以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係るスイッチ装置10の構成例を示す。スイッチ装置10は、外部から入力される電圧が過大になっても、制御回路側に電流が流入することを防止しつつ、外部から入力される制御電圧に応じて第1端子および第2端子間を電気的に接続または切断する。スイッチ装置10は、メインスイッチ100と、オン電圧生成部110と、オフ電圧生成部120と、制御部130と、第1流入防止部140と、第2流入防止部142と、第1電圧供給部150と、第2電圧供給部152とを備える。
メインスイッチ100は、第1端子および第2端子の間に接続され、当該スイッチ装置に入力される入力電圧とゲート電圧との差に応じてオンまたはオフとなる。メインスイッチ100は、一例として、第1端子および第2端子の間にソースおよびドレインが接続されるFET等の半導体スイッチを有する。メインスイッチ100は、複数のFETを有してよく、この場合、第1端子および第2端子の間に直列に接続されてよい。
メインスイッチ100は、デプレッション型のFETであってよく、これに代えて、エンハンスメント型のFETでもよい。また、メインスイッチ100は、化合物半導体で形成されるFETであってよく、一例として、GaN−HEMTである。
本実施例において、メインスイッチ100のソースは、第1端子に接続される側の端子および第2端子に接続される側のうち、キャリアが供給される方の端子として説明する。例えば、メインスイッチ100がNチャネルのFETの場合で、かつ、第1端子電圧が第2端子電圧よりも大きい場合、電流の流れる方向は第1端子から第2端子に向かい、FETにキャリア(電子)が供給される方向は第2端子側から第1端子側となる。したがって、この場合、FETの第2端子側の端子をソースとする。ここで、メインスイッチ100がNチャネルのFETの場合で、かつ、第1端子電圧が第2端子電圧よりも小さい場合は、電流の流れる方向が逆向きになるので、FETの第1端子側の端子をソースとする。
メインスイッチ100は、第1端子または第2端子から入力される入力電圧のうち、低い方の電圧とゲート電圧との差がゲート・ソース間電圧となり、当該ゲート・ソース間電圧に応じてオンまたはオフとなる。メインスイッチ100は、オン電圧生成部110が生成したオン電圧を受け取ってオンとなり、また、オフ電圧生成部120が生成したオフ電圧を受け取ってオフとなる。
オン電圧生成部110は、第1端子および第2端子からの電圧を入力して、第1端子および第2端子からの電圧に基づいてメインスイッチ100をオンにするオン電圧を生成する。例えば、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧および第2端子の電圧のうち、より低い電圧に基づくオン電圧を生成する。オン電圧生成部110は、第1バッファ部112と、第2バッファ部114と、比較部116と、第3バッファ部118とを有する。
第1バッファ部112は、第1端子から入力される入力電圧を受け取り、受け取った電圧を比較部116に出力する。第1バッファ部112は、例えば、第1端子から入力される入力電圧がほとんど低減しないように(入力電圧にとってほとんど負荷とならないように)、電流増幅機能(即ち、バッファ機能)を有する。また、第1バッファ部112は、第1端子から入力される入力電圧が予め定められた電圧よりも大きい(小さい)電圧の場合に、当該予め定められた電圧を出力する電圧リミット機能を有してもよい。
第2バッファ部114は、第2端子から入力される入力電圧を受け取り、受け取った電圧を比較部116に出力する。第2バッファ部114は、第1バッファ部112と同様に、電流増幅機能および/または電圧リミット機能を有してもよい。また、第2バッファ部114は、第1バッファ部112と略同一の回路で構成されてよい。
比較部116は、第1バッファ部112および第2バッファ部114に接続され、第1端子の電圧および第2端子の電圧を受け取り、受け取った2つの電圧に応じた電圧を出力する。比較部116は、一例として、第1端子の電圧および第2端子の電圧を比較し、より低い方の電圧を出力する。
第3バッファ部118は、比較部116に接続され、比較部116が出力する出力電圧を受け取り、受け取った電圧をメインスイッチ100をオンとするオン電圧として出力する。第3バッファ部118は、第1バッファ部112等と同様に、電流増幅機能および/または電圧リミット機能を有してもよい。また、第3バッファ部118は、第1バッファ部112等と略同一の回路で構成されてよい。
オフ電圧生成部120は、メインスイッチ100をオフとするオフ電圧を生成する。オフ電圧生成部120は、メインスイッチ100に用いられるFETの特性と、第1端子および第2端子に印加される電圧の最小電圧値または最大電圧値とに応じて、メインスイッチ100をオフにする予め定められた電圧を出力する。
制御部130は、オン電圧生成部110の第3バッファ部118およびオフ電圧生成部120にそれぞれ接続され、メインスイッチ100をオン/オフするオン電圧およびオフ電圧を受け取る。また、制御部130は、メインスイッチ100のゲートに接続され、制御電圧に応じて、オン電圧またはオフ電圧に基づくゲート電圧をメインスイッチ100に供給する。
制御部130は、例えば、外部から入力される制御電圧に応じて、オン電圧およびオフ電圧のいずれか一方を出力するスイッチ機能を有する。また、制御部130は、外部から入力される制御電圧がハイ電圧の場合にオフ電圧を出力し、外部から入力される制御電圧がロー電圧の場合にオン電圧を出力して、入出力の論理を反転させるインバータ機能を有してもよい。
以上の本実施形態に係るスイッチ装置10は、外部からの制御電圧に応じて、メインスイッチ100をオフにする場合、制御部130がメインスイッチ100のゲートにオフ電圧を供給する。ここで、メインスイッチ100は、一例として、ゲート・ソース間電圧が−6V以上の場合に完全にオンとなり、ゲート・ソース間電圧が−9V以下の場合に完全にオフとなるNチャネルのデプレッション型FETであり、かつ、第1端子および第2端子に印加される電圧の最小電圧値を0Vとして説明する。
この場合、オフ電圧生成部120は、例えば、オフ電圧として−14Vの電圧を生成して出力する。これにより、スイッチ装置10は、第1端子および第2端子に印加される電圧が最小電圧値となっても、メインスイッチ100のゲート・ソース電圧は−14Vとなって、完全にオフとすることができる。
また、スイッチ装置10は、外部からの制御電圧に応じて、メインスイッチ100をオンにする場合、制御部130がメインスイッチ100のゲートにオン電圧を供給する。オン電圧生成部110は、例えば、第1端子に入力される入力電圧および第2端子に入力される入力電圧のうち、より低い方の電圧をオン電圧として生成する。
ここで、第1端子の入力電圧および第2端子の入力電圧のうち、より低い方の電圧は、メインスイッチ100のソース側となるので、メインスイッチ100のゲート・ソース間電圧を略0Vにすることができる。また、仮に入力電圧の値(即ちソース電圧)が変動したとしても、スイッチ装置10は、当該ソース電圧をゲートに供給するので、メインスイッチ100のゲート・ソース間電圧を略0Vを保つことができ、当該メインスイッチ100をオンにすることができる。
以上のように、スイッチ装置10は、第1端子および第2端子に入力される入力電圧に応じたオン電圧およびオフ電圧をメインスイッチ100に供給するので、当該メインスイッチによって通過および遮断させる電気信号の電圧範囲を拡大することができる。しかしながら、このようなスイッチ装置10のメインスイッチ100をオフにした場合において、第1端子または第2端子に、例えば、+10V程度以上の電圧が入力すると、メインスイッチ100がオフ状態を保っていても、制御回路側であるオン電圧生成部110に電流が流れてしまう場合がある。
即ち、このような過大な電圧が加わった場合に、スイッチ装置10は、第1端子または第2端子に電流を流したことになるので、オフ状態ではなくなってしまうことになってしまう。そこで、本実施形態のスイッチ装置10は、第1流入防止部140、第2流入防止部142、第1電圧供給部150、および第2電圧供給部152を備え、過大な電圧が加わっても、制御回路側に電流が流れることを阻止する。
第1流入防止部140は、第1端子およびオン電圧生成部110の間に接続され、第1端子からオン電圧生成部110への電流流入を防止する。また、第2流入防止部142は、第2端子およびオン電圧生成部110の間に接続され、第2端子からオン電圧生成部110への電流流入を防止する。第1流入防止部140および第2流入防止部142は、メインスイッチ100がオフとなる場合に第1端子および第2端子とオン電圧生成部110との間を遮断する。
第1流入防止部140は、例えば、制御部130に接続され、制御部130から供給されるオン電圧によって第1端子および第1バッファ部112を電気的に接続する。また、第1流入防止部140は、制御部130から供給されるオフ電圧によって第1端子および第1バッファ部112を電気的に切断する。第1流入防止部140は、FET等の半導体スイッチを有してよく、この場合、ゲート電極は制御部130に接続される。第1流入防止部140は、メインスイッチ100と同種または略同一のスイッチを有してよい。
また、第2流入防止部142は、第1流入防止部140と同様に、例えば、制御部130に接続され、制御部130から供給されるオン電圧およびオフ電圧に応じて、第2端子および第2バッファ部114を電気的に接続または切断するスイッチを有する。第2流入防止部142は、FET等の半導体スイッチを有してよく、この場合、ゲート電極は制御部130に接続される。第1流入防止部140および第2流入防止部142は、メインスイッチ100と同種または略同一のスイッチでよい。
第1電圧供給部150は、第1流入防止部140およびオン電圧生成部110の第1バッファ部112の間に接続され、第1流入防止部が第1端子とオン電圧生成部110との間を遮断したことに応じて、第1流入防止部140に予め定められた電圧を供給する。これによって、第1流入防止部140が第1端子からの電流流入を防止する場合、第1電圧供給部150は、第1流入防止部140および第1バッファ部112の間の電位が不定になることを防止して、第1流入防止部140を安定なオフ状態にする。
一例として、メインスイッチ100および第1流入防止部140が、Nチャネルのデプレッション型FETの場合、第1電圧供給部150は、略0Vを供給する。これにより、第1流入防止部140が第1端子からの電流流入を防止する場合、即ち、第1流入防止部140がオフ状態になる場合、第1流入防止部140およびオン電圧生成部110の間を略0Vの電位にすることができる。
この場合において、第1電圧供給部150は、第1端子の入力電圧が0Vを超えても、第1流入防止部140の第1バッファ部112側の電位を略0Vにして、ソース電位とするので、第1流入防止部140のゲート・ソース間電圧を第1端子の入力電圧に関わらず一定の電位差(即ち、制御部130から供給されるオフ電圧)にして、第1流入防止部140を安定なオフ状態にする。
以上のように、第1流入防止部140は、制御部130から供給されるオフ電圧に応じて、第1端子と第1バッファ部112の間の電気的な接続を切断することができる。これにより、メインスイッチ100がオフの場合に、第1端子から(例えば+10V以上の)過大な電圧が入力しても、第1流入防止部140が第1端子からオン電圧生成部110へと電流が流入することを防止するので、スイッチ装置10は、オフ状態を保つことができる。したがって、本実施形態のスイッチ装置10は、第1端子からの入力電圧の電圧範囲を、例えば、0Vから+10V以上といった電圧範囲まで拡大することができる。
また、第1電圧供給部150は、抵抗値の大きい直列抵抗素子または直列抵抗成分等を有してよい。これによって、第1電圧供給部150は、第1流入防止部140がオン状態で第1端子からの入力電圧が第1バッファ部112へと供給される場合に、当該第1電圧供給部150側に電流がほとんど流れないように(入力電圧をほとんど低減させずに)することができる。
これにより、例えば、第1端子の入力電圧が第2端子の入力電圧に比べて低い場合に、制御部130は、第1端子の入力電圧をオン電圧としてメインスイッチ100および第1流入防止部140のゲートに供給することができる。即ち、メインスイッチ100および第1流入防止部140は、ゲート・ソース間電圧が略0Vになるので、安定なオン状態を保つことができる。
第2電圧供給部152は、第1電圧供給部150と同様に、第2流入防止部142およびオン電圧生成部110の間に接続され、第2流入防止部142が第2端子とオン電圧生成部110との間を遮断したことに応じて、第2流入防止部142に予め定められた電圧を供給する。これによって、第2流入防止部142が第2端子からの電流流入を防止する場合、第2電圧供給部152は、第2流入防止部142および第2バッファ部114の間を予め定められた電位にする。
第2電圧供給部152は、第1電圧供給部150の例と同様に、略0Vを供給することにより、第2流入防止部142がオフ状態になる場合、第2流入防止部142および第2バッファ部114の間を略0Vの電位にすることができる。したがって、第2電圧供給部152は、第1電圧供給部150と同様に、第2端子の入力電圧が0Vを超えても、第2流入防止部142のゲート・ソース間電圧を一定の電位差(即ち、制御部130から供給されるオフ電圧)にして、オフ状態にすることができる。
これにより、メインスイッチ100がオフの場合に、第2端子から(例えば+10V以上の)過大な電圧が入力しても、第2流入防止部142が第2端子からオン電圧生成部110へと電流が流入することを防止するので、スイッチ装置10は、オフ状態を保つことができる。
また、第2電圧供給部152は、第1電圧供給部150と同様に、抵抗値の大きい直列抵抗素子または直列抵抗成分等を有してよい。これにより、例えば、第2端子の入力電圧が第1端子の入力電圧に比べて低い場合に、制御部130は、第2端子の入力電圧をオン電圧としてメインスイッチ100および第2流入防止部142のゲートに供給することができる。即ち、メインスイッチ100および第2流入防止部142は、ゲート・ソース間電圧が略0Vになるので、安定なオン状態を保つことができる。
また、この場合、オン電圧は第1流入防止部140のゲートにも供給され、第1流入防止部140は、ゲート・ソース間電圧が略0Vになるので、同様に安定なオン状態となる。これは、制御部130が第1端子の入力電圧をオン電圧としてメインスイッチ100および第1流入防止部140のゲートに供給する場合も同様であり、即ち、当該オン電圧は第2流入防止部142のゲートにも供給され、第2流入防止部142は、安定なオン状態となる。
したがって、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、制御部130から供給されるオン電圧に応じてオン状態となり、オフ電圧に応じてオフ状態となることができる。即ち、スイッチ装置10は、第1端子および第2端子に入力される入力電圧の大きさに関わらず、外部から供給される制御電圧に応じてメインスイッチ100のオン/オフを切り替えることができる。また、スイッチ装置10は、第1端子および第2端子に入力される入力電圧の範囲を、例えば10V以上の電圧範囲に拡大することができる。
以上の本実施形態のスイッチ装置10のオン電圧生成部110は、第1端子の電圧および第2端子の電圧のうち、低い方の電圧をオン電圧として生成する例を説明した。これに代えて、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧および第2端子の電圧の間の中点の電圧に基づくオン電圧を生成してもよい。この場合、比較部116は、一例として、第1端子の電圧および第2端子の電圧の間の中点の電圧を出力する。
ここで、ドレイン電圧はソース電圧以上の電圧なので、ドレイン電圧およびソース電圧の中点の電圧は、ソース電圧以上の電圧となる。したがって、オン電圧生成部110は、例えば、ドレイン電圧およびソース電圧の中点の電圧をオン電圧とすることにより、ゲート・ソース間電圧を0V以上にして、メインスイッチ100等をオンにすることができる。
以上の本実施形態のスイッチ装置10のメインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、ゲート・ソース間電圧が0Vでオン状態となるNチャネルのデプレッション型FETを有する例を説明した。これに代えて、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、Nチャネルのエンハンスメント型FETであってもよい。
Nチャネルのエンハンスメント型FETは、当該FETをオンおよびオフとする電圧がデプレッション型FETに比べて高くなる。そこで、オフ電圧生成部120は、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142の特性に応じてオフ電圧を高くすることで、それぞれが有するFETを完全にオフするオフ電圧を供給することができる。
また、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧および第2端子の電圧のうち、低い方の電圧にオフセット電圧を加えた電圧をオン電圧として生成する。この場合、オン電圧生成部110は、オフセット電圧供給部を更に有してよい。このように、オン電圧生成部110は、デプレッション型FETに比べて高くなったオン電圧の分、オフセット電圧を加えることで、Nチャネルのエンハンスメント型FETをオンにするオン電圧を供給することができる。
以上の本実施形態のスイッチ装置10のメインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、NチャネルのFETを有する例を説明した。これに代えて、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、PチャネルのFETを有してもよい。
例えば、Pチャネルのデプレッション型FETは、NチャネルのFETとは反対に、ゲート・ソース間電圧をマイナス方向に低減させることに応じて、ドレイン電流が増加する特性を有する。一例として、Pチャネルのデプレッション型FETは、ゲート・ソース間電圧が+6V以下の場合に完全にオンとなり、ゲート・ソース間電圧が+9V以上の場合に完全にオフとなり、かつ、第1端子および第2端子に印加される電圧の最大電圧値を0Vとして説明する。
この場合、オフ電圧生成部120は、例えば、オフ電圧として+14Vの電圧を生成して出力する。これにより、スイッチ装置10は、第1端子および第2端子に印加される電圧が最大電圧値となっても、メインスイッチ100のゲート・ソース電圧は+14Vとなって、完全にオフとすることができる。
また、オン電圧生成部110は、第1端子の入力電圧および第2端子の入力電圧のうち、高い方の電圧をオン電圧として生成する。ここで、PチャネルのFETは、第1端子の電圧が第2端子の電圧よりも大きい場合、電流の流れる方向は第1端子から第2端子に向かい、FETにキャリア(正孔)が供給される方向は第1端子側から第2端子側の方向となる。この場合、本実施形態において、FETの第1端子側の端子をソースとする。また、PチャネルのFETは、第1端子電圧が第2端子電圧よりも小さい場合、電流の流れる方向が逆向きになるので、当該FETの第2端子側の端子をソースとする。
オン電圧生成部110の比較部116は、第1端子および第2端子の入力電圧を比較して、高い方の電圧をオン電圧として出力することで、Pチャネルのデプレッション型FETのゲート・ソース間電圧を略0Vにすることができる。即ち、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、制御部130から供給されるオン電圧に応じてオン状態となり、オフ電圧に応じてオフ状態となる。
また、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142は、Pチャネルのエンハンスメント型FETを有してもよい。Pチャネルのエンハンスメント型FETは、当該FETをオンおよびオフとする電圧が、デプレッション型FETに比べて低くなる。そこで、オフ電圧生成部120は、上記のNチャネルのエンハンスメント型FETの場合と同様に、Pチャネルのエンハンスメント型FETの特性に応じてオフ電圧を低くすることで、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142を完全にオフするオフ電圧を供給することができる。
このように、オフ電圧生成部120は、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142に用いられるFETの特性と、スイッチ装置10に入力される入力電圧の最小電圧値または最大電圧値とに応じたオフ電圧を生成することで、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142を完全にオフするオフ電圧を供給することができる。また、オフ電圧生成部120は、入力電圧の電圧範囲に応じたオフ電圧を生成するので、メインスイッチ100に入力できる範囲で、入力電圧範囲を拡大しても、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142を完全にオフするオフ電圧を供給することができる。
また、オン電圧生成部110は、Pチャネルのエンハンスメント型FETの場合、第1端子に入力される入力電圧および第2端子に入力される入力電圧のうち、より高い方の電圧に予め定められた電圧を減じた電圧をオン電圧として生成する。このように、オン電圧生成部110は、Pチャネルのデプレッション型FETに比べて低くなったオン電圧の分、マイナスのオフセット電圧を加えてオン電圧を低くすることで、Pチャネルのエンハンスメント型FETをオンにするオン電圧を供給することができる。
このように、オン電圧生成部110は、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142に用いられるFETの特性と、スイッチ装置10に入力される入力電圧の最小電圧値または最大電圧値とに応じたオン電圧を生成することで、メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142をオンにするオン電圧を供給することができる。したがって、オン電圧生成部110は、メインスイッチ100に入力できる範囲で、入力電圧範囲を拡大しても、当該メインスイッチ100、第1流入防止部140、および第2流入防止部142をオンにするオン電圧を供給することができる。
図2は、本実施形態に係るバッファ回路20の構成例を示す。ここで、バッファ回路20は、図1で説明した、第1バッファ部112、第2バッファ部114、および/または第3バッファ部118の回路構成の一例である。バッファ回路20は、第1電圧シフト部22と、第2電圧シフト部24と、電流源部26とを有する。
第1電圧シフト部22は、基準電位VddおよびVssの間に接続され、VddおよびVssの間に流れる電流に応じた電圧を入力部に入力された電圧からシフトさせる。第1電圧シフト部22は、メインスイッチ100等と同種のFETであってよく、一例として、Nチャネルのデプレッション型FETである。第1電圧シフト部22は、ゲートが入力部に接続され、ドレインがVddに接続される。即ち、第1電圧シフト部22は、ドレイン・ソース間に流れる電流に応じた電圧(ゲート・ソース間電圧)を、ゲート電圧からシフトする。
第2電圧シフト部24は、第1電圧シフト部22のソースおよび出力部の間に接続され、ソース電圧から電圧シフトさせた電圧を出力部に出力する。第2電圧シフト部24は、第1電圧シフト部22のゲート・ソース電圧の絶対値と略等しい電圧をシフトさせる。第2電圧シフト部24は、自身を流れる電流に応じた電圧をシフトさせる。第2電圧シフト部24は、一例として、抵抗素子を含み、自身を流れる電流の大きさと抵抗素子の抵抗値とを乗じて算出される電圧値をシフトさせる。
電流源部26は、第2電圧シフト部24と基準電位Vssの間に接続され、VddおよびVssの間に定電流を流す。電流源部26は、一例として、FETおよび抵抗をそれぞれ有し、抵抗の一端がFETのソースに接続され、他端がFETのゲートに接続され、FETのドレインから抵抗の他端へと一定の電流を流す定電流回路である。
以上のバッファ回路20は、電流源部26によって、基準電位VddおよびVssの間に定電流Ic(例えば、100μA)が流れる。第1電圧シフト部22は、当該定電流Icがドレイン・ソース間で流れ、当該定電流Icに応じたゲート・ソース間電圧(例えば、−6.3V)が定まり、当該ゲート・ソース間電圧を、入力部に入力された電圧(即ち、ゲート電圧)からシフトする。一例として、入力電圧が0Vの場合、第1電圧シフト部22は、6.3Vをソース端子から出力する。
第2電圧シフト部24は、定電流Icに応じて、第1電圧シフト部22のゲート・ソース電圧の絶対値と略等しい電圧をシフトさせる。即ち、第2電圧シフト部24は、一例として、63kΩの抵抗値を有する抵抗素子を含み、6.3Vの電圧を第1電圧シフト部22のソース端子からシフトする。これによって、第2電圧シフト部24は、入力部の入力電圧と略同一の出力電圧(略0V)を、出力部へと出力することができる。
以上の本実施形態のバッファ回路20の動作において、入力部は第1電圧シフト部22のゲートに接続されているので、例えば、当該第1電圧シフト部22のFETをMIS(Metal Insulator Semiconductor)ゲート構造等で形成することで、バッファ回路20を動作させる入力電流を低減させることができる。また、バッファ回路20は、基準電位VddおよびVssの間の電圧範囲未満の電圧範囲において、入力電圧と略同一の出力電圧を出力させるバッファ機能を有する。
即ち、バッファ回路20は、基準電位Vddで定まる上限電圧まで、バッファ機能を実行することができ、当該上限電圧を超える電圧が入力部に入力された場合は、当該上限電圧を出力するリミッタ機能を有する。同様に、バッファ回路20は、基準電位Vssで定まる下限電圧まで、バッファ機能を実行することができ、当該下限電圧未満の電圧が入力部に入力された場合は、当該下限電圧を出力するリミッタ機能を有する。
本実施形態のバッファ回路20は、簡易な構成で、バッファ機能およびリミッタ機能を有することができるので、オン電圧生成部110を形成しても、回路規模が増加することを防ぐことができる。また、当該バッファ回路20は、メインスイッチ100等と略同種のFETを用いて構成することができるので、回路設計および実際の回路作成プロセスを単純化することができる。
また、本実施形態のバッファ回路20は、第1電圧シフト部22のFETが半オンとなるゲート・ソース間電圧を入力電圧から一旦シフトした後に、第2電圧シフト部24で当該ゲート・ソース間電圧と略同一の電圧を戻す方向にシフトして、入力電圧と略同一の電圧を出力する回路である。したがって、バッファ回路20が有するFETを、エンハンスメント型のFETにすることで、半オンとなるゲート・ソース間電圧の絶対値を低減させることができる。即ち、シフト電圧の絶対値が低減させることができるので、バッファ回路20のバッファ機能が実行できる入力電圧範囲を変えずに、Vssおよび/またはVddの電圧の絶対値を低減することができる。
図3は、本実施形態に係るスイッチ装置10の第1の変形例を示す。本変形例のスイッチ装置10において、図1に示された本実施形態に係るスイッチ装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。本変形例のスイッチ装置10は、第1端子から電圧入力はあるが、第2端子からは電圧入力がないことが予めわかっている場合の構成例を示す。スイッチ装置10は、第1端子から入力電圧には依存せずに、メインスイッチ100のオン/オフ切り替えを実行する。
本変形例のスイッチ装置10は、第2端子側からの入力がないので、第1端子側からの入力電圧に基づき、メインスイッチ100のオン電圧およびオフ電圧を生成する。即ち、オン電圧生成部110は、第1端子からの電圧を入力し、第1端子からの電圧に基づいてメインスイッチ100をオンにするオン電圧を生成する。オン電圧生成部110は、一例として、第3電圧供給部154を有する。
第3電圧供給部154は、比較部116に接続され、予め定められた電圧を比較部116に供給する。第3電圧供給部154は、一例として、メインスイッチ100および第1流入防止部140が有するFETがオンとなるオン電圧(当該FETがNチャネルのデプレッション型の場合、例えば0V)を、比較部116に供給する。
比較部116は、第1端子からの電圧と、第3電圧供給部154から供給される電圧とを比較して、小さい方の電圧を、第3バッファ部118を介して制御部130に供給する。これにより、オン電圧生成部110は、第1端子からの電圧がメインスイッチ100および第1流入防止部140をオン状態にするオン電圧に比べて高い電圧が入力された場合、第3電圧供給部154から供給される電圧をオン電圧とする。したがって、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧が高くなっても、メインスイッチ100および第1流入防止部140のゲート・ソース電圧を略0Vにして、オン状態にすることができる。
また、オン電圧生成部110は、第1端子からの電圧がメインスイッチ100および第1流入防止部140をオン状態にするオン電圧に比べて低い電圧が入力された場合、当該第1端子からの電圧をオン電圧とする。したがって、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧が低くなっても、当該第1端子の電圧に応じてオン電圧も低くして、メインスイッチ100および第1流入防止部140のゲート・ソース電圧を略0Vを保ち、オン状態にすることができる。
また、オフ電圧生成部120は、図1に示された本実施形態に係るスイッチ装置10の動作と略同一に、オフ電圧を生成するので、メインスイッチ100および第1流入防止部140をオフにすることができる。したがって、本変形例のスイッチ装置10においても、メインスイッチ100がオフの場合に第1端子からの入力電圧が増加しても、オン電圧生成部110の方向に電流が流入することを防止できる。
本変形例のスイッチ装置10において、オン電圧生成部110は、第3電圧供給部154を有し、予め定められた電圧を比較部116に供給する例を説明した。これに代えて、オン電圧生成部110は、第2端子と比較部116とを接続し、第2端子の電圧を比較部116に供給してもよい。
これにより、オン電圧生成部110は、第1端子の電圧が第2端子の電圧よりも高くなると、第2端子の電圧をオン電圧に、第1端子の電圧が第2端子の電圧よりも低くなると、第2端子の電圧をオン電圧にして、メインスイッチ100および第1流入防止部140のゲート・ソース電圧を略0Vにすることができる。この場合、オン電圧生成部110は、第2端子と比較部116とを、第2バッファ部114を介して接続してもよい。
図4は、本実施形態に係るスイッチ装置10の第2の変形例を示す。本変形例のスイッチ装置10において、図1に示された本実施形態に係るスイッチ装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
本変形例の第1流入防止部140のゲートは、第1バッファ部112の出力に接続される。これにより、第1流入防止部140のゲート、ソース、およびドレインは、第1端子の入力電圧とほぼ等しくなり、ゲート・ソース間電圧が略0Vとなって、通常はオン状態となる。
そして、第1流入防止部140は、第1端子の電圧が基準電圧以上となったことに応じて第1端子およびオン電圧生成部110の間を遮断する。例えば、第1バッファ部112が入力電圧と略同一の出力電圧を出力できなくなる程度(即ち、第1バッファ部112のリミット機能が動作する程度)に、第1端子の電圧が過大になった場合、第1バッファ部112は、当該第1バッファ部112のリミット電圧を出力する。
即ち、第1流入防止部140のゲート電圧は、第1バッファ部112のリミット電圧となるので、ソース電圧となる第1端子の電圧とは異なる電圧となる。ここで、予め定められた基準電圧を16V、第1流入防止部140をオフにするゲート・ソース間電圧を−6Vとし、第1バッファ部112のリミット電圧を、予め定められた基準電圧に比べて、第1流入防止部140をオフにするゲート・ソース間電圧だけ異なる電圧10Vに設定する例を説明する。
この場合において、第1端子の電圧が第1バッファ部112のリミット電圧(10V)以上に上昇すると、第1バッファ部112は、リミット電圧(10V)を出力する。すると、第1端子の電圧はソース電圧となり、第1流入防止部140のゲート・ソース間電圧は、0Vから異なる値になる。
そして、第1端子の電圧がさらに基準電圧(16V)以上になると、当該第1端子の電圧および第1バッファ部112のリミット電圧(10V)の電位差、即ち、第1流入防止部140のゲート・ソース間電圧が−6V以下となるので、第1流入防止部140は、第1端子およびオン電圧生成部110の間を遮断する。このように、第1流入防止部140は、外部からの制御電圧とは無関係に、第1端子から入力される電圧に応じて、第1端子およびオン電圧生成部110の間を接続および遮断することができる。
同様に、本変形例の第2流入防止部142のゲートは、第2バッファ部114の出力に接続される。これにより、第2流入防止部142のゲート、ソース、およびドレインは、第2端子の入力電圧とほぼ等しくなり、ゲート・ソース間電圧が略0Vとなって、通常はオン状態となる。
そして、第2流入防止部142は、第2端子の電圧が基準電圧以上となったことに応じて第2端子およびオン電圧生成部110の間を遮断する。一例として、予め定められた基準電圧を16V、第2流入防止部142をオフにするゲート・ソース間電圧を−6Vとし、第2バッファ部114のリミット電圧を、予め定められた基準電圧に比べて、第2流入防止部142をオフにするゲート・ソース間電圧だけ異なる電圧10Vに設定する。
これにより、第2端子の電圧が基準電圧(16V)以上になると、当該第2端子の電圧および第2バッファ部114のリミット電圧(10V)の電位差、即ち、第2流入防止部142のゲート・ソース間電圧が−6V以下となるので、第2流入防止部142は、第2端子およびオン電圧生成部110の間を遮断する。このように、第2流入防止部142は、外部からの制御電圧とは無関係に、第2端子から入力される電圧に応じて、第2端子およびオン電圧生成部110の間を接続および遮断することができる。
以上のように、本変形例のスイッチ装置10は、メインスイッチ100のオン/オフの状態とは無関係に、第1端子および第2端子から入力される電圧が上昇しても、オン電圧生成部110への過大な電流の流入を防止することができる。
図5は、本実施形態に係る試験装置200の構成例を被試験デバイス300とともに示す。試験装置200は、アナログ回路、デジタル回路、メモリ、およびシステム・オン・チップ(SOC)等の被試験デバイス300を試験する。試験装置200は、被試験デバイス300を試験するための試験パターンに基づく試験信号を被試験デバイス300に入力して、試験信号に応じて被試験デバイス300が出力する出力信号に基づいて被試験デバイス300の良否を判定する。試験装置200は、被試験デバイスとの間で信号を授受する試験部202と、スイッチ装置10と、スイッチ制御部250とを備える。
試験部202は、試験信号発生部210と、ドライバ220と、コンパレータ230と、判定部240とを備える。試験信号発生部210は、被試験デバイス300を試験するための試験信号を発生させて、ドライバ220に出力する。また、試験信号発生部210は、発生させた試験信号に対応する期待値を発生させて判定部240に出力する。
ドライバ220は、試験信号発生部210から発生された試験信号を被試験デバイス300へと供給する。コンパレータ230は、試験信号が供給されたことに応じて被試験デバイス300から出力された応答信号の論理値を取得する。判定部240は、コンパレータ230により取得された論理値と期待値とを比較して、被試験デバイス300の良否を判定する。
スイッチ装置10は、試験部202のドライバ220および被試験デバイス300の間の経路に設けられる。スイッチ装置10は、スイッチ制御部250から供給される制御信号の電圧に応じて、ドライバ220と被試験デバイス300との間を導通または切断する。スイッチ制御部250は、試験信号発生部210による試験時においてスイッチ装置10を導通状態とし、試験信号発生部210による試験時以外においてスイッチ装置10を切断状態とする。
スイッチ制御部250は、例えば、制御信号をスイッチ装置10が備える制御部130に送信する。制御部130は、受信した制御信号の制御電圧に応じて、メインスイッチ100のオンおよびオフを切り換える。
以上の本実施例における試験装置200は、伝送する電圧の大きさによらず、導通および非導通を切り替えるスイッチ装置10を用いてて試験を実行することができる。また、試験装置200は、小型、長寿命、かつ信頼性の高いFETで構成され、入力電圧範囲を拡大させたスイッチ装置10を用いて試験を実行することができる。また、試験装置200は、試験部202から被試験デバイス300へ試験信号を送信する場合と、被試験デバイス300から試験部202へ応答信号を受信する場合とで、電気信号を伝送する方向が反転しても、同一の振幅電圧に対して同一のオン抵抗となるスイッチ装置10を用いて試験を実行することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。