JP2015075224A - ハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型の電動オイルポンプでありながらも、被潤滑部に充分な作動油を供給することが可能なクラッチ潤滑装置を提供する。
【解決手段】ケース3と、クラッチ部8と、圧縮ばね45と、クラッチ部を切断するための加圧室46およびクラッチ部の接続時に遠心油圧を打ち消すための油圧を発生させるキャンセラ室52と、加圧室およびキャンセラ室が設けられたクラッチドラム26と、電動オイルポンプと、作動油を加圧室に供給する第一位置とキャンセラ室に供給する第二位置との間で切替可能な切替バルブと、を有するクラッチ潤滑装置であって、ケースに形成され、加圧室に連通する加圧室通路およびキャンセラ室に連通するキャンセラ室通路と、クラッチ部に連通するリリーフ潤滑流路と、加圧室通路に設けられ、加圧室通路内の圧力が設定値を越えると加圧室通路内の作動油を放出し、クラッチ部に供給するリリーフバルブ90と、を備えた。
【選択図】図2
【解決手段】ケース3と、クラッチ部8と、圧縮ばね45と、クラッチ部を切断するための加圧室46およびクラッチ部の接続時に遠心油圧を打ち消すための油圧を発生させるキャンセラ室52と、加圧室およびキャンセラ室が設けられたクラッチドラム26と、電動オイルポンプと、作動油を加圧室に供給する第一位置とキャンセラ室に供給する第二位置との間で切替可能な切替バルブと、を有するクラッチ潤滑装置であって、ケースに形成され、加圧室に連通する加圧室通路およびキャンセラ室に連通するキャンセラ室通路と、クラッチ部に連通するリリーフ潤滑流路と、加圧室通路に設けられ、加圧室通路内の圧力が設定値を越えると加圧室通路内の作動油を放出し、クラッチ部に供給するリリーフバルブ90と、を備えた。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンおよび電動モータを駆動源として備え、エンジンによる駆動力を車軸に伝達するハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置に関する。
特許文献1には、エンジンの出力軸と変速機の入力軸との間に設けられ、出力軸と入力軸との接続を断接するクラッチ装置を有する車両用駆動装置が開示されている。これによれば、車両用駆動装置は、クラッチ装置を係合させてエンジンの駆動力を変速機に伝達させる接続状態と、クラッチ装置の係合を解除して駆動力の伝達を遮断させる切断状態とが切換可能である。接続状態では、クラッチ装置のピストン部材が係合スプリングの付勢力によって移動され、エンジンの出力軸側に設けられた駆動プレートおよび変速機の入力軸側に設けられた従動プレートを圧接させて係合させる。切断状態では、電動油圧ポンプの作動によって加圧室内に適切な油圧が供給される。そして当該油圧によって加圧室を構成するピストン部材が係合スプリングの付勢力に抗して移動され、クラッチ装置の係合が解除される。再び接続状態に移行する際には、加圧室は、接続されていた電動油圧ポンプとの接続が遮断され、リザーバとの接続に切替えられる。そして、電動油圧ポンプの作動によってキャンセラ室に適量の作動油が供給されて、加圧室内に残存した油が発生させる遠心油圧を、キャンセラ室の作動油が発生させる遠心油圧で相殺し、駆動プレートと従動プレートとを係合スプリングの付勢力によって好適に係合させている。また、加圧室に作動油が供給される時には、油路の途中から作動油が一部分流されクラッチ装置の潤滑の必要な部位(例えば、駆動プレート、従動プレートおよび軸受部等)に供給されている。
このように、従来のクラッチ装置においては、電動油圧ポンプによって加圧室およびキャンセラ室に供給する作動油を、必要な時に必要な量だけ供給することにより、電動油圧ポンプを小型化させている。しかしながら、相反して、小型化された電動油圧ポンプでは、必要とされる被潤滑部に充分な量の潤滑油を同時に供給することが困難であり、必要量の潤滑油をまかなうためには、電動油圧ポンプを大型化する必要がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、小型の電動油圧ポンプでありながらも、被潤滑部に充分な作動油を供給することが可能なハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係るハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置の発明は、ケースと、前記ケースに支持されエンジンに回転連結される入力軸と変速機の変速機入力軸に回転連結される出力軸とを断接するクラッチ部と、前記クラッチ部を接続する方向にピストン部材を付勢する圧縮ばねと、予め設定された圧力の作動油が供給されると前記ピストン部材を前記圧縮ばねの付勢方向と対向する方向に移動させて前記クラッチ部を切断するための加圧室および前記クラッチ部の接続時に作動油が供給されて前記加圧室に残留する前記作動油に発生する遠心油圧を打ち消すための油圧を発生させるキャンセラ室と、前記加圧室および前記キャンセラ室が設けられ前記ケースに回転可能に支承されて前記入力軸または前記出力軸に連結されたクラッチドラムと、電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプと接続され前記電動オイルポンプが吐出する作動油を前記加圧室に供給する第一位置と前記キャンセラ室に供給する第二位置との間で切替可能な切替バルブと、を有するノーマルクローズのハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置であって、前記ケースに形成され、前記加圧室に連通する加圧室通路および前記キャンセラ室に連通するキャンセラ室通路と、前記クラッチ部に連通するリリーフ潤滑流路と、前記加圧室通路に設けられ、前記加圧室通路内の圧力が設定値を越えると前記加圧室通路内の作動油を放出し、前記放出した作動油を前記リリーフ潤滑流路を介して前記クラッチ部に供給するリリーフバルブと、を備えた。
このように、加圧室(加圧室通路)に作動油が供給され、クラッチ部が切断される際に、加圧室内の圧力が上昇し、その圧力がリリーフバルブの設定圧を越えた場合には、リリーフバルブが開弁する。そして、加圧室の作動には必要のない余分な作動油が、クラッチ部に向って形成されたリリーフ潤滑流路を流通してクラッチ部が潤滑される。これにより、クラッチ部は少量の作動油でも効果的に潤滑されるので小型の電動オイルポンプで十分対応でき効率的である。また、リリーフバルブは電動オイルポンプの吐出する差動油圧を調圧する機能も兼ねており、この点においても効率的である。
請求項2に係る請求項1に記載の発明では、前記キャンセラ室通路は、オリフィスを介して前記クラッチ部に作動油を供給するオリフィス潤滑流路に連通している。
これにより、キャンセラ室通路に作動油が供給されるクラッチ部の接続状態においては、クラッチ部に向って形成されたオリフィス潤滑流路をオリフィスを通過した作動油が流通してクラッチ部を潤滑および冷却するので、少量の作動油でも効果的に潤滑および冷却ができる。よって、クラッチ部が接続状態に切り替わった際のクラッチ部の潤滑および冷却については、小型の電動オイルポンプで十分対応でき効率的である。
請求項3に係る請求項1または2に記載の発明では、前記ケースは、前記出力軸と同軸に延在して形成された円筒状の突部を備え、前記クラッチドラムは、前記円筒状の突部と内周面で嵌合する内周円筒壁部と、前記クラッチ部が形成される外周円筒壁部と、前記内周円筒壁部と前記外周円筒壁部とを連結する第一側壁部と、出力軸線方向に延在して前記出力軸と連結される固定部と、前記内周円筒壁部と前記固定部とを連結する第二側壁部とを備えるクラッチドラム本体と、前記内周円筒壁部の外周面で前記出力軸線方向に移動可能に嵌合され前記外周円筒壁部、前記内周円筒壁部および前記第一側壁部との間でシリンダ室を形成する壁部材と、を有し、前記ピストン部材は、前記シリンダ室内で前記外周円筒壁部と前記内周円筒壁部との間に前記出力軸線方向に移動可能に嵌合され、前記壁部材との間で前記加圧室を形成し、前記第一側壁部との間でキャンセラ室を形成するピストン部と、前記壁部材の外周面と嵌合して前記クラッチ部と対向する押圧部と、を有し、前記圧縮ばねは、前記キャンセラ室に設けられ、前記内周円筒壁部には、前記出力軸の軸線方向において、前記ピストン部から離間する方向への前記壁部材の移動を当接によって規制する規制部材が設けられ、前記壁部材と前記規制部材との間には、前記壁部材を前記ピストン部方向に付勢する弾性部材が設けられ、前記内周円筒壁部には、前記突部と前記クラッチドラム本体の前記内周円筒壁部、前記第二側壁部および前記固定部との間に形成される突部空間と、前記加圧室への前記作動油の供給が停止されると前記壁部材が前記弾性部材に付勢されて移動することにより前記規制部材と前記壁部材との間に形成される壁部材空間と、を連通させる連通孔が貫設され、前記壁部材空間は、前記クラッチ部に作動油を供給する壁部材潤滑流路と連通されている。
これにより、加圧室(加圧室通路)に作動油が供給され、壁部材が移動し規制部材と当接している状態では、リリーフバルブおよびオリフィスから流出した作動油の一部は、クラッチドラムの回転による遠心力によって連通孔を通過した後、壁部材と規制部材との当接によって堰き止められ貯留されている。この後、加圧室(加圧室通路)への作動油の供給が停止され、キャンセラ室(キャンセラ室通路)に作動油が供給されると、壁部材は移動し規制部材との当接が解除され壁部材空間が拡大していく。これによって、それまで堰き止められていた作動油が、大量に壁部材空間および壁部材潤滑流路を通ってクラッチ部に供給される。このとき、クラッチ部は、切断状態から接続状態に切り替わる最も発熱が発生しやすいタイミングであるので、この大量の作動油によってクラッチ部の発熱が良好に抑制される。また、クラッチ部を頻繁に切断状態から接続状態に制御することが可能となり、様々な走行モードを選択することができ性能向上に寄与する。
<概要>
本発明に係るクラッチ潤滑装置4が適用されるハイブリッド車両用クラッチ装置40の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図1は、エンジン(EG)10および自動変速装置(TM)5等を含んだ状態のハイブリッド車両用クラッチ装置40(以降、クラッチ装置40とのみ称す)およびクラッチ制御装置80の概略を示している。図1において、実線による矢印は、各装置間をつなぐ油圧配管およびその流れ方向を示しており、破線による矢印は、制御用の信号線を示している。
本発明に係るクラッチ潤滑装置4が適用されるハイブリッド車両用クラッチ装置40の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図1は、エンジン(EG)10および自動変速装置(TM)5等を含んだ状態のハイブリッド車両用クラッチ装置40(以降、クラッチ装置40とのみ称す)およびクラッチ制御装置80の概略を示している。図1において、実線による矢印は、各装置間をつなぐ油圧配管およびその流れ方向を示しており、破線による矢印は、制御用の信号線を示している。
また、図1においてクラッチ制御装置80(電動オイルポンプ60、切替バルブ50(V)およびリザーバ72等)は、電動モータ20等と別体で記載されている。しかし、実際には、クラッチ制御装置80は、電動モータ20およびケース30と一体化され、リザーバ72はケース30を構成するケース3およびフロントケース6内の重力方向下方に形成されている(図2参照)。
クラッチ潤滑装置4は、クラッチ制御装置80に、後述する加圧室46に接続されるリリーフバルブ90、キャンセラ室52に接続されるオリフィス49および各油路等を加えて構成される。詳細については後述する。
<クラッチ装置40>
クラッチ装置40は、湿式多板クラッチによるクラッチ装置であり、図1に示したように、エンジン(EG)10と電動モータ20との間に介在され、エンジン(EG)10および電動モータ20と直列に接続されている。クラッチ装置40は、エンジン(EG)10と電動モータ20との間の連結を接離し、エンジン(EG)10からのトルク伝達を断接して接続状態と切断状態とを切替える。そして、車両停止時においてクラッチ装置40は、エンジン(EG)10と電動モータ20との間を接続状態とするノーマルクローズ(常閉)タイプのクラッチ装置である。
クラッチ装置40は、湿式多板クラッチによるクラッチ装置であり、図1に示したように、エンジン(EG)10と電動モータ20との間に介在され、エンジン(EG)10および電動モータ20と直列に接続されている。クラッチ装置40は、エンジン(EG)10と電動モータ20との間の連結を接離し、エンジン(EG)10からのトルク伝達を断接して接続状態と切断状態とを切替える。そして、車両停止時においてクラッチ装置40は、エンジン(EG)10と電動モータ20との間を接続状態とするノーマルクローズ(常閉)タイプのクラッチ装置である。
電動モータ20には、車両の自動変速装置(T/M)5が直列に接続されており、自動変速装置(T/M)5には、図示しない車両の駆動輪が図示しないディファレンシャル装置を介して接続されている。自動変速装置(T/M)5は、トルクコンバータ2(図1参照)および変速機(図示しない)からなり、トルクコンバータ2の出力が、図略の変速機の入力軸(本発明の変速機入力軸に相当する)に入力されている。なお、本実施形態においては、クラッチ装置40のエンジン(EG)10側を前側とし、自動変速装置(T/M)5側を後側とする。以降の説明において、前側といえば、エンジン(EG)10側を意味し、後側といえば自動変速装置(T/M)5側を意味するものとする。
図1、図2に示すように、電動モータ20およびトルクコンバータ2は、ドラム26(本発明のクラッチドラムに相当する)およびドラム26が保持されるトルクコンバータ2の入力軸であるセンタピース16を介して回転連結されている。なお、センタピース16は本発明におけるクラッチ装置40の出力軸も兼ねている。ドラム26およびセンタピース16はクラッチ装置40の入力軸41と同一回転軸線R1(本発明の出力軸線に相当する)で並んで配置され、トルクコンバータ2(図1参照)のフロントカバー14(図2参照)に連結されてフロントカバー14と一体回転される。
センタピース16とともにフロントカバー14が回転されることにより、フロントカバー14と連結されるトルクコンバータ2内のポンプインペラ(図示せず)が回転される。これによりポンプインペラによって油流が発生し、発生した油流によって変速機の入力軸に連結されたタービンランナ(図示せず)が回転して変速機の入力軸に回転力が伝達される。このように、ドラム26、センタピース16(出力軸)およびフロントカバー14の回転軸は、変速機の入力軸と同一回転軸線R1で配置されている。
エンジン(EG)10は、炭化水素系の燃料により出力を発生させる通常の内燃機関である。ただし、これに限定されるものではなく、回転軸を駆動させる駆動源であればどのようなものでもよい。また、電動モータ20は、車輪駆動用の3相同期モータであるが、これに限定されるものではない。さらに、自動変速装置(T/M)5の変速機は、通常の遊星歯車式自動変速機であるが、これに限定されるものではなく、例えば手動式変速機の変速を自動化したAMT(オートメイテッド マニュアル トランスミッション)でもよいし、他の自動変速機でもよい。
図1、図2に示すように、クラッチ装置40はケース30、入力軸41、ドラム26、センタピース16(出力軸)、複数のセパレートプレート43および摩擦プレート42(本発明のクラッチ部8に相当する)、ピストン部材44、圧縮コイルばね45(本発明の圧縮ばねに相当する)、加圧室46、キャンセラ室52、クラッチ潤滑装置4およびクラッチ制御装置80を有している。ドラム26はドラム本体28(本発明のクラッチドラム本体に相当する)および壁部材54によって構成されている。
ケース30は、入力軸41、ドラム26およびセンタピース16(出力軸)を回転軸線上で回転可能に軸承し、ケース30内の重力方向下方には作動油を貯留するリザーバ72が形成されている。図2に示すように、ケース30のケース3は、外形を形成する外周壁部3bと、電動モータ20とトルクコンバータ2との間に形成された後側側壁部3aと、を有している。また、ケース3は外周壁部3bが後側側壁部3aから後側に向って所定量延在され、トルクコンバータ2の一部を覆っている。そして延在されたケース3は、トルクコンバータ2の残りの部分を覆う図略のケースと図略のボルトによって固定され、自動変速装置(T/M)5のケース(図示せず)を形成している。
ケース30の前側には、ケース30の蓋部であり前側側壁部6bを形成するフロントケース6が配置され、ケース3とフロントケース6とは、ボルトによって固定されている。ケース30を構成するフロントケース6の前側側壁部6bの中心部には入力軸41が軸承されるよう貫通孔6aが設けられている。そして貫通孔6aと入力軸41との間にはボールベアリング34が介在され、入力軸41を回転可能に軸承している。
入力軸41は、図示しないフライホイールおよび回転振動を吸収するためのダンパを介してエンジン(EG)10の出力軸(図示しない)に回転連結されている。図2に示すように、入力軸41は、ダンパとの固定部41aと、フロントケース6の前側側壁部6bの貫通孔6aに回転支持される連結部41bと、を有している。また、入力軸41は、円環状の複数の摩擦プレート42が回転を規制され回転軸線R1方向に移動可能に係合する小径側係合部41dが外周部に形成された環状円板部41cを有している。図2に示すように、環状円板部41cは入力軸41の半径方向に環状に延在するように形成されている。
ドラム26は、トルクコンバータ2の入力軸であるとともに、クラッチ装置40の出力軸であるセンタピース16に回転連結されている。センタピース16は、ケース3の後側側壁部3aに形成された貫通孔3cに回転可能に軸承されている。
ドラム26は、ドラム本体28(本発明のクラッチドラム本体28に相当する)と壁部材54とを有している。ドラム本体28は、図2に示す回転軸方向の断面が逆S字状を呈している。ドラム本体28は、半径方向外周側に前側に開口された外周開口部27が形成され、内周側で後側に開口された内周開口部32が形成されている。ドラム本体28は、半径方向外周側に前側に開口された外周開口部27が形成され、内周側で後側に開口された内周開口部32が形成されている。外周開口部27は小径側壁部27d(本発明の内周円筒壁部に相当する)と、大径側壁部27c(本発明の外周円筒壁部に相当する)と、段付きの各底壁部27e、27f(本発明の第一側壁部に相当する)とによって包囲され形成されている。大径側壁部27cの、各底壁部27e、27fとは反対側の端部の内周面である大径側係合部26aには前述した複数の円環状のセパレートプレート43が回転を規制され回転軸線R1方向に移動可能に係合されている。
複数のセパレートプレート43と、入力軸41の小径側係合部41dに係合された複数の摩擦プレート42とが交互に接離可能に配置されクラッチ部8を形成している。摩擦プレート42およびセパレートプレート43が交互に配置された状態で、セパレートプレート43がピストン部材44によって回転軸線R1方向前側に向って押付けられるとセパレートプレート43が軸方向に移動(スライド)する。
これによって各摩擦プレート42の両面に貼付された各摩擦板と各セパレートプレート43とが押付け合って係合し、入力軸41と、ドラム26およびセンタピース16とが回転連結されて、エンジン(EG)10の出力軸と自動変速装置(T/M)5の入力軸とが一体回転する。
内周開口部32と、外周開口部27の小径側壁部27dとによって囲まれ後側に開口される空間には、ケース3の後側側壁部3aから円環状の突部63が突設されている。そして外周開口部27の小径側壁部27dの内周面が突部63の外周面63bに嵌合されている。内周開口部32は、固定部32bと、小径側壁部27dと固定部32bとを連結する前側壁部32a(本発明の第二側壁部に相当する)とを有している。固定部32bは、出力軸線方向に延在してセンタピース16(出力軸)と連結される。突部63の内周面63aと内周開口部32の固定部32bとの間にはボールベアリング64が介在され、突部63と内周開口部32とがスムーズに相対回転可能となっている。また、壁部材54は、前記小径側壁部27d(内周円筒壁部)の外周面で回転軸線方向に移動可能に嵌合され大径側壁部27c、各底壁部27e、27fおよび小径側壁部27dとの間でシリンダ室を形成している。
図2の中央部下方に示すように後側側壁部3aおよび突部63の内部には、連通して形成された管路65a、65b、65c、65dを有している。管路65a、65b、65c、65dは、後述するクラッチ制御装置80が有する切替バルブ50のキャンセラ室ポート78とキャンセラ室52とを接続する。管路65aは、キャンセラ室ポート78側の管路である。管路65dは、キャンセラ室52側の接続管路である。管路65dは、キャンセラ室52に接続される突部63の外周面63b全周に刻設された油路66と接続している。油路66は、外周開口部27の小径側壁部27dに貫設される流入ポート61を介してキャンセラ室52に接続され、キャンセラ室52に低圧の作動油を供給またはキャンセラ室52から作動油を排出する。なお、突部管路65a、65b、65c、65d、油路66および流入ポート61をキャンセラ室通路と称する。
ここで、クラッチ潤滑装置4の一部を構成するオリフィス49について説明する。オリフィス49は、管路65cの前方端部に設けられている。オリフィス49は、キャンセラ室通路を構成する管路65cの前端に圧入された円柱状の蓋部材39に穿設されている。これによって、管路65cに供給された作動油は、オリフィス49を通過後、オリフィス49と連通される、突部空間Pおよび前側壁部32aの貫通孔32cを経由しクラッチ部8に至る潤滑流路58(本発明のオリフィス潤滑流路に相当する)を流通してクラッチ部8を潤滑する。なお、突部空間Pは、突部63と内周開口部32との間に形成される空間である。
また、図示はしていないが後側側壁部3aおよび突部63の内部には、キャンセラ室52に接続される管路65a、65b、65cに相当する、加圧室46に接続される各管路を有している。当該各管路は、後述するクラッチ制御装置80が有する切替バルブ50の加圧室ポート79と接続される。そして、これらの各管路は、キャンセラ室52用の管路65a、65b、65cと円周方向に予め設定された量だけ位相をずらして形成されている。なお、管路65dに相当する管路は、管路65eである。管路65eは、加圧室46に接続される突部63の外周面63b全周に刻設された油路69と接続されている。油路69は、外周開口部27の小径側壁部27dに貫設される流入ポート71を介して加圧室46に接続される。油路69は、加圧室46に予め設定された圧力の作動油を供給するとともに、作動油の供給が停止された後には作動油を排出する。
さらに、突部63の内部には、キャンセラ室52に接続される管路65a、65b、65cおよび加圧室46に接続される図略の各管路とは円周方向に予め設定された量だけ位相がずれた位置に本発明に係るクラッチ潤滑装置4を構成するリリーフバルブ90を備えている(図2、図3参照)。リリーフバルブ90は、加圧室46に供給された圧力が予め設定されたリリーフ圧力(本発明の設定値に相当する)を超えると作動し作動油を出力側に排出する。リリーフバルブ90については、後に詳述する。
突部63の外周面63bにおいて、回転軸線R1方向における油路66および油路69の前後両側全周には溝が刻設されている。そして、刻設された前記溝内には例えば樹脂製の環状リング67、68、48が設けられ、油路66および油路69からの作動油の外部への漏洩が所定量となるよう抑制している。つまり、環状リング67等からの外部への漏洩は若干許容されている。これにより、例えば環状リング67から前方に漏洩した作動油は、内周開口部32の前側壁部32aに貫設された貫通孔32cを通ってクラッチ部8を潤滑する。なお、この矢印で示す潤滑流路を潤滑流路57と称す。なお、潤滑流路57は周知の潤滑流路である。
また、例えば環状リング67から前方に漏洩した作動油を、別の経路からクラッチ部8に導流させるため、外周開口部27の小径側壁部27dに連通孔86が貫設されている。この連通孔86を通過してクラッチ部8を潤滑する矢印で示す流路を潤滑流路89(本発明の壁部材潤滑流路に相当する)と称す。なお、詳細については後述する。
クラッチ潤滑装置4を構成するリリーフバルブ90について説明する。リリーフバルブ90は、加圧室46に供給された作動油圧が予め設定されたリリーフ圧を越えた時に開弁し作動油を出力側に排出する周知のリリーフバルブである。つまり、リリーフバルブ90は、電動油圧ポンプ60から加圧室46に供給された作動油圧をリリーフ圧で調圧する機能も有している。リリーフバルブ90は、図3に示すように、ハウジングである突部63の内部に回転軸線方向に埋設されている。
リリーフバルブ90は、円筒状の弁体90aおよびコイルスプリング90bおよび底部90cを有している。リリーフバルブ90の入力側には加圧室46と接続される油路69に接続される第一油路91aと、第一油路91aに接続される第二油路91bとが突部63内に設けられている。また、油路69と加圧室46との間には、油路93が設けられている。油路93は、外周開口部27の小径側壁部27dに貫設されている。なお、突部63内に設けられている前述した管路65a、65b、65cに相当する、加圧室46に接続される図略の各管路と、管路65eと、油路69と、第一油路91aと、第二油路91bと、を合わせて加圧室通路と称する。よって、リリーフバルブ90は、加圧室通路に設けられているといえる。
リリーフバルブ90の弁体90aは、第二油路91bから延在されるよう油路90a1が、弁体90aを貫通しないよう軸線方向かつ円筒中心に設けられている。油路90a1の途中の部分には油路90a1と直交するように十字に貫通孔90a2、90a3が設けられている。そして、貫通孔90a2、90a3と弁体90aの外周面とが交差する位置には、外周面全周に亘って外周油路90a4が刻設されている。
コイルスプリング90bは、弁体90aと、底部90cとの間に縮設されている。底部90cはボルトである。コイルスプリング90bは、リリーフバルブ90のリリーフ圧が予め設定されたリリーフ圧となるような荷重で縮設されている。リリーフ圧は、クラッチ部8を切断状態とするため加圧室46に供給される予め設定された作動油圧Paと等しくなるよう設定されている。
そして、弁体90a外周に設けられた外周油路90a4から予め設定された距離だけ軸線方向後方に離間した突部63の内周面63aからはリリーフバルブ90まで貫通する貫通油路63cが貫設されている。さらに、貫通油路63cが開口する突部63の内周面63aでは、ボールベアリング64の外周面と突部63の内周面63aとの間に回転軸線方向に平行な切り欠き溝63dが設けられている。切り欠き溝63dは、ボールベアリング64の前端面と、内周開口部32の前側壁部32aとの間の突部空間Pに連通している。これによって、貫通油路63cから突部63の内周面63aに排出された作動油は、切り欠き溝63d、突部空間P、前側壁部32aの貫通孔32cを通ってクラッチ部8までの間で形成される潤滑流路88(本発明のリリーフ潤滑流路に相当する)を通過してクラッチ部8を潤滑することができる。
つまり、前述の潤滑流路57を流れる作動油と合流してクラッチ部8を良好に潤滑することができる。なお、このとき、リリーフバルブ90から排出された作動油は、排出時においては加圧室46に供給される予め設定された作動油圧Paを超えた高い圧力を有している。このため、排出後は、クラッチ部8に向って潤滑流路88を勢いよく通過し良好にクラッチ部8を潤滑することができる。
なお、上述した潤滑流路57,58,88を流れる作動油の一部には、前側壁部32aの貫通孔32cを通過せずドラム26の回転による遠心力によって突部空間Pの外周側(図3、図4のQ部参照)に滞留する作動油も発生する。このような作動油は、外周開口部27の小径側壁部27dに貫設された連通孔86に流入する。しかし、連通孔86に流入した作動油は、後述する壁部材54の軸線方向位置によって、さらに外周方向へ移動するか、または移動が遮断される(遮断については、後に詳述する)。通過し移動する場合には、図4の潤滑流路89に示すように流通しクラッチ部8を潤滑することができる。この連通孔86を通過してクラッチ部8を潤滑する矢印で示す流路を潤滑流路89(本発明の壁部材潤滑流路に相当する)と称す。また、遮断される場合には、突部空間Pの外周側および連通孔86内に滞留されている。
図3に示すように、ピストン部材44は、ピストン部38と押圧部44aを有している。ピストン部38は、前述した外周開口部27のシリンダ室内で小径側壁部27dと、大径側壁部27cとの間に回転軸線R1方向に移動可能に嵌合されている。ピストン部38は、略円板状に形成されて中心部に貫通孔44bが形成されている。ピストン部38は、小径側壁部27dの外周面に、ピストン部38側に設けられたゴム製等のOリングを介して軸方向に移動可能に嵌合されている。ピストン部38は、前側に入力軸41の軸線と直交する平面である受圧面44cを有している。ピストン部38の外周面は、外周開口部27の大径側壁部27cの内周面と、ゴム製のOリング56を介して回転軸線R1方向に移動可能なように液密に嵌合している。
ピストン部38には、受圧面44cの外周側に、クラッチ部8に対向するように突設される押圧部44aが一体的に固定されている。押圧部44aは円環状に設けられ、押圧部44aの円環内周面には、ピストン部38を回転軸線R1方向に摺動可能とするように、壁部材54の外周面54aと嵌合するための摺動面44dが形成されている。
壁部材54は、小径側壁部27dの外周面に装架されている。壁部材54は、略円環状に形成され、外周面54a、内周面54b、背面側である前側平面54cおよび後側平面54dを有している。小径側壁部27dの外周面で壁部材54の前方には例えばCリング等の固定リング47が嵌入しており、これによって壁部材54の前側方向への移動が規制される。
また、壁部材54は、前側平面54c側に配設された複数の圧縮コイルバネ55(本発明の弾性部材に相当する)によって、ピストン部材44側に付勢されている。圧縮コイルバネ55の前方端は、固定リング47の後側端面と前面が当接し係止された円環状のリング状部材59の外周部に係止されている。圧縮コイルばね55が配置される壁部材54の前側の面には、各圧縮コイルばね55が配置されるように圧縮コイルばね55のコイル外径より若干大きな径を有する有底の円筒穴が円周上に複数穿設され、各コイルばね55が該円筒穴に係入されている。
クラッチ部8が接続状態において、壁部材54の後側平面54dとピストン部材44の受圧面44cとが当接している場合には、壁部材54の前側平面54cと固定リング47に係止されているリング状部材59(本実施形態における規制部材に相当する)の後側平面との間には予め設定された大きさの隙間が設けられている。そして、当該隙間によって形成される空間を、壁部材空間と称す。これにより、壁部材54は、ピストン部38と固定リング47との間を移動可能となっている。そして、例えば、加圧室46に予め設定された作動油圧Paが供給されると壁部材54は、圧縮コイルバネ55の付勢力に抗してピストン部材44から離間し前方に移動される。その後、前側平面54cに形成された壁部材当接部54c1と固定リング47の後側平面に係止されたリング状部材59(規制部材)の後側平面とが当接する(図3、図4の2点鎖線参照)。これによって、壁部材空間は消滅し、当接した部分の内周側と外周側とは、遮断状態となる。そして、例えば内周側に作動油が存在し、遠心力が作用しても、作動油が外周側に漏洩していくことを抑制する効果がある。このクラッチ部8の潤滑に寄与する遮断の効果については、後に詳述する。このように、軸線方向に移動可能な壁部材54もクラッチ潤滑装置4を構成する構成要素の一つである。
壁部材54の内周面54bには、ゴム製または樹脂製のリング部材が配設され、加圧室46を液密に封止している。また、潤滑流路89を形成するため、壁部材54の内周面54bの前方側の一部が拡径されている。これにより、クラッチ部8が接続状態においては、連通孔86から遠心力によって外周方向に送出された作動油は、壁部材54に妨げられることなく壁部材空間を通過することができる。そして、作動油は、前述の潤滑流路89(壁部材潤滑流路)を通過して、摩擦プレート42およびセパレートプレート43(クラッチ部8)に飛散され、クラッチ部8を潤滑および冷却することができる。また、前述したように、壁部材54の外周面54aは、ピストン部材44の押圧部44aの内周面である摺動面44dに嵌合する。外周面54aには、例えばゴム製のOリングが配設され、加圧室46を液密に封止している。
加圧室46は、クラッチ部8を切断させてトルク伝達を切断させる場合に、予め設定された作動油圧Paが供給される空間である。加圧室46に予め設定された作動油圧Paが供給されると、ピストン部材44が圧縮コイルバネ45の付勢力に抗して後方に移動される。また、前述したように壁部材54は、圧縮コイルバネ55の付勢力に抗して前方に移動される。これによって、クラッチ部8の係合が解除される。
加圧室46は、外周開口部27内のシリンダ室内において、壁部材54の後側平面54d、ピストン部38の受圧面44c、押圧部44aの摺動面44dおよび外周開口部27の小径側壁部27dの外周面によって囲繞され区画形成されている。加圧室46は、前述したように流入ポート(流入口)71、油路69、管路65e、図略の管路および切替バルブ50を介して電動オイルポンプ60およびリザーバ72等に接続されている。
加圧室46に予め設定された作動油(作動油圧Pa)を供給する場合には、切替バルブ50の状態を、供給モードとするために、切替バルブ50の切替弁体74を第一位置P1に位置させる。加圧室46から作動油(作動油圧)を排出する場合には、切替バルブ50の状態を、排出モードとするために、切替バルブ50の切替弁体74を第二位置P2に位置させる。第2位置P2および第1位置P1の切替えは、切替バルブ50を構成する電磁弁である制御バルブ51を開閉制御にすることによって切替えられる。(詳細については後述する)。
キャンセラ室52は、シリンダ室内に形成され、クラッチ部8を係合させる場合に、適量の作動油が供給される空間である。キャンセラ室52(ドラム26)が回転軸線R1まわりに回転することによってキャンセラ室52に供給された適量の作動油が回転し、キャンセラ室52内に遠心油圧を発生させる。当該遠心油圧は、ピストン部材44をクラッチ部8を係合させる方向に付勢する。これによって、キャンセラ室52の遠心油圧は、クラッチ部8を切断させる方向に作用する加圧室46の残留作動油によって発生する遠心油圧を相殺する。
キャンセラ室52は、ピストン部38の背面と、外周開口部27とによって囲繞され区画形成されている。キャンセラ室52は、前述したようにキャンセラ室通路である、流入ポート(流入口)61、油路66、管路65a、65b、65c、65dおよび切替バルブ50を介して電動オイルポンプ60に接続されている。流入ポート61は小径側壁部27dの円周上に例えば3カ所等配に設けられている。ただし、流入ポート61の個数は3カ所に限らず、キャンセラ室52に供給する油圧の大きさや、流量を考慮して決定すべきであり、適宜実施者によって決定すればよい。
キャンセラ室52には、キャンセラ室52の内外を連通させる所定の開口径を有する排出孔53が、圧縮コイルバネ45の端面が着座する外周開口部27の後側端面に貫設されている。このとき、キャンセラ室52の外部とはケース30内を意味し、具体的には油溜室であるリザーバ72に連通している。排出孔53は流量絞りとして機能する。排出孔53の開口径および径方向における排出孔53の軸線と回転軸線R1との距離は、キャンセラ室52の作動油の排出速度、および遠心油圧力に影響を与え、延いてはクラッチ装置40を接続状態から切断状態に切り換える応答性、さらには電力回生効率に影響を与える。
圧縮コイルばね45は、図2に示すように、キャンセラ室52内においてピストン部38の背面と、外周開口部27の底壁部27fとの間に縮設されている。このとき、圧縮コイルばね45は、底壁部27fに貫設される排出孔53を着座部で塞がないように、回転軸線R1を中心として同一半径上に複数個、均等な間隔で配置されている。
圧縮コイルばね45は、ピストン部材44を前方に付勢し、ピストン部材44の押圧部44aによってクラッチ部8である摩擦プレート42と、セパレートプレート43とを予め設定された荷重で押圧し圧接させる。圧縮コイルばね45が配置されるピストン部材44の後側の面(背面)には、各圧縮コイルばね45が配置されるように圧縮コイルばね45のコイル外径より若干大きな径を有する有底の円筒穴が穿設され、各コイルばね45が該円筒穴に係入されている。
なお、摩擦プレート42およびセパレートプレート43を押圧して係合させることが可能な付勢力を付与でき、且つ押圧部44aが摩擦プレート42およびセパレートプレート43を全周に亘って均等に押圧できれば圧縮コイルばねはいくつ配置してもよい。
図2に示す3相交流モータ等からなる電動モータ20は、ドラム26の外周開口部27の外周側に配置されている。電動モータ20は、円筒状のロータ21、ロータ21の半径方向外周に対向して配置され珪素鋼板(図示せず)を積層してなるステータ22およびステータ22の突出部に巻回されるコイル23を備えている。ロータ21はステータ22との間で磁気的な反発力または吸引力が発生することにより、ステータ22に対し回転可能な構成となっている。
ステータ22は、外周側がケース3の外周壁部3bの内周面に固定されている。またロータ21は、後側端面から板部材24が半径方向内周側に延在されてドラム26の底壁部27eの後側側面にボルトによって固定されている。これにより、電動モータ20はロータ21のみがドラム26と一体回転される。またコイル23は、コントローラ70と電気的に接続されている。コントローラ70は、各種状態を検出する、いずれも図示しない各センサ(車速センサ、スロットル開度センサ、シフト位置センサ等)からの信号に基づいてコイル23への通電量、或いはコイル23の非通電を制御しロータ21の回転を制御している。
<クラッチ制御装置80>
次に、クラッチ制御装置80について図5に基づき説明する。図5に示すように、クラッチ制御装置80は、電動オイルポンプ60、切替バルブ50等を有している。切替バルブ50は制御バルブ51を有している。電動オイルポンプ60および制御バルブ51は、コントローラ(ECU)70に接続されて制御される。
次に、クラッチ制御装置80について図5に基づき説明する。図5に示すように、クラッチ制御装置80は、電動オイルポンプ60、切替バルブ50等を有している。切替バルブ50は制御バルブ51を有している。電動オイルポンプ60および制御バルブ51は、コントローラ(ECU)70に接続されて制御される。
電動オイルポンプ60は、加圧室46、キャンセラ室52およびクラッチ部8等に作動油を供給する。図5に示すように、電動オイルポンプ60は、吸入口60aがリザーバ72に常時接続されている。
電動オイルポンプ60の吐出口60bは、切替バルブ50の第一入力ポート76にポート口50a(下記参照)を介して接続されている。また、吐出口60bは、切替バルブ50の第二入力ポート77にポート口50c(下記参照)を介して接続されている。
切替バルブ50は、図5に示すように、6ポート口(50a、50b、50c、50d50e、50f)を有する2ポジションの開閉弁である。切替バルブ50は、電動オイルポンプ60から加圧室46への作動油の供給を断接制御するとともに、電動オイルポンプ60からキャンセラ室52への作動油の供給を断接制御する。加圧室46への作動油の供給を遮断する時には、加圧室46とリザーバ72とを接続し、加圧室46内の作動油を、切替バルブ50を介してリザーバ72に排出する。また、キャンセラ室52への作動油の供給を遮断する時には、キャンセラ室52とリザーバ72とを接続し、キャンセラ室52内の作動油を、切替バルブ50を介してリザーバ72に排出する。
加圧室46およびキャンセラ室52への作動油の供給または排出は、制御バルブ51の開閉制御による。制御バルブ51は、常開(ノーマルオープン)型の電磁弁であり、2ポート(51a、51b)を有する2ポジションの電磁弁である。制御バルブ51は、電動オイルポンプ60の吐出口60bから吐出された作動油の下流側への供給量(供給圧)を弁の開閉(ON―OFF)によって制御する。
コントローラ(ECU)70の指令によって、制御バルブ51を開弁状態とし、電動オイルポンプ60を作動させると、電動オイルポンプ60の吐出口60bから吐出された作動油は、制御バルブ51のポート51bを介してリザーバ72に排出される。これにより、電動オイルポンプ60からの吐出圧は低下する。そして、後述する切替バルブ50の第一入力ポート76および第二入力ポート77への給油が制限されるとともに、作動油圧が低下する。
また、コントローラ(ECU)70の指令によって、制御バルブ51を閉弁状態とし、電動オイルポンプ60を作動させると、通常、電動オイルポンプ60の吐出口60bから吐出された作動油は、切替バルブ50の第一入力ポート76へ、予め設定された作動油圧Paを若干越える圧力となるよう供給する。このように、切替バルブ50の第一入力ポート76への作動油の供給圧および供給量を制御バルブ51の開閉によって制御する。
切替バルブ50は、図5に示すように、円柱状または直方体形状のバルブハウジング73、切替弁体74および圧縮コイルばね75を有している。なお、図5において、切替弁体74および圧縮コイルばね75は、切替弁体74の軸線を境として上方と下方が異なった形状を示している。これは、異なる作動状態をそれぞれ示しているものである。具体的には、上方の図は、クラッチ部8を接続状態に制御する第二位置P2(排出モード)での配置状態を示し、下方の図は、クラッチ部8を切断状態にする第一位置P1(供給モード)での配置状態を示している。
バルブハウジング73は、前述した第一入力ポート76、キャンセラ室リザーバポート107、キャンセラ室ポート78、第二入力ポート77、加圧室ポート79、および加圧室リザーバポート108を有している。なお、各ポート76、107、78、77、79、108は各ポート口50a〜50fを備えている。前述したように第一入力ポート76および第二入力ポート77の各ポート口50a,50dは、電動オイルポンプ60の吐出口60bと接続され、電動オイルポンプ60が作動することによって所定の作動油圧の作動油が供給される。
キャンセラ室ポート78のポート口50cは、流入ポート(流入口)61、油路66、管路65a、65b、65c、65dを介してキャンセラ室52と接続されている。また、加圧室ポート79のポート口50eは、流入ポート(流入口)71、油路69、管路65e、および図略の管路を介して加圧室46と接続されている。
キャンセラ室リザーバポート107は、切替弁体74が第一位置P1に配置されることで、キャンセラ室52とリザーバとを連通させるポートである。加圧室リザーバポート108は、切替弁体74が第二位置P2に配置されることで、加圧室46とリザーバとを連通させるポートである。
バルブハウジング73は、ケース3に取付け可能に、またはケース3と一体的に形成される例えば、アルミ製の筐体である。図5に示すように、バルブハウジング73が有する第一入力ポート76、キャンセラ室リザーバポート107、キャンセラ室ポート78、第二入力ポート77、加圧室ポート79、および加圧室リザーバポート108は、それぞれ円柱状の空間であり、図5において左から記載順に整列して設けられている。バルブハウジング73には、貫通孔81が、第一入力ポート76側の端面から穿設されている。貫通孔81は、各ポート76、107、78、77、79、および108の各軸線と直交(交差)するように各ポート76、107、78、77、および79を貫通し、加圧室リザーバポート108まで到達している。貫通孔81の入口部ではボルト82が螺着されている。ボルト82の螺着部には、貫通孔81に流入する作動油を漏らさないよう図略のオイルシール機構が設けられている。
切替弁体74は円柱状を呈し、貫通孔81内に軸線方向に移動可能に配設されている。切替弁体74の軸線方向両端および二箇所の中間部の軸径は、等量だけ縮径されて縮径部が形成されている。これによって縮径部と貫通孔81の内周面との間で、作動油を流通または貯留させるための空間が4箇所形成されている。4箇所の空間は図3の左方から順に空間83、空間84、空間85および空間87である。
空間83には、第一入力ポート76に供給された作動油が貯留される。例えば、制御バルブ51が閉弁状態に制御され、空間83に所定の作動油圧の作動油(≧Pa)が供給され貯留されると、作動油圧が縮径によって形成された切替弁体74の鍔部74aの側面および切替弁体74の端面に作用する。これにより、所定の作動油圧が切替弁体74を加圧室リザーバポート108側に付勢力F1で付勢する。また、このとき、空間87内に縮設された圧縮コイルバネ75が、切替弁体74を第一入力ポート76側に付勢力F2で付勢している。付勢力F2は、付勢力F1>付勢力F2となるよう設定されており、これによって、切替弁体74は、加圧室リザーバポート108側に移動し、第一位置P1となる。
また、このとき、第一位置P1に移動する前においては、第二入力ポート77にも、第一入力ポート76に供給された作動油と同圧の作動油が供給されている。このため、切替弁体74の鍔部74bの加圧室リザーバポート108側の端面と切替弁体74の鍔部74cの第一入力ポート76側の端面とに同圧の作動油圧が作用し、相互に対向する軸線方向への付勢力を相殺している。しかし、切替弁体74が、第一位置P1に移動した後には、空間85が第二入力ポート77と加圧室ポート79とに跨がって連通し所定の作動油圧が加圧室46に供給される。このとき、空間84が跨がってキャンセラ室リザーバポート107と、キャンセラ室ポート78とを連通させるため、キャンセラ室52の作動油は切替バルブ50を介してリザーバ72に排出される。
制御バルブ51が開弁状態に制御され、空間83に作動油が供給されなくなる、若しくは供給量が減少すると、圧縮コイルバネ75の付勢力F2によって、切替弁体74は、第一入力ポート76側に移動し、第二位置P2となる。切替弁体74が第二位置P2に移動すると、空間85が跨がってキャンセラ室ポート78と第二入力ポート77とを連通させる。これによって、作動油がキャンセラ室52に供給される。ただし、このとき、制御バルブ51が開弁状態であるので、キャンセラ室52に供給される作動油の圧力は、加圧室に供給される作動油圧よりも低くなる。このとき、空間87によって、加圧室ポート79と加圧室リザーバポート108とが連通されるため、加圧室46の作動油は切替バルブ50を介してリザーバ72に排出される。
<作動>
次にクラッチ制御装置80およびクラッチ潤滑装置4の作動について説明する。まず、クラッチ装置40のクラッチ部8が切断状態で、車両が走行している場合、つまり、例えば電動モータ20のみで車両が走行している場合について説明する。このとき、コントローラ70の指令により、クラッチ制御装置80の電動オイルポンプ60は、作動状態である。電動オイルポンプ60は、リザーバ72内の作動油を吸入口60aから吸引し、吐出口60bから吐出する。また、このとき、制御バルブ51は、コントローラ70の指令により、閉止状態とされている。これにより、電動オイルポンプ60から吐出された作動油は、切替バルブ50の第一入力ポート76および第二入力ポート77に入力され、切替弁体74は、第一位置P1となる。そして、第二入力ポート77、加圧室ポート79および各管路を介して作動油が加圧室46に供給される。
次にクラッチ制御装置80およびクラッチ潤滑装置4の作動について説明する。まず、クラッチ装置40のクラッチ部8が切断状態で、車両が走行している場合、つまり、例えば電動モータ20のみで車両が走行している場合について説明する。このとき、コントローラ70の指令により、クラッチ制御装置80の電動オイルポンプ60は、作動状態である。電動オイルポンプ60は、リザーバ72内の作動油を吸入口60aから吸引し、吐出口60bから吐出する。また、このとき、制御バルブ51は、コントローラ70の指令により、閉止状態とされている。これにより、電動オイルポンプ60から吐出された作動油は、切替バルブ50の第一入力ポート76および第二入力ポート77に入力され、切替弁体74は、第一位置P1となる。そして、第二入力ポート77、加圧室ポート79および各管路を介して作動油が加圧室46に供給される。
これにより、加圧室46へ給油された少なくとも予め設定された作動油圧Pa以上の作動油がピストン部材44をキャンセラ室52方向へ押圧して移動させ、壁部材54を前方に移動させる(図3、図4の2点鎖線参照)。これによって、クラッチ部8の係合を切断状態とする。なお、このとき、加圧室46から突部63の外周面63bに設けられた環状リング67を通過してクラッチ部8に至る前述の潤滑流路57を流れる作動油によってクラッチ部8は潤滑される。
また、加圧室46へ給油された作動油圧がリリーフ圧力である作動油圧Paを超えた場合には、作動油圧がリリーフバルブ90の弁体90aを後方に付勢し、弁体90aをコイルスプリング90bの付勢力に抗して後方に移動させる。そして、弁体90aの外周油路90a4が突部63の貫通油路63cと交差する位置まで移動すると、加圧室46の作動油は、油路93と、加圧室通路の一部を構成する各油路69、91a、91bと、各油路90a1、90a3、90a4、貫通油路63cと、切り欠き溝63d、突部空間Pおよび貫通孔32cを通ってクラッチ部8に至る潤滑流路88と、を通過してクラッチ部8を潤滑する。
なお、前述したように、潤滑流路57および潤滑流路88を流れる作動油の一部は、前側壁部32aの貫通孔32cを通過せず遠心力によって突部空間Pの外周側(図3、図4のQ部参照)に向って流れる。しかし、このとき、壁部材54は、前側平面54cに形成された壁部材当接部54c1と固定リング47に係止されるリング状部材59とが当接している(図3、図4の2点鎖線参照)。これによって、当接した部分の内周側と外周側とは、遮断状態となっており、作動油は、突部空間Pの外周側に滞留される。
このように、クラッチ部8の切断時においては、潤滑流路57および潤滑流路88を流通する作動油によってクラッチ部8が潤滑される。クラッチ部8は、遮断時においても、摩擦プレート42とセパレートプレート43とが、若干、接触している場合も想定され、そのような場合に良好に潤滑および冷却が行える。
次に、クラッチ部8が切断状態から係合して接続状態となった場合、つまり、例えば電動モータ20とエンジン(EG)10とが併用されて車両が走行する場合について説明する。このとき、電動オイルポンプ60は継続作動している。そして、制御バルブ51が、コントローラ70の指令により開弁状態に制御される。
これにより、電動オイルポンプ60から吐出された所定の作動油圧の作動油は、制御バルブ51を介してリザーバ72に排出される。これにより、作動油圧は低下し、切替バルブ50の第一入力ポート76および第二入力ポート77に入力される作動油の圧力も低下する。
そして、切替弁体74を第一入力ポート76側に付勢する付勢力F2はF2>付勢力F1となり、切替弁体74は、第一入力ポート76側に移動し、第二位置P2となる。このため、キャンセラ室ポート78と第二入力ポート77とが空間85によって連通され、第二入力ポート77に入力される作動油が、キャンセラ室ポート78、管路65d、65c、65b、65a、油路66、および流入ポート(流入口)61を介してクラッチ装置40のキャンセラ室52に供給される。
このとき、図2、図4に示すように、突部63に形成された管路65cと、潤滑流路58(オリフィス潤滑流路)との間にはオリフィス49を備えている。つまり、キャンセラ室通路を構成する管路65cはオリフィス49を介してオリフィス潤滑流路と連通している。これにより、キャンセラ室ポート78から供給された作動油の一部は、供給された作動油圧およびオリフィス49の径に応じてオリフィス49から潤滑流路58に作動油を送出し、クラッチ部8を潤滑することができる。このように、クラッチ部8の接続状態においては、潤滑流路58によって供給される作動油によって、クラッチ部8が潤滑される。
なお、この場合においても、潤滑流路58を流れる作動油の一部は、前側壁部32aの貫通孔32cを通過せず遠心力によって突部空間Pの外周側(図3、図4のQ部参照)に向けても流れる。このとき、壁部材54は、前述したように、圧縮コイルバネ55の付勢力によってピストン部38の方向へ移動されている。このため、壁部材54の壁部材当接部54c1と、固定リング47が係止するリング状部材59の後側平面との間には壁部材空間が形成される。これによって、作動油は、突部空間P(Q)から連通孔86および壁部材空間を介して突部空間Pの外周側に流通し、潤滑流路89(壁部材潤滑流路)を通ってクラッチ部8を潤滑することができる。
なお、このとき潤滑流路89を流通する作動油は、潤滑流路58を流れる作動油の一部から分流した作動油のみではない。クラッチ部8の切断状態における作動で説明したように、切断状態では、突部空間Pに作動油がすでに滞留している。このため、クラッチ部8が切断状態から接続状態となる過程において、壁部材54の壁部材当接部54c1とリング状部材59との間が開放され始めると、それまで突部空間Pに滞留されていた作動油が、連通孔86、壁部材空間および潤滑流路89を通ってクラッチ部8を潤滑する。これにより、クラッチ部8においては、最も潤滑が必要となる切断状態から接続状態への係合中での潤滑が良好に行なえ信頼性の向上に大きく寄与する。
<効果>
上述の説明から明らかなように、本実施形態のクラッチ制御装置80のクラッチ潤滑装置4によれば、加圧室46に作動油が供給されている際、つまり、クラッチ部8が切断状態とされている際に、加圧室46内の作動油圧が上昇し、その圧力がリリーフバルブ90のリリーフ圧を越えた場合に、リリーフバルブ90の弁体90aが開弁する。そして、加圧室46が作動するには必要のない余分な作動油がリリーフバルブ90からクラッチ部8に供給されクラッチ部8が潤滑される。これにより、クラッチ部8の潤滑のために大量の作動油を必要としないので小型の電動オイルポンプで十分対応でき効率的である。
上述の説明から明らかなように、本実施形態のクラッチ制御装置80のクラッチ潤滑装置4によれば、加圧室46に作動油が供給されている際、つまり、クラッチ部8が切断状態とされている際に、加圧室46内の作動油圧が上昇し、その圧力がリリーフバルブ90のリリーフ圧を越えた場合に、リリーフバルブ90の弁体90aが開弁する。そして、加圧室46が作動するには必要のない余分な作動油がリリーフバルブ90からクラッチ部8に供給されクラッチ部8が潤滑される。これにより、クラッチ部8の潤滑のために大量の作動油を必要としないので小型の電動オイルポンプで十分対応でき効率的である。
また、本実施形態によれば、リリーフバルブ90は、ドラム室の内径側でケース3の突部63に設けられているので、ハイブリッド車両用クラッチ装置40を径方向および軸線方向に大きくすることなく容易に設けることができる。
また、本実施形態によれば、キャンセラ室52に作動油が供給されクラッチ部8が遮断状態から接続状態に切り替わった後に、オリフィス49およびオリフィス潤滑流路58(潤滑流路)を介して作動油が供給されクラッチ部8が良好に潤滑される。これにより、接続状態に切り替わる途中で発生した発熱を良好に冷却できる。
また、本実施形態によれば、加圧室46に作動油が供給され、壁部材54が前方に移動し固定リング47が係止するリング状部材59(規制部材)と当接している状態では、リリーフバルブ90およびオリフィス49から潤滑流路58,88に流出した作動油の一部は、クラッチドラム26の回転による遠心力によって連通孔86を通過後、壁部材54とリング状部材59との当接によって堰き止められ貯留されている。そして、この後、加圧室46への作動油の供給が停止されるとともに、キャンセラ室52に作動油が供給されると、壁部材54は、後方に移動することによってリング状部材59との当接が解除される。これにより、それまで堰き止められ貯留されていた作動油が、一度に壁部材54の背面とリング状部材59との間の壁部材空間および潤滑流路89(壁部材潤滑流路)を通ってクラッチ部8を潤滑する。このとき、クラッチ部8は、遮断状態から接続状態に切り替わる途中の最も発熱が起きやすいタイミングであるので、この貯留された大量の作動油によってクラッチ部の発熱が良好に抑制される。これにより、クラッチ部8を頻繁に遮断状態から接続状態に制御することが可能となり、様々な走行モードを選択することができ性能向上に寄与する。
<別の実施形態>
なお、上記実施形態の態様に限らず、図6に示す別の実施形態のクラッチ装置40に本発明に係るクラッチ潤滑装置4を適用してもよい。図6は、図2に示す上記実施形態と異なる部分のみを示した図である。図2に示す上記実施形態におけるクラッチ装置40では、出力軸16に嵌合(連結)されるドラム26の内周開口部32の固定部32bを1個のボールベアリング64を介して突部63で受けている。つまり、ドラム26を1個のボールベアリング64で片持ち支持している。
なお、上記実施形態の態様に限らず、図6に示す別の実施形態のクラッチ装置40に本発明に係るクラッチ潤滑装置4を適用してもよい。図6は、図2に示す上記実施形態と異なる部分のみを示した図である。図2に示す上記実施形態におけるクラッチ装置40では、出力軸16に嵌合(連結)されるドラム26の内周開口部32の固定部32bを1個のボールベアリング64を介して突部63で受けている。つまり、ドラム26を1個のボールベアリング64で片持ち支持している。
これに対して、図6に示す別の実施形態では、ボールベアリング64を2個のボールベアリング35,36に分割する。そして、1個のボールベアリング36は、上記実施形態のボールベアリング64と同様の位置に配置し、もう1個のボールベアリング35をドラム26の前方で、径方向において入力軸41とドラム26との間に配置する。これによって、ドラム26を前方の入力軸41と後方の突部63とによって両持ち支持できドラム26は安定する。このようなクラッチ装置40に本発明に係るクラッチ潤滑装置4を適用しても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図6においては、リリーフバルブ90を通過し出力側に流出した作動油(潤滑流路88参照)は、ボールベアリング36を軸線方向に貫くように示されている。しかし、この態様に限らず、上記実施形態と同様に突部63の内周面63aとボールベアリング36との間に、切り欠き部を設け、当該切り欠き部を流通させるよう構成してもよい。
また、上記実施形態および別の実施形態においては、クラッチ潤滑装置4は、潤滑流路58,88,89を備えた構成であるとしたが、潤滑流路88(リリーフバルブ90に係る流路)のみを備えるだけでもよい。また、潤滑流路58(オリフィス49に係る流路)のみを備える構成としてもよい。また、潤滑流路58および88のみを備える構成としてもよい。さらには、潤滑流路89と、潤滑流路58,88とをそれぞれ組み合わせた構成としてもよい。これらによっても相応の効果が得られる。
また、上述したように、制御バルブ51は、ノーマルオープン(常開)型の電磁弁であるとしたが、ノーマルクローズ(常閉)型の電磁弁としてもよい。また、制御バルブ51は、ON−OFFの制御ができれば、どのような構造のものでもよい。さらに制御バルブは、手動でもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、切替バルブは、上記実施形態の構造には限らない。切替バルブ50は、予め設定された作動油圧Paで加圧室46に作動油を供給でき、加圧室46に供給する作動油圧Paよりも所定量だけ低い圧力でキャンセラ室52に作動油を供給可能であれば、どのような構造のものでもよい。
また、上記実施形態においては、作動油によって潤滑する部位をクラッチ部8であるとした。しかしこの態様に限らず、潤滑部は、例えば各摺動部としてもよいし、各発熱部としてもよい。
さらに、上記実施形態においては、ドラム26を出力軸16で支持する態様としたが、これに限らず、ドラム26を入力軸41で支持する態様としてもよい。
3・・・ケース、 4・・・クラッチ潤滑装置、 6・・・フロントケース、 8・・・クラッチ部、 16・・・出力軸(センタピース)、 20・・・電動モータ、 26・・クラッチドラム(ドラム)、 40・・・クラッチ装置、 41・・・入力軸、 44・・・ピストン部材、 45・・・圧縮コイルばね(圧縮ばね)、 46・・・加圧室、 50・・・切替バルブ、 51・・・制御バルブ、 52・・・キャンセラ室、 55・・・弾性部材(圧縮コイルバネ)、 57・・・潤滑流路、 58・・・オリフィス潤滑流路(潤滑流路)、 59・・・リング状部材(規制部材)、 60・・・電動オイルポンプ、 63・・・突部、 70・・・コントローラ、 72・・・リザーバ、 80・・・クラッチ制御装置、 88・・・リリーフ潤滑流路(潤滑流路)、 89・・・壁部材潤滑流路(潤滑流路)、 90・・・リリーフバルブ、 P1・・・第一位置、 P2・・・第二位置。
Claims (3)
- ケースと、前記ケースに支持されエンジンに回転連結される入力軸と変速機の変速機入力軸に回転連結される出力軸とを断接するクラッチ部と、前記クラッチ部を接続する方向にピストン部材を付勢する圧縮ばねと、予め設定された圧力の作動油が供給されると前記ピストン部材を前記圧縮ばねの付勢方向と対向する方向に移動させて前記クラッチ部を切断するための加圧室および前記クラッチ部の接続時に作動油が供給されて前記加圧室に残留する前記作動油に発生する遠心油圧を打ち消すための油圧を発生させるキャンセラ室と、前記加圧室および前記キャンセラ室が設けられ前記ケースに回転可能に支承されて前記入力軸または前記出力軸に連結されたクラッチドラムと、電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプと接続され前記電動オイルポンプが吐出する作動油を前記加圧室に供給する第一位置と前記キャンセラ室に供給する第二位置との間で切替可能な切替バルブと、を有するノーマルクローズのハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置であって、
前記ケースに形成され、前記加圧室に連通する加圧室通路および前記キャンセラ室に連通するキャンセラ室通路と、
前記クラッチ部に連通するリリーフ潤滑流路と、
前記加圧室通路に設けられ、前記加圧室通路内の圧力が設定値を越えると前記加圧室通路内の作動油を放出し、前記放出した作動油を前記リリーフ潤滑流路を介して前記クラッチ部に供給するリリーフバルブと、
を備えたハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置。 - 前記キャンセラ室通路は、オリフィスを介して前記クラッチ部に作動油を供給するオリフィス潤滑流路に連通している請求項1に記載のハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置。
- 前記ケースは、前記出力軸と同軸に延在して形成された円筒状の突部を備え、
前記クラッチドラムは、
前記円筒状の突部と内周面で嵌合する内周円筒壁部と、前記クラッチ部が形成される外周円筒壁部と、前記内周円筒壁部と前記外周円筒壁部とを連結する第一側壁部と、出力軸線方向に延在して前記出力軸と連結される固定部と、前記内周円筒壁部と前記固定部とを連結する第二側壁部とを備えるクラッチドラム本体と、
前記内周円筒壁部の外周面で前記出力軸線方向に移動可能に嵌合され前記外周円筒壁部、前記内周円筒壁部および前記第一側壁部との間でシリンダ室を形成する壁部材と、を有し、
前記ピストン部材は、
前記シリンダ室内で前記外周円筒壁部と前記内周円筒壁部との間に前記出力軸線方向に移動可能に嵌合され、前記壁部材との間で前記加圧室を形成し、前記第一側壁部との間でキャンセラ室を形成するピストン部と、
前記壁部材の外周面と嵌合して前記クラッチ部と対向する押圧部と、を有し、
前記圧縮ばねは、前記キャンセラ室に設けられ、
前記内周円筒壁部には、前記出力軸の軸線方向において、前記ピストン部から離間する方向への前記壁部材の移動を当接によって規制する規制部材が設けられ、
前記壁部材と前記規制部材との間には、前記壁部材を前記ピストン部方向に付勢する弾性部材が設けられ、
前記内周円筒壁部には、前記突部と前記クラッチドラム本体の前記内周円筒壁部、前記第二側壁部および前記固定部との間に形成される突部空間と、前記加圧室への前記作動油の供給が停止されると前記壁部材が前記弾性部材に付勢されて移動することにより前記規制部材と前記壁部材との間に形成される壁部材空間と、を連通させる連通孔が貫設され、
前記壁部材空間は、前記クラッチ部に作動油を供給する壁部材潤滑流路と連通されている請求項1または2に記載のハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置。
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JP2013214046A JP2015075224A (ja) | 2013-10-11 | 2013-10-11 | ハイブリッド車両用クラッチ装置のクラッチ潤滑装置 |
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CN111750080A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-10-09 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种混动变速器箱体离合器油路结构 |
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2013
- 2013-10-11 JP JP2013214046A patent/JP2015075224A/ja active Pending
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