JP2015053027A - 構造体の解析方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、設定されたメッシュ長に応じて解析の対象である構造体の形状データを基にメッシュモデルを生成し、その生成したメッシュモデルに有限要素法を施すことによって構造体の変形量を解析する変形解析手段を有する構造体の解析装置が開示されている。
このような解析装置では、歪、変位、応力等の解析結果が、変形した後の形状に、等値線で表示され、等値線で囲まれた領域がグレースケールまたはカラースケールで表されたコンター(等値輪郭線)図として、表示装置の表示画面に表示される。
衝突解析後の部品形状は、変形前の部品形状から大きく変形しており、例えば、衝突の激しい箇所では、部材が折り重なるように変形する場合もある。そのため、変形後の部品の各要素に解析結果をコンターにより表示しても、折り重なった部分では表示結果を見ることができず、部品のどの部分にどの程度の歪、変位、応力等が生じたのかを視覚的に捉えることができない。変形が大きい箇所ほど、歪等を視覚的に捉えたいのであるが、当該部位ほど、見えにくいという歯痒いものであった。
このように、従来の解析装置は解析結果を視覚的に明瞭に捉えることができず、解析結果について評価を行うのに利用価値が高いとは言えない。
複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、
該解析モデル生成ステップで生成された構造体解析モデルについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する衝突解析ステップと、
該衝突解析ステップで取得された前記解析データの中から前記構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得する評価データ取得ステップと、
前記解析モデル生成ステップで生成された生成時の構造体解析モデルにおける前記評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が前記構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成する評価モデル生成ステップと、
前記評価データ取得ステップで得られた前記要素毎および/または節点毎に取得した評価データに基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する表示ステップとを備えたことを特徴とするものである。
前記衝突解析ステップは、前記第1構造体解析モデルと前記第2構造体解析モデルのそれぞれについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得するステップを有し、
前記評価データ取得ステップは、前記第1構造体解析モデル及び前記第2構造体解析モデルの前記評価部分についての解析データをそれぞれ取得し、取得したそれぞれの解析データの前記要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を評価データとして取得する差分取得ステップを含み、
前記表示ステップは、前記差分取得ステップで取得された差分に基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示することを特徴とするものである。
複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデルを生成する解析モデル生成手段と、
該解析モデル生成手段で生成された構造体解析モデルについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する衝突解析手段と、
該衝突解析手段で取得された前記解析データの中から前記構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得する評価データ取得手段と、
前記解析モデル生成手段で生成された生成時の構造体解析モデルにおける前記評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が前記構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成する評価モデル生成手段と、
前記評価データ取得手段によって前記要素毎および/または節点毎に取得した評価データに基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
前記衝突解析手段は、前記第1構造体解析モデルと前記第2構造体解析モデルのそれぞれについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する機能を有し、
前記評価データ取得手段は、前記第1構造体解析モデル及び前記第2構造体解析モデルの前記評価部分についての解析データをそれぞれ取得し、取得したそれぞれの解析データの前記要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を評価データとして取得する差分取得機能を含み、
前記表示手段は、前記評価データ取得手段で取得された前記差分に基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する機能を有することを特徴とするものである。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る構造体の解析方法は、コンピュータによって構成される構造体の解析装置1(以下、単に「解析装置1」という)を用いて行うものであるので、まず、解析装置1について説明する。
なお、本発明の一実施の形態に係る構造体の解析方法および解析装置1は、自動車の車体または部品の衝突解析に適用される。
解析装置1は、図1に示す通り、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7と補助記憶装置9および演算処理部11を有している。
表示装置3は、解析結果の表示等に用いられ、モニター等で構成される。
入力装置5は、オペレータの条件入力などに用いられる。
主記憶装置7は、RAM等で構成され、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられる。
補助記憶装置9は、ハードディスクやSSD等で構成され、ファイルの記憶等に用いられる。
演算処理部11はコンピュータのCPUによって構成され、以下に説明する各手段は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。
以下、演算処理部11内の各手段についてさらに詳細に説明する。
解析モデル生成手段13は、衝突解析の解析対象となる構造体解析モデルを生成するものである。
解析モデル生成手段13は、3次元CADデータ等の形状データに基づいて要素(メッシュ)を生成して解析条件を設定することで構造体解析モデルを生成する。
構造体解析モデルは、複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有するものである。
また、識別情報として、各節点には節点番号が割り振られており、各要素には要素番号が割り振られている。
要素情報としては、要素の型、要素を構成している節点番号などがある。節点情報としては、節点の座標値等がある。解析条件としては、初期条件、接触条件、材料物性等がある。
なお、要素の配置や数は、任意に設定すればよい。
構造体解析モデル21は、フロントサイドメンバコンポーネントやセンターピラーなどの複数の部品モデルで構成されている。例えばフロントサイドメンバコンポーネントは、車体の前部(図2中に点線枠で囲んだ部分)に配置されている。
衝突解析手段14は、構造体解析モデルについて衝突解析を行って要素毎および/または節点毎に解析データを取得するものである。
参考例として、図3に構造体解析モデル21について衝突解析を行った結果を示す。図3は、構造体解析モデル21の前方に配置された壁20(壁面のみを図示している)に構造体解析モデル21が衝突した状態を図示したものである。図3に示すように、衝突によって構造体解析モデル21の前部が大きく変形している。
なお、取得した解析データは構造体解析モデル生成時の節点番号や要素番号に紐付いている。
図4は、衝突解析前の構造体解析モデル21(図2参照)からフロントサイドメンバコンポーネントを抜き出して形状を簡略化して図示したものである。図4に示すフロントサイドメンバコンポーネント22は、フロントサイドメンバ22aとフロントサイドメンバ22aの一端に接続されたフロントサイドメンバエクステンション22bとで構成されている。
評価データ取得手段15は、衝突解析手段14で取得された解析データの中から構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得するものである。
評価データは、変位、歪、応力、内部エネルギー密度のうち少なくとも1つを含む。
本実施の形態では、評価部分としてのフロントサイドメンバ22aの解析データを評価データとして取得した。
評価モデル生成手段17は、節点情報及び要素情報からなり、解析モデル生成手段13で生成された生成時の構造体解析モデル(変形前の形状)における評価部分と同一形状でで、かつ節点情報及び要素情報が構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成するものである。
構造体評価モデル23の節点番号や要素番号は、構造体解析モデル21のものと同一にするとよい。もっとも、同一でなくても構造体解析モデル21の節点番号や要素番号と、構造体評価モデル23の節点番号や要素番号との対応関係が分かっていればよい。
表示手段19は、解析データ取得ステップで得られた要素毎および/または節点毎に取得した解析データを、節点番号や要素番号に基づいて、構造体評価モデル23の対応する要素および/または節点にコンター図として表示装置3に表示するものである。
図7は変位、図8は歪、図9は応力、図10は内部エネルギー密度をそれぞれ表示したものである。
なお、例えば変位をコンター図として表示するには、例えば、要素を構成する各節点の変位の平均値、最大値、あるいは最小値を求め、これらのいずれかを選択して対応する要素に表示してもよいし、各節点の値をそのまま表示してもよい。
本実施の形態に係る構造体の解析方法は、複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、該解析モデル生成ステップで生成された構造体解析モデルについて衝突解析を行って要素毎および/または節点毎に解析データを取得する衝突解析ステップと、該衝突解析ステップで取得された解析データの中から構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得する評価データ取得ステップと、解析モデル生成ステップで生成された生成時の構造体解析モデルにおける評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成する評価モデル生成ステップと、評価データ取得ステップで得られた要素毎および/または節点毎に取得した評価データに基づいて、構造体評価モデルの対応する要素および/または節点にコンター図として表示する表示ステップとを備えている。
以下に、上記各ステップについて図11に基づいて詳細に説明する。
まず、解析モデル生成手段13を用いて、複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデル21を生成する(S1、図2参照)。
次に、衝突解析手段14を用いて、構造体解析モデル21について衝突解析を行って(図3参照)要素毎および/または節点毎に解析データを取得する(S2)
取得した解析データは構造体解析モデル21の節点番号や要素番号に紐付いている。
次に、評価データ取得手段15を用いて、上記取得された解析データの中から評価部分としてのフロントサイドメンバ22a(図4参照)についての解析データを評価データとして取得する(S3)。
次に、評価モデル生成手段17を用いて、解析モデル生成ステップで生成された生成時(衝突解析前)の構造体解析モデル21における評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデル23を生成する(S4、図6参照)。
次に、表示手段19を用いて、解析データ取得ステップで得られた解析データを、解析データの識別情報に基づいて、構造体評価モデル23の対応する要素および/または節点に紐付け、構造体評価モデル23にコンター図として表示する(S5、図7〜図10参照)。
上記実施の形態1では、一つの構造体解析モデルについての衝突解析結果を構造体評価モデルに表示することで、解析結果についての評価を行い易くした場合について説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、2つの構造体解析モデルのそれぞれについての衝突解析結果の差分を構造体評価モデルに表示する場合も含む。
例えば、本実施の形態および実施の形態3で説明するように、構造体解析モデルとして第1構造体解析モデルと該第1構造体解析モデルと共通する評価部分を有する第2構造体解析モデルを生成し、第1構造体解析モデル及び第2構造体解析モデルのそれぞれについて衝突解析を行い、解析結果の差分を構造体評価モデルに表示させる。こうすることで、評価部分におけるどの部分の差分が大きいかを一見して確認できる。
そこで、本実施の形態では、部分モデルの衝突解析を実施する場合に設定される境界条件の適否の判断を容易にする目的で、第1構造体解析モデルとして構造体の全体モデルを生成し、第2構造体解析モデルとして部分モデルを生成する場合について説明する。
しかしながら、境界条件をどのように設定するかによって解析結果は大きく変わってしまうため、境界条件を適切に設定することが極めて重要となる。そして、境界条件を適切に設定するためには、設定した境界条件によって部分解析を行った解析結果の適否が判断できればよい。
そのためには、全体モデルである構造体解析モデルについての解析結果と、境界条件を設定した部分解析モデルについての解析結果を比較してその差分を求め、その差分の大小を表示するようにすればよい。
こうすることで、境界条件の適否を一見して把握することができる。
表示方法としては、例えば、差分の大小を色の濃淡で表現するようにし、差分が大きければ色を濃くする、などが挙げられる。この場合、仮に表示結果において全体の色が淡ければ、全体的に差分が小さい、すなわち設定した境界条件が適切であると判断できる。
図12は、本実施の形態に係る構造体の解析装置31(以下、単に「解析装置31」という)を示す図である。解析装置31は、構造体解析モデルとして第1構造体解析モデルと該第1構造体解析モデルと共通する評価部分を有する第2構造体解析モデルを生成して、それぞれについて解析を行って解析データを取得し、解析データの差分に基づいてコンター図として表示させるためのものである。
解析装置31は、演算処理部32の解析モデル生成手段33、評価データ取得手段36、評価モデル生成手段37、表示手段38以外、実施の形態1に係る解析装置1の構成と同様であるので、同じ部分の説明は省略し、演算処理部11(実施の形態1)と演算処理部32(実施の形態2)の相違点を以下に説明する。なお、図12において図1と同様のものには同一の符号を付している。
解析モデル生成手段33は、構造体解析モデルとして、第1構造体解析モデルを生成する第1構造体解析モデル生成機能33aと、第1構造体解析モデルと共通する評価部分を有する第2構造体解析モデルを生成する第2構造体解析モデル生成機能33bを有している。
本実施の形態では、第2構造体解析モデルとして、第1構造体解析モデルの一部を切り出して境界条件を設定した部分解析モデルを生成する。
例えば、自動車の車体全体のモデルを第1構造体解析モデルとし、フロントサイドメンバやセンターピラー等周辺部分の車体の一部を第2構造体解析モデル(部分解析モデル)とする。
第2構造体解析モデルの要素および節点は、第1構造体解析モデルの一部の要素および節点に識別情報によって対応してもよいし、第1構造体解析モデル、第2構造体解析モデルのいずれか一方の要素および/または節点を他方の要素および/または節点に補完してもよい。
第2構造体解析モデルには、モデル全体との境界に相当する部位に節点の拘束条件等の境界条件を設定するとよい。
評価データ取得手段36は、第1構造体解析モデルについて衝突解析を行うほか、第2構造体解析モデルについても解析を行って解析データを取得し、取得した解析データの要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を取得する差分取得機能36aを有している。
差分取得機能36aは、第1構造体解析モデル(車体全体のモデル)と第2構造体解析モデル(部分解析モデル)の解析結果を比較して、これらモデルの解析結果の差分を要素毎および/または節点毎に算出する。
なお、解析データの差分は、部分解析モデルの解析データと車体全体の解析モデルの解析データの差(変位差、歪差、応力差、内部エネルギー密度差)に基づく値であれば、どのような値であってもよい。例えば、部分解析モデルの解析データと車体全体の解析モデルの解析データの差を、車体全体の解析モデルの解析データで割った値を解析データの差分としてもよい。
評価モデル生成手段37は、節点情報及び要素情報からなり、解析モデル生成手段33で生成された生成時の構造体解析モデル(第1構造体解析モデルおよび第2構造体解析モデル)における評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報が構造体解析モデル(第1構造体解析モデルおよび第2構造体解析モデル)の節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成するものである。
第1構造体解析モデルと第2構造体解析モデルと構造体評価モデルの3モデルは、節点情報及び要素情報が対応付けられている。
表示手段38は、評価データ取得手段36で取得した差分を構造体評価モデルの対応する要素および/または節点にコンター図として表示する機能を有している。
まず、解析モデル生成手段33を用いて、第1構造体解析モデル生成機能33aにより、上記実施の形態1と同様に第1構造体解析モデル(車体全体)を生成するとともに、第2構造体解析モデル生成機能33bにより、第1構造体解析モデルと比較するための第2構造体解析モデル(フロントサイドメンバ周辺)を生成する(S11)。
次に、衝突解析手段35を用いて、第1構造体解析モデルおよび第2構造体解析モデルについてそれぞれ衝突解析を行って解析データを取得する(S12)。
次に、評価データ取得手段36を用いて、上記衝突解析ステップで取得した各解析データから評価部分についての解析データをそれぞれ取得し、取得したそれぞれの解析データの要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を評価データとして取得する(差分取得ステップ)(S13)。
次に、評価モデル生成手段37を用いて、解析モデル生成ステップ生成時(衝突解析前)の第1構造体解析モデルにおける評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデル39を生成する(S14)
本実施の形態において、構造体評価モデル39は図6に示す構造体評価モデル23と同一形状とした。
次に、表示手段38を用いて、評価データ取得ステップで取得された差分に基づいて構造体評価モデル39の対応する要素および/または節点にコンター図として表示する(S15)。
表示例を図14〜図17に示す。
図14は変位差、図15は歪差、図16は応力差、図17は内部エネルギー密度差をそれぞれ表示したものである。
本実施の形態では、第2構造体解析モデルとして第1構造体解析モデルと形状が同一でモデル全部の材料が異なるモデルを用いることで、材料の違いによる影響の評価を容易にする場合について説明する。
本実施の形態の解析装置の構成は、図12に示した実施の形態2の解析装置31と同一の構成であり、また処理の流れも図13に示したものと同じである。
そこで、以下においては、実施の形態2との相違点に着目して、図13を参照しながら本実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、評価対象となる部分はフロントサイドメンバとした。
次に、実施の形態1および実施の形態2と同様に構造体評価モデルを生成し(S14)、生成した構造体評価モデルに差分をコンター図として表示する(S15)。
車体全体の中から評価対象となるフロントサイドメンバの構造体評価モデル41のコンター図の例を図18〜図21に示す。図18は変位差、図19は歪差、図20は応力差、図21は内部エネルギー密度差をそれぞれ表示したものである。
つまり、590MPa級の材料を、高強度980MPa級材料に変更した場合、材料強度の違いによる衝突特性の違いによって、部品(構造体)のどの部分の応力、歪、変位が変化しやすいかを簡易かつ明確に知ることができる。
材料の組み合わせが異なる場合としては、モデルの材料として複数の材料を溶接して1枚のブランクとするTWB(tailored welded blank、テーラードウェルデッドブランク)を使用し、材料の種類は同一で材料の配置を変更する場合、材料の配置は同一で材料の種類を変更する場合、または材料の配置も種類も変更する場合等がある。
ここで、材料の配置を変更するとは例えばTWBの継目位置を変更することであり、材料の種類とは例えば板厚や材料強度のことである。
センターピラーコンポーネント43は、図22に示す通り、ほぼ同形状のセンターピラーアウター45とセンターピラーインナー47を重ね合わせて構成されている。なお、図22において、センターピラーインナー47はセンターピラーアウター45の背面側に位置しており、最も濃い色で示している。
センターピラーアウター45は、上部45aと下部45bを異なる材料で構成しており、TWBをプレス成形することで作成される。
なお、図22において、上部45aは下部45bよりも薄い色で示している。本例では、上部45aの材料として板厚1.6mmの590MPa級鋼板、下部45bの材料として板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
第1構造体解析モデルは図23(a)のセンターピラーコンポーネント43について生成し、第2構造体解析モデルは図23(b)のセンターピラーコンポーネント43について生成した(S11)。
このようにして生成された第1構造体解析モデルと第2構造体解析モデルをそれぞれ車体に組み込んで、車体全体について衝突解析を行い(S12)、解析データの差分を取得した(S13)。
図24は変位差、図25は歪差、図26は応力差、図27は内部エネルギー密度差をそれぞれ表示したものである。
このように、図24からはTWBの継目位置を変更したことの影響が、変位差としてどのように表れるかを一見して確認することができる。
材料の種類の変更とは例えば、板厚のみを変更すること、材料強度(TS、引張強度)のみを変更すること、板厚及び材料強度の双方をすることである。これらの材料の種類の変更について図28〜図39に基づいて順に説明する。
第1構造体解析モデルでは、上部45aの材料として板厚1.6mmの590MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
第2構造体解析モデルでは、下部45bの材料として板厚1.8mmの590MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として第1構造体解析モデルと同様の板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
TWBを構成する材料の板厚を変更したことの影響が、図28からは変位の差として、図29からは歪量の差として、図30からは応力の差として、図31からは内部エネルギー密度の差として、それぞれどの様に表れるかを確認することができる。
第1構造体解析モデルでは、上部45aの材料として板厚1.6mmの590MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
第2構造体解析モデルでは、上部45aの材料として板厚1.6mmの980MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として第1構造体解析モデルと同様の板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
TWBを構成する材料の材料強度を変更したことの影響が、図32からは変位の差として、図33からは歪量の差として、図34からは応力の差として、図35からは内部エネルギー密度の差として、それぞれどの様に表れるかを確認することができる。
第1構造体解析モデルでは、上部45aの材料として板厚1.6mmの590MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
第2構造体解析モデルでは、上部45aの材料として板厚1.4mmの980MPa級鋼板を用い、下部45bの材料として第1構造体解析モデルと同様の板厚1.2mmの440MPa級鋼板を用いた。
TWBを構成する材料の板厚及び材料強度の双方を変更したことの影響が、図36からは変位の差として、図37からは歪量の差として、図38からは応力の差として、図39からは内部エネルギー密度の差として、それぞれどの様に表れるかを確認することができる。
3 表示装置
5 入力装置
7 主記憶装置
9 補助記憶装置
11 演算処理部
13 解析モデル生成手段
14 衝突解析手段
15 評価データ取得手段
17 評価モデル生成手段
19 表示手段
20 壁
21 構造体解析モデル
22 フロントサイドメンバコンポーネント
22a フロントサイドメンバ
22b フロントサイドメンバエクステンション
23 構造体評価モデル
31 解析装置(実施の形態2)
32 演算処理部
33 解析モデル生成手段
33a 第1構造体解析モデル生成機能
33b 第2構造体解析モデル生成機能
35 衝突解析手段
36 評価データ取得手段
36a 差分取得機能
37 評価モデル生成手段
38 表示手段
39 構造体評価モデル(実施の形態2)
41 構造体評価モデル(実施の形態3)
43 センターピラーコンポーネント
45 センターピラーアウター
45a 上部
45b 下部
47 センターピラーインナー
49 構造体評価モデル
Claims (10)
- コンピュータにより、
複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、
該解析モデル生成ステップで生成された構造体解析モデルについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する衝突解析ステップと、
該衝突解析ステップで取得された前記解析データの中から前記構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得する評価データ取得ステップと、
前記解析モデル生成ステップで生成された生成時の構造体解析モデルにおける前記評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が前記構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成する評価モデル生成ステップと、
前記評価データ取得ステップで得られた前記要素毎および/または節点毎に取得した評価データに基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする構造体の解析方法。 - 前記評価データ取得ステップで取得する前記評価データは、変位、歪、応力、内部エネルギー密度のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の構造体の解析方法。
- 前記解析モデル生成ステップは、前記構造体解析モデルとして第1構造体解析モデルと該第1構造体解析モデルと共通する評価部分を有する第2構造体解析モデルを生成するステップを有し、
前記衝突解析ステップは、前記第1構造体解析モデルと前記第2構造体解析モデルのそれぞれについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得するステップを有し、
前記評価データ取得ステップは、前記第1構造体解析モデル及び前記第2構造体解析モデルの前記評価部分についての解析データをそれぞれ取得し、取得したそれぞれの解析データの前記要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を評価データとして取得する差分取得ステップを含み、
前記表示ステップは、前記差分取得ステップで取得された差分に基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造体の解析方法。 - 前記第2構造体解析モデルは、前記第1構造体解析モデルの一部を切り出して境界条件を設定した部分解析モデルであることを特徴とする請求項3記載の構造体の解析方法。
- 前記第2構造体解析モデルは、前記第1構造体解析モデルと形状が同一で、一部または全部の材料または材料の組み合わせが異なるモデルであることを特徴とする請求項3記載の構造体の解析方法。
- コンピュータによって構成され、
複数の要素(メッシュ)で構成され、要素情報、節点情報及び解析条件を有する構造体解析モデルを生成する解析モデル生成手段と、
該解析モデル生成手段で生成された構造体解析モデルについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する衝突解析手段と、
該衝突解析手段で取得された前記解析データの中から前記構造体解析モデルにおける評価対象となる評価部分についての解析データを評価データとして取得する評価データ取得手段と、
前記解析モデル生成手段で生成された生成時の構造体解析モデルにおける前記評価部分と同一形状で、かつ節点情報及び要素情報からなり該節点情報及び要素情報が前記構造体解析モデルの節点情報及び要素情報と対応付けられている構造体評価モデルを生成する評価モデル生成手段と、
前記評価データ取得手段によって前記要素毎および/または節点毎に取得した評価データに基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する表示手段とを備えたことを特徴とする構造体の解析装置。 - 前記評価データ取得手段で取得する前記評価データは、変位、歪、応力、内部エネルギー密度のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6記載の構造体の解析装置。
- 前記解析モデル生成手段は、前記構造体解析モデルとして第1構造体解析モデルと該第1構造体解析モデルと共通する評価部分を有する第2構造体解析モデルを生成する機能を有し、
前記衝突解析手段は、前記第1構造体解析モデルと前記第2構造体解析モデルのそれぞれについて衝突解析を行って前記要素毎および/または節点毎に解析データを取得する機能を有し、
前記評価データ取得手段は、前記第1構造体解析モデル及び前記第2構造体解析モデルの前記評価部分についての解析データをそれぞれ取得し、取得したそれぞれの解析データの前記要素毎および/または節点毎にこれら解析データの差分を評価データとして取得する差分取得機能を含み、
前記表示手段は、前記評価データ取得手段で取得された前記差分に基づいて、前記構造体評価モデルの対応する前記要素および/または節点にコンター図として表示する機能を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の構造体の解析装置。 - 前記第2構造体解析モデルは、前記第1構造体解析モデルの一部を切り出して境界条件を設定した部分解析モデルであることを特徴とする請求項8記載の構造体の解析装置。
- 前記第2構造体解析モデルは、前記第1構造体解析モデルと形状が同一で、一部または全部の材料または材料の組み合わせが異なるモデルであることを特徴とする請求項8記載の構造体の解析装置。
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