JP2015062966A - シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートを切断するときに、シートの切断端部の損傷を防止しつつ、シートの切断端部のタレを防止することのできるシートの製造方法を提供すること。【解決手段】枚葉シート18の製造方法は、粒子と樹脂成分とを含有する積層シート10を作製する工程、および、積層シート10を切断する切断工程を備え、切断工程では、積層シート10を所定温度Tに加熱しながら、100mm/秒以下の切断速度Vで、積層シート10を切断し、所定温度Tは、引張貯蔵弾性率E’から得られる軟化開始温度SP以上、ガラス転移温度Tg以下である。【選択図】図2
Description
本発明は、シートの製造方法、詳しくは、粒子と樹脂成分とを含有するシートを切断するシートの製造方法に関する。
従来、粒子と樹脂成分とを含有する組成物から、それらを含有するシートを製造する方法が種々検討されている。
例えば、無機粒子および樹脂を含有する保護部材を有するシート状の積層体(シート)を、金型によって打ち抜いて切断する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
しかるに、特許文献1の方法では、シートを切断するときに、シートの切断端部に割れを生じる場合がある。
一方、シートを円滑に切断するために、加熱することも検討されるが、そのような場合には、シートの切断端部が下方に向かって垂れる(下垂する、つまり、タレを生じる)不具合がある。
本発明の目的は、シートを切断するときに、シートの切断端部の損傷を防止しつつ、シートの切断端部のタレを防止することのできるシートの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のシートの製造方法は、粒子と樹脂成分とを含有するシートを作製するシート作製工程、および、前記シートを切断する切断工程を備え、前記切断工程では、前記シートを所定温度に加熱しながら、100mm/秒以下の切断速度で、前記シートを切断し、前記所定温度は、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、温度範囲−10〜65℃の条件における前記シートの動的粘弾性測定で得られる引張貯蔵弾性率E’から得られる軟化開始温度以上、前記動的粘弾性測定で得られるtanδのピーク値として得られるガラス転移温度以下であることを特徴としている。
この方法によれば、切断工程では、シートを所定温度に加熱しながら、特定の切断速度で、シートを切断し、所定温度は、引張貯蔵弾性率E’から得られる軟化開始温度以上、tanδのピーク値として得られるガラス転移温度以下であるので、シートの切断端部の損傷を防止しながら、切断端部のタレを防止することができる。
また、本発明のシートの製造方法では、前記所定温度における前記シートの引張貯蔵弾性率E’は、1.0×108Pa以上、1.5×109Pa以下であることが好適である。
切断工程の所定温度Tにおける引張貯蔵弾性率E’は、1.0×108Pa以上、1.5×109Pa以下であるので、シートの切断端部の損傷を防止しながら、シートの切断端部のタレを防止することができる。
また、本発明のシートの製造方法では、前記切断速度が、1mm/秒以上であることが好適である。
この方法では、切断速度が、1mm/秒以上であるので、切断工程を短縮することができ、そのため、シートを効率よく製造することができる。
本発明のシートの製造方法によれば、シートの切断端部の損傷を防止しながら、切断端部のタレを防止することができる。
本発明のシートの製造方法は、粒子と樹脂成分とを含有するシートを作製するシート作製工程、および、シートを切断する切断工程を備える。
粒子は、粉体、粒体、粉粒体、粉末を含んでおり、粒子を形成する材料としては、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。好ましくは、無機材料が挙げられる。
無機材料としては、例えば、炭化物、窒化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、金属、粘土鉱物、炭素系材料などが挙げられる。
炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。
窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウムなどが挙げられる。
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ。球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末などを含む。)、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ベリリウムなどが挙げられる。さらに、酸化物として、金属イオンがドーピングされている、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズが挙げられる。
炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム(石膏)などが挙げられる。
金属としては、例えば、銅(Cu)、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、亜鉛、錫、鉄、パラジウム、または、それらの合金(はんだなど)が挙げられる。
粘土鉱物としては、例えば、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどが挙げられる。
炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノホーン、カーボンマイクロコイル、ナノコイルなどが挙げられる。
また、材料として、特定物性を有する材料も挙げられ、熱伝導性材料(例えば、炭化物、窒化物、酸化物および金属から選択される熱伝導性材料、具体的には、BN、AlN、Al2O3など)、電気伝導性材料(例えば、金属、炭素系材料から選択される電気伝導性材料、具体的には、Cuなど)、絶縁材料(例えば、窒化物、酸化物など、具体的には、BN、シリカなど)、磁性材料(例えば、酸化物、金属、具体的には、フェライト(軟質磁性フェライト、硬質磁性)、鉄など)なども挙げられる。特定物性を有する材料は、上記で例示した材料と重複してもよい。
なお、熱伝導性材料の熱伝導率は、例えば、10W/m・K以上、好ましくは、30W/m・K以上であり、また、例えば、2000W/m・K以下である。
また、電気伝導性材料の電気伝導率は、例えば、106S/m以上、好ましくは、108S/m以上、通常、1010S/m以下である。
また、絶縁材料の体積抵抗は、1×1010Ω・cm以上、好ましくは、1×1012Ω・cm以上であり、また、例えば、1×1020Ω・cm以下である。
また、磁性材料の透磁率(波長2.45GHzにおけるμ’’)は、例えば、0.1〜10である。
また、粒子の形状は、特に限定されず、例えば、板状、鱗片状、粒子状(不定形状)、球形状などが挙げられる。好ましくは、粒子状、球形状が挙げられ、より好ましくは、球形状が挙げられる。
粒子の最大長さの平均値(球形状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
また、粒子のアスペクト比は、例えば、2以上、好ましくは、10以上であり、また、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下である。
また、粒子の比重は、例えば、0.1g/cm3以上、好ましくは、0.2g/cm3以上であり、また、例えば、20g/cm3以下、好ましくは、10g/cm3以下である。
これら粒子は、単独使用または2種類以上併用することができる。
樹脂成分は、粒子を分散できるもの、つまり、粒子が分散される分散媒体(マトリックス)であって、絶縁成分を含有し、例えば、熱硬化性樹脂成分、熱可塑性樹脂成分などの樹脂成分が挙げられる。
熱硬化性樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリアリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
これら樹脂成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
樹脂成分のうち、熱硬化性樹脂成分として、好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられ、また、熱可塑性樹脂成分として、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、常温において、液状、半固形状および固形状のいずれかの形態である。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂(例えば、ビスアリールフルオレン型エポキシ樹脂など)、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂など)などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、トリエポキシプロピルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、例えば、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらエポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100〜1000g/eq.、好ましくは、180〜700g/eq.である。また、エポキシ樹脂が、常温固形状である場合には、軟化点が、例えば、20〜90℃である。
また、エポキシ樹脂には、例えば、硬化剤および硬化促進剤を含有させて、エポキシ樹脂組成物として調製することができる。
硬化剤は、加熱によりエポキシ樹脂を硬化させることができる潜在性硬化剤(エポキシ樹脂硬化剤)であって、例えば、フェノール化合物、アミン化合物、酸無水物化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾリン化合物などが挙げられる。また、上記の他に、ユリア化合物、ポリスルフィド化合物なども挙げられる。
フェノール化合物は、フェノール樹脂を含み、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとを酸性触媒下で縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、例えば、フェノールとジメトキシパラキシレンまたはビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、例えば、ビフェニル・アラルキル樹脂、例えば、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、例えば、クレゾールノボラック樹脂、例えば、レゾール樹脂などが挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、または、これらのアミンアダクトなど、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが挙げられる。
ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
イミダゾリン化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
これら硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化促進剤は、硬化触媒であって、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、例えば、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化合物、例えば、有機金属塩化合物、例えば、それらの誘導体などが挙げられる。これら硬化促進剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
エポキシ樹脂組成物における硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、0.5〜200質量部、好ましくは、1〜150質量部であり、硬化促進剤の配合割合は、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.2〜5質量部である。また、硬化剤がフェノール樹脂を含有する場合には、エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、フェノール樹脂の水酸基が、例えば、0.5〜2.0モル、好ましくは、0.8〜1.2モルとなるように調整される。
上記した硬化剤および/または硬化促進剤は、必要により、溶媒により溶解および/または分散された溶媒溶液および/または溶媒分散液として調製して用いることができる。
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などケトン、例えば、酢酸エチルなどのエステル、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミドなどの有機溶媒などが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。
アクリル樹脂は、アクリルゴムを含み、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマーの重合により得られる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタドデシルなどの、アルキル部分が炭素数30以下の直鎖状または分岐状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは、アルキル部分が炭素数1〜18の直鎖状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、モノマーに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、75質量%以上であり、例えば、99質量%以下である。
モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと重合可能な共重合性モノマーを含むこともできる。
共重合性モノマーは、ビニル基を含有し、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有ビニルモノマー(エポキシ基含有ビニルモノマー)例えば、スチレンなどの芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。
共重合性モノマーの配合割合は、モノマーに対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、25質量%以下であり、例えば、1質量%以上である。
これら共重合性モノマーは、単独または2種以上併用することができる。
共重合性モノマーがシアノ基含有ビニルモノマーおよび/またはエポキシ基含有ビニルモノマーである場合には、得られるアクリル樹脂は、主鎖の末端または途中に結合するエポキシ基および/またはシアノ基などの官能基が導入された、官能基変性アクリル樹脂(具体的には、シアノ変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、シアノ・エポキシ変性アクリル樹脂)とされる。
樹脂成分(熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、熱硬化性樹脂成分がAステージ状態である樹脂成分)の80℃における溶融粘度は、例えば、10mPa・s以上、好ましくは、50mPa・s以上であり、また、例えば、10000mPa・s以下である。
また、樹脂成分の軟化温度(環球法)は、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下であり、また、例えば、20℃以上、好ましくは、35℃以上である。
具体的には、粒子および樹脂成分の配合割合は、圧延シート7における粒子の体積割合が、例えば、30体積%を超過し、好ましくは、35体積%以上、好ましくは、40体積%以上、より好ましくは、60体積%以上、さらに好ましくは、70体積%以上であり、例えば、98体積%以下、好ましくは、95体積%以下となるように、設定される。
粒子および樹脂成分の質量基準の配合割合は、上記した圧延シート7における粒子の体積割合となるように、設定される。
なお、樹脂成分には、上記した各成分(重合物)の他に、例えば、ポリマー前駆体(例えば、オリゴマーを含む低分子量ポリマーなど)、および/または、モノマーが含まれる。
これら樹脂成分は、単独使用また併用することができる。
次に、本発明のシートの製造方法の一実施形態である、枚葉シート18の製造方法を実施するためのシート製造装置について、図1〜図9を参照して説明する。
なお、図2において、紙面上側を上側(第1方向一方側)、紙面下側を下側(第1方向他方側)とし、また、紙面右側を前側(第1方向に対して直交する第2方向一方側)、紙面左側を後側(第2方向他方側)とし、さらに、紙面手前側を左側(第1方向および第2方向に対して直交する第3方向一方側)とし、また、紙面奥側を右側(第3方向他方側)として、方向矢印で示して説明する。また、図2において、上側は、シート(積層シート、後述)の切断方向上流側であり、下側は、シートの切断方向下流側であり、また、後側は、シート(積層シート)の搬送方向上流側であり、前側は、シート(積層シート)の搬送方向下流側であり、さらに、右側は、1対のギヤ(後述)の回転軸線方向一方側であり、左側は、回転軸線方向他方側である。図2以外の図面の方向については、図2で説明する方向に準じる。
図1および図2において、シート製造装置1は、後述する粒子と樹脂成分を含有する組成物から積層シート10を製造し、かかる積層シート10を切断して、枚葉シート18を収容するように構成されている。シート製造装置1は、作製部21と、切断部3と、収容部6とを備えている。作製部21と切断部3と収容部6とは、シート製造装置1において、直列に整列配置されている。つまり、シート製造装置1は、後述する組成物またはシートを直線状に搬送するように、構成されている。
作製部21は、組成物(後述)から積層シート10を製造するように構成されており、シート製造装置1の後側に設けられている。作製部21は、混練押出機2と、ギヤ構造体4と、シート形成部5と、張力調整部20とを備えている。
混練押出機2は、作製部21の後側部分に設けられている。混練押出機2は、例えば、2軸ニーダーなどであって、具体的には、シリンダ11と、シリンダ11内に収容される混練スクリュー12とを備えている。
シリンダ11は、軸線が前後方向に延びる略円筒形状にされている。また、シリンダ11の後端は閉塞されている。
図2に示すように、シリンダ11の後端部の上壁には、上方に開口する混練押出機入口14が形成されている。混練押出機入口14には、ホッパ16が接続されている。
シリンダ11の前端部には、前方に開口する混練押出機出口15が形成されている。混練押出機出口15には、連結管17が接続されている。
連結管17は、シリンダ11の軸線と共通する軸線を有する略円筒形状に形成されている。
なお、シリンダ11には、ブロックヒータ(図示せず)が前後方向に沿って複数分割して設けられている。
混練スクリュー12は、シリンダ11の軸線に平行する回転軸線を有している。混練スクリュー12は、シリンダ11内において、前後方向に沿って設けられている。
なお、混練押出機2には、シリンダ11の後側において、混練スクリュー12に接続されるモータ(図示せず)が設けられている。
これによって、混練押出機2は、粒子と樹脂成分とを混練押出するように構成されている。
ギヤ構造体4は、混練押出機2の前側に設けられている。ギヤ構造体4は、ケーシング31と、1対のギヤ32とを備えている。なお、ギヤ構造体4は、混練押出機2から供給される組成物をシート形成部5に搬送するギヤポンプである。
ケーシング31は、連結管17と一体的に形成されており、混練押出機2の前側に連結管17を介して接続されている。ケーシング31は、左右方向に延びる平面視略矩形状をなし、前側が、左右方向にわたって開口されている。
ケーシング31は、図3に示すように、下側ケーシング31aと、下側ケーシング31aに対して上方に間隔を隔てて配置されている上側ケーシング31bとを備えており、下側ケーシング31aと上側ケーシング31bとの左右方向両端部は、図1に示す側壁31cによって、連結されている。また、図3に示すように、下側ケーシング31aは、下部61(後述)と、下側壁47(後述)とを備えており、上側ケーシング31bは、上部62(後述)と、上側壁48(後述)とを備えている。
下側ケーシング31aと上側ケーシング31bとの間において、後端部には、第1貯留部27が設けられ、前後方向中央部には、1対のギヤを収容するギヤ収容部40が設けられ、前端部には、吐出口46が設けられている。また、ギヤ収容部40と吐出口46との間には、それらに連通する第2貯留部28および吐出通路44が形成されている。また、ケーシング31の外側表面には、図示しないヒータが複数(4つ)設けられている。
第1貯留部27は、図1および図2に示すように、左右方向中央において、連結管17の前側に連通し、平面視において略矩形状に形成されている。また、側断面視において、後端部から前端部にかけて、略直線状に形成され、前端部において、前方に向かって大きくなる略テーパ状に形成されている。
ギヤ収容部40は、図3に示すように、第1貯留部27の前側に連通しており、下部61と、下部61の上側に連通する上部62とを備えている。
また、下部61の上側面(内側面)71、および、上部62の下側面(内側面)72は、円弧面状(2分割された半円周面状)に形成され、1対のギヤ32を収容する収容空間73を区画する。収容空間73は、第1貯留部27に連通し、断面視において上下方向に延びるように形成されている。なお、下部61および上部62は、ケーシング31において、左右方向にわたって形成されている。また、収容空間73の上端部および下端部には、後述する密閉空間74が設けられる。
吐出口46は、上下方向に互いに間隔を隔てて形成される2つの吐出壁45によって区画されており、前方に開口されるように形成されている。吐出壁45は、ケーシング31の前端部に設けられており、下側壁47および上側壁48を備えている。
下側壁47は、左右方向および上下方向に延びる厚肉平板形状をなし、その前面および上面のそれぞれが、平坦状に形成されている。
上側壁48は、下面が平坦状に形成されている。また、上側壁48は、側断面視略L字形状をなし、上側壁下部の前端部が上側壁上部の前面に対して前方に突出するように形成されている。つまり、上側壁48において、上側壁下部の前端部が、側断面視略矩形状のドクターとしての突出部63とされている。突出部63の突出長さ(つまり、前後方向長さ)は、例えば、2mm以上であり、また、例えば、150mm以下、好ましくは、50mm以下である。また、突出部63の厚み(つまり、上下方向長さ)は、例えば、2mm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、50mm以下である。突出部63の前面と、下側壁47の前面とは、上下方向に投影したときに、同一位置となるように、形成されている。
第2貯留部28は、ギヤ収容部40の前側に連通しており、後方が開放される側断面視略U字形状に形成されている。また、第2貯留部28は、後述する密閉空間74に対する搬送方向下流側の下流空間とされる。
吐出通路44は、第2貯留部28の前側に連通するとともに、吐出口46の後側に連通している。吐出通路44は、側断面視において、前方に向かって延びる略直線状に形成されている。
図4に示すように、1対のギヤ32は、例えば、ダブルヘリカルギヤであって、具体的には、第1ギヤ33および第2ギヤ34を備えている。
第1ギヤ33の回転軸である第1軸25は、ケーシング31(図1参照)において、左右方向に延び、回転自在となるように設けられている。
第2ギヤ34の回転軸である第2軸26は、ケーシング31において、第1軸25と平行して延び、回転自在となるように設けられている。また、第2軸26は、第1軸25に対して上方に対向配置されている。
第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれは、下部61および上部62(図3参照)のそれぞれに収容されている。また、第1ギヤ33の下半分部分における径方向端部は、下部61の上側面71(後述)に嵌合されるとともに、第2ギヤ34の上半分部分における径方向端部は、上部62の下側面72(後述)に嵌合される。
そして、第1ギヤ33および第2ギヤ34のそれぞれは、具体的には、互いに噛み合う
斜歯35を備えている。
斜歯35を備えている。
第1ギヤ33において、斜歯35の歯筋は、第1ギヤ33の回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、回転軸線方向A1の外側に傾斜している。また、斜歯35は、歯筋が互いに異なる第1右斜歯36および第1左斜歯37を一体的に備えている。第1ギヤ33において、第1右斜歯36は、第1ギヤ33の軸線方向中央に対して右側に形成され、第1左斜歯37は、第1右斜歯36の軸線方向中央に対して左側に形成されている。
詳しくは、第1右斜歯36の歯筋は、回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、左側(中央部側)から右側(右端部側)に傾斜している。一方、第1左斜歯37の歯筋は、第1右斜歯36の歯筋に対して第1ギヤ33の左右方向中央部を基準として左右対称に形成されており、具体的には、回転方向R2の下流側から回転方向R2の上流側に向かうに従って、右側(中央部側)から左側(左端部側)に傾斜している。
第2ギヤ34は、第1ギヤ33に対して上下対称に形成されており、第1ギヤ33と噛み合うように構成されており、具体的には、第1右斜歯36と噛み合う第2右斜歯38と、第1左斜歯37と噛み合う第2左斜歯39とを一体的に備えている。
図5に示すように、1対のギヤ32は、黒丸で示される噛み合い部分が、側断面視において、第1ギヤ33および第2ギヤ34が点状に接触するように構成されることから、側断面点接触タイプとされている。また、1対のギヤ32は、噛み合い部分が、1対のギヤ32の歯筋に沿って、第1ギヤ33および第2ギヤ34の弦巻(つるまき)線状に形成されることから、線接触タイプともされる。
1対のギヤ32のそれぞれの斜歯35は、回転方向R2において間隔を隔てて設けられ、径方向内方に湾曲するように形成される凹面42と、各凹面42を連結し、凹面42の周方向両端部から径方向外方に湾曲するように形成される凸面43とを一体的に備える曲面41を備えている。
また、斜歯35の歯筋間、つまり、凸面43の頂点間には、凹面42を含む歯溝75が形成されている。
また、図3に示すように、ケーシング31には、1対のギヤ32を、第1ギヤ33の斜歯35と下部61の上側面71との間、および、第2ギヤ34の斜歯35と上部62の下側面72との間に密閉空間74が形成されるように、収容する収容空間73が設けられている。
つまり、上側面71および下側面72は、1対のギヤ32の直径と同一の曲率を有する断面視円弧状に形成されており、1対のギヤ32の径方向端部(凸面43の頂点、図5参照。)の回転軌跡と同一の断面視略円弧状に形成されている。これによって、密閉空間74は、斜歯35の歯筋間の歯溝75を、上側面71および下側面72によって、被覆する。
また、密閉空間74は、歯溝75と、上側面71および下側面72とによって、区画される。
そして、この1対のギヤ32は、第1貯留部27と、第2貯留部28とが、斜歯35の歯筋間の歯溝75を介して連通しないように、1対のギヤ32が構成されている。
図4および図6に示すように、第1右斜歯36の歯溝75、および、第1左斜歯37の歯溝75は、それぞれ互いに連通する。また、第1右斜歯36の歯溝75、および、第1右斜歯36の歯溝75には、回転軸線方向A1の全てにわたって、回転軸線A1から径方向に投影したときに、密閉空間74の内側面、つまり、上側面71(図3参照)と重複する複数(2つ)の重複歯溝76が形成される。
重複歯溝76のうち、最前側(最下流側)の重複歯溝76Aでは、第1右斜歯36の左端部および第1左斜歯37の右端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向中央部、つまり、それらの連絡部分)が、上側面71(図6参照)の前端部(回転方向下流側端部)に対向配置されるときには、対応する第1右斜歯36の右端部および第1左斜歯37の左端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向両端部)は、第1貯留部27(図6参照)に臨むことなく、上側面71の前後方向(回転方向)途中に対向配置される。
また、重複歯溝76のうち、最後側(最上流側)の重複歯溝76Bでは、第1右斜歯36の右端部および第1左斜歯37の左端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向両端部)が、上側面71(図6参照)の後端部(回転方向上流側端部)に対向配置されるときには、対応する第1右斜歯36の左端部および第1左斜歯37の右端部(つまり、第1ギヤ33の左右方向中央部、つまり、連絡部分)は、第2貯留部28に臨むことなく、上側面71の前後方向(回転方向)途中に対向配置される。
そして、これら複数の重複歯溝76は、第1ギヤ33の回転によって、その回転方向上
流側に向かう歯溝75へと移行する。
流側に向かう歯溝75へと移行する。
また、第2ギヤ34の重複歯溝76および下側面72は、第1ギヤ33の重複歯溝76および上側面71と同様の構成であり、具体的には、噛み合い部分に対して上下対称の構成とされる。すなわち、歯溝75には、下側面72と重複する重複歯溝76が複数形成される。重複歯溝76は、第2ギヤ34の回転によって、回転方向上流側に向かう歯溝75へと移行する。
なお、ギヤ構造体4の右側には、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26に接続されるモータ(図示せず)が設けられている。
次に、1対のギヤ32の曲面41における噛み合いを図5A〜図5Cを参照して説明する。
まず、図5Aに示すように、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の下流側端部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の下流側端部とが噛み合っている場合において、図5A矢印および図5Bに示すように、第1ギヤ33および第2ギヤ34が回転方向R2に回転すると、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の途中部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の途中部とが噛み合う。続いて、図5B矢印および図5Cに示すように、第1ギヤ33および第2ギヤ34が回転方向R2に回転すると、第1ギヤ33の凸面43の回転方向R2の上流側端部と、第2ギヤ34の凹面42の回転方向R2の上流側端部とが噛み合う。つまり、第1ギヤ33の凸面43と、第2ギヤ34の凹面42との噛合部分が、各面における回転方向R2の下流側端部、途中部および上流側端部に順次連続的に移動する。
続いて、図示しないが、第1ギヤ33の凹面42と、第2ギヤ34の凸面43との噛合部分も、各面における回転方向R2の下流側端部、途中部および上流側端部に順次連続的に移動する。
従って、第1ギヤ33の曲面41と、第2ギヤ34の曲面41との噛合部分が、回転方向R2に沿って連続して移動する。この噛合部分の移動は、組成物の搬送において、組成物が溜まる貯留部分(図示せず)が歯筋間の歯溝75に形成されることを防止する。
シート形成部5は、図1および図3に示すように、ギヤ構造体4の前側において上側壁48の突出部63を含むように設けられており、例えば、ギヤ構造体4における突出部63と、移動支持体としての支持ロール51と、圧延ロール54とを備えている。また、シート形成部5は、図2に示すように、第2送出ロール59と、第1送出ロール56とを備えている。
突出部63は、図3に示すように、ギヤ構造体4におけるケーシング31の吐出口46を区画する壁の役割と、シート形成部5における吐出口46から吐出される組成物の厚みを調整するドクター(あるいはナイフ)の役割との両方の役割を有する。
支持ロール51は、突出部63に対して、隙間としての第1隙間50が設けられるように対向配置されている。支持ロール51は、ステンレス(SUS304)の周面にクロムメッキが処理された金属から形成されている。支持ロール51の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。また、支持ロール51の回転軸線は、前後方向に投影したときに、吐出口46および突出部63と重なるように、配置されている。また、支持ロール51は、組成物を支持して搬送するように構成されている。従って、支持ロール51は、組成物を第1隙間50に通過させるように構成されている。なお、支持ロール51は、図示しないヒータが設けられている。
図2に示すように、第1送出ロール56は、支持ロール51の下方に間隔を隔てて設けられている。第1送出ロール56の回転軸線は、左右方向に延びており、第1送出ロール56の周面には、第1セパレータ8がロール状に巻回されている。
図3に示すように、圧延ロール54は、第1隙間50に対して搬送方向下流に位置し、支持ロール51に対して第2隙間60が設けられるように対向配置されている。圧延ロール54の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25、第2軸26および支持ロール51と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。また、圧延ロール54の回転軸線は、上下方向に投影したときに、支持ロール51と重なるように、配置されている。圧延ロール54は、第1隙間50を通過してくる圧延化前シート7a(シート状組成物)に対して、シート厚みのばらつきを調整するように構成されている。圧延ロール54は、鉄の周面にクロムメッキが処理された金属から形成されている。圧延ロール54は、支持ロール51との対向部分(ニップ部分)において、支持ロール51と逆方向に回転する。
圧延ロール54の上方には、エアポンプ(図示せず)が設けられている。エアポンプは、圧延ロール54に対して空気圧を作用させることにより、圧延ロール54に下方へ向かう圧力(すなわち、圧延化前シート7aに対する圧力)を与えるように構成されている。
図2に示すように、第2送出ロール59は、圧延ロール54の上方やや前方に間隔を隔てて対向配置されている。第2送出ロール59の回転軸線は、左右方向に延びており、第2送出ロール59の周面には、第2セパレータ9がロール状に巻回されている。
張力調整部20は、図1および2に示すように、第1テンションロール81、ダンサーロール80および第2テンションロール82を備えている。
第1テンションロール81は、支持ロール51に対して水平(上下方向高さが略同一)であって、搬送方向下流側に設けられている。第1テンションロール81の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。
ダンサーロール80は、第1テンションロール81の搬送方向下流側に、上下方向に移動可能に設けられている。詳しくは、上下方向に投影したときに、ダンサーロール80の後端(搬送方向上側端部)が、第1テンションロール81の先端(搬送方向下流側端部)と、略一致するように設けられている。ダンサーロール80の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。ダンサーロール80は、図示しないヒータを備える。ダンサーロール80は、上下方向に移動することにより、搬送される積層シート10にかかる張力を調整し、その結果、積層シート10の搬送速度および位置を調節するように構成されている。
第2テンションロール82は、ダンサーロール80の搬送方向下流側で、第1テンションロール81に対して水平(上下方向高さが略同一)となるように、設けられている。第2テンションロール82は、上下方向に投影したときに、ダンサーロール80の先端(搬送方向下側端部)が、第2テンションロール82の後端(搬送方向上流側端部)と、略一致するように設けられている。第2テンションロール82の回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。
切断部3は、本発明のシート作製工程で作製されるシートの一例である積層シート10を切断可能に構成されており、作製部21における張力調整部20の搬送方向下流側に設けられる。切断部3は、1対の搬送ロール83、1対の切断押え部材84、切断刃85、載置部材86および1対の把持移動部87(図7参照)を備えている。
図2に示すように、1対の搬送ロール83は、第1搬送ロール83aと、第1搬送ロール83aに対して上側に対向配置される第2搬送ロール83bとを備えており、第2テンションロール82の搬送方向下流側に配置されている。
第1搬送ロール83aの上端面は、第2テンションロール82の上端面と水平となるように配置されている。第1搬送ロール83aおよび第2搬送ロール83bの回転軸線は、1対のギヤ32の第1軸25および第2軸26と平行しており、具体的には、左右方向に延びている。1対の搬送ロール83は、搬送方向上流から搬送されてくる積層シート10を押圧しながら搬送方向下流側に搬送させるように構成されている。
1対の切断押え部材84は、積層シート10を次に説明する切断刃85が積層シート10を切断する際に、積層シート10における切断箇所より後側(搬送方向上流側)部分を押さえるように構成されている。1対の切断押え部材84は、第1押え部材84aと、第1押え部材84aに対して上側に対向配置される第2押え部材84bとを備えており、1対の搬送ロール83の搬送方向下流側に配置されている。
第1押え部材84aは、その上端面が平坦面となる断面視略矩形状で、左右方向にわたって長尺に形成されている。すなわち、第1押え部材84aは、左右方向に延びるように設けられている。第1押え部材84aの上端面は、第1搬送ロール83aの上端縁と、水平となるよう設計されている。
第2押え部材84bは、第1押え部材84aの上側に、上下方向に移動可能なように、対向配置されている。第2押え部材84bは、第1押え部材84aと、搬送されるシートの面に対して上下方向対称で略同一形状となるように形成されている。具体的には、その下端面が平坦面となる断面視略矩形状で、左右方向にわたって長尺に形成されている。第2押え部材84bは、上方から下方に向かって可動し、その下端面が積層シート10を押圧することにより、積層シート10の搬送方向下流への移動を一時的に規制する役割を備える。
切断刃85は、切断押え部材84の搬送方向下流側に設けられている。切断刃85は、図7に示すように、左右方向に沿って配置されている。詳しくは、切断刃85は、その切断方向が、シートの搬送方向と直交する方向、すなわち、上下方向となるように、構成されている。切断刃85としては、例えば、積層シート10において左右方向に沿って切断できる刃、例えば、トムソン刃22(図9参照)、ピナクル刃(腐食刃)、刃先が左右方向一方から他方に向かって上下方向に傾斜するギロチン刃などの、左右方向に延びる帯刃、例えば、回転軸が前後方向に沿い、左右方向に回転しながら移動可能な円盤カッタなどが挙げられる。切断刃85として、好ましくは、帯刃が挙げられ、より好ましくは、刃先が左右方向一方から他方に向かって上下方向に傾斜せず、積層シート10を左右方向に一度に切断できるトムソン刃22およびピナクル刃が挙げられ、さらに好ましくは、ピナクル刃の刃長が通常1mm以下であることから、十分な長さ刃長を確保できるトムソン刃22が挙げられる。
図9に示すように、切断刃85の一例であるトムソン刃22は、側面視において、左右方向に延び、下方に向かって尖る帯刃であって、下端部に刃先23が形成されている。また、図9のトムソン刃22は、両刃に形成されている。具体的には、図9のトムソン刃22は、前後方向に互いに対向する2つの傾斜面24を備えており、断面視において、2つの傾斜面24が交わる部分が、稜線として刃先23を構成する。刃先23は、左右方向に沿うように形成される。
2つの傾斜面24は、センター面55(刃先23を上下方向に通過する面55)に対して傾斜して形成されている。2つの傾斜面24は、前傾斜面57、および、前傾斜面57の後側に形成される後傾斜面58を備える。前傾斜面57は、下方に向かうに従って後側に傾斜するように形成されている。一方、後傾斜面58は、下方に向かうに従って前側に傾斜するように形成されている。具体的には、前傾斜面57および後傾斜面58は、センター面55を基準にして、面対称に形成されている。
また、切断部3において、上記した切断刃85、具体的には、トムソン刃22やピナクル刃の下方には、それと間隔を隔てて配置される支持台77が設けられている。支持台77は、上面が積層シート10を載置および支持可能に構成されており、具体的には、図7に示すように、支持台77の上面は、左右方向に延びる平坦状に形成されている。また、支持台77は、厚み方向に投影したときに、切断刃85を含むように形成されている。切断刃85は、トムソン刃22やピナクル刃の刃先23が、下方に移動したときに、支持台77の上面の近傍に到達できるように構成されている。
切断刃85を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、炭素工具鋼、高速度鋼、超硬合金などの合金、例えば、セラミック、例えば、ダイヤモンドなどが挙げられる。
なお、張力調整部20および切断部3において、積層シート10を切断する時に、積層シート10において所定温度Tが確保されるように、シート製造装置1には、温度調節装置が設けられており、具体的には、支持台77に、ヒータ78が設けられている。ヒータ78は、支持台77に、積層シート10を加熱可能に内蔵されている。
載置部材86は、切断刃85の搬送方向下流側に、配置されている。載置部材86は、その上端面が平坦面となる断面視略矩形状で、左右方向にわたって長尺に形成されている。載置部材86の上端面は、支持台77に対して水平となるように配置されている。
把持移動部87は、図7に示すように、1対のキャタピラ89と、1対のチャッキングアーム88とを備えている。
1対のキャタピラ89は、載置部材86に対して右側に配置される第1キャタピラ89aと、第1キャタピラ89aに対して、載置部材86および搬送コンベア90(後述)を挟んで左右方向に対向配置される第2キャタピラ89bとを備えている。
第1キャタピラ89aおよび第2キャタピラ89bは、前後方向に沿って配置され、左右方向に投影したときに、その前端部が載置部材86と重なり、その後端部が搬送コンベア90(後述)と重なるように、設けられている。
第1キャタピラ89aおよび第2キャタピラ89bは、両者等速で正逆回転可能に構成されており、正回転時には、右側面視において反時計回りに周回移動し、つまり、平面視において視認できる上側のキャタピラが前側から後側に移動し、逆回転時には、右側面視において時計回りに周回移動し、つまり、平面視において視認できる上側のキャタピラが後側から前側に移動する。
1対のチャッキングアーム88は、第1キャタピラ89aに固定される第1チャッキングアーム88aと、第2キャタピラ89bに固定される第2チャッキングアーム88bとを備えている。
第1チャッキングアーム88aおよび第2チャッキングアーム88bは、左右方向に投影したときに、同一位置となるように、第1キャタピラ89aおよび第2キャタピラ89bに、それぞれ固定されている。
第1チャッキングアーム88aは、空気圧によって作動し、シートの右側端部を上下方向から把持可能に構成されており、第2チャッキングアーム88bは、空気圧によって作動し、シートの左側端部を上下方向から把持可能に構成されている。
そして、把持移動部87では、1対のチャッキングアーム88が、左右方向において載置部材86と対向する位置(以下、把持位置とする。)と、左右方向において搬送コンベア90の前後方向途中部分と対向する位置(以下、解放位置とする。)との間を移動するように、1対のキャタピラ89が正逆回転される。
収容部6は、図1および図2に示すように、搬送支持体としての搬送コンベア90と、検知センサー91と、可動支持体としての可動板92と、シート収容部としての収容ケース93とを備えている。
図7に示すように、搬送コンベア90は、載置部材86の搬送方向下流側に配置され、左右方向において、第1キャタピラ89aと第2キャタピラ89bとの間に配置されている。図1に示すように、搬送コンベア90は、前後方向において、載置部材86と、収容ケース93との間に配置されている。搬送コンベア90は、切断されたシート(枚葉シート18)を、載置部材86から収容ケース93に搬送するように構成されている。
図2に示すように、検知センサー91は、搬送コンベア90の搬送方向下流側であって、搬送コンベア90の上方に間隔を隔てて対向配置されている。検知センサー91は、反射式光センサーからなり、検知センサー91の下方を通過する搬送コンベア90上の枚葉シート18を検知するように構成されている。
可動板92は、搬送コンベア90の下方に配置され、前後方向に移動可能に構成されている。具体的には、可動板92は、前後方向長さが、枚葉シート18の前後方向長さより、やや短い平面視略矩形平板形状に形成されている。可動板92の左右方向両側には、図示しない1対のフレームが設けられており、1対のフレームには、前後方向に沿うガイドレールが設けられている。
可動板92の左右方向両端部は、1対のフレームのガイドレールにそれぞれスライド自在に嵌合されている。
これによって、可動板92は、図8Aに示すように、搬送コンベア90から、その前端部がわずかに露出する退避位置と、図8Cに示すように、搬送コンベア90から、その前端部から後端部にわたってすべてが露出する進出位置とに、前後方向に沿って移動する。
収容ケース93は、搬送コンベア90の搬送方向下流側および下側に配置されている。収容ケース93は、左右方向長さおよび上下方向長さにおいて、枚葉シート18よりもやや大きく形成されている。上下方向に投影したときに、収容ケース93の後端縁は、搬送コンベア90の前端縁と略一致する。収容ケース93は、搬送コンベア90から搬送される枚葉シート18を、積層させながら収容するように構成されている。
シート製造装置1の寸法は、用いる粒子および樹脂成分の種類および配合割合と、目的とするシートの幅および厚みに対応して適宜設定される。
図4に示すように、1対のギヤ32(第1ギヤ33、第2ギヤ34)の回転軸線方向長さW2は、例えば、200mm以上、好ましくは、300mm以上であり、また、例えば、2000mm以下である。
1対のギヤ32のギヤ径(ギヤ32の直径(外径)、詳しくは、刃先円の直径)は、組成物の搬送時の圧力で1対のギヤ32が歪まないように設定され、例えば、10mm以上、好ましくは、20mm以上であり、また、例えば、200mm以下、好ましくは、80mm以下である。また、1対のギヤ32の歯底円の直径(ギヤ径から次に説明する歯たけL3を差し引いた値)は、例えば、8mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、198mm以下、好ましくは、194mm以下である。
図4に示すように、1対のギヤ32の歯たけL3は、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、20mm以下である。
斜歯35の回転軸線方向A1におけるピッチ間隔は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下である。また、斜歯35の歯筋の、1対のギヤ32の回転軸線に対する角度(傾斜角)は、例えば、0度を超過し、好ましくは、5度以上、より好ましくは、15度以上であり、また、例えば、75度未満、好ましくは、70度以下、より好ましくは、60度以下である。傾斜角が上記下限以上であれば、組成物を回転軸線A1の両外側に広げて、幅広のシートを確実に形成することができる。一方、傾斜角が上記上限以下であれば、重複歯溝76を確実に形成して、組成物の搬送効率を向上させることができる。
図6に示すように、1対のギヤ32の回転軌跡において、第1ギヤ33と上側面71とが対向する回転方向長さW1、および、第2ギヤ34と下側面72とが対向する回転方向長さ(図6において図示せず)は、例えば、2mm以上、好ましくは、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、324mm以下、好ましくは、315mm以下である。上記した長さが上記下限以上であれば、複数の重複歯溝76を確実に形成して、組成物の搬送効率を向上させることができる。一方、上記した長さが上記上限以下であれば、組成物の搬送効率を向上させることができる。
支持ロール51の回転軸線方向長さ(左右方向長さ)は、例えば、210mm以上、好ましくは、310mm以上であり、また、例えば、2040mm以下である。支持ロール51の直径(外径)は、例えば、300mm以下、好ましくは、150mm以下である。また、例えば、30mm以上、好ましくは、50mm以上である。圧延ロール54の回転軸方向長さは、例えば、支持ロール51の回転軸方向長さの95〜120%であり、好ましくは、支持ロール51の回転軸方向長さと略同一である。圧延ロール54の直径は、例えば、支持ロール51の直径の80〜120%であり、好ましくは、支持ロール51の直径と略同一である。
ダンサーロール80の回転軸線方向長さ(左右方向長さ)は、例えば、210mm以上、好ましくは、310mm以上であり、また、例えば、2040mm以下である。
ダンサーロール80の直径(外径)は、例えば、300mm以下、好ましくは、150mm以下である。また、例えば、30mm以上、好ましくは、50mm以上である。
第1搬送ロール83aの回転軸線方向長さ(左右方向長さ)は、例えば、210mm以上、好ましくは、310mm以上であり、また、例えば、2040mm以下である。
第1搬送ロール83aの直径(外径)は、例えば、300mm以下、好ましくは、150mm以下である。また、例えば、30mm以上、好ましくは、50mm以上である。
第2搬送ロール83bの回転軸方向長さは、210mm以上、好ましくは、310mm以上であり、また、2040mm以下であり、好ましくは、第1搬送ロール83aの回転軸方向長さと略同一である。第2搬送ロールの直径は、例えば、300mm以下、好ましくは、150mm以下である。また、例えば、30mm以上、好ましくは、50mm以上である。好ましくは、第1搬送ロール83aの直径と略同一である。
また、図3に示すように、第1隙間50の前後方向距離L1は、第1セパレータ8の厚みおよび所望する圧延化前シート7aの厚みに応じて適宜設定され、例えば、60μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、3500μm以下、好ましくは、2500μm以下である。
第2隙間60の上下方向距離L2は、第1隙間50の距離L1の寸法、第2セパレータ9の厚さなどに応じて適宜設定され、詳しくは、第1隙間50の距離L1よりもわずかに狭くするように設定される。これにより、圧延ロール54が、シートに押し込み、シートの厚みのばらつきを調整する。具体的には、例えば、第1隙間50よりも狭める距離(ロール押し込み量:L1−L2の値)は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。より具体的には、第2隙間60の上下方向距離L2は、例えば、65μm以上、好ましくは、70μm以上であり、また、例えば、3600μm以下、好ましくは、3550μm以下である。
図9に示すように、切断刃85の刃先角α、具体的には、トムソン刃22の刃先角αは、トムソン刃22が両刃である場合には、鋭角であって、例えば、5度以上、好ましくは、10度以上、より好ましくは、15度以上であり、また、例えば、60度以下、好ましくは、50度以下、より好ましくは、42度未満、さらに好ましくは、40度以下である。
なお、刃先角αは、2つの傾斜面24が互いに交差する交点より上側(切断方向上流側)に形成される角度である。また、刃先角αは、前傾斜面57とセンター面55との成す角度α1と、後傾斜面58とセンター面55との成す角度α2との合計角度(α1+α2)である。
トムソン刃22の刃先角αが上記上限以下であれば、積層シート10における圧延シート7の切断端部19(後述)に割れ102(図15A参照)や欠け103(図15B参照)を防止することができる。一方、トムソン刃22の刃先角αが上記下限以上であれば、トムソン刃22を長寿命化して、シート製造装置1のランニングコストの増大を防止すること、ひいては、積層シート10の製造コストの増大を防止することができる。
また、トムソン刃22の刃長、すなわち、トムソン刃22の上下方向(切断方向)長さは、特に限定されず、例えば、8mm以上、好ましくは、12mm以上、より好ましくは、23.6mm以上であり、また、例えば、100mm以下である。また、トムソン刃22の刃厚、すなわち、トムソン刃22の前後方向の最大長さは、特に限定されず、例えば、450μm以上、好ましくは、700μm以上であり、また、例えば、1500μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
押え部材84と載置部材86との前後隙間は、切断刃85のトムソン刃22の刃厚などによって適宜選定される。
可動板92の左右方向長さは、枚葉シート18の左右方向長さに対して、例えば、50%以上、好ましくは、70%以上であり、また、150%以下、好ましくは、100%以下である。また、可動板92の前後方向長さは、枚葉シート18の搬送方向長さに対して、例えば、70%以上、好ましくは、100%以上であり、また、300%以下、好ましくは、150%以下である。
次に、このシート製造装置1を用いる、枚葉シート18の製造方法について詳説する。
枚葉シート18の製造方法は、シート作製工程、切断工程および収容工程を備える。
<シート作製工程>
シート作製工程では、粒子および樹脂成分を含有する組成物から圧延シート7を作製する。
シート作製工程では、粒子および樹脂成分を含有する組成物から圧延シート7を作製する。
具体的には、まず、図2に示すように、ホッパ16に、粒子および樹脂成分を含有する組成物を仕込む。
また、シート製造装置1の作製部21において、混練押出機2、ギヤ構造体4、シート形成部5(特に、支持ロール51、圧延ロール54)および張力調整部20(特に、ダンサーロール82)を所定の温度および/または回転速度に調整する。なお、混練押出機2、ギヤ構造体4およびシート形成部5の温度は、例えば、樹脂成分が熱可塑性樹脂成分を含有する場合には、その軟化温度以上であり、また、樹脂成分が熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、その硬化温度未満である。具体的には、混練押出機2、ギヤ構造体4、シート形成部5の温度は、それぞれ、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。
特に、支持ロール51および圧延ロール54の温度は、ギヤ構造体4の温度よりも高く設定され、その温度差は、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上であり、また、例えば、50℃以下、好ましくは、30℃以下とする。支持ロール51と圧延ロール54との温度差は、例えば、50℃以下であり、好ましくは、略等温である。
支持ロール51の回転速度は、例えば、0.05m/min以上、好ましくは、0.10m/min以上であり、例えば、10.00m/min以下、好ましくは、5.00m/minである。圧延ロール54の回転速度は、支持ロール51の回転速度に対して、略等速である。
また、エアポンプの圧延ロール54に対する空気圧は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.3MPa以上であり、また、例えば、5.0MPa以下、好ましくは、2.0MPa以下である。
張力調整部20(特に、ダンサーロール82)の温度は、室温以上、例えば、25℃以上、好ましくは、40℃以上であり、また、例えば、90℃以下、好ましくは、60℃以下である。この範囲とすることにより、シートとして、シリカおよび熱硬化性樹脂(好ましくは、エポキシ樹脂)を含有する場合において、ダンサーロール80による張力によって生じるシート表面の割れを抑制することできる。
また、切断部3において、支持台77の温度を所定温度Tに設定する。具体的には、所定温度Tは、圧延シート7の後述する軟化開始温度SP以上、かつ、圧延シート7の後述するガラス転移温度Tg以下である。具体的には、ヒータ78の温度を、上記した所定温度Tに設定する。
支持台77の温度が、上記した所定温度の下限を下回ると、図15に示すように、枚葉シート18における圧延シート7の切断端部19に、割れ102(図15A参照)および/または欠け103(図15B参照)などの損傷を生じる不具合がある。
一方、支持台77の温度が、上記した所定温度の上限を上回ると、図14に示すように、枚葉シート18における圧延シート7の切断端部19にタレ101を生じること、具体的には、圧延シート7の端部が第1セパレータ8の切断端面からはみ出て、下側にタレ落ちる不具合がある。
他方、切断刃85の切断刃85の温度が上記した所定温度にあれば、図12および図13に示すように、積層シート10における圧延シート7の切断端部19に損傷を生じることを防止しつつ、圧延シート7の切断端部19が下側にタレ落ちることを防止することができる。
所定温度Tは、圧延シート7における粒子の種類および/または配合割合などに対応しており、圧延シート7における粒子の配合割合が70体積%未満であれば、例えば、30℃以上であり、また、例えば、45℃未満、好ましくは、40℃以下である。また、圧延シート7における粒子の配合割合が70体積%以上であれば、所定温度Tは、例えば、35℃以上であり、また、例えば、50℃未満、好ましくは、46℃以下、より好ましくは、45℃以下である。
図7に示す把持移動部87の1対のキャタピラ89の移動速度および搬送コンベア90の搬送速度は、1対の搬送ロール83に対して、それぞれ、60〜200%であり、好ましくは、略等速である。
また、図2に示すように、第1送出ロール56に、第1セパレータ8を予め巻回する。
第1セパレータ8としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(PETなど)、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム類、例えば、クラフト紙などの紙類、例えば、綿布、スフ布などの布類、例えば、ポリエステル不織布、ビニロン不織布などの不織布類、例えば、金属箔などが挙げられる。好ましくは、プラスチックフィルム類、より好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。
第1セパレータ8の厚みは、その目的および用途など応じて適宜選択され、例えば、10〜500μmである。なお、第1セパレータ8の表面を離型処理することもできる。
さらに、第2送出ロール59に、第2セパレータ9を予め巻回する。
第2セパレータ9は、第1セパレータ8と同様のものが挙げられ、その表面を表面処理することもできる。第2セパレータ9の厚みは、その目的および用途など応じて適宜選択され、例えば、10〜500μmである。
次いで、組成物をホッパ16から、シリンダ11の混練押出機入口14を介してシリンダ11内に投入する。
混練押出機2では、組成物が、ブロックヒータによって加熱されながら、混練スクリュー12の回転によって混練押出されて、組成物が、混練押出機出口15から連結管17を介して、図2に示すように、第1貯留部27に至る(混練押出工程)。
その後、組成物は、ギヤ構造体4において、1対のギヤ32の回転軸線方向A1に変形
されながら、前方に搬送される(変形搬送工程)。
されながら、前方に搬送される(変形搬送工程)。
具体的には、組成物は、1対のギヤ32の噛み合いによって、回転軸線方向A1の中央部から両端部に押し広げられながら搬送される。
詳しくは、図3に示すように、組成物は、第1貯留部27の前側部分の上端部および下端部から、収容空間73における1対のギヤ32の噛み合い部分より後側部分に至り、その後、1対のギヤ32の斜歯35に剪断されながら、歯溝75内に取り巻き込まれ、続いて、密閉空間74に至る。そして、密閉空間74において、組成物が、重複歯溝76となる歯溝75によって、第1貯留部27および第2貯留部28間の連通、つまり、斜歯35の歯筋に沿って移動することが阻止されながら、1対のギヤ32の回転方向R2への回転によって、1対のギヤ32の回転方向R2の下流側、つまり、前方に搬送される。これによって、組成物は、1対のギヤ32の前側に押し出され、収容空間73における1対のギヤ32の噛み合い部分より前側部分に至る。
このとき、組成物は、斜歯35の噛み合い部分(図5参照)を介して第1貯留部27に逆流する(後方に戻る)ことが斜歯35の噛み合い部分によって防止されながら、左右方向に押し広げられる。
具体的には、図3に示すように、ギヤ構造体4の右側部分においては、第1右斜歯36と第2右斜歯38との噛み合いによって、1対のギヤ32における回転軸線方向A1の中央部から右端部に向けて押し広げられる。一方、ギヤ構造体4の左側部分においては、第1左斜歯37と第2左斜歯39との噛み合いによって、1対のギヤ32における回転軸線方向A1の中央部から左端部に向けて押し広げられる。
続いて、図3に示すように、組成物は、第2貯留部28および吐出通路44を介して吐出口46に至り、次いで、吐出口46から支持ロール51に向かって吐出(搬送)される。
具体的には、支持ロール51の周面には、第1送出ロール56(図2参照)から送り出された第1セパレータ8が積層されており、組成物は、その第1セパレータ8を介して支持ロール51に支持されながら、支持ロール51の回転方向に搬送される。
吐出口46から吐出された組成物は、一旦、支持ロール51の後方に、第1セパレータ8を介して吐出され、直ちに、第1隙間50(すなわち、突出部63と支持ロール51の周面との間)によって厚みが調整される。具体的には、余分な組成物は、突出部63によって掻き取られ、所望厚みおよび所望幅のシート状組成物(以下、圧延化前シート7aとする。)として形成される。そして、圧延化前シート7aは、圧延化前シート7aが第1セパレータ8に積層された第1セパレータ付シート13として、第2隙間60に搬送される(隙間通過工程)。
この第1隙間50の距離L1により、詳しくは、第1隙間50の距離L1および第1セパレータ付シート13の厚みを調整することにより、圧延化前シート7aの厚みや、第2隙間通過工程により得られる圧延シート7の厚みが決定される。
第1セパレータ付シート13の厚みは、例えば、60μm以上、好ましくは、110μm以上であり、また、例えば、2500μm以下、好ましくは、1500μm以下である。
圧延化前シート7aの厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
続いて、図2に示すように、圧延化前シート7aは、支持ロール51の後端から支持ロール51の外周を沿って支持ロール51の上端に搬送され、その後、第2隙間60(すなわち、圧延ロール54と支持ロール51との間)において、圧延化前シート7aの上面に第2セパレータ9が積層されると同時に、圧延される。具体的には、第2隙間60において、第1隙間50によってシート状に形成された圧延化前シート7aは、その直後に、圧延ロール54によって、第2セパレータ9を介して、上方向から圧力が印加される。そのため、圧延化前シート7aは、その表面を平坦に変形させられ、シート表面の厚みのばらつきが抑制されたシート(以下、圧延シート7とする。)となる。その結果、第1セパレータ8および第2セパレータ9が圧延シート7の両面に積層された積層シート10が得られる。つまり、積層シート10は、圧延シート7と、第1セパレータ8および第2セパレータ9とを備えており、搬送方向に長い長尺シートとして形成される。
積層シート10の厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、80μm以上であり、また、例えば、2900μm以下、好ましくは、1950μm以下である。
積層シート10における圧延シート7の厚みは、第1隙間50を通過したときの圧延化前シート7aの厚みに対して、例えば、60%以上、また、例えば、95%以下である。具体的には、例えば、30μm以上、好ましくは、60μm以上であり、また、例えば、1900μm以下、好ましくは、950μm以下である。
圧延シート7の軟化開始温度SPは、例えば、25℃以上、好ましくは、30℃以上であり、また、例えば、40℃以下、好ましくは、35℃以下である。圧延シート7の軟化開始温度SPは、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、温度範囲−10〜65℃の圧延シート7の動的粘弾性測定(DMA)で得られる引張貯蔵弾性率E’から得られる。具体的には、圧延シート7のDMAにおいて、ガラス領域から転移領域へ移行し始める温度であって、引張貯蔵弾性率E’の温度に対する変化率が−1.5×107Pa/℃以下となる温度である(図20参照)。
圧延シート7のガラス転移温度Tgは、例えば、40℃以上、好ましくは、45℃以上であり、また、例えば、50℃以下、好ましくは、46℃以下である。圧延シート7のガラス転移温度Tgは、上記した条件の圧延シート7の動的粘弾性測定(TMA)で得られるtanδのピーク値として得られる。
また、圧延シート7の上記した所定温度T(すなわち、切断刃85の設定温度)における引張貯蔵弾性率E’は、例えば、圧延シート7における樹脂成分の種類および/または配合割合などに応じて適宜調整され、とりわけ、樹脂成分の配合割合に応じて適宜調整される。圧延シート7の所定温度Tにおける引張貯蔵弾性率E’は、例えば、1.0×108Pa以上、1.5×109Pa以下である。具体的には、圧延シート7における粒子の配合割合が70体積%未満であれば、圧延シート7の引張貯蔵弾性率E’は、例えば、1.0×108Pa以上であり、また、例えば、1.2×109Pa以下、好ましくは、8.0×108Pa以下である。また、圧延シート7における粒子の配合割合が70体積%以上であれば、圧延シート7の引張貯蔵弾性率E’は、例えば、1.0×108Pa以上であり、また、例えば、1.5×109Pa以下、好ましくは、1.3×109Pa以下である。
圧延シート7の引張貯蔵弾性率E’が、上記下限以上であれば、圧延シート7の切断端部19がタレることを防止することができる。一方、圧延シート7の引張貯蔵弾性率E’が、上記上限以下であれば、圧延シート7の切断端部19が割れおよび/または欠けなどの損傷を生じることを防止することができる。
その後、積層シート10における圧延シート7は、第1テンションロール81の上端から前端を通過し下方に向かって搬送され、ダンサーロール80の後端から周縁に沿って下端に搬送され、さらに、ダンサーロール80の下端から周縁に沿って前端に搬送され、その後、上方に向かって、第2テンションロール82まで搬送される。
このとき、ダンサーロール80が積層シート10を下側に押圧することにより、積層シート10に一定の張力が加わるように設定されている。積層シート10に加わる張力は、シートの幅、シートの材質(抗張力)により適宜選定されるが、例えば、10N以上200N以下である。
第2テンションロール82の後端から上端を通過した積層シート10は、前方に水平に搬送され、第1搬送ロール83aおよび第2搬送ロール83bの間を通過する。
積層シート10は、1対の搬送ロール83の間において、上下方向から押圧される。その圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.3MPa以上であり、また、例えば、2.0MPa以下、好ましくは、1.0MPa以下である。
<切断工程>
次いで、積層シート10は、第1押え部材84aおよび第2押え部材84bの間を通過し、切断刃85の下側を通過し、載置部材86の上面に到達する。
次いで、積層シート10は、第1押え部材84aおよび第2押え部材84bの間を通過し、切断刃85の下側を通過し、載置部材86の上面に到達する。
このとき、図7Aに示すように、1対のチャッキングアーム88は、把持位置に位置しており、積層シート10の前端部の左右方向(幅方向)両端部は、1対のチャッキングアーム88によって把持される。
より具体的には、1対のチャッキングアーム88は、積層シート10の左右方向両端縁から左右方向内側に5〜10mmまでの部分を把持する。
その後、図7Bに示すように、1対のキャタピラ89が、1対の搬送ロール83と連動するように正回転して、1対のチャッキングアーム88が積層シート10の前端部の左右方向両端部を把持したまま、解放位置まで移動される。これによって、積層シート10の前端部は、切断刃85から所定長さ(枚葉シート18の長さ)離間する。
そして、図2の点線矢印で示すように、第2押え部材84bおよび切断刃85が下方に移動し、まず、第2押え部材84bが積層シート10の表面を押圧して、積層シート10が第1押え部材84aと第2押え部材84bとによって挟まれた後、切断刃85により、積層シート10が左右方向に沿って一度に切断される。また、この切断工程では、積層シート10が、ヒータ78によって加熱されながら、切断される。
切断工程において、切断刃85の切断速度Vは、例えば、1mm/秒以上、好ましくは、5mm/秒以上、より好ましくは、10mm/秒以上であり、また、100mm/秒以下、好ましくは、80mm/秒以下、より好ましくは、50mm/秒以下である。切断刃85の切断速度Vは、切断刃85が積層シート10の厚み方向を通過して切断する速度である。具体的には、切断刃85の切断速度Vは、圧延シート7の厚みを、刃先23が圧延シート7の厚み方向を通過するのに要する時間で除した値(単位は、例えば、mm/秒)として求められる。
切断刃85の切断速度Vが上記した上限を上回ると、図15に示すように、積層シート10における圧延シート7の切断端部19に割れ102(図15A参照)および/または欠け103(図15B参照)などの損傷を生じる不具合がある。切断刃85の切断速度Vが上記上限以下であれば、図12または図13に示すように、積層シート10における圧延シート7の切断端部19に損傷を生じることを防止することができる。
また、切断刃85の切断速度Vが上記下限を下回れば、切断工程の時間が過度にかかり、その分、積層シート10の製造時間がかかり、そのため、製造効率が低下する場合がある。
ヒータ78の加熱温度は、上記したように、圧延シート7の軟化開始温度SP以上、かつ、圧延シート7のガラス転移温度Tg以下に設定される。
その後、1対のチャッキングアーム88は、積層シート10の把持を解放し、所定長さに切断された積層シート10(以下、枚葉シート18とする。)が、搬送コンベア90上に載置され、搬送コンベア90によって前方へ搬送される。
切断後、第2押え部材84bおよび切断刃85は、直ちに上方に移動し、枚葉シート18の解放後、1対のチャッキングアーム88は、1対のキャタピラ89の逆回転により、直ちに把持位置まで移動される。
そして、1対の搬送ロール83によって、切断前の積層シート10が、再び載置部材86の上面まで搬送される。その後、上記した切断工程が繰り返される。
このような切断工程において、積層シート10が第1押え部材84aと第2押え部材84bとによって挟まれて、切断刃85によって切断されるため、積層シート10の連続搬送は断続的となる(一時的に停止される)。
一方、張力調整部20よりも後方(搬送方向上流側)での、混練押出工程、変形搬送工程、隙間通過工程は、連続的に実施されており、張力調整部20には、積層シート10が連続的に搬送されてくる。
そして、張力調整部20では、それよりも前方(搬送方向下流側)での断続的な搬送に対応して、ダンサーロール80が上下方向に移動することにより、張力調整部20よりも前方(搬送方向下流側)において断続的に搬送される一方、張力調整部20よりも後方(搬送方向上流側)において連続的に搬送されることにより、張力調整部20において余剰となる積層シート10の張力を一定に維持している。これにより、積層シート10にしわが発生することを抑制することができる。
ダンサーロール80における積層シート10の張力は、例えば、10〜50Nである。
<収容工程>
次いで、1対のチャッキングアーム88から解放された枚葉シート18は、搬送コンベア90によって、前方(搬送方向下流側)に搬送される。その後、枚葉シート18は、搬送コンベア90から可動板92の上に移動し、その可動板92の上から収容ケース93の内部に収容される。
次いで、1対のチャッキングアーム88から解放された枚葉シート18は、搬送コンベア90によって、前方(搬送方向下流側)に搬送される。その後、枚葉シート18は、搬送コンベア90から可動板92の上に移動し、その可動板92の上から収容ケース93の内部に収容される。
詳しくは、図8Aに示すように、搬送コンベア90に搬送される枚葉シート18の前端部が、検知センサー91の下方にくると、検知センサー91が枚葉シート18を検知する。すると、その検知に基づいて、可動板92は、退避位置から前方に向かって移動する。
次いで、図8Bに示すように、枚葉シート18の後端部が、搬送コンベア90の前端部までくると、枚葉シート18の前端部は、搬送コンベア90の前端から搬送方向下流側かつ下側に向かって落下し、進出途中の可動板92の上面に当接される。
次いで、図8Cに示すように、搬送コンベア90が進出位置に至ると同時に、枚葉シート18は、搬送コンベア90から完全に離れ、可動板92上に載置される。その後、枚葉シート18が載置された可動板92は、退避位置に向かって後方(図8C)の矢印方向)に移動する。
すると、可動板92上の枚葉シート18の後端部は、搬送コンベア90の前端部(下前端部94)に当接し、枚葉シート18の後方への移動が規制される。その一方、可動板92は、枚葉シート18と摺動しながら後方に向かって移動し続ける。そして、可動板92が、退避位置に至ると、枚葉シート18は、可動板92から落下し、収容ケース93の内部に収容される(図8D)。
このように、枚葉シート18を、搬送コンベア90から、可動板92に一旦受けた後に、収容ケース93に収容するため、枚葉シート18は、搬送コンベア90からの落下速度や搬送速度を低減することができ、緩やかに収容ケース93に収容することができる。そのため、枚葉シート18のしわの発生を抑制することができる。
なお、このシート製造装置1において、樹脂成分が熱硬化性樹脂成分を含有する場合には、混練押出機2で加熱された後、収容ケース93に収容されるまで、組成物における熱硬化性樹脂成分は、Bステージ状態であり、枚葉シート18における熱硬化性樹脂成分も、Bステージ状態とされる。
そして、この枚葉シート18の製造方法によれば、切断工程では、枚葉シート18を所定温度Tに加熱しながら、特定の切断速度Vで、積層シート10を切断し、所定温度Tは、引張貯蔵弾性率E’から得られる軟化開始温度SP以上、tanδのピーク値として得られるガラス転移温度Tg以下である。そのため、枚葉シート18の切断端部の損傷を防止しながら、枚葉シート18の切断端部19のタレを防止することができる。
具体的には、切断工程の所定温度Tにおける引張貯蔵弾性率E’は、1.0×108Pa以上、1.5×109Pa以下であれば、上記した枚葉シート18の切断端部の損傷を防止しながら、枚葉シート18の切断端部19のタレを防止することができる。
また、切断速度Vが、1mm/秒以上であれば、切断工程を短縮することができ、そのため、枚葉シート18を効率よく製造することができる。
また、この枚葉シート18の製造方法によれば、粒子の配合割合が30体積%を超過する組成物であっても、1対のギヤ32の噛み合いに基づく高いせん断力によって、粒子が分散された組成物からなる圧延シート7を搬送することができる。
(変形例)
図10以降の各図において、図1〜図9の実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細を省略する。
図10以降の各図において、図1〜図9の実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細を省略する。
図9の実施形態では、切断刃85を、両刃のトムソン刃22から構成しているが、例えば、図10に示すように、片刃のトムソン刃22から構成することもできる。
片刃のトムソン刃22は、上下方向(切断方向)に平行する基準面29と、基準面29の前側に形成される傾斜面24とを有する。片刃のトムソン刃22では、傾斜面24および基準面29が交わる部分が刃先23を構成する。
片刃のトムソン刃22の刃先角αは、鋭角であって、例えば、5度以上、好ましくは、10度以上、より好ましくは、15度以上であり、また、例えば、60度以下、好ましくは、50度以下、より好ましくは、42度未満、さらに好ましくは、40度以下である。なお、片刃のトムソン刃22の刃先角αは、基準面29と傾斜面24とが互いに交差する交点より上側(切断方向上流側)に形成される角度である。片刃のトムソン刃22の刃先角αが上記上限以下であれば、積層シート10における圧延シート7の切断端部19に割れおよび/または欠けなどの損傷を防止することができる。一方、トムソン刃22の刃先角αが上記下限以上であれば、トムソン刃22を長寿命化して、シート製造装置1のランニングコストの増大を防止すること、ひいては、枚葉シート18の製造コストの増大を防止することができる。つまり、枚葉シート18を効率よく製造することができる。
また、図10では、傾斜面24を、基準面29の前側に形成しているが、例えば、図示しないが、基準面29の後側に形成することもできる。
図9の実施形態では、両刃のトムソン刃22において、2つの傾斜面24のそれぞれは1段(単数段)傾斜状に形成されているが、2つの傾斜面24のそれぞれを複数段(例えば、2段、3段など)形状、具体的には、図11に示すように、2段傾斜状に形成することもできる。
詳しくは、2つの傾斜面24は、前傾斜面57と、前傾斜面57の後側に設けられる後傾斜面58とを備える。
前傾斜面57は、第1前傾斜面66と、第1前傾斜面66の下端部から下方斜め後方に延びる第2前傾斜面67とを一体的に備えている。第2前傾斜面67は、第1前傾斜面66に比べてより傾斜する。第2前傾斜面67の下端は、刃先23を構成する。具体的には、第2前傾斜面67とセンター面55との成す角度γ1は、第1前傾斜面66とセンター面55に平行な面との成す角度β1に比べて大きく形成されている。
後傾斜面58は、第1後傾斜面68と、第1後傾斜面68の下端部から下方斜め前方に延びる第2後傾斜面69とを一体的に備えている。第2後傾斜面69の下端部は、第2前傾斜面67の下端部とともに、刃先23を構成する。また、後傾斜面58における第1後傾斜面68および第2後傾斜面69のそれぞれは、前傾斜面57における第1前傾斜面66および第2前傾斜面67に対して、センター面55を基準にして、面対称に形成されている。つまり、第2後傾斜面69は、第1後傾斜面68に比べてより傾斜する。具体的には、第2後傾斜面69とセンター面55との成す角度γ2は、第1後傾斜面68とセンター面55に平行な面との成す角度β2に比べて大きく形成されている。
刃先角γは、上記したγ1およびγ2の合計角度であり、上記した刃先角αと同一角度である。
また、図11の実施形態では、両刃のトムソン刃22の2つの傾斜面24のそれぞれを複数段に傾斜させているが、一方の傾斜面24のみを複数段に傾斜させることもできる。つまり、互いの傾斜面24の段数を異ならせることもできる。さらに、図示しないが、片刃のトムソン刃22の傾斜面24(図10参照)を複数段に傾斜させることもできる。
また、図1〜図9の実施形態では、帯刃、具体的には、トムソン刃22を、左右方向に延びるように配置しているが、その配置は特に限定されず、左右方向および前後方向(切断方向をZ方向としたときの、X−Y方向)に沿うパターンに形成して、かかるトムソン刃22によって積層シート10を打ち抜いて、枚葉シート18を形成することができ、具体的には、平面視略矩形枠形状などの、適宜のパターンに形成することもできる。
また、図1〜図9の実施形態では、切断刃85を下方に向かって移動させているが、例えば、図示しないが、切断刃85を、積層シート10の下方(切断方向上流側)に配置し、切断刃85を上方(切断方向下流側)に向かって移動させることもできる。
さらに、図1〜図9の実施形態では、切断刃85を移動させているが、切断刃85を枚葉シート18に対して、相対的に移動させればよく、例えば、図示しないが、枚葉シート18を切断刃85に対して相対的に移動、具体的には、積層シート10の上方に固定される切断刃85に対して、積層シート10を近接させるように移動、すなわち、切断方向下流側に上昇させることもできる。
また、図1〜図9の実施形態では、本発明のシート作製工程を、図1に示すシート製造装置1の作製部21において実施しているが、これに限定されず、図示しないが、公知のシート作製装置の作製部によって、シート作製工程を実施することができる。具体的には、図示しないが、圧延ロール54や張力調整部20を備えないシート製造装置1などによって、上面および下面にそれぞれ第1セパレータ8および第2セパレータ9が設けられた圧延化前シート7aを得、これを、切断工程に供することもできる。
また、図示しないが、支持台77を、第1押え部材84aおよび/または載置部材86と一体で形成し、それらに共通する上面を前後方向に連続して設けることもできる。
また、図1〜図9の実施形態では、シート作製工程において、積層シート10を作製し、切断工程において、積層シート10を切断して、枚葉シート18を製造しているが、例えば、図示しないが、シート作製工程において、積層シート10を作製し、続いて、これを切断して、枚葉シート18を作製、その後、切断工程において、枚葉シート18を切断して、外形加工することもできる。
なお、本発明において、シートは、テープまたはフィルムの概念を含む。
以下に示す実施例の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
実施例1〜42および比較例1〜34
下記の配合処方に準拠して、各成分(粒子および樹脂成分)を配合して攪拌して、半固形状の混合物(組成物)を調製した。
下記の配合処方に準拠して、各成分(粒子および樹脂成分)を配合して攪拌して、半固形状の混合物(組成物)を調製した。
(配合処方)
・球状溶融シリカ粉末(商品名「FB−9454」、電気化学工業社製、球形状、平均粒子径17μm、比重2.2g/cm3):83.85質量%
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、商品名「YSLV−80XY
」、新日鐵化学社製、エポキシ当量200g/eq.、軟化点80℃):6質量%
・フェノール・アラルキル樹脂(硬化剤、商品名「MEH7851SS」、明和化成社製、水酸基当量203g/eq.、軟化点67℃):6質量%
・2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(硬化促進剤、商品名「2PHZ」、四国化成工業社製):0.15質量%
・アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−メタクリル酸グリシジル共重合体(熱可塑性樹脂、シアノ・エポキシ変性アクリル樹脂):4質量%
別途、表1〜表5の処方および条件で、図1〜図9に記載の装置構成を有するシート製造装置1を用意した。
・球状溶融シリカ粉末(商品名「FB−9454」、電気化学工業社製、球形状、平均粒子径17μm、比重2.2g/cm3):83.85質量%
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、商品名「YSLV−80XY
」、新日鐵化学社製、エポキシ当量200g/eq.、軟化点80℃):6質量%
・フェノール・アラルキル樹脂(硬化剤、商品名「MEH7851SS」、明和化成社製、水酸基当量203g/eq.、軟化点67℃):6質量%
・2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(硬化促進剤、商品名「2PHZ」、四国化成工業社製):0.15質量%
・アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−メタクリル酸グリシジル共重合体(熱可塑性樹脂、シアノ・エポキシ変性アクリル樹脂):4質量%
別途、表1〜表5の処方および条件で、図1〜図9に記載の装置構成を有するシート製造装置1を用意した。
なお、このシート製造装置1について、切断部3において、トムソン刃22を用意した。トムソン刃22は両刃であり、刃長は23.6mm、刃厚は700μmであった。また、1対のチャッキングアーム88および1対のキャタピラ89を、搬送方向に300mm長さで、切断できるように設定した。
このシート製造装置1によって、搬送方向300mm×幅方向500mmである枚葉シート18(熱硬化性絶縁樹脂シート)を製造し、収容ケース93内に50枚積層させた。
実施例1の枚葉シート18において、シート中の粒子の体積基準の比率は、79体積%であった。
(評価)
1. 外観
枚葉シート18における切断端部をSEM観察した。その結果を表2および表3に示す。評価は下記の基準に基づいた。
1. 外観
枚葉シート18における切断端部をSEM観察した。その結果を表2および表3に示す。評価は下記の基準に基づいた。
○:切断端部における割れや欠けが観察されず、切断端部における外観が良好であった。
△:外観にわずかな割れや欠けが散見された。
×:外観に多数の割れおよび欠けが確認された。
なお、△および×評価における詳細については、表2および表3に記載する。
また、実施例1、3、22、24および比較例1、6、22および28の枚葉シートの切断端部のSEM写真の画像処理図を、図12〜図19に示す。
2. 製造効率
組成物をシート製造装置1に仕込んでから枚葉シート18を得るまでの時間を測定し、以下の基準に基づいて評価した。
2. 製造効率
組成物をシート製造装置1に仕込んでから枚葉シート18を得るまでの時間を測定し、以下の基準に基づいて評価した。
○:枚葉シート18を迅速に製造することができた。
△:枚葉シート18を迅速に製造することができなかった。
3. 動的粘弾性測定(DMA)
圧延シート7を直径10mmの円状に外形加工して、これの動的粘弾性測定(DMA)を実施した。動的粘弾性測定の条件を以下に記載する。
3. 動的粘弾性測定(DMA)
圧延シート7を直径10mmの円状に外形加工して、これの動的粘弾性測定(DMA)を実施した。動的粘弾性測定の条件を以下に記載する。
DMA装置:RSA3(TA Instruments社製)
周波数:1Hz
振幅:0.5mm
昇温速度:10℃/分
温度範囲:−10〜65℃
得られた測定結果を、表3〜表5に記載する。
周波数:1Hz
振幅:0.5mm
昇温速度:10℃/分
温度範囲:−10〜65℃
得られた測定結果を、表3〜表5に記載する。
なお、表3〜5中、「E+09」との表記は、「×109」であることを意味し、「E+08」との表記は、「×108」であることを意味し、「E+07」との表記は、「×107」であることを意味する。
また、実施例1〜39および比較例1〜27の処方(粒子の含有割合:79体積%)の圧延シートの動的粘弾性測定のスペクトルを図20に示す。
7 圧延シート
10 積層シート
18 枚葉シート
V 切断速度
T 所定温度
Tg ガラス転移温度
E’ 引張貯蔵弾性率
10 積層シート
18 枚葉シート
V 切断速度
T 所定温度
Tg ガラス転移温度
E’ 引張貯蔵弾性率
Claims (3)
- 粒子と樹脂成分とを含有するシートを作製するシート作製工程、および、
前記シートを切断する切断工程を備え、
前記切断工程では、前記シートを所定温度に加熱しながら、100mm/秒以下の切断速度で、前記シートを切断し、
前記所定温度は、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、温度範囲−10〜65℃の条件における前記シートの動的粘弾性測定で得られる引張貯蔵弾性率E’から得られる軟化開始温度以上、前記動的粘弾性測定で得られるtanδのピーク値として得られるガラス転移温度以下であることを特徴とする、シートの製造方法。 - 前記所定温度における前記シートの引張貯蔵弾性率E’は、1.0×108Pa以上、1.5×109Pa以下であることを特徴とする、請求項1に記載のシートの製造方法。
- 前記切断速度が、1mm/秒以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシートの製造方法。
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