JP2015071732A - 立体模様塗料組成物とそれより形成される立体模様塗膜 - Google Patents

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Yuichi Saito
雄一 斉藤
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渡辺 達也
Tatsuya Watanabe
達也 渡辺
康輝 遠藤
Yasuteru Endo
康輝 遠藤
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Abstract

【課題】立体感がある塗膜を形成でき、しかもその立体感を維持できる立体模様塗料組成物と、それより形成される立体模様塗膜の提供。
【解決手段】多彩模様塗料(A)と、発泡樹脂粉末(B)とを含有する立体模様塗料組成物、および該立体模様塗料組成物より形成された、立体模様塗膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、立体模様塗料組成物とそれより形成される立体模様塗膜に関する。
建築物などの内外装には、保護や装飾などを目的として塗装が施される場合が多い。特に、多彩模様塗料は一回の塗装で2色以上の多彩かつ不均一で、複雑な模様を有する塗膜を形成できる塗料であり、主に外壁や内壁などの建築物等の塗装に用いられることが多い。
近年では、より多彩なデザインが要求されており、例えば御影石特有のキラメキ感のある御影石調模様を形成できる塗料として、鱗片状顔料を含有する塗料(特許文献1参照)や、下地が透けて見え、複雑な深み感を有する模様を形成できる塗料として、透光性着色粒子を含有する塗料(特許文献2参照)が提案されている。
しかし、特許文献1、2に記載の塗料より形成される塗膜は平面的であり、立体感の表現には限界があった。
そこで、凹凸感のある塗膜を形成できる塗料として、粒径が100μm以上の骨材(例えば硅砂、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク、クレーなど)を含有する塗料(特許文献3参照)が提案されている。
特開平8−151541号公報 特開2008−44991号公報 特開2009−263425号公報
しかしながら、特許文献3に記載のように骨材を配合した塗料は、骨材が塗膜表面に露出してしまい、意匠性に劣るものであった。しかも、骨材が塗膜表面から脱落しやすく、塗膜の立体感を維持するのが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、立体感がある塗膜を形成でき、しかもその立体感を維持できる立体模様塗料組成物と、それより形成される立体模様塗膜の提供を目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 多彩模様塗料(A)と、発泡樹脂粉末(B)とを含有する、立体模様塗料組成物。
[2] 前記多彩模様塗料(A)が樹脂エマルジョンを含み、該樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、前記発泡樹脂粉末(B)を3〜100質量部含有し、かつ前記発泡樹脂粉末(B)の密度が0.05〜1.0g/cmである、[1]に記載の立体模様塗料組成物。
[3] [1]または[2]に記載の立体模様塗料組成物より形成された、立体模様塗膜。
本発明の立体模様塗料組成物によれば、立体感がある塗膜を形成でき、しかもその立体感を維持できる。
本発明の立体模様塗膜は立体感があり、しかもその立体感を維持できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[立体模様塗料組成物]
本発明の立体模様塗料組成物は、多彩模様塗料(A)と、発泡樹脂粉末(B)とを含有する。
<多彩模様塗料(A)>
多彩模様塗料(A)としては特に制限されず、建築物などの内外装に用いられる塗料、例えば外壁や内壁の塗装に用いられる塗料を用いることができ、市販品を用いてもよい。 以下、多彩模様塗料(A)の一実施形態例について具体的に説明する。
本実施形態例の多彩模様塗料(A)は、エマルジョン塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子(以下、単に「着色粒子」という。)を2色以上含む。
前記着色粒子は、エマルジョン塗料を分散媒に分散させることにより得られる。
(エマルジョン塗料)
本発明に使用されるエマルジョン塗料は、樹脂エマルジョンと着色顔料と親水性コロイド形成物質とを含有する。
樹脂エマルジョン:
樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然又は合成ゴムや、それらの共重合体のエマルジョンなど、一般に市販されている樹脂エマルジョンを使用することができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
着色顔料:
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、クロム酸鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等の無機顔料;パール顔料、マイカ顔料、マイカコーティングパール顔料、アルミニウム粉、ステンレス粉等の光輝性顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド等の有機顔料などが挙げられる。これら着色顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色顔料の含有量は、多彩模様塗料(A)に含まれる全ての樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部である。
親水性コロイド形成物質:
エマルジョン塗料が親水性コロイド形成物質を含有することにより、該親水性コロイド形成物質と後述するゲル化剤とが反応してエマルジョン塗料をカプセル化することができる。
親水性コロイド形成物質としては、例えば、セルロース誘導体;ポリチレンオキサイド;ポリビニルアルコール;カゼイン、デンプン、ガラクトマンノン、グアルゴム、ローカストビーンゴム等の天然高分子などを含有する水溶液が挙げられる。中でもグアルゴムの水溶液が好ましく、水溶液の濃度は0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜3質量%である。これら親水性コロイド形成物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
親水性コロイド形成物質の含有量は、多彩模様塗料(A)に含まれる全ての樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3.0質量部である。親水性コロイド形成物質の含有量を上記範囲内とすることにより、安定したゲル化膜が得られる。
任意成分:
エマルジョン塗料には、必要に応じて体質顔料が任意成分として含まれてもよい。
体質顔料としては、カオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これら体質顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
体質顔料の含有量は、エマルジョン塗料100質量%中、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%である。
エマルジョン塗料の調製方法:
エマルジョン塗料は、上記樹脂エマルジョンに親水性コロイド形成物質を加え撹拌混合したものに、着色顔料と水と必要に応じて体質顔料との混合溶液を加えさらに撹拌混合して得られる。
水の含有量は、エマルジョン塗料100質量%中、40〜90質量%が好ましく、より好ましくは50〜80質量%である。
(分散媒)
本発明に使用される分散媒は、ゲル化剤を含む水性の分散媒である。
ゲル化剤:
ゲル化剤としては、例えば、マグネシウムモンモリロナイト粘土、ナトリウムペンタクロロフェノール、ホウ酸塩、タンニン酸、乳酸チタン、塩化カルシウムなどを含有する水溶液が挙げられる。中でもホウ酸塩の水溶液が好ましく、水溶液の濃度は0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%である。これらゲル化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゲル化剤の含有量は、分散媒100質量%中、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%である。ゲル化剤の含有量を上記範囲内とすることにより、安定したゲル化膜が得られる。
任意成分:
分散媒には、必要に応じて体質顔料や水溶性高分子化合物が任意成分として含まれてもよい。
体質顔料としては、カオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを含有する分散液が挙げられる。中でも含水ケイ酸マグネシウムの分散液が好ましく、分散液の濃度は0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。これら体質顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
体質顔料の含有量は、分散媒100質量%中、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
水溶性高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを含有する水溶液が挙げられる。中でもカルボキシメチルセルロースの水溶液が好ましく、水溶液の濃度は0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。これら水溶性高分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子化合物の含有量は、分散媒100質量%中、0.05〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
分散媒の調製方法:
分散媒は、ゲル化剤を含む水溶液と、必要に応じて体質顔料を含む分散液、および水溶性高分子化合物を含む水溶液とを撹拌混合したものに、水を加え希釈することにより得られる。
水の含有量は、分散媒100質量%中、20〜80質量%が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。
(着色粒子の製造方法)
エマルジョン塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子は公知の技術で製造できる。具体例として、前記エマルジョン塗料を前記分散媒中に混合し、ディソルバなどの分散機で撹拌しながら細分化して製造する。これにより、エマルジョン塗料に含まれる親水性コロイド形成物質と、分散媒に含まれるゲル化剤とが作用して形成される三次元的網状組織の中にエマルジョン塗料が閉じ込められ、さらに細分化することにより、ゲル化膜でカプセル化した着色粒子が得られる。
なお、詳しくは後述するが、着色粒子を製造する際に以下に説明する発泡樹脂粉末(B)を配合してもよい。
エマルジョン塗料の配合量は、分散媒100質量部に対して100〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは150〜400質量部である。エマルジョン塗料の配合量を上記範囲内とすることにより、形状が均一なカプセル化された着色粒子が得られやすくなる。
エマルジョン塗料をゲル化膜でカプセル化することにより、着色粒子が分散媒中で安定して分散することができる。
<発泡樹脂粉末(B)>
発泡樹脂粉末(B)は、塗膜に立体感を付与する成分である。
発泡樹脂粉末(B)は、一般的に衝撃吸収材、断熱材、家庭用スポンジ等に用いられる発泡樹脂を粉砕して粉末状にしたものである。
発泡樹脂に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーの粉末や細粒、ウレタン等の熱硬化性樹脂の全硬化または半硬化の粉末などが挙げられる。これら樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、「高密度ポリエチレン」とは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンのことであり、「低密度ポリエチレン」とは、密度が0.925g/cm以下であるポリエチレンのことである。
なお、ポリエチレンの密度は、JIS K 6760:1981に準拠して測定される値である。
発泡樹脂は、上述した樹脂を注型発泡成形法、溶融発泡成形法、固相発泡成形法などの公知の発泡成形方法により発泡させることで得られる。
このようにして得られた発泡樹脂を、粉砕機で粉砕し、得られた粉砕物を必要に応じて所望の粒子径になるまで分級し、発泡樹脂粉末(B)を得る。
発泡樹脂粉末(B)の平均粒子径は、0.5〜3mmであることが好ましく、より好ましくは1〜2.5μmである。平均粒子径が上記範囲内であれば、塗膜中に埋もれることなく、充分な立体感が得られる。
ここで「平均粒子径」とは、体積基準のメジアン径のことであり、具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
発泡樹脂粉末(B)の密度は0.05〜1.0g/cmであることが好ましい。密度が0.05g/cm以上であれば、塗膜表面に発泡樹脂粉末(B)のみが浮いてしまうのを抑制でき、意匠性を良好に維持できる。一方、密度が1.0g/cm以下であれば、立体模様塗料組成物中で発泡樹脂粉末(B)が沈降しにくく、立体的な塗膜がより得られやすくなる。
<他の成分>
立体模様塗料組成物は、多彩模様塗料(A)および発泡樹脂粉末(B)以外に、本発明の効果を損なわない範囲でバインダ樹脂や公知の添加剤を含有してもよい。
バインダ樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然又は合成ゴムや、それらの共重合体のエマルジョン等の樹脂エマルジョンなどが挙げられる。
添加剤としては、例えば増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤などが挙げられる。
なお、これらバインダ樹脂や添加剤は、多彩模様塗料(A)中に含まれていてもよい。
<立体模様塗料組成物の製造方法>
立体模様塗料組成物は、例えば以下に示す方法により製造できる。
まず、樹脂エマルジョンに親水性コロイド形成物質および発泡樹脂粉末(B)を加え撹拌混合したものに、着色顔料と水と必要に応じて体質顔料との混合溶液を加えさらに撹拌混合してエマルジョン塗料を調製する。
別途調製しておいた分散媒中に得られたエマルジョン塗料を混合し、分散機で撹拌しながら細分化して、発泡樹脂粉末(B)を含有する着色粒子を得る。該着色粒子は、分散媒中に分散した状態で得られる。
得られた着色粒子の分散体を2色以上と、水と、必要に応じてバインダ樹脂や添加剤等とを混合し、発泡樹脂粉末(B)を含む多彩模様塗料(A)を調製し、これを立体模様塗料組成物として用いる。
なお、発泡樹脂粉末(B)は、1つの着色粒子のみに含有させてもよいし、複数の着色粒子に含有させてもよい。複数の着色粒子が発泡樹脂粉末(B)を含有していれば、それぞれの色に立体感を付与できるので、より意匠性に優れた塗膜を形成できる。
発泡樹脂粉末(B)の配合量(含有量)は、多彩模様塗料(A)に含まれる全ての樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、3〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量部であり、特に好ましくは30〜50質量部である。発泡樹脂粉末(B)の配合量(含有量)が3質量部以上であれば、立体感のある塗膜が形成されやすくなり、意匠性がより向上する。一方、発泡樹脂粉末(B)の配合量(含有量)が100質量部以下であれば、発泡樹脂粉末(B)が多彩模様塗料(A)によって充分に被覆されるため、塗膜表面に発泡樹脂粉末(B)が露出しにくくなり、意匠性を良好に維持できる。
<作用効果>
以上説明した本発明の立体模様塗料組成物は、発泡樹脂粉末(B)を含有するので、立体感がある塗膜を形成できる。しかも、発泡樹脂粉末(B)は多彩模様塗料(A)によって被覆されやすく、塗膜表面に露出しにくい。よって意匠性に優れた塗膜を形成できる。しかも、発泡樹脂粉末(B)が塗膜表面から脱落しにくく、塗膜の立体感を維持できる。
また、本発明の立体模様塗料組成物は多彩模様塗料(A)を含有するので、不均一で複雑な多彩模様の塗膜を形成でき、意匠性に優れる。
<他の実施形態>
本発明の立体模様塗料組成物は、上述したものに限定されない。上述した立体模様塗料組成物に含まれる多彩模様塗料(A)は水系の塗料であるが、多彩模様塗料(A)として有機溶剤系の塗料や水溶性の塗料を含んでいてもよい。ここで、水系の塗料とは、水を溶媒とする塗料のことである。有機溶剤系の塗料とは、有機溶剤を溶媒とする塗料のことである。水溶性の塗料とは、水と水溶性有機溶剤との混合物を溶媒とする塗料のことである。
揮発性有機化合物(VOC)が発生しにくく、臭気を抑制できる点で、水系の塗料が好ましい。
また、上述した立体模様塗料組成物の製造方法では、エマルジョン塗料をゲル化膜でカプセル化して着色粒子を製造する際に発泡樹脂粉末(B)を配合しているが、予め多彩模様塗料(A)を調製しておき、これに発泡樹脂粉末(B)を添加して立体模様塗料組成物を製造してもよい。また、多彩模様塗料(A)に含まれる着色顔料を製造する際に、発泡樹脂粉末(B)を添加しておいてもよい。
立体模様塗料組成物中に発泡樹脂粉末(B)をより均一に分散させることができる点で、エマルジョン塗料をゲル化膜でカプセル化して着色粒子を製造する際に発泡樹脂粉末(B)を配合することが好ましい。
<用途>
本発明の立体模様塗料組成物は、建築物などの内外装に用いられる塗料、例えば外壁や内壁の塗装に用いられる塗料として好適である。
[立体模様塗膜]
本発明の立体模様塗膜は、上述した本発明の立体模様塗料組成物より形成された塗膜である。立体模様塗膜が形成される基材の材質としては、例えば、モルタル、コンクリート、窯業系素材、プラスチック、金属、木材、紙などが挙げられる。
塗装方法については特に制限されず、例えば、刷毛、こて、ローラー、スプレーなどの公知の塗布方法で塗布することができ、常温乾燥または加熱乾燥により塗膜が形成される。
なお、立体模様塗膜は塗装対象物(基材)の表面に設けられるが、塗装対象物上に直接設けられていてもよいし、ベースコート層を介して設けられていてもよい。また、立体模様塗膜には、必要に応じてクリアトップコート層が設けられていてもよいし、立体模様塗膜をトップコート層としてもよい。
<作用効果>
本発明の立体模様塗膜は、本発明の立体模様塗料組成物より形成されるので、立体感があり、しかもその立体感を維持できる。また、立体模様塗料組成物には多彩模様塗料(A)が含まれているので、本発明の立体模様塗膜は不均一で複雑な多彩模様の塗膜であり、意匠性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例中「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
<着色粒子の製造>
発泡樹脂粉末(B)として、表1に示す発泡樹脂粉末(B1)〜(B5)を用いた。
Figure 2015071732
表1中の略号は以下の通りである。
・EVA:エチレン酢酸ビニル共重合体発泡樹脂
・ウレタン:ウレタン発泡樹脂
(エマルジョン塗料(白1)の調製)
シリコーン変性アクリル樹脂エマルジョン(日本アクリル化学株式会社製、「プライマルAC−38」、固形分40%)38部と、発泡樹脂粉末(B1)7.6部と、非イオン性グアルゴム誘導体の1.5%水溶液15.3部(固形分換算で0.23部)との混合溶液(a)を準備した。
別途、着色顔料としてチタン白3部と、アニオン性高分子分散剤(日本アクリル化学株式会社製、「オロタン731」)1部と、水10.6部との混合溶液(b)を準備した。
混合溶液(a)に混合溶液(b)を加えて撹拌し、エマルジョン塗料(白1)を得た。配合組成を表2に示す。
(エマルジョン塗料(白2)〜(白7)の調製)
発泡樹脂粉末(B)の種類と配合量を表2に示すように変更した以外は、エマルジョン塗料(白1)と同様にしてエマルジョン塗料(白2)〜(白7)を調製した。
(エマルジョン塗料(白8)の調製)
発泡樹脂粉末(B)7.6部を骨材(有限会社竹折砿業所製、平均粒子径1.8mm)7.6部に変更した以外は、エマルジョン塗料(白1)と同様にしてエマルジョン塗料(白8)を調製した。配合組成を表2に示す。
(エマルジョン塗料(黒1)の調製)
チタン白3部を黒色酸化鉄3部に変更した以外は、エマルジョン塗料(白1)と同様にしてエマルジョン塗料(黒1)を調製した。配合組成を表2に示す。
(エマルジョン塗料(黒2)の調製)
発泡樹脂粉末(B)7.6部を骨材(有限会社竹折砿業所製、平均粒子径1.8mm)7.6部に変更し、チタン白3部を黒色酸化鉄3部に変更した以外は、エマルジョン塗料(白1)と同様にしてエマルジョン塗料(黒2)を調製した。配合組成を表2に示す。
Figure 2015071732
(分散媒の調製)
含水ケイ酸マグネシウムの4%水中分散液25部(固形分換算で1部)に、重ホウ酸アンモニウムの5%水溶液5部(固形分換算で0.25部)と、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの1%水溶液25部(固形分換算で0.25部)を加え撹拌混合した後、水45部を加えて希釈し、分散媒を得た。
(着色粒子(白1)の製造)
分散媒40部にエマルジョン塗料(白1)60部を加え、ディソルバで撹拌し、粒径が10mmになるまで分散して、発泡樹脂粉末(B)を含有する着色粒子(白1)を得た。
(着色粒子(白2)〜(白7)、(黒1)の製造)
エマルジョン塗料の種類を表3に示すように変更した以外は、着色粒子(白1)と同様にして発泡樹脂粉末(B)を含有する着色粒子(白2)〜(白7)、(黒1)を製造した。
(着色粒子(白8)、(黒2)の製造)
エマルジョン塗料の種類を表3に示すように変更した以外は、着色粒子(白1)と同様にして骨材を含有する着色粒子(白8)、(黒2)を製造した。
Figure 2015071732
[実施例1]
<立体模様塗料組成物の調製>
シリコーン変性アクリル樹脂エマルジョン(旭化成ケミカルズ株式会社製、「ポリデュレックスG670」、固形分40%)25部に、着色粒子(白1)35部と、着色粒子(黒1)35部と、アルカリ可溶型増粘剤(サンノプコ株式会社製、「SNシックナー636」)1部と、25%アンモニア水0.1部と、水3.9部とを混合し、ディソルバで撹拌して発泡樹脂粉末(B)を含む多彩模様塗料(A)を調製し、これを立体模様塗料組成物とした。
得られた立体模様塗料組成物中の発泡樹脂粉末(B)の含有量は、多彩模様塗料(A)に含まれる全ての樹脂エマルジョンの固形分100部に対して、40部であった。配合組成を表4に示す。
<評価>
先に得られた立体模様塗料組成物を、予め下地としてグレー色の着色塗料が塗布されたスレート板の表面に、塗布量が500g/mになるようスプレーにより塗布し、常温(25℃)で乾燥し、塗膜を形成した。
得られた塗膜は立体感を有していた。また、塗膜の表面を手指で擦っても、発泡樹脂粉末(B)が脱落することなく、立体感を維持できた。結果を表4に示す。
[実施例2〜7]
着色粒子の種類を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして発泡樹脂粉末(B)を含む多彩模様塗料(A)を調製し、これを立体模様塗料組成物として用い、塗膜を形成した。
得られた塗膜は立体感を有していた。また、塗膜の表面を手指で擦っても、発泡樹脂粉末(B)が脱落することなく、立体感を維持できた。結果を表4に示す。
[比較例1]
着色粒子(白1)35部を着色粒子(白8)35部に変更し、着色粒子(黒1)35部を着色粒子(黒2)35部に変更した以外は、実施例1と同様にして骨材を含む多彩模様塗料(A)を調製し、これを立体模様塗料組成物として用い、塗膜を形成した。
得られた塗膜は立体感を有していた。しかし、塗膜の表面を手指で触ったところ骨材が脱落し、立体感を維持できなかった。結果を表4に示す。
Figure 2015071732
表4中の「発泡樹脂粉末(B)または骨材の量」とは、多彩模様塗料(A)に含まれる全ての樹脂エマルジョンの固形分100部に対する発泡樹脂粉末(B)または骨材の含有量(質量部)のことである。
表4の結果から明らかなように、本発明の立体模様塗料組成物によれば、立体感がある塗膜を形成でき、しかもその立体感を維持できることが示された。

Claims (3)

  1. 多彩模様塗料(A)と、発泡樹脂粉末(B)とを含有する、立体模様塗料組成物。
  2. 前記多彩模様塗料(A)が樹脂エマルジョンを含み、該樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、前記発泡樹脂粉末(B)を3〜100質量部含有し、かつ前記発泡樹脂粉末(B)の密度が0.05〜1.0g/cmである、請求項1に記載の立体模様塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の立体模様塗料組成物より形成された、立体模様塗膜。
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