以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、監視装置の一実施形態を示す。
図1に示す監視装置100は、第1検出部10、判定部20および出力部30を有する。例えば、監視装置100は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、カメラ1および携帯通信端末3と接続される。以下の説明では、病院等に入院中の患者や介護施設等に入所中の被介護者等、治療の対象となる人物を対象者PAと称する。対象者PAは、点滴中の状態が監視される監視対象者の一例である。
カメラ1は、例えば、ベッド2を含む対象者PAが滞在する領域を撮影することで画像を生成し、ネットワークNWを介して、生成した画像を監視装置100の第1検出部10に出力する。例えば、カメラ1は、毎秒数コマから数十コマのフレームレートで被写体を撮影可能な性能を有する。
カメラ1は、ベッド2の上に横になって点滴を受けている対象者PAとともに、点滴スタンド4、点滴容器5および点滴のチューブ6の状態を撮影可能な位置に配置されることが望ましい。例えば、カメラ1は、ベッド2の長手方向に向けて配置され、対象者PAの枕側から足元、あるいは対象者PAの足元から枕側の方向を撮影することが望ましい。
携帯通信端末3は、例えば、医療従事者が携帯する携帯電話やスマートホン、タブレット型端末等である。携帯通信端末3は、無線LAN(Local Area Network)やWi−Fi(Wireless Fidelity)規格等の無線通信を介してネットワークNWに接続される。携帯通信端末3は、対象者PAに対する点滴における点滴針7の抜去の兆候を示す警報を監視装置100から受信する。携帯通信端末3は、警報を受信した場合、携帯通信端末3に含まれる有機EL(Electro-Luminescence)や液晶等のディスプレイに受けた警報を表示する。なお、携帯通信端末3は、警報を受信した場合、ディスプレイへの警報の表示とともに、警報音を出力し、あるいは警報を示す振動を発生してもよい。
例えば、第1検出部10は、ネットワークNWを介して、カメラ1により撮影された画像を取得し、取得した対象者PAを撮影した画像に基づいて、対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態を検出する。第1検出部10の動作については、図2において説明する。なお、カメラ1は、ネットワークNWを介することなく監視装置100に接続されてもよい。
判定部20は、例えば、第1検出部10により検出された点滴針7が刺された箇所の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。ここで、点滴針7の抜去の可能性は、対象者PAに刺された点滴針7が抜去される可能性と、対象者PAに刺された点滴針7が抜去された可能性とを含み、点滴針7の抜去の兆候があることを示す。判定部20の動作については、図2において説明する。
例えば、出力部30は、判定部20により点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を出力する。出力部30の動作については、図3において説明する。
図2は、図1に示した点滴針7が刺された箇所および点滴針7の周囲の例を示す。図2に示す例では、対象者PAの腕に点滴針7として留置針が刺される。例えば、点滴針7は、テープ片T1,T2を用いて対象者PAの腕に固定される。テープ片T1は、点滴針7が刺された箇所(点滴針7の先端側)を覆って貼られ、点滴針7を対象者PAの腕に固定する。また、テープ片T2は、点滴針7とチューブ6とが接続される接続部8を覆って貼られ、点滴針7およびチューブ6を対象者PAの腕に固定する。図2に示すように、テープ片T1,T2は、例えば、線等の目印LMを2つ以上有する。テープ片T1における目印LM間の間隔とテープ片T2の目印LM間の間隔とは、互いに等しく、例えば、距離L1である。なお、点滴針7は、図2の例で示した留置針に限定されず、例えば、翼状針等でもよい。この場合、テープ片T2の目印LMの代わりに、翼状針の翼部分等に目印LMが配置されてもよい。また、以下の説明では、肩から手の甲の部分までを腕と称する。また、点滴針7が刺される箇所は、腕に限定されず、例えば、腿部から足先等、他の部位であってもよい。
第1検出部10は、例えば、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等の入力装置を用いて、医療従事者より点滴を開始した旨の信号を受けた場合に、カメラ1により所定の時間間隔で撮影された画像のそれぞれから点滴針7が刺された箇所の検出を開始する。例えば、第1検出部10は、カメラ1により撮影された画像から、エッジ等の特徴点を抽出し、抽出したエッジ等の特徴点の分布から各テープ片T1,T2の目印LMを特定し、各目印LMの位置を検出する。これにより、第1検出部10は、検出した各テープ片T1,T2の目印LMの位置に基づいて、テープ片T1,T2をそれぞれ検出でき、対象者PAの腕における点滴針7が刺された箇所を特定することができる。第1検出部10は、検出したテープ片T1,T2の目印LMの位置を示す情報を、点滴針7が刺された箇所の状態として判定部20に出力する。
なお、テープ片T1,T2の目印LMは、線等としたが、これに限定されず、例えば、丸印や星印等の他の形状を有してもよい。また、テープ片T1とテープ片T2とそれぞれ配置する目印LMとして、互いに異なる色のLED(Light Emitting Diode)や、形状の異なる反射材(マーカ)を用いてもよい。例えば、目印LMとして複数の青色のLEDが所定の間隔で配置されたテープ片T1と、複数の赤色のLEDが所定の間隔で配置されたテープ片T2とを用いてもよい。なお、点滴針7に翼状針を用いる場合、複数の赤色のLEDは、テープ片T2に配置する代わりに、翼状針の翼部分等に配置してもよい。
判定部20は、例えば、点滴が開始された後に連続して撮影された画像から第1検出部10により検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。各テープ片T1,T2の目印LM間は距離L1であることから、判定部20は、画像中における各テープ片T1,T2における目印LM間の距離L1から求められる倍率に基づいて、テープ片T1、T2間の距離L2を求める。
判定部20は、例えば、テープ片T1,T2の全ての目印LMが第1検出部10により検出され、検出された全ての目印LMの相対的な位置関係が変化しない場合に、点滴針7の抜去の可能性がないと判定する。一方、テープ片T1,T2の全ての目印LMが第1検出部10により検出されているが、求めたテープ片T1,T2間の距離L2が点滴の開始時の距離より予め設定された値以上広がった場合に、判定部20は、対象者PAにより点滴針7が抜去されたと判定する。あるいは、テープ片T1,T2の各目印LMが検出される場合と検出されない場合とを繰り返される場合に、判定部20は、対象者PAが寝返りや点滴針7を抜こうとしている等として、点滴針7が抜去される可能性があると判定する。
例えば、判定部20は、第1検出部10から受信した点滴針7が刺された箇所の状態を監視装置100に内蔵されるRAM(Random Access Memory)等の記憶部に順次に記憶する。また、判定部20は、例えば、医療従事者の携帯通信端末3より点滴を開始したことを示す信号を受け、最初に第1検出部10から受けた目印LMの位置を示す情報に基づいて、テープ片T1,T2間の距離を求め、求めた距離を開始時の距離とする。
図3は、図1に示した出力部30が出力する指示に基づいて携帯通信端末3に表示される点滴針7の抜去に対する警報の画面の例を示す。図3に示す画面35は、メッセージM1を含む。例えば、メッセージM1は、“601号室の1番ベッド”等の対象者PAを特定する情報と、判定部20による判定結果に応じた点滴針7の抜去に対する“点滴が抜去された可能性があります。早急に確認してください。”等の警報を示す情報とを含む。
出力部30は、例えば、判定部20により点滴針7が抜去された可能性、または点滴針7が抜去される可能性があると判定された場合に、メッセージM1のような点滴針7の抜去を示す警報を生成する。出力部30は、ネットワークNWを介して、生成した警報を医療従事者が携帯する携帯通信端末3に出力する。例えば、携帯通信端末3は、出力部30からの警報に基づいてディスプレイにメッセージM1を表示する。あるいは、出力部30は、ネットワークNWを介して、生成した警報をナースステーション等に配置されるコンピュータ等の端末装置に出力し、端末装置に含まれるディスプレイにメッセージM1を表示させてもよい。
メッセージM1を含む警報を医療従事者に対して出力することで、医療従事者に点滴の抜去が疑われる対象者PAの元への訪問を促すことができる。これにより、対象者PAによる点滴の抜去を抑制することや、点滴の抜去が行われてしまった後でも、早期の処置を行うことが可能となる。
なお、図3に示す画面35の表示は、メッセージM1に限定されず、例えば、メッセージM1とともに、カメラ1により撮影された対象者PAの様子を示す画像を含んでもよい。また、携帯通信端末3は、警報を受信した場合、メッセージM1の表示とともに、警報音を出力し、あるいは警報を示す振動を発生してもよい。
図4は、図1に示した監視装置100における監視処理の例を示す。ステップS10、S20およびS30は、監視装置100に搭載されるプロセッサが監視プログラムを実行することにより実行される。すなわち、図4は、監視プログラムおよび監視方法の一実施形態を示す。この場合、図1に示した第1検出部10、判定部20および出力部30は、監視プログラムの実行により実現される。なお、図4に示す処理は、監視装置100に搭載されるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図1に示した第1検出部10、判定部20および出力部30は、監視装置100内に配置される回路により実現される。
ステップS10において、第1検出部10は、図1および図2で説明したように、カメラ1により撮影されたベッド2を含む対象者PAが滞在する領域の画像に基づいて、対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態を検出する。
次に、ステップS20において、判定部20は、図1および図2で説明したように、第1検出部10により検出された点滴針7が刺された箇所の状態に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。
次に、ステップS30において、出力部30は、判定部20により点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、点滴針7の抜去を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者が携帯する携帯通信端末3等に出力する。例えば、出力部30は、図3で説明したメッセージM1を含む警報を生成し、ネットワークNWを介して、生成した警報を医療従事者が携帯する携帯通信端末3に出力する。
そして、監視装置100による監視処理は終了する。なお、図4に示したフローは、例えば、医療従事者の携帯通信端末3から次の点滴を開始する旨の信号を、監視装置100が受信した場合に、実行されることが好ましい。
以上、この実施形態では、第1検出部10は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態として、テープ片T1,T2の目印LMの位置を検出する。判定部20は、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。つまり、図1に示した監視装置100は、対象者PAを撮影した画像に含まれる対象者PAに刺された点滴針7の周辺の状態の変化に基づいて、対象者PAに刺された点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。これにより、監視装置100は、対象者PAの症状にかかわらず、点滴針7の抜去につながる兆候を含めて点滴針7の状態の異常を検知することができる。
また、判定部20は、撮影された画像から検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置に基づいて、点滴針7の抜去の可能性を判定する。これにより、監視装置100は、対象者PAに装着する従来の専用の機器を用いる場合と比べて、患者に拘束感を与えることなく、抜去の可能性を検出することができる。さらに、専用の機器の代わりに目印LMが配置されたテープを用いることによるコストの削減や、消毒の手間の削減をも図ることができる。
また、出力部30は、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者の携帯通信端末3等に出力することで、医療従事者に対象者PAへの訪問を促すことができる。訪問を促された医療従事者が対象者PAの元を訪れることで、点滴針7の抜去を未然に回避することができ、あるいは抜去により対象者PAが負傷等した場合でも対象者PAへの処置を迅速に行うことができる。
なお、複数のカメラ1で複数の対象者PAを監視する場合、監視装置100は、複数のカメラ1に共通に設置されてもよく、複数のカメラ1の各々に対応して設置されてもよい。この場合、監視装置100とカメラ1とは、ネットワークNWを介さずに接続されてもよい。複数のカメラ1の各々に対応して設置される場合、複数の監視装置100は、対象者PAに対する点滴の状態をそれぞれ監視し、点滴針7の抜去の可能性を示す結果を得た場合、ネットワークNWを介して、抜去の可能性を示す警報を医療従事者の携帯通信端末3等にそれぞれ出力してもよい。
なお、監視装置100、カメラ1および携帯通信端末3を互いに接続するネットワークNWは、ナースコールシステムに構築されるネットワークでもよい。
図5は、監視装置の別実施形態を示す。図5に示す各要素のうち、図1に示す要素と同一または同様の機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。監視装置100は、図1に示した第1検出部10および判定部20に代えて、第2検出部11および判定部20aを有している。
例えば、第2検出部11は、ネットワークNWを介して、カメラ1により対象者PAを撮影することで得られた画像を取得し、取得した画像に基づいて、点滴針7に接続されたチューブ6の状態を検出する。例えば、第2検出部11は、取得した画像からエッジ等の特徴点を抽出し、抽出した特徴点の分布に基づいてチューブ6の位置をチューブ6の状態として検出する。例えば、第2検出部11は、点滴容器5から鉛直方向に垂れ下がっている部分である領域ARにおけるチューブ6の位置を検出する。なお、第2検出部11は、点滴容器5から点滴針7までの間のチューブ6全体の位置を検出してもよい。第2検出部11は、例えば、対象者PAに対する点滴を開始する際等に、医療従事者から、図5に示した領域ARを指定するための情報を受けてもよい。領域ARを指定するための情報は、例えば、携帯通信端末3に含まれるディスプレイにカメラ1で撮影された画像を表示させ、医療従事者にタッチパネル等の入力装置を用いて画像における領域ARを示す範囲を指定させることで取得してもよい。そして、第2検出部11は、検出したチューブ6の状態を判定部20に出力する。
判定部20aは、第2検出部11により検出されたチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。図1の説明と同様に、点滴針7の抜去の可能性は、対象者PAに刺された点滴針7が抜去される可能性と、対象者PAに刺された点滴針7が抜去された可能性とを含み、点滴針7の抜去の兆候があることを示す。例えば、判定部20aは、連続して撮影された画像のそれぞれから第2検出部11により検出されたチューブ6の状態を示すデータを受信し、受信したデータに基づいて領域AR内のチューブ6の位置の時間変化を求める。例えば、判定部20aは、第2検出部11から受信したチューブ6の状態のデータを監視装置100に内蔵されるRAM等の記憶部に順次に記憶する。判定部20の動作については、図6において説明する。
図6は、図5に示した第2検出部11により検出されるチューブ6の状態の一例を示す。図6(a)から図6(d)は、カメラ1により撮影された画像のうち領域ARにおけるチューブ6の状態を示す。なお、図6(a)から図6(d)において、矢印gは、重力方向を示し、重力方向gは、領域ARの上端から下端の方向である。また、図6(b)から図6(d)に示す画像例は、点滴針7が抜去される過程で、または点滴針7が抜去された場合にチューブ6が示す状態の変化の一例を示す。
図6(a)は、チューブ6が重力方向gに垂れ下がった状態を示す。図6は、第2検出部11が携帯通信端末3から点滴を開始したことを示す指示を受けた場合に、第2検出部11により最初に検出される点滴開始時の状態を示し、チューブ6の基準位置を示す。また、図6(a)は、対象者PAが安静な状態で点滴を受けている場合のチューブ6の状態を示す。すなわち、図6(a)に示す状態は、点滴針7が抜去されている可能性が低い場合の一例である。
判定部20aは、例えば、第2検出部11から受信した領域ARでのチューブ6の位置が、図6(a)に示したチューブ6の基準位置REFからずれていない場合、点滴が正常に行われており、点滴針7の抜去の可能性がないと判定する。換言すれば、第2検出部11から受信した領域ARでのチューブ6の位置と基準位置REFとのずれを示す差分が所定値未満である場合、点滴針7の抜去の可能性がないと判定する。
図6(b)は、チューブ6が基準位置REFを示す点線に対して左右にずれて揺れる状態を示す。すなわち、図6(b)は、第2検出部11から時間間隔をおいて受ける複数のチューブ6の位置を重ね合わせた状態を示している。チューブ6が左右に揺れている状態は、例えば、対象者PAの身体が動いた場合や、対象者PAが点滴中のチューブ6に触る等の動作をしている場合に発生する可能性があり、いずれの場合にも、点滴針7が抜けてしまう可能性がある。すなわち、図6(b)は、点滴針7が抜去される過程で現れるチューブ6の状態、または点滴針7が抜去されたときのチューブ6の状態の一例を示す。判定部20aは、例えば、第2検出部11から時間間隔を置いて受ける領域ARでのチューブ6の位置が、基準位置REFの左側と右側の両方を示す場合に、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。換言すれば、判定部20aは、第2検出部11から受けた領域ARでのチューブ6の位置と基準位置REFとの差分を求め、求めた差分が左右に揺れる状態を示す所定値より大きい場合に、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。
図6(c)は、チューブ6が基準位置REFに対して、左または右側の一方の方向にずれて引っ張られている状態を示す。チューブ6が一方に引っ張られている状態は、対象者PAが寝返りをする場合や対象者PAが点滴針7を抜こうとしている場合に発生する可能性があり、いずれの場合にも点滴針7が抜ける可能性がある。すなわち、図6(c)は、点滴針7が抜去される過程で現れるチューブ6の状態の例を示す。判定部20aは、例えば、第2検出部11から時間間隔を置いて受けた領域ARでのチューブ6の位置が、基準位置REFの一方側を示す場合に点滴針7の抜去の可能性があると判定する。換言すれば、判定部20aは、第2検出部11から受けるチューブ6の位置と基準位置REFとの差分を求め、求めた差分が左または右に引っ張られる状態を示す所定値より大きい場合に、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。なお、判定部20aは、第2検出部11から時間間隔を置いて受ける領域ARでのチューブ6の位置が、基準位置REFに対して両側にずれるか、一方の側にずれるかにより、図6(b)の状態と図6(c)の状態とを区別する。
図6(d)は、領域ARにおいてチューブ6が検出されない状態を示す。チューブ6が領域ARにおいて検出されない状態は、対象者PAが寝返りをした場合や点滴スタンド4が動いた場合等に発生する可能性があり、いずれの場合にも、点滴針7が抜けてしまう可能性がある。すなわち、図6(d)は、点滴針7が抜去される過程で現れるチューブ6の状態、または点滴針7が抜去されたことを示すチューブ6の状態の一例を示す。判定部20aは、例えば、図6(d)に示すように、領域ARにおいてチューブ6が検出されない場合に、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。
なお、図6(b)、(c)において、基準位置REFからずれたチューブ6は、直線形状を有しているが、湾曲形状を有してもよい。換言すれば、判定部20aは、チューブ6の位置が基準位置REFから所定量ずれる場合に、チューブ6の形状の変化に拘わりなく、点滴針7の抜去の可能性を検出する。
また、チューブ6が垂れ下がった状態で位置が変化する場合(基準位置REFに対して平行移動)、判定部20aは、例えば、点滴スタンド4が動いた等と判定し、点滴針7の抜去の可能性があると判定してもよい。
図7は、図5に示した監視装置100における監視処理の例を示す。なお、図7に示す処理のうち、図4に示す処理と同一または同様の処理については、同一のステップの符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示す処理は、監視装置100に搭載されるプロセッサが監視プログラムを実行することにより実行される。すなわち、図7は、監視プログラムおよび監視方法の別実施形態を示す。この場合、図5に示した第2検出部11、判定部20aおよび出力部30は、監視プログラムの実行により実現される。なお、図7に示す処理は、監視装置100に搭載されるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図5に示した第2検出部11、判定部20aおよび出力部30は、監視装置100内に配置される回路により実現される。
ステップS11において、第2検出部11は、図5で説明したように、カメラ1により撮影されたベッド2を含む対象者PAが滞在する領域の画像に基づいて、対象者PAに刺された点滴針7に接続されたチューブ6の状態を検出する。
次に、ステップS20aにおいて、判定部20aは、図5および図6で説明したように、第2検出部11により検出されたチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無の判定を行う。ステップS20aの後に実行されるステップS30の処理は、図4のステップS30の処理と同様である。
なお、図7に示したフローは、医療従事者の携帯通信端末3から次の点滴を開始する旨の信号を、監視装置100が受信した場合に、実行されることが好ましい。
以上、この実施形態では、第2検出部11は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに刺された点滴針7に接続されたチューブ6の状態を検出する。判定部20aは、検出されたチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。すなわち、図5に示した監視装置100は、対象者PAを撮影した画像に含まれるチューブ6の状態の変化に基づいて対象者PAに刺された点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。これにより、監視装置100は、対象者PAの症状にかかわらず、点滴針7の抜去につながる兆候を含めて点滴針7の状態の異常を検知することができる。
また、出力部30は、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者の携帯通信端末3等に出力することで、医療従事者に対象者PAへの訪問を促すことができる。促された医療従事者が対象者PAの元を訪れることで、点滴針7の抜去を未然に回避することができ、あるいは抜去により対象者PAが負傷等した場合でも対象者PAへの処置を迅速に行うことができる。
なお、複数のカメラ1で複数の対象者PAを監視する場合、監視装置100は、複数のカメラ1に共通に設置されてもよく、複数のカメラ1の各々に対応して設置されてもよい。この場合、監視装置100とカメラ1とは、ネットワークNWを介さずに接続されてもよい。複数のカメラ1の各々に対応して設置される場合、複数の監視装置100は、対象者PAに対する点滴の状態をそれぞれ監視し、点滴針7の抜去の可能性を示す結果を得た場合、ネットワークNWを介して、抜去の可能性を示す警報を医療従事者の携帯通信端末3等にそれぞれ出力してもよい。
なお、第2検出部11においてチューブ6の状態を検出する方法は、取得した画像から抽出したエッジ等の特徴点の分布に基づいて検出する手法に限定されない。例えば、チューブ6に所定の間隔を置いて線等の目印を予め付けておき、第2検出部11は、取得した画像から目印を検出し、検出した目印の分布に基づいて、チューブ6の状態を検出してもよい。
図8は、監視装置の別実施形態を示す。図8に示す監視装置100の各要素のうち、図1および図5に示す監視装置100の要素と同一または同様の機能を有するものについては同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
監視装置100は、図1に示した第1検出部10および出力部30と、図2に示した第2検出部11とを有している。また、監視装置100は、図1に示した判定部20aに代えて、第1検出部10の出力および第2検出部11の出力を受ける判定部20bを有している。
判定部20bは、第1検出部10で検出された点滴針7が刺された箇所の状態および第2検出部11で検出されたチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7が抜去された可能性の有無を判定する。なお、判定部20bは、第1検出部10で検出された点滴針7が刺された箇所の状態および第2検出部11で検出されたチューブ6の状態少なくとも一方の変化に基づいて、点滴針7が抜去された可能性の有無を判定してもよい。例えば、判定部20bは、図1および図2で説明したように、点滴が開始された後に連続して撮影された画像それぞれから第1検出部10により検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置の変化に基づいて、点滴針7が刺された箇所の状態の変化を求める。また、判定部20bは、例えば、図5および図6で説明したように、連続して撮影された画像のそれぞれから第2検出部11により検出されたチューブ6の位置に基づいて、チューブ6の状態の変化を求める。判定部20bは、例えば、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置およびチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性を判定する。例えば、判定部20bは、第1検出部10から受信したテープ片T1,T2の目印LMの位置のデータおよび第2検出部11から受信したチューブ6の位置のデータを監視装置100に内蔵されるRAM等の記憶部に順次に記憶する。そして、判定部20bは、記憶部に記憶したテープ片T1,T2の目印LMの位置およびチューブ6の位置のデータに基づいて、点滴針7の抜去の可能性を判定する。
例えば、チューブ6が図6(a)に示す垂れ下がりの状態で、テープ片T1,T2の各目印LMが検出される場合と検出されない場合と繰り返す状態を示す場合、判定部20bは、対象者PAが寝返りや点滴針7を抜こうとしている等と判定する。そして、判定部20bは、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。また、例えば、点滴針7が刺された箇所を布団等が覆い、テープ片T1,T2の目印LMが検出されない状態で、図6(c)に示すチューブ6が引っ張られる状態を示す場合、判定部20bは、対象者PAがチューブ6を引っ張り点滴針7を抜こうとしている等と判定する。そして、判定部20bは、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。
図9は、図8に示した監視装置100における監視処理の例を示す。なお、図9に示す処理のうち、図4および図7に示す処理と同一または同様の処理については同一のステップの符号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示す処理は、監視装置100に搭載されるプロセッサが監視プログラムを実行することにより実行される。すなわち、図9は、監視プログラムおよび監視方法の別実施形態を示す。この場合、図8に示した第1検出部10、第2検出部11、判定部20bおよび出力部30は、監視プログラムの実行により実現される。なお、図9に示す処理は、監視装置100に搭載されるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図8に示した第1検出部10、第2検出部11、判定部20bおよび出力部30は、監視装置100内に配置される回路により実現される。
先ず、図4に示したステップS10の処理と、図7に示したステップS11の処理とが実行される。なお、ステップS10、S11の実行順は逆でもよく、あるいは並列に実行されてもよい。
次に、ステップS20bにおいて、判定部20bは、図8で説明したように、点滴針7が刺された箇所の状態およびチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7が抜去された可能性の有無の判定を行う。すなわち、ステップS20bは、図4に示したステップS20と、図7に示したステップS20aを融合した処理である。ステップS20bの後に実行されるステップS30の処理は、図4のステップS30の処理と同様である。
なお、図9に示したフローは、医療従事者の携帯通信端末3から次の点滴を開始する旨の信号を、監視装置100が受信した場合に、実行されることが好ましい。
以上、この実施形態では、第1検出部10は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに刺された点滴針7の箇所の状態として、テープ片T1,T2の目印LMの位置を検出する。また、第2検出部11は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに刺された点滴針7に接続されたチューブ6の状態を検出する。判定部20bは、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置およびチューブ6の状態の少なくとも一方の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。すなわち、対象者PAを撮影した画像から対象者PAに刺された点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。これにより、監視装置100は、対象者PAの症状にかかわらず、点滴針7の抜去につながる兆候を含めて点滴針7の状態の異常を検知することができる。
また、判定部20bは、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置およびチューブ6の位置の少なくとも一方に点滴針7の抜去の兆候を示す変化が現れた場合に、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。これにより、判定部20bは、例えば、点滴針7が刺された箇所が布団等で覆われている場合でも、チューブ6の位置の変化から点滴針が抜かれる可能性を判定することができ、点滴針7の抜去の見落としを抑制することができる。
また、出力部30は、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者の携帯通信端末3等に出力することで、医療従事者に対象者PAへの訪問を促すことができる。促された医療従事者が対象者PAの元を訪れることで、点滴針7の抜去を未然に回避することができ、あるいは抜去により対象者PAが負傷等した場合でも対象者PAへの処置を迅速に行うことができる。
なお、複数のカメラ1で複数の対象者PAを監視する場合、監視装置100は、複数のカメラ1に共通に設置されてもよく、複数のカメラ1の各々に対応して設置されてもよい。この場合、監視装置100とカメラ1とは、ネットワークNWを介さずに接続されてもよい。複数のカメラ1の各々に対応して設置される場合、複数の監視装置100は、対象者PAに対する点滴の状態をそれぞれ監視し、点滴針7の抜去の可能性を示す結果を得た場合、ネットワークNWを介して、抜去の可能性を示す警報を医療従事者の携帯通信端末3等にそれぞれ出力してもよい。
また、チューブ6に所定の間隔を置いて線等の目印を予め付けておき、第2検出部11は、チューブ6に付けられた目印を用いてチューブ6の状態を検出してもよい。
図10は、監視装置の別実施形態を示す。図10に示す監視装置100の各要素のうち、図8に示す監視装置100の要素と同一または同様の機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
監視装置100は、図1に示した第1検出部10と、図2に示した第2検出部11と、第3検出部12とを有している。また、監視装置100は、図1に示した判定部20aに代えて、第1検出部10の出力、第2検出部11の出力および第3検出部12の出力を受ける判定部20cと、判定部20cに接続される記憶部40とを有している。さらに、監視装置100は、図1に示した出力部30に代えて出力部30aを有している。
第3検出部12は、例えば、ネットワークNWを介して、カメラ1により連続して撮影された画像を取得し、取得した画像からエッジ等の特徴点を抽出する。第3検出部12は、抽出した特徴点の分布に基づいて、画像に含まれる対象者PAの顔、腕、胴体、足等の各輪郭およびベッド2の輪郭を特定する。そして、第3検出部12は、特定した各輪郭の相互の位置関係に基づいて対象者PAの位置を検出する。第3検出部12は、現在のフレームの画像から検出した対象者PAの位置と、前のフレームの画像から検出した対象者PAの位置と比較することで、対象者PAの体幹の動きを検出する。例えば、第3検出部12は、対象者PAの寝返り等の体全体の動作を体幹の動きとして検出し、対象者PAの腕や足等の四肢の動きを体幹の動きとして検出しない。第3検出部12は、検出した対象者PAの体幹の動きを示すデータを判定部20cに出力する。
判定部20cは、点滴針7の抜去の可能性の有無の判定に、点滴針7が刺された箇所の状態およびチューブ6の状態の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係を用いる。判定部20cの動作については、図12から図15において説明する。なお、判定部20cは、点滴針7の抜去の可能性の有無の判定に、点滴針7が刺された箇所の状態およびチューブ6の状態の少なくとも一方の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係を用いてもよい。
例えば、出力部30aは、判定部20cにより点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を出力する。出力部30aの動作については、図11から図15において説明する。
記憶部40は、対象者テーブル50、警報テーブル51、第1判定テーブル52および第2判定テーブル53が割り当てられた格納領域を有している。対象者テーブル50、警報テーブル51、第1判定テーブル52および第2判定テーブル53については、図11から図14において説明する。
図11は、図10に示した対象者テーブル50の例を示す。対象者テーブル50は、例えば、病院に通院あるいは入院中の患者である対象者PAを格納する格納領域と、対象者PAごとに、病室、ベッド番号および点滴の状態を格納する格納領域を含む。対象者PAの格納領域には、“A.Y.”,“R.F.”,“K.M.”等の対象者PAの氏名が格納される。なお、対象者の格納領域に格納される情報は、対象者PAの氏名に限定されず、例えば、対象者PAのそれぞれを識別する情報であればよく、対象者PAごとに割り当てられた数字や文字、記号等を含む文字列等が格納されてもよい。
病室の格納領域には、対象者PAが入院する病室の番号を示す情報が格納される。また、ベッド番号の格納領域には、各病室で対象者PAが使用するベッドに予め割り当てられた番号が格納される。なお、対象者PAが通院する患者の場合、処置を受ける病室の番号およびベッドに割り当てられた番号が、病室およびベッド番号の格納領域にそれぞれ格納される。
点滴の格納領域には、対象者PAに対して点滴が処置されている場合に“有”を示す情報が格納され、点滴が処置されていない場合に“無”を示す情報が格納される。なお、点滴の格納領域には、点滴が処置されている場合に“有”が格納され、点滴が処置されていない場合に“無”が格納されたが、これに限定されない。例えば、点滴の格納領域には、点滴が処置されている場合に“1”の値が格納され、点滴が処置されていない場合に“0”の値が格納されてもよい。
例えば、点滴の格納領域は、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等を用いて、医療従事者により入力される。あるいは、第1検出部10や第2検出部11が、対象者PAの腕に刺された点滴針7を固定するテープ片T1,T2の目印LMやチューブ6を検出した場合に、監視装置100に含まれるプロセッサ等が、点滴の格納領域を“無”から“有”に変更してもよい。
図12は、図10に示した警報テーブル51の例を示す。警報テーブル51は、出力部30aが出力する点滴針7の抜去の可能性を示す警報のメッセージが格納される。そして、判定部20cにより点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、警報テーブル51に格納された警報のメッセージのいずれかが出力部30aから出力される。図12に示すように、出力部30aが出力する点滴針7の抜去に関する警報は、例えば、緊急性が高い順に警報A、警報B、警報C、警報Dおよび警報Eを含んでいる。警報テーブル51には、判定部20cの判定結果に応じたメッセージが格納される。
警報テーブル51に示した警報Aのメッセージは、例えば、対象者PAにより点滴針7が既に抜去された状態であると判定部20cにより判定された場合に、出力部30aにより出力される。警報Bのメッセージは、例えば、対象者PAが点滴針7の抜去する動作を行っている状態であると判定部20cにより判定された場合に、出力部30aにより出力される。警報Cのメッセージは、点滴針7が刺された箇所の状態やチューブ6の状態の変化では点滴針7の抜去の可能性が示されないが、対象者PAの体幹の動きから点滴針7が抜ける可能性があると判定部20cにより判定された場合に、出力部30aにより出力される。警報Dのメッセージは、点滴針7が刺された箇所の状態、チューブ6の状態および体幹の動きから、点滴針7の抜去の可能性が警報A,B,Cより低い状態であると判定部20cにより判定される場合に、出力部30aにより出力される。警報Eのメッセージは、点滴針7が刺された箇所の状態の検出やチューブ6の状態の検出が困難であることが判定部20cによる判定の過程で検出された場合に、出力部30aにより出力される。
なお、警報テーブル51に格納される警報は、図12に示した警報Aから警報Eに限定されない。例えば、少なくとも点滴針7が抜去された場合の警報と点滴針7が抜去される可能性がある場合の警報とが定義されてもよい。また、警報ごとに設定されるメッセージの内容は、図12に示すものに限定されず、検出された点滴針7が刺された箇所の状態やチューブ6の状態の変化、および検出された対象者PAの体幹の動きに応じて、適宜決定されることが好ましい。
図13は、図10に示した第1判定テーブル52の例を示す。第1判定テーブル52は、体幹の動きが検出された場合に、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づいて選択される警報テーブル51の警報を示す。第1判定テーブル52は、第1検出部10、第2検出部11および第3検出部12による検出結果に基づいて、出力部30aに出力する警報を判定部20cにより決定する際に使用される。
“警報なし”は、判定部20cから出力部30aに警報Aから警報Eのいずれも出力されず、出力部30aによる警報の出力が見合わせられる場合を示す。すなわち、“警報なし”は、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化から、判定部20cが、点滴針7が抜去される可能性がないと判定した場合に選択される。
判定部20cは、体幹の動きが検出された場合に、第1判定テーブル52を参照し、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づいて、警報Aから警報Eおよび警報なしのいずれかを選択して出力部30aに出力する。出力部30aは、判定部20cから受けた警報Aから警報Eを判定部20cによって特定された点滴針7の状態を示すメッセージとして出力する。
第1判定テーブル52は、点滴針7が刺された箇所の状態の変化として、例えば、“異常なし”、“テープ片間の距離増加”、“目印の見え隠れ”、“テープ片全体の一様な動き”および“不検出”の格納領域を含む。また、第1判定テーブル52は、チューブ6の状態の変化として、例えば、“垂れ下がり”、“横揺れ”、“引っ張り”および“領域にない”の格納領域を含む。
ここで、“異常なし”は、テープ片T1,T2の全ての目印LMが第1検出部10により検出され、テープ片T1,T2間の距離が点滴の開始時の距離と所定の誤差の範囲内で一致している状態を示す。つまり、“異常なし”は、点滴針7が刺された箇所の状態が正常であることを示す。
“テープ片間の距離増加”は、テープ片T1,T2の全ての目印LMが第1検出部10により検出されるが、テープ片T1,T2の間の距離が、点滴の開始時の距離より広がった状態を示す。つまり、“テープ片間の距離増加”は、対象者PAが点滴針7を抜去した可能性があることを示す。
“目印の見え隠れ”は、テープ片T1,T2間の距離が、点滴の開始時の距離と所定の誤差の範囲内で一致するが、各目印LMが、第1検出部10によって検出される場合と検出されない場合とを繰り返す状態を示す。つまり、“目印の見え隠れ”は、対象者PAによる寝返りや対象者PAが点滴針7の周囲を触る等により、各目印LMが見え隠れする状態を示し、点滴の状態に何らかの異常が発生する可能性があることを示す。
“テープ片全体の一様な動き”は、例えば、対象者PAが、点滴針7が刺された腕等を動かしている状態を示す。つまり、“テープ片全体の一様な動き”は、テープ片T1,T2の全ての目印LMは、互いの相対的な位置関係を維持し、“異常なし”の場合より大きく一様な動きを示し、所定の時間以上に亘って動いている状態である。
また、“不検出”は、テープ片T1,T2の全ての目印LMが、第1検出部10で検出されない状態を示し、点滴器具の設置状況に何らかの異常が発生した可能性があることを示す。
一方、第1判定テーブル52の“垂れ下がり”は、図6(a)に示すように、例えば、チューブ6が重力方向に垂れ下がっている状態である。“横揺れ”は、図6(b)に示すように、チューブ6が、例えば、領域ARの横幅の2分の1等以上の振幅で左右に揺れている状態である。“引っ張り”は、図6(c)に示すように、チューブ6が、例えば、重力方向から外れて左または右側の一方向に引っ張られている状態である。“領域にない”は、図6(d)に示すように、例えば、チューブ6が領域ARから外れて第2検出部11により検出されない状態である。
対象者PAの寝返り等の体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“異常なし”や“テープ片全体の一様な動き”で、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、テープ片T1,T2の全ての目印LMが検出されていることから、点滴針7の抜去の可能性はないと判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態の変化“異常なし”あるいは“テープ片全体の一様な動き”とチューブ6の状態の変化“垂れ下がり”との組合せに基づいて第1判定テーブル52を参照することで、“警報なし”を取得する。そして、出力部30aは、判定部20cから“警報なし”を示す情報を受け、警報の出力を見合わせる。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“異常なし”や“テープ片全体の一様な動き”で、チューブ6の状態の変化が“横揺れ”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、対象者PAの体幹の動きによってチューブ6の横揺れが発生したが、テープ片T1,T2の全ての目印LMが検出されることから、点滴針7の抜去の可能性がないと判定する。ただし、チューブ6の横揺れは点滴に好ましくないことから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、緊急性が他の警報の場合より低い警報Dが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Dを取得する。出力部30aは、判定部20cから警報Dを示す情報を受け、警報Dのメッセージを出力する。出力部30aが警報Dのメッセージを出力し、医療従事者の携帯通信端末3に表示させることで、監視装置100は、医療従事者に対象者PAを訪問させ、点滴にとって好ましくない対象者PAの寝返りやチューブ6の横揺れに対処させる。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“異常なし”や“テープ片全体の一様な動き”で、チューブ6の状態の変化が“引っ張り”や“領域にない”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、検出された体幹の動きによりチューブ6が引っ張られているとし、点滴針7の抜去の可能性があると判定する。ただし、テープ片T1,T2の全ての目印LMが検出されることから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、緊急性が警報Dより高い警報Cが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Cを取得し、出力部30aは、警報Cのメッセージを出力する。出力部30aが警報Cのメッセージを出力し、医療従事者の携帯通信端末3に表示させることで、監視装置100は、医療従事者に対象者PAを訪問させ、点滴針7の抜去を回避する。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“テープ片間の距離増加”と判定された場合、判定部20cは、チューブ6の状態の変化にかかわらず、対象者PAにより点滴針7が抜去された可能性があると判定する。つまり、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、緊急性が最も高い警報Aが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Aを取得し、出力部30aは、警報Aのメッセージを出力する。出力部30aが警報Aのメッセージを出力することで、監視装置100は、医療従事者に対象者PAを訪問させ、点滴針7の抜去後の処置、すなわち、損傷等した対象者PAへの処置を行わせる。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“目印の見え隠れ”で、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”や“横揺れ”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、検出された対象者PAの寝返り等の体幹の動きにより、各目印LMが第2検出部11により検出される場合と検出されない場合とを繰り返すが、各目印LMが検出されることから、点滴針7の抜去の可能性がないと判定する。ただし、寝返り等は点滴にとって好ましくないことから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、警報Dが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Dを取得し、出力部30aは、警報Dのメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態が“目印の見え隠れ”で、チューブ6の状態の変化が“引っ張り”や“領域にない”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、検出された体幹の動きによりチューブ6が引っ張られていると判定し、点滴針7が抜去される可能性があると判定する。ただし、各目印LMが見え隠れしながらも検出されることから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、警報Cが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Cを取得する。そして、出力部30aは、警報Cのメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“不検出”で、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”や“領域にない”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態やチューブ6の状態が不明なため、点滴針7の状態の判定が困難である。そこで、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には、警報Eが格納される。判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Eを取得し、出力部30aは、警報Eのメッセージを出力する。出力部30aが警報Eのメッセージを出力することで、監視装置100は、医療従事者に対象者PAの点滴針7の状態を確認させることができる。
対象者PAの体幹の動きが検出され、点滴針7が刺された箇所の状態が“不検出”で、チューブ6の状態の変化が“横揺れ”や“引っ張り”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態が不明だが、検出された寝返り等の体幹の動きによりチューブ6が横揺れ、あるいは引っ張られているとして、検出された体幹の動きにより点滴針7が抜去される可能性があると判定する。ただし、チューブ6の状態の変化が“横揺れ”あるいは“引っ張り”であり、点滴に好ましくない状態であることから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第1判定テーブル52の格納領域には警報Cが格納される。そして、判定部20cは、第1判定テーブル52を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Cを取得し、出力部30aは、警報Cのメッセージを出力する。
図14は、図10に示した第2判定テーブル53の例を示す。第2判定テーブル53は、体幹の動きが検出されない場合に、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づいて選択される警報テーブル51の警報を示す。第2判定テーブル53は、第1検出部10、第2検出部11および第3検出部12による検出結果に基づいて、出力部30aに出力する警報を判定部20cにより決定する際に使用される。第2判定テーブル53の構造は、図13に示した第1判定テーブル52の構造と同様である。すなわち、第2判定テーブル53は、点滴針7が刺された箇所の状態の変化として、例えば、“異常なし”、“テープ片間の距離増加”、“目印の見え隠れ”、“テープ片全体の一様な動き”および“不検出”の格納領域を含む。また、第2判定テーブル53は、チューブ6の状態の変化として、例えば、“垂れ下がり”、“横揺れ”、“引っ張り”および“領域にない”の格納領域を含む。
判定部20cは、体幹の動きが検出されなかった場合に、第2判定テーブル53を参照し、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づいて、警報Aから警報Eおよび警報なしのいずれかを選択して出力部30aに出力する。出力部30aは、判定部20cから受けた警報Aから警報Eを判定部20cによって特定された点滴針7の状態を示すメッセージとして出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“異常なし”で、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、テープ片T1,T2の全ての目印LMが検出されていることから、点滴針7の抜去の可能性はないと判定する。よって、点滴針7が刺された箇所の状態の変化“異常なし”とチューブ6の状態の変化“垂れ下がり”との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には“警報なし”が格納される。判定部20cは、判定結果に基づいて第2判定テーブル53を参照することで、“警報なし”を取得し、出力部30aは、警報の出力を見合わせる。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“異常なし”で、チューブ6の状態の変化が“横揺れ”、“引っ張り”や“領域にない”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、対象者PAがチューブ6に触れ、チューブ6が横揺れや引っ張り等が発生したとし、点滴針7が抜去される可能性があると判定する。ただし、テープ片T1,T2の全ての目印LMが検出されることから、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報Cが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Cを取得し、出力部30aは、警報Cのメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“テープ片間の距離増加”と判定された場合、判定部20cは、チューブ6の状態の変化にかかわらず、対象者PAにより点滴針7が抜去されたと判定する。つまり、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報Aが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、緊急性が最も高い警報Aを取得し、出力部30aは、警報Aのメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“目印の見え隠れ”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、対象者PAが点滴針7の周囲を触っているために、各目印LMが検出される場合と検出されない場合とを繰り返しているとして、チューブ6の状態の変化にかかわらず、点滴針7が抜去される可能性があると判定する。つまり、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、緊急性が警報Aの次に高い警報Bが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Bを取得し、出力部30aは、警報Bのメッセージを出力する。出力部30aが警報Bのメッセージを出力し、医療従事者の携帯通信端末3に表示することで、監視装置100は、医療従事者に対象者PAを訪問させ、点滴針7の抜去を未然に防ぐことができる。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“テープ片全体の一様な動き”と判定された場合、判定部20cは、対象者PAが点滴針7が刺された腕等の四肢を動かしているとし、点滴針7が抜ける可能性があると判定する。また、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”、“横揺れ”、“引っ張り”および“領域にない”になるに従い、腕等の四肢の振り幅が大きくなる。これにより、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報D、警報C、警報B、警報Bが格納される。判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報D、警報C、警報Bおよび警報Bのいずれかを取得する。そして、出力部30aは、取得した警報のメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“不検出”で、チューブ6の状態の変化が“垂れ下がり”や“領域にない”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態やチューブ6の状態が不明なため、点滴針7の状態の判定が困難である。そこで、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報Eが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Eを取得し、出力部30aは、警報Eのメッセージを出力する。
対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“不検出”で、チューブ6の状態の変化が“横揺れ”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態が不明だが、体幹の動きが検出されていないことから、対象者PAによりチューブ6が引っ張られ揺れている等として、点滴針7が抜去されたと判定する。そこで、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報Aが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Aを取得し、出力部30aは、警報Aのメッセージを出力する。
また、対象者PAの体幹の動きが検出されず、点滴針7が刺された箇所の状態の変化が“不検出”で、チューブ6の状態の変化が“引っ張り”と判定された場合、判定部20cは、点滴針7の状態を次のように判定する。判定部20cは、点滴針7が刺された箇所の状態が不明だが、体幹の動きが検出されていないことから、対象者PAによりチューブ6が引っ張られ点滴針7が抜かれようとしていると判定する。そこで、点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに対応する第2判定テーブル53の格納領域には、警報Bが格納される。そして、判定部20cは、第2判定テーブル53を参照することで、判定した状態に対応付けられた警報Bを取得し、出力部30aは、警報Bのメッセージを出力する。
図15は、図10に示した出力部30aが出力する指示に基づいて携帯通信端末3に表示される点滴針7の抜去に対する警報の画面の例を示す。図15に示す画面35aは、図3に示す画面35と同様に、メッセージM1を含む。メッセージM1は、例えば、対象者テーブル50に格納された病室番号およびベッド番号に基づいた、“601号室の1番ベッド”等のメッセージM1aを含む。また、メッセージM1は、判定部20cにより警報テーブル51から取得された、“点滴が抜去された可能性があります。早急に確認してください。”等の警報のメッセージM1bを含む。つまり、図15に示す破線の矩形で囲んだメッセージM1a,M1bは、判定部20cによる点滴針7の状態の判定に応じて変化する。なお、図15に示す画面35aは、警報AのメッセージがメッセージM1bとして表示される例を示す。
出力部30aは、例えば、第1判定テーブル52または第2判定テーブル53に基づいて、判定部20cにより取得された点滴針7の状態に対応付けられた警報を示す情報と、対象者テーブル50とからメッセージM1のような点滴針7の抜去を示す警報を生成する。出力部30aは、ネットワークNWを介して、生成した警報を医療従事者が携帯する携帯通信端末3に出力する。例えば、携帯通信端末3は、出力部30aからの警報に基づいてディスプレイにメッセージM1を表示する。あるいは、出力部30aは、ネットワークNWを介して、生成した警報をナースステーション等に配置されたコンピュータ等の端末装置に出力し、端末装置に含まれるディスプレイにメッセージM1を表示させてもよい。
メッセージM1を含む警報を医療従事者に対して出力することで、医療従事者に点滴の抜去が疑われる対象者PAの元への訪問を促すことができる。これにより、対象者PAによる点滴の抜去を抑制することや、点滴の抜去が行われてしまった後でも、早期の処置を行うことが可能となる。
なお、図15に示す画面35aの表示は、メッセージM1に限定されず、例えば、メッセージM1とともに、カメラ1により撮影された対象者PAの様子を示す画像を含んでもよい。また、携帯通信端末3は、警報を受信した場合、メッセージM1の表示とともに、警報音を出力し、あるいは警報を示す振動を発生してもよい。
図16は、図10に示した監視装置100における監視処理の例を示す。ステップS100、S110,S120,S130,S140,S150,S160,S170,S180およびS190は、監視装置100に搭載されるプロセッサが監視プログラムを実行することにより実行される。すなわち、図16は、監視プログラムおよび監視方法の別実施形態を示す。この場合、図10に示した第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20cおよび出力部30aは、監視プログラムの実行により実現される。なお、図16に示す処理は、監視装置100に搭載されるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図10に示した第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20cおよび出力部30aは、監視装置100内に配置される回路により実現される。
ステップS100において、判定部20cは、対象者テーブル50に基づいて、点滴の格納領域に“有”が格納された点滴を受けている対象者PAがいるか否かを判定する。判定部20cは、点滴を受けている対象者PAがいる場合(YES)、処理をステップS110に移行する。一方、判定部20cは、点滴を受けている対象者がいない場合(NO)、点滴を受けている対象者が確認されるまで待機する。
ステップS110において、第1検出部10は、図1、図2および図10で説明したように、カメラ1により撮影されたベッド2を含む対象者PAが滞在する領域の画像に基づき、対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態を検出する。
次に、ステップS120において、第2検出部11は、図5、図6および図10で説明したように、撮影された画像に基づいて、画像内における点滴針7が接続されたチューブ6の状態を検出する。なお、ステップS110、S120の実行順は逆でもよく、あるいは並列に実行されてもよい。
次に、ステップS130において、判定部20cは、図2および図6で説明したように、ステップS110で検出された点滴針7が刺された箇所の状態の変化とステップS120で検出されたチューブ6の状態の変化を取得する。
次に、ステップS140において、第3検出部12は、図10で説明したように、撮影された画像に基づいて、対象者PAの体幹の動きを検出する。なお、ステップS140は、ステップS110の前または後、またはステップS120の後に実行されてもよく、あるいはステップS110、S120と並列に実行されてもよい。
次に、ステップS150において、判定部20cは、第3検出部12により対象者PAの体幹の動きが検出されたか否かを判定する。判定部20cは、第3検出部12により対象者PAの体幹の動きが検出された場合(YES)、処理をステップS160に移行する。一方、判定部20cは、第3検出部12により対象者PAの体幹の動きが検出されなかった場合(NO)、処理をステップS170に移行する。
ステップS160において、判定部20cは、図13に示した第1判定テーブル52に基づいて点滴針7の状態を判定し、判定した状態に対応付けられた警報の種類を示す情報を出力部30aに渡す。
ステップS170において、判定部20cは、図14に示した第2判定テーブル53に基づいて点滴針7の状態を判定し、判定した状態に対応付けられた警報の種類を示す情報を出力部30aに渡す。
次に、ステップS180において、出力部30aは、ステップS160またはステップS170で判定部20cから渡された情報で示される警報を出力する。
次に、ステップS190において、監視装置100は、例えば、監視装置100に含まれるタッチパネル等の入力装置を介して、医療従事者より終了指示を受けたか否かを判定する。監視装置100は、終了指示を受けた場合(YES)、一連の処理を終了する。一方、監視装置100は、終了指示を受けていない場合(NO)、処理をステップS100に移行する。
以上、この実施形態では、第1検出部10は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態として、テープ片T1,T2の目印LMの位置を検出する。また、第2検出部11は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに対する点滴の点滴針7が接続されたチューブ6の状態を検出する。第3検出部12は、対象者PAの体幹の動きを検出し、判定部20cは、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置の変化およびチューブ6の状態の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。つまり、対象者PAを撮影した画像から、監視装置100は、対象者PAの症状にかかわらず、対象者PAに刺された点滴針7の抜去につながる兆候、および、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定することで、点滴針7の状態の異常を検知することができる。
また、判定部20cは、検出された点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づき、検出された対象者PAの体幹の動きに応じて第1判定テーブル52または第2判定テーブル53を参照することで点滴針7の状態を判定する。判定部20cは、判定した状態に対応付けられた警報の種類を示す情報を出力部30aに出力する。これにより、判定部20cは、例えば、点滴針7が刺された箇所が布団等で覆われている場合でも、チューブ6の状態の変化から点滴針が抜かれる可能性を判定することができ、点滴針7の抜去の見落としを抑制することができる。また、出力部30aは、点滴針7の抜去の可能性の判定に応じた警報を生成でき、医療従事者に対して適切な指示を出力することができる。
また、出力部30aは、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者の携帯通信端末3等に出力することで、医療従事者に対象者PAへの訪問を促すことができる。促された医療従事者が対象者PAの元を訪れることで、点滴針7の抜去を未然に回避することができ、抜去後の処置や、抜去により対象者PAが負傷等した場合における対象者PAへの処置を迅速に行うことができる。
なお、複数のカメラ1で複数の対象者PAを監視する場合、監視装置100は、複数のカメラ1に共通に設置されてもよく、複数のカメラ1の各々に対応して設置されてもよい。この場合、監視装置100とカメラ1とは、ネットワークNWを介さずに接続されてもよい。複数のカメラ1の各々に対応して設置される場合、複数の監視装置100は、対象者PAに対する点滴の状態をそれぞれ監視し、点滴針7の抜去の可能性を示す結果を得た場合、ネットワークNWを介して、抜去の可能性を示す警報を医療従事者の携帯通信端末3等にそれぞれ出力してもよい。
また、チューブ6に所定の間隔を置いて線等の目印を予め付けておき、第2検出部11は、チューブ6に付けられた目印を用いてチューブ6の状態を検出してもよい。
なお、判定部20cにより点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、出力部30aは、対象者PAのベッド2の周囲に設置され、ネットワークNWに接続されたスピーカ等を含む出力装置に音声で警報を出力してもよい。例えば、音声での警報は、“点滴針を触らないでください”や“チューブを引っ張らないでください”等である。この場合、出力部30aは、携帯通信端末3とベッド2の周囲に設置される出力装置との両方に警報を出力することが望ましい。
図17は、監視装置の別実施形態を示す。図17に示す監視装置100の各要素のうち、図10に示す監視装置100の要素と同一または同様の機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
監視装置100は、図10に示した第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、出力部30aおよび記憶部40を有している。但し、記憶部40に格納される一部の情報は、図10に示した記憶部40に格納される情報と異なる。また、監視装置100は、図10に示した判定部20cに代えて、判定部20dを有している。第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20d、出力部30aおよび記憶部40の接続関係は、図10と同様である。
記憶部40は、図10に示した記憶部40と同様の警報テーブル51、第1判定テーブル52および第2判定テーブル53とともに、図10に示した対象者テーブル50と異なる対象者テーブル50aを有している。警報テーブル51、第1判定テーブル52および第2判定テーブル53の例は、図12、図13、図14と同様である。対象者テーブル50aの例は、図18に示す。
判定部20dは、点滴針7が抜去された可能性の有無の判定に、点滴針7が刺された箇所の状態およびチューブ6の状態の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係を用いる。判定部20dの動作については、図18において説明する。なお、判定部20dは、点滴針7が抜去された可能性の有無の判定に、点滴針7が刺された箇所の状態およびチューブ6の状態の少なくとも一方の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係を用いてもよい。
図18は、図17に示した対象者テーブル50aの例を示す。対象者テーブル50aは、図11に示す対象者テーブル50における対象者、病室、ベッド番号および点滴の格納領域に加えて、対象者PAごとに治療内容、せん妄影響、投薬情報および睡眠影響の格納領域を含む。対象者、病室、ベッド番号および点滴の格納領域については、図11に示す対象者テーブル50と同一または同様であるため、詳細な説明は省略する。
治療内容の格納領域には、図18に示すように、各対象者PAが患っている病気を示す病名d1,d2,d3等の情報が格納される。また、治療内容の格納領域には、各対象者PAへの処置の内容を示す処置t1,t2,t3等の情報が格納される。なお、格納される処置の内容には、例えば、対象者PAに対するギプス等による固定や、集中治療室(ICU:Intensive Care Unit)での治療等の情報が含まれる。
せん妄影響の格納領域には、対象者PAへの処置の内容により、対象者PAがせん妄の症状を引き起こす可能性があるか否かを示すフラグが格納される。例えば、対象者PAがギプス等により体が固定されている、あるいは集中治療室で治療を受けている等、自由に体を動かすことが困難な場合に、対象者PAが幻覚や錯覚等のせん妄の症状を示す可能性がある。したがって、ギプス等による固定や集中治療室での治療等の処置が対象者PAに施された場合、せん妄影響の格納領域には、せん妄の症状を引き起こす可能性があることを示す“1”の値のフラグが格納される。一方、対象者PAへの処置により対象者PAがせん妄を引き起こす可能性がない場合、せん妄影響の格納領域には、“0”の値のフラグが格納される。例えば、対象者テーブル50aにおいて、対象者“R.F.”のせん妄影響の格納領域には、“1”のフラグが格納されることから、対象者“R.F.”への処置t2には、せん妄の症状を引き起こすギプスの固定等の処置が含まれることを示す。一方、例えば、対象者“A.Y.”と対象者“K.M.”とのせん妄影響の格納領域には、“0”のフラグが格納されている。せん妄影響の格納領域に“0”のフラグが格納されることから、対象者“A.Y.”への処置t1および対象者“K.M.”への処置t3には、せん妄の症状を引き起こすギプスの固定等の処置を含まないことを示す。
なお、せん妄影響の格納領域に格納される値は、例えば、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等を用い、治療内容の格納領域とともに医療従事者により入力される。あるいは、例えば、記憶部40やネットワークNWに接続された外部のサーバ等に、せん妄の症状を引き起こす処置を示す情報が予め記憶されてもよい。そして、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等の入力装置を用い、医療従事者により治療内容が入力された場合に、記憶部40や外部のサーバ等に記憶されたせん妄の症状を引き起こす処置の情報に基づいて、せん妄影響の格納領域が設定されてもよい。
投薬情報の格納領域には、対象者PAに対して投薬された薬を示す情報が格納される。例えば、図18に示す対象者テーブル50aは、対象者“A.Y.”に薬k1と薬k2とが投薬され、対象者“R.F.”に薬k3が投薬され、対象者“K.M.”に薬k4と薬k5とが投薬されたことを示す。なお、対象者PAに対して投薬された薬を示す情報は、投薬情報の格納領域に格納されたが、治療内容の格納領域に格納されてもよい。この場合、対象者テーブル50aは、投薬情報の格納領域を持たない。
睡眠影響の格納領域には、例えば、眠気を引き起こす成分を含む麻酔薬や睡眠薬等の薬が対象者PAに投薬されたか否かを示すフラグが格納される。対象者PAに投薬された薬に眠気を引き起こす成分が含まれる場合、睡眠影響の格納領域には、対象者PAが不測の動きをする可能性があることを示す“1”の値のフラグが格納される。一方、対象者PAに投薬された薬に眠気を引き起こす成分がない場合、睡眠影響の格納領域には、対象者PAが不測の動きをする可能性がないことを示す“0”の値のフラグが格納される。例えば、対象者テーブル50aにおいて、対象者“A.Y.”の睡眠影響の格納領域には、“1”のフラグが格納されている。つまり、対象者“A.Y.”に投薬された薬k1および薬k2の少なくとも一方は、眠気を引き起こす成分を含むことを示す。一方、例えば、対象者“R.F.”と対象者“K.M.”との睡眠影響フラグの格納領域には、“0”のフラグが格納される。つまり、対象者“R.F.”に投薬された薬k3と、対象者“K.M.”に投薬された薬k4および薬k5とは、眠気を引き起こす成分を含まないことを示す。
なお、睡眠影響の格納領域に格納されるフラグの値は、例えば、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等の入力装置を用い、投薬情報とともに医療従事者により入力される。あるいは、例えば、記憶部40やネットワークNWに接続された外部のサーバ等に、眠気を引き起こす成分を含む薬を示す情報が予め記憶されてもよい。そして、携帯通信端末3に含まれるタッチパネル等の入力装置を用い、医療従事者により投薬情報が入力された場合に、記憶部40や外部のサーバ等に記憶された薬の情報に基づいて、各対象者PAの睡眠影響の格納領域が設定されてもよい。
判定部20dは、例えば、対象者テーブル50aに基づいて、点滴の格納領域に“有”が格納され、せん妄影響および睡眠影響の少なくとも一方の格納領域に“1”のフラグが格納された点滴の監視の対象者PAの有無を判定する。判定部20dは、図10、図12から図16で説明したように、監視の対象者PAがいる場合、検出された点滴針7が刺された箇所の状態および画像内のチューブ6の状態の少なくとも一方の変化と、検出された体幹の動きとに基づいて、点滴針7の抜去を判定する。
図19は、図17に示した監視装置100における監視処理の例を示す。図19に示す処理では、図16に示すステップS100の代わりにステップS100aが実行される。その他の処理は、図16と同一または同様である。図19に示す処理は、監視装置100に搭載されるプロセッサが監視プログラムを実行することにより実行される。すなわち、図19は、監視プログラムおよび監視方法の別実施形態を示す。この場合、図17に示した第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20dおよび出力部30aは、監視プログラムの実行により実現される。なお、図19に示す処理は、監視装置100に搭載されるハードウェアにより実行されてもよい。この場合、図17に示した第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20dおよび出力部30aは、監視装置100内に配置される回路により実現される。
ステップS100aにおいて、判定部20dは、点滴を監視する対象者PAの有無を判定する。例えば、判定部20dは、対象者テーブル50aに基づいて、点滴の格納領域に“有”が格納され、せん妄影響および睡眠影響の少なくとも一方の格納領域に“1”のフラグが格納された対象者PAを監視の対象者と判定する。判定部20dは、点滴の監視の対象者PAがいる場合(YES)、処理をステップS110に移行する。一方、判定部20dは、点滴の監視の対象者がいない場合(NO)、点滴の監視の対象者が確認されるまで待機する。そして、点滴の監視の対象者PAがいる場合、図16と同様に、ステップS110からステップS190の処理が実行される。
以上、この実施形態では、第1検出部10は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに対する点滴の点滴針7が刺された箇所の状態として、テープ片T1,T2の目印LMの位置を検出する。また、第2検出部11は、カメラ1により撮影された画像から対象者PAに対する点滴の点滴針7に接続されたチューブ6の状態を検出する。第3検出部12は、対象者PAの体幹の動きを検出し、判定部20dは、検出されたテープ片T1,T2の目印LMの位置の変化およびチューブ6の状態の変化と、対象者PAの体幹の動きとの関係に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する。つまり、対象者PAを撮影した画像から対象者PAに刺された点滴針7が抜かれた可能性の有無を判定することで、監視装置100は、対象者PAの症状にかかわらず、点滴針7の抜去につながる兆候を含めて点滴針7の状態の異常を検知することができる。
また、判定部20dは、検出された点滴針7が刺された箇所の状態の変化とチューブ6の状態の変化との組合せに基づき、検出された対象者PAの体幹の動きに応じて第1判定テーブル52または第2判定テーブル53を参照することで点滴針7の状態を判定する。判定部20dは、判定した状態に対応付けられた警報の種類を示す情報を出力部30aに出力する。これにより、判定部20dは、例えば、点滴針7が刺された箇所が布団等で覆われている場合でも、チューブ6の状態の変化から点滴針が抜かれる可能性を判定することができ、点滴針7の抜去の見落としを抑制することができる。また、出力部30aは、点滴針7の抜去の可能性の判定に応じた警報を生成でき、医療従事者に対して適切な指示を出力することができる。
また、判定部20dは、対象者テーブル50aに基づいて、点滴の格納領域に“有”が格納され、せん妄影響および睡眠影響の少なくとも一方の格納領域に“1”のフラグが格納された患者を点滴の監視の対象者PAとして抽出にする。監視装置100は、判定部20dが抽出した点滴の監視の対象者PAに限ることで、点滴針7の抜去とは異なる動作を点滴針7の抜去と誤判定することを防止でき、図10に示す監視装置100と比べて監視処理の高速化を図ることができる。
また、出力部30aは、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を、ネットワークNWを介して、医療従事者の携帯通信端末3等に出力することで、医療従事者に対象者PAへの訪問を促すことができる。促された医療従事者が対象者PAの元を訪れることで、点滴針7の抜去を未然に回避することができ、あるいは抜去により対象者PAが負傷等した場合でも対象者PAへの処置を迅速に行うことができる。
なお、複数のカメラ1で複数の対象者PAを監視する場合、監視装置100は、複数のカメラ1に共通に設置されてもよく、複数のカメラ1の各々に対応して設置されてもよい。この場合、監視装置100とカメラ1とは、ネットワークNWを介さずに接続されてもよい。複数のカメラ1の各々に対応して設置される場合、複数の監視装置100は、対象者PAに対する点滴の状態をそれぞれ監視し、点滴針7の抜去の可能性を示す結果を得た場合、ネットワークNWを介して、抜去の可能性を示す警報を医療従事者の携帯通信端末3等にそれぞれ出力してもよい。
また、チューブ6に所定の間隔を置いて線等の目印を予め付けておき、第2検出部11は、チューブ6に付けられた目印を用いてチューブ6の状態を検出してもよい。
なお、判定部20dが点滴針7の抜去の可能性を判定した場合、出力部30aは、携帯通信端末3への警報の出力に加えて、対象者PAのベッド2の周囲に設置されたスピーカ等を含む出力装置に音声で“点滴針を触らないでください”等の警報を出力してもよい。
図20は、図1、図5、図8、図10および図17に示した監視装置100のハードウェア構成例を示す。なお、図20に示した各要素のうち、図1、図5、図8、図10および図17に示した要素と同一または同等の機能を有するものについては、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
コンピュータ装置200は、プロセッサ210、ネットワークインタフェース220、メモリ230、ハードディスク装置240および光学ドライブ装置250を含む。図20に示したプロセッサ210、ネットワークインタフェース220、メモリ230、ハードディスク装置240および光学ドライブ装置250は、バスを介して互いに接続される。また、プロセッサ210、ネットワークインタフェース220、メモリ230およびハードディスク装置240は、監視装置100に含まれる。
光学ドライブ装置250は、光ディスク等のリムーバブルディスク260を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク260に記録された情報の読み出しおよび記録を行う。
コンピュータ装置200は、ネットワークインタフェース220を介してネットワークNWに接続される。ネットワークNWは、カメラ1やナースステーション等に設置されたコンピュータ等の端末装置300と接続されるとともに、例えば、無線LANやWi−Fi規格等の無線通信を介して、医療従事者が携帯する携帯通信端末3と接続される。これにより、コンピュータ装置200は、ネットワークインタフェース220を介して、ネットワークNWカメラ1と接続され、プロセッサ210は、ネットワークインタフェース220を介して、カメラ1で撮影された画像を受ける。
また、プロセッサ210は、ネットワークインタフェース220を介して、対象者PAの点滴針7の抜去を示す警報等をネットワークNWに出力し、携帯通信端末3や端末装置300の有機ELや液晶等のディスプレイに画面35や画面35a等を表示する。医療従事者は、表示された画面35aに基づいて、対象者PAの元を訪問し、点滴針7等の状態を確認し、抜去により対象者PAが負傷等している場合、対象者PAの治療を行う。
また、プロセッサ210は、ネットワークインタフェース220を介して、携帯通信端末3や端末装置300に含まれるタッチパネルやキーボード等の入力装置を用い、医療従事者により入力された各種の設定や指示をネットワークNWから受ける。
メモリ230は、コンピュータ装置200のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ210が監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納する。また、メモリ230は、対象者テーブル50,50a、警報テーブル51、第1判定テーブル52および第2判定テーブル53を格納する。
なお、監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスク等のリムーバブルディスク260に記録して頒布することができる。そして、リムーバブルディスク260を光学ドライブ装置250に装着して読み込み処理を行うことにより、監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、メモリ230やハードディスク装置240に格納されてもよい。また、コンピュータ装置200は、ネットワークインタフェース220を介し、ネットワークNWを通じて監視処理を行うためのアプリケーションプログラムをダウンロードし、メモリ230やハードディスク装置240に格納してもよい。
また、プロセッサ210は、メモリ230に格納された監視処理のアプリケーションプログラムを実行することで、図1に示す第1検出部10、判定部20および出力部30、図5に示す第2検出部11、判定部20aおよび出力部30として機能する。また、プロセッサ210は、メモリ230に格納された監視処理のアプリケーションプログラムを実行することで、図8に示す第1検出部10、第2検出部11、判定部20bおよび出力部30として機能する。さらに、プロセッサ210は、メモリ230に格納された監視処理のアプリケーションプログラムを実行することで、図10に示す第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20cおよび出力部30aとして機能する。また、プロセッサ210は、メモリ230に格納された監視処理のアプリケーションプログラムを実行することで、図17に示す第1検出部10、第2検出部11、第3検出部12、判定部20dおよび出力部30aとして機能する。
つまり、監視装置100は、プロセッサ210、ネットワークインタフェース220、メモリ230およびハードディスク装置240の協働によって実現する。
監視処理のためのアプリケーションプログラムは、カメラ1から取得した画像に基づいて、対象者PAの点滴針7が刺された箇所の状態やチューブ6の状態を検出する処理をプロセッサ210に実行させるプログラムを含む。また、監視処理のためのアプリケーションプログラムは、検出された点滴針7が刺された箇所の状態の変化やチューブ6の状態の変化に基づいて、点滴針7の抜去の可能性の有無を判定する処理をプロセッサ210に実行させるプログラムを含む。また、監視処理のためのアプリケーションプログラムは、点滴針7の抜去の可能性があると判定された場合に、点滴針7の抜去の可能性を示す警報を出力する処理をプロセッサ210に実行させるプログラムを含む。また、監視処理のためのアプリケーションプログラムは、対象者PAの体幹の動き検出する処理をプロセッサ210に実行させるプログラムを含む。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。