図5矢印UD方向)に延設される平坦面である位置決め面12と、その位置決め面12に直交する平坦面である挟持面13とが形成されている。
挟持面13は、図5に示すように、締結座面14より第2取付け金具2側(図5矢印U方向側)に配設されている。よって、締結座面14に当接する上面122aとの間に空間を設けることができる。この空間を利用して、液封入式防振装置110が予圧縮される。なお、液封入式防振装置110の予圧縮に関しての説明は、図12を参照して後述する。
また、位置決め面12は、前後方向(図5矢印FB方向)に直交しており、それら位置決め面12の対向間隔は、幅W1に設定されている。
第2取付け金具2は、図5に示すように、アルミニウム合金などから上下端(図5矢印U側及び矢印D側)が開口した筒状に構成されている。なお、第2取付け金具2の外側面(図5矢印L側)は、後述するエンジン側ブラケット130の圧入円環部133に圧入されている。
また、第2取付け金具2は、その外側面から車体側ブラケット120の側壁部123へ向けて突設される断面略矩形状の本体突設部2aを備える。
本体突設部2aは、第2取付け金具2の上下方向(図5矢印UD方向)上端部に位置し、エンジン側ブラケット130の圧入円環部133の下面に当接されている。よって、液封入式防振装置110のエンジン側ブラケット130に対する圧入深さ(図5矢印UD方向深さ)を決めることができる。
防振基体3は、図5に示すように、ゴム状弾性材から軸心O回りに対称な下窄まりの断面略円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の傾斜面と第2取付け金具2の内周面との間に加硫接着されている。
第1実施の形態における液封入式防振装置110によれば、第1取付け金具1を車体フレームBF側に連結すると共に、第2取付け金具2をエンジンEG(振動発生体)側に連結する構成としたので、後述する仕切り手段7から車体フレームBFまでの振動伝達経路の一部が防振基体3によって構成される。
その結果、例えば、仕切り手段7において、弾性仕切り膜8が上側又は下側挟持部材9,10に衝突して、それら上側又は下側挟持部材9,10が振動したとしても、その振動が車体フレームBFへ伝達されることを、振動伝達経路の一部を構成する防振基体3の振動絶縁効果により、確実に抑制して、異音の発生を大幅に低減することができる。
防振基体3には、図5に示すように、第2取付け金具2の内周面を覆う第1及び第2ゴム膜31,32が連設されている。第1ゴム膜31には、後述する上側及び下側挟持部材9,10及びダイヤフラム5の周縁部が密着されている。
ゴムストッパ部材140は、図2及び図5に示すように、車体側ブラケット120の側壁部123及び上面部124の内側面(当接面123a1及び当接面124a1)に当接することで、エンジンEG(図1参照)の変位を規制するストッパ部材としての役割(ストッパ作用)を有するものであり、ストッパ突設ゴム部141と、ストッパリバウンド側ゴム部142(図9(a)参照)と、ストッパバウンド側ゴム部144とを主に備えこれらが一体に形成されている。
ストッパ突設ゴム部141及びストッパリバウンド側ゴム部142(図9(a)参照)は、それぞれ側壁部123の当接面123a1とエンジン側ブラケット130の圧入円環部133との間および上面部124の当接面124a1とエンジン側ブラケット130の圧入円環部133との間に設けられており、側壁部123の当接面123a1と上面部124の当接面124a1に当接されることで、エンジン側ブラケット130(エンジンEG)のリバウンド方向(図5矢印U方向)又はバウンド方向(図5矢印D方向)への変位を規制する。
なお、前述したように、図2及び図5では、エンジンEGがエンジン側ブラケット130に固定されておらず、エンジンEGの重量が液封入式防振装置ユニット100に荷重されていない状態が示されており、防振基体3の弾性力によりエンジン側ブラケット130が上方に移動して車体側ブラケット120との間にゴムストッパ部材140が挟持されている。そのため、ストッパリバウンド側ゴム部142がゴムストッパ部材140の内部に埋没されており、図2及び図5では、ストッパリバウンド側ゴム部142の形状が図示されていない。
ストッパ突設ゴム部141は、エンジン側ブラケット130の圧入円環部133の外側面133a,133bから車体側ブラケット120の側壁部123(当接面123a1)へ向けて突設されており、車体側ブラケット120の側壁部123(当接面123a1)に当接することで、エンジン側ブラケット130(エンジンEG)のロール方向(図5の矢印a方向又は矢印d方向)への変位を規制する。
ストッパ突設ゴム部141は、図5に示すように、車体側ブラケット120へ向かうに従って幅が細くなる断面先細形状に構成されている。よって、側壁部123(当接面123a1)へ緩やかに衝突させることができるので、こもり音の発生を抑制することができると共に、衝突反力を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
エンジンEG(図1参照)のロール中心(図示せず)は、図5の矢印D方向に位置する。エンジンEGがロール方向へ変位した場合、エンジン側ブラケット130は、第1取付け金具1を固定点として第2取付け金具2の上端側が車体側ブラケット120の側壁部123へ向けて、即ち、矢印a方向又は矢印d方向へ向けて振り子のように揺動される。
本発明では、上述したように、ストッパ突設ゴム部141は、第2取付け金具2の上端側(図5矢印U側)に位置しているので、その分、エンジンEGのロール中心からストッパ突設ゴム部141までの離間距離をより長くすることができる。そして、かかる離間距離をより長くすることができれば、距離と力との積により定まるモーメントの関係より、衝突反力をより小さくすることができるので、その分、第2取付け金具2及び車体側ブラケット120への入力荷重を小さくすることができる。
その結果、耐久性の向上を図ることができるだけでなく、各部材2,120に要求される剛性強度を低くすることができるので、その分、これら各部材2,120を薄肉化して、液封入式防振装置ユニット100全体としての軽量化を図ることができる。
また、上述のように、ストッパ作用時の衝突反力を小さくすることができれば、車体側ブラケット120を介して車体フレームBFへ入力される振動を抑制することができるので、その分、こもり音の発生を低減することができる。
また、このように、ストッパ突設ゴム部141(即ち、荷重の入力位置)を第2取付け金具2の上端側(図5矢印U側)に偏心させることで、従来品のように、第2取付け金具2の上下方向(図5矢印UD方向)全体を補強する必要がなくなり、上端側のみを本体突設部2aにより補強すれば良い、言い換えれば、第2取付け金具2の下端側(図5矢印D側)をより薄肉化させることができるので、その分、液封入式防振装置ユニット100全体としての軽量化をより一層図ることができる。
ダイヤフラム5は、図5に示すように、ゴム状弾性材から部分球状を有するゴム膜状に構成されるものであり、第2取付け金具2の上端部(図5矢印U側)に取着される。その結果、このダイヤフラム5の下面側と防振基体3の上面側との間には、液体封入室6が形成されている。
この液体封入室6には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入されている。また、液体封入室6は、図5に示すように、仕切り手段7(弾性仕切り膜8及び上側及び下側挟持部材9,10)によって、防振基体3側(図5矢印D側)の第1液室6Aと、ダイヤフラム5側(図5矢印U側)の第2液室6Bとの2室に仕切られている。
なお、ダイヤフラム5は、上面視円環状にプレス成形された取付け金具51に加硫接着されており、図5に示すように、その取付け金具51を介して、第2取付け金具2の上端部(図5矢印U側)に取着されている。
仕切り手段7は、上述したように、液体封入室6を第1液室6Aと第2液室6Bとに仕切るものであり、ゴム状弾性材から略円板状に構成される弾性仕切り膜8と、その弾性仕切り膜8をその軸心方向で挟持固定する上側及び下側挟持部材9,10とを主に備えている。
仕切り手段7(上側及び下側挟持部材9,10)の外周側には、図5に示すように、第2取付け金具2の内周側(ゴム膜31)との間に断面略矩形状のオリフィス20が形成されている。このオリフィス20は、第1液室6Aと第2液室6Bとを互いに連通させるオリフィス流路である。
なお、オリフィス20は、上側挟持部材9に切り欠き形成される切り欠き部(図示せず)を介して、第2液室6Bに連通される一方、下側挟持部材10に切り欠き形成される切り欠き部を介して、第1液室6Aに連通されている。
上側及び下側挟持部材9,10には、複数の開口部が開口形成されており、液封入室6(第1及び第2液室6A,6B)間の液圧変動を弾性仕切り膜8に伝達可能に構成されている。よって、比較的小振幅の振動が入力される場合には、弾性仕切り膜8が往復動変位することで、両液室6A,6B間の液圧変動を吸収して、低動ばね特性を得ることができる。
一方、例えば、走行路面の凹凸などに起因して、比較的大振幅の振動が入力される場合には、弾性仕切り膜8の変位量を上側及び下側挟持部材9,10で両側から規制して膜剛性を高めることで、流体がオリフィス71を介して両液室6A,6B間で流動し易くして、高減衰特性を得ることができる。
ここで、液封入式防振装置110の組み立ては、まず、第2取付け金具2の上端側(図5矢印U側)開口部から仕切り手段7とダイヤフラム5とを順に嵌め込み、次いで、第2取付け金具2の上端面に全周にわたって凹設された溝の一方の側壁部(第2取付け金具2の内周側)を軸芯O側へ向けて折り曲げ加工することにより行われる。
その結果、仕切り手段7(上側及び下側挟持部材9,10)は、図5に示すように、防振基体3の上面とダイヤフラム5との間で、液封入式防振装置110の軸芯方向(図5上下方向)に挟持固定される。
エンジン側ブラケット130は、図2、図3及び図4に示すように、エンジンEGにボルトB2(図1参照)を介して取り付けられる取付部132と、液封入式防振装置110が圧入される圧入円環部133とを主に備えている。
取付部132は、図4に示すように、上面視(図4紙面手前側から奥に向かう方向視)くの字形に形成されており、取付部132に形成された取付け孔群131にボルトB2(図1参照)が挿通されてエンジンEGに連結固定されている。
取付け孔群131は、図4に示すように、取付部132に貫通形成される貫通孔の郡であり、取付部132の両端部(図4矢印FB方向端)に第1貫通孔131aと第3貫通孔131cとが貫通形成され、それら第1貫通孔131aと第3貫通孔131cとの間でくの字に曲がっている部位に第2貫通孔131bが貫通形成されている。
また、図4に示すように、各貫通孔131a,131b,131cの開口の周りには、各貫通孔131a,131b,131cの各中心から半径r1の領域が各座面134a,134b,134cとされており、エンジン側ブラケット130が締結される際には、ボルトB2(図1参照)の頭部座面が各座面134a,134b,134cに当接される。
また、圧入円環部133は、第1貫通孔131aと第2貫通孔131bとの間の取付部132の部位であって、第3貫通孔131cと対向する側面の反対側(図4矢印R側)の側面に連接されている。
例えば、取付部132が上面視(図4紙面手前側から奥に向かう方向視)直線状に構成されると共に第3貫通孔131cが省略された場合には、エンジン側ブラケット130が車体側ブラケット120に対して変位すると、取付部132には、仮想直線Lを中心軸とした回転モーメントが作用する。
回転モーメントは、中心軸に近いほど大きな押圧力として作用するので、各貫通孔131a,133bに挿通されたボルトB2(図1参照)の頭部座面が当接される各座面134a,134bの外縁は、仮想直線Lから各座面134a,134bの半径r1分しか離れていないので、大きな押圧力が作用して座屈する恐れがある。
ここで、第1実施の形態では、第3貫通孔131cが取付部132に形成されているので、第3貫通孔131cの座面134cが回転モーメントの力を分担して受けて、第1貫通孔131aの座面134a及び第2貫通孔131bの座面134bが受ける力を低減することができる。
また、ここで、第1実施の形態では、取付部132がくの字上に形成され、第3貫通孔131cが形成される部位が仮想直線Lから各座面134a,134bの外縁より離間した位置に配設されているので、第3貫通孔131cの座面134cに作用する押圧力を第1貫通孔131aの座面134a及び第2貫通孔131bの座面134bより小さくすることができる。
よって、第3貫通孔131cに挿通されるボルトB2(図1参照)を首下の直径D5が細いものに変更して、そのボルトB2の頭部座面に合わせて座面134cの面積を小さく設定することができる。よって、取付部132の第3貫通孔131cが形成される部位を小型化して、取付部132を軽量化することができる。
次いで、図6を参照して、車体側ブラケット120の詳細な構成について説明する。図6は、車体側ブラケット120の平面図であり、図6(a)は、車体側ブラケット120の正面図であり、図6(b)は、車体側ブラケット120の上面図であり、図6(c)は、車体側ブラケット120の側面図である。
車体側ブラケット120は、上述したように、液封入式防振装置110を車体フレームBFへ連結すると共に、ストッパ作用時にゴムストッパ部材140(図2参照)を受け止める受け面部としての役割を担う部材であり、底面部122と、一対の側壁部123と、上面部124とから、図6(a)に示すように、枠状に構成されている。
底面部122は、液封入式防振装置110の第1取付け金具1が締結固定される部位であり、ボルト通過孔122cを備える。
上述したように、側壁部123は、当接側壁部123aと、厚肉側壁部123bとを備えており、当接側壁部123aは、当接面123a1にストッパ突設ゴム部141を当接させることで、エンジンEGの前後方向(図6(a)矢印FB方向)の変位を規制する。
厚肉側壁部123bは、上面部124側(図6(a)矢印U方向側)へ向いた平坦面である当接面123b1を備えている。その当接面123b1は、後述するゴムストッパ部材140のストッパバウンド側ゴム部144を当接して、エンジン側ブラケット130の鉛直下方向(図6(a)矢印D方向)への変位を規制する。
上面部124は、一対の側壁部123の上端部(図6(a)矢印U側)を互いに連結し、底面部122と対向する平坦面である当接面124a1を備えている。その当接面124a1は、ゴムストッパ部材140のストッパリバウンド側ゴム部142を当接して、エンジン側ブラケット130の鉛直上方向(図6(a)矢印U方向)への変位を規制する。
当接側壁部123aは、図6(a)に示すように、ゴムストッパ部材140(図2参照)の複数(本実施の形態では6個)のストッパ突設ゴム部141が当接される当接面123a1を有し、その当接面123a1は、図6(a)に示すように、ストッパ突設ゴム部141から離れる方向(図6(a)矢印FB方向)へ向けて厚肉側壁部123bの内側面よりも凹設されている。
また、上述したように、車体側ブラケット120の加速側(図6(a)矢印R側)に位置する補強リブ部125には、図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示すように、ボルトBにより補助ブラケット150が締結固定されている。この補助ブラケット150は、車体側ブラケット120を補強するための部材であり、鉄材料からプレス形成されると共に、ブラケット側板状部150aと、フレーム側板状部150bと、介在部150cとを備えている。
ブラケット側板状部150aは、平板状に構成され第1長孔151が貫通形成されており、フレーム側板状部150bは、平板状に構成され第2長孔152が貫通形成されている。また、介在部150cは、側面視(図6(c)紙面垂直方向視)直角に曲がった形状に構成されている。
また、車体側ブラケット120の前後方向(図6(c)紙面垂直方向)に対して直交する仮想平面によって切り取られるブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの断面線が角度θ1を成している。
第1長孔151は、図6(a)に示すように、ボルトBが挿通される正面視(図6(a)紙面垂直方向視)長孔状に形成された貫通孔であり、上面部124から底面部122へ向かう方向(図6(a)矢印UD方向)の内径寸法が長径D1とされており、上面部124から底面部122へ向かう方向に対して直交する方向(図6(a)矢印FB方向)の内径寸法が短径D2とされている。
第2長孔152は、図6(b)に示すように、ボルトBが挿通される上面視(図6(b)紙面垂直方向視)長孔状に形成された貫通孔であり、中央補強リブ部127の延設方向(図6(b)矢印LR方向)の内径寸法が長径D3とされており、中央補強リブ部127の延設方向に対して直交する方向(図6(b)矢印FB方向)の内径寸法が短径D4とされている。
なお、長径D1は、短径D2より大きな寸法に設定され(D1>D2)、長径D3は、短径D4より大きな寸法に設定されている(D3>D4)。また、第1長孔151に挿入されるボルトBの首下の直径D5は短径D2より小さく、頭部の直径D6は短径D2より大きく設定され、第2長孔152に挿入されるボルトBの首下の直径D5は短径D4より小さく頭部の直径D6は短径D4より大きく設定されている。
そのため、第1長孔151及び、第2長孔152にボルトBを挿した状態にて、短径D2及び短径D4の方向より長径D1及び長径D3の方向に補助ブラケット150を多く移動させることができる。
よって、車体側ブラケット120に補助ブラケット150を取り付ける際に、上面部124から底面部122へ向かう方向(図6(a)矢印UD方向)に補助ブラケット150の取付位置の調整代を多く取ることができると共に、車体フレームBFに補助ブラケット150を取り付ける際に、中央補強リブ部127の延設方向(図6(b)矢印LR方向)に補助ブラケット150の取付位置の調整代を多く確保することができる。そのため、部品製造上の寸法公差や組み立て公差による影響を小さくして、補助ブラケット150や車体側ブラケット120の耐久性を確保することができる。
即ち、部品製造上の寸法公差や組み立て公差は必ず存在するところ、補助ブラケット150を上述のように構成することで、補助ブラケット150は、車体フレームBFに対して直交する2方向への取付位置の調整が可能となり、かかる補助ブラケット150により車体側ブラケット120と車体フレームBF側とを連結する際に公差を吸収することができる。
よって、車体側ブラケット120と車体フレームBFとの位置の精度の影響を最小限に抑えて、車体側ブラケット120と車体フレームBFとを連結することができる。その結果、補助ブラケット150や車体側ブラケット120がひずんだ状態で締結固定されることを抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
第1長孔151には、図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示すように、ボルトB(図示せず)が挿通され、そのボルトBが螺合されることで補助ブラケット150が車体側ブラケット120の加速側(図6(a)矢印R側)に位置する補強リブ部125に取り付けられる。また、第2長孔152には、ボルトB(図示せず)が挿通され、そのボルトBが螺合されることで補助ブラケット150が車体フレームBF(図1参照)に取り付けられる。
車体側ブラケット120の加速側(図6(a)矢印R側)に位置する補強リブ部125は、肉盛り125bを備えている。肉盛り125bは、ボルトBが螺合される部位であり、ボルトBを介して補助ブラケット150を支持している。
また、肉盛り125bは、盛り上げ形成されると共に、補強リブ部125の裏側(図6(b)矢印U側)の面である内面125aと、当接面123a1の外側(図6(b)矢印R側)に位置する面である外側面123a2とに連接されている。
よって、ストッパ突設ゴム部141が当接面123a1に当接することで発生する衝撃力を効率よく補助ブラケット150へ伝達することができる。
上面部124は、上面部124の両側(図6(b)矢印LR方向)からリバウンド方向(図6(a)矢印U方向)へ向かって立設される一対の補強リブ部126と、それら補強リブ部126の間に連接されると共に上面部124からリバウンド方向(図6(a)矢印U方向)へ向かって立設される中央補強リブ部127とを備えている。
また、補強リブ部126は、補強リブ部126の両側に配設される補強リブ部125に連接され一体とされている。一対の補強リブ部126の内の補助ブラケット150側(図6(b)矢印R方向側)に配設される補強リブ部126は、肉盛り125bが形成された補強リブ部125より取付部132側(図6(b)矢印L方向側)に配設されている。よって、ストッパ突設ゴム部141が当接面123a1に当接することで発生する衝撃力を効率よく補助ブラケット150へ伝達することができる。
また、補強リブ部126は、補強リブ部125よりも大きな力がかかる部位であり、補強リブ部125よりも厚さ寸法(図6(b)矢印L方向寸法)が大きく設定されている。
また、補強リブ部125の厚さ寸法(図6(b)矢印L方向寸法)は、補強リブ部126に向かうほど連続的に厚さを増しており、補強リブ部126は、自身の中央(図6(b)矢印LR方向中央)に向かうほど連続的に厚さを増している。
即ち、大きな力がかかる部位ほど厚みを有しており、その厚みの増加は連続して変化しているので、効率よく強度が向上される。
また、中央補強リブ部127は、一対の補強リブ部126を接続しているので、それら一対の補強リブ126の内の一方の補強リブ部126から他方の補強リブ部126へ向かう方向(図6(b)矢印LR方向側)の強度を向上させることができる。その結果、車体側ブラケット120全体の強度のバランスが改善され、車体側ブラケット120全体の強度を向上させることができる。
次いで、図7を参照して、ブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの成す角度θ1の設定について説明する。図7は、補助ブラケット150の取付位置を決める際に寸法調整治具J1,J2,J3が配置された状態を示した車体側ブラケット120の側面図である。図7(a)は、ブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの成す角度θ1が60度に設定された状態を示した車体側ブラケット120の側面図であり、図7(b)は、ブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの成す角度θ1が120度に設定された状態を示した車体側ブラケット120の側面図であり、図7(c)は、ブラケット側板状部150aとフレーム側板状部150bとの成す角度θ1が90に設定された状態を示した車体側ブラケット120の側面図である。
なお、図7(a)、図7(b)及び図7(c)に示す矢印は、寸法調整治具J1,J2,J3の移動方向をそれぞれ示している。
図7(a)に示すように、例えば、介在部150cの形状を変更して角度θ1を60度に設定すると、補助ブラケット150の取付位置を決めるために、補助ブラケット150が取り付けられる車体側ブラケット120と寸法調整治具J1との距離C1を規定して、且つ、寸法調整治具J1と補強リブ部125との距離が距離C1となるように寸法調整治具J1を近接(補助ブラケット150に対して図7(a)矢印R側から図7(a)矢印L方向に移動)させることで補強リブ部125に対する位置を決める必要がある。
即ち、寸法調整治具J1が補強リブ部125から距離C1以上離れて配設されている場合に、角度θ1が60度に設定された補助ブラケット150が寸法調整治具J1に当接された状態では、寸法調整治具J1が補強リブ部125から距離C1の位置に配設されている場合に比べて、補助ブラケット150の取付位置が低くなるからである(図7矢印UD方向において、底面122bとの間隔が狭くなる)。
また、図7(b)に示すように、例えば、介在部150cの形状を変更して角度θ1を120度に設定すると60度に設定する場合と同様に、車体側ブラケット120との距離C2を規定して、且つ、寸法調整治具J2と補強リブ部125との距離が距離C2となるように寸法調整治具J2を配設しなければならない。また、それに加えて、寸法調整治具J2の挿入方向が限定されるので、補助ブラケット150の取付位置の調整に手間がかかる。
即ち、角度θ1が60度の場合には、車体側ブラケット120に対して寸法調整治具J2を近接(補助ブラケット150に対して図7(a)矢印R側から図7(a)矢印L方向に移動)させることで補強リブ部125に対する位置を決めることができたが、角度θ1が120度の場合には、寸法調整治具J1を補助ブラケット150に近接させると、フレーム側板状部150bに寸法調整治具J2が接触するので、寸法調整治具J2を補強リブ部125から距離C2の位置まで近づけることができない。
そのため、寸法調整治具J2を車体側ブラケット120の前後方向(図7(b)紙面垂直方向)から補強リブ部125とフレーム側板状部150bとの間に挿入して、挿入された寸法調整治具Jを補強リブ部125から距離C2の位置に配設する必要がある。
このように、補助ブラケット150の取付位置の調整に手間がかかるので、車体側ブラケット120の製造に手間がかかり、液封入式防振装置ユニット100の製造コストが嵩む。
ここで、図7(c)に示すように、角度θ1を90度に設定すると、位置調整治具の一部をフレーム側板状部150bの下側(図7(c)矢印D側)に挿入することで、補助ブラケット150の取付高さと寸法調整治具J3の高さとの比較が可能となる。
即ち、角度θ1を90度に設定することで、補助ブラケット150を車体側ブラケット120に取り付ける作業において、寸法調整治具Jの挿入方向の制約および寸法調整治具Jの配設位置の制約(補強リブ部125との距離を規定する)をなくすことができる。
よって、補助ブラケット150の車体側ブラケット120への取付時に位置調整の手間を省いて、液封入式防振装置ユニット100の製造コストを削減することができる。
次いで、図8を参照して、エンジン側ブラケット130の詳細な構成について説明する。図8は、エンジン側ブラケット130の平面図であり、図8(a)は、エンジン側ブラケット130の正面図であり、図8(b)は、エンジン側ブラケット130の上面図であり、図8(c)は、エンジン側ブラケット130の側面図である。
エンジン側ブラケット130は、上述したように、エンジンEGにボルトB2(図1参照)を解して取り付けられる取付部132と、液封入式防振装置110が圧入される圧入円環部133とを主に備えている。
取付部132は、図8(b)に示すように、上面視(図8(b)紙面手前側から奥に向かう方向視)くの字形に形成されており、取付部132に形成された取付け孔群131にB2(図1参照)が挿通されてエンジンEGに連結固定されている。
取付け孔群131は、図8(b)に示すように、取付部132に貫通形成される貫通孔の郡であり、取付部132の両端部(図8(b)矢印FB方向端)に第1貫通孔131aと第3貫通孔131cとが貫通形成され、それら第1貫通孔131aと第3貫通孔131cとの間でくの字に曲がっている部位に第2貫通孔131bが貫通形成されている。
また、第3貫通孔131cは、第1貫通孔131a及び第2貫通孔131bの中心を結んだ仮想直線Lから車体側ブラケット120から離間する方向(図8(b)矢印L方向)へ配設されており、座面134cの車体側ブラケット120側の外縁であって仮想直線Lに最も近接した部位と、仮想直線Lとの間の寸法値は、距離T1に設定されている。
また、図8(a)及び図8(c)に示すように、各貫通孔131a,131b,131cは、2つの開口を有しており,その内の一方の開口であってリバウンド側(図8(a)及び図8(c)矢印U方向側)の開口の周りには、各座面134a,134b,134cが形成され、他方の開口であってバウンド側(図8(a)及び図8(c)矢印D方向側)の開口の周りには、各取付面135a,135b,135cが形成されている。
各座面134a,134b,134cは、各貫通孔131a,131b,131cの各中心から半径r1の領域の平坦面であり、各取付面135a,135b,135cは、各貫通孔131a,131b,131cの各中心から半径r1の領域の平坦面である。なお、各取付面135a,135b,135cは、各座面134a,134b,134cとそれぞれ平行に形成されている。
また、ボルトB2(図1参照)によってエンジン側ブラケット130がエンジンEGに取り付けられる際には、ボルトB2の頭部の座面が各座面134a,134b,134cに当設され、各取付面135a,135b,135cがエンジンEGに当設される。
なお、各貫通孔131a,131b,131c、各座面134a,134b,134c及び各取付面135a,135b,135cは、後述する液封入式防振装置ユニット100の組み付け時に、第1取付治具G1及び第2取付治具G2の取付部位として兼用される。
よって、組み付けのための取付部位の加工を省略することができるので、エンジン側ブラケット130の加工の手間を省いて、液封入式防振装置ユニット100の製品コストを削減することができる。
また、このように、平坦面や貫通孔を別途設けることを不要とすることができれば、その分、エンジン側ブラケット130を小型化することができるので、液封入式防振装置ユニット100全体としての軽量化を図ることができる。同時に、取付け孔群131の形成点数を少なくすることができれば、その分、エンジン側ブラケット130の剛性強度の低下を抑制することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
また、一対の挟持面13は、座面134aの外縁と座面134bの外縁との間に配設されており、座面134aの外縁と座面134bの外縁との距離は、距離T2に設定されている。
また、圧入円環部133は、第1貫通孔131aと第2貫通孔131bとの間の取付部132の部位であって、第3貫通孔131cと対向する側面の反対側(図8(b)矢印R側)の側面に連接されている。
次いで、図9を参照して、ゴムストッパ部材140の詳細な構成について説明する。図9は、ゴムストッパ部材140の平面図であり、図9(a)は、ゴムストッパ部材140の正面図であり、図9(b)は、ゴムストッパ部材140の上面図であり、図9(c)は、ゴムストッパ部材140の側面図である。
ゴムストッパ部材140は、上述したように、車体側ブラケット120の側壁部123及び上面部124の内側面(当接面123a1及び当接面124a1)に当接することで、エンジンEG(図1参照)の変位を規制するストッパ部材としての役割(ストッパ作用)を有するものであり、ゴムストッパ部材140の側面(図9(a)矢印FB方向面)から立設される一対のストッパ突設ゴム部141と、ゴムストッパ部材140の上面(図9(a)矢印U方向面)立設される一対のストッパリバウンド側ゴム部142と、ゴムストッパ部材140の下端(図9(a)矢印D方向面)から下側(図9(a)矢印D方向側)に向けて立設される一対のストッパバウンド側ゴム部144とを主に備えこれらが一体に形成されている。
ゴムストッパ部材140の上面(図9(a)矢印U方向面)であって、一対のストッパリバウンド側ゴム部142の間の面には、円形の貫通孔であるゴムストッパ部材貫通孔143が貫通形成されている。
ストッパ突設ゴム部141は、図9(a)及び図9(b)に示すように、車体側ブラケット120へ向かうに従って幅が細くなる断面先細形状に構成されている。
ストッパリバウンド側ゴム部142は、図9(b)に示すように、上面視矩形形状に構成された一対のゴム部大142aと、上面視矩形形状に構成された一対のゴム部小142bとを備えて構成されている。
一対のゴム部大142aは、車両の前後方向(図9(b)矢印FB方向)において、ゴムストッパ部材貫通孔143を両側(図9(b)矢印FB方向両側)から挟んで配設され、ストッパリバウンド側ゴム部142bは、車両の前後方向において、ゴム部大142aを両側から挟んで配設されている。
ゴム部大142aと、ゴム部小142bとは、車両の前後方向(図9(b)矢印FB方向)の寸法は同一であるが、車両の左右方向(図9(b)矢印LR方向)の寸法は、ゴム部大142aの方がゴム部小142bより大きく設定されている。
そのため、ゴム部大142aとゴム部小142bとの変形量のバランスが改善される。よって、変形の度合いに大きく左右される耐久性のバランスが改善されて、ゴムストッパ部材140全体の耐久性が向上される。
なお、ゴム部大142aの車両の左右方向(図9(b)矢印LR方向)の寸法は、ゴム部大142aの車両の左右方向(図9(b)矢印LR方向)の寸法の1.2倍から2倍の範囲に設定するのが好ましい。その場合、ゴム部大142aとゴム部小142bとの変形量のバランスが更に改善される。よって、変形の度合いに大きく左右される耐久性のバランスが更に改善され、ゴムストッパ部材140全体の耐久性が更に向上される。
次いで、図10を参照して、液封入式防振装置ユニット100が車体フレームBFとエンジンEGとに連結された状態について説明する。図10は、液封入式防振装置ユニット100が車体フレームBFとエンジンEGとに連結された状態を示した液封入式防振装置ユニット100の断面図である。
図10に示すように、エンジン側ブラケット130にはエンジンEGの重量がかかり、液封入式防振装置110を車体フレームBF側(図10矢印D方向側)へ押しつけている。
上述したように、液封入式防振装置110は、第1取付け金具1と、第2取付け金具2と、ゴム状弾性体から構成される防振基体3とを主に備えており、防振基体3は、第1取付け金具1と、第2取付け金具2とを連結している。そして、エンジン側ブラケット130の圧入円環部133には、第2取付け金具2が圧入内嵌されており、車体側ブラケット120には、第1取付け金具1が締結されている。
そのため、エンジン側ブラケット130にエンジンEGの重量がかかると第2取付け金具2が第1取付け金具1側へ押圧され防振基体3が弾性変形する。
その結果、エンジン側ブラケット130の圧入円環部133に取り付けられるゴムストッパ部材140が車体側ブラケット120の上面部124から離間する。このように、ゴムストッパ部材140が上面部124から離間することでゴムストッパ部材140と上面部124との間に空間が形成される。
ゴムストッパ部材140と上面部124との間の空間は、エンジンEGがリバウンド方向(図10矢印U方向)へ変位するための空間となり、その空間の鉛直方向(図10矢印UD方向)の寸法値がリバウンドストロークRSとされる。
また、ゴムストッパ部材140は、断面視矩形のストッパバウンド側ゴム部144を備えている。そのストッパバウンド側ゴム部144は、圧入円環部133の車体フレームBF側(図10矢印D方向側)に配設されており、第2取付け金具2の本体突設部2aを圧入円環部133の下面とで挟持している。
また、ストッパバウンド側ゴム部144の下面144a1と、厚肉側壁部123bの当接面123b1との間には、エンジン側ブラケット130にエンジンEGの重量がかかっていない状態において空間が形成されており、エンジン側ブラケット130にエンジンEGの重量がかかった場合(静止状態)でも、空間の形成が維持されている。
ストッパバウンド側ゴム部144の下面144a1と、厚肉側壁部123bの当接面123b1との間の空間は、エンジンEGがバウンド方向(図10矢印D方向)へ変位するための空間となり、その空間の鉛直方向(図10矢印D方向)の寸法値がバウンドストロークBSとされる。
ここで、防振基体3の耐久性に関して説明する。防振基体3は、ゴム状弾性体から構成されており、圧縮力、引っ張り力などにより弾性変形する部材である。ゴム状弾性体は、弾性変形を繰り返すことで劣化が進むという特徴を有しており、特に、引っ張り力による弾性変形は、圧縮力による弾性変形と比較して劣化を促進する。そのため、防振基体3の耐久性を向上させるには、引っ張り力による弾性変形を削減する必要がある。
ここで、第1実施の形態における液封入式防振装置ユニット100では、防振基体3に予圧縮を付与することで、引っ張り力による弾性変形の削減を図っている。即ち、防振基体3を常に圧縮された状態で使用することができるように、エンジンEGの重量がかかっていない状態においても、防振基体3を圧縮する必要がある。
具体的には、液封入式防振装置110と、エンジン側ブラケット130と、ゴムストッパ部材140とが組み立てられた状態であって、防振基体3に力が作用していない状態において、第1取付け金具1の締結座面14(車体側ブラケット120の底面部122への取付け面)からゴムストッパ部材140のストッパリバウンド側ゴム部142の先端(第1取付け金具1から最も離れた部位)までの寸法である自由長H1を、車体側ブラケット120の上面部124(当接面124a1)から底面部122の上面122aまでの寸法である規制枠長H2(図12(a)参照)より大きく設定する。
このように自由長H1が規制枠長H2より長く設定されることで、液封入式防振装置110がエンジン側ブラケット130と車体側ブラケット120とに取り付けられた状態(エンジンEGの重量がかかっていない状態)において防振基体3に予圧縮が付与される。
よって、引っ張り力を極力抑えて防振基体3を変形させるので、防振基体3の劣化を抑制して液封入式防振装置ユニット100の耐久性の向上を図ることができる。
次いで、図11及び図12を参照して、液封入式防振装置ユニット100の組み立て工程について説明する。図11は、図2のXI−XI線における第1取付け金具1の断面図である。
図12は、液封入式防振装置ユニット100の組み立て順序に従って組み立てられている液封入式防振装置ユニット100を示した側面図であり、図12(a)は、液封入式防振装置110がエンジン側ブラケット130に組みつけられ液封入式防振装置110の防振基体3が変形されていない状態を示した組み付け前の液封入式防振装置ユニット100の側面図であり、図12(b)は、取付け治具によって防振基体3が圧縮された状態を示した組み付け前の液封入式防振装置ユニット100の側面図であり、図12(c)は、圧縮された防振基体3が車体側ブラケット120の内部に搬送された状態を示した組み付け前の液封入式防振装置ユニット100の側面図であり、図12(d)は、組み付けられた液封入式防振装置ユニット100の側面図である。
液封入式防振装置ユニット100の組み立て工程は、液封入式防振装置110を組み上げる液封入式防振装置組立工程と、その液封入式防振装置組立工程にて組み上げられた液封入式防振装置110をエンジン側ブラケット130に圧入固定する一体化工程と、その一体化工程にてエンジン側ブラケット130と一体化された液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の上面部124と底面部122との間に嵌入する嵌入工程と、その嵌入工程で車体側ブラケット120の上面部124と底面部122との間に嵌入された液封入式防振装置110の第1取付け金具1を底面部122に締結固定する締結工程とを主に備えている。
一体化工程では、液封入式防振装置組立工程で組み立てられた液封入式防振装置110がエンジン側ブラケット130の圧入円環部133に圧入固定され、エンジン側ブラケット130と一体とされる。その一体とされた液封入式防振装置110にゴムストッパ部材140が取り付けられる。
また、嵌入工程では、第1取付治具G1及び第2取付治具G2にて取付部132を上下方向(図12(a)矢印UD方向)から挟み込むことでエンジン側ブラケット130を支持し、第3取付治具G3を第1取付け金具1の挟持面13に当接させて液封入式防振装置110を支持する支持工程と、その支持工程でエンジン側ブラケット130を支持する第1取付治具G1及び第2取付治具G2と、液封入式防振装置110を支持する第3取付治具G3とが互いに近接することで液封入式防振装置110の全長を縮める圧縮工程と、その圧縮工程にて全長が縮められた液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に配置する配置工程とを備えている。
また、液封入式防振装置組立工程は、配置工程により車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に配置された液封入式防振装置110の第1取付け金具1から第3取付治具G3を抜き取る抜取工程と、配置工程により車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に配置された液封入式防振装置110が取着されているエンジン側ブラケット130から第1取付治具G1及び第2取付治具G2を取り外して固定を解除する固定解除工程とを備えている。
なお、本実施の形態では、液封入式防振装置110の第1取付け金具1を底面部122にボルトB3(図5参照)(請求項4に記載の締結ボルトに対応する。)により締結固定(本締め)した後、抜取工程が行われる。
図12(a)に示すように、支持工程では、エンジン側ブラケット130側(図12(a)矢印L方向側)に第1取付治具G1および第2取付治具G2が配設され、車体側ブラケット120側(図12(a)矢印R方向側)に第3取付治具G3が配設される。
第1取付治具G1は、円形状に構成された複数(本実施の形態では3個)の当接面を備え、その当接面の軸心と同一の軸心を有する円柱状に構成された複数(本実施の形態では3個)のピンを備えている。
それら複数(本実施の形態では3個)のピンを第1貫通孔131a、第2貫通孔131b及び第3貫通孔131cにそれぞれ挿入するので、組み立て時にエンジン側ブラケット130が倒れることを抑制することができる。そして、それら複数(本実施の形態では3個)の当接面は、それぞれ座面134a、座面134b及び座面134cに当接される。
同様に、第2取付治具G2は、円形状に構成された複数(本実施の形態では3個)の当接面を備え、その当接面の軸心と同一の軸心を有する円柱状に構成された複数(本実施の形態では3個)のピンを備えている。
それら複数(本実施の形態では3個)のピンを第1貫通孔131a、第2貫通孔131b及び第3貫通孔131cにそれぞれ挿入するので、組み立て時にエンジン側ブラケット130が倒れることを防止することができる。
そして、それら複数(本実施の形態では3個)の当接面は、それぞれ取付面135a、取付面135b及び取付面135cに当接される。
ここで、座面134a,134b,134c及び取付面135a,135b,135cは、各貫通孔131a,131b,131cの両側の開口からそれぞれ延設されており、互いに平行に配設されているので、第1取付治具G1及び第2取付治具G2によって強固に固定される。よって、各貫通孔131a,131b,131cに挿入されたピンの傾きを更に抑制することができる。
そのため、エンジン側ブラケット130が第1取付治具G1及び第2取付治具G2によって強固に挟持されて固定される。その結果、液封入式防振装置110の全高を低くする圧縮工程を安定して行うことができるので、防振基体3に予圧縮を付与する際の作業性の向上を図ることができる。
また、第3取付治具G3は、先端部がU字状に形成されそのU字状の開口を挿入方向へ向けた状態に形成されており、そのU字の内側の対面する一対の平坦面である案内面と、平行に並んだ一対の平坦面である当接面とを備えている。
第3取付治具G3は、車体側ブラケット120の枠内を挿通され、一対の案内面が上述した一対の位置決め面12を挟んだ状態で位置決め面12によって案内される。そして、U字状の底部が第1取付け金具1に当接されて挿入位置が決まる。よって、第3取付治具G3の取り付け精度が向上される。
即ち、位置決め面12は、第3取付治具G3の挿入方向(図12(a)矢印LR方向)に直交する面であるので、第3取付治具G3の挿入方向(図12(a)矢印LR方向)に直交する第3取付治具G3の取り付け精度が向上される。
また、一対の位置決め面12は、それぞれ平行とされており、第3取付治具G3の挿入方向(図12(a)矢印LR方向)とも平行となるように配設されている。よって、第3取付治具G3の挿入方向(図12(a)矢印LR方向)に直交する第3取付治具G3の取り付け精度が向上される。
その後、一対の平坦面である当接面が挟持面13に当接される。このように、支持工程にて第1取付治具G1及び第2取付治具G2がエンジン側ブラケット130に取り付けられ、第3取付治具G3が液封入式防振装置110に取り付けられた後に、圧縮工程へと移行する。
なお、第1実施の形態によれば、第1取付け金具1に形成される挟持面13は、締結座面14よりも第2取付け金具2側に後退して形成されているので、車体側ブラケット120の剛性強度を確保して、液封入式防振装置ユニット100全体としての耐久性の向上を図ることができる。
即ち、例えば、挟持面13と締結座面14とが第1取付け金具1の同一面上に形成されていると、液封入式防振装置110を予圧縮するために第3取付治具G3を挿通させるためのスペースを確保するべく、車体側ブラケット120の底面部122の一部を後退させる(窪ませる)必要が生じ、その形状変化に伴い、車体側ブラケット120の剛性強度が低下して、耐久性の低下を招く。
特に、車体側ブラケット120は、ストッパ作用時の荷重入力を受ける部位であり、底面部122はロール方向の荷重入力だけでなく、リバウンド方向への荷重入力時に曲げ方向の荷重が作用する部位であるため、底面部122の形状変化は耐久性に大きな影響を与える。
そのため、第1実施の形態のように、第1取付け金具1の受け面が締結座面よりも後退する構成として、底面部122の形状変化を小さくすることで、車体側ブラケット120の耐久性を確保して、液封入式防振装置ユニット100全体としての耐久性の向上を効率的に図ることができる。
圧縮行程では、図12(b)に示すように、第1取付治具G1及び第2取付治具G2と第3取付治具G3とが互いの間隔を縮める方向(図12(b)矢印UD内方向)へ変位する。よって、防振基体3が圧縮され液封入式防振装置110の全長(図12(b)矢印UD方向寸法)が規制枠長H2以下の寸法まで縮められる。
ここで、挟持面13は、液封入式防振装置110の軸心Oと同一の軸心を有するボルト締結孔11を挟む両側に配設されているので、液封入式防振装置110の傾きを防止して、液封入式防振装置110を安定した状態を保って押し縮めることができる。
そして、配置工程では、図12(c)に示すように、液封入式防振装置110の全長(図12(b)矢印UD方向寸法)が規制枠長H2以下の寸法まで縮められた状態で液封入式防振装置110及びエンジン側ブラケット130が車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に搬送されて、第1取付治具G1及び第2取付治具G2と第3取付治具G3とが互いの間隔を広げる方向(図12(b)矢印UD外方向)へ変位される。そして、第1取付け金具1が上面122aに当接し、ゴムストッパ部材140のストッパリバウンド側ゴム部142が当接面124a1に当接される。即ち、配置工程では、液封入式防振装置110が車体側ブラケット120の枠(上面部124及び底面部122)によって位置を規制される。
配置工程では、車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に液封入式防振装置110が配置されると、底面部122のボルト貫通孔122cと第1取付け金具1のボルト締結孔11との位置が合わせられる。
この配置工程により、底面部122のボルト貫通孔122cと第1取付け金具1のボルト締結孔11との位置が合わせられると、次いで、締結工程が実施される。この締結工程では、底面部122の貫通孔にボルトB3(図5参照)が挿通されると共に、そのボルトB3(図5参照)が第1取付け金具1のボルト締結孔11に螺合(本締め)され、第1取付け金具1が車体側ブラケット120の底面部122に締結固定される。
締結工程により、第1取付け金具1が底面部122に締結固定されると、次いで、抜取工程が行われる。その抜取工程では、車体側ブラケット120(底面部122)に締結固定された第1取付け金具1から第3取付治具G3が液封入式防振装置110から離間する方向(図12(c)矢印R方向)に抜き取られる。固定解除工程では第3取付治具G3が第1取付け金具1から抜き取られた後に、エンジン側ブラケット130を固定していた第1取付治具G1及び第2取付治具G2が互いに離間する方向(図12(c)矢印UD方向)に移動してエンジン側ブラケット130の固定が解除される。以上により、液封入式防振装置ユニット100の組み立てが完了する。
上述したように、液封入式防振装置110の自由長H1は、上面部124(当接面124a1)と底面部122(上面122a1)の間隔寸法である規制枠長H2より長く設定されているので、防振基体3に予圧縮を付与した状態が維持される。
即ち、液封入式防振装置110が車体側ブラケット120の枠内(当接面124a1と上面122a1との間)を変位する場合においては、防振基体3は常に予圧縮が付与された状態となる。よって、引っ張り力を極力抑えて防振基体3を変形させることができるので、防振基体3の劣化を抑制して液封入式防振装置ユニット100の耐久性の向上を図ることができる。
例えば、車体側ブラケット120をボルトで締結可能な上下2分割の構成(底面部122と上面部124とを別体とする構成)とした場合には、液封入式防振装置110を底面部122と上面部124との間に挟んで、底面部122と上面部124とを締結することで液封入式防振装置110を組み付けることができる。
しかしながら、締結のための部材(ボルト等)や加工(ボルト孔等)が必要となり、部品数が増加すると共に組み立ての手間が増加して、液封入式防振装置ユニット100の製品コストが嵩む。
ここで、第1実施の形態では、車体側ブラケット120を一体構造として構成したので、締結のための部材(ボルト等)や加工(ボルト孔等)を不要とし、部品数の増加と組み立ての手間の増加とを削減することができる。よって、部品コストの低減効果と組み立てコストの低減効果とを得ることができ、その結果、液封入式防振装置ユニット100の製品コストの削減を図ることができる。
第1実施の形態によれば、車体フレームBF側に連結される車体側ブラケット120が、液封入式防振装置110の第1取付け金具1が締結固定される底面部122と、その底面部122から立設され液封入式防振装置110を挟んで対向する一対の側壁部123と、それら一対の側壁部123を互いに連結すると共に底面部122と液封入式防振装置110を挟んで対向する上面部124とを有しているので、ゴムストッパ部材140を車体側ブラケット120の側壁部123の当接面123a1へ当接させることで、エンジンEGのロール方向への変位を規制すると共に、ゴムストッパ部材140を車体側ブラケット120の上面部124または底面部122へ当接させることで、エンジンEGのバウンド方向またはリバウンド方向への変位を規制できる液封入式防振装置ユニット100を製造することができる。
この場合、第1実施の形態によれば、底面部122と一対の側壁部123と上面部124とが一体に構成された車体側ブラケット120により液封入式防振装置ユニット100を製造することができるので、液封入式防振装置ユニット100の部品点数を少なくして、部品コストの削減を図ることができると共に、組み立て工数を少なくして、組み立てコストの削減を図ることができ、その結果、製品コストの削減を図ることができる。
即ち、従来の製造方法では、液封入式防振装置ユニット100のストッパ作用を発揮するための構造(第1実施の形態の車体側ブラケット120に相当)が2部材からなる分割構造であったため、部品点数の増加に伴って部品コストの増加だけでなく、2部品の組み立てが必要となることに伴う組み立てコストの増加を招き、その結果、製品コストが嵩む。
これに対し、第1実施の形態では、液封入式防振装置ユニット100のストッパ作用を発揮するための構造(即ち、車体側ブラケット120)が1部材からなる一体構造であり、その構造を簡素化することができるので、部品点数の削減による部品コストの低減効果だけでなく、2部品の組み立てを省略して組み立て工数を削減できることによる組み立てコストの低減効果を得ることができ、その結果、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、従来品の分割構造において、液封入式防振装置110の防振基体3に予圧縮を付与する場合には、2部材の間に液封入式防振装置110を配置した後、これら2部材を締結固定し、対向間隔を狭めることで、2部材の間に液封入式防振装置110を挟み込んで、比較的容易に予圧縮を付与することができる。一方で、第1実施の形態により製造する液封入式防振装置ユニット100のように、ストッパ作用を発揮するための構造(車体側ブラケット120)が一体に構成される場合には、製品コストの削減を図ることができる反面、防振基体3へ予圧縮を付与することが困難である。
これに対し、第1実施の形態によれば、車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間の規制枠長H2が、液封入式防振装置110の第1取付け金具1の締結座面14から取付部132の上端面までの全高よりも小さくされ、嵌入工程において、液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に嵌入し、締結工程において、第1取付け金具1を底面部122に締結固定することで、液封入式防振装置110の防振基体3に予圧縮を付与する構成であるところ、液封入式防振装置110の第1取付け金具1が、車体側ブラケット120の底面部122に締結固定される際に底面部122に当接される締結座面14と、締結座面14よりも第2取付け金具2側に後退し車体側ブラケット120の底面部122に対向して形成される平坦面状の挟持面13とを備えると共に、エンジン側ブラケット130は、取付部132と、取付部132に貫通形成される各貫通孔131a,131b,131cと、各貫通孔131a,131b,131cのボルトB2(図1参照)が挿入される側の開口部の周囲にそれぞれ形成される平坦面状の座面134a,134b,134cと、各貫通孔131a,131b,131cのエンジンEG側の開口部の周囲に形成される平坦面状の取付面135a,135b,135cとを備える構成であるので、嵌入工程において車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に液封入式防振装置110を嵌入する際の作業性を向上させることができる。
即ち、第1実施の形態によれば、支持工程により、車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に第3取付治具G3を挿通し、液封入式防振装置110の第1取付け金具1の挟持面13を第3取付治具G3により支持すると共に、エンジン側ブラケット130の座面134a,134b,134cを、棒状の支持ピンをそれぞれ各貫通孔131a,131b,131cに挿入しつつ第1取付治具G1により支持し、エンジン側ブラケット130の取付面135a,135b,135cを、棒状の支持ピンをそれぞれ各貫通孔131a,131b,131cに挿入しつつ第2取付治具G2により支持する。
次いで、圧縮工程により、挟持面13を支持する第3取付治具G3と、取付面135a,135b,135cを支持する第2取付治具G2及び座面134a,134b,134cを支持する第1取付治具G1を互いに近接する方向(図12(b)矢印UD方向)へ相対移動させることで液封入式防振装置110の全高を縮めた後、その圧縮工程により全高が縮められた液封入式防振装置110に対して車体側ブラケット120を、配置工程により、相対移動させて液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に配置することができるので、液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に容易に嵌入することができ、防振基体3に予圧縮を付与する際の作業性の向上を図ることができる。
更に、配置工程においては、液封入式防振装置110の全高を縮めた状態で、液封入式防振装置110と車体側ブラケット120と相対移動させる構成であるので、液封入式防振装置110の第1取付け金具1を車体側ブラケット120の底面部122に対して容易かつ高精度に位置合わせすることができる。その結果、締結工程において、例えば、底面部122に対して第1取付け金具1の位置調整を再度行うことなくボルトB3(図5参照)をスムーズに螺合させることができ、第1取付け金具1を底面部122に締結固定する締結工程を効率良く行うことができる。
ここで、第1実施の形態によれば、エンジン側ブラケット130の取付部132が一側支持面と他側支持面との互いに対向する2面を備える構成であるので、これら座面134a,134b,134cと他側支持面と、取付面135a,135b,135cとの両面を第1取付治具G1と第2取付治具G2とにより挟み込むことで、支持工程において、エンジン側ブラケット130を強固に保持することができる。
よって、第1取付け金具1の挟持面13を支持する第1取付治具G1と、座面134a,134b,134cを支持する第1取付治具G1及び取付面135a,135b,135cを支持する第2取付治具G2とを互いに近接する方向(図12(b)矢印UD方向)へ相対移動させて液封入式防振装置110の全高を低くする圧縮工程を安定して行うことができ、その結果、防振基体3に予圧縮を付与する際の作業性の向上を図ることができる。
また、上述したように、第1実施の形態によれば、エンジン側ブラケット130の取付部132が座面134a,134b,134cと、取付面135a,135b,135cとに対応する位置に貫通形成される各貫通孔131a,131b,131cを備える構成であるので、かかる各貫通孔131a,131b,131cに棒状の支持ピンを挿通させることで、圧縮工程において、エンジン側ブラケット130の倒れを抑制することができる。
よって、この構成によっても、第1取付け金具1の挟持面13を支持する第3取付治具G3と、座面134a,134b,134cを支持する第1取付治具G1及び取付面135a,135b,135cを支持する第2取付治具G2とを互いに近接する方向(図12(b)矢印UD方向)へ相対移動させて液封入式防振装置110の全高を低くする圧縮工程を安定して行うことができ、その結果、防振基体3に予圧縮を付与する際の作業性の向上を図ることができる。
更に、第1実施の形態によれば、エンジン側ブラケット130の取付面135a,135b,135cをエンジンEG側に当接させると共に、座面134a,134b,134cを各貫通孔131a,131b,131cに挿通されたボルトB2(図1参照)の座面とすることで、エンジン側ブラケット130をエンジンEG側に締結固定する構成である。
即ち、これら座面134a,134b,134c、取付面135a,135b,135cおよび各貫通孔131a,131b,131cを、エンジン側ブラケット130をエンジンEG側に締結固定するために使用する部位としてだけでなく、液封入式防振装置110の全高を低くするために使用する部位としても兼用する構成であるので、その分、平坦面や貫通孔を別途設けるための加工を不要として、工程数を削減することができるので、加工コストを削減して、その分、製品の製造コストの削減を図ることができる。
また、このように、平坦面や貫通孔を別途設ける加工を不要とすることができれば、その分、エンジン側ブラケット130を小型化することができるので、軽量な液封入式防振装置ユニット100を製造することができる。同時に、貫通孔の形成点数を少なくすることができれば、その分、エンジン側ブラケット130の剛性強度の低下を抑制することができるので、耐久性の優れた液封入式防振装置ユニット100を製造することができる。
なお、第1実施の形態によれば、第1取付け金具1に形成される挟持面13は、締結座面14よりも第2取付け金具2側に後退して形成されているので、車体側ブラケット120の剛性強度を確保して、耐久性の優れた液封入式防振装置ユニット100を製造することができる。
即ち、例えば、挟持面13と締結座面14とが第1取付け金具1の同一面上に形成されていると、支持工程において、受け面を支える第1支持部材を挿通させるためのスペースを確保するべく、車体側ブラケットの底面部の一部を後退させる(窪ませる)必要が生じ、その形状変化に伴い、車体側ブラケット120の剛性強度が低下して、耐久性の低下を招く。
特に、車体側ブラケット120は、ストッパ作用時の荷重入力を受ける部位であり、底面部122はロール方向の荷重入力だけでなく、リバウンド方向への荷重入力時に曲げ方向の荷重が作用する部位であるため、底面部122の形状変化は耐久性に大きな影響を与える。そのため、第1実施の形態のように、第1取付け金具1の挟持面13が締結座面14よりも後退する構成として、底面部122の形状変化を小さくすることで、車体側ブラケット120の耐久性を確保して、耐久性の優れた液封入式防振装置ユニット100を効率的に製造することができる。
また、第1実施の形態では、嵌入工程の配置工程により車体側ブラケット120の底面部122および上面部124の間に配置された液封入式防振装置110の第1取付け金具1から第3取付治具G3を抜き取る抜取工程を備え、その抜取工程を、液封入式防振装置110の第1取付け金具1を底面部122にボルトB3(図5参照)により締結固定(本締め)する締結工程の後に行う構成であるので、液封入式防振装置110の第1取付け金具1と車体側ブラケット120の底面部122とを締結する締結工程を高効率かつ高精度に行うことができる。
例えば、抜取工程を締結工程の前に行ってしまうと、エンジン側ブラケット130が第1取付治具G1及び第2取付治具G2により保持されているので、第3取付治具G3の抜き取り動作に伴って、その抜き取り方向へ第1取付け金具1も引きずられて移動して、第1取付け金具1が抜き取り方向へずれた状態(第1取付け金具1の移動に伴って防振基体3が変形した状態)で、第1取付け金具1が底面部122へ着座すると共に、予圧縮を付与されている防振基体3の弾性回復力により第1取付け金具1は位置ずれした状態で底面部122に押圧され、その位置に保持される。
そのため、底面部122のボルト貫通孔122cに挿通したボルトB3(図5参照)を第1取付け金具1のボルト締結孔11に螺合させることが困難となり、底面部122に対する第1取付け金具1の位置調整が必要になるという不具合がある。また、第1取付け金具1が位置ずれしたままの状態でボルトB3を締結した場合には、ボルトB3や第1取付け金具1のボルト締結孔11におけるねじ山の破損を招く。更に、第1取付け金具1が位置ずれした状態のまま底面部122に締結固定されると、防振基体3が変形した状態(第1取付け金具1の位置ずれに伴って傾いた状態)にあるので、車両装着後の使用時に変形が一部に偏ることで、防振基体3の耐久性が低下するという不具合を招く。
これに対し、第1実施の形態によれば、上述したように、抜取工程を行う前に、締結工程を行う構成であるので、締結工程により本締めされたボルトB3(図5参照)の効果により、抜取工程において第3取付治具G3を抜き取る際に第1取付け金具1が底面部122に対して位置ずれすることを抑制することができる。その結果、底面部122に挿通したボルトB3を第1取付け金具1のボルト締結孔11に螺合させるために底面部122に対する第1取付け金具1の位置調整を行うという作業を不要として、作業効率の向上を図ることができる。また、第1取付け金具1が位置ずれしたままの状態でボルトB3(図5参照)を締結してボルトB3や第1取付け金具1のボルト締結孔11におけるねじ山が破損するという不具合を未然に防止して、締結強度を確保することができる。更に、第1取付け金具1を底面部122に対して適正な位置で締結固定することができれば、防振基体3の変形(第1取付け金具1の位置ずれに伴って傾いた状態となること)を抑制することができるので、車両装着後の使用時に変形が一部に偏ることを回避して、耐久性の向上を図ることができる。
次いで、図13及び図14を参照して、第2実施の形態について説明する。図13は、第2実施の形態における液封入式防振装置ユニット200の正面図であり、図14は、第2実施の形態における液封入式防振装置ユニット200の側面図である。
第1実施の形態では、補助ブラケット150は、第1長孔151に挿入されるボルトBによってのみ固定される構成としたが、第2実施の形態では、位置決めリブ255を備えて構成されている。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号付して、その説明は省略する。
図13及び図14に示すように、第2実施の形態の液封入式防振装置ユニット200は、車体側ブラケット220を備え、その車体側ブラケット220は、位置決めリブ255を備えている。
位置決めリブ255は、補助ブラケット150が取着される補強リブ部125から突設されており、正面視(図13紙面垂直方向視)および側面視(図14紙面垂直方向視)矩形状に構成されている。
また、車体側ブラケット220は、アルミニウム合金などから鋳造にて形成され、補強リブ部125と位置決めリブ255とは一体に形成されている。
その位置決めリブ255の上側(図13矢印U側)の面である上面255a1は、車体側ブラケット220の車体フレームBFへの取付面220bと平行とされる平坦面であり、取付面220bを基準面として、取付面220bから所定の距離であって取付面220bと平行となるように切削にて形成される。また、上面255a1は、フレーム側板状部150bの下側(図14矢印D側)まで延設されており、フレーム側板状部150bの下面が当接する。
ここで、フレーム側板状部150bが車体フレームBFに締結され、ブラケット側板状部150aが車体フレームBFに締結される車体側ブラケット120に締結されるので、ブラケット側板状部150aの車体側ブラケット120への取り付け精度が悪いと、フレーム側板状部150bが車体フレームBFに締結された場合に、ブラケット側板状部150aに対するフレーム側板状部150bの位置が変化して、補助ブラケット150が歪んでしまうという不具合が発生する。
そのため、前述したように、寸法調整治具J3(図7(c)参照)を使用して、車体側ブラケット120への補助ブラケット150の取り付け高さ(図7(c)矢印UD方向寸法値)を調整する必要があった。
ここで、第2実施の形態では、取付面220bを基準面として、位置決めリブ255の上面255a1が取付面220bから所定の距離に取付面220bと平行となるように切削にて形成されているので、補助ブラケット150のブラケット側板状部150aが補強リブ部125に取り付けられる際に、補助ブラケット150のフレーム側板状部150bの下面を上面255a1に当接させることで、補助ブラケット150の高さ方向の位置決めを精度よく行うことができる。
即ち、位置決めリブ255の上面255a1は、車体側ブラケット120の底面122bを基準に加工されており、その底面122bは車体フレームBFに取り付けられる。そのため、車体側ブラケット120が車体フレームBFに取り付けられた場合に、車体フレームBFから位置決めリブ255の上面255a1までの距離の精度を位置決めリブ255の上面255a1から車体側ブラケット120の底面122bまでの距離の精度と同等な精度とすることができる。
よって、補助ブラケット150の車体側ブラケット120に対する取り付け位置の精度を確保することで、車体フレームBFに対する取り付け位置の精度を確保することができる。その結果、補助ブラケット150が車体フレームBFと車体側ブラケット120とに締結されることで発生していたひずみを低減して、補助ブラケット150の耐久性を向上させることができる。
また、位置決めリブ255の上面255a1に補助ブラケット150のフレーム側板状部150bを当接させることで補助ブラケット150の位置決めとすることができるので、寸法調整治具J3を使用して補助ブラケット150の車体側ブラケット120に対する取付位置を調整する場合に比べて、補助ブラケット150の位置決めの手間を省略することができる。その結果、車体側ブラケット220の製造コストを削減して、液封入式防振装置ユニット200の製品コストの削減を図ることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、一対の位置決め面12が平行に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第3取付治具G3の先端部に向かうほど、位置決め面12が互いに近接するように配設しても良い。
この場合、一対の位置決め面12の間隔が第3取付治具G3に向かって先細りとなるので、U字状に構成された第3取付治具G3の先端部を挿入しやすくすることができる。
また、上記各実施の形態では、第1取付け金具1が一対の平坦面である挟持面13をボルト締結孔11の両側に備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1取付け金具1のボルト締結孔11を囲むように配設される円環状に構成された平坦面としても良い。
この場合、第1取付け金具1の全周に連続した切り欠き形状が形成されることとなるので、第1取付け金具1の軽量化を図ることができる。
上記各実施の形態では、ボルト貫通孔122cに挿通されたボルトB3をボルト締結孔11に螺合して第1取付け金具1を車体側ブラケット120に固定する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、埋め込みボルトをボルト締結孔11に埋め込んで、埋め込みボルトがボルト貫通孔122cに挿通された状態でナットを螺合して第1取付け金具1と車体側ブラケット120とを固定しても良い。
この場合、埋め込みボルトがボルト貫通孔122cから突出されるので、埋め込みボルトのねじ山を目視して、ナットを螺合させることができる。よって、液封入式防振装置ユニット100の組み立ての手間を低減して、液封入式防振装置ユニット100の製品コストを削減することができる。
また、この場合、埋め込みボルトが第1取付け金具1の挟持面13から突設されるので、液封入式防振装置110の全長が長くなる。よって、車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に液封入式防振装置110を配設するために、埋め込みボルトの突設長さ分、液封入式防振装置110の圧縮量を多くする必要が生じる。この場合、圧縮量が多い分、液封入式防振装置ユニット100の組み立ての手間がかかる。
ここで、例えば、底面部122のボルト貫通孔122cの内側面であって、液封入式防振装置110の挿入方向側の内側面を切り欠いた形状とした場合には、その切り欠かれた部位から埋め込みボルトを挿入することができるので、埋め込みボルトの突設長さ分は、液封入式防振装置110の圧縮量が低減される。
よって、埋め込みボルトが第1取付け金具1に埋め込まれた状態であっても、埋め込みボルトの突設長さ分の圧縮量を低減して、車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に液封入式防振装置110を配設することができる。
その結果、液封入式防振装置110を車体側ブラケット120の底面部122と上面部124との間に配設した後にボルトB3を第1取付け金具1のボルト締結孔11に螺合させる場合と比較して、同等の圧縮量とすると共に埋め込みボルトを使用するのでナットを目視して螺合することができる。その結果、液封入式防振装置ユニット100の組み立ての手間を低減して、液封入式防振装置ユニット100の製品コストを削減することができる。
第2実施の形態では、1個の位置決めリブ255が正面視(図13紙面垂直方向視)矩形状に構成され、矩形形状の上側の面である上面255a1が補助ブラケット150の取り付け高さと同一の高さに形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2個の位置決めリブ255を備え、それら2個の位置決めリブの最上部を結んだ仮想線が補助ブラケット150の取り付け高さと平行かつ同一の高さとなるように形成しても良い。
例えば、補助ブラケット150のボルトBを中心とする周方向の取り付け精度を確保するために、フレーム側板状部150bと位置決めリブ255との当接長さを長くした場合には、位置決めリブ255の長さを長くした分、位置決めリブ255を形成するアルミニユウム合金が必要となり、車体側ブラケット120の重量が嵩むという不具合が発生する。
ここで、位置決めリブ255を2個備え、ボルトBの軸心に直交する仮想平面上において、互いに距離を保って配設することで、補助ブラケット150のボルトBを中心とする周方向の取り付け精度を確保することができる。よって、補助ブラケット150の位置決めの手間を省略して、車体側ブラケット120の製造コストを削減することができる。その結果、液封入式防振装置ユニット100の製品コストを削減することができる。
また、互いに距離を保って配設される2個の位置決めリブ255を備えると、2個の間には空間のみが形成されるので、2個の位置決めリブ255の間にアルミニュウム合金を必要とせず、車体側ブラケット120の重量の増加を最小限に抑えることができる。その結果、車体側ブラケット120の軽量化を図ることができるので、車体側ブラケット120の共振周波数を高周波側に変化させて、液封入式防振装置ユニット100の振動の発生や、こもり音の発生などを抑制することができる。