JP2015061933A - 被覆層形成用スパッタリングターゲット材およびその製造方法 - Google Patents

被覆層形成用スパッタリングターゲット材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低抵抗なCu薄膜層の密着性、耐候性、耐酸化性を確保するとともに、安定したウェットエッチングを行なうことが可能となる、新規な被覆層を安定的に形成できる、新たな被覆層形成用スパッタリングターゲット材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 CuまたはCu合金からなる薄膜層の被覆層形成用スパッタリングターゲット材において、Mnを5〜25原子%と、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下である被覆層形成用スパッタリングターゲット材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば電子部品の主配線となるCuまたはCu合金からなる薄膜層に被覆層を形成するために用いられる被覆層形成用スパッタリングターゲット材およびその製造方法に関するものである。
ガラス基板上に薄膜デバイスを形成する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:以下、「LCD」という)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、「PDP」という)、電子ペーパー等に利用される電気泳動型ディスプレイ等の平面表示装置(フラットパネルディスプレイ、Flat Panel Display:以下、「FPD」という)に加え、各種半導体デバイス、薄膜センサー、磁気ヘッド等の薄膜電子部品においては、低い電気抵抗の配線膜が必要である。例えば、LCD、PDP、有機ELディスプレイ等のFPDは、大画面、高精細、高速応答化に伴い、その配線膜には低抵抗化が要求されている。また、近年、FPDに操作性を加えるタッチパネルや樹脂基板を用いたフレキシブルなFPD等、新たな製品が開発されている。
近年、FPDの駆動素子として用いられている薄膜トランジスタ(Thin FilmTransistor:以下、「TFT」という)の配線膜には低抵抗化が必要であり、主配線薄膜層の材料を従来のAlから、より低抵抗なCuに変更する検討が行われている。
また、FPDの画面を見ながら直接的な操作性を付与するタッチパネル基板画面も大型化が進んでおり、Alより低抵抗のCuまたはCu合金からなる薄膜層(以下、「Cu薄膜層」という)を主配線薄膜層として用いる検討が進んでいる。
携帯型端末やタブレットPC等に用いられているタッチパネルの位置検出電極には、一般的に透明導電膜であるインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:以下、「ITO」という)が用いられている。CuはITOとのコンタクト性は得られるが、基板との密着性が低く、耐候性が悪い問題点を有する。このため、Cu薄膜層の密着性を確保するとともに、耐候性を改善するために、Cu薄膜層をNi合金等の被覆層で被覆した積層配線膜とする必要がある。
一方、上述した薄膜配線を形成する手法としては、スパッタリングターゲット材を用いたスパッタリング法が最適である。スパッタリング法は、物理蒸着法の一つであり、他の真空蒸着やイオンプレーティングに比較して、安定して大面積を成膜できる方法であるとともに、組成変動が少ない優れた薄膜層が得られる有効な手法である。
被覆層で主成分となるNiは、常温で磁性体であるために、FPD用途で一般に用いられているマグネトロンスパッタ装置では、磁気回路の磁束をスパッタリングターゲット材が吸収してしまい、効率よく安定したスパッタリングを行うことが難しい課題を有する。
このような課題に対し、本出願人は、AgやCuの薄膜層の被覆層として、Cuを1〜25原子%、さらにTi、Zr、Hf、V,Nb、Ta、Cr、Mo、Wから選択される元素を1〜25原子%、且つ添加量の合計が35原子%以下のNi合金を用いた積層配線膜を提案している。(特許文献1)
特許文献1で提案した被覆層は、Ti、V、Cr等の遷移金属を所定量添加したNi合金とすることで弱磁性化されることにより、スパッタリングによる成膜が安定的かつ長時間できるという点で有用な技術である。
また、Ni合金被覆層のCuエッチャントに対するエッチング性の改善を目的に、NiにCuを25〜45wt%加えたNi−Cu合金を主体にMoやCoを5wt%以下加えた合金や、Cuを5〜25wt%加えたNi−Cu合金にFeやMnを5wt%以下加えたNi−Cu系合金が提案されている。(特許文献2)
また、同様にCuエッチャントに対するエッチング性の改善と耐候性や密着性の改善を目的に、Cuを15〜55wt%加えたNi−Cu合金を主体に、CrやTiを10wt%以下加えたNi−Cu系合金が提案されている。(特許文献3)
これら、特許文献2や特許文献3に開示されるNi−Cu系合金は、それぞれエッチング性の改善を図れる点で有用な技術である。
特開2006−310814号公報 特開2011−052304号公報 特開2012−193444号公報
近年のFPDは高精細化が急速に進んでいるため、より狭い配線幅で精度良くエッチング加工することが望まれている。しかしながら、Cuは精度の高いエッチング法であるドライエッチングを行うことが容易ではないため、FPD用途においては、主にウェットエッチングが用いられている。
ところが、Cu薄膜層と上記被覆層からなる積層配線膜をウェットエッチングすると、残渣が生じやすいという問題がある。このため、揮発性の高い過酸化水素を添加したエッチャントを用いてオーバーエッチングすることで残渣の抑制が行なわれているところ、サイドエッチング量が大きくなり、今後期待される狭い幅の配線膜を安定的に得ることが難しいという課題があることが明らかになってきた。
本発明者の検討によると、Cu薄膜層と上述した特許文献1に開示されるNi合金でなる被覆層で形成された積層配線膜をウェットエッチングした場合には、基板面内でNi合金からなる被覆層のエッチングが不均一となり、ムラが発生しやすくなり、配線幅にばらつきが生じるという新たな課題があることを確認した。
また、特許文献2および特許文献3に提案されているNi−Cu系合金では、エッチング性を改善するために、Cuの添加量を増加させると、耐酸化性が低下するとともに、ガラス基板、樹脂等のフィルム基板、あるいは透明導電膜であるITOとの密着性が低下するとともに耐酸化性が大きく低下することを確認した。
本発明の目的は、低抵抗なCu薄膜層との密着性、耐候性、耐酸化性を確保するとともに、安定したウェットエッチングを行なうことが可能となる、新規な被覆層を安定的に形成できる、新たな被覆層形成用スパッタリングターゲット材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み、Cu薄膜層に被覆層を形成するためのスパッタリングターゲット材に関して鋭意検討した。その結果、Niに特定の元素を特定量添加することで、密着性、耐候性、耐酸化性を確保しながらエッチング時にムラが発生しにくい新規な被覆層を形成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、CuまたはCu合金からなる薄膜層の被覆層形成用スパッタリングターゲット材において、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下である被覆層形成用スパッタリングターゲット材である。
また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、前記Mnが5〜25原子%、前記Moが5〜40原子%、前記Mnと前記Moの合計量が15〜50原子%であることが好ましい。
また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、前記Mnが5〜25原子%、前記Moが5〜30原子%、前記Cuが10〜40原子%、前記Feが0〜5原子%であることが好ましい。
さらに、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、前記Mnが7〜20原子%、前記Moが10〜25原子%、前記Cuが10〜25原子%、前記Feが0〜3原子%、且つ前記Mn、前記Mo、前記Cu、前記Feの合計量が27〜50原子%以下であることが好ましい。
また、本発明は、CuまたはCu合金からなる薄膜層の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法において、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Cu、Mo、およびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下の合金粉末を加圧焼結することにより得ることができる。
本発明は、前記合金粉末は、前記Mnが5〜25原子%、前記Moが5〜40原子%、前記Mnと前記Moの合計量が15〜50原子%であることが好ましい。
また、前記合金粉末は、前記Mnが5〜25原子%、前記Moが5〜30原子%、前記Cuが10〜40原子%、前記Feが0〜5原子%であることが好ましい。
また、前記合金粉末は、前記Mnが7〜20原子%、前記Moが10〜30原子%、前記Cuが10〜25原子%、前記Feが0〜3原子%、且つ前記Mn、前記Mo、前記Cu、前記Feの合計量が27〜50原子%であることが好ましい。
本発明は、Cu薄膜層との密着性、耐候性、耐酸化性を確保するとともに、ウェットエッチング時にムラが発生しにくい被覆層を形成できるスパッタリングターゲット材を安定に提供できるため、電子部品の製造や得られる電子部品の信頼性の向上に有用な技術となる。
本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の断面ミクロ組織を光学顕微鏡で観察した写真の一例である。
本発明は、Cu薄膜層を被覆する被覆層を形成するために用いられる被覆層形成用スパッタリングターゲット材において、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下であることに特徴がある。
NiはCuに比較して、基板やCu薄膜層、あるいは透明導電膜等との密着性向上、さらに耐候性向上にも優れる元素であり、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて形成した被覆層においても、CuまたはCu合金からなる薄膜層を被覆することで、密着性や耐候性の改善効果を得ることが可能となる。
本発明において、Niに添加するMn、Mo、CuおよびFeは、ともにCuまたはCu合金からなる薄膜層と被覆層でなる積層配線膜用のエッチャントに対してのエッチング性を改善する効果を有する元素である。その改善効果は、Mnが最も高く、次にFe、Cu、Moとなる。そして、この改善効果は、これらの添加元素の合計が15原子%以上で改善できるところ、添加量の合計が60原子%を越えると、Niが本来有する耐候性が大きく低下する。このため、これらの添加元素の合計は、60原子%以下とする。
本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、キュリー点を常温以下にする。上述したようにNiは磁性体である。本発明では、効率よく安定したスパッタリングを行なうには、スパッタリングターゲット材を使用する常温において、非磁性すなわちキュリー点を常温以下にする必要がある。尚、本発明で「キュリー点が常温以下」とは、常温(25℃)で飽和磁化を測定したときに0であることをいう。
NiにMnを添加すると、キュリー点はMnが固溶する領域である約15原子%までは低下する。一方、NiへのMnの添加量が約20原子%を越えると、キュリー点は高くなり、25原子%を越えると相変態により化合物相が発現し、キュリー点は純Niより高くなることに加え、スパッタリングターゲット材が脆くなり、安定した加工が行いにくくなるという課題も顕著となる。また、Mnを添加するだけでは、キュリ−点を室温以下にすることはできず、安定したスパッタを行なうにはスパッタリングターゲット材の厚みを薄くする必要があり、生産効率は低下する課題がある。このため、本発明では、キュリー点を室温以下にするために、非磁性化に効果のある他の元素と組み合わせて添加する。
また、MnはNiより酸化しやすい元素であり、NiにMnを5原子%以上添加すると、基板やCu薄膜層、あるいは透明導電膜に対して、膜の界面で酸化物を形成しやすく、密着性をより改善できる効果も有する反面、25原子%を越えると耐酸化性は低下する場合がある。このため、本発明では、Mnの添加量を5〜25原子%にする。好ましくは、Mnの添加量は、7〜20原子%である。
NiにCuを添加すると、キュリー点が低下する反面、Cu薄膜層を被覆した積層配線膜を加熱した際に、耐酸化性が低下して、CuまたはCu合金からなる薄膜層を保護する効果が低下する上、電気抵抗値が増加しやすくなるとともに基板やCu薄膜層、あるいは透明導電膜等との密着性が低下する。このため、本発明では、Cuの添加量を10〜40原子%にすることが好ましい。より好ましくは10〜25原子%である。
磁性体であるNiのキュリー点を低下させる効果は、非磁性元素であるMoが最も高く、NiにMoを約8原子%添加すると、キュリー点は常温以下となる。また、NiはMoを高温域で約30原子%固溶し、低温域で固溶量は低下する。また、Moの添加量が30原子%を越えると化合物相が発現し、約40原子%を越えると化合物相が増加してスパッタリングターゲット材が脆くなり、安定した機械加工を行ないにくくなる。
また、非磁性化の効果が高いMoの添加量を増加させると、基板やCu薄膜層、あるいは透明導電膜等との密着性を改善する効果を有する反面、耐候性は低下しやすくなるとともに、Cuのエッチャントでエッチングした際の、エッチングムラが発生しやすくなる。このため、本発明ではMoの添加量を5〜40原子%にすることが好ましい。より好ましくは5〜30原子%、さらに好ましくは10〜25原子%の範囲である。
MnやFeはエッチング性の改善効果が高い。しかし、磁性体であるFeは、Niに添加するとキュリー点が大きく上昇する。また、FeはCuとの固溶域が少ない上、Moとの化合物を発現しやすく、添加しすぎるとスパッタリングターゲット材を脆化させる。このため、本発明では、スパッタリングターゲット材が非磁性とエッチング性を満たし、脆化させない範囲でFeを添加することが好ましく、その添加量は、5原子%以下である。より好ましくは3原子%以下である。
以上のことから、Cu薄膜層の被覆層に求められる密着性、耐候性、耐酸化性とエッチング性が得られる被覆層を安定的にスパッタリング可能な、キュリー点が常温以下となる本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、Niに添加するMnを5〜25原子%とし、且つMnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素との合計量を60原子%以下にする。
また、Niへの添加元素の種類と量が多いほど、スパッタリングターゲット材中の化合物相の発現量が増加してしまい、FPD用途で要求される大型のスパッタリングターゲット材を製造する際の機械加工やボンディングで割れが生じやすくなる。このため、本発明では、Mnが5〜25原子%、Moが5〜40原子%し、MnとMoの合計量が15〜50原子%であることが好ましい。
また、Mnが5〜25原子%と、Moが5〜30原子%、Cuが10〜40原子%、Feが0〜5原子%の範囲であることが好ましい。
また、Mnが7〜20原子%と、Moが10〜25原子%、Cuが10〜25原子%、Feが0〜3原子%を含有し、且つMn、Mo、Cu、Feの合計量が27〜50原子%の範囲であることが好ましい。
次に、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法について説明する。
本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法における重要な特徴は、磁性体であるNiに添加する元素を選定し、キュリー点が常温以下となる合金粉末を加圧焼結することにある。この理由は、上述したようにNiは磁性体であり、Ni量が増加すると、スパッタリングターゲット材中に磁性を帯びやすいNi強磁性相が残存し、FPDの製造で一般的に用いられているマグネトロンスパッタリングにおいて、スパッタ速度が低下したり、スパッタリングターゲット材の寿命が短くなったりすることがあるからである。
従来は所定の組成に調整した原料を溶解して作製したインゴットを塑性加工して板状とし、機械加工を施してスパッタリングターゲット材を製造することが行われていた。これに対し、本発明は、上述したようにMnやMoの添加量が多く、塑性加工性が低下するために、FPD用の大型スパッタリングターゲット材を安定して製造するためには、特定の組成を有する合金粉末を加圧焼結する製造方法が最も好ましい。
そして、本発明では、合金粉末として、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下の合金粉末を用いる。
また、本発明では、合金粉末は、Mnが5〜25原子%、Moが5〜40原子%、MnとMoの合計量が15〜50原子%、残部がNiおよび不可避的不純物からなる合金粉末を用いることが好ましい。
また、前記合金粉末は、Mnが5〜25原子%、Moが5〜30原子%、Cuが10〜40原子%、Feが0〜5原子%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
また、前記合金粉末は、Mnが7〜20原子%、Moが10〜30原子%、Cuが10〜25原子%、Feが0〜3原子%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、且つMn、Mo、Cu、Feの合計量が27〜50原子%であることが好ましい。
キュリー点が常温以下の合金粉末は、最終組成に調整した合金を用いたアトマイズ法により容易に得ることができる。また、溶解したインゴットを粉砕して合金粉末を作製することも可能である。また、種々の合金粉末を製造し、最終組成となるように混合する方法も適用できる。
また、合金粉末の平均粒径が5μm未満であると、得られるスパッタリングターゲット材中の不純物が増加してしまう。一方、合金粉末の平均粒径が300μmを超えると高密度の焼結体を得にくくなる。したがって、合金粉末の平均粒径は、5〜300μmにすることが好ましい。
尚、本発明でいう平均粒径は、JIS Z 8901で規定される、レーザー光を用いた光散乱法による球相当径を用い、累積粒度分布のD50で表される。
本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法で用いる加圧焼結は、熱間静水圧プレス(以下、「HIP」という)やホットプレスが適用可能であり、800〜1250℃、10〜200MPa、1〜10時間の条件で行うことが好ましい。これらの条件の選択は、加圧焼結する装置に依存する。例えば、HIPは、低温高圧の条件が適用しやすく、ホットプレスは高温低圧の条件が適用しやすい。本発明の製造方法では、低温で焼結して合金の拡散を抑制でき、且つ高圧で焼結して高密度の焼結体が得られる熱間静水圧プレスを用いることが好ましい。
焼結温度が800℃未満では、焼結が進みにくく高密度の焼結体を得ることが困難である。一方、焼結温度が1250℃を超えると、液相が発現したり、焼結体の結晶成長が著しくなったりして均一微細な組織が得にくくなる。800〜1250℃の範囲で焼結することで、高密度の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を容易に得ることが可能となる。
また、焼結時の加圧力は、10MPa未満では、焼結が進みにくく高密度の焼結体を得ることができない。一方、圧力が200MPaを超えると、耐え得る装置が限られるという問題がある。
また、焼結時間は、1時間未満では焼結を十分に進行させることが難しく、高密度の焼結体を得ることが困難である。一方、10時間を超える焼結時間は、製造効率の観点から避ける方がよい。
HIPやホットプレスで加圧焼結をする際には、合金粉末を加圧容器や加圧用ダイスに充填した後に、加熱しながら減圧脱気をすることが望ましい。減圧脱気は、加熱温度100〜600℃の範囲で、大気圧(101.3kPa)より低い減圧下で行うことが望ましい。これは、得られる焼結体の酸素をより低減することができ、高純度の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を得ることが可能となるためである。
また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、主成分のNiとMn、Cu、Mo、およびFe以外の元素は、できる限り少ないことが好ましい。主成分以外の不純物が多いと、得られる積層配線膜の電気抵抗値が増加したり、元素の種類により他の積層薄膜と反応して密着性や耐候性等の特性を劣化させる場合がある。特に、ガス成分の酸素や窒素は、薄膜中に取り込まれやすく、密着性を低下させたり、薄膜に欠陥を生じさせたりする。したがって本発明に係る被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、純度は99.9質量%以上、また、酸素等の不純物は1000質量ppm以下が好ましく、300質量ppm以下がより好ましい。
原子比で10%Mn−25%Cu−10%Mo−3%Fe残部がNiおよび不可避的不純物からなる被覆層形成用スパッタリングターゲット材を作製するために、先ず、上記組成の純度が99.9%で平均粒径が65μmの合金粉末をガスアトマイズ法で作製した。
得られた合金粉末をSmCo磁石に近づけたところ磁石には付着しないことを確認した。また、得られた合金粉末を磁気特性測定用の粉末ケースに入れて、理研電子株式会社製の振動試料型磁力計VSM−5を用いて、常温(25℃)で磁気特性を測定したところ、非磁性であることを確認した。
次に、上記で得た合金粉末を、内径133mm、高さ30mm、厚さ3mmの軟鋼製の容器に充填し、450℃で10時間加熱して脱ガス処理を行なった後に、軟鋼製容器を封止し、HIP装置により、1000℃、148MPa、5時間の条件で焼結した。
この軟鋼製容器を冷却後、HIP装置から取り出し、機械加工により軟鋼製容器を外し、直径100mm、厚さ5mmの被覆層形成用スパッタリングターゲット材を得た。また、残部より試験片を切り出した。
得られた試験片の相対密度をアルキメデス法により測定した。尚、本発明でいう相対密度とは、アルキメデス法により測定されたかさ密度を、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の組成比から得られる質量比で算出した元素単体の加重平均として得た理論密度で除した値に100を乗じて得た値をいう。
その結果、相対密度は、99.9%であることを確認した。本発明の製造方法によれば、高密度の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を得られることが確認できた。
次に、得られた試験片の金属元素の定量分析を株式会社島津製作所製の誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)(型式番号:ICPV−1017)で行ない、酸素の定量を非分散型赤外線吸収法により測定したところ、Ni、Mn、Cu、Mo、Feの分析値の合計の純度は99.9%、酸素濃度は500質量ppmであり、本発明の製造方法によれば、高純度の被覆層形成用スパッタリングターゲット材が得られることが確認できた。
上記で得た試験片を、鏡面研磨した後、ナイタール試薬で腐食して、光学顕微鏡で組織観察した結果を図1に示す。図1に示すように、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、ガスアトマイズ法で得た球状の合金粉末の中に、細かな再結晶した組織を有し、その平均結晶粒径は35μmであった。また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材は、偏析や空孔等の大きな欠陥は確認されず、スパッタ成膜に好適なスパッタリングターゲット材であることが確認できた。
次に、上記で得た被覆層形成用スパッタリングターゲット材を銅製のバッキングプレートにろう付けした後、アルバック株式会社製のスパッタ装置(型式番号:CS−200)に取り付け、Ar雰囲気、圧力0.5Pa、電力500Wの条件でスパッタテストを実施した。本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタすると、異常放電もなく、安定したスパッタを行なうことができることが確認できた。
次に、日立電線株式会社(現:日立金属株式会社)製の無酸素銅の板材から切り出して作製したCuスパッタリングターゲット材と、実施例1で作製した本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて、コーニング社製の25mm×50mmのガラス基板(製品番号:EagleXG)上に、実施例1と同じスパッタ条件で、ガラス基板上に膜厚50nmの被覆層、膜厚200nmのCu薄膜層、膜厚50nmの被覆層を順に成膜した積層配線膜の試料を作製し、密着性および耐候性として、耐湿性、耐熱性を評価した。
密着性の評価は、JIS K 5400で規定された方法で行なった。先ず、上記で形成した被覆層の表面に、住友スリーエム株式会社製の透明粘着テープ(製品名:透明美色)を貼り、2mm角のマス目をカッターナイフで入れ、透明粘着テープを引き剥がして、被覆層の残存の有無で評価をした。本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて成膜した被覆層は、一マスも剥がれず、高い密着性を有することが確認できた。
耐湿性の評価は、上記で作製した試料を、温度85℃、湿度85%の雰囲気に300時間放置し、被覆層表面の変色の有無を目視で確認した。本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて成膜した被覆層は、高温高湿雰囲気にさらしても変色せず、高い耐湿性を有することが確認できた。
耐熱性の評価は、上記で作製した試料を、大気中の350℃の雰囲気で30分加熱し、被覆層表面の変色の有無を目視で確認した。本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて成膜した被覆層は、高温で加熱しても変色せず、高い耐熱性を有する被覆層であることが確認できた。
先ず、実施例1で作製した本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材および実施例2で作製したCuスパッタリングターゲット材を用意した。また、比較として、真空溶解法にて、原子比でNi−18%MoおよびNi−30%Cu−3%Tiとなる各合金のインゴットを鋳造し、機械加工により直径100mm、厚さ5mmのスパッタリングターゲット材を作製した。次に、各スパッタリングターゲット材をそれぞれ銅製のバッキングプレートにろう付けし、実施例2と同じスパッタ装置に取り付けた。そして、コーニング社製の25mm×50mmのガラス基板(製品番号:EagleXG)上に、実施例2と同じ条件で厚さ100nmの被覆層を形成したエッチング評価用の試料を得た。
また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材および上記で作製したCuスパッタリングターゲット材を用いて、実施例1と同じスパッタ条件でコーニング社製の25mm×50mmのガラス基板(製品番号:EagleXG)上に膜厚50nmの被覆層、膜厚200nmのCu薄膜層、膜厚50nmの被覆層を順に成膜した積層配線膜からなるエッチング評価用の試料も作製した。
上記で得た各試料をCuのエッチャントである関東化学株式会社製のCU−02に浸漬してエッチングを行ない、ガラス基板上の被覆層が完全に透けるまで目視で観察し、その時間を測定するとともに、エッチング時のムラについても確認した。
その結果、100nmの単層膜の試料ではCuは、約25秒で均一にエッチングされた。一方、Ni−18原子%Mo合金からなる被覆層は、エッチング完了に90秒の時間が必要であり、エッチングの早い部分と遅い部分でアイランド状にエッチングされムラが発生することを確認した。
また、Ni−30原子%Cu−3原子%Ti合金からなる被覆層は、エッチング完了までに100秒の時間が必要であり、エッチングの早い部分と遅い部分が縞状にエッチングされることが確認された。
これに対して、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材で成膜した被覆層は、は約40秒で均一にエッチングされることが確認できた。
また、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて積層配線膜を形成したエッチング評価用試料は、エッチング完了まで要した時間は約90秒であり、ムラもなく均一にエッチングすることが可能であった。
以上のことから、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材で成膜した被覆層は、Cu薄膜層と積層とした場合にも、Cuのエッチャントを用いて、狭ピッチで均一なエッチングが可能であると推定できる。
表1に示す組成のスパッタリングターゲット材を作製するために、純度3N以上のNi、Mn、Cu、Mo原料をそれぞれ用意して、所定の組成となるように秤量し真空溶解炉にて溶解鋳造法によりインゴットを作製した。作製したインゴットの磁石との付着性、機械加工性、スパッタ放電性を評価した。尚、スパッタリングターゲット材の機械加工性の評価は、クラックの発生がなく良好に切削できたものを○、機械加工中にクラックが発生したものを△、機械加工する前の段階で割れたものを×として評価した。また、スパッタ放電性の評価は、異常放電がなく良好にスパッタリングできたものを○として評価した。その結果を表1に示す。
インゴットにSmCo磁石を近づけたところ、比較例となる試料No.3は磁石に付着してしまい磁性体であることを確認した。一方、その他の合金からなる試料では、SmCo磁石には付着せず非磁性であるを確認した。
試料No.2および試料No.4は、インゴットをインゴットケースから取り出す際に割れが発生した。そして、試料No.2は、これ以上の評価を中止した。
上記の各インゴットを用いて、実施例1と同様にアトマイズ法にて合金粉を作製してHIPにより焼結体を作製した。そして、この各焼結体をワイヤーカットで切断し直径100mm、厚さ5mmのスパッタリングターゲット材の作製を試みた結果、試料No.3および試料No.10は加工時にクラックが発生した。また、試料No.4は割れが発生してスパッタリングターゲットを作製することができなかった。
次に、作製可能であった試料No.1、試料No.3、試料No.5〜No.10のスパッタリングターゲット材を銅製のバッキングプレートにろう付けした。その後、アルバック株式会社製のスパッタ装置(型式番号:CS−200)に取り付け、Ar雰囲気、圧力0.5Pa、電力500Wの条件でスパッタテストを実施した。
本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタすると、異常放電もなく、安定したスパッタを行なうことができることが確認できた。
実施例4で実施した放電テストの後に、25mm×50mmのガラス基板上に、表2に示す膜厚の被覆層を成膜して、エッチング評価用の試料を作製した。エッチング性の評価は、実施例3と同様に関東化学株式会社製のCu用エッチャント(CU−02)を用いて行なった。少ないサイドエッチングの被覆層とするには、エッチング時間のムラを抑制し、オーバーエッチング時間を少なくするとともに、エッチャントに対する濡れ性を適度に抑制することが必要である。
エッチングムラは、実施例3のように目視で確認した。より明確な差とするために、各試料をエッチャント液に浸漬して、膜の一部が透過した時間と全面が透過したジャストエッチング時間との時間差を測定した。これは、時間差が小さいほどエッチングムラは少ないことを意味する。また、膜表面にエッチャントを20μl滴下し、2分後の広がり径を測定した。これは、広がり径が小さいほどサイドエッチングを抑制可能であり、精度の高いエッチングを行なうことができることを意味する。評価した結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明のMnを適当量含有した被覆層形成用スパッタリングターゲット材で形成した被覆層は、エッチング時の膜透過開始と終了の時間差が少なく、エッチャントの広がり径も小さく、Cuとほぼ同等であり、エッチングムラとサイドエッチングが少ない、精度の高いエッチングを行なうことが可能であることが確認できた。
次に、実施例2と同様の方法で、ガラス基板上に膜厚50nmの被覆層、膜厚300nmのCu薄膜層、膜厚50nmの被覆層を順に成膜した積層配線膜の試料を作製した。そして、各試料の密着性、耐酸化性を評価した。密着性の評価は、実施例2と同様の方法で行なった。そして、被覆層が1マスも剥がれなかったものを○、1マス剥がれたものを△、2マス以上剥がれたものを×として評価した。
また、耐酸化性の評価は、各試料を大気雰囲気において200℃〜300℃の温度で30分間の加熱処理を行ない、反射率を測定した。尚、反射率はコニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型式番号:CM2500d)を用いた。評価結果を表3に示す。
表3に示すように、試料No.1と試料No.11は、密着性が低くかった。また、試料No.5は、Mnを4%含有することで密着性が改善しているが、まだ十分ではないことがわかった。
これに対し、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて被覆膜を形成した積層膜は、密着性が大きく改善されていることが確認できた。
試料No.1では高温で大きく反射率が低下し、耐酸化性が低かった。
これに対し、被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて被覆膜を形成した積層膜は、350℃という高温まで加熱しても反射率の低下が抑制されており、十分な耐酸化性が得られることが確認できた。
次に、実施例6で作製した試料を用いて耐候性の一つである耐湿性の評価を行なった。耐湿性の評価方法は、実施例2と同様の方法で行ない、反射率の測定を実施例6同様に行なった。評価結果を表4に示す。
表4に示すように、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いて被覆層を形成した積層膜は、長時間の高温高湿雰囲気に放置しても変色による反射率の低下は少なく、十分な耐湿性が得られることが確認できた。
以上のことから、本発明の被覆層形成用スパッタリングターゲット材を用いることで、Cu薄膜層の密着性、耐候性、耐酸化性を確保するとともに、安定したウェットエッチングできる被覆層を安定的に形成可能であることが確認できた。

Claims (8)

  1. CuまたはCu合金からなる薄膜層の被覆層形成用スパッタリングターゲット材において、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下であることを特徴とする被覆層形成用スパッタリングターゲット材。
  2. 前記Moが5〜40原子%、前記Mnと前記Moの合計量が15〜50原子%であることを特徴とする請求項1に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材。
  3. 前記Moが5〜30原子%、前記Cuが10〜40原子%、前記Feが0〜5原子%であることを特徴とする請求項1に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材。
  4. 前記Mnが7〜20原子%と、前記Moが10〜25原子%、前記Cuが10〜25原子%、前記Feが0〜3原子%、且つ前記Mn、前記Mo、前記Cu、前記Feの合計量が27〜50原子%であることを特徴とする請求項1に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材。
  5. CuまたはCu合金からなる薄膜層の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法において、Mnを5〜25原子%含有し、前記Mnと、Mo、CuおよびFeから選択される一種以上の元素とを合計で60原子%以下含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、キュリー点が常温以下の合金粉末を加圧焼結することを特徴とする被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法。
  6. 前記合金粉末は、前記Moが5〜40原子%、前記Mnと前記Moの合計量が15〜50原子%であることを特徴とする請求項5に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法。
  7. 前記合金粉末は、前記Moが5〜30原子%、前記Cuが10〜40原子%、前記Feが0〜5原子%であることを特徴とする請求項5に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法。
  8. 前記合金粉末は、前記Mnが7〜20原子%と、前記Moが10〜30原子%、前記Cuが10〜25原子%、前記Feが0〜3原子%、且つ前記Mn、前記Mo、前記Cu、前記Feの合計量が27〜50原子%であることを特徴とする請求項5に記載の被覆層形成用スパッタリングターゲット材の製造方法。

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