JP2015081288A - 光学用接着剤組成物、光学用接着シート及び光学製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学製品の部材間に生じる屈折率差を低減し、屈折率差を原因とする光学特性の悪化を抑制する光学用接着剤組成物、光学用接着シート及び光学製品を提供する。【解決手段】下記の一般式(1)で表されるモノマーの重合体を含有してなる光学用接着剤組成物。(式中、R1は炭素数1〜2のアルキレン基を示し、R2は水素又はメチル基を示す。また、式中、Ar1は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示し、Ar2は無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を示す。)【選択図】なし
Description
本発明は、光学用接着剤組成物、光学用接着シート及び光学製品に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、これらディスプレイに付属されるタッチパネル、ならびに有機EL照明やLED照明等の各種照明等の光学製品の進歩は目覚しく、これら光学製品に求められる光学特性は益々厳しくなっている。
光学特性を悪化させる原因としては、屈折率差を原因とする光の散乱が挙げられる。例えば、液晶ディスプレイにおいては、外からの衝撃が液晶パネルに直接伝わることによる液晶パネルの損傷を防止するために、液晶素子と、偏光板との間にエアギャップと呼ばれる空気層を意図的に設ける構成が主流となっているが、空気層と偏光板との屈折率差による散乱により光学特性が悪化する問題がある。
また、各種ディスプレイ及びタッチパネル等には、偏光フィルム、位相差フィルム、透明導電性フィルム等の光学シートが用いられているが、これら光学シートを積層した際に、各層の間に存在する僅かな空気層によっても同様の問題が引き起こされている。特に、透明導電性フィルムの代表例であるITOフィルムのような屈折率が高い材料と、空気層界面との間では屈折率差が大きく、上記問題が顕著に生じていた。
そこで、エアギャップ層に樹脂を充填して空気層をなくすことにより、光の散乱等による光学特性の悪化を抑制する試みがなされている(特許文献1)。
しかし、特許文献1のものは、充填用の樹脂として汎用の樹脂を検討しているのみであり、ITO等の高屈折率材料の層を原因とする光学特性の低下を抑制できるものではなかった。
本発明が解決しようとする課題は、光学製品の部材間に生じる屈折率差を低減し、屈折率差を原因とする光学特性の悪化を抑制する光学用接着剤組成物、光学用接着シート及び光学製品を提供することにある。
本発明の光学用接着剤組成物、光学用接着シート及び光学製品は以下の[1]〜[8]の通りである。
[1]下記の一般式(1)で表されるモノマーの重合体を含有してなる光学用接着剤組成物。
(式中、R1は炭素数1〜2のアルキレン基を示し、R2は水素又はメチル基を示す。また、式中、Ar1は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示し、Ar2は無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を示す。)
[2]前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーの単独重合体である上記[1]に記載の光学用接着剤組成物。
[3]前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーと、その他のモノマーとの共重体である上記[1]に記載の光学用接着剤組成物。
[4]前記共重合体の原料モノマー中における、前記一般式(1)で表されるモノマーと、前記その他のモノマーとの質量比が、99:1〜50:50である上記[3]に記載の光学用接着剤組成物。
[5]前記光学用接着剤組成物中に、前記重合体を50質量%以上含有してなる上記[1]〜[4]の何れかに記載の光学用接着剤組成物。
[6]透明基材の少なくとも一方の面に、上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学用接着シート。
[7]上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層の両側の面を剥離可能な基材で覆ってなる光学用接着シート。
[8]光学製品の少なくとも一部に、上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学製品。
[1]下記の一般式(1)で表されるモノマーの重合体を含有してなる光学用接着剤組成物。
[2]前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーの単独重合体である上記[1]に記載の光学用接着剤組成物。
[3]前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーと、その他のモノマーとの共重体である上記[1]に記載の光学用接着剤組成物。
[4]前記共重合体の原料モノマー中における、前記一般式(1)で表されるモノマーと、前記その他のモノマーとの質量比が、99:1〜50:50である上記[3]に記載の光学用接着剤組成物。
[5]前記光学用接着剤組成物中に、前記重合体を50質量%以上含有してなる上記[1]〜[4]の何れかに記載の光学用接着剤組成物。
[6]透明基材の少なくとも一方の面に、上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学用接着シート。
[7]上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層の両側の面を剥離可能な基材で覆ってなる光学用接着シート。
[8]光学製品の少なくとも一部に、上記[1]〜[5]の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学製品。
本発明の光学用接着剤組成物及び光学用接着シートは、光学製品の部材間に生じる屈折率差を低減し、屈折率差を原因とする光学特性の悪化を抑制することができる。また、本発明の光学製品は、部材間の屈折率差が少なく、光学特性を良好にすることができる。
[1]光学用接着剤組成物
本発明の光学用接着剤組成物は、下記の一般式(1)で表されるモノマーの重合体を含有してなるものである。
(式中、R1は炭素数1〜2のアルキレン基を示し、R2は水素又はメチル基を示す。また、式中、Ar1は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を示し、Ar2は無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を示す。)
本発明の光学用接着剤組成物は、下記の一般式(1)で表されるモノマーの重合体を含有してなるものである。
上記一般式(1)で表されるモノマーの重合体(以下、単に「上記重合体」と称する場合がある。)は、汎用のアクリル系接着剤の屈折率(約1.47)よりも屈折率を大幅に高くすることができ、かつ接着性にも優れ、光学部材用の接着剤として極めて有用なものである。通常、屈折率を高めるためには化合物中に硫黄原子を導入することが検討されているが、硫黄−炭素の結合エネルギーは紫外線のエネルギーよりも低いため、硫黄原子を導入した化合物を含む接着剤は耐光性に劣るものとなる。一方、本発明の光学用接着剤組成物を構成する上記一般式(1)のモノマーは、耐光性を低下させる要因となる硫黄を含有しない点で好適である。また、通常芳香族環を分子中に導入した場合、ポリマーのガラス転移温度が上昇して、接着力や作業性が低下するが、本発明の光学用接着剤組成物を構成する上記一般式(1)のモノマーの重合体は、芳香族環を含有するにも関わらず、ガラス転移温度を低く保つことができる点で好適である。
式(1)のR1は炭素数1〜2のアルキレン基である。この中でも、炭素数1のメチレン基がより好ましい。
式(1)のR2は水素又はメチル基であり、重合体を製造する際の反応性の観点から、水素が好適である。
式(1)のR2は水素又はメチル基であり、重合体を製造する際の反応性の観点から、水素が好適である。
式(1)のAr1は、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基である。炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられ、工業的コストの観点からフェニル基が好適である。なお、前記のアリール基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、フェニル基に1個のメチル基が置換した場合、メチル基で置換された炭素数7のフェニル基とはみなさず、炭素数6のフェニル基とみなすものとする。
Ar1の置換基は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。Ar1が置換基を有する場合、機能設計の点で好適であるが、その反面、置換基導入によって反応経路に工夫が必要となる。このため、合成の容易さの観点から、Ar1は置換基を有さないことがより好適である。
式(1)のAr2は、無置換の炭素数6〜10のアリーレン基である。炭素数6〜10のアリーレン基としては、フェニレン基及びナフチレン基が挙げられ、工業的コストの観点からフェニレン基が好適である。
式(1)のAr1及びAr2は、一方をベンゼン骨格として、他方をナフタレン骨格とするものであっても良いし、両方がベンゼン骨格又はナフタレン骨格であっても良いが、粘着性を維持する観点から、両方がベンゼン骨格(Ar1がフェニル基でAr2がフェニレン基)であることが好適である。
Ar1の置換基は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。Ar1が置換基を有する場合、機能設計の点で好適であるが、その反面、置換基導入によって反応経路に工夫が必要となる。このため、合成の容易さの観点から、Ar1は置換基を有さないことがより好適である。
式(1)のAr2は、無置換の炭素数6〜10のアリーレン基である。炭素数6〜10のアリーレン基としては、フェニレン基及びナフチレン基が挙げられ、工業的コストの観点からフェニレン基が好適である。
式(1)のAr1及びAr2は、一方をベンゼン骨格として、他方をナフタレン骨格とするものであっても良いし、両方がベンゼン骨格又はナフタレン骨格であっても良いが、粘着性を維持する観点から、両方がベンゼン骨格(Ar1がフェニル基でAr2がフェニレン基)であることが好適である。
上記一般式(1)のモノマーの好適な実施形態である、Ar1が無置換のフェニル基、Ar2がフェニレン基であるモノマーを以下の一般式(2)で示す。なお、以下の一般式(2)におけるR1及びR2は、一般式(1)の通りである。
上記一般式(2)において、フェニレン基におけるR1とOとの位置関係は、メタ位、パラ位、オルト位の何れであっても良いが、汎用性および入手性の観点からメタ位が好適である。また、上述のように、R1はメチレン基であることが好ましく、R2は水素であることが好ましい。
また、上記一般式(1)のモノマーの最適な実施形態であるモノマーを以下の一般式(3)で示す。
上記一般式(3)のモノマーは、例えば、3-フェノキシベンジルアルコールとアクリル酸とを原料とし、エステル交換法で合成することにより得ることができる。また、上記一般式(3)のモノマーのベンゼン環をナフタレン環に変更したモノマーは、例えば、8-ナフチルオキシ-1-ナフトールとアクリル酸とを原料とし、エステル交換法で合成することにより得ることができる。
また、上記一般式(1)のモノマーの最適な実施形態であるモノマーを以下の一般式(3)で示す。
上記重合体は、一般式(1)で表されるモノマーの重合体の単独重合体であっても良いし、その他のモノマーとの共重合体であってもよい。単独重合体は、屈折率が高い点で好適である。共重合体は、粘着性能を調整できる点で好適である。
上記一般式(1)で表されるモノマーと共重合させるその他のモノマーとしては、重合性の炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物であれば、特に制限されることなく使用することができる。該その他のモノマーは炭素数1〜13のものが好適である。
このような炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アセトアセトキシメチル等のアセトアセトキシ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
メチロール(メタ)アクリルアミド、ブトキシN−メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー、
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー;
N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、シクロヘキシルマレイミド等の窒素含有モノマー;
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;
塩化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化オレフィン類;
スチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン類;
ブタジエン、イソプレン等のジエン類、
(メタ)アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー等が用いられる。
このような炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アセトアセトキシメチル等のアセトアセトキシ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
メチロール(メタ)アクリルアミド、ブトキシN−メチロール(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー、
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー;
N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、シクロヘキシルマレイミド等の窒素含有モノマー;
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;
塩化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化オレフィン類;
スチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン類;
ブタジエン、イソプレン等のジエン類、
(メタ)アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー等が用いられる。
上記のその他のモノマーの中では、接着性の観点からは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマーが好適である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好適であり、カルボキシル基含有モノマーの中ではアクリル酸が好適である。また、耐久性の観点からは、アルキル(メタ)アクリレート、ニトリル基含有モノマー、ビニルエステル類が好適である。アルキル(メタ)アクリレートの中ではメチルメタクリレートが好適であり、ニトリル基含有モノマーの中ではアクリロニトリルが好適であり、ビニルエステル類の中では酢酸ビニルが好適である。
したがって、接着性をさらに高め、かつ耐久性を良好にするためには、その他のモノマーとして、上述の接着性を向上するモノマーと、耐久性を向上するモノマーとを併用することが好ましく、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとを併用することが最適である。
したがって、接着性をさらに高め、かつ耐久性を良好にするためには、その他のモノマーとして、上述の接着性を向上するモノマーと、耐久性を向上するモノマーとを併用することが好ましく、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとを併用することが最適である。
上記重合体が共重合体である場合、該共重合体の原料モノマー中における、上記一般式(1)のモノマーとその他のモノマーとの質量比は、屈折率、接着性、凝集力及び耐久性のバランスの観点から、99:1〜50:50であることが好ましく、95:5〜60:40であることがより好ましく、95:5〜70:30であることがさらに好ましい。
また、その他のモノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとを併用する場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとの質量比は、3:1〜1:10であることが好ましく、2:1〜1:6であることがより好ましく、2:1〜1:3であることがさらに好ましい。
また、その他のモノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとを併用する場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート及び/又はアクリロニトリルとの質量比は、3:1〜1:10であることが好ましく、2:1〜1:6であることがより好ましく、2:1〜1:3であることがさらに好ましい。
上記重合体は、上記一般式(1)のモノマーを単独重合するか、上記一般式(1)のモノマーとその他のモノマーとを共重合してなるものである。
重合の方法としては、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等が挙げられる。これら重合方法の中では、分子量分布が狭く、残留モノマーの少ないポリマーが得られる点、高分子量ポリマーが得られる点、乳化剤が不要であるため不純物の少ない点、水中での重合でありながら耐水性及び耐熱性に優れる重合体が得やすいという点から、懸濁重合が好適である。重合条件は、例えば懸濁重合の場合、50〜80℃で、2〜24時間行うことが好ましい。共重合体の形態は、交互、ランダム、ブロック、グラフト等の何れの形態であっても良い。
粒状体を製造するための水系懸濁重合においては、一種以上の懸濁安定剤を使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸塩、ポリアクリルアミド、部分ケン化ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等の水溶性高分子、リン酸カルシウム類、炭酸カルシウム等の無機塩粉体等が挙げられる。
重合開始剤としては、分解後の重合開始ラジカル種が油溶性であることが好ましい。 ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤や過酸化物系ラジカル重合開始剤が典型的なものとして挙げられる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスプロパン、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスプロパン、1,1'−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビスイソブチルアミド、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスブタン、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1'−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−アリルマロノジニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2'−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1'−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2'−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1'−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1'−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1'−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1'−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1'−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4'−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2'−アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化2−クロロベンゾイル、過酸化3−クロロベンゾイル、過酸化4−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等が挙げられる。重合開始剤を例示すると、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、キュメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド等の過酸化物がある。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスプロパン、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスプロパン、1,1'−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビスイソブチルアミド、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2'−ジクロロ−2,2'−アゾビスブタン、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1'−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−アリルマロノジニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2'−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1'−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2'−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1'−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1'−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1'−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1'−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1'−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4'−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2'−アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化2−クロロベンゾイル、過酸化3−クロロベンゾイル、過酸化4−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等が挙げられる。重合開始剤を例示すると、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、キュメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド等の過酸化物がある。
また、連鎖移動剤として、メルカプト化合物を加えることができる。例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体等の水酸基を有する連鎖移動剤;1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオール等が挙げられる。
上記重合体は、耐久性の観点から、重量平均分子量(Mw)が25万以上であることが好ましい。また、上記重合体の重量平均分子量は、重合時のゲル化の抑制及び品質の安定化の観点から、150万以下とすることが好ましい。上記重合体の重量平均分子量は30万〜100万であることが好ましく、35万〜80万であることがより好ましい。
また、上記重合体の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラム法により測定し、ポリスチレン換算した値である。
また、上記重合体の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラム法により測定し、ポリスチレン換算した値である。
上記重合体の屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.61以上であることがより好ましい。なお、上記重合体が上記一般式(3)のモノマーの単独重合体の場合、屈折率は約1.624である。また、本発明において屈折率とは、波長583.9nmの光(ナトリウムのD線)を用いて、アッベ屈折計を用いて測定したものである。
上記重合体のガラス転移温度は、接着力及び取り扱い性の観点から、10℃以下であることが好ましく、−40〜5℃であることがより好ましい。
上記重合体のガラス転移温度は、接着力及び取り扱い性の観点から、10℃以下であることが好ましく、−40〜5℃であることがより好ましい。
本発明の光学用接着剤組成物の全固形分における上記重合体の含有量は、屈折率を十分高くする観点から、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90〜99質量%であることがさらに好ましい。
本発明の光学用接着剤組成物中には硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等が挙げられる。この中でも、官能基モノマー選択性の観点からイソシアネート系硬化剤が好適である。硬化剤の含有量は、本発明の光学用接着剤組成物の全固形分の5質量%以下であることが好ましい。
本発明の光学用接着剤組成物中には、屈折率をより向上させるための平均一次粒子径100nm以下の高屈折率顔料を含有させてもよい。高屈折率顔料としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.10)などが挙げられる。前記かっこ内は、各粒子の材料の屈折率を示す。
しかし、光学用接着剤組成物中に高屈折率顔料を含有すると、上記重合体と高屈折率顔料との屈折率差により散乱が生じ、光学特性に悪影響を与える可能性がある。本発明の光学用接着剤組成物は、上記重合体により屈折率が十分高くできているため、高屈折率顔料等の顔料を実質的に含有しないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、光学用接着剤組成物の全固形分の0.1質量%以下を意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%である。
しかし、光学用接着剤組成物中に高屈折率顔料を含有すると、上記重合体と高屈折率顔料との屈折率差により散乱が生じ、光学特性に悪影響を与える可能性がある。本発明の光学用接着剤組成物は、上記重合体により屈折率が十分高くできているため、高屈折率顔料等の顔料を実質的に含有しないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、光学用接着剤組成物の全固形分の0.1質量%以下を意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%である。
また、本発明の光学用接着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、粘着付与剤等の添加剤を含有してもよい。なお、光学用接着剤組成物は、上記重合体等を溶剤で希釈したものであってもよい。溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
本発明の光学用接着剤組成物は、接着剤組成物の全固形分中に含まれる硫黄原子が、質量基準で0.04%以下であることが好ましい。硫黄原子を0.04%以下とすることにより、耐光性が低下することを防止できる。接着剤組成物中の硫黄原子は、0.02%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。なお、本発明では、硫黄原子0.001%以下の場合は硫黄原子を含まないと定義する。
接着剤組成物中の硫黄原子量は、たとえば、ジェイ・サイエンス・ラボ社製の商品名JM1000CN等の有機微量元素分析装置により測定することができる。
接着剤組成物中の硫黄原子量は、たとえば、ジェイ・サイエンス・ラボ社製の商品名JM1000CN等の有機微量元素分析装置により測定することができる。
本発明の光学用接着剤組成物の屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.61以上であることがより好ましい。
本発明の光学用接着剤組成物から形成される接着剤層は、ヘーズ(JIS K7136:2000)が1.0%未満であることが好ましい。なお、接着剤層のヘーズは、ソーダガラス板上に接着剤層を積層し、ソーダガラス側から光を入射した際のヘーズ値をいうものとする。
本発明の光学用接着剤組成物は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、これらディスプレイに付属されるタッチパネル、有機EL照明やLED照明等の各種照明等の光学製品の少なくとも一部に用いることができる。
具体的には、光学製品を構成する部材間に隙間が存在して空気層が存在する場合において、これらの隙間の少なくとも一部を充填し、部材どうしを接着するようにして用いることができる。前記隙間としては、例えば、液晶素子や有機EL素子のガラス基板と、該ガラス基板上に設置する光学シートとの間や、光学シートを複数枚積層して用いる場合の各光学シートの間が挙げられる。
光学シートとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、防眩性フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルム等が挙げられる。透明導電性フィルムはITOに代表されるように屈折率が高いものが多く、本発明の光学用接着剤組成物が有用である。
本発明の光学用接着剤組成物は、液状のまま光学製品に適用し、その後、乾燥(必要に応じて硬化)して接着剤層を形成してもよいし、後述するようにシート化し、固形の状態で光学製品に適用し、光学製品に接着剤層を形成してもよい。
具体的には、光学製品を構成する部材間に隙間が存在して空気層が存在する場合において、これらの隙間の少なくとも一部を充填し、部材どうしを接着するようにして用いることができる。前記隙間としては、例えば、液晶素子や有機EL素子のガラス基板と、該ガラス基板上に設置する光学シートとの間や、光学シートを複数枚積層して用いる場合の各光学シートの間が挙げられる。
光学シートとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、防眩性フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルム等が挙げられる。透明導電性フィルムはITOに代表されるように屈折率が高いものが多く、本発明の光学用接着剤組成物が有用である。
本発明の光学用接着剤組成物は、液状のまま光学製品に適用し、その後、乾燥(必要に応じて硬化)して接着剤層を形成してもよいし、後述するようにシート化し、固形の状態で光学製品に適用し、光学製品に接着剤層を形成してもよい。
[光学用接着シート]
本発明の光学用接着シートの一実施形態は、透明基材上の少なくとも一方の面に、本発明の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなるものである。
透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。透明基材の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
本発明の光学用接着シートの一実施形態は、透明基材上の少なくとも一方の面に、本発明の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなるものである。
透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。透明基材の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
また、本発明の光学用接着シートの別の実施形態は、光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層の両側の面を剥離可能な基材で覆ってなるものである。
剥離可能な基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムや紙等の表面を、シリコーンやポリオレフィンで離型処理を施したものが挙げられる。
剥離可能な基材は、取り扱い性の観点から、10〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
剥離可能な基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムや紙等の表面を、シリコーンやポリオレフィンで離型処理を施したものが挙げられる。
剥離可能な基材は、取り扱い性の観点から、10〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
上述の光学用接着シートの2つの実施形態において、接着剤層の厚みは接着強度の観点から、5〜300μmが好ましく、10〜250μmがより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で得られた光学用接着シートについて下記の評価を行った。
<屈折率>
光学用接着剤組成物をメチルエチルケトン中で溶融攪拌したものを、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)上に乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布、乾燥した。常温で一日放置後、サンプルサイズにカットした。中間液として硫黄ヨウ化メチレンを用いて、サンプルをアタゴ社製のアッベ屈折計に設置し、室温で屈折率を測定した。
<屈折率>
光学用接着剤組成物をメチルエチルケトン中で溶融攪拌したものを、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)上に乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布、乾燥した。常温で一日放置後、サンプルサイズにカットした。中間液として硫黄ヨウ化メチレンを用いて、サンプルをアタゴ社製のアッベ屈折計に設置し、室温で屈折率を測定した。
<初期接着力>
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、25mm×150mmの大きさにカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に2kgローラーで圧着し、23℃で30分放置したものについて、島津製作所社製のAUTOGRAPH AGS−50D(製品名)を用いて、剥離角度180°剥離速度300mm/minの条件で剥離し、剥離力(接着剤層とガラス面との間の接着力)を測定した(N/25mm)。
<永久接着力>
ガラス板に接着剤層を圧着したのちの放置時間を24時間に変更した以外は、初期接着力の評価と同様にして、永久接着力(N/25mm)を測定した。
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、25mm×150mmの大きさにカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に2kgローラーで圧着し、23℃で30分放置したものについて、島津製作所社製のAUTOGRAPH AGS−50D(製品名)を用いて、剥離角度180°剥離速度300mm/minの条件で剥離し、剥離力(接着剤層とガラス面との間の接着力)を測定した(N/25mm)。
<永久接着力>
ガラス板に接着剤層を圧着したのちの放置時間を24時間に変更した以外は、初期接着力の評価と同様にして、永久接着力(N/25mm)を測定した。
<耐久性>
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、50mm×100mmの大きさにカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に2kgローラーで圧着し、60℃、90%RHの環境で24時間放置したもの(条件1)、及び室内環境(20℃、60%RH)で24時間放置したもの(条件2)について、気泡、浮き、剥がれ等による外観変化の有無を確認した。条件1及び2の何れも気泡等が発生せず外観変化のないものを「A」、条件1では気泡等が発生して外観変化が生じるが条件2では外観変化のないものを「B」とした。
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、50mm×100mmの大きさにカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に2kgローラーで圧着し、60℃、90%RHの環境で24時間放置したもの(条件1)、及び室内環境(20℃、60%RH)で24時間放置したもの(条件2)について、気泡、浮き、剥がれ等による外観変化の有無を確認した。条件1及び2の何れも気泡等が発生せず外観変化のないものを「A」、条件1では気泡等が発生して外観変化が生じるが条件2では外観変化のないものを「B」とした。
<凝集力(保持力)>
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、25mm幅にカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をSUS板に貼合面積が25mm×25mmになるよう貼り合わせ、80℃及び20℃の環境で光学用接着シートを荷重1kgfで24時間引っ張った際に、何れの温度環境でも光学用接着シートのずれがなかったものを「A」、80℃の温度環境では光学接着シートがずれて落下したが、20℃の温度環境では光学用接着シートのずれがなかったものを「B」とした。
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み100μmのポリエステルフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300)に貼り合わせた、常温で一日放置後、25mm幅にカットした。もう一方の離型フィルムを剥離し、露出した接着剤層をSUS板に貼合面積が25mm×25mmになるよう貼り合わせ、80℃及び20℃の環境で光学用接着シートを荷重1kgfで24時間引っ張った際に、何れの温度環境でも光学用接着シートのずれがなかったものを「A」、80℃の温度環境では光学接着シートがずれて落下したが、20℃の温度環境では光学用接着シートのずれがなかったものを「B」とした。
<全光線透過率及びヘーズ>
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み1.1mmのガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に貼り合わせた。もう一方の離型フィルムを剥がし、スガ試験機HZ−2を用い、JIS K7361−1:1997に従って全光線透過率を測定し、JIS K7136:2000に従ってヘーズを測定した。光入射面はソーダガラス側とした。なお、ソーダガラス単体では、全光線透過率が91.3%であり、ヘーズは0.02%であった。
光学用接着シートの一方の離型フィルムを剥離し、厚み1.1mmのガラス板(セントラル硝子製、ソーダガラス)に貼り合わせた。もう一方の離型フィルムを剥がし、スガ試験機HZ−2を用い、JIS K7361−1:1997に従って全光線透過率を測定し、JIS K7136:2000に従ってヘーズを測定した。光入射面はソーダガラス側とした。なお、ソーダガラス単体では、全光線透過率が91.3%であり、ヘーズは0.02%であった。
(重合体の合成)
[実施例1〜8、比較例1〜2]
容量1リットルのセパラブルフラスコに、0.2質量%のポリビニルアルコールを含有する水200質量部と、表1記載のモノマーと、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1質量部と、分子量調整用に連鎖移動剤とを含む均一混合液を投入した。
該混合液を窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温し、4時間懸濁重合させた。次いで、デカンテーションによって懸濁液から水分を除いた。固形物を吸引ろ過しながら水で洗浄し、水分を飛ばした後に、60℃で真空乾燥を行い、含水率0.5%以下の重合体(実施例1〜8、比較例1〜2の光学用接着剤組成物)を得た。
得られた共重合体について、重量平均分子量、分散度(Mw/Mn)、ガラス転移温度及び屈折率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例1〜8、比較例1〜2]
容量1リットルのセパラブルフラスコに、0.2質量%のポリビニルアルコールを含有する水200質量部と、表1記載のモノマーと、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1質量部と、分子量調整用に連鎖移動剤とを含む均一混合液を投入した。
該混合液を窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温し、4時間懸濁重合させた。次いで、デカンテーションによって懸濁液から水分を除いた。固形物を吸引ろ過しながら水で洗浄し、水分を飛ばした後に、60℃で真空乾燥を行い、含水率0.5%以下の重合体(実施例1〜8、比較例1〜2の光学用接着剤組成物)を得た。
得られた共重合体について、重量平均分子量、分散度(Mw/Mn)、ガラス転移温度及び屈折率を測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、モノマー成分として一般式(1)のモノマーを含む光学用接着剤組成物は、屈折率が1.57を超えるものであった。
(光学用接着シートの作製)
[実施例1〜5]
実施例1〜5の光学用接着剤組成物を、メチルエチルケトン中で溶融攪拌し、光学用接着剤組成物を調製した。
次いで、離型処理された厚み38μmのポリエステルフィルム(東レフィルム加工社製、セラピールBX9A)上に、光学用接着剤組成物を塗布、乾燥し、厚み25μmの接着剤層を形成した。次いで、接着剤層上に、離型処理された厚み38μmのポリエステルフィルム(東レフィルム加工社製、セラピールBXE)を貼り合わせ、実施例1〜5の光学用接着シートを得た。得られた光学用接着シートの全光線透過率、ヘーズ、初期接着力、永久接着力、耐久性及び保持力を測定した。結果を表2に示す。
[比較例2]
原料として比較例2の光学用接着剤組成物を用い、接着剤層の厚みを15μmに変更した以外は、上記と同様にして光学用接着シートを作製し、全光線透過率、ヘーズ、初期接着力及び永久接着力を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例2は接着力の測定が不能であったため、耐久性及び保持力の測定は行わなかった。
[実施例1〜5]
実施例1〜5の光学用接着剤組成物を、メチルエチルケトン中で溶融攪拌し、光学用接着剤組成物を調製した。
次いで、離型処理された厚み38μmのポリエステルフィルム(東レフィルム加工社製、セラピールBX9A)上に、光学用接着剤組成物を塗布、乾燥し、厚み25μmの接着剤層を形成した。次いで、接着剤層上に、離型処理された厚み38μmのポリエステルフィルム(東レフィルム加工社製、セラピールBXE)を貼り合わせ、実施例1〜5の光学用接着シートを得た。得られた光学用接着シートの全光線透過率、ヘーズ、初期接着力、永久接着力、耐久性及び保持力を測定した。結果を表2に示す。
[比較例2]
原料として比較例2の光学用接着剤組成物を用い、接着剤層の厚みを15μmに変更した以外は、上記と同様にして光学用接着シートを作製し、全光線透過率、ヘーズ、初期接着力及び永久接着力を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例2は接着力の測定が不能であったため、耐久性及び保持力の測定は行わなかった。
表2の結果から明らかなように、実施例1〜5の光学用接着シートは、一定の接着力を備えるものであることが分かる。
Claims (8)
- 前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーの単独重合体である請求項1に記載の光学用接着剤組成物。
- 前記重合体が、前記一般式(1)で表されるモノマーと、その他のモノマーとの共重体である請求項1に記載の光学用接着剤組成物。
- 前記共重合体の原料モノマー中における、前記一般式(1)で表されるモノマーと、前記その他のモノマーとの質量比が、99:1〜50:50である請求項3に記載の光学用接着剤組成物。
- 前記光学用接着剤組成物中に、前記重合体を50質量%以上含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の光学用接着剤組成物。
- 透明基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜5の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学用接着シート。
- 請求項1〜5の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層の両側の面を剥離可能な基材で覆ってなる光学用接着シート。
- 光学製品の少なくとも一部に、請求項1〜5の何れかに記載の光学用接着剤組成物から形成されてなる接着剤層を有してなる光学製品。
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