第1の発明は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧手段、蒸発器を冷媒配管で接続したヒートポンプサイクルと、前記ヒートポンプサイクルによって加熱生成した湯を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクに貯湯された湯の温度を検知する貯湯温度検知手段と、少なくとも複数の運転モードを実行する制御手段と、を備え、前記複数の運転モードは、前記ヒートポンプサイクルによって加熱生成した湯を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転モードと、浴槽への注湯を行う湯はり運転モードと、を含み、前記制御手段は、前記貯湯温度検知手段の検知温度が第1の所定値よりも低い場合に、前記湯はり運転モードにおいて、前記ヒートポンプサイクルによって前記貯湯運転モードよりも低い温度の湯を加熱生成しながら、加熱生成された湯を浴槽への注湯に使用することを特徴とするヒートポンプ給湯装置である。
これによって、湯はり運転モードでヒートポンプサイクルによって水を加熱して湯を生成するか否かを、貯湯温度に基づいて判断できる。よって、必要以上に湯を生成することを抑制することができる。したがって、ヒートポンプサイクルの沸き上げ温度を貯湯運転モードにおける沸き上げ温度よりも低くしてCOPを向上させながら、湯余りが発生するような場合には、湯はり運転モードでヒートポンプサイクルによる水の加熱を行わず、余った湯からの放熱ロスを抑制することができる。したがって、省エネルギー性に優れたヒートポンプ給湯装置を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、給湯端末と浴槽とに供給される湯の給湯流量を検出する給湯流量検出手段と、給湯端末と浴槽とに供給される湯の給湯温度を検出する給湯温度検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記給湯流量と前記給湯温度とから1日毎の積算給湯熱量を演算して記憶する給湯熱量演算手段を有し、前記制御手段は、前記積算給湯熱量が第2の所定値よりも大きい場合に、前記湯はり運転モードにおいて、前記ヒートポンプサイクルによって前記貯湯運転モードよりも低い温度の湯を加熱生成しながら、加熱生成された湯を浴槽への注湯に使用することを特徴とするものである。
これにより、貯湯温度に加え、日々の給湯熱量に基づいて、貯湯タンク内の湯の過不足を判断するので、より高い精度で湯余りの発生を予測することができ、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクルの運転を行って発生する湯余りの量、および余った湯からの放熱ロスを抑制することができ、ヒートポンプ給湯装置のエネルギー消費効率を向上させることができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記貯湯タンクの湯と浴槽の湯とを熱交換させる風呂熱交換器を有する風呂追い焚き回路を備え、前記制御手段は、前記風呂追い焚き回路で使用された前記貯湯タンクの湯の保温熱量を演算し、1日毎の積算保温熱量として記憶する追い焚き熱量演算手段を有し、前記制御手段は、前記積算給湯熱量と前記積算保温熱量との合計が、前記第2の所定値よりも大きい場合に、前記湯はり運転モードにおいて、前記ヒートポンプサイクルによって前記貯湯運転モードよりも低い温度の湯を加熱生成しながら、加熱生成された湯を浴槽への注湯に使用することを特徴とするものである。
これにより、貯湯温度に加え、日々の追い焚きによる保温熱量に基づいて、貯湯タンク内の湯の過不足を判断するので、より高い精度で湯余りの発生を予測することができ、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクルの運転を行って発生する湯余りの量、および余った湯からの放熱ロスを抑制することができ、ヒートポンプ給湯装置のエネルギー消費効率を向上させることができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれかの発明において、前記ヒートポンプサイクルは、高圧側の圧力が前記冷媒の臨界圧力となる状態で動作することを特徴とするものである。
これにより、ヒートポンプサイクルによって水を加熱して湯を生成するときのCOPを高くすることができるので、貯湯運転モードと湯はり運転モードとの両方のモードにおいて、ヒートポンプサイクルの加熱効率を向上させ、その結果、ヒートポンプ給湯装置の省エネルギー性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯装置の構成を示す図である。前記ヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプユニット2aと貯湯ユニット2bとから構成されている。
ヒートポンプユニット2aには、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、膨張弁等の減圧手段6、空気熱交換器である蒸発器7を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプサイクル1が設けられており、冷媒配管内部には冷媒が封入されている。8は、蒸発器7に空気を供給するファンである。冷媒としては、二酸化炭素やHFC冷媒を用いることができる。二酸化
炭素を冷媒として用いると、ヒートポンプサイクルの高圧側の圧力は冷媒の臨界圧力を超えた状態となり、ヒートポンプサイクルは超臨界状態で動作することとなる。
貯湯ユニット2bには、貯湯タンク3の底部、沸き上げ往き配管32、水冷媒熱交換器5、沸き上げ戻り配管33、四方切替弁18a、貯湯タンク3を環状に接続した沸き上げ回路が設けられている。
沸き上げ往き配管32の途中には、貯湯タンク3の底部の水を水冷媒熱交換器5に搬送する沸き上げポンプ21が接続されている。
四方切替弁18aの入口側には沸き上げ戻り配管33が接続されている。四方切替弁18aの出口側は沸き上げバイパス管34により貯湯タンク3の底部と接続されており、四方切替弁18aの他の出口側は沸き上げ配管35を介して貯湯タンク3の略頂部に接続されており、四方切替弁18aの他のもう1つの出口側は湯はり戻し配管36を介して貯湯タンク3の上部に接続されている。
すなわち、沸き上げポンプ21により搬送された沸き上げ戻り配管33内の温水は、四方切替弁18aにより、貯湯タンク3の底部に戻る場合と、貯湯タンク3の上部(沸き上げ管35または、湯はり戻し配管36)に戻る場合とを切り替えることができるようになっている。
また、水冷媒熱交換器5の入口の水温を検知する入水温度センサである入水温度検知手段41と、水冷媒熱交換器5の出口の水温を検知する出湯温度センサである出湯温度検知手段42が設けられている。
貯湯タンク3の壁面には貯湯温度検知手段としての複数の残湯サーミスタ(温度センサ)40a〜40eが設置されており、残湯サーミスタ40a〜40eの温度により、貯湯タンク3内の蓄熱熱量を把握することができる。
水道からの水は、減圧弁20が途中に接続された給水管11を経由して、貯湯タンク3や後述する第3混合弁14、第1混合弁15へと供給される。給水管11は、給水分岐部12で第2給水分岐管12a、第3給水分岐管12b、第1給水分岐管12cに分岐しており、第2給水分岐管12aは、貯湯タンク3の底部に、第3給水分岐管12bは第3混合弁14に、第1給水分岐管12cは第1混合弁15にそれぞれ接続されている。
貯湯タンク3の上部には第1出湯管9が接続されている。貯湯タンク3の上下方向において第1出湯管9および湯はり戻し配管36が接続された位置よりも下方、かつ貯湯タンク3の底部よりも上方の位置には中温出湯管10が接続されている。第1出湯管9の他端は、出湯分岐管16と追い焚き配管25とに分岐しており、出湯分岐管16は第2混合弁13に、追い焚き配管25は風呂熱交換器24に接続されている。
給湯回路は、貯湯タンク3内の温水と水道から供給される水とを、第2混合弁13、第3混合弁14、第1混合弁15で混合して所定温度の温水にして、カランやシャワーなどの給湯端末(図示していない)や浴槽に給湯する回路である。
第2混合弁13は、第1出湯管9から供給される温水と中温出湯管10から供給される温水とを混合して出湯合流管17から流出させる。出湯合流管17は第1出湯合流管分岐管17aと第2出湯合流管分岐管17bとに分岐しており、第1出湯合流管分岐管17aは第3混合弁14に、第2出湯合流管分岐管17bは第1混合弁15にそれぞれ接続されている。
第3混合弁14は、第1出湯合流管分岐管17aから供給される温水と第3給水分岐管12bから供給される水とを混合して給湯管28から流出させ、カランやシャワーなどの給湯端末(図示していない)から所定温度の温水を給湯させる。
第3混合弁14の出口側に接続された給湯管28には第1給湯温度検知手段としての給湯温度センサ43aが設置されており、給湯端末から給湯する際には、給湯温度センサ43aの検知温度が目標設定温度(使用者がリモコン50より設定する)になるように、制御手段51により第3混合弁14の混合比を制御する。
第1混合弁15は、第2出湯合流管分岐管17bから供給される温水と第1給水分岐管12cから供給される水とを混合して風呂注湯管27から流出させ、注湯弁19、風呂往き配管29、風呂戻り配管30を介して所定温度の温水を浴槽31に注湯させる。
第1混合弁15の出口側に接続された風呂注湯管27には第2給湯温度検知手段としての風呂給湯温度センサ43bが設置されており、浴槽31に給湯する際には、風呂給湯温度センサ43bの検知温度が目標設定温度(使用者がリモコン50より設定する)になるように、制御手段51により第3混合弁14の混合比を制御する。
第1混合弁15を利用する浴槽31への注湯は、設定操作手段としてのリモコン50を操作することで開始させることができる。例えば、リモコン50に設けられた風呂自動湯はりボタンを押すことにより開始させることができる。リモコン50より制御手段51へと風呂自動湯はりが指示されると、制御手段51は、注湯弁19を開き、第1混合弁15、風呂注湯管27を経て浴槽31へ注湯する。
また、給湯管28には第1給湯流量検出手段としての給湯流量センサ47a、風呂注湯管27には第2給湯流量検出手段としての風呂給湯流量センサ47bが各々設置され、各々を通過する流量を給湯流量として検知することができる。検知した給湯流量は制御手段51に信号として送られ処理される。給湯熱量演算手段52は、これを用いて1日毎の積算の給湯量を演算し、記憶することも可能であるし、給湯温度センサ43aや風呂給湯温度センサ43bの検知温度と合せて、給湯熱量を演算し、記憶することもできる。
風呂追い焚き回路は、貯湯タンク3の温水と浴槽31の温水とを風呂熱交換器24で熱交換することにより、浴槽31の温水を所定温度に加熱することができる。
風呂追い焚き回路は、貯湯タンク3、第1出湯管9、追い焚き配管25、風呂熱交換器24、追い焚きポンプ22、追い焚き戻り管26、貯湯タンク3を環状に接続して構成される1次側回路と、浴槽31、風呂戻り配管30、風呂循環ポンプ23、風呂熱交換器24、風呂往き配管29、浴槽31を環状に接続して構成される2次側回路とを備えている。また、追い焚き戻り管26の途中には、風呂熱交換器24から追い焚きポンプ22を経て貯湯タンク3へ還流する湯の温度を検出する追い焚き戻り温度センサ44、風呂戻り配管30の途中には、浴槽31内の温水温度を検出する浴槽温度検知手段としての風呂温度センサ45、及び浴槽水位検知手段としての水位センサ46が設置されている。追い焚き熱量演算手段53(図示せず)は、追い焚き戻り温度センサ44が検出する追い焚き戻り温度から、浴槽31の湯を保温したり追い焚きしたりするのに使用した湯の熱量を保温熱量として演算し、1日毎の積算保温熱量として記憶することができる。
また、本発明のヒートポンプ給湯装置は、ヒートポンプサイクル1で加熱した温水を貯湯タンク3に蓄える貯湯運転モードと、浴槽31への注湯を行う場合に、ヒートポンプサイクル1を起動させて、貯湯運転モードで加熱するよりも低い温度に水を加熱生成する湯
はり運転モードとを備えている。
貯湯運転モードや湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクル1の運転制御は、制御手段51が行う。このとき、制御手段51は、給湯熱量演算手段52が演算して記憶している積算給湯熱量と、追い焚き熱量演算手段53が演算して記憶している積算保温熱量とを信号として受け取って、制御に利用する。
以上のように構成されたヒートポンプ給湯装置について、ヒートポンプ給湯装置の運転モードの動作を説明する。
貯湯運転モードは、貯湯タンク3の底部の水をヒートポンプサイクル1で加熱した後に、貯湯タンク3の上部に貯湯するモードである。安価な電力を利用して深夜(23時〜翌朝7時)に運転するのが通常であるが、貯湯タンク3内の湯量が減少して湯切れのリスクが生じた場合には、昼間時間帯(7時〜23時)に運転することもある。
貯湯運転時、ヒートポンプユニット2aのヒートポンプサイクル1内に封入された冷媒は低圧のガス状態で圧縮機4に吸入され、高温高圧状態に圧縮された後に、水冷媒熱交換器5に搬送されて、貯湯タンク3から搬送された水と熱交換して、自身は低温高圧状態となる。
その後、冷媒は膨張弁等の減圧手段6で低温低圧状態に膨張した気液二相冷媒となり、蒸発器7で、ファン8により送風された外気から吸熱して低圧のガス冷媒となり、圧縮機4に吸入されるという動作を繰り返す。
一方、貯湯タンク3の底部の水は、沸き上げポンプ21により沸き上げ往き配管32を介して水冷媒熱交換器5に搬送され、前記ヒートポンプサイクル1の冷媒と熱交換して自身は加熱されて温水となる。その後、加熱された温水は、沸き上げ戻り配管33、四方切替弁18aを介し貯湯タンク3の上部または底部に戻される。
水冷媒熱交換器5の出口温水の温度は、ヒートポンプサイクル1が起動してすぐに目標出湯温度に到達する訳ではなく、しばらく時間を要する。出湯温度検知手段42で検出した温度(以下、検出温度と呼ぶ)が目標出湯温度に対して低い間(例えば、目標出湯温度と検出温度との温度差が所定値以上の場合)は、沸き上げ戻り配管33の温水は、四方切替弁18aにより、沸き上げバイパス管34を介して貯湯タンク3の底部に戻される。
その後、検出温度が目標出湯温度に近づいた場合(例えば、目標出湯温度と検出温度との温度差が所定値未満になった場合)に、四方切替弁18aを切り替えて沸き上げ戻り配管33の温水を沸き上げ配管35、第1出湯管9を介して貯湯タンク3の上部に戻す。以上の動作により、ヒートポンプサイクル1で加熱された高温の温が貯湯タンク3内に貯湯される。
次に、給湯回路における第2混合弁13による中温出湯の動作について説明する。図2は、貯湯タンク3内を全量沸き上げた状態から所定湯量を給湯した後の貯湯タンク3内温度分布の一例を示したものである。図2中の実線が中温出湯を行った場合、破線が中温出湯を行わなかった場合を示している。
給湯端末、または浴槽31に、使用者が設定した目標給湯温度T1(℃)で給湯する場合、貯湯タンク3上部から第1出湯管9、出湯分岐管16を経由して供給される温水と、貯湯タンク3の略中央部から中温出湯管10を経由して供給される温水とを第2混合弁13で混合して、目標給湯温度T1よりも所定温度差δT(K)だけ高い温度の温水として
出湯合流管17に流出させる。
給湯端末に目標給湯温度T1(℃)で給湯する場合は、第2混合弁13から出湯合流管17、第1出湯合流管分岐管17aを経由して供給されるT1+δT(℃)の温水と、給水管11から第2給水分岐管12bを経由して供給される水とを第3混合弁14で混合して、給湯温度センサ43aの検知温度が目標給湯温度T1になるように第3混合弁14の混合比を制御手段51により制御する。
また、浴槽31に目標給湯温度T1(℃)で給湯する場合は、第2混合弁13から出湯合流管17、第2出湯合流管分岐管17bを経由して供給されるT1+δT(℃)の温水と、給水管11から第1給水分岐管12cを経由して供給される水とを第1混合弁15で混合して、風呂給湯温度センサ43bの検知温度が目標給湯温度T1になるように第1混合弁15の混合比を制御手段51により制御する。
なお、本実施の形態では、第2混合弁13の出口側に温度センサを設置せずに、第1出湯管9から供給される温水温度と中温出湯管10から供給される温水温度とを残湯サーミスタ40a〜40eで検出して、出口温度がT1+δT(℃)になるように制御しているが、第2混合弁13出口に第2混合弁出口温度センサを追加して、この第2混合弁出口温度センサで検出した温度が、T1+δT(K)になるように第2混合弁13を制御してもよい。
以上の動作により、貯湯タンク3内上部の高温の湯と貯湯タンク3内底部の低温の水との境界層(以下、「中温層」と称し、「中温層」に存在する温水を「中温水」と称す)の中温水が中温出湯管10から貯湯タンク3外に排出されるため、図2に示すように、貯湯タンク3底部の水温上昇(ΔT)を抑制することができる。
ヒートポンプサイクル1の特性として、沸き上げ運転時の入水温度、即ち、水冷媒熱交換器5の入口水温が高くなるほど成績係数(COP)が低下することが知られている。従って、中温出湯により貯湯タンク3底部の水温上昇を抑制することにより、沸き上げ運転時のヒートポンプサイクル1のCOPを向上させることができ、省エネルギー性を向上させることができる。
次に、湯はり運転モードについて説明する。
図3は、浴槽31への注湯(風呂湯はり)時における制御フローチャートを示している。図3において、使用者による風呂湯はり指令がリモコン50を介して入力される(step1)。これによって、制御手段51は、風呂湯はりを検知する。この風呂湯はりの検知は、上述のようなリモコン50の操作のほか、給湯流量センサ47aおよび風呂給湯流量センサ47bにより検出する貯湯タンクからの連続給湯量が所定量(例えば、50L)以上となったことにより検知するものであってもよい。
次に、残湯量を把握するために貯湯タンク3の壁面に設置している残湯サーミスタ40a〜40eの温度が検出され(step2)、残湯量が多いか、少ないかの判断するために、残湯サーミスタ40dの温度が予め決定しておいた温度より高いか、低いかが比較される(step3)。なお、複数の残湯サーミスタ40から算出される貯湯タンク3の蓄熱熱量が予め決定しておいた蓄熱熱量より高いか、低いか比較することとしてもよい。
例えば、step3で、残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃以下の場合、残湯量が少ないと判断され、湯はり運転モードでヒートポンプサイクル1を運転(step4)し、貯湯タンク3からのお湯とヒートポンプサイクル1で沸き上げたお湯の両方
を使って風呂湯はり行う。
一方、step3で、中温出湯管10以下の高さにある残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃より高い場合、残湯量が多いと判断され、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクル1運転は行わず(step5)、貯湯タンク3からのお湯のみで風呂湯はりを行う。
したがって、残湯量が比較的少ない場合にのみ、湯はり運転モードでヒートポンプサイクル1を運転して風呂湯はりを行うので、風呂湯はりをはじめ、台所・シャワーなどのカラン給湯を含めた一日の湯の使用が終了した後の湯余りによるエネルギーロスを低減することができる。
なお、ここでは残湯サーミスタ40dの検知温度を用いてヒートポンプサイクルの起動の有無を判断することとしたが、複数ある残湯サーミスタの複数を用いてヒートポンプサイクルの起動の有無を判断してもよい。例えば、中温出湯管10以下の高さで、中温出湯管10に最も近接したに設けられた残湯サーミスタ40dの検知温度が60℃よりも高い場合には、残湯量が多いと判断して、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの起動を行わないようにすることができる。また、高さ方向において中温出湯管10に最も近接し、中温出湯管10と略同一高さに設けられた残湯サーミスタ40cの検知温度が60℃以下の温度で、かつ、湯はり運転モード時にヒートポンプサイクルによって加熱生成する湯の温度以上である場合には、第1出湯管9および中温出湯管10との双方から湯を取り出して浴槽31への注湯を行うようにすることができる。また、残湯サーミスタ40cの検知温度が、湯はり運転モード時にヒートポンプサイクルによって加熱生成する湯の温度よりも低い場合は、ヒートポンプサイクルを起動し、貯湯タンク3からの湯とヒートポンプサイクルによって加熱生成する湯との双方を用いて、浴槽31への注湯を行うようにすることができる。
なお、残湯量を把握するための残湯サーミスタ温度の比較に加えて、給湯熱量演算手段52が演算して記憶している1日毎の積算給湯熱量(例えば、過去7日間平均)に基づいて、風呂湯はり時に湯はり運転モードでヒートポンプサイクル1を運転するか否かを判断するものであってもよい。この場合の風呂湯はり開始時における制御フローチャートを図4に示す。なお、ここでいう1日とは、午前零時を境にするものでなくても良い。例えば午前3時を1日の境として、積算給湯熱量の演算を行うことができる。
すなわち図3において、残湯サーミスタ40a〜40eの温度を検出し(step2)、残湯サーミスタ40a〜40eの温度によって残湯量が多いか、少ないかを判断することに加えて、図4及び図5に示すように、1日毎の積算給湯熱量Qとも比較して、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードで運転するか否かを決定する(step3)。
例えば、残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃以下で残湯量が少ない場合であっても、1日毎の積算給湯熱量Qが予め設定された所定値(給湯熱量Qa)以下であれば、残湯量は十分であると判断し、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクル1の運転を行わない(step5)。一方、残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃以下であっても、1日毎の積算給湯熱量Qが予め設定された給湯熱量Qaより多ければ、残湯量が不十分であると判断し、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクル1の運転を開始する(step4)。
ここで、図5に示すように、積算給湯熱量Qの比較対象として、複数の給湯熱量(Qa、Qb。但し、Qa<Qb)を用いても良い。例えば、積算給湯熱量QがQa以下の場合には、残湯サーミスタ40dの温度によらず、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサ
イクルの運転を行わないようにしてもよい。また、積算給湯熱量QがQaよりも大きく、かつ、残湯サーミスタ40dの検知温度が第1の所定値(例えば60℃)よりも低い場合には、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの運転を行うようにしてもよい。さらに、上下方向に隣り合う残湯サーミスタ(40d、40e)の検知温度の双方を用いてもよい。例えば、Qb<Qの範囲で、残湯サーミスタ40dの検知温度が第1の所定値より高く、残湯サーミスタ40dの下方で隣り合う残湯サーミスタ40eの検知温度が第1の所定値以下の場合には、湯はり運転モードにおいてヒートポンプサイクルを運転するようにしてもよい。さらに、最も下方の残湯サーミスタ40eの検知温度が第1の所定値よりも高い場合には、積算給湯熱量Qによらず、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの運転を行わないようにしてもよい。ここで、上下方向に隣り合う残湯サーミスタとしては、中温出湯管10よりも下方側の残湯サーミスタを用いることが好ましい。
さらに、残湯量を把握するための残湯サーミスタ温度の比較と給湯熱量演算手段52が演算して記憶している日々の給湯熱量の比較に加えて、追い焚き熱量演算手段53が演算して記憶している1日毎の積算保温熱量(例えば、過去7日間)にも基づいて、湯はり運転モードでヒートポンプサイクル1を運転するか否かを判断するものであってもよい。この場合の湯はり開始時における制御フローチャートを図6に示す。
図6、図7に示すように、残湯サーミスタ40a〜40eの温度を検出し(step2)、残湯サーミスタ40a〜40eの温度によって残湯量が多いか、少ないかを判断することに加えて、1日毎の積算給湯熱量および積算保温熱量の合計qとも比較して、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードで運転するか否か決定する(step3)。
例えば、残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃以下で残湯量が少ない場合であっても、1日毎の給湯および保温に使用される熱量qが予め設定された総熱量qa以下であれば、残湯量は十分であると判断し、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクル1の運転を行わない(step5)。一方、残湯サーミスタ40dの温度(T40d)が60℃以下であっても、1日毎の給湯および保温に使用される熱量qが予め設定された総熱量qaより多ければ、残湯量が不十分であると判断し、湯はり運転モードでのヒートポンプサイクル1の運転を開始する(step4)。なお、図4と図5とに示す場合と同様に、熱量および温度の閾値を複数設けてもよい。
図8は、湯はり運転モードにより風呂湯はり開始とともにヒートポンプサイクル1の運転を開始した場合の制御シーケンスを示している。図8において、使用者による風呂湯はり指令がリモコン50を介して入力されると、図3(または、図4、6)で示した様に残湯量が検出され、残湯量が少ないと判断した場合、圧縮機4が起動することで、ヒートポンプサイクル1が起動して沸き上げポンプ21が運転される。
また、注湯弁19を開くとともに、四方切替弁18aを、沸き上げ戻り配管33と湯はり戻り管36とが連通するように切り替える。
この操作により、貯湯タンク3底部の水は沸き上げポンプ21で水冷媒熱交換器5に搬送され、ここでヒートポンプサイクル1の冷媒と熱交換して自身は加熱された後に沸き上げ戻り配管33、四方切替弁18a、湯はり戻り管36を通り、一旦、貯湯タンク3内に入る。その後、貯湯タンク3内のお湯と混合され、第1出湯管9、第2混合弁13、第1混合弁15、風呂注湯管27、注湯弁19、風呂往き配管29また風呂戻り配管30を経由して浴槽31に注湯される。
ヒートポンプサイクル1の起動当初は、水冷媒熱交換器5の出口水温はすぐには上昇しないが、水冷媒熱交換器5から流出した温水は、湯はり戻り管36を通過して、一旦、貯
湯タンク3に入り、貯湯タンク3内のお湯と混合され、第1出湯管9を経由して供給される。よって、貯湯タンク3内に高温の湯が貯留されていることから、最終的に給湯端末および浴槽から供給される温水の温度は、目標給湯温度よりも低下することはない。
図9は、ヒートポンプサイクルの成績係数(COP)と出湯温度との関係を示したものである。ここで、貯湯運転モードにおけるヒートポンプサイクルの成績係数(COP)をCOPAで、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの成績係数(COP)をCOPBで表すこととする。
貯湯運転モードにおける出湯温度(出湯温度検知手段42の検知温度)は、通常65℃〜90℃が一般的であるが、湯はり運転モードにおける出湯温度を貯湯運転モードにおける出湯温度よりも低く(例えば、35℃)なるように運転させることにより、COPBをCOPAよりも向上させることができ、省エネルギーを図ることができる。
湯はり運転モードにおける出湯温度を貯湯運転モードにおける出湯温度よりも低くするための具体的手段としては、沸き上げポンプ21の回転数を貯湯運転モード時よりも大きくすることで、流量を増大させることにより、水冷媒熱交換器5の出口温度を貯湯運転モード時の出湯温度よりも低下させることができる。
図10は、湯はり運転モード時におけるヒートポンプサイクル1の加熱能力と圧縮比の関係を示したものである。圧縮機4の回転数が同じ場合、圧縮比が大きくなるほど吐出圧力が高くなるとともに、吐出温度も高くなり加熱能力は高くなるので、若干ではあるが右上がりの特性となる(実線)。
さらに、出湯温度が同じ場合、加熱能力に関係なく吐出圧力はほぼ同じであるが、加熱能力が高くなるほど、圧縮機4の回転数が高くなり吸入圧力は低くなるため、圧縮比は大きくなり、右上がりの特性となる(一点鎖線)。
例えば、圧縮機4の信頼性を確保できる圧縮比をd(破線)とすると、加熱能力が低いほど、圧縮機4の回転数は低くできるが、出湯温度は高くする必要があることがわかる。
図11は、湯はり運転モード時におけるヒートポンプサイクル1の加熱能力と湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの成績係数(COP)であるCOPBの関係を示したものである。図10における圧縮比dにおいて、COPBは、貯湯運転モード時における加熱能力が、4.5(kW)の場合、その加熱能力より低いe1(kW)がピークとなる。
しかしながら、湯はり運転モード時は、貯湯タンク3からのお湯とヒートポンプサイクル1からのお湯を併用するため、ヒートポンプサイクル1の加熱能力が低い場合、貯湯タンク3からのお湯を多く必要とすることとなる。
図12は、湯はり運転モード時におけるヒートポンプサイクル1の加熱能力と風呂注湯COPの関係を示したものである。ここで、風呂注湯COPは、(数1)で示される。
風呂注湯COPは、貯湯運転モードにおけるCOPA(例えば、加熱能力が4.5kW)、湯はり時に貯湯タンク3から使用した熱量、湯はり運転モードにおけるCOPB(例えば、加熱能力を3.0kW、3.5kW、4.0kW、4.5kW、5.0kW)と湯はり時にヒートポンプサイクル1で沸き上げた熱量および湯はり熱量で表される。
ここで、湯はり熱量は、浴槽31にはったお湯の熱量であり、貯湯タンク3から使用した熱量とヒートポンプサイクル1で沸き上げた熱量の合計で表される。また、ヒートポンプサイクル1で沸き上げた熱量は、ヒートポンプサイクル1の加熱能力と運転時間の積で算出する。したがって、貯湯タンク3から使用した熱量は、浴槽31にはったお湯の熱量とヒートポンプサイクル1で沸き上げた熱量の差として算出する。
図12をみるとわかるように、風呂注湯COPは、貯湯運転モード時における加熱能力が、4.5(kW)の場合、その加熱能力より大きいe2(kW)がピークとなる。
図13は、湯はり運転モード時における圧縮機4の回転数と風呂注湯COPの関係を示したものである。これは、図12と同様に例えば、圧縮機回転数を30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hzに変化させ、それぞれの回転数に対する加熱能力から風呂注湯COPを算出したものである。
図13をみるとわかるように、風呂注湯COPは、貯湯運転モード時における圧縮機4の回転数が、例えば、45(Hz)の場合、その回転数より高いe3(Hz)がピークとなる。
前述の通り、風呂湯はりの検知は、リモコン50を介した使用者の指令によっても、貯湯タンクからの連続給湯量が所定量以上となったことを検知することによっても可能であるが、リモコン50からの指示によって湯はり運転モードでの浴槽への注湯を開始すれば、浴槽への注湯開始と略同時にヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードで運転開始することができるので、ヒートポンプサイクル1で沸き上げる湯の熱量が最大となる。したがって、(数1)中の「ヒートポンプで沸き上げた熱量」を最大化し、「貯湯タンクから使用した熱量」を最小化するので、風呂注湯COPを最大化することができる。
次に、湯はり運転モードの停止時について説明する。
図14は、風呂湯はり完了時における制御フローチャートを示している。図14において、湯はり運転モードでヒートポンプサイクル1を運転しながらの風呂湯はり中(step1)において、水位センサ46などにおいて、所定の湯量がはられた場合、風呂湯はり完了を検出する(step2)と、残湯量を把握するために貯湯タンク3の壁面に設置している残湯サーミスタ40a〜40eの温度が検出される(step3)。
次に、残湯量が多いか、少ないかの判断するために、残湯サーミスタ40bの温度が予め決定しておいた温度より高いか、低いかが比較される(step4)。例えば、step4で、残湯サーミスタ40bの温度(T40b)が60℃未満の場合、残湯量が少ないと判断され、ヒートポンプサイクル1の運転を停止せずに、湯はり運転モードから貯湯運転モードに移行される(step5)。貯湯運転モードにおいて、所定の条件を満たした場合、貯湯運転が完了し(step6)、ヒートポンプサイクル1の圧縮機4の運転を停止する(step7)。
一方、step4で、残湯サーミスタ40bの温度(T40b)が60℃以上の場合、残湯量が多いと判断される場合であっても、中温出湯管10の接続部の最も近い残湯サーミスタ40cの温度(T40c)が30℃未満であるときには、中温出湯管10の接続部より上方に中温水が貯湯されていると判断し(step8)、ヒートポンプサイクル1の運転を停止せずに、湯はり運転モードから貯湯運転モードに移行される(step5)。貯湯運転モードにおいて、所定の条件を満たした場合、貯湯運転が完了し(step6)、ヒートポンプサイクル1の圧縮機4の運転を停止する(step7)。
なお、残湯量を把握するための残湯サーミスタ温度の比較に加えて、給湯熱量演算手段52が演算して記憶している1日毎の給湯熱量(例えば、過去7日間平均)に基づいて、風呂湯はり完了後に湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、ヒートポンプサイクル1の運転を停止せずに継続して運転するか否かを判断するものであってもよい。この場合の風呂湯はり完了時における制御フローチャートを図15に示す。
図15、図16に示すように、残湯サーミスタ40a〜40eの温度を検出し(step3)、残湯サーミスタ40a〜40eの温度によって残湯量が多いか、少ないかを判断することに加えて、日々の給湯熱量Qとも比較して、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、継続して運転するか否か決定する(step4)。
例えば、残湯サーミスタ40aの温度(T40a)が60℃未満で残湯量が比較的少ない場合であっても、1日毎の積算給湯熱量Qが予め設定された給湯熱量Qc以下であれば、残湯量は十分であると判断し、中温出湯管10の接続部よりも上方に中温水が貯湯されているか否かの判断へと移る(step8)。一方、残湯サーミスタ40aの温度(T40a)が60℃未満であっても、1日毎の積算給湯熱量Qが予め設定された給湯熱量Qcより多ければ、残湯量が不十分であると判断し、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、継続して運転を行う(step5)。
ここで、図16に示すように、積算給湯熱量Qの比較対象として、複数の給湯熱量(Qc、Qd。但し、Qc<Qd)を用いても良い。例えば、積算給湯熱量QがQc以下の場合には、残湯サーミスタ40aの温度によらず、湯はり運転モードにおけるヒートポンプサイクルの運転を停止するようにしてもよい。また、積算給湯熱量QがQcよりも大きく、かつ、残湯サーミスタ40aの検知温度が第1の所定値よりも低い場合には、湯はり運転モードから貯湯運転モードに移行してもよい。
さらに、残湯量を把握するための残湯サーミスタ温度の比較と給湯熱量演算手段52が演算して記憶している1日毎の積算給湯熱量の比較に加えて、追い焚き熱量演算手段53が演算して記憶している1日毎の積算保温熱量(例えば、過去7日間)に基づいて、風呂湯はり完了後に湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、ヒートポンプサイクル1の運転を停止せずに継続して運転するか否かを判断するものであってもよい。この場合の風呂湯はり完了時における制御フローチャートを図17に示す。
図17、図18に示すように、残湯サーミスタ40a〜40eの温度を検出し(step3)、残湯サーミスタ40a〜40eの温度によって残湯量が多いか、少ないかを判断することに加えて、日々の給湯および保温に使用した熱量qとも比較して、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、継続して運転するか否か決定する(step4)。
例えば、残湯サーミスタ40aの温度(T40a)が60℃未満で残湯量が比較的少ない場合であっても、日々の給湯および保温に使用した熱量qが予め設定された総熱量qc以下であれば、残湯量は十分であると判断し、残湯量は十分であると判断し、中温出湯管10の接続部よりも上方に中温水が貯湯されているか否かの判断へと移る(step8)。一方、残湯サーミスタ40aの温度(T40a)が60℃未満であっても、日々の給湯および保温に使用した熱量qが予め設定された総熱量qcより多ければ、残湯量が不十分であると判断し、ヒートポンプサイクル1を湯はり運転モードから貯湯運転モードへと移行させて、継続して運転を行う(step5)。
したがって、残湯量が少ない場合、湯はり運転モードから貯湯運転モードへ圧縮機を停止させることなく移行させるので、その後、新たに貯湯運転モードで運転させる場合に比べ、起動ロスを低減できる。また、残湯量が多い場合、湯はり運転モードが完了するとともに圧縮機の運転を停止するため、湯余りによるエネルギーロスを低減できるとともに、残湯量が十分に多い場合であっても、中温水が中温出湯管10よりも上方に貯湯されている場合には、貯湯運転モードでヒートポンプサイクル1が加熱生成した高温の湯を貯湯タンク3の略頂部から貯湯させ、中温水を中温出湯管10近傍まで押し下げることによって、貯湯タンク3内の中温水を取り出し可能にすることができる。
図19(a)は、中温出湯回路がある場合の貯湯タンク内の温度分布の変化を示した図である。61は湯はり運転モードで湯はりを行う前の温度分布、62は湯はり運転モードで湯はりを行った後の温度分布、63はその後、給湯と沸き上げ運転を行った後の温度分布を示す。
湯はり運転モードで湯はりを行うことにより貯湯タンク3の上部は温度が低下する(61→62)。その後、中温出湯を行いながら給湯、沸き上げ運転を行うことにより、温度分布の角度はα→β(β>α)へと変化する(62→63)。これは、湯はり運転モードで湯はりを行うことにより悪化した温度分布を中温出湯により改善できたことを意味しており、その後に行われる夜間沸き上げ運転の運転効率の低下を回避でき、省エネルギー性が損なわれることはない。
また、沸き上げ配管35が貯湯タンク3の略頂部に接続されているので、貯湯運転モードにてヒートポンプサイクル1が加熱した湯を貯湯タンク3の頂部に貯めて、湯はり運転モードにて浴槽への注湯を行った後でも、貯湯タンク3内の湯温を高温に保つことができる。これにより、高温でのカラン給湯や浴槽の湯の保温など、高温の湯を必要とする場合にも、使用者の快適性や利便性を損なうことがない。
図19(b)は、中温出湯回路がない場合の貯湯タンク内の温度分布の変化を示した図である。61は湯はり運転モードで湯はりを行う前の温度分布、64は湯はり運転モードで湯はりを行った後の温度分布、65はその後、給湯と沸き上げ運転を行った後の温度分布を示す。
湯はり運転モードで湯はりを行うことにより貯湯タンク3の上部は温度が低下する(61→64)。その後、給湯、沸き上げ運転を行っても、温度分布の角度はγ(β>α>γ)は変化しない(64→65)。これは、中温出湯回路がないため、湯はり運転モードで
湯はりを行うことにより悪化した温度分布が改善できなかったことを意味しており、その後に行われる夜間沸き上げ運転の運転効率の低下を招き、省エネルギー性が損なわれることとなる。
したがって、中温出湯回路を備えているため、湯はり運転モードで湯はりを行い、若干崩れた貯湯タンク3の温度分布を改善することができ、ヒートポンプユニット2の運転効率の低下を回避でき、省エネルギー性が損なわれることはない。
以上のように、貯湯タンク3の頂部と底部との間から湯を取り出す中温出湯管10を設け、中温出湯管10は、湯はり戻し配管36よりも下方に配設されるようにすることができる。ヒートポンプサイクルが湯はり運転モードにおいて加熱生成した温水は、貯湯タンク3内の中温出湯管10よりも上部から流入する。ここで、第1出湯管9から流出せず、貯湯タンク3内で下部へと流下する温水は、中温出湯管10から取り出すことができるので、貯湯タンク3内の中温水の量を低減し、ヒートポンプサイクル1に流入する水の温度を低く維持してヒートポンプサイクル1の沸き上げに係るCOPを向上させることができる。
なお、湯はり戻し配管36を、貯湯タンク3に接続することにより、貯湯タンク3から浴槽へ供給される湯の温度が、貯湯タンク3の上部の湯の温度と略同一になるので、浴槽へ供給する湯の温度を貯湯温度検知手段40で検知する貯湯温度として認知することができる。したがって、湯はり運転モードで加熱生成した温を湯はりに利用しながらも、浴槽への湯はり温度が所望の温度以下に低下しないように容易に制御することができる。
(実施の形態2)
図20は、本発明の第2の実施の形態におけるヒートポンプ給湯装置の構成図である。
本実施の形態が、の実施の形態1と異なる点は、湯はり戻し配管36を沸き上げ配管35と共用することにより削減し、それに伴い四方切替弁18aを三方切替弁18bに置き替えたところである。
このように、本実施の形態によれば、湯はり戻し配管36を削減することができ、低コストで同じ効果を得るだけでなく、配管からの放熱ロスを低減することができ、省エネルギー性が向上する。
なお、ヒートポンプサイクル1によって沸き上げた湯を貯湯タンク3へ供給する沸き上げ配管35を、貯湯タンク3の略頂部に接続することもできる。これにより、貯湯タンク3の上部から貯湯タンク3内に湯を供給することになる。よって、貯湯タンク3の上部から湯を取り出すことで高温でのカラン給湯や浴槽の湯の保温など、高温の湯を必要とする負荷にも湯切れすることなく応じることができる。
(実施の形態3)
図21は、本発明の第3の実施の形態におけるヒートポンプ給湯装置の構成図である。
第3の実施の形態が、第2の実施の形態と異なる点は、沸き上げ配管35を貯湯タンク3ではなく、第1出湯管9と接続し、貯湯タンク3本体への配管の接続部数を削減した点である。
このように、本発明の第3の実施の形態によれば、貯湯タンク本体への配管の接続部数を削減することができ、低コストで同じ効果を得るだけでなく、配管接続部からの放熱ロスを低減することができ、省エネルギー性が向上する。