JP2015070638A - 蓄電池監視装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、蓄電池は使用頻度、使用条件、及び、経年変化により劣化し、蓄電池が劣化した場合には太陽光パネルで発電された電力を効率良く蓄電することができず、また、所定の電圧を出力できず、負荷を正常に作動させることができなくなる場合がある。従って、蓄電池に劣化の兆候が確認された場合にはいち早くこれを検出して、蓄電池をメンテナンスするか、或いは交換する必要がある。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で蓄電池の劣化状態を判定でき、コスト低減に有利な蓄電池監視装置を提供することを目的としている。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電池監視システムを示すブロック図である。
この蓄電池監視システム10は、山間部の鉄塔等に設置される航空障害灯(光源31)の電源として使用される鉛蓄電池21を監視するシステムである。図1に示すように、この蓄電池監視システム10は、航空障害灯システムを構成する負荷回路20と、鉛蓄電池21と、鉛蓄電池21を監視する蓄電池監視装置22と、蓄電池監視装置22とセンター局23との間の通信を中継する中継局24とを備えている。
充放電制御部34は、ソーラーパネル33の発電電力で鉛蓄電池21を充電(蓄電)し、また、鉛蓄電池21の電力を駆動部に出力する制御を実行する。この充放電制御部34は、蓄電池監視装置22の制御の下、ソーラーパネル33が発電する昼間の時間帯は、鉛蓄電池21を充電する制御を行い、周囲が暗い夜間の時間帯は、鉛蓄電池21の電力で光源31を点灯駆動させる制御を行う。
本実施形態では、周囲の明るさを検出する照度センサー(不図示)を備え、この照度センサーの検出結果に基づいて蓄電池監視装置22が、昼間の時間帯か夜間の時間帯かを判定する自動消灯タイプに構成されている。
また、照度センサーを用いる方法に代えて、蓄電池監視装置22又は充放電制御部34の少なくとも一方がタイマー回路を備え、予め設定された昼間の時間帯に鉛蓄電池21を充電する制御を行い、予め設定された夜間の時間帯に光源31を点灯駆動させる制御を行うようにしても良い。
また、充放電制御部34が昼間の時間帯か夜間の時間帯かを判定する場合には、その判定結果を蓄電池監視装置22に通知し、蓄電池監視装置22側でも昼間の時間帯か夜間の時間帯かを特定可能に構成される。
ソーラーパネル33は、一日で鉛蓄電池21を満充電可能な発電量を得ることが可能なソーラーパネルである。このため、少なくとも平均的な日照時間が得られた場合に、鉛蓄電池21は満充電される。
この蓄電池監視装置22は、鉛蓄電池21の情報等を送信するための通信部41を備えている。この通信部41は、中継局24と無線通信することで、中継局24を介してセンター局23と通信する。ここで、蓄電池監視装置22がセンター局23に送信する情報には、鉛蓄電池21の劣化状態の判定結果、鉛蓄電池21の電圧(後述する電圧V1、V2、V3)、鉛蓄電池21が充電不足か否か等を示す情報が含まれる。なお、中継局24とセンター局23との間の通信は、有線通信となっている。
作業員等は、鉛蓄電池21の情報を確認することで、鉛蓄電池21を遠隔監視し、必要に応じて鉛蓄電池21の交換等の対応を採る。
しかし、この方法は、電流と電圧と温度を測定する必要があるため、部品点数が増えて構成が複雑化してしまう。また、劣化状態を判定するアルゴリズム作成のために大量のデータ(例えば、温度補正用のデータ)の取得が必要であり、アルゴリズム作成作業が繁雑になり易い。
しかしながら、この構成では、電流又は電圧が閾値を下回る原因が、鉛蓄電池21の劣化なのか、鉛蓄電池21の充電不足なのかが判らず、劣化か否かを精度良く判定できない。
そこで、本実施形態では、簡易な構成で劣化状態を判定可能にするために、鉛蓄電池21の電圧だけを測定する構成にし、且つ、充放電(蓄放電)のサイクル毎に、鉛蓄電池21の放電直前電圧V1、放電直後電圧V2、及び、放電終了直前電圧V3を監視するようにしている。
放電直前電圧V1は、鉛蓄電池21が充電不足か否かを判定する閾値であり、その値を12.6Vとし、鉛蓄電池21の電圧が12.6V以上であれば充電不足ではないとし、鉛蓄電池21の電圧が12.6V未満であれば充電不足と判定する。
放電直後電圧V2は、鉛蓄電池21が異常であるか否かを判定する閾値であり、その値を11.7Vとし、蓄電池21の電圧が12.7V以上であれば鉛蓄電池21は異常なしとし、鉛蓄電池21の電圧が11.7V未満であれば異常(鉛蓄電池21劣化も含む)と判定する。
放電終了直前電圧V3は、鉛蓄電池21が正常レベルであるか否かを判定する閾値であり、その値を12.0Vとし、鉛蓄電池21の電圧が12.0V以上であれば鉛蓄電池21は正常レベルとし、蓄電池21の12.0V未満であれば予め設定した注意レベル下限値と比較し、下限値以上であれば注意レベル、下限値未満であれば劣化レベルと判定する。
図1に示すように、蓄電池監視装置22は、鉛蓄電池21の電圧を測定する電圧測定部42と、劣化判定処理等を行う監視制御部43とを備えている。
電圧測定部42は、監視制御部43の制御の下、鉛蓄電池21の電圧(出力電圧)を測定するものであり、公知の電圧測定回路を広く適用可能である。監視制御部43は、劣化判定処理等を行う演算処理部として機能するだけでなく、電池監視装置22の制御中枢としても機能する。この監視制御部43は、CPUやメモリー(ROMやRAM等)を備えたコンピューター構成を具備し、CPUがメモリーに記録された制御プログラムを実行することにより、劣化判定処理や各部(電圧測定部42や通信部41)の制御を行う。
なお、本発明において、前記電圧測定部42で放電直前電圧V1、放電直後電圧V2、放電終了直前電圧V3を測定するのは、前記するように単に電流や電圧が予め定めた閾値を下回る原因が充電不足によるものか、劣化によるものかを判定することが困難であり、鉛蓄電池の放電特性から放電電流、放電時間が一定の負荷を用いた場合、V1、V2、V3より充電不足や劣化判断を推測することができるからである。
図2中、時刻t1は、照度センサー(不図示)の検出値が、充電終了タイミングを規定する第1閾値を下回ったタイミングであり、ソーラーパネル33が発電しない明るさに至ったタイミングに設定されている。また、時刻t2は、照度センサーの検出値が、航空障害灯システムの点灯開始タイミングを規定する第2閾値を下回ったタイミングである。また、時刻t3は、航空障害灯システムの点灯終了タイミングであって、充電開始タイミングを規定する第3閾値を上回ったタイミングである。
監視制御部43は、照度センサーの検出値に基づいて時刻t1に至ると、鉛蓄電池21の充電を停止させる。鉛蓄電池21の充電を停止させた後は、図2に示すように、暗電流により鉛蓄電池21の電圧Vは低下していく。
次いで、監視制御部43は、照度センサーの検出値に基づいて時刻t2に至ると、充放電制御部34により駆動部32に鉛蓄電池21の電力を供給させ、負荷である航空障害灯(光源31)を点灯させる。このため、鉛蓄電池21は放電を開始し、図2に示すように、鉛蓄電池21の電圧Vは徐々に低下していく。
このようにして、鉛蓄電池21の充電(蓄電)と放電のサイクルが繰り返し実行される。このサイクルによれば、一日毎の充電や放電のタイミングが同様となり、各日の充電時間、及び、放電時間は同様とみなすことができる。上記したように、ソーラーパネル33は、一日で鉛蓄電池21を満充電可能な発電量を得る仕様に構成されるため、雨天の日を除けば、各日の充電後は満充電となる。また、一日当たりの航空障害灯(光源)の消費電力も同様とみなせるため、時刻t1、t2、t3時点の鉛蓄電池21の電圧Vは、鉛蓄電池21が未劣化であれば、各日で同様とみなすことができる。
図3に示すように、監視制御部43は、鉛蓄電池21の放電直前電圧V1を、電圧測定部42により取得する(ステップS1)。
この放電直前電圧V1は、鉛蓄電池21の充電後、鉛蓄電池21が負荷(光源31)に放電する前の電圧であり、図2に示すように、時刻tA(時刻t1以降、時刻t2以前の範囲内)のタイミングで測定される。本実施形態では、時刻tAは、光源31の点灯開始(時刻t2)から所定時間前(10分前)に設定される。
この放電直前電圧V1を取得する具体的な方法としては、電圧測定部42によって、充電後に継続的に鉛蓄電池21の電圧を測定してメモリー(不図示)に一時的に格納しておき、時刻t1の確定後にその10分前の電圧を、放電直前電圧V1として取得する方法がある。また、タイマー処理により、時刻t2の10分前のタイミングで測定した電圧を、放電直前電圧V1として取得する方法等を適用しても良い。
充電不足と判定した場合には、放電時の鉛蓄電池21の電圧Vが極端に低下しても、その原因が鉛蓄電池21の劣化によるものか、雨天を原因とした充電不足によるものかを判別不能である。このため、監視制御部43は、ステップS4以降の処理をスキップし、次のサイクルにおいて上記ステップS1及びS2の処理を再開する。
ステップS4では、監視制御部43は、鉛蓄電池21の放電直後電圧V2を、電圧測定部42により取得する。
この放電直後電圧V2は、負荷(光源31)に電力供給後の電圧であり、図2に示すように、時刻tB(時刻t2以降、且つ、時刻t2近傍)のタイミングで測定される。より具体的には、時刻tBは、光源31の点灯開始(時刻t2)から所定時間後(5分後〜10分後の範囲内)に設定される。
この放電直後電圧V2を取得する具体的な方法としては、時刻t2に至った時点から上記の所定時間後(5分後〜10分後の範囲内)をカウントし、カウント後の鉛蓄電池21の電圧を測定すれば良い。
この電池異常判定閾値は、何らかの不具合(電池劣化も含む)により鉛蓄電池21の電圧が放電後に想定以上に低下したことを検出するための閾値であり、本実施形態では、11.7Vに設定される。
このため、放電直後電圧V2が11.7V未満の場合(ステップS5;NO)、監視制御部43は、電池異常と判定する(ステップS6)。
また、上記の11.7Vは、航空障害灯(光源31)を点灯不能な低い電圧でもある。このため、放電開始後(航空障害灯の点灯を開始すべき時間の後)、速やかに電池異常をセンター局23へ通知することにより、航空障害灯が点灯不能であることをセンター局23側で迅速に把握することも可能になる。なお、電池異常の判定結果に加えて、放電直後電圧V2をセンター局23へ送信するようにしても良い。
ステップS7では、監視制御部43は、鉛蓄電池21の放電終了直前電圧V3を、電圧測定部42により取得する。
この放電終了直前電圧V3は、負荷(光源31)への電力供給停止前の電圧であり、図2に示すように、時刻tC(時刻t3前、且つ、時刻t3近傍)のタイミングで測定される。より具体的には、時刻tCは、光源31の点灯終了(時刻t3)から所定時間前(30分前)に設定される。
この放電終了直前電圧V3を取得する具体的な方法としては、電圧測定部42によって、放電時に継続的に鉛蓄電池21の電圧を測定してメモリー(不図示)に一時的に格納しておき、時刻t3の確定後にその30分前の電圧を、放電終了直前電圧V3として取得する方法がある。また、タイマー処理により、時刻t3の30分前のタイミングで測定した電圧を、放電終了直前電圧V3として取得する方法等を適用しても良い。
正常レベルと判定した場合(ステップS9)、監視制御部43は、その旨を通信部41によりセンター局23へ送信する。これにより、鉛蓄電池21が正常である旨をセンター局23へ通知することができる。
このようにして、注意レベル又は劣化レベルのいずれかと判定すると、監視制御部43は、判定結果を通信部41によりセンター局23へ送信する。これにより、鉛蓄電池21が注意レベル又は劣化レベルである旨をセンター局23へ通知することができる。この場合、放電終了直前電圧V3もセンター局23へ送信するようにしても良い。以上が図3に示すフローチャートの説明である。
しかも、本実施形態では、放電直後電圧V2が負荷(光源31)を駆動不能な低い電圧の場合に(放電直後電圧V2が11.7V未満の場合に)、電池異常と判定するので、負荷を駆動不能であることを迅速に検出することができる。従って、負荷が駆動不能であることをセンター局23側で迅速に把握することが可能になる。
なお、この劣化状態の判定においても、1回の放電終了直前電圧V3だけで劣化状態を判定する方法に限らず、連続する複数回のサイクルに渡って測定した放電終了直前電圧V3から同じ判定結果が得られた場合に、その判定結果を確定するようにしても良い。この場合、蓄電池監視装置22の劣化判定精度がより向上する。
このようにして、航空障害灯システムに使用される鉛蓄電池21の状態を、簡易な構成で判定できる蓄電池監視装置22を提供することができる。
例えば、上記実施形態では、蓄電池監視装置22が、監視制御部43の監視結果や放電直前電圧V1、放電直後電圧V2、及び、放電終了直前電圧V3をセンター局23に送信する場合を説明したが、これに限らず、送信する情報は、適宜に増減や変更すれば良い。
要は、放電直前電圧V1は、鉛蓄電池21の充電電圧を検知可能な電圧であれば良いし、放電直後電圧V2は、放電直後の電圧の急低下を検知可能な電圧であれば良いし、放電終了直前電圧V3は、放電終了前の電圧の過度な低下を検知可能な電圧であれば良い。
20 負荷回路(航空障害灯システム)
21 鉛蓄電池(蓄電池)
22 蓄電池監視装置
23 センター局
24 中継局
31 光源(負荷、航空障害灯)
32 駆動部
33 ソーラーパネル(発電装置)
34 充放電制御部
41 通信部
42 電圧測定部
43 監視制御部
V1 放電直前電圧
V2 放電直後電圧
V3 放電終了直前電圧
Claims (6)
- 電力を蓄電池に充電し、前記蓄電池に充電した電力を負荷に放電する充放電サイクルが繰り返される前記蓄電池を監視する蓄電池監視装置において、
前記蓄電池の電圧を測定する電圧測定部と、
前記充放電サイクル毎に、前記蓄電池の放電直前電圧、放電直後電圧、及び、放電終了直前電圧を監視し、監視した前記電圧に基づいて前記蓄電池の状態を判定する監視制御部とを備えることを特徴とする蓄電池監視装置。 - 前記監視制御部は、前記放電直前電圧に基づいて充電不足か否かを判定し、充電不足と判定した場合、以降のサイクルでの前記放電直前電圧に基づいて充電不足が解消されたと判定されるまで、前記放電直後電圧と放電終了直前電圧の測定をキャンセルすることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池監視装置。
- 前記監視制御部は、前記放電直後電圧に基づいて前記蓄電池に異常が生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池監視装置。
- 前記監視制御部は、前記放電終了直前電圧に基づいて前記蓄電池の劣化状態を判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電池監視装置。
- 前記負荷は、航空障害灯であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電池監視装置。
- センター局と通信可能な通信部を備え、
前記通信部は、前記監視制御部の監視結果、前記蓄電池の放電直前電圧、前記放電直後電圧、及び、前記放電終了直前電圧を前記センター局に送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄電池監視装置。
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