JP2015080556A - 高機能手術デバイス - Google Patents

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木 庸 介 鈴
Yasusuke Suzuki
木 庸 介 鈴
島 弘 文 麦
Hirofumi Mugishima
島 弘 文 麦
葉 敏 雄 千
Toshio Chiba
葉 敏 雄 千
下 紘 正 山
Hiromasa Yamashita
下 紘 正 山
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Abstract

【課題】 先端動作部の開閉動作、傾動動作及び無制限の両方向ローリング動作が可能な簡潔構造で、機能性・操作性に優れる高機能手術デバイスを提供する。
【解決手段】 本発明の高機能手術デバイスは、外科的処置部を有する多重管構造の細径挿入部、これに関節部により連結されローリング及び傾動可能な先端動作部、外科的処置部の開閉駆動機構、先端動作部のローリング駆動機構、傾動駆動機構及び細径挿入部回転一時保持機構を有する操作部を備え、開閉動作は開閉伝達ロッド、傾動動作は傾動伝達内筒、ローリング動作はローリング伝達内筒により行い、簡潔な傾動リンク式傾動駆動機構と細径挿入部回転一時保持機構により一方向への傾動状態を全方向に向けることができるとともに外科的処置部の把持部と関節部の中心間距離を縫合針の湾曲中心の近傍に配置できる。
【選択図】図13

Description

本発明は、内視鏡下外科手術を行う際に用いられる手術デバイスに係り、より詳しくは、人体の切開あるいは開腹を必要とせずに手術侵襲を極力少なくして体腔内病変臓器の手術部位での手術処置を安全に行うことが可能で、外科的処置部を有する先端動作部等の各種機構部をコンパクト化し機能性及び操作性を向上させた高機能手術デバイスに関する。
内視鏡(胃腸)あるいは腹腔鏡(腹部)の小型化及び精度向上と医療技術の向上に伴い健康診断等の病巣の早期発見により、病巣が小さいうちに処置できる内視鏡下外科手術又は腹腔鏡下手術である鏡視下手術のニーズが高まっている。鏡視下手術においては、従来の切開外科手術に比べて傷が小さく人体への負担も少ない低侵襲化が展開しつつある。
従来の腹部外科では、長径略20mm以上の開腹創を伴う侵襲的外科治療に代わり、直径略10mm×長さ略300mmのデバイスを腹壁に刺入し外科手術が施されてきた。ここ数年、長径略20mmの開腹創から通常4本以上の複数本の各種鉗子や腹腔鏡を挿入し手術を施行するReduced Port Surgery(RPS)が開発され実施されている。
一般的な鏡視下手術においては、患者の腹部等に複数の腹腔孔を開け、これらの腹腔孔に筒状のトラカールを挿入した後、各トラカールを通して、腹腔鏡と複数の鉗子が体腔内に挿入される。鉗子の先端部には、外科的処置部として、生体組織等を把持するためのグリッパや、鋏、電気メスのブレード等が取り付けられている。
トラカールから挿入される鉗子として、先端部に関節を持たない一般的な鉗子の他に、体腔内で白由度の高い動作が可能で、手技を容易化し、適用可能な症例を拡張するため、先端部に関節を有して外科的処置部のローリング動作や傾動動作が可能な外科用処置具の開発が行われている(例えば特許文献1参照)。
特許第4391762号公報
しかし、従来の特許文献1に記載の外科用処置具においては、挿入部の先端部に備えられた外科的処置部を、外科用処置具の長手軸に直交する軸に対して回動する傾動動作が可能であるとともに、その外科的処置部が任意の傾動状態においても長手軸回りに回転するローリング動作が可能かつ開閉操作可能であるが、このローリング動作は時計方向、反時計方向とも無制限にはできない。
高機能手術デバイスにおいては、外科的処置部を含む先端動作部の自由度が多いとともに可動範囲ができるだけ広い方が望ましく、先端動作部のローリング動作の回転範囲が時計方向、反時計方向とも無制限であれば、結紮等の手技の円滑な遂行など機能性及び操作性が向上する。しかしながら、先端動作部における開閉動作と傾動動作を可能な構造を維持しつつ、さらに回転範囲が時計方向、反時計方向とも無制限のローリング動作を可能とする構成を採用した場合、機構が複雑化し重厚長大化し易い。また、外科的処置部の傾動動作の回動中心が縫合針の湾曲中心から離れているため結紮等の手技の円滑性に欠ける等々の問題点がある。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、外科的処置部を有する先端動作部等の各種機構部の構造を簡潔かつコンパクト化し、先端動作部の開閉動作と傾動動作を可能な構造を維持しつつ、回転範囲が時計方向、反時計方向とも無制限のローリング動作が可能で、機能性及び操作性を向上させた高機能手術デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る高機能手術デバイスは、外径及び長さが設定自在で、主軸であるX軸、近位端すなわち後端及び遠位端すなわち先端を有し、生体内に挿入される細径挿入部と、先端部に開閉動作が可能な把持面を備える外科的処置部を有し、X軸回りの両方向に無制限のローリングが可能で、前記細径挿入部に対してX軸に直交し設けられる傾動支軸周りに傾動動作が可能な関節部を介して連結される先端動作部と、前記細径挿入部の後端部が前記X軸回りの回転が一時保持可能に連結される細径挿入部回転一時保持機構、前記外科的処置部の開閉動作を行う開閉駆動機構、前記先端動作部のローリング動作を行うローリング駆動機構、前記先端動作部を前記傾動支軸周りの傾動動作を行う傾動駆動機構及び前記開閉駆動機構を介して前記外科的処置部を開閉させる開閉用ハンドルを有する操作部と、を備える高機能手術デバイスであって、
前記細径挿入部は、前記傾動駆動機構に連結されX軸方向に進退移動可能な傾動伝達部材と、前記ローリング駆動機構に連結されX軸回りに回転可能なローリング伝達部材と、前記開閉駆動機構に連結されX軸方向に進退移動可能な開閉伝達部材と、を備える複合構造が形成され、前記関節部には、前記ローリング伝達部材の先端部に回転可能に連結される細径挿入部側回転伝導部材と、前記傾動支軸周りに回転自在に設けられ前記細径挿入部側回転伝導部材と係合する中継回転伝導部材と、前記先端動作部内に前記X軸回りに回転自在に設けられ前記中継回転伝導部材と係合する先端動作部回転伝導部材と、からなる回転伝導機構が設けられ、前記開閉伝達部材は、少なくとも前記関節部部に挿通される部分が屈曲自在部材からなり、前記傾動支軸と前記外科的処置部の把持面との中心間距離が縫合針の湾曲中心の近傍に配置される、ことを特徴とする。
また、前記細径挿入部は、外筒と、前記外筒内にX軸方向に進退移動可能に挿通される前記傾動伝達部材である傾動伝達内筒と、前記傾動伝達内筒内にX軸回りに回転可能に挿通される前記ローリング伝達部材であるローリング伝達内筒と、前記ローリング伝達管内にX軸方向に進退移動可能に挿通される開閉伝達部材である開閉伝達ロッドと、からなる多重管構造が形成される、ことを特徴とする。
また、前記細径挿入部と前記先端動作部との間には、前記傾動伝達部材の先端部と前記先端動作部とに連結されるリンク機構が前記傾動支軸に対して偏芯し配置され、前記傾動伝達部材のX軸方向の進退移動に伴って前記先端動作部をX軸に対して所定の傾動角範囲内で揺動させる先端動作部側傾動機構が設けられる、ことを特徴とする。
また、前記先端動作部の傾動支軸の近傍であって、前記先端動作部の傾動方向側に配置され、前記開閉伝達部材の屈曲自在部材部をガイドするガイド部が設けられる、ことを特徴とする。
また、前記外科的処置部は、グリッパ機構の開き方向もしくは閉じ方向に付勢するばね部材が設けられる、ことを特徴とする。
また、前記外科的処置部の閉じ合せられた状態の把持面が前記先端動作部の主軸に対し離反するとともに、前記把持面と前記傾動支軸との中心間距離が縫合針の湾曲中心の近傍に配置される、ことを特徴とする
また、前記傾動支軸は、前記開閉伝達部材の屈曲自在部材部がX軸方向に進退可能な空間が設けられる、ことを特徴とする。
また、前記先端動作部が前記細径挿入部に対して傾動状態においても、前記開閉駆動機構からの開閉駆動力が前記開閉伝達部材を介して前記関節部におけるガイド部に屈曲ガイドされる開閉伝達部材の屈曲自在部材に伝達されることにより、前記外科的処置部の正常な開閉動作が可能に維持される、ことを特徴とする。
また、前記ローリング駆動機構は、前記ローリング伝達部材の後端部に装着される従動回転伝道部材及び前記従動回転伝道部材に係合する駆動回転伝道部材からなる操作部側回転伝導機構及び前記駆動回転伝道部材を回転させるためのローリング操作部材からなり、このローリング操作部材に加えられる回転力が前記操作部側回転伝導機構、ローリング伝達部材を介して前記関節部の回転伝道機構に伝達され、前記先端動作部が前記細径挿入部に対して傾動状態においても、前記関節部におけるガイド部に屈曲ガイドされる開閉伝達部材の屈曲自在部材により前記外科的処置部の開閉動作に影響を与えることなく、前記先端動作部を時計回り、反時計回りの両方向とも無制限のローリング動作が可能である、ことを特徴とする。
また、前記操作部には、前記先端動作部が前記先端動作部側傾動機構側の傾動可能に取付けられる前記細径挿入部をX軸回りに任意の回転角度に一時保持するための細径挿入部回転一時保持機構がさらに備えられる、ことを特徴とする。
さらに、前記開閉駆動機構の駆動操作を行う開閉操作部、前記ローリング駆動機構の駆動操作を行うローリング操作部、前記傾動駆動機構の駆動操作を行う傾動操作部及び前記細径挿入部回転一時保持機構の駆動操作を行う細径挿入部回転一時保持操作部が全て前記操作部に集中し配置される、ことを特徴とする。
以上のように構成される本発明によれば、操作部から先端動作部への回転力の伝達を、従来技術におけるようなワイヤとプーリを介して行うのではなく、ローリング伝達部材を介して行うため、先端動作部を主軸周り両方向に無制限の回転範囲でローリングさせることができる。
また、開閉伝達部材である開閉伝達ロッドは、ローリング伝達部材であるローリング伝達内筒内に挿通配置されるためローリング伝達内筒の回転の影響を受けることなく外科的処置部に開閉駆動力を適切に伝達できる。
また、開閉伝達部材は、関節部に対応する部分が屈曲自在部材からなるため、簡単な構成で、外科的処置部に開閉駆動力を適切に伝達できる。
また、先端動作部が細径挿入部に対して傾動した際に、がイド部によって開閉伝達部材の屈曲自在部材が支持されることにより、屈曲自在部材の屈曲部が、先端動作部の傾動支軸の近傍に保持されるため、先端動作部が細径挿入部に対して傾動した際に、先端動作部内で開閉伝達部材の先端が前進することを抑制又は防止できる。これにより、外科的処置部の開閉動作に影響を与えることなく対象物を把持した状態を好適に維持できる。
また、外科的処置部の閉じ合わされる把持面は、把持する縫合針の湾曲中心の近傍に、関節部の傾動支軸を配置することにより、先端動作部を回転(ローリング)させながら行う縫合操作をスムースに行い易くすることができる。
また、外科的処置部は、把持面の開き方向もしくは閉じ方向に付勢するばね部材が設けられることから、開動作もしくは閉動作のいずれか一方の駆動機構の形成が可能であり、構造が簡素化できる。
また、外科的処置部の閉じ合わされた状態の把持面が前記先端動作部の主軸に対し離反するとともに、前記傾動支軸との中心間距離が縫合針の湾曲中心の近傍に配置される構成により、先端動作部を回転(ローリング)させながら行う縫合作業は、縫合針の湾曲に沿った動きとなり、縫合が一層スムースに行い易くできる。
また、関節部の傾動支軸に設けられた空間により、関節部内における開閉伝達部材の配置スペースを容易に確保することができる。
また、先端動作部が先端動作部側傾動機構側の傾動可能に取付けられる細径挿入部をX軸回りに任意の回転角度に一時保持するための細径挿入部回転一時保持機構が備えられることから、先端動作部を細径挿入部に対して両方向に傾動させたり、関節部における開閉伝達部材のガイド部を2か所に設けたりする必要性がなく、高機能手術デバイスの構成を簡略化し、軽量・コンパクト化することができる。
さらに、外科的処置部用開閉操作部、先端動作部用ローリング操作部、傾動操作部及び細径挿入部用細径挿入部回転一時保持操作部が全て操作部に集中し配置されることから、高機能手術デバイスの全ての操作を術者の片手などにより容易に実行することができる。
したがって、本発明によれば、外科的処置部の開閉駆動機構、先端動作部のローリング駆動機構及び傾動駆動機構等を簡潔かつコンパクト化し、先端動作部の開閉動作と傾動動作を可能な構造を維持しつつ、回転範囲が時計方向、反時計方向とも無制限のローリング動作が可能で、機能性及び操作性を向上させた高機能手術デバイスを提供することができる効果がある。
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施形態1に係る高機能手術デバイス10を概念的に説明するための全体組立縦断面図である。 図1の外科的処置部60、関節部80及び細径挿入部30の前半部の要部組立縦断面図である。 図2の関節部80の要部平断面図である。 図1の操作部20の外科的処置部開閉機構の要部組立縦断面図である。 図4の開閉用ハンドルロック機構28の動作を概念的に示す要部組立側面図である。 図5の反対面である裏面側から見た開閉用ハンドルロック機構28の動作を示す要部写真で、(a)は開閉用ハンドル22が把持ハンドル21aにロックされたロック状態、(b)は開閉用ハンドル22が把持ハンドル21aからロック解除されたロック解除状態を示す。 図1のローリング駆動機構40及び傾動駆動機構の要部組立縦断面図である。 (a)は図7の傾動駆動機構70の構造を概念的に示す要部組立側面図、(b)は(a)のA−A矢視のローリング駆動機構40の要部平断面図である。 (a)は図2の先端動作部50が細径挿入部30に対して90°傾動した状態を示す要部組立縦断面図、(b)はローリング用レバー433(図7)を1回操作した場合の(a)の傾動状態における先端動作部30のローリングピッチ角Δθを説明するための外科的処置部60の先端側から見た正面図である。 図1の細径挿入部回転一時保持機構46及び洗浄ポート機構100の要部組立縦断面図である。 本発明の実施形態2に係る高機能手術デバイス10Aの主にローリング駆動機構40Aを概念的に説明するための全体組立要部縦断面図である。 図11のローリング駆動機構40Aを説明するための要部B−B矢視図である。 本発明の実施形態2に係る高機能手術デバイス10Aの主に傾動駆動機構70Aを概念的に説明するための全体組立要部縦断面図である。 本発明の実施形態3に係る高機能手術デバイス10Bの外科的処置部60Bを含む先端動作部50B、関節部80及び細径挿入部30の前半部の要部組立縦断面図である。
以下、本発明の高機能手術デバイスを実施するための形態の具体例を、添付図面を参照して説明する。
(実施形態1)
本発明の一実施形態(実施形態1)に係る高機能手術デバイス10は、図1及び2に示すように、外科的処置部60を含む先端動作部50と、外科的処置部60を駆動する操作部20と、外科的処置部60と操作部20とを連結する細径挿入部30とを備える。外科的処置部60は、外科的処置を行う部分であり、図示例では、一対のグリッパ部材61、62を有し、所定の開閉動作軸を基準に開閉動作するグリッパ機構として構成されている。外科的処置部60は、グリッパ機構に限らず、生体臓器の切断や穿刺又は孔明、あるいは電気メス用の電極などとして通電、マイクロ波又は超音波放射線伝送等々の各種の機能を選択的に持たせ、各種の公知を含む手術先端器具を選択的に取り替えることができる。
ここで、添付図1〜13における高機能手術デバイス10、10Aの細径挿入部30の主軸であるX軸を基準として、直交する3軸のX軸(細径挿入部30の主軸、先端部(前部)・基端部(後部)方向)、Y軸(図示水平方向)、Z軸(図示上下方向)を定義する。また、外科的処置部60側を先端部(前部)側(方向)、操作部20側を後端部又は基端部(後部)側(方向)と呼ぶ。
高機能手術デバイス10を構成する各部材は、耐腐食性、耐薬品性を備えるとともに、加熱滅菌に耐え得る温度耐久性を備える医療適合性材料からなり、特に滅菌を容易にするためそれぞれが分解可能に形成されることが望ましく、ケースバイケースで部品単位又は全体を使い捨てとすることもできる。
外科的処置部60を含む先端動作部50は、細径挿入部30に対して複数の自由度で姿勢変更が可能に構成される。この実施形態では、先端動作部50は、細径挿入部30の主軸X軸に対して左右方向であるY軸方向に傾動する傾動動作と、先端動作部50の長手方向の主軸X軸回りに回転するローリング動作と、先端動作部50を含む細径挿入部30のX軸回りの回転を一時保持する細径挿入部回転一時保持動作と、を行うことができる。傾動動作は、Y軸方向への傾動動作に代えて、X軸に対して上下方向のZ軸方向に傾動する傾動動作とすることもできる。
また、先端動作部50が細径挿入部30に対して傾動可能に取付けられる細径挿入部30をX軸回りに任意の回転角度に一時保持することもできる。
細径挿入部30は、状況に応じて手術に耐える外径及び長さに設定自在で様々な長さに交換可能で、高剛性及び高弾力性を有する医療適合性材料の外径略5mm以下の長尺で細径の外筒31内にX軸方向に進退移動可能に挿通され後述の傾動駆動機構に連結される傾動伝達部材である傾動伝達内筒32、傾動伝達内筒32内にX軸回りに回転可能に挿通され後述のローリング駆動機構に連結されるローリング伝達部材であるローリング伝達内筒33、及びローリング伝達内筒33内にX軸方向に進退移動可能に挿通され後述の開閉駆動機構に連結される開閉伝達部材である開閉伝達ロッド34からなる多重管構造が形成される。
操作部20は、図1、4及び10に示すように、後端部のZ軸方向下方部に延設された把持ハンドル21a及びそのZ軸方向上端部にX軸に沿って前方に延設され細径挿入部30の基端である後端部30bが連結された胴体部21bからなる把持ハンドル構造21と、胴体部21bの後端部のX軸上方に固着された固定ピン25により基端部22aが揺動自在にピボット連結され、操作力が機械的に先端動作部50の外科的処置部60に伝達されることで、外科的処置部60の開閉動作を手動で行う開閉用ハンドル22と、胴体部21bの先端部に膨出し設けられた中空膨出部23内の後半部に設けられ、先端動作部50のローリング動作を行うローリング駆動機構40と、中空膨出部23内の前半部に設けられ、先端動作部50の傾動動作を行う傾動駆動機構70と、細径挿入部30の後端部30bに外嵌し固着されるとともに後端部が中空膨出部23の先端部にX軸回りに回転自在に装着され、細径挿入部30をX軸回りに任意の回転角度に一時保持するための細径挿入部回転一時保持機構46と、細径挿入部30の後端部30bに外嵌し固着されるとともに細径挿入部回転一時保持機構46の先端部に連接され、細径挿入部30の内部に洗浄液を注入し流通させて内部構造部材を洗浄、又は体内から手術時の廃液を吸引し体外に排出するための洗浄ポート機構100と、を備える。
具体的には、この実施形態では開閉用ハンドル22を開いた状態で外科的処置部60が開き、開閉用ハンドル22を閉じると外科的処置部60が閉じるように構成されている。
胴体部21bのX軸に沿って後方部まで設けられた空間21c内には、外科的処置部60の開閉動作を行うのに必要な動力を伝達するための開閉駆動機構に連結する開閉伝達ロッド34がX軸方向に進退自在に挿通されている。開閉伝達ロッド34は、図4に示すように、ローリング伝達内筒33内に挿通され、且つその後端部がローリング伝達内筒33の後端部からX軸方向後方に突出する。開閉伝達ロッド34の後端部34bには、その後端部34bに設けられた鍔状のばね受け341に受け止められる圧縮ばね342が外嵌されるとともに圧縮ばね342の先端部によりX軸方向前方に押圧され、凹溝343aが形成された開閉駆動駒343が摺動自在に遊嵌されている。
一方、開閉用ハンドル22の先端側X軸近傍には、開閉駆動駒343の凹溝343a内に遊嵌配置される駆動ピン26が固着されている。この駆動ピン26を凹溝343a内に係合させた状態で、開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に対して閉じ方向又は開き方向に揺動させることにより、開閉伝達ロッド34がX軸方向に後退又は前進移動して外科的処置部60の閉又は開動作を行う。
この実施形態の開閉用ハンドル22は、把持ハンドル21aとの間に設けられた圧縮ばね27の付勢力により常時開いた状態が保持されており、これと共に開閉伝達ロッド34の後端部23bに外嵌された圧縮ばね342の付勢力が加わることにより開閉伝達ロッド34がX軸方向に前進し外科的処置部60は通常待機時開き方向に保持される。
そこで、開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に握り締めて閉じると、順次、駆動ピン26、開閉駆動駒343及び圧縮ばね342を介して開閉伝達ロッド34がX軸方向に後退し外科的処置部60は閉じる動作が行われる。この外科的処置部60の閉じ動作において、圧縮ばね342は、例えば把持する臓器に過大な把持力が加えられて臓器組織が損傷するのを防止するように圧縮されて把持力を抑制し、患者に対する安全性を確保する。すなわち、ばね受け341、圧縮ばね342、開閉駆動駒343は、外科的処置部60の過大な把持力を抑制する過負荷防止機能を備える把持力制御機構344を構成する。
上記のように構成された把持力制御機構344は、以下のように作用する。操作部20において、把持ハンドル21aに対して開閉用ハンドル22が開いた状態では、開閉伝達ロッド34及びばね受け341は、図4に示す実線位置にある。これを初期位置である待機位置とする。この待機位置では、外科的処置部60が全開状態となる位置まで開閉伝達ロッド34が前進している。術者が開閉用ハンドル22を握り、開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に引き寄せ閉じると、開閉伝達ロッド34及びばね受け341がX軸方向後方(図4の二点鎖線位置)に後退する。このとき、開閉駆動駒343、圧縮ばね342及びばね受け341を介して開閉伝達ロッド34がX軸方向後方に牽引されるため、外科的処置部60が閉じる方向に動作する。
外科的処置部60が対象物をちょうど把持した位置から、さらに開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に引き寄せると、圧縮ばね342が開閉駆動駒343とばね受け341との間で圧縮されることで、開閉伝達ロッド34及びばね受け341の位置が保持されたまま、開閉駆動駒343がばね受け341側すなわちX軸方向後方へ後退する。このとき、ばね受け341と開閉駆動駒343との距離は、図4の実線状態よりも短くなっている。このような把持力制御機構344の作用により、外科的処置部60で対象物を把持した後、外科的処置部60を閉じる方向にさらに開閉用ハンドル22を操作しでも、圧縮ばね342が圧縮変形することで、開閉駆動伝達部35へ過大な牽引荷重が掛かることが防止される、いわゆる過負荷防止機能を有する。
また、このような把持力制御機構344により、外科的処置部60で対象物を把持した状態で先端動作部50を細径挿入部30に対して傾動させた際に、開閉伝達ロッド34と開閉用ハンドル22との間の前記駆動力伝達経路上に設けられた圧縮ばね342が伸長することにより、後述する図9(a)に示すように、先端動作部50と細径挿入部30との間の関節部80での開閉伝達ロッド34の屈曲自在部材であるプルワイヤ52の屈曲方向へのずれを補償する分だけ、プルワイヤ52がX軸方向後方に後退させられる。このため、先端動作部50の屈曲に伴って外科的処置部60が開くことがない。すなわち、外科的処置部60が対象物を把持した状態を確実に維持することができる、いわゆる把持維持機能を有する。この実施形態のプルワイヤ52は、適用可能な適度の剛性及び可撓性(屈曲自在性)を有するワイヤからなる。
さらに、この実施形態では、コイル状の圧縮ばね342が開閉伝達ロッド34の後端部に外嵌されとともに開閉駆動駒343が開閉伝達ロッド34をガイドとしてX軸方向に進退することから、開閉駆動駒343の変位がスムースに行われるため、上述した把持維持機能と過負荷防止機能を確実に発揮する信頼性が確保される。
この実施形態の場合、開閉伝達ロッド34に対するばね受け341のX軸方向の位置を変えて調整することにより、把持力制御機構344における圧縮ばね342の付勢力の大きさを容易に調整することができる。
開閉用ハンドル22及び把持ハンドル21aのZ軸方向下半部には、開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に閉じた状態でロックするための開閉用ハンドルロック機構28が設けられる。
開閉用ハンドルロック機構28は、図4及び5に示すように、開閉用ハンドル22の下半部に、開閉用ハンドル22を把持ハンドル21a側に閉じた状態でロックするための開閉用ハンドル側フック281と、開閉用ハンドル側フック281をロックする方向(図示反時計回り方向)に付勢する板ばね283と、板ばね283の付勢力に抗してロック状態を解除する図示時計回り方向に開閉用ハンドル側フック281を揺動させるロック解除レバー285及びロック解除用フック286と、開閉用ハンドル側フック281のアーム281cの基端部の屈曲角部近傍の開閉用ハンドル22に立設され、開閉用ハンドル側フック281の待機位置を規定するストップピン287と、が設けられ、一方、把持ハンドル21aの中間部に、対向する開閉用ハンドル側フック281と係合して開閉用ハンドル側フック281をロックする把持ハンドル側フック288が設けられ、構成されている。
開閉用ハンドル側フック281は、先端部に把持ハンドル21a側に向けて延出する鉤歯281aが形成され、基端部281bに鉤歯側平面281eと反対面から略L字形に屈曲し延出するアーム281cが形成され、基端部261bが開閉用ハンドル22に固着された固定ピン282に揺動自在に軸支されている。
板ばね283は、一端283aが開閉用ハンドル側フック281のアーム281c先端部に固着され、他端283bが開閉用ハンドル22の下端部に固着されている。
ロック解除レバー285は、開閉用ハンドル22の図示裏面側に設けられ、基端部285bが開閉用ハンドル側フック281の鉤歯側平面281eの近傍にY軸方向に沿って配置され揺動自在に挿通された回転ピン284に固着されるとともに基端部285bの両側角部に図示しないストパーピンに係合する一対の爪285c、285dが形成され、先端部285aに開閉用ハンドル22の側面(図示裏面)を転動自在に押圧するボールが先端部に装填されたボールプランジャ285eが装着されている。また、回転ピン284の先端部には、開閉用ハンドル側フック281の鉤歯側平面281eに当接するカット面284bが形成されたヘッドカラー284aが装着されている。
このカット面284a及びこれが当接する鉤歯側平面281eは、ロック解除レバー285とロック解除レバー285とが共に同方向へ揺動することが可能な回転結合機構を構成する。すなわち、図5に示すように、回転ピン284に装着されたロック解除レバー285を図示点線の待機位置から時計回り方向に2点鎖線のロック解除位置まで揺動させることにより、カット面284aに当接された鉤歯側平面281eに回転力が伝達されて開閉用ハンドル側フック281が板ばね283の反時計回り方向へ付勢する弾発力に抗して図示実線の待機位置から同じ時計回り方向に図示2点鎖線のロック解除位置まで揺動する。同様に、ロック解除レバー285及び開閉用ハンドル側フック281は、図示2点鎖線のロック解除位置から反時計回り方向に共に揺動してそれぞれ点線、実線の待機位置まで復帰する。
ロック解除用フック286は、図4に示すように、基端部286bが開閉用ハンドル側フック281の基端部281bに固着され、先端部286aがアーム281cと反対方向に延出してロック解除レバー285側に略逆L字形に屈曲し形成されている。
把持ハンドル側フック288は、先端部に開閉用ハンドル側フック281と対向して歯合する鉤歯288aが形成されている。
上記のように構成された開閉用ハンドルロック機構28は、以下のように作用する。図4において、開閉用ハンドル22は把持ハンドル21aに対して最も開いた位置にあり、開閉用ハンドル側フック281は最も時計回り方向に揺動した待機位置にあり、ロック解除レバー285は最も時計回り方向に揺動した待機位置にある。図4の状態から、開閉用ハンドルロック機構28を把持ハンドル21a側に引き寄せて行くと、開閉用ハンドルロック機構28に設けられた開閉用ハンドル側フック281の鉤歯281aの先端部が把持ハンドル側フック286の鉤歯286aの先端部を押すことで、開閉用ハンドル側フック281が板ばね283の弾発力(付勢力)に抗して時計回り方向に揺動する。そして、開閉用ハンドル側フック281の鉤歯281aが把持ハンドル側フック286の鉤歯286aを乗り越えて鉤歯286aに係合し、図6(a)に示すロック状態となる。開閉用ハンドル22は、圧縮ばね27によって、把持ハンドル21aに対して開く方向に弾性的に付勢されているが、開閉用ハンドル側フック281の鉤歯281aが把持ハンドル側フック286の鉤歯286aに係合したロック状態では、開閉用ハンドル22が開く方向への移動が拘束される。従って、術者が開閉用ハンドル22から手を放しても、把持ハンドル21aに対する開閉用ハンドル22の閉じた位置は保持され、開閉用ハンドル22のロック状態が保持される。
このように、外科的処置部60により対象物を把持した状態で開閉用ハンドル22の位置をロックすることで、術者が開閉用ハンドル22から手を放した状態でも外科的処置部60による対象物の把持を維持することができる。このため、術者の操作負荷を軽減することができる。
図4又は図5の裏面側から見たX軸方向前後逆向きの写真である図6(a)のロック状態において、ロック解除レバー285を反時計回り方向に揺動させると、開閉用ハンドル側フック281が板ばね283の弾発力に抗して反時計回り方向に回転し押し上げられる鉤歯281aが把持ハンドル側フック286の鉤歯286から離反することで、開閉用ハンドル22のロック状態が解除され、図6(b)に示すロック離脱状態となる。このとき、初めに鉤歯281aが鉤歯286から離反すると同時に開閉用ハンドル側フック281は、板ばね283の弾発力により待機位置まで自動的に揺動して復帰し、これと同時にロック解除レバー285も共に待機位置まで自動的に揺動して復帰する。
図4及び5において、板ばね283によりロックする方向(反時計回り方向)に付勢される開閉用ハンドル側フック281は、退機中、アーム281cに当接するストップピン287によりロックする方向(反時計回り方向)への回転が拘束されて待機位置が規定される。
なお、上記開閉用ハンドル22のロック状態において、ロック解除レバー285に替えてロック解除用フック286の先端部286aを開閉用ハンドル22側に引き寄せるように指などで握り締めることによって、開閉用ハンドル側フック281がロック離脱方向に回転し板ばね283の弾発力に抗して押し上げられる鉤歯281aが把持ハンドル側フック286の鉤歯286から離反することで、開閉用ハンドル22のロック状態が解除され、ロック離脱状態とすることもできる。
このように、開閉用ハンドル22のロック状態において、初めにロック解除レバー285又はロック解除用フック286を開閉用ハンドル22が把持ハンドル21aから離れるロック解除方向に操作するだけで、開閉用ハンドル側フック281と把持ハンドル側フック286との係合が自動的に解除され、開閉用ハンドル側フック281を初期位置である待機位置に迅速に戻すことができる。したがって、開閉用ハンドル側フック281を待機位置まで戻す操作を継続的に行う必要がなく、ロック解除の操作性に優れる。
先端器具操作部20の開閉用ハンドル22、把持ハンドル構造21の形状及び機構等は上記実施形態に限定されるものではなく、公知の内視鏡外科手術用鉗子の操作部及び開閉用ハンドル、把持ハンドル構造の構成を適用することができる。
主要部が中空膨出部23内の後半部に収容されるローリング駆動機構40は、図7及び図6(b)に示すように、細径挿入部30の傾動伝達内筒32内に挿通され先端動作部50のローリング動作の駆動力を伝達するローリング伝達内筒33の後端部33bが連結されてX軸回りに回転する従動回転伝道部材である従動ベベルギヤ41と、従動ベベルギヤ41と直交して歯合するように、Y軸方向に沿って中空膨出部23の両側壁に固着された固定軸431に回転自在に装着される駆動回転伝道部材である駆動ベベルギヤ42と、駆動ベベルギヤ42を回転駆動するラチェット機構43とから構成される。
ラチェット機構43は、駆動ベベルギヤ42に隣接し固着され固定軸431に回転自在に装着されるローリング操作部材であるローリング用ギヤ432と、基端部433bがローリング用ギヤ432に隣接し固着され固定軸431に回転自在に装着され、先端部433aが略逆U字形の二股ハンドル状に形成され中空膨出部23のZ軸下方向外に延出するローリング用レバー433と、中央部がローリング用レバー433の中間部に固着された固定ピン434に揺動自在に装着され、両端部にローリング用ギヤ432と交互に歯合する一対のX軸方向先端側爪歯435a、後端側爪歯435bが設けられた駆動ラチェットフック435と、中央部が中空膨出部23の上端内面23aにY軸方向に沿って固着された固定ピン436に揺動自在に装着され、両端部にローリング用ギヤ432と交互に歯合する一対のX軸方向先端側爪歯437a、後端側爪歯437bが設けられたロックラチェットフック437と、を備える。
また、ローリング用レバー433と駆動ラチェットフック435との間、及び中空膨出部23の上端内面23aとロックラチェットフック437との間には、それぞれローリング用ギヤ432の回転方向を切り換える回転方向切換機構44、45が設けられる。
回転方向切換機構44は、駆動ラチェットフック435の中央部の図示Z軸方向下面に突設された切換歯435cと、基端部が固定ピン434に揺動自在に装着され、先端部が図示Z軸下方向に延設された回転方向切換レバー441と、回転方向切換レバー441の図示中間部にZ軸方向に沿って穿設された穴442内に収容され、圧縮ばね443aにより切換歯435cのX軸方向前面又は後面を転動自在に押圧する切換ボール443bが先端部に装填されたボールプランジャ443と、を備える。
回転方向切換レバー441をX軸方向後方に引き反時計回り方向に揺動又は前方に押し時計回り方向に揺動させることにより、順次、切換ボール442が切換歯435cの先端を乗り越えて切換歯435cの前面又は後面を押圧するのに伴い駆動ラチェットフック435のX軸方向後端側爪歯437b又は先端側爪歯437aがローリング用ギヤ432に交互に歯合するように揺動してローリング用ギヤ432を反時計回り又は時計回り方向の回転力を伝達することが可能な回転駆動状態となる。
回転方向切換機構45は、ロックラチェットフック437の中央部の図示Z軸方向上面に突設された切換歯437cと、基端部が固定ピン436に回転自在に装着され、先端部が図示Z軸方向上方に延設された回転方向切換レバー451と、回転方向切換レバー451の中央部に前記延出方向に沿って穿設された穴452内に収容され、圧縮ばね453aにより切換え歯437cのX軸方向前面又は後面を転動自在に押圧する切換ボール453bが先端部に装填されたボールプランジャ453と、を備える。
回転方向切換レバー437dをX軸方向前方に押し図示時計回りに揺動又は後方に引き反時計回りに揺動させることにより、順次、切換ボール452が切換歯437cの先端を乗り越えて切換歯437cの後面又は前面を押圧するのに伴い駆動ラチェットフック435のX軸方向先端側爪歯437a又は後端側爪歯437bがローリング用ギヤ432に交互に歯合するように揺動してローリング用ギヤ432を時計回り又は反時計回り方向の回転を拘束することが可能な反転防止ロック状態となる。
手動でローリング用レバー433を揺動させることにより、駆動ラチェットフック435が先端側爪歯435a、後端側爪歯435bを介して歯合するローリング用ギヤ432を反時計回り又は時計回り方向に回転させ、その操作力が、順次、駆動ベベルギヤ42、従動ベベルギヤ41及びローリング伝達内筒33を介して機械的に先端動作部50に伝達され、先端動作部50がX軸周りに時計方向又は反時計方向(一方向又は他方向)に回転(ローリング)する。
具体的には、まず、図4に示すように、回転方向切換レバー435dをX軸方向後方に引き時計回りに揺動させ、駆動ラチェットフック435の後端側爪歯435bが歯合するローリング用ギヤ432の反時計回り方向の回転駆動状態とするとともに、回転方向切換レバー437dをX軸方向前方に押し時計回りに揺動させ、ロックラチェットフック437の先端側爪歯437aが歯合するローリング用ギヤ432の時計回り方向の回転を拘束する反転防止ロック状態としてから、引続き、ローリング用レバー433をX軸方向後方すなわち開閉用ハンドル22側に1回引き込むと、駆動ラチェットフック435の後端側爪歯435bが歯合するローリング用ギヤ432と共に駆動ベベルギヤ42を図示反時計方向に回転させ、同時に駆動ベベルギヤ42と歯合する従動ベベルギヤ41をX軸回りに一方向に回転させる。
さらに、この回転(ローリング)駆動力は、従動ベベルギヤ41が装着されたローリング伝達内筒33を介して機械的に先端動作部50に伝達される。この実施形態では、図9(b)に示すように、ローリング用レバー433の1回の引込み操作により先端動作部50をX軸回りにローリングピッチ角度Δθが最大Δθmaxで略60°回転(ローリング)することができる。
この1回のローリング状態で、ローリング用レバー433を図示Z軸方向に沿って略直立状態の待機位置に戻すと、この過程で駆動ラチェットフック435の後端側爪歯435bが回転方向切換機構44の圧縮ばね441に付勢される切換ボール442の押圧力に抗して浮き上がるように揺動してローリング用ギヤ432との歯合が解除されるが、ローリング用ギヤ432は回転方向切換機構45の圧縮ばね451に付勢されて歯合するロックラチェットフック437の先端側爪歯437aによる時計回り方向の反転防止ロック状態により上記1回のローリング状態の回転位置に保持された状態が維持される。
そして、再度ローリング用レバー433を開閉用ハンドル22側に引き込む操作を繰り返すことにより、先端動作部50を無制限にX軸周り一方向に回転(ローリング)することができる。
これとは逆に、回転方向切換レバー441をX軸方向前方に押し図示反時計回りに揺動させ、駆動ラチェットフック435の先端側爪歯435aが歯合するローリング用ギヤ432の時計回り方向の回転駆動状態とするとともに、回転方向切換レバー437dをX軸方向後方に引き反時計回りに揺動させ、ロックラチェットフック437の後端側爪歯437bが歯合するローリング用ギヤ432の反時計回り方向の回転を拘束する反転防止ロック状態としてから、引続き、ローリング用レバー433をX軸方向前方に1回押し込むと、駆動ラチェットフック435の先端側爪歯435aが歯合するローリング用ギヤ432と共に駆動ベベルギヤ42を図示時計方向に回転させ、同時に駆動ベベルギヤ42と歯合する従動ベベルギヤ41をX軸回りに他方向に回転させる。
この1回のローリング状態で、ローリング用レバー433を図示Z軸方向に沿って略直立状態の待機位置に戻すと、駆動ラチェットフック435の先端側爪歯435aが回転方向切換機構44の圧縮ばね441に付勢される切換ボール442の押圧力に抗して浮き上がるように揺動してローリング用ギヤ432との歯合が解除されるが、ローリング用ギヤ432は回転方向切換機構45の圧縮ばね451に付勢されて歯合するロックラチェットフック437の後端側爪歯437bによる反時計回り方向の反転防止ロック状態により上記1回のローリング状態の回転位置に保持された状態が維持される。
そして、再度ローリング用レバー433をX軸方向前方に押す(反時計回りに揺動させ)操作を繰り返すことにより、先端動作部50を無制限にX軸周り他方向に回転(ローリング)することができる。
ラチェット機構43及び回転方向切換機構44、45は、上記一実施形態の他に、種々公知の回転機構及び回転方向切換機構と同様な構成を採用することができる。
主要部が中空膨出部23内の前半部に収容される傾動駆動機構70は、図7及び図8(a)に示すように、細径挿入部30の外筒31内にX軸方向に進退自在に挿通され、先端動作部50の傾動動作の駆動力を伝達する傾動伝達内筒32の後端部32bに外嵌し固着され、凹溝702aが形成された傾動駆動駒702と、先端部704aに傾動駆動駒702の凹溝702a内に遊嵌配置される駆動ピン703が固着され、基端部704bが中空膨出部23内の底面23b前半部にY軸方向に沿って配置され回転自在に装着された回転軸705に外嵌し固着されて揺動自在である傾動駆動アーム704と、先端部706a、706bが中空膨出部23の側面外のZ軸方向上方に伸びる二股状の略V字形に形成され、基端部706cが中空膨出部23の側面外に張り出した回転軸705に外嵌し固着されて揺動自在である傾動用レバー(傾動操作部材)706と、傾動用レバー706の一方の先端部706bの両側に傾動範囲を規定する間隔に配置され、中空膨出部23の側面外に突設された傾動用レバーストッパーピン707、708と、傾動用レバーストッパーピン707及び708の間に設けられ、傾動用レバー706の傾動位置を自動的にソフトタッチのロック状態を保持するソフトタッチロック機構709と、を備える。
傾動用レバーストッパーピン707、708は、先端動作部50のX軸に対する最大傾動角度範囲略90°を規定するように配置される。
この実施形態のソフトタッチロック機構709は、駆動レバーストッパーピン707及び708の間に装着され、一方の先端部706bの傾動軌跡に対応する傾動角度方向に沿って複数の線条からなる凹凸面709bが形成されたロック板709aと、この線条形凹凸面709aに対向して係合するように一方の先端部706b側のZ軸方向中間部側面に形成された複数の線条からなる凹凸面706dと、回転軸705に外嵌しこの主軸方向の進退移動可能であるが回転軸705周りの回転が拘束されて装着され、傾動用レバー706をロック板709a方向にソフトタッチで押圧する弾発力を有するワッシャ710と、回転軸705端部に螺合され、ワッシャ710を傾動用レバー706側に押圧し凹凸面709aと凹凸面706dとのソフトタッチによるロック力を調整する押圧ナット711と、からなる。
この実施形態の傾動用レバー706は、手動用操作部として構成され、非操作時の通常時は一方の先端部706bがZ軸方向上向きに略直立状態の姿勢(待機位置)で、かつ先端動作部50が図示X軸方向水平状態に保持されている。傾動用レバー706を傾動操作すると、その操作力が、傾動伝達内筒32を介して機械的に先端動作部50に伝達され、先端動作部50が細径挿入部30の主軸X軸に対して非平行な一方向(図示Y軸左右方向又はZ軸上下方向)に最大略90°傾動する。
具体的には、傾動用レバー706をソフトタッチロック機構709のロック力に抗して傾動用レバーストッパーピン707側に引き下げ図示反時計方向に回転させると、同方向に傾動駆動アーム704も共回りし駆動ピン703が凹溝702aを介して傾動伝達内筒32をX軸方向前方に前進させ、さらに傾動伝達内筒32を介して機械的に後述する先端動作部50の傾動機構90により先端動作部50をX軸に対して非平行な一方向(図示Y軸方向又はZ軸方向)に傾動させる。
そこで、傾動用レバー706をソフトタッチロック機構709のロック力に抗して駆動レバーストッパーピン707側に引き下げ図示反時計方向に回転させ、傾動用レバー706の一方の先端部706bが駆動レバーストッパーピン708側の図示半時計方向に逆転し略直立状態の待機位置に復帰することにより、駆動ピン703が凹溝702aを介して傾動伝達内筒32をX軸方向後方に後退させ、さらに傾動伝達内筒32を介して機械的に先端動作部50の傾動機構90により先端動作部50を図示X軸方向水平状態に復帰させる。
以上述べた先端動作部50の外科的処置部60の、開閉動作(把持動作)を行う開閉用ハンドル22、傾動動作を行う傾動用レバー706、回転動作(ローリング動作)を行うローリング用レバー433は、全て高機能手術デバイス10を把持する把持ハンドル21aを有する操作部20側に配置されていることから、術者が把持ハンドル21a及び開閉用ハンドル22を例えば薬指と親指で保持した状態で、残りの中指、人指し指を利用しそれぞれ開閉用ハンドル22、傾動用レバー706、ローリング用レバー433の操作を行うことができる。すなわち、高機能手術デバイス10の全ての操作を、術者の片手で実行可能な構成にしている。
先端動作部50は、図2に示すように、開閉動作可能な外科的処置部60と、外科的処置部60の後端部が固着される中空円筒状の回転スリーブ56 (先端側回転体)と、回転スリーブ56をX軸回りに回転可能に支持する先端側支点ブロック58とを有する。
外科的処置部60は、図2に示すように、上グリップ61及び下グリップ62からなる。下グリップ62は、上グリップ61に対してピン63により回転可能に連結される。上グリップ61及び下グリップ62の顎部61a、62aには、それぞれ滑り止め用の多数の凹凸が形成された把持面61b、62bが形成される。上グリップ61の略円筒形状の基端部61cに下グリップ62の基端部62cがピン63により回動可能に連結される。上グリップ61の把持面61bと下グリップ62の肥持面62bとにより、例えば図示しない縫合針等の把持対象物が把持される。
先端動作部50の主軸がX軸と一致する非傾動状態(図示水平状態)にあるとき、把持面61bは、先端動作部50の回転(ローリング)軸心であるX軸に略一致するように配置される。また、把持面61b、62bのX軸方向中央部と、後述する先端動作部50と細径挿入部30との間の関節部80の傾動支軸である一対の関節ピン81、82との中心間距離を、把持面61b、62bに把持される図示しない縫合針の湾曲中心の近傍に配置することができる。この配置構成は、本発明による関節部80を含む先端動作部50関連の機構がコンパクトに構成できることから実現可能となる。これにより、先端動作部50を回転(ローリング)させながら行う縫合操作をスムースに行い易くすることができる。
下グリップ62の基端部62cのX軸に対してピン63と反対側のZ軸上方に伸びる後端部62dが、リンク64を介して回転スリーブ56の中空内にX軸方向に進退自在に収容されたプルロッド65に連結される。後端部62dとリンク64、及びリンク64とプルロッド65は、それぞれピン66、67により回転可能に連結される。プルロッド65は、後半部の形成された中空状のガイド管部65aと、ガイド管部65aの先端に設けられたフランジ65bと、フランジ65bの先端部に固着され先端方向に平行に延出する一対のクレビス65cとを有し、クレビス65cにピン67が嵌着される。
上グリップ61と下グリップ62との間には捩りばね68が配置される。捩りばね68は、ピン63に外嵌し装着され、一端68aが上グリップ61の中間部に、他端68bが下グリップ62の中間部にそれぞれ係着され、下グリップ62をZ軸下方向に開くように弾性的に常時付勢する。
プルロッド65の中空内には、エンドカラー69が先端側から挿通される。エンドカラー69の先端部は、プルロッド65のガイド管部65aの先端面に当接して係合するフランジ部69aとして構成される。エンドカラー69は、先端動作部50と細径挿入部30との間の関節部80に亘り挿通された開閉伝達ロッド34の屈曲自在部材であるプルワイヤ52の先端に固定されることで、クレビス65cの後端部に固着される
プルワイヤ52を備える開閉伝達ロッド34は、操作部20の開閉用ハンドル22に対する操作に応じて細径挿入部30内及び先端動作部30内のローリング伝達内筒33内をX軸方向に進退移動する部材であり、プルワイヤ52がX軸後方に後退すると、プルワイヤ52に固定されたクレビス65cによりプルロッド65がX軸後方に牽引され、これにより捩りばね68の付勢力に抗して、プルロッド65がX軸後方に後退する。このプルロッド65のX軸後方への後退に伴い、リンク64に連結された下グリップ62が、上グリップ61に対して閉じる方向(図示Z軸上方向)に回動させられる。最終的には、上グリップ61の把持面61bと下グリップ62の把持面62bとが噛み合わされ接触する位置まで閉じられる。この実施形態において上グリップ61の把持面61bと下グリップ62の把持面62bとが噛み合わされ接触する位置は、X軸と略一致するように配置される。
上グリップ61の把持面61bと下グリップ62の把持面62bとが接触する位置まで閉じた状態から、プルワイヤ52及びクレビス65cがX軸方向に前進すると、捩りばね68の弾発力によりプルロッド65がX軸方向に前進するため、リンク64を介して下グリップ62が上グリップ61に対して開く方向(図示Z軸下方向)に回動し、元の待機状態に復帰する。この動作が、外科的処置部60の開閉動作である。
なお、この実施形態において、外科的処置部60は、上グリップ61が固定部として構成され、下グリップ62が可動部として構成されているが、上グリップ61あるいは、例えば公知の鉗子などに見られるように、両万のグリップ61、62を可動部として構成することもできる。
回転スリーブ56は、先端の縮径部56aにおいて、上グリップ61の基端部61cに嵌合し固着されている。回転スリーブ56において、後端部には先端動作部回転伝導部材であるベベルギヤ56cが設けられ、ベベルギヤ56cよりも先端側に環状凹溝56dが設けられる。外科的処置部60、回転スリーブ56、プルロッド65、エンドカラー69は、先端動作部50の主軸X軸回りに、先端側支点ブロック58に対して一体的に回転可能である。
先端側支点ブロック58は、半円筒状の上部ブロック581と、半円筒状の下部ブロック582とからなり、上部ブロック581と下部ブロック582とが組み合わされることにより中空円筒状となる。先端側支点ブロック58の外径は、略3mm〜8mmであることが好ましく、この実施形態では一例として略5mmとする。先端側支点ブロック58の内径は、略2mm〜7mmであることが好ましく、この実施形態では略4mmである。
上部ブロック581と下部ブロック582の内周部には、それぞれ円弧状突起581a、582aが設けられ、円弧状突起581a、582aと、回転スリーブ56に設けられた環状凹溝56dとが係合することにより、回転スリーブ56が先端側支点ブロック58に対して回転可能であるがX軸方向移動が拘束され連結される。円弧状突起581a、582aは、X軸方向に所定の突出量例えば略0.7mmを有し、X軸方向に所定の幅例えば強度保持可能な略1mmを有する。また、この実施形態では、半円筒状の上部ブロック581の内周部に円弧状突起581aが、半円状の下部ブロック582の内周部に円弧状突起582aがそれぞれ1つ設けられているが、これに限らず、円弧状突起581aは複数の突起から構成されていてもよい。例えば、円弧状突起581aは上部ブロック581の内周部上に30°間隔で配置されていてもよく、この場合、円弧状突起581aは3つの円弧状突起から構成される。
先端側支点ブロック58と細径挿入部側支点ブロック59とは、関節ピン81、82により回動自在に連結される。細径挿入部側支点ブロック59は細径挿入部30の胴体部分を構成する中空状の外筒31の先端部31aに固着される。細径挿入部側支点ブロック59及び外筒31は、細径挿入部30の主要構成部材となる。
この実施形態において、関節ピン81、82は、図3に示すように、図示Y軸方向(水平方向)に設定されているが、X軸に対して交叉する任意の方向に設定されてもよい。先端側支点ブロック58は、筒部58aと、筒部58aの後端部の図示左右両側部から互いに平行にX軸後方向に突出するクレビス58b、58cとを有する。細径挿入部側支点ブロック59は、筒部59aと、筒部59aの先端部の図示左右両側部から互いに平行にX軸先端方向に突出する舌片部59b、59cとを有する。先端側支点ブロック58のクレビス58b、58cと、細径挿入部側支点ブロック59のクレビス59b、59cと、に関節ピン81、82が挿通され嵌合する。
細径挿入部側支点ブロック59の筒部59aの先端には、図3に示すように、支持ブロック591が装着される。支持ブロック591は、互いに平行に対向する左右の支持プレート592、593と、支持プレート592、593の左右両端後部を連結する連結部594とを有する。左右の支持プレート592、593には、それぞれ傾動支軸である関節ピン81、82の一端が挿入される。
左右の支持プレート592、593には、図示X軸の下方近傍のY軸方向に沿って水平に配置され、ガイドローラー83が回転自在に支承される主軸84が挿入され固着される。ガイドローラー83は、X軸に沿って細径挿入部30内及び先端動作部50内に挿通されるプルワイヤ52をガイドする。
このようなガイドローラー83が設けられることで、先端動作部50が細径挿入部30に対して屈曲した際に、ガイドローラー83によってプルワイヤ52が支持されることにより、開閉伝達ロッド34の一部であるプルワイヤ52の屈曲部が、先端動作部50の傾動支軸の近傍に保持される。このため、先端動作部50が細径挿入部30に対して屈曲(傾動)した際に(図9(a)参照)、先端動作部50内でプルワイヤ52の先端が前進することを抑制又は防止できる。これにより、先端動作部50が傾動状態にあるときも外科的処置部60で対象物を把持した状態を好適に維持できる。
先端動作部50と細径挿入部30との聞の関節部80は、傾動軸線Y軸上に配置された一対の関節ピン81、82を有し、開閉伝達ロッド34の一部であるフルワイヤ52は、一対の関節ピン81、82間に設けられた隙間(空間)を、関節ピン81、82の軸線Y軸方向と直交するX軸方向に進退移動可能である。この構成によれば、関節部80内におけるプルワイヤ52の配置スペースを容易に確保することができる。
図3に示す上側の支持プレート592とクレビス58bとの間には、中継回転伝導部材であるベルギヤ85が関節ピン81によって回転自在に支持される。ベベルギヤ85は、支持プレート592及びクレビス58bとは独立に回転可能である。ベベルギヤ85は、回転スリーブ56の後端部に設けられた先端動作部回転伝導部材であるベベルギヤ56cと、外筒31の先端部31aに固着された細径挿入部側支点ブロック59内に装着された細径挿入部側回転伝導部材36の先端部に設けられたベベルギヤ36aとに噛合する。ベベルギヤ36aが設けられた細径挿入部側回転伝導部材36は、中空円筒型の部材であり、その中空部内にプルワイヤ52が挿通される(図2参照)。
細径挿入部側回転伝導部材36が回転する際、細径挿入部側回転伝導部材36の回転力は、ベベルギヤ85を介して回転スリーブ56に伝達され、回転スリーブ56及びこれに固着された外科的処置部60が先端側支点ブロック58に対してローリング軸線X軸を中心に回転する。この動作が、先端動作部50のローリング動作である。
関節ピン82と、クレビス58b、58cを含む先端側支点ブロック58とは、一体的に細径挿入部側支点ブロック59に対して揺動可能である。
先端動作部50と細径挿入部30との間には、先端動作部50を細径挿入部30に対して非平行な一方向(図示Y軸左右方向又はZ軸上下方向)に傾動させる傾動機構90が設けられる。
傾動機構90は、外筒31内にX軸方向に進退自在に収容され、細径挿入部30内の傾動伝達内筒32の先端部32aに固着される中空状の傾動支点ブロック91と、先端部92aが先端側支点ブロック58の下部ブロック582の内面に突設された円弧状突起582a部に図示Y軸方向に沿って設けられた傾動支点ピン93に回転自在にヒンジ結合され、後端部92bが傾動支点ブロック91の先端部91aにY軸方向に沿って設けられた傾動支点ピン94に回転自在にヒンジ結合される傾動リンク92と、を備える。傾動リンク92は、通常待機時に外面92cがシャフト部30の外筒31の外径以内でX軸に略平行に配置される。この場合、X軸上に在る関節ピン81、82の軸心(傾動主軸、図3のY軸)に対して先端動作部50側の傾動支点ピン92の軸心は偏芯し配置されている。
操作部20側の傾動駆動機構70からの駆動力が傾動伝達内筒32の後端部32bに連結される傾動駆動駒701が、図2及び7に示すように、先端動作部50が図示X軸方向水平状態の通常待機位置からX軸方向後方に後退すると、関節ピン81、82の軸心に対して偏芯している傾動支点ピン92にかかるX軸方向後方へ牽引される駆動力により関節ピン81、82の軸心回りに回転モーメントが発生することから、この実施形態では図9(a)に示すように、先端動作部50が細径挿入部30の主軸X軸に対して非平行な一方向(図示Y軸方向又はZ軸方向)に略90°まで傾動することができる。
図2に示すように、プルワイヤ52と開閉伝達ロッド34とは、細径挿入部側回転伝導部材36の後端部に連結されたローリング伝達内筒34内で相対回転可能であり、且つ開閉伝達ロッド34の後端部方向への牽引力がプルワイヤ52に伝達されるように連結されている。具体的には、プルワイヤ52の後端部52bにはワイヤカラー53が固着され、開閉伝達ロッド34の先端には中空状の捻り止めカラー54が固着され、捻り止めカラー54内にワイヤカラー53が挿通され配置される。ワイヤカラー53は、捻り止めカラー54内でX軸回りに回転可能であるが、捻り止めカラー54の先端に設けられた縮径部54aに引掛ることにより、捻り止めカラー54から抜け止めされる。
このように構成される連結機構35により、開閉伝達ロッド34がX軸方向に進退する際には、連結機構35を介して開閉伝達ロッド34に連結されたプルワイヤ52もX軸方向に進退することにより、外科的処置部60の開閉動作が行われる。また、先端動作部50がローリング動作する際には、プルワイヤ52が開閉伝達ロッド34に対して回転することができるため、先端動作部50のローリング動作に支障がないとともに、プルワイヤ52に捻れ等が発生することがなく、プルワイヤ52の損傷を防止できる。
細径挿入部回転一時保持機構46は、図10に示すように、先端部461aに細径挿入部30の外筒31の後端部31bに外嵌し固着された後述する洗浄ポート101の後端部101bが螺合し固着され、後端部461bが中空膨出部23の先端部に螺合し固着された中空状のダイヤルホルダー29にX軸回りに回転自在に外嵌し装着される細径挿入部回転一時保持ダイヤル461と、細径挿入部回転一時保持ダイヤル461の外面からダイヤルホルダー29の外面に亘り穿設された回転止め穴463に挿通され、細径挿入部回転一時保持ダイヤル461のX軸回りの回転を拘束する回転止め部材462と、細径挿入部回転一時保持ダイヤル461の先端部461aに形成された雌ねじ部461c内からダイヤルホルダー29の中空内に亘り挿通されて固着され、先端部に形成された鍔部464aが雌ねじ部461cの後端面に当設し、細径挿入部回転一時保持ダイヤル461のX軸方向前方への抜け止めとなる抜止め部材464と、からなる。
細径挿入部回転一時保持ダイヤル461の本体後半部には、指が引掛かり易いように、比較的大き目の複数の波形又はスプロケット歯形ひだ461dがX軸方向に沿って形成されている。これにより、容易に細径挿入部回転一時保持ダイヤル461を所望の先端動作部50の回転位相に一時保持することができ、片手による使い勝手の操作性及び使用感を向上させることができる。
例えば、X軸に対して非平行な傾動状態にある外科的処置部60が連結する先端動作部50を手術操作に最適なX軸方向の回転位相に設定した状態で、先端動作部50をローリングするような場合において、予め細径挿入部回転一時保持ダイヤル461を前記最適な(所望の)回転位相に一時保持することにより、手術の操作性及び使用感が向上する。
また、このような細径挿入部回転一時保持機構46により、外科的処置部60が連結する先端動作部50をX軸に対して一方向に非平行に傾動させるこの実施形態による傾動機構90としても、先端動作部50を手術操作に最適なX軸方向の回転位相に自在に一時保持できるので、先端動作部50のX軸に対して一方向及びその反対方向に傾動させる複雑な傾動機構とする必要がなく、傾動機構90の構造を簡潔化及びコンパクト化することができる。
洗浄ポート機構100は、図10に示すように、細径挿入部30の外筒31の後端部31bに外嵌し固着されるとともに後端部に形成された雄ねじ101bが細径挿入部回転一時保持ダイヤル461の先端部461aに形成された雌ねじ461cに螺合し連結される洗浄ポート101と、洗浄ポート101に細径挿入部30の外筒31及び内筒32の内部まで連通するように立設され、細径挿入部30の内部に洗浄液を注入又は手術時の体内から血液などの体液や洗浄液や消毒液などの廃液を吸引し流通させる洗浄ポート口金102と、洗浄ポート口金102の先端開口部を待機時に密封する口金キャップ103と、を備える。洗浄ポート機構100は、公知の鉗子における洗浄ポート機構と同様なものが適用できるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る高機能手術デバイス10Aは、操作部20Aのローリング駆動機構40A及び傾動駆動機構70Aの構成が、図11〜13に示すように、前記実施形態1の高機能手術デバイス10におけるローリング駆動機構40及び傾動駆動機構70の構成とは一部変更される相異点を除いて、その他の構成は前記実施形態1の高機能手術デバイス10と同様である。
したがって、図11〜13において、前記実施形態1と同じ機能・構成を有する部材には、一部形状が異なっていても説明を簡明化するため図1〜10の構成部材と同一の符号を付し(あるいは実施形態1と同一の符号にAを付記し)、実施形態1のローリング駆動機構40及び傾動駆動機構70以外の操作部20、細径挿入部30、外科的処置部60を含む先端動作部50及び関節部80と全く同様の機能・構成を有するので、これらの詳細な説明は省略する。
実施形態2の把持ハンドル21a、開閉用ハンドル22及び開閉用ハンドルロック機構28は、外観形状が前記実施形態1とは異なるが、機能・構成は実施形態1と同様である。
実施形態2のローリング駆動機構40Aは、図11及び12に示すように、実施形態1のローリング駆動機構40における操作部側回転伝導機構を構成する従動ベベルギヤ41、駆動ベベルギヤ42及び手動式のラチェット機構43に替えて、2つの平歯車の組合せによる単段減速型の操作部側回転伝導機構である手動式ギヤ機構43Aを採用するもので、この回転(ローリング)駆動力を先端動作部50に伝達するローリング伝達内筒33の構成は実施形態1と同様である。
ギヤ機構43Aは、中空膨出部23内の後半部に収容され、ローリング伝達内筒33の後端部33bに外嵌し装着されローリング伝達内筒33を回転させる小径の従動回転伝道部材である従動ギヤ41Aと、下半部が中空膨出部23のZ軸方向下部外に露出し配置され、X軸に平行に設けられた回転軸438に回転自在に装着されて従動ギヤ41Aと歯合し従動ギヤ41Aを駆動する大径の駆動回転伝道部材である駆動ギヤ42Aと、駆動ギヤ42AのX軸方向前後両側面に一対略同芯状に固着され、外面に指当ての複数の波形又はスプロケット歯形ひだがX軸方向に沿って形成されたローリング用ダイヤル(ローリング操作部材)433Aと、からなり、部品点数も大幅に削減され構造が簡潔化及び軽量化されるとともに操作性も向上する。
小径の従動ギヤ41Aと大径の駆動ギヤ42Aとは、単段の減速ギヤ機構を構成するため、比較的小さな力で従動ギヤ41Aを回転させることができるので、ひだ付きのローリング用ダイヤル(ローリング操作部材)433Aにより容易にローリング伝達内筒33を介して先端動作部50をX軸回りに時計回り又は反時計回りの両方向に無制限で連続的に回転させることができることから、片手による使い勝手の操作性及び使用感を向上させることができる。
実施形態2の傾動駆動機構70Aは、図13に示すように、実施形態1の傾動駆動機構70における二股状の略V字形傾動用レバー(傾動操作部材)706及びソフトタッチロック機構709におけるロック板709a、ワッシャ710及び押圧ナット711に替えて、ストレート型傾動用レバー706A及びボールプランジャ709Aaによるソフトタッチロック機構709Aを採用するもので、この傾動駆動力を先端動作部50に伝達する傾動駆動アーム704を含むその他の傾動駆動機構の構成並びに傾動操作は前記実施形態1と同様である。
実施形態2のソフトタッチロック機構709Aは、中空膨出部23内の先端側下方部の角部に先端押圧ボール709Abが回転軸705方向に向けて設けられたボールプランジャ709Aaと、傾動駆動アーム704の基端部704bのボールプランジャ709Aaに対向する外面に先端押圧ボール709Abと係合する比較的浅い複数の窪みが形成された凹凸面704cと、からなり、部品点数も少なく構造が簡潔化及び軽量化されるとともに操作性も向上する。
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る高機能手術デバイス10Bは、先端動作部50Bの先端部に取付けられる外科的処置部60Bの構成が、図14に示すように、前記実施形態1の高機能手術デバイス10における先端動作部50の先端部に取付けられる外科的処置部60の構成とは一部変更される相異点を除いて、その他の構成は前記実施形態1の高機能手術デバイス10と同様である。
したがって、図14において、前記実施形態1と同じ機能・構成を有する部材には、一部形状が異なっていても説明を簡明化するため図2の構成部材と同一の符号を付し(あるいは実施形態1と同一の符号にBを付記し)、実施形態1の先端動作部50の先端部に取付けられる外科的処置部60以外の操作部20、細径挿入部30、関節部80及び傾動機構90と全く同様の機能・構成を有するので、これらの詳細な説明は省略する。
実施形態3の外科的処置部60Bは、図14に示すように、上グリップ61B及び下グリップ62Bからなる。上グリップ61Bは、下グリップ62Bに対してピン63により回転可能に連結される。上グリップ61B及び下グリップ62Bの顎部61Ba、62Baには、それぞれ滑り止め用の多数の凹凸が形成された把持面61Bb、62Bbが形成される。下グリップ62Bの略円筒形状の基端部62Bcに上グリップ61Bの基端部61Bcがピン63により回動可能に連結される。上グリップ61Bの把持面61Bbと下グリップ62Bの肥持面62Bbとにより、例えば図示しない縫合針等の把持対象物が把持される。
実施形態3において、先端動作部50Bの主軸がX軸と一致する非傾動状態(図示水平状態)にあるとき、把持面61Bbは、先端動作部50Bの回転(ローリング)軸心であるX軸に対し距離eだけ離反し配置される。また、把持面61Bb、62Bbの双方が噛合わされる状態のX軸方向中央部と、先端動作部50Bと細径挿入部30との間の関節部80の傾動支軸である一対の関節ピン81、82との中心間距離を、把持面61b、62bに把持される図示しない縫合針の湾曲中心の近傍に配置することができる。この配置構成は、本発明による関節部80を含む先端動作部50B関連の機構がコンパクトに構成できることから実現可能となる。これにより、先端動作部50Bを回転(ローリング)させながら行う縫合操作が魚釣りのような感覚で一層スムースに行い易くできる。
上グリップ61Bの基端部61BcのX軸に対してピン63と反対側のZ軸下方に伸びる後端部61Bdが、リンク64を介して回転スリーブ56の中空内にX軸方向に進退自在に収容されたプルロッド65に連結される。後端部61Bdとリンク64、及びリンク64とプルロッド65は、それぞれピン66、67により回転可能に連結される。プルロッド65は、中空状のガイド管部65と、ガイド管部65の後端部65bと、フランジ65bの先端部に固着され先端方向に平行に延出する一対のクレビス65cとを有し、クレビス65cにピン67が嵌着される。
上グリップ61Bと下グリップ62Bとの間には捩りばね68が配置される。実施形態3の捩りばね68は、ピン63に外嵌し装着され、一端68aが上グリップ61Bの中間部に、他端68bが下グリップ62Bの中間部にそれぞれ係着され、上グリップ61BをZ軸上方向に開くように弾性的に常時付勢する。
操作部20の開閉用ハンドル22に対する操作に応じて開閉伝達ロッド34に連結されたプルワイヤ52がX軸後方に後退すると、プルワイヤ52に固定されたクレビス65cによりプルロッド65がX軸後方に牽引され、これにより捩りばね68の付勢力に抗して、プルロッド65がX軸後方に後退する。このプルロッド65のX軸後方への後退に伴い、リンク64に連結された上グリップ61Bが、下グリップ62Bに対して閉じる方向(図示Z軸下方向)に回動させられる。最終的には、上グリップ61Bの把持面61Bbと下グリップ62Bの把持面62Bbとが噛み合わされ接触する位置まで閉じられる。
上グリップ61Bの把持面61Bbと下グリップ62Bの把持面62Bbとが接触する位置まで閉じた状態から、プルワイヤ52及びクレビス65cがX軸方向に前進すると、捩りばね68の弾発力によりプルロッド65がX軸方向に前進するため、リンク64を介して上グリップ61Bが下グリップ62Bに対して開く方向(図示Z軸上方向)に回動し、元の待機状態に復帰する。この動作が、外科的処置部60Bの開閉動作である。
なお、この実施形態3において、外科的処置部60Bは、下グリップ62Bが固定部として構成され、上グリップ61Bが可動部として構成されているが、下グリップ62Bあるいは、例えば公知の鉗子などに見られるように、両万のグリップ61B、62Bを可動部として構成することもできる。
先端動作部50Bが細径挿入部30に対して屈曲した際に、ガイドローラー83によってプルワイヤ52が支持されることにより、プルワイヤ52の屈曲部が、先端動作部50Bの傾動支軸の近傍に保持される。このため、先端動作部50Bが細径挿入部30に対して屈曲(傾動)した際に、先端動作部50B内でプルワイヤ52の先端が前進することを抑制又は防止できる。これにより、先端動作部50Bが傾動状態にあるときも外科的処置部60Bで対象物を把持した状態を好適に維持できる。
本発明の特定の実施形態についての上記説明は、例示を目的として提示したものである。それらは、網羅的であったり、記載した形態そのままに本発明を制限したりすることを意図したものではない。数多くの変形や変更が、上記の記載内容に照らして可能であることは当業者に自明である。
本発明の高機能手術デバイス10、10A、10Bは、外科的処置部60、60Bを有する先端動作部50、50Bの機構を簡潔かつ軽量・コンパクト化し、外科的処置部60、60Bの開閉動作と先端動作部50、50Bの傾動動作を可能な構造を維持しつつ、先端動作部50、50Bの回転範囲が時計方向、反時計方向とも無制限のローリング動作が可能で、機能性及び操作性を向上させた高機能手術デバイスを提供できることから広範な医療業界に貢献できる。
10、10A、10B 高機能手術デバイス
20、20A 操作部
21 把持ハンドル構造
21a 把持ハンドル
21b 胴体部
21c 空間
22 開閉用ハンドル
22a 基端部
23 中空膨出部
23a 上端内面
23b、30b、31b、32b、33b、34b 後端部
25 固定ピン
26 駆動ピン
27 圧縮ばね
28 開閉用ハンドルロック機構
29 ダイヤルホルダー
30 細径挿入部
30a、31a、32a、33a、34a、286a 先端部
31 外筒
32 傾動伝達内筒(傾動伝達部材)
33 ローリング伝達内筒(ローリング伝達部材)
34 開閉伝達ロッド(開閉伝達部材)
35 連結機構
36 細径挿入部側回転伝導部材
36a ベベルギヤ
40、40A ローリング駆動機構
40a 回転伝動機構
41 従動ベベルギヤ(従動回転伝道部材)
41A 従動ギヤ(従動回転伝道部材)
42 駆動ベベルギヤ(駆動回転伝道部材)
42A 駆動ギヤ(駆動回転伝道部材)
43 ラチェット機構
43A 手動式ギヤ機構(操作部側回転伝導機構)
44、45 回転方向切換機構
44a 回転軸
46 細径挿入部回転一時保持機構
50、50B 先端動作部
52 プルワイヤ(開閉伝達ロッド34の屈曲自在部材)
52b、62d、92b 後端部
53 ワイヤカラー
54 捻り止めカラー
54a、56a 縮径部
56 回転スリーブ
56c ベベルギヤ(先端動作部回転伝導部材)
56d 環状凹溝
58 先端側支点ブロック
59 細径挿入部側支点ブロック
59a 筒部
60 細径挿入構造支持ユニット
61、61B 上グリップ
62、62B 下グリップ
61a、61Ba、62a、62Ba 顎部
61b、61Bb、62b、62Bb 把持面
61c、61Bc、281b、285b、286b、433b、706c 基端部
63、67 ピン
64 リンク
65 プルロッド
65a ガイド管部
65b フランジ
65c クレビス
68 捩りばね
68a 一端
69 エンドカラー
69a フランジ部
70、70A 傾動駆動機構
80 関節部
81、82 関節ピン(傾動支軸)
83 ガイドローラー
85 ベルギヤ(中継回転伝導部材)
90 傾動機構
91 傾動支点ブロック
91a、92a 先端部
92 傾動リンク
92c 外面
93 傾動支点ピン
100 洗浄ポート機構
101 洗浄ポート
101b 雄ねじ
102 洗浄ポート口金
103 口金キャップ
281 開閉用ハンドル側フック
281a、288a 鉤歯
281c アーム
281e 鉤歯側平面
282、284、434 固定ピン
283 板ばね
283a、286b 一端
283b 他端
284 回転ピン
284a ヘッドカラー
284b カット面
285 ロック解除レバー
285c、285d 爪
285e ボールプランジャ
286 ロック解除用フック
287 ストップピン
288 把持ハンドル側フック
386 ロック解除用フック
341 ばね受け
342、441、451 圧縮ばね
343a 凹溝
343 開閉駆動駒
344 把持力制御機構
431 固定軸
433 ローリング用レバー(ローリング操作部材)
433A ローリング用ダイヤル(ローリング操作部材)
433b 基端部
433c 穴
434 固定ピン
435 駆動ラチェットフック
435a、437a 先端側爪歯
435b、437b 後端側爪歯
435c、437c 切換歯
436 固定ピン
437 ロックラチェットフック
438 回転軸
441、451 回転方向切換レバー
442、452 穴
443、453 ボールプランジャ
443a、453a 圧縮ばね
443b、453b 切換ボール
461 回転位相設定ダイヤル
461a 先端部
461b 後端部
461c 雌ねじ部
461d ひだ
462 回転止め部材
463 回転止め穴
464 抜止め部材
464a 鍔部
581 上部ブロック
581a、582a 円弧状突起
582 下部ブロック
591 支持ブロック
592、593 支持プレート
594 連結部
702 傾動駆動駒
702a 凹溝
703 駆動ピン
704 傾動駆動アーム
704a、706a、706b 先端部
704c 凹凸面
705 回転軸
706、706A 傾動用レバー(傾動操作部材)
707、708 傾動用レバーストッパーピン
709、709A フトタッチロック機構
709Aa ボールプランジャ
709Ab 先端押圧ボール
709a ロック板
709b、706d 凹凸面
710 ワッシャ
711 押圧ナット
e 距離
Δθ ローリングピッチ角度

Claims (11)

  1. 外径及び長さが設定自在で、主軸であるX軸、近位端すなわち後端及び遠位端すなわち先端を有し、生体内に挿入される細径挿入部と、
    先端部に開閉動作が可能な把持面を備える外科的処置部を有し、X軸回りの両方向に無制限のローリングが可能で、前記細径挿入部に対してX軸に直交し設けられる傾動支軸周りに傾動動作が可能な関節部を介して連結される先端動作部と、
    前記細径挿入部の後端部が前記X軸回りの回転が一時保持可能に連結される細径挿入部回転一時保持機構、前記外科的処置部の開閉動作を行う開閉駆動機構、前記先端動作部のローリング動作を行うローリング駆動機構、前記先端動作部を前記傾動支軸周りの傾動動作を行う傾動駆動機構及び前記開閉駆動機構を介して前記外科的処置部を開閉させる開閉用ハンドルを有する操作部と、を備える高機能手術デバイスであって、
    前記細径挿入部は、
    前記傾動駆動機構に連結されX軸方向に進退移動可能な傾動伝達部材と、
    前記ローリング駆動機構に連結されX軸回りに回転可能なローリング伝達部材と、
    前記開閉駆動機構に連結されX軸方向に進退移動可能な開閉伝達部材と、を備える複合構造が形成され、
    前記関節部には、
    前記ローリング伝達部材の先端部に回転可能に連結される細径挿入部側回転伝導部材と、 前記傾動支軸周りに回転自在に設けられ前記細径挿入部側回転伝導部材と係合する中継回転伝導部材と、
    前記先端動作部内に前記X軸回りに回転自在に設けられ前記中継回転伝導部材と係合する先端動作部回転伝導部材と、からなる回転伝導機構が設けられ、
    前記開閉伝達部材は、少なくとも前記関節部部に挿通される部分が屈曲自在部材からなり、
    前記傾動支軸と前記外科的処置部の把持面との中心間距離が縫合針の湾曲中心の近傍に配置される、ことを特徴とする高機能手術デバイス。
  2. 前記細径挿入部は、
    外筒と、
    前記外筒内にX軸方向に進退移動可能に挿通される前記傾動伝達部材である傾動伝達内筒と、
    前記傾動伝達内筒内にX軸回りに回転可能に挿通される前記ローリング伝達部材であるローリング伝達内筒と、
    前記ローリング伝達管内にX軸方向に進退移動可能に挿通される開閉伝達部材である開閉伝達ロッドと、からなる多重管構造が形成される、ことを特徴とする請求項1記載の高機能手術デバイス。
  3. 前記細径挿入部と前記先端動作部との間には、
    前記傾動伝達部材の先端部と前記先端動作部とに連結されるリンク機構が前記傾動支軸に対して偏芯し配置され、
    前記傾動伝達部材のX軸方向の進退移動に伴って前記先端動作部をX軸に対して所定の傾動角範囲内で揺動させる先端動作部側傾動機構が設けられる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高機能手術デバイス。
  4. 前記先端動作部の傾動支軸の近傍であって、前記先端動作部の傾動方向側に配置され、前記開閉伝達部材の屈曲自在部材部をガイドするガイド部が設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  5. 前記外科的処置部は、グリッパ機構の開き方向もしくは閉じ方向に付勢するばね部材が設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  6. 前記先端動作部の閉じ合わさられた状態の把持面が前記先端動作部の主軸に対し離反するとともに、前記把持面と前記傾動支軸との中心間距離が縫合針の湾曲中心の近傍に配置される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  7. 前記傾動支軸は、前記開閉伝達部材の屈曲自在部材部がX軸方向に進退可能な空間が設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  8. 前記先端動作部が前記細径挿入部に対して傾動状態においても、前記開閉駆動機構からの開閉駆動力が前記開閉伝達部材を介して前記関節部におけるガイド部に屈曲ガイドされる開閉伝達部材の屈曲自在部材に伝達されることにより、前記外科的処置部の正常な開閉動作が可能に維持される、ことを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか1項記記載の高機能手術デバイス。
  9. 前記ローリング駆動機構は、前記ローリング伝達部材の後端部に装着される従動回転伝道部材及び前記従動回転伝道部材に係合する駆動回転伝道部材からなる操作部側回転伝導機構及び前記駆動回転伝道部材を回転させるためのローリング操作部材からなり、
    このローリング操作部材に加えられる回転力が前記操作部側回転伝導機構、ローリング伝達部材を介して前記関節部の回転伝道機構に伝達され、
    前記先端動作部が前記細径挿入部に対して傾動状態においても、前記関節部におけるガイド部に屈曲ガイドされる開閉伝達部材の屈曲自在部材により前記外科的処置部の開閉動作に影響を与えることなく、前記先端動作部を時計回り、反時計回りの両方向とも無制限のローリング動作が可能である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  10. 前記操作部には、前記先端動作部が前記先端動作部側傾動機構側の傾動可能に取付けられる前記細径挿入部をX軸回りに任意の回転角度に一時保持するための細径挿入部回転一時保持機構がさらに備えられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の高機能手術デバイス。
  11. 前記開閉駆動機構の駆動操作を行う開閉操作部、前記ローリング駆動機構の駆動操作を行うローリング操作部、前記傾動駆動機構の駆動操作を行う傾動操作部及び前記細径挿入部回転一時保持機構の駆動操作を行う細径挿入部回転一時保持操作部が全て前記操作部に集中し配置される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の超高機能手術デバイス。

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