JP2015065163A - リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムの挿入や脱離に伴う負極活物質層の膨張を抑制し、サイクル特性に優れた負極、及びこれを用いたリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】集電体上に形成された負極活物質層を備え、負極活物質層は、リチウムと合金化が可能な負極活物質と、導電助剤と、式(1)及び式(2)で表わされる構造によって構成されたポリアミドイミドを含むバインダーとを含むリチウムイオン二次電池用負極。【選択図】図1

Description

本発明はリチウム合金系負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯電話やノートPCなどの携帯用情報通信機器や電力貯蔵用などの電源として、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて、充放電を行うようにしたリチウムイオン二次電池が広く利用されている。
上記リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極と負極とを絶縁するセパレーター、および正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解液、で主に構成され、正極および負極は、金属箔からなる集電体の両面に各種の活物質が塗布されてなるものである。例えば、正極として、コバルト酸リチウムなどを含む活物質層がアルミニウム箔よりなる集電体に塗布されてなるものが用いられ、一方、負極としては、黒鉛などを含む活物質層が銅箔よりなる集電体に塗布されてなるものが用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池の負極においては、その負極活物質として黒鉛(理論容量372mAh/g)が広く利用されているが、モバイル機器の小型化および軽量化に反して多機能化が進行し、現在さらなる高容量化の対応が急務となっている。
特に高容量の負極活物質として、リチウム金属、およびリチウムと合金化が可能なシリコン(Si)、シリコン化合物(例えばSiO)、スズ(Sn)などの合金系負極材料が検討されおり、特にシリコンでは高い理論容量4199mAh/gを示す。
しかし、シリコンやシリコン化合物を負極活物質として使用した場合、充放電によるリチウムイオンの挿入と脱離に伴った電極の膨張収縮が、黒鉛を負極活物質として用いた場合よりも顕著に大きくなる。したがって、シリコンなどの合金系負極材料を負極活物質に用いたリチウムイオン二次電池では、充電と放電の繰り返しによって、負極活物質層が膨張収縮することで、負極に多大な応力が加わる。
その結果、集電体上に形成された負極活物質層にクラックが発生したり、負極活物質層と集電体との間で剥離を生じたりするなどの課題が生じる。これにより、負極活物質−負極活物質間、および負極活物質−集電体間での導電パスが遮断され、その結果、リチウムイオン二次電池としてのサイクル特性が低下する。
上述した課題に対して、特許文献1では、負極の体積膨張を抑制するために所定の機械的特性をもったポリアミドイミドが負極用バインダーとして提案されているが、我々は上記課題に対して鋭意検討した結果、上記ポリアミドイミドを負極のバインダーとして使用した場合、充分に体積膨張が抑えられず、良好なサイクル特性が得られないという問題があった。
特開2011−48969号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、リチウムイオン二次電池の負極におけるリチウムの挿入や脱離に伴う負極活物質層の体積膨張を抑制し、ひいては集電体からの負極活物質層の剥離を防止することによって、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体および集電体上に形成された負極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池用負極であって、負極活物質層は、リチウムと合金化が可能な負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、バインダーは、下記の式(1)および式(2)によって構成されたポリアミドイミドであることを特徴とする。
Figure 2015065163

Figure 2015065163

(ただし、Xは、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−(CH−、−C(CF−、−C(CH−を示す。−(CH−のnは、1以上5以下の整数である。a及びbは、mol%を表し、a+b=100である)。また、R 、Rは水素、アルキル基からなる群より選ばれる置換基を示す。
リチウムイオン二次電池用負極(以下、「負極」ということがある。)に上記式(1)及び式(2)によって構成されたポリアミドイミドをバインダーとして用いることで、充放電に伴って生じる負極活物質層の膨張と収縮、つまり体積膨張を抑制することができる。上記バインダーは、ポリマーとして屈曲性の小さい式(2)のポリアミドイミドを分子構造内の一部に持つため、式(1)のみで構成されるポリアミドイミドよりも、剛直でかつ、伸張性の抑制された物理的特性を示す。上記バインダーを用いた負極では、充放電における負極活物質層の体積膨張が抑制されると共に、集電体と負極活物質層の間で生じる剥離が改善され、リチウムイオン二次電池として優れたサイクル特性を示す。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、さらに式(1)のaが49〜96mol%、式(2)のbが51〜4mol%の比率であることが好ましい。なお、aとbの比率を足し合わせた場合、100mol%の関係を満たすものとする。
式(1)のaが49〜96mol%、式(2)のbが51〜4mol%の比率で調製されたポリアミドイミドを電極のバインダーとして用いた場合、集電体と負極活物質層との剥離強度が高まり、密着性が良好な負極となる。これにより、上記バインダーを含む負極活物質層は、充放電による負極活物質層の体積膨張が生じた場合においても、集電体と負極活物質層とが強く密着しているため、集電体と負極活物質層における剥離や負極活物質層でのクラックが改善され、サイクル特性がさらに向上する。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上記ポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)が、5,000〜100,000であることが好ましい。
上記ポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)が、5,000〜100,000である場合、バインダーとして、活物質と活物質および活物質と集電体の結着性を強く保持することができ、負極活物質間での導電パスに優れ、充放電サイクル特性が良好となる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極として、集電体上に形成された負極活物質層は、負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、残留溶媒が0.1wt%以下であることが好ましい。
前述したように、集電体上に形成された負極活物質層中の残留溶媒量を、0.1wt%以下にすることで、集電体と負極活物質層との接着性を強く固持することができる。負極活物質層をこの様な構成にすることで、充放電後の電極における集電体と負極活物質層との剥がれが抑止され、ひいてはリチウムイオン二次電池としたときのサイクル特性の向上が可能となる。
本発明によれば、集電体とその上に形成された負極活物質層との剥離を防ぐことができ、サイクル特性の向上が可能となるリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の構成を表す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<リチウムイオン二次電池用負極>
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極20は、負極集電体22上に形成された負極活物質層24を備える負極であって、負極活物質層24は、リチウムと合金化が可能な負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、前記バインダーは、下記の式(1)および下記の式(2)によって構成されたポリアミドイミドを含む。これにより、充放電に伴って生じる負極活物質層24の体積膨張を抑制することが可能となる。その結果、負極集電体22とその上に形成された負極活物質層24との剥離を防ぐことができ、サイクル特性の向上が可能となるリチウムイオン二次電池用負極20、およびリチウムイオン二次電池100を提供することができる。
Figure 2015065163
Figure 2015065163
(ただし、Xは、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−(CH−、−C(CF−、−C(CH−を示す。−(CH−のnは、0以上5以下の整数である。a及びbは、mol%を表し、a+b=100である。)。また、R 、Rは水素、アルキル基からなる群より選ばれる置換基を示す。
リチウムイオン二次電池用負極20に上記バインダーを用いることで、充放電時における負極活物質層24の膨張収縮を抑制することが可能となる。上記バインダーは、上記式(1)と上記式(2)のポリアミドイミドから構成された構造を有している。式(1)および式(2)の配列順序に関しては、特に限定されない。
したがってポリマーとして屈曲性の小さい式(2)のポリアミドイミドを分子内の一部に保有する。ゆえに、式(1)のようなベンゼン環とベンゼン環の間に位置する−X−に、屈曲性基を有するポリアミドイミドのみで構成されるポリアミドイミドと比較して、リチウムイオン二次電池用負極20に用いられるポリアミドイミドでは、剛直でかつ、伸張性が抑制された物理的特性を示す。
上記バインダーによって構成される負極20では、充放電における負極活物質層24の体積膨張が抑制すると共に、負極集電体22と負極活物質層24の間で生じる剥離が改善され、リチウムイオン二次電池100として優れたサイクル特性を示す。
さらに前記式(1)および前記式(2)のaおよびbの比率としては、aが49〜96mol%、bが51〜4mol%であることが好ましい。
前述した式(1)のaが49〜96mol%、前述した式(2)のbが51〜4mol%に調製されたポリアミドイミドを負極20のバインダーとして用いることで、負極集電体22と負極活物質層24との剥離強度が高まり、ひいては負極集電体22と負極活物質層24との密着性が良好な負極となる。これにより、上記バインダーを含む負極活物質層24では、充放電時における負極活物質層24の膨張収縮が抑制され、負極集電体22と負極活物質層24における剥離や、負極活物質層24でのクラック等の不具合が改善され、より優れたサイクル特性を発現し得る。
さらに前述したポリアミドイミドでは、ポリアミドイミドの合成時に用いられる溶媒に対して溶解性に富み、その結果、合成して得られるバインダーの組成や粘性が均一となり、ひいてはバインダーとしてのハンドリング性が好適なものとなる。特に、当該バインダーによって作製された負極スラリーでは、その塗工性に優れるため、安定して品質の良いリチウムイオン二次電池用負極20を作製することができる。
さらに前述したポリアミドイミドは、重量平均分子量(Mw)が、5,000〜100,000であることが好ましい。
前述したポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)が、5,000〜100,000である場合、バインダーとして、活物質と活物質および活物質と集電体の結着性を強く保持することができ、負極活物質間での導電パスに優れ、充放電サイクル特性が良好となる。
さらにリチウムイオン二次電池用負極20は、その負極集電体22上に形成された負極活物質層24において、残留溶媒が0.1wt%以下であることがより好ましい。
負極集電体22上に形成された負極活物質層24中の残留溶媒を、0.1wt%以下にすることで、負極集電体22と負極活物質層24およびまたは、負極活物質同士での接着性を強く固持することができる。一方、0.1wt%以上の残留溶媒を含む負極20では、負極集電体22と負極活物質層24との結着性が乏しくなり、充放電による負極活物質層24の一部が剥離しやすい傾向にある。この原因として、0.1wt%以上の残留溶媒量を負極活物質層24に含んでいる場合、その残留溶媒によって負極活物質層24に含まれるポリアミドイミドのバインダーの一部がワニスの状態で存在し、これによって負極活物質同士の結着性および/または負極集電体22と負極活物質層24との結着性が一部低下している可能性があるものと考えている。
なお、残留溶媒は、ポリアミドイミド合成時の有機溶媒(溶媒)であり、溶媒の沸点以上の所定温度において熱処理することで、容易にその量を減らすことが可能である。上記熱処理の温度の上限としては、ポリアミドイミドが分解しない程度の温度であることが望ましいが、上記ポリアミドイミドをリチウムイオン二次電池としたときに、電池特性を損なわない範囲であれば、ポリアミドイミドの一部が分解する温度でも構わない。
また、熱処理の別の効果として、ポリアミドイミドを構成するポリアミドイミド分子とポリアミドイミド分子とが新たに縮重合および/または架橋し、ポリアミドイミドとしての物理的強度を高めることもできる。
以下、上述した本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極20およびリチウムイオン二次電池100の好適な実施形態について、さらに詳細に説明する。
<負極活物質>
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池用負極20の負極活物質としては、リチウムと合金化が可能な負極活物質が用いられる。特に、高容量であるシリコンが望ましい。シリコンは、単体で含まれていても、合金で含まれていても、化合物で含まれていてもよく、それらの2種以上が混在した状態で粒子を形成していてもよい。具体的には、MSi(MはSi以外の1種以上の元素であり、yは0以上の数値である)の化学式で示されるシリコン化合物として、例えばSiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSiなどが挙げられる。またシリコンを含有した酸化化合物、窒素化化合物、または炭化化合物として、例えばSiC、Si、SiO、SiO(0<x≦2)、LiSiO、などが挙げられる。さらに、シリコンの合金としては、例えば、シリコン以外に、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
また、シリコン以外の負極活物質としては、金属スズが挙げられる。金属スズは、単体で含まれていても、合金で含まれていても、化合物で含まれていてもよく、それらの2種以上が混在した状態で含まれていてもよい。具体的には、NSn(NはSn以外の1種以上の元素であり、wは0以上の数値である)の化学式で示されるスズ化合物として、例えばMgSn、が挙げられる。また、スズを含有した酸化化合物、窒素化化合物、または炭化化合物として、例えばSnO(0<z≦2)、LiSnOなどが挙げられる。さらに、スズの合金としては、例えば、スズ以外に、シリコン、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
また、負極活物質として、上記に挙げた材料に限定することはなく、他にも、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出する材料であれば特に制限はされないリチウムイオン二次電池用負極20に、膨張収縮の大きな負極活物質を用いた場合において、より好適な効果を発揮することができる。
<ポリアミドイミドバインダー>
バインダーは、負極活物質層24を構成する部材同士または、負極活物質層24と負極集電体22とを結着させてリチウムイオン二次電池用負極20の電極構造を維持する目的で添加される。リチウムイオン二次電池用負極20に含まれるバインダーとして、例えばポリアミドイミドを用いることができる。上記ポリアミドイミドとしては、芳香族、脂肪族または脂環族のポリアミドイミドを用いることができ、これらの中では、強度、伸張率、弾性率、耐電解液性のほかに、溶媒への溶解性や加工性、コストなどの点から芳香族ポリアミドイミドが好ましい。
前述の式(1)および式(2)によって構成されたポリアミドイミドの製造方法としては、酸成分とイソシアネート成分から製造するイソシアネート法、または酸クロリドとアミンから製造するジアミン法(酸クロリド法)などの公知の方法で製造することができるが、製造コストの点からイソシアネート法が好ましい。
ポリアミドイミドをイソシアネート法で合成する場合、酸成分として前記式(1)および前記式(2)に含まれるトリメリット酸無水物を必須成分とするが、リチウムイオン二次電池としたときに特性を損なわない範囲でその一部を他の多塩基酸またはその無水物に置き換えることができる。例えば、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテートなどのテトラカルボン酸およびこれらの無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、トリメシン酸、シクロヘキサントリカルボン酸などの3 官能カルボン酸などが挙げられる。これらの中ではトリメリット酸無水物が最も好ましく、次いでベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸などが好ましい。
ポリアミドイミドをイソシアネート法で合成する場合、前記式(1)および前記式(2)に対応するジイソシアネートを必須成分とするが、例えば、以下に列挙するジイソシアネート成分を用いることができる。p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルカルボニル−3,3’−ジイソシアナート、4−イソシアナト安息香酸4−イソシアナトフェニル、4,4’−ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1−イソシアネート−4−[1−(4−イソシアネートフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられ、これらの中ではp−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはp−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
なお、ポリアミドイミドをジアミン法で製造する場合は、上記酸成分のカルボン酸をカルボン酸クロライドに変更することができ、イソシアネート成分を対応するアミンに変更して製造することができる。
ポリアミドイミドは、極性溶媒中で60〜200℃に加熱しながら攪拌することで容易に合成することができる。イソシアネート法による合成に使用する溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジメチルアセトアミド、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどを挙げることができ、これらの中でもN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また、これらの溶媒の一部を、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶媒、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶媒で置き換えることも可能である。
ポリアミドイミドを合成する際、その反応を促進するために、必要に応じて触媒を用いても良く、例えばトリエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等のアミン類、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のハロゲン化金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機塩基が挙げられる。触媒量は酸成分に対して0mol%以上10mol%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1mol%以上5mol%以下である。
なお、上記負極20に用いられるバインダーとしては、本発明内のポリアミドイミドとその他のバインダーを少なくとも1つ以上と組み合わせて併用してもよい。その他のバインダーとしては、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが挙げられ、ポリアミドイミドとしては、公知の各種ポリアミドイミドが挙げられる。より具体的には、例えば、日立化成社製「HPCシリーズ(商品名)」、東洋紡績社製「バイロマックス(商品名)」などの市販品を使用することができる。なお、上記ポリアミドイミドとしては、分子鎖中に芳香環を有するもの、すなわち芳香族ポリアミドイミドがより好ましい。さらに本発明のポリアミドイミドと組み合わせるポリアミドイミドは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ポリイミドとしては、公知の各種ポリイミドが挙げられ、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミドの何れも使用することができる。また、熱硬化性ポリイミドの場合には、縮合型のポリイミド、付加型のポリイミドの何れであってもよい。より具体的には、例えば、東レ社製「セミコファイン(商品名)」、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製「PIXシリーズ(商品名)」、日立化成社製「HCIシリーズ(商品名)」、宇部興産社製「U−ワニス(商品名)」などの市販品を使用することができる。上記ポリイミドも同様に、本発明のポリアミドイミドと組み合わせる場合、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<正極活物質>
リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質としては、リチウム複合酸化物が用いられ、具体的には、以下に示す各材料および各元素の組成比が異なる類似の材料が使用でき、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルト酸リチウム(LiNiCoO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、LiMO(M=Ni、Co、Mn)、LiMO(M=Ni、Co、Al)、LiFeMnO、LiPtO、LiMnNiO、LiNiMnO、LiCrMnO、LiFe(SO、LiMVO、(M=Mn、Ni、Co)、LiCoPO、Li(PO、などが挙げられる。また、この材料に限定することはなく、他にも、リチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離する正極活物質材料であれば、特に制限はされない。
正極10に用いられるバインダーとしては、本実施形態のポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド、ポリウレタン、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、などの有機系バインダー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンーブタジエン共重合体などの水系バインダーが好適に用いることができる。
<導電助剤>
負極活物質層24および正極活物質層14において、導電性を向上させることを目的として導電助剤を追加で添加してもよい。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、およびグラファイトなどの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
<集電体>
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に活物質層が配置される。本実施形態のリチウムイオン二次電池として、集電体を構成する材料は特に限定するものではないが、負極20に用いられる負極集電体22としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金などの金属箔を用いることができる。特に銅および銅合金が好ましく、電解銅箔および圧延銅箔によって製造された箔を好適に用いることができる。正極10に用いられる正極集電体12としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などの金属箔を用いることができ、特に正極集電体12としては、アルミニウム箔が好ましい。
本実施形態における負極集電体22において、シリコンやシリコン化合物などの高容量な負極活物質と組み合わせて負極20を作製する場合、上記負極集電体22の抗張力としては、50N/mm以上のものが好ましく、さらに200N/mm以上を有する負極集電体22がより好ましい。
負極集電体22の抗張力に関して上記に限定するものではないが、その理由として、我々のこれまでの種々の研究成果において、抗張力が50N/mmよりも小さい負極集電体22を用いた場合、充放電時に上記負極活物質層24の膨張収縮によって、破れが発生しやすくなる傾向にあった。つまり、充放電による負極20の破れや負極活物質層24の脱落をより効果的に抑制するためには、少なからず所定の抗張力を有する負極集電体22を用いることが望ましく、それによって本発明の効果が好適に発揮される。
本実施形態における上記負極集電体22である銅箔厚みは、特に限定するものではないが、5〜30μm程度の銅箔が好適に用いることができる。銅箔厚みが5μmよりも薄い集電体になると、銅箔の相対的な抗張力が弱くなる傾向にあり、負極活物質層24の充放電による体積膨張によって、銅箔の破れや変形等が容易に生じやすい可能性がある。
また、上記銅箔の表面粗さRaについても特に限定するものではないが、負極活物質層24との接着性との観点から、少なからず所定の表面粗さを有する集電体が好ましい。銅箔の表面粗さRaとしては、0.05μm以上の銅箔を用いればよい。なお、RaはJIS B0601に規定される算術平均粗さRaのことである。
<セパレーター>
セパレーター18は、負極20と正極10との間に配置され、両極の接触による電流の短絡を防止し、さらに電解質塩を含んだ電解液が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレーター18は、例えば微少な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、上記セパレーター18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔フィルム、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前記ポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレーター18は、例えばその厚みが5μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲であるものが好ましい。
<電解液>
電解液は、上述したようにセパレーター18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。上記電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、上記列挙した溶媒に限定することはなく、電解質塩を溶解しリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
また、上記溶媒には、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルや、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などのフッ素化環状カーボネートを混合して溶媒として用いることができる。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiAlCl、LiSiF、LiCl、リチウムビスオキサレートボレート、あるいはLiBrなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
<リチウムイオン二次電池>
図1に、リチウムイオン二次電池100の構成断面図を示す。図1のリチウムイオン二次電池100は、正極10および負極20と、正極10と負極20との間に配置されたセパレーター18と電解質を含む電解液から構成され、前記セパレーター18は充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である上記電解液を保持する。
上記正極10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む正極活物質層14を正極集電体12の少なくとも一方の主面に備えて構成されており、上記負極20は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む負極活物質層24を負極集電体22の少なくとも一方の主面に備えて構成されている。
リチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限はなく、例えば、円筒型、角型、コイン型、偏平型、ラミネートフィルム型など、いずれであってもよい。本発明では、ラミネートフィルムを外装体50として用い、下記実施例では、ラミネートフィルム型電池を作製し評価する。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されている。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、負極20は以下のようにして製造することができる。例えば、上述した負極活物質と、導電助剤と、バインダーとをN−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒に混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。次いで、この負極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する負極活物質層24を銅箔などの負極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させた。なお、上記負極集電体22の両面に塗布された場合、負極活物質層24となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。上記負極活物質が形成された負極20をロールプレス機などにより、負極活物質層24を負極集電体22の片面または両面に圧着させ、負極集電体22上の負極活物質層24と、負極集電体22との密着性を高めると同時に、所定の密度を有する負極シートとなる。
上記負極シートは、金型を用いて所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の負極20とする。上記負極20の面積は、正極10の面積よりも大きいサイズであることが好ましい。負極20の面積を、対向する正極10の面積よりも大きくして、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
上記負極20は、真空中または不活性ガスの雰囲気中において上記バインダーの熱分解する温度以下で熱処理することで、バインダーによる重合度の増加によって負極活物質層24と負極集電体22の界面、および負極活物質同士での密着性をさらに高めることができる。また、負極集電体22の表面に一定の表面粗さを有していれば、その表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体22の間にアンカー効果が作用し、さらに密着性が向上する。そのため、リチウムイオンの吸蔵・放出の際の活物質の体積の膨張・収縮による負極集電体22からの負極活物質層24の剥離を抑制することができる。
正極10は以下のようにして製造することができる。例えば、上述した正極活物質と、導電助剤と、バインダーとをN−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒に混合分散させてペースト状の正極スラリーを作製する。次いで、この正極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極活物質層14をアルミニウム箔などの正極集電体12の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させた。なお、上記正極集電体12の両面に塗布された場合、正極活物質層14となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。上記正極活物質層14が形成された正極10をロールプレス機などにより、正極活物質層14を正極集電体12の片面または両面に圧着させ、正極活物質層14と正極集電体12との密着性を高めると同時に、所定の密度を有する正極シートとなる。
上記正極シートは、金型を用いて所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極10とする。既に上述している通り、上記正極10の面積は、負極20の面積よりも小さいサイズであることが好ましい。正極10の面積を、対向する負極20の面積よりも若干小さくすることで、簡易的にリチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
また上記正極10においても負極20と同様に、使用するバインダーによって適宜熱処理を行っても良い。
続いて、負極20と正極10とをセパレーター18を介して積層することで電極体30を作製することができる。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて任意の積層数で構成された電極体を作製することができる。上記セパレーター18は、負極20と正極10とが直接接触しないようにするために、金型を用いて両電極よりも電極サイズが大きく打ち抜いたものを好適に用いることができる。
次いで、上記電極体30の負極20において、負極活物質層24を設けていない銅箔の突起端部に、ニッケル製の負極リード62を取り付け、一方、電極体30の正極10においては、正極活物質層14を設けていないアルミニウム箔の突起端部に、アルミニウム製の正極リード60を超音波溶接機によって取り付ける。そして、この電極体30を、アルミニウムのラミネートフィルムの外装体50内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、外装体50内に所定量の電解液を注入した後に、残りの1箇所を減圧しながらヒートシールすることにより密封し、リチウムイオン二次電池100を作製することができる。
このリチウムイオン二次電池100では、充電を行うと、例えば、正極活物質層14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層24に吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層24からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層14に吸蔵される。したがって、上記リチウムイオン二次電池100は電気容量を貯蔵することができる。
以上、実施の形態により本発明を詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、ラミネートフィルム構造を有するリチウムイオン二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだり、あるいは積み重ねた構造を有するリチウムイオン二次電池についても同様に適用することができる。さらにコイン型、角型あるいは扁平型などのリチウムイオン二次電池についても好適に応用することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本実施形態をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下に記す実施例に限定されるものではない。
<ポリアミドイミドAの合成>
冷却管と窒素ガス導入口のついた4ツ口フラスコに、トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.95mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.05mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、攪拌しながら120℃に昇温して120℃で1時間反応させた後、次いで180℃に昇温して180℃で3時間反応させてポリアミドイミドAを得た。前記ポリアミドイミドAの式(1)と式(2)のmol比率は、96/4であった。
<ポリアミドイミドBの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.9mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.1mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドBを得た。前記ポリアミドイミドBの式(1)と式(2)のmol比率は、91/9であった。
<ポリアミドイミドCの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.8mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.2mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドCを得た。前記ポリアミドイミドCの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドDの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.6mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.4mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドDを得た。前記ポリアミドイミドDの式(1)と式(2)のmol比率は、58/42であった。
<ポリアミドイミドEの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.5mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.5mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドEを得た。前記ポリアミドイミドEの式(1)と式(2)のmol比率は、49/51であった。
<ポリアミドイミドFの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.4mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.6mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドFを得た。前記ポリアミドイミドFの式(1)と式(2)のmol比率は、40/60であった。
<ポリアミドイミドGの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)0.2mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)0.8mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドGを得た。前記ポリアミドイミドGの式(1)と式(2)のmol比率は、21/79であった。
<ポリアミドイミドHの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(アルドリッチ社製)1mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドHを得た。前記ポリアミドイミドHの式(1)と式(2)のmol比率は、100/0であった。
<ポリアミドイミドIの合成>
トリメリット酸無水物(TMA)(和光純薬工業社製)1mol、1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)(東京化成工業社製)1mol、触媒としてフッ化カリウム0.01mol(純正化学社製)を固形分濃度が20%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と共に仕込み、ポリアミドイミドAと同様の合成温度、反応時間にてポリアミドイミドIを得た。前記ポリアミドイミドIの式(1)と式(2)のmol比率は、0/100であった。
上記合成で得られたポリアミドイミドA〜E、およびポリアミドイミドHは、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒に溶解しているワニスとして得られ、粘性としてハンドリング性の良い形態であった。
上記合成で得られたポリアミドイミドF、G、およびIは、1,4−フェニレンジイソシアネートの仕込み量が多くなるに従って、N−メチル−2−ピロリドンへの溶解性が乏しくなり、ハンドリング性の悪い形態であった。
<ポリアミドイミドJの合成>
ポリアミドイミドCと同様の試薬を用いて仕込み、120℃に昇温して120℃で1時間反応させてポリアミドイミドJを得た。前記ポリアミドイミドJの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドKの合成>
ポリアミドイミドCと同様の試薬を用いて仕込み、120℃に昇温して120℃で1時間反応させた後、さらに130℃に昇温し、130℃で1時間反応させてポリアミドイミドKを得た。前記ポリアミドイミドKの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドLの合成>
ポリアミドイミドCと同様の試薬を用いて仕込み、120℃に昇温して120℃で1時間反応させた後、さらに180℃に昇温し、180℃で1時間反応させてポリアミドイミドLを得た。前記ポリアミドイミドLの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドMの合成>
ポリアミドイミドCと同様の試薬を用いて仕込み、120℃に昇温して120℃で1時間反応させた後、さらに180℃に昇温し、180℃で6時間反応させてポリアミドイミドMを得た。前記ポリアミドイミドMの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドNの合成>
ポリアミドイミドCと同様の試薬を用いて仕込み、120℃に昇温して120℃で1時間反応させた後、さらに200℃に昇温し、200℃で3時間反応させてポリアミドイミドNを得た。前記ポリアミドイミドNの式(1)と式(2)のmol比率は、80/20であった。
<ポリアミドイミドの評価>
なお、上記の各ポリアミドイミドは、真空乾燥下において150℃で1時間熱処理し、N−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させ、得られた生成物をフーリエ変換赤外分光光度計、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて各ポリアミドイミドの化学構造および重量平均分子量(Mw)を解析した。
FT−IRによるポリアミドイミドの解析においては、イミド基の吸収スペクトルを、νC−N:1380cm−1、νC=O:1780cm−1、アミド基の吸収スペクトルを、νN−H:1525cm−1、νC=O:1660cm−1、ベンゼン環の吸収スペクトルを、νC=C:1510cm−1、νC=O:1590cm−1、としてポリアミドイミドが合成されていることを確認した。
さらに上記合成にて得られたポリアミドイミドA〜Nの重量平均分子量(Mw)については、表1および表3に示した。
<リチウムイオン二次電池用負極の作製>
(実施例1)
負極活物質として減圧下において1000℃の熱処理で不均化反応させたSiOを80wt%と、導電助剤としてアセチレンブラックを5wt%と、バインダーとしてイソシアネート法によって合成したポリアミドイミドAを15wt%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に負極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて110℃の大気雰囲気下で上記負極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。なお、上記銅箔の両面に塗布された負極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記負極活物質が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する負極シートを得た。
上記負極シートは、金型を用いて21×31mmの電極サイズに打ち抜き、そして熱処理炉にて350℃まで昇温し、1時間保持した後に室温まで急冷させ、実施例1に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、上記熱処理は、真空中にて実施した。
<リチウムイオン二次電池用正極の作製>
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を96wt%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2wt%と、バインダーとしてPVDFを2wt%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に正極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で上記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。なお、上記アルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極シートを得た。
上記負極シートは、金型を用いて20×30mmの電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用正極を作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
上記作製した負極と正極とを、厚さ16μmの22×33mmサイズのポリプロピレン製のセパレーターを介して積層し、電極体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて4層で構成された電極体を作製した。なお、上記負極および正極は、両面に各活物質層を備えているため、負極3枚と正極2枚とセパレーター4枚とで構成されている。
さらに、上記電極体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、電極体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。そしてこの電極体を、アルミニウムのラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、上記外装体内にEC/DECが3:7の割合で配合された溶媒中に、リチウム塩として1M(mol/L)のLiPFが添加された電解液を注入した後に、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例2に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドBに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドCに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例4)
実施例4に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドDに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例5)
実施例5に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドEに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例6)
実施例6に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドFに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例7)
実施例7に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドGに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
比較例1に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドHに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
比較例2に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドIに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例8)
実施例8に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極の熱処理温度を、350℃から300℃に変更した以外は、実施例3と同様の方法によってチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例9)
実施例9に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極の熱処理温度を、350℃から250℃に変更した以外は、実施例3と同様の方法によってチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例10)
実施例10に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極の熱処理温度を、350℃から230℃に変更した以外は、実施例3と同様の方法によってチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例11)
実施例11に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極の熱処理温度を、350℃から200℃に変更した以外は、実施例3と同様の方法によってリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例12)
実施例12に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、実施例3に係るリチウムイオン二次電池用負極の熱処理温度を、350℃から150℃に変更した以外は、実施例3と同様の方法によってチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例13)
実施例13に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドJに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例14)
実施例14に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドKに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例15)
実施例15に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドLに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例16)
実施例16に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドMに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例17)
実施例17に係るリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極に用いたバインダーをポリアミドイミドNに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってリチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
<評価>
実施例と比較例で作製した負極、およびリチウムイオン二次電池について、負極活物質層と負極集電体との剥離強度、負極活物質層に含まれる残留溶媒量、100サイクル後の放電容量維持率、および100サイクル後の負極の負極活物質層の剥離の有無について評価した。
(剥離試験)
リチウムイオン二次電池用負極において、前記負極を構成する負極活物質層と負極集電体との接着性を、卓上引張り試験機Ez−TEST(島津製作所社製)を用いて評価した。なお、ロードセルは20N用の冶具を使用した。
まず、実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池用負極を、30mm×15mmのサイズに切り出し、これを負極試験片とした。次いで平滑なステンレス板の台座に、住友スリーエム社製の両面テープを貼り付け、上記切り出された負極試験片をこの両面テープの上から、空気を抱き込ませないように張り合わせた。このとき、負極試験片の活物質層表面と、両面テープとが張り合わされている状態となる。また、張り合わせる際に、上記負極試験片の一部(先端から5mm程度)を90°に折り曲げることで、つかみ部を設けている。
上記負極試験片のつかみ部をつかみ冶具に挟み込み、速度100mm/minで垂直に引き上げ、負極試験片の負極活物質層を負極集電体から剥離させた。そして以下の計算式により剥離強度を算出した。
剥離強度(mN/mm)=剥離応力(mN)÷負極試験片の幅(mm)
(残留溶媒量)
本発明内のリチウムイオン二次電池用負極において、負極を構成する負極活物質層に含まれる残留溶媒量を、熱処理前後での重量減少から測定した。本発明内における残留溶媒量は、以下の式により算出した。
所定温度で熱処理した負極に含まれる残留溶媒量(wt%)=[所定温度で熱処理した負極重量(g)−溶媒が完全に乾燥する温度で熱処理した負極重量(g)]/所定温度で熱処理した負極重量(g)×100(%)
上記の溶媒が完全に乾燥する温度で熱処理した負極重量とは、ロールプレス機によって、負極活物質層を集電体に圧着させた負極シートを、金型により21×31mmの電極サイズに打ち抜き、負極活物質層中に含まれるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が完全に乾燥する350℃で熱処理したときの負極重量とした。350℃以上の熱処理温度では、負極の重量減少がほぼ飽和したことから、溶媒であるNMPがほぼ乾燥しているものと思われる。ただし、400℃以上では、合成したポリアミドイミドの組成によっては、分解が生じてくる懸念があるため、本発明内の熱処理温度の上限を350℃とした。さらに、リガク社製の熱重量示唆熱分析装置(サーモプラス TG8120)を用いてN−メチル−ピロリドン単体の重量減少を測定した結果、200℃以降にてほぼ重量減少が飽和することも確認している。
上記の所定温度で加熱処理した後の負極重量とは、ロールプレス機によって、負極活物質層を集電体に圧着させた負極シートを、金型により21×31mmの電極サイズに打ち抜き、350℃以下の温度で熱処理したときの負極重量を意味する。
(サイクル試験)
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池は、下記に示す充放電試験条件によって充放電を繰り返し、サイクル特性について評価した。なお、充放電は25℃にて実施した。充放電試験条件は、1.0Cの定電流で4.2Vになるまで定電流充電を行い、その後は1.0Cの定電流で電池電圧が2.5Vとなるまで放電し、上記を1サイクルとし、100サイクル後の放電容量維持率によって評価した。なお、1Cとは公称容量値の容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値のことである。
例えば、100サイクル後の放電容量維持率は、以下の計算式によって定義される。
100サイクル後の放電容量維持率(%)=(100サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量)×100(%)
(サイクル後の負極活物質層の剥離有無)
100サイクル終了した実施例および比較例のリチウムイオン二次電池は、グローブポックス内で解体し負極を取り出した。取り出した負極は、ジメチルカーボネート(DMC)で電解液を洗浄し、40℃で乾燥した後に負極における負極活物質層の集電体からの剥離状態を目視で評価した。
本発明内のポリアミドイミドにおいて、前記式(1)と式(2)のaおよびbのmol比率を種々に調製した実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例2に係る負極および/またはそのリチウムイオン二次電池において、剥離強度、サイクル特性、サイクル後の負極活物質層の剥離の結果について表1に示す。
Figure 2015065163
上記表1より明らかなように、ポリアミドイミドA〜E(前記式(1)のaが49〜96mol%、前記式(2)のbが51〜4mol%)を負極用バインダーに用いた実施例1〜実施例5では、負極活物質層と集電体との剥離強度が強く、またリチウムイオン二次電池としたときの100サイクル後のサイクル特性も、80%以上の高い容量維持率を示すことがわかった。また、100サイクル後の負極活物質の剥離も生じていなかった。実施例6、7では比較例よりは高いサイクル特性を示したが、負極活物質層の一部に剥がれを確認した。一方、比較例1〜2では、負極活物質層と集電体との剥離強度が200mN/mm以下であり、負極活物質層において一部、または大きな剥離が観察された。また、100サイクル後の放電容量維持率においては、実施例よりも低下していた。
本発明の実施例に係るポリアミドイミドCをバインダーとして使用した負極を例にとって、より好適な実施形態についてその負極活物質層中に含まれる残留溶媒量を種々に調整し、その負極における負極活物質層と集電体との剥離強度、およびそれをリチウムイオン二次電池としたときのサイクル特性、サイクル評価後の負極活物質層の集電体からの剥離の結果について表2に示す。
Figure 2015065163
上記表2から明らかなように、負極活物質層に含まれる残留溶媒量を0.10wt%以下に低減した負極では、負極活物質層と集電体との剥離強度が高まり、密着性が良好な負極であることが明らかである。ひいてはこの負極を用いたリチウムイオン二次電池では、100サイクル後の放電容量維持率が80%以上であった。一方、残留溶媒量が、0.15%以上含まれた負極では、その負極活物質層と集電体との密着性が十分とは言えず、ひいてはサイクル特性およびサイクル後において集電体からの活物質の剥離が一部生じやすいものであった。なお、剥離が一部ありというのは、明らかな負極活物質層の剥離ではなく、負極の端部や四隅などの一部の負極活物質層が剥がれた程度を意味する。
上記結果の要因として、残留溶媒量を0.10wt%以下に低減した負極では、負極活物質層中に形成されているポリアミドイミドバインダーが、残留溶媒によって浸食されにくく、負極活物質と負極活物質、および/または負極活物質と集電体、とをより強固に接着することができ、ひいては充放電を繰り返した場合における負極活物質の剥離が抑制されているものと考えられる。
本発明の実施例に係るポリアミドイミドCの重量平均分子量をポリアミドイミドの合成条件によって種々調整し、これをバインダーとして使用した負極を例にとって、リチウムイオン二次電池としたときの、より好適な実施形態について表3に示す。
Figure 2015065163
表3から明らかなように本発明の実施例に係るポリアミドイミドにおいては、その重量平均分子量が5,000〜100,000である場合、負極活物質層の剥離が改善されると共に、100サイクル後の放電容量維持率がより優れることが確認された。
100・・・リチウムイオン二次電池、10・・・正極(同義:リチウムイオン二次電池用正極)、12・・・正極集電体、14・・・正極活物質層、60・・・正極リード、20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極活物質層、62・・・負極リード、18・・・セパレーター、30・・・電極体、50・・・外装体

Claims (5)

  1. 集電体及び前記集電体上に形成された負極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池用負極であって、
    前記負極活物質層は、リチウムと合金化が可能な負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含み、前記バインダーは、下記の式(1)および式(2)によって構成されたポリアミドイミドを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。ただし、式(1)および式(2)の配列順序に関しては、特に限定されない。
    Figure 2015065163
    Figure 2015065163
    (ただし、Xは、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−(CH−、−C(CF−、−C(CH−を示す。−(CH−のnは、1以上5以下の整数である。a及びbは、mol%を表し、a+b=100である。)。また、R 、Rは水素、アルキル基からなる群より選ばれる置換基を示す。
  2. 前記式(1)のa が49〜96mol%、前記式(2)のbが51〜4mol%であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記ポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)が、5,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記負極活物質層は、残留溶媒が0.10wt%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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