以下、本実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、被検者の左右方向をX軸方向、被検者の上下方向をY軸方向、被検者の前後方向をZ軸方向として説明する。図1は本実施形態に係る眼鏡装用パラメータ測定装置1の構成を説明するための図である。図2は、遠用測定時における本実施形態の眼鏡装用パラメータ測定装置1をYZ平面で切ったときの断面図である。
<概要>
本装置1は、正面撮像光学系(例えば、撮像光学系200b、撮像光学系300b)と、側方撮像光学系500と、表示制御手段(例えば、制御部70)と、を主に備える(図1参照)。正面撮像光学系は、例えば、眼鏡フレームFを装用した被検者の正面画像620を撮像してもよい。正面撮像光学系は、例えば、被検者に対する撮像距離を変更可能であってもよい。側方撮像光学系500は、例えば、眼鏡フレームFを装用した被検者の側方画像(例えば、左側方画像621、右側方画像622)を撮像してもよい(図5参照)。なお、被検者が眼鏡フレームを装用していない状態において、本装置が利用されてもよい。例えば、遠方視と近方視における瞳孔位置の変化をモニタリングするために用いられても良い。本装置1は、例えば、正面画像620及び側方画像に基づいて眼鏡装用パラメータを測定してもよい。
表示制御手段は、正面撮像光学系によって撮像された正面画像620と、側方撮像光学系500によって撮像された側方画像と、を表示部15に表示してもよい。表示部15に表示される正面画像620、側方画像は、生画像であってもよいし、画像処理(例えば、ノイズ除去処理)が施された画像であってもよい。表示制御手段は、正面画像、側方画像を並列して同時に表示してもよい。また、制御部は、正面画像、側方画像を別タイミングで表示してもよい。
<倍率補正手段>
なお、本装置1は、倍率補正手段(例えば、制御部70)を備える(図1参照)。倍率補正手段は、表示部15に表示される正面画像620と側方画像との間の縮尺が撮像距離の変更に関わらず等しくなるように、正面画像620と側方画像の少なくともいずれかの倍率を撮像距離の変化に応じて補正してもよい(図5参照)。
なお、倍率補正手段は、被検者に対する正面撮像光学系の撮像距離が変更される場合であっても、側方画像と、撮像距離が変更された後に表示される正面画像620との縮尺が等しくなるように、撮像距離が変更された後に正面撮像光学系によって撮像された正面画像の倍率を補正すると共に、側方画像の倍率を維持してもよい。正面画像と側方画像とを同じ縮尺で表示する場合、完全に同一の縮尺とする必要は必ずしもなく、検者が同一の縮尺とみなせる程度であればよい。
なお、撮像光学系は、撮像距離が異なる少なくとも2つの正面画像を撮像可能であってもよい。例えば、倍率補正手段は、被検者に対する正面撮像光学系の撮像距離が変更される場合において、第1の正面画像(予め表示された正面画像620)と、第2の正面画像(撮像距離が変更された後に表示される正面画像620である)との縮尺が等しくなるように、撮像距離が変更された後に正面撮像光学系によって撮像された正面画像620の倍率を補正してもよい。
なお、正面画像620と側方画像を表示する場合、表示制御手段は、撮像距離の変更前に予め取得された側方画像を表示しても良いし、撮像距離の変更後に取得された側方画像を表示してもよい。また、正面画像620と側方画像を表示する場合、制御部は、正面画像及び側方画像の少なくともいずれかは、静止画像であってもよい。また、正面画像と側方画像を表示する場合、制御部は、正面画像及び側方画像の少なくともいずれかは、動画像であってもよい。
なお、例えば、倍率補正手段は、被検者に対する正面撮像光学系の撮像距離が変更される場合において、側方画像と、撮像距離が変更された後に表示される正面画像との縮尺が等しくなるように、撮像距離が変更された後に正面撮像光学系によって撮像された正面画像の倍率を補正してもよい。画像の倍率を補正する場合、画像の撮影倍率を補正してもよいし、画像の表示倍率を補正してもよい。
<固視標呈示光学系>
なお、本装置1は、固視標呈示光学系(例えば、固視標投影光学系200a,300a)をさらに備えてもよい(図2参照)。固視標呈示光学系は、被検者を固視させるための固視標(例えば、光源220,320など)を備え、被検者に対する固視標の呈示距離を変更可能である。
正面撮像光学系は、呈示距離の変更に応じて撮像距離を変更可能であってもよい。また、正面撮像光学系は、例えば、絞り(例えば、絞り214,314)を介して正面画像620を撮像してもよい。
なお、固視標呈示光学系は、前記正面撮像光学系と光路の一部を共用してもよい。固視標呈示光学系は、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離を、遠方と近方との間で切り換えてもよいし、近方での呈示距離を変更してもよい。この場合、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離と、被検眼に対する撮像光学系の撮像距離は、一対の関係にあるので、倍率補正手段は、被検眼に対する撮像光学系の撮像距離に応じた倍率補正として、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離に応じた倍率補正を行うようにしてもよい。
<距離可変ユニット>
正面撮像光学系は、距離可変ユニット(例えば、光学系移動ユニット350)を備えてもよい。距離可変ユニットは、呈示距離が変更された場合において、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離と、被検眼に対する絞りの光学的な距離が等しくなるように、被検眼に対する絞りの光学的な距離を変更してもよい。被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離と、被検眼に対する絞りの光学的な距離とが同一に調整されるので、例えば、眼鏡レンズ上の視線が通過する位置を求める際の補正計算の必要が必ずしもなくなる。
なお、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離は、固視標呈示光学系の少なくとも一部の光学部材を移動させることによって調整される。被検眼に対する絞りの光学的な距離は、撮像光学系の少なくとも一部の光学部材を移動させることによって調整される。
正面撮像光学系は、例えば、被検者に対する撮像距離(例えば、眼から撮像素子までの光学的な距離)を変更可能であってよい。さらに、正面撮像光学系は、被検眼に対する固視標の光学的な呈示距離の変更に応じて被検者に対する撮像距離を変更してもよい。
<表示レイアウトについて>
なお、表示制御手段は、正面画像620及び右側方画像622及び左側方画像621を表示部15に同時に表示してもよい(図5参照)。表示部15は、一つ又は複数であってもよい。
また、表示制御手段は、表示部15の同一画面上において、正面画像620の右側に左側方画像621を表示させ、正面画像620の左側に被検者の右側方画像622を表示させてもよい。
また、例えば、表示制御手段は、正面画像620の表示領域における中心位置を基準として、左側方画像621の表示領域と、右側方画像622の表示領域とを左右対称に配置してもよい。
<反転処理手段>
なお、本装置1は、反転処理手段を備えてもよい。反転処理手段は、例えば、ミラー(例えば、ミラー530L,530)を介して撮像する側方撮像光学系500によって撮像された右側方画像622及び左側方画像621をそれぞれ左右反転して表示部15に表示してもよい。
反転処理手段として、例えば、撮像信号を反転して出力する撮像素子を用いてもよいし、表示制御手段での画像処理によって反転してもよい。
<対応表示>
なお、本装置1は、位置情報検出手段(例えば、制御部70)を備えてもよい(図1,4参照)。位置情報検出手段は、被検者の眼又は眼鏡に関する位置を規定するための位置情報を、正面画像620、側方画像の一方の画像(第1画像ともいえる)に基づいて検出してもよい(図5参照)。なお、眼鏡とは、例えば、眼鏡フレーム及びレンズを含まれる。正面画像620及び側方画像は、例えば、眼鏡フレームF及び被検眼を含む。
この場合、表示制御手段は、位置情報検出手段によって検出された位置情報に基づいて、正面画像620、側方画像621,622の他方の画像(第2画像ともいえる)の表示領域に対し、位置情報に対応する対応表示(例えば、水平線Ih1と水平線Ih3、フレーム下端線Fh1とフレーム下端線Fh3など)を行ってもよい。
例えば、位置情報検出手段は、正面画像620に基づいて被検者の眼又は眼鏡に関する位置を規定するための位置情報を検出してもよい。そして、表示制御手段は、検出した位置情報に基づいて、側方画像の表示領域に対し、位置情報に対応する対応表示を行ってもよい。もちろん、逆の場合でもよい。
また、他方の画像の表示領域に対して表示された対応表示を第1対応表示とすると、表示制御手段は、正面画像620、側方画像の一方の画像の表示領域に対し、位置情報に対応する第2の対応表示を行ってもよい。例えば、表示制御手段は、対応する画像の両方に対応表示を行ってもよい。
なお、本装置1は、指示受付手段を備えてもよい。指示受付手段は、検者の指示を受付ける。位置検出手段は、指示受付手段からの指示信号に基づいて位置情報を検出してもよい。
位置情報検出手段は、例えば、正面画像620又は側方画像の一方に対する画像処理によって被検者の眼又は眼鏡に関する位置を規定するための位置情報を検出してもよい。また、位置情報検出手段は、例えば、正面画像620又は側方画像の少なくとも一方に対する検者からの指示信号を受け付けることによって、被検者の眼又は眼鏡に関する位置情報を検出してもよい。なお、位置情報検出手段は、これらを併用してよい。または、画像処理による位置検出結果が、検者からの指示信号に基づいて調整されてもよい。
位置情報検出手段は、位置情報を検出する場合、一方の画像を含む両方の画像に基づいて位置情報を検出してもよい。例えば、両画像における平均位置が検出され、その結果が他方の画像に重ねて表示されてもよい。
他方の画像の表示領域に対する位置情報の表示方法としては、例えば、他方の画像の対応位置へのマーキング表示であってもよい。また、他方の画像の対応位置と、他の位置とが異なる表示形態(例えば、異なる色、異なる階調等)で表示されても良い。
また、他方の画像の表示領域上に位置情報が表示されてもよい。また、他方の画像の表示領域の近傍に位置情報が表示され、その位置情報に一致させるために他方の画像上で移動可能なラインが電子的に表示されてもよい。
なお、表示制御手段は、正面画像620において、第1の指標(例えば、水平線Ih1、フレーム下端線Fh1など)を表示すると共に、側方画像において、第1の指標の高さに対応する第2の指標(例えば、水平線Ih3、フレーム下端線Fh3など)を表示してもよい。この場合、位置情報検出手段は、第1の指標、第2の指標の一方を移動させるための指示受付手段からの指示信号に基づいて位置情報を検出してもよい。
また、このとき、表示制御手段は、位置情報の検出結果に基づいて、第1の指標、第2の指標の他方を同期して移動させることによって、正面画像620、側方画像の他方の画像の表示領域に対する対応表示の表示位置を変更してもよい。指標には、点、線、領域などが用いられてもよい。
同期表示としては、例えば、一方の指標の移動と同時に、他方の指標が連動して移動されるような表示制御であってもよい。同期表示としては、例えば、一方の画像上の一点がクリックされたときに、他方の画像の指標が移動されるような表示制御であってもよい。
なお、本装置1は、位置情報が表示された他方の画像の表示領域に対する指示受付手段からの指示信号に基づいて、他方の画像での被検者の眼又は眼鏡に関する位置を規定するための位置情報を検出する第2位置情報検出手段を備えてもよい。
<実施形態>
図1は、本実施例に係る眼鏡適合用画像解析装置1の外観の概略構成図である。図2は、本実施例に係る眼鏡適合用画像解析装置1に収納される光学系の概略構成図である。以下、図1及び図2を参照して、本実施例に係る眼鏡適合用画像解析装置1の構成について説明する。図1に示されるように、眼鏡適合用画像解析装置の装置本体3の内部には、後述する種々の測定光学系、駆動系、制御系等が備わる。装置本体3の被検者側には呈示窓5が備わる。呈示窓6は、被検者に固視標を呈示する際に、固視光束を通過させる窓である。同じく装置本体3の被検者側には顔支持ユニット5が備わる。顔支持ユニット5は、被検者の顔を支持するためのユニットである。装置本体3の検者側には操作ユニット(操作部)10が備わる。
<操作ユニット>
操作ユニット10は、入力された操作指示に応じた信号を後述する制御部70に出力する。本実施例における操作ユニット10は、タッチパネル式の表示部15が用いられる。すなわち、本実施例においては、操作ユニットと表示部が兼用される。もちろん、操作ユニットと表示部が別に設けられた構成であってもよい。例えば、操作ユニット10には、マウス、ジョイスティック、キーボード等の操作手段の少なくともいずれかを用いる構成が挙げられる。例えば、表示部15は、眼鏡装用パラメータ測定装置1の本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。もちろん、タッチパネル式でなくともよい。例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。また、例えば、複数のディスプレイが併用されてもよい。表示部15には、撮影された遠方視及び近方視状態の正面画像又は側方画像を含む各種画像、及び解析結果が表示されてもよい。
<顔支持ユニット>
顔支持ユニット5は、被検者の額を支持する。そして、顔支持ユニット5は、後述する測定光学系(例えば、遠用測定光学系200,近用測定光学系300,反射ミラー410等)と被検者との距離を一定にする。また、顔支持ユニット5は、被検者の左右方向に回転可能であり、被検者の顔の向きを調整することができる。これによって、被検者の顔の向きが左右方向のいずれかにずれている場合、被検者の顔が正面を向くように、顔支持ユニット30を回転させることができる。
顔支持ユニット5は、当節部31、作動距離調節部40、左右回転調節部50を主に備える。当接部31は、被検者の顔に接触する部分である。作動距離調節部40は、被検者と後述の測定光学系との距離を調節するために当接部31の位置をZ軸方向に調節する。例えば、本実施例において、検者によって作動距離調節部40の調節ノブ41が操作されることによって、当接部31のZ軸方向(作動距離方向)における位置が調節される。水平回旋調節部50は、被検者の顔が正面を向くように、当接部31の左右方向の角度を調節する。例えば、本実施例において、検者によって左右回転調整部50の調節ノブ51が操作されることによって、当接部31の左右方向の角度が調節される。
なお、顔支持ユニット5は本実施形態の構成に限定されない。本実施例においては、被検者の額を支持するものとして説明したが、被検者のあごでもよいし、頬、鼻などでもよい。被検者の顔を支持する構成であればよい。また、本実施例において、顔支持ユニット5は、検者が調節ノブ41,51を操作することによって、当接部31の位置が調節される構成としたがこれに限定されない。顔支持ユニット5は、モータ等の駆動部を有し、操作ユニット10の操作等によって、電動で当接部31の位置が調整される構成としてもよい。
<光学系>
次に、図2を参照して、本実施例に係る眼鏡適合用画像解析装置1に収納される光学系について説明する。本実施例の眼鏡適合用画像解析装置1は、照明光学系110、遠用測定光学系200、近用測定光学系300、光路切換ユニット400と、側方撮像光学系500、を主に備える。
本実施例において、遠用測定光学系200、近用測定光学系300、被検者の正面画像を撮影するために用いられる。また、側方撮像光学系500は、被検者の側方画像を撮影するために用いられる。
<照明光学系>
照明光学系110は、4つの光源110R,110L,111R,111L(図2では、110L、111Lを省略)を主に備える。照明光学系110は、光源110R,110L,111R,111Lによって、四方向から被検者の顔を照明する。もちろん、照明光学系110は上記の構成に限らない。光源の数はいくつでもよく、配置も任意でよい。照明光学系110は、光源によって被検者の顔を照明することができればよい。例えば、照明光学系110は、顔支持ユニット5の下部、呈示窓6の上部に設けられてもよい。
なお、本実施例の照明光学系110においては、赤外光源を用いる。赤外光源と、後述する赤外フィルタ等を用いることによって、外乱光(自然光など)の影響を抑えることができる。ただし、赤外光源でなくてもよく、可視光源を用いてもよい。
<遠用測定光学系>
図2に基づいて、遠用測定光学系(以下、第1測定光学系とも言う)200について説明する。遠用測定光学系200は、眼鏡フレームに対する遠方視状態における被検眼Eの眼位置を測定するための光学系である。遠用測定光学系200は、第1の固視標投影光学系200aと第1の撮像光学系200bに分けられる。なお、遠用測定光学系200の測定光軸を光軸L1とする。
固視標投影光学系200aは、被検者を遠方視状態に固視させるための遠用固視標を被検眼Eに投影する。固視標投影光学系200aは、光源220、ハーフミラー230、凹面ミラー240を主に備える。光源220は、被検眼Eに投影される固視標として機能する。凹面ミラー240は、光源220から出射される固視標光束を略平行光束にして反射する(又は所定の遠用呈示距離になるように反射する)。
光源220からの出射された固視標光束は、ハーフミラー230によって反射され、後述する被検者からの反射光束と同軸にされる。ハーフミラー230によって反射された固視標光束は、凹面ミラー240によって反射される。凹面ミラー240に反射された固視標光束は、後述する反射ミラー410によって反射され、呈示窓6を通過して被検眼Eに入射する。凹面ミラー240は、固視標光束を略平行光束にするように反射する(又は所定の遠用呈示距離になるように反射する)。このため、被検者から見た固視標は、被検眼Eから光源220までの実際の距離よりも遠方にあるように見える。その後、固視標光束は、後述の反射ミラー410によって反射され、呈示窓6を通過して被検眼Eに入射する。
撮像光学系200bは、遠方視状態における被検者の顔を正面方向から撮影する。なお、被検者の顔とは、被検者の顔全体でなくてもよく、少なくとも被検眼Eの周辺領域(例えば、少なくとも左右眼及び眼鏡フレームを含む被検者の顔の正面画像であってもよい)を指す。撮像光学系200bは、撮像素子210、撮像レンズ212、絞り214、赤外フィルタ216、ハーフミラー230、凹面ミラー240を主に備える。
照明光学系110からの照明光は、被検者の顔によって反射されて、呈示窓6を通過する。呈示窓6を通過した照明光は、反射ミラー410によって反射される。反射ミラー410によって反射された反射光は、凹面ミラー240によって反射された後、ハーフミラー230を通り、赤外フィルタ216を通過する。赤外フィルタ216を通過した赤外光は、絞り214を通過し、撮像レンズ212によって収束された後、撮像素子210の上に像を結ぶ。撮像素子210は瞳と共役な位置関係にある。撮像素子210は、光を検出し、そのときの検出信号を制御部70に出力する。
<近用測定光学系>
近用測定光学系(以下、第2測定光学系とも言う)300は、近方視状態における被検眼Eの眼位置を測定するための光学系である。近用測定光学系300は、第2の固視標投影光学系300aと第2の撮像光学系300bに分けられる。
固視標投影光学系300aは、被検者を近方視状態に固視させるための近用固視標を被検眼Eに投影する。固視標投影光学系300aは、光源320、ハーフミラー330、凸レンズ340を主に備える。光源320は、被検眼Eに投影される固視標として機能する。
光源320からの出射された固視標光束は、ハーフミラー330によって反射され、光軸L2と同軸とされる。ハーフミラー330によって反射された固視標光束は、凸レンズ340を通過し、収束される。その後、固視標光束は、後述の反射ミラー410によって反射され、呈示窓20を通過して被検眼Eに入射する。
撮像光学系300bは、近方視状態における被検者の顔を正面方向から撮影する。撮像光学系300bは、撮像素子310、撮像レンズ312、絞り314、赤外フィルタ316、ハーフミラー330、凸レンズ340を主に備える。
被検者の顔を照明する照明光学系110からの照明光は、呈示窓6を通過し、反射ミラー410によって反射される。反射ミラー410によって反射された反射光は凸レンズを通過し、収束される。収束されたこの光束は、ハーフミラー330を通り、赤外フィルタ316を通過する。赤外フィルタ316を通過した赤外光は、絞り314を通過し、撮像レンズ312によって収束された後、撮像素子310の上に像を結ぶ。撮像素子310は、瞳と共役な位置関係にある。撮像素子310は、光を検出し、そのときの検出信号を制御部70に出力する。
<光学系移動ユニット>
近用測定光学系300は、光学系移動ユニット350を備える。光学系移動ユニット350は、近用測定光学系300を移動可能に保持する。光学系移動ユニット350は、近用測定のときに、後述する反射ミラー410の角度の変更にともなって、近用測定光学系300の全体を移動させることができる。
ところで、後述する光路切換ユニット400によって反射ミラー410の角度が変更されると、固視標投影光学系300aの光路(指標の呈示距離)、及び第2の撮像光学系300bの光路が変化してしまう。そこで、本実施形態の光学系移動ユニット350は、反射ミラー410の角度の変更にともなって、近用測定光学系300の全体を移動させる。これによって、反射ミラー410の角度が変更された場合であっても、近用視標の呈示距離が維持される。また、第2の撮像光学系300bの被検眼Eに対するフォーカス状態が維持される。
また、光学系移動ユニット350は、呈示距離を調節するための凸レンズ340と、固視標を投影するための光源320を別々に移動させることが可能である。これによって、光学系移動ユニット350は、凸レンズ340と光源320の相対的な距離を変化させ、固視標の呈示距離を変更することができる。なお、光学系移動ユニット350は、例えば、モータや等の図示無き駆動部を用いて、駆動部を駆動させることによって、光学部材を移動させる。
<光路切換ユニット>
図2に戻って、光路切換ユニット400について説明する。光路切換ユニットは、遠用測定用光学系200と、近用測定用光学系300の光路を切り換える。また、光路切り換えユニット400は、近用測定時における被検者の視線方向を変化させる。
光路切換ユニット400は、反射ミラー410、ミラー保持部420、駆動部440を主に備える。
反射ミラー410は、ミラー保持部420に保持される。ミラー保持部420の上部は、装置に固定された回転シャフト425に保持される。ミラー保持部420は、回転シャフト425の回転軸を中心に回旋可能とされる。このとき、ミラー保持部420は、反射ミラー410と一体的に回旋される。反射ミラー410は、遠用測定光学系200または近用測定光学系300から出射される視標光束を被検眼Eに向けて反射させる。駆動部440は、図示無きリンク機構部によって、ミラー保持部420の裏面と連結される。駆動部440が駆動されることによって、駆動部の駆動力が図示無きリンク機構部を介して、ミラー保持部420に伝達される。ミラー保持部420は、リンク機構部430から伝達された駆動力によって回転シャフト425を中心に回旋される。ミラー保持部が回旋されることによって、回転シャフト425を中心に、反射ミラー410が回旋移動をする。
反射ミラー420が回旋されることによって、視標光束の光路が変更され、被検眼Eに投影される固視標の呈示位置が変更される。固視標の呈示位置が変更されることで、被検者の視線方向が変更される。例えば、反射ミラーをA方向に回転させる(実線部から点線部へ移動される)ことによって、被検者の撮影を行うための光路が、遠用測定用光学系200の光路から近用測定用光学系300の光路へと切り換えられる。このように、光路切換ユニット400は、反射ミラー410を回旋させることで固視標の呈示位置を変化させ、被検者の視線方向を上下方向に変化させる。
<側方撮像光学系>
図3は、側方撮像光学系500の概略構成図を示している。側方撮像光学系500は、被検者を側方から撮影することによって被検者の側方画像を取得する。図3に示されるように、側方撮像光学系500は、被検者の顔が支持される位置の左右方向に固定されている。
本実施例の側方撮像光学系500は、被検者の左側に配置される左方撮像光学系500Lと、被検者の右側に配置される右方撮像光学系500Rに大別される。左方撮像光学系500Lは被検者を左側方から撮影する。右方撮像光学系500Rは、被検者を右側方から撮影する。
左方撮像光学系500Lは、ミラー530L、赤外フィルタ540L、絞り550L、撮像レンズ560L、撮像素子570L、を主に備える。
同様に、右方撮像光学系500Rは、ミラー530R、赤外フィルタ540R、絞り550R、撮像レンズ560R、撮像素子570R、を主に備える。なお、以下の説明においては、便宜上、赤外フィルタ540L,540R、絞り550L,550R、撮像レンズ560L,560R、撮像素子570L,570Rの各部材をまとめて、撮像部575L,575Rと記載する。
赤外フィルタ540L,540Rは可視光を吸収し、赤外光を通過させる。撮像素子570L,570Rには、赤外フィルタ540L,540Rを通過した赤外光が受光される。
なお、本実施例における調節光源590L,590Rには、赤外光源が用いられる。赤外光源と赤外フィルタを用いることによって、撮像レンズ等が外乱光によって照明され、側方画像に写ることを防ぐことができる。しかし、必ずしも赤外光源を用いる必要はない。可視光源等を用いてもよい。この場合、赤外フィルタは不要となる。
以下、左方撮像光学系500Lを例に挙げて側方画像の撮像について説明する。照明光学系110からの照明光束は、被検者の顔と眼鏡フレームFに反射される。反射された照明光束は、左方撮像光学系500Lに入射する。その後、照明光束は、ミラー530Lによって反射される。ミラー530Lによって反射された反射光束は、赤外フィルタ540Lを通過する。赤外フィルタ540Lを通過した赤外光は、絞り550Lを通過した後、撮像レンズ560Lによって集光され、撮像素子570Lの撮像面上に像を結ぶ。撮像素子570Lは、検出した撮像画像を制御部70に送信する。このようにして、撮像素子570Lは、被検者の左側の側方画像が撮像される。また、左方撮像光学系500Lと同様にして、右方撮像光学系500Rによって、被検者の右側の側方画像が撮像される。
なお、本実施形態の左右の側方撮像光学系500L,500Rの測定光軸は、遠用測定光学系200の測定光軸L1と、Y軸方向の高さが一致するように設定されている。
<制御部>
図4は本実施例の制御系を示すブロック図である。制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部70のCPUは、眼鏡適合用画像解析装置1の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、眼鏡適合用画像解析装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。
制御部70には、不揮発性メモリ(以下、メモリに省略する)72、操作ユニット10、光源110L,110R,111L,110R,220,320、撮像素子210,310,570L,570R、光学系移動ユニット350の駆動部、駆動部440、等が電気的に接続されている。
メモリ72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、眼鏡適合用画像解析装置1に着脱可能に装着されるUSBメモリ等をメモリ72として使用することができる。メモリ72には、眼鏡適合用画像解析装置1による遠方視画像又は近方視画像、側方画像の撮影を制御するための撮影制御プログラム、遠方視画像又は近方視画像、側方画像を処理する画像処理プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、撮影された遠方視画像又は近方視画像、側方画像の撮影位置の情報等、撮影に関する各種情報が記憶される。操作ユニット10には、検者による各種操作指示が入力される。
<正面画像の自動解析方法>
以下、自動解析方法の一例を簡単に説明する。制御部70は、画像処理によって正面画像より、瞳孔情報(例えば、瞳孔位置、瞳孔径等)およびフレーム情報(例えば、フレームの幅、フレーム位置等)を検出する。そして、制御部70は、検出結果に基づいて、各種眼鏡装用パラメータを測定する。眼鏡装用パラメータとは、例えば、瞳孔間距離、アイポジション高さである。ここで、アイポジション高さとは、眼鏡レンズ面の底部から瞳孔までの高さとする。
<側方画像の自動解析方法>
また、制御部70は、画像処理によって側方画像より眼鏡装用パラメータ(例えば、前傾角)を検出してもよい。
本実施形態では、前傾角は、レンズの光軸と、第1眼位にある眼の視軸(通常、水平方向にある)との垂直面内の角度として規定される。例えば、フレーム上の少なくとも2点を結び、これをレンズ面の傾きと仮定し、前傾角を求める。この2点は、制御部70によって自動で検出されてもよいし、検者によって手動で任意に指定されてもよい。
<表示部への出力>
画像の解析が終了すると、制御部70は、撮影画像、及び解析によって得られたパラメータ等を表示部15に表示させる(図5参照)。なお、制御部70は、各種制御処理を司るプロセッサ(例えば、CPU)と、解析プログラムを記憶する記憶媒体とを備える。プロセッサは、解析プログラムに従って、以下説明する処理を実行する。
図5のように、例えば、制御部70は、解析に用いた撮影画像を表示する。撮影画像として、例えば、正面画像620と、左側方画像621と、右側方画像622等の撮影画像が表示される。正面画像620と、左側方画像621と、右側方画像622には、例えば、被検眼、眼鏡フレームがそれぞれ含まれる。
正面画像620は、遠用測定光学系200の撮像素子210、または近用測定光学系300の撮像素子310によって撮像された被検者の顔の正面画像である。正面画像620は、例えば、被検者の両眼、及び眼鏡フレームの正面画像が含まれる。
左側方画像621は、側方撮像光学系500Lによって撮像された被検者の顔の左側方画像(側面画像)である。逆にいえば、左側方画像621は、被検者と対面する検者にとって右手方向から被検者を見たときの画像である。左側方画像621には、被検者の左眼、及び眼鏡フレームの左側方画像が含まれる。
右側方画像622は、側方撮像光学系500Rによって撮像された被検者の顔の右側方画像(側面画像)である。逆にいえば、右側方画像622は、被検者と対面する検者の左手方向から被検者を見たときの画像である。右側方画像622には、被検者の右眼、及び眼鏡フレームの右側方画像が含まれる。
左側方画像621は、表示部15に表示された正面画像620の右側に表示される。つまり、左側方画像621は、検者が表示部15の表示画面を見た場合、正面画像に対して右側に形成される。右側方画像622は、表示部15に表示された正面画像620の左側に表示される。つまり、右側方画像622は、検者が表示部15の表示画面を見た場合、正面画像に対して左側に形成される。
なお、前述のように、本実施形態の遠用測定光学系200の測定光軸L1と、左右の側方撮像光学系500L,500Rの測定光軸は、Y軸方向の高さが一致している。制御部70は、正面画像620及び左右の側方画像621,622を表示する際、各画像上における各光学系の測定光軸に対応する位置が一致するように、各画像の高さを一致させてもよい。結果として、例えば、正面画像620に写った角膜頂点の位置と、側方画像621,622に写った角膜頂点の位置は、画面上に同じ高さで表示される。
このように、本実施形態の表示部15には、被検者の正面画像620及び左右の側方画像621,622が三面投影図のように表示される。ここで、三面投影図とは、正面図に描かれた物体を左から投影した図を正面図の左側に、右から投影した図を正面図の右側に配置した図を示すこととする。つまり、本実施形態においては、対面した被検者の顔を左から見た様子が、正面画像620の左側に同じ高さで表示される。同様に、対面した被検者の顔を右から見た様子が、正面画像620の右側に同じ高さで表示される。
本実施形態のように、左右の側方画像621,622が表示されていることによって、被検者の顔が左右方向に振れているかどうか容易に観察できる。例えば、本実施形態において、被検者の顔が正面を向いている場合、左右の側方画像621,622は、正面画像620を中心として左右対称的な位置に表示される。一方、左右の側方画像621,622が正面画像620を中心として左右非対称的な位置に表示されている場合、検者は、被検者の顔が左右方向に振れていることが確認できる。
このような場合、左右の側方画像621,622が正面画像620を中心として左右対称的になるように顔支持ユニット5を調節することによって、被検者の顔の振れを調整することができる。仮に、側方画像621,622が左右どちらか一方だけ表示されている場合は、側方画像を観察しても、顔支持ユニット5の調節具合を判断することは難しい。
また、左右の側方画像621,622が表示されていることによって、後述のように、前傾角や眼鏡装用距離等を測定することができる。
なお、制御部70は、解析によって取得した解析結果(眼球回旋中心位置)を左右の側方画像621,622に表示させてもよい。例えば、眼球回旋中心は、正面画像620に表示するよりも、側方画像621、622に表示した方が、眼球がどこを中心に回転するのか分かり易い。また、被検者の視線方向をシミュレートしやすい。
なお、正面画像620及び左右の側方画像621,622が同時に表示されることによる他の側面としては、以下の点が挙げられる。
例えば、本実施形態の本装置1において、検者は、正面と左右の3方向から見た被検者の様子を一度に観察することができる。従って、正面画像620及び左右の側方画像621,622を同時に観察でき、被検者の正面と側面の関係が確認しやすい。
また、眼鏡のフィッティングを行うとき、例えば、左側のフレームFの位置を動かした場合、右側のフレームの位置も変化する。従って、側方画像621,622が左右の一方しか表示されていない場合、左右の関係を観察することができず、眼鏡のフィッティングが上手くいかない可能性がある。これに比べ、正面画像620及び左右の側方画像621,622が表示されている場合は、左右方向の関係を見ながら調整でき、作業が容易になる。
また、正面画像620と側方画像621,622が同一の高さに表示されていることで、各画像の高さの関係が把握し易くなる。例えば、正面画像620における瞳孔位置の高さを目安に、側方画像621,622における瞳孔位置を求めることができる。
なお、本実施形態の側方撮像光学系のように、例えば、1枚の反射部材(例えば、ハーフミラー330)を介してカメラ(例えば、撮像素子570L,570R)で撮影すると、撮影された画像が反転して見える。なお、反射部材は1枚に限らず、奇数枚の反射部材を介してカメラで撮影すると、撮影された画像が反転して見える。
このような場合、制御部70は、撮影した画像を三面投影図のように表示するため、撮像された画像を画像処理によって左右反転してもよい。例えば、制御部70は、側方撮像光学系500Lによって撮影された左側方画像621を画像処理によって左右反転させて表示部15に表示させてもよい。同様に、制御部70は、側方撮像光学系500Rによって撮影された右側方画像622を左右反転させて表示部15に表示させてもよい。
撮影された画像を反転させることによって、被検者を実際に観察したときの様子と、画面上に表示されたときの様子を一致させることができる。これによって、左右のどちら側を撮影した側方画像なのか混乱することを抑制できる。また、側方画像621,622を参考にフィッティングを行う場合などに、画像の反転を考慮する手間が省ける。
本実施形態において、制御部70は、左右の側方画像621,622の縮尺と、正面画像620の縮尺が等しくなるように倍率補正を行う。例えば、制御部70は、正面画像620の縮尺が左右の側方画像621,622の縮尺に一致するように、正面画像620の倍率を制御してもよい。制御部70は、左右の側方画像621,622の縮尺が正面画像620の縮尺に一致するように、側方画像621,622の倍率を制御してもよい。また、制御部70は、左右の側方画像621,622の縮尺と正面画像620の縮尺に一致するように、正面画像620の倍率と、側方画像621,622の倍率と、をそれぞれ制御してもよい。
<倍率補正の方法について>
倍率補正を行う方法を説明する。例えば、予め各撮像光学系200b,300b,500の設計データから撮影倍率を求めておく。そして、撮像倍率によって生じる縮尺の差がなくなるように、各画像の倍率を画像処理によって変更して表示する。
例えば、側方撮像光学系500の撮像倍率が4分の1倍であり、撮像光学系200bの撮像倍率が2分の1倍であったとする。このとき、制御部70は、正面画像620を2分の1倍に縮小させて表示部15に表示させる。こうすることで、正面画像620と左右の側方画像621,622の縮尺が等しくなる。
以上のように、正面画像620と側方画像621,622とが同じ倍率で表示されることによって、画像の解析結果をわかりやすく表示できる。また、各画像を違和感なく表示させることができる。
<対応表示について>
本実施形態において、制御部70は、表示部15に正面画像620及び左右の側方画像621,622を表示させ、各画像に解析結果を重畳表示させる。ここで、制御部70は、正面画像620と、側方画像621(側方画像622)の一方の画像によって得られた位置情報を、正面画像620と、側方画像621(側方画像622)の他方の画像に重畳して表示してもよい。なお、正面画像620における座標位置と、側方画像621(側方画像622)における座標位置は、予め対応付けされている。つまり、正面画像620と側方画像621(側方画像622)は、位置的な対応関係が設定されている。
例えば、正面画像620上において瞳孔位置が検出された場合、制御部70は、その対応関係を用いて、正面画像620上で検出された瞳孔位置に対応する位置情報を、側方画像621(側方画像622)に重ねて表示してもよい(例えば、水平線Ih3、水平線Ih4)。
例えば、正面画像620上においてフレーム上のレンズ下端位置が検出された場合、制御部70は、その対応関係を用いて、正面画像620上で検出されたフレーム位置に対応する位置情報を、側方画像621(側方画像622)に重ねて表示してもよい(例えば、フレーム下端線Fh2、フレーム下端線Fh3)。なお、本実施形態において、フレーム下端は、眼鏡レンズ面の底部のこととする。
もちろん、制御部70は、側方画像621(側方画像622)上において眼又はフレームに関連する位置(例えば、瞳孔位置、フレーム位置)が検出された場合、制御部70は、その対応関係を用いて、側方画像621(側方画像622)上で検出された検出位置に対応する位置情報を、正面画像620に重ねて表示してもよい。
なお、眼又はフレームに関連する位置は、自動で検出されてもよいし、手動で検出されてもよい。眼又はフレームに関連する検出位置は、被検者又は眼鏡フレームの違いによって撮像画像上で変化されうる。
なお、解析結果に基づいて各画像に表示されたマークを検者が手動で修正することによって、画像解析の結果が修正されてもよい。以下、図5を用いて表示部15に表示されるマークの説明を行う。
正面画像620には、例えば、左瞳孔マークPcL、右瞳孔マークPcR、水平線Ih1、水平線Ih2、フレーム下端線Fh1などが重畳表示される。
左瞳孔マークPcLは、左眼の瞳孔位置を示し、画像解析によって得られた瞳孔位置に表示される。右瞳孔マークPcRは、右眼の瞳孔位置を示し、画像解析によって得られた瞳孔位置に表示される。
水平線Ih1は、左眼のアイポジションを通る水平線であって、左瞳孔マークPcLの中心を通り、左右方向に延びる。水平線Ih2は、右眼のアイポジションを通る水平線であって、右瞳孔マークPcRの中心を通り、左右方向に延びる。フレーム下端線Fh1は、眼鏡フレームFの底部の位置を示し、左右方向に延びる。
左側方画像621には、例えば、水平線Ih3、フレーム下端線Fh2、点PL、点QL、フレーム傾斜線FiLなどが主に重畳表示される。
水平線Ih3は、左眼のアイポジションを通る水平線であって、正面画像620に表示された左瞳孔マークPcL及び水平線Ih1の高さ対応する位置に表示される。フレーム下端線Fh2は、眼鏡フレームFの底部の高さを示し、正面画像620に表示されたフレーム下端線Fh1の高さに対応する位置に表示される。
点PL,点QLは、左側方画像621の解析によって検出されたフレーム上の位置に表示される。フレーム傾斜線FiLは、点PLと点QLを結ぶ線分である。
右側方画像622には、例えば、水平線Ih4、フレーム下端線Fh3、点PR、点QR、フレーム傾斜線FiRなどが主に重畳表示される。
水平線Ih4は、右眼のアイポジションを通る水平線であって、正面画像620に表示された右瞳孔マークPcR及び水平線Ih2の高さに対応する位置に表示される。フレーム下端線Fh3は、眼鏡フレームFの底部の高さを示し、正面画像620に表示されたフレーム下端線Fh1の高さに対応する位置に表示される。
点PR,点QRは、右側方画像622の解析によって検出されたフレーム上の位置に表示される。フレーム傾斜線FiRは、点PRと点QRを結ぶ線分であり、フレームFがどの程度前傾しているのか、つまり、フレームFの前傾角が視覚的に認識できる。
なお、図5〜7において、水平線Ih1と水平線Ih3、水平線Ih2と水平線Ih4、フレーム下端線Fh1,フレーム下端線Fh2及びフレーム下端線Fh3は、それぞれ繋がって表示されている。しかしながら、これに限らず、それぞれ分けて表示されてもよい。
本実施形態では、例えば、左瞳孔マークPcL及び水平線Ih1と水平線Ih3、または、フレーム下端線Fh1とフレーム下端線Fh3のように、正面画像620と側方画像621,622の双方に、高さの対応したマークがそれぞれ表示される。これによって、正面画像620と側方画像621,622とを対応させて眼鏡装用パラメータの測定を行うことが容易になる。
例えば、側方画像621,622では被検者の視線方向を認識し辛いため、瞳孔位置を求めることが難しい。しかしながら、例えば、正面画像620の瞳孔の高さに対応する水平線Ih3、Ih4と、側方画像621,622に表示された眼球の輪郭が交差する位置を求めることによって、簡単に瞳孔位置を求めることができる。水平線Ih3、Ih4のように、正面画像620で求められた瞳孔位置の高さに対応して表示されるマークは、側方画像621,622での瞳孔位置を求める際の補助となる。
求められた側方画像621,622での瞳孔位置は、例えば、眼鏡装用距離VDの測定などに利用される。
なお、前述のように、高さ、及び倍率の同じ正面画像620と側方画像621,622とが三面投影図のように表示されることによって、正面画像620と側方画像621,622の双方に表示されるマークの対応関係がより明確になる。例えば、水平線Ih1と水平線Ih3とが画面上の同じ高さに表示される。
<画面表示を用いた手動測定方法について>
以上に説明した測定画面を用いて、眼鏡装用パラメータを測定するときの本装置1の動作例を説明する。本実施例では、画像の解析結果を示す前述のマークの表示位置を、検者の入力によって手動で調整できる。例えば、画像解析に誤差が生じ、マークの表示位置が画像に対してずれている場合であっても、マークの表示位置を画像に合わせることができる。これによって、制御部70は、調整されたマークから最終的な眼鏡装用パラメータを測定することができる。
<マークの調整方法>
以下、図6を用いてマークの表示位置を調整する方法について説明する。図6には、画像解析に誤差が生じたことによって、適正な表示位置からずれたマークが破線で示されている。
例えば、図6に破線で示す左瞳孔マークPcL´は、正面画像620の瞳孔位置からずれて表示されている。また、左眼のアイポジション高さを示す水平線Ih1´及び左側方画像621の水平線Ih3´も、適正な表示位置からずれた位置に表示されている。
この場合、例えば検者は、図示無きポインティングデバイスによって左瞳孔マークPcL´の表示位置を調整する。ポインティングデバイスとしては、例えばタッチパネルや、マウス等が挙げられる。なお、以下の説明において、ポインティングデバイスは表示部15に設けられたタッチパネルとする。
<左瞳孔マークを調整する場合>
検者は、正面画像620に表示された左瞳孔マークPcL´にタッチし、正面画像620の瞳孔の位置までドラッグ操作する。このとき、制御部70は、左瞳孔マークPcL´の表示位置を、正面画像620の瞳孔の位置に移動させる。
このとき、制御部70は、左瞳孔マークPcL´の表示位置を移動させるとともに、左瞳孔マークPcL´の移動に連動して、水平線Ih1´及び水平線Ih3´を移動させて表示する。つまり、制御部70は、左瞳孔マークPcL´の高さと、水平線Ih1´及び水平線Ih3´の高さとが同期するように、表示を制御する。
このように、正面画像620のマークと側方画像621,622のマークを連動して表示させることによって、一方に表示されたマークの位置を調整するだけで済み、操作が簡単になる。
なお、以上の説明では、正面画像620に表示された左瞳孔マークPcL´を調整することによって、水平線Ih1´及び水平線Ih3´が連動して表示されるものとしたが、これに限らない。例えば、制御部70は、水平線Ih1´を移動させるときに、左瞳孔マークPcL´及び水平線Ih3´を連動させてもよい。また、制御部70は、側方画像に表示された水平線Ih3´を移動させるときに、正面画像620に表示された左瞳孔マークPcL´及び水平線Ih1´を連動させてもよい。
もちろん、マークの位置が連動して表示される制御に関して、制御部70は、正面画像620と左側方画像621だけでなく、正面画像620と右側方画像622も同様に制御してもよい。
その他のマークも左瞳孔マークPcL´と同様に調整することができる。例えば、図6に破線で示すフレーム下端線Fh1´は、画像解析の誤差によってフレーム下端からずれて表示されている。フレーム下端線Fh1´の高さに対応して表示されるフレーム下端線Fh2´、フレーム下端線Fh3´も同様にフレーム下端からずれて表示される。
この場合も、いずれか一つのフレーム下端線の表示位置を調整することによって、他のフレーム下端線の表示位置も調整される。
また、図6に破線で示す点PR´は、画像解析の誤差によって側方画像621,622のフレーム上端からずれて表示されている。また、点PR´と点QRを結ぶフレーム傾斜線FiR´も、適正な位置からずれて表示されている。
この場合も上記と同様に、ポインティングデバイスによって、点PR´またはフレーム傾斜線FiR´の位置を調整することができる。
なお、以上の説明において、制御部70は、正面画像620及び側方画像621,622の縮尺が等しくなるように、画像の倍率を補正するものと説明した。しかしながら、これに限らない。
例えば、遠用測定光学系200及び近用測定光学系300においても撮像倍率は異なる。これは、撮像素子210または撮像素子310から角膜までの光学的な距離が異なるからである。
このため、制御部70は、各光学系によって撮影された正面画像620の縮尺が等しくなるように、画像の倍率を補正してもよい。例えば、遠用測定光学系200によって撮影された正面画像620と、近用測定光学系300によって撮影された正面画像620とを切り換えて表示部15に表示する。この場合、制御部70は、各画像の縮尺が同じになるように倍率補正を行う。また、このとき、遠方視状態及び近方視状態の正面画像620の縮尺が、側方画像621,622の縮尺と等しくなるように、正面画像620の倍率を補正するとよい。
以上のように、正面画像620及び側方画像621,622の縮尺が常に等しい状態で表示される。これによって、検者は正面画像620と側方画像621,622の対応関係を把握することが容易になる。また、検者は、画像の縮尺の変化に惑わされることが抑制される。
なお、側方画像621,622よりも縮尺が小さく、画像を拡大する必要がある場合、拡大した画像は、側方画像621,622に対応する領域だけを表示部15に表示させることができる。これによって、画像を拡大しなかった場合に比べ、不必要な部分(被検者の後方に写った背景など)を除くことができ、表示が見辛くなることが低減される。
なお、本実施形態において、光学系移動ユニット350によって、近用測定時における固視標の呈示距離を変更することができる。このとき、光学系移動ユニット350によって撮像素子310の位置が変更される。すると、近用測定光学系300によって撮影される正面画像620の撮影倍率が変化する。これは、固視標光源(光源320など)の移動に伴って、撮像素子310が移動するからである。撮像倍率が変化すると、表示部15に表示する正面画像620の縮尺も変化する。
例えば、近用呈示距離を25cmから50cmに変更した場合、撮像光学系300bの撮像倍率が小さくなってしまう。これは、遠くから撮影した方が実物より小さく撮影されるからである。
このため、固視標の呈示距離を変更する度に画像の縮尺が変化するため、正面画像620と左右の側方画像621,622の倍率表示が合わなくなり、左右の対応関係が見辛くなってしまう。場合によっては、画像の縮尺が小さくなり、測定対象である眼鏡周辺の領域が観察し難くなる可能性がある。
これを抑制するため、制御部70は、固視標の呈示距離の変更に伴って撮影倍率が変化しても、正面画像620と左右の側方画像621,622の縮尺が等しくなるように、画像の倍率を補正する。例えば、各撮像光学系300b,500の設計データ等から視標呈示距離に対応する撮影倍率が予め求められる。制御部70は、視標呈示距離に対応する撮影倍率に基づいて、画像の縮尺が等しくなるように画像処理を行ってもよい。また、これに限定されず、制御部70は、正面画像と側方画像で共通する撮影対象の寸法(例えば、フレームの上端から下端までの距離)が一致するように、正面画像620と、左右の側方画像621,622との間の縮尺を画像処理によって補正するようにしてもよい。
上記のように、撮像倍率の変化に合わせて正面画像620の倍率を変更することによって、検者は、正面画像620の縮尺の変化に惑わされることが抑制される。例えば、画像の縮尺が小さくなり、表示が見辛くなることが低減される。また、正面画像620と側方画像621,622の縮尺が等しい状態で表示されることによって、各画像の対応関係を把握することが容易になる。
なお、本実施形態において、遠用測定光学系200と、側方撮像光学系500とにおいて、測定光軸のY軸方向の高さが一致するように設定されているものとしたが、これに限らない。
例えば、制御部70は、各光学系の測定光軸の高さがずれている場合、そのずれ量だけ正面画像620及び左右の側手画像の位置をずらして表示すればよい。
例えば、正面と左右にマークまたは目盛の付いた治具を遠用測定光学系200及び側方撮像光学系500によって撮影させる。そして、制御部70は、撮影された正面画像620及び左右の側方画像621,622のマークが画面上で同じ高さになるように、画像をずらして表示すればよい。
このように、正面画像620と側方画像621,622の高さを合わせることによって、正面画像620と側方画像621,622の対応関係が明確になる。これによって、検者は眼鏡装用パラメータの測定を行い易くなる。また、左右の高さが一致していない状態に比べ、検者に生じる違和感が少なくなる。
なお、本実施形態においては、一つの表示部15に正面画像620及び左右の側方画像621,622を表示させるものとした。しかしながら、これに限らない。それぞれ独立して設けられた複数の表示部の一つに正面画像620を表示させ、別の表示部に側方画像621,622を表示させてもよい。これによっても、本実施形態と同様の効果を発揮する。
なお、本実施形態において、制御部70は、正面画像620と側方画像621,622にそれぞれ対応したマークを表示させるとしたが、これに限らない。
制御部70は、左側方画像621と右側方画像622にそれぞれ対応したマークを表示させてもよい。例えば、制御部70は、検者による操作ユニット10への入力信号を受け付け、左側方画像621に表示されたフレーム下端線Fh2を上方向または下方向に移動して表示させる。制御部70は、フレーム下端線Fh2の移動に連動させて、右側方画像622に表示されたフレーム下端線Fh3を上方向または下方向に移動して表示させてもよい。
別の例として、左右の側方画像621,622には、縦方向に延びた図示無き縦基準線がそれぞれ表示される。この縦基準線は、例えば、作動距離方向のアライメント基準を示すための線であるとする。制御部70は、検者による操作ユニット10への入力信号を受け付け、例えば、左側方画像621に表示された縦基準線を左右に移動させて表示させる。制御部70は、左側方画像621の表示に連動させて、右側方画像622に表示された縦基準線を左右に移動させてもよい。
なお、左側方画像621と右側方画像622は、作動距離方向の前後が反対に表示されている。このため、制御部70は、例えば、左側方画像621の縦基準線を左に移動して表示した場合、右側方画像622の縦基準線を右に移動させて表示する。
制御部70は、右側方画像622に表示された縦基準線を移動させて表示させた場合も、同様に、左側方画像621の縦基準線を連動させて表示する。
また、図7に示すように、側方画像621,622に眼鏡装用距離VDを測定するためのマークMが表示されてもよい。例えば、検者がマークMの長さを角膜頂点からレンズ面の距離と等しくなるように調整すると、制御部70は、マークMの長さから、眼鏡装用距離VDを求めることができる。なお、制御部70は、例えば、瞳孔マークPcL,PcRを通る水平線上にマークMを表示してもよい。また、制御部70は、瞳孔マークPcL,PcRの上下移動に連動させて、マークMを上下に移動させて表示してもよい。
なお、以上の説明では、リムのある眼鏡フレームFについて説明したが、リムのない眼鏡フレーム(例えば、ツーポイントフレームなど)も存在する(図7参照)。リムのない眼鏡フレームを正面方向から撮影した場合、フレーム(又はレンズ)の輪郭が非常に細く、検者は、正面画像620からレンズの縁を識別することが難しい場合がある。制御部70によって、レンズの縁を検出することも難しい場合がある。
一方、リムのない眼鏡フレームを側面方向から撮影した場合、レンズの厚みがフレーム(又はレンズ)の輪郭となる。従って、検者は、側方画像621,622からレンズの縁を識別することができる。制御部70によって、レンズの縁を検出することも容易になる。
以上のように、検者または制御部70にとって、正面画像620よりも側方画像621,622の方がレンズの縁を識別し易い場合がある。この場合、例えば、制御部70は、側方画像621,622から識別されたレンズの下端に水平線Fh3を合わせて表示し、それに連動させて、正面画像の水平線Fh1を移動させてもよい。
このように、制御部70は、側方画像621,622に表示したマークを、正面画像620に表示したマークに連動させるだけではない。正面画像620に表示したマークを、側方画像621,622に連動させてもよい。
なお、以上の説明において、表示部15には、正面画像620の左右に側方画像621,622が表示されるものとした。しかしながら、これに限らない。例えば、制御部70は、側方画像621,622を正面画像620の上方または下方に表示してもよい。
このような場合であっても、検者は、左右の側方画像621,622を観察して、被検者の顔の振れまたは眼鏡装用距離等を確認することができる。
また、側方画像621,622が正面画像の左右に並んでいなくとも、制御部70は、各画像に互いに対応するマークを表示することができる。これによって、正面画像620と側方画像621,622とを関連させて眼鏡装用パラメータを測定することが容易になる。
なお、本実施形態においては、正面画像620及び左右の側方画像621,622の3つの画像を表示させるものとした。しかしながら、これに限らない。例えば、正面画像620及び左右の側方画像621,622の内、2つの画像を表示させた場合であっても、2つの画像の縮尺が等しくなるように画像処理等によって倍率を補正してもよい。また、2つの画像に対応するマークを各画像上に表示させてもよい。
なお、以上の説明において、正面画像620と側方画像621,622の倍率補正を行う場合、制御部70が画像処理を行うものとした。しかしながら、この画像処理だけに限らない。例えば、撮像光学系200b、撮像光学系300b、側方撮像光学系500は、撮影倍率が等しくなるように設計されてもよい。これによって、それぞれ撮影した画像の縮尺を等しくすることができる。
また、制御部70は、図示無き駆動部等を制御することによって、各撮像光学系の光学部材又は光学素子を移動させ、画像の倍率を変更可能としてもよい。
なお、本実施形態の眼鏡装用パラメータ測定装置1は、複数の撮像光学系を備え、被検者の画像を撮影するものとした。しかしながら、この構成に限らない。例えば、撮像光学系を備えていなくともよい。この場合、装置外部の撮像光学系によって撮影された被検者の画像データを種々のデータ通信手段によって受信する。そして、受信した画像を基に、被検者の眼鏡装用パラメータを測定してもよい。