JP2015053783A - ワイヤーハーネス固定部材及び固定部材付ワイヤーハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】段差が生じているワイヤーハーネスを取付対象物に固定する際に、ワイヤーハーネスの段差を容易に吸収できる技術を提供することを目的とする。【解決手段】ワイヤーハーネス固定部材10は、ワイヤーハーネスを取付対象物に固定するためのワイヤーハーネス固定部材10であって、ワイヤーハーネスが固定されるハーネス固定部20と、前記ハーネス固定部20と別体で形成され、前記ハーネス固定部20における、ワイヤーハーネスが固定される第1主面22と対向する第2主面24から前記第1主面22に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能に前記ハーネス固定部20と連結される連結部30と、前記ワイヤーハーネスが固定される取付対象物の取付穴に対して、前記連結部30が移動可能な向きとは逆の向きに挿入されるように前記連結部30に設けられ、前記取付穴に係止可能なクランプ部40と、を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、ワイヤーハーネスを固定する技術に関する。
ワイヤーハーネスには、例えば分岐部分などに、段差が生じているものもある。ワイヤーハーネスを固定する際に、この段差を吸収する技術として特許文献1に記載の発明がある。特許文献1には、分岐部を有するワイヤーハーネスを分岐部の段差を吸収して、取付対象物に固定するために、板バネと、板バネが係止する係止溝とを備えるワイヤーハーネス固定部材が開示されている。
特開2013−153587号公報
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤーハーネス固定部材は、複数の係止溝から段差の高さごとに適切な1つの係止溝を選択しなければならず、また、係止溝に板バネを係止させる作業が面倒であった。
そこで、本発明は、段差が生じているワイヤーハーネスを取付対象物に固定する際に、ワイヤーハーネスの段差を容易に吸収できる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネス固定部材は、ワイヤーハーネスを取付対象物に固定するためのワイヤーハーネス固定部材であって、ワイヤーハーネスが固定されるハーネス固定部と、前記ハーネス固定部と別体で形成され、前記ハーネス固定部における、ワイヤーハーネスが固定される第1主面と対向する第2主面から前記第1主面に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能に前記ハーネス固定部と連結される連結部と、前記ワイヤーハーネスが固定される取付対象物の取付穴に対して、前記連結部が移動可能な向きとは逆の向きに挿入されるように前記連結部に設けられ、前記取付穴に係止可能なクランプ部と、を備える。
第2の態様に係るワイヤーハーネス固定部材は、第1の態様に係るワイヤーハーネス固定部材であって、前記連結部と前記ハーネス固定部との移動方向が前記ハーネス固定部の前記第1主面と前記第2主面とを結ぶ方向に規制されるように、前記ハーネス固定部の側面と、前記連結部の側面とのうち、一方には突起部が形成され、もう一方には前記突起部を挿入可能な挿入凹部が形成されている。
第3の態様に係るワイヤーハーネス固定部材は、第2の態様に係るワイヤーハーネス固定部材であって、前記突起部の側面と、前記挿入凹部の側面との、一方には嵌合凹部が形成され、もう一方には前記嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部が形成され、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とにより、前記連結部は、前記ハーネス固定部に対して、前記ハーネス固定部の前記第2主面から前記第1主面に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能である。
第4の態様に係るワイヤーハーネス固定部材は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス固定部材であって、前記ハーネス固定部に設けられ、前記ハーネス固定部の前記主面に前記ワイヤーハーネスが接触した状態で、前記ワイヤーハーネスの周方向に巻回可能なベルト部と、前記ハーネス固定部に設けられ、前記ワイヤーハーネスの周方向に巻回された前記ベルト部を先端側から順次挿入可能で、挿入された前記ベルト部を固定可能なベルト固定部と、をさらに備える。
第5の態様に係る固定部材付ワイヤーハーネスは、段差を有するワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスの前記段差の部分に取り付けられた、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス固定部材と、を備える。
第1の態様に係るワイヤーハーネス固定部材によると、連結部がハーネス固定部に対して、ハーネス固定部の第2主面から第1主面に向かう向きに移動可能に連結されており、クランプ部が連結部に対してワイヤーハーネスが位置する側とは反対側にくるように設けられている。このため、ワイヤーハーネス固定部材が段差を有するワイヤーハーネスに取り付けられると、連結部がハーネス固定部に対して移動することにより、段差を吸収することができる。また、段差を吸収するために連結部をハーネス固定部材に対して移動させる作業を、クランプ部を取付対象物の取り付け穴に挿入させる作業と同時に行うことができる。
第2の態様に係るワイヤーハーネス固定部材によると、突起部と挿入凹部とにより、連結部とハーネス固定部との移動方向が規制されているため、より確実に段差を吸収する方向に連結部を移動させることができる。
第3の態様に係るワイヤーハーネス固定部材によると、嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合させることで、連結部とハーネス固定部とは、前記連結部が、前記ハーネス固定部に対して、前記ハーネス固定部の前記第2主面から前記第1主面に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能に連結される。このため、段差を吸収した状態でより確実に係止可能である。
第4の態様に係るワイヤーハーネス固定部材によると、ベルト部とベルト固定部とを備えるため、ハーネス固定部にワイヤーハーネスが接触した状態で、ベルト部とベルト固定部とにより、テープ等を要せずに、ハーネス固定部にワイヤーハーネスを固定することができる。
第5の態様に係る固定部材付ワイヤーハーネスによると、段差を有するワイヤーハーネスの段差部分に第1〜第4のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス固定部材が取り付けられている。このため、連結部がハーネス固定部に対して移動することにより、ワイヤーハーネスの段差を吸収することができる。また、段差を吸収するために連結部をハーネス固定部材に対して移動させる作業を、クランプ部を取付対象物の取り付け穴に挿入させる作業と同時に行うことができる。
実施形態に係るワイヤーハーネス固定部材を示す図である。 実施形態に係るワイヤーハーネス固定部材を示す図である。 連結部を示す図である。 ハーネス固定部を示す図である。 図1を上から見た図である。 図5のVI−VI線で切断した断面図である。 図6の一部を拡大した図である。 ワイヤーハーネス固定部材にワイヤーハーネスを固定する様子を説明する図である。 実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネスを示す図である。 固定部材付ワイヤーハーネスを取付対象物の取付穴に取り付ける様子を説明する図である。 固定部材付ワイヤーハーネスを取付対象物の取付穴に取り付ける様子を説明する図である。 固定部材付ワイヤーハーネスを取付対象物の取付穴に取り付ける様子を説明する図である。
以下、実施形態に係るワイヤーハーネス固定部材10と固定部材付ワイヤーハーネス12とについて説明する。図1及び図2は、実施形態に係るワイヤーハーネス固定部材10を示す図であり、図1は連結後の状態、図2は連結前の状態を示している。図3は、連結部30を示す図であり、図4は、ハーネス固定部20を示す図である。なお、図3及び図4には、それぞれの部材を正面から見た図(下図)と上から見た図(上図)が示されている。
図5は、図1を上から見た図であり、図6は、図5のIV−IV線で切断した断面図である。図7は、図6の一部を拡大した図である。また、図9は、実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネス12を示す図である。
実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネス12は、ワイヤーハーネス15と、ワイヤーハーネス固定部材10とを備える。
ワイヤーハーネス15は少なくとも1本の電線を含む。ここでは、ワイヤーハーネス15は、複数の電線が束ねられたものであり、車両等に配索されて各種電気部品同士を電気的に接続する配線材として用いられる。また、ワイヤーハーネス15には、光ファイバケーブル等が含まれていてもよい。
また、ここでは、ワイヤーハーネス15は、途中で分岐している、分岐部分を有している。このため、ワイヤーハーネス15は分岐部分で段差が生じている。なお、ワイヤーハーネス15は、ここでは、分岐部分から3方向に延びており、それぞれ、径が大きい方の幹線15a、径が小さい方の幹線15b、枝線15cとするが、これらの名称を特に使い分ける必要のない場合、ワイヤーハーネス15を用いることにする。また、ここでは、分岐部分において、幹線から延びる枝線は枝線15cの1本であるが、2本以上であってもよい。また、図8〜図12のワイヤーハーネス15は、複数の電線が束ねられたワイヤーハーネスの概形が描かれている。
ワイヤーハーネス固定部材10は、ワイヤーハーネス15を取付対象物70に固定させるための部材であり、ハーネス固定部20と、連結部30と、クランプ部40と、ベルト部60とを備える。
ハーネス固定部20は、ここでは、直方体状の部材であり、ワイヤーハーネス15が固定される側の第1主面22と、第1主面22に対向する第2主面24と、第1主面22及び第2主面24と交わる第1側面26とを有している。ハーネス固定部20は、この第1主面22にワイヤーハーネス15が接触した状態で、自身に対して、ワイヤーハーネス15が固定される部材である。
連結部30は、ハーネス固定部20とは別体で形成され、ハーネス固定部20と連結している直方体状の部材である。連結部30は、ハーネス固定部20と連結した状態で、ワイヤーハーネス15側に位置する第3主面32と、第3主面32に対向する第4主面34と、第3主面32及び第4主面34と交わる第2側面36とを有している。
ハーネス固定部20と連結部30とは、ハーネス固定部20の第1側面26及び連結部30の第2側面36とが接触している状態で連結している。そして、連結部30とハーネス固定部20とは、連結部30がハーネス固定部20に対して、ハーネス固定部20の第2主面24から第1主面22に向かう向き(図2の矢印の向き)のみに移動可能に連結している。
具体的には、ハーネス固定部20の第1側面26には、図4の上図に示されるように、第2主面24側から見て、T字状の突起部21が形成されている。また、連結部30の第2側面36には、図3の上図に示されるように、第4主面34側から見て、この突起部21に対応するようにT字の溝状に形成され、この突起部21を挿入可能な挿入凹部31が形成されている。
この突起部21と挿入凹部31とにより、連結部30のハーネス固定部20に対する移動方向が規制されている。具体的には、ハーネス固定部20と連結部30とは、この突起部21を挿入凹部31に挿入可能な方向のみに移動可能となるように移動方向が規制されている。なお、ここでは、突起部21を挿入凹部31に挿入する方向が、ハーネス固定部20の第1主面22及び第2主面24に垂直な方向になるように設定されている。
もっとも、ここでは、ハーネス固定部20に突起部21が、連結部30に挿入凹部31がそれぞれ形成されているが、これとは逆に、ハーネス固定部に挿入凹部が、連結部に突起部が形成されていてもよい。
さらに、突起部21の側面と、挿入凹部31の側面との、一方には嵌合凹部52が形成され、もう一方には嵌合凹部52に嵌合可能で、嵌合凹部52に対して、1つの方向において、どちらか一方の向きのみに移動可能な嵌合凸部50が形成されている。
より具体的には、ハーネス固定部20の第1側面26に形成されているT字状の突起部21の先端側の側面には、図4の下図に示されるように、正面図において、第1主面22から第2主面24にかけて直角三角形が並んだ、のこぎり歯状の嵌合凸部50が形成されている。また、この先端側の側面と接触する連結部30の挿入凹部31の側面には、図3の下図に示されるように、嵌合凸部50と嵌合するように、直角三角形状に形成された凹部が第3主面32から第4主面34にかけて並んだような形状の嵌合凹部52が形成されている。つまり、嵌合凹部52と嵌合凸部50とは、それぞれ第1主面22に平行な水平面と斜面とが交互に連続する形状である。
図7のように、嵌合凹部52と嵌合凸部50とが嵌合しているとき、水平面に垂直な力を加えた場合、嵌合凹部52と嵌合凸部50とは、嵌合凹部52と嵌合凸部50との水平面同士が接触した状態から水平面同士を離す向き(図7において、ハーネス固定部20に対して連結部30を矢印の向きに動かす向き)には移動可能であるが、水平面同士を押し合う向き(図7において、ハーネス固定部20に対して連結部30を矢印とは逆の向きに動かす向き)には水平面同士ががっちりかみ合い、ロックが掛かったような状態となり移動不能となる。
より具体的には、例えば、連結部30に、第4主面34から第3主面32に向かう向き(図7の矢印の向き)に力がかかった場合、その力は、斜面を介して、ハーネス固定部20へと伝わる。このとき、その力は、斜面に平行な力と、斜面に垂直な力とに分解され、斜面に垂直な力に対して、ハーネス固定部20からの垂直抗力が作用する。従って、連結部30において、斜面に垂直な方向で力がつり合っているため、斜面に平行な方向の力により、連結部30は、ハーネス固定部20に対して斜面に平行な方向に移動しようとする。
この際に、連結部30とハーネス固定部20とは、突起部21と挿入凹部31とで移動方向が規制されているため、連結部30及びハーネス固定部20は、突起部21と挿入凹部31との間のわずかな隙間分を埋めるように移動したのち弾性変形を始める。この弾性変形は、主に、突起部21と、突起部21と接触している連結部30と、嵌合凸部50及び嵌合凹部52の斜面と水平面が交わる部分との各樹脂製の部分で生じ、突起部21と挿入凹部31とで規制されている移動方向に移動できるようになる。そして、斜面同士が接触しない状態まで移動すると、凹凸が一段ずれる以外は元の状態に戻り、再び斜面同士が接触する嵌合状態となる。
なお、この際に、連結部30にかかる力が弱いと、弾性変形する量が十分でなく、斜面同士が接触しない状態まで移動できない。そして、力がかからなくなるとともに、弾性変形していたものが元の状態に戻り、力をかける前の状態に戻る。このため、ある程度の力がかかるまでは、嵌合している状態(図1の状態)を保持することができる。
また、先ほどとは逆に、連結部30に、第3主面32から第4主面34に向かう向き(図7の矢印とは逆の向き)に力がかかった場合、その力は水平面を介してハーネス固定部20へと伝わる。このため、連結部30には、水平面に垂直な方向に、ハーネス固定部20から垂直抗力が作用し、これらの力がつり合うことにより、連結部30は、ハーネス固定部20に対して移動不能となる。
このとき、連結部にかかる力が第3主面32から第4主面34に向かう向きからずれた場合、その力は、水平方向と、水平方向に垂直な方向に分解される。しかしながら、連結部とハーネス固定部とは、突起部と挿入凹部とで移動方向が規制されているため、水平方向には移動不能であることにより、この場合でも、連結部30は、ハーネス固定部20に対して移動不能となる。
これらのことにより、嵌合凹部52と嵌合凸部50とは、1つの方向(ここでは第1主面と第2主面とを結ぶ方向)において、どちらか一方の向きのみに移動可能に形成されている。このような形状を、以下では、スライドロック機構と呼ぶ。
ここでは、嵌合凹部52と嵌合凸部50とによって移動可能及び移動不可となる方向は、突起部21と挿入凹部31によって規制される方向(挿入方向)に対応している。そして、嵌合凹部52と嵌合凸部50とは、挿入方向のうち、ハーネス固定部20に対して、連結部30が、ハーネス固定部20の第2主面24から第1主面22へと向かう向き(図2の矢印の向き)に移動可能で、逆の向きには移動不能となるように嵌合している。
即ち、ここでは、突起部21と挿入凹部31とにより、連結部30のハーネス固定部20に対する移動方向が、突起部21を挿入凹部31に挿入する方向に規制され、さらに、嵌合凹部52と嵌合凸部50とによって、挿入方向のうち一方の向きのみに移動可能とされている。
なお、凹凸の大きさ、凹凸のピッチ等は、連結部30の大きさ、ワイヤーハーネス15の径等の条件により適宜選択される値であるが、ワイヤーハーネス15の段差を吸収するために連結部30をワイヤーハーネス15の段差に押し当てた際に、より安定するものが好ましい。
また、連結部30の厚み(側壁の高さ)は、分岐部分を有するワイヤーハーネス15の段差よりも厚いことが好ましい。さらに、ワイヤーハーネス15の段差を吸収するために、連結部30をワイヤーハーネス15に当たるまで最大限移動させた際に、連結部30とハーネス固定部20とのかみ合い部分が、ハーネス固定部20の厚みの半分以上残っているような厚みであるとより好ましい。この場合、衝撃又は振動等により、連結部30とハーネス固定部20とが外れる恐れを低減することができる。
また、ここでは、ハーネス固定部20の厚みと連結部30の厚みとは同じになるように設定されているが、どちらかが厚くなっていてもよい。しかしながら、連結部30にて段差を吸収するため、連結部30の厚みがハーネス固定部20の厚みと同じかそれより大きくなることが好ましい。
また、ここでは、連結部30がハーネス固定部20に対して移動した際に、連結部30がハーネス固定部20から抜け出てしまうことを防止する抜止部は設けられていないが、抜止部が連結部30とハーネス固定部20との少なくともどちらか一方に設けられていてもよい。抜止部が設けられていると、衝撃又は振動等により、連結部がハーネス固定部から抜けて外れてしまうことを防止できる。
クランプ部40は、ワイヤーハーネス15が固定される取付対象物70の取付穴72に対して、連結部30が移動可能な向きとは逆の向きに挿入されるように連結部30に設けられ、取付穴72に係止可能に形成されている。
ここでは、クランプ部40は、連結部30の第4主面34に形成され、先端部42と、挟持部44と、先端部42と挟持部44とをつなぐ軸部46とを有している。
先端部42は、取付穴72に挿入される部分で、ここでは、樹脂等の弾性材料で円錐状に形成されている。そして、円錐の底面で軸部46と連結しており、底面の半径は取付穴72の径よりも大きくなっている。この先端部42が取付穴72に挿入される際に先端部42が縮径変形することによって、先端部42が取付穴72を通過可能となる。また、この円錐の高さ方向が連結部30の移動方向と一致して、円錐の先端が外を向いていることにより、クランプ部40が取付穴72に挿入される向きが連結部30の移動する向きと逆の方向となる。
軸部46は、ここでは、円柱状に形成され、それぞれの底面で、先端部42又は挟持部44と連結している。軸部46の外径は、先端部42の最大の外径よりも小さくなっている。軸部46の長さは、取付穴72の内周縁部の厚みと同じ程度になっている。
挟持部44は、ここでは、円錐台状に形成され、径の大きい方の底面が軸部46と連結しており、この底面の半径は、軸部46の外径及び取付穴72の径よりも大きく設定されている。これらのことにより、先端部42が取付穴72を通過した後、軸部46が取付穴72に嵌っている状態で、挟持部44と先端部42とにより取付穴72の内周縁部を挟持することで、クランプ部40が取付穴72に固定される。
なお、先端部42、軸部46及び挟持部44の形状は、上記したものに限られない。例えば、先端部42が、円錐状ではなく、矢印状或いは傘状であってもよいし、挟持部44が、直方体状或いは円柱状であってもよい。或いは、挟持部44がなく、先端部42と連結部30の第4主面34との間に取付穴72の内周縁部を挟持するものでもよい。つまり、クランプ部40は、先端部42が、取付対象物70の取付穴72に挿入された後、取付穴72に係止可能な構成であればよい。
また、ここでは、連結部30とクランプ部40は樹脂製で一体成型されているが、それぞれ別体として成型後、接着剤等で連結されてもよい。
ベルト部60とベルト固定部62とは、ハーネス固定部20にワイヤーハーネス15を固定するために、ハーネス固定部20に設けられている。具体的には、ベルト部60は、ハーネス固定部20の側面のうち、T字状の突起部21が設けられている第1側面26と交わる側面に設けられている。ベルト固定部62として、ハーネス固定部20には、ベルト部60を挿入可能な穴が形成されている。ここでは、ハーネス固定部20と、ベルト部60とは樹脂製で一体成型されている。
ベルト部60の長さは、幹線15aがハーネス固定部20の第1主面22に接触した状態で、幹線15aの周囲に少なくとも半周以上巻回可能で、且つ、巻回後にベルト固定部62に挿入し、固定可能な長さであればよい。
ベルト固定部62として、ここでは、ハーネス固定部20の側面のうち、ベルト部60が形成されている側面と、その側面に対向する側面とを貫く穴が形成されている。この穴の形状は、ベルト部60を挿入できるようにベルト部60の形状に合わせた形状に形成されている。
ベルト部60には凹凸が形成されるとともに、ベルト固定部62には、ベルト部60の凹凸に引っかかる爪64が設けられている。これにより、ベルト部60とベルト固定部62とは、上述したスライドロック機構のように、1方向のうち1つの向きのみに移動可能とされている。具体的には、ベルト部60は、ベルト固定部62に対して、ベルト部60のある側面に対向する側面側から挿入可能で、且つ、挿入後は、挿入した向きとは、逆の向きには、移動不可とされている。
これにより、ベルト部60が幹線15aを巻回後にベルト固定部62に挿入された後、挿入する向きにそれ以上移動不可となるまで挿入されることで、挿入する方向のどちらの向きにも移動不可となり、幹線15aがハーネス固定部20に固定される。また、幹線15aの固定後は、ベルト部60のうち、ベルト固定部62からはみ出している余長分は、必要に応じてカットされることが望ましい。
もっとも、ベルト部60とベルト固定部62との構成はこれに限られるものではなく、ハーネス固定部20にワイヤーハーネス15を固定可能な構成であればどのような構成であっても構わない。例えば、ハーネス固定部にベルト固定部を2か所設けて、第1主面22にワイヤーハーネス15を接触させたのち別体のベルト部を挿入する態様でもよい。
なお、ここでは、ベルトで固定する箇所は1か所だけに設けられているが、2か所以上に設けられていてもよい。しかしながら、1か所だけであれば、2か所以上の場合に比べて、ベルトでのワイヤーハーネス固定作業を低減することができる。
なお、ここでは、ベルト部60と、ベルト固定部62とにより、ハーネス固定部20にワイヤーハーネス15が固定される例で説明したが、ベルト部60とベルト固定部62とは必須ではない。例えば、ハーネス固定部の第1主面22にワイヤーハーネス15が接触した状態で、ハーネス固定部とワイヤーハーネス15とを同時にテープで巻付けることによって、ハーネス固定部にワイヤーハーネス15を固定してもよい。つまり、ハーネス固定部にワイヤーハーネス15を固定可能なものであればよい。
<製造方法>
次に、ワイヤーハーネス固定部材10にワイヤーハーネス15を取り付け、実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネス12を製造する方法について説明する。図8は、ワイヤーハーネス固定部材10にワイヤーハーネス15を固定する様子を説明する図である。
まずは、連結部30をハーネス固定部20に挿入、移動させ、図1のように、ハーネス固定部20の第1主面22と、連結部30の第3主面32とが同じ高さになった状態のワイヤーハーネス固定部材10を用意する。
もっとも、ハーネス固定部20の第1主面22と、連結部30の第3主面32とが同じ高さになることは必須ではない。ハーネス固定部20の第1主面22の方が連結部30の第3面よりも出っ張っていてもよい。ハーネス固定部20の第1主面22の方が連結部30の第3面よりも出っ張っているか、同じ高さであれば、分岐部分の段差がわずかな場合でも、より確実に、ハーネス固定部20の第1主面22が、ワイヤーハーネス15の長手方向と平行な状態で、ワイヤーハーネス15に接触することができる。
この状態で、図8のように、ハーネス固定部20の第1主面22に幹線15aを接触させ、且つ、クランプ部40が枝線15cの位置(分岐している位置)にくるように、幹線15aとワイヤーハーネス固定部材10とを位置決めする。
こののち、ハーネス固定部20に対して幹線15aを固定する。ここでは、ベルト部60を幹線15aに巻回したのち、ベルト固定部62に移動不可となるまで挿入する。ベルト部60がない場合は、テープ等により、ハーネス固定部と幹線15aとを同時に巻回して、固定する。
これにより、幹線15aがハーネス固定部20に固定され、固定部材付ワイヤーハーネス12が完成する。
なお、ここでは、固定部材付ワイヤーハーネス12は、ワイヤーハーネス固定部材10が分岐部分を有するワイヤーハーネス15の分岐部分に取り付けられる例で説明したが、分岐部分に取り付けられることは必須ではない。分岐部分でなくともワイヤーハーネスに段差が生じていれば、ワイヤーハーネス固定部材10は、ワイヤーハーネスに取り付けられ、その段差を吸収することができる。
<動作>
次に、固定部材付ワイヤーハーネス12を取付対象物70の取付穴72に係止させるとともに、連結部30を移動させ、ワイヤーハーネス15の分岐部分の段差を吸収する動作について説明する。図10〜図12は、固定部材付ワイヤーハーネス12を取付対象物70の取付穴72に取り付ける様子を説明する図であり、図10は、取り付け前、図11は、取り付け中、図12は取り付け後の様子を説明する図である。
まずは、図10のように実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネス12のクランプ部40を取付対象物70の取付穴72の手前に位置させ、挿入方向と取付穴72の中心軸方向が一致するようにする。この状態から、クランプ部40を取付穴72に挿入する向き(図10、図11の矢印の向き)に押し込むように固定部材付ワイヤーハーネス12に力を加える。
これにより、クランプ部40は、図11のように、縮径変形しつつ、取付穴72へと入っていく。この際に、クランプ部40には、図11のように、先端部42の円錐面が取付穴72の内周縁部と接触している間は先端部42に対して、先端部42が取付穴72を通過後は挟持部44に対して、それぞれ内周縁部から、挿入する向きとは逆の向きに、ワイヤーハーネス15を押し込む力の反力が作用する。この反力により、クランプ部40が設けられている連結部30は、ハーネス固定部20に対してワイヤーハーネス15に向かう向き(図10、図11の矢印とは反対の向き)に移動する。
そして、このまま力を加え続けると、やがて、図12のようにクランプ部40が取付対象物70の取付穴72に係止した状態で、且つ、連結部30がワイヤーハーネス15と接触し、それ以上移動できない状態、即ち、連結部30の移動により、ワイヤーハーネス15の分岐部分の段差が吸収された状態となる。
即ち、本実施形態に係る固定部材付ワイヤーハーネス12では、取付対象物70の取付穴72に係止させる際に、同時に、連結部30を移動させることによって、ワイヤーハーネス15の分岐部分の段差を吸収することができる。このため、段差を吸収する作業を容易に行うことができる。
また、このとき、連結部30は、ハーネス固定部20に対して、突起部21と挿入凹部31とで規制された移動方向のどちらの向きにも移動不可となるため、ワイヤーハーネス15に対する連結部30のずれを抑制することができる。
また、段差を吸収した状態で、ワイヤーハーネス15の長手方向と、第1主面22及び第3主面32とを平行な状態とすることができるため、取付対象物70への取付時に、取付対象物70の取付面に対してワイヤーハーネス15を水平に取り付けることができる。このため、ワイヤーハーネス15の長手方向に対して、第1主面22或いは第3主面32が傾いてしまう場合に比べて、取付対象物70への取付時のふくらみを抑えることができる。
<効果>
本実施形態に係るワイヤーハーネス固定部材10及び固定部材付ワイヤーハーネス12によると、連結部30がハーネス固定部20に対して、ハーネス固定部20の第2主面24から第1主面22に向かう向きに移動可能に連結されており、クランプ部40が連結部30に対してワイヤーハーネス15が位置する側とは反対側にくるように設けられている。このため、ワイヤーハーネス固定部材10が分岐部分等により段差を有するワイヤーハーネス15に取り付けられると、連結部30がハーネス固定部20に対して移動することにより、段差を吸収することができる。
また、段差を吸収するために連結部30をハーネス固定部20に対して移動させる作業を、クランプ部40を取付対象物70の取り付け穴に挿入させる作業と同時に行うことができる。
また、嵌合凹部52と嵌合凸部50とを嵌合させることで、連結部30とハーネス固定部20とは、連結部30が、ハーネス固定部20に対して、ハーネス固定部20の第2主面24から第1主面22に向かう向きに移動可能で、逆の向きには係止可能に連結される。このため、段差を吸収した状態でより確実に係止可能である。
また、突起部21と挿入凹部31とにより、連結部30とハーネス固定部20との移動方向が規制されているため、より確実に段差を吸収する方向に連結部30を移動させることができる。
また、ベルト部60とベルト固定部62とを備えるため、ハーネス固定部20にワイヤーハーネス15が接触した状態で、ベルト部60とベルト固定部62とにより、テープ等を要せずに、ハーネス固定部20にワイヤーハーネス15を固定することができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 ワイヤーハーネス固定部材
12 固定部材付ワイヤーハーネス
15 ワイヤーハーネス
20 ハーネス固定部
21 突起部
22 第1主面
24 第2主面
30 連結部
31 挿入凹部
40 クランプ部
50 嵌合凸部
52 嵌合凹部
60 ベルト部
62 ベルト固定部
70 取付対象物
72 取付穴

Claims (5)

  1. ワイヤーハーネスを取付対象物に固定するためのワイヤーハーネス固定部材であって、
    ワイヤーハーネスが固定されるハーネス固定部と、
    前記ハーネス固定部と別体で形成され、前記ハーネス固定部における、ワイヤーハーネスが固定される第1主面と対向する第2主面から前記第1主面に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能に前記ハーネス固定部と連結される連結部と、
    前記ワイヤーハーネスが固定される取付対象物の取付穴に対して、前記連結部が移動可能な向きとは逆の向きに挿入されるように前記連結部に設けられ、前記取付穴に係止可能なクランプ部と、
    を備える、ワイヤーハーネス固定部材。
  2. 請求項1記載のワイヤーハーネス固定部材であって、
    前記ハーネス固定部の側面と、前記連結部の側面とのうち、一方には突起部が形成され、もう一方には、前記連結部と前記ハーネス固定部との移動方向が前記ハーネス固定部の前記第1主面と前記第2主面とを結ぶ方向に規制されるように、前記突起部を挿入可能な挿入凹部が形成されている、ワイヤーハーネス固定部材。
  3. 請求項2記載のワイヤーハーネス固定部材であって、
    前記突起部の側面と、前記挿入凹部の側面との、一方には嵌合凹部が形成され、もう一方には前記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部が形成され、
    前記連結部は、前記ハーネス固定部に対して、前記ハーネス固定部の前記第2主面から前記第1主面に向かう向きに移動可能で、逆の向きには移動不能となるように前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とが嵌合する、ワイヤーハーネス固定部材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のワイヤーハーネス固定部材であって、
    前記ハーネス固定部に設けられ、前記ハーネス固定部の前記主面に前記ワイヤーハーネスが接触した状態で、前記ワイヤーハーネスの周方向に巻回可能なベルト部と、
    前記ハーネス固定部に設けられ、前記ワイヤーハーネスの周方向に巻回された前記ベルト部を先端側から順次挿入可能で、挿入された前記ベルト部を固定可能なベルト固定部と、をさらに備える、ワイヤーハーネス固定部材。
  5. 段差を有するワイヤーハーネスと、
    前記ワイヤーハーネスの前記段差の部分に取り付けられた、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のワイヤーハーネス固定部材と、
    を備える、固定部材付ワイヤーハーネス。
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