JP2015076509A - シリコン系薄膜の製造方法およびシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法 - Google Patents
シリコン系薄膜の製造方法およびシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜の製造方法であって、第1回目に形成されるシリコン系薄膜の品質に比べて、第2回目以降の第k回目に形成されるシリコン系薄膜の品質の低下を抑制できるシリコン系薄膜の製造方法を提供する。【解決手段】シリコン系薄膜の製造方法は、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程S10を複数回含み、プラズマCVD成膜室内で第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程S101の後、プラズマCVD成膜室内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室内にカソード冷却ガスCCGを流通させることにより、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30と、を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜の製造方法およびかかる製造方法を用いたシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法に関する。なお、本願において、「多結晶」、「微結晶」および「結晶質」の用語は、部分的に非晶質状態を含むものを意味するものとする。
近年、たとえば、多結晶シリコンもしくは微結晶シリコンのような結晶質シリコン、または非晶質シリコンを含むシリコン系薄膜を利用した太陽電池の開発および生産量の拡大が世界的に注目されている。この太陽電池の大きな特徴は、大面積の安価な基板上に、プラズマCVD装置またはスパッタ装置のような成膜装置を用いて、半導体膜または金属電極膜を積層させ、その後、レーザパターニングなどの手法を用いて、同一基板上に作製した太陽電池セルを分離接続させることにより、太陽電池の低コスト化と高性能化を両立させることができる点である。しかしながら、そのような製造工程においては、デバイス作製の基幹装置であるCVD装置に代表される製造装置の高コスト化による太陽電池の製造コストの高まりが、大規模な普及に対する障壁のひとつとなっている。
国際公開第2007/040183号(特許文献1)は、高性能の太陽電池を効率よく低コストで製造する観点から、同一のプラズマCVD成膜室内で、p型半導体層、i型シリコン系光電変換層、およびn型半導体層で形成されるpin構造積層体を少なくともひとつ含むシリコン系薄膜光電変換装置を作製し、そのプラズマCVD成膜室からシリコン系薄膜光電装置を搬出した後、そのプラズマCVD成膜室のカソードおよび/または室内面上の残留膜を除去した後、さらにそのプラズマCVD成膜室内で別のpin構造積層体を少なくともひとつ含む別のシリコン系薄膜光電変換装置を作製するシリコン系薄膜光電装置の製造方法を開示する。
国際公開第2007/040183号(特許文献1)に開示されたシリコン系薄膜光電装置の製造方法においては、同一のプラズマCVD成膜室内で、1回目に形成されたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力に比べて、2回目以後に形成されたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力が低くなる傾向があるという問題点が見出された。かかる問題点は、1回目に形成されたシリコン系薄膜光電変換装置に含まれるシリコン系薄膜の品質に比べて、2回目以降に形成されたシリコン系薄膜光電変換に含まれるシリコン系薄膜の品質が低くなったために発生したと考えられる。
すなわち、本発明は、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜の製造方法であって、第1回目に形成されるシリコン系薄膜の品質に比べて、第2回目以降の第k回目に形成されるシリコン系薄膜の品質の低下を抑制できるシリコン系薄膜の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、シリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、第1回目に形成されたシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力に比べて、第2回目以後の第k回目に形成されるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を抑止できるシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回行なう際の諸条件を詳細に分析したところ、1回目のシリコン系薄膜を形成する工程のカソードの温度に比べて、2回目以後のシリコン系薄膜を形成する工程のカソード温度が高くなっており、高いカソード温度で形成されたシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置はその最大出力が低下することを見出した。このことは、1回目に形成されたシリコン系薄膜の品質に比べて2回目以降に形成されたシリコン系薄膜の品質が低くなったことによるものと考えられた。
プラズマCVD成膜室は、一般に、シリコン系薄膜光電変換装置を形成するための基板を配置するアノードにはアノード加熱装置およびアノード冷却装置を有している。しかし、カソードにカソード冷却装置を配置すると、プラズマCVD成膜室の構造が複雑化し大型化するという問題があり、装置コストの低減の観点からは望ましくない。かかる問題は、複数のアノード−カソード対を有するプラズマCVD成膜室の場合において、特に大きくなる。
そこで、本発明者らは、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜の製造方法において、2回目以後のシリコン系薄膜を形成する工程の前に、そのプラズマCVD成膜室内にカソード冷却ガスを流通させて、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却することにより、2回目以後に形成されたシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向を抑制できることを見出すことにより、本発明を完成させた。
本発明は、ある局面に従えば、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含み、プラズマCVD成膜室内で第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程の後、プラズマCVD成膜室内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程の前に、プラズマCVD成膜室内にカソード冷却ガスを流通させることによりプラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程、をさらに含むシリコン系薄膜の製造方法である。第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜を形成する前に、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却することにより、第k回目のシリコン系薄膜を形成する際のカソード温度を、第1回目のシリコン系薄膜を形成する際のカソード温度と同一または十分に近似させることができるため、第k回目に形成されるシリコン系薄膜の品質を高め、かかるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向を抑制できる。
本発明にかかるシリコン系薄膜の製造方法において、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程により、第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度および第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度を110℃以上200℃以下に制御することができる。第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度およびと第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度を110℃以上200℃以下に制御することにより、第k回目に形成されるシリコン系薄膜の品質を高め、かかるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向をさらに抑制できる。
さらに、本発明にかかるシリコン系薄膜の製造方法において、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程の前に、プラズマCVD成膜室内のカソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程を含むことができる。プラズマCVD成膜室内のカソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程を含むことにより、第2回目以後の第k回目に形成されるシリコン系薄膜への不純物の混入および拡散を低減することができるため、第k回目に形成されるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向をさらに抑制できる。
また、本発明は、別の局面に従えば、上記のシリコン系薄膜の製造方法を用いたシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、シリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程を複数回含み、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程は第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程を含み、第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程は第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程を含み、第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程および第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程の少なくともひとつにおいて、p型半導体層とi型シリコン系半導体層とn型半導体層とを含むpin構造積層体を形成するシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法である。シリコン系薄膜を形成する工程の少なくともひとつにおいて、p型半導体層とi型シリコン系半導体層とn型半導体層とを含むpin構造積層体を形成することにより、最大出力が高く高性能のシリコン系薄膜光電変換装置を形成することができる。
本発明は、同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜の製造方法であって、第1回目に形成されるシリコン系薄膜の品質に比べて、第2回目以降の第k回目に形成されるシリコン系薄膜の品質の低下を抑制できるシリコン系薄膜の製造方法を提供できる。また、本発明は、シリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程を複数回含むシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、第1回目に形成されたシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力に比べて、第2回目以後の第k回目に形成されるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を抑止できるシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法を提供できる。
<実施形態1:シリコン系薄膜の製造方法>
図1〜5を参照して、本発明のある実施形態であるシリコン系薄膜の製造方法は、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含み、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させることにより、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30と、を含む。
図1〜5を参照して、本発明のある実施形態であるシリコン系薄膜の製造方法は、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含み、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させることにより、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30と、を含む。
本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを導入することにより、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30を含むことにより、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kにおけるカソード温度を、その上昇を抑えて、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101におけるカソード温度と同一または十分に近似させることができるため、第k回目に形成されるシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400の最大出力の低下傾向を抑制できる。
[同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程]
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含む。同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含むことにより、複数のシリコン系薄膜を効率よく製造することができる。複数回の同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10は、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101およびプラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含む。
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含む。同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10を複数回含むことにより、複数のシリコン系薄膜を効率よく製造することができる。複数回の同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程S10は、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101およびプラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含む。
(第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程)
図1〜5を参照して、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101において、温度が制御されている上下のアノード201aから熱伝導および輻射の少なくともいずれかでカソード201cに移動する熱量ならびにプラズマを生成させるためにカソード201cに供給される電力により、カソード201cの温度が上昇する。ここで、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の開始時におけるカソード温度は、品質の高いシリコン系薄膜10を得る観点から、110℃以上200℃以下に制御することが好ましく、110℃以上170℃以下に制御することがより好ましい。したがって、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の開始時におけるカソード温度が110℃以上200℃以下となるように、カソード201cに供給する電力およびプラズマCVD成膜室200内に供給する原料ガスSGを調節することが好ましい。
図1〜5を参照して、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101において、温度が制御されている上下のアノード201aから熱伝導および輻射の少なくともいずれかでカソード201cに移動する熱量ならびにプラズマを生成させるためにカソード201cに供給される電力により、カソード201cの温度が上昇する。ここで、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の開始時におけるカソード温度は、品質の高いシリコン系薄膜10を得る観点から、110℃以上200℃以下に制御することが好ましく、110℃以上170℃以下に制御することがより好ましい。したがって、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の開始時におけるカソード温度が110℃以上200℃以下となるように、カソード201cに供給する電力およびプラズマCVD成膜室200内に供給する原料ガスSGを調節することが好ましい。
(第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程)
図1〜5を参照して、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kにおいて、温度が制御されている上下のアノード201aから熱伝導および輻射の少なくともいずれかでカソード201cに移動する熱量ならびにプラズマを生成させるためにカソード201cに供給される電力により、カソード201cの温度が上昇する。ここで、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの開始時におけるカソード温度は、品質の高いシリコン系薄膜10を得る観点から、110℃以上200℃以下に制御することが好ましく、110℃以上170℃以下に制御することがより好ましい。したがって、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの開始時におけるカソード温度が110℃以上200℃以下となるように、カソード201cに供給する電力およびプラズマCVD成膜室200内に供給する原料ガスSGを調節することが好ましい。特に、第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程S10kにおけるカソード温度の制御は、後述するように、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30により、行なわれる。
図1〜5を参照して、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kにおいて、温度が制御されている上下のアノード201aから熱伝導および輻射の少なくともいずれかでカソード201cに移動する熱量ならびにプラズマを生成させるためにカソード201cに供給される電力により、カソード201cの温度が上昇する。ここで、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの開始時におけるカソード温度は、品質の高いシリコン系薄膜10を得る観点から、110℃以上200℃以下に制御することが好ましく、110℃以上170℃以下に制御することがより好ましい。したがって、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの開始時におけるカソード温度が110℃以上200℃以下となるように、カソード201cに供給する電力およびプラズマCVD成膜室200内に供給する原料ガスSGを調節することが好ましい。特に、第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程S10kにおけるカソード温度の制御は、後述するように、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30により、行なわれる。
[プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程]
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させることによりプラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30、をさらに含む。
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、プラズマCVD成膜室200内で第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の後、プラズマCVD成膜室200内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させることによりプラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30、をさらに含む。
カソード201cを冷却する方法は、特に制限はないが、カソード201cを効率よく冷却する観点から、ガス供給管220およびガス供給バルブ220vを用いて、カソード冷却ガスCCGをカソード201cの内部を経由させてプラズマCVD成膜室200内に供給し、ガス排出管230およびガス排出バルブ230vを用いて、プラズマCVD成膜室200内からカソード冷却ガスCCGを排出することにより、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させる方法が好ましい。
カソード冷却ガスCCGは、特に制限はなく、原料ガス、希釈ガス、いずれであってもよく、ガスの種類についても特に制限がなく、水素(H2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、シラン(SiH4)ガス、水素ガスとシランガスとの混合ガス、二酸化炭素(CO2)ガスなどを用いられる。また、熱伝導率が高くかつ熱容量が大きく冷却効果が高い観点から、水素ガスを含む希釈ガスが好ましく、水素ガスが特に好ましい。
カソード冷却ガスCCGの温度は、特に制限はないが、カソードを効率的に冷却する観点から、25℃以下が好ましい。また、カソード冷却ガスCCGによりカソードの冷却時間、すなわち、プラズマCVD成膜室内でのカソード冷却ガスの流通時間は、特に制限はないが、カソードを十分に冷却する観点から、5分間以上が好ましく、15分間以上がより好ましく、製造効率の低下を抑制する観点から、30分間以下が好ましく、20分間以下がより好ましい。
プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30においては、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kにおいても、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の場合と同様に、カソード201cの温度が110℃以上200℃以下となるように、カソード201cを冷却することが好ましい。
なお、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30は、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に行なわれることから、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法において、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を複数回であるn回(nは2以上の整数)含む場合は、第2回目以後の第n回目までの少なくとも1回の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30を含むことを意味する。すなわち、図1において、同一のプラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30および第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの繰り返しサイクルC1において、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30が少なくとも1回含まれていれば足りることを意味する。
[プラズマCVD成膜室内の残留膜を除去する工程]
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30の前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を含むことが好ましい。第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を含むことにより、第1回目以後で第k−1回目以前のシリコン系薄膜10を形成する工程においてプラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜が除去され、第k回目に形成されるシリコン系薄膜10への不純物の混入および拡散を低減することができるため、第k回目に形成されるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向をさらに抑制できる。
図1〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法は、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30の前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を含むことが好ましい。第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を含むことにより、第1回目以後で第k−1回目以前のシリコン系薄膜10を形成する工程においてプラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜が除去され、第k回目に形成されるシリコン系薄膜10への不純物の混入および拡散を低減することができるため、第k回目に形成されるシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下傾向をさらに抑制できる。
プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する方法は、特に制限はないが、残留膜を効率よく除去する観点から、ガス供給管220およびガス供給バルブ220vを用いて、クリーニングガスCGをカソード201cの内部を経由させてプラズマCVD成膜室200内に供給し、クリーニングガスCGをプラズマ化したガスプラズマにより残留膜を除去し、クリーニング後のクリーニングガスCGをプラズマCVD成膜室200内からガス排出管230およびガス排出バルブ230vを用いて排出する方法が好ましい。
クリーニングガスCGは、特に制限はなく、アルゴンガスなどの不活性ガス、水素ガス、フッ素系のクリーニングガスを任意の割合で含む混合ガスを用いることができるが、残留膜の除去速度が大きい観点から、三フッ化窒素ガスなどのフッ素系のクリーニングガスを用いることが好ましい。
なお、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20は、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前のプラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30の前に行なわれることから、本実施形態のシリコン系薄膜の製造方法において、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を複数回であるn回(nは2以上の整数)含む場合は、第2回目以後の第n回目までの少なくとも1回の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kの前のプラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30の前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を含むことを意味する。すなわち、図1において、プラズマCVD成膜室内のカソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20、プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30および第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程S10kの繰り返しサイクルC2において、プラズマCVD成膜室内のカソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20およびプラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30が少なくとも1回含まれていれば足りることを意味する。
<実施形態2:シリコン系薄膜光電変換装置の製造方法>
図2〜5を参照して、本発明の別の実施形態であるシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法は、実施形態1のシリコン系薄膜10の製造方法を用いたシリコン系薄膜光電変換装置300,400の製造方法であって、シリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含み、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111は、第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程S101を含み、第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11kは、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含み、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101および第k回目の前記シリコン系薄膜10を形成する工程S10kの少なくともひとつにおいて、p型半導体層とi型シリコン系半導体層とn型半導体層とを含むpin構造積層体を形成する。
図2〜5を参照して、本発明の別の実施形態であるシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法は、実施形態1のシリコン系薄膜10の製造方法を用いたシリコン系薄膜光電変換装置300,400の製造方法であって、シリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含み、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111は、第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程S101を含み、第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11kは、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含み、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101および第k回目の前記シリコン系薄膜10を形成する工程S10kの少なくともひとつにおいて、p型半導体層とi型シリコン系半導体層とn型半導体層とを含むpin構造積層体を形成する。
本実施形態のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法は、実施形態1のシリコン系薄膜の製造方法を用いたものであるため、第1回目に形成されたシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400の最大出力に比べて、第k回目に形成されるシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400の最大出力の低下傾向を抑制できる。
[シリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程]
図2〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法は、シリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含む。シリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含むことにより、複数のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を製造することができる。複数回のシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11は、実施形態1の複数回の同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を含み、各回のシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程は、各回のそのプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を含む。詳細には、以下のとおりである。
図2〜5を参照して、本実施形態のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法は、シリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含む。シリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11を複数回含むことにより、複数のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を製造することができる。複数回のシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11は、実施形態1の複数回の同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を含み、各回のシリコン系薄膜10を含むシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程は、各回のそのプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜10を形成する工程を含む。詳細には、以下のとおりである。
(第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程)
図2〜5を参照して、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111は、実施形態1の第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101を含む。
図2〜5を参照して、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111は、実施形態1の第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101を含む。
第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111は、特に制限はないが、出力の高いシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する観点から、第1の導電膜2を形成する工程と、第1の導電膜2上に第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101と、第1回目のシリコン系薄膜10上に第2の導電膜3を形成する工程と、を含み、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101は、p型半導体層111とi型シリコン系半導体層112とn型半導体層113とを含むpin構造積層体11を形成することが好ましい。シリコン系薄膜光電変換装置300,400の光電変換効率を高くする観点から、p型半導体層111は非晶質または結晶質のp型シリコン系半導体層が好ましく、i型シリコン系半導体層112はi型非晶質シリコン系半導体層またはi型結晶質シリコン系半導体層が好ましく、n型半導体層113は非晶質または結晶質のn型シリコン系半導体層が好ましい。ここで、p型半導体層111およびn型半導体層113が非晶質であると結晶質であるとに拘わらず、i型非結晶シリコン系半導体層を含むpin構造積層体11は非晶質pin構造積層体と呼ばれ、i型結晶質シリコン系半導体層を含むpin構造積層体11を結晶質pin構造積層体と呼ばれる。すなわち、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程において、pin構造積層体11を形成する場合、形成されるpin構造積層体11は、非晶質pin構造積層体であっても結晶質pin構造積層体であってもよい。
非晶質pin構造積層体の各層の厚さについては、p型半導体層の厚さは、i型非晶質シリコン系半導体層に十分な内部電界を与える観点から2nm以上が好ましく5nm以上がより好ましく、非活性層の入射側の光吸収量を抑える観点から50nm以下が好ましく30nm以下がより好ましい。i型非晶質シリコン系半導体層の厚さは、非晶質の薄膜光電変換層として十分な機能を発揮する観点から0.1μm以上が好ましく、十分な内部電界が必要な観点から0.5μm以下が好ましく0.4μm以下がより好ましい。n型半導体層の厚さは、後述する残留膜中のn型不純物原子の量を減らし残留膜の除去を容易にする観点から50nm以下が好ましく30nm以下がより好ましい。
結晶質pin構造積層体の各層の厚さについては、p型半導体層の厚さは、i型結晶質シリコン系半導体層に十分な内部電界を与える観点から2nm以上が好ましく5nm以上がより好ましく、非活性層の入射側の光吸収量を抑える観点から50nm以下が好ましく30nm以下がより好ましい。i型結晶質シリコン系半導体層の厚さは、結晶質の薄膜光電変換層として十分な機能を発揮する観点から0.5μm以上が好ましく1μm以上がより好ましく、装置の生産性を確保する観点から20μm以下が好ましく15μm以下がより好ましい。n型半導体層の厚さは、i型結晶質シリコン系半導体層に十分な内部電界を与える観点から2nm以上が好ましく、非活性層の光吸収量を抑える観点から50nm以下が好ましく30nm以下がより好ましい。
第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S111において、同一のプラズマCVD成膜室200内で、かつ、所定の範囲内の形成条件で、pin構造積層体11を含むシリコン系薄膜を形成する観点から、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cとアノード201aとの間の距離は3mm以上20mm以下が好ましく、成膜圧力は200Pa以上3000Pa以下が好ましく、カソード201cの単位面積当たりの電力密度は0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下とすることが好ましい。
具体的には、pin構造積層体を形成するp型半導体層、i型シリコン系半導体層、およびn型半導体層の成膜圧力については、非晶質の層を成膜する場合は、好ましくは200Pa以上3000Pa以下であり、より好ましくは300Pa以上2000Pa以下であり、さらに好ましくは400Pa以上1500Pa以下であり、結晶質の層を成膜する場合は、好ましくは200Pa以上3000Pa以下であり、より好ましくは600Pa以上3000Pa以下であり、さらに好ましくは1500Paより大きく3000Pa以下である。
また、pin構造積層体を形成するp型半導体層、i型シリコン系半導体層、およびn型半導体層の成膜の際のカソード201cの単位面積当たりの電力密度については、非晶質の層を成膜する場合は、好ましくは0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下であり、より好ましくは0.015W/cm2以上0.2W/cm2以下であり、さらに好ましくは0.02W/cm2以上0.15W/cm2以下であり、結晶質の層を成膜する場合は、好ましくは0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下であり、より好ましくは0.05W/cm2以上0.3W/cm2以下であり、さらに好ましくは0.15W/cm2より大きく0.3W/cm2以下である。
また、pin構造積層体を形成するp型半導体層、i型シリコン系半導体層、およびn型半導体層の成膜は、基板1上に光電変換効率の高いpin構造積層体を形成する観点から、基板1の下地温度が250℃以下であることが好ましい。ここで、基板1の下地温度とは、基板1が載置されている下地の温度をいい、基板1の温度にほぼ等しい。本実施形態においては、基板1はアノード201a上に載置されるため、基板1の下地温度とは、アノード201aの温度を意味する。
また、図2〜5を参照して、pin構造積層体11を形成するための原料ガスSGについては、特に制限はないが、シラン系ガスと水素ガスとを含む希釈ガスとを含むことが好ましい。p型半導体層を形成する場合は、p型の導電型を決定する不純物原子として、特に制限はないが、ドーピング効率および汎用性が高い観点から、ボロン原子またはアルミニウム原子をドーピングすることが好ましい。i型非晶質シリコン系半導体層を形成する場合は、シラン系ガスに対する希釈ガスの流量は、体積比で、5倍以上が好ましく、また、20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましい。i型結晶性シリコン系半導体層を形成する場合は、シラン系ガスに対する希釈ガスの流量は、体積比で、30倍以上が好ましく、また、100倍以下が好ましく、80倍以下がより好ましい。n型半導体層を形成する場合は、n型の導電型を決定する不純物原子として、特に制限はないが、ドーピング効率および汎用性が高い観点から、リン原子をドーピングすることが好ましい。
図5を参照して、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程に含まれる第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程において、特に制限はないが、出力のより高いシリコン系薄膜光電変換装置を形成する観点から、2つ以上のpin構造積層体11,12を形成することができる。2つ以上のpin構造積層体11,12のうち、基板1に隣接または最も接近して配置される第1のpin構造積層体11は、第1のp型半導体層111と第1のi型シリコン系半導体層112と第1のn型半導体層113とを含み、基板1から第1のpin構造積層体11より遠くに離れて配置される第2のpin構造積層体12は、第2のp型半導体層121と第2のi型シリコン系半導体層122と第2のn型半導体層123とを含むことができる。2つのpin構造積層体11,12により構成される二重pin構造積層体19において、第1のpin構造積層体11および第2のpin構造積層体12は、それぞれ非晶質pin構造体であっても結晶質pin構造積層体であってもよいが、出力のさらに高いシリコン系薄膜光電変換装置を形成する観点から、第1のpin構造積層体11を非晶質pin構造積層体とし第2のpin構造積層体12を結晶質pin構造積層体とすること、第1のpin構造積層体11を結晶質pin構造積層体とし第2のpin構造積層体12を第1のpin構造積層体に比べてi型結晶質シリコン系半導体層の結晶粒径が大きい結晶質pin構造積層体とすること、などが好ましい。
(第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程)
図2〜5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11kは、実施形態1の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含む。
図2〜5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11kは、実施形態1の第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kを含む。
第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する工程S11kは、特に制限はないが、出力の高いシリコン系薄膜光電変換装置300,400を形成する観点から、第1の導電膜2を形成する工程と、第1の導電膜2上に第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kと、第k回目のシリコン系薄膜10上に第2の導電膜3を形成する工程と、を含み、第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kは、p型半導体層111とi型シリコン系半導体層112とn型半導体層113とを含むpin構造積層体11を形成することが好ましい。
第k回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S10kは、第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程S101の場合と同様に、出力の高いシリコン系薄膜光電変換装置を形成する観点から、図4に示すようなp型半導体層111とi型シリコン系半導体層112とn型半導体層113とを含むpin構造積層体11を形成することが好ましく、図5に示すような第1のp型半導体層111と第1のi型シリコン系半導体層112と第1のn型半導体層113とを含む第1のpin構造積層体11と、第2のp型半導体層121と第2のi型シリコン系半導体層122と第2のn型半導体層123とを含む第2のpin構造積層体12とを含む二重pin構造積層体19を形成することがより好ましい。また、p型半導体層111,121は非晶質または結晶質のp型シリコン系半導体層が好ましいこと、i型シリコン系半導体層112,122はi型非晶質シリコン系半導体層またはi型結晶質シリコン系半導体層が好ましいこと、n型半導体層113,123は非晶質または結晶質のn型シリコン系半導体層が好ましいこと、pin構造積層体11,12は非晶質pin構造積層体であっても結晶質pin構造積層体であってもよいこと、pin構造積層体を形成する各層の厚さ、各層の成膜圧力、各層を成膜する際のカソードの単位面積当たりの電力密度、および各層を成膜する際の原料ガスなどについても、第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101の場合と同様である。
<実施形態3:シリコン系薄膜の製造装置>
図3を参照して、実施形態1のシリコン系薄膜の製造方法において用いられるシリコン系薄膜の製造装置は、特に制限はないが、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜を、そのシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を抑止するように、複数回効率よく製造する観点から、1以上のカソード201cと1以上のアノード201aとがそれぞれ対となって対向して形成される1以上のアノード−カソード対201が内部に配置されているプラズマCVD成膜室200と、カソード201cに電力を供給するための電力供給装置211と電力供給線212とを含む電力供給部210と、カソード201c内部を経由してプラズマCVD成膜室200内にクリーニングガスCGまたはカソード冷却ガスCCGまたは原料ガスSGを供給するためのガス供給管220およびガス供給バルブ220v、プラズマCVD成膜室200内からクリーニングガスCGまたはカソード冷却ガスCCGまたは原料ガスSGを排出するためのガス排出管230およびガス排出バルブ230vと、アノード201aを加熱するためのアノードヒータ201ahおよびアノードヒータ制御装置200ahと、アノード201aを冷却するためのアノード冷却管201acと、アノード冷却管201acにアノード冷却ガスACGを供給するためのアノード冷却ガス供給管240およびアノード冷却ガス供給バルブ240vと、アノード冷却管201acからアノード冷却ガスACGを排出するためのアノード冷却ガス排出管250およびアノード冷却ガス排出バルブ250vと、を含むことが好ましい。
図3を参照して、実施形態1のシリコン系薄膜の製造方法において用いられるシリコン系薄膜の製造装置は、特に制限はないが、同一のプラズマCVD成膜室200内でシリコン系薄膜を、そのシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を抑止するように、複数回効率よく製造する観点から、1以上のカソード201cと1以上のアノード201aとがそれぞれ対となって対向して形成される1以上のアノード−カソード対201が内部に配置されているプラズマCVD成膜室200と、カソード201cに電力を供給するための電力供給装置211と電力供給線212とを含む電力供給部210と、カソード201c内部を経由してプラズマCVD成膜室200内にクリーニングガスCGまたはカソード冷却ガスCCGまたは原料ガスSGを供給するためのガス供給管220およびガス供給バルブ220v、プラズマCVD成膜室200内からクリーニングガスCGまたはカソード冷却ガスCCGまたは原料ガスSGを排出するためのガス排出管230およびガス排出バルブ230vと、アノード201aを加熱するためのアノードヒータ201ahおよびアノードヒータ制御装置200ahと、アノード201aを冷却するためのアノード冷却管201acと、アノード冷却管201acにアノード冷却ガスACGを供給するためのアノード冷却ガス供給管240およびアノード冷却ガス供給バルブ240vと、アノード冷却管201acからアノード冷却ガスACGを排出するためのアノード冷却ガス排出管250およびアノード冷却ガス排出バルブ250vと、を含むことが好ましい。
カソード201cは、金属製、たとえばアルミニウム製である。カソード201cの寸法は、短辺が1000mm以上、長辺が1400mm以上、厚みが約25mm程度である。このようにカソード201cのサイズが大きい場合、カソード201cの温度が上昇すると熱膨張のためカソード201cの撓みが大きくなり、カソード201cとアノード201aとの間の距離(ギャップ)が1mm〜2mm程度変化する。カソード201cとアノード201aとの間の距離(ギャップ)の変化は、成膜されるシリコン系薄膜の膜質に影響を与え、シリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を招く。本実施形態のシリコン系薄膜の製造装置は、カソード温度上昇が大きくなる第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程の前に、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを流通させることにより、カソード201cを冷却してカソード201cの撓み量を抑えて、カソード201cとアノード201aとの間の距離(ギャップ)の変化量を少なくして、第2回目以降の第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程において得られたシリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力の低下を抑えることができる。
(実施例1)
図1〜3を参照して、本実施例は、8対のアノード−カソード対201を有する同一のプラズマCVD成膜室200内で、図5に示すような二重pin構造積層体19(第1のpin構造積層体11および第2のpin構造積層体12)を含むシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11を10回含み、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S111における第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101と、2回目から10回目までの第k回目のそれぞれのシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11kにおける2回目から10回目までの第k回目のそれぞれのシリコン系薄膜10を形成する工程S10k前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30を含むシリコン系薄膜光電変換装置の製造例である。すなわち、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30および第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11kの繰り返しサイクルC1を第2回目から第10回目まで9回行なった。
図1〜3を参照して、本実施例は、8対のアノード−カソード対201を有する同一のプラズマCVD成膜室200内で、図5に示すような二重pin構造積層体19(第1のpin構造積層体11および第2のpin構造積層体12)を含むシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11を10回含み、第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S111における第1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程S101と、2回目から10回目までの第k回目のそれぞれのシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11kにおける2回目から10回目までの第k回目のそれぞれのシリコン系薄膜10を形成する工程S10k前に、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30を含むシリコン系薄膜光電変換装置の製造例である。すなわち、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cを冷却する工程S30および第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程S11kの繰り返しサイクルC1を第2回目から第10回目まで9回行なった。
1.第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
図1〜3および5を参照して、本工程においては、厚さ4mmのガラスからなる基板1上に形成された第1の導電膜2である厚さ1μmのSnO2膜からなる透明導電膜上に、シリコン系薄膜10として、第1のp型半導体層111である厚さ10nmの非晶質シリコン層(ボロン原子濃度3×1019cm-3)、第1のi型シリコン系半導体層112である厚さ0.5μmの非晶質シリコン層、および第1のn型半導体層113である厚さ30nmの非晶質シリコン層(リン原子濃度2×1019cm-3、窒素原子濃度1×1018cm-3、酸素原子濃度5×1019cm-3)からなる第1のpin構造積層体11と、第2のp型半導体層121である厚さ30nmの結晶質シリコン層(ボロン原子濃度3×1019cm-3、窒素原子濃度1×1018cm-3、酸素原子濃度5×1019cm-3)、第2のi型シリコン系半導体層122である厚さ3μmの結晶質シリコン層および第2のn型半導体層123である厚さ30nmの結晶質シリコン層(リン原子濃度3×1019cm-3)からなる第2のpin構造積層体12を形成することにより、二重pin構造積層体19を形成した。その後、第2の導電膜3として厚さ0.05μmのZnO層、金属電極4として厚さ0.1μmのAg電極を形成することにより、タンデム型のシリコン系薄膜光電変換装置400を得た。
図1〜3および5を参照して、本工程においては、厚さ4mmのガラスからなる基板1上に形成された第1の導電膜2である厚さ1μmのSnO2膜からなる透明導電膜上に、シリコン系薄膜10として、第1のp型半導体層111である厚さ10nmの非晶質シリコン層(ボロン原子濃度3×1019cm-3)、第1のi型シリコン系半導体層112である厚さ0.5μmの非晶質シリコン層、および第1のn型半導体層113である厚さ30nmの非晶質シリコン層(リン原子濃度2×1019cm-3、窒素原子濃度1×1018cm-3、酸素原子濃度5×1019cm-3)からなる第1のpin構造積層体11と、第2のp型半導体層121である厚さ30nmの結晶質シリコン層(ボロン原子濃度3×1019cm-3、窒素原子濃度1×1018cm-3、酸素原子濃度5×1019cm-3)、第2のi型シリコン系半導体層122である厚さ3μmの結晶質シリコン層および第2のn型半導体層123である厚さ30nmの結晶質シリコン層(リン原子濃度3×1019cm-3)からなる第2のpin構造積層体12を形成することにより、二重pin構造積層体19を形成した。その後、第2の導電膜3として厚さ0.05μmのZnO層、金属電極4として厚さ0.1μmのAg電極を形成することにより、タンデム型のシリコン系薄膜光電変換装置400を得た。
詳しくは、まず、第1の導電膜2である凹凸形状を有するSnO2膜からなる透明導電膜が形成されたガラスからなる基板1をプラズマCVD成膜室200内のアノード201a上に配置した。
次に、ガス供給管220およびガス供給バルブ220vを用いて、原料ガスSGをプラズマCVD成膜室200内に供給した。
次に、基板1に形成された第1の導電膜2上に、第1のp型半導体層111として厚さ10nmの非晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が500Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2の条件で形成した。
次に、第1のp型半導体層111上に、第1のi型シリコン系半導体層112として厚さ0.5μmの非晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が500Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.07W/cm2の条件で形成した。
次に、第1のi型シリコン系半導体層112上に、第1のn型半導体層113として厚さ30nmの非晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が500Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2の条件で形成した。
次に、第1のn型半導体層113上に、第2のp型半導体層121として厚さ30nmの結晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が800Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.08W/cm2の条件で形成した。
次に、第2のp型半導体層121上に、第2のi型シリコン系半導体層122として厚さ3μmの結晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が800Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.10W/cm2の条件で形成した。
次に、第2のi型シリコン系半導体層122上に、第2のn型半導体層123として厚さ30nmの結晶質シリコン層を、プラズマCVD成膜室200内の圧力が800Pa、カソードの単位面積当たりの電力密度が0.08W/cm2の条件で形成した。
その後、スパッタ法により、第2のn型半導体層123上に、第2の導電膜3として厚さ0.05μmのZnO層、金属電極4として厚さ0.1μmのAg電極を順次形成することにより、積層型シリコン系薄膜光電変換装置であるタンデム型のシリコン系薄膜光電変換装置400を製造した。
上記の第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置のシリコン系薄膜を形成する工程において、カソード温度は、プラズマCVD成膜室200内の5か所(図3に示すプラズマCVD成膜室200の下から、1段目のカソードの中央部、6段目のカソードの中央部、前部および後部、ならびに8段目の中央部)において、蛍光プローブにより測定したところ、成膜開始時に120℃〜160℃であった。また、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力は、光源としてキセノンランプを用いて照射強度が100mW/cm2でAM(エアマスの頭文字で、太陽光が地表に到達するまでに通過する大気の量を指す。地表面に垂直に届く場合をAM1とし、世界基準をAM1.5とする。)1.5で温度が25℃の条件でソーラシュミレータで測定したものを、相対出力1とした。
2.第2回目から第10回目までのシリコン系薄膜光電変換装置の製造
図1〜3および5を参照して、第1回目以後の第k−1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程において、第1回目以後の第k−1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程により得られたシリコン系薄膜10が積層された基板1をプラズマCVD成膜室から搬出した。
図1〜3および5を参照して、第1回目以後の第k−1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400を形成する工程において、第1回目以後の第k−1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程により得られたシリコン系薄膜10が積層された基板1をプラズマCVD成膜室から搬出した。
2−1.残留膜を除去する工程
次に、図1〜3を参照して、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を行なった。
次に、図1〜3を参照して、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20を行なった。
ここで、プラズマCVD成膜室200内のカソード201cおよび室内面200iの少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程S20は、第1回目以後の第k−1回目のシリコン系薄膜10を形成する工程により得られたシリコン系薄膜10が積層された基板1をプラズマCVD成膜室200から搬出した後、ガス供給管220およびガス供給バルブ220vを用いて、クリーニングガスCGとして25〜45体積%の三フッ化窒素ガスと55〜75体積%のアルゴンガスとの混合ガスを供給することにより、プラズマCVD成膜室200内の圧力を100〜300Paとしてプラズマ放電することにより行なった。残留膜のクリーニング時間は15〜30分間とした。
2−2.プラズマCVD成膜室内のカソードの冷却工程
次に、図1〜3および5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400に含まれるシリコン系薄膜10を形成するための第1の導電膜2であるSnO2膜からなる透明導電膜が形成されたガラスからなる基板1をプラズマCVD成膜室200内のアノード201a上に配置した。
次に、図1〜3および5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400に含まれるシリコン系薄膜10を形成するための第1の導電膜2であるSnO2膜からなる透明導電膜が形成されたガラスからなる基板1をプラズマCVD成膜室200内のアノード201a上に配置した。
次に、ガス供給管220およびガス供給バルブ220vを用いて、カソード冷却ガスCCGとして25℃の水素ガスをプラズマCVD成膜室200内に供給した。次いで、ガス供給管220のガス供給バルブ220vおよびガス排出管230のガス排出バルブ230vを調節することにより、プラズマCVD成膜室200内の圧力を1400Pa、カソード冷却ガスCCGの流量を10SLM(ここで、1SLMとは、気体が標準状態で1分間あたり1L(リットル)流れる量をいう。)として、プラズマCVD成膜室200内にカソード冷却ガスCCGを15分間流通させた。
2−3.第k回目のシリコン系薄膜の形成工程
次に、図1〜3および5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400に含まれるシリコン系薄膜10を、上記の第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400の場合と同様にして形成した。
次に、図1〜3および5を参照して、第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置400に含まれるシリコン系薄膜10を、上記の第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置400の場合と同様にして形成した。
ここで、第2回目から第10回目までの第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程S10kは、それぞれ上記の2−1.残留膜を除去する工程および2−2.のプラズマCVD成膜室内のカソードの冷却工程の後に行なった。
第1回目のシリコン系薄膜10の形成工程の成膜開始時のプラズマCVD成膜室200内の上記5か所におけるカソード温度は120℃〜160℃であり、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力を相対出力1とした。
第2回目以降のシリコン系薄膜10の形成工程の成膜開始時のプラズマCVD成膜室200内の上記5か所におけるカソード温度は170℃〜190℃であり、第2回目以降に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力は、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力に対する相対出力で0.98〜1であった。すなわち、第2回目以降に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力は、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力から2%程度の低下に留めることができた。
(比較例1)
本比較例は、第2回目から第10回目までのシリコン系薄膜光電変換装置の形成において、上記の2−2.に記載のプラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン系薄膜光電変換装置400の製造を複数回行なった。
本比較例は、第2回目から第10回目までのシリコン系薄膜光電変換装置の形成において、上記の2−2.に記載のプラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程S30を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして、シリコン系薄膜光電変換装置400の製造を複数回行なった。
第1回目のシリコン系薄膜10の形成工程の成膜開始時の開始時のプラズマCVD成膜室200内の実施例1に示した5か所におけるカソード温度は120℃〜160℃であり、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力を相対出力1とした。
第2回目以降のシリコン系薄膜10の形成工程の成膜開始時のプラズマCVD成膜室200内の上記5か所におけるカソード温度は200℃より高くなり、第2回目以降に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力は、第1回目に得られたシリコン系薄膜光電変換装置の最大出力に対する相対出力で0.97以下であった。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、2 第1の導電膜、3 第2の導電膜、4 金属電極、10 シリコン系薄膜、11,12 pin構造積層体、19 二重pin構造積層体、111,121 p型半導体層、112,122 i型シリコン系半導体層、113,123 n型半導体層、200 プラズマCVD成膜室、200ah アノードヒータ制御装置、200i 室内面、201 アノード−カソード対、201a アノード、201ac アノード冷却管、201ah アノードヒータ、201c カソード、210 電力供給部、211 電力供給装置、212 電力供給線、220 ガス供給管、220v ガス供給バルブ、230 ガス排出管、230v ガス排出バルブ、240 アノード冷却ガス供給管、240v アノード冷却ガス供給バルブ、250 アノード冷却ガス排出管、250v アノード冷却ガス排出バルブ、260 接地線、300,400 シリコン系薄膜光電変換装置、ACG アノード冷却ガス、CCG カソード冷却ガス、CG クリーニングガス、SG 原料ガス、C1,C2 繰り返しサイクル、S10 同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程、S11 シリコン系薄膜を含むシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程、S20 そのプラズマCVD成膜室内のカソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程、S30 そのプラズマ成膜室内のカソードを冷却する工程、S101 そのプラズマCVD成膜室内で第1回目のシリコン系薄膜を形成する工程、S10k そのプラズマCVD成膜室内で第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜を形成する工程、S111 第1回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程、S11k 第2回目以後の第k回目のシリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程。
Claims (4)
- 同一のプラズマCVD成膜室内でシリコン系薄膜を形成する工程を複数回含み、
前記プラズマCVD成膜室内で第1回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程の後、前記プラズマCVD成膜室内で第2回目以後の第k回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程の前に、前記プラズマCVD成膜室内にカソード冷却ガスを流通させることにより前記プラズマCVD成膜室内のカソードを冷却する工程、をさらに含むシリコン系薄膜の製造方法。 - 前記プラズマCVD成膜室内の前記カソードを冷却する工程により、前記第k回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度および前記第1回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程の開始時におけるカソード温度を110℃以上200℃以下に制御する請求項1に記載のシリコン系薄膜の製造方法。
- 前記プラズマCVD成膜室内の前記カソードを冷却する工程の前に、前記プラズマCVD成膜室内の前記カソードおよび室内面の少なくともひとつの上に形成された残留膜を除去する工程を含む請求項1または2に記載のシリコン系薄膜の製造方法。
- 請求項1に記載のシリコン系薄膜の製造方法を用いたシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、
前記シリコン系薄膜を含む前記シリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程を複数回含み、
第1回目の前記シリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程は、前記第1回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程を含み、
第2回目以降の第k回目の前記シリコン系薄膜光電変換装置を形成する工程は、前記第k回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程を含み、
前記第1回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程および前記第k回目の前記シリコン系薄膜を形成する工程の少なくともひとつにおいて、p型半導体層とi型シリコン系半導体層とn型半導体層とを含むpin構造積層体を形成するシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法。
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