JP2015058589A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性及びガスバリア性を十分に確保し、水蒸気バリア性及び耐久性に優れた透明なガスバリア性積層フィルムを実現する。
【解決手段】ガスバリア性積層フィルムにおいて、プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、ガスバリア層と、オーバーコート層とを順次形成する。アンカー層の0℃〜90℃における線膨張係数αは20ppm/℃≦α≦200ppm/℃である。オーバーコート層の0℃〜90℃における線膨張係数αは20ppm/℃≦α≦200ppm/℃である。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象物をガスから守るガスバリア性積層フィルムに関する。
食品、日用品、医薬品等の包装に用いられる包装材料や、電子機器関連部材等に用いられる包装材料は、収容物の変質を抑制して、その機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、包装材料を透過する酸素、水蒸気等、収容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体を遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。
通常のガスバリア性を有する包装材料としては、比較的ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルム又は塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルム等がよく用いられてきたが、これらの包装材料は、高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。従って高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウム等の金属箔をガスバリア層として積層した包装材料を用いざるを得なかった。
アルミニウム等の金属箔を積層した包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を有している。しかし、こうした包装材料では、それを透視して収容物を確認することができない、使用後に不燃物として廃棄処理しなければならない、収容物の検査に金属探知器が使用できない、等の多くの欠点を有していた。
これらの欠点を克服した包装材料として、特許文献1には、透明なプラスチックフィルムからなる基材層に、透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物の蒸着薄膜層をガスバリア層とし、その上に適宜のガスバリア性被膜層を積層してなる積層フィルムが開示されている。
近年、地球温暖化問題に対する関心が高まる中、太陽電池市場が急速に拡大している。太陽電池の構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚から数十枚の素子を直列、並列に配線し、素子を長期間保護するためにパッケージが行なわれ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性プラスチックからなる充填材で隙間を埋め、裏面を耐熱、耐候性プラスチック材料等からなるシートで保護された構成になっている。
また、この太陽電池モジュールをフレキシブル化させるべく開発も行なわれており、これを達成するためには太陽光が当たる表面のガラス基板もプラスチック材料等からなるシートに置き換える必要があるが、プラスチック材料はガラス基板に比べてガスバリア性が劣るため、太陽電池の表面保護シートには太陽電池素子を守るために高いガスバリア性を付与する必要がある。また、太陽電池モジュールは屋外で高温・高湿度に曝されるため、表面保護シートは高温環境下でも高いガスバリア性を保つことが重要となる。
太陽電池表面保護シートには透明性の他、十分な耐久性や耐候性が要求されており、表面保護シートの耐久性を評価する手法として、加速試験が挙げられる。加速試験とは、太陽電池モジュールが屋外で高温・高湿度に長期間曝されたときの、表面保護シートの性質の変化を短時間で評価するための手法で、ダンプヒート(DH)試験やプレッシャークッカー試験(PCT)等が知られている。
特開平7−164591号公報
特許文献1に記載された積層フィルムは、高温・高湿環境下での水蒸気透過度等のガスバリア性が必要とされていなかった。
本発明の目的は、耐久性及びガスバリア性を十分に確保し、水蒸気バリア性及び耐久性に優れた透明なガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスバリア性積層フィルムでは、プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、ガスバリア層と、オーバーコート層とが順次形成されている。アンカー層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αは20ppm/℃≦α≦200ppm/℃である。オーバーコート層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αは20ppm/℃≦α≦200ppm/℃である。
本発明の一態様に係るガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品等の包装分野、及び電子機器関連部材等の分野において、高温環境下でも高いガスバリア性が必要とされる場合に、好適に用いることができる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの断面構成を例示した断面模式図である。
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムでは、基材層1の一方の表面上に、アンカー層2とガスバリア層3とオーバーコート層4とが厚み方向に順次積層されている。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1は透明なプラスチックフィルムからなる。透明なプラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸等の生分解性プラスチックフィルム、等が考えられる。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性等が優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性等の面から、包装材料には二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
更に、高度な耐熱性や寸法安定性が求められるLCDや有機ELディスプレイ等のFPD向けには、ポリエチレンナフタレートやポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート等が好ましく用いられる。
また、透明なプラスチックフィルムは、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含有しても良い。更に、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性を向上させるために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理等を施しても良い。
これらの透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、太陽電池等の電子機器向けとしては、加工適正等を考慮すると、実用的には25μm以上200μm以下の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいてアンカー層2の役割は、基材層1の表面を平滑化することにより上に形成するガスバリア層3のガスバリア性を向上させる他、ガスバリア層3の高温環境におけるガスバリア性劣化を防ぐものである。
例えば、線膨張係数の大きいアンカー層2上にガスバリア層3を形成すると、高温環境においてアンカー層2が熱膨張し、ガスバリア層3がアンカー層2の膨張に追従できずにクラック等が生じガスバリア性が劣化する場合がある。あるいは、ガスバリア層3に元から存在する微小クラックや粒界が広がり、高温環境において一時的にガスバリア性が劣化する場合がある。
このようなガスバリア性劣化を防ぐために、アンカー層2の0℃〜90℃(0℃以上90℃以下)における線膨張係数は20ppm/℃以上200ppm/℃以下であることが好ましい。線膨張係数が20ppm/℃より小さいアンカー層2にガスバリア層3を形成した場合、積層加工中の熱や応力によりアンカー層2にクラックが発生しやすく、ガスバリア層3との密着が悪くなるためにガスバリア性が低下する恐れがある。また、線膨張係数が200ppm/℃より大きいアンカー層2にガスバリア層3を形成した場合、高温環境でアンカー層2の熱膨張が起きた際、ガスバリア層3が追従できずにクラックが生じる。また、高温環境下でガスバリア層3の持つ欠陥を広げガスバリア性を劣化させてしまう。
アンカー層2の線膨張係数を制御するため、アンカー層2はポリオール類とイソシアネート化合物からなる有機化合物にシリカ粒子やアルミナ粒子のような無機化合物を添加したアンカー剤を塗布して形成する方法が有効である。ポリオール類が持つヒドロキシル基と、イソシアネート化合物が持つイソシアネート基が反応して生成したウレタン化合物が、基材層1及び後述するガスバリア層3との密着を向上させ、添加した無機化合物によってアンカー層2の線膨張係数を制御する。なお、線膨張係数は、例えば熱機械分析装置(TMA)を用いて測定することができる。
ポリオール類には、アクリルポリオールやポリエステルポリオール等が好ましく用いられ、イソシアネート化合物にはTDI(トリレンジイソシアネート)系、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)系、XDI(キシリレンジイソシアネート)系、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系等やそれらのアダクト体、ヌレート体が好ましく用いられる。
添加する無機化合物には、アンカー層2の透明性や平滑性を維持するため、シリカ粒子やアルミナ粒子等の無機酸化物粒子や、ガラス繊維等の無機酸化物フィラーを好ましく用いることができる。
このとき、アンカー層2に対して無機化合物が0.5質量%以上5質量%以下含まれることが好ましい。添加する無機化合物が0.5質量%より小さいと、アンカー層2の線膨張係数を制御する効果が得られない。また、5質量%より大きいとアンカー層2の平滑性が失われる。そのため、上に形成するガスバリア層3のガスバリア性が悪化する。
アンカー層2の膜厚は、0.05μm以上10μm以下の範囲にあることが好ましい。0.05μmより薄い場合、添加する無機化合物がアンカー層2の平滑性を悪化させ、次に積層するガスバリア層3のガスバリア性が悪化する原因となる。アンカー層2の膜厚が10μmより厚い場合、アンカー層2の硬化収縮等により基材層1やガスバリア層3との密着が低下し、ガスバリア性積層フィルムの耐久性が悪化する可能性がある。
アンカー層2の形成方法としてはウェットコーティング法が経済的であり、ポリオール類由来のヒドロキシル基とイソシアネート化合物由来のイソシアネート基が当量となるように混合し、無機酸化物としてシリカ粒子やガラス繊維等を添加し、適宜溶剤等で希釈したアンカー剤を、周知のウェットコーティング法で基材層1に塗布してアンカー層2を形成することができる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、ガスバリア層3は光学特性やガスバリア性、耐久性が良好な酸化珪素又は酸化アルミニウム又は酸化チタニウム又はそれらの複合物で形成されることが好ましい。また、ガスバリア層3の膜厚は5nm以上200nm以下であることが好ましい。膜厚が5nm未満であるとガスバリア材としての機能を十分に果たすことができず、また、200nmを超えるとガスバリア性積層フィルムの光学特性を制御することが困難となる他、積層加工中の熱や応力により、下層であるアンカー層2との密着が悪化する可能性がある。
ガスバリア層3の形成方法は特に限定されるものではないが、最低限の膜厚でガスバリア性を発現し、良好な光学特性を得るためにはプラズマ化学蒸着(CVD)法等が好ましく、巻取り式の真空成膜装置を用いると大面積に連続してガスバリア層3を形成することができる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、オーバーコート層4の役割はガスバリア層3を保護し、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性や耐久性を向上させる他、ガスバリア層3の高温環境におけるガスバリア性劣化を防ぐものである。
線膨張係数の大きいオーバーコート層4をガスバリア層3上に積層すると、高温環境においてオーバーコート層4が熱膨張し、ガスバリア層3がオーバーコート層4の膨張に追従できずにクラック等が生じガスバリア性が劣化する場合がある。あるいは、ガスバリア層3に元から存在する微小クラックや粒界が広がり、高温環境において一時的にガスバリア性が劣化する場合がある。このようなガスバリア性劣化を防ぐために、オーバーコート層4の0℃〜90℃における線膨張係数は20ppm/℃以上200ppm/℃以下であることが好ましい。
線膨張係数が20ppm/℃より小さいオーバーコート層4をガスバリア層3上に形成した場合、積層加工中の熱や応力によりオーバーコート層4にクラックが発生しやすく、ガスバリア層3との密着が悪くなるためにガスバリア性が低下する恐れがある。また、線膨張係数が200ppm/℃より大きいオーバーコート層4をガスバリア層3上に形成した場合、高温環境でオーバーコート層4の熱膨張が起きた際、ガスバリア層3が追従できずにクラックが生じる。また、高温環境下でガスバリア層3の持つ欠陥を広げガスバリア性を劣化させてしまう。
オーバーコート層4の線膨張係数を制御するため、オーバーコート層4は無機化合物と有機化合物の混合物からなり、無機化合物と有機化合物の重量比が20/80以上70/30以下の範囲にあることが好ましい。すなわち、無機化合物の含有率が20%以上70%以下の範囲にあることが好ましい。無機化合物と有機化合物の重量比が20/80(無機化合物の含有率が20%)より小さい場合、オーバーコート層4の線膨張係数を制御する効果が発揮されず、高温環境でのオーバーコート層4の熱膨張により、ガスバリア層3にクラックを生じさせる。また、ガスバリア層3の持つ欠陥を広げガスバリア性を劣化させてしまう。無機化合物と有機化合物の重量比が70/30(無機化合物の含有率が70%)より大きい場合、積層加工中の熱や応力によりオーバーコート層4にクラックが入りやすく、ガスバリア層3との密着が悪化してガスバリア積層フィルムの耐久性が失われる。
オーバーコート層4の形成方法としては、金属アルコキシドの加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子の混合液を塗布して形成する方法が有効である。金属アルコキシドの例としては、テトラエトキシシランやトリイソプロピルアルミニウム等を、水/アルコール混合液中で加水分解したものが考えられる。加水分解反応の過程で、金属アルコキシドのアルキル基は脱離するため、オーバーコート層4中では無機化合物として存在する。また、水酸基を有する水溶性高分子には、ポリビニルアルコールやメチルセルロース等が挙げられる。これらは網目状構造を有しやすく、金属アルコキシド由来の無機化合物を網目間に取り込み結合することで、オーバーコート層4のガスバリア性や耐久性を向上させることができる。好適なオーバーコート層4の形成方法として、ウェットコーティング法が経済的である。金属アルコキシドの加水分解物と水溶性高分子を混合したものを適宜希釈したオーバーコート剤を、周知のウェットコーティング法でガスバリア層3上に塗布してオーバーコート層4を形成することができる。
<実施例及び比較例>
以下、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムについて、実施例及び比較例により詳細に説明するが、実際には下記の例に制限されるものではない。以下の実施例1、2、3においては、図1に示したように、基材層1の一方の表面上に、アンカー層2とガスバリア層3とオーバーコート層4を順次積層したガスバリア性積層フィルムを作製した。
<実施例1>
以下のようにして、実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
基材層1として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
基材層1上に、アクリルポリオール(140KOHmg/g)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を1当量になるように混合した液に、粒径0.2μmのシリカ粒子を5質量%添加したアンカー剤をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ厚さ1μmのアンカー層2を形成した。このとき、アンカー層2の線膨張係数は80ppm/℃であった。
続いて、アンカー層2上にプラズマCVD法(化学気相成長法)を用い、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)/酸素=10/100sccmの混合ガスを電極間に導入し、電力を0.5kW印加してプラズマ化し、SiOx(x=1.8)で表される厚さ50nmのガスバリア層3を積層した。
次に、ガスバリア層3上に、テトラエトキシシラン(TEOS)を水/メタノール混合液で加水分解した5%溶液と、ポリビニルアルコール(PVA)5%水溶液を、SiO2/PVA重量比が50/50になるように調整したオーバーコート剤をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ厚さ0.5μmのオーバーコート層4を形成した。このとき、オーバーコート層4の線膨張係数は70ppm/℃であった。
なお、アンカー層2とオーバーコート層4の線膨張係数は日立ハイテクサイエンス製EXSTAR TMA/SS6100を用いて測定した。テフロン(登録商標)シート上にアンカー剤及びオーバーコート剤を滴下し、乾燥・硬化させ作製したフィルム状サンプルを、テフロン(登録商標)シートから剥がして線膨張係数を測定した。測定プローブは引張を用い、昇温速度は5℃/minとした。
<実施例2>
実施例1と同様にして、厚さ50μmのPETフィルム基材層1上に、粒径0.2μmのシリカ粒子を0.5質量%添加したアンカー剤をコーティングし5μmのアンカー層2を形成した。このとき、アンカー層2の線膨張係数は160ppm/℃であった。その他は実施例1と同様にして、実施例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例2と同様にして、厚さ50μmのPETフィルム基材1上に、アンカー層2とガスバリア層3を積層した。ガスバリア層3上に、SiO2/PVA重量比が20/80になるように調整したオーバーコート剤をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ厚さ1μmのオーバーコート層4を形成した。このとき、オーバーコート層4の線膨張係数は150ppm/℃であった。
<比較例1>
以下のようにして、比較例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
基材層1として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。基材層1上に、アクリルポリオール(140KOHmg/g)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を1当量になるように混合したアンカー剤をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させて、厚さ1μmのアンカー層2を形成した。このときアンカー層2の線膨張係数は400ppm/℃であった。
続いて、アンカー層2上に、実施例1と同様にしてガスバリア層3を形成した。
最後に、ガスバリア層3上に、テトラエトキシシラン(TEOS)を水/メタノール混合液で加水分解した5%溶液と、ポリビニルアルコール(PVA)5%水溶液を、SiO2/PVA重量比が10/90になるように調整したオーバーコート剤をグラビアコート法によりコーティングし、乾燥・硬化させ厚さ0.5μmのオーバーコート層4を形成した。このとき、オーバーコート層4の線膨張係数は250ppm/℃であった。
<比較評価>
実施例1、2及び比較例1のガスバリア性積層フィルムについて、モダンコントロール社製の水蒸気透過率計(PERMATRAN)及び日立ハイテクノロジーズ製高温試験システム(TH−85)を用いて、40、50、60、70、85℃90%RHの水蒸気透過率(g/m2/24h)を測定した。この測定結果を表1に示す。
Figure 2015058589
実施例1、2、3のガスバリア性積層フィルムは、比較例1のガスバリア性積層フィルムと比べて、温度が上昇したときの水蒸気透過率の増加が抑えられている。
<各実施例の関係>
なお、上記の各実施例は、選択的に実施することも可能である。
<本実施形態の効果>
本実施形態は、以下のような効果を奏する。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、ガスバリア層と、オーバーコート層とが順次積層されている。アンカー層の0℃から90℃における線膨張係数αを20ppm/℃≦α≦200ppm/℃とし、オーバーコート層の0℃から90℃における線膨張係数αを20ppm/℃≦α≦200ppm/℃とすることにより、高温環境下におけるアンカー層とオーバーコート層の熱膨張を抑制し、ガスバリア層の高いガスバリア性を保持することができる。
また、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、アンカー層の組成を有機化合物に無機化合物を添加したものとし、無機化合物を0.5質量%以上5質量%以下含むことにより、アンカー層の線膨張係数を前述の範囲に安定させることが可能である。
また、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、オーバーコート層の組成を無機化合物と有機化合物の混合物とし、その重量比を20/80以上70/30以下とすることにより、オーバーコート層の線膨張係数を前述の範囲に安定させることが可能である。
アンカー層が少なくともポリオール類とイソシアネート化合物と無機酸化物を含むアンカー剤を塗布して形成される場合には、上に積層するガスバリア層のガスバリア性を向上させることができる。また、アンカー層の膜厚を0.05μm以上10μm以下とすることにより、基材層の表面を平滑化しガスバリア性を向上させることができる。
オーバーコート層が少なくとも1種類の金属アルコキシドの加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を含むオーバーコート剤を塗布して形成される場合には、ガスバリア層を保護しガスバリア性積層フィルムの耐久性を向上させることができる。また、オーバーコート層の膜厚を0.05μm以上10μm以下とすることにより、ガスバリア性積層フィルムの透明性を保持し、耐久性を向上させることができる。
更に、ガスバリア層を酸化珪素又は酸化アルミニウム又は酸化チタニウム又はそれらの複合物5nm以上200nm以下の厚みで形成することにより、透明かつ優れたガスバリア性を発揮させることができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品等の包装分野、及び電子機器関連部材等の分野において、高温環境下でも高いガスバリア性が必要とされる場合に、好適に用いられる。特に、太陽電池モジュールの表面保護シート、裏面保護シート向けとして、耐久性及びガスバリア性を十分に確保するものであり、水蒸気バリア性及び耐久性に優れている。
1… 基材層
2… アンカー層
3… ガスバリア層
4… オーバーコート層

Claims (8)

  1. プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、ガスバリア層と、オーバーコート層とが順次形成されており、
    前記アンカー層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αが20ppm/℃≦α≦200ppm/℃であり、
    前記オーバーコート層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αが20ppm/℃≦α≦200ppm/℃であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記アンカー層が有機化合物に無機化合物を添加してなり、
    前記アンカー層に対して無機化合物が0.5質量%以上5質量%以下含まれることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記オーバーコート層が無機化合物と有機化合物の混合物からなり、
    前記オーバーコート層の無機化合物と有機化合物の重量比が20/80以上70/30以下の範囲にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記アンカー層が少なくともポリオール類とイソシアネート化合物と無機酸化物の複合物からなり、
    前記アンカー層の膜厚が0.05μm以上10μm以下の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 前記オーバーコート層が少なくとも1種類以上の金属アルコキシドの加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子との混合物からなり、
    前記オーバーコート層の膜厚が0.05μm以上10μm以下の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  6. 前記ガスバリア層が酸化珪素又は酸化アルミニウム又は酸化チタニウム又はそれらの複合物からなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  7. 前記ガスバリア層の厚みが5nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  8. プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に、アンカー層と、ガスバリア層と、オーバーコート層とを順次形成し、
    前記アンカー層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αを20ppm/℃≦α≦200ppm/℃とし、
    前記オーバーコート層の0℃以上90℃以下における線膨張係数αを20ppm/℃≦α≦200ppm/℃とすることを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
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