JP2015060733A - ハロゲンフリー難燃絶縁電線および難燃絶縁チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性、難燃性を高い次元でバランスさせる絶縁被覆を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線又はハロゲンフリー難燃絶縁チューブ、特に、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性、難燃性を高い次元でバランスさせるとともに、鉄道車両用のEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供する。【解決手段】導体及び該導体を被覆するハロゲンフリーの絶縁被覆を有する絶縁電線又はハロゲンフリー難燃絶縁チューブであって、絶縁被覆および難燃絶縁チューブは、ポリエステルエラストマーが100質量部の樹脂成分に対し、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物からなる層を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲンを含有せず、絶縁抵抗、難燃性、耐摩耗性、耐熱水性、耐加熱変形性等を高い次元でバランスさせた絶縁被覆(絶縁層)を有し、自動車や鉄道車両用のハーネス等として好適に用いられるハロゲンフリー難燃絶縁電線および難燃絶縁チューブに関する。
自動車や鉄道車両用のハーネス等の絶縁電線は、寒冷から高温に及ぶ温度変化や振動、風雨等の悪条件に晒されたり、又機器の発熱や出火等に晒されることもある。このため、このような悪条件下でも安定して使用できるように、絶縁被覆(絶縁層)には、機械的強度や、絶縁抵抗、耐熱水(安定)性、難燃性、耐摩耗性、耐加熱変形性等について、所定の基準を充たすことが求められており、国際規格であるISO規格、欧州規格であるEN規格等による合格基準が規定されている。
難燃性の絶縁被覆材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)が知られている。又、ハロゲン系難燃剤の添加により絶縁被覆に難燃性を付与する方法も知られている。しかし、近年は、環境問題を防ぐため、及び、特に鉄道用途に於いて火災時の発煙によって乗客の避難の妨げになることを防ぐために、PVCやハロゲン系難燃剤を使用しないいわゆるハロゲンフリーの絶縁材料が求められている。
絶縁被覆となるハロゲンフリーの絶縁材料としては、ポリオレフィン樹脂等の絶縁性樹脂に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒素系難燃剤等のハロゲンフリー系難燃剤を添加したものが知られている。しかし、前記のハロゲンフリー系難燃剤は、難燃性を満たすためにハロゲン系難燃剤と比べて多量に添加する必要があり、絶縁被覆の柔軟性の低下、初期及び耐熱老化後の引張伸びの低下等の問題を生じさせやすい。
難燃性及び機械的強度、絶縁抵抗、耐加熱変形性に優れるハロゲンフリーの樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂、多官能性モノマー、有機リン系難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物も知られている。例えば、特許文献1には、炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂又はカルボニル基を有する樹脂を5質量%以上含有する熱可塑性樹脂、多官能性モノマー及び特定種類の有機リン系難燃剤を含有し、多官能性モノマー及び有機リン系難燃剤の含有量が所定の範囲内にある難燃性樹脂組成物が開示されており、絶縁チューブ等として使用できることも記載されている。
特開2011−099084号公報
しかし、近年、省エネ化のために自動車や鉄道車両用のハーネス等の絶縁電線には軽量化が求められており、そのため絶縁被覆にも薄肉化が求められている。例えば、鉄道車両用の信号線には0.25mm以下の絶縁被覆の厚みが要求されているが、薄肉であっても従来と同等の機械的強度や、絶縁抵抗、難燃性、耐摩耗性、耐加熱変形性等が要求される。更に鉄道車両用信号線には、EN50306−2規格等の規格に合格する耐熱水性(絶縁性能が熱水中での保存により低下しない性質)が要求される。しかし、従来のハロゲンフリー難燃性樹脂組成物によっては、薄肉でありかつこれらの要求特性を高い次元でバランスさせる絶縁被覆を得ることは困難であった。
本発明は、その絶縁被覆が薄肉であっても、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性等を高い次元でバランスさせるとともに、難燃性が国際規格を満たすハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供することを課題とする。
本発明は、又、その絶縁被覆が薄肉であっても、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性等を高い次元でバランスさせるとともに、難燃性が国際規格を満たし、さらに耐熱水性に優れ鉄道車両用のEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格するハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供することを課題とする。
本発明は、さらに、肉厚が薄肉であっても、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性等を高い次元でバランスさせるとともに、国際規格を満たす難燃性を有するハロゲンフリー難燃絶縁チューブを提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、
導体及び、該導体を被覆するハロゲンフリー絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層が、100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁電線である。
本発明の第2の態様は、
導体及び該導体を被覆するハロゲンフリーの絶縁被覆を有する絶縁電線であって、前記絶縁被覆が、
100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなる外層、並びに、架橋ポリエチレンからなる内層を有し、
前記内層の厚みが0.02mm以上であり、かつ外層の厚みが0.10mm以上であるハロゲンフリー難燃絶縁電線である。
本発明の第3の態様は、
100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁チューブである。
本発明の第1の態様のハロゲンフリー難燃絶縁電線は、ハロゲンフリーの絶縁層(絶縁被覆)を有し、絶縁層(絶縁被覆)が薄肉であっても、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができ、ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性を有する絶縁電線である。
本発明の第2の態様のハロゲンフリー難燃絶縁電線は、ハロゲンフリーの絶縁被覆を有し、絶縁被覆が薄肉であってもISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性、及びEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性を有するとともに、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができる絶縁電線である。従って、自動車のエンジンルーム内の配線や鉄道車両内の配線等、高温環境下で使用される電線として好適に用いることができる。
本発明の第3の態様のハロゲンフリー難燃絶縁チューブは、肉厚が薄肉であっても絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができ、ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性を有する。
導体引抜力の測定装置を示す模式斜視図である。 内層引抜力の測定装置を示す模式斜視図である。
次に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明の範囲はこの形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の第1の態様は、
導体及び該導体を被覆するハロゲンフリーの絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層が、100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁電線である。
本発明者は、絶縁層を、100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物により形成するとともに、前記ポリエステル樹脂を架橋することにより、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができ、ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性を有する絶縁層が得られることを見出し、第1の態様の発明を完成した。
本発明の第2の態様は、
導体及び該導体を被覆するハロゲンフリーの絶縁被覆を有する絶縁電線であって、前記絶縁被覆が、
100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなる外層、並びに、架橋ポリエチレンからなる内層を有し、
前記内層の厚みが0.02mm以上であり、かつ外層の厚みが0.10mm以上であるハロゲンフリー難燃絶縁電線である。
本発明者は、鋭意検討した結果、絶縁電線の絶縁被覆を2層(又は多層)構造とし、
外層側(導体とは反対側)を、前記第1の態様の絶縁電線の絶縁層と同様に構成するとともに、
内層側(導体側)を、架橋ポリエチレンにより形成することにより、
ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性、及びEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性を有するとともに、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができるハロゲンフリー難燃絶縁電線が得られることを見出し、本発明を完成した。
ポリエステル樹脂とは、テレフタル酸や1、6ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸とジオールとの重縮合体である。前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線の製造に使用されるポリエステル樹脂には、ポリエステル樹脂の変性物、例えばポリエステル樹脂に弾性を付与する成分を共重合させたポリエステルエラストマーも含まれる。
このようなポリエステル樹脂の中でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)及びこれらの変性物が、強靭で、電気絶縁性に優れ、吸水性が比較的低く電気絶縁性の変化が小さいため好ましい。そこで、本発明のより好ましい態様として、前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線であって、ポリエステル樹脂が、PBT、PBN又はこれらの変性物であるハロゲンフリー難燃絶縁電線も提供される。
PBT、PBN及びこれらの変性物の中でも、PBTと、イソフタル酸、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテルから選ばれる1種または2種以上との共重合体が、耐衝撃性、柔軟性、低温性により優れているのでさらに好ましい。そこで本発明のさらに好ましい態様として、前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線であって、ポリエステル樹脂が、PBTと、イソフタル酸、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテルから選ばれる1種または2種以上との共重合体であるハロゲンフリー難燃絶縁電線も提供される。
前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線の製造に使用されるホスフィン酸金属塩とは、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2015060733
上記式中R、Rは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数12以下のアリール基であり、Mは、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛であり、Mがアルミニウムの場合はm=3、Mがカルシウム又は亜鉛の場合はm=2である。ホスフィン酸金属塩としては、クラリアント社製のEXOLIT OP1230、EXOLIT OP1240、EXOLIT OP930、EXOLIT OP935等の有機ホスフィン酸のアルミニウム塩、または有機ホスフィン酸のアルミニウム塩とポリリン酸メラミンのブレンド物を使用できる。
ホスフィン酸金属塩の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して5〜50質量部である。ホスフィン酸金属塩の含有量が5質量部未満の場合は、絶縁層の難燃性が不十分となり、IEC60332−1の垂直一条燃焼試験に合格するような難燃性が得られない場合がある。一方、50質量部を超える場合は、耐熱水性が低下し、EN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格できない場合がある。
前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線の製造に使用される多官能性モノマーは、ポリエステル樹脂を電離放射線照射により架橋するときの架橋助剤として作用するものである。多官能性モノマーとしてはトリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の分子内に複数の炭素−炭素二重結合を持つものが好ましく使用できる。また多官能性モノマーは常温で液体であることが好ましい。中でもトリメチロールプロパンメタクリレートはポリエステル樹脂組成物への相溶性が高く好ましい。
多官能性モノマーの含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜10質量部である。1質量部より少ない場合は架橋効率が悪く、絶縁層の耐摩耗性、耐加熱変形性などが低下する。一方10質量%を超えると架橋させた後の弾性率が大きく上昇し、絶縁電線を配線する時の作業性が大きく低下する。
このような多官能性モノマーをポリエステル樹脂100質量部に対して1〜10質量部含有させるとともに、ポリエステル樹脂を架橋することにより、絶縁層の耐摩耗性、耐加熱変形性などの特性が充分に高められる。
ポリエステル樹脂の架橋方法としては、電離放射線の照射による方法を挙げることができる。電離放射線としては、γ線、X線、紫外線等の電磁波、α線等の粒子線も挙げることができるが、制御の容易さ、線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度などの観点から電子線が好ましい。
前記の第1の態様又は第2の態様の絶縁電線の製造に使用されるポリエステル樹脂組成物は、前記ポリエステル樹脂、ホスフィン酸金属塩及び多官能性モノマーからなる必須成分を主成分として含有する。ここで「主成分とする」とは、前記必須成分をポリエステル樹脂組成物の50質量%以上、好ましくは80質量%以上含むが、本発明の趣旨を損ねない範囲で他の成分を含有してもよいことを意味する。以下の説明においても同様である。
前記主成分とともに含有させることができる他の成分としては、例えば、難燃剤として作用するリン酸エステルを挙げることができる。この場合、リン含有量が高いリン酸エステルや分子量が大きく融点の高いリン酸エステルは難燃性向上の作用が大きいため好ましい。このようなリン酸エステルとしては縮合リン酸エステルを挙げることができ、特に、ビスフェノールA−ビス−ジフェニルホスフェートは好ましく使用できる。また、酸化防止剤、老化防止剤、加工安定剤、着色剤、滑剤等の添加剤を適宜加えてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上を併用して添加してもよい。
前記ポリエステル樹脂、ホスフィン酸金属塩及び多官能性モノマーを主成分としたポリエステル樹脂組成物の架橋体からなる絶縁層(絶縁被覆)は、(常温での)絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性を高い次元でバランスさせることができ、かつ優れた難燃性を有する。しかし、耐熱水性については、EN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格するためには充分とは言えない。そこで、本発明者は耐熱水性により優れるポリエチレンとの併用を試みた結果、絶縁被覆を二層構造とし、前記のポリエステル樹脂組成物の架橋体を外層とし、その厚みを0.10mm以上とするとともに、0.02mm以上の厚みのポリエチレンの架橋体の層を内層とすることにより、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性、及び難燃性を低下させることなく、EN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格するために充分な耐熱水性を示す絶縁被覆が得られることを見出し、第2の態様の発明を完成したのである。
内層の形成に用いられるポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのいずれも用いることができ特に限定されない。優れた耐熱水性が得られる範囲で、ポリエチレンの共重合体を用いることもできる。例えば、後述のようにポリエチレンとグリシジルメタアクリレートとの共重合体を好ましく用いることができる。
内層を構成するポリエチレンは架橋されている。架橋することにより、絶縁被覆の機械的強度、耐摩耗性、外層と内層間の接着性が向上し、特に耐加熱変形性が向上する。
内層を構成するポリエチレンの架橋は、前記第1の態様の絶縁層や第2の態様の外層を構成するポリエステル樹脂組成物の架橋と同様に、電離放射線照射により行うことができる。第2の態様の絶縁被覆の形成においては、架橋前の樹脂により外層及び内層を形成した後、絶縁電線に電離放射線を照射して外層と内層の樹脂を同時に架橋することもできる。外層及び内層を形成した後、外層と内層の樹脂を同時に架橋することにより、外層と内層間の接着力が増大するため好ましい。なお、内層の架橋を促進するため、ポリエチレンに前記の多官能性モノマー等の架橋助剤を加えてもよい。又内層にも、前記酸化防止剤、老化防止剤、加工安定剤、着色剤、滑剤等の添加剤を適宜加えてもよい。
内層の厚みは、0.02mm以上である。内層の厚みが0.02mm未満の場合は、EN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する充分な耐熱水性は得られにくい。又高温での絶縁抵抗が低下する傾向がある。一方、後述するように絶縁被覆の厚みは0.25mm以下が望ましい場合が多いが、絶縁被覆の厚みが0.25mm以下の場合、内層の厚みを増大すると外層を薄くする必要がある。外層を薄くすると難燃性及び耐摩耗性が低下する傾向があるので、内層の厚みは、0.15mm以下が好ましく、より好ましくは0.10mm以下である。
ポリエチレンとして、グリシジルメタクリレート(GMA)を共重合させた変性ポリエチレン(以下、単に「変性ポリエチレン」ともいう)を用いて内層を構成することにより、GMAを共重合していないポリエチレンを用いる場合よりも、ポリエステル樹脂の架橋体からなる外層と内層との接着性(内外層接着性)を向上させることができ、その結果耐摩耗性を向上させることができる。そこで本発明のより好ましい態様として、第2の態様の絶縁電線であって、内層を構成する架橋ポリエチレンが、グリシジルメタクリレートを共重合させた変性ポリエチレンの架橋体であるハロゲンフリー難燃絶縁電線も提供する。
変性ポリエチレンとしては、変性ポリエチレンを構成するエチレンとグリシジルメタクリレートの合計質量に対するグリシジルメタクリレートの質量比が2〜15%であるものが好ましい。グリシジルメタクリレートの比率が2質量%未満では変性ポリエチレンを用いることによる効果、すなわち優れた内外層接着性が得られにくくなる。一方、15質量%を超える場合には、導体と絶縁被覆(内層)の接着力が過度に大きくなり、絶縁電線から導体を引抜きにくくなり(導体引抜力が過度に大きくなり)、その結果、絶縁電線の使用時における加工等が困難になるため好ましくない。
本発明はさらに、そのより好ましい態様として、前記第2の態様の絶縁電線であって、前記内層が、外側の第1内層と内側の第2内層の2層からなり、前記第1内層がグリシジルメタクリレート(GMA)を共重合させた変性ポリエチレンの架橋体からなり、前記第2内層がグリシジルメタクリレート(GMA)を共重合させていないポリエチレン(無変性のポリエチレン)の架橋体からなり、前記第1内層の厚みが0.01mm以上であり、第2内層の厚みが0.01mm以上であるハロゲンフリー難燃絶縁電線も提供する。ここで内層の外側とは外層側を意味し、内層の内側とは導体側を意味する。
前記のように、内層に前記の変性ポリエチレンを用いた場合、外層との接着性(内外層接着性)が向上するが、一方で導体との接着力が大きくなり過ぎ、電線から導体を引き抜く際に過度に大きな力を必要とする。内層を外側の第1内層と内側の第2内層の2層に分け、外層と接する第1内層を、内外層接着性に優れる前記変性ポリエチレンにより構成し、導体と接する第2内層を、導体との接着力が小さい無変性のポリエチレンにより構成することにより、優れた内外層接着性を有しながらも、適度な引抜力で導体を引き抜くことができる絶縁電線を得ることができる。
前記第1内層の厚みは0.01mm以上であり、かつ、第2内層の厚みも0.01mm以上である。従って、内層の厚みが0.02mmの場合は、第1内層と第2内層はいずれもその厚みが0.01mmとなる。第1内層の厚みが0.01mm未満の場合は、GMAによる変性の効果である内外層接着性が低下する傾向がある。又、第2内層の厚みが0.01mm未満の場合は、導体との接着力を充分低下させることはできず、適度な引抜力での導体を引き抜くことが困難になる場合がある。
なお、第1の態様、第2の態様のいずれでも、絶縁被覆(絶縁層)全体の厚みは、導体径などに応じて適宜選択することができるが、本発明の絶縁被覆(絶縁層)は耐摩耗性、耐熱水性などに優れるため、厚みが0.25mm以下であってもその要求特性を満たすことができる。このため、絶縁被覆(絶縁層)の厚みを0.25mm以下とすることができ、その結果、軽量化でき、鉄道車両の省エネ化に貢献できる。また、例えば狭い部分での配線が可能となり取扱いが容易になる場合がある。ただし、外層の厚みが0.10mm未満となると難燃性や耐摩耗性が低下する傾向があるので、外層の厚みは0.10mm以上が好ましく、より好ましくは0.15mm以上である。従って、内層の厚みは0.15mm以下が好ましく、より好ましくは0.10mm以下である。
絶縁電線を構成する導体としては、導電性に優れる銅、アルミ等の線を挙げることができる。導体は単線であっても良いし、複数の素線の撚り線であっても良い。導体径は1.5mm以下とすることが好ましい。
第1の態様の絶縁電線は、導体線上にポリエステル樹脂組成物を被覆し、電離放射線照射等により樹脂の架橋を行って製造することができる。第2の態様の絶縁電線は、導体線上に内層のポリエチレン(樹脂組成物)を被覆し樹脂の架橋を行った後、外層のポリエステル樹脂組成物を被覆し樹脂の架橋を行って製造することができる。又、内層のポリエチレン(樹脂組成物)を被覆した後その上に外層のポリエステル樹脂組成物を被覆し、さらにその後、電離放射線を照射して内層及び外層の樹脂を同時に架橋してもよい。又は、2層押出成形機を用いて、導体線上に内層と外層の樹脂(組成物)を同時に被覆し、その後電離放射線を照射して内層及び外層の樹脂を同時に架橋してもよい。
内層が外側の第1内層と内側の第2内層の2層からなる場合は、例えば、導体線上に第2内層を構成する樹脂(組成物)を被覆し、次に第1内層を構成する樹脂(組成物)を被覆し、その後外層を構成する樹脂組成物を被覆した後、電離放射線照射して樹脂の架橋を行って製造することができる。
第1の態様の絶縁層、第2の態様の外層、内層(内層が2層からなる場合は第1内層と第2内層)のいずれの場合も、層の形成は、溶融押出機など既知の押出成形機を用いて行うことができる。第1の態様の絶縁層、第2の態様の外層を形成するポリエステル樹脂組成物は、前記の構成材料を単軸混練押出機、二軸混練押出機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の既知の溶融混合機を用いて混合することにより製造できる。
本発明の第3の態様は、100質量部のポリエステル樹脂、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁チューブである。すなわち、前記第1の態様の絶縁電線の絶縁層と同じ構成を有する樹脂チューブである。
従って、例えば、線状の基材の上に、第1の態様の絶縁層の形成と同様にして、ポリエステル樹脂組成物の架橋体からなる層を形成した後、前記線状の基材を引抜いて作製することができる。又、この絶縁チューブの作製に用いられるポリエステル樹脂、ホスフィン酸金属塩、多官能性モノマー等の原料や、その作製のための諸条件や各工程等は、第1の態様における絶縁層の形成と同じものを採用することができる。線状の基材としては、銅、アルミ等の導体線を用いることができるが、絶縁層の形成が可能な線であればよく導体線に限定されない。
ハロゲンフリー難燃絶縁チューブとしては、前記第2の態様の絶縁電線の絶縁被覆と同じ構成を有する樹脂チューブも挙げることができる。例えば、線状の基材の上に、第2の態様の絶縁被覆の形成と同様にして多層の樹脂層を形成した後、線状の基材を引抜いて作製することができる。この絶縁チューブの作製に用いられる原料や作製条件等は、第2の態様の絶縁被覆の形成の場合と同じである。
このようにして得られるハロゲンフリー難燃絶縁チューブは、例えば、自動車、鉄道車両等のハーネスの接続部の保護用等として用いられる。このハロゲンフリー難燃絶縁チューブの厚みの好ましい範囲は、その用途に応じて変動し特に限定されないが、鉄道車両用の薄肉の信号線の接続に用いる場合は、薄肉の絶縁被覆と同様に0.25mm以下が好ましい。
[1]ポリエステル樹脂組成物の材料
先ず、下記実験例(実施例、比較例)で用いた各材料を以下に示す。
1.外層の構成材料
[ポリエステル樹脂]
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)−イソフタル酸共重合体、融点170℃(ポリプラスチックス社製:ジュラネックス600LP)
・PBT−ポリカプロラクトン共重合体、融点200℃(東洋紡社製:ペルプレンS1001)
・PBT−ポリカーボネート共重合体、融点207℃(東洋紡社製:ペルプレンC2003)
・PBT−ポリエーテル共重合体、融点156℃(東レデュポン社製:ハイトレル4056)
[ホスフィン酸金属塩]
・クラリアント社製:エクソリットOP1230
[滑剤]
・エステル系滑剤(日油社製、ユニスターM−2222SL)
[多官能性モノマー]
・トリメチロールプロパントリメタクリレート:TMPTMA
[カルボジイミド]
・日清紡社製:カルボジライトLA−1
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)
2.第1内層(内層)の構成材料
[無変性のポリエチレン]
・LLDPE(日本ポリエチレン社製:ノバテックLL UE320)
[変性ポリエチレン]
・エチレン−GMA共重合体、GMA3wt%(住友化学社製:ボンドファースト7L)
・エチレン−GMA共重合体、GMA12wt%(住友化学社製:ボンドファーストE)
・エチレン−GMA共重合体、GMA19wt%(住友化学社製:ボンドファーストCG5004)
[滑剤]
・エステル系滑剤(日油社製:ユニスターM−2222SL)
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)
3.第2内層
[無変性のポリエチレン]
・LLDPE(日本ポリエチレン社製:ノバテックLL UE320)
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)
[2]絶縁電線の作製
(実験例1〜15)
1.樹脂組成物ペレットの作製
表1〜3に示す配合処方で外層、内層用の各成分を混合した。二軸混合機(45mmφ、L/D=42)を使用し、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混合し、ストランド状に溶融押出し、溶融ストランドを冷却した後切断してペレットを作製した。
2.絶縁電線の作製
実験例3〜8、14及び15では、単軸押出機(30mmφ、L/D=24)を用いて、断面積0.96mmの導体(0.254mmφのスズめっき軟銅線TAの19本撚り)上に、表1〜3に示す肉厚になるように第2内層用樹脂を押出被覆し第2内層を形成した。冷却後、同じ単軸押出機を用いて前記第2内層上に、表1〜3に示す肉厚になるように第1内層用樹脂を押出被覆し第1内層を形成した。
実験例1、2及び9〜13では、第2内層の形成をせずに、導体上に、前記と同様にして表1〜3に示す肉厚になるように第1内層用樹脂を押出被覆し第1内層を形成した。
実験例1〜15のいずれでも、第1内層を形成して冷却後、前記と同じ単軸押出機を用いて形成された第1内層上に、表1〜3に示す肉厚になるように外層用樹脂を押出被覆して外層を形成した。冷却後、加速電圧2MeVの電子線を120kGy照射して樹脂の架橋を行い絶縁電線を作成した。
Figure 2015060733
Figure 2015060733
Figure 2015060733
3.樹脂電線の評価
(1)評価方法
(絶縁抵抗の測定)
JIS C3005により、300vの電圧を印可して、20℃および90℃における絶縁抵抗を測定した。20℃及び90℃における絶縁抵抗は、それぞれ500MΩ・km以上及び0.25MΩ・km以上であることが求められる。
(通電試験)[耐熱水性の評価]
1)ISO6722に基づくhot water resistance試験
3回以上巻回した25mの絶縁電線を、85℃の1%食塩水中に浸漬する。当該絶縁電線と食塩水中に浸漬した電極間に48Vの直流電圧を印加して7日間通電する。7日間の通電を5回行い、計35日間の通電後の絶縁抵抗が10Ω・mm以上の場合を合格とした。
2)EN50306−2に基づくDC stability試験
絶縁電線を、85℃の3%食塩水中に浸漬し、当該絶縁電線と食塩水中に浸漬した電極間に300Vの直流電圧を印加して10日間通電する。10日間の通電後、2kVの交流を1分間通電できる耐圧を有する場合を合格とした。
(難燃性の測定)
1)ISO6722に基づく45度傾斜燃焼試験
絶縁電線を45°に傾斜させ、ブンゼンバーナーによる内炎部に15秒間接炎させた後、炎が消えるまでの時間(秒)を測定した。70秒以内に炎が自然と消えた場合は合格、70秒を超えた場合は不合格とした。
2)IEC 60332−1 垂直一条燃焼試験(JIS C 3665−1)
絶縁電線を支持材(上部支持材)により垂直に保持し、ブンゼンバーナーによる内炎部を、45°の角度で所定の時間(JIS C 3665−1に示す時間。絶縁電線の外径により変動する。)接炎させた後、バーナーを取り除き、炎を消し、試料の燃焼の程度を調べる。上部支持材の下端と炭化の開始点の距離が50mm以上のときを合格とする。さらに、燃焼が上部支持材の下端から540mmより下方に広がったときは不合格とした。
(ホットセット試験)[耐加熱変形性の評価]
JIS C 3660−2−1:2003のホットセット試験に準じて測定した。
絶縁電線から導体を引抜き、絶縁被覆(絶縁層)のチューブを作製する。作製されたチューブを200±3℃のオーブン中に吊り下げるとともに、チューブの下端に20N/cmの荷重となるように重りを吊り下げ、15分間保持する。15分間保持後チューブの長さを測定し、荷重開始前のチューブ長さに対する荷重によるチューブの伸びの比(荷重負荷時伸び)を求める。その後オーブン内で荷重を取り除いた後、オーブンより取出して冷却し、荷重開始前のチューブ長さに対する冷却後のチューブの伸びの比(荷重除去時伸び)を求める。荷重負荷時伸びが100%以下及び荷重除去時伸び25%以下の場合を合格とした。
(耐摩耗性の測定)
EN50305−2002:5.2のAbrasion resistanceに基づいて行った。直径0.45mmのバネ鋼線(ピアノ線)のブレードを使用し、ブレードを絶縁電線に荷重7N(20℃)で押し付けて10〜20mm移動させる操作を1分間に50〜60サイクルで繰り返す。絶縁被覆(絶縁層)の摩耗によりブレードが導体に接するまでの摩耗回数を求める。摩耗回数150回以上が求められる。
(導体引抜力の測定)
絶縁電線を切断するとともに、図1(a)に示すようにその切断部の一端の絶縁被覆(内層及び外層)を、導体と絶縁被覆が接着している部分が20mmとなるように取り除く。導体外径より若干大き目の貫通孔が空いた鉄板に、絶縁電線(絶縁被覆が取り除かれた部分、すなわち導体)を挿入し、鉄板を固定しながら、導体を図1(b)の矢印の方向に引張り、導体が絶縁被覆から引抜かれるときに必要な力(導体引抜力)を測定する。導体引抜力は、10〜70N/20mmが好ましい。
(内層引抜力の測定)[内外層接着性の評価]
絶縁電線を切断するとともに、図2(a)に示すように、その切断部の一端の外層を、外層と内層(ポリエチレン層)が接着している部分が20mmとなるように取り除く。内層外径より若干大き目の貫通孔が空いた鉄板に、絶縁電線(の外層が取り除かれた部分)を挿入し、鉄板を固定しながら、内層を図2(b)の矢印の方向に引張り、内層が外層から引抜かれるときに必要な力(内層引抜力)を測定する。内層引抜力は10N/20mm以上が好ましく、内層引抜力が大きい程、内外層接着性は優れている。
(2)評価結果
実験例1〜15の評価結果をそれぞれ表4〜6に示す。
Figure 2015060733
Figure 2015060733
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表4〜6に示す結果より、次のことが示されている。
本発明の第2の態様の構成要件を満足する実験例1〜8のハロゲンフリー難燃絶縁電線は、ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性、及びEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性を有する。さらに、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性も高い。
中でも、内層を構成する架橋ポリエチレンとして、GMAを12質量%共重合させたポリエチレンの架橋体を用いた実験例2〜8のハロゲンフリー難燃絶縁電線は、内層引抜力が大きく、優れた内外層接着性有することが示されている。一方、実験例2〜8の中でも実験例2では導体引抜力が大きいが、内層にGMAで変性されていない第2内層が設けられている実験例3〜8では導体引抜力が低減されている。
内層を構成する架橋ポリエチレンとして、GMAで変性されていないポリエチレンの架橋体のみで形成(第2内層は設けず)した実験例12では、内層引抜力が小さく内外層接着性は不十分である。又、耐摩耗性も低くなっている。
一方、GMAを19質量%共重合させたポリエチレンの架橋体のみで内層を形成(第2内層は設けず)した実験例13では導体引抜力が大き過ぎ、これらの結果から、GMAの共重合比は、2〜15質量%の範囲が好ましいことが示唆される。
本発明の第1の態様の構成要件を満足する実験例9のハロゲンフリー難燃絶縁電線は、ISOやIEC規格で要求される燃焼試験に合格する充分な難燃性を有するとともに、絶縁抵抗、耐摩耗性、耐加熱変形性も高い。しかし、耐熱水性は不十分であり、ISO6722 hot water resistance試験やEN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性は得られていない。
又、絶縁被覆が、内層と外層の2層で構成されるが、内層の厚みが0.01mmの実験例10のハロゲンフリー難燃絶縁電線も、耐熱水性は不十分であり、EN50306−2規格で要求されるDC stability試験に合格する高い耐熱水性は得られていない。一方、外層の厚みが0.075mmの実験例11のハロゲンフリー難燃絶縁電線では、IEC60332−1の垂直一条燃焼試験が不合格であり、難燃性が充分でなく、耐摩耗性も低い。これらの結果から、内層の厚みは0.02mm以上とし、外層の厚みは0.10mm以上とするべきことが示唆される。
外層のホスフィン酸金属縁の含有量が60質量部と多い実験例15では、EN50306−2 DC stability試験で不合格であり耐熱水性が不十分である。ホスフィン酸金属縁の含有量が3質量部と少ない実験例14では、IEC60332−1の垂直一条燃焼試験が不合格であり難燃性が充分でない。これらの結果から、外層のホスフィン酸金属塩の含有量は、100質量部のポリエステル樹脂に対し5〜50質量部の範囲とするべきことが示唆される。

Claims (8)

  1. 導体及び該導体を直接又は他の層を介して被覆する絶縁層を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線であって、前記絶縁層が、100質量部のポリエステル樹脂に対して5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  2. 導体及び該導体を被覆する絶縁被覆を有する絶縁電線であって、前記絶縁被覆が、
    100質量部のポリエステル樹脂に対して5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなる外層、並びに
    架橋ポリエチレンからなる内層を有し、
    前記内層の厚みが0.02mm以上であり、かつ外層の厚みが0.10mm以上であるハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  3. 前記内層を構成する架橋ポリエチレンが、グリシジルメタクリレートを共重合させた変性ポリエチレンの架橋体である請求項2に記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  4. グリシジルメタクリレートの共重合比が2〜15質量%である請求項3に記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  5. 前記内層が、外側の第1内層と内側の第2内層の2層からなり、前記第1内層がグリシジルメタクリレートを共重合させた変性ポリエチレンの架橋体からなり、前記第2内層がグリシジルメタクリレートを共重合させていないポリエチレンの架橋体からなり、前記第1内層の厚みが0.01mm以上であり、第2内層の厚みが0.01mm以上である請求項2に記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  6. 前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート又はこれらの変性物である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  7. 前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートと、イソフタル酸、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテルから選ばれる1種または2種以上との共重合体である請求項6に記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  8. 100質量部のポリエステル樹脂に対して、5〜50質量部のホスフィン酸金属塩及び1〜10質量部の多官能性モノマーを含有するポリエステル樹脂組成物の架橋体からなるハロゲンフリー難燃絶縁チューブ。
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