図1は、この発明の一実施例であるスロットマシン1の外観を示している。図示のスロットマシン1は、筐体2の開放された前面に前面扉3が開閉可能に取り付けられたものである。図示していないが、筐体2の内部には、リールユニット、電源ユニット、メダル払出機、制御基板などが組み込まれている。扉3は金属製の枠体を本体とし、枠体の中央部および下部にそれぞれ合成樹脂製のパネル4,5が取り付けられ、枠体の上部に液晶表示器6および一対のスピーカ7A,7Bが設けられている。
以下、中央のパネル4を「正面パネル4」と呼び、下部のパネル5を「下部パネル5」と呼ぶ。
正面パネル4の高さ中央部には、矩形状の透明な窓部8が設けられており、この窓部8を通して、筐体2の内部のリールユニットを構成する3個のリール9a,9b,9cの外周面を視認することができる。
この実施例では、数字の「7」や「BAR」の図柄を含む複数種の図柄により、各リール9a,9b,9cに21駒分の図柄配列を設定している。各リール9a,9b,9cは、リールユニットと一体に組み付けられたモータ29a,29b,29c(図3に示す。)によって個別に駆動される。
窓部8の縦幅は、各リール9a,9b,9cの3駒分の範囲に対応する長さになっている。各リール9a,9b,9cが停止すると、図2に示すように、リール9a,9b,9c毎の3個の図柄Zが、上、中、下の高さ位置を揃えて窓部8内に停止することにより、3本の水平ラインL1〜L3、および右下がりのラインL4ならびに左下がりのラインL5のそれぞれに沿って、図柄Zが整列した状態となる。この実施例では、5本のラインL1〜L5のうちの中央の水平ラインL1のみが、入賞ラインに設定されている。
図1に参照を戻す。窓部8の下方には、メダルの投入枚数などを表示する数値表示器18が設けられている。また、筐体の前面上部の両側部や液晶表示器6aの上方などに、複数のLEDによる電飾ランプ25が設けられている。
正面パネル4と下部パネル5との間には、斜め上方を向く操作面11と前方を向く操作面12とによる遊技操作部10が設けられる。
下部パネル5の下方にはメダル払出口14やメダル受け皿15が設けられている。遊技操作部10のメダル投入口19から投入されたメダルは、前面扉3の内側に設けられたメダル通路(図示せず)を通ってメダル払出機28(図4に示す。)のホッパー内に取り込まれる。メダル払出機28から放出されるメダルは、図示しないメダル払出通路を介してメダル払出口14に運ばれてメダル受け皿15へ放出される。
遊技操作部10の斜め上方を向く操作面11には、遊技に供するメダル枚数を設定するための2種類のベットボタン16,17、メダルを投入するためのメダル投入口19、およびその操作の有無によって演出が分岐する遊技者介入型の演出を実行する際に操作が促される演出ボタン20が配備されている。
この実施例のスロットマシン1で1回のゲームを実施するには、3枚のメダルを投入する必要がある。メダル投入口19より投入されたメダルが3枚に達すると、入賞ラインL1が有効化される。メダル投入口19から4枚以上のメダルが投入されると、最初の3枚がゲームに賭けられ、残りのメダルの枚数が計数される。この計数値はクレジット枚数として後述する主制御部30のRAM33に保存される。
3枚以上のメダルが貯留されている状態下で一方のベットボタン16(マックスベットボタン)が押されると、クレジット枚数から3枚のメダルが一度に引き落とされて1ゲームを実行可能な状態になる。他方のベットボタン17(一枚賭けベットボタン)を押す場合には、3回の操作によって1ゲームを実行可能な状態になる。
遊技操作部10の前向きの操作面12には、各リール9a,9b,9cを一斉に回転させるための始動レバー21、各リール9a,9b,9cを個別に停止させるための停止ボタン22a,22b,22c、および精算ボタン23が配備されている。
精算ボタン23はクレジット枚数の精算を指示するためのもので、遊技者により精算ボタン23が操作されると、数字表示器18に表示されたクレジット枚数分のメダルがメダル受け皿15へ放出される。
メダル投入口19へのメダル投入またはベットボタン16,17の操作(以下、これらを「ベット操作」と総称する。)の後、1ゲームの実行が可能な状態で始動レバー21が操作されると、主制御部30は役抽選を実行する。次に、リール9a,9b,9cの回転を開始し、リール9a,9b,9cが一定の速度に至ると、停止ボタン22a,22b,22cによる停止操作を受け付けて、対応するリール9a,9b,9cを停止させる。各リール9a,9b,9cを停止させる際には、役抽選の結果に基づき選択した図柄を有効化された入賞ライン上に引き込む制御が実行される。
上記の役抽選では、当選の決定と共に、当選した場合にはその当選役の種別を示す当選フラグを決定する。当選役の中には、停止ボタン22a,22b,22cに対する操作順序(押し順)によって引き込み対象の図柄組み合わせを変動させる制御を行うものがある。このような当選役のことを、以下では「押し順役」と呼ぶ。
この実施例のスロットマシンでは、所定の遊技条件が成立したことに応じて、上記の押し順役に当選した場合に遊技者にとって最も有益な図柄組み合わせを揃えるための押し順を報知する演出を行うモード(以下「ATモード」という。)に移行する。
また、上記とは別の遊技条件の成立に応じて、再遊技役への当選確率が通常より高められた遊技期間(リプレイタイム)に移行する。
ATモードでは、押し順の報知に応じた順序で停止操作を行うことによって、多数のメダルを獲得することが可能になる。さらに、ATモードにおけるリプレイタイム(アシストリプレイタイム(ART))では、再遊技役への入賞頻度が高まることによって手持ちメダルの目減りが抑制されるので、遊技者はより多くのメダルを獲得することが可能になる。
図3は、上記スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
この実施例のスロットマシン1には、遊技の進行全般を制御する主制御部30のほか、主制御部30からのコマンドに応じて演出に関する制御を担当する第1および第2の副制御部40,50が設けられる。第1副制御部40は、画像による演出を制御し、第2副制御部50は、音声や電飾による演出を制御する。
主制御部30,第1副制御部40,第2副制御部50には、それぞれCPU31,41,51、ROM32,42,52、RAM33,43,53が設けられる。
主制御部30のROM32には、遊技の進行に関する制御を実施するためのプログラム、各リール9a,9b,9cの図柄配列テーブル、抽選のための抽選テーブルなどが保存され、RAM33には、プログラムの実行により発生した情報が書き換え可能に保存される。各副制御部40,50でも、それぞれROM42,52に制御に必要なプログラムや固定データが格納され、RAM43,53にはプログラムの実行により発生した情報が保存される。
さらに、主制御部30や第1副制御部40には、抽選処理のための乱数発生器34,44が設けられている。
主制御部30では、始動レバー21の操作を検出したときに乱数発生器34から取得した乱数値を用いて前述の役抽選を実行する。第1副制御部40では、主制御部30から送信された前記役抽選の結果に関する情報や、現在の内部制御モード等に基づき、乱数発生器44から取得した乱数値を用いて、ATモードを含む複数種の内部制御モードを選択する抽選(以下、「内部制御モード選択抽選」という。)、液晶表示器6などに実施させる演出の内容(シナリオ)を選択する抽選(以下、「シナリオ選択抽選」という。)、ART中のゲーム数を上乗せするか否かを決定する抽選(以下、「ART上乗せ抽選」という。)などの抽選処理を実行する。
遊技操作部10に配備された始動レバー21,停止ボタン22a,22b,22c,ベットボタン16,17,精算ボタン23は、I/Oポート35を介して主制御部30に接続される。一方、演出ボタン20は、主制御部30ではなく、I/Oポート45を介して第1副制御部40に接続される。
主制御部30には、I/Oポート35を介して、各リールの基準位置を検出するためのインデックスセンサ24a,24b,24c,メダル投入口19へと投入されたメダルを検出するためのメダル検知センサ26なども接続される。また、主制御部30には、ドライバ回路36を介して、リール9a,9b,9c毎のモータ29a,29b,29cを駆動するリール駆動回路27a,27b,27c,メダル払出機28,数値表示器18などが接続される。
各モータ29a,29b,29cはステッピングモータである。主制御部30は、モータ29a,29b,29cに対する駆動パルスを計数することによって、対応するリール9a,9b,9cの回転位置を検出し、またその計数値があらかじめ決定した値になるタイミングでモータ29a,29b,29cを停止させることにより、上記した引き込み制御を実施する。
第1副制御部40には、前出の演出ボタン20のほか、ドライバ回路46を介して液晶表示器6が接続される。第2副制御部50には、ドライバ回路56を介して、スピーカ7A,7B、電飾ランプ25、リール照明用のバックライト26などが接続される。
主制御部30、第1副制御部40、第2副制御部50は、それぞれ独立の制御基板として形成されており、第1副制御部40は主制御部30と中継基板60を介して接続され、第2副制御部50は第1副制御部40に接続される。
主制御部30は、主制御部30での遊技制御に同期した演出制御を実行させるために、制御中に生じた各種イベントを通知するコマンドを作成して第1副制御部40に送信する。たとえば、役抽選の結果を通知するコマンド、ベット操作を通知するコマンド、始動レバー21の操作を通知するコマンド、停止操作が有効になったことを通知するコマンド、第1,第2,第3の各停止操作を通知するコマンド、個々のリールの停止やその停止位置を通知するコマンド、入賞の有無判定の結果を通知するコマンドなどが、それぞれのイベントが発生する都度、主制御部30から第1副制御部40へと送信される。
各コマンドには、それぞれイベントの種別を示す種別コード(以下、「イベントID」と呼ぶ。)と送信データとが含まれる。以下に示す具体例では、アルファベットのコードと数字コードとを組み合わせた構成のコード(evt1など)をイベントIDとする。
第1副制御部40は、受信したコマンドの種別コードを判別し、その種別コードに対して登録されているイベント処理を実行する。例えば、前述の内部遊技モード選択抽選、シナリオ選択抽選、ART上乗せ抽選は、役抽選の結果を通知するコマンドを受信したことを契機としたイベント処理として実行される。また、シナリオ選択抽選で選択されたシナリオデータに定義されているイベントの発生に応じたイベント処理として、以下に述べる各種の演出処理が実行される。
この実施例の演出では、液晶表示器6において、階層構造を有する動画像(アニメーション)を表示する。第1副制御部40のCPU41は、シナリオ選択抽選により新たなシナリオデータが選択されると、選択されたシナリオデータに従って、主制御部30からの以後のコマンドに基づき、コンテンツデータの切り替え時期、切り替え対象のコンテンツデータやそのデータをどのレイヤに適用するかなどを判別しながら、選択された演出シナリオデータに基づく演出制御を実施する。なお、この際には、第1副制御部40から第2副制御部50に、液晶表示器6の映像演出に同期した音響制御および電飾制御を実施するために必要な情報が通知され、この通知を受けた第2副制御部50による音響演出および電飾演出と第1副制御部40による映像演出との組み合わせによって、興趣の高い演出が実施される。
主制御部30および第1ならびに第2の副制御部40,50は、通常は、機体内部の電源装置(図示せず。)から5Vの直流電源の供給を受けて動作する。停電や電源ケーブルの切断などにより上記5V電源への外部からの電源供給が遮断された場合には、各制御部30,40,50への電源供給元はバックアップ用電源(図示せず。)に切り替えられる。この切り替え後には、通常の制御は中止され、液晶表示器6もオフ状態となるが、各制御部30,40,50のRAM33,43,53に保存された情報は保持される。このため、通常の5V系電源が復帰すると、いずれの制御部30,40,50でも、電源が遮断された時点の状態に復帰して処理を再開することができる。
さらに、この実施例では、第1副制御部40のRAM43内に、液晶表示器6に表示されている画像の構成を表す情報を記憶するための領域を設け、この領域内の情報を常に液晶表示器6に表示される画像に整合させておくことにより、外部電源の遮断後の復電時に、電源遮断時に表示されていた演出画像を効率良く復元できるようにしている。以下、この画面の復元に用いられる記憶領域を、「復元用バッファ」と呼ぶことにする。
図4は、第1副制御部40に設けられる各種機能を示す。
図中のコマンド受付部401、内部制御モード選択部402、シナリオ抽選実行部403、演出制御データ管理部404。演出実行部405は、プログラムによって第1副制御部40のCPU41に設定される機能である。復元用バッファ406はRAM43内に設けられる。モード選択抽選テーブル410、シナリオ抽選テーブルデータベース411、シナリオデータベース412、ID管理テーブル413、コンテンツデータベース414は、ROM42内に設けられる。
コマンド受付部401は、主制御部30からのコマンドを受信し、その内容を解析する機能である。
コマンド受付部401が役抽選の結果を通知するコマンドを受け付けると、内部制御モード選択部402がモード選択抽選テーブル410を用いた内部制御モード選択抽選を実施する。モード選択抽選テーブル410には、各種の内部制御モードに対する選択確率が、内部制御モード毎に異なる割り当てパターンをもって保存されている。内部制御モード選択部402は、モード選択抽選テーブル410内の現在の内部制御モードに対応する選択確率を用いた抽選を行うことによって、他の内部制御モードに切り替えるか否かを決める。また切り替えを行うことが決まった場合には、同時に切り替え後のモードが選択される。
内部制御モード選択抽選の次には、シナリオ抽選実行部403によるシナリオ選択抽選が実施される。この抽選のために、シナリオ抽選テーブルデータベース411には、図5(1)に示すように、役抽選の対象となる各種の役(条件装置)のフラグIDと内部制御モードとの組み合わせ毎に、個別のシナリオ抽選テーブルT11,T21,T31・・・が登録されている。
図5(2)(3)は図5(1)中のT11,T31に該当するシナリオ抽選テーブルのデータ構成を、それぞれ模式的に示したものである。これらが示すように、各シナリオ選択テーブルは、複数のシナリオIDにそれぞれ所定数の乱数が割り当てられた構成のもので、それぞれに対応する内部制御モードや役によって各テーブルにおける確率の分布パターンが異なるように設定されている。
なお、図5(1)中の「低確」「中確」「高確」は、ATモードに移行する確率の高低の程度を表すものである。また、図5(2)(3)では、割り当てられた乱数の羅列に代えて、割り当てられた乱数の個数を示している。
図4に参照を戻す。シナリオ抽選実行部403は、シナリオ抽選テーブルデータベース411から、主制御部30からの役抽選の結果通知コマンドが示す抽選結果と内部制御モード選択部402により選択されている現在の内部制御モードとの組み合わせに対応するシナリオ選択テーブルを選択し、そのテーブルを用いた抽選を実行する。例えば、ATモードへの切り替えが生じた場合には、ATモードへの移行を報知するためのシナリオデータを抽選の対象とする特別の演出用のシナリオ抽選テーブルを選択する。
演出制御データ管理部404、演出実行部405、シナリオデータベース412、ID管理テーブル413,コンテンツデータベース414,および復元用バッファ406によって、演出制御手段が構成される。
ID管理テーブル413には、各種演出の識別コード(以下「演出ID」という。)が、それぞれそのIDが示すコンテンツデータが適用されるレイヤの識別コード(以下「レイヤ番号」という。)や後述するクリアフラグの設定値に対応づけられて格納されている(図6を参照)。
シナリオデータベース412には、シナリオ選択抽選で選択され得る各種シナリオデータが格納される。この実施例のシナリオデータは、演出の契機となるイベントのイベントIDとそのイベントに対して実施される演出の演出IDとの組み合わせを、演出の実行順序に沿って配列した構成のものである(図7を参照)。
コンテンツデータベース414には、各演出IDに対応するコンテンツデータが格納される。コンテンツデータには、対応する演出IDを含むファイルコードが付与されているので、演出IDがわかれば、それに対応するコンテンツデータを容易に特定することができる。なお、この実施例のコンテンツデータの大半は、複数フレーム分の動画像データであるが、静止画像データから成るコンテンツデータも含まれている。
演出制御データ管理部404は、シナリオ抽選実行部403による抽選の結果を受けて、その抽選により選択されたシナリオデータをシナリオデータベース412から読み出す。以後、演出制御データ管理部404は、読み出されたシナリオデータに定義されているイベントの通知コマンドをコマンド受付部401が受け付けたことに応じてID管理テーブル413を参照し、通知されたイベントに対応する演出IDに設定されているレイヤ番号およびクリアフラグの設定値を認識する。そして、この認識結果に基づき、通知されたイベントに対応する演出IDおよび当該演出IDに対応するレイヤ番号を含む描画指示コマンドを出力する。また、通知されたイベントに対応する演出IDのクリアフラグがオン状態に設定されている場合には、描画指示コマンドの出力に先立ち、クリアコマンドを出力する。
なお、描画指示コマンドやクリアコマンドの出力は、図示しない作業メモリに対して行われる。演出実行部405は、作業メモリに保存された描画指示コマンドを所定のタイミングで読み出し、ついで、そのコマンド中の演出IDに対応するコンテンツデータをコンテンツデータベース414から読み出し、読み出したコンテンツデータを描画指示コマンド中のレイヤ番号が示すレイヤに適用した構成の画面データを作成する。そして、この画面データを液晶表示器6に出力することによって、描画指示コマンドを反映した演出画面を液晶表示器6に表示させる。また、クリアコマンドを読み出した場合には、演出実行部405は、全てのレイヤのデータをリセットする。
演出制御データ管理部404は、上記の描画指示コマンドが演出実行部405により実行されたことに応じて、そのコマンドに含めた演出IDとレイヤ番号との組み合わせによる新規のレコードを作成し、復元用バッファ406に格納する。復元用バッファ406内の各レコードは古いものから順に配列されるが、新規のレコードに含まれるのと同一のレイヤ番号を含むレコードが既に復元用バッファ406に保存されている場合には、先に保存されていたレコードは消去され、後続のレコードが繰り上げられる。また、新規レコード内の演出IDに対応するクリアフラグがオン状態の場合には、復元用バッファ406に保存されている全てのレコードが消去された後に新規レコードが保存される。よって、復元用バッファ406が記憶する情報は、常に、液晶表示器6に表示中の画面の構成に整合する状態となる。
なお、復元用バッファ406には、たとえば、レコード数と、演出IDとレイヤ番号との組み合わせを格納する配列とが保存されるが、演出IDを格納する配列とレイヤ番号を格納する配列とを別にして、両配列をレコード番号により紐付けた構成を復元用バッファ406として機能させることもできる。
図6は、ID管理テーブル413の保存情報の一部分のデータ構成を抽出し、その抽出部分に含まれる各演出IDに、それぞれそのIDが示すコンテンツデータによる演出画面を対応づけたものである。
ID管理テーブル413内の各演出IDには、それぞれそのIDが示すコンテンツデータが適用されるレイヤのレイヤ番号とクリアフラグの設定値とが対応づけられている。設定値の「1」はクリアフラグはオン状態であることを示し、設定値の「0」はクリアフラグはオフ状態であることを示す。
この実施例では、3層構造の画像が表示されるものとして、各レイヤに0,1,2のレイヤ番号を割り当てている。0番のレイヤは、階層構造の一番下に位置し、主として背景画像を表示する目的に使用される。図6の例では、「BT_START」「BT_IDL」「BT_END」の各演出IDが、0番のレイヤに対応づけられている。また、これらの演出IDに対するクリアフラグはオンに設定されている。
「BT_NV0」「BT_NV1」「BT_NV2」の各演出IDは、1番のレイヤに対応づけられ、クリアフラグはオフに設定される。「BT_CUTIN」は、2番のレイヤに対応づけられ、クリアフラグはオフに設定される。
この図6に示す各演出IDは、ATモード中に複数ゲームに亘って実行されるバトル演出用の演出表示のためのコンテンツデータを、簡略化のために一部を抜粋して示したものである。具体的には、「BT_START」はATモードでのバトル演出の開始画面のコンテンツデータであり、演出ID「BT_IDL」はバトル演出中の背景画像を構成するコンテンツデータであり、演出ID「BT_END」はバトル演出の終了画面のコンテンツデータである。
「BT_NV0」「BT_NV1」「BT_NV2」は、報知演出用の画像を表示するためのコンテンツデータである。たとえば、「BT_NV0」は、押し順役以外のチャンス役への当選を示唆する画像(3つの「!」マーク)を表示するためのコンテンツデータである。また「BT_NV1」は押し順役に当選したときの押し順を報知するためのコンテンツデータであり、「BT_NV2」は、ART中のゲームが上乗せされたことを報知するためのコンテンツデータである。なお、「BT_NV1」が使用される場合には、各「☆」マークがそれぞれ具体的な押し順を表す数字(「1」「2」「3」)に置き換えられ(図7(D)参照)、「BT_NV2」が使用される場合には、「○○」の部分が具体的な上乗せ数を示す数値に置き換えられる(図8(E2)参照)。
「BT_CUTIN」は、チャンス状態を示唆するカットイン画像を背景画像の上に表示するためのコンテンツデータである。
図7は、図6に示した各コンテンツデータを用いた演出が実行されるATモードの中の6ゲームを例に、これらのゲームで選択されたシナリオデータのデータ構成(a)〜(f)と、各シナリオデータにより表示される演出画面(A)〜(F)とを対応づけて示す。
この実施例のシナリオデータでは、実行されるコンテンツデータの演出IDが実行順に配列されると共に、各演出IDにそれぞれ演出開始の契機となるイベントのイベントIDが対応づけられている。図7では、アルファベットの「evt」と数字との組み合わせをイベントIDとしている。また、説明を簡単にするために、図7(e)を除く各例のイベントを「evt1」のみとし、図7(e)の例でのみ、「evt1」「evt2」の2つのイベントを設定している。
たとえば、イベントIDの「evt1」は始動レバー21の操作を示し、イベントIDの「evt2」は3回目の停止操作を示す。
シナリオデータでは、個々のイベントIDに少なくとも1つの演出IDが対応づけられる。複数の演出IDが対応づけられたイベントでは、それらの演出IDが示すコンテンツデータによる画像データがそれぞれに対応するレイヤに描画されることによって、1つの演出画面が構成されることになる。ただし、対応づけられた演出IDが1つだけのイベントでも、そのイベントが発生する前に使用されているレイヤの画像が引き継がれる場合がある。
図8は、図7に示した各シナリオデータに基づく演出制御が実施されている間に復元用バッファ406に格納されるレコード群の変遷を示す。
復元用バッファ406の各レコードには、レコード番号,演出ID,レイヤ番号が含まれる。演出IDおよびレイヤ番号は、描画指示コマンドに含まれていたものである。
図9は、シナリオ選択抽選の結果を受けた演出制御データ管理部404が、当該抽選で選択されたシナリオデータに基づいて実行する一連の処理の手順を示す。すなわち1回分のゲームにおける通常のデータ管理の流れを示すものである。
図9では、選択されたシナリオデータに含まれるイベントIDをカウンタiにより管理し、i番目のイベントIDに対応づけられている演出IDをカウンタjにより管理するとしている。最初のステップS1でカウンタiを初期値の1に設定し、つぎのステップS2でカウンタjを初期値の1に設定した後は、i番目のイベントの通知を受けるまで待機する。
主制御部30からi番目のイベントのイベントIDを含むコマンドを受けると(ステップS3が「YES」)、このイベントのj番目の演出IDによりID管理テーブル413を検索して、この演出IDに対応するレイヤ番号およびクリアフラグの設定値を読み出す(ステップS4)。
ステップS4で読み出されたクリアフラグの設定値が0であれば、クリアフラグはオフであり、ステップS5が「NO」となる。この場合には、演出制御データ管理部404はステップS8に進んで、j番目の演出IDとステップS4で読み出したレイヤ番号とを含む描画指示コマンドを作成し、当該コマンドを出力する。
描画指示コマンドの出力後は、このコマンドに含めたレイヤ番号により復元用バッファ406を検索する。この検索で同じレイヤ番号を含むレコードが見つからなかった場合(ステップS9が「NO」)には、ステップS10に進んで、j番目の演出IDとステップS4で読み出したレイヤ番号(いずれも描画指示コマンドに含められたもの)との組み合わせを新規レコードとして復元用バッファ406に保存する。一方、描画指示コマンドに含めたのと同じレイヤ番号を含むレコードが見つかった場合(ステップS9が「YES」)にはステップS11に進み、該当するレコードを消去すると共に後続のレコードを1つずつ繰り上げ、しかる後にステップS10を実行する。
ステップS4で読み出されたクリアフラグの設定値が「1」であれば、クリアフラグはオンであり、ステップS5が「YES」となる。この場合の演出制御データ管理部404は、まずクリアコマンドを出力し(ステップS6)、ついで復元用バッファ406内の全てのデータを消去し(ステップS7)、しかる後にステップS8に進んでj番目の演出IDとステップS4で読み出されたレイヤ番号とを含む描画指示コマンドを出力する。
ステップS7が実行された場合には復元用バッファ406は空の状態になるので、ステップS9の判定は「NO」となり、ステップS10に進む。よって、クリアフラグがオンに設定されている演出IDが処理対象となる場合には、ステップS6で出力されたクリアコマンドに応じて画面を構成する全てのレイヤがリセットされると共に、ステップS7によって復元用バッファ406のレコードも全て消去される。その後は、ステップS8で出力された描画指示コマンドに応じてj番目の演出IDのコンテンツデータによる画像が対応するレイヤに描画されると共に、ステップS10によって表示された画像に対応する演出IDとレイヤ番号との組み合わせが空状態の復元用バッファ406に保存される。
なお、図9には示していないが、ステップS7およびステップS10は、直前に出力されたクリアコマンドまたは描画指示コマンドが演出実行部405により実行されたことに応じて実行される。
j番目の演出IDに対する一連の処理が終了した後、i番目のイベントに他の演出IDが対応づけられている場合(ステップS12が「NO」)には、ステップS13でjの値をインクリメントしてステップS4に戻る。よって、更新後のjが示す演出IDに対して、上記と同様の手順(ステップS4〜S11)が実行される。またi番目のイベントに対応する全ての演出IDに対する処理を終了した(ステップS12が「YES」)が、未処理のイベントがある場合(ステップS14が「NO」)には、iの値をインクリメントしてステップS2に戻り、つぎのイベントの通知に待機する。
以下、図7に示したシナリオデータ(a)〜(f)に対する演出制御データ管理部404と演出実行部405との協働動作によって演出表示器6に表示される演出画面の具体例、および復元用バッファ406に保存される情報の変遷について、説明する。なお、一連の説明では、図6,図7,図8を参照するほか、適宜、図9のステップ符号を引用する。
<バトル演出の開始>
図7(a)は、ARTに入ったことにより開始されたバトル演出付きゲームの最初のゲーム(1ゲーム目)で選択されたシナリオデータであって、イベントIDの「evt1」に演出IDの「BT_START」が対応づけられた構成となっている。図6によれば、演出ID「BT_START」は0番のレイヤに対応し、クリアフラグはオンに設定されている。
したがって、主制御部30からイベントID「evt1」を含む通知コマンドを受けると、このイベントIDに対応する演出ID「BT_START」を対象としてステップS4が実行された後、ステップS5が「YES」となって、ステップS6,S7,S8が実行される。よって、ステップS6で出力されたクリアコマンドに応じて全てのレイヤがリセットされた後、ステップS8で出力された描画指示コマンドに応じて0番のレイヤに「BT_START」のコンテンツデータによる画像が描画された結果、液晶表示器6には、図7(A)に示すような画面が表示される。
また、復元用バッファ406に対しては、ステップS7により全てのレコードが消去された後に、ステップS10が実行されることにより、図8の(A−1)に示すように、「BT_START」とレイア番号0との組み合わせが0番のレコードとして格納される。
<2ゲーム目の演出>
図7(b)は、2回目のバトル演出付きゲームで選択されたシナリオデータであって、イベントIDの「evt1」に演出IDの「BT_IDL」が対応づけられた構成となっている。図6によれば、「BT_IDL」はレイヤ番号0に対応づけられ、クリアフラグはオン状態であるので、先の図7(a)のシナリオデータが選択された場合と同様の流れで、クリアコマンドと描画指示コマンドとが出力される。
よって、クリアコマンドに応じて全てのレイヤがリセットされた後に、描画指示コマンドに応じて0番のレイヤに「BT_IDL」のコンテンツデータによる画像が描画された結果、液晶表示器6には、図7(B)に示す画面が表示される。また復元用バッファ406に関しても、クリアコマンドの実行に応じて全てのレコードが消去された後に、描画指示コマンドの実行に応じて、「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存される(図8の(B−1))。
なお、この「BT_IDL」のコンテンツデータによる基本の背景画像は動画像である。ATモードに入っても押し順役に当選するまでは、図7(b)のシナリオデータが選択されるゲームが続くことがある。その場合にも、「evt1」のイベントが通知される都度、新たな描画指示コマンドが出力されるので、毎回のゲームの開始に応じて全てのレイヤがリセットされた後に、「BT_IDL」のコンテンツデータによる動画像が先頭フレームから順に表示される。また、復元用バッファ406も、ゲーム毎にリセットされて、前回と同じ内容のレコード(「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせ)が再度書き込まれる。
<Nゲーム目の演出>
図7(c)は、図7(b)のゲームから少し時間が経過して、ART上乗せ抽選の契機となる役に当選したゲーム(N番目(N>3)のゲーム)で選択されたシナリオデータである。具体的に、このシナリオデータでは、イベントIDの「evt1」に2つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV0」が対応づけられている。したがって、「evt1」のイベントが通知されると、まず「BT_IDL」を対象にした一連の処理が実行され、続いて「BT_NV0」を対象にした一連の処理が実行される。
1番目の演出ID「BT_IDL」に対する処理では、シナリオデータ(b)が選択されたときと同様の流れにより、クリアコマンドと描画指示コマンドとが出力される。よって、全てのレイヤがリセットされた後に、0番のレイヤに「BT_IDL」のコンテンツデータによる画像が描画される。また復元用バッファ406においても、クリアコマンドの実行に応じて全てのレコードが消去された後に、描画指示コマンドの実行に応じて「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存される(図8(C−1))。
2番目の演出ID「BT_NV0」はレイヤ番号1に対応づけられ、クリアフラグはオフ状態である(図6参照)。したがって、図9の処理でこの演出ID「BT_NV0」が処理対象となると、ステップS5が「NO」となるため、ステップS6,S7がスキップされてステップS8が実行される。この結果、1番のレイヤに「BT_NV0」のコンテンツデータによる画像が描画され、演出ID「BT_IDL」に対する処理で描画された0番のレイヤの画像と1番のレイヤの画像との重ね合わせによる画面(図7(C))が表示される。
上記の描画が行われた時点での復元用バッファ406は、図8(C−1)の記憶状態であるので、ステップS9は「NO」となってステップS10に進む。この結果、図8(C−2)に示すように、0番のレコードが維持されて、「BT_NV0」とレイヤ番号1との組み合わせを含む1番のレコードが追加される。
<Mゲーム目の演出>
図7(d)は、M番目のバトル演出付きゲーム(M>N)で選択されたシナリオデータである。このシナリオデータは、押し順役に当選したことに応じて押し順の報知を行うために選択されたもので、イベントIDの「evt1」に2つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV1」が対応づけられている。
この例でも、「evt1」のイベントが通知されたことに応じて、各演出ID「BT_IDL」「BT_NV1」に対する処理が順に実行される。演出ID「BT_IDL」に対する処理では、先の図7(b)(c)の例と同様の流れにより、全てのレイヤがリセットされた後に、0番のレイヤに「BT_IDL」のコンテンツデータによる画像が描画される。また復元用バッファ406においても、全てのデータが消去された後に「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存される(図8(D−1))。
続く2番目の演出ID「BT_NV1」はレイヤ番号1に対応づけられ、クリアフラグはオフに設定されている(図6を参照)。したがって、この「BT_NV1」に対する図9の処理では、ステップS5の「NO」判定に応じてステップS6,S7がスキップされてステップS8が実行され、さらに、ステップS9の判定が「NO」となってステップS10が実行される。よって、0番のレイヤの画像が維持された状態で、「BT_NV1」のコンテンツデータによる画像が1番のレイヤに描画されることにより、液晶表示器6には図7(D)に示すような画面が表示される。また復元用バッファ406においても、0番レコードが維持されると共に、「BT_NV1」とレイヤ番号1との組み合わせが新規の1番レコードとして追加される(図8(D−2))。
<Lゲーム目の演出>
図7(e)は、L番目のバトル演出付きゲーム(L>M)において、ART上乗せ抽選の契機となる役に当選し、さらにART上乗せ抽選にも当選したことに応じて選択されたシナリオデータである。このシナリオデータには、2つのイベントID「evt1」「evt2」が含まれると共に、1番目のイベントID「evt1」に3つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV0」「BT_CUTIN」が対応づけられている。
最初の「evt1」のイベントが通知されると、対応する3つの演出ID「BT_IDL」「BT_NV0」「BT_CUTIN」に対する処理が順に実行される。「BT_IDL」および「BT_NV0」に対しては、図7(c)の例で説明したのと同様の流れで処理が進行して、各演出IDのコンテンツデータによる画像がそれぞれ0番および1番のレイヤに描画され、復元用バッファ406に、「BT_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせによる0番レコードと、「BT_NV0」とレイヤ番号1との組み合わせによる1番レコードとが順に保存される(図8の(E−1)(E−2))。
「evt1」のイベントに対応づけられた3番目の演出IDの「BT_CUTIN」は2番のレイヤに対応づけられ、クリアフラグはオフに設定されている(図6を参照)。したがって、この「BT_CUTIN」に対しては、図9のステップS5の「NO」判定に応じてステップS6,S7がスキップされてステップS8が実行される。この結果、0番および1番のレイヤの画像が維持され、2番のレイヤに「BT_CUTIN」のコンテンツデータによる画像が描画され、これら3層の画像の重ね合わせによって、液晶表示器6には図7(E1)に示すような画像が表示される。
上記の処理の後のステップS9は「NO」となるため、ステップS10が実行される。この結果、復元用バッファ406では、0番および1番のレコードが維持されて、新たに、「BT_IDL」とレイヤ番号2との組み合わせによる新規レコードが2番のレコードとして追加される(図8の(E−3))。
2番目のイベントID「evt2」には、1つの演出ID「BT_NV2」のみが対応づけられている。この「BT_NV2」には1番のレイヤが対応づけられ、クリアフラグはオフに設定されている(図6を参照)。したがって、図9の処理において「evt2」のイベントが通知されて「BT_NV2」が処理対象に設定されると、ステップS5が「NO」となってステップS8に進み、「BT_NV2」とレイヤ番号1とを含む描画指示コマンドが出力される。この描画指示コマンドが実行されると、「BT_NV0」のコンテンツデータによる画像が描画されている1番のレイヤが「BT_NV2」のコンテンツデータにより更新される。この結果、液晶表示器6の表示は、図7(E1)に示す画面から図7(E2)に示す画面へと更新される。
さらに、上記の描画が行われた段階の復元用バッファ406(図8の(E−3))では、1番のレコードにレイヤ番号1が含まれているので、ステップS9が「YES」となってステップS11が実行された後にステップS10が実行される。この処理の流れにより、図8(E−3)の1番レコードが消去されて2番のレコード(「BT_CUTIN」とレイヤ番号2との組み合わせ)が1番に繰り上げられた後、「BT_NV2」とレイヤ番号1との組み合わせが新規の2番のレコードとして追加される(図8の(E−4))。
<ART終了ゲームでの演出>
図7(f)は、ARTモードの最後のゲームで選択されたシナリオデータであって、イベントIDの「evt1」に演出IDの「BT_END」が対応付けられた構成となっている。
図6によれば、演出ID「BT_END」は0番のレイヤに対応づけられ、クリアフラグはオンに設定されている。したがって、「BT_START」や「BT_IDL」を対象とする場合と同様の流れでクリアコマンドと描画指示コマンドとが出力され、全てのレイヤがリセットされた後に「BT_END」のコンテンツデータによる画像が0番のレイヤに描画され、液晶表示器6には、図7(F)に示すような画面が表示される。復元用バッファ406においては、クリアコマンドの実行に応じて全てのレコードが消去された後に、描画指示コマンドの実行に応じて「BT_END」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存され、図8(F)のような記憶状態になる。
なお、上記の実施例では、0番のレイヤに対応づけられる背景画像用の演出IDに必ずオン状態のクリアフラグを対応づけるようにしたが、0番以外のレイヤの画像を維持しながら0番のレイヤの背景画像を切り替えるような場合には、切り替え後の画像に対応する演出IDにはオフ状態のクリアフラグが対応づけられる。
先に述べたように、この実施例のスロットマシン1では、外部からの電源供給が遮断されても、各制御部30,40,50にバックアップ用の電源から電源が供給されるので、各RAM33,43,53には、外部電源が遮断される直前の記憶状態で維持される。したがって、外部電源が復帰すると、いずれの制御部でも、電源遮断直前のプログラム実行状態に復帰してその時点から処理を再開することができる。その再開前に、この実施例では、図8に例示した構成の復元用バッファ406を用いて、図10に示す復元処理を実行することにより、外部電源が遮断されたときに液晶表示器6に表示されていた画面を復元する。
図10に示す復元処理では、処理対象のレコードをカウンタkにより管理し、このカウンタkを、0を初期値としてインクリメントを繰り返す(ステップS21,S24,S25)ことによって、復元用バッファ406内のレコードに古いものから順に着目して、ステップS22,S23を実行する。
ステップS22では、復元用バッファ406からk番目のレコードの演出IDとレイヤ番号とを読み出し、ステップS23では、読み出した演出IDとレイヤ番号とを含む描画指示コマンドを出力する。全てのレコードに対して、ステップS22およびS23が実行されると、ステップS24が「YES」となり、図9に示した手順のうちの電源遮断時のステップへと移行する。
上記の復元処理で出力される描画指示コマンドに対し、演出実行部405は、通常処理時と同様に、コマンド中の演出IDに対応するコンテンツデータをコンテンツデータベース414から読み出し、コマンド中のレイヤ番号が示すレイヤに当該コンテンツデータによる画像を描画する。したがって、外部電源が遮断される直前に画像が描画されていたレイヤに描画されていた画像が電源遮断前と同じ順序で描画されて、外部電源が遮断されたときに液晶表示器6に表示されていた画像が復元される。
上記の処理によれば、たとえば、図7(e)の例において、1番目のイベントID「evt1」に対する演出画面E1の表示が完了したときに外部電源が遮断されたものとすると、復元用バッファ406では、図8の(E−3)に示す3つのレコードが記憶保持されることになる。よって、復電後は、0番,1番,2番の順にステップS22およびS23を実行することにより、画面E1を復元して再表示することが可能になる。さらにこの後は、2番のイベントID「evt2」に対する処理を実行することができる。
また、画像E1の表示が完了していない状態、たとえば、「evt1」に対応する3つの演出IDのうち「BT_IDL」「BT_NB0」に対する処理は終了したが、3番目の演出ID「BT_CUTIN」に対して図9のステップS4を実行しているときに外部電源が遮断されたものとすると、復元用バッファ406は、図8の(E−2)の記憶状態で維持されることになる。よって、この場合の復元処理では、0番および1番のレコードを対象にステップS22およびS23を実行することにより、「BT_IDL」による0番のレイヤの画像と「BT_NV0」による1番のレイヤの画像とを復元した後、通常処理に復帰して「BT_CUTIN」に対するステップS4から処理を再開するので、復元された0番および1番のレイヤの画像に「BT_CUTIN」による2番のレイヤの画像を加え、画像E1を表示することができる。
また、図10の手順によれば、復元処理が終了するまでに復元用バッファ406の情報が更新されることはないので、復元処理の終了直後の復元用バッファ406の情報を初期値として、通常の処理に復帰することにより、復帰後の復元用バッファ406の記憶状態も表示される画像の構成に整合させることができる。
上記のとおり、この実施例の復元用バッファ406には、表示に使用されたコンテンツデータと描画対象のレイヤとの単純な履歴を記憶するものではなく、表示中の画像を構成する画像データとその画像データが描画されているレイヤとの関係を特定するための情報(レイヤ情報)が、描画された順に保存される。したがって、外部電源が遮断された後の復電時には、各レコードを1つずつ読み出して描画指示コマンドに含めて出力することにより、外部電源が遮断された時点の表示画面を効率良くかつ正確に復元し、速やかに電源遮断時の制御状態に復帰することができる。
なお、図7に示したシナリオデータ(a)〜(f)では、イベントIDの数を1または2としたが、より多くのイベントIDを含むシナリオデータが設定される場合もある。その場合には、クリアフラグがオン状態の演出IDを複数含む構成のシナリオデータを設けることも可能である。また先にも述べたように、0番のレイヤに対応する演出IDであっても、クリアフラグがオフに設定される場合がある。
図11は、図7とは異なるシナリオデータが選択されたゲームにおいて表示される演出画面の変遷を示す。また、図12は、図11に示した演出に用いられるシナリオデータの構成に、当該シナリオデータ中の各演出IDに対するレイヤ番号およびクリアフラグの設定(ID管理テーブル413に保存されているもの)を対応づけて示したものである。
この実施例では、イベントID「ST」は始動レバー21の有効な操作(始動操作)を、イベントID「SP1」は1番目の有効な停止操作を、イベントID「SP2」は2番目の有効な停止操作を、イベントID「SP3」は3番目の有効な停止操作をそれぞれ示す。さらに、イベントID「RL」は3番目の操作の終了(第3停止リリース)を示し、イベントID「BT」はベット操作を示す。
この実施例では、主制御部30からST,SP1,SP2,SP3,RLの各イベントの通知を受けたことに応じて、GA→GB→GC→GD→GEのように演出画面を変動させている。さらに、つぎのゲームに関するベット操作によるイベントBTの通知を受けると、画像GFが表示される。
図12によれば、始動操作(イベントST)には、0番のレイヤに対応する演出ID「BACK_1」と1番のレイヤに対応する演出ID「CHAR_1」とが設定されている。「BACK_1」は、図11の画像GAの背景部分を構成するコンテンツデータを示し、「CHAR_1」は画像GA中の人物の動画像を構成するコンテンツデータを示す。「BACK_1」でのクリアフラグはオンに設定され、「CHAR_1」でのクリアフラグはオフに設定されている。
第1停止操作(イベントSP1)には、0番のレイヤに対応する演出ID「BACK_2」と1番のレイヤに対応する演出ID「CHAR_21」とが設定されている。「BACK_2」は、図11の画像GBの背景部分を構成するコンテンツデータを示し、「CHAR_21」は画像GB中の人物の動画像を構成するコンテンツデータを示す。「BACK_2」でのクリアフラグはオンに設定され、「CHAR_21」でのクリアフラグはオフに設定されている。
第2停止操作(イベントSP2)には、0番のレイヤに対応する演出ID「BACK_3」のみが設定されている。「BACK_3」は、図11の画像GCの背景部分を構成するコンテンツデータを示すが、この「BACK_3」でのクリアフラグはオフに設定されている。
第3停止操作(イベントSP3)には、1番のレイヤに対応する演出ID「CHAR_23」のみが対応づけられている。この「CHAR_23」は画像GD中の人物の動画像を構成するコンテンツデータを示すもので、クリアフラグはオフに設定されている。
第3停止リリース(イベントRL)には、0番のレイヤに対応する演出ID「BACK_4」と、1番のレイヤに対応する演出ID「CHAR_24」と、2番のレイヤに対応する演出ID「CUTIN_A」と、3番のレイヤに対応する演出ID「CUTIN_B」とが順に対応づけられている。「BACK_4」は、図11の画像GEの背景部分を構成するコンテンツデータを示し、「CHAR_24」は画像GE中の人物の動画像を構成するコンテンツデータを示す。また「CUTIN_A」は画像GE中の第1のカットイン画像CAを構成するコンテンツデータを、「CUTIN_B」は画像GE中の第2のカットイン画像CBを構成するコンテンツデータを、それぞれ示す。「BACK_4」でのクリアフラグはオンに設定され、他の演出IDのクリアフラグはオフに設定されている。
ベット操作(イベントBT)には、0番のレイヤに対応する演出ID「BACK_IDL」のみが対応づけられている。この「BACK_IDL」でのクリアフラグはオンに設定されている。
上記構成のシナリオデータが選択された場合にも、先の図9に示した手順によって、毎回のイベントに応じた演出画面を表示しつつ、復元用バッファ406を更新することができる。外部電源の遮断後の復電時にも、図10に示した手順によって、電源遮断直時の表示画面を復元することができる。
図13は、図12のシナリオデータに対して図9に示した処理が実行される間に復元用バッファ406に生じる記憶状態の変遷を示す。
始動操作(ST)に対しては、対応する2つの演出ID「BACK_1」「CHAR_1」を順に対象とした処理により、全てのレイヤがリセットされて「BACK_1」のコンテンツデータによる画像が0番のレイヤに描画された後に、「CHAR_1」のコンテンツデータによる画像が1番のレイヤに描画されて、画面GAが表示される。また、復元用バッファ406では、全てのレコードが消去された後に、「BACK_1」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存され(図13(イ))、これに「CHAR_1」とレイヤ番号1との組み合わせによる新規の2番レコードが追加される(図13(ロ)。)。
第1停止操作(SP1)に対しても、上記と同様の手順で処理が進行して、各演出ID「BACK_2」「CHAR_21」のコンテンツデータによる画像が0番および1番のレイヤに順に描画される。よって、液晶表示器6では、図11の画面GAを表示する状態から画面GBを表示する状態に更新される。また、復元用バッファ406では、全てのレコードが消去された後に、「BACK_2」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存され(図13(ハ))、さらに「CHAR_2」とレイヤ番号2との組み合わせによる新規の1番レコードが追加される(図13(ニ))。
つぎに第2停止操作(SP2)に対しては、対応する演出ID「BACK_3」のクリアフラグがオフであるため、図9の処理ではステップS5が「NO」となってステップS8に進む。この結果、0番のレイヤの背景画像は更新されるが、1番のレイヤにはイベントSP1により設定された「CHAR_21」による画像が引き継き描画されて、画面Gcが表示される。
上記の描画が行われている時点での復元用バッファ406は図13(ニ)の記憶状態にあり、その0番のレコードに処理対象の「BACK_3」に対応するのと同じレイヤ番号0が含まれているので、ステップS9が「YES」となってステップS11,S10の順に処理が行われる。この結果、0番のレコード(「BACK_2」とレイヤ番号0との組み合わせ)が消去されて1番のレコードが0番に繰り上がられ、「BACK_3」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の1番レコードとして追加される(図13の(ホ))。
第3停止操作(SP3)に対しても、対応する演出ID「CHAR_23」のクリアフラグがオフであるため、図9の処理ではステップS5が「NO」となってステップS8に進む。この結果、1番のレイヤの画像が「CHAR_23」のコンテンツデータにより更新されるが、0番のレイヤには画面GCからの画像が引き継がれ、画面GCと同じ背景でキャラクタの画像が異なる画面GDが表示される。
上記の処理が実行されている時点での復元用バッファ406は図13(ホ)の記憶状態にあり、その0番のレコードに処理対象の「CHAR_23」に対応するのと同じレイヤ番号1が保存されているので、ステップS9が「YES」となってステップS11,S10の順に処理が行われる。この結果、0番のレコードが消去されて1番のレコードが0番に繰り上げられ、「CHAR_23」とレイヤ番号1との組み合わせが新規の1番レコードとして追加される(図13の(ヘ))。
第3停止リリース(RL)に対しては、4つの演出ID「BACK_4」「CHAR_24」「CUTIN_A」「CUTIN_B)が順に処理対象となる。最初の「BACK_4」ではクリアフラグがオンであるため、全てのレイヤがリセットされた後に0番のレイヤに「BACK_4」のコンテンツデータによる画像が描画される。また復元用バッファ406では、全てのレコードが消去された後に、「BACK_4」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存される(図13の(ト))。
他の3つの演出IDではクリアフラグがオフであり、またそれぞれ異なるレイヤ番号が対応づけられているので、各演出IDのコンテンツデータによる画像がそれぞれ対応するレイヤに順に描画されてゆき、画面GEが表示される。
復元用バッファ406でも、先の0番レコードの保存に続いて、後続の各演出ID「CHAR_24」「CUTIN_A」「CUTIN_B」をそれぞれ対応するレイヤ番号と組み合わせた新規レコードが順に追加される(図13(チ)(リ)(ヌ))。
ベット操作(BT)に対しては、対応する演出ID「BACK_IDL」のクリアフラグがオンに設定されているので、クリアコマンドおよび描画指示コマンドが送信される。よって、クリアコマンドに応じて全てのレイヤがリセットされた後に「BACK_IDL」のコンテンツデータによる画像が0番のレイヤに描画されることにより、液晶表示器6には画像GFが表示される。また、復元用バッファ406では、クリアコマンドに応じて図13(ヌ)に示した4つのレコードが消去され、「BACK_IDL」とレイヤ番号0との組み合わせが新規の0番レコードとして保存される(図13(ル))。
上記のとおり、図12のシナリオデータによれば、全てのレイヤをリセットする処理が4回実施される一方で、第2停止操作や第3停止操作に対しては、全レイヤをリセットすることなく、背景画像または人物の画像のみが更新される。このように、展開したい演出の内容に応じて、各コンテンツデータが適用されるレイヤやクリアフラグの設定値を変更することによって、多彩な演出表示を実現することができる。
この実施例でも、復元用バッファ406には、表示中の画像を構成する画像データに対応する演出IDとその画像データが描画されるレイヤとの関係を示す情報が描画が行われた順に保存されているので、外部電源の遮断後の復電時には、復元用バッファ406内のレコードを用いて図10に示した復元処理を行うことにより、どのような表示状態下で外部電源が遮断されても、遮断直前に表示されていた画面を容易に復元することができる。よって、速やかに外部電源の遮断直前の制御に復帰することができる。
なお、説明の簡略化のため、図7や図12の例では、イベントIDと演出IDとを対応づけただけの構成のシナリオデータを示したが、イベントIDまたは演出IDに、対応する画像の描画を開始するタイミングまたは終了のタイミングを示すタイミングデータを紐付けることができる。このタイミングデータは、演出制御データ管理部404が作成するクリアコマンドや描画開始コマンドにも含められるので、演出実行部405は、タイミングデータに基づき、コマンドの実行の開始または終了の時期を調整することができる。
上記実施例に示したデータ管理や復元処理は、演出画像の表示に限らず、たとえば、複数の電飾ランプ25による電飾領域内に階層構造を持つ発光パターンを表示させる場合にも,適用することができる。