以下に、本発明を具体化した実施形態について、作業車両であるトラクタを例に挙げて、図面に基づいて説明する。
まず始めに、図1及び図2を参照しながら、トラクタの概要について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。なお、図2では便宜上キャビンの図示を省略している。
走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成されている。機体フレーム16の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17が搭載されている。後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された
後車軸ケース18を介して、ミッションケース17に取り付けられている。左右の後車輪4の上方は、機体フレーム16に固定されたフェンダ19にて覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、作業部としてのロータリ耕耘機15を昇降動させるための油圧式昇降機構20が着脱可能に取り付けられている。ロータリ耕耘機15は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結されている。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機15にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後ろ向きに突設されている。
図3に示すように、エンジン5の後側面に後ろ向き突設されたエンジン出力軸24には、フライホイル25が直結するように取り付けられる。このフライホイル25とメインクラッチ140を介して連結されて後ろ向きに延びる主動軸26が、ミッションケース17に前向きに突設された主変速入力軸27と、両端に自在軸継手を備えた伸縮式の動力伝達軸28を介して連結されている。一方、図1に示すように、前車軸ケース13から後ろ向きに突出した前車輪伝達軸(図示せず)と、ミッションケース17の前側面から前向きに突出した前車輪出力軸(図示せず)とは、前車輪駆動軸85を介して連結されている。
また、ミッションケース17内には、油圧無段変速機29、前後進切換機構30、走行副変速ギヤ機構31、及び差動ギヤ機構58が配置されている。エンジン5の回転動力は、動力伝達軸28を介して、ミッションケース17の主変速入力軸27に伝達され、次いで、油圧式無段変速機29と走行副変速ギヤ機構31とにて適宜変速される。この変速動力が差動ギヤ機構58を介して左右の後車輪4に伝達される。また、前述の変速動力は、前車輪駆動軸85を介して前車軸ケース13に伝達されることで、左右の前車輪3にも伝達される。
油圧式無段変速機29は、主変速入力軸27に主変速出力軸36を同心状に配置したインライン方式のものであり、可変容量形の油圧ポンプ部150と、該油圧ポンプ部150から吐出される高圧の作動油にて作動する定容量形の変速用油圧モータ部151とを備えている。油圧ポンプ部150には、主変速入力軸27の軸線に対して傾斜角を変更可能してその作動油供給量を調節するポンプ斜板159が設けられている。ポンプ斜板159には、主変速入力軸27の軸線に対するポンプ斜板159の傾斜角を変更調節する主変速油圧シリンダを関連させている。この主変速油圧シリンダ(図示せず)の駆動にてポンプ斜板159の傾斜角を変更することによって、油圧ポンプ部150から油圧モータ部151に供給される作動油量が変更調節され、油圧式無段変速機29の主変速動作が行われる。
すなわち、主変速レバー290(詳細は後述する)の操作量に比例して作動する比例制御弁123(図13参照)からの作動油にて切換弁(図示せず)が作動すると、不図示の主変速油圧シリンダが駆動し、これに伴い主変速入力軸27の軸線に対するポンプ斜板159の傾斜角が変更される。実施形態のポンプ斜板159は、傾斜略零(零を含むその前後)の中立角度を挟んで一方(正)の最大傾斜角度と他方(負)の最大傾斜角度との間の範囲で角度調節可能であり、且つ、走行機体2の車速が最低のときにいずれか一方に傾斜した角度(この場合は負で且つ最大付近の傾斜角度)になるように設定されている。
ポンプ斜板159の傾斜角が略零(中立角度)のときは、油圧ポンプ部150にて油圧モータ部151が駆動されず、主変速入力軸27と略同一回転速度にて主変速出力軸237が回転する。主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板159を一方向(正の傾斜角)側に傾斜させたときは、油圧ポンプ部150が油圧モータ部151を増速作動させ、主変速入力軸27より速い回転速度で主変速出力軸36が回転する。その結果、主変速入力軸27の回転速度に油圧モータ部151の回転速度が加算されて、主変速出力軸36に伝
達される。このため、主変速入力軸27の回転速度より高い回転速度の範囲で、ポンプ斜板159の傾斜角(正の傾斜角)に比例して、主変速出力軸36からの変速動力(車速)が変更される。ポンプ斜板159が正で且つ最大付近の傾斜角度のときに、走行機体2は最高車速になる。
主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板159を他方向(負の傾斜角)側に傾斜させたときは、油圧ポンプ部150が油圧モータ部151を減速(逆転)作動させ、主変速入力軸27より低い回転速度で主変速出力軸36が回転する。その結果、主変速入力軸27の回転速度から油圧モータ部151の回転速度が減算されて、主変速出力軸36に伝達される。このため、主変速入力軸27の回転速度より低い回転速度の範囲で、ポンプ斜板159の傾斜角(負の傾斜角)に比例して、主変速出力軸36からの変速動力が変更される。ポンプ斜板159が負で且つ最大付近の傾斜角度のときに、走行機体2は最低車速になる。
前後進切換機構30は、油圧式無段変速機29の主変速出力軸36からの回転動力を受ける。前後進切換機構30は、走行機体2の前後進切換のための前進ギヤ(図示せず)及び後進ギヤ(図示せず)を備え、前進用及び後進用油圧クラッチ(図示せず)により前進ギヤ及び後進ギヤを択一的に選択して回転させることで、副変速機構31に動力伝達させる。このとき、前後進切換レバー(リバーサレバー)252を中立位置とした状態では、不図示の前進用及び後進用油圧クラッチはいずれも動力遮断状態になる。主変速出力軸36から前後車輪3,4に向かう回転動力が略零(メインクラッチ140切りと同じ状態)になるように構成されている。
また、前後進切換レバー252(図1及び図2参照)の前進側倒し操作により、前進用クラッチ電磁弁46(図13参照)が駆動して前進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる。これにより、主変速出力軸36による回転動力が、前後進切換機構30における不図示の前進ギヤを介して、副変速機構31に動力伝達される。一方、前後進切換レバー252の後進側倒し操作により、後進用クラッチ電磁弁48(図13参照)が駆動して後進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる。これにより、主変速出力軸36による回転動力が、前後進切換機構30における不図示の後進ギヤを介して、副変速機構31に動力伝達される。
副変速機構31は、前後進切換機構30からの回転動力を受けるとともに、前後進切換機構30を経由した回転動力を変速して出力する。副変速機構31は、副変速用の低速ギヤ(図示せず)及び高速ギヤ(図示せず)を備え、低速クラッチ(図示せず)及び高速クラッチ(図示せず)により低速ギヤ及び高速ギヤを択一的に選択して回転させることで、前後進切換機構30からの回転動力を変速して、後段の各機構に動力伝達する。
副変速レバー258(図1及び図2参照)の低速側倒し操作により、高速クラッチ電磁弁136(図13参照)の切換動作に応じて、副変速油圧シリンダ(図示せず)のピストンロッドの位置を低速側に変位させる。従って、不図示の副変速油圧シリンダのピストンロッド先端と連結している副変速シフタ(図示せず)が、不図示の低速クラッチを動力接続状態にすることとなり、前後進切換機構30からの回転動力を低速に変速して、差動ギヤ機構58に伝達する。
一方、副変速レバー258の高速側倒し操作により、高速クラッチ電磁弁136(図13参照)の切換動作に応じて、不図示の副変速油圧シリンダのピストンロッドの位置を高速側に変位させる。従って、不図示の副変速シフタ(図示せず)が、不図示の高速クラッチを動力接続状態にすることとなり、前後進切換機構30からの回転動力を高速に変速して、差動ギヤ機構58に伝達する。
差動ギヤ機構58は、副変速機構31からの回転動力を受けるとともに、副変速機構31で変速された変速動力を左右の後車輪4に伝達する。このとき、差動ギヤ機構58は、差動ギヤ(図示せず)により、副変速機構31で変速された変速動力を、左右方向に延びる差動出力軸62それぞれに振り分けて伝達させる(差動動作)。そして、差動出力軸62は、ファイナルギヤ63等を介して後車軸64に連結されており、後車軸64の先端部に後車輪4が取り付けられている。また、差動出力軸62にはブレーキ作動機構65a,65bが関連付けて設けられており、ステアリングコラム245の右側にあるブレーキペダル251(図2参照)の踏み込み操作にて、ブレーキ作動機構65a,65bが制動動作するように構成されている。
更に、操縦ハンドル9(図1及び図2参照)の操舵角が所定角度以上になると、旋回内側の後車輪4に対応したオートブレーキ電磁弁67a(67b)の駆動にてブレーキシリンダ(図示せず)が作動して、旋回内側の後車輪4に対するブレーキ作動機構65a(65b)が自動的に制動動作するように構成されている。このため、Uターン等の小回り旋回走行が実行可能になっている。また、差動ギヤ機構58は、上記差動動作を停止(左右の差動出力軸62を常時等速で駆動)させるためのデフロック機構(図示せず)を備えている。この場合、出入自在に設けられたロックピンをデフロックペダル257(図2参照)の踏み込み操作にて差動ギヤに係合させることにより、差動ギヤが固定されて差動機能が停止し、左右の差動出力軸62が等速にて回転駆動するように構成されている。
また、上記構成のミッションケース17は、その内部に、PTO軸23の駆動速度を切り換えるPTO変速ギヤ機構(図示せず)と、主変速入力軸27及びPTO変速ギヤ機構間の動力伝達を継断可能とするPTOクラッチ(図示せず)とを備える。このPTO変速ギヤ機構及びPTOクラッチの動作により、エンジン5からの動力がPTO軸23に伝達されることとなる。
この場合、後述するPTOクラッチスイッチ225を入り操作すると、PTOクラッチ油圧電磁弁104(図13参照)の駆動により、不図示のPTOクラッチを動力接続状態にする。その結果、主変速入力軸27を通じて伝達されるエンジン5からの回転動力が、不図示のPTOギヤ機構からPTO軸23に向けて出力される。このとき、PTO変速レバー256を変速操作すると、不図示のPTO変速ギヤ機構内の複数のギヤを択一的に回転動作することで、1速〜4速及び逆転の各PTO変速出力がPTO軸23に伝達される。
図4〜図6を参照しながら、操縦座席8とその周辺の構造について説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方には、ステアリングコラム245が配置されて入る。ステアリングコラム245は、エンジン5の後部側を囲うダッシュボード263の背面側に埋設するようにして立設している。平面視略丸型の操縦ハンドル9が、ステアリングコラム245の上面から突出させたハンドル軸の上端に取り付けられている。従って、操縦ハンドル9における略環状のステアリングホイル247は、水平に対して後方斜め下向きに傾斜した姿勢になっている。
ステアリングコラム245の右側には、エンジン5の出力回転数を設定保持するスロットルレバー250と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル251とが配置されている。ステアリングコラム245の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー(リバーサレバー)252と、動力継断用のメインクラッチ140を切り作動させるためのクラッチペダル253とが配置されている。ステアリングコラム245の背面側には、左右ブレーキペダル251を踏み込み位置に保持するための駐車ブレーキレバー254が配置されている。
キャビン7内の床板248のうちステアリングコラム245の右側には、スロットルレバー250にて設定されたエンジン回転数を最低回転数として、これ以上の範囲にてエンジン回転数を加減速させるためのアクセルペダル255が配置されている。操縦座席8の下方には、後述するPTO軸23の駆動速度を切り換え操作するためのPTO変速レバー256と、左右の後車輪4を等速で回転駆動させる操作を実行するためのデフロックペダル257とが配置されている。操縦座席8の左側には、走行副変速ギヤ機構31(図3参照)の出力範囲を低速と高速とに切り換えるための副変速レバー258が配置される。
操縦座席8の右側には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト259が設けられている。アームレスト259は、操縦座席8とは別体に構成されるとともに、走行系操作手段である主変速レバー290と、作業系操作手段である作業部ポジションダイヤル(昇降ダイヤル)300とを具備する。主変速レバー290は、主変速操作体としての前後傾動操作可能に設けられている。そして、本実施形態においては、主変速レバー290を前傾操作したとき、走行機体2の車速が増加する一方、主変速レバー290を後傾操作したとき、走行機体2の車速が低下する。作業部ポジションダイヤル300は、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節するためのダイヤル式のものである。
主変速レバー290を前側(操縦ハンドル9側)に傾動させたとき、主変速ポテンショ222が検出する主変速レバー290の操作位置にあわせて、ポンプ斜板159(図3参照)を正の傾斜角側に傾斜させ、走行機体2の走行速度を加速させる。一方、主変速レバー290を後側(操縦座席8側)に傾動させたとき、主変速ポテンショ222が主変速レバー290検出する主変速レバー290の操作位置にあわせて、ポンプ斜板159(図3参照)を負の傾斜角側に傾斜させ、走行機体2の走行速度を減速させる。
アームレスト259の右側には、各種操作手段が設けられる操作台260が、フェンダ19上方で固定されており、操作台260の上面に、PTOクラッチスイッチ225が配置されている。PTOクラッチスイッチ225は、PTOクラッチ(図示せず)を入り切り操作して、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を継断操作するためのものである。PTOクラッチスイッチ225は、スイッチを一度押下しながら平面視で時計回りに回すと押下された位置でロックして、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を接続状態にし、更にもう一度押下すると元の位置に復帰して、PTO軸23からロータリ耕耘機15への動力伝達を遮断状態にするというプッシュスイッチである。
図4〜図6に示すように、メーターパネル246は、ステアリングホイル247の前方下側となる位置で、操縦座席8に着座したオペレータに対面するように、そのパネル表面を後方からやや上方に傾けた状態で配置されている。又、メーターパネル246の外縁は、内側から外側に向けて隆起させたメーターカバー262で覆われている。そして、メーターカバー262で覆われたメーターパネル246は、ステアリングコラム245の前方上部のダッシュボード263の後方面(背面)に配置される。ダッシュボード263は、ステアリングコラム245とともに、操縦コラムを構成している。
メーターパネル246は、運転操作表示装置として、図6に示すように、その中央表示領域に、エンジン5の回転数を指針で示すエンジン回転計265を有し、エンジン回転計265の左右外側(中央表示領域の外側)の表示領域にLED等による表示ランプ266a〜266d,267a〜267dを有する。上記構成のメーターパネル246は、表示ランプ266a〜266d,267a〜267dとは、トラクタ1の各部の異常を示す警告灯、又は、トラクタ1の走行状態又はロータリ耕耘機15の作動状態等を示す表示灯として作用する。
図6の構成例では、メーターパネル246の右側表示領域において、表示ランプ267a〜267dそれぞれを、駐車ブレーキレバー254のロック状態を報知する駐車ブレーキランプ346(図13参照)、PTOクラッチスイッチ225の入り状態を報知するPTOランプ348(図13参照)、再生制御要求警報を報知するための再生ランプ332(図13参照)、エンジン5の異常を放置するエンジン異常ランプ347(図13参照)として作用させる。また、メーターパネル246は、エンジン回転計265の下側に後述の液晶パネル330を有する。
また、メーターパネル246の中央表示領域には、エンジン回転計265の上側の表示領域にLED等による表示ランプ273を有する。この表示ランプ273は、メーターパネル246に「N」の字を象ることにで、前後進切換レバー252の中立状態を報知するリバーサ中立ランプ349(図13参照)として作用する。
メーターカバー262の後方背面の左側表面に、制御方式選択スイッチ271及びモード選択スイッチ272が設置される。制御方式選択スイッチ271及びモード選択スイッチ272はともに、オルタネイト動作タイプのものである。制御方式選択スイッチ271は、オペレータの操作により、エンジン5の制御方式として、ドループ制御及びアイソクロナス制御のいずれかを指定する。モード選択スイッチ272は、オペレータの操作により、エンジン5のハイアイドル回転速度(無負荷時の最高限度の回転速度)を所定回転数(制限値)Nh(例えば、1800rpm)で制限させるハイアイドル制限動作の可否を指定する。
メーターカバー262の後方背面の右側表面に、再生スイッチ329が設置される。再生スイッチ329はモーメンタリ動作タイプのものである。すなわち、再生スイッチ329は、一回の押下で一つのONパルス信号を発するノンロックタイプのプッシュスイッチである。オペレータによる再生スイッチ329の押下時間は、リセット再生制御(詳細は後述する)以降の各再生制御の実行可否を判別する基準の一つに採用している。実施形態の再生スイッチ329は、再生スイッチランプ345を内蔵したランプ付きスイッチで構成している。表示ランプ267aにより後述の再生要求警報を表示させるメーターパネル246近傍に、再生スイッチ329が配置されるため、オペレータは、メーターパネル246の表示を視認した状態で、再生スイッチ329の操作を行うことができる。
また、実施形態では、再生スイッチ329は、再生ランプ332(図13参照)として作用するメーターパネル246の表示ランプ267aの近傍に配置されている。即ち、運転操作表示部となるメーターパネル246における、再生制御要求警報の表示領域の近傍に、再生スイッチ329が配置されることとなる。従って、オペレータは、表示ランプ267aの表示により再生要求警報が報知されたとき、再生スイッチ329の操作位置を認識しやすくなる。
更に、実施形態では、メーターパネル246の右側の表示領域で、表示ランプ267cの再生ランプ332が明滅することにより、オペレータは再生要求警報の報知を認識すると同時に、再生スイッチ329の操作位置を認識しやすくなる。また、再生ランプ332による表示ランプ267cの右側にエンジン異常ランプ347による表示ランプ267dが配置されるため、後述するように、表示ランプ267c,267dの明滅動作により、要求される再生制御が、リセット再生制御であるか非作業再生制御のいずれであるかを、オペレータが簡単に判別できる。
更に、再生ランプ332による表示ランプ267cの近傍となる右側の表示領域に、駐車ブレーキランプ346及びPTOランプ348となる表示ランプ267a,267bが
配置されているため、後述するように、表示ランプ267a,267bの明滅動作により、非作業再生制御の要求時において、非作業再生移行条件のいずれの条件が満たされていないかを、オペレータが簡単に認識できる。なお、表示ランプ267a〜267dは、図6の構成例に限らず、メーターパネル246の表示領域において、再生ランプ332、駐車ブレーキランプ346、エンジン異常ランプ347、及びPTOランプ348を近接位置で組み合わせて配置するものであれば、他の構成としても構わない。
次に、図7〜図11を参照しながら、実施形態におけるコモンレール式のエンジン5の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、エンジン出力軸24に沿う両側部(エンジン出力軸24を挟んだ両側部)を左右、冷却ファン56配置側を前側、フライホイル25配置側を後側、排気マニホールド54配置側を左側、吸気マニホールド53配置側を右側と称し、これらを便宜的に、エンジン5における四方及び上下の位置関係の基準としている。
図7〜図11に示すように、トラクタ等の作業車両に搭載される原動機としてのエンジン5は、連続再生式の排気ガス浄化装置50(DPF)を備えている。排気ガス浄化装置50によって、エンジン5から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
エンジン5は、エンジン出力軸24(クランク軸)とピストン(図示省略)とを内蔵するシリンダブロック51を備える。シリンダブロック51上にシリンダヘッド52を搭載している。シリンダヘッド52の右側面に吸気マニホールド53を配置する。シリンダヘッド52の左側面に排気マニホールド54を配置する。すなわち、エンジン5においてエンジン出力軸24に沿う両側面に、吸気マニホールド53と排気マニホールド54とを振り分けて配置する。シリンダヘッド52の上面にヘッドカバー55を配置する。エンジン5においてエンジン出力軸24と交差する一側面、具体的にはシリンダブロック51の前面に、冷却ファン56を設ける。エンジン出力軸24の前端側からVベルト72を介して、冷却ファン56に回転動力を伝達する。
シリンダブロック51の後面にフライホイルハウジング57を設ける。フライホイルハウジング57内にフライホイル25を配置する。出力軸24の後端側にフライホイル25を軸支する。作業車両1の作動部にエンジン出力軸24を介してエンジン5の動力を取り出すように構成している。また、シリンダブロック51の下面にはオイルパン59を配置する。オイルパン59内の潤滑油は、シリンダブロック51の右側面に配置されたオイルフィルタ60を介して、エンジン5の各潤滑部に供給される。
シリンダブロック51の右側面のうちオイルフィルタ60の上方(吸気マニホールド53の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ327を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ328(図14参照)付きのインジェクタ340をエンジン5に設ける。各インジェクタ340に、燃料供給ポンプ327及び円筒状のコモンレール341及び燃料フィルタ343(図14参照)を介して、作業車両に搭載される燃料タンク344(図14参照)を接続する。
燃料タンク344の燃料が燃料フィルタ343を介して燃料供給ポンプ327からコモンレール341に圧送され、高圧の燃料がコモンレール341に蓄えられる。各インジェクタ340の燃料噴射バルブ328をそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール341内の高圧の燃料が各インジェクタ340からエンジン5の各気筒に噴射される。なお、フライホイルハウジング57にエンジン始動用スタータ61を設けている。エンジン始動用スタータ61のピニオンギヤはフライホイル25のリングギヤに噛み合っている。エンジン5を始動させる際は、スタータ61の回転力にてフライホイル25のリングギヤ
を回転させることによって、エンジン出力軸24が回転開始する(いわゆるクランキングが実行される)。
シリンダヘッド52の前面側(冷却ファン56側)には、冷却水ポンプ71が冷却ファン56のファン軸と同軸状に配置されている。エンジン5の左側、具体的には冷却水ポンプ71の左側方に、エンジン5の動力にて発電する発電機としてのオルタネータ73が設けられている。エンジン出力軸24の前端側からVベルト72を介して、冷却ファン56、冷却水ポンプ71、及びオルタネータ73それぞれに回転動力を伝達する作業車両に搭載されるラジエータ109(図12参照)内の冷却水が、冷却水ポンプ71の駆動によって、シリンダブロック51及びシリンダヘッド52に供給され、エンジン5を冷却する。
オイルパン59の左右側面には機関脚取付け部74をそれぞれ設けている。各機関脚取付け部74には、防振ゴムを有する機関脚体(図示省略)をそれぞれボルト締結可能である。実施形態では、作業車両における左右一対のエンジンフレームにオイルパン59を挟持させ、オイルパン59側の機関脚取付け部74を各エンジンフレーム14にボルト締結することによって、作業車両1の両エンジンフレーム14がエンジン5を支持する。オイルパン59は、その底面中央に、エンジン出力軸24と平行となる溝状の窪み66を有する。作業車両1の前車輪駆動軸85が、オイルパン59の窪み66に挿通し、前車軸ケースに連結している(図1参照)。
図10及び図11に示すように、吸気マニホールド53の入口部には、EGR装置76(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ145を連結する。EGR装置76は主としてエンジン5の右側、具体的にはシリンダヘッド52の右側方に位置している。エアクリーナ145に吸い込まれた新気(外部空気)は、当該エアクリーナ145によって除塵及び浄化された後、EGR装置76を介して吸気マニホールド53に送られ、エンジン5の各気筒に供給される。
EGR装置76は、エンジン5の排気ガスの一部(EGRガス)と新気とを混合させて吸気マニホールド53に供給するEGR本体ケースと、エアクリーナ145にEGR本体ケースを連通させる吸気スロットル部材78と、排気マニホールド54にEGRクーラ29を介して接続される再循環排気ガス管80と、再循環排気ガス管80にEGR本体ケースを連通させるEGRバルブ部材81とを備えている。実施形態では、吸気マニホールド53の吸気取込側がEGR本体ケースを構成している。
すなわち、吸気マニホールド53の吸気取込側には吸気スロットル部材78を連結している。また、吸気マニホールド53の吸気取込側には再循環排気ガス管80の出口側も接続している。再循環排気ガス管80の入口側は、EGRクーラ79を介して排気マニホールド54に接続している。EGRバルブ部材81内にあるEGR弁の開度を調節することによって、吸気マニホールド53の吸気取込側へのEGRガスの供給量が調節される。
上記の構成において、エアクリーナ145から吸気スロットル部材78を介して吸気マニホールド53吸気取込側に新気を供給する一方、排気マニホールド54から吸気マニホールド53の吸気取込側にEGRガスを供給する。エアクリーナ145からの新気と排気マニホールド54からのEGRガスとが吸気マニホールド53の吸気取込側で混合される。エンジン5から排気マニホールド54に排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド53からエンジン5に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、エンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減する。
エンジン5の上面側のうち排気マニホールド54の上方、すなわちシリンダヘッド52の左側方で排気マニホールド54の上方には、排気ガス浄化装置50を配置している。排
気ガス浄化装置50は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものであり、エンジン5の出力軸(クランク軸)24と平行な左右方向に長く延びた略円筒形状に構成されている。排気ガス浄化装置50の左右両側(排気ガス移動方向上流側と下流側)には、排気ガス入口管86と排気ガス出口93とが、エンジン5の左右に振り分けて設けられている。排気ガス浄化装置50の排気ガス取入れ側である排気ガス入口管86は、排気マニホールド54に着脱可能にボルト締結されている。
排気ガス浄化装置50の構造について説明する。排気ガス浄化装置50は、浄化入口管86を有する浄化ハウジング87を備えている。浄化ハウジング87の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒88と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ89とを、排気ガス移動方向に直列に並べている。ディーゼル酸化触媒88及びスートフィルタ89は、浄化ハウジング87に収容される。なお、浄化ハウジング87の排気ガス出口93に排気管を介して例えば消音器やテールパイプを連結し、排気ガス出口93から消音器やテールパイプを介して排気ガスを外部に排出する。
浄化ハウジング87は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚83及びケーシング側ブラケット脚84を介して、シリンダヘッド52及び排気マニホールド54に取り付けられている。フランジ側ブラケット脚83の基端側は、浄化ハウジング87の外周側にある接合フランジに着脱可能にボルト締結されている。また、ケーシング側ブラケット脚84の基端側は、浄化ハウジング87の外蓋体に着脱可能にボルト締結されている。フランジ側ブラケット脚83の先端側は、シリンダヘッド52における冷却ファン56側の側面に着脱可能にボルト締結されている。ケーシング側ブラケット脚84の先端側は、シリンダヘッド52におけるフライホイルハウジング57側の側面に着脱可能にボルト締結されている。
排気マニホールド54の出口部に排気ガス入口管86の入口フランジ体を締結させることによって、排気マニホールド54に排気ガス入口管86を介して浄化ハウジング87を連通接続している。その結果、浄化ハウジング87は、各ブラケット脚83,84によって、エンジン5の高剛性部品である排気マニホールド54及びシリンダヘッド52に安定的に連結支持されることになる。従って、振動等による排気ガス浄化装置50の損傷抑制を図れる。
上記の構成において、ディーゼル酸化触媒88の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)がスートフィルタ89内に取り込まれる。エンジン5の排気ガス中に含まれる粒子状物質はスートフィルタ89に捕集され、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。エンジン5の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、エンジン5の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
エンジンコントローラ311(図12参照)またはバッテリー202(図12参照)に接続させる複数本のエンジン作動センサ電源系ハーネス111と、燃料噴射バルブ328に接続させる複数本のコモンレール電源系ハーネス112と、エンジン5の各所に設けた作動センサ(図示省略)に接続させる複数本のエンジン作動センサ信号系ハーネス113とを備える。エンジン5に付設する複数のハーネス集合体114,115,116として、各ハーネス111,112,113をそれぞれ1まとめにしている。
上記の構成により、コモンレール電源系ハーネス112とエンジン作動センサ信号系ハーネス113とに機能別に分割することによって1本のハーネス(ハーネス集合体114,115,116)の重さを抑えることができるから、各ハーネス集合体114,115,116のレイアウトの自由度が高まる。また、各ハーネス集合体114,115,11
6毎にそれぞれ交換できるから、3気筒エンジンまたは4気筒エンジンのように、コモンレール電源系ハーネス以外のハーネスを、気筒数の異なるエンジン5に対して共用できる。
シリンダブロック51の側面のうち、コモンレール341とオイルフィルタ60間の側面にコネクタブラケット117を固着し、コネクタブラケット117に複数組のハーネスコネクタ118を着脱可能に固定支持させる。5組のエンジン作動センサ電源系ハーネス111に、5組のハーネスコネクタ118を介して、コモンレール電源系ハーネス112、エンジン作動センサ信号系ハーネス113、排気ガス浄化装置信号系ハーネス(不図示)をそれぞれ電気的に接続する。即ち、エンジン作動センサ電源系ハーネス111に、1組のハーネスコネクタ118を介して、コモンレール電源系ハーネス112が接続されている。また、エンジン作動センサ電源系ハーネス111に、3組のハーネスコネクタ118を介して、エンジン作動センサ信号系ハーネス113が接続されている。また、エンジン作動センサ電源系ハーネス111には、1組のハーネスコネクタ118を介して、排気ガス浄化装置信号系ハーネス(不図示)が接続されている。複数本の排気ガス浄化装置信号系ハーネスが、DPF温度センサ326(図13参照)及び差圧センサ325に接続されている。
また、図10に示す如く、吸気マニホールド53とコモンレール341の外周側に、ハーネス集合体115(コモンレール電源系ハーネス112)、及びハーネス集合体116(エンジン作動センサ信号系ハーネス113)をそれぞれ延設させている。一方、吸気マニホールド53よりも下方にコモンレール341を配置し、コモンレール341よりも下方に、ハーネスコネクタ118を組付けている。エンジン5の外側面に対して各ハーネス112,113を一定間隔離反させながら、エンジン5の外側面に沿わせて各ハーネス112,113を設置している。エンジン5の外側面から各ハーネス112,113が大きく突出するのを防止できる。また、コモンレール341とオイルフィルタ60間に形成されるエンジン5の冷却風路にハーネスコネクタ118を設置する。オイルフィルタ60によってハーネスコネクタ118の外側を保護している。例えば、エンジン5のメンテナンス作業などにおいて、ハーネスコネクタ118に工具などを接触させる等の不具合の発生を低減できる。
次に、図12を参照しながら、ボンネット6下のエンジンルーム10内の構成について説明する。ボンネット6の前部下側にフロントグリル138を形成している。エンジンフレーム14に支持させた左右のエンジンカバー139とボンネット6とによって、エンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。エンジンフレーム14の前部側には、ファンシュラウド141を背面側に取り付けたラジエータ109を、エンジン5の前面側に位置するように立設している。ファンシュラウド141は冷却ファン56の外周側を囲っていて、ラジエータ109と冷却ファン56とを連通させている。
ラジエータ109の前面側には矩形枠状の枠フレーム142を立設している。枠フレーム142の前方には、ミッションケース17(図3参照)内の作動油を冷却するオイルクーラ143と電力供給用のバッテリー202とを配置している。冷却ファン56の回転によって、冷却風はオイルクーラ143及びラジエータ109に吹き当たった後、ファンシュラウド141を経由してエンジン5に向けて流れる。
枠フレーム142の前方のうちオイルクーラ143及びバッテリー202の上方には、エンジン5に導入される新気を浄化するエアクリーナ145を配置している。エアクリーナ145の一側面から延びる吸気中継管146は、EGR装置76を介して吸気マニホールド53の入口部に連結している。エアクリーナ145の外周面には、新気をエアクリーナ145に導入するための新気導入管を形成している。
キャビン7の前面側には、エンジン5側とダッシュボード263(操縦コラム)側とを区画する遮蔽板144を設けている。左右のエンジンカバー139、ボンネット6及び遮蔽板144は、エンジン5の前後左右及び上方を囲うエンジンルーム10を構成している。ファンシュラウド141の後面上部と遮蔽板144の前面上部との間には、前後長手の上支持フレーム147を掛け渡している。一方、ボンネット6内面側のうち上支持フレーム147との対峙箇所に、前後長手のボンネットステー155を設けている。ボンネットステー155の後端側は、ボンネット開閉支点軸156を介して遮蔽板144に上下回動可能に取り付けている。上支持フレーム154とボンネットステー155との間にはガスダンパ157を装架している。
ガスダンパ157のロッド側の端部は、上支持フレーム147の前部側に左右横向きのピン軸によって回動可能に枢着している。ガスダンパ157のシリンダ側の端部は、ボンネットステー155の前後中途部に左右横向きのピン軸によって回動可能に枢着している。ボンネットロック機構のロックを解除する操作をしてから、ボンネット6の前部を上方に持ち上げることによって、ボンネット開閉支点軸156回りにボンネット6が上向き回動して、エンジン5の前方及び上方が開放される。そして、ガスダンパ157の突張り作用によって、ボンネット6が開放位置に保持される。
上支持フレーム147には、電気配線コネクタを一体的に設けた差圧センサ325を支持するセンサブラケット(センサ支持体)148が取り付けられている。センサブラケット148は、上支持フレーム147に着脱可能に取り付けられており、差圧センサ325とともに、DPF温度センサ326(図13参照)の電気配線コネクタ149も支持している。
上支持フレーム147に付設されるセンサブラケット148は、排気ガス浄化装置50の上側に配置されることとなる。従って、センサブラケット148に支持された差圧センサ325は、スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を測定できる。また、センサブラケット148を排気ガス浄化装置50から離れた位置に配置できることから、センサブラケット148に支持される電子部品に対して、排気ガス浄化装置50からの排熱による影響を低減できる。
DPF温度センサ326(図13参照)は、サーミスタ形の上流側ガス温度センサと下流側ガス温度センサであって、ガス浄化ハウジング87に付設される。DPF温度センサ326は、上流側ガス温度センサで、ディーゼル酸化触媒88のガス流入側端面の排気ガス温度を検出し、下流側ガス温度センサで、ディーゼル酸化触媒88のガス流出側端面の排気ガス温度を検出する。
差圧センサ325は、ガス浄化ハウジング87内のスートフィルタ89を挟むように設置された上流側と下流側の各センサ配管ボス体と、上流側と下流側のセンサ配管を介して接続している。差圧センサ325は、スートフィルタ89の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を検出する。スートフィルタ89の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフィルタ89おける粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ89内の詰り状態を把握できるように構成している。
次に、図13を参照しながら、トラクタ1の各種制御(変速制御、自動水平制御、及び耕耘深さ自動制御等)を実行するための構成について説明する。図13に示す如く、トラクタ1は、エンジン5の駆動を制御するエンジンコントローラ311と、ステアリングコラム(操縦コラム)245搭載のメーターパネル246の表示動作を制御するメーターコントローラ(運転操作表示コントローラ)312と、走行機体2の速度制御等を行う本機
コントローラ313とを備えている。
上記コントローラ311〜313はそれぞれ、各種演算処理や制御を実行するCPUの他、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、時間計測用のタイマ、及び入出力インターフェイス等を備えており、CAN通信バス315を介して相互に通信可能に接続されている。エンジンコントローラ311及びメーターコントローラ312は、電源印加用キースイッチ201を介してバッテリー202に接続されている。キースイッチ201は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵にて回転操作可能なロータリ式スイッチであり、図6に示すように、ダッシュボード263のステアリングコラム245の右側位置に取り付けられている。
メーターコントローラ312の入力側には、操縦ハンドル9の回動量(操舵角度)を検出する操舵ポテンショ210、排気ガス浄化装置50再生動作を許可する入力部材としての再生スイッチ329、エンジン5の制御方式(調速モード)としてドループ制御及びアイソクロナス制御のいずれかに設定する制御方式選択スイッチ271、及び、エンジン5の回転速度制限の可否を設定するモード選択スイッチ272を接続している。
また、メーターコントローラ312の出力側には、メーターパネル246における液晶パネル330、排気ガス浄化装置50再生動作等に関連して鳴動する警報ブザー331、排気ガス浄化装置50の再生動作に関連して明滅する警報ランプとしての再生ランプ332、再生スイッチ329に内蔵されるとともに排気ガス浄化装置50の再生動作に応じて明滅する再生スイッチランプ345、駐車ブレーキレバー254がロック状態である場合に点灯する駐車ブレーキランプ346、エンジン5に異常がある場合に点灯するエンジン異常ランプ347、PTOクラッチスイッチ225が入り状態の場合に点灯するPTOランプ348、及び、前後進切換レバー252が中立状態にある場合に点灯するリバーサ中立ランプ349を接続している。
本機コントローラ313の入力側には、前後進切換レバー252の操作位置を検出する前後進ポテンショ211、主変速出力軸36の出力回転数を検出する主変速出力軸回転センサ212、前後車輪3,4の回転速度(走行速度)を検出する車速センサ213、ブレーキペダル251の踏み込みの有無を検出するブレーキペダルスイッチ220、オートブレーキ電磁弁67a,67bを切換操作するオートブレーキスイッチ221、主変速レバー290の操作位置を検出する主変速ポテンショ222、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節する作業部ポジションダイヤル300の操作位置を検出するポジションダイヤルセンサ223、駐車ブレーキレバー254で左右ブレーキペダル251を踏み込み位置を保持した状態(駐車ブレーキレバー254によるロック状態)でオンとなる駐車ブレーキスイッチ236、及び、PTOクラッチスイッチ225を接続している。
本機コントローラ313の出力側には、前進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる前進用クラッチ電磁弁46、後進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる後進用クラッチ電磁弁48、不図示のPTOクラッチを作動するPTOクラッチ油圧電磁弁104、油圧式昇降機構20の単動式油圧シリンダ(図示せず)に作動油を供給するための制御電磁弁121、主変速レバー290の傾動操作量に比例して主変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる比例制御弁123、副変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる高速クラッチ電磁弁136、及び、左右のブレーキ作動機構65a,65bそれぞれを作動させるオートブレーキ電磁弁67a,67bを接続している。
また、図14に示すように、エンジンコントローラ311の入力側には少なくとも、コモンレール341内の燃料圧力を検出するレール圧センサ321、燃料供給ポンプ327を回転又は停止させる電磁クラッチ342、エンジン5の回転速度(エンジン出力軸24
のカムシャフト位置)を検出するエンジン回転センサ322、インジェクタ340の燃料噴射回数(一行程の燃料噴射期間中の回数)を検出及び設定する噴射設定器333、アクセル操作具の操作位置を検出するスロットル位置センサ334、吸気経路中の吸気温度を検出する吸気温度センサ335、排気経路中の排気ガス温度を検出する排気温度センサ336、エンジン5の冷却水温度を検出する冷却水温センサ323、コモンレール341内の燃料温度を検出する燃料温度センサ324、EGRガスの温度を検出するEGR温度センサ337、排気フィルタ50内におけるスートフィルタ89前後(上下流)の排気ガスの差圧を検出する差圧センサ325、並びに、排気フィルタ50内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ326を接続している。
エンジンコントローラ311の出力側には少なくとも、各燃料噴射バルブ328の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。すなわち、コモンレール341に蓄えた高圧燃料が燃料噴射圧力、噴射時期及び噴射期間等を制御しながら、一行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ328から噴射されることによって、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えると共に、スートや二酸化炭素(CO2)等の発生も低減した完全燃焼を実行し、燃費を向上させるように構成されている。また、エンジンコントローラ311の出力側には、エンジン5の吸気圧(吸気量)を調節する吸気スロットル部材78、及び、吸気マニホールド53へのEGRガスの供給量を調節するEGRバルブ部材81等も接続している。
エンジンコントローラ311は基本的に、エンジン回転センサ322で検出した回転速度とスロットル位置センサ334で検出したスロットル位置とからエンジン5のトルクを求め、トルクと出力特性とを用いて目標燃料噴射量を演算し、当該演算結果に基づきコモンレール341を作動させる燃料噴射制御を実行する。なお、コモンレール341の燃料噴射量は主に、各燃料噴射バルブ328の開弁期間を調節して、各インジェクタ340への噴射期間を変更することによって調節される。
図15に示すように、インジェクタ340と接続するコモンレール341を備えたコモンレール装置320は、上死点(TDC)を挟む付近でメイン噴射Aを実行するように構成されている。また、コモンレール装置320は、メイン噴射A以外に、上死点より約60°以前のクランク角度θ1の時期に、NOx及び騒音の低減を目的として少量のパイロット噴射Bを実行したり、上死点直前のクランク角度θ2の時期に、騒音低減を目的としてプレ噴射Cを実行したり、上死点後のクランク角度θ3及びθ4の時期に、粒子状物質(以下、PMという)の低減や排気ガスの浄化促進を目的としてアフタ噴射D及びポスト噴射Eを実行したりするように構成されている。
パイロット噴射Bは、メイン噴射Aに対して大きく進角した時期に噴射することによって、燃料と空気との混合を促進させるものである。プレ噴射Cは、メイン噴射Aに先立って噴射することによって、メイン噴射Aでの着火時期の遅れを短縮するものである。アフタ噴射Dは、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射することによって、拡散燃焼を活性化させ、エンジン5からの排気ガス温度を上昇させる(PMを再燃焼させる)ものである。ポスト噴射Eは、メイン噴射Aに対して大きく遅角した時期に噴射することによって、実際の燃焼過程に寄与せずに未燃焼の燃料として排気ガス浄化装置50に供給するものである。排気ガス浄化装置50に供給された未燃焼の燃料は、ディーゼル酸化触媒243上で反応し、その反応熱によって排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度が上昇することになる。ここで、図15におけるグラフの山の高低は、大まかに言って、各噴射段階A〜Eでの燃料噴射量の差異を表現している。
ECU311のEEPROMには、エンジン5の回転速度NとトルクT(負荷)との関係を示す出力特性マップM(図16参照)を予め記憶させている。また、詳細は省略するが、ECU311のEEPROMには、エンジン5の回転速度Nと燃料噴射量との関係か
ら排気ガス流量を換算する排気ガス流量マップや、同じくエンジン5の回転速度Nと燃料噴射量との関係からエンジン5のPM排出量を換算するPM排出量マップも予め記憶させている。出力特性マップM等の各マップは実験等にて求められる。図16に示す出力特性マップMでは、回転速度Nを横軸に、トルクTを縦軸に採っている。出力特性マップMは、上向き凸に描かれた実線Tmxで囲まれた領域である。実線Tmxは、各回転速度Nに対する最大トルクを表した最大トルク線である。この場合、エンジン5の型式が同じであれば、ECU311に記憶される出力特性マップMはいずれも同一(共通)のものになる。図16に示すように、出力特性マップMは、所定の排気ガス温度における回転速度NとトルクTとの関係を表した境界線BL1,BL2によって上下三つに分断される。
第1境界線BL1よりも上側の領域は、エンジン5の通常運転だけでスートフィルタ89に堆積したPMを酸化除去できる(ディーゼル酸化触媒88の酸化作用が働く)自己再生領域である。第1境界線BL1と第2境界線BL2との間の領域は、エンジン5の通常運転だけではPMが酸化除去されずにスートフィルタ89に堆積するものの、後述するアシスト再生制御やリセット再生制御の実行によって排気ガス浄化装置50が再生する再生可能領域である。第2境界線BL2よりも下側の領域は、アシスト再生制御やリセット再生制御を実行しても排気ガス浄化装置50が再生しない再生不可領域である。再生不可領域でのエンジン5の排気ガス温度は低過ぎるため、この状態からアシスト再生制御やリセット再生制御を実行しても、排気ガス温度が再生境界温度まで上昇しない。つまり、エンジン5の回転速度NとトルクTとの関係が再生不可能領域にあれば、アシスト再生制御やリセット再生制御では排気ガス浄化装置50が再生しない(スートフィルタ89の粒子状物質捕集能力が回復しない)。なお、第1境界線BL1上の排気ガス温度は、自己再生可能な再生境界温度(約300℃程度)である。
エンジンコントローラ311は、図17に示すように、回転速度NとトルクTとの関係において、エンジン5の負荷(トルクT)が増大するに従って回転速度Nが減少するように燃料噴射量を調節するドループ制御と、エンジン5の負荷の変動に拘らず回転速度Nを一定に維持するように燃料噴射量を調節するアイソクロナス制御とを実行可能になっている。オペレータにより制御方式選択スイッチ271が操作されることで、ドループ制御及びアイソクロナス制御のいずかに択一的に切り替えられる。すなわち、エンジンコントローラ311は、メーターコントローラ312及びCAN通信バス315を通じて、制御方式選択スイッチ271で指定された制御方式がドループ制御及びアイソクロナス制御のいずかを認識する。
ドループ制御は、例えば路上走行時等に実行される。ドループ特性(ドループ制御時における回転速度N及びトルクTの関係)は、出力特性マップMにおいて右下りに傾斜する一定勾配の直線(図17中の一点鎖線L1)で表される特性である。ドループ制御が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、アクセルペダル255の操作量に基づいて目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。
アイソクロナス制御は、例えば耕起・耕耘作業といった各種作業時に実行される。アイソクロナス特性(アイソクロナス制御時における回転速度N及びトルクTの関係)は、出力特性マップMにおいて勾配がゼロとなる垂直な直線で表される特性(図17中の破線L2)である。アイソクロナス制御が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、主変速レバー290で指定される目標回転速度Ntで維持されるように、エンジン回転センサ322で検出された回転速度Nと目標回転速度Ntとの差分に基づいて目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。
エンジンコントローラ311は、エンジン5の制御モードとして、作業車両における作業性を重視したパワーモードと、燃費を重視したエコノミーモードとを有している。エコ
ノミーモードは、低燃費化や低騒音化のためにエンジン出力を低く抑える際に選択されるハイアイドル制限モードであり、ハイアイドル回転速度(無負荷時の最高限度の回転速度)の制限値Nh(例えば、1800rpm)に基づいて目標燃料噴射量を設定する。パワーモードは、走行あるいは作業時において大きなエンジン出力を必要とする際に選択されるハイアイドル制限解除モードであり、ハイアイドル回転速度の制限値Nhよりも高い最高回転速度に基づいて目標燃料噴射量を設定する。パワーモード及びエコノミーモードは、メーターコントローラ312及びCAN通信バス315を通じて、モード選択スイッチ272で指定される。
モード選択スイッチ272によりエコノミーモード(ハイアイドル制限モード)が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、予めRAMに記憶したハイアイドル回転速度の制限値Nhを参照する。これにより、コントローラ311は、図18に示すように、出力特性マップMを制限値Nhに合わせて補正し、出力特性M1を作成する。エンジンコントローラ311は、制限値Nhで補正した出力特性マップM1に基づいて、目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。そのため、エコノミーモード(ハイアイドル制限モード)では、エンジン5の最高回転速度が、ハイアイドル回転速度の制限値Nh以下に制限される。
モード選択スイッチ272によりパワーモード(ハイアイドル制限解除モード)が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、出力特性マップMに基づいて、目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。そのため、パワーモード(ハイアイドル制限解除モード)では、エンジン5の最高回転速度が、ハイアイドル回転速度の制限値Nhよりも高い値となり、後述の非作業再生制御における所定高速回速度(例えば、2200rpm)まで回転速度を上げることができる。
エンジン5の制御方式(再生制御方式)としては、エンジン5の通常運転だけで排気ガス浄化装置50が自発的に再生する通常運転制御(自己再生制御)と、排気ガス浄化装置50の詰り状態が規定水準以上になるとエンジン5の負荷増大を利用して排気ガス温度を自動的に上昇させるアシスト再生制御と、ポスト噴射を用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eを用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eとエンジン5の所定高速回転速度N1とを組み合わせて排気ガス温度を上昇させる非作業再生制御(駐車再生制御、又は、緊急再生制御といってもよい)とがある。
通常運転制御は、路上走行時や農作業時の制御形式である。通常運転制御では、エンジン5における回転速度NとトルクTとの関係が出力特性マップの自己再生領域にあり、排気ガス浄化装置50内でのPM酸化量がPM捕集量を上回る程度に、エンジン5の排気ガスが高温になっている。
アシスト再生制御では、吸気スロットル部材78の開度調節とアフタ噴射とによって、排気フィルタ50を再生させる。すなわち、アシスト再生制御では、EGRバルブ部材81を閉弁すると共に、吸気スロットル部材78を所定開度まで閉弁させる(絞る)ことによって、エンジン5への吸気量を制限する。そうすると、エンジン5の負荷が増大するから、設定回転速度維持のためにコモンレール341の燃料噴射量が増加し、エンジン5の排気ガス温度を上昇させる。これに合わせて、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射するアフタ噴射Dによって拡散燃焼を活性化させ、エンジン5の排気ガス温度を上昇させる。その結果、排気ガス浄化装置50内のPMが燃焼除去される。なお、以降に説明する再生制御のいずれにおいても、EGRバルブ部材81は閉弁される。
リセット再生制御は、アシスト再生制御が失敗した場合(排気ガス浄化装置50の詰り
状態が改善せずPMが残留した場合)や、エンジン5の累積駆動時間TIが設定時間TI1(例えば100時間程度)以上になった場合に行われる。リセット再生制御では、アシスト再生制御の態様に加え、ポスト噴射Eをすることによって、排気ガス浄化装置50を再生させる。すなわち、リセット再生制御では、吸気スロットル部材78の開度調節とアフタ噴射とに加えて、ポスト噴射Eで排気ガス浄化装置50内に未燃燃料を直接供給し、未燃燃料をディーゼル酸化触媒88で燃焼させることによって、排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度を上昇させる(約560℃程度)。その結果、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去される。
非作業再生制御は、リセット再生制御が失敗した場合(排気ガス浄化装置50の詰り状態が改善せずPMが残留した場合)等に行われる。非作業再生制御では、リセット再生制御の態様に加えて、エンジン5の回転速度Nを所定高速回転速度N1(例えば2200rpm)に維持することによって、エンジン5の排気ガス温度を上昇させた上で、排気フィルタ50内でもポスト噴射Eによって排気ガス温度を上昇させる(約600℃程度)。その結果、リセット再生制御よりも更に好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去される。なお、非作業再生制御での吸気スロットル部材78は絞るのではなく、完全に閉弁させる。非作業再生制御でのアフタ噴射Dは、アシスト再生制御やリセット再生制御よりもリタード(遅角)させて行われる。
非作業再生制御では、エンジン5の出力を最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)に制限している。この場合、エンジン5の回転速度Nを所定高速回転速度N1に維持するので、トルクTを抑制して駐車時最大出力となるように、コモンレール341の燃料噴射量を調節する。
通常運転制御はもちろんであるが、アシスト再生制御及びリセット再生制御では、エンジン5の動力を例えば作業機の作動部に伝達して各種作業を実行することが可能である(エンジン5を通常運転で駆動できる)。このとき、エンジンコントローラ311は、制御方式選択スイッチ271により指定される制御方式(ドループ制御、又は、アイソクロナス制御)に基づいて、エンジン5の駆動を制御する。また、エンジンコントローラ311は、モード選択スイッチ272により指定される制御モード(エコノミーモード、又は、パワーモード)に基づいて、エンジン5の駆動を制御する。
非作業再生制御では、専らPMの燃焼除去のためにエンジン5を高回転速度で駆動させるため、エンジン5の動力によって例えば作業機の作動部を駆動させない。このとき、エンジンコントローラ311は、図19に示すように、制御方式選択スイッチ271により指定される制御方式に関わらず、強制的に、アイソクロナス制御によりエンジン5の駆動を制御する。また、エンジンコントローラ311は、図19に示すように、モード選択スイッチ272により指定される制御モードに関わらず、パワーモード(ハイアイドル制限解除モード)によりエンジン5の駆動を制御する。
次に、図20及び図21のフローチャートを参照しながら、エンジンコントローラ311による排気ガス浄化装置50再生制御の一例について説明する。すなわち、図20及び図21のフローチャートにて示すアルゴリズム(プログラム)は、エンジンコントローラ311のROMに記憶されていて、当該アルゴリズムをRAMに呼び出してからCPUで処理して、前述の各再生制御が実行される。
図20に示すように、排気ガス浄化装置50再生制御では、まず、キースイッチ201がオンであれば(S101:YES)、エンジン回転センサ322、冷却水温センサ323、差圧センサ325及びDPF温度センサ326の検出値と、吸気スロットル部材78並びにEGRバルブ部材81の開度と、コモンレール341による燃料噴射量とを読み込
む(S102)。すなわち、エンジンコントローラ311が、エンジン回転センサ322、冷却水温センサ323、差圧センサ325及びDPF温度センサ326の検出値と、吸気スロットル部材78並びにEGRバルブ部材81の開度と、コモンレール341による燃料噴射量とを読み込む。
次いで、過去にリセット再生制御又は非作業再生制御を実行してからの累積駆動時間TIが設定時間TI1(例えば50時間)未満であれば(S103:NO)、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S104)。PM堆積量推定は、差圧センサ325の検出値と排気ガス流量マップとに基づくP法と、エンジン回転センサ322の検出値と燃料噴射量とPM排出量マップと排気ガス流量マップとに基づくC法とを用いて行う。PM堆積量が規定量Ma(例えば8g/l)以上であれば(S105:YES)、アシスト再生制御を実行する(S106)。
アシスト再生制御を行っている際、エンジン回転センサ322の検出値と燃料噴射量とPM排出量マップと排気ガス流量マップとに基づき、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S107)。PM堆積量が規定量Ma(例えば6g/l)未満であれば(S108:YES)、アシスト再生制御を終了して通常運転制御に戻る。PM堆積量が規定量Ma以上の場合(S108:NO)、この状態で所定時間TI4(例えば10分)を経過した場合は(S109:YES)、リセット再生制御の前のリセット待機モードであるステップS201へ移行する。
ステップS103に戻り、累積駆動時間TIが設定時間TI1以上の場合(S103:YES)、リセット待機モードであるステップS201へ移行し、リセット再生要求を実行させる。この段階では、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345が低速点滅すると共に(例えば0.5Hz)、警報ブザー331が断続的に低速鳴動する(例えば0.5Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及び再生スイッチランプ345それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、手動操作が促されている再生スイッチ329の位置を即座に確認できる。
その後、再生スイッチ329が所定時間(例えば3秒)オン操作された場合、(S202:YES)、リセット再生制御を実行する(S203)。この段階では、エンジンコントローラ311は、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を点灯させる一方、警報ブザー331を鳴動停止させる。このため、オペレータは、再生スイッチ329(再生スイッチランプ345の点灯)の状態を確認することで、リセット再生制御の実行中である旨を簡単に視認でき、オペレータの注意を喚起できる。
リセット再生制御の実行中に、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定し(S204)、PM堆積量が規定量Mr(例えば10g/l)未満の状態の場合は(S205:NO)、リセット再生制御開始から所定時間TI8(例えば30分)を経過すれば(S206:YES)、リセット再生制御を終了して通常運転制御に戻る。このとき、リセット再生制御を終了するため、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を消灯させる。一方、PM堆積量が規定量Mr以上であれば(S205:YES)、リセット再生制御失敗とみなし、PM過堆積の可能性が懸念されるので、非作業再生制御の前の駐車待機モードであるステップS301へ移行する。
図21に示すように、駐車待機モードでは始めに、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S301)。そして、PM堆積量が規定量Mb(例えば12g/l)未満で(S302:NO)且つ所定時間TI9(例えば10時間)内であれば(S303:NO)、第一非作業再生要求を実行させる(S304)。この段階では、再生スイッチランプ345は消灯したままであるが、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347が高
速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が断続的に高速鳴動する(例えば1.0Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及びエンジン異常ランプ347それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、非作業再生制御の実行のために非作業再生移行条件(インターロック解除条件)の成立を要求されていることを認識できる。
一方、PM堆積量が規定量Mb以上か(S302:YES)、駐車待機モードのままで所定時間TI9(例えば10時間)を経過した場合は(S303:YES)、PM過堆積の可能性が懸念されるので、排気ガス浄化装置50の異常を報知する(STEP401)。このとき、エンジン異常ランプ347が高速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が高速鳴動する(例えば1.0Hz)。一方、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345は消灯したままとなる。
上述のステップS304で第一非作業再生要求を実行した後は、予め設定した非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立するまで待機する(S305)。ステップS305に示す非作業再生移行条件は、前後進ポテンショ211が中立位置(前後進切換レバー252の中立状態)、駐車ブレーキスイッチ236がオン(駐車ブレーキレバー254によるロック状態)、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態、エンジン5がローアイドル回転速度(無負荷時の最低限度の回転速度)N0、並びに、冷却水温センサ323の検出値が所定値(例えば65℃)以上(エンジン5の暖気運転完了)という条件からなっている。
ステップS305において、上記非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立すると(YES)、第二非作業再生要求を実行させる(S306)。この段階では、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345が低速点滅し(例えば0.5Hz)、エンジン異常ランプ347が高速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が断続的な低速鳴動に切り換わる(例えば0.5Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及び再生スイッチランプ345それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)の成立を認識すると同時に、手動操作が促されている再生スイッチ329の位置を即座に確認できる。また、再生ランプ332の点滅周期及び警報ブザー331の鳴動周期それぞれが高速から低速に遷移することで、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立したことをオペレータに確実に認識させることができる。
そして、再生スイッチ329が所定時間オンになれば(S307:YES)、非作業再生制御を実行する(S308)。すなわち、エンジンコントローラ311が、オペレータからの再生スイッチ329へのオン操作を受け付けたことを確認し、非作業再生制御を実行する。この段階では、再生ランプ332、再生スイッチランプ345、及びエンジン異常ランプ347を点灯させる一方、警報ブザー331を鳴動停止させる。これにより、オペレータは、非作業再生制御が実行されていることを認識するため、非作業再生制御の実行時におけるオペレータの誤操作を未然に阻止できる。
エンジンコントローラ311は、非作業再生制御を実行する直前に、専ら前記粒子状物質の燃焼除去のためにエンジン5を駆動させるべく、エンジン5の負荷の変動に拘らずエンジン5の回転速度を一定に維持させるアイソクロナス制御を強制的に実行する。すなわち、図19に示すように、制御方式選択スイッチ271によりドループ制御が指定されていた場合であっても、エンジンコントローラ311は、非作業再生制御を実行する際に、アイソクロナス制御に切り替えて、エンジン5を駆動制御する。従って、非作業再生制御実行時において、エンジン5は、最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)とする所定高速回転速度N1を維持して回転するため、排気ガス温度を上昇
させることができ、好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去し、排気ガス浄化装置50の浄化能力を再生できる。
また、非作業再生制御を実行する場合、ハイアイドル回転速度の制限値Nh(例えば1800rpm)よりも高い所定高速回転速度N1(例えば2200rpm)でエンジン5を回転させるため、エンジン5の最高回転速度を制限することは好ましくない。そのため、エンジンコントローラ311は、ハイアイドル制限モード(エコノミーモード)を強制的に無効化する(解除する)。すなわち、図19に示すように、モード選択スイッチ272によりハイアイドル制限モードが指定されていた場合であっても、エンジンコントローラ311は、非作業再生制御を実行する際に、ハイアイドル制限モードを強制的に解除して、エンジン5を駆動制御する。従って、非作業再生制御実行時において、エンジン5は、最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)とする所定高速回転速度N1で回転して、排気ガス温度を上昇させることができ、好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去し、排気ガス浄化装置50の浄化能力を再生できる。
非作業再生制御の実行中は、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定する(S309)。PM堆積量が規定量Ms(例えば8g/l)未満であり(S310:YES)、且つ、非作業再生制御開始から所定時間TI11(例えば30分)を経過すれば(S311:YES)、非作業再生制御を終了して通常運転制御に戻る。PM堆積量が規定量Ms以上の場合(S310:NO)、この状態で所定時間TI12(例えば30分)を経過すれば(S312:YES)、非作業再生制御失敗とみなし、PM過堆積の可能性が懸念されるので、排気ガス浄化装置50の異常を報知するステップS401へ移行する。
非作業再生制御の実行中に、駐車ブレーキレバー254によるロック状態の解除等により、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が非成立の状態になると(S313:YES)、非作業再生制御が中断した後に(S314)、ステップS304に移行して、第一非作業再生要求を実行させる。なお、S312において、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が非成立の状態により、非作業再生制御の中断の可否が判定されるものとしたが、非作業再生制御の実行中に再生スイッチ329が押下された場合に、非作業再生制御を中断するものとしても構わない。これにより、ディーゼルエンジン1を停止させて、排気ガス浄化装置50の非作業再生制御を中断させる操作などの面倒な操作を行うことなく、排気ガス浄化装置50の非作業再生制御を中断させることができる。
上記したように、本実施形態では、オペレータの手動操作による排気ガス浄化装置50の再生制御の開始指示が、再生スイッチ329に対する長押し操作(所定時間(例えば3秒)のオン操作)である。すなわち、再生スイッチ329に対する動作が、オペレータの手動操作か、または誤操作かを判断可能な操作時間以上に、再生スイッチ329を連続動作させたときに排気ガス浄化装置50の再生制御が開始されるように構成している。従って、オペレータが想定していない再生制御動作を未然に阻止できる。
更に、排気ガス浄化装置50の再生制御中、オペレータがキースイッチ切操作してディーゼルエンジン1を停止させ、次いでディーゼルエンジン1を再始動させたときに、排気ガス浄化装置50の再生制御がリセットされるように構成することで、オペレータが想定していない再生制御動作を未然に阻止できる。
上述のようにして再生制御を行っているとき、メーターコントローラ312は、メーターパネル246の表示ランプ267a〜267d及び273による、駐車ブレーキランプ346、PTOランプ348、再生ランプ332、エンジン異常ランプ347、及びリバーサ中立ランプ349それぞれの明滅動作を制御する。特に、非作業再生制御を実行させる際においては、非作業再生移行条件の成立をオペレータに認識させるべく、メーターコ
ントローラ312は、成立していない条件に合わせて、駐車ブレーキランプ346、PTOランプ348、及びリバーサ中立ランプ349それぞれを点滅させる。
図22のフローチャートに従って、非作業再生制御を実行させる際におけるメーターパネル246の表示動作について、以下に説明する。メーターコントローラ312は、上記ステップS304でエンジンコントローラ311からの第一非作業再生要求を受けると(S451:YES)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347を高速点滅させる(S452)。そして、メーターコントローラ312は、本機コントローラ313と通信して、前後進ポテンショ211からの信号に基づいて、前後進切換レバー252が中立状態であるか否かを確認する(S453)。
そして、前後進切換レバー252が前進側又は後進側にある場合(S453:NO)、前後進切換レバー252を中立状態とすることをオペレータに促すべく、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、リバーサ中立ランプ349を点滅させる(S454)。このとき、リバーサ中立ランプ349の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、前後進切換レバー252が中立位置にある場合(S453:YES)、リバーサ中立ランプ349を点灯させる(S455)。
次に、メーターコントローラ312は、作業機コントローラ314と通信して、PTOクラッチスイッチ225からの信号に基づいて、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態であるか否かを確認する(S456)。PTOクラッチスイッチ225がオン状態である場合(S456:NO)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、PTOランプ348を点滅させる(S457)。このとき、PTOランプ348の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態である場合(S456:YES)、PTOランプ348を消灯させる(S458)。
次に、メーターコントローラ312は、本機コントローラ314と通信して、駐車ブレーキスイッチ236からの信号に基づいて、駐車ブレーキレバー254によるロック状態であるか否かを確認する(S459)。駐車ブレーキスイッチ236がオフ状態である場合(S459:NO)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、駐車ブレーキレバー254によるロック状態とすることをオペレータに促すべく、駐車ブレーキランプ346を点滅させる(S460)。このとき、駐車ブレーキランプ346の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、駐車ブレーキスイッチ236がオン状態である場合(S459:YES)、駐車ブレーキランプ346を点灯させる(S461)。
その後、メーターコントローラ312は、上記ステップS306におけるエンジンコントローラ311からの第二非作業再生要求を受けると(S462:YES)、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を低速点滅させると同時に、エンジン異常ランプ347を高速点滅させる(S463)。そして、上記ステップS307と同様、再生スイッチ329への長押し操作がなされたか否かが判断される(S464)。このとき、再生スイッチ329が所定時間オンになれば(S464:YES)、再生ランプ332、再生スイッチランプ345、及びエンジン異常ランプ347を点灯させる(S465)。
本実施形態では、非作業再生制御を、リセット再生制御失敗後に実行されるステーショナリ再生制御(駐車再生制御、又は、緊急再生制御)のみとしたが、図23に示すように、非作業再生制御には、ステーショナリ再生制御失敗後に実行されるリカバリ再生制御も含まれるものとしてもよい。アシスト再生制御及びリセット再生制御では、通常運転制御
と同様、作業機(本実施形態では、トラクタ1)による作業を継続しながら実施可能である一方、非作業再生制御であるステーショナリ再生制御及びリカバリ再生制御では、作業機による作業を停止させる非作業再生状態とする。なお、アシスト再生制御及びリセット再生制御については、非作業再生制御に対して、作業継続中に実施可能な作業時再生制御とする。以下、リカバリ再生制御について、簡単に説明する。
リカバリ再生制御は、ステーショナリ再生制御が失敗した場合(排気ガス浄化装置50の詰り状態が改善せずPMが過堆積になった場合)等に行われる。実施形態のリカバリ再生制御は、リカバリ第一再生制御とリカバリ第二再生制御との二段階に分けて実行される。リカバリ第一再生制御は、過堆積したPMの暴走燃焼のおそれがある状況下で、排気ガス浄化装置50内のPMを徐々に燃焼除去して、排気ガス浄化装置50を緩やかに再生させるものである。リカバリ第二再生制御は、暴走燃焼のおそれがなくなった状況下で、排気ガス浄化装置50を速やかに再生させるものである。
リカバリ再生制御全体としてはステーショナリ再生制御の態様と基本的に同様に行われるが、リカバリ第一再生制御では、過堆積したPMの暴走燃焼を防止するために、例えばポスト噴射Eでの燃料噴射量を少なくする等して、排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度が非作業再生制御よりも低い温度TP3(例えば500℃程度)を目標にして且つ長時間(例えば3〜3.5時間程度以内)をかけて、排気ガス浄化装置50内のPMを徐々に燃焼除去する。リカバリ第一再生制御では、エンジン5の出力を非作業時最大出力(例えば最大出力の80%程度)よりも低いリカバリ時最大出力に制限している。この場合、エンジン5のトルクTだけでなく回転速度Nも抑制してリカバリ時最大出力となるように、コモンレール341の燃料噴射量を調節する。
リカバリ第二再生制御では、吸気スロットル部材78の閉弁、アフタ噴射D、ポスト噴射E及びエンジン5の所定高速回転速度によって、排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度がリカバリ第一再生制御よりも高い温度TP4(例えば600℃程度)を目標にして、排気ガス浄化装置50を速やかに再生させる。すなわち、リカバリ第二再生制御の態様は、ステーショナリ再生制御の態様と同様である。リカバリ第一再生制御とリカバリ第二再生制御との主たる相違点はポスト噴射Eの噴射量であり、例えばリカバリ第一再生制御時のポスト噴射Eの噴射量は、リカバリ第二再生制御時のポスト噴射Eの噴射量よりも少なくなっている。
上述したように、ステーショナリ再生制御及びリカバリ再生制御はいずれも、非作業再生制御である。従って、ステーショナリ再生制御又はリカバリ再生制御のいずれかを実行しているとき、エンジンコントローラ311は、図19に示すように、強制的に、アイソクロナス制御によりエンジン5の駆動を制御すると同時に、パワーモード(ハイアイドル制限解除モード)によりエンジン5の駆動を制御する。
上気したように、複数の再生制御として、ポスト噴射Eを用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eと所定高速回転速度とを組み合わせて排気ガス温度を上昇させるステーショナリ再生制御と、前記非作業再生制御の失敗時に実行可能なリカバリ再生制御とを少なくとも有する。ステーショナリ再生制御及びリカバリ再生制御では、専ら粒子状物質の燃焼除去のためにエンジン5を駆動させるから、ステーショナリ再生制御及びリカバリ再生制御ではエンジン5が通常運転をしない。つまり、ステーショナリ再生制御及びリカバリ再生制御は、排気ガス浄化装置50の破損(溶損)防止や過度のエミッション排出防止といった危機回避のためのモードとして存在している。
その上で、リセット再生制御からステーショナリ再生制御を経てリカバリ再生制御に移行するように設定している。そして、リセット再生制御からステーショナリ再生制御に移
行する際は、予め設定した非作業移行条件の成立を待機する非作業待機モードを経由し、ステーショナリ再生制御からリカバリ再生制御に移行する際は、予め設定したリカバリ移行条件の成立を待機するリカバリ待機モードを経由する。そして、各移行条件が不成立のときは各待機モードで待機するものとすることで、各待機モードに一旦移行したときに、ステーショナリ再生制御又はリカバリ再生制御にしか移行しないこととできる。このため、暴走燃焼を引き起こすような再生制御を実行することがなく、暴走燃焼の発生を防止でき、排気ガス浄化装置50の破損(溶損)防止や過度のエミッション排出防止といった危機回避を確実に行える。
また、ステーショナリ再生制御では、エンジン5の出力を最大出力よりも低い非作業時最大出力に制限し、前記リカバリ再生制御では、エンジン5の出力を非作業時最大出力よりも低いリカバリ時最大出力に制限する。そのため、ステーショナリ再生制御やリカバリ再生制御を実行した場合に、排気ガスの過度の昇温及び昇圧を防止して、昇温による前記排気ガス浄化装置50等の排気系部品の劣化や、昇圧による前記排気系部品の接合部からの排気ガス漏れの発生を抑制できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。