JP2015078331A - 酸変性ポリオレフィン水性エマルジョン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基および/またはカルボキシラート基と、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリマー(B)を乳化剤として、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水中で乳化してなる水性エマルジョン組成物。上記ポリマー(B)が、ポリオキシアルキレン鎖を有しかつ共重合可能な不飽和結合を有する単量体(a)と、不飽和カルボン酸単量体(b)および/またはその塩(b0)とを構成単位とすることが好ましい。
【選択図】なし
Description
従来、これらポリオレフィン系水性エマルジョンには、乳化の容易な低分子量の酸変性ポリオレフィンが用いられてきたが、低分子の酸変性ポリオレフィンでは乾燥溶融後の皮膜強度が弱く、コーティング材料や接着剤として用いるためには限界があった。特に繊維強化プラスチックに用いられるガラス又は炭素繊維用集束剤については、単に連続繊維を束ねるだけでなく、連続繊維を細かく切断する時の衝撃にも耐え、さらに製造後も運送時の衝撃などで簡単に集束繊維が開繊してしまわないように、皮膜強度の向上が望まれていた。
本発明は、高い乳化安定性と乾燥皮膜強度を兼ね備える高濃度の酸変性ポリオレフィン水性エマルジョン組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、カルボキシル基および/またはカルボキシラート基と、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリマー(B)を乳化剤として、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水中で乳化してなる水性エマルジョン組成物;該水性エマルジョン組成物の製造方法である。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ポリオレフィン樹脂(f)と不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸無水物(g)、必要によりその他の単量体(h)とのグラフト重合体である。
オレフィン樹脂(f1)としてはプロピレン、エチレン、C4〜12のα−オレフィン等に、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマーを共重合させたオレフィン樹脂が挙げられる。
オレフィン樹脂(f2)は以下の2通りの方法で熱減成して得られる。
オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンを主成分として1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのC4〜12のα−オレフィンを共重合した樹脂等)を窒素通気下で、(1)有機過酸化物不存在下で、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下で、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法が含まれる。これらのうち好ましいのは(1)の方法である。
熱減成法は、例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報、特公平6−70094号公報等に記載されている。
(f1),(f2)ともポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンとポリプロピレン系樹脂が好ましい。
重量平均分子量(Mw)は高温ゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(以下高温GPCと記載。)で測定することができる。
<酸価 測定方法>
試料1〜2gを130℃に加熱した熱キシレン20mlに溶解後、フェノールフタレインを加え、0.1mol/L水酸化カリウム・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行って、酸価を求めた。
ラジカル開始剤としては、例えばアゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシド]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。
これらのうち、反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ブチルクミルパーオキシドおよびジクミルパーオキシドである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸の酸無水物(g)の合計重量に基づいて、0.001〜100重量%、さらに好ましくは0.01〜50重量%、特に好ましくは0.1〜30重量%である。
[1]ポリオレフィン樹脂(f)に不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸の酸無水物(g)、必要に応じて(h)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−およびテトラクロロエタンおよびジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびジ−t−ブチルケトン)およびエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテルおよびジオキサン)]に懸濁あるいは溶解させ、必要により連鎖移動剤または重合禁止剤を加え、これに必要によりラジカル開始剤[もしくはラジカル開始剤を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法)。
[2]ポリオレフィン樹脂(f)に不飽和カルボン酸若しくは不飽和カルボン酸の酸無水物(g)、必要に応じて(h)、必要により連鎖移動剤、重合禁止剤、ラジカル開始剤を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダなどを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)。これらのうち好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。 溶融法での反応温度は、オレフィン樹脂(f)が溶融する温度であればよく、好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、ポリオレフィン樹脂(f)が溶媒に溶解する温度であればよく、好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
カルボキシル基および/またはカルボキシラート基と、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリマー(B)は、構造中にカルボキシル基および/またはカルボキシラート基とポリオキシアルキレン鎖をもつ高分子であれば、何でもよい。
また、ポリマー(B)は、ポリオキシアルキレン鎖を有しかつ共重合可能な不飽和結合を有する単量体(a)と、不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩(b)とを共重合して得ることができる。また、不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩(b)を含む共重合ポリマーに後からポリオキシアルキレン鎖をグラフトさせることにより得ることもできる。
(a1)、(a2)は、各下記一般式(1)、一般式(2)で表される。
R3Oの具体例としてはビニルアルコール、1−プロペニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オールの残基が挙げられる。
ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a2)の具体例としては、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ1−プロペニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ1−プロペニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコール(n=1〜5)モノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノヒドロキシブチルビニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノヒドロキシブチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタリルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメタリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ3−メチル−3−ブテニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ3−メチル−3−ブテニルエーテル等が挙げられる。
乳化安定性の観点から好ましいのは、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、特に好ましいのはポリエチレングリコールモノアリルエーテルである。
不飽和カルボン酸塩としては、上記不飽和カルボン酸のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)塩、アンモニウム塩、有機アミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、モルホリン、ピペラジン、トリエチルアミン、ジエチルオレイルアミン、エチルオレイルアミン、オレイルアミンなどのアルキルアミン、)塩、これらの2種以上の併用などが挙げられる。不飽和カルボン酸塩としては、完全中和塩であっても、部分中和塩であってもよい。これらのうち好ましいものは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルノールアミン塩、アルキルアミン塩並びにこれらの2種以上の併用であり、さらに好ましいものは、(メタ)アクリル酸とそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アルキルアミン塩であり、とくに好ましいものは、カルボキシル基の中和度が60モル%以上の(メタ)アクリル酸ナトリウム塩、カリウム塩、モルホリン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、アンモニウム塩である。
ポリマー(B)の含有量が増加すると、乾燥被膜の強度物性が低下する。
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(AO付加物およびポリアルキレングリコールの高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル);多価アルコール(C3〜60)の高級脂肪酸(C8〜24)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(ツイーン型ノニオニックス等);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコールおよびポリアミン(C2〜10)のポリオキシプロピレン誘導体(プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス)];多価アルコール(上記)型ノニオニックス(例えば多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールアルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸アルカノールアミド);並びに、アミンオキシド型ノニオニックス[例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3)アミンオキシド]。
第4級アンモニウム塩型カチオニックス[テトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)アルキル(C8〜18)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18)ジメチルアンモニウム塩等];トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)(ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等);アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(セチルピリジニウム塩等);(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)(ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩等);およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン〔例えば高級脂肪族アミン(C12〜60)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加物等]、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)〕の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22)塩。
高級脂肪酸(上記)塩(ラウリル酸ナトリウム等)、エーテルカルボン酸[EO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物等]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩(アルキルおよびアルキルエーテルサルフェート等)、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステルおよび硫酸化オレフィン;スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等)等];並びにリン酸エステル塩等(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート等)。
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス[アミノ酸型アンフォテリックス(ラウリルアミノプロピオン酸(塩)等)、およびベタイン型アンフォテリックス(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等)等];硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス[ラウリルアミンの硫酸エステル(塩)、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル(塩)等];スルホン酸(塩)型アンフォテリックス[ペンタデシルスルホタウリン、イミダゾリンスルホン酸(塩)等];並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス等[グリセリンラウリル酸エステルのリン酸エステル(塩)等]。
(1)と(3)の界面活性剤の内、好ましいものは炭素数10〜30のアルキルもしくはアルケニル基を疎水基とする界面活性剤であり、さらに好ましくはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクテニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコールのEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸とポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン等の高級アルキルアミンEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とモノエタノールアミン、イソプロパノールアミノ等のアルキルアミンとからなる脂肪酸アミドのEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸塩、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクテニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコールのアルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、特に好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のナトリウム、カリウムおよびアミン塩、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールのアルキル硫酸エステルナトリウム、カリウムおよびアミン塩およびポリオキシエチレンアルキル硫酸エステルナトリウム、カリウムおよびアミン塩が挙げられる
本発明の水性エマルジョンの製法を例示すると、全ての原料を錨型攪拌羽根を有する乳化槽に仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の軟化点以上の温度で混合、乳化することにより得ることができる。
体積平均粒子径は、レーザー回折散乱測定装置(例えば堀場製作所製、「LA−750」)により測定することができる。
水性エマルジョン組成物は水の沸点以上の温度で混合する必要があるため、製造は耐圧容器で行うことが好ましい。また、製造時の圧力を下げるために、ポリマー(B)、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、水、およびその他任意成分を容器内に仕込んだ後に、容器内を減圧した上で、加熱を行う方法が好ましい。
ガラス製反応容器にポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製 ウィンテックWSX02)を仕込み、窒素通気下、常圧、330℃×30分間にて熱減成反応を行い、重量平均分子量15万のポリオレフィン(A0−1)を得た。(A0−1)94部と無水マレイン酸3部をガラス製反応容器に仕込み、撹拌下、175℃でジブチルパーオキサイド0.1部を7分間で滴下し、1時間反応させ、重量平均分子量15万、AV15の酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)を得た。
製造例1のポリプロピレンをプロピレン/エチレン共重合体(The Dow Chemical Company社製 バーシファイ3000)に、熱減成反応を330℃×20分に、無水マレイン酸を0.4部に変更した以外同様の製造法にて、重量平均分子量12万、AV2の酸変性ポリプロピレン/エチレン共重合体である酸変性ポリオレフィン樹脂(A−2)を得た。
製造例1のポリプロピレンをポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製 ユメリット631J)に、熱減成反応を330℃×20分に、無水マレイン酸を0.2部に変更した以外同様の製造法にて、重量平均分子量18万、AV1の酸変性ポリエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂(A−3)を得た。
製造例1の熱減成反応を330℃×1時間に、無水マレイン酸を18部、1−デセン6部 に変更した以外同様の製造法にて、重量平均分子量4万、AV90の酸変性ポリプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂(A−4)を得た。
製造例1の熱減成反応を330℃×1.5時間に、無水マレイン酸を35部、1−デセン10部 に変更した以外同様の製造法にて、重量平均分子量2万、AV140の酸変性ポリプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂(A−5)を得た。
水400部を、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流管、滴下ロートを備えたガラス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。ここへ20重量%過硫酸ナトリウム水溶液90部とメトキシポリエチレングリコール(重合度=23)モノメタクリレート(a1−1)(日油株式会社製 ブレンマーPME−1000)325部とメタクリル酸(b−1)62部、メルカプトエタノール1部を予め混合した単量体溶液とをそれぞれ別の滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに20重量%過硫酸ナトリウム水溶液20部を30分かけて滴下し、その後80℃で1時間保持して熟成を行った。40℃まで冷却後、50%水酸化ナトリウム水溶液58gと水44gを投入し、ポリマー(B−1)の水溶液を得た。
(a1−1)を、メトキシポリエチレングリコール(重合度=90)モノメタクリレート(a1−2)(日油株式会社製 ブレンマーAME−4000)に、50%水酸化ナトリウム水溶液58gと水44gをトリエタノールアミン102gに変更した以外同様の製造法にて、ポリマー(B−2)の水溶液を得た。
(a1−1)を、ポリエチレングリコール(重合度=10)モノアクリレート(a1−3)(日油株式会社製 ブレンマーAE−400)に、変更した以外同様の製造法にて、ポリマー(B−3)の水溶液を得た。
(a1−1)を、ラウロキシポリエチレングリコール(重合度=4)モノメタクリレート(a1−4)(日油株式会社製 ブレンマーPLE−200)に、メルカプトエタノール1部を5部に50%水酸化ナトリウム水溶液58gと水44gをモルホリン63gと水39gに変更した以外同様の製造法にて、ポリマー(B−4)の水溶液を得た。
(a1−1)を、ポリプロピレングリコール(重合度=3)モノアクリレート(a1−5)(日油株式会社製 ブレンマーAP−150)に、メルカプトエタノール1部を0.1部に50%水酸化ナトリウム水溶液58gと水44gを50%水酸化カリウム81gと水21gに変更した以外同様の製造法にて、ポリマー(B−5)の水溶液を得た。
温度計、マックスブレンド翼を装備した攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、アリルアルコール(純度は99.9%)102部及びカリウムt−ブトキシド5部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、80℃に昇温した。 80℃でエチレンオキシド385部(アリルアルコール1モルに対して5モル)、引き続きプロピレンオキシド508部(アリルアルコール1モルに対して5モル)を反応した。さらに80℃で4時間熟成した後、25℃に冷却して、反応物にキョウワード600(協和化学工業株式会社製)を20部、水20部を投入し、80℃にて触媒を吸着処理後、ろ過によりポリエチレン(重合度=5)ポリプロピレン(重合度=5)モノアリルエーテル単量体(a2−1)を得た。(a2−1)の不飽和度は1.76meq./g、水酸基価は99.4、(TU)/(OH)比は1.01であった。引き続き、(a2−1)395部を、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流管、滴下ロートを備えたガラス製反応容器に仕込み、さらに水74部を加えて均一に溶解し、窒素雰囲気下、80℃まで加熱した。ここへ20重量%過硫酸ナトリウム水溶液93部とメタクリル酸68部、水59部、メルカプトエタノール1部を予め混合した単量体溶液とをそれぞれ別の滴下ロートから2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに20重量%過硫酸ナトリウム水溶液23部を30分かけて滴下し、その後80℃で1時間保持して熟成を行った。40℃まで冷却後、50%水酸化ナトリウム水溶液51g、および濃度を50重量%に調整するための水237gを投入し、ポリマー(B−6)の水溶液を得た。ポリマー(B−6)の重量平均分子量は25000、構成モル比(a)/(b)は64/36であった。
(K−1)ジエタノールアミン
(K−2)モルホリン
(K−3)水酸化ナトリウム
(J−1)オレイン酸ナトリウム
(J−2)ベヘニン酸ナトリウム
(J−3)オレイルアルコールEO4モル付加物
(J−4)オレイルアルコールEO20モル付加物
容積2リットルの攪拌機付き圧力容器に、表2に記載した全ての原料を一括して加えた。圧力容器を密閉した後、160℃まで加熱し、90分間攪拌することにより乳化を行った。その後75℃以下に冷却し、300メッシュの金網でろ過した内容物を水性エマルジョン組成物(G−1)とした。
エマルションの安定性は、密閉容器に入れたエマルションを常温で保管し、外観観察により、以下の指標で経日安定性を評価した。
◎:3ヶ月経過後も安定。
○:1〜3ヶ月の間に分離や沈殿を生じた
△:1カ月以内に分離や沈殿を生じた
×:乳化できず
本発明の水性エマルジョン組成物を130℃で乾固させ、得られた乾固物をヒートプレスを用いて膜厚0.5mmのフィルムに成形した後、このフィルムをJIS K 6251に準拠した方法で引っ張り試験を行うため、打ち抜きカッターで所定のサイズに成形した後、オートグラフにて引っ張り試験を行った。
表2記載の部数を実施例1と同様の方法で乳化することにより、水性エマルジョン組成物(G−2〜G−6)および(G’−1〜G’−4)を得た。比較例1、比較例4は同様に乳化をおこなったものの、樹脂が分散せず、エマルションとすることができなかった。エマルションの配合を表2に、実施例1と同様の方法で評価を行った結果を表3に示す。
なお、比較例1〜3には高分子系の乳化剤として以下のスチレン−マレイン酸共重合物を用いた。
(B’−1)スチレン−マレイン酸共重合物(Atofina社製、SMA#1000A)
水性エマルジョン組成物(G−1)の固形分濃度を40%から5%に希釈することで繊維用集束剤希釈液(S−1)を調製した。次いで、希釈液に炭素繊維(フィラメント数=12000本)を浸漬して含浸させた後、190℃で5秒間乾燥させて炭素繊維束(T−1)を得た。
炭素繊維をガラス繊維に変更した以外は同様にして、ガラス繊維束(T−2)を得た。
(T−1)を6mmにカットした後、カットした(T−1)5部を50mlメスシリンダーに入れ、2mm厚のゴムシート上で60回タップした後の体積(V0)から、攪拌前の嵩密度(D0=5/V0)(g/l)を算出する。チョップドストランドを150mlのポリカップに移し、プロペラ形の羽根のついた撹拌棒で100rpm、5分間撹拌する。攪拌後のチョップドストランドを50mlメスシリンダーに移し、2mm厚のゴムシート上で60回タップした後の体積(V)から、攪拌後の嵩密度(D=5/V)(g/l)を算出する。結束性は次の式より求められ、100%に近いほど結束性に優れていることを示す。
結束性(%)=攪拌後の嵩密度(D)/攪拌前の嵩密度(D0)×100
Claims (10)
- カルボキシル基および/またはカルボキシラート基と、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリマー(B)を乳化剤として、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を乳化してなる水性エマルジョン組成物。
- 前記ポリマー(B)が、ポリオキシアルキレン鎖を有しかつ共重合可能な不飽和結合を有する単量体(a)と、不飽和カルボン酸単量体(b)および/またはその塩(b0)とを構成単位とする請求項1に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記不飽和カルボン酸単量体(b)が、アクリル酸および/またはメタアクリル酸である請求項2または3に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記ポリマー(B)の重量平均分子量が5,000〜300,000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が酸変性ポリプロピレンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量が、5,000〜400,000である請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- さらに、ポリマー(B)以外の界面活性剤(J)および酸変性ポリオレフィンの中和剤(D)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- ガラス繊維用集束剤または炭素繊維用集束剤である請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- ポリマー(B)、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)および水を、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点以上に加熱し、混合する請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物の製造方法。
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