JP2015057277A - マイクロカプセル、および固体物質内包型マイクロカプセルならびにその製法 - Google Patents

マイクロカプセル、および固体物質内包型マイクロカプセルならびにその製法 Download PDF

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延能 吉村
Enno Yoshimura
延能 吉村
大西 啓介
Keisuke Onishi
啓介 大西
田中 眞人
Masato Tanaka
眞人 田中
佳成 田口
Yoshinari Taguchi
佳成 田口
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Abstract

【課題】徐放性に優れた、固体物質を内包してなる数百μmオーダーの粒子サイズの固体物質内包型マイクロカプセルを容易に得ることのできる製法を提供することを目的とする。
【解決手段】マイクロカプセルのシェルが多糖類のゲル化反応を利用して得られてなるマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜1000μmであることを特徴とするマイクロカプセル。
【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロカプセル、および固体物質内包型マイクロカプセルならびにその製法に関し、詳細には、農薬、防藻剤や防カビ剤等の殺菌剤、医薬品、食品、飼料、肥料、人工種子、顔料、染料等の固体物質が内包されてなる極微小の固体物質内包型マイクロカプセルおよびその製法に関するものである。
従来から、農薬、医薬品等の固体物質を内包するためのマイクロカプセルとして、アルギン酸と塩化カルシウムのゲル化反応を利用して得られるマイクロカプセルが知られており、このマイクロカプセルに上記固体物質を内包してなる固体物質内包型マイクロカプセルが開発されている。
その一例として、アルギン酸ナトリウム水溶液に繊維質成分を混合し、この繊維質成分を含有するアルギン酸ナトリウム水溶液からゲルビーズを得て、上記ゲルビーズを乾燥することにより、繊維質成分を含有したアルギン酸被膜ゲルからなる、ファイバー入りゲルマイクロカプセルを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−15163号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術には、得られたマイクロカプセルの粒子サイズに関して何ら記載されておらず、その製造工程から、例えば、実施例においては、直径2〜3mmのノズルを通してアルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム液中に滴下する方法が記載されていることから、得られるマイクロカプセル粒子も3〜4mm程度の粒子径の大きなマイクロカプセル粒子が得られると推察される。このように、従来では、粒径の大きなマイクロカプセルの概念しかなく、しかも上記特許文献1の実施例においては、得られたマイクロカプセルに固体物質が内包されておらず、実際に上記のような方法にて固体物質を内包することが可能であるか明らかではなく、仮に固体物質を内包する場合は、当然ながらマイクロカプセル自体の強度が必要となることから、繊維質成分(ファイバー)の使用量も多くなると推測される。従って、このような事情を考慮すると内包される固体物質の存在に加えて繊維質成分(ファイバー)の増量の影響により、滴下する溶液の粘度が上昇することから、ノズルが詰まり易くなり、固体物質を内包してなるマイクロカプセルの製造方法として現実的ではない。
このように、近年、例えば、農薬等の分野では、農薬を内包したマイクロカプセルに徐放性を持たせることが必要とされているところ、従来のような直径が数mmオーダーとなるようなカプセルの粒子サイズでは、粒子サイズが大きいため、例えば水和剤等に混和する場合、充分かつ均一な量を混和することができないため、最終製品の徐放性が不安定であったり、ハンドリング等の問題があった。すなわち、上記特許文献1に開示された製造方法では、得られるマイクロカプセルの直径サイズは数mmオーダーとなることから、さらなるマイクロカプセルの微粒子化を図る際には、ノズルによる滴下法では設備等に関して特殊な機械を使用する必要が生じるが、先に述べたようにノズルによる滴下法では、詰まりが生じ、均一なカプセルが得られない問題もある。
このように、従来の製造方法では、徐放性に優れた微粒子化が図られた固体物質内包型マイクロカプセルを得ることは困難であり、いわゆる固体物質を内包してなる数百μmオーダーの粒子径を有するマイクロカプセルが要望されている。
本発明は、上記事情に鑑み、徐放性に優れた、マイクロカプセル、および固体物質内包型マイクロカプセル、ならびに特殊な製造装置を使用せずとも、固体物質を内包してなる数百μmオーダーの粒子サイズの固体物質内包型マイクロカプセルを容易に得ることのできる製法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、徐放性に優れた従来にはない固体物質を内包してなる数百μmオーダーの粒子サイズの固体物質内包型マイクロカプセルを容易に得ることのできる製造方法について鋭意検討を重ねた。そして、従来のノズル等を用いた滴下法によりマイクロカプセルを製造する方法に替えて、他の効果的な製造方法について試行錯誤を重ねた結果、液滴合一法、すなわち、固体物質、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方、繊維状成分を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(I)を準備するとともに、2価以上の金属の金属塩を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(II)を準備し、上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合し撹拌することにより、上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方と2価以上の金属の金属塩とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質を内包してなる数百μmオーダーの粒子サイズの固体物質内包型マイクロカプセルが得られることを見出し本発明に到達した。
そして、このようにして得られた固体物質内包型マイクロカプセルは、平均粒子径が1〜1000μmという従来に得られなかったものであり、この固体物質内包型マイクロカプセルは優れた徐放性を示すことを見出した。
《本発明の要旨》
すなわち、本発明は、マイクロカプセルのシェルが多糖類のゲル化反応を利用して得られてなるマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜1000μmであるマイクロカプセルを第1の要旨とする。
また、本発明は、固体物質が、上記第1の要旨であるマイクロカプセルにて内包されてなる固体物質内包型マイクロカプセルを第2の要旨とする。
さらに、本発明は、固体物質、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方、繊維状成分を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(I)を準備する工程と、2価以上の金属の金属塩を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(II)を準備する工程と、
上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合し撹拌することにより、上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方と2価以上の金属の金属塩とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質が内包されてなる平均粒子径1〜1000μmの固体物質内包型マイクロカプセルを製造する工程
とを備えた固体物質内包型マイクロカプセルの製法を第3の要旨とする。
このように、本発明は、シェルが多糖類のゲル化反応を利用して得られてなる平均粒子径が1〜1000μmであるマイクロカプセルであり、具体的には、固体物質が、上記マイクロカプセルにて内包されてなる固体物質内包型マイクロカプセルである。このため、従来にはない粒子径の小さいマイクロカプセルであることから、大きい粒径のマイクロカプセルに比べ、単位重量あたり粒子数が多いため比表面積が大きく、粉体のような粒径の細かい固体物質を内包する場合、大きい粒径のマイクロカプセルに比べ、粒径の小さいマイクロカプセルは固体物質がより均一にマイクロカプセルに内包しやすく、かつシェルの厚み・密度等の自由度も調整しやすいことから、内包された固体物質の徐放性に優れたものである。また、マイクロカプセルの大きさも従来に比べて小さいものであり、このマイクロカプセルを利用した最終製品のサイズの制限が広がり、各種用途に利用可能となる。
そして、本発明は、固体物質、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方、繊維状成分を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(I)を準備する工程と、2価以上の金属の金属塩を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(II)を準備する工程と、上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合し撹拌することにより、上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方と2価以上の金属の金属塩とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質が内包されてなるマイクロカプセルを製造する方法である。このため、従来の製法では得られなかった、数〜数百μmオーダーの固体物質内包型マイクロカプセルを、特殊な製造装置を用いずに容易に製造することが可能となる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のマイクロカプセルは、多糖類のゲル化反応を利用して得られたマイクロカプセルである。より詳しくは、マイクロカプセルのシェル(外殻)部分が、多糖類のゲル化反応を利用して得られたマイクロカプセルである。
上記多糖類のゲル化反応とは、例えば、多糖類がアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)の場合、このアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)と2価以上の金属の金属塩(b)とのキレート化反応によるゲル化があげられる。上記アルギン酸は、マンヌロン酸とグルロン酸とからなる高分子化合物である。
また、多糖類がセルロース類の場合、このセルロース類とタンニン酸との脱水縮合反応によるゲル化があげられる。上記セルロース類としては、例えば、ヒドロキシセルロース、カルボキシセルロース、メチルセルロース等があげられる。
<アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)>
上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)と2価以上の金属の金属塩(b)とのキレート化反応によるゲル化において使用されるアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)としては、アルギン酸はもちろん、その塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のようなアルカリ金属塩があげられる。中でも水に対する溶解度が高い点でナトリウム塩である、アルギン酸ナトリウムが好ましく用いられる。そして、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)は水溶液として用いることが好ましい。
上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)を水溶液として用いる際の濃度は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。水溶液の濃度が高すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難い傾向がみられ、水溶液の濃度が低すぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
また、その際の水溶液粘度(23℃)としては、通常1〜40,000mPa・s、好ましくは5〜20,000mPa・s、特に好ましくは10〜10,000mPa・sである。水溶液粘度が高すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難い傾向がみられ、水溶液粘度が低すぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
<2価以上の金属の金属塩(b)>
上記2価以上の金属の金属塩(b)における金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属;亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム等の典型金属;銅、鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル等の遷移金属などがあげられる。これらの中でも好ましくはマイクロカプセル粒子のシェル形成のしやすさの点で、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属であり、特に好ましくはカルシウムである。
そして、上記カルシウムの金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、シュウ酸カルシウム等があげられ、好ましくはマイクロカプセル粒子のシェル形成のしやすさの点で、塩化カルシウムが用いられる。
上記2価以上の金属の金属塩(b)は水溶液として用いることが好ましい。
上記2価以上の金属の金属塩(b)を水溶液として用いる際の濃度は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。水溶液の濃度が高すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難い傾向がみられ、水溶液の濃度が低すぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
本発明のマイクロカプセルは、上記多糖類のゲル化反応を利用して得られるものであり、その平均粒子径は、通常1〜1000μm、好ましくは10〜800μm、特に好ましくは30〜600μmである。マイクロカプセルの平均粒子径が大きすぎると、連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる可能性があり、平均粒子径が小さすぎると界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向がある。
本発明のマイクロカプセルとしては、具体的には、マイクロカプセルのシェル(外殻)部分により固体物質が内包された固体物質内包型マイクロカプセルがあげられる。
上記固体物質としては、例えば、医薬品、農薬、防藻剤や防カビ剤等の殺菌剤、食品、飼料、肥料、人工種子、顔料、染料等があげられる。中でも、25℃における水への溶解度が1重量%以下の固体物質が好ましく、特に好ましくは25℃における水への溶解度が0.5重量%以下、更に好ましくは25℃における水への溶解度が0.1重量%以下である。なお、25℃における水への溶解度の下限としては通常0%である。25℃における水への溶解度が高すぎると、分散媒である水に溶解し、マイクロカプセルの内包率が低下する傾向がある。
このような25℃における水への溶解度の条件を満たすものとしては、具体的には、常圧において固体形状を示す粒子であり、例えば、顔料、染料、薬剤等があげられる。
このような固体物質は、マイクロカプセルに内包する際には粒子状にして用いることが好ましく、この場合粒子の粒子径としては、通常0.1〜1000μm、好ましくは0.5〜800μm、特に好ましくは1〜500μmである。固体物質の粒径が大きすぎると、マイクロカプセルにより充分に内包できなくなる傾向があり、粒径が小さすぎると、水相の粘度が上がり、マイクロカプセル中での分散性が悪くなる傾向がある。
<固体物質内包型マイクロカプセルの製法>
本発明の固体物質内包型マイクロカプセルは、下記に示す工程[I]〜[III]を経由することにより製造することができ、必要に応じ下記の工程[IV]に従い精製してもよい。
[I]固体物質、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)、繊維状成分を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(I)を準備する工程。
[II]2価以上の金属の金属塩(b)を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(II)を準備する工程。
[III]上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合することにより、上記多糖類であるアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)と2価以上の金属の金属塩(b)とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質が内包されてなる固体物質内包型マイクロカプセルを製造する工程。
[IV]必要に応じて、固体物質内包型マイクロカプセルを精製する工程。
<工程[I]>
上記工程[I]について詳述する。まず、多糖類であるアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)が所定の濃度となるよう水溶液を調製する。つぎに、得られたアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)からなる水溶液に、固体物質、繊維状成分を計量し、撹拌して混合水溶液を調製する。一方、界面活性剤を油性媒体にて溶解させる。そして、上記固体物質と繊維状成分が分散されたアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)からなる混合水溶液を、上記界面活性剤が溶解してなる油性媒体中に添加し、撹拌することにより、乳化状態の油中(W/O)分散液(I)を作製する。
上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)としては、先に述べた各種化合物があげられる。そして、上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)の使用量は、固体物質100重量部に対して好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは3〜90重量部、更に好ましくは5〜80重量部である。アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)の使用量が多すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難くなる傾向がみられ、少なすぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
上記繊維状成分としては、天然繊維、化学繊維等があげられる。上記天然繊維としては、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維、食物繊維等があげられ、上記化学繊維としては、例えば、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、ガラス繊維、炭素繊維、人造鉱物繊維等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、天然繊維を用いることが好ましく、さらに好ましくは植物繊維であり、特に好ましくは天然セルロース繊維である。これらは、繊維質であるため、マイクロカプセル粒子内で固体物質の離脱を防止でき、内包率を向上することができるだけでなく、マイクロカプセル粒子の機械的強度の向上が可能である。
上記繊維状成分の大きさとしては、繊維長で、通常0.1〜1000μm、好ましくは0.5〜500μm、特に好ましくは1〜100μmである。繊維長が長すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難い傾向がみられ、繊維長が短すぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
上記繊維状成分の使用量は、固体物質100重量部に対して好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは5〜90重量部、更に好ましくは10〜80重量部である。繊維状成分の使用量が多すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難くなる傾向がみられ、少なすぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
上記界面活性剤としては、天然物由来の界面活性剤やノニオン性界面活性剤等があげられる。そして、上記天然物由来の界面活性剤としては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等のレシチン、植物に含まれるサポニン等があげられる。また、上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等があげられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
中でも、上記界面活性剤として、生分解性の点で天然物由来の界面活性剤を用いることが好ましく、特に好ましくは大豆レシチンである。もしくは安定性の点でHLB(親水親油平衡)が12以下のノニオン性界面活性剤を用いることも好適である。上記HLBは好ましくは1〜12、特に好ましくは2〜11、更に好ましくは3〜10である。上記HLBが大きすぎると、所望のW/O分散系とはならず、O/W分散系になり分散相にゲル化成分が分布し均一なマイクロカプセル粒子が得られ難くなる傾向がみられ、HLBが小さすぎると、分散系の粒子の安定性が高くなりすぎ、ゲル化反応によるマイクロカプセル壁が充分な強度を備え難くなる傾向がみられる。
上記界面活性剤の使用量は、固体物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。かかる使用量が多すぎると粒子径が小さくなり界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向があり、少なすぎると粒子径が大きくなり連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる傾向がある。
上記油性媒体としては、動物油、鉱物油、植物油等があげられ、植物油が好ましく用いられる。上記植物油の中でも、特に好ましくはアーモンド油、アボガド油、ベルガモット油、ヒマシ油、ツェーデル油、チョウジ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、ハズ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ブドウ種子油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラベンダー油、レモン油、アマニ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、オリーブ油、オレンジ油、オリガヌム油、パーム油、パーシック油、菜種油、ローズヒップ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、テレビン油等があげられる。更に好ましくは大豆油、コーン油、菜種油、オリーブ油、パーム油、ユーカリ油である。
さらには、上記油性媒体としては、常温で液体のものが好ましい。また、融点が10℃以下のものが好ましい。
上記油性媒体の使用量は、固体物質100重量部に対して、好ましくは100〜10,000重量部、特に好ましくは300〜7,500重量部、更に好ましくは500〜5,000重量部である。かかる使用量が多すぎると粒子径が小さくなり界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向があり、少なすぎると粒子径が大きくなり連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる傾向がある。
上記固体物質と繊維状成分が分散されたアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)からなる混合水溶液を、上記界面活性剤が溶解してなる油性媒体中に添加し、撹拌する。この撹拌する際の撹拌速度としては、通常、液面が動く状態であればよく、具体的には250rpm程度である。
上記撹拌時の温度条件としては、常温であればよく、具体的には25±15℃程度である。
また、上記撹拌に使用する装置としては、一般に懸濁重合に用いられる装置であればよいが、好ましくはより均一に撹拌させるため、干渉壁のある装置が用いられる。
上記撹拌により作製された、乳化状態の油中(W/O)分散液(乳化液)(I)中の粒子の平均粒子径は、通常1〜800μm、好ましくは10〜600μm、特に好ましくは30〜400μmである。
<工程[II]>
上記工程[II]について詳述する。まず、2価以上の金属の金属塩(b)を水に溶解させた水溶液を調製する。他方、界面活性剤を油性媒体に溶解させる。ついで、上記2価以上の金属の金属塩(b)が溶解した水溶液を、上記界面活性剤が溶解した油性媒体中に添加し、撹拌する。更に、ホモミキサー等の撹拌混合装置にて所定条件にて撹拌することにより、乳化状態の油中(W/O)分散液(II)を作製する。
上記2価以上の金属の金属塩(b)は、先に述べたものが用いられ、その使用量は、固体物質100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、特に好ましくは5〜100重量部、更に好ましくは10〜70重量部である。(b)の使用量が多すぎると、ゲル化時の分散が不充分になり均一なマイクロカプセル粒子が得られ難い傾向がみられ、少なすぎると、強靭なマイクロカプセル壁が得られ難い傾向がみられる。
上記界面活性剤としては、先の工程[I]にて述べた界面活性剤と同様のものがあげられ、生分解性の点で天然物由来の界面活性剤を用いることが好ましく、特に好ましくは大豆レシチンである。もしくはHLB(親水親油平衡)が12以下のノニオン性界面活性剤を用いることも好適である。上記HLBは好ましくは1〜12、特に好ましくは2〜11、更に好ましくは3〜10である。上記HLBが大きすぎると、所望のW/O分散系とはならず、O/W分散系になり分散相にゲル化成分が分布し均一なマイクロカプセル粒子が得られ難くなる傾向がみられ、HLBが小さすぎると、分散系の粒子の安定性が高くなりすぎ、ゲル化反応によるマイクロカプセル壁が充分な強度を備え難くなる傾向がみられる。
上記界面活性剤の使用量は、固体物質100重量部に対して好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。かかる使用量が多すぎると粒子径が小さくなり界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向があり、少なすぎると粒子径が大きくなり連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる傾向がある。
上記油性媒体も、先の工程[I]にて述べた油性媒体と同様のものがあげられ、生分解性の点で植物油が好ましく用いられる。上記植物油の中でも、特に好ましくはアーモンド油、アボガド油、ベルガモット油、ヒマシ油、ツェーデル油、チョウジ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、ハズ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、ブドウ種子油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラベンダー油、レモン油、アマニ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、オリーブ油、オレンジ油、オリガヌム油、パーム油、パーシック油、菜種油、ローズヒップ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、テレビン油等があげられる。更に好ましくは大豆油、コーン油、菜種油、オリーブ油、パーム油、ユーカリ油である。
さらには、上記油性媒体としては、常温で液体のものが好ましい。また、融点が10℃以下のものが好ましい。
上記油性媒体の使用量は、固体物質100重量部に対して好ましくは10〜6,000重量部、特に好ましくは50〜4,000重量部、更に好ましくは100〜2,000重量部である。かかる使用量が多すぎると粒子径が小さくなり界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向があり、少なすぎると粒子径が大きくなり連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる傾向がある。
上記工程[II]における乳化状態の油中(W/O)分散液(II)の製造に際しての添加条件としては、界面活性剤が溶解した油性媒体中に、2価以上の金属の金属塩(b)の水溶液を添加し撹拌する方法があげられる。このようにして、先の工程[I]にて製造された乳化状態の油中(W/O)分散液(I)中に分散された粒子径よりも小さい粒子径の粒子を得る必要がある。このような粒子を得る方法としては、上記界面活性剤の使用量を増加する方法や、撹拌混合時における機械的な剪断力により微粒子化を図る方法等があげられる。
上記撹拌混合条件としては、例えば、撹拌回転速度は、通常2,000〜15,000rpm、好ましくは3,000〜12,000rpmで、特に好ましくは4,000〜10,000rpmである。また、撹拌混合時間は、通常1〜60分間、好ましくは1〜30分間である。
撹拌混合時の温度条件としては、常温であればよく、具体的には30±20℃程度である。
上記工程[II]において使用する装置としては、一般に懸濁重合に用いられる装置であればよいが、好ましくはより均一に撹拌させるため、干渉壁のある装置が用いられる。
また、撹拌装置としては、ホモミキサーを用いることが好ましい。
上記撹拌混合により作製された、乳化状態の油中(W/O)分散液(乳化液)(II)中の粒子径は、通常1〜300μm、好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜100μmである。
<工程[III]>
上記工程[III]について詳述する。すなわち、撹拌下、上記工程[I]にて作製された油中(W/O)分散液(I)と、上記工程[II]にて作製された油中(W/O)分散液(II)を混合し、所定条件にて撹拌することにより、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)と2価以上の金属の金属塩(b)とのキレート化反応によるゲル化を生起させる。
上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)の配合比率(重量比)は、好ましくは(I):(II)=30:70〜90:10、特に好ましくは(I):(II)=40:60〜85:15、更に好ましくは(I):(II)=50:50〜80:20である。上記配合比率において、分散液(I)が多すぎると、ゲル化が充分に行われ難く、分散液(I)が少なすぎるとゲル化は充分であるが、反応収率が低下する傾向がみられる。
上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合するに際しての添加条件としては、上記油中(W/O)分散液(I)に油中(W/O)分散液(II)を添加し撹拌する方法があげられる。
上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)の撹拌混合時における撹拌速度としては、通常、液面が動く状態であればよく、具体的には250rpm程度である。
上記撹拌時の温度条件としては、常温であればよく、具体的には30±20℃程度である。
また、上記撹拌に使用する装置としては、一般に懸濁重合に用いられる装置であればよいが、好ましくはより均一に撹拌させるため、干渉壁のある装置が用いられる。
上記撹拌により、多糖類であるアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)と2価以上の金属の金属塩(b)とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方(a)からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質が内包されてなる固体物質内包型マイクロカプセルが製造される。
<工程[IV]>
上記固体物質が内包されたマイクロカプセルは、必要に応じて所定の方法にて精製してもよいものである。
上記マイクロカプセルの精製方法としては、例えば、濾過することによりマイクロカプセル粒子を濾取する方法があげられる。さらに好ましくは、上記マイクロカプセル粒子表面に付着している油性媒体を除去するために、低級アルコール等の有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程を経由する。
上記濾過方法としては、マイクロカプセルの粒子サイズが数百μm程度であることから、上記マイクロカプセル粒子を通さない濾紙が用いられる。さらには、濾過において吸引濾過装置を用いてもよい。
また、濾過後のマイクロカプセルの乾燥条件としては、通常90〜120℃(好ましくは100〜110℃)で、30分〜3時間(好ましくは30分〜2時間)の乾燥条件があげられる。
さらに、前述のとおり、上記濾過工程の後、マイクロカプセル表面に付着した油性媒体を洗浄するために、低級アルコールで洗浄する洗浄工程を経由することが好ましく、より好ましくは2−プロパノール等の低級アルコールを用いて撹拌下洗浄を行なうことである。
<固体物質内包型マイクロカプセル>
このようにして得られる固体物質内包型マイクロカプセルは、平均粒子径が1〜1000μmであることが必要である。好ましくは10〜800μm、特に好ましくは30〜600μm、更に好ましくは60〜400μmである。マイクロカプセルの平均粒子径が大きすぎると、連続相(油性媒体)とマイクロカプセル粒子の密度差により系が不安定になる可能性があり、平均粒子径が小さすぎると界面エネルギーの増加や系全体の粘性増加により不安定になる傾向がある。
上記固体物質内包型マイクロカプセルの粒径分布としては、粒径1μm未満の粒子の分布が10重量%以下であり、粒径1000μmより大きい粒子の分布が10重量%以下であることが好ましい。
上記固体物質内包型マイクロカプセルの平均粒子径は、つぎのようにして測定される。すなわち、Phenom−World社の卓上SEM proXにて固体物質内包型マイクロカプセル粒子を撮影する。そして、その撮影結果からメジャー機能を用いて、サンプル(固体物質内包型マイクロカプセル粒子)30個以上の粒子径を測定し、その平均値を算出して固体物質内包型マイクロカプセルの平均粒子径とする。この時の測定条件としては、チャージ軽減ホルダーを用い、加速電圧5kVにて、無蒸着観察を行なう。
上記固体物質内包型マイクロカプセルは、ポリウレタン等のポリマーにより更に被覆することも可能である。かかる被覆により、内包された固体物質の溶解を抑制することが可能となる。
上記被覆は、例えば、上記工程[III]で得られた含水している固体物質内包型マイクロカプセルを濾取し、このマイクロカプセルをイソシアネートが分散もしくは溶解している油中に配合する方法によって行なうことができ、固体物質内包型マイクロカプセルが含む水とイソシアネートとが反応しポリウレタン製の被膜が形成されることとなる。
かかるイソシアネートとしては、例えば、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、TDI(トルエンジイソシアネート)等を用いることができる。
本発明の固体物質内包型マイクロカプセルは、例えば、農薬、防藻剤や防カビ剤等の殺菌剤、医薬品、食品、飼料、肥料、人工種子、顔料、染料等の固体物質が内包されてなる極微小の固体物質内包型マイクロカプセルであり、上記内包された固体物質の徐放性に優れたものである。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
[実施例1]
内包する固体物質、および、マイクロカプセル形成材料として下記各原料を準備した。
<マイクロカプセルの原料・内包される固体物質材料>
固体物質:クミアイ化学工業社製、商品名「クミアイ アドマイヤー顆粒水和剤」;イミダクロプリド50%含有品。イミダクロプリドの水に対する溶解度は、0.061g/100ml(20.0℃)610ppm(国際化学物質安全性カードより)である。また、「クミアイ アドマイヤー顆粒水和剤」は顆粒状になっているため、粒子径が40μm以下まで乳鉢で磨り潰して使用した。
(a)アルギン酸ナトリウム(キミカ社製、商品名「アルギテックスH」);イオン交換水で希釈し2%水溶液として使用した。粘度は4,600mPa・s(BL型粘度計、12rpm、23℃)であった。
繊維状成分:セルロースファイバー〔J.RETTENMAIER USA LP社製、商品名「Arbocel UFC100」;繊維長8μm〕
界面活性剤:大豆レシチン(和光純薬工業社製)
油性媒体:コーン油(和光純薬工業社製)
(b)塩化カルシウム(和光純薬工業社製:5%水溶液)
界面活性剤:ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤(花王社製、商品名「レオドールSP−L10」)
上記各原料を用い、以下の製法に従って固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
<工程[I]>
ビーカーに、アルギン酸ナトリウムを12.3部(有効成分量)、セルロースファイバー30.7部、固体物質100部(有効成分量)を配合し、スパチュラで均一になるまで混合し、混合液(A)を得た。
ついで、タービン羽6枚を撹拌翼として備えたセパラブルフラスコに、大豆レシチン2.8部、コーン油1056.6部を配合し、250rpmで撹拌し、大豆レシチンを溶解させた後、上記混合液(A)を添加し、更に30分間撹拌することにより、乳化状態の油中(W/O)分散液(I)を製造した。
<工程[II]>
ビーカーに、塩化カルシウム20.5部(有効成分量)、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2.8部、コーン油542部を配合し、ホモミキサーを用いて8000rpmにて、4.5分間撹拌することにより、乳化状態の油中(W/O)分散液(II)を製造した。
<工程[III]>
上記油中(W/O)分散液(II)を上記油中(W/O)分散液(I)に添加し、室温(25℃)にて、250rpmにて1時間ゲル化反応を行なった。
<工程[IV]>
ゲル化反応終了後、吸引濾過装置を用いて濾過を行なった後、2−プロパノール770mlにて洗浄し、さらに105℃のオーブン中にて1時間乾燥させることにより固体物質が内包された固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例2]
実施例1にて使用したアルギン酸ナトリウム(キミカ社製、商品名「アルギテックスH」)を、アルギン酸ナトリウム(キミカ社製、商品名「アルギテックスLL」)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。なお、上記「アルギテックスLL」の2%水溶液の粘度は200mPa・s(BL型粘度計、12rpm、23℃)であった。
[実施例3]
実施例1において、アルギン酸ナトリウムの使用量を18.5部(実施例1の1.5倍量)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例4]
実施例1において、セルロースファイバーの量を61.4部(実施例1の2倍量)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例5]
実施例1において、セルロースファイバーの種類を、〔J.RETTENMAIER USA LP社製、商品名「Arbocel UFC100」〕から、〔J.RETTENMAIER USA LP社製、商品名「Arbocel B600」(繊維長60μm)〕に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例6]
実施例1において、工程[I]にて配合するコーン油量を528.3部(実施例1の1/2倍量)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例7]
実施例1において、固体物質の使用量を150部(実施例1の1.5倍量)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例8]
実施例1において、固体物質の使用量を33.3部(実施例1の1/3倍量)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例9]
実施例1において、コーン油をニッカ大豆白絞油(日華油脂社製)に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[実施例10]
実施例1において、塩化カルシウム量は変えずに、使用する塩化カルシウム水溶液の濃度を5%から20%に変更した以外は実施例1と同様にして固体物質内包型マイクロカプセルを製造した。
[比較例1]
2%アルギン酸ナトリウム(キミカ社製、アルギテックスH)水溶液40g、固体物質13.0g、セルロースファイバー2gをそれぞれ計量し、スパチュラで撹拌させた。これを5%塩化カルシウム水溶液26.6g中に滴下したところ、粘度が高く紐状になってしまい滴にならなかった。このため、液滴合一法による固体物質内包型マイクロカプセルを得ることはできなかった。
このようにして得られた各固体物質内包型マイクロカプセル(実施例1〜10)について、下記に示す方法に従って、平均粒子径を測定するとともに、固体物質内包型マイクロカプセルのカプセル化効率、徐放性について測定し評価した。これらの結果を後記の表1に併せて示した。
<平均粒子径>
得られた固体物質内包型マイクロカプセルを、Phenom−World社、卓上SEM proXにて撮影した。この時の測定条件は、チャージ軽減ホルダーを用い、加速電圧5kVにて、無蒸着観察を行なった。そして、その撮影結果からメジャー機能を用いて、サンプル(固体物質内包型マイクロカプセル粒子)30個以上の粒子径を測定し、その平均値を算出することにより、固体物質内包型マイクロカプセルの平均粒子径とした。
<カプセル化効率>
得られた固体物質内包型マイクロカプセルを、乳鉢で磨り潰した後、濃度500ppm水溶液となるように調製し、常温(25℃)にて一晩撹拌した。その後、濾過を行ない、得られた濾液中に含まれるイミダクロプリドの含有量をHPLC(島津製作所/SHIMADZU 型式:LC−6A SHIMADZU SPD−6A)で測定し求めた。
上記測定により得られたイミダクロプリドの含有量の、固体物質内包型マイクロカプセル製造時に使用したイミダクロプリド使用量に対する割合をカプセル化効率(%)として算出した。その値を基に、下記の基準にて評価した。
◎・・・カプセル化効率が75%以上100%以下
○・・・カプセル化効率が50%以上75%未満
△・・・カプセル化効率が25%以上50%未満
×・・・カプセル化効率が25%未満
なお、上記HPLCの測定条件は下記の通りである。
カラム:Inertsil ODS−3 5μm、4.6mm×150mm
移動相(v/v)、A:アセトニトリル 35 B:水 65
測定波長:269nm
流量:1.5ml/min
カラム温度:40℃
注入量:10μl
<徐放性>
(1)各実施例にて、カプセル内包物質として用いた、〔クミアイ化学工業社製、商品名「クミアイ アドマイヤー顆粒水和剤」(イミダクロプリド50%含有品)〕の500ppm水溶液を調製し、50分間撹拌を行なった後に濾過を行なった。そして、得られた濾液中に含まれるイミダクロプリドの含有濃度(W1)をHPLC(島津製作所/SHIMADZU 型式:LC−6A SHIMADZU SPD−6A)を用いて測定した。
(2)各実施例で得られた固体物質内包型マイクロカプセルを、仕込み量基準で濃度500ppm水溶液となるように調製し、50分間撹拌を行なった後に濾過を行なった。そして、得られた濾液中に含まれるイミダクロプリドの含有濃度(W2)をHPLC(島津製作所/SHIMADZU 型式:LC−6A SHIMADZU SPD−6A)を用いて測定した。
(3)50分後のマイクロカプセル内のイミダクロプリドの残留率を、下記の数式に従い算出した。その値を基に、下記の基準にて評価した。
{(W1−W2)/W1}×100(%)
なお、上記HPLCの測定条件は下記の通りである。
カラム:Inertsil ODS−3 5μm、4.6mm×150mm
移動相(v/v)、A:アセトニトリル 35 B:水 65
測定波長:269nm
流量:1.5ml/min
カラム温度:40℃
注入量:10μl
○・・・イミダクロプリドの残留率が25%以上100%以下
△・・・イミダクロプリドの残留率が10%以上25%未満
×・・・イミダクロプリドの残留率が10%未満
Figure 2015057277
上記結果から明らかなように、前述の製造方法により得られた各実施例品は、いずれも平均粒子径が数十〜数百μmオーダーの極微小の固体物質内包型マイクロカプセルであった。そして、いずれもカプセル化効率が高く、かつ優れた徐放性を示す結果が得られた。
本発明の固体物質内包型マイクロカプセルの製法は、農薬、防藻剤や防カビ剤等の殺菌剤、医薬品、食品、飼料、肥料、人工種子、顔料、染料等の固体物質が内包されてなる平均粒子径の小さい極微小の固体物質内包型マイクロカプセルを容易に製造することができる。

Claims (7)

  1. マイクロカプセルのシェルが多糖類のゲル化反応を利用して得られてなるマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜1000μmであることを特徴とするマイクロカプセル。
  2. 多糖類が、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセル。
  3. 固体物質が、請求項1または2記載のマイクロカプセルにて内包されてなることを特徴とする固体物質内包型マイクロカプセル。
  4. 固体物質が、25℃の水に対する溶解度が1重量%以下の固体物質であることを特徴とする請求項3記載の固体物質内包型マイクロカプセル。
  5. 固体物質、アルギン酸およびその塩の少なくとも一方、繊維状成分を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(I)を準備する工程と、
    2価以上の金属の金属塩を水とともに油性媒体中に分散してなる油中(W/O)分散液(II)を準備する工程と、
    上記油中(W/O)分散液(I)と油中(W/O)分散液(II)を混合し撹拌することにより、上記アルギン酸およびその塩の少なくとも一方と2価以上の金属の金属塩とのキレート化反応によるゲル化を生起させて、繊維状成分を含むアルギン酸およびその塩の少なくとも一方からなるマイクロカプセルにより、上記固体物質が内包されてなる平均粒子径1〜1000μmの固体物質内包型マイクロカプセルを製造する工程
    とを備えたことを特徴とする固体物質内包型マイクロカプセルの製法。
  6. 2価以上の金属の金属塩が、塩化カルシウムであることを特徴とする請求項5記載の固体物質内包型マイクロカプセルの製法。
  7. 固体物質が、25℃の水に対する溶解度が1重量%以下の固体物質であることを特徴とする請求項5または6記載の固体物質内包型マイクロカプセルの製法。
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