JP2015064363A - 光路長制御用圧電アクチュエータ構造体 - Google Patents

光路長制御用圧電アクチュエータ構造体 Download PDF

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武志 細川
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Abstract

【課題】組立性を向上させ、小型化を図ることができ、安価に構成することができる光路長制御用圧電アクチュエータ構造体を提供する。【解決手段】光路長制御用ミラーMを保持するミラー保持体22に圧電アクチュエータ41が連結され、圧電アクチュエータ41を駆動してミラーMを変位させる構成とされた光路長制御用圧電アクチュエータ構造体において、ミラー保持体22と圧電アクチュエータ41は、圧電アクチュエータ41をミラー保持体22に対向させて圧電アクチュエータ41に電圧を印加し、圧電アクチュエータ41の中央部がミラー保持体22に近接する方向に圧電アクチュエータ41を撓ませた状態で、圧電アクチュエータ41の中央部をミラー保持体22の中央部に接合することによって連結する。連結された状態でミラー保持体22と圧電アクチュエータ41には互いの中央部同士が近づく方向にそれぞれ撓みが生じているものとされる。【選択図】図2

Description

この発明は角速度を検出するリングレーザジャイロにおけるレーザ共振器のレーザ光路長の制御に用いられ、圧電アクチュエータで光路長制御用ミラーを変位制御する構成とされた光路長制御用圧電アクチュエータ構造体に関する。
まず、最初に、リングレーザジャイロの構造を簡単に説明する。
図6に示したように、リングレーザジャイロはガラスブロック11内に三角形の通路12が形成され、その通路12の三角形の各頂点に出力ミラー13及びミラー14,15がそれぞれ配され、これらミラー13〜15により三角形のリング状光学通路が構成されている。この通路12内にはレーザ媒質が封入され、通路12の三角形の各辺とそれぞれ連通して、レーザ光を発振させるためのアノード16,17及びカソード18が設けられている。
ミラー13〜15によって構成されたリング状光学通路に互いに反対方向に進行する2つのレーザ光を発振させ、この状態でガラスブロック11に光学通路の軸心を中心とする角速度が印加されると、上記2つのレーザ光に光路差が生じ、その光路差が互いに反対方向に進行する2つのレーザ光間に発振周波数差を生じさせる。従って、これら2つのレーザ光を重ね合わせることにより干渉縞ができ、この干渉縞を検出することにより入力角速度を検出することができる。
このリングレーザジャイロのガラスブロック11の材料には熱膨張係数の小さいものが選定されるが、その材料自身が持つ熱膨張の他に、取付けられているアノード16,17及びカソード18などの熱膨張に基因し、例えばリングレーザジャイロの周囲温度が変化すると、ガラスブロック組立体として寸法変化を起す。この寸法変化によって生じるリング状光学通路の光路長変化を補償して一定に維持するために、一般にミラー14,15は可動ミラーとされ、光路長制御用圧電アクチュエータ構造体19にそれぞれ保持されている。
図7は光路長制御用圧電アクチュエータ構造体19の従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものであり、光路長制御用圧電アクチュエータ構造体19はこの例では圧電アクチュエータ21とミラー保持体22とが互いに対接され、ねじ23で一体に連結されて構成されている。ミラー保持体22は円筒状固定部22aとその軸心位置の柱状可動部22bとがダイアフラム22cで連結され、可動部22bにミラー14(15)が形成されて構成されている。ミラー14(15)は可動部22b上に成膜されて形成されている。
圧電アクチュエータ21は、2枚の円板状の圧電素子24,25を電極(中間電極)26を介して重ね、さらにこれら圧電素子24,25の外側にそれぞれリング状の電極27,28を重ねたバイモルフ型のアクチュエータとされている。
この圧電アクチュエータ21の中心部に形成された孔内にスペーサ31を介してねじ23が挿通され、その先端がミラー保持体22の可動部22b内に保持されたナット32にねじ込まれて、ミラー保持体22に圧電アクチュエータ21が固定されている。
電極26と電極27,28との間に直流電圧を印加すると、その極性に応じた方向にその電圧の大きさに応じて圧電素子24,25が撓んで(歪んで)、その中央部が法線方向に変位し、これにより可動部22bに形成されたミラー14(15)が法線方向に変位し、図6におけるリング状光学通路の光路長が調整される。
特開平8−288576号公報
上述したように、従来の光路長制御用圧電アクチュエータ構造体においては、圧電アクチュエータとミラー保持体はねじとナットを使用して連結されていた。圧電アクチュエータとミラー保持体の連結においては、圧電アクチュエータとミラー保持体とを連結すると同時に、予めミラー保持体のダイアフラムにプリテンションを与えてミラーを圧電アクチュエータ側に引っ張っておく必要があり、これを達成すべく、従来においてはねじとナットを用いるものとなっていた。
しかしながら、このようなねじとナットを用いるミラー保持体と圧電アクチュエータの連結方法では、下記(1)〜(3)に示すような問題があった。
(1)組立工数がかかる。
(2)例えばリングレーザジャイロの小型化に伴い、光路長制御用アクチュエータ構造体にも小型化が要求されるが、ねじが外部に飛び出ている分、小型化が阻害され、また微小なねじやナットの製作が困難なため、小型化の要求に対応できない。
(3)ねじの締め具合でミラー保持体に与えるプリテンションの大きさが決まるので、性能が作業者のスキルに依存する。
この発明の目的はこのような問題に鑑み、組立性を向上させ、かつ小型化が容易で安価に構成することができる光路長制御用圧電アクチュエータ構造体を提供することにある。
請求項1の発明によれば、光路長制御用ミラーを保持するミラー保持体に圧電アクチュエータが連結され、圧電アクチュエータを駆動してミラーを変位させる構成とされた光路長制御用圧電アクチュエータ構造体において、ミラー保持体と圧電アクチュエータは、圧電アクチュエータをミラー保持体に対向させて圧電アクチュエータに電圧を印加し、圧電アクチュエータの中央部がミラー保持体に近接する方向に圧電アクチュエータを撓ませた状態で、圧電アクチュエータの中央部をミラー保持体の中央部に接合することによって連結されており、連結された状態でミラー保持体と圧電アクチュエータには互いの中央部同士が近づく方向にそれぞれ撓みが生じているものとされる。
請求項2の発明では請求項1の発明において、ミラー保持体及び圧電アクチュエータの、連結される中央部の少なくとも一方に突部が形成されているものとされる。
請求項3の発明では請求項1の発明において、ミラー保持体及び圧電アクチュエータの、連結される中央部の少なくとも一方にスペーサが配置され、そのスペーサを介してミラー保持体と圧電アクチュエータが連結されているものとされる。
この発明によれば、圧電アクチュエータとミラー保持体は従来のようにねじとナットを使用するのではなく、接合によって連結されるものとなっている。よって、組立性が向上し、かつねじとナットを使用しない分、部品点数の削減を図ることができ、これらの点で製造コストの低減を図ることができる。また、小型化も容易となる。
さらに、圧電アクチュエータに従来のようにねじ用の穴を開ける必要がなく、その分電極面積を拡大することができるので、圧電アクチュエータの電界効率が向上し、消費電力の低減を図ることができる。
また、圧電アクチュエータに電圧を印加し、撓ませた状態でミラー保持体に接合して光路長制御用圧電アクチュエータ構造体を得るものとなっており、これによりミラー保持体に良好にプリテンションを与えることができる。加えて、プリテンションの大きさは印加電圧によって決まるので、従来のねじを使用する場合のように作業者のスキルに依存するといった問題も発生しない。
この発明による光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の一実施例の構成を各部に分解して示した斜視図。 この発明による光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の製造方法を説明するための図。 ミラー保持体にプリテンションを与えずに圧電アクチュエータを取り付けた場合の問題点を説明するための図。 この発明による光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の他の実施例を説明するための図。 リングレーザジャイロのガラスブロックへの光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の取り付けを説明するための図。 リングレーザジャイロの一般的構成を説明するための図。 光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の従来構成例を示す断面図。
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の一実施例の構成を各部
に分解して示したものであり、図7に示した従来の光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の各部と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この例では圧電アクチュエータ41の、ミラー保持体22と対向する側に位置する圧電素子25は図1に示したように、ミラー保持体22と対向する面25aの中央部に円形状をなす突部25bが形成されているものとされ、この突部25bの上面に接着剤を塗布して、その接着剤により圧電アクチュエータ41とミラー保持体22とを接合連結するものとされる。
図2(1)〜(3)はこの接合の様子を工程順に示したものであり、図2(1)〜(3)では説明をわかりやすくするため、厚さ寸法を大きく誇張して模式的に示している。なお、後述する図3,4についても同様に誇張して示している。以下、各工程(1)〜(3)について説明する。
(1)圧電アクチュエータ41の圧電素子25の突部25b上に接着剤51を塗布し、その突部25bをミラー保持体22側に向け、圧電アクチュエータ41をミラー保持体22に対向させて設置する。図2(1)中、Mはミラー保持体22に成膜形成されているミラーを示す。
(2)圧電アクチュエータ41に電圧を印加し、矢印aで示したように突部25bがミラー保持体22に近接する方向に圧電アクチュエータ41を撓ませ(歪ませ)、突部25bをミラー保持体22の中央部に接触させて接着する。
(3)接着が完了したら、電圧印加を解除する。圧電アクチュエータ41は矢印bで示したように元の形状に戻ろうとし、この時、接着部52を介してミラー保持体22が矢印cで示したように引っ張られる。これにより、ミラー保持体22のダイアフラム22cにプリテンションが与えられ、ミラーMは圧電アクチュエータ41側に引っ張られる。圧電アクチュエータ41とミラー保持体22は互いの弾性復元力がつりあった状態で連結され、つまり圧電アクチュエータ41とミラー保持体22は互いの中央部同士が近づく方向にそれぞれ撓んでいる状態となって、光路長制御用圧電アクチュエータ構造体が完成する。
ここで、ミラー保持体にプリテンションを与える理由について説明する。
まず、前提として圧電アクチュエータとミラー保持体とは互いの中央部のみが連結固定され、外周部は連結固定されることなく、単に互いに接触しているだけとされる。これは圧電アクチュエータの外周部をミラー保持体に固定してしまうと、圧電アクチュエータの径方向への伸縮を阻害してしまい、言い換えれば自由な変形を拘束してしまい、正常に撓まなくなってミラー保持体に効率良く力を伝達することができなくなるためである。
上記のような前提のもとで、ミラー保持体にプリテンションを与えずに中央部で単純に圧電アクチュエータを連結させて光路長制御用圧電アクチュエータ構造体を作製し、その圧電アクチュエータに電圧を印加した場合を考える。図3はこの様子を示したものであり、ここでは突部25b’の高さを、ミラー保持体22に接触するまでの寸法とし、圧電アクチュエータ41’をミラー保持体22に対向させた状態にして、突部25b’とミラー保持体22の接触面で連結されている。
図3Aに矢印で示したように、圧電アクチュエータ41’によってミラーMを引くことはできる。しかしながら、これとは逆にミラーMを押すことは図3Bに示したようにできない。これは圧電アクチュエータ41’の外周部はミラー保持体22と接触しているだけなので、外周部が図3Bに示したように浮いてしまうことによる。
以上により、ミラー保持体22にプリテンションを与え、図2(3)に示したような状態(初期状態)にしておくことが必要となり、このような初期状態とすることでミラーM
を双方向に変位させることができるものとなる。
なお、圧電アクチュエータ41をミラー保持体22に接合連結する際に、圧電アクチュエータ41に印加する電圧の大きさは、電圧印加により圧電アクチュエータ41が撓んで突部25bがミラー保持体22にちょうど接触するように設定する。
以上説明したように、この例によれば圧電アクチュエータ41とミラー保持体22は従来のようにねじとナットを使用して連結するのではなく、接着剤を用いた接合により連結されるものとなっており、よって組立コストを低減することができ、またねじとナットを使用しない分、部品コストを低減することができ、これらの点で光路長制御用圧電アクチュエータ構造体を安価に構成することができる。さらに、ねじやナットを使用しないため、小型化を図ることが容易となり、リングレーザジャイロの小型化に寄与することができるものとなる。
また、圧電アクチュエータ41の中心部に従来のようにねじ用の穴を貫通形成する必要がないため、その分電極面積を拡大することができ、よって圧電アクチュエータの電界効率を向上させることができ、それにより消費電力の低減を図ることができる。
さらに、ミラー保持体22に与えるプリテンションの大きさは圧電アクチュエータ41に印加する印加電圧の大きさによって決まるので、従来のように性能が作業性のスキルに依存するといった問題も発生しない。
なお、上述した例では圧電素子25に円形状の突部25bを形成しているが、突部25bの形状はこれに限らず、多角形状としてもよい。また、このように圧電素子25に突部25bを一体形成するのではなく、図4に示したように別途形成したスペーサ42を圧電素子25の中央部に固着して配置し、スペーサ42を介して圧電アクチュエータ41をミラー保持体22に接合連結するようにしてもよい。スペーサ42の構成材料は例えばミラー保持体22の構成材料(ガラス)と同じとされ、形状は円板状もしくは多角形板状とされる。
一方、圧電アクチュエータ41側に突部25bを形成したり、スペーサ42を配置するのではなく、ミラー保持体22側に突部を形成したり、スペーサを配置するようにしてもよい。
このように突部を形成したり、スペーサを配置することで、圧電アクチュエータ41とミラー保持体22との連結領域を規定することができ、つまり接着領域を良好に規定することができ、さらにミラー保持体22に所望のプリテンションを与えることができるものとなるが、例えば圧電アクチュエータ41の圧電素子25とミラー保持体22との間隙を決定する電極28の厚さや与えるプリテンションの大きさに応じ、突部やスペーサをなしとし、圧電アクチュエータ41とミラー保持体22の中央部同士を直接接着するといった構成を採用することも可能である。
図5はリングレーザジャイロのガラスブロック11への光路長制御用圧電アクチュエータ構造体の取り付け方を示したものであり、図5に示したように、一般的にミラー保持体22をまず、オプティカルコンタクトによりガラスブロック11に取り付け、その後、ミラー保持体22に圧電アクチュエータ41を取り付けるといった手順が採用される。この例では圧電アクチュエータ41を撓ませた状態でミラー保持体22に接合すべく、圧電アクチュエータ41に電圧を印加するが、2つの圧電アクチュエータ41をそれぞれ治具等で位置決めしておけば、それら2つの圧電アクチュエータ41をミラー保持体22に同時接合することも容易に行うことができる。
これに対し、この例のように圧電アクチュエータに電圧を印加して撓ませるのではなく、例えば錘等を圧電アクチュエータの上に載せて錘の自重で撓ませることを考えた場合、錘の設置面を水平にする必要があるため、図5に示したような状態で2つの圧電アクチュエータを同時に接合することはできず、圧電アクチュエータの錘設置面を順次水平にして1つずつ接合することになる。この点でこの例のように電圧を印加して圧電アクチュエータ41を撓ませる方法は製造工程を短縮でき、製造コストの削減にも寄与するものとなる。
なお、上述した例では圧電アクチュエータ41とミラー保持体22の接合に接着剤を用いるものとなっているが、接合方法はこれに限らず、例えば陽極接合や静電接合、超音波接合といった方法を用いることも可能である。
11 ガラスブロック 13 出力ミラー
14,15 ミラー 22 ミラー保持体
22c ダイアフラム 24,25 圧電素子
25b 突部 26,27,28 電極
41 圧電アクチュエータ 42 スペーサ
51 接着剤 52 接着部
M ミラー

Claims (3)

  1. 光路長制御用ミラーを保持するミラー保持体に圧電アクチュエータが連結され、前記圧電アクチュエータを駆動して前記ミラーを変位させる構成とされた光路長制御用圧電アクチュエータ構造体であって、
    前記ミラー保持体と前記圧電アクチュエータは、前記圧電アクチュエータを前記ミラー保持体に対向させて前記圧電アクチュエータに電圧を印加し、前記圧電アクチュエータの中央部が前記ミラー保持体に近接する方向に前記圧電アクチュエータを撓ませた状態で、前記圧電アクチュエータの中央部を前記ミラー保持体の中央部に接合することによって連結されており、
    前記連結された状態で前記ミラー保持体と前記圧電アクチュエータには互いの中央部同士が近づく方向にそれぞれ撓みが生じていることを特徴とする光路長制御用圧電アクチュエータ構造体。
  2. 請求項1記載の光路長制御用圧電アクチュエータ構造体において、
    前記ミラー保持体及び前記圧電アクチュエータの、前記連結される中央部の少なくとも一方に突部が形成されていることを特徴とする光路長制御用圧電アクチュエータ構造体。
  3. 請求項1記載の光路長制御用圧電アクチュエータ構造体において、
    前記ミラー保持体及び前記圧電アクチュエータの、前記連結される中央部の少なくとも一方にスペーサが配置され、そのスペーサを介して前記ミラー保持体と前記圧電アクチュエータが連結されていることを特徴とする光路長制御用圧電アクチュエータ構造体。
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