JP2015069424A - 紙幣鑑別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙幣の搬送性能を向上させることが可能な紙幣鑑別装置を提供する。【解決手段】紙幣を搬送する搬送ローラ204−1〜204−4、206−1〜206−4と、紙幣の搬送面を形成する搬送ガイドと、紙幣に関するデータを検出するセンサと、データの検出時における紙幣の搬送面を形成するガラスおよびガラスの周囲を覆った樹脂部材211n、213nを有するガラス一体樹脂成型部と、を備え、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材211n、213nと搬送ガイドとは一体に成型される。【選択図】図6

Description

本発明は、紙幣鑑別装置に関するものである。
従来、金融機関などに設置される紙幣の入出金処理を顧客操作により自動的に行う現金預払機や、紙幣の金種分類や汚損判別による正常損傷分類を自動的に行う現金処理機などに設けられる紙幣鑑別装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかる紙幣鑑別装置においては、紙幣を搬送しながら紙幣の金種や、汚損状態、真偽などを判定するためのセンサとして、紙幣からの反射光を反射画像として検出する反射センサや、紙幣によって透過された透過光を透過画像として検出する透過センサ、紙幣の磁気特性を検出する磁気センサ、紙幣の厚みを検出する厚みセンサなどが使用されている。
これらのセンサは、例えば、搬送される紙幣の両側(例えば、上部ユニット側と下部ユニット側)に対向して設けられる。さらに、これらのセンサは、搬送される紙幣の流れを阻害しないようにするため、突起や段差なく設けられているのがよい。さらに、反射センサや透過センサは、光学的に透明であり、かつ、削れに強い搬送面を有しているのがよく、反射センサや透過センサの搬送面として光学ガラスが使用されるのが好適である。例えば、このような突起や段差のない平滑な搬送構造も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平09−245217号公報 特開2010−214589号公報
しかしながら、かかる技術においては、突起や段差なくセンサを設けるために、入れ子形状にそれぞれのセンサの搬送面をつなぐ必要がある。そのため、例えば、搬送ローラの配置や、ローラ間隔、センサ配置のために制約が生じ、入れ子部分を密に構成できなくなってしまった場合などには、搬送される紙幣の端部が入れ子部分に衝突して入れ子部分に引っかかってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、紙幣の搬送性能を向上させることが可能な紙幣鑑別装置を提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙幣を搬送する搬送ローラと、前記紙幣の搬送面を形成する搬送ガイドと、前記紙幣に関するデータを検出するセンサと、前記データの検出時における前記紙幣の搬送面を形成するガラスおよび当該ガラスの周囲を覆った樹脂部材を有するガラス一体樹脂成型部と、を備え、前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとは一体に成型される、紙幣鑑別装置が提供される。
前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとは、平らな搬送面を形成してもよい。
前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとの接合部は、前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとが嵌合する構造を有してもよい。
前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記ガラスとの接合部は、前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記ガラスとが嵌合する構造を有してもよい。
前記ガラスの端部に白基準テープが接着され、前記センサは、前記白基準テープを覆う保持部を備えてもよい。
前記ガラスは、紙幣への照射光および紙幣からの反射光を透過する光学ガラスを含み、前記センサは、前記光学ガラスによって透過された前記反射光を検出する反射センサを含んでもよい。
前記センサは、前記紙幣を透過した透過光を透過する光学ガラスを含み、前記ガラスは、前記光学ガラスによって透過された前記透過光を検出する透過センサを含んでもよい。
前記紙幣鑑別装置は、前記紙幣の磁気情報を検出する磁気センサを含み、前記磁気センサは、前記磁気情報の検出時における前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材を有し、前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材と前記搬送ガイドとは一体に成型されてもよい。
前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材は、前記搬送ガイドの厚みよりも薄く形成されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、紙幣の搬送性能を向上させることが可能である。
第1の実施形態に係る現金預払機の外観を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る紙幣入出金機の構成例を示す図である。 一般的な紙幣鑑別装置の側面から見た内部構成例を示す図である。 下部ユニットを図3の矢視方向Aに見た搬送面の例を示す図である。 第1の実施形態に係る紙幣鑑別装置の側面から見た内部構成例を示す図である。 下部ユニットを図5の矢視方向Bに見た搬送面の例を示す図である。 第1の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。 第2の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。 第3の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。 第4の実施形態に係る磁気センサの搬送面の例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
[第1の実施形態の説明]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る現金預払機1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る現金預払機1は、一例として、筐体2と、ディスプレイ3と、入出金口4と、カード挿入返却口5と、通帳挿入返却口6とを備えている。なお、以下の説明においては、現金預払機1に各機構部が収納されている例を示すが、現金預払機1の代わりに他の端末(例えば、現金処理機など)に各機構部が収納されていてもよい。
筐体2には、カードリーダプリンタ、紙幣入出金機、紙幣鑑別装置、金種別収納庫、一時保留部、リジェクト庫などの各機構部が収納されている。ディスプレイ3は、表示画面に直接触れて操作できる入力手段としてのタッチセンサと、操作箇所などを表示する表示手段とを兼ねている。図1に示すように、ディスプレイ3は筐体2の正面上部に設けられてもよいが、ディスプレイ3が設けられる位置は特に限定されない。
図2は、第1の実施形態に係る紙幣入出金機50の構成例を示す図である。入出金口4から投入された紙幣は、紙幣入出金機50の接客口101に収められる。なお、紙幣入出金機50は、顧客が紙幣を入金もしくは出金するための接客口101と、入金もしくは出金すべき紙幣が適切であるか否かを鑑別する紙幣鑑別装置102と、入金された紙幣を保留する一時保留部103とを備える。
また、紙幣入出金機50は、入金された紙幣や出金用紙幣を収納する金種別収納庫104、105、106と、不適切であると鑑別された紙幣を収納するリジェクト収納庫107とを備える。さらに、紙幣入出金機50は、出金用紙幣を金種別収納庫104、105、106へ補充または金種別収納庫104、105、106から出金用紙幣を回収するための補充回収カセット108を備える。また、紙幣入出金機50には、これら各部へ紙幣を搬送する搬送部H1、H2、H3、H4、H5が備わっている。なお、紙幣入出金機50には、この他に紙幣の搬送を制御するための各種の機構が設けられているが、ここでは説明の簡略化のため、図示を省略している。
ここで、本実施形態に係る技術と一般的な技術との相違を明確にするため、一般的な紙幣鑑別装置102Xについて説明する。図3は、一般的な紙幣鑑別装置102Xの側面から見た内部構成例を示す図である。また、図4は、下部ユニット201を図3の矢視方向Aに見た搬送面の例を示す図である。図3に示したように、紙幣鑑別装置102Xは、上部ユニット200と下部ユニット201との間に搬送路251を有している。
紙幣鑑別装置102Xは、上部ユニット200の反射センサ210において搬送路251を通過する紙幣への照射光および当該紙幣からの反射光を透過する光学ガラス210gを有している。光学ガラス210gの搬送面と平滑な面を構成する樹脂搬送部210mは、上部ユニット200の搬送ガイド217に嵌合する。また、紙幣鑑別装置102Xは、下部ユニット201の反射センサ211において搬送路251を通過する紙幣への照射光および当該紙幣からの反射光を透過する光学ガラス211gを有している。光学ガラス211gの搬送面と平滑な面を構成する樹脂搬送部211mは、下部ユニット201の搬送ガイド218に嵌合する。
図4に示すように、樹脂搬送部211mは、イ部およびロ部のような入れ子形状を有しており、下部ユニット201の搬送面と櫛歯様をなす。かかる構成によって、搬送路251を通過する紙幣250が下部ユニット201の搬送面と反射センサ211との境目に入り込むことを妨げることが可能となっている。樹脂搬送部210mも同様な入れ子形状を有しており、上部ユニット200の搬送面と櫛歯様をなす。かかる構成によって、搬送路251を通過する紙幣250が上部ユニット200の搬送面と反射センサ210との境目に入り込むことを妨げることが可能となっている。
さらに、紙幣鑑別装置102Xは、上部ユニット200の透過センサ発光部212において搬送路251を通過する紙幣への照射光を透過する光学ガラス212gを有している。光学ガラス212gの搬送面と平滑な面を構成する樹脂搬送部212mは、上部ユニット200の搬送ガイド217に嵌合する。照射光は、透過センサ発光部212によって照射される。また、紙幣鑑別装置102Xは、下部ユニット201の透過センサ受光部213において搬送路251を通過する紙幣によって透過された透過光を透過する光学ガラス213gを有している。光学ガラス213gの搬送面と平滑な面を構成する樹脂搬送部213mは、下部ユニット201の搬送ガイド218に嵌合する。
樹脂搬送部212mも同様な入れ子形状を有しており、上部ユニット200の搬送面と櫛歯様をなす。かかる構成によって、搬送路251を通過する紙幣250が上部ユニット200の搬送面と透過センサ発光部212との境目に入り込むことを妨げることが可能となっている。図4に示すように、樹脂搬送部213mは、ハ部およびニ部のような入れ子形状を有しており、下部ユニット201の搬送面と櫛歯様をなす。かかる構成によって、搬送路251を通過する紙幣250が下部ユニット201の搬送面と透過センサ受光部213との境目に入り込むことを妨げることが可能となっている。
さらに、紙幣鑑別装置102Xは、搬送路を通過する紙幣の磁気特性を検出する磁気センサ214を下部ユニット201に有している。磁気センサ214は、樹脂搬送部214mと平滑な面を構成する金属製カバー214p(例えば、0.2mm程度の非磁性薄板)によって覆われている。樹脂搬送部214mは、下部ユニット201の搬送ガイド218に嵌合する。図4に示すように、樹脂搬送部214mは、ホ部のような入れ子形状を有しており、下部ユニット201の搬送面と櫛歯様をなす。かかる構成によって、搬送路251を通過する紙幣250が下部ユニット201の搬送面と磁気センサ214との境目に入り込むことを妨げることが可能となっている。
以上に説明したような一般的な紙幣鑑別装置102Xにおいては、入れ子形状にそれぞれのセンサの搬送面をつなぐ必要がある。そのため、例えば、搬送ローラの配置や、ローラ間隔、センサ配置のために制約が生じ、入れ子部分を密に構成できなくなってしまった場合などには、搬送される紙幣250の端部が入れ子部分に衝突して入れ子部分に引っかかってしまうという問題があった。そこで、本明細書においては、紙幣250の搬送面を途切れのない一体で平滑な面にて構成し、入れ子形状を不要とすることによって紙幣250の搬送性能を向上させることが可能な紙幣鑑別装置102を提案する。
図5は、第1の実施形態に係る紙幣鑑別装置102の側面から見た内部構成例を示す図である。図6は、下部ユニット201aを図5の矢視方向Bに見た搬送面の例を示す図である。図5に示すように、紙幣鑑別装置102は、上部ユニット200aと下部ユニット200bとの間に搬送路251を有している。搬送ローラ203は、シャフト203aに対して回動可能に上部ユニット200aに取り付けられている。また、搬送ローラ205は、シャフト205aに対して回動可能に上部ユニット200aに取り付けられている。
搬送路251を挟んで搬送ローラ203に対向する搬送ローラ204は、シャフト204aに対して回動可能に下部ユニット201aに取り付けられている。また、搬送路251を挟んで搬送ローラ205に対向する搬送ローラ206は、シャフト206aに対して回動可能に下部ユニット201aに取り付けられている。搬送ローラ203、搬送ローラ204、搬送ローラ205および搬送ローラ206は、搬送路251を通過する紙幣250を搬送する。
厚み検出ローラ215は、ローラ支持ブラケット215aに回動可能に支持され、ローラ支持ブラケット215aは、シャフト215bに回動可能に支持され、上部ユニット200aに固定されたブラケット215cに取り付けられている。搬送路251を挟んで厚み検出ローラ215に対向するローラ202は、シャフト202aを有しており、下部ユニット201aに取り付けられている。
上部ユニット200aは紙幣250の搬送面を形成する搬送ガイド217aを有し、下部ユニット201aは紙幣250の搬送面を形成する搬送ガイド218aを有している。搬送ガイド217aおよび搬送ガイド218aのうち少なくとも何れか一方には、紙幣250に関するデータを検出するセンサが設けられる。センサによって検出されたデータは、紙幣250の金種や、汚損状態、真偽などを判定するために用いられ得る。
図5に示した例を参照すると、搬送ガイド217aには、反射センサ210および透過センサ発光部212が設けられている。また、搬送ガイド218aには、反射センサ211、透過センサ受光部213および磁気センサ214が設けられている。ローラ207は、磁気センサ214とわずかな隙間を空けて対向するようにシャフト207aに取り付けられており、下部ユニット201aに回動可能に取り付けられている。
反射センサ210は、搬送路251を通過する紙幣250に光を照射し、紙幣250によって反射された光を紙幣に関するデータとして検出する。反射センサ210は、データ検出時における紙幣250の搬送面を形成するガラスおよびガラスの周囲を覆った樹脂部材210nを有するガラス一体樹脂成型部を備える。図5に示すように、ガラスが光学ガラス210gによって構成される場合、光学ガラス210gは、紙幣250への照射光および紙幣250からの反射光を透過する。そのとき、反射センサ210は、光学ガラス210gによって透過された反射光を検出する。より詳細には、反射センサ210は、光学ガラス210gによって透過された照射光が紙幣250に到達して反射した場合、光学ガラス210gによって透過された紙幣250からの反射光を検出する。ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材210nと搬送ガイド217aとは一体に成型される。また、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材210nと搬送ガイド217aとは、平らな搬送面を形成する。
反射センサ211は、搬送路251を通過する紙幣250に光を照射し、紙幣250によって反射された光を紙幣に関するデータとして検出する。反射センサ210は、データ検出時における紙幣250の搬送面を形成するガラスおよびガラスの周囲を覆った樹脂部材211nを有するガラス一体樹脂成型部を備える。図5に示すように、ガラスが光学ガラス211gによって構成される場合、光学ガラス211gは、紙幣250への照射光および紙幣250からの反射光を透過する。そのとき、反射センサ211は、光学ガラス211gによって透過された反射光を検出する。より詳細には、反射センサ211は、光学ガラス211gによって透過された照射光が紙幣250に到達して反射した場合、光学ガラス211gによって透過された紙幣250からの反射光を検出する。ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材211nと搬送ガイド218aとは一体に成型される。また、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材211nと搬送ガイド218aとは、平らな搬送面を形成する。
透過センサ発光部212は、搬送路251を通過する紙幣250に光を照射し、透過センサ受光部213は、紙幣250によって透過された光を紙幣に関するデータとして検出する。図5に示すように、ガラスが光学ガラス212gによって構成される場合、光学ガラス212gは、紙幣250への照射光を透過する。透過センサ発光部212は、データ検出時における紙幣250の搬送面を形成するガラスおよびガラスの周囲を覆った樹脂部材212nを有するガラス一体樹脂成型部を備える。ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材212nと搬送ガイド217aとは一体に成型される。また、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材212nと搬送ガイド217aとは、平らな搬送面を形成する。
透過センサ受光部213は、データ検出時における紙幣250の搬送面を形成するガラスおよびガラスの周囲を覆った樹脂部材213nを有するガラス一体樹脂成型部を備える。図5に示すように、ガラスが光学ガラス213gによって構成される場合、光学ガラス213gは、紙幣250からの透過光を透過する。そのとき、透過センサ受光部213は、光学ガラス213gによって透過された透過光を検出する。より詳細には、透過センサ受光部213は、光学ガラス212gによって透過された透過センサ発光部212からの照射光が紙幣250および光学ガラス213gを透過した場合、その透過光を検出する。ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材213nと搬送ガイド218aとは一体に成型される。また、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材213nと搬送ガイド218aとは、平らな搬送面を形成する。
磁気センサ214は、搬送路251を通過する紙幣250の磁気情報を紙幣に関するデータとして検出する。より詳細には、紙幣250の印刷に使用されたインクが磁性を帯びているため、磁気センサ214は、インクの磁気特性を磁気情報として検出する。磁気センサ214は、磁気情報の検出時における紙幣250の搬送面を形成する樹脂部材214nを備える。樹脂部材214nと搬送ガイド218aとは一体に成型される。また、樹脂部材214nと搬送ガイド218aとは、平らな搬送面を形成する。
なお、安価でありながら耐衝撃性や耐摩耗性に優れた変性ポリフェニレンエーテルや、ABS樹脂、ポリカーボネートなどの樹脂を用いて搬送ガイドを製造するに際して、光学ガラスと周囲の樹脂との一体成型を検討したところ、低温状態において形状変化の少ない光学ガラスが周囲の樹脂の収縮により反り、割れが発生するという現象が生じ得ることが確認された。
そこで、樹脂部材211nとしては、熱による膨張率を示す線膨張係数が低く、低い圧力でも成形金型内に充填可能な流動性の高い液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂材料を用い、反射センサ211の光学ガラス211gと一体に成型されるのがよい。同様の理由により、樹脂部材213nとしても、熱可塑性樹脂材料を用い、透過センサ受光部213の光学ガラス213gと一体に成型されるのがよい。これにより、光学ガラスが樹脂の収縮により反り、割れが発生するという現象が生じる可能性を低減することができる。
続いて、第1の実施形態に係る現金預払機1の動作について説明する。現金預払機1の入出金口4から顧客によって投入された紙幣250(もしくは、紙幣入出金機50における補充回収カセット108、金種別収納庫104、105、106から搬出された紙幣250)は、各搬送路を通じて紙幣鑑別装置102に搬送される。続いて、紙幣鑑別装置102は、図示されていない回転駆動機構によりローラ202、ローラ207、搬送ローラ204および搬送ローラ206を回転させることで、搬送されてくる紙幣250を紙幣鑑別装置102の搬送路内に引き込む。続いて、紙幣鑑別装置102は、上部ユニット200aの搬送ガイド217aおよび下部ユニット201aの搬送ガイド218aに設けられた各種センサにより紙幣に関するデータを検出しつつ、紙幣250を送り出す。
以上に説明したように、第1の実施形態においては、センサがガラス一体樹脂成型部を備え、ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と搬送ガイドとは一体に成型される。かかる構成によれば、紙幣の搬送性能を向上させることが可能となる。具体的に、かかる構成によれば、搬送面において入れ子部分を持つ必要がなくなり、紙幣250の搬送の障害となる段差を解消することができ、紙幣250の折れくせなどが段差に引っ掛かるといった搬送詰まりを抑制する効果を享受し得る。
また、紙幣250を搬送する搬送路において液晶ポリマーなどの流動性の高い樹脂を搬送ガイドの主材とするのはコスト面で不適であるため、ガラスフィラーなどの添加物を多く混入したコスト面で有利な樹脂を搬送ガイドとすることが好適である。例えば、樹脂成型材料の中でも線膨張係数の低い液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂材料を光学ガラスの周囲の樹脂部材として搬送ガイドと一体成型するとよい。これにより、紙幣入出金機50の内部の稼働環境の温度変化によって生じる搬送ガイドと光学ガラスとの線膨張係数の違いによる形状変化を緩和する効果が得られ、光学ガラスの反りや割れを防止できる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
[第2の実施形態の説明]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態とガラス一体樹脂成型部の構成が異なる。したがって、本発明の第2の実施形態においては、ガラス一体樹脂成型部の構成について主に説明する。図7は、第1の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。一方、図8は、第2の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。なお、ここでは、反射センサ211のガラス一体樹脂成型部について主に説明するが、センサの種類は反射センサ211に限定されない。
図7を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部が、光学ガラス211gと光学ガラス211gの周囲を覆った樹脂部材211nとを有しており、樹脂部材211nと搬送ガイド218aとの接合部は、樹脂部材211nと搬送ガイド218aとが嵌合する構造を有している。具体的には、樹脂部材211nが凸部211n−1、211n−2を有しており、凸部211n−1、211n−2が搬送ガイド218aの凹部に嵌合する構造を有している。しかし、光学ガラス211gと樹脂部材211nとが嵌合する構造は存在していない。
一方、図8を参照すると、同様に、本発明の第2の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部は、光学ガラス211gxと光学ガラス211gxの周囲を覆った樹脂部材211nxとを有しており、樹脂部材211nxと搬送ガイド218aとの接合部は、樹脂部材211nxと搬送ガイド218aとが嵌合する構造を有している。具体的には、樹脂部材211nxが凸部211nx−1、211nx−2を有しており、凸部211nx−1、211nx−2が搬送ガイド218aの凹部に嵌合する構造を有している。
さらに、本発明の第2の実施形態において、樹脂部材211nxと光学ガラス211gxとの接合部は、樹脂部材211nxと光学ガラス211gxとが嵌合する構造を有している。具体的には、樹脂部材211nxが凸部を有しており、凸部211gx−1、211gx−2が光学ガラス211gxの凹部211gx−1、211gx−2に嵌合する構造を有している。成型工程においては、光学ガラス211gxに凹部211gx−1、211gx−2が施された上で、樹脂部材211nxと光学ガラス211gxとが一体成型される。
かかる構成により、光学ガラス211gxと樹脂部材211nxとの接合強度をより向上させることが可能となる。また、かかる構成により、反射センサ211の密閉性をより向上させることが可能となり、例えば、紙粉などの粒子がセンサ内部に混入することを防止することが可能となる。また、紙幣に関するデータを検出するに際して光学検出性能の低下を防ぐことが可能となる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
[第3の実施形態の説明]
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態は、本発明の第1の実施形態とガラス一体樹脂成型部の構成が異なる。したがって、本発明の第3の実施形態においては、ガラス一体樹脂成型部の構成について主に説明する。図9は、第3の実施形態に係るガラス一体樹脂成型部の構成例を示す図である。なお、ここでは、反射センサ211のガラス一体樹脂成型部について主に説明するが、センサの種類は反射センサ211に限定されない。
図9を参照すると、本発明の第3の実施形態においては、光学ガラス211gの端部(例えば、光学ガラス211gの長手方向端部の片側)に白基準テープ211wが接着されている。また、反射センサ211は、白基準テープ211wを覆う保持部211vを備えている。成型工程においては、光学ガラス211gに白基準テープ211wが接着された上で、樹脂部材211nと光学ガラス211gとが一体成型される。例えば、図9(a)に示すように、保持部211vの端部は傾斜していてもよい。
かかる構成により、白基準テープ211wを搬送面に露出させないようにすることが可能である。また、かかる構成によれば、搬送面側から白基準テープ211wを貼り付けて摩耗や汚れ付着を防止するための層を別途塗布するオーバーコートの工程を省略することができるため、作業時間を短縮して製造効率を改善することが可能となる。
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
[第4の実施形態の説明]
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態は、本発明の第1の実施形態と磁気センサ214の構成が異なる。したがって、本発明の第4の実施形態においては、磁気センサ214の構成について主に説明する。図10は、第4の実施形態に係る磁気センサ214の搬送面の例を示す図である。
上記したように、磁気センサ214は、紙幣250の印刷に使用されたインクの磁気特性を検出する。そこで、インクの磁気特性が磁気センサ214によって容易に検出されるようにするため、磁気センサ214の内部素子を樹脂部材214nの搬送面に近づけるようにするのがよい。具体的には、図10に示したように、磁気センサ214の樹脂部材214nは、搬送ガイド218aの厚みよりも薄く形成された薄肉部214tを有するとよい。このようにすれば、薄肉部214tに磁気センサを直接取り付ければよいため、金属製カバー214pを設けずに済み、部品点数の削減および組立手順の短縮が実現される。
このような薄肉部214tを成型するためには、高流動性樹脂材料(例えば、流動性の高い液晶ポリマー)を薄肉部214tとして用いるのが好適である。すなわち、樹脂部材214nを構成する樹脂の種類のうち、少なくとも1種類は高流動性樹脂材料であるとよい。薄肉部214tの厚みは、例えば、0.2mm〜0.5mmであってもよい。高流動性樹脂材料を薄肉部214tとして用いれば、薄肉部214tの厚みを0.2mm〜0.5mmとすることも可能である。
かかる構成によれば、磁気センサ214を配置する搬送ガイド218aの高さ調節作業を省略することが可能となり、製造上の効率化を実現することが可能となる。また、樹脂部材214nが薄肉部214tを有することにより、磁気センサ214と搬送路251との距離を狭めることが可能となり、磁気特性の検出範囲を広げることが可能となる。
上記したように、樹脂部材214nを構成する樹脂の種類のうち、少なくとも1種類は高流動性樹脂材料であるとよいが、樹脂部材214nは、薄肉部214tとその他の部分とにおいて異なる2種類以上の材料によって一体成型されてもよい。これにより、紙幣が段差に衝突することによる搬送不良を解消することが可能となる。また、高流動性樹脂材料は高価なことがよくあるため、その必要量を少なく抑えることによってコストを低減することが可能となるという効果を享受し得る。
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
[変形例の説明]
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第2の実施形態においては、光学ガラスの端部に凹部を設けることによって樹脂部材との接合強度の向上と密閉性確保との両方を実現する技術を説明した。しかし、光学ガラスの端部に複数の穴状部を施した上で、光学ガラスと樹脂部材とを一体成型してもよい。このように光学ガラスに複数の穴状部を施すようにしても、樹脂部材との接合強度の向上と密閉性確保との両方を実現することが可能である。
102 紙幣鑑別装置
203、204、205、206 搬送ローラ
210 反射センサ
210g、211g、212g、213g 光学ガラス
211 反射センサ
212 透過センサ発光部
213 透過センサ受光部
214 磁気センサ
217a、218a 搬送ガイド
210n、211n、212n、213n、214n 樹脂部材
211w 白基準テープ
211v 保持部
214t 薄肉部
250 紙幣

Claims (9)

  1. 紙幣を搬送する搬送ローラと、
    前記紙幣の搬送面を形成する搬送ガイドと、
    前記紙幣に関するデータを検出するセンサと、
    前記データの検出時における前記紙幣の搬送面を形成するガラスおよび当該ガラスの周囲を覆った樹脂部材を有するガラス一体樹脂成型部と、を備え、
    前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとは一体に成型される、
    紙幣鑑別装置。
  2. 前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとは、平らな搬送面を形成する、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  3. 前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとの接合部は、前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記搬送ガイドとが嵌合する構造を有する、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  4. 前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記ガラスとの接合部は、前記ガラス一体樹脂成型部が有する樹脂部材と前記ガラスとが嵌合する構造を有する、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  5. 前記ガラスの端部に白基準テープが接着され、前記センサは、前記白基準テープを覆う保持部を備える、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  6. 前記ガラスは、紙幣への照射光および紙幣からの反射光を透過する光学ガラスを含み、前記センサは、前記光学ガラスによって透過された前記反射光を検出する反射センサを含む、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  7. 前記センサは、前記紙幣を透過した透過光を透過する光学ガラスを含み、前記ガラスは、前記光学ガラスによって透過された前記透過光を検出する透過センサを含む、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  8. 前記紙幣鑑別装置は、前記紙幣の磁気情報を検出する磁気センサを含み、前記磁気センサは、前記磁気情報の検出時における前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材を有し、前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材と前記搬送ガイドとは一体に成型される、
    請求項1に記載の紙幣鑑別装置。
  9. 前記紙幣の搬送面を形成する樹脂部材は、前記搬送ガイドの厚みよりも薄く形成される、
    請求項8に記載の紙幣鑑別装置。


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