以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図2で紙面に直交する方向を正面視とし、この方向を基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
<画像形成装置の構成>
まず、本願発明の実施形態における画像形成装置の全体構成について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の外観斜視図であり、図2は、当該画像形成装置の内部構成を示す概略図である。
画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、原稿P1から画像を読み取る画像読取部3と、画像が形成される記録紙P2を収納する給紙トレイ4と、給紙トレイ4から給紙された記録紙P2にトナー画像を転写する転写部5と、転写部5で転写されたトナー画像を記録紙P2に定着させる定着部6と、定着部6で定着されて画像が形成された記録紙P2が排紙される排紙トレイ7と、画像形成装置1への操作を受け付ける操作パネル9と、を備える。この画像形成装置1において、その装置本体2上部に画像読取部3が設けられるとともに、この画像読取部3の下側に転写部5が設けられる。
そして、排紙トレイ7が、転写部5及び定着部6で画像記録されて排紙された記録紙P2を受けるために、装置本体2における転写部5の上側に設けられるとともに、給紙トレイ4が、装置本体2における転写部5の下側で挿抜可能に構成される。このように構成されることで、後述するように、給紙トレイ4に収納された記録紙P2が装置本体2内部に給紙された後、上昇搬送されることによって、給紙トレイ4の上部に配置された転写部5で画像が転写されて定着部6で定着された後、画像読取部3と転写部5との間の空間(凹みスペース)に設けられた排紙トレイ7に排紙される。
装置本体2上部に設けられる画像読取部3は、原稿P1からの画像を読み取るスキャナー部31と、スキャナー部31の上部に設けられるとともにスキャナー部31に原稿P1を1枚ずつ搬送させる自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)32とを備える。又、装置本体2の正面側(前面側)には、操作パネル9が設けられる。そして、ユーザーは、この操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることで、画像形成装置1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、画像形成装置1に作業実行を指示したりできる。
次に、図2を参照して、装置本体2の内部構造について説明する。装置本体2の上部にある画像読取部3のうちスキャナー部31は、上面側にプラテンガラス(不図示)を有する原稿台33と、原稿P1に対して光を照射する光源部34と、原稿P1からの反射光を画像データに光電変換するイメージセンサー35と、反射光をイメージセンサー35上に結像させる結像レンズ36と、原稿P1からの反射光を順次反射させて結像レンズ36に入射させるミラー群37とを備えている。光源部34、イメージセンサー35、結像レンズ36及びミラー群37は原稿台33の内部に設けられるともに、光源部34及びミラー群37は原稿台33に対して左右方向に移動可能に構成される。
又、スキャナー部31の上面側には、ADF32が原稿台33に対して開閉可能に設けられている。ADF32は、原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿P1に覆い被さることによって原稿P1をプラテンガラス(不図示)に密着させる働きも有する。ADF32は、原稿載置トレイ38と原稿排出トレイ39とを備えている。
このような構成の画像読取部3において、原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿P1を読み取る場合は、右方向(副走査方向)に移動する光源部34から原稿P1に光が照射される。原稿P1から反射した反射光は、光源部34と同じく右方向に移動するミラー群37で順次反射されて結像レンズ36に入射し、イメージセンサー35上に結像される。イメージセンサー35は、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行して、原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。
一方、原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を読み取る場合、当該原稿P1は複数のローラー等で構成される原稿搬送機構40によって読取位置に搬送される。このとき、スキャナー部31の光源部34及びミラー群37は、原稿台33内部の所定位置に固定される。従って、光源部34により原稿P1の読取位置部分に光が照射され、その反射光がスキャナー部31のミラー群37及び結像レンズ36を介してイメージセンサー35上に結像される。そして、イメージセンサー35が原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換する。その後、原稿P1は原稿排出トレイ39に排出される。
トナー画像を記録紙P2に転写する転写部5は、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Kuro)各色のトナー画像を生成する作像部51と、作像部51それぞれの下方に設けられた露光部52と、水平方向に並んだ各色の作像部51と当接することで作像部51から各色のトナー画像が転写される中間転写ベルト53と、作像部51と中間転写ベルト53を挟持するように各色の作像部51それぞれに対して上側に対向する位置に設けられた一次転写ローラー54と、中間転写ベルト53を回動させる駆動ローラー55と、駆動ローラー55の回転が中間転写ベルト53を通じて伝達することで回転する従動ローラー56と、中間転写ベルト53を挟んで駆動ローラー55と対向する位置に設置される二次転写ローラー57と、中間転写ベルト53を挟んで従動ローラー56と対向する位置に設置されるクリーナー部58とを、備える。
作像部51は、中間転写ベルト53の外周面と当接する感光体ドラム61と、感光体ドラム61の外周面をコロナ放電により帯電させる帯電器62と、攪拌して帯電させたトナーを感光体ドラム61の外周面に付着させる現像器63と、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した後に感光体ドラム61の外周面に残留するトナーを除去するクリーナー部64と、を備える。このとき、感光体ドラム61は、中間転写ベルト53を挟んで、一次転写ローラー54と対向する位置に設置されるとともに、図2における時計回りの方向に回転する。そして、感光体ドラム61の周囲には、一次転写ローラー54、クリーナー部64、帯電器62、及び現像器63が、感光体ドラム61の回転方向に沿って、順番に配置されている。
又、中間転写ベルト53は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成され、駆動ローラー55及び従動ローラー56に緩みの無い状態で巻き掛けられることで、駆動ローラー55の回転に従って、図2において反時計回りの方向に回動する。そして、中間転写ベルト53の周囲には、中間転写ベルト53の回転方向に沿って、二次転写ローラー57、クリーナー部58、YMCK各色の作像部51それぞれが順番に配置されている。そして、中間転写ベルト53の外周側には、中間転写ベルト53上のトナー濃度を検出するトナー濃度検出器(濃度センサー)11が、作像部51(K)と二次転写ローラー57との間となる位置に配置される。トナー濃度検出器11は、受発光素子で構成される光学式センサーであって、中間転写ベルト53表面(外周面)に照射した光の反射光量に基づいて、中間転写ベルト53表面のトナー濃度を測定する。
トナー濃度検出器11は、例えば、可視光又は赤外光を中間転写ベルト53表面に対して斜めに照射する発光ダイオード等からなる発光素子と、中間転写ベルト53表面からの反射光を受光するフォトダイオード等からなる受光素子とから構成される。尚、トナー濃度検出器11は、発光素子及び受光素子それぞれには、発光側レンズや受光側レンズの光学系素子が設けられている。このような構成のトナー濃度検出器11によれば、中間転写ベルト53表面へのトナー付着量が多いと、トナーにより光が吸収又は乱反射されるため、受光する中間転写ベルト53表面からの反射光量が減少するため、トナー濃度検出値となる出力値(電圧値)が低下する。
更に、記録紙P2に転写されたトナー画像を定着させる定着部6は、記録紙P2上のトナー画像を定着させるべく加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー59と、記録紙P2を加熱ローラー59と共に挟持して記録紙P2を加圧する加圧ローラー60とを備える。尚、加熱ローラー59は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、加熱ローラー59表面が加熱されるものであってもよい。
複数の給紙トレイ4を備える給紙装置8は、給紙トレイ4に収納された記録紙P2を最上層から搬送路R1に繰り出す繰り出しローラー81を備える。主搬送路R0は画像形成(印刷)の工程を経る記録紙P2の主たる通り道である。又、給紙路R1は給紙トレイ4毎に設けられるとともに、各給紙路R1は主搬送路R0に合流している。各給紙トレイ4内の記録紙P2は、対応する繰り出しローラー81の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1に送り出された後、主搬送路R0に向けて送り出される。
装置本体2における左右方向の一側部(実施形態では右側部)には、外部から所定サイズの記録紙P2を給紙可能な手差しトレイ93が設けられている。手差しトレイ93は、装置本体2内にある通常の給紙トレイ4とは別に補助的に設けられたものであり、装置本体2における左右方向の一側部に対して開閉回動可能に取り付けられている。手差しトレイ93上の記録紙P2は、繰り出しローラー等の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、手差し給紙路R2経由で主搬送路R0に向けて送り出される。更に、主搬送路R0の最下流となる終端部分には、印刷済の記録紙P2を排出する排紙ローラー対91が配置される。印刷済の記録紙P2は、排紙ローラー対91の回転駆動によって排紙トレイ7に排出される。
画像形成装置1は、図3に示す構成の制御部10を備え、この制御部10によって、画像形成装置1を構成する各部が制御され、記録紙P2への印字動作や原稿P1からの画像読取動作などの各種動作が実行される。この制御部10は、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)101と、制御プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)102と、演算データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)103と、転写部5で形成させるトナー画像の基となる画像データを生成する画像処理部104と、画像処理部104で得られた画像データを一時的に記憶する画像メモリ105と、画像形成装置1を構成する各部との間で信号の送受信を行う入出力インターフェース106と、画像処理部104において画像データに対するガンマ補正処理を施す際に参照するガンマ補正テーブル120とを備える。
このように構成される制御部10は、操作パネル9が受け付けた操作に応じた信号を受信すると、CPU101は、操作パネル9で受け付けた操作に基づく動作を認識する。同様に、制御部10は、入出力インターフェース106により、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク110を介して外部端末などから送信される信号を受信すると、外部端末で指定された動作を認識する。これにより、CPU101は、操作パネル9又は外部端末を介して指定された動作に基づく制御プログラムをROM102から読み出し、該制御プログラムに基づいてCPU101が動作する。
このとき、CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムに基づき、画像読取部3、露光部52、転写部5、定着部6、及び給紙装置8のそれぞれを駆動制御する画像読取制御部113、露光制御部114、転写制御部115、定着制御部116、及び給紙制御部118それぞれに信号を出力する。従って、画像形成装置1は、制御部10から、画像読取制御部113、転写制御部115、定着制御部116、及び給紙制御部118それぞれに信号が与えられることにより、指定された動作に応じて、画像読取部3、露光部52、転写部5、定着部6、及び給紙装置8のそれぞれが駆動する。
<印刷動作>
次に、画像形成装置1による印刷動作について、以下に説明する。画像形成装置1は、操作パネル9又は外部端末によって、印刷動作を行うように指示を受けると、制御部10において、CPU101が印刷動作のための制御プログラムをROM102から読み出して、印刷動作のための制御動作を開始する。即ち、CPU101は、まず、給紙制御部118を制御することで、給紙装置8を動作させる。これにより、給紙装置8は、繰り出しローラー81を駆動させて、給紙トレイ4から最上層の記録紙P2を繰り出して、搬送路R1へ送り出す。給紙トレイ4から搬送路R1へ給紙された記録紙P2は、縦搬送ローラー対84によって、主搬送路R0から縦搬送路R1へ送り出される。
又、CPU101は、主搬送路R1へ送り出された記録紙P2へトナー画像を転写すべく、露光制御部114及び転写制御部115を駆動制御する。このとき、CPU101は、画像読取制御部113を通じて画像読取部3で原稿P1より読み取られた画像信号、又は、入出力インターフェース106を通じて外部端末より受信した画像信号を、画像処理部103に与える。
これにより、画像処理部103では、与えられた画像信号に基づいて、Y、M、C、K各色のトナー画像を形成するための画像データを生成し、画像メモリ105に記憶させる。このとき、画像処理部103は、ガンマ(γ)補正テーブル120を参照することで、与えられた画像信号に対するガンマ補正処理も実行している。このガンマ補正テーブルは、画像信号におけるデータ階調に対するトナー画像濃度(印字出力値)が図4に示す関係となるように、画像信号をデータ変換するためのものである。尚、ガンマ補正テーブル120のテーブル構成(要素)については、後述の階調補正用設定部119により、装置本体2の環境に合わせた値に補正される。又、ガンマ補正テーブル120は、Y、M、C、K各色に対するテーブルを備えるとともに、装置本体2の環境に合わせたテーブル以外に基準となるテーブルを備えた構成となる。
画像メモリ105に記憶されたY、M、C、K各色の画像データは、CPU101より読み出されて、露光制御部114に与えられる。従って、露光制御部114が、Y、M、C、K各色の画像データに基づいて、露光部52内の発光素子(不図示)を駆動させることで、Y、M、C、K各色の感光体ドラム61に静電潜像を形成する。即ち、転写制御部115が転写部5を駆動させるため、Y、M、C、K各色の作像部51において、帯電器62によって帯電させた感光体ドラム61の表面に露光部52からレーザー光が照射され、Y、M、C、K各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
この静電潜像が形成された感光体ドラム61の表面に、現像器63で帯電したトナーが移り、第1の像担持体となる感光体ドラム61にトナー画像が形成される(現像)。そして、感光体ドラム61の表面に担持されて顕像化されたトナー画像が、中間転写ベルト53と接触する際、一次転写ローラー54に印加した転写電流もしくは転写電圧によって、中間転写ベルト53に転写されるため、第2の像担持体となる中間転写ベルト53の表面に、Y、M、C、K各色が重なったトナー画像が形成される(一次転写)。一方、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した感光体ドラム61に残った未転写トナーは、クリーナー部64にて掻き取られ、感光体ドラム61上から取り除かれる。
又、主搬送路R0に搬送された記録紙P2は、その先端が記録紙検出部88で検出されると、その検出結果が転写制御部115に与えられるため、記録紙P2がタイミングローラー対87に到達したことを、転写制御部115が認識する。転写制御部115は、中間転写ベルト53にトナー画像が転写されるタイミングに合わせて、タイミングローラー対87を動作させる。このとき、中間転写ベルト53に転写されたトナー画像は、駆動ローラー55及び従動ローラー56によって中間転写ベルト53が回転することで、二次転写ローラー57と当接する転写ニップ領域まで移動し、主搬送路R0上の転写ニップ領域に搬送される記録紙P2に転写される(二次転写)。トナー画像を記録紙P2に転写した中間点転写ベルト53に残った未転写トナーは、クリーナー部58にて掻き取られ、中間点転写ベルト53上から取り除かれる。
そして、二次転写ローラー57との当接位置でトナー画像が転写された記録紙P2は、加熱ローラー59及び加圧ローラー60による定着部6に搬送される。このとき、CPU101は、定着部6に搬送される記録紙P2上のトナー画像を定着させるべく、定着制御部116を駆動制御する。即ち、定着制御部116が、加熱ローラー59及び加圧ローラー60の回転動作を制御すると同時に、加熱ローラー59の加熱動作を制御する。
これにより、未定着トナー像を載せた記録紙P2は、定着部6の定着ニップ部を通過する際に、加熱ローラー59による加熱及び加圧ローラー60による加圧が施されて、未定着トナー像が紙面に定着される。そして、トナー像定着後(片面印刷後)の記録紙P2は、排紙ローラー対91まで搬送されると、排紙ローラー対91により排紙トレイ7に排出される。
<データ補正処理>
上記の印字動作を制御する制御部10は、図3に示すように、トナー濃度検出部11の検出結果に応じてガンマ補正テーブル120のデータを補正する階調補正用設定部119を更に備えている。以下、このガンマ補正テーブル120におけるデータの補正処理(以下、「データ補正処理」と呼ぶ。)を、図面を参照して説明する。
制御部10において、CPU101がデータ補正処理の実行を開始すると、まず、図5のフローチャートに示すように、階調補正用にトナー濃度を検出するべく、濃度検出用トナーパターン(濃度検出用トナー画像)を中間転写ベルト53上に形成する(STEP1)。即ち、CPU101より指令を受けた露光制御部114及び転写制御部115が、露光部52及び転写部5を駆動させて、中間転写ベルト53の表面上には、Y、M、C、K各色の濃度検出用トナーパターンが形成されることとなる。
このとき、制御部10において、画像処理部104は、ガンマ補正テーブル120を参照して、濃度検出用トナーパターンによる画像データ(濃度検出用画像データ)をY、M、C、K各色について生成し、画像メモリ105に格納する。そして、Y、M、C、K各色の濃度検出用画像データが、露光制御部114に与えられることにより、感光体ドラム61に濃度検出用画像データによる静電潜像が生成される。そのため、現像器63で帯電したトナーによる濃度検出用トナーパターンが、感光体ドラム61上に形成される。その後、転写制御部115により一次転写ローラー54に転写電位が与えられることで、中間転写ベルト53に、感光体ドラム61上の濃度検出用トナーパターンが転写される。
濃度検出用トナーパターンPt0は、図6に示すように、中間転写ベルト53において、トナー濃度検出器11からの光照射を受ける位置(図2の構成において、トナー濃度検出器11の直上位置)を中心として所定の幅のラインパターンとして構成される。この濃度検出用パターンPt0は、中間調とする所定階調に応じたトナー濃度の画像パターンによる切り出しパターン(第1パターン)Pt1と、画像信号の階調を最低値(白ベタ)から最高値(黒ベタ)まで連続的に変化させた連続階調パターン(第2パターン)Pt2とを一列に配置した構成としている。そして、切り出しパターンPt1と連続階調パターンPt2との間には、間隔が設けられている。換言すれば、切り出しパターンPt1と連続階調パターンPt2との挟まれた領域には、最低階調による画像パターン(白ベタによる画像パターン)が形成される。
上記STEP1で形成された濃度検出用トナーパターンPt0が、中間転写ベルト53によりトナー濃度検出器11による検出位置まで搬送される。そして、トナー濃度検出器11が濃度検出用トナーパターンPt0の各位置のトナー濃度を連続的に検出し、制御部10において、検出したトナー濃度に基づき、画像信号の各階調におけるトナー濃度を検出する(STEP2)。このとき、CPU101がトナー濃度検出器11からの検出結果を階調補正用設定部119に与える。そして、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt1により得られる、連続的に変化するトナー濃度検出値に基づき、各階調毎のトナー濃度(実転写されるトナー濃度)を認識する。
その後、階調補正用設定部119は、検出した各階調毎のトナー濃度に基づいて、ガンマ補正テーブル120における各階調毎のガンマ補正後のデータ値(制御パラメーター)を変換し、ガンマ補正テーブル120を更新する(STEP3)。即ち、階調補正用設定部119は、各階調の検出濃度と理想濃度とを比較し、その比較結果に基づいて、ガンマ補正テーブル120におけるガンマカーブ(図4参照)を、装置本体2における装置環境に応じたものに補正することで、ガンマ補正テーブル120を更新する。
ところで、画像信号の階調とトナー濃度検出器11の出力値(トナー濃度検出値)との関係は、図7に示すような関係となる。即ち、最低階調「0」の場合は、中間転写ベルト53にはトナーが未着の状態であるため、トナー濃度検出値が最大値D1maxとなる。そして、画像信号の階調が大きくなるにつれて、中間転写ベルト53上のトナー濃度の増加に伴い、トナー濃度検出器11での受光量が減少するため、トナー濃度検出値は対数関数的に減少し、最高階調ではトナー濃度検出値が最低値D1minとなる。尚、本実施形態では、画像信号の階調が256階調であり、最低階調を「0」、最高階調を「255」とするものとする。
上記STEP2における濃度検出用トナーパターンPt0の検出動作について、図8及び図9を参照して、以下に説明する。濃度検出用トナーパターンPt0の検出動作が開始されると、図8のフローチャートに示すように、トナー濃度検出器11が、中間転写ベルト53上の切り出しパターンPt1を検出する(STEP201)。この切り出しパターンPt1は、図9に示すように、画像信号の所定階調Th1に基づくトナーパターンであって、中間転写ベルト53の移動方向(副走査方向)に沿ったパターン長さL1(転写幅L1)が、トナー濃度検出器11の検出スポット径(R1)に対して十分に大きな長さとされる。即ち、切り出しパターンPt1のパターン長さL1は、トナー濃度検出器11による複数回の検出値が連続して同等となるように設定することで、切り出しパターンPt1におけるトナー濃度を特定できる。
又、図9に示すように、トナー濃度検出器11による切り出しパターンPt1の検出開始位置L1sは、中間転写ベルト53の移動方向に沿って、切り出しパターンPt1の作像開始位置(中間転写ベルト53上のパターン形成開始位置に相当する)L1xよりも前側(トナー画像搬送方向の下流側)となる。一方、トナー濃度検出器11による切り出しパターンPt1の検出終了位置L1eは、中間転写ベルト53の移動方向に沿って、切り出しパターンPt1の作像終了位置(中間転写ベルト53上のパターン形成終了位置に相当する)L1yよりも後側(トナー画像搬送方向の上流側)となる。即ち、中間転写ベルト53に対する切り出しパターンPt1の検出領域(L1s〜L1e)内に、切り出しパターンPt1の転写領域(L1x〜L1y)が存在することとなる。
尚、トナー濃度検出器11は、所定タイミング毎にトナー濃度の検出を行い、そのトナー濃度検出値を制御部10に出力するため、中間転写ベルト53の移動方向に沿って所定間隔毎に、濃度検出用トナーパターンPt0に対するトナー濃度の検出が実行される。そして、階調補正用設定部119は、切り出しパターンPt1の検出領域(L1s〜L1e)において等間隔に位置する検出位置それぞれに対して、トナー濃度検出器11からのトナー濃度検出値を、STEP202における演算のために一時的に記憶する。
STEP201の検出動作後、階調補正用設定部119は、切り出しパターンPt1の検出領域(L1s〜L1e)トナー濃度検出器11の検出値に基づいて、所定階調Th1におけるトナー濃度Dth1を取得する(STEP202)。ところで、上記切り出しパターンPt1の検出領域におけるトナー濃度検出器11の検出値は、図9に示すように、最低階調(0)に対応する値Dx1から、所定階調Th1に対応する値Dth1に変化する。そして、トナー濃度検出器11の検出値は、所定階調Th1に対応する値Dth1を維持した後、最低階調(0)に対応する値Dx1に変化する。このとき、階調補正用設定部119は、検出領域(L1s〜L1e)における複数の検出値に対して、上下限点削除処理を行うことによって、所定階調Th1を取得して記憶する。
又、トナー濃度検出器11の検出値が値Dth1で一定となる区間Lp1は、図9に示すように、トナー濃度検出器11の検出スポット内(スポット径R1による領域内)のトナー濃度が一定となる区間であり、切り出しパターンPt1の転写領域(L1x〜L1y)の領域内となる。従って、STEP202において、階調補正用設定部119では、トナー濃度検出器11の検出値の変化量の小さい区間を確認することで、トナー濃度検出器11の検出値が一定となる区間Lp1を認識し、当該区間Lp1の検出値よりトナー濃度Dth1を取得するものとしてもよい。尚、図9におけるトナー濃度は、トナー濃度検出器11の出力値を表すものである。
トナー濃度検出器11は、切り出しパターンPt1の検出後に所定時間が経過すると、連続階調パターンPt2を検出する(STEP203)。これにより、階調補正用設定部119は、トナー濃度検出部11による連続階調パターンPt2における検出値を、CPU101より受けることとなる。この連続階調パターンPt2は、図9に示すように、画像信号の階調を最低階調(0)から最高階調(255)まで1階調毎に変化させるトナーパターンであって、各階調毎の中間転写ベルト53の移動方向に沿ったパターン長さが、トナー濃度検出器11の検出スポット径(R1)に対して長く設定される。又、連続階調パターンPt2のパターン長さは、切り出しパターンPt1のパターン長さL1よりも長くなる。
即ち、トナー濃度検出器11は、連続階調パターンPt2により、画像信号における全階調(256階調)それぞれに対するトナー濃度を、最低階調(0)に対応する値Dx1から最高階調(255)に対応する値Dx2まで順番に検出できる。そして、連続階調パターンPt2における各階調のパターン長さが検出スポット径(R1)より長いので、トナー濃度検出器11により階調毎のトナー濃度を正確に掲出できる。又、切り出しパターンPt1と連続階調パターンPt2との間の間隔L3は、トナー濃度検出器11の検出スポット径R1に比べて十分に長くなるように設定される。これにより、トナー濃度検出器11の検出スポットの大きさに左右されることなく、トナーパターンPt1の作像終了位置L1yとトナーパターンPt2の作像開始位置L2xとを識別できる。
又、図9に示すように、トナー濃度検出器11による連続階調パターンPt2の検出開始位置L2sは、中間転写ベルト53の移動方向に沿って、連続階調パターンPt2の作像開始位置L2x(最低階調(0)によるトナーパターン)よりも前側(トナー画像搬送方向の下流側)となる。一方、トナー濃度検出器11による連続階調パターンPt2の検出終了位置L2eは、中間転写ベルト53の移動方向に沿って、連続階調パターンPt2の作像終了位置L2y(最高階調(255)によるトナーパターン)よりも後側(トナー画像搬送方向の上流側)となる。即ち、中間転写ベルト53に対する連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)内に、切連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)が存在することとなる。
このとき、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)において等間隔に位置する検出位置それぞれのトナー濃度検出値を、CPU101を通じて、トナー濃度検出器11より受ける。尚、連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)においては、トナー濃度検出器11による検出位置の間隔に合わせて階調を変化させたパターンが形成されるものとしてもよい。即ち、検出位置がNカ所毎(Nは、1以上の自然数)に変化する毎に、階調が1つ変化したパターンが形成される。
これにより、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)において等間隔に位置する検出位置それぞれに対して、トナー濃度検出器11からのトナー濃度検出値を、STEP204における演算のために一時的に記憶する。その上で、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)において等間隔に位置する検出位置それぞれに対しては、1階調ずつ段階的に変化させたトナー濃度検出値を記憶できる。
STEP203の検出動作後、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)における各検出位置におけるトナー濃度検出値を参照して、切り出しパターンPt1より特定されたトナー濃度Dth1となる検出位置Lth1を特定する(STEP204)。即ち、階調補正用設定部119は、記憶した連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)における各検出位置のトナー濃度検出値から、トナー濃度Dth1と同等になるトナー濃度検出値を検索する。そして、階調補正用設定部119は、その検索結果に基づいて、所定階調Th1によるトナー濃度となるパターンの作像位置(中間転写ベルト53上のパターン形成位置に相当する)である検出位置Lth1(以下、「所定階調位置Lth1」とする。)を特定する。
階調補正用設定部119は、特定した所定階調位置Lth1に基づいて、最低階調(0)及び最高階調(255)それぞれに対応する作像開始位置L2x及び作像終了位置L2yを特定する(STEP205)。これにより、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の検出領域(L2s〜L2e)における、転写領域外となる領域(L2s〜L2x)及び領域(L2y〜L2e)を認識できる。即ち、階調補正用設定部119は、連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)を認識し、濃度検出用トナーパターンPt0から連続階調パターンPt2の切り出すことができる。
階調補正用設定部119は、STEP205で特定した作像開始位置L2x及び作像終了位置L2yより、連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)における、各階調の検出位置を特定することで、各階調のトナー検出濃度を認識する(STEP206)。即ち、階調補正用設定部119は、特定した作像開始位置L2x及び作像終了位置L2yより、連続階調パターンPt2の転写領域(L2x〜L2y)における、全階調(256階調)それぞれに応じた検出位置を特定する。そして、階調補正用設定部119は、最低階調(0)から最高階調(255)までの各階調の検出位置に基づき、その検出位置と合わせて記憶したトナー濃度検出値を認識することで、各階調のトナー濃度検出値を特定する。
このように、STEP206で各階調のトナー濃度検出値を特定することで、STEP2における階調毎のトナー濃度の検出が終了すると、図5におけるSTEP3に移行し、上述したように、階調補正用設定部119が、検出結果に基づいて、ガンマ補正テーブル120を更新する。そして、制御部10は、濃度検出用トナーパターンPt0に基づく、ガンマ補正テーブル120の更新を完了することで、データ補正処理を終了する。
上記のように、濃度検出用トナーパターンPt0を用いてデータ補正処理を行う際、切り出しパターンPt2のトナー濃度を決定する所定階調Th1は、トナー濃度検出値(出力値)の変化の大きくない階調とすることが好ましい。例えば、各階調に対する正規化したトナー濃度(転写濃度)に対するトナー濃度検出値に基づき、転写濃度に対するトナー濃度検出値の変化率(傾き)の絶対値を求めたとき、トナー濃度検出値の変化率は、図10のグラフのように変化する。このとき、転写濃度に対するトナー濃度検出値の変化率の絶対値が1±ΔX(例えば、ΔX=0.4)となる範囲の階調(X1〜X2)により、所定階調Th1を設定するものとしてもよい。又、トナー濃度を表す反射濃度が0.5以上0.9以下となる範囲の階調により、所定階調Th1を設定するものとしてもよい。
尚、本実施形態において、データ補正処理を行うためのトナーパターンとして、図6に示すような濃度検出用トナーパターンが中間転写ベルト53に形成されるものとしたが、階調を段階的に変化させた連続階調パターンと、当該連続階調パターンの切り出し位置を決定する切り出しパターンとで構成されているものであればよい。即ち、図11(a)に示す濃度検出用トナーパターンPt0aのように、例えば、所定階調Th1による切り出しパターンPt1と、最高階調から最低階調に段階的に変化させた連続階調パターンPt2aとで構成されるものとしても構わない。
又、切り出しパターン及び連続階調パターンのトナー濃度の検出領域について指定された位置となるため、連続階調パターンのトナー濃度検出を行った後に切り出しパターンのトナー濃度検出を行ったとしても、切り出しパターンより特定される所定階調Th1のトナー濃度検出値Dth1に基づいて、連続階調パターンの転写領域を特定できる。即ち、図11(b)に示す濃度検出用トナーパターンPt0bのように、連続階調パターンPt2の後に切り出しパターンPt1が中間転写ベルト53に形成されるものとしても構わない。このとき、連続階調パターンPt2については、図11(a)の例における連続階調パターンPt2aに置換されるものであってもよい。
更に、切り出しパターンについても、所定階調Th1による1階調に対応するトナー濃度のパターンで形成されるものに限らず、複数階調を段階的に変化させるパターンで形成されるものであってもよい。即ち、図11(c)に示す濃度検出用トナーパターンPt0cのように、切り出しパターンPt1の代わりに、所定階調Th1を中心として複数階調を段階的に変化させた切り出しパターンPt1cを有すものとしても構わない。このとき、切り出しパターンPt1cを形成する複数階調の内の中心階調Th1は、図10における変化率が1±ΔX(例えば、ΔX=0.4)となる範囲の階調(K1〜K2)によりするものとしてもよい。又、トナー検出値となる反射濃度が0.5以上0.9以下となる範囲の階調により、上記中心階調Th1を設定するものとしてもよい。
上述したように、ガンマ補正テーブル120は、Y、M、C、K各色に対するテーブルを備えるため、本実施形態のように、トナー濃度検出器11を1つだけ配置した構成の場合、図12に示すように、Y、M、C、K各色の濃度検出用トナーパターンPt0(Y),Pt0(M),Pt0(C),Pt0(K)が一列に配置される。これにより、濃度検出用トナーパターンPt0(Y),Pt0(M),Pt0(C),Pt0(K)が、トナー濃度検出器11により検出されるため、トナー濃度検出器11のガンマ補正テーブル120が順番に更新される。
又、図14(a)に示すように、中間転写ベルト53のベルト幅方向(主走査方向)に2つのトナー濃度検出値11が並んで配置される場合は、2つのトナー濃度検出値11それぞれの検出位置それぞれを濃度検出用トナーパターンPt0が通過するように配置される。即ち、一方のトナー濃度検出値11に対しては、Y,M,C,Kのうちの2色のトナーパターンPt0(図14(a)の例では、Pt0(Y),Pt0(M))が一列に配置され、一方のトナー濃度検出値11に対しては、残り2色のトナーパターンPt0(図14(a)の例では、Pt0(C),Pt0(K))が一列に配置される。更に、図14(b)に示すように、中間転写ベルト53のベルト幅方向に4つのトナー濃度検出値11が並んで配置される場合は、4つのトナー濃度検出値11それぞれの検出位置それぞれを濃度検出用トナーパターンPt0(Y),Pt0(M),Pt0(C),Pt0(K)それぞれが通過するように配置される。
又、本願発明における画像形成装置として、電子写真方式による画像形成装置を例に挙げて説明したが、電子写真方式に限られず、インクジェット方式など、他の方式による画像形成装置であっても構わない。更に、本願発明における画像形成装置として、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)であっても構わないし、プリンター、コピー機、ファクシミリ等であっても構わない。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。