JP2015081377A - ニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法を含むニッケル粉の製造方法及びそれを用いたニッケル粉 - Google Patents

ニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法を含むニッケル粉の製造方法及びそれを用いたニッケル粉 Download PDF

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正弘 大麻
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Abstract

【課題】 環境負荷が小さく、安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂と混練した状態で電気抵抗が低く、初期電気抵抗および使用中の電気抵抗を低減し、長期間にわたり安定して使用でき、導電ペーストおよび導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉、およびその製造方法を提供する。【解決手段】 ニッケル粒子を水と混合してスラリーとする工程1と、そのスラリーに還元剤を添加する工程2と、還元剤を添加されたスラリーに、2価のコバルト塩を含む水溶液を添加して、スラリー中のニッケル粒子の表面にコバルトを含む被覆層を形成する工程3を含むニッケル粒子表面へのコバルト含有層の被覆方法と、その被覆方法を含むニッケル粉の製造方法と、そのニッケル粉の製造方法によって得られるニッケル粉。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電ペースト用および導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉およびその製造方法に関する。
従来、電子機器の接続にはSn−Pb系はんだが用いられていたが、近年ではPbフリー化に対応して導電ペーストの使用が検討されている。また、近年においては、導電樹脂を利用したデバイスが広く用いられるようになってきている。
これらの用途に使用される導電ペーストは、導電性粒子と各種の樹脂を混練したものであり、また導電樹脂は該導電ペーストを硬化させた成形体である。
導電性粒子に求められる特性としては、粒子そのものの導電性が高く、前記各種の樹脂と混練して得たペーストやこれを硬化した成形体の電気抵抗が低いこと、耐マイグレーション性が高いこと、耐候性に優れること等が挙げられる。
現在、導電性粒子としては、金属粉もしくはカーボン粉が用いられている。しかし、金属粉のうち、貴金属粉は導電性が高く、電気抵抗が低いが、高価であるという問題がある。また、ニッケルあるいは銅などに代表される卑金属粉は、コスト的に安価であり、かつ高い導電性を有しているが、耐候性に劣るため、導電ペーストや導電樹脂として長期にわたり使用すると、電気抵抗が上昇するという問題がある。一方、カーボン粉は、安価であり、かつ耐候性も高いが、導電性が低く、カーボン粉を用いた導電ペーストや導電樹脂の電気抵抗が高くなるという問題がある。
これらの問題点を解決する方法として、ニッケル粒子や銅粒子の表面にAg等の貴金属を被覆した粉末が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの粉末は、貴金属でニッケル粒子や銅粒子を被覆することで特性的な面は改善されるが、コスト的に高価となる。特に、Ag被覆した粉末では、導電ペーストや導電樹脂に耐マイグレーション性が求められる使用環境下での使用には適さない。
また、ニッケル粒子等の表面形状を変更すること、たとえば表面に半球状の小瘤を形成することにより、導電ペーストや導電樹脂の電気抵抗を下げる試みもなされている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、導電粒子の耐侯性が劣る点は改良されていないため、長期間使用での安定性に不安を抱えている。
さらに、ニッケル粉は表面にコバルトを含有させることで耐候性を改善して長期間使用での安定性を改善したニッケル粉が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、このニッケル粉は、湿式還元でニッケル粉を製造するため高コストになるという問題点があるばかりか、廃水が多く環境負荷が大きいという問題点もある。
このような事情から、環境負荷が小さく、安価で、かつ耐侯性に優れ、導電ペーストや導電樹脂にした状態で電気抵抗が低く、長期間にわたり安定して使用できる導電性粒子の提供が望まれている。
特開2002−025345号公報 特開2002−075057号公報 特開2001−043734号公報 特表平7−507655号公報 特開2005−240164号公報
本発明は、上記従来の事情に鑑み、環境負荷が小さく、安価なそのニッケル粉の製造方法と、その製造方法によって得られる耐侯性に優れ、導電ペーストや導電樹脂にした状態で電気抵抗が低く、特に初期の電気抵抗を低減し、かつ、使用中の電気抵抗の上昇を抑制し、長期間の使用でも安定して使用できるニッケル粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、導電性粒子として好適なニッケル粉について研究を進めた結果、ニッケル粒子を含むスラリーにコバルト塩を加えて還元することにより、ニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法と、その被覆方法を採用したニッケル粉の製造方法を見出し、その結果、製造時の廃水量を削減でき、且つ樹脂と混練した状態での電気抵抗とその安定性を改善できるニッケル粉が得られるとの知見を得て、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明のニッケル粉は、ニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法を含むニッケル粉の製造方法により得られるニッケル粒子表面にコバルトを含有するニッケル合金を被覆層として有するニッケル粒子からなるものである。
本発明の第1の発明は、ニッケル粒子を水と混合してスラリーとする工程1と、そのスラリーに還元剤を添加する工程2と、還元剤を添加されたスラリーに2価のコバルト塩を含む水溶液を添加して、そのスラリー中のニッケル粒子の表面にコバルトを含む被覆層を形成する工程3からなることを特徴とするニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明におけるニッケル粒子が、球状あるいは板状、もしくはそれらの凝集体、またはフィラー状のニッケル粒子であることを特徴とするニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における工程3において、2価のコバルト塩を含む水溶液が2価のコバルト塩と2価のニッケル塩の混合水溶液で、その水溶液中のコバルト含有量が、水溶液中のニッケルとコバルトの合計に対して5〜60質量%であることを特徴とするニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明におけるニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第4の発明のニッケル粉の製造方法によって得られたニッケル粉であって、コバルト含有ニッケル層の被覆層を備えるニッケル粒子からなり、そのニッケル粒子が球状、板状、もしくはそれらの凝集体、またはフィラー状のニッケル粒子であることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第6の発明は、第5の発明おけるコバルト含有ニッケル層の被覆層が、コバルトを含有するニッケル合金であり、コバルト含有量が5〜60質量%であることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第7の発明は、第5及び第6の発明におけるニッケル粉中のコバルト含有量が1〜40質量%であることを特徴とするニッケル粉である。
本発明の第8の発明は、第5〜第7の発明におけるレーザー流動分布測定による平均二次粒子径(D50)が8〜30μmであり、タップ密度が1.0〜2.5g/mlであることを特徴とするニッケル粉である。
本発明によれば、環境負荷が小さく、安価な製造方法を用いて、樹脂と混練して得た導電ペーストや導電樹脂は、電気抵抗が著しく低く、かつ使用初期から、使用中までの上昇を抑制でき、かつ優れた耐侯性を有し、長期間安定して使用できるニッケル粉が得られる。
したがって、本発明の製造方法によって得られるニッケル粉は、導電ペーストおよび導電樹脂用の導電性粒子として極めて好適であり、工業的価値が極めて大きい。
本発明が提供するニッケル粒子表面のコバルト含有ニッケル層の被覆方法は、ニッケル粒子を水と混合してスラリーとする工程1と、そのスラリーに還元剤を添加する工程2と、さらに2価のコバルト塩を含む水溶液を添加して、スラリー中のニッケル粒子の表面にコバルトを含有した被覆層を形成する工程3からなることを特徴とするものである。以下、工程毎に詳細に説明する。
[工程1]
工程1は、被覆層が形成されるニッケル粒子(以下、「原料粒子」という)を水と混合してスラリーとする工程である。
ここで、原料粒子は、樹脂と混合したときに低い電気抵抗を示すものがよく、球状あるいは板状もしくは凝集粉、またはフィラー状であることが好ましく、特に、フィラー状であることがより好ましい。凝集粉、またはフィラー状の原料粒子は、樹脂と混合した場合、ニッケル粒子同士の接点が多くなり低電気抵抗が得られる。特に、フィラー状原料粒子は、0.1〜2μmの一次粒子が繊維状に連結したものであると、粒子同士が絡み合ってさらに接点が多くなるため、好ましい。
さらに、被覆層形成後のニッケル粒子は、ほぼ原料粒子の平均二次粒子径を維持するため、原料粒子のレーザー粒度分布測定による平均二次粒子径(D50)が8〜30μmであることが好ましい。これにより、得られるニッケル粉の粉体特性を導電性粒子として適した範囲とすることができる。
粒子のタップ密度の被覆層形成前後における変化量は、平均二次粒子径の変化量より大きくなる傾向にあるが、タップ密度が1.0〜2.5g/mlであることが好ましい。なお、後工程で原料粒子表面に形成する被覆層の量によっては粉体特性が変化することがあるが、このような場合には、被覆層の量を考慮して、原料粒子を選定すればよい。
また、原料粒子は、純ニッケル粉に限定されず、耐候性あるいは耐熱性を改善するために添加元素を加えたニッケル合金を用いることができる。
ニッケル合金からなる原料粒子を用いることで、目的にあった特性をさらに付与することが可能であるが、導電性を維持するため、原料粒子中の添加元素の含有量は、20質量%以下とすることが好ましい。
原料粒子は、湿式還元法や乾式還元法など多種の製造方法で得られたものが用いられるが、廃水量を低減する観点から、水素還元法やカーボニル法などの乾式還元法で得られたものを用いることが好ましい。
工程1においてスラリーを得る際のスラリー濃度は、原料ニッケル粒子が沈殿しない程度に撹拌可能であればよいが、水に対し添加する原料粒子が10〜200g/Lになるようにすることが好ましく、さらに40〜80g/Lであることがより好ましく、高い生産性と均一な撹拌を両立させることができる。
スラリー濃度が低くなり過ぎるといと生産性が悪く、高くなり過ぎるとすぎると撹拌が困難で均一に撹拌できないことがある。
また、スラリーを得る際に用いる水は、不純物の混入を防止するために純水を使用することが好ましい。
[工程2]
工程2は、スラリーに還元剤を添加する工程である。
用いる還元剤は、後工程で添加される2価のコバルト塩を含む水溶液を還元するものであるが、先に添加することで、スラリー中の原料粒子表面を清浄化する作用があり、原料粒子表面に形成された被覆層の密着性を向上させる効果も得られる。
還元剤の種類は、通常の湿式の金属粉製造に用いられるものでよいが、不純物の混入が少ないヒドラジン系の還元剤が好ましく、特に水和ヒドラジンが好ましい。
還元剤の添加量は、還元に必要な理論量より多くすることが好ましく、理論量の1.2〜2倍を添加することがより好ましい。
工程2では、前記スラリーに錯化剤とpH調整剤をさらに添加することが好ましい。
pH調整剤を用いてpHを調整することにより、還元剤を最良の状態で作用させることが可能になる。例えば、還元剤としてヒドラジン系還元剤を用いる場合には、pHを10〜12程度に調整することが好ましい。
そのpH調整剤には、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することができるが、水酸化ナトリウムは、吸着しても洗浄により容易に除去することができるため、好ましい。
錯化剤の添加は、その存在により原料粒子表面に形成される被覆層を均一なものとすることができ、導電性や耐候性を向上させる効果が得られる。
錯化剤は、特に限定されるものではないが、酒石酸などの多価カルボン酸やエチレンジアミンを添加することが好ましい。これらの錯化剤は、ニッケルへの吸着力が弱いため、吸着しても洗浄により容易に除去することができる。
[工程3]
工程3は、2価のコバルト塩を含む水溶液(以下、「被覆水溶液」という)を添加して、スラリー中のニッケル粒子の表面にコバルトを含有した被覆層を形成する工程である。
これにより、原料粒子表面にコバルトを含む被覆層を形成することができる。
この被覆水溶液は、2価のコバルト塩とニッケル塩の混合水溶液であることが好ましく、混合水溶液中のコバルト量は、ニッケルとコバルトの合計に対して5〜60質量%とすることがより好ましい。このような混合水溶液により被覆層を形成することで、被覆層と原料粒子の密着性を向上させるとともに、被覆層の厚みの均一性を向上させることができる。
添加する被覆水溶液の量は、原料粒子のコバルト含有量を考慮して、最終的に得られるニッケル粉全体のコバルト含有量が1〜40質量%、好ましくは1〜20質量%となるように調整すればよい。
2価のコバルト塩は容易に還元されるため、残留物を低減して容易に被覆層を形成することが可能である。
用いる2価のコバルト塩としては、特に、残留不純物が少ない硫酸塩あるいは塩化物であることが好ましい。
被覆層を形成する際のスラリーの温度は、特に限定されないが、温度が低いと反応時間が長くなって生産効率が悪く、高すぎると還元剤であるヒドラジンが分解してしまうことがある。
したがって、工程3におけるスラリーの温度は、40〜80℃に保持することが好ましい。
被覆層の形成後は、スラリーを固液分離し、洗浄、乾燥して所定の被覆層を備えるニッケル粉を得る。
乾燥は、ニッケルの酸化を抑制するため、大気雰囲気中80〜100℃で行うか、あるいは真空雰囲気あるいは不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
本発明のニッケル粉の製造方法は、以上の被覆方法を含む製造方法であり、得られるニッケル粉は、コバルト含有ニッケル層の被覆層が形成されたニッケル粒子からなり、ニッケル粒子が、球状あるいは板状、もしくはそれらの凝集体、またはフィラー状のニッケル粒子であることを特徴とするものである。
被覆層のニッケル層にコバルトを添加含有することにより、ニッケル粉の耐候性が改善され、使用中の表面電気抵抗値の上昇を抑制することができる。それは、コバルト(Co)はニッケル(Ni)より電位が僅かに卑であることから、コバルトが優先的に酸化すると考えられる。
コバルトの酸化生成物としては酸化物や水酸化物等があるが、これらはニッケル酸化物よりも導電性があり、使用中の表面電気抵抗値上昇を抑制すると考えられる。また、コバルトは、ニッケルよりも優先的に酸化することで、ニッケルの耐候性そのものが向上する効果もあると考えられる。
また、ニッケル粒子は、球状又は板状、もしくはそれらの凝集体、或いはフィラー状のニッケル粒子であり、樹脂と混合した場合、ニッケル粒子同士の接点が多くなり低電気抵抗が得られる。特に、ニッケル粒子同士の接点をより多くするためには、フィラー状粒子であることが好ましい。
本発明のニッケル粉は、被覆層がコバルトを含有するニッケル合金であり、その被覆層中のコバルト含有量が5〜60質量%であることが好ましい。
被覆層のコバルト含有量を多くすることで、耐候性をより向上させることが可能であるが、被覆層中のコバルト含有量が5〜60質量%とすることで、優れた導電性と耐候性を得ることができる。一方、コバルト含有量が60質量%を越えても改善の向上が少なく、コスト高となる。5質量%未満では改善の効果が十分に得られない場合がある。
また、ニッケル粉中のコバルトの含有量が1〜40質量%であることが好ましい。ニッケル粉中のコバルト含有量を1〜40質量%とすることで、優れた導電性と耐候性を得ることができる。一方、ニッケル粉中のコバルト含有量が1質量%未満では改善の効果が十分でない場合があり、40質量%を越えても改善の向上が少なく、コスト高となる。
さらに、ニッケル粉は、レーザー粒度分布測定による平均二次粒子径(D50)が8〜30μm、タップ密度が1.0〜2.5g/mlであることが好ましい。
これにより、樹脂と混練した際の導電性を、さらに高めることができる。ここで、平均二次粒子径(D50)は、レーザー粒度分布測定により累積体積が50%となる粒子径である。
レーザー粒度分布測定による二次粒子径は、一次粒子が凝集した二次粒子の粒径を示すもので、このレーザー粒度分布測定による平均二次粒子径(D50)を8〜30μmの範囲とすることで、樹脂との混練後にニッケル粉同士が接触する箇所が多くなり、得られる成形体の表面電気抵抗が著しく低下する。しかし、この平均二次粒子径(D50)が8μm未満では、凝集が少ないため絡み合う箇所が減少し、導電ペーストや導電樹脂の電気抵抗値が高くなることがある。また、平均二次粒子径(D50)が30μmを超えると、導電ペーストや導電樹脂中でのニッケル粉の分散が不均一となり、樹脂中の空孔の発生などにより導電ペーストや導電樹脂の電気抵抗値が高くなることがあり、好ましくない。
ニッケル粉のタップ密度は、樹脂中での分散度に影響する。そのタップ密度を1.0〜2.5g/mlの範囲とすることにより、導電ペーストや導電樹脂中にニッケル粉が均一に分散し、表面電気抵抗値をより低いものとすることができる。
しかしながら、タップ密度が2.5g/mlを超えると、導電ペーストや導電樹脂中でニッケル粉が偏在して、相互の接触が減少して電気抵抗値が高くなることがある。一方、1.0g/ml未満では、樹脂との混練が困難となり成形体が得られないことがある。
以下、実施例を用いて本発明をより説明する。
純水137リットルに、原料粒子として、導電ペースト及び導電樹脂用の導電性粒子として市販されている代表的なフィラー状ニッケル粉8000gを添加後、撹拌しながら55℃まで加温した。その後、水酸化ナトリウムおよび酒石酸を添加し、60質量%水加ヒドラジン12.8リットルを添加してスラリーを作製した。
このスラリーに、コバルトとニッケルの合計量に対して10質量%となるように混合した塩化コバルトと塩化ニッケルの混合水溶液を、ニッケルとコバルトの合計量で3kg加えて、還元反応により原料粒子表面にニッケルとコバルトの合金からなる被覆層を形成した。その後、ろ過および水洗した後、真空乾燥機にて150℃で乾燥して実施例1に係るニッケル粉(試料1)を作製した。
作製したニッケル粉(試料1)は、ニッケル粒子の被覆層にのみコバルトを含有しており、その粉体特性を、下記表1に示した。ただし、全体のコバルト含有量は分析値であるが、被覆層のコバルト含有量は、被覆層を形成した際の混合水溶液中のコバルト含有量から計算した値である。
また、表1中のD50は、レーザー粒度分布測定による平均二次粒子径を意味する。被覆層形成前後で、平均二次粒子径の変化は、絶対値で10%以内であり、変化しないといえる範囲であった。
次に、作製した試料1のニッケル粉2.4gを、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)3gと混練し、シート状に成形して硬化させた。これを幅12mmに切り出した後、電極間隔5mmで電気抵抗を測定したところ、初期シート抵抗値は5.8×10−2Ω/□であった。
さらに、耐侯性を評価するため、同じ試料1のニッケル粉を、85℃−85%RHに設定した恒温恒湿槽中に48時間保持する耐湿試験を行った後、試験後のニッケル粉2.4gを、熱硬化樹脂(フェノール樹脂)3gと混練し、シート状に成形、硬化させ、そのシート抵抗率を測定したところ、6.1×10−2Ω/□を示した。
これらの結果を、耐湿試験前後での抵抗値の上昇率と共に、表2にまとめて示した。
混合水溶液中のコバルト含有量が30質量%となるように混合した水溶液を、ニッケルとコバルトの合計量で3kg加えた以外は実施例1と同様の条件で、実施例2に係るニッケル粉(試料2)を作製し、その評価を実施例1と同様の条件で行った。
作製したニッケル粉(試料2)は、被覆層にのみコバルトを含有しており、その粉体特性を、表1に示した。
次に、このニッケル粉(試料2)を用いて、実施例1と同条件でシートの作製、及びシート抵抗率の測定を行った。
この試料2のニッケル粉から作製したシートの初期シート抵抗値は、5.3×10−2Ω/□で、実施例1と同様の耐湿試験後のシート抵抗値は5.4×10−2Ω/□であった。
これらの結果を表2にまとめて示した。
混合水溶液中のコバルト含有量が50質量%となるように混合した水溶液を、ニッケルとコバルトの合計量で3kg加えた以外は実施例1と同様の条件で、実施例3に係るニッケル粉(試料3)を作製し、その評価を実施例1と同様の条件で行った。
作製したニッケル粉(試料3)は、被覆層にのみコバルトを含有しており、その粉体特性を、表1に示した。
次に、このニッケル粉(試料3)を用いて、実施例1と同条件でシートの作製、及びシート抵抗率の測定を行った。
この試料3のニッケル粉を用いて作製したシートの初期シート抵抗値は、5.1×10−2Ω/□で、実施例1と同様の耐湿試験後のシート抵抗値は5.2×10−2Ω/□であった。
これらの結果を表2にまとめて示した。
(実施例4)
混合水溶液中のコバルト含有量が3質量%となるように混合した水溶液を、ニッケルとコバルトの合計量で3kg加えた以外は実施例1と同様の条件で、実施例4に係るニッケル粉(試料4)を作製し、その評価を実施例1と同様の条件で行った。
作製したニッケル粉(試料4)は、被覆層にニッケルを含有するもので、その粉体特性を表1に示した。
次に、このニッケル粉(試料4)を用いて、実施例1と同条件でシートの作製、及びシート抵抗率の測定を行った。
この試料4のニッケル粉を用いて作製したシートの初期シート抵抗値は、6.0×10−2Ω/□で、実施例1と同様の耐湿試験後のシート抵抗値は10.3×10−2Ω/□であった。
これらの結果を表2にまとめて示した。
(比較例1)
混合水溶液に替えて塩化ニッケル水溶液をニッケル量で3kg加えたこと以外は実施例1と同様の条件で、比較例1に係るニッケル粉(試料5)を作製し、その評価を実施例1と同様の条件で行った。
作製したニッケル粉(試料5)は、被覆層にコバルトを含有していない。その粉体特性を、表1に示した。
次に、このニッケル粉(試料5)を用いて、実施例1と同条件でシートの作製、及びシート抵抗率の測定を行った。
この試料5のニッケル粉を用いて作製したシートの初期シート抵抗値は、6.2×10−2Ω/□で、実施例1と同様の耐湿試験後のシート抵抗値は17.1×10−2Ω/□であった。
これらの結果を表2にまとめて示した。
(比較例2)
被覆層の無いニッケル粉として、実施例1で原料粒子として用いたフィラー状ニッケル粉(試料6)の粉体特性を表1に示した。
次に、このニッケル粉(試料6)を用いて、実施例1と同条件でシートの作製、及びシート抵抗率の測定を行った。
この試料6のニッケル粉を用いて作製したシートの初期抵抗は7.2×10−2Ω/□で、実施例1と同様の耐湿試験後のシート抵抗値は、測定器の測定限界である10Ω/□以上であった。
この結果についても表2に併せて示した。
Figure 2015081377
Figure 2015081377
実施例1〜3の試料1〜3は、耐湿試験による抵抗上昇率が1.1倍以内と低いことがわかる。
これに対して、被覆層にコバルトを含有しない比較例1の試料5では、抵抗値上昇率が2倍を超える値を示し、市販の代表的なフィラー状Ni粉をそのまま使用した比較例2(試料6)では、大幅な抵抗上昇が見られた。
また、被覆層中のコバル含有量が、好ましい範囲からは逸脱しているがコバルトを含むニッケル層の被覆層を備え、所定の平均二次粒子径(D50)及びタップ密度を示す実施例4の試料4では、試料1〜3程の特性を示さないが、抵抗値上昇率は1.72倍を示し、比較例の試料1よりは数段優れた特性を示している。
以上、本発明に係るニッケル粉は、樹脂と混練、硬化してシートを形成した場合に、低い電気抵抗が得られ、耐候性にも優れたものであることが確認された。
本発明は、導電ペースト用および導電樹脂用の導電性粒子として好適に用いられる。さらに電子機器アプリケーション用の部材として用いられた場合、高信頼性の電子機器が得られ工業的に有益である。

Claims (8)

  1. ニッケル粒子を水と混合してスラリーとする工程1と、
    前記スラリーに還元剤を添加する工程2と、
    前記還元剤を添加されたスラリーに、2価のコバルト塩を含む水溶液を添加して、前記スラリー中のニッケル粒子の表面にコバルトを含む被覆層を形成する工程3からなることを特徴とするニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法。
  2. 前記ニッケル粒子が、球状あるいは板状、もしくはそれらの凝集体、またはフィラー状のニッケル粒子であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法。
  3. 前記工程3における2価のコバルト塩を含む水溶液が、2価のコバルト塩と2価のニッケル塩の混合水溶液で、
    前記水溶液中のコバルト含有量が、前記水溶液中のニッケルとコバルトの合計に対して5〜60質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル粒子表面へのコバルト含有ニッケル層の被覆方法を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法。
  5. 請求項4に記載のニッケル粉の製造方法によって得られたニッケル粉であって、
    コバルト含有ニッケル層の被覆層を備えるニッケル粒子からなり、
    前記ニッケル粒子が、球状あるいは板状、もしくはそれらの凝集体、またはフィラー状のニッケル粒子であることを特徴とするニッケル粉。
  6. 前記コバルト含有ニッケル層の被覆層が、コバルトを含有するニッケル合金であり、コバルト含有量が5〜60質量%であることを特徴とする請求項5に記載のニッケル粉。
  7. コバルトの含有量が1〜40質量%であることを特徴とする請求項5または6に記載のニッケル粉。
  8. レーザー流動分布測定による平均二次粒子径(D50)が8〜30μmであり、タップ密度が1.0〜2.5g/mlであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のニッケル粉。
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