JP2015071957A - スロットルバルブ装置 - Google Patents
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近年、車両には、無公害化や性能向上の一環として、各種装置、例えば、PCVシステム(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション装置)、過給機(ターボチャージャ)およびインタークーラを具有する過給システム、EGRシステム(排気ガス循環装置)などを装備したエンジンが搭載される傾向にある。
過給システムは、エンジンへ供給される吸入空気を過給機にて過給するものであって、過給された吸入空気は、吸気通路内に設けられたインタークーラで冷却する。
そして、PCVシステムと過給システムとが共に装備される場合には、PCVシステムのブローバイガス通路をインタークーラの上流側に開口させるのが一般的で、PCVシステムからの放出ガス等に含まれるオイル分がインタークーラ内に流入することになる。
もっとも、EGRシステムが設置されていなくても、インタークーラは、過給機で圧縮された吸入空気を冷却する一種の熱交換器であるため、インタークーラ自体にも凝縮水が発生する。
したがって、インタークーラは、吸気通路において重力方向の最下部に位置するところに、オイル、凝縮水等の液体を溜めるための液体貯留部を設け、この液体貯留部に溜まった液体を適宜処理することが肝要となる。
しかしながら、このようなシステム配置構成にした場合においても、液体中の残渣(デポジット)等によりスロットルバルブが閉弁固着状態を呈する場合があり、スロットルバルブの閉弁固着対策として種々な方策が提案され、実用にされている(例えば、特許文献2、3参照)。
ところが、これらの方策は、特許文献2に記載されているように、スロットルバルブと吸気通路との対向面に例えば潤滑層を形成して異物が付着しにくくするとか、特許文献3に記載されているように、スロットルバルブを所定の角度範囲において小刻みに往復作動させてスロットルバルブと吸気通路の壁面に付着した異物を除去するなど、スロットルバルブと吸気通路との対向面の改善に主眼が置かれており、吸入空気に乗って飛来してきてスロットルバルブに噛み込むような大きな異物に対する方策としては必ずしも充分ではなかった。
つまり、上記のようなシステム配置構成の場合には、スロットルバルブの上流側において重力方向の最下部付近に位置する吸気通路が存在するため、当該通路に液体が溜まり易く、残渣(デポジット)等が膜状になって壁面に張り付く、所謂膜状異物が形成されることになる。この膜状異物が剥がれ落ちたもの(これが結構大きな異物)が、一気に吸込まれる吸入空気流に乗って流下し、万一スロットルバルブに噛み込むと、スロットルバルブの回動不良等の不測の事態を招きかねないという危惧である。
したがって、このような危惧を解消できる方策が切望されている。特に、エンジンに装備される各種機器には、体格・価格面で厳しい要求がなされており、これらの諸要求を満足し、しかも、既に実用に供されている既存品にも簡便に適用可能な方策が望ましい。
請求項1に係る発明においては、エンジンの燃焼室に吸入空気を供給する吸気通路と、吸気通路内に回動可能に配設され、吸気通路の通路断面積を可変することで吸入空気量の調整を司るスロットルバルブと、吸気通路内においてスロットルバルブの上流側に配設され、吸入空気とともにスロットルバルブに向かう異物を捕捉するネット部材とを備えることを特徴としている。
なお、各実施例1、2において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
図1に示すように、エンジン1は、エンジン本体11の燃焼室に吸入空気を供給するための吸気系として、インテークマニホールド2、スロットルバルブ装置3、吸気管4、各種装置5およびエアクリーナ6を備えている。そして、エアクリーナ6からエンジン本体11に至るまでの吸入空気流路全体を吸気通路7と総称する。
この各種装置5は、例えば、PCVシステム(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション装置)、過給機(ターボチャージャ)およびインタークーラを具有する過給システム、EGRシステム(排気ガス循環装置)等であり、個々の装置の構成・機能については前述した通りであるので省略する。
そして、これらの各種装置5は、流量をスロットルバルブ装置3で調整する関係上、スロットルバルブ装置3の上流側に配設されている。
スロットルボデー31は、インテークマニホールド2と同様アルミダイカスト製で、一端(上端)にフランジ部31bを有しており、このフランジ部31bでインテークマニホールド2に取付固定されている。
スロットルバルブ32は、所謂バタフライバルブと称せられているもので、円板状の弁体32aと、この弁体32aを保持しスロットルボデー31に回動可能に枢着されるシャフト32bから構成されている。そして、このシャフト32bがエンジン制御装置(図示せず)からの制御信号に基づいて回動操作されることで、弁体32aがボア31aの通路面積(吸入通路7の通路断面積)を変化させ、吸入空気量を調整する。
なお、吸気管4は、例えばゴム製で、スロットルボデー31の他端(下端)に嵌着している。
本発明のスロットルバルブ装置3は、そのような恐れを未然に防止できる方策を講じたもので、異物Qを捕捉するネット部材33をスロットルバルブ32の上流側に配設している。
次に、本スロットルバルブ装置3の特徴事項を、図2および図3をも参照しながら説明する。
そして、吸気通路7の一部を形成するスロットルボデー31のボア31aの内径をDとすると、スロットルバルブ32の全開時におけるボア(吸気通路)31aの実質的な有効通路径をYと呼ぶとき、
Y= D−d ………(1)
上記の関係式(1)が成立し、また、ボア31aの有効通路Aがシャフト32bの両側にそれぞれ通路A1、通路A2として分割形成されることから、片側の有効通路A1(またはA2)の最大寸法Zは、
Z=Y/2 ………(2)
となる。
このネット部材33は、図3に示すように、全体として、円盤型の網目状体を呈しており、複数の穴33aとこの各穴33aを囲繞形成する骨格33bとを有している。特に、本実施例では、骨格33aが環状部分33cとその内側を四等分する十字部分33dとで構成され、扇形状の4個の穴33aを囲繞形成している。
なお、ネット部材33のスロットルボデー31への組付けは、例えば、ボア31aの内壁面に対し環状部分33cを圧入もしくは接着することで容易に行うことができる。
つまり、各穴33aの大きさは、実質的にボア31aの有効通路Aの大きさ、とりわけ、片側の有効通路A1(A2)の最大寸法Zより小さくすることが肝要で、穴33aの内接円径をXとすると、
X<Z(=Y/2) ………(3)
上記関係式(3)が成立するようにしている。
上記のように構成された本発明のスロットルバルブ装置3によれば、次のような作用効果を奏することができる。
イ)スロットルバルブ32の上流側にはネット部材33が配置されているため、吸気管4内を吸入空気流に乗ってスロットルバルブ32に向かって飛来してくる大きな異物Qは、ネット部材33の穴33aに引っ掛かる。つまり、当該異物Qをネット部材33で捕捉することができるわけで、異物Qがスロットルバルブ32に噛み込む事態を回避することができる。
したがって、異物Qがネット部材33の穴33aを通過したとしても、当該異物Qは、スロットルバルブ32全開時に形成される有効通路A1またはA2の大きさより確実に小さく、かかる通路をスムーズに通過していくため、スロットルバルブ32に噛み込むことはない。
ニ)また、ネット部材33は薄っぺらで小さな体格であるため、スロットルボデー31のボア31a内の既存スペースを有効活用して、スロットルボデー31に組付けることができる。
次に、本発明の別の実施形態(実施例2)について、図4を参照しながら説明する。
この実施例2は、ネット部材として実施例1のものより改良されたネット部材33を用いるもので、その他の構成は上述の実施例1と同じである。
図4において、ネット部材33は、基本的には実施例1と同様、環状部分33cと十字部分33dとかなる骨格33bと、この骨格33bで囲繞形成される4個の扇形状穴33aとを有する円盤型網状体を呈するとともに、ネット部材33のメッシュサイズ(穴33aの大きさ)を、上記関係式(3)のごとく設定している。そして、ネット部材33の骨格33b、特に十字部分33dには突起部33eを設けている。この突起部33eは、上流側、つまりスロットルバルブ32側とは反対側に向かって突出するとともに、尖端33fを有する山形状を呈している。
したがって、異物Qは、ネット部材33の穴33aをスムーズに通過するとともに、スロットルバルブ32の全開時に形成される有効通路A1およびA2をスムーズに通過していくため、スロットルバルブ32に噛み込むことはなく、上記実施例1と同様な効果を得ることができる。
以上本発明を2つの実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その変形例を例示する。
(3)ネット部材33は、上述した組付け手法のいずれを採用したとしても、完成したスロットルバルブ装置3に対して後からネット部材33を組付けることができる、所謂後付けが可能であるため、既に実用に供されている既存品にもネット部材33を後付けして、簡便に改造することができる。
(5)上記の実施例は、各種装置5を装備したエンジン1への適用例であるが、各種装置5を装備しないエンジンにも勿論適用できる。
請求項1に記載のスロットルバルブ装置3において、
ネット部材33は、複数の穴33aとこの各穴33aを囲繞する骨格33bとを有する網目状体で構成され、ネット部材33における穴33aの内接円径をX、スロットルバルブ32の全開時における吸気通路7の有効通路径をYと呼ぶとき、
X<Y/2 ………(a)
上記関係式(a)を満足することを特徴としている(実施例1、2)。
上記手段によれば、異物Qがネット部材33の穴33aを通過したとしても、当該異物Qは、スロットルバルブ32全開時に形成される有効通路A1またはA2の大きさより確実に小さく、かかる通路をスムーズに通過していくため、スロットルバルブ32に噛み込むのを防ぐことができる。
請求項1または2に記載のスロットルバルブ装置3において、
ネット部材33には、上流側に向かって突出する突起部33eが骨格33bに設けられていることを特徴としている(実施例2)。
上記手段によれば、吸入空気流に乗ってスロットルボデー31に飛来してくる大きな異物Qは、ネット部材33の突起部33eに衝突することにより、粉砕されて小片化するため、スロットルバルブ32の有効通路A1、A2をスムーズに通過していくため、異物Qがスロットルバルブ32に噛み込むのを防ぐことができる。
請求項1〜3のいずれか1つに記載のスロットルバルブ装置3において、
吸気通路7の一部を構成し、スロットルバルブ32を収納するスロットルボデー31を備えており、ネット部材33は、スロットルボデー31に組付けられていることを特徴としている(実施例1、2)。
上記手段によれば、スロットルボデー31の既存スペースを有効活用して容易に組付けることができる。また、既存品に対しても簡便にすることができる。
このスロットルバルブ装置3は、上流側が地側、下流側が天側にして、内燃機関1に配置されることを特徴としている。
上記手段によれば、各種装置5を装備したエンジン1に好適である。
Claims (5)
- 内燃機関(1)の燃焼室に吸入空気を供給する吸気通路(7)と、
前記吸気通路(7)内に回動可能に配設され、前記吸気通路(7)の通路断面積を可変することで吸入空気量の調整を司るスロットルバルブ(32)と、
前記吸気通路(7)内において前記スロットルバルブ(32)の上流側に配設され、前記吸入空気とともに前記スロットルバルブ(32)に向かう異物(Q)を捕捉するネット部材(33)とを備えることを特徴とするスロットルバルブ装置。 - 請求項1に記載のスロットルバルブ装置において、
前記ネット部材(33)は、複数の穴(32a)とこの各穴(32a)を囲繞する骨格(32b)とを有する網目状体をなしており、
前記ネット部材33における前記穴(32a)の内接円径をX、前記スロットルバルブ(32)の全開時における前記吸気通路(7)の有効通路径をYと呼ぶとき、
X<Y/2 ………(a)
上記関係式(a)を満足することを特徴とするスロットルバルブ装置。 - 請求項1または2に記載のスロットルバルブ装置において、
前記ネット部材(33)には、上流側に向かって突出する突起部(33e)が前記骨格(33b)に設けられていることを特徴とするスロットルバルブ装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のスロットルバルブ装置において、
吸気通路(7)の一部を構成し、前記スロットルバルブ(32)を収納するスロットルボデー(31)を備えており、
前記ネット部材(33)は、前記スロットルボデー(31)に組付けられていることを特徴とするスロットルバルブ装置。 - 請求項請求項1〜4のいずれか1つに記載のスロットルバルブ装置において、
このスロットルバルブ装置(3)は、上流側が地側、下流側が天側にして、前記内燃機関(1)に配置されることを特徴とするスロットルバルブ装置。
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