JP2015073540A - 内視鏡および内視鏡の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内視鏡の細径化を図りつつ、より簡易に製造することが可能に構成された内視鏡を提供すること。
【解決手段】入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒15と、前記鏡筒15を収納する筒穴を備える光学部材ホルダ16と、前記光学部材ホルダ16の一端を塞ぐように装着された撮像素子17と、を備え、前記光学部材ホルダ16に前記撮像素子17を装着した状態で、前記光学部材ホルダ16と前記撮像素子17との間に前記光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aを形成した。
【選択図】図8
【解決手段】入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒15と、前記鏡筒15を収納する筒穴を備える光学部材ホルダ16と、前記光学部材ホルダ16の一端を塞ぐように装着された撮像素子17と、を備え、前記光学部材ホルダ16に前記撮像素子17を装着した状態で、前記光学部材ホルダ16と前記撮像素子17との間に前記光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aを形成した。
【選択図】図8
Description
本発明は、外部から直接観察できない観察対象の内部を撮像する内視鏡に関するものである。
従来、医療分野や工業分野において、患者の体内や機器および構造物の内部を撮像するための内視鏡が普及している。この種の内視鏡として、観察対象の内部に挿入される挿入部において、撮像部位からの光を対物レンズ系によって撮像素子の受光面に結像させるとともに、その結像光を電気信号に変換し、信号ケーブルを介して外部の画像処理装置等に映像信号として送信する構成が知られている。
この種の内視鏡の先端に設けられた硬性部には、撮像素子や、撮像素子の撮像面に光像を結像させるレンズなどの光学素子等の多数の部品が配置され、例えば、複数のレンズ等の光学素子を鏡筒内に一体的に保持させるとともに、この鏡筒や撮像素子をホルダに支持させて、ハウジング内に収容する構造となっている。昨今、このように複雑な構成を有する内視鏡を、より簡易に製造するための技術開発が進められており、また、特に医療分野においては、術式における被施術者の負担の軽減を目的として内視鏡の外径の細径化を図ることが重要となっている。
このような内視鏡として、例えば、両端が開口した中空のレンズホルダと、レンズホルダ内部に組みつけられ、レンズホルダの一端から入射した光を集光するレンズと、レンズから出射した光が入射する開口を有する中空の撮像ホルダと、撮像ホルダ内部に組みつけられ、撮像ホルダの一端から入射した光を透過または屈折させる光学部材と、撮像ホルダ内部に組みつけられ、光学部材によって透過または屈折された光を受光して光電変換する受光領域が表面に形成された撮像素子と、を備え、レンズホルダの光出射側端部と撮像ホルダとを嵌合することで、レンズの光軸中心と撮像素子の受光領域で受光する光の中心とが一致するようした構成が開示されている(特許文献1)。このように、特許文献1ではレンズホルダの光出射側端部と撮像ホルダとを嵌合可能とした構成によって内視鏡の撮像モジュールを簡易に製造できるとしている。
一般に、レンズホルダには複数のレンズが圧入され、あるいはレンズホルダの内周にレンズ周面が接着されており、レンズが組み込まれた状態でレンズホルダの内部は密閉されている。他方、撮像ホルダ側においても撮像素子や他の光学部材が組み込まれており、これらのシーリングを確実に行うために撮像ホルダの内部も密閉されることが多い。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、レンズホルダと撮像ホルダとを嵌合しようとするときに、レンズホルダあるいは撮像ホルダに残存する空気がいわゆる空気ばねとなって、両者の嵌合を阻害する場合がある。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、その主な目的は、内視鏡の細径化を図りつつ、より簡易に製造することが可能に構成された内視鏡を提供すること、および簡易な内視鏡の製造方法を提供することにある。
本発明は、入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、を備え、前記光学部材ホルダに前記撮像素子を装着した状態で、前記光学部材ホルダと前記撮像素子との間に前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成したことを特徴とする内視鏡である。
本発明によれば、光学部材ホルダと撮像素子との間に形成した隙間から光学部材ホルダ内に残存する空気が抜けることで、内視鏡の製造工程において、光学部材ホルダの筒穴に鏡筒がスムーズに挿入され、かつ光学部材ホルダ内における鏡筒の位置調整を容易に行え、内視鏡をより簡易に製造することが可能となる。
上記課題を解決するためになされた本発明は、入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、を備え、前記光学部材ホルダに前記撮像素子を装着した状態で、前記光学部材ホルダと前記撮像素子との間に前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成したものである。
これによって、光学部材ホルダと撮像素子との間に形成した隙間から光学部材ホルダ内に残存する空気が抜けることで、内視鏡の製造工程において、光学部材ホルダの筒穴に鏡筒がスムーズに挿入され、かつ光学部材ホルダ内における鏡筒の位置調整を容易に行え、内視鏡をより簡易に製造することが可能となる。
また、本発明は、光軸方向から見たときに、前記撮像素子は矩形形状をなし、前記撮像素子の短辺の長さよりも、前記光学部材ホルダの内径を大きくしたものである。
これによって、光学部材ホルダの内径を適切なサイズとすることで、光学部材ホルダと撮像素子との間に、簡易に隙間を形成することが可能となる。
また、本発明は、前記光学部材ホルダの一端側において、前記撮像素子の全体を被覆するとともに、前記隙間を閉塞する封止部を備えるものである。
これによって、単一の封止部によって光学部材ホルダと撮像素子との間に形成した隙間、および撮像素子の全体を封止することが可能となる。
また、本発明は、入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、を備え、前記光学部材ホルダの側面には前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する連通部が設けられ、前記連通部を、前記撮像素子の撮像面に入射光が結像された状態において、前記鏡筒によって閉塞されない位置に設けたものである。
これによって、光学部材ホルダに形成した連通部から光学部材ホルダ内に残存する空気が抜けることで、内視鏡の製造工程において、光学部材ホルダの筒穴に鏡筒がスムーズに挿入され、かつ光学部材ホルダ内における鏡筒の位置調整を容易に行え、内視鏡をより簡易に製造することが可能となる。
また、本発明は、前記鏡筒の外周面と前記光学部材ホルダの内周面との間に接着剤層を備えるものである。
これによって、未硬化の接着剤の静止流体圧力により、鏡筒を光学部材ホルダの径方向の中央に光学部材ホルダと非接触の状態で保持することが可能となる。
また、本発明は、前記鏡筒および前記光学部材ホルダをニッケル電鋳管で構成したものである。
これによって、鏡筒の外径寸法および光学部材ホルダの内径寸法を高精度に管理して、鏡筒を光学部材ホルダの径方向の中央に光学部材ホルダと非接触の状態で保持することが可能となる。
また、本発明は、入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、を備え、前記光学部材ホルダと前記撮像素子との間に前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成した内視鏡の製造方法であって、前記光学部材ホルダの前記一端に前記撮像素子を装着する工程と、前記鏡筒の外周面に接着剤を塗布し、前記光学部材ホルダの前記筒穴に前記鏡筒を挿入する工程と、前記光学部材ホルダ内における前記鏡筒の光軸方向の位置を調整する工程と、前記第1連通部を閉塞する工程と、を有する内視鏡の製造方法である。
これによって、光学部材ホルダと撮像素子との間に形成した隙間から光学部材ホルダ内に残存する空気が抜けることで、内視鏡の製造工程において、光学部材ホルダの筒穴に鏡筒がスムーズに挿入され、かつ光学部材ホルダ内における鏡筒の位置調整を容易に行え、内視鏡をより簡易に製造することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「上」および「下」は水平面に置かれたビデオプロセッサ3の上下にそれぞれ対応し、「前(先)」および「後」は、内視鏡本体2(以降「内視鏡2」と呼称する)の挿入部5側およびプラグ部6側にそれぞれ対応する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「上」および「下」は水平面に置かれたビデオプロセッサ3の上下にそれぞれ対応し、「前(先)」および「後」は、内視鏡本体2(以降「内視鏡2」と呼称する)の挿入部5側およびプラグ部6側にそれぞれ対応する。
図1は、本発明の実施形態に係る内視鏡2を用いた内視鏡システム1の全体構成図である。図1に示すように、内視鏡システム1は、医療用の軟性鏡である内視鏡2と、観察対象(ここでは、人体)の内部を撮影して得られた静止画および動画に対して周知の画像処理等を行うビデオプロセッサ3と、から構成される。内視鏡2は、略前後方向に延在し、観察対象の内部に挿入される挿入部5と、挿入部5の後部が接続されるプラグ部6とを備える。
ビデオプロセッサ3は、その前壁3aに開口するソケット部7を有している。このソケット部7には、内視鏡2のプラグ部6の後部が挿入され、これにより、内視鏡2はビデオプロセッサ3との間で電力や各種信号(映像信号、制御信号など)の送受が可能である。
上述した電力や各種信号は、軟性部11内部を挿通された伝送ケーブル13(図2参照)を介してプラグ部6から軟性部11に導かれる。先端部12に設けられた撮像素子17(図2参照)が出力した画像データは、伝送ケーブル13を介してプラグ部6からビデオプロセッサ3に送信される。そして、ビデオプロセッサ3は受信した画像データに対して色補正や階調補正等の画像処理を施して、画像処理済みの画像データを表示装置(図示せず)に出力する。表示装置ではこの画像を表示する。
挿入部5(先端部12)の最大外径はここでは約1.5mmとされ、プラグ部6に後端を接続された可撓性の軟性部11と、この軟性部11の先端に連なる先端部12とを有している。軟性部11は種々の術式に適切な長さを有する。
図2は、内視鏡2の先端部12の構成を示す分解斜視図、図3は、先端部12の側断面図である。以降、図2、図3を用いて、本実施形態に係る内視鏡2の先端部12の構成について説明する。
図2に示すように、先端部12は、撮像素子17と、レンズ等を含む筒状の鏡筒15を内部に収容するとともに、撮像素子17を後端に支持する筒状の光学部材ホルダ16と、撮像素子17の後部に実装された回路基板72とで構成されている。鏡筒15および光学部材ホルダ16はいずれも金属製であり、このような硬質材料を用いることで先端部12は硬性部を構成する。
伝送ケーブル13は回路基板72の後部において電気的に接続され、この接続部位は封止用の接着剤21で被覆される(図3参照)。なお、以降の説明において「接着剤」の用語は、固体物の面と面とを接着するために用いる物質という厳密な意味ではなく、2つの物の結合に用いることができる物質、あるいは硬化した接着剤が気体や液体に対する高いバリア性を備えている場合は、封止材としての機能を有する物質という広い意味で用いられる。
光学部材ホルダ16は、円筒状(前面視の形状は真円)のニッケル電鋳管で構成されており、極めてシンプルな形状を有する。光学部材ホルダ16には前後方向に貫通する筒穴16aが形成されており、前方端から鏡筒15が嵌め込まれる。鏡筒15も、円筒状(前面視の形状は真円)のニッケル電鋳管で構成されている。そして、光学部材ホルダ16の内周面と鏡筒15の外周面との間の空間には接着剤24が介在し、接着剤層を構成している(図3参照)。
図3に示すように、鏡筒15には、光学材料(ガラス、樹脂等)からなる同一径の複数(ここでは、3枚)の光学レンズL1〜L3と、光学レンズL1および光学レンズL2に挟まれた絞り部材32とが互いに光軸LCの方向に密接した状態で組み込まれている。各光学レンズL1、L3は、全周にわたって鏡筒15の内周面に接着剤で固定されている。鏡筒15の前端は光学レンズL1によって、後端は光学レンズL3によって密閉(封止)されており、鏡筒15の内部に空気や水分等が侵入しないよう構成されている。従って、空気等は鏡筒15の一端から他端へと抜けることができない。なお、以降の説明では、光学レンズL1〜L3を合わせて光学レンズ群LNZと呼称する。
さて、光学部材ホルダ16および鏡筒15を構成するニッケルは、剛性率が比較的高くかつ耐食性も高く、先端部12を構成する材料として適している。ニッケルに代えて例えば銅ニッケル合金を用いてもよい。銅ニッケル合金も高い耐食性を有しており、先端部12を構成する材料として適している。また、光学部材ホルダ16および鏡筒15を構成する金属材料としては、電鋳(電気めっき)によって製造が可能な材料が選択されている。ここで、電鋳を利用する理由は、電鋳によって製造される部材の寸法精度は1μm未満(いわゆるサブミクロン精度)と極めて高く、更に多数の部材を製造した際のばらつきも小さいからである。後に説明するように、鏡筒15および光学部材ホルダ16は極めて小さな部材であり、特に鏡筒15の外径寸法および光学部材ホルダ16の内径寸法の誤差は内視鏡2の光学性能(画質)に影響を与えるが、これらをニッケル電鋳管で構成することで、小径にもかかわらず高い寸法精度を確保して高画質な画像を撮像することが可能な内視鏡2が得られる。
撮像素子17は、前後方向から見て正方形形状をなす小型のCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)で構成される。外部から入射した光は、光学部材ホルダ16に収納された鏡筒15内の光学レンズ群LNZによって撮像素子17の撮像面17s(図7(b)参照)に結像する。撮像素子17の後部(背面側)に実装された回路基板72は、後方から見て撮像素子17よりもやや小さい外形を有している。撮像素子17は背面にLGA(Land grid array)を備えており、回路基板72に形成された電極パターンと電気的に接続される。
以降、本実施形態に係る内視鏡2の先端部12の組立工程(製造工程)について詳細に説明する。なお、先端部12の組立に際しては調整治具等が使用され、基本的には作業者による顕微鏡を用いた手作業で行われる。
<第1工程>
第1工程は、光学部材ホルダ16の後端に撮像素子17を装着する工程である。
第1工程は、光学部材ホルダ16の後端に撮像素子17を装着する工程である。
図4は、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着した状態を示す正面側斜視図である。図示するように、撮像素子17は光学部材ホルダ16の後端を塞ぐように装着される。撮像素子17の装着は組立治具(以下、「治具A」と呼称する)を用いて行う。治具Aは、撮像素子17の下面を支持するセンサ支持部と、センサ支持部を保持して前後左右および上下方向に位置調整が可能な第1XYZステージ(マイクロステージを用いることが望ましい)と、光学部材ホルダ16を両側面から水平に支持するホルダ支持部と、センサ支持部およびホルダ支持部を共通に支持する平面台とを備える(いずれも図示せず)。
また、治具Aには、撮像素子17を前方から観察する第1の動画カメラ付き顕微鏡(以降、「第1カメラ」と呼称する)、および光学部材ホルダ16を後方から観察する第2の動画カメラ付き顕微鏡(以降、「第2カメラ」と呼称する)が含まれる。第1カメラと第2カメラとは一体に構成されて左右(あるいは上下、前後)を同時に撮影可能な構成を備える(以降、この一体構成のカメラを「左右カメラ」と呼称する)。第1カメラおよび第2カメラは、それぞれの光軸が極めて高精度に合わせ込まれた状態で撮影方向が180度異なっている。左右カメラは第2XYZステージに取り付けられて、治具Aのセンサ支持部とホルダ支持部との間に配置される。また、治具Aにおいて、第1XYZステージによって支持されたセンサ支持部とホルダ支持部との平行度は予め調整され高精度に合わせ込まれている。なお、撮像素子17の装着にあたり、撮像素子17の底面はセンサ支持部に仮止めされている。仮止めを行う方法として、例えばセンサ支持部に多数の微細孔を設けて、この微細孔を真空ポンプに接続して撮像素子17を真空吸着するとよい。
作業者は、第2カメラで光学部材ホルダ16の後端を撮影した映像を参照して第2XYZステージの位置を調整することで、左右カメラ(正確には左右カメラの光軸)を光学部材ホルダ16のセンタ(径方向の中央位置)に合わせる。次に、第1カメラで撮像した映像を参照して第1XYZステージの左右位置を調節し、センサ支持部に支持された撮像素子17の撮像面17s(図7(b)参照)の中心を画面上のXY座標の中心、つまり光学部材ホルダ16のセンタ位置に移動させる。これにより、撮像素子17の撮像面17sのセンタ、つまり光軸LC(図7参照)が固体によってばらついていても、光学部材ホルダ16と撮像素子17とを光軸LCを基準として位置合わせすることができる。
次に作業者は、センサ支持部とホルダ支持部との間から左右カメラを退避させ、第1XYZステージの前後位置を調節し、センサ支持部に支持された撮像素子17を光学部材ホルダ16の後端に当接させる。
以上の作業によって、光学部材ホルダ16の後端に撮像素子17を位置決めした後、作業者は、撮像素子17と当接した光学部材ホルダ16の後端部位のうち、撮像素子17の角部と対向する4つの部位に接着剤23を塗布する(図4では、4カ所のうち3カ所が描かれている)。接着剤23としてはUV硬化性樹脂を用いることができる。この状態において接着剤23の塗布部分は露出しており、紫外線照射によって接着剤23は数秒程度の短時間で硬化することから、工程に要する時間を短縮することができる。このようにして、光学部材ホルダ16の後端に撮像素子17が位置合わせの後に装着される。その後、作業者は、撮像素子17を仮止めしていた治具Aのセンサ支持部を、撮像素子17から離間させる。
撮像素子17は光学部材ホルダ16の後端を覆うように装着されるが、光学部材ホルダ16の後端は撮像素子17によって気密状態に閉塞されている訳ではない。後に詳細に説明するように、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間には、光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aが4つ形成される(図7(b)、図8(a),(b)参照)。第1工程では、この隙間19aのうち1つ以上を残して他を(例えば、1つ残して他の3つを)接着剤23で塞ぐようにしてもよい。
なお第1工程では、予め伝送ケーブル13を回路基板72に接続した状態で、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着しているが、伝送ケーブル13を回路基板72に接続しない状態で光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着し、その後に伝送ケーブル13を回路基板72に接続するようにしてもよい。
<第2工程>
第2工程は、鏡筒15の外周面に接着剤24を塗布し、光学部材ホルダ16の筒穴16aに鏡筒15を収納する工程である。
第2工程は、鏡筒15の外周面に接着剤24を塗布し、光学部材ホルダ16の筒穴16aに鏡筒15を収納する工程である。
図5は、撮像素子17を装着した光学部材ホルダ16に鏡筒15を収納した状態を示す正面側斜視図である。以降、図5に図2、図3を併用して説明を続ける。まず、作業者は光学レンズ群LNZ(図3参照)等が予め組み込まれた鏡筒15の外周面に接着剤24を塗布する(図2参照)。接着剤24の塗布範囲は、前後方向に鏡筒15の略中央部から後端の手前約0.5mmにわたる範囲とすればよい。鏡筒15の後端に到達しない範囲に接着剤24を塗布することで、光学部材ホルダ16に鏡筒15を挿入した際に、鏡筒15の後端において接着剤24がレンズL3(図3参照)の側に回り込むことが防止される。接着剤24としては公知のUV・熱硬化性樹脂を用いることができる。UV・熱硬化性樹脂は、最終的な硬度を得るためには熱処理を必要とするが、UV照射によってもある程度の硬度まで硬化が進行するタイプの接着剤である。作業者は接着剤24の塗布が完了すると、鏡筒15を光学部材ホルダ16の筒穴16aに挿入する。
鏡筒15を光学部材ホルダ16の筒穴16aに挿入すると、鏡筒15の外周面と光学部材ホルダ16の内周面との間には接着剤24が介在することで(図3参照)、鏡筒15と光学部材ホルダ16とは接着剤24を介して実質的に密着した状態(即ち、両者間の間隙を空気が移動できず、シーリングされた状態)となっていることから、光学部材ホルダ16の内部に残存する空気が空気ばねとなって、鏡筒15の侵入を阻害することとなる。しかしながら、鏡筒15が挿入されるとともに光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に形成された隙間19aから空気が排出されて、空気ばねの影響を排除することが可能となる。そして、このとき予め鏡筒15に塗布された接着剤24は潤滑剤として機能して、鏡筒15は光学部材ホルダ16にスムーズに挿入される。
なお、後述するように鏡筒15は小さな部材であり質量も十分に小さいことから、重力の影響(即ち、光学部材ホルダ16内部で鏡筒15が径方向に偏って配置される点)は無視しても構わないが、第2工程において、光学部材ホルダ16の筒穴16aを上側に向けて、ここに鏡筒15を挿入すれば、重力の影響を更に排除することができる。
このように、第1実施形態では予め鏡筒15の外周面に接着剤24を塗布して、その後に光学部材ホルダ16の筒穴16aに挿入するようにしているが、鏡筒15を筒穴16aに挿入した後に接着剤24を注入するようにしても構わない。
なお、上述したように、ニッケル電鋳管で構成された鏡筒15および光学部材ホルダ16は、非常に高い寸法精度を確保できるため、鏡筒15の外径と光学部材ホルダ16の内径とを、ほぼ同一サイズとすることも可能である。ただし、この場合は製造ばらつきを考慮したうえで、ランク分け等によって「鏡筒15の外径<光学部材ホルダ16の内径」の関係を満たす鏡筒15と光学部材ホルダ16のペアが選択される。このようにペアリングを行うと、両者の間隙は数μm程度となり、接着剤24が介在せずとも、両者間が実質的に(空気ばねが作業性に悪影響を与える程度の)シーリングされた状態となり得る。しかしながら、この場合であっても、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に隙間19aを形成しておくことで、空気ばねの影響を排除することが可能となる。
<第3工程>
第3工程は、光学部材ホルダ16に挿入した鏡筒15の前後位置を調整し、鏡筒15を光学部材ホルダ16に固定する工程である。
第3工程は、光学部材ホルダ16に挿入した鏡筒15の前後位置を調整し、鏡筒15を光学部材ホルダ16に固定する工程である。
以降、図5を用いて説明を続ける。第2工程が完了した時点では、光学部材ホルダ16内には鏡筒15が収納されている。第3工程では光学部材ホルダ16における鏡筒15の前後方向の位置を調整することで、被写体からの入射光を撮像素子17の撮像面17s(図7(b)参照)に合焦させる。即ち、鏡筒15の位置を光軸LC方向に調整することでピント合わせを行う。
鏡筒15の位置調整には調整治具が用いられる(以降、治具Bと呼称する)。治具Bでは、鏡筒15と光学部材ホルダ16との水平度(光軸LCに対する平行度)を予め合わせ込んでおく。そして光学部材ホルダ16から前方に露出した鏡筒15の外周面の2カ所に、治具Bの係合部材(図示せず)をそれぞれ押し当て、その押圧力による摩擦力で鏡筒15を保持し、係合部材を鏡筒15の光軸LCの方向に移動させることで、光学部材ホルダ16における鏡筒15の位置を調整する。この位置調整の過程においても、鏡筒15を光軸方向に変位させると光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に形成された隙間19aから空気が出入りして、空気ばねの影響が排除され、ピント合わせを迅速に行うことが可能となる。
ここで、鏡筒15の位置調整が完了した段階では、図5に示すように鏡筒15と光学部材ホルダ16との間から接着剤24が若干露出していることが望ましく、接着剤24の量が不足している場合は、鏡筒15と光学部材ホルダ16との間に接着剤24が注入される。注入された接着剤24は毛細管現象によって、鏡筒15と光学部材ホルダ16との間に充填される。
第1実施形態では、治具Bの係合部材は、前面視で光軸LCを中心として点対称な位置で鏡筒15の外周面に当接、押圧する。このようにすることで、係合部材からの押圧力はいずれも径方向から光軸LCに向けて作用し、鏡筒15には不要な回転力等が加わらず、鏡筒15の変形等を防止することができる。
その後、鏡筒15を係合部材で把持したまま(即ち、光学部材ホルダ16内における鏡筒15の相対的な前後位置を維持した状態で)、露出している接着剤24に対して紫外線(UV)を照射する。上述したように、接着剤24としてUV・熱硬化性樹脂を用いていることから、UV照射によって、光学部材ホルダ16の先端近傍で鏡筒15が仮固定される。接着剤24が硬化した後、治具Bの係合部材が抜去される。そして、係合部材を抜去した後に、熱処理を行うようにしてもよい。
なお、第1工程で説明したように光学部材ホルダ16の後端には撮像素子17が固定されているから、第2工程における鏡筒15の位置調整では、撮像素子17の出力を上述したビデオプロセッサ3(図1参照)で処理して、図示しない表示装置に表示させることが可能である。被写体として所定のテストチャート(例えば、解像度チャート)を用いることで、鏡筒15の位置調整が容易となり、工程に要する時間を短縮することができる。なお、治具Bの係合部材は金属材料もしくは樹脂材料で形成すればよいが、鏡筒15の外周面との摩擦が大きく滑り難い材料で形成するのが望ましい。
以降、図3を併用して説明を続ける。上述した係合部材は、光学レンズL1の配置位置において鏡筒15の外周面と当接する。光学レンズL1等をガラス等の変形しにくい材料で構成することで、鏡筒15において内周面に光学レンズL1等が当接する部分の剛性が高くなる。すなわち係合部材の押圧力を内部から光学レンズL1等が支えるので、この部分に治具Bの係合部材を当接させるようにすると、治具Bの押圧力で鏡筒15が歪むことを防止できる。
<第4工程>
第4工程は、接着剤21によって光学部材ホルダ16の後部を気密状態に閉塞し、同時に光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に形成された隙間19a(図8(b)参照)を閉塞する工程である。
第4工程は、接着剤21によって光学部材ホルダ16の後部を気密状態に閉塞し、同時に光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に形成された隙間19a(図8(b)参照)を閉塞する工程である。
図6は、光学部材ホルダ16の後端より後方を封止した状態を示す正面側斜視図である。図示するように、第4工程では、作業者は固定された光学部材ホルダ16に対して、光学部材ホルダ16の後端よりも後方に位置する撮像素子17、回路基板72及び伝送ケーブル13の先端(撮像素子17との電気的な接続部位)を覆うように接着剤21が塗布されて封止部を構成する。そしてこのとき、接着剤21は撮像素子17の前面を越えて、光学部材ホルダ16の後端をも覆うように塗布されて、隙間19aが確実に閉塞される。このように、単一の封止部によって光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に形成した隙間19a、および撮像素子17の全体が封止される。ここで用いられる接着剤21は、少なくとも撮像素子17、回路基板72、伝送ケーブル13の先端、隙間19aを覆い尽くせる程度の高い粘度を備えており、撮像素子17より後方および隙間19aから、先端部12の内部に水分の侵入を阻止する封止を目的として塗布されるものである。また、接着剤21を用いて図示する形状を容易に作り出すために、樹脂型を用いて封止部を形成してもよい。この場合、予め樹脂型(図示せず)を光学部材ホルダ16の後端から伝送ケーブル13の先端まで覆うように配置しておき、ここに接着剤を21を流し込み、硬化させ、樹脂型を取り外す。
接着剤21としては、種々の周知の接着剤を用いることができるが、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系などの熱硬化性樹脂からなる接着剤を用いるとよい。更に、これらの樹脂にカーボン粒子を含有させた黒色系の樹脂を採用することが望ましい。これにより、外部からの迷光が撮像素子17の受光面に入射することを防止できる。
この後、先端部12は60℃〜80℃の環境下に30分間程度置かれ、これによって撮像素子17、回路基板72及び伝送ケーブル13の先端および隙間19aを被覆する接着剤21が完全に硬化する。これによって第4工程が終了し、内視鏡2の先端部12の組立が完了する。
図7(a)は、組立が完了した先端部12の側面図、図7(b)は、図7(a)に示すVIIb-VIIb断面図、図8(a)は、撮像素子17を装着した光学部材ホルダ16に鏡筒15を収納した状態を示す背面側斜視図、図8(b)は、図8(a)の要部拡大図である。以降、図7(a)〜図8(b)を用いて第1実施形態に係る内視鏡2の先端部12の形状、および光学部材ホルダ16と撮像素子17との位置関係について詳細に説明する。なお、図7(a)では、鏡筒15のうち光学部材ホルダ16に挿入された部分については想像線で描き、鏡筒15の外周面と光学部材ホルダ16の内周面との間に介在する接着剤24の記載を省略している。
図7(a)に示すように、光学部材ホルダ16は前後方向にLe1=1.4mmの長さを有し、鏡筒15は前後方向にLe2=2.0mmの長さを有する。そして、鏡筒15は光学部材ホルダ16の先端からLe3=0.7mmだけ突出している(もちろん、ここでのLe3=0.7mmは標準的な値、即ち設計値であり、上述した第3工程における位置調整によって若干変動する)。
図7(b)に示すように、光学部材ホルダ16の断面は外径がLh1=1.10mmの真円をなしており、その内径はLh2=1.04mmの真円とされている。即ち、光学部材ホルダ16の径方向における厚みは、(Lh1−Lh2)/2=30μmである。また、鏡筒15の断面は外径がLo1=1.00mmの真円をなしており、その内径はLo2=0.90mmの真円とされている。即ち、鏡筒15の径方向における厚みは、(Lo1−Lo2)/2=50μmである。
上述したように、光学部材ホルダ16の内周面と鏡筒15の外周面との間には接着剤24が充填されて接着剤層を構成しており、ここではその層厚は(Lh2−Lo1)/2=20μmとされている。ここで、上述のように鏡筒15および光学部材ホルダ16はニッケル電鋳管で構成され、鏡筒15の外径寸法(Lo1)および光学部材ホルダ16の内径寸法(Lh2)は高精度(サブミクロンオーダ)に管理されている。<第2工程>で説明したように、光学部材ホルダ16と鏡筒15との間に介在させる接着剤24(ここでは未硬化)の量を十分とすることで、その静止流体圧力により、鏡筒15は光学部材ホルダ16の径方向の中央に光学部材ホルダ16とは非接触の状態で保持される。これによって、鏡筒15に含まれる光学レンズ群LNZ(図3参照)の径方向の中央は確実に光軸LCと合わせ込まれ、歪のない高画質の画像を撮像することが可能となる。なお、接着剤24としては低粘性のものを使用するのが望ましい。低粘性の接着剤24を用いることで、静止流体圧力を積極的に活用することができるからである。
一方、撮像素子17は前面視において一辺の長さLs=1.00mmの正方形形状をなし、その中央部にはこれも前面視において正方形形状をなす撮像面17sが設けられている。鏡筒15の外周(外径=Lo1)をなす円は、撮像素子17が構成する正方形に略内接し、かつ撮像面17sが構成する正方形に外接する関係とされている。そして、撮像面17sの中央(撮像面17sの対角線の交点)、光学部材ホルダ16の中央(光学部材ホルダ16の内周がなす円の中心)、鏡筒15の中央(鏡筒15の外周がなす円の中心)の位置は一致しており、ここを光軸LCが貫通する。より正確には、撮像面17sの中央を貫通する法線が光軸LCであって、この光軸LCが光学部材ホルダ16の中央を貫通するように、光学部材ホルダ16が撮像素子17に対して位置決めされ、光学部材ホルダ16の中央に静止流体圧力によって鏡筒15が保持されることによって、鏡筒15の中央を光軸LCが貫通することとなる。
ここで、
光学部材ホルダ16の外径Lh1(=1.10mm)、
光学部材ホルダ16の内径Lh2(=1.04mm)、
鏡筒15の外径Lo1(=1.00mm)、
撮像素子17の一辺の長さLs(=1.00mm)(第1実施形態では撮像素子17は正方形形状であるため、長辺=短辺である)は、
Lh1>Lh2>Lo1=Ls・・・(式1)
の関係を満たしている。
光学部材ホルダ16の外径Lh1(=1.10mm)、
光学部材ホルダ16の内径Lh2(=1.04mm)、
鏡筒15の外径Lo1(=1.00mm)、
撮像素子17の一辺の長さLs(=1.00mm)(第1実施形態では撮像素子17は正方形形状であるため、長辺=短辺である)は、
Lh1>Lh2>Lo1=Ls・・・(式1)
の関係を満たしている。
また、撮像素子17に外接する外接円Cxを規定すると、外接円Cxの外径Lt1=√2×Ls(=1.41mm)と光学部材ホルダ16の外径Lh1とは、
Lt1>Lh1・・・(式2)
の関係を有する。式1と式2とから、
Lt1>Lh1>Lh2>Lo1=Ls・・・(式3)
ここで、Ls=Lt1/√2であるから、これを式3に代入して、
Lt1>Lh1>Lh2>Lo1=Lt1/√2・・・(式4)
即ち、
Lt1>Lh1>Lh2>Lt1/√2・・・(式5)
の関係が導かれる。
Lt1>Lh1・・・(式2)
の関係を有する。式1と式2とから、
Lt1>Lh1>Lh2>Lo1=Ls・・・(式3)
ここで、Ls=Lt1/√2であるから、これを式3に代入して、
Lt1>Lh1>Lh2>Lo1=Lt1/√2・・・(式4)
即ち、
Lt1>Lh1>Lh2>Lt1/√2・・・(式5)
の関係が導かれる。
式5に示すように、光軸方向から見たときに、光学部材ホルダ16の内径(Lh2)を撮像素子17の一辺の長さ(Ls=Lt1/√2)よりも大きく構成したことで、図8(a),(b)に示すように、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着した状態で、撮像素子17の各辺(4カ所)に沿って、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aが形成される。
これによって、<第2工程>で説明したように、外周面に接着剤24を塗布した鏡筒15を光学部材ホルダ16に挿入する際、および<第3工程>で説明したように、鏡筒15を光学部材ホルダ16内で前後に位置調整を行う際に、光学部材ホルダ16の内部に残存する空気が隙間19aから抜ける、即ち隙間19aを介して出入り可能とされることで、挿入作業および位置調整作業がスムーズに行われる。
そして、これも式5に示すように、光学部材ホルダ16の外径(Lh1)を撮像素子17の対角線の長さ(Lt1)よりも小さく構成したことで、図7(b)に示すように、前面視において光学部材ホルダ16の外周からは撮像素子17の4つの角部が突出する。ここでは、撮像素子17の4つの角部は光学部材ホルダ16の外周から外径方向に(Lt1−Lh1)/2=0.16mmだけ突出してはみ出し代を形成する。このはみ出し代に接着剤23を塗布することで光学部材ホルダ16に撮像素子17が接着される(図5において接着剤23が塗布される範囲を参照)。
さて、先端部12は、最終的に樹脂または金属材料で構成されるシース14によって全体を被覆される。パイプ状に形成されたシース14の内周面は、撮像素子17の4つの角部に外接することとなり、シース14の内周は上述した外接円Cxと略一致する。従って、シース14の内周(即ち、外接円Cx)と光学部材ホルダ16の外周面との間には、
Lp=(Lt1−Lh1)/2=0.16mm・・・(式6)
の幅を持つ円環状の空間が形成され、この空間を利用して、例えば先端部12の下部に光ファイバ39等を配置することができる。
Lp=(Lt1−Lh1)/2=0.16mm・・・(式6)
の幅を持つ円環状の空間が形成され、この空間を利用して、例えば先端部12の下部に光ファイバ39等を配置することができる。
ここで、光ファイバ39はプラグ部6(図1参照)から先端部12へと延伸されて被写体を照射する光を伝搬する付属部材である。なお、シース14の厚みは50μm程度とされ、結果的に先端部12の最大外径はLt1+0.05×2=1.51mmと非常に細径化されたものとなる。このように、第1実施形態に係る内視鏡2は非常にシンプルな構成を備えており、先端部12の細径化が図られるとともに、上述したように、先端部12を簡易に製造することが可能な構成を有している。なお、図7(a)、(b)に示す具体的な寸法はあくまでも例示であって、内視鏡2の仕様に応じて適宜変更して構わない。
(第2実施形態)
図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る内視鏡2における光学部材ホルダ16と撮像素子17との位置関係を示す説明図である。第1実施形態では、光軸方向から見たとき撮像素子17は正方形形状をなし、その撮像面17sも正方形形状をなすものとして説明したが、第2実施形態では撮像素子17および撮像面17sはいずれも長方形形状をなしている。
図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る内視鏡2における光学部材ホルダ16と撮像素子17との位置関係を示す説明図である。第1実施形態では、光軸方向から見たとき撮像素子17は正方形形状をなし、その撮像面17sも正方形形状をなすものとして説明したが、第2実施形態では撮像素子17および撮像面17sはいずれも長方形形状をなしている。
第2実施形態においては、光軸方向から見たときに、撮像素子17の短辺の長さ(Lss)よりも光学部材ホルダ16の内径(Lh2)を大きく、かつ撮像素子17の対角線の長さ(Lt1)よりも光学部材ホルダ16の外径(Lh1)を小さく構成されている。これによって、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着した状態で、撮像素子17の長辺(2カ所)に沿って、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aが形成され、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着する接着スペースが確保される。撮像素子17は、光学部材ホルダ16の後端に当接され、その当接部位において左右の外周面に接着剤23を塗布することで光学部材ホルダ16に接着されており、第1実施形態と比較してより広範囲で接着されるため、接着強度を高くすることができる。
(第3実施形態)
図9(b)は、本発明の第3実施形態に係る内視鏡2における光学部材ホルダ16と撮像素子17との位置関係を示す説明図である。第1実施形態、第2実施形態では、撮像素子17の中央に撮像面17sが設けられている例を示したが、第3実施形態では、撮像面17sは撮像素子17の上方にシフトして設けられている。
図9(b)は、本発明の第3実施形態に係る内視鏡2における光学部材ホルダ16と撮像素子17との位置関係を示す説明図である。第1実施形態、第2実施形態では、撮像素子17の中央に撮像面17sが設けられている例を示したが、第3実施形態では、撮像面17sは撮像素子17の上方にシフトして設けられている。
この場合、撮像面17sの中央(撮像面17sの対角線の交点)に光軸LCが設定され、光軸LCを基準として、光学部材ホルダ16(および光学部材ホルダ16に収納された鏡筒15)の中央に光軸LCが貫通するように、光学部材ホルダ16は撮像素子17の上方にシフトして配置される。そして、光軸LCから最も短い距離にある撮像素子17の辺(ここでは上辺17e)において、光軸LCから光学部材ホルダ16の内周面までの長さをLx2、光軸LCから撮像素子17の上辺17eまでの長さをLx1とするとき、
Lx2>Lx1・・・(式7)
を満たすように、撮像素子17と光学部材ホルダ16との位置関係が設定される。このように設定することで、撮像素子17の上辺17eに沿って光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aが1カ所形成される。
Lx2>Lx1・・・(式7)
を満たすように、撮像素子17と光学部材ホルダ16との位置関係が設定される。このように設定することで、撮像素子17の上辺17eに沿って光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aが1カ所形成される。
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第1〜第3実施形態においては、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着した状態で、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aを形成しているが(図8(b)等参照)、第4実施形態では、光学部材ホルダ16の後端に連通部として切欠き部19bを設けた点が特徴となっている。
図10は、本発明の第4実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第1〜第3実施形態においては、光学部材ホルダ16に撮像素子17を装着した状態で、光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に光学部材ホルダ16の内部と外部とを連通する隙間19aを形成しているが(図8(b)等参照)、第4実施形態では、光学部材ホルダ16の後端に連通部として切欠き部19bを設けた点が特徴となっている。
第4実施形態においては、撮像素子17は前面視で正方形形状をなし、光学部材ホルダ16の外径は、撮像素子17の一辺の長さよりも短く設定されている。そして図示するように、撮像素子17は接着剤23によって光学部材ホルダ16の端部に装着される。このように、第4実施形態では、撮像素子17は光学部材ホルダ16の一端を塞ぐように装着されて、しかも撮像素子17を装着することによって、光学部材ホルダ16の一端は完全に閉塞されている。
ここで、光学部材ホルダ16の後端には撮像素子17との当接面から前方に向けて切欠き部19bが設けられ、これが光学部材ホルダの内部と外部とを連通する連通部を構成する。切欠き部19bは、上面視で15×15μm程度の大きさに設けられる。光学部材ホルダ16は第1実施形態と同様にニッケル電鋳管で構成されており、切欠き部19bは、例えばマシニングセンタ等の複合加工機を利用して、切削加工によって形成することができる。そして、切欠き部19bを設ける位置は、撮像素子17の撮像面17s(図7(b)参照)に入射光が結像された状態、即ち第1実施形態において<第3工程>で説明した、鏡筒15の位置調整が完了した状態において、鏡筒15によって閉塞されない位置(即ち、鏡筒15の外周面と重畳しない位置)に設けられている。
このようにすることで、外周面に接着剤24を塗布した鏡筒15を光学部材ホルダ16に挿入する際、および鏡筒15を光学部材ホルダ16内で前後に位置調整を行う際に、光学部材ホルダ16の後部に残存する空気が切欠き部19bから抜けることで、挿入作業および位置調整作業がスムーズに行われる。そして、切欠き部19bは第1実施形態で説明した<第4工程>において閉塞される。
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第4実施形態においては、光学部材ホルダ16の後端に切欠き部19bを設けているが、第5実施形態では、光学部材ホルダ16の後部に連通部として穿孔部19cを設ける点が特徴となっている。その他の構成は第4実施形態と同等であるので説明を省略する。
図11は、本発明の第5実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第4実施形態においては、光学部材ホルダ16の後端に切欠き部19bを設けているが、第5実施形態では、光学部材ホルダ16の後部に連通部として穿孔部19cを設ける点が特徴となっている。その他の構成は第4実施形態と同等であるので説明を省略する。
光学部材ホルダ16は第1実施形態と同様にニッケル電鋳管で構成されており、穿孔部19cは、例えばいわゆるピコ秒レーザを出力するレーザ加工機を利用して、アブレーションを行うことで形成される。穿孔部19cは、上面視で直径15μm程度の大きさに設けられる。そして、第5実施形態においても、穿孔部19cを設ける位置は、撮像素子17の撮像面17s(図7(b)参照)に入射光が結像された状態において、鏡筒15によって閉塞されない位置に設けられている。そして、穿孔部19cは第1実施形態で説明した<第4工程>において閉塞される。
(第6実施形態)
図12(a)は、本発明の第6実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第1〜第5実施形態では、撮像素子17を光学部材ホルダ16の後端に直付けしているが、第6実施形態では、撮像素子17と光学部材ホルダ16との間に、スペーサ18を介在させた点が特徴となっている。
図12(a)は、本発明の第6実施形態に係る内視鏡2の先端部12の正面側斜視図である。第1〜第5実施形態では、撮像素子17を光学部材ホルダ16の後端に直付けしているが、第6実施形態では、撮像素子17と光学部材ホルダ16との間に、スペーサ18を介在させた点が特徴となっている。
スペーサ18は、周囲にスペーサ18の内外を連通する穿孔部19dを設けたリング状の部材であって、例えばステンレス鋼を材料として構成される。スペーサ18の前面には光学部材ホルダ16の外径と寸法を略一致させた挿入孔(図示せず)が形成されており、挿入孔の後方には内径方向に突出して光学部材ホルダ16の後端と当接する段差部が設けられている。この段差部に光学部材ホルダ16の後端が接着剤によって固定されている。挿入孔の前後の長さを十分に確保することで、光学部材ホルダ16と撮像素子17とは光軸LCに対して高精度に位置合わせされる。また、スペーサ18の後端は前端(挿入孔)よりも径方向に肉厚に構成され、この肉厚部分に上述した穿孔部19dが設けられている。この肉厚部分を撮像素子17と接着することで、スペーサ18と撮像素子17との接着強度を向上させることができる。もちろん、撮像素子17と当接する部位において、スペーサ18にフランジ部を設けて、このフランジ部に撮像素子17を装着するようにしてもよい。
そして、第6実施形態においても、穿孔部19dを設ける位置は鏡筒15の位置調整が完了した状態において、鏡筒15によって閉塞されない位置に設けられている。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、本発明に係る内視鏡2の挿入部5は、軟性鏡としての用途に限定されず、硬性鏡として用いることもできる。
また、第4,第5実施形態においては、連通部としての切欠き部19bや穿孔部19cは光学部材ホルダ16の1カ所のみに設けられているが、複数個所に設けてもよい。更に、第1実施形態で説明したように光学部材ホルダ16と撮像素子17との間に隙間19aを設けるとともに、第4,第5実施形態で説明したように光学部材ホルダ16に切欠き部19bまたは穿孔部19cを設けるようにしてもよい。即ち、連通部の面積は作業性を向上させうる範囲で適宜調整して構わない。また、第1実施形態で説明した、鏡筒15や光学部材ホルダ16を構成するニッケル電鋳管の厚み等も適宜変更しても構わない。
なお、上記実施形態に示した本発明に係る内視鏡2の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明に係る内視鏡および内視鏡の製造方法は、光学部材ホルダに撮像素子を装着した状態で、光学部材ホルダと撮像素子との間に光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成することで、内視鏡の細径化を図りつつ、より簡易に製造することが可能になることから、外部から直接観察できない観察対象の内部を撮像する内視鏡等、およびその製造に好適に利用することができる。
2 内視鏡
12 先端部
15 鏡筒
16 光学部材ホルダ
16a 筒穴
17 撮像素子
17s 撮像面
19a 隙間
19b 切欠き部
19c、19d 穿孔部
12 先端部
15 鏡筒
16 光学部材ホルダ
16a 筒穴
17 撮像素子
17s 撮像面
19a 隙間
19b 切欠き部
19c、19d 穿孔部
Claims (7)
- 入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、
前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、
前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、
を備え、
前記光学部材ホルダに前記撮像素子を装着した状態で、前記光学部材ホルダと前記撮像素子との間に前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成したことを特徴とする内視鏡。 - 光軸方向から見たときに、前記撮像素子は矩形形状をなし、
前記撮像素子の短辺の長さよりも、前記光学部材ホルダの内径を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡。 - 前記光学部材ホルダの一端側において、前記撮像素子の全体を被覆するとともに、前記隙間を閉塞する封止部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡。
- 入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、
前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、
前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、
を備え、
前記光学部材ホルダの側面には前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する連通部が設けられ、
前記連通部を、前記撮像素子の撮像面に入射光が結像された状態において、前記鏡筒によって閉塞されない位置に設けたことを特徴とする内視鏡。 - 前記鏡筒の外周面と前記光学部材ホルダの内周面との間に接着剤層を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡。
- 前記鏡筒および前記光学部材ホルダをニッケル電鋳管で構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡。
- 入射光を結像させるレンズが収納された筒状の鏡筒と、
前記鏡筒を収納する筒穴を備える光学部材ホルダと、
前記光学部材ホルダの一端を塞ぐように装着された撮像素子と、を備え、
前記光学部材ホルダと前記撮像素子との間に前記光学部材ホルダの内部と外部とを連通する隙間を形成した内視鏡の製造方法であって、
前記光学部材ホルダの前記一端に前記撮像素子を装着する工程と、
前記鏡筒の外周面に接着剤を塗布し、前記光学部材ホルダの前記筒穴に前記鏡筒を挿入する工程と、
前記光学部材ホルダ内における前記鏡筒の光軸方向の位置を調整する工程と、
前記隙間を閉塞する工程と、
を有することを特徴とする内視鏡の製造方法。
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