JP2015068495A - 作業車両の湿式ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブレーキ板の摩耗に伴う隙間調整作業を自動的に行うことができ、メンテナンス時の作業性を大幅に向上することができるようにする。
【解決手段】 ブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間には、各回転側ブレーキ板37と各非回転側ブレーキ板38とが摩耗したときの隙間調整を自動的に行う隙間調整機構47を設ける。隙間調整機構47は、ブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間に設けられたリング状部材48と、ブレーキハウジング34内でリング状部材48を一方向に回転させるように付勢したスプリング49と、リング状部材48がブレーキ可動体36に対して一方向に回転するときに各ブレーキ板37,38側に向けてブレーキ可動体36を軸方向に移動させる可動体移動機構50とにより構成されている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えばダンプトラックに代表される作業車両に制動力を付与するのに用いて好適な作業車両の湿式ブレーキ装置に関する。
一般に、ダンプトラックと呼ばれる大型の作業車両は、車体のフレーム上に起伏可能となった荷台を備え、この荷台に砕石物等の重い荷物を多量に積載した状態で運搬作業を行うものである。作業車両の走行駆動装置は、車体に非回転状態で取付けられる筒状のアクスルハウジングと、該アクスルハウジング内を軸方向に伸長して設けられ駆動源(例えば、電動モータ)により回転駆動される回転軸と、前記アクスルハウジングの先端側外周に軸受を介して回転可能に設けられ車輪が取付けられる車輪取付筒と、該車輪取付筒とアクスルハウジングとの間に設けられ該車輪取付筒に対し前記回転軸の回転を減速して伝える減速歯車機構とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
前記アクスルハウジングと前記車輪取付筒との間には、前記車輪取付筒の回転に制動力を与える湿式多板型の油圧ブレーキからなる湿式ブレーキ装置が設けられている。この湿式ブレーキ装置は、前記回転軸を径方向外側から取囲むように前記アクスルハウジングに固定して設けられたブレーキハウジングと、該ブレーキハウジング内で前記回転軸の径方向外側に配置された複数の回転側ブレーキ板と、該各回転側ブレーキ板と交互に重なり合った状態で前記ブレーキハウジング内に配置された複数の非回転側ブレーキ板と、外部から供給される液圧により前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とを摩擦係合させる方向に駆動されるブレーキピストンとを備えている。
特開2009−204016号公報
ところで、上述した従来技術によるダンプトラックの湿式ブレーキ装置は、車両のブレーキ操作を繰返すうちに前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とが摩擦係合により摩耗してしまう。各ブレーキ板が摩耗すると、ブレーキ作動時の応答性が低下し、ブレーキペダルの操作性も悪くなる。このため、従来技術では、ブレーキハウジングにボルト等の調整ねじを設け、この調整ねじを手動で回転させることにより前記ブレーキ板の隙間調整を行うようにしている。
しかし、ダンプトラックの湿式ブレーキ装置は、ブレーキハウジングが車輪タイヤの内側に隠れるように配置されているため、前記車輪取付筒から車輪を取外さない限り、前記調整ねじを外部から操作することができない。このため、ブレーキ板の摩耗に伴う前記隙間調整の作業は、車輪の取外し、取付けを必要として手間のかかる作業となり、作業性を向上できないという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ブレーキ板の摩耗に伴う隙間調整作業を自動的に行うことができ、作業性を大幅に向上することができるようにした作業車両の湿式ブレーキ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、回転軸を径方向外側から取囲むように車両の非回転部分に固定して設けられたブレーキハウジングと、該ブレーキハウジング内で前記回転軸の径方向外側に配置された複数の回転側ブレーキ板と、該各回転側ブレーキ板と交互に重なり合った状態で前記ブレーキハウジング内に配置された複数の非回転側ブレーキ板と、前記ブレーキハウジングに摺動可能に設けられ外部から供給される液圧により前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とを摩擦係合させる方向に駆動されるブレーキ可動体と、前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板との摩擦係合を解除するため前記ブレーキ可動体を前記各ブレーキ板から離間する方向に向けて常時付勢する付勢ばねとを備えてなる作業車両の湿式ブレーキ装置に適用される。
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ブレーキハウジングと前記ブレーキ可動体との間には、前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とが摩擦係合を繰返して摩耗したときに、前記ブレーキ可動体と各ブレーキ板との間の隙間を自動的に調整する隙間調整機構を設けたことにある。
請求項2の発明によると、前記隙間調整機構は、前記ブレーキハウジングと前記ブレーキ可動体との間に設けられ前記ブレーキハウジングに対する軸方向の変位が規制され回転方向に移動可能となったリング状部材と、該リング状部材と前記ブレーキハウジングとの間に設けられ該リング状部材を一方向となる回転方向に向けて常時付勢したスプリングと、前記リング状部材と前記ブレーキ可動体との間に設けられ前記リング状部材がブレーキ可動体に対して一方向に回転するときに前記各ブレーキ板側に向けてブレーキ可動体を軸方向に移動させる可動体移動機構とを含んで構成している。
請求項3の発明によると、前記可動体移動機構は、前記ブレーキ可動体と前記リング状部材との対向面間にそれぞれ設けられ互いに噛合うように形成された複数の鋸歯状突起により構成され、これらの鋸歯状突起は、前記リング状部材の回転方向で互いに隣接する鋸歯状突起間の突起高さを順次異ならせることにより、前記各ブレーキ板の摩耗に伴って前記スプリングによる前記リング状部材の回転を許しつつ、前記ブレーキ可動体と前記リング状部材との噛合い位置を替えて前記ブレーキ可動体を軸方向に移動させる構成としている。
請求項4の発明によると、前記可動体移動機構は、前記各ブレーキ板全体の摩耗量が前記各鋸歯状突起間の高さ寸法の差に相当する寸法となったときに、前記リング状部材をブレーキ可動体に対して前記スプリングにより一方向に回転させて前記ブレーキ可動体の鋸歯状突起と前記リング状部材の鋸歯状突起との噛合い位置を替える構成としている。
請求項1の発明によれば、車両のブレーキ操作を繰返すうちに複数の回転側ブレーキ板と複数の非回転側ブレーキ板とが摩擦係合により摩耗したときには、ブレーキハウジングとブレーキ可動体との間に設けた隙間調整機構が作動し、前記ブレーキ可動体と各ブレーキ板との間の隙間を自動的に調整することができる。このため、従来技術のように、車輪のタイヤを車輪取付筒から取外すことなく、隙間調整作業を自動的に行うことができ、作業性を向上することができる。しかも、ブレーキ作動時の応答性を高めることができ、ブレーキペダル等の操作性を良好に保つことができる。
請求項2の発明による隙間調整機構は、ブレーキ板の摩耗に伴ってスプリングによりリング状部材をブレーキハウジングとブレーキ可動体に対し一方向に回転させる。このように、リング状部材がブレーキハウジングおよびブレーキ可動体に対して一方向に回転するときに、可動体移動機構は、各ブレーキ板側に向けてブレーキ可動体を軸方向に移動させる。このため、ブレーキ可動体は、前記ブレーキ板の摩耗による隙間を調整するように軸方向に移動することができ、各ブレーキ板間の隙間調整を自動的に行うことができる。
請求項3の発明によると、可動体移動機構を構成する複数の鋸歯状突起は、リング状部材の回転方向で互いに隣接する鋸歯状突起間の突起高さが順次低く、または高くなるように異なる高さに設定されている。このため、各ブレーキ板による全体の摩耗量が前記突起高さの差に相当する寸法となったときに、隙間調整機構のリング状部材がスプリングによって一方向に回転されるようになり、ブレーキ可動体と前記リング状部材との各鋸歯状突起による噛合い位置を替え、隙間調整を自動的に行うことができる。
請求項4の発明によると、可動体移動機構は、各ブレーキ板全体の摩耗量が各鋸歯状突起間の高さ寸法の差に相当する寸法となったときに、ブレーキ可動体の鋸歯状突起と前記リング状部材の鋸歯状突起との噛合い位置を替えるように、スプリングの付勢力でリング状部材をブレーキ可動体に対して一方向へと一定角度分だけ回転させ、前記ブレーキ可動体を各ブレーキ板側に向けて軸方向に移動させることができる。
本発明の実施の形態による湿式ブレーキ装置が適用されたダンプトラックを示す全体図である。 後輪側の走行駆動装置を湿式ブレーキ装置と一緒に図1中の矢示II−II方向から拡大してみた断面図である。 図2中の湿式ブレーキ装置、アクスルハウジングおよび電動モータ等を拡大して示す半断面図である。 図3中の湿式ブレーキ装置等をさらに拡大して示す要部断面図である。 湿式ブレーキ装置に設ける隙間調整機構を説明するために図2の走行駆動装置を模式化して示す構成図である。 隙間調整機構をブレーキハウジングと一緒に図5中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。 隙間調整機構をブレーキハウジングと一緒に図5中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。 湿式ブレーキ装置を図6中の矢示VIII−VIII方向から拡大してみた要部断面図である。 湿式ブレーキ装置を図6中の矢示IX−IX方向から拡大してみた要部断面図である。 隙間調整機構を構成する各鋸歯状突起を噛合う前の状態で拡大して示す説明図である。 図5の湿式ブレーキ装置を作動させた状態で隙間調整機構の動きを模式的に示す構成図である。 湿式ブレーキ装置による隙間調整が図11の状態から完了した状態を模式的に示す構成図である。 各ブレーキ板が摩耗限界に達した状態を模式的に示す図12とほぼ同様な構成図である。 図5中のブレーキ可動体とリング状部材とをスプリングと一緒に示す斜視図である。 各ブレーキ板が摩耗限界に達した状態でのブレーキ可動体とリング状部材との位置関係を示す斜視図である。 変形例による隙間調整機構を構成する各鋸歯状突起を噛合う前の状態で拡大して示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態による作業車両の湿式ブレーキ装置を、後輪駆動式のダンプトラックに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図15に従って詳細に説明する。
図において、1は本発明の実施の形態で採用した作業車両としてのダンプトラックで、該ダンプトラック1は、図1に示すように頑丈なフレーム構造をなす車体2と、該車体2上に起伏可能に搭載された荷台3とを含んで構成されている。荷台3は、砕石物等の重い荷物を多量に積載するため全長が10〜13メートルにも及ぶ大型の容器として形成されている。荷台3の後側底部は、車体2の後端側に連結ピン4を介して起伏(傾転)可能に連結されている。荷台3の前側上部には、後述のキャブ5を上側から覆う庇部3Aが一体に設けられている。
キャブ5は庇部3Aの下側に位置して車体2の前部に設けられている。該キャブ5は、ダンプトラック1の運転者が乗降する運転室を形成している。キャブ5の内部には、運転席、起動スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、操舵用のハンドルおよび複数の操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。荷台3の庇部3Aは、キャブ5を上側からほぼ完全に覆うことにより、岩石等の飛び石からキャブ5を保護すると共に、車両(ダンプトラック1)の転倒時にもキャブ5内の運転者を保護する機能を有している。
左,右の前輪6は車体2の前部側に回転可能に設けられている。左,右の前輪6は、ダンプトラック1の運転者によってステアリング操作される操舵輪を構成するものである。前輪6は後述の後輪7と同様に、例えば2〜4メートルに及ぶタイヤ径(即ち、外径寸法)をもって形成されている。車体2の前部と前輪6との間には、油圧緩衝器からなる前輪側サスペンション6SPが設けられている。
左,右の後輪7は車体2の後部側に回転可能に設けられている。左,右の後輪7は、ダンプトラック1の駆動輪を構成し、図2に示す後述の走行駆動装置11により車輪取付筒18と一体に回転駆動される。後輪7は、複輪式タイヤからなるインナタイヤ7Aおよびアウタタイヤ7Aと、該各タイヤ7Aの径方向内側に配設されるリム7Bとを含んで構成されている。車体2の後部と後輪7との間には、油圧緩衝器からなる後輪側サスペンション7SPが設けられている。
エンジン8はキャブ5の下側に位置して車体2内に設けられている。該エンジン8は、例えば大型のディーゼルエンジンにより構成され、車載の発電機、油圧源となる油圧ポンプ(いずれも図示せず)を回転駆動する。油圧ポンプから吐出される圧油は、後述のホイストシリンダ9、パワーステアリング用の操舵シリンダ(図示せず)等に供給される。
ホイストシリンダ9は荷台3を起伏させるためのシリンダ装置である。該ホイストシリンダ9は、図1に示す如く、前輪6と後輪7との間に位置して車体2の左,右両側にそれぞれ配設されている。各ホイストシリンダ9は、車体2と荷台3との間に上,下方向で伸縮可能に取付けられている。各ホイストシリンダ9は、前記油圧ポンプからの圧油が給排されることにより上,下方向に伸縮し、後部側の連結ピン4を中心にして荷台3を起伏(傾転)させるものである。
図1に示すように、作動油タンク10は、荷台3の下方に位置して車体2の側面等に取付けられている。作動油タンク10内に収容した作動油は、前記油圧ポンプにより吸込まれつつ吐出され、圧油となってホイストシリンダ9および前記パワーステアリング用の操舵シリンダ等に給排されるものである。
次に、ダンプトラック1の後輪7側に設けられた走行駆動装置11について述べる。走行駆動装置11は、後述のアクスルハウジング12、走行用モータ16、車輪取付筒18および減速歯車機構24を含んで構成されている。走行駆動装置11は、走行用モータ16の回転を減速歯車機構24により減速し、車両の駆動輪となる後輪7を車輪取付筒18と一緒に大なる回転トルクで走行駆動するものである。
12は車体2の後部側に非回転状態で設けられた後輪7用のアクスルハウジングである。このアクスルハウジング12は、左,右の後輪7間を軸方向に延びる筒状体として形成されている。アクスルハウジング12は、車幅方向(左,右方向)に延びる筒状体として形成され前記各後輪側サスペンション7SPを介して車体2の後部側に取付けられた懸架筒13と、該懸架筒13の左,右両側にそれぞれ設けられたスピンドル14とにより構成されている。
ここで、スピンドル14は筒状体として形成され、アクスルハウジング12の軸方向両端側にそれぞれ設けられている。図2に示すように、スピンドル14は、軸方向一側に位置してテーパ形状をなし懸架筒13にボルト15を介して着脱可能に固着された大径筒部14Aと、該大径筒部14Aの軸方向他側に一体形成された円形筒部14Bとにより構成されている。この円形筒部14Bは、後述の車輪取付筒18内を軸方向に延びるように配置されている。円形筒部14Bの外周側は、後述の車輪支持軸受20,21を介して後輪7側の車輪取付筒18を回転可能に支持するものである。
一方、スピンドル14の外周側には、大径筒部14Aの長さ方向(軸方向)中間部から径方向外向きに突出し後述の湿式ブレーキ装置33が取付けられる環状フランジ部14Cと、後述のリテーナ44を軸方向に位置決めするため円形筒部14Bの軸方向一側に設けられた環状の段差部14Dとが一体に形成されている。大径筒部14Aの軸方向一側には、径方向内向きに突出する複数のモータ取付座14Eが一体に形成され、このモータ取付座14Eには後述の走行用モータ16が取付けられている。
さらに、円形筒部14Bの軸方向他側(先端側)は開口端となり、その内周面には後述する第2の遊星歯車減速機構26の非回転部分がスプライン結合により取付けられている。円形筒部14Bの軸方向の中間部には、その内周側に環状の内側突部14Fが一体に形成されている。該内側突部14Fには、後述の外側リテーナ31がボルト等を介して取付けられている。円形筒部14Bの下部側には、上,下方向(円形筒部14Bの径方向)に貫通して延びる径方向穴14Gが穿設され、この径方向穴14G内には、後述する吸込管28の先端部28Aが挿通されている。
走行用モータ16はアクスルハウジング12内に着脱可能に設けられ、該走行用モータ16は後輪7の駆動源として用いられる。この走行用モータ16は、車体2に搭載された発電機(図示せず)からの電力供給によって回転駆動される大型の電動モータにより構成されている。走行用モータ16は、左,右の後輪7を互いに独立して回転駆動するため、懸架筒13の左,右両側に位置してスピンドル14内にそれぞれ取付けられている。走行用モータ16は、その外周側に複数の取付フランジ16Aを有し、これらの取付フランジ16Aがスピンドル14のモータ取付座14Eにボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。走行用モータ16は、前記発電機から電力が供給されることにより、後述の回転軸17を回転駆動するものである。
回転軸17は走行用モータ16の出力軸として構成され、該回転軸17は、走行用モータ16によって正方向または逆方向に回転駆動されるものである。回転軸17は、スピンドル14の内周側を軸方向(左,右方向)に延びる1本の長尺な棒状体により構成され、回転軸17の一端側は走行用モータ16の出力側に連結されている。一方、回転軸17の他端側は、スピンドル14を構成する円形筒部14Bの開口端側から突出し、その突出端側には後述する第1の遊星歯車減速機構25が取付けられている。回転軸17の軸方向の中間部は、後述の車輪支持軸受20,21の間に位置し、後述のシャフトベアリング32を用いて回転可能に支持されている。
18は車輪としての後輪7と一体に回転する車輪取付筒である。この車輪取付筒18は、所謂ホイールハブを構成し、その外周側には、後輪7の各リム7Bが圧入等の手段を用いて着脱可能に取付けられている。車輪取付筒18は、後述の車輪支持軸受20,21間にわたって軸方向に延び中空構造をなした中空筒部18Aと、該中空筒部18Aの外周側端部から後述の内歯車26Aに向けて軸方向に一体に延びた延設筒部18Bとにより段付筒状体として形成されている。
車輪取付筒18の延設筒部18Bには、後述の内歯車26Aと外側ドラム22とが長尺ボルト23を用いて一体的に固着されている。これにより、車輪取付筒18は、内歯車26Aと一体に回転される。即ち、車輪取付筒18には、走行用モータ16の回転を減速歯車機構24で減速することにより大トルクとなった回転が内歯車26Aを介して伝えられる。これにより、車輪取付筒18は、車両の駆動輪となる後輪7を大なる回転トルクで回転させるものである。
リムスペーサ19は筒状のリングにより形成されている。該リムスペーサ19は、後輪7のインナタイヤ7Aとアウタタイヤ7Aとの間に予め決められた軸方向隙間を確保するため、車輪取付筒18の外周側に配置されている。即ち、図2に示すように、リムスペーサ19は、後輪7の軸方向内側のリム7Bと外側のリム7Bとの間に挟持され、両者の間を車輪取付筒18の軸方向で一定の間隔に保持するものである。
20,21はスピンドル14の外周側で車輪取付筒18を回転可能に支持する2個の車輪支持軸受で、該車輪支持軸受20,21は、例えば同一の円錐ころ軸受等を用いて構成されている。車輪支持軸受20,21は、スピンドル14の円形筒部14Bと車輪取付筒18の中空筒部18Aとの間に軸方向に離間して配設されている。即ち、一方の車輪支持軸受20は、スピンドル14の段差部14Dに後述のリテーナ44を介して位置決めされ、他方の車輪支持軸受21は、円形筒部14Bの開口端側外周に他のリテーナ46を介して位置決めされている。
車輪支持軸受20,21の内輪側は、スピンドル14の円形筒部14Bに対しリテーナ44,46間で軸方向にそれぞれ位置決めされている。車輪支持軸受20,21の外輪側は、車輪取付筒18の中空筒部18Aに対して軸方向に位置決めされている。これにより、車輪取付筒18は、車輪支持軸受20,21とリテーナ44,46とを用いて、スピンドル14に対し軸方向に位置決めされると共に、周方向に回転可能に支持されるものである。
外側ドラム22は内歯車26Aと共に車輪取付筒18の一部を構成している。図2に示すように、該外側ドラム22は、車輪取付筒18の軸方向外側となる位置に後述の内歯車26Aを挟んで取付けられ、複数の長尺ボルト23を用いて車輪取付筒18に着脱可能に固着されている。
24はスピンドル14と車輪取付筒18との間に設けられた減速歯車機構で、該減速歯車機構24は、回転軸17の先端側に連結された1段目の遊星歯車減速機構25と、該1段目の遊星歯車減速機構25の後段に設けられた最終段(2段目)の遊星歯車減速機構26とにより構成されている。1段目の遊星歯車減速機構25は、走行用モータ16(即ち、回転軸17)の回転を減速して2段目の遊星歯車減速機構26に伝える。
2段目の遊星歯車減速機構26は、1段目の遊星歯車減速機構25から伝えられる回転をさらに減速して後輪7側の車輪取付筒18に伝えるものである。これにより、後輪7側の車輪取付筒18は、減速して得られた大きな回転力(トルク)をもって後輪7と一緒に回転駆動されるものである。2段目の遊星歯車減速機構26は、車輪取付筒18と一体に回転するリング状の内歯車26Aを含んで構成されている。
次に、車輪支持軸受20,21および減速歯車機構24を潤滑する潤滑系統について説明する。この潤滑系統は、後述の隔壁27、吸込管28、供給管29、内側リテーナ30、外側リテーナ31およびシャフトベアリング32等を含んで構成されている。
ここで、車輪取付筒18の内部には潤滑油100が貯留され、各遊星歯車減速機構25,26は、常に潤滑油100が供給された状態で作動する。この場合、潤滑油100の液面は、例えばスピンドル14を構成する円形筒部14Bの最下部よりも低い位置にあり、かつ車輪支持軸受20,21の下側部位が浸漬されるような位置に設定されている。これにより、走行駆動装置11の作動時に、潤滑油100が各遊星歯車減速機構25,26によって攪拌されて温度上昇するのを抑えることができ、かつ潤滑油100の攪拌による抵抗を小さく抑えることができる。
隔壁27はスピンドル14内に設けられ、該隔壁27は、環状の板体により形成されている。隔壁27の外周側は、スピンドル14の大径筒部14Aの内周側にボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。ここで、隔壁27は、スピンドル14内を、軸方向一側に位置し走行用モータ16が収容されるモータ収容空間部27Aと、軸方向他側に位置し車輪取付筒18の内部と常時連通する筒状空間部27Bとに画成している。
吸込管28は車輪取付筒18内に貯溜された潤滑油100を回収するもので、この吸込管28は、長さ方向の一側がアクスルハウジング12の懸架筒13内を軸方向に延び、潤滑ポンプ(図示せず)の吸込側に接続されている。吸込管28の長さ方向中間部は、車輪取付筒18側に向けてスピンドル14内を軸方向に延びている。吸込管28の先端部28A(長さ方向他側)は、回転軸17の下側から下向きにL字状に屈曲し、スピンドル14の径方向穴14G内に挿通されている。これにより、吸込管28は、その先端部28Aが車輪取付筒18内の潤滑油100中に浸漬され、この潤滑油100を前記潤滑ポンプ側に回収させるものである。
供給管29は減速歯車機構24に潤滑油100を供給するものである。この供給管29は、スピンドル14内で吸込管28、回転軸17よりも上方となる位置に配置され、その先端部29Aが2段目の遊星歯車減速機構26の非回転部分内に挿入されている。供給管29の長さ方向一側(基端側)は、前記潤滑ポンプの吐出側に接続されている。この潤滑ポンプから吐出される潤滑油100は、供給管29の先端部29A(長さ方向他側)から第1,第2の遊星歯車減速機構25,26に向けて供給される。
車輪取付筒18の下部側に貯留された潤滑油100は、前記潤滑ポンプの駆動により吸込管28の先端部28Aから吸込まれる。前記潤滑ポンプにより吸込まれた潤滑油100は、オイルクーラ(図示せず)によって冷却される。冷却された潤滑油100は、供給管29を通じて遊星歯車減速機構25,26に供給され、これらの遊星歯車減速機構25,26を潤滑するものである。
30は回転軸17の軸方向中間部に嵌合して設けられた内側リテーナ、31は該内側リテーナ30の外周側にシャフトベアリング32を介して配設された外側リテーナを示している。ここで、内側リテーナ30は、その内周側が回転軸17の中間部に圧入されることにより、回転軸17と一体に回転する。外側リテーナ31は、スピンドル14の内側突部14Fにボルト等を用いて固定されている。図2に示すように、吸込管28、供給管29の途中部位は、外側リテーナ31を軸方向に貫通して延び、これにより、スピンドル14内に外側リテーナ31を介して位置決めされている。
シャフトベアリング32は、回転軸17側の内側リテーナ30とスピンドル14側の外側リテーナ31との間に配設されている。シャフトベアリング32は、回転軸17の軸方向中間部をスピンドル14の円形筒部14B内で内側リテーナ30、外側リテーナ31を介して回転可能に支持している。これにより、長尺な回転軸17は、軸方向中間部での芯振れが抑制され、1段目の遊星歯車減速機構25に対して回転軸17の安定した回転を伝えることができる。
次に、車輪取付筒18の回転、即ち左,右の後輪7に制動力を与える湿式ブレーキ装置33について述べる。
この湿式ブレーキ装置33は、湿式多板型の油圧ブレーキにより構成され、車輪取付筒18と一体に回転する後述のブレーキハブ41に対して制動力を付与するものである。このため、湿式ブレーキ装置33は、アクスルハウジング12のスピンドル14と車輪取付筒18との間に後述のブレーキハブ41を介して設けられている。
図3に示すように、湿式ブレーキ装置33は、スピンドル14の環状フランジ部14Cに後述のボルト52を介して設けられたブレーキハウジング34と、該ブレーキハウジング34に摺動可能に設けられ外部からブレーキ油室35(図4参照)に圧油が供給されることにより複数個のピストン36Aと一緒に駆動されるブレーキ可動体36と、該ブレーキ可動体36とブレーキハウジング34の端板34Aとの間に設けられ後述のブレーキハブ41と一体に回転する複数枚の回転側ブレーキ板37と、端板34Aとブレーキ可動体36との間に位置してブレーキハウジング34内に設けられ各回転側ブレーキ板37とに対して摩擦接触する複数枚の非回転側ブレーキ板38と、ブレーキ可動体36をピストン36Aと一緒に制動力の解除方向に向けて常時付勢する付勢ばね39(図8、図9参照)とを含んで構成されている。
ブレーキハウジング34は、前記各ブレーキ板37,38をブレーキ可動体36との間で挟む位置に端板34Aを有し、該端板34Aの内周側には後述のフローティングシール43が設けられている。ブレーキハウジング34の端板34Aとブレーキ可動体36との間には、複数枚の回転側ブレーキ板37と複数枚の非回転側ブレーキ板38とが交互に重なり合った状態で配置されている。ここで、複数枚の回転側ブレーキ板37は、その内周側が後述のブレーキハブ41に対して廻止めされた状態で、かつ軸方向に移動可能に取付けられている。一方、各非回転側ブレーキ板38は、その外周側がブレーキハウジング34に対して廻止めされた状態で、かつ軸方向に移動可能に取付けられている。
湿式ブレーキ装置33は、ダンプトラック1の運転者がブレーキペダル(図示せず)を踏込み操作したときに、これに伴ってブレーキハウジング34の外部からブレーキ油室35に供給される液圧(圧油)により、前記ピストン36Aがブレーキ可動体36と一緒に付勢ばね39に抗して駆動される。これによって、ブレーキ可動体36は、端板34Aとの間で各回転側ブレーキ板37を軸方向両側から挟むように各非回転側ブレーキ板38を押圧し、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブ41(即ち、車輪取付筒18)に対して制動力を付与する。
一方、前記圧油の供給を停止すると、ブレーキ可動体36が付勢ばね39によって押戻され、前記ブレーキハブ41に対する制動力は解除される。図8、図9に示すように、付勢ばね39は、取付ボルト39Aを介してブレーキハウジング34(ばね受凹部34C)に縮装状態で取付けられ、取付ボルト39Aの先端側は、ブレーキ可動体36に抜止め状態で固定されている。このため、ブレーキ可動体36は、各ブレーキ板37,38から常に離間する方向へと付勢ばね39によって付勢されるものである。
ブレーキハウジング34には、図6、図7に示すように、同一の円周C1上に配置され各ピストン36Aが摺動可能に挿嵌された複数(例えば、12個)のピストン挿嵌穴34Bと、該各ピストン挿嵌穴34Bよりも径方向内側で同一の円周C2上に配置され各付勢ばね39の付勢力を取付ボルト39Aとの間で受承する複数(例えば、12個)のばね受凹部34Cと、各ピストン挿嵌穴34Bよりも径方向外側に位置し円弧形状をなして周方向に延びる凹溝として形成されたリング収容溝34Dとが設けられている。
図4に示す如く、ブレーキハウジング34の各ピストン挿嵌穴34B内には、その底部側とピストン36Aとの間にそれぞれブレーキ油室35が画成されている。図6に示すように、各ばね受凹部34Cは、スピンドル14に固定されたブレーキハウジング34の内周縁部を略半円形状に切欠いて形成され、図8に示すように、付勢ばね39の付勢力を取付ボルト39Aの頭部との間で受承するものである。
図6に示すように、リング収容溝34Dは、ブレーキハウジング34の周方向に延びる円弧状の凹溝として形成され、前述した円周C1よりも予め決められた寸法分だけ大きな円弧形状を有している。そして、リング収容溝34D内には、後述のリング状部材48が矢示A方向または逆方向に回転可能に収容されている。さらに、リング収容溝34Dの周方向端部(矢示A方向とは反対側の端部)は、後述するスプリング49の付勢力をリング状部材48との間で受承する受承端34Eとなっている。
一方、ブレーキ可動体36は、図5、図10〜図15に示すように、後述するリング状部材48の当接面48Bと軸方向で対向する軸方向端面36Bを有し、この軸方向端面36B側には、ブレーキ可動体36の周方向に延び全体として斜めに傾いて形成された突起形成部36Cと、ブレーキ可動体36の周方向に延びた凹窪部36Dと、ブレーキ可動体36の周方向で該凹窪部36Dを挟んだ位置に形成され軸方向に突出したストッパ突起36Eとが設けられている。
ブレーキ可動体36の軸方向端面36B、突起形成部36C、凹窪部36Dおよびストッパ突起36Eは、後述する隙間調整機構47の一部を構成している。このうち、突起形成部36Cには、後述する複数の鋸歯状突起50Aが形成されている。鋸歯状突起50Aが形成された突起形成部36Cは、図10中に二点鎖線で示すように、全体として角度θ(例えば、θ=3〜15度)分だけ斜めに傾いて周方向に延びた形状に形成されている。
凹窪部36Dは、図5、図14に示すように、隙間調整機構47が初期位置(例えば、最初の組立て状態)にあるときに、リング状部材48側の突起形成部48Cを収容可能に形成されている。このとき、突起形成部36Cは、ブレーキ可動体36の周方向でリング状部材48側の段差部48Dに当接し、ストッパ突起36Eは、ブレーキ可動体36の周方向でリング状部材48側の段差部48Eに当接する位置関係に配設されている。そして、ブレーキ可動体36のストッパ突起36Eは、図13および図15に示すように、リング状部材48がブレーキ可動体36に対して最大回転位置(即ち、各ブレーキ板37,38の摩耗限界となる位置)まで回転したときに、後述のストッパ段差48Fに当接し、リング状部材48が矢示A方向にこれ以上に回転するのを規制するものである。
ここで、湿式ブレーキ装置33の内部には、冷却液40が収容されている。各回転側ブレーキ板37と各非回転側ブレーキ板38とは、制動時の摩擦熱から冷却するために冷却液40中に浸漬されている。この冷却液40は、前記潤滑油100とは異なる種類の油液により構成されている。後述のフローティングシール43は、冷却液40がブレーキハウジング34の端板34Aとブレーキハブ41との間から外部に漏洩するのを防ぐ機能を有している。一方、後述のフローティングシール45は、後述のリテーナ44とブレーキハブ41との間に設けられ、前記潤滑油100と冷却液40とを互いに分離して封止状態に保つ機能を有している。
41は湿式ブレーキ装置33の一部を構成し、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブである。このブレーキハブ41は、スピンドル14とブレーキハウジング34との間を軸方向に延びる筒状体として形成されている。ブレーキハブ41の軸方向一側には、湿式ブレーキ装置33の各回転側ブレーキ板37が廻止め状態で、軸方向に移動可能に取付けられている。ブレーキハブ41の軸方向他側は、車輪取付筒18の中空筒部18Aに複数のボルト42を介して着脱可能に固定されている。
ブレーキハブ41の軸方向中間部には、ブレーキハウジング34の端板34Aとの間に漏洩防止用のフローティングシール43が設けられ、スピンドル14側のリテーナ44との間には液体分離用のフローティングシール45が設けられている。漏洩防止用のフローティングシール43は、湿式ブレーキ装置33の冷却液40が外部に漏洩するのを防ぐため、ブレーキハウジング34の端板34Aとブレーキハブ41の中間部との間に設けられ、両者の間の隙間から冷却液40が外部に漏洩するのを封止している。ここで、フローティングシール43は、例えば土砂、雨水等の異物が湿式ブレーキ装置33内に侵入するのを阻止する機能も有している。
リテーナ44は、スピンドル14の円形筒部14Bに車輪支持軸受20の内輪側を位置決めする部材であり、該リテーナ44は、円形筒部14Bの外周面に嵌合して設けられている。リテーナ44の軸方向一側は、スピンドル14の環状の段差部14Dに当接している。リテーナ44の軸方向他側は、車輪支持軸受20の内輪側に軸方向で当接している。これにより、車輪支持軸受20は、その外輪側が車輪取付筒18の中空筒部18Aにより軸方向に位置決めされ、内輪側がリテーナ44により軸方向に位置決めされている。
液体分離用のフローティングシール45は、ブレーキハブ41の軸方向中間部とリテーナ44との間に設けられている。このフローティングシール45は、車輪取付筒18側の潤滑油100と湿式ブレーキ装置33側の冷却液40とを互いに分離し、両者を封止状態に保つシール機構を構成するものである。
46はスピンドル14の先端開口側にボルトを介して取付けられた他のリテーナである。図2に示すように、リテーナ46は、スピンドル14の円形筒部14Bに固定され、車輪支持軸受21の内輪側を円形筒部14Bの外周側で軸方向に位置決めしている。即ち、車輪支持軸受21は、その外輪側が車輪取付筒18の中空筒部18Aにより軸方向に位置決めされ、内輪側がリテーナ46により軸方向に位置決めされている。
次に、本実施の形態で採用した隙間調整機構47について説明する。図4〜図15に示すように、この隙間調整機構47は、湿式ブレーキ装置33のブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間に設けられている。隙間調整機構47は、複数枚の回転側ブレーキ板37と非回転側ブレーキ板38とが摩擦係合を繰返して摩耗したときに、ブレーキ可動体36と各ブレーキ板37,38との間の隙間を自動的に調整するものである。
隙間調整機構47は、ブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間に設けられたリング状部材48と、ブレーキハウジング34とリング状部材48との間に設けられリング状部材48を一方向の回転方向に付勢するスプリング49と、該リング状部材48とブレーキ可動体36との間に設けられた可動体移動機構50を構成する複数の鋸歯状突起50A,50Bとを含んで構成されている。
ここで、リング状部材48は、ブレーキハウジング34のリング収容溝34D内に回転可能に挿嵌して設けられ、図9に示すリテーナ51により軸方向に抜止め状態で保持されている。これにより、リング状部材48は、ブレーキハウジング34に対して回転方向に移動可能であるものの、ブレーキハウジング34に対する軸方向の変位が規制されている。
また、リング状部材48には、ブレーキハウジング34との間にスプリング49を収容するため周方向に延びた円弧状溝48Aが形成されている。スプリング49は、ブレーキハウジング34に形成したリング収容溝34Dの受承端34Eと円弧状溝48Aとの間に縮装状態で配設され、ブレーキハウジング34およびブレーキ可動体36に対してリング状部材48を常に一方向(図6中の矢示A方向)に回転させるように付勢している。
ここで、スプリング49の付勢力は、湿式ブレーキ装置33のブレーキ可動体36を戻し方向に付勢する複数の付勢ばね39全体の戻し力よりも小さく設定されている。
可動体移動機構50の各鋸歯状突起50A,50Bが互いに噛合うことにより、リング状部材48が他方向(矢示A方向とは逆方向)へと過剰に回転されるのを規制する。この結果、隙間調整機構47は、リング状部材48が回転停止した位置(即ち、各鋸歯状突起50A,50Bが互いに噛合った位置)でブレーキ可動体36の戻り位置を規制し、この状態で、ブレーキ可動体36と各ブレーキ板37,38との間の隙間寸法が後述の如く自動的に調整されるものである。
図5、図10〜図15に示すように、リング状部材48には、ブレーキ可動体36の軸方向端面36Bと対向する当接面48B側に突起形成部48Cが軸方向に突出して形成され、該突起形成部48Cには、複数の鋸歯状突起50Bが形成されている。突起形成部48Cの周方向両側には段差部48D,48Eが形成され、周方向一側の段差部48Dは、当接面48Bと突起形成部48Cとの境界位置に配置されている。各鋸歯状突起50Bが形成される突起形成部48Cは、図10中に二点鎖線で示すように、全体として角度θ(例えば、θ=3〜15度)分だけ斜めに傾いて周方向に延びた突起からなり、周方向他側の段差部48Eは、一側の段差部48Dよりも大きな寸法(段差寸法)に形成されている。
さらに、リング状部材48には、段差部48Eから周方向の他側へと離間した位置にストッパ段差48Fが形成されている。このストッパ段差48Fは、図15に示すように、リング状部材48がブレーキ可動体36に対して最大回転位置(即ち、各ブレーキ板37,38の摩耗限界となる位置)まで回転したときに、ブレーキ可動体36のストッパ突起36Eに当接し、リング状部材48が矢示A方向にこれ以上に回転するのを規制するものである。
可動体移動機構50は、リング状部材48がブレーキ可動体36に対して一方向(図6中の矢示A方向)に回転するときに、各ブレーキ板37,38側に向けてブレーキ可動体36を軸方向に移動させるもので、ブレーキ可動体36の突起形成部36Cとリング状部材48の突起形成部48Cとにそれぞれ形成された複数の鋸歯状突起50A,50Bにより構成されている。
ブレーキ可動体36の突起形成部36Cにそれぞれ形成された複数の鋸歯状突起50Aは、図10に示すように突起寸法aを有し、ブレーキ可動体36の周方向(リング状部材48の回転方向)で互いに隣接する各鋸歯状突起50A間の高さ寸法の差は、寸法差b(b<a)となっている。これにより、突起形成部36Cに形成した各鋸歯状突起50Aは、図10中に二点鎖線で示すように、全体として角度θ(例えば、θ=3〜15度)分だけ斜めに傾いて周方向に延びた突起により構成されている。
リング状部材48の突起形成部48Cにそれぞれ形成された複数の鋸歯状突起50Bも、ブレーキ可動体36側の各鋸歯状突起50Aと同様に突起寸法aを有し、リング状部材48の回転方向(矢示A方向)で互いに隣接する各鋸歯状突起50B間の高さ寸法の差は、寸法差b(b<a)となっている。これにより、突起形成部48Cに形成した各鋸歯状突起50Bも、前述した鋸歯状突起50Aと同様に全体として角度θ分だけ斜めに傾いて周方向に延びた突起により構成されている。
ここで、湿式ブレーキ装置33の隙間調整機構47は、図5、図14に示すように、初期位置(例えば、最初の組立て状態)にあるときに、リング状部材48側の突起形成部48C(各鋸歯状突起50A)がブレーキ可動体36の凹窪部36D内に収容されている。このとき、ブレーキ可動体36の周方向では、突起形成部36Cがリング状部材48側の段差部48Dに当接し、ストッパ突起36Eはリング状部材48側の段差部48Eに当接する位置関係にある。
しかし、車両のブレーキ操作により、ブレーキ可動体36がブレーキハウジング34に対して軸方向(図5、図10中の矢示B方向)に押動されると、複数枚の回転側ブレーキ板37と非回転側ブレーキ板38とが摩擦係合して湿式ブレーキ装置33が作動される。このようなブレーキ操作により、各ブレーキ板37,38間に摩耗が発生すると、ブレーキ可動体36と各ブレーキ板37,38との間の隙間を自動的に調整するため、例えば図11、図12に示すように、各鋸歯状突起50A,50B同士が部分的に噛合い始めるようになる。
即ち、リング状部材48は、スプリング49によりブレーキハウジング34およびブレーキ可動体36に対して一方向(図14中の矢示A方向)に相対回転するように付勢されている。また、各鋸歯状突起50A,50Bは、リング状部材48の回転方向で互いに隣接する突起間の突起高さが寸法差b分だけ順次低く、または高くなるように形成されている。このため、隙間調整機構47は、各ブレーキ板37,38の摩耗に伴ってリング状部材48をスプリング49により一方向に回転させつつ、ブレーキ可動体36側の各鋸歯状突起50Aとリング状部材48側の各鋸歯状突起50Bとの噛合い位置を替える構成となっている。
換言すると、可動体移動機構50は、各ブレーキ板37,38全体の摩耗量が各鋸歯状突起50A,50B間の高さ寸法の差(即ち、寸法差b)に相当する寸法となったときに、リング状部材48をブレーキ可動体36に対してスプリング49により一方向に回転させる。これにより、ブレーキ可動体36側の各鋸歯状突起50Aとリング状部材48側の各鋸歯状突起50Bとの噛合い位置が替えられるため、可動体移動機構50は、前記角度θに相当する軸方向寸法分だけブレーキ可動体36を矢示B方向に押出し、隙間調整機構47による隙間調整が行われる。
そして、図13および図15に示すように、リング状部材48がブレーキ可動体36に対して最大回転位置(即ち、各ブレーキ板37,38の摩耗限界となる位置)まで回転したときには、リング状部材48のストッパ段差48Fがブレーキ可動体36のストッパ突起36Eに当接し、リング状部材48は一方向(矢示A方向)にこれ以上に回転するのが規制される。このように、各ブレーキ板37,38が摩耗限界に達したときには、例えば各ブレーキ板37,38を新品に交換することにより、隙間調整機構47を図5、図14に示す初期位置に戻すことができる。
図5に示す初期隙間S1は、各鋸歯状突起50A,50Bの突起寸法a、寸法差bに対して下記の数1式を満たす関係にあり、各ブレーキ板37,38が新品状態での全体の厚さ寸法T1は、下記の数2式を満たす関係にある。ここで、m,nは、鋸歯状突起50A,50Bの個数に関連して決められる値であり、一例を挙げると、a=3.5mm、b=0.5mmのときに、m=2、n=1として設定することができる。また、公称寸法cは40mmに設定され、下記の数2式の場合は、公差−1mmとなっている。
Figure 2015068495
Figure 2015068495
鋸歯状突起50A,50Bの個数は、それぞれ(k+m+n)として表されるもので、例えば鋸歯状突起50A(鋸歯状突起50B)の個数を図14、図15に示すように5個とした場合には、m=2、n=1とすると、k=2として設定することができる。図12に示す隙間調整状態では、ブレーキ可動体36と各ブレーキ板37,38との間の隙間寸法が寸法aとなるように自動的に調整され、ブレーキ可動体36の軸方向端面36Bとリング状部材48の当接面48Bとの間は、下記の数3式による隙間S2に設定される。
Figure 2015068495
このうち、個数(m+n)は、互いに噛合った鋸歯状突起50A,50Bの個数であり、図12に示す隙間調整状態では、3個の鋸歯状突起50A,50B同士が噛合っている。この場合、残りk個(例えば、2個)の鋸歯状突起50A,50Bは、噛合っていない状態にある。そして、図13に示すように、各ブレーキ板37,38の摩耗限界まで隙間調整が行われたときには、5個全ての鋸歯状突起50A,50B同士が噛合った状態となり、各ブレーキ板37,38の摩耗状態での全体の厚さ寸法T2は、下記の数4式による関係となる。
Figure 2015068495
即ち、摩耗状態での各ブレーキ板37,38全体の厚さ寸法T2は、例えば38mmとなっており、数2式に示す新品状態での厚さ寸法T1に比較して1mm程度だけ摩耗したことになる。なお、図3、図4、図6〜図9に示す各ボルト52は、湿式ブレーキ装置33のブレーキハウジング34をスピンドル14の環状フランジ部14Cに着脱可能に締結した締結部材である。
第1の実施の形態によるダンプトラック1の走行駆動装置11および湿式ブレーキ装置33は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
ダンプトラック1のキャブ5に乗り込んだ運転者が、エンジン8を起動すると、油圧源となる油圧ポンプが回転駆動されると共に、発電機(いずれも図示せず)により発電が行われる。ダンプトラック1の走行駆動時には、前記発電機から走行用モータ16に電力が供給されることにより、走行用モータ16が作動して回転軸17が回転する。
この回転軸17の回転は、1段目の遊星歯車減速機構25から2段目の遊星歯車減速機構26に減速して伝達され、車輪取付筒18に固定された内歯車26Aには、各遊星歯車により減速された回転が伝達される。これによって、車輪取付筒18は、1段目の遊星歯車減速機構25と2段目の遊星歯車減速機構26とで2段階に減速された大出力の回転トルクをもって回転する。この結果、駆動輪となる左,右の後輪7は、車輪取付筒18と一体に回転し、ダンプトラック1を走行駆動することができる。
走行駆動装置11の作動時においては、車輪取付筒18内に貯溜された潤滑油100が、車輪取付筒18の回転と第1,第2の遊星歯車減速機構25,26の各遊星歯車等によって順次上方へと掻き上げられる。このため、潤滑油100は、各歯車の噛合部位、スピンドル14の円形筒部14Bと車輪取付筒18との間の車輪支持軸受20,21等に供給される。その後、潤滑油100は順次下方へと滴下し、車輪取付筒18の下部側へと溜められる。
車輪取付筒18の下部側に収容された潤滑油100は、前記潤滑ポンプにより吸込管28の先端部28Aから吸い上げられる。潤滑油100は、オイルクーラ等で冷却された後に供給管29側に吐出される。これにより、供給管29の先端部29Aから車輪取付筒18内の減速歯車機構24(即ち、第1,第2の遊星歯車減速機構25,26)に向けて潤滑油100を連続的に供給することができる。
ダンプトラック1の走行途中で走行速度を減速する場合には、走行用モータ16の回転を単に減速するだけでは、ダンプトラック1を十分には減速できないことがある。このような場合に、ダンプトラック1の運転者は、ブレーキペダルを踏込んで湿式多板型の湿式ブレーキ装置33にブレーキ圧(圧油)を供給し、ブレーキ可動体36を付勢ばね39に抗して駆動する。これにより、ブレーキ可動体36は、各回転側ブレーキ板37を両側から挟むように各非回転側ブレーキ板38を押圧し、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブ41に対して制動力を付与することができる。この結果、ダンプトラック1は、車輪取付筒18と一緒に後輪7の回転が減速され、所望の減速効果を得ることができる。
このような湿式ブレーキ装置33は、各回転側ブレーキ板37と各非回転側ブレーキ板38とを制動時の摩擦熱から冷却するために、これらのブレーキ板37,38を含めた構成部品が冷却液40中に浸漬されている。このため、ブレーキハウジング34の端板34Aとブレーキハブ41の軸方向中間部との間には、湿式ブレーキ装置33の冷却液40が外部に漏洩するのを防ぐために漏洩防止用のフローティングシール43が設けられている。
また、湿式ブレーキ装置33の冷却液40は、車輪取付筒18側の潤滑油100とは異なる種類の油液であり、両者のコンタミネーションを防ぐ必要がある。そこで、両者を完全に分離した状態に保つために、スピンドル14側のリテーナ44と車輪取付筒18側のブレーキハブ41との間には、液体分離用のシール機構としてのフローティングシール45が設けられている。
ところで、ダンプトラック1のような大型の作業車両は、例えば長い下り坂を降坂走行している途中で、ダンプトラック1を十分に減速させるために、前記湿式ブレーキ装置33を繰り返し作動させることがある。即ち、前記湿式ブレーキ装置33を作動させて車両に制動力を与えたり、制動力を解除したりするブレーキ操作を何度も繰返していると、湿式ブレーキ装置33の各回転側ブレーキ板37と非回転側ブレーキ板38とが摩擦係合により摩耗してしまう。各ブレーキ板37,38が摩耗すると、ブレーキ作動時の応答性が低下し、ブレーキペダルの操作性も悪くなる。
このため、従来技術では、ブレーキハウジングにボルト等の調整ねじ(図示せず)を設け、この調整ねじを手動で回転させることにより各ブレーキ板間の隙間調整を行うようにしている。しかし、ダンプトラック1の湿式ブレーキ装置33は、図2、図3に示すように、ブレーキハウジング34がタイヤ7Aの内側に隠れるように配置されているため、車輪取付筒18からタイヤ7Aを取外さない限り、前記調整ねじを外部から操作することができない。このため、従来技術による隙間調整作業は、車輪の取外し、取付けを必要として手間のかかる作業となっている。
そこで、本実施の形態によれば、ブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間には、各回転側ブレーキ板37と各非回転側ブレーキ板38とが摩擦係合を繰返して摩耗したときに、ブレーキ可動体36と各ブレーキ板37,38との間の隙間を自動的に調整することが可能な隙間調整機構47を設ける構成としている。この隙間調整機構47は、ブレーキハウジング34とブレーキ可動体36との間に設けられブレーキハウジング34に対する軸方向の変位が規制され回転方向に移動可能となったリング状部材48と、該リング状部材48とブレーキハウジング34との間に設けられリング状部材48を一方向(矢示A方向)に回転させるように常時付勢したスプリング49と、リング状部材48とブレーキ可動体36との間に設けられリング状部材48がブレーキ可動体36に対して一方向に回転するときに各ブレーキ板37,38側に向けてブレーキ可動体36を軸方向に移動させる可動体移動機構50とを含んで構成されている。
このように構成された隙間調整機構47は、各回転側ブレーキ板37と各非回転側ブレーキ板38とが摩擦係合により摩耗したときに、隙間調整機構47のスプリング49によりリング状部材48をブレーキ可動体36に対して一方向に回転させ、これに伴ってブレーキ可動体36を各ブレーキ板37,38側に向けて軸方向に移動させることにより、各ブレーキ板37,38とブレーキ可動体36との隙間を自動的に調整することができる。このため、従来技術のように、車輪のタイヤ7Aを車輪取付筒18から取外すことなく、隙間調整作業を自動的に行うことができ、作業性を向上することができる。しかも、ブレーキ作動時の応答性を高めることができ、ブレーキペダル等の操作性を良好に保つことができる。
即ち、隙間調整機構47は、各ブレーキ板37,38の摩耗に伴ってスプリング49によりリング状部材48をブレーキハウジング34とブレーキ可動体36に対し一方向に回転させる。このように、リング状部材48がブレーキハウジング34およびブレーキ可動体36に対して一方向に回転するときに、可動体移動機構50は、各ブレーキ板37,38側に向けてブレーキ可動体36を軸方向に移動させる。このため、ブレーキ可動体36は、各ブレーキ板37,38の摩耗による隙間を調整するように軸方向に移動することができ、各ブレーキ板37,38間の隙間調整を自動的に行うことができる。
この場合、可動体移動機構50を構成するそれぞれ複数の鋸歯状突起50A,50Bは、リング状部材48の回転方向で互いに隣接する鋸歯状突起50A(鋸歯状突起50B)間の突起高さが寸法差bをもって順次低く、または高くなるように異なる高さに設定されている。このため、各ブレーキ板37,38による全体の摩耗量が前記突起高さの差(寸法差b)に相当する寸法となったときに、隙間調整機構47のリング状部材48がスプリング49によって一方向に回転されるようになり、ブレーキ可動体36とリング状部材48との各鋸歯状突起50A,50Bによる噛合い位置を替え、隙間調整を自動的に行うことができる。
このように、複数の鋸歯状突起50A,50Bからなる可動体移動機構50は、各ブレーキ板37,38全体の摩耗量が鋸歯状突起50A(鋸歯状突起50B)間の突起高さが寸法差bに相当する寸法となったときに、ブレーキ可動体36側の各鋸歯状突起50Aとリング状部材48側の各鋸歯状突起50Bとの噛合い位置を替えるように、スプリング49の付勢力でリング状部材48をブレーキ可動体36に対して一方向へと一定の角度分だけ回転させ、ブレーキ可動体36を各ブレーキ板37,38側に向けて軸方向に移動させることができる。
従って、本実施の形態によれば、車輪のタイヤ7Aを車輪取付筒18から取外すことなく、隙間調整機構47を用いることにより、各ブレーキ板37,38とブレーキ可動体36との隙間を自動的に調整することができ、従来技術に比較して隙間調整時の作業性を大幅に向上することができる。しかも、ブレーキ作動時の応答性を高めることができ、ブレーキペダル等の操作性を良好に保つことができる。
なお、前記実施の形態では、ブレーキ可動体36を軸方向に移動させる可動体移動機構50をブレーキ可動体36とリング状部材48とに設けた各鋸歯状突起50A,50Bにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図16に示す変形例のように、四角形状の歯状突起50A′,50B′を用いて可動体移動機構50′を構成し、リング状部材48がスプリング49により一方向に回転されるときに、ブレーキ可動体36を軸方向に移動させて隙間調整を行う構成とすればよいものである。
また、前記実施の形態では、減速歯車機構24を2段の遊星歯車減速機構25,26により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば減速歯車機構を1段または3段以上の遊星歯車減速機構により構成してもよいものである。
さらに、前記実施の形態では、後輪駆動式のダンプトラック1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前輪駆動式または前,後輪を共に駆動する4輪駆動式のダンプトラックに適用してもよく、ダンプトラック以外の作業車両に用いる湿式ブレーキ装置にも適用できるものである。
1 ダンプトラック
2 車体
3 荷台
5 キャブ
6 前輪
7 後輪(車輪)
8 エンジン
9 ホイストシリンダ
10 作動油タンク
11 走行駆動装置
12 アクスルハウジング(非回転部分)
14 スピンドル(非回転部分)
16 走行用モータ(駆動源)
17 回転軸
18 車輪取付筒
20,21 車輪支持軸受
22 外側ドラム
23 長尺ボルト
24 減速歯車機構
25,26 遊星歯車減速機構
33 湿式ブレーキ装置
34 ブレーキハウジング
36 ブレーキ可動体
36A ピストン
37 回転側ブレーキ板
38 非回転側ブレーキ板
39 付勢ばね
40 冷却液
41 ブレーキハブ
47 隙間調整機構
48 リング状部材
49 スプリング
50,50′ 可動体移動機構
50A,50B 鋸歯状突起
50A′,50B′ 歯状突起
51 リテーナ

Claims (4)

  1. 回転軸を径方向外側から取囲むように車両の非回転部分に固定して設けられたブレーキハウジングと、該ブレーキハウジング内で前記回転軸の径方向外側に配置された複数の回転側ブレーキ板と、該各回転側ブレーキ板と交互に重なり合った状態で前記ブレーキハウジング内に配置された複数の非回転側ブレーキ板と、前記ブレーキハウジングに摺動可能に設けられ外部から供給される液圧により前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とを摩擦係合させる方向に駆動されるブレーキ可動体と、前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板との摩擦係合を解除するため前記ブレーキ可動体を前記各ブレーキ板から離間する方向に向けて常時付勢する付勢ばねとを備えてなる作業車両の湿式ブレーキ装置において、
    前記ブレーキハウジングと前記ブレーキ可動体との間には、前記回転側ブレーキ板と非回転側ブレーキ板とが摩擦係合を繰返して摩耗したときに、前記ブレーキ可動体と各ブレーキ板との間の隙間を自動的に調整する隙間調整機構を設けたことを特徴する作業車両の湿式ブレーキ装置。
  2. 前記隙間調整機構は、前記ブレーキハウジングと前記ブレーキ可動体との間に設けられ前記ブレーキハウジングに対する軸方向の変位が規制され回転方向に移動可能となったリング状部材と、該リング状部材と前記ブレーキハウジングとの間に設けられ該リング状部材を一方向となる回転方向に向けて常時付勢したスプリングと、前記リング状部材と前記ブレーキ可動体との間に設けられ前記リング状部材がブレーキ可動体に対して一方向に回転するときに前記各ブレーキ板側に向けてブレーキ可動体を軸方向に移動させる可動体移動機構とを含んで構成してなる請求項1に記載の作業車両の湿式ブレーキ装置。
  3. 前記可動体移動機構は、前記ブレーキ可動体と前記リング状部材との対向面間にそれぞれ設けられ互いに噛合うように形成された複数の鋸歯状突起により構成され、これらの鋸歯状突起は、前記リング状部材の回転方向で互いに隣接する鋸歯状突起間の突起高さを順次異ならせることにより、前記各ブレーキ板の摩耗に伴って前記スプリングによる前記リング状部材の回転を許しつつ、前記ブレーキ可動体と前記リング状部材との噛合い位置を替えて前記ブレーキ可動体を軸方向に移動させる構成としてなる請求項2に記載の作業車両の湿式ブレーキ装置。
  4. 前記可動体移動機構は、前記各ブレーキ板全体の摩耗量が前記各鋸歯状突起間の高さ寸法の差に相当する寸法となったときに、前記リング状部材をブレーキ可動体に対して前記スプリングにより一方向に回転させて前記ブレーキ可動体の鋸歯状突起と前記リング状部材の鋸歯状突起との噛合い位置を替える構成としてなる請求項3に記載の作業車両の湿式ブレーキ装置。
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