JP2016106064A - ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤 - Google Patents

ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤 Download PDF

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Abstract

【課題】セメントとポリオレフィン繊維の密着性を向上させて高い強度性能を持つセメント成形体を提供する。【解決手段】セメント(F)、骨材(G)、水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィン繊維(A)、水、および水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィン繊維(A)補強セメント用添加剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水中に乳化してなるエマルション(E)であるポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)を含有してなるポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を使用してセメント成形体を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン繊維補強セメント製品を高強度に成形、施工するための添加剤に関する。
モルタル、コンクリート等のセメント硬化物は、圧縮強度に比べて引張強度が弱いため、鋼繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の補強繊維を配合して成形している。これらの補強繊維の中でポリオレフィン繊維は、耐熱性や耐アルカリ性に優れる特徴から、吹き付けコンクリートや二次製品用途に多く使用されている。
従来、ポリオレフィン繊維の樹脂成分であるオレフィン樹脂は、親水性が低いため、セメント用途に使用する場合には、セメントとの密着性が低く、成形品の強度を十分に発現できていなかった。これらの問題に対して、ポリオレフィン繊維の表面を界面活性剤で処理する方法(特許文献1、特許文献2)やカルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物で処理する方法が提案されている(特許文献3、特許文献4)。しかしながら従来の方法では、特に水/セメント等の粉末成分の比率が高い粘調性のセメントスラリーに対しては、混練中に表面処理剤がはげ落ちることにより表面処理の効果が失われたり、表面処理をしたことにより繊維のスラリー中での分散性が低下したことにより、繊維補強の効果が十分発揮されないといった問題があった。
特開昭64−33036 特開平4−21556 特開2000−34146 特開2000−34147
本発明が解決しようとする課題は、セメントとポリオレフィン繊維の密着性を向上させて高い強度性能を持つセメント成形体を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィン繊維(A)補強セメント用添加剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水中に乳化してなるエマルション(E)であるポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C);セメント(F)、骨材(G)、上記ポリオレフィン繊維(A)、水および上記ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)を含有してなるポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P);上記ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)の製造方法;上記ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を硬化してなるセメント成形物である。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)は、セメントとポリオレフィン繊維の密着性を向上させて高い強度性能を持つセメント成形体を提供することができる。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)はカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水中に乳化してなるエマルション(E)である。ここで、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)、その塩(B2)、および(B1)と(B2)の混合物を総称してカルボキシル変性オレフィン樹脂(B)と記載するものとする。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)との共重合体である。
不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)としては、不飽和結合を有するモノマーを共重合させたオレフィン樹脂(a1)と熱減成して得られるオレフィン樹脂(a2)の2種類がある。
オレフィン樹脂(a1)としてはプロピレン、エチレン、C4〜12のα−オレフィン等に、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマーを共重合させたオレフィン樹脂が挙げられる。
オレフィン樹脂(a2)は以下の2通りの方法で熱減成して得られる。
オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンを主成分として1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのC4〜12のα−オレフィンを共重合した樹脂等)を窒素通気下で、(1)有機過酸化物不存在下で、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下で、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法が含まれる。これらのうち好ましいのは(1)の方法である。
熱減成法は、例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報、特公平6−70094号公報等に記載されている。
(a1),(a2)ともポリプロピレン系樹脂が好ましい。
オレフィン樹脂(a2)の分子末端には二重結合が導入されているため、不飽和カルボン酸(b1)もしくは(b1)の酸無水物(b2)を共重合する割合を多くすることができる。このためオレフィン樹脂(a2)が好ましい。
オレフィン樹脂(a1)の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜100,000好ましくは1,500〜90,000である。(a1)の数平均分子量が1,000〜100,0000であると、(a1)自身の強度が十分であり、かつ酸変性度を高くすることができるため、ポリオレフィン繊維(A)とセメントとの密着性が良好となる。
また、オレフィン樹脂(a2)の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜100,000である。好ましくは、1,000〜30,000であり、さらに好ましくは1,200〜7,000である。(a2)の数平均分子量が800〜100,000であると、(a2)自身の強度が十分であり、かつ酸変性度を高くすることができるため、密着性が良好となる。
Mnは高温ゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(以下高温GPCと記載。)で測定することができる。
オレフィン樹脂(a1)の製造方法としては、公知の方法が用いられる。具体的には、単量体を不活性ガスで置換した耐圧反応容器中に吹き込み、触媒存在下、30〜120℃、0.1〜5MPaで1〜10時間反応させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラ・ナッタ系触媒(三塩化チタン/有機アルミニウムなど)やメタロセン触媒を用いることができるが、メタロセン触媒を用いることが好ましい。メタロセン触媒としては、特開2003−147157号公報や特開平7−118316号公報などに記載の公知のものが使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやエチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが例示できる。上記のようなジルコニウム化合物に於いてジルコニウム金属をチタン金属、ハフニウム金属に換えた遷移金属化合物を例示することも出来る。また、これらの触媒は、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物と併用することができる。
不飽和カルボン酸(b1)として、ジカルボン酸[例えば脂肪族(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸)、および脂環式(C8〜24、例えばシクロヘキセンジカルボン酸およびシクロヘプテンジカルボン酸)];3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸[例えば脂肪族ポリカルボン酸(C5〜24、例えばアコニット酸)]が挙げられる。1価のカルボン酸としては例えば脂肪族(C3〜30、例えばアクリル酸、メタクリル酸、αーエチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)および脂環式(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸)が挙げられる。
これらの中で好ましいのはジカルボン酸であり、マレイン酸がさらに好ましい。
また、不飽和カルボン酸(b1)の酸無水物としては、上記不飽和ポリカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水アコニット酸が挙げられる。不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。これらの中で好ましいのは無水マレイン酸である。
オレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物との反応モル比は、好ましくは50/50〜99/1、さらに好ましくは55/45〜98/2、特に好ましくは60/40〜98/2である。
このようにして得られたカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)中の未反応の不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物は、セメントとの密着性の観点から(B1)の重量に対して、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)を不飽和カルボン酸(b1)および脂肪族不飽和炭化水素(h)で変性されてなるものが好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素(h)としては、C6〜36の直鎖および分岐鎖を有するα−オレフィンが挙げられる。これらの中で好ましいのは、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、プロピレン三量体、プロピレン四量体およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これら共重合成分の含有量は、好ましくは0〜50モル%である。
オレフィン樹脂(a)と、不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて脂肪族不飽和炭化水素(h)とは、ラジカル開始剤の存在下または非存在下のいずれにおいてもグラフト反応させることができるが、反応性の観点からラジカル開始剤の存在下で反応させるのが好ましい。
ラジカル開始剤としては、例えばアゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシド]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。
これらのうち、反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシドである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、不飽和カルボン酸(b1)、(b1)の酸無水物(b2)、および(h)の合計重量に基づいて、0.001〜100重量%、さらに好ましくは0.01〜50重量%、特に好ましくは0.1〜30重量%である。
オレフィン樹脂(a)に不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて(h)をグラフトさせる具体的な製造方法には、
[1]オレフィン樹脂(a)および不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物、必要に応じて(h)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−およびテトラクロロエタンおよびジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびジ−t−ブチルケトン)およびエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテルおよびジオキサン)]に懸濁あるいは溶解させ、必要により連鎖移動剤または重合禁止剤を加え、これに必要によりラジカル開始剤[もしくはラジカル開始剤を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法)、
および[2]ポリオレフィン樹脂(a)、不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて(h)に必要により連鎖移動剤、重合禁止剤、ラジカル開始剤を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダなどを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が含まれる。これらのうち好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。 溶融法での反応温度は、オレフィン樹脂(a)が溶融する温度であればよく、好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、オレフィン樹脂(a)が溶媒に溶解する温度であればよく、好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の内、オレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)の好ましい組み合わせは、ポリプロピレン(PP)とマレイン酸または無水マレイン酸との変性樹脂が挙げられる。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の酸価は5〜250mgKOH/gであることが好ましい。密着性の観点から、より好ましくは20〜250mgKOH/gであり、さらに好ましくは30〜200mgKOH/gである。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の数平均分子量(Mn)は1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,200〜30,000、さらに好ましくは1,500〜8,000である。(B1)の数平均分子量が1,000以上であると(B1)自身の強度が十分であるため、また、100,000以下であると本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物を成形する際の流動性が良好ため密着性が良好となる
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、カルボン酸の一部または全部を中和し、その塩(B2)とすることが出来る。中和塩を構成する陽イオンとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、トリエチルアミン、オレイルアミンなどのアルキルアミン、アンモニア等が挙げられる。これらの内、好ましいものは、カリウム、ナトリウムである。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の中和率は、20〜100%であることが好ましく、より好ましくは30〜100%、さらに好ましくは50〜100%である。(B1)の中和率は20%以上であると(B1)の乳化性が良くなり、保存安定性も良くなる。
ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)は、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水中に均一に混合乳化したエマルション(E)である。(E)を製造する際に、界面活性剤(J)を用いて乳化することが好ましい。
(J)としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性の界面活性剤が挙げられる。
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(AO付加物およびポリアルキレングリコールの高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル);多価アルコール(C3〜60)の高級脂肪酸(C8〜24)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(ツイーン型ノニオニックス等);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコールおよびポリアミン(C2〜10)のポリオキシプロピレン誘導体(プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス)];多価アルコール(上記)型ノニオニックス(例えば多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールアルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸アルカノールアミド);並びに、アミンオキシド型ノニオニックス[例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3)アミンオキシド]。
(2)カチオン性界面活性剤
第4級アンモニウム塩型カチオニックス[テトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)アルキル(C8〜18)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18)ジメチルアンモニウム塩等];トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)(ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等);アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(セチルピリジニウム塩等);(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)(ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩等);およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン〔例えば高級脂肪族アミン(C12〜60)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加物等]、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)〕の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22)塩。
(3)アニオン性界面活性剤
高級脂肪酸(上記)塩(ラウリル酸ナトリウム等)、エーテルカルボン酸[EO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物等]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩(アルキルおよびアルキルエーテルサルフェート等)、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステルおよび硫酸化オレフィン;スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等)等];並びにリン酸エステル塩等(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート等)。
(4)両性界面活性剤:
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス[アミノ酸型アンフォテリックス(ラウリルアミノプロピオン酸(塩)等)、およびベタイン型アンフォテリックス(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等)等];硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス[ラウリルアミンの硫酸エステル(塩)、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル(塩)等];スルホン酸(塩)型アンフォテリックス[ペンタデシルスルホタウリン、イミダゾリンスルホン酸(塩)等];並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス等[グリセリンラウリル酸エステルのリン酸エステル(塩)等]。
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩および4級アンモニウム塩が含まれる。
界面活性剤(J)の好ましいものは、(1)非イオン性界面活性剤と(3)アニオン性界面活性剤であることが好ましい。(1)および(2)で乳化したエマルションは安定性が良くなる。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)およびその塩(B2)を合わせてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B)と記載する。
(B)の重量をエマルション(E)の重量に対して5〜60重量%になるようにエマルション(E)を製造し、更に水を加えて任意に濃度調整して使用することが出来る。
また、(E)において、界面活性剤(J)を使用する場合は、(J)の添加重量は(B)に対し1〜50重量%の範囲である。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)の製法を例示すると、(B1)および/またはその塩(B2)と(E)を錨型攪拌羽根を有する乳化槽に仕込み、(B1)の軟化点以上の温度で混合、乳化することにより得ることができる。
乳化時に添加する塩基性物質としては、金属カリウム、金属ナトリウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルカノールアミン、アルキルアミン、アンモニアなどがあげられる。これらの内好ましいものは、水酸化カルシウム、水酸化カリウムである。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)には、必要により、消泡剤、抗菌剤および防腐剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤を用いる場合の添加量は、通常0.5重量%以下である。
本発明に使用されるポリオレフィン繊維(A)としては、ポリエチレン繊維や、ポリプロピレン繊維、あるいは1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのC4〜12のα−オレフィンを重合したものが使用できる。これらのうち、好ましいものは、ポリエチレン繊維や、ポリプロピレン繊維であり、さらに好ましくはポリプロピレン繊維である。ポリプロピレン繊維は耐熱性が高いため、オートクレーブ養生など高温で養生する用途に適している。
ポリオレフィン繊維(A)の繊維長としては、分散性と補強効果の観点から、2〜50mmが好ましく、繊維経はセメントの補強強度から0.05〜3mmが好ましい。繊維の断面は円形、楕円形、四角形のものの他、表面積を増やすために十字形、星形、凹凸のあるものが使用される。
本発明に使用するポリオレフィン繊維(A)の表面は水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されている。水溶性繊維表面処理剤(D)は繊維表面処理剤が水溶性であるものを意味する。
収束繊維の処理剤の被覆率は、一般的に浸漬処理するためほぼ100%に近いと推定される。また、水溶性繊維表面処理剤(D)の付着量は、(A)の重量に対して0.1〜5重量%である。
(D)は(A)の集束剤として使用されているものである。
(D)は水溶性高分子が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、澱粉、澱粉の誘導体等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、ポリビニルアルコール、澱粉である。水溶性高分子の集束剤であれば、セメントを混練する時の混練水により、解繊ができるため、分散性も良くなる。
ポリオレフィン繊維(A)は、更に鋼繊維、無機繊維(ガラス繊維及び炭素繊維等)及びパルプ系繊維、ポリオレフィン繊維以外の有機繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維及びビニロン繊維等)等と併用して使用することができる。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)としては、セメント(F)、骨材(G)、水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィン繊維(A)、そしてポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)および水を含有するものであるが、これら以外に、軽量化材、セルロース系増粘剤、分散剤など公知のセメント用混和材及び混和剤等を含有しても良い。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)に使用されるセメント(F)としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、及び着色セメント等が挙げられる。
また、骨材(G)としては、骨材川砂、砕砂、硅砂、硅石粉、ワラストナイト、石灰石、マイカ類、軽量骨材、シリカフューム、フライアッシュ、スラグ、ポゾラン、セメント板製造時の不良品、セメント板施工時に発生する端材及び建築物解体時に発生するセメント板廃棄物等を破砕したリサイクル粉末等が挙げられる。
公知のセメント用混和材及び混和剤としては、膨張材、高性能減水剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、硬化促進剤,消泡剤(抑泡剤及び破泡剤)、急結剤、硬化遅延剤、防錆剤、及びポリマーセメントコンクリート又はポリマーモルタル用のポリマーディスパージョン、セルロース系増粘剤、繊維材料、軽量化材等が挙げられる。
ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)におけるセメント(F)と骨材(G)の比率は、好ましくは5/95〜90/10重量%であり、更に好ましくは10/90〜85/15重量%、特に好ましくは15/85〜80/20重量%である。
上記の範囲であれば、セメント成形品の強度が向上するため好ましい。
ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)における水の配合量は、成形又は施工する時の生産性の観点から、セメント(F)、骨材(G)の合計量に対して20/100〜200/100である。
ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)の製造方法としては、セメント(F)、骨材(G)および水からなる群より選ばれる少なくとも1種(R)、すなわち(F)、(G)、水、(F)と(G)の混合物、(F)と水の混合物、(G)と水の混合物、または(F)と(G)と水の混合物と、添加剤(C)を混合した後、残りの成分を混合して(P)とする方法、
または上記(R)とポリオレフィン繊維(A)の混合物(Q)と、添加剤(C)を混合した後、残りの成分を混合して(P)とする方法、が挙げられる。
これらの方法の中で、(1)水に添加剤(C)を加えた後、他の成分を添加する方法、(2)セメント(F)、骨材(G)、ポリオレフィン繊維(A)と水を混練する工程途中で、(C)を添加する方法が好ましい。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)は、ニーダー、オムニミキサー(登録商標)、アイリッヒミキサー等の混練機を使用して混練することができる。
上記の方法で得られた組成物(P)は、押出成形法や、プレス成形法など所望の形状に成形することができ、又スプレーにより構造物へ吹き付けて塗布することもできる。
成形加工した製品は、更に切断機を用いて所定の長さに切断でき、蒸気養生(60〜100℃で4〜36時間)及び/又はオートクレーブ養生(120〜200℃で5〜15時間)することにより硬化し、セメント製品とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において特記しない限り、部は重量部、%、wt%は重量%を表す。
分析方法
<酸価 測定方法>試料、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)またはその塩(B2)1〜2gを130℃に加熱した熱キシレン20mlに溶解後、フェノールフタレインを加え、0.1mol/Lカリウム・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行って、酸価を求めた。
<数平均分子量(Mn) 測定方法>
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)、(B1)の塩(B2)、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)について以下の条件で、数平均分子量(Mn)を測定した。
装 置 :高温GPC(装置名Alliance 型番GPCV2000、メーカーWaters製)
溶 媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム温度 :135℃
<体積平均粒子径 測定方法> エマルション(E)を水で希釈することにより所定の透過率になるよう濃度調整されたサンプルにて体積平均粒子径を測定した。
装置 :レーザー回折散乱測定装置(LA−750、堀場製作所製)
実施例1
ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−1)
反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン(a0−1)[商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製、Mn100,000、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で70分間熱減成を行い、オレフィン樹脂(a−1)を得た。 炭素1,000個当たりの分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数は7.2個、Mnは3,000であった。
反応容器に(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6部、およびキシレン100部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキシド[商品名「パークミルD」、日油(株)製]0.5部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去して、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−1)を得た。(B1−1)は、酸価は120mgKOH/g、Mnは5,000であった。
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器に(B1−1)300部、中和率80%に相当する水酸化ナトリウム41.1部、オレイン酸ナトリウム20部、水690部を仕込み、150℃で1時間攪拌することにより、乳化してポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−1)1000部を得た。得られたエマルション(E−1)の体積平均粒子径は60nmであった。
実施例2
実施例1において、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6部に代えて、(b−1)24.0部、(h−1)18.5部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−2)を得た。(B1−2)の酸価は95mgKOH/g、Mnは5,000であった。実施例1において(B1−1)300部を(B1−2)300部、水酸化ナトリウム41.1部を32.6部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−2)を得た。得られたエマルション(E−2)の体積平均粒子径は58nmであった。
実施例3
実施例1において、熱減成時間を70分間から100分間に変えることで、炭素1,000個当たりの分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数が7.2個、Mnは3,000であるオレフィン樹脂(a−2)を得た。(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6部に代えて、(a−2)100部、(b−1)100.0部、(h−1)85.7部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−3)を得た。(B1−3)の酸価は200mgKOH/g、Mnは3,000であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−3)300部、水酸化ナトリウム41.1部を68.6部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−3)を得た。得られたエマルション(E−3)の体積平均粒子径は60nmであった。
実施例4
実施例1において、(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6gに代えて、(a−2)100部、(b−1)116.8部、1−ヘキセン(h−2)50.5部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−4)を得た。(B1−4)の酸価は250mgKOH/g、Mnは2,500であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−4)300部、水酸化ナトリウム41.1部を85.7部に変えて他は同じ条件で乳化してポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−4)を得た。得られたエマルション(E−4)の体積平均粒子径は55nmであった。
実施例5
実施例1において、(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6gに代えて、(a−2)100部、(b−1)19.0部、(h−1)0部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−5)を得た。(B1−5)の酸価は92mgKOH/g、Mnは1,600であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−5)300部、水酸化ナトリウム41.1部を31.5部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−5)を得た。得られたエマルション(E−5)の体積平均粒子径は64nmであった。
実施例6
実施例1において、熱減成時間を70分間から20分間に変えることで、炭素1,000個当たりの分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数が0.3個、Mnは45,000であるオレフィン樹脂(a−3)を得た。製造法1において、(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6部に代えて、(a−3)100部、(b−1)13.4部、(h−2)8.5部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−6)を得た。(B1−6)の酸価は65mgKOH/g、Mnは50,000であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−6)300部、水酸化ナトリウム41.1部を22.3部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−6)を得た。得られたエマルション(E−6)の体積平均粒子径は62nmであった。
実施例7
実施例1において、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6gに代えて、イタコン酸(b−2)31.0部、(h−1)18.5部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−7)を得た。(B1−7)の酸価は179mgKOH/g、Mnは4,600であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−7)300部、水酸化ナトリウム41.1部を61.4部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−7)を得た。得られたエマルション(E−7)の体積平均粒子径は70nmであった。
実施例8
実施例1において、ポリオレフィン(a0−1)100部に代えて、プロピレン80モル%、1−ブテン20モル%を構成単位とするポリオレフィン(a0−2)[商品名「タフマーXM−5080」、三井化学(株)製、Mn90,000、以下同じ。]に変更することで、炭素1,000個当たりの分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数が7.2個、Mnは3,000であるオレフィン樹脂(a−4)を得た。実施例1において、(a−1)100部、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6部に代えて、(a−4)100部、(b−1)7.8部、(h−2)3.3部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−8)を得た。(B1−8)の酸価は40mgKOH/g、Mnは75,000であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−8)300部、水酸化ナトリウム41.1部を61.4部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−8)を得た。得られたエマルション(E−8)のの体積平均粒子径は70nmであった。
実施例9
実施例1において、無水マレイン酸(b−1)32.7部、1−デセン(h−1)23.6gに代えて、アクリル酸(b−3)15.1部、(h−1)18.5部を用いた他は実施例1と同様にしてカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1−9)を得た。(B1−9)の酸価は70mgKOH/g、Mnは4,900であった。実施例1において、(B1−1)300部を(B1−9)300部、水酸化ナトリウム41.1部を24.0部に変えて他は同じ条件で乳化しポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−9)を得た。得られたエマルション(E−9)の体積平均粒子径は90nmであった。
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C−1)〜(C−9)を表1に示した。
Figure 2016106064
<実施例10>
ポリプロピレン繊維集合体(2.2dtex)をハイアミロース型エーテル化トウモロコシ澱粉(商品名:パイオスターチKY、日澱化学社製)(D−1)の5%水溶液に浸漬した後、絞りロールにて絞り、ポリプロピレン繊維集合体にハイアミロース型エーテル化トウモロコシ澱粉を付着させた。ハイアミロース型エーテル化トウモロコシ澱粉はポリプロピレン繊維の集束剤として用いるものである。約110℃にて15分間乾燥後、カッターにて6mm長に切断してポリオレフィン繊維(A−1)を作成した。
「普通ポルトランドセメント」(F−1)[太平洋セメント(株)製]800重量部、「フライアッシュ」(G−1)[骨材、JIS2種適合品、(株)テクノ中部製]200重量部、セルロース系増粘剤(製品名 SHV−PF、信越化学工業社製)5重量部、上記ポリオレフィン繊維(A−1)10重量部をドライブレンドした後、水250重量部に予め実施例に記載のポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)1重量部(固形分換算)を加えて均一分散させた分散液を添加して、ニーダーで10分間混練してポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P−1)を作製した。
<実施例11>
実施例10において、ハイアミロース型エーテル化トウモロコシ澱粉(商品名:パイオスターチKY、日澱化学社製)(D−1)の代わりに、ポバール(商品名:デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)(D−2)を使用する他は実施例10と同様にして、ポリオレフィン繊維(A−2)を作成し、ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P−2)を作製した。
<実施例12〜18>
実施例10において、ポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)を(C−3)〜(C−9)に代えた他は同様にして、実施例12〜18のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P−3)〜(P−9)を作製した。
<比較例1>
ポリプロピレン繊維集合体(2.2dtex)を集束剤を使用せずにカッターにて6mm長に切断してポリオレフィン繊維を作成した。
「普通ポルトランドセメント」(F−1)[太平洋セメント(株)製]800重量部、「フライアッシュ」(G−1)[骨材、JIS2種適合品、(株)テクノ中部製]200重量部、セルロース系増粘剤(製品名 SHV−PF、信越化学工業社製)5重量部をドライブレンドした。水250重量部に予め上記のポリオレフィン繊維10重量部と実施例に記載のポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)1重量部(固形分換算)を加えて20℃・1時間浸漬させた。該分散液を上記ドライブレンドに添加して、ニーダーで10分間混練して比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−1)を作製した。
<比較例2>
ポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)に変えて(C−3)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−2)を作製した。
<比較例3>
ポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)に変えて(C−6)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−3)を作製した。
<比較例4>
ポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)に変えて(C−8)を使用したこと以外は、比較例1と同様にして比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−4)を作製した。
<比較例5>
ポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)1重量部(固形分換算)を使用しないこと以外は、実施例10と同様にして比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−5)を作製した。
<比較例6>
実施例10のポリオレフィン繊維補強用セメント用添加剤(C−1)1重量部(固形分換算)をラウリルフォスフェートカリウム塩(竹パイオニンA−71−K 竹油脂工業社製)(C’−1)に変えた以外は、実施例10と同様にして比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−6)を作製した
本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P−1)〜(P−9)、比較ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P’−1)〜(P’−6)を表2に示した。
Figure 2016106064
ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物の混練後硬度、該組成物の分散状態、該組成
物を硬化させて得た成形物について、以下の評価方法で評価を行い、評価結果を上記表2に記載した。
評価方法
<混練後硬度>
混練したポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を取り出し、その表面に測定用探針が垂直になるようにして、NGK式硬度計(日本ガイシ製)を用いて硬度を測定した。上記の方法で異なる箇所について10回測定し、この算術平均値を混練後硬度とした。
<分散状態>
硬度測定に使用したポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を断面積が10cmになる大きさに手で破断し、目視にて断面中の繊維の分散状態を観察した。
○:繊維は解繊され、均一に分散されている。
△:繊維は解繊されているが、均一には分散できていない。
×:解繊されず集束した繊維が残っている。
<曲げ強度>
ポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を押出成形機[商品名「SY−50E」、石川時鉄工所(株)]を用い、40×40×160mmの大きさの試験体に成形し、70℃で48時間硬化させて成形物を得た。この成形物について、JIS R5201−1997(セメントの物理試験方法)に準拠した曲げ強度(曲げ強さ)を測定した。
表2に示すように、本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)を本発明のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)の製造方法により添加して作成したセメント用組成物(P)は、比較例に比べてポリオレフィン繊維(A)の分散状態も良く、またその成形物は、比較例に比べて曲げ強度が大きくなった。
本発明の、ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤は、セメント成形物の強度を向上することから、外壁材、屋根材(瓦)などのサイディング材や、トンネルの剥落防止や、補修に使用するコンクリート、吹付けコンクリートの添加剤として適用できる。

Claims (12)

  1. 水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィン繊維(A)補強セメント用添加剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水中に乳化してなるエマルション(E)であるポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)。
  2. 水溶性繊維表面処理剤(D)が水溶性高分子である請求項1に記載の添加剤。
  3. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)が、5〜250mgKOH/gの酸価を有し、数平均分子量1,000〜100,000である請求項1または2に記載の添加剤。
  4. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)が、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)との共重合体であり、不飽和カルボン酸(b1)が不飽和ジカルボン酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の添加剤。
  5. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)が、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)を、不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、および脂肪族不飽和炭化水素(h)で変性してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の添加剤。
  6. 不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)が、炭素数1000個当たり0.1〜20個の不飽和結合を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の添加剤。
  7. エマルション(E)が、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を界面活性剤(J)を用いて乳化してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の添加剤。
  8. セメント(F)、骨材(G)、水溶性繊維表面処理剤(D)で被覆されたポリオレフィ
    ン繊維(A)、水および請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィン繊維補強セ
    メント用添加剤(C)を含有してなるポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)。
  9. ポリオレフィン繊維補強セメント用添加剤(C)の含有量が、セメント(F)、骨材(G)、ポリオレフィン繊維(A)、水、および添加剤(C)の合計重量に基づいて0.01〜10重量%である請求項8に記載の組成物。
  10. セメント(F)および骨材(G)の合計重量に対する水の重量が、20〜200重量%である請求項8または9に記載の組成物。
  11. セメント(F)、骨材(G)、および水からなる群より選ばれる少なくとも1種(R)、または(R)とポリオレフィン繊維(A)の混合物(Q)と、添加剤(C)の混合物を製造する工程を有する請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)の製造方法。
  12. 請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリオレフィン繊維補強セメント用組成物(P)を硬化してなるセメント成形物。
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