以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(1).コンバインの構造
まず始めに、図1〜図3を参照しながら、農作業車の一例であるコンバインの全体構造を説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1〜図3に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の左側に、穀物タンク7が走行機体1の右側に配置される。刈取装置3や脱穀装置5等が走行機体1に設けた農作業部に相当する。
また、走行機体1の後部に縦取出しコンベヤ8aを介して旋回可能な穀物排出コンベヤ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、穀物排出コンベヤ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成している。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、操縦部としての運転キャビン10が設けられている。運転キャビン10の前面下部にキャビン回動支点軸10aを設け、キャビン回動支点軸10aを介して走行機体1に運転キャビン10の前面下部を回動可能に軸支し、機外前側方に向けて運転キャビン10を移動可能に設置し、キャビン回動支点軸10a回りに運転キャビン10を前方側に回動させるように構成している。
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー15と、副変速レバー16と、脱穀クラッチを入り切り操作する脱穀クラッチレバー17と、刈取クラッチを入り切り操作する刈取クラッチレバー18とを配置している。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン201(以下、単にエンジンという)が配置されている。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップと、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラムと、前記各レバー15,16,17,18を設けたレバーコラム等が配置されている。
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン201の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
図1及び図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム51には、圃場に植立した未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置52が設けられている。刈取フレーム51の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起こす6条分の穀稈引起装置53が配置されている。穀稈引起装置53とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置52によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置54が配置される。なお、穀稈引起装置53の下部前方には、未刈り穀稈を分草する6条分の分草体55が突設されている。圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取るように構成している。
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴56と、扱胴56の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤57及び唐箕ファン58と、扱胴56の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴59と、揺動選別盤57の後部の排塵を排出する排塵ファン60を備えている。なお、刈取装置3から穀稈搬送装置54によって搬送された穀稈は、フィードチェン6に受継がれて、脱穀装置5に搬入されて扱胴56にて脱穀される。
図1に示す如く、揺動選別盤57の下方側には、揺動選別盤57にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ61と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ62とが設けられている。揺動選別盤57は、扱胴56の下方に張設された受網67から漏下した脱穀物が、フィードパン68及びチャフシーブ69によって揺動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤57から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン58からの選別風によって除去され、一番コンベヤ61に落下する。一番コンベヤ61から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ63を介して穀物タンク7に搬入され、穀物タンク7に収集される。
また、図1に示す如く、揺動選別盤57は、揺動選別によってチャフシーブ69から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ62に落下させるように構成している。チャフシーブ69の下方に落下する二番物を風選する選別ファン71を備える。チャフシーブ69から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン71からの選別風によって除去され、二番コンベヤ62に落下する。二番コンベヤ62の終端部は、還元コンベヤ66を介して、フィードパン68の上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤67の上面側に戻して再選別するように構成している。
一方、図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン64と排藁カッタ65とが配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン64に受継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタ65にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出されるように構成している。
(2).排気フィルタの構造
次に、図4〜図12を参照しながら、連続再生式の排気ガス浄化装置である排気フィルタ202(ディーゼルパティキュレートフィルタ)の構造について説明する。図4〜図8に示す如く、排気フィルタ202は、エンジン201の排気ガスを導入する連続再生式の浄化ケーシング240を備えている。浄化ケーシング240は、入口側ケース247と、出口側ケース249を有する。入口側ケース247と出口側ケース249の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒243と、捕集した粒子状物質(以下、PMという)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ244とを、排気ガスの移動方向(図7の下側から上側)に直列に並べている。入口側ケース247と出口側ケース249内のディーゼル酸化触媒243とスートフィルタ244によって、エンジン201の排気ガス中のPMの除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
また、図4〜図8に示す如く、入口側ケース247に排気ガス入口管としての浄化入口管241を溶接固定すると共に、出口側ケース249に排気ガス出口管としての浄化出口管242の一端側をボルト締結する。浄化出口管242の他端側に排気管としてのテールパイプ83の一端側を遊嵌状に被嵌させ、浄化出口管242他端側とテールパイプ83一端側の遊嵌状隙間から外気が吸い込まれるように、浄化出口管242にテールパイプ83を接続している。エンジン201の排気ガスが浄化入口管241から浄化ケーシング240内に導入され、浄化ケーシング240内の排気ガスが、浄化出口管242からテールパイプ83に排出され、テールパイプ83内でガス温度が低下したのち、機外に放出されるように構成している。なお、入口側ケース247と出口側ケース249は、複数組の厚板状フランジ体271と複数本のボルト272にて着脱可能に締結されている。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒243の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ244内に一側端面(取入れ側端面)から供給される。エンジン201の排気ガス中に含まれたPMは、スートフィルタ244に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。エンジン201の排気ガス中のPMの除去に加え、エンジン201の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
図4〜図11に示す如く、走行機体1上にエンジンルームフレーム91を立設し、走行機体1上面側に載置したエンジン201の後面側をエンジンルームフレーム91によって囲む。エンジンルームフレーム91は、左の角パイプ状支柱体92と、右の角パイプ状支柱体93と、左右の支柱体92,93に両端側を一体的に溶接固着する角パイプ状横フレーム94を有する。また、運転キャビン10の底面後部にゴム製の圧接脚体95を設け、横フレーム94の左右の受け台96上面に、上方側から運転キャビン10底部の圧接脚体95を当接させ、横フレーム94の各受け台96に運転キャビン10の後部を上下方向に接離可能に支持している。運転キャビン10底面側とエンジンルームフレーム91とで形成されるエンジンルーム97の内部にエンジン201を設置している。
さらに、横フレーム94に左右一対の浄化ケース支持体111を一体的に溶接固着している。また、浄化ケーシング240のうち入口側ケース247の外側面に前面支持ブラケット114を一体的に溶接固着している。浄化ケーシング240の上下幅中間部(浄化入口管241の上方側)に前面支持ブラケット114が配置される。左右一対の浄化ケース支持体111の間に前面支持ブラケット114の前部を後側方から嵌着させ、左右一対の浄化ケース支持体111と前面支持ブラケット114の左右側面に左右方向から螺着操作する上ボルト116aと下ボルト116bによって、浄化ケース支持体111に前面支持ブラケット114を着脱可能に締結している。
図7及び図9に示す如く、浄化ケース支持体111の係合ノッチ111aに上ボルト116aを係脱可能に係止させると共に、浄化ケース支持体111の位置調節用長孔111bに下ボルト116bを貫通させる。すなわち、排気フィルタ202を組付ける場合、前面支持ブラケット114に上ボルト116aを仮止め締結させ、浄化ケース支持体111の取付け位置に排気フィルタ202を近接させ、浄化ケース支持体111の係合ノッチ111aに上ボルト116aを係合させ、浄化ケース支持体111に浄化ケーシング240を仮止め支持させる。その後、浄化ケース支持体111の位置調節用長孔111bに下ボルト116bを貫通させ、前面支持ブラケット114に下ボルト116bを締結すると共に、前面支持ブラケット114に上ボルト116aも締結し、各ボルト116a,116bを介して浄化ケース支持体111に前面支持ブラケット114を着脱可能に固着し、横フレーム94を介してエンジンルーム97背面側に排気フィルタ202を装着するように構成している。なお、図10に示す如く、平面視U形状の前面支持ブラケット114の上端側と下端側に天板体114aと底板体114bを溶接固定して、前面支持ブラケット114を四角箱状の高剛性構造に形成している。
すなわち、キャビン10の下方側にエンジンルーム97を形成すると共に、走行機体1の前方上方(機外側方)に向けてキャビン10を移動可能に設置し、キャビン10を支持する受け台96と、浄化ケーシング240を支持する浄化ケース支持体111とを、エンジンルームフレーム91の同一部位(横フレーム94)に配置し、浄化ケーシング240に対してキャビン10を接離可能に構成している。
さらに、図4〜図8及び図12に示す如く、浄化ケーシング240のうち入口側ケース247の左側外周面に側面支持ブラケット141を一体的に溶接固着している。入口側ケース247の外側面のうち同一円周上に、前面支持ブラケット114と側面支持ブラケット141を放射状(十字方向)に配置する。側面支持ブラケット141に組付け調節板142の一端側を位置調節可能にボルト143締結すると共に、脱穀装置5の機筐フレーム144右側面に組付け調節板142の他端側をボルト145締結する。組付け調節板142を介して位置調節可能に側面支持ブラケット141と機筐フレーム144を連結固定させる。浄化ケース支持体111の側面と脱穀装置5の右側が側面支持ブラケット141を介して着脱可能に連結されている。換言すると、エンジンルーム97側(横フレーム94)に入口側ケース247の前面を締結固定する一方、脱穀装置5側(機筐フレーム144)に入口側ケース247の左側面を締結固定している。
すなわち、図4〜図8に示す如く、エンジンルームフレーム91に入口側ケース247を介して浄化ケーシング240の中間部が縦置き姿勢に固着される。また、浄化ケーシング240下端側の排気ガス供給側のうち、浄化ケーシング240の前側面に浄化入口管241を前向き姿勢に設け、エンジン201上面側(機体前方)に向けて浄化入口管241が延設されている。クランク軸203を左右方向に向けて走行機体1に搭載したエンジン201の前面側上部に、排気マニホールド207とターボ過給機232とを配置している。浄化入口管241に折曲可能な蛇腹状排気導入管98を介して排気連結管119の一端側を連結する一方、過給機118の排気出口管99に排気連結管119の他端側を連結する。排気マニホールド207に、過給機232と排気連結管119とを介して浄化ケーシング240が連通接続されるように構成している。
また、図4に示す如く、脱穀装置5の右側方において、穀物タンク7の前面とキャビン10の後面との間に形成されるスペースに、上下方向に長い円筒形状(縦置き姿勢)の浄化ケーシング240を配置し、排気マニホールド207、ターボ過給機232、排気連結管119を介して、エンジン201の排気ガスを浄化ケーシング240に導入するように構成している。また、脱穀装置5と穀物タンク7間の上面側で後側方に向けてテールパイプ83から排気ガスを排出させるように構成している。
一方、図4〜図7、図10及び図11に示す如く、テールパイプ83の排気入口側と排気出口側にそれぞれ固着するパイプ入口側支持体151とパイプ出口側支持体152を備える。浄化ケーシング240上面部の厚板状フランジ体273の左側端部を脱穀装置5方向に突設させ、厚板状フランジ体273左側端部に排気支持台153の一端側を締結し、厚板状フランジ体273左側端部から脱穀装置5に向けて排気支持台153の他端側を突設する。排気支持台153の他端側に入口側ブラケット154下端側を締結し、排気支持台153に入口側ブラケット154を立設し、入口側ブラケット154の上端側にパイプ入口側支持体151の下端側を締結する。
また、脱穀装置5上面の右側部に出口側ブラケット155を立設し、出口側ブラケット155の上端側にパイプ出口側支持体152の下端側を締結する。脱穀装置5と浄化ケーシング240の各上面側に立設させるパイプ入口側支持体151とパイプ出口側支持体152とを介して、浄化ケーシング240上面と脱穀装置5上面に亘って、テールパイプ83を延設させる。脱穀装置5と浄化ケーシング240の各上面側にテールパイプ83が支持される。浄化出口管242外径よりもテールパイプ83内径を大径に形成し、小径側の浄化出口管242と大径側のテールパイプ83との接続部に隙間を形成する。浄化出口管242からテールパイプ83内に移動する排気ガスに、前記隙間からテールパイプ83内に負圧吸入される外気を混合して、テールパイプ83から排出される排気ガスの温度を低下させように構成している。
図9〜図11に示す如く、浄化ケーシング240の上面側を覆う傘形状の上面カバー体156を備える。テールパイプ83の排気ガス入口側(浄化出口管242との接続部)の外周面に放射状にカバー支持ブラケット157を溶接固定する。カバー支持ブラケット157に上面カバー体156を着脱可能にボルト158締結している。浄化ケーシング240の上面に塵や藁屑などが堆積するのを、上面カバー体156にて防止するように構成している。なお、浄化ケーシング240のうち出口側ケース249に、複数組の厚板状フランジ体273を介して出口側蓋体265を着脱可能に締結固定している。浄化出口管242の下端側に出口管フランジ体87を溶接固定し、出口側蓋体265を介して出口側ケース249に浄化出口管242を支持している。
一方、図6、図7に示す如く、浄化ケーシング240(排気フィルタ202)の外側面のうちこの上端側に一対の吊下げ係合孔体134を設けている。一対の吊下げ係合孔体134は、厚板状上端フランジ体86の前端縁と後端縁を放射方向に突出させて、上端フランジ体86の前端部と後端部に一体的に形成されている。したがって、前記コンバインの組立工場などにおいて、例えばチェンブロックまたはホイストなどの荷役吊下げ装置のフックを吊下げ係合孔体134に係止させ、前記チェンブロックなどに吊下げ係合孔体134(上端フランジ体86)を介して浄化ケーシング240を吊下げ、重い浄化ケーシング240を運搬移動するように構成している。浄化ケーシング240の組付けまたは取外し等の作業を簡単に実行でき、排気フィルタ202の着脱作業性を向上できる。
また、出口側ケース249の右側方向に放射状に突設する厚板状フランジ体273にセンサブラケット283をボルト締結して、浄化ケーシング240上端側の右側部にセンサブラケット283を配置させる。電気配線コネクタを一体的に設けた差圧センサ281が、浄化ケーシング240から横向きに突設させたセンサブラケット283の平坦な上面に取付けられる。なお、差圧センサ281には、上流側センサ配管288及び下流側センサ配管289の一端側がそれぞれ接続される。浄化ケーシング240内のスートフィルタ244を挟むように、浄化ケーシング240に配置された上下流側の各圧力用ボス体292に、上下流側の前記各センサ配管288,289の他端側がそれぞれ接続される。
上記の構成により、スートフィルタ244の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ244の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、差圧センサ281を介して検出される。スートフィルタ244に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ244に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ281の検出結果に基づき、スートフィルタ244の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。また、例えば再生可能範囲以上に粒子状物質の残留量がさらに増加したときには、浄化ケーシング240を着脱分解して、スートフィルタ244を掃除し、粒子状物質を人為的に除去するメンテナンス作業が行われる。
また、差圧センサ281の外側ケース部に電気配線コネクタを一体的に設けて電気配線すると共に、ディーゼル酸化触媒243内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ282を備える。DPF温度センサ282の電気配線コネクタ294を、センサブラケット283に固着する。
さらに、浄化ケーシング240の上部に、センサブラケット283を介して、差圧センサ281と、DPF温度センサ282の電気配線コネクタ294とが配置されている。差圧センサ281の電気配線コネクタと、DPF温度センサ282の電気配線コネクタ294との各接続方向を同一方向に向けた姿勢で、前記各コネクタ294を支持している。また、キャビン10背面に設置された空調用ファン115の空気排出部に対向して浄化ケーシング240の上部が配置されている。したがって、空調用ファン115の排気によって、差圧センサ281又は各コネクタ294の配線などを冷却できる。浄化ケーシング240側の排気熱によって、それらが焼損するのを防止でき、かつそれらの耐久性を向上できる。
一方、図1、図7及び図9〜図11に示す如く、排出オーガ8を支持する縦取出しコンベヤ8aに穀物タンク7の後部を支持し、縦取出しコンベヤ8a回りに穀物タンク7の前側を水平回動させ、機外側方に向けて穀物タンク7を移動可能に設けている。また、穀物タンク7に対向する浄化ケーシング240の後面側に複数のカバー支持台136を溶接固定し、各カバー支持台136に後面カバー体137を着脱可能にボルト138締結している。すなわち、エンジンルーム97(エンジンルームフレーム91)と穀物タンク7の間に浄化ケーシング240を配置し、穀物タンク7と浄化ケーシング240の間に後面カバー体137を配置している。機外側方に向けて穀物タンク7を移動させて、エンジンルーム97後方側を開放してメンテナンス作業などを行うときに、作業者が浄化ケーシング240に接触するのを、後面カバー体137にて防止するように構成している。
(3).運転キャビン内の構造
次に、図13及び図14を参照しながら、運転キャビン10内の構造を説明する。前述の通り、運転キャビン10内には、走行機体1の進行(旋回)方向を変更操作する操縦ハンドル11や、オペレータが着座する運転座席12を備えている。運転座席12の左側方に配置したサイドコラム160に、走行機体1の変速操作を行う主変速レバー15を配置している。詳細は図示しないが、副変速レバー16、脱穀クラッチレバー17及び刈取クラッチレバー18もサイドコラム160に配置している。
操縦ハンドル11におけるハンドルホイル165の内側には、文字、記号、画像といった各種情報を表示可能な表示装置161を配置している。表示装置161は、液晶モニタ162とこれを収容する外側ケース163とを備えている。表示装置161は、操縦ハンドル11を支持するフロントコラム166側に固定されていて、操縦ハンドル11には連結していない。このため、操縦ハンドル11を回動操作しても表示装置161が動くことはなく、常にオペレータから画面が見易い状態になっている。外側ケース163における液晶モニタ162の外周側に、表示切換部材の一例である表示切換スイッチ164を設けている。表示切換スイッチ164は、一回の押下で一つのONパルス信号を発するノンロックタイプのプッシュスイッチである。液晶モニタ162と表示切換スイッチ164とは、別体ECUとしての表示ECU351(詳細は後述する)に電気的に接続している。
(4).エンジンの概要
次に、図15及び図16を参照しながら、コモンレール式のエンジン201の概要について説明する。農作業車に搭載される原動機としてのエンジン201は、連続再生式の排気ガス浄化装置である排気フィルタ202(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を備えている。排気フィルタ202によって、エンジン201から排出される排気ガス中のPMが除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
エンジン201は、エンジン出力軸であるクランク軸203とピストン(図示省略)とを内蔵したシリンダブロック204を備えている。シリンダブロック204上にはシリンダヘッド205が搭載されている。シリンダヘッド205の後側面に吸気マニホールド206が配置され、シリンダヘッド205の前側面に排気マニホールド207が配置されている。シリンダヘッド205の上面側はヘッドカバー208にて覆われている。シリンダブロック204の左右両側面から、クランク軸203の左右両端側を突出させている。エンジン201の右側面側に冷却ファン209を設けている。クランク軸203の左側端側から冷却ファン用Vベルト222を介して冷却ファン209に回転動力が伝達される。
エンジン201の後面側にフライホイルハウジング210が設けられている。フライホイルハウジング210内に、フライホイル211がクランク軸203の後端側に軸支された状態で収容されている。エンジン201の回転動力は、クランク軸203からフライホイル211を介して作業機の作動部に伝達される。シリンダブロック204の下面には、潤滑油を貯留するオイルパン212を配置している。オイルパン212内の潤滑油は、シリンダブロック204の後側面に配置されたオイルフィルタ213等を介してエンジン201の各潤滑部に供給され、その後、オイルパン212に戻る。
シリンダブロック204後側面におけるオイルフィルタ213の上方(吸気マニホールド206の下方)には燃料供給ポンプ214が設けられている。また、エンジン201には、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ219を有する四気筒分のインジェクタ215を備えている(図17参照)。シリンダブロック204の後側面のうち吸気マニホールド206の下方には、エンジン201の各気筒に燃料を一燃焼サイクル中に多段噴射するコモンレール装置220を設けている。各インジェクタ215は、燃料供給ポンプ214、コモンレール装置220及び燃料フィルタ217を介して、作業機に搭載された燃料タンク218に接続している。燃料タンク218の燃料は、燃料供給ポンプ214から燃料フィルタ217を経由してコモンレール装置220に圧送される。各インジェクタ215の燃料噴射バルブ219を開閉制御することによって、コモンレール装置220内に蓄えられた高圧の燃料が、各インジェクタ215からエンジン201の各気筒に噴射される。
シリンダブロック204の左側面側には、冷却水潤滑用の冷却水ポンプ221が冷却ファン209のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸203の回転動力によって、冷却ファン用Vベルト222を介して、冷却ファン209と共に冷却水ポンプ221が駆動される。作業機に搭載されるラジエータ(図示省略)内の冷却水は、冷却水ポンプ221の駆動によって、シリンダブロック204及びシリンダヘッド205に供給され、エンジン201を冷却する。エンジン201の冷却に寄与した冷却水はラジエータに戻される。なお、冷却水ポンプ221の左側方にオルタネータ223が配置されている。
シリンダブロック204の前後側面に機関脚取付け部224をそれぞれ設ける。各機関脚取付け部224には、防振ゴムを有する機関脚体(図示省略)がそれぞれボルト締結される。エンジン201は、各機関脚体を介して作業機(具体的にはエンジン取付けシャーシ)に防振支持される。
図16に示すように、吸気マニホールド206の入口部は、EGR装置226(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ(図示省略)に連結されている。エアクリーナに吸い込まれた新気(外部空気)は、当該エアクリーナにて除塵及び浄化されたのち、EGR装置226を介して吸気マニホールド206に送られ、エンジン201の各気筒に供給される。
EGR装置226は、エンジン201の排気ガスの一部(排気マニホールド207からのEGRガス)及び新気(エアクリーナからの外部空気)を混合させて吸気マニホールド206に供給するEGR本体ケース227と、エアクリーナにEGR本体ケース227を連通させる吸気スロットル部材228と、排気マニホールド207にEGRクーラ229を介して接続する再循環排気ガス管230と、再循環排気ガス管230にEGR本体ケース227を連通させるEGRバルブ部材231とを備えている。
吸気マニホールド206には、EGR本体ケース227を介して吸気スロットル部材228が連結されている。吸気スロットル部材228はEGR本体ケース227の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース227の左右内向きの開口端部が吸気マニホールド206の入口部にボルト締結されている。EGR本体ケース227には、EGRバルブ部材231を介して、再循環排気ガス管230の出口側を連結している。再循環排気ガス管230の入口側は、EGRクーラ229を介して排気マニホールド207の下面側に連結されている。EGRバルブ部材231の開度を調節することによって、EGR本体ケース227へのEGRガスの供給量が調節される。
上記の構成において、エアクリーナから吸気スロットル部材228を介してEGR本体ケース227内に新気(外部空気)が供給される一方、排気マニホールド207からEGRバルブ部材231を介してEGR本体ケース227内にEGRガス(排気マニホールド207から排出される排気ガスの一部)を供給される。エアクリーナからの新気及び排気マニホールド207からのEGRガスがEGR本体ケース227内で混合されたのち、EGR本体ケース227内の混合ガスが吸気マニホールド206に供給される。このように、排気マニホールド207から排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド206経由でエンジン201に還流させることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度を低下させ、エンジン201からのNOx(窒素酸化物)の排出量を低減している。
図15に示すように、シリンダヘッド205の右側方で且つ排気マニホールド207の上方には、ターボ過給機232が配置されている。ターボ過給機232は、タービンホイル(図示省略)を内蔵したタービンケース233と、ブロアホイル(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース234とを備えている。タービンケース233の排気入口側は、排気マニホールド207の出口部に接続されている。タービンケース233の排気出口側は、排気フィルタ202を介してテールパイプ(図示省略)に連結されている。エンジン201の各気筒から排気マニホールド207に排出された排気ガスは、ターボ過給機232のタービンケース233及び排気フィルタ202等を経由して、テールパイプから外部に放出される。
コンプレッサケース234の吸気入口側は、吸気管を介してエアクリーナに連結されている。コンプレッサケース234の吸気出口側は、過給管を介して吸気スロットル部材228に連結されている。エアクリーナにて除塵された新気は、コンプレッサケース234から吸気スロットル部材228及びEGR本体ケース227を経由して吸気マニホールド206に送られ、エンジン201の各気筒に供給される。吸気管は、ブローバイガス戻し管を介してヘッドカバー208内のブリーザ室に連結されている。ブリーザ室にて潤滑油を分離除去されたブローバイガスは、ブローバイガス戻し管を通じて吸気管に戻され、吸気マニホールド206に還流されてエンジン201の各気筒に再供給される。
(5).コモンレール装置の概略
次に、図17及び図18を参照しながら、燃料噴射装置であるコモンレール装置220の概略を説明する。エンジン201における四気筒分の各インジェクタ215には、コモンレール装置220及び燃料供給ポンプ214を介して、燃料タンク218を接続している。前述の通り、各インジェクタ215は、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ219を備えている。コモンレール装置220は、円筒状のコモンレール216(蓄圧室)を備えている。燃料供給ポンプ214の吸入側は、燃料フィルタ217及び低圧管261を介して燃料タンク218に接続している。燃料タンク218内の燃料は、燃料フィルタ217及び低圧管261を介して燃料供給ポンプ214に吸い込まれる。燃料供給ポンプ214の吐出側には、高圧管262を介してコモンレール216を接続している。コモンレール216には、四本の燃料噴射管263を介して四気筒分のインジェクタ215を接続している。
燃料タンク218には、燃料戻り管264を介して燃料供給ポンプ214を接続している。コモンレール216の長手方向の端部には、コモンレール216内の燃料の圧力を制限する戻り管コネクタ266を介して、コモンレール戻り管267の一端側を接続している。コモンレール戻り管267の他端側は燃料戻り管264を介して燃料タンク218に接続している(燃料戻り管264に合流している)。燃料供給ポンプ214の余剰燃料とコモンレール216の余剰燃料とは、燃料戻り管264及びコモンレール戻り管267を介して燃料タンク218に回収される。
上記の構成において、燃料タンク218の燃料は燃料供給ポンプ214によってコモンレール216に圧送され、高圧の燃料としてコモンレール216に蓄えられる。各燃料噴射バルブ219をそれぞれ開閉制御(電子制御)することによって、コモンレール216内の高圧の燃料が、噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールされた上で、各インジェクタ115からエンジン201の各気筒に噴射される。このため、エンジン201から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できると共に、エンジン201の騒音振動を低減できる。
図19に示すように、コモンレール装置220は、上死点(TDC)を挟む付近でメイン噴射Aを実行するように構成されている。また、コモンレール装置220は、メイン噴射A以外に、上死点より約60°以前のクランク角度θ1の時期に、NOx及び騒音の低減を目的として少量のパイロット噴射Bを実行したり、上死点直前のクランク角度θ2の時期に、騒音低減を目的としてプレ噴射Cを実行したり、上死点後のクランク角度θ3及びθ4の時期に、PMの低減や排気ガスの浄化促進を目的としてアフタ噴射D及びポスト噴射Eを実行したりするように構成されている。
パイロット噴射Bは、メイン噴射Aに対して大きく進角した時期に噴射することによって、燃料と空気との混合を促進させるものである。プレ噴射Cは、メイン噴射Aに先立って噴射することによって、メイン噴射Aでの着火時期の遅れを短縮するものである。アフタ噴射Dは、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射することによって、拡散燃焼を活性化させ、エンジン201からの排気ガス温度を上昇させる(PMを再燃焼させる)ものである。ポスト噴射Eは、メイン噴射Aに対して大きく遅角した時期に噴射することによって、実際の燃焼過程に寄与せずに未燃焼の燃料として排気フィルタ202に供給するものである。排気フィルタ202に供給された未燃焼の燃料は、ディーゼル酸化触媒243上で反応し、その反応熱によって排気フィルタ202内の排気ガス温度が上昇することになる。ここで、図19におけるグラフの山の高低は、大まかに言って、各噴射段階A〜Eでの燃料噴射量の差異を表現している。
(6).エンジンの制御関連の構造
次に、図17〜図20を参照しながら、エンジン201の制御関連の構造について説明する。図17に示す如く、コンバインは、エンジン201の駆動を制御するエンジンECU311と、表示装置161の表示動作を制御する表示ECU351と、刈取装置3の駆動を制御する刈取ECU354と、フィードチェン6による穀稈搬送の速度制御といった走行部の駆動を制御する走行前ECU355と、走行機体1の姿勢の安定制御等といった走行部の駆動を制御する走行後ECU356と、排出オーガ8の昇降制御や揺動選別盤57のチャフシーブの開閉制御等を含む脱穀装置5の駆動を制御する脱穀前ECU357と、排出オーガ8の旋回制御等を含む脱穀装置5の駆動を制御する脱穀後ECU358とを備えている。
なお、詳細は省略するが、エンジンECU311、表示ECU351、刈取ECU354、走行前ECU355、走行後ECU356、脱穀前ECU357、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、各種演算処理や制御を実行するCPUの他、各種データを予め固定的に記憶させたROM、制御プログラムや各種データを書換可能に記憶するROM、制御プログラムや各種データを一時的に記憶するRAM、時間計測用のタイマ、及び入出力インターフェイス等を有している。また、実施形態では、互いに別体となる表示ECU351、刈取ECU354、走行前ECU355、走行後ECU356、脱穀前ECU357、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、CAN通信バス349を介して相互に通信可能に接続されている。そして、互いに別体となるエンジンECU311と脱穀前ECU357とは、CAN通信バス350を介して相互に通信可能に接続されている。
エンジンECU311は、図17及び図18に示すように、電源印加用のキースイッチ331を介してバッテリー332に接続している。キースイッチ331は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵によって切り位置、入り位置及びスタータ位置という3つの端子位置に回動操作可能なロータリスイッチである。図示は省略するが、キースイッチ331は、操縦ハンドル11を支持するフロントコラム166に設けている。キースイッチ331の入り位置(端子)をエンジンECU311の入力側に接続している。
エンジンECU311の入力側には少なくとも、コモンレール216内の燃料圧力を検出するレール圧センサ312、燃料供給ポンプ214を回転又は停止させる電磁クラッチ313、エンジン201の回転速度(クランク軸203のカムシャフト位置)を検出するエンジン回転センサ314、インジェクタ215の燃料噴射回数(一行程の燃料噴射期間中の回数)を検出及び設定する噴射設定器315、アクセル操作具(図示省略)の操作位置を検出するスロットル位置センサ316、吸気経路中の吸気温度を検出する吸気温度センサ317、排気経路中の排気ガス温度を検出する排気温度センサ318、エンジン201の冷却水温度を検出する冷却水温センサ319、コモンレール216内の燃料温度を検出する燃料温度センサ320、EGRガスの温度を検出するEGR温度センサ321、排気フィルタ202内におけるスートフィルタ244前後(上下流)の排気ガスの差圧を検出する差圧センサ281、並びに、排気フィルタ202内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ282を接続している。
エンジンECU311の出力側には少なくとも、四気筒分の各燃料噴射バルブ219の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。すなわち、コモンレール216に蓄えた高圧燃料が燃料噴射圧力、噴射時期及び噴射期間等を制御しながら、一行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ219から噴射されることによって、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えると共に、スートや二酸化炭素(CO2)等の発生も低減した完全燃焼を実行し、燃費を向上させるように構成されている。また、エンジンECU311の出力側には、エンジン201の吸気圧(吸気量)を調節する吸気スロットル部材228、及び、吸気マニホールド206へのEGRガスの供給量を調節するEGRバルブ部材231等も接続している。
図17に示すように、表示ECU351は、その入力側に、表示装置161の表示切換スイッチ164が接続される一方で、その出力側に、表示装置161の液晶モニタ162が接続される。脱穀装置5に対する動力継断用の脱穀クラッチの入り切り状態を検出する作業クラッチセンサ352が入力側に接続されている刈取ECU354の出力側には、排気フィルタ202再生動作等に関連して鳴動する警報ブザー330を接続している。主変速レバー15の操作位置を検出する主変速位置センサ353を接続している走行前ECU355の入力側には、排気フィルタ202再生動作を許可する入力部材としての再生スイッチ322(再生操作部材)をも接続している。
走行後ECU356の入力側には、走行部である左右の走行クローラ2を制動状態に維持操作する駐車ブレーキペダル(図示省略)の入り切り状態(制動状態か否か)を検出する駐車ブレーキセンサ324と、オーガ8に対する動力継断用のオーガクラッチの入り切り状態を検出するオーガクラッチセンサ325とを接続している。脱穀後ECU358の出力側には、排気フィルタ202再生動作に関連して明滅する警報ランプとしての再生ランプ328を接続している。なお、警報ブザー330の鳴動に関するデータが、刈取ECU354のROMに予め記憶されるとともに、再生ランプ328の明滅や点灯色に関するデータが、脱穀前ECU357のROMに予め記憶される。
再生スイッチ322はモーメンタリ動作タイプのものである。すなわち、再生スイッチ322は、一回の押下で一つのONパルス信号を発するノンロックタイプのプッシュスイッチである。オペレータによる再生スイッチ322の押下時間は、リセット再生制御(詳細は後述する)以降の各再生制御の実行可否を判別する基準の一つに採用している。実施形態の再生スイッチ322には再生ランプ328を内蔵している。すなわち、再生スイッチ322は再生ランプ328付きスイッチに構成している。図13に示すように、再生スイッチ322は、運転キャビン10内のうち操縦ハンドル11の左側方で且つ主変速レバー15の前方に配置している。つまり、操縦ハンドル11の左右方向と主変速レバー15の前後方向とが交差する付近に再生スイッチ322を配置している。
脱穀前ECU357は、CAN通信バス349を介して、刈取ECU354で受け付けた作業クラッチセンサ352からの入力信号、走行前ECU355で受け付けた再生スイッチ322及び主変速位置センサ353からの入力信号、走行後ECU356で受け付けた駐車ブレーキセンサ324及びオーガクラッチセンサ325からの入力信号を、それぞれ受信する。従って、脱穀前ECU357は、脱穀クラッチ及びオーガクラッチによる動力継断状態(オン/オフ)、主変速レバー15の位置、再生スイッチ322への操作、走行クローラ2のブレーキの状態等を認識できる。
また、脱穀前ECU357は、CAN通信バス349を介して、表示ECU351に対しては、液晶モニタ162による表示動作を指定する指令信号を、刈取ECU354に対しては、警報ブザー330による鳴動動作を指定する指令信号を、脱穀後ECU358に対しては、再生ランプ328による明滅動作を指定する指令信号を、それぞれ送信する。従って、脱穀前ECU357からの指令信号を受信した表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、その指令信号に基づいて、液晶モニタ162による表示動作(表示内容等)、警報ブザー330による鳴動動作(音量や鳴動周期等)、再生ランプ328による明滅動作(点灯色や点灯周期等)を制御する。
エンジンECU311のROMには、エンジン201の回転速度NとトルクT(負荷)との関係を示す出力特性マップM(図20参照)を予め記憶させている。また、詳細は省略するが、エンジンECU311のROMには、エンジン201の回転速度Nと燃料噴射量との関係から排気ガス流量を換算する排気ガス流量マップや、同じくエンジン201の回転速度Nと燃料噴射量との関係からエンジン201のPM排出量を換算するPM排出量マップも予め記憶させている。出力特性マップM等の各マップは実験等にて求められる。図20に示す出力特性マップMでは、回転速度Nを横軸に、トルクTを縦軸に採っている。出力特性マップMは、上向き凸に描かれた実線Tmxで囲まれた領域である。実線Tmxは、各回転速度Nに対する最大トルクを表した最大トルク線である。この場合、エンジン201の型式が同じであれば、エンジンECU311に記憶される出力特性マップMはいずれも同一(共通)のものになる。図20に示すように、出力特性マップMは、所定の排気ガス温度における回転速度NとトルクTとの関係を表した境界線BL1,BL2によって上下三つに分断される。
第1境界線BL1よりも上側の領域は、エンジン201の通常運転だけでスートフィルタ244に堆積したPMを酸化除去できる(ディーゼル酸化触媒243の酸化作用が働く)自己再生領域である。第1境界線BL1と第2境界線BL2との間の領域は、エンジン201の通常運転だけではPMが酸化除去されずにスートフィルタ244に堆積するものの、後述するアシスト再生制御やリセット再生制御の実行によって排気フィルタ202が再生する再生可能領域である。第2境界線BL2よりも下側の領域は、アシスト再生制御やリセット再生制御では排気フィルタ202が再生しない再生不可領域である。再生不可領域でのエンジン201の排気ガス温度は低過ぎるため、この状態からアシスト再生制御やリセット再生制御を実行しても、排気ガス温度が再生境界温度まで上昇しない。つまり、エンジン201の回転速度NとトルクTとの関係が再生不可領域にあれば、アシスト再生制御やリセット再生制御では排気フィルタ202が再生しない(スートフィルタ244の粒子状物質捕集能力が回復しない)。なお、第1境界線BL1上の排気ガス温度は、自己再生可能な再生境界温度(約300℃程度)である。
エンジンECU311は基本的に、エンジン回転センサ314で検出した回転速度とスロットル位置センサ316で検出したスロットル位置とからエンジン201のトルクを求め、トルクと出力特性とを用いて目標燃料噴射量を演算し、当該演算結果に基づきコモンレール装置220を作動させる燃料噴射制御を実行する。なお、コモンレール装置220の燃料噴射量は主に、各燃料噴射バルブ219の開弁期間を調節して、各インジェクタ215への噴射期間を変更することによって調節される。
エンジン201の制御方式(再生制御方式)としては、エンジン201の通常運転だけで排気フィルタ202が自発的に再生する通常運転制御(自己再生制御)と、排気フィルタ202の詰り状態が規定水準以上になるとエンジン201の負荷増大を利用して排気ガス温度を自動的に上昇させるアシスト再生制御と、ポスト噴射Eを用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eとエンジン201のハイアイドル回転速度とを組み合わせて排気ガス温度を上昇させる非作業再生制御(駐車再生制御、又は、緊急再生制御といってもよい)と、非作業再生制御の失敗時に実行可能なリカバリ再生制御とがある。
通常運転制御は、路上走行時や農作業(収穫作業)時の制御形式である。通常運転制御では、エンジン201における回転速度NとトルクTとの関係が出力特性マップMの自己再生領域にあり、排気フィルタ202内でのPM酸化量がPM捕集量を上回る程度に、エンジン201の排気ガスが高温になっている。
アシスト再生制御では、吸気スロットル部材228の開度調節とアフタ噴射Dとによって、排気フィルタ202を再生させる。すなわち、アシスト再生制御では、EGRバルブ部材231を閉弁すると共に、吸気スロットル部材228を所定開度まで閉弁させる(絞る)ことによって、エンジン201への吸気量を制限する。そうすると、エンジン201負荷が増大するから、設定回転速度維持のためにコモンレール装置220の燃料噴射量が増加し、エンジン201の排気ガス温度を上昇させる。これに合わせて、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射するアフタ噴射Dによって拡散燃焼を活性化させ、エンジン201の排気ガス温度を上昇させる。その結果、排気フィルタ202内のPMが燃焼除去される。なお、以降に説明する再生制御のいずれにおいても、EGRバルブ部材231は閉弁される。
リセット再生制御は、アシスト再生制御が失敗した場合(排気フィルタ202の詰り状態が改善せずPMが残留した場合)や、エンジン201の累積駆動時間TIが設定時間TI1(例えば100時間程度)以上になった場合に行われる。リセット再生制御では、アシスト再生制御の態様に加え、ポスト噴射Eをすることによって、排気フィルタ202を再生させる。すなわち、リセット再生制御では、吸気スロットル部材228の開度調節とアフタ噴射Dとに加えて、ポスト噴射Eで排気フィルタ202内に未燃燃料を直接供給し、未燃燃料をディーゼル酸化触媒243で燃焼させることによって、排気フィルタ202内の排気ガス温度を上昇させる(約560℃程度)。その結果、排気フィルタ202内のPMが強制的に燃焼除去される。
非作業再生制御は、リセット再生制御が失敗した場合(排気フィルタ202の詰り状態が改善せずPMが残留した場合)等に行われる。非作業再生制御では、リセット再生制御の態様に加えて、エンジン201の回転速度Nをハイアイドル回転速度(最高回転速度、例えば2200rpm)に維持することによって、エンジン201の排気ガス温度を上昇させた上で、排気フィルタ202内でもポスト噴射Eによって排気ガス温度を上昇させる(約600℃程度)。その結果、リセット再生制御よりも更に好条件下で、排気フィルタ202内のPMが強制的に燃焼除去される。なお、非作業再生制御での吸気スロットル部材228は絞るのではなく、完全に閉弁させる。非作業再生制御でのアフタ噴射Dは、アシスト再生制御やリセット再生制御よりもリタード(遅角)させて行われる。
非作業再生制御では、エンジン201の出力を最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)に制限している。この場合、エンジン201の回転速度Nをハイアイドル回転速度に維持するので、トルクTを抑制して駐車時最大出力となるように、コモンレール装置220の燃料噴射量を調節する。
リカバリ再生制御は、非作業再生制御が失敗した場合(排気フィルタ202の詰り状態が改善せずPMが過堆積になった場合)等に行われる。実施形態のリカバリ再生制御は、リカバリ第一再生制御とリカバリ第二再生制御との二段階に分けて実行される。リカバリ第一再生制御は、過堆積したPMの暴走燃焼のおそれがある状況下で、排気フィルタ202内のPMを徐々に燃焼除去して、排気フィルタ202を緩やかに再生させるものである。リカバリ第二再生制御は、暴走燃焼のおそれがなくなった状況下で、排気フィルタ202を速やかに再生させるものである。
リカバリ再生制御全体としては非作業再生制御の態様と基本的に同様に行われるが、リカバリ第一再生制御では、過堆積したPMの暴走燃焼を防止するために、例えばポスト噴射Eでの燃料噴射量を少なくする等して、排気フィルタ202内の排気ガス温度が非作業再生制御よりも低い温度TP3(例えば450℃以下)で且つ非作業再生制御よりも長時間(例えば3時間)をかけて、排気フィルタ202内のPMを徐々に燃焼除去する。リカバリ第一再生制御では、エンジン201の出力を駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)よりも低いリカバリ時最大出力に制限している。この場合、エンジン201のトルクTだけでなく回転速度Nも抑制してリカバリ時最大出力となるように、コモンレール装置220の燃料噴射量を調節する。
リカバリ第二再生制御では、吸気スロットル部材228の閉弁、アフタ噴射D、ポスト噴射E及びエンジン201のハイアイドル回転速度によって、排気フィルタ202内の排気ガス温度がリカバリ第一再生制御よりも高い温度TP4(例えば550℃以上)になるようにして、排気フィルタ202を速やかに再生させる。すなわち、リカバリ第二再生制御の態様は、非作業再生制御の態様と同様である。
通常運転制御はもちろんであるが、アシスト再生制御及びリセット再生制御では、例えば走行部としての走行クローラ2や農作業部としての刈取装置3及び脱穀装置5等に、エンジン201の動力を伝達して路上走行や農作業を実行することが可能である(エンジン201を通常運転で駆動できる)。非作業再生制御及びリカバリ再生制御では、専らPMの燃焼除去のためにエンジン201を駆動させ、エンジン201の動力によって走行クローラ2や刈取装置3及び脱穀装置5等を駆動させない。
(7).排気フィルタ再生制御の態様
次に、図21及び図22のフローチャートを参照しながら、エンジンECU311による排気フィルタ202再生制御の一例について説明する。前述の各再生制御は、脱穀前ECU357の指令に基づきエンジンECU311が実行する。すなわち、図21及び図22のフローチャートにて示すアルゴリズム(プログラム)は、脱穀前ECU357のROMに記憶されていて、当該アルゴリズムをRAMに呼び出してからCPUで処理してエンジンECU311に指令を発し、エンジンECU311が脱穀前ECU357の指令を処理することによって、前述の各再生制御が実行される。
通常運転制御中は、液晶モニタ162に、通常情報360として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計361、エンジン負荷を示す負荷グラフ362、穀物タンク7内の穀粒貯留量を知らせるタンクモニタ363、燃料の残量を知らせる燃料計364、副変速レバー16の設定状態を知らせる副変速モニタ365、及び、刈取装置3における駆動速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ366等を表示する(図23参照)。また、排気フィルタ202再生制御が手動モードまたは自動モードのいずれか選択可能に構成されており、本実施形態では、後述するように、エンジン201を始動するキースイッチ331への操作に基づき、排気フィルタ202再生制御が手動モードに設定される。
図21に示すように、排気フィルタ202再生制御ではまず、キースイッチ331がオンであれば(S101:YES)、エンジンECU311は、前回に演算したPM堆積量の推定値や、リセット再生制御又は非作業再生制御を実行してからの累積駆動時間TIをRAMから読み出す(S140)。そして、読み出したPM堆積量の推定値と累積駆動時間TIとから、非作業再生制御を実行するまでの時間(以下、「実行予測時間」とする)を推定し、この実行予測時間を液晶モニタ162に表示させる(S141)。実行予測時間は、排気ガス浄化装置202内の粒子状物質の堆積状況を示す指標となる。
液晶モニタ162の画面表示を、通常情報360(図23参照)から実行予測時間を示す再生制御状態情報385(図24参照)に遷移させる。図24に示す再生制御状態情報385の画面には、「再生実行までの時間」の文字データ386、実行予測時間を表す文字データ387(図24では、実行予測時間が「1時間30分」となる例を示す)、「実行する場合は、再生スイッチを長押ししてください」の文字データ388、表示切換スイッチ164の機能を示す操作指示標識370等が表示される。このとき、表示ECU351は、CAN通信バス349を介して脱穀前ECU357から受信した、受信した指令信号に基づいて、液晶モニタ162を駆動して、再生制御状態情報385の画面表示を行い、オペレータに再生制御の状態(実行予測時間)を報知する。
また、ステップS141における再生制御の状態について報知する際、実行予測時間が短い場合(例えば、1時間以内)には、再生ランプ328が第1色(例えば、黄色)で低速点滅すると共に(例えば0.5Hz)、警報ブザー330が断続的に低速鳴動する(例えば0.5Hz)。従って、再生ランプ328の点滅動作と警報ブザー330の鳴動動作による予備警報によって、非作業再生制御の実行要求がなされる駐車待機モード(非作業待機モード)までの時間が短いことを、オペレータに報知できる。
更に、実行予測時間が0であって、既に駐車待機モードに遷移している場合、後述の5つの非作業移行条件(再生スイッチ322への操作以外の条件)が非成立であるときは、警報ブザー330が断続的に高速鳴動する一方(例えば1.0Hz)、5つの非作業移行条件が成立しているときは、再生ランプ328が第2色(例えば、橙色)で低速点滅し、警報ブザー330が断続的な低速鳴動を行う。従って、再生ランプ328の点滅動作と警報ブザー330の鳴動動作による予備警報によって、既に駐車待機モード(非作業待機モード)に遷移した状態であることを、オペレータに報知できる。
そして、オペレータによる再生スイッチ322への操作(所定時間のオン操作)がなされた場合(S142:YES)、冷却水温センサ319で検出されたエンジン201の冷却水温度に基づきエンジン201が暖気運転を実行しているか否かを確認する(S144)。このとき、後述のステップS150で詳細を説明するが、エンジン201での暖気運転が完了されていないものと判定した場合(S144:No)、液晶モニタ162の画面表示を、暖気運転の実行を促す暖気運転要求情報382(図25参照)に遷移させる。一方、エンジン201の冷却水温度が所定温度よりも高く、エンジン201での暖気運転が完了されているものと判定した場合(S144:Yes)、液晶モニタ162の画面表示が、後述の第一非作業再生要求情報372(図28参照)に遷移した後、予め設定した非作業移行条件が成立するまで待機する(S304)。なお、ステップS304に移行した後の動作については、後述の駐車待機モードにおける非作業再生制御の実行時の動作と同様である。
上述のステップS144までの動作によって、キースイッチをオンとしてエンジン201を始動した際に、非作業状態での排気ガス浄化装置202の再生制御までの緊急度をオペレータに報知することができる。従って、オペレータは、エンジン201を始動させた場合に、排気ガス浄化装置202の再生制御について、その実行の可否を再生スイッチ322への操作により決定できる。これにより、始業点検または暖機運転などのときに、非作業状態での排気ガス浄化装置202の再生制御を実行できるため、農作業の途中で、非作業状態での排気ガス浄化装置202の再生制御が開始される不具合を未然に阻止でき、更には、農作業が中断される不具合をなくすことができる。
また、所定時間以内(例えば、数分間)の間に、オペレータによる再生スイッチ322への操作がなされなかった場合(S142:NO、S143:NO)、冷却水温センサ319で検出されたエンジン201の冷却水温度に基づきエンジン201が暖気運転を実行しているか否かを確認する(S150)。そして、エンジン201の冷却水温度が所定温度よりも低く、エンジン201での暖気運転が完了されていないものと判定した場合(S150:No)、液晶モニタ162の画面表示を、暖気運転の実行を促す暖気運転要求情報382(図25参照)に遷移させる。図25に示す暖気運転要求情報382の画面には、「暖気運転要求」の文字データ383、「暖気運転実行まで待機してください」の文字データ384、表示切換スイッチ164の機能を示す操作指示標識370等が表示される。このとき、脱穀前ECU357が、暖気運転を要求することを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351に送信する。従って、表示ECU351は、受信した指令信号に基づいて、液晶モニタ162を駆動して、暖気運転要求情報382の画面表示を行い、オペレータに暖気運転の実行を促す。
一方、エンジン201の冷却水温度が所定温度よりも高く、エンジン201での暖気運転が完了されているものと判定した場合(S150:Yes)、エンジン回転センサ314、冷却水温センサ319、差圧センサ281及びDPF温度センサ282の検出値と、吸気スロットル部材228並びにEGRバルブ部材231の開度と、コモンレール装置220による燃料噴射量とを読み込む(S102)。次いで、過去にリセット再生制御又は非作業再生制御を実行してからの累積駆動時間TIが設定時間TI2(例えば100時間)以上であれば(S151:Yes)、リセット待機モードであるステップS201へ移行する。
この段階では、再生ランプ328が第1色(例えば、黄色)で低速点滅すると共に(例えば0.5Hz)、警報ブザー330が断続的に低速鳴動する(例えば0.5Hz)。そして、液晶モニタ162の画面表示を、通常情報360からリセット再生制御の実行を促すリセット再生要求情報367(図26参照)に遷移させる。図26に示すリセット再生要求情報367の画面には、「排気フィルタ再生要求」の文字データ368、「再生スイッチを長押ししてください」の文字データ369、表示切換スイッチ164の機能を示す操作指示標識370等が表示される。すなわち、S101でキースイッチ331がオンとされたときに、排気フィルタ202再生制御が手動モードに設定されているため、再生スイッチ322への操作によるリセット再生制御の実行を、オペレータに促す。
このとき、脱穀前ECU357が、リセット再生制御の前のリセット待機モードであることを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358のそれぞれに送信する。従って、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、リセット待機モードであることを示す指令信号に基づいて、液晶モニタ162、警報ブザー330、及び再生ランプ328それぞれを駆動する。これにより、上述のように、再生ランプ328の第1色点滅、警報ブザー330の低速鳴動及びリセット再生要求情報367の画面表示それぞれが成されて、オペレータにリセット再生制御の実行を促す。
また、操作指示標識370は、表示切換スイッチ164のオン操作によって、液晶モニタ162の画面表示がリセット再生要求情報367から通常情報360に戻ることを意味している。ここで、再生スイッチ322をオン操作せずに、液晶モニタ162の画面にリセット再生要求情報367を表示した状態で表示切換スイッチ164をオン操作すると、液晶モニタ162の画面表示は、通常情報360とリセット再生要求情報367とに所定タイミング(例えば2秒毎)で交互に遷移する。リセット再生制御を要する場合において、オペレータは通常情報360とリセット再生要求情報367との両方を確認でき、路上走行中や農作業中にコンバインの操縦に差し支えがないように配慮している。
再生スイッチ322を所定時間(例えば3秒)オン操作した場合、排気フィルタ202内の排気ガス温度TPがTP1(例えば250℃)以上であれば(S201:YES)、リセット再生制御を実行する(S202)。この段階では、再生ランプ328を第1色で点灯させる一方、警報ブザー330を鳴動停止させる。そして、液晶モニタ162の画面表示を、リセット再生要求情報367から通常情報360(図27参照)に遷移させる。図27に示すリセット再生制御中の通常情報360の画面には、前述した速度計361等の他に、リセット再生制御を実行している旨を報知する図柄若しくはやシンボルマーク等の報知標識371を表示する。このため、通常情報360を示した画面上でも、オペレータはリセット再生制御の実行中である旨を簡単に視認でき、オペレータの注意を喚起できる。
このとき、脱穀前ECU357が、リセット再生制御実行中であることを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358のそれぞれに送信する。従って、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、受信した指令信号に基づいて、液晶モニタ162、警報ブザー330、及び再生ランプ328それぞれを駆動する。これにより、上述のように、再生ランプ328の第1色点灯、警報ブザー330の鳴動停止及び報知標識371の画面表示それぞれが成されて、オペレータにリセット再生中であることを報知する。
再生スイッチ322オフか、排気フィルタ202内の排気ガス温度TPがTP1未満の場合は(S201:NO)、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定し(S203)、PM堆積量が規定量Ma(例えば6g/l)未満の状態で所定時間TI5(例えば1時間)を経過すれば(S204:YES)、リセット待機モードから抜けて通常運転制御に戻る。ステップS204がNOの状態で所定時間TI6(例えば3時間)が経過した場合は(S205:YES)、PM過堆積の可能性が懸念されるので、非作業再生制御の前の駐車待機モードであるステップS301へ移行する。
リセット再生制御の実行中は、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定する(S206)。PM堆積量が規定量Mr(例えば10g/l)未満であり(S207:NO)、且つ、排気フィルタ202内の排気ガス温度TPがTP2(例えば600℃)以上の状態で所定時間TI7(例えば25分)を経過するか(S208:YES)、リセット再生制御開始から所定時間TI8(例えば30分)を経過すれば(S209:YES)、リセット再生制御を終了して通常運転制御に戻る。PM堆積量が規定量Mr以上であれば(S207:YES)、リセット再生制御失敗とみなし、PM過堆積の可能性が懸念されるので、非作業再生制御の前の駐車待機モードであるステップS301へ移行する。
図22に示すように、駐車待機モードでは始めに、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定する(S301)。この段階では、再生ランプ328は消灯したままであるが、警報ブザー330が断続的に高速鳴動する(例えば1.0Hz)。そして、液晶モニタ162の画面表示が、非作業再生制御の実行を予告する第一非作業再生要求情報372(図28参照)に遷移する。図28に示す第一非作業再生要求情報372の画面には、「排気フィルタ再生要求」の文字データ373、「安全な場所に駐車してください」の文字データ374、「作業クラッチ「切」」の文字データ375、「駐車ブレーキ「入」」の文字データ376等が表示される。
このとき、脱穀前ECU357が、駐車待機モードであることを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358のそれぞれに送信する。従って、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、駐車待機モードであることを示す指令信号に基づいて、液晶モニタ162、警報ブザー330、及び再生ランプ328それぞれを駆動する。これにより、上述のように、再生ランプ328の点灯停止、警報ブザー330の高速鳴動及び第一非作業再生要求情報372の画面表示それぞれが成されて、オペレータに非作業再生制御の実行を予告する。
PM堆積量が規定量Mb(例えば12g/l)未満で(S302:NO)且つ所定時間TI9(例えば10時間)内であれば(S303:NO)、予め設定した非作業移行条件が成立するまで待機する(S304)。PM堆積量が規定量Mb以上か(S302:YES)、駐車待機モードのままで所定時間TI9(例えば10時間)を経過した場合は(S303:YES)、PM過堆積の可能性が懸念されるので、リカバリ再生制御の前のリカバリ待機モード(図示せず)へ移行し、駐車待機モードでの制御動作を終了する。
ステップS304に示す非作業移行条件は、駐車ブレーキセンサ324がロック状態(オン)、主変速レバー15が中立位置、脱穀クラッチが切り(動力遮断状態)、再生スイッチ322を所定時間(例えば3秒)オン、エンジン201がローアイドル回転速度(無負荷時の最低限度の回転速度)、並びに、冷却水温センサ319の検出値が所定値(例えば65℃)以上という六つの条件からなっている。この場合、駐車ブレーキセンサ324は、駐車ブレーキペダルを踏み込んで走行クローラ2にブレーキをかけた場合にロック状態(オン)になり、駐車ブレーキペダルを踏み込み解除して走行クローラ2のブレーキを解除した場合に解除状態(オフ)になる。
ステップS304において、駐車ブレーキセンサ324がロック状態(オン)、主変速レバー15が中立位置、脱穀クラッチが切り、エンジン201がローアイドル回転速度、及び、冷却水温センサ319の検出値が所定値以上という五つの条件が成立すると、再生ランプ328が第2色(例えば、橙色)で低速点滅し、警報ブザー330が断続的な低速鳴動に切り換わると共に、液晶モニタ162の画面表示が、非作業再生制御の実行を促す第二非作業再生要求情報377(図29参照)に遷移する。図29に示す第二非作業再生要求情報377の画面には、前述した「排気フィルタ再生要求」の文字データ373の他、「再生スイッチを長押ししてください」の文字データ378等が表示される。
このとき、脱穀前ECU357が、駐車待機モードでの再生スイッチ322の押下要求状態であることを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358のそれぞれに送信する。従って、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、受信した指令信号に基づいて、液晶モニタ162、警報ブザー330、及び再生ランプ328それぞれを駆動する。これにより、上述のように、再生ランプ328の第2色点滅、警報ブザー330の低速鳴動及び第二非作業再生要求情報377の画面表示それぞれが成されて、オペレータに非作業再生制御の実行を促す。なお、ステップ304における非作業移行条件として、オーガクラッチが切り(動力遮断状態)であることも条件として追加されるものとしても構わない。
そして、再生スイッチ322を所定時間オンになれば(S304:YES)、六つの非作業移行条件が成立し、非作業再生制御を実行する(S305)。この段階では、再生ランプ328を第2色で点灯させる一方、警報ブザー330を鳴動停止させる。そして、液晶モニタ162の画面表示が駐車又はリカバリ再生制御中を示す再生情報379(図30参照)に遷移する。図30に示す再生情報379の画面には、「排気フィルタ再生中」の文字データ380、及び「再生終了まで待機してください」の文字データ381等が表示される。
このとき、脱穀前ECU357が、非作業再生制御実行中であることを示す指令信号を、CAN通信バス349を介して、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358のそれぞれに送信する。従って、表示ECU351、刈取ECU354、及び脱穀後ECU358はそれぞれ、受信した指令信号に基づいて、液晶モニタ162、警報ブザー330、及び再生ランプ328それぞれを駆動する。これにより、上述のように、再生ランプ328の第2色点灯、警報ブザー330の鳴動停止及び再生情報379の画面表示それぞれが成されて、オペレータに非作業再生中であることを報知する。
非作業再生制御の実行中は、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定する(S306)。PM堆積量が規定量Ms(例えば8g/l)未満であり(S307:YES)、且つ、排気フィルタ202内の排気ガス温度TPがTP2(例えば600℃)以上で所定時間TI10(例えば25分)を経過するか(S308:YES)、非作業再生制御開始から所定時間TI11(例えば30分)を経過すれば(S309:YES)、非作業再生制御を終了して通常運転制御に戻る。
非作業再生制御の実行中に、C法でのPM堆積量が規定量Ms以上の場合に(S307:YES)、駐車ブレーキペダルを踏み込み解除して駐車ブレーキセンサ324が解除状態(オフ)になる等によりインターロックが解除されると(S311:YES)、非作業再生制御が中断し、再生ランプ328が第2色で低速点滅する。このとき、脱穀前ECU357が脱穀後ECU358に指令信号を与えることで、再生ランプ328の第2色による低速点滅が実行される。なお、非作業再生制御を中断した場合は、再生スイッチ322をオンすれば非作業再生制御が再開される。
また、S311において、駐車ブレーキセンサ324の状態により、非作業再生制御の中断の可否が判定されるものとしたが、再生スイッチ322を押下して再生スイッチ322をオフした場合に、非作業再生制御を中断するものとしても構わない。これにより、エンジン201を停止させて、排気フィルタ202の非作業再生制御を中断させる操作などの面倒な操作を行うことなく、排気フィルタ202の非作業再生制御を中断させることができる。例えば、脱穀装置5などを連続運転しながら、排気フィルタ202の非作業再生制御を中断させることができる。
(8).まとめ
上記の記載並びに図21及び図22から明らかなように、左右の走行部2で支持した走行機体1と、前記走行機体1に搭載したコモンレール式エンジン201と、前記走行機体1に設けた農作業部3,5と、前記エンジン201の排気経路に配置した排気ガス浄化装置202と、前記エンジン201の駆動を制御するエンジンECU311と、前記エンジンECU311とは別体の別体ECU(装置用ECU)351,354〜358とを備え、前記両ECU311,351,354〜358間を電気的に相互に接続し、前記排気ガス浄化装置201内に堆積した粒子状物質を燃焼除去する再生制御を実行可能な農作業車において、前記エンジン201を始動するキースイッチ331操作に基づき、前記エンジン201温度が所定以下のときに、暖機運転の要求を表示すると共に、前記エンジン201温度が所定以上に上昇したときに、前記エンジンECU311が前記排気ガス浄化装置202の再生制御を開始するから、前記エンジン温度が所定以上のときに、前記エンジンECU311の再生制御動作が実行される。したがって、前記排気ガス浄化装置202内に堆積した粒子状物質を燃焼除去できる程度の高温の排ガスが前記排気ガス浄化装置202に供給されることで、前記排気ガス浄化装置202の再生制御を適正に実行できる。
また、本願発明によると、前記排気ガス浄化装置202の再生制御が手動モードまたは自動モードのいずれか一方または両方にて実行される農作業車であって、前記エンジン201を始動するキースイッチ331操作に基づき、前記再生制御が手動モードに設定されるものとすることで、前記排気ガス浄化装置202の再生制御が自動モードの状態で前記エンジンを停止しても、前記エンジンの再始動にて、前記排気ガス浄化装置202の再生制御が手動モードにて開始され、オペレータの想定外の再生制御動作を未然に阻止できる。
また、前記再生制御を実行させる入力部材(再生操作部材)322を更に備え、前記別体ECU351,354〜358のいずれかに前記入力部材322を接続し、前記入力部材322のオン操作に基づく前記別体ECU351,354〜358のいずれかの指令によって、前記エンジンECU311が前記再生制御を実行するから、前記エンジンECU311にかかる負荷を軽減しながら、支障なく前記再生制御を実行できる。また、前記入力部材322のオン操作すなわちオペレータの意思がなければ、前記再生制御を実行しないから、トルク変動の衝撃やエンジン音の変化をオペレータが予め想定でき、前記再生制御に起因するオペレータの違和感をなくせる。
また、前記入力部材322には注意喚起用の警報ランプ328を内蔵し、前記警報ランプ328を前記別体ECU351,354〜358のいずれかに接続し、前記再生制御を要する場合は、前記別体ECU351,354〜358のいずれかが前記警報ランプ328を点滅させ、前記再生制御の実行中は、前記別体ECU351,354〜358のいずれかが前記警報ランプ328を点灯させるから、前記エンジンECU311にかかる負荷を軽減した上で、前記警報ランプ328の異なる態様によって、前記再生制御を要する場合と、前記再生制御の実行中とを区別して認識でき、オペレータが前記再生制御の実行状態を把握し易い。
更に、前記排気ガス浄化装置202の再生状態を出力する再生表示ランプ328を更に備える構造であって、前記排気ガス浄化装置202の再生制御を実行する複数種類の再生制御に対応させて、前記再生表示ランプ328の点灯色を変更するから、前記排気ガス浄化装置202の再生制御の種類を、前記再生表示ランプ328の点灯色にて判別できる。従って、前記再生表示ランプ328を複数設けることなく、前記排気ガス浄化装置202の再生制御の複数のモードを表示できる。すなわち、1つの前記再生表示ランプ328を目視するだけで、前記排気ガス浄化装置202の再生制御状態を、オペレータが簡単に確認できる。
上記の記載並びに図21及び図22から明らかなように、前記複数の再生制御として、前記エンジン201の負荷増大を用いたアシスト再生制御S106と、ポスト噴射Eを用いたリセット再生制御S202とを少なくとも有し、前記リセット再生制御S202を要する場合は、前記入力部材322のオン操作に基づき、前記エンジンECU311が前記リセット再生制御S202を実行し、前記アシスト再生制御S106を要する場合は、自動的に、前記エンジンECU311が前記アシスト再生制御S106を実行するから、前記エンジンECU311にかかる負荷を軽減しながら、支障なく前記各再生制御S106,S202を実行できる。
また、前記入力部材322のオン操作すなわちオペレータの意思がなければ、前記リセット再生制御S202を実行しないから、トルク変動の衝撃やエンジン音の変化をオペレータが予め想定でき、前記リセット再生制御S202に起因するオペレータの違和感をなくせる。更に、前記アシスト再生制御S106は、前記ポスト噴射Eの有無から理解される通り、前記リセット再生制御S202と比べて前記粒子状物質の堆積量が軽微な場合に実行するから、前記アシスト再生制御S106の実行をオペレータに積極的に通知する必要性に乏しい。そこで、実施形態の構成を採用すれば、前記アシスト再生制御S106の実行をオペレータに通知しないから、農作業中のオペレータの気をそぐおそれが少なく、オペレータに煩わしい操作を強いることもない。
上記の記載並びに図21及び図22から明らかなように、左右の走行部2で支持した走行機体1と、前記走行機体1に搭載したコモンレール式エンジン201と、前記走行機体1に設けた農作業部3,5と、前記エンジン201の排気経路に配置した排気ガス浄化装置202とを備え、前記排気ガス浄化装置202内に堆積した粒子状物質を燃焼除去する複数の再生制御を実行可能な農作業車において、前記複数の再生制御の一つとして、ポスト噴射Eを用いたリセット再生制御S202を有し、前記リセット再生S202の実行中は、前記エンジン201の動力を前記走行部2及び前記農作業部3,5に伝達可能に構成しているから、排気ガス温度は高くなるものの、前記リセット再生制御S202の実行のために路上走行や農作業(収穫作業)を中断する必要がない。従って、前記リセット再生制御S202に起因した農作業車での作業性の低下を回避できる。
また、前記リセット再生制御S202を実行させる入力部材322を備え、前記リセット再生制御S202を要する場合は、前記入力部材322を所定時間連続してオン操作することによって前記リセット再生制御S202を実行するから、オペレータの確実な意思のもとで前記リセット再生制御S202を実行できる。前記入力部材322に不用意に当たったくらいでは前記リセット再生制御S202を行わないことになり、安全性が高い。
更に、前記走行機体1の操縦部10に配置した表示装置161と、前記表示装置161の画面表示を切換操作する表示切換部材164とを備え、前記リセット再生制御S202を要する場合は、その実行を促す再生要求情報367を前記表示装置161に表示し、前記再生要求情報367を表示した状態で前記表示切換部材164をオン操作すると、前記表示装置161の画面表示を、通常運転制御時に表示される通常情報360と前記再生要求情報367とに、所定タイミングで交互に遷移させるから、前記リセット再生制御S202を要する場合において、路上走行中や農作業中にコンバインの操縦に差し支えがないように、オペレータは前記通常情報360と前記リセット再生要求情報367との両方を簡単に確認できる。
上記の記載並びに図21及び図22から明らかなように、左右の走行部2で支持した走行機体1と、前記走行機体1に搭載したコモンレール式エンジン201と、前記走行機体1に設けた農作業部3,5と、前記エンジン201の排気経路に配置した排気ガス浄化装置202とを備え、前記排気ガス浄化装置202内に堆積した粒子状物質を燃焼除去する複数の再生制御を実行可能な農作業車において、前記複数の再生制御の一つとして、ポスト噴射E及びハイアイドル回転速度を組み合わせた非作業再生制御S305を有し、前記非作業再生制御S305の実行中は、前記エンジン201の動力を前記走行部2及び前記農作業部3,5に伝達不能に構成しているから、専ら前記粒子状物質の燃焼除去のために前記エンジン201を駆動でき、前記非作業再生制御S305を効率よく実行できる。前記非作業再生制御S305の高効率化を図れるから、前記非作業再生制御S305の実行頻度を低くして、路上走行や農作業(収穫作業)の中断を極力回避できる。
また、前記複数の再生制御として、前記ポスト噴射Eを用いたリセット再生制御S202を更に有し、前記リセット再生制御S202の失敗時に前記非作業再生制御S305に移行するように設定しているから、この点でも、前記非作業再生制御S305の実行頻度の低下に貢献する。
上記の記載並びに図21及び図22から明らかなように、左右の走行部2で支持した走行機体1と、前記走行機体1に搭載したコモンレール式エンジン201と、前記走行機体1に設けた農作業部3,5と、前記エンジン201の排気経路に配置した排気ガス浄化装置202と、前記エンジン201の駆動を制御するエンジンECU311と、前記走行部2の駆動を制御する走行ECUと、前記農作業部の駆動を制御する作業ECU354〜358とを備え、前記各ECU311,354〜358間を電気的に相互に接続し、前記排気ガス浄化装置202内に堆積した粒子状物質を燃焼除去する再生制御を実行可能な農作業車において、再生警報ブザー330または再生表示ランプ328などの報知手段を設け、前記排気ガス浄化装置202の再生制御が実行される前に、前記排気ガス浄化装置202内の粒子状物質の堆積状況を予備警報するから、農作業の途中で、非作業状態での前記排気ガス浄化装置202の再生制御が開始される不具合を未然に阻止できる。従って、農作業が中断される不具合をなくすことができる。
(9).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。