以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本実施の形態における用語の定義について説明する。
「労働安全衛生管理」とは、労働者の安全と健康を確保し、快適な作業環境を作るための、総合的、計画的な対策を行うことであり、労働災害についてのリスクアセスメント(事前あるいは事後の危険評価)を含む。
「リスク」とは、災害、および、災害が発生する危険性である。
「工種」とは、ある工事を構成する複数のより小規模な工事の種別である。工事は、大工種、中工種、および小工種等の複数階層のツリー形式で構成される。各工種には、「機械土工事 掘削積込[バックホウ]」、「埋戻工」等の、対応する小規模な工事の内容を示す名称が付与されている。
「積算内訳」とは、工事の予定価格を算出するために、工事を構成する工種をツリー形式で列挙し、工種毎に数量および金額を明示したものである。
「工事内訳」および「工事内容」とは、工事を構成する工種を列挙したものである。
「作業項目」とは、工事において実施され得る作業のパターンの種別である。各作業項目には、「機械土工(土砂)」、「機械土工(埋戻工)」等の、対応する作業のパターンの内容を示す名称が付与されている。
「作業工程」とは、ある作業を構成する複数のより小規模な作業であり、例えば、「重機搬入」、「掘削作業を行う」である。
「作業区分」とは、作業工程の種別である。各作業区分には、「準備工」、「本作業」等の、対応する小規模な作業の内容を示す名称が付与されている。
「作業の手順」および「作業手順」とは、作業工程の、内容および実施順序である。
「災害の起因物」とは、災害の原因となる物事の種別であり、例えば、「建設機械等」、「電力設備」である。
「災害分類」とは、災害を分類したときのグループの種別である。各災害分類には、「はさまれ、巻き込まれ」、「転倒」等の、対応する災害の内容を示す名称が付与されている。
「事故事例分類」とは、過去に発生した事故の事例を分類したときのグループの種別である。事故事例分類には、「気象災害」、「転倒・横転事故」等の、対応する事故事例のおおまかな内容を示す名称が付与されている。
「リスク情報」とは、災害の内容を示す情報であり、例えば、災害の起因物、災害の内容、災害分類、災害防止対策、災害の重篤度、災害の発生の可能性を含む。
「作業手順書」とは、工事において実施される作業の作業項目について、複数の作業工程およびリスク情報を、作業手順に沿って並べた一覧である。
「法令情報」とは、法令あるいは法令の内容を示す情報であり、例えば、労働安全衛生法の条文の番号や内容である。
「罰則」とは、法令の中で違反行為に対する刑罰または過料を科する旨を定めている規定、規則に違反した際に適用されるルール、およびペナルティを含む。
次に、本実施の形態に係るリスクアセスメント支援システムを含む労働安全衛生管理システムの構成について説明する。
本実施の形態に係る労働安全衛生管理システムの各部の機能は、例えば、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等の記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することにより、実現される。すなわち、本実施の形態に係る労働安全衛生管理システムは、例えば、パーソナルコンピュータにインストールされたアプリケーションソフトウェアの形態をとる。具体的には、本実施の形態に係る労働安全衛生管理システムは、例えば、既存の表作成ソフトウェアのアドインである。
図1は、本実施の形態に係るリスクアセスメント支援システムを含む労働安全衛生管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1において、労働安全衛生管理システム100は、参照情報格納部110、工事内訳取得部120、作業選択受付部130、リスク情報提示部140、登録情報格納部150、罰則情報提示部160、重点法令登録部170、および重点法令活用部180を有する。
また、労働安全衛生管理システム100には、操作部210、通信部220、表示部230、および印刷部240が接続されている。以下の説明において、労働安全衛生管理システム100は、例えば、情報の表示を、表示部230を用いて行い、ユーザからの操作の受け付けを、操作部210を用いて行う。また、労働安全衛生管理システム100は、例えば、外部機器との間の情報の送受信を、通信部220を用いて行い、情報の印刷を、印刷部240を用いて行う。
なお、リスクアセスメント支援システムは、例えば、参照情報格納部110、登録情報格納部150、罰則情報提示部160、重点法令登録部170、および重点法令活用部180を包含する部分である。
参照情報格納部110は、作業手順マスタテーブル、法令情報テーブル、および事故事例テーブルを、予め格納する。
作業手順マスタテーブルは、複数の作業のそれぞれと、その作業工程、リスク情報、および法令情報と、の対応関係を記述したテーブルである。
図2は、作業手順マスタテーブルの一例を示す図である。
図2に示すように、作業手順マスタテーブル310は、作業項目(工種)311毎に、1つまたは複数の作業区分312と、各作業区分の作業において実施されるべき1つまたは複数の作業工程(手順)313とを記述している。なお、1つの作業項目311に対しては、通常、複数の作業工程313が対応付けられている。
また、作業手順マスタテーブル310は、作業工程313毎に、リスク情報(314〜317、319〜323)を記述している。
リスク情報は、災害の起因物314、危険性または有害性と発生のおそれのある災害の内容315、および災害分類316を含む。また、リスク情報は、既存の災害防止対策317と、当該防止対策の重篤度319、可能性320、および評価321と、リスク低減措置案322と、当該措置案の重篤度323、可能性324、および評価325とを含む。なお、作業手順マスタテーブル310は、リスク情報と対応付けて、リスク情報に関係する法令情報である係法令等318を、更に記述している。
図2に示す例では、例えば、「準備工」という作業区部312に、「有資格者の確認をす・・・」等の9つの作業工程313が対応付けられている。そして、例えば、「有資格者の確認をす・・・」という作業工程313に、「転倒」等の災害分類316を含むリスク情報、および、「〔安令20〕」という関係法令等318が、対応付けられている。
法令情報テーブルは、罰則と、罰則以外の法令(以下「関連法令」という)との間の対応関係を記述したテーブルである。
図3は、法令情報テーブルの内容の一例を示す図である。
図3に示すように、法令情報テーブル330は、例えば、労働安全衛生規則の法令情報331と、労働安全衛生法の法令情報332と、労働安全衛生法の罰則に関する法令情報333と、を対応付けて記述している。
労働安全衛生法の法令情報332は、対応する労働安全衛生規則の法令情報331が示す条文に関連する、労働安全衛生法の条文を示す。また、労働安全衛生法の罰則に関する法令情報333は、対応する労働安全衛生法の法令情報332が示す条文に関連する、労働安全衛生法罰則の条文を示す。
事故事例テーブルは、事故事例分類と、事故事例の内容(以下「事故内容」という)と、関連法令との間の対応関係を記述したテーブルである。
図4は、事故事例テーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、事故事例テーブル340は、事故事例分類341毎に、1つまたは複数の事故内容342と、1つまたは複数の関連法令343とを記述している。事故内容342は、例えば、事故事例分類341に属する具体的な事故事例を説明するテキストである。関連法令343は、例えば、事故事例分類341に属する事故事例に関連する関連法令の法令情報である。
ここで、本実施の形態における事故事例分類について説明する。
本実施の形態における事故事例分類は、安全施工学に基づき、建設関連の発注者および受注者の安全管理の観点から、各種事故事例を30種類に分類する、新しい分類体系である。
図5は、本実施の形態において用いられる事故事例分類を説明する図である。
図5に示すように、自然災害の範囲351と、厚生労働省が取り扱う事故災害(労働災害)の範囲352と、機械装置の専門家が取り扱う事故災害(機械装置に関連する災害)の範囲353と、国土交通省が取り扱う事故災害(公衆災害)の範囲とは、互いに一部が重複しつつ、互いに異なる。そして、これらの範囲351〜354は、必ずしも、工事のリスクアセスメントの対象とすべき事故災害の範囲とはマッチしていない。例えば、厚生労働省が取り扱う事故災害の範囲は、労働災害に偏っている。
そこで、労働安全衛生管理システム100が取り扱う事故災害の範囲355は、これらの既存の事故災害の範囲351〜354の一部または全部を複合的に網羅する範囲となっている。
労働安全衛生管理システム100が取り扱う事故災害の範囲355は、図5に示すように、「01」〜「30」という30項目からなる事故事例分類356に区分されている。そして、事故事例分類356の各項目には、事故災害の内容を簡潔に示す名称が付されている。
このように、本実施の形態における事故事例分類356は、労働災害、公衆災害、自然災害、および機械装置に関連する災害のそれぞれの少なくとも一部を含む災害の範囲を、リスクアセスメントの観点から区分した分類となっている。
図4の事故事例テーブル340は、このような事故事例分類356に基づいて、例えば、専門家により予め作成され、参照情報格納部110に格納されている。
なお、作業手順マスタテーブル310、法令情報テーブル330、および事故事例テーブル340における情報の対応関係は、それぞれ、複数のテーブルに分けて記述されていてもよい。また、法令情報テーブル330および事故事例テーブル340は、1つのテーブルに統合されていてもよい。
また、事故事例テーブル340は、事故内容342(事故事例)に対応付けて、事故対策等の情報や、事故内容342が属する積算工種分類等を、併せて記述してもよい。事故事例テーブル340に積算工種分類が記述されている場合、労働安全衛生管理システム100は、例えば、事故事例から、積算工種分類や、積算工種分類に関連付けられた各種付加情報をユーザに提示したり、積算工種分類から、事故事例分類を提示することが可能となる。
図1の工事内訳取得部120は、リスクアセスメントの対象となる工事(以下「対象工事」という)の積算内訳を取得し、取得された積算内訳の内容を示すデータ(以下「積算内訳データ」という)に基づいて、工事内訳を取得する。そして、工事内訳取得部120は、取得した工事内訳の内容を示すデータ(以下「工事内訳データ」という)を、作業選択受付部130へ出力する。
作業選択受付部130は、入力された工事内訳データに基づいて、工事内訳に含まれる複数の工種を一覧表示し、ユーザから、表示された複数の工種に対する選択操作を受け付ける。更に、作業選択受付部130は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)に含まれる複数の作業項目を一覧表示し、ユーザから、選択されている工種に関連付けて、表示された複数の作業項目の中からいずれかを選択する操作を受け付ける。そして、作業選択受付部130は、ユーザによって選択された作業項目を示す情報と、選択された作業項目が対応付けられた工種を示す情報とを組にして、リスク情報提示部140へ出力する。
リスク情報提示部140は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)を参照して、選択された作業項目に対応する複数の作業工程およびリスク情報の一覧を、作業手順書として生成し、対応する工種に関連付けてユーザに提示(表示)する。また、リスク情報提示部140は、ユーザから、表示された作業手順書の内容の少なくとも一部に対する変更と、作業手順書に対する決定操作とを受け付ける。そして、リスク情報提示部140は、決定操作が行われた作業手順書の内容を示すデータ(以下「作業手順書データ」という)と、対象工事の識別情報とを、組にして登録情報格納部150へ出力することにより、作業手順書の内容を対象工事に対応付けて登録する。
登録情報格納部150は、リスク情報提示部140から入力された作業手順書データと対象工事の識別情報との組を、格納して保持する。また、登録情報格納部150は、重点法令登録部170によって作成される後述の重点法令リストを、格納して保持する。
罰則情報提示部160は、ユーザに対し、事故事例分類を提示(表示)して事故事例分類に対する選択を受け付ける。罰則情報提示部160は、ユーザに対し、選択された事故事例分類に属する事故事例の内容を提示(表示)し、事故事例(事故事例分類)に対する選択を受け付ける。そして、罰則情報提示部160は、法令情報テーブル330(図3参照)および事故事例テーブル340(図4参照)を参照し、選択された事故事例(事故事例分類)に対応する関連法令と、当該関連法令に対応する罰則の内容と、を関連付けて提示(表示)する。
重点法令登録部170は、ユーザから、重点法令リストに追加すべき関連法令を選択する操作を受け付ける。ここで、重点法令リストとは、関連する工程についてリスクアセスメントを重点的に行うべき関連法令の一覧である。そして、重点法令登録部170は、選択された関連法令を、登録情報格納部150へ出力することにより、重点法令リストに登録する。重点法令リストは、例えば、登録情報格納部150における所定の記憶領域に記述された、1つまたは複数の関連法令の識別情報(例えば法令名および条文番号)である。
重点法令活用部180は、リスクアセスメントの対象となる工事に含まれる複数の作業工程のリスト(例えば、作業手順書)から、重点法令リストに登録された法令に対応する作業工程を抽出する。そして、重点法令活用部180は、抽出された作業工程の一覧を含む工事法令リストを作成し、ユーザに対して提示する。
なお、労働安全衛生管理システム100は、外部サーバ等の外部機器にアクセスして、参照情報格納部110および登録情報格納部150に格納された情報を、更新したり、外部機器へ送信したりする機能を有する。また、労働安全衛生管理システム100は、登録情報格納部150に格納された作業手順書データを、表示したり印刷したりする機能を有する。これらの機能は、例えば、リスク情報提示部140あるいは重点法令登録部170により実現される。
操作部210は、例えばキーボードおよびマウスであり、ユーザが行った操作の内容を示す情報を、労働安全衛生管理システム100へ出力する。
通信部220は、例えば無線USBアダプタであり、インターネット上のサーバ等の外部機器との間で通信を行い、労働安全衛生管理システム100と外部機器との間で情報の転送を行う。
表示部230は、例えば液晶ディスプレイであり、労働安全衛生管理システム100から入力された画像情報に基づいて画像を表示する。
印刷部240は、例えばカラープリンタであり、労働安全衛生管理システム100から入力された画像情報に基づいて画像を印刷する。
このような構成を有する労働安全衛生管理システム100によれば、ユーザに対し、関連法令の内容と、罰則の有無およびその内容とを、関連付けて提示し、法令の重点法令リストへの登録を受け付けることができる。そして、このようにして生成される重点法令リストを用いることにより、ユーザは、関連法令毎に、当該関連法令に関連する各作業工程のリスクアセスメントの必要度を、容易に判断して、リスクアセスメントを行うことができる。すなわち、労働安全衛生管理システム100は、リスクアセスメントの必要度を検討する際のユーザの負担を、軽減することができる。そして、ユーザは、リスクアセスメントの必要度に応じて各工程のリスクアセスメントの実施の度合いに軽重を付けることができる。
また、労働安全衛生管理システム100は、ユーザから、工種に対応付けて、その工種で行われるべき作業の作業項目を選択する操作を受け付けることができる。
上述の従来技術では、ユーザが、自動で一覧表示された工程のそれぞれについて、適切か否かを後から確認する必要があった。このような、1つの作業項目に対応する多数の作業工程のそれぞれの適否を確認する作業の負担に比べて、1つの作業項目を選択する作業の負担は、非常に軽い。
したがって、労働安全衛生管理システム100は、従来技術に比べて、リスクアセスメントの作業の負担を軽減することができる。
また、従来技術では、危険有害要因を含む作業工程のみを一覧表示するのに対し、労働安全衛生管理システム100は、有害要因の有無によらず、工事に必要な一連の作業工程を一覧表示する。このような一覧表示は、そのまま、作業手順書として用いることが可能である。
したがって、労働安全衛生管理システム100は、リスクアセスメントと作業手順書の作成との間で重複する作業を一度に行うことを可能にし、例えば、作業手順書の作成の作業負担を軽減することができる。
また、労働安全衛生管理システム100は、従来技術では表示していない災害防止対策を、一覧表示する。したがって、労働安全衛生管理システム100は、従来技術に比べて、リスクアセスメントの作業の負担を更に軽減することができる。
次に、労働安全衛生管理システム100の動作について、各処理段階で表示される画像を例示しながら説明する。
労働安全衛生管理システム100は、例えば、メニュー画面を表示し、メニュー画面から、具体的な作業を行うための操作画面の表示へと遷移する。なお、各画面を表示するのに必要なデータは、例えば、参照情報格納部110に予め格納されている。
図6は、メニュー画面を含む画面全体の一例を示す図である。
図6に示すように、メニュー画面410の上部には、各操作画面に対応した複数のアイコン411が表示されている。労働安全衛生管理システム100は、ユーザにより、いずれかのアイコン411に対するクリック操作が行われると、そのアイコン411に対応する機能を発揮するための操作画面が、別のウィンドウによりポップアップ表示される。メニュー画面410の各アイコン411は、基本的に、いずれかの操作画面が表示されている状態であってもクリックすることが可能となっている。
図7は、各アイコン411に対応する主な機能を説明する図である。
図7に示すように、例えば、「工事内容」というテキストが付されたアイコン4111(図6参照、以下同様)に対応する主な機能は、工事内容(積算内訳データ)を作成することである。「安全計画」というテキストが付されたアイコン4112に対応する主な機能は、工事内容を元にした安全計画データを作成することである。「作業手順書」というテキストが付されたアイコン4113に対応する主な機能は、工事内容を基にした、工種別の作業手順書データを作成することである。「確認写真出力」というテキストが付されたアイコン4114に対応する主な機能は、後述の実施状況写真一覧表を作成して出力することである。「法令検索」というテキストが付されたアイコン4115に対応する主な機能は、法令条文を参照したり文字列検索したりするための画面(例えば、後述の図21に示す法令検索画面540)を表示することである。「事故事例」というテキストが付されたアイコン4116に対応する主な機能は、事故事例および関連法令を記載した事故事例帳票と、当該関連法令に関連する罰則とをユーザに提示し、ユーザから重点法令リストを作成する操作を受け付けることである。
なお、アイコン4111〜4116に対応する機能は、リスクアセスメントに関する機能である。したがって、以下、これらの機能を中心に、労働安全衛生管理システム100の動作について説明する。
まず、労働安全衛生管理システム100の作業手順書の作成に関する動作について説明する。
図8は、労働安全衛生管理システム100の作業手順書の作成に関する動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1100において、工事内訳取得部120は、メニュー画面410の「工事内容」のアイコン4111(図6参照)に対するクリック操作を受けて、積算内訳作成画面を表示する。そして、工事内訳取得部120は、ユーザから積算内訳データの作成を受け付けることにより、積算内訳を取得する。
図9は、積算内訳作成画面の一例を示す図である。
図9に示すように、積算内訳作成画面420は、工種のツリー構造を作成するための操作領域421と、各工種に対して金額情報を設定するための操作領域422と、各工種に対して使用する主要機械および主要材料情報を設定するための操作領域423とを含む。このような積算内訳作成画面420に対するユーザの操作により、積算内訳データが生成される。
なお、積算内訳データが生成された後に、「安全計画」のアイコン4112(図6参照)がクリックされたとする。この場合、労働安全衛生管理システム100は、各工種の簡易工程に関する情報の入力をユーザから受け付け、工程に基づき、該当する主要機械および主要材料に関する情報を集計して、安全計画データを作成してもよい。
そして、図8のステップS1200において、工事内訳取得部120は、工事内訳を表示し、作業選択受付部130は、作業項目一覧を表示する。
具体的には、以下の通りである。工事内訳取得部120は、「作業手順書」のアイコン4113(図6参照)に対するクリック操作を受けて、生成された積算内訳データから、工種のツリー構造を抽出し、工事内訳データを生成する。
そして、作業選択受付部130は、工事内訳を含む、工種選択画面を表示する。
図10は、工種選択画面の一例を示す図である。
図10に示すように、工種選択画面430は、工事内訳431と、検討進捗状況を示す情報表示領域432とを含む。
工事内訳431には、工事に含まれる工種名のリストを、ツリー状に表示する。表示されている工種名のうち、手順書追加操作が行われた工種名には、その旨を示すマーカが付与される。ここで、手順書追加操作とは、手順作業書に対して作業工程を追加する操作である。
情報表示領域432には、例えば、工事内訳に含まれる工種(総工種)の総数と、リスクアセスメント(検討)が済んだ工種(検討工種)の総数とが表示される。この情報は、つまり、取得された工事内訳に含まれる全ての工種について、作業を選択する操作が行われたか否かを示す。
作業選択受付部130は、例えば、以下のようにして、総工種の総数および検討工種の総数をカウントする。
作業選択受付部130は、工事内訳のツリーの最下層の全ての工種の個数をカウントし、カウントされた値を、総工種の総数とする。また、作業選択受付部130は、例えば、上述の手順書追加操作が行われた工種の個数をカウントし、カウントされた値を、検討工種とする。
但し、作業選択受付部130は、手順書追加操作が行われた工種がツリーの最下層の工種ではない場合、手順書追加操作が行われた工種に属する最下層の工種の個数をカウントする。また、作業選択受付部130は、検討工種の総数の既にカウントされている工種については、再度、手順書追加操作が行われたとしても、検討工種の総数に再カウントはしない。
また、情報表示領域432には、例えば、工事内訳に含まれる工種に対応付けて選択された作業項目(作業)に含まれる作業工程の総数(以下「作業手順数」という)が表示される。また、情報表示領域432には、例えば、当該作業工程のうちリスクアセスメント(検討)が済んだ作業工程の総数(以下「リスクアセスメント実施項目数」という)が表示される。
作業選択受付部130は、例えば、登録された作業手順書に含まれる作業工程の個数を、作業手順数としてカウントする。また、作業選択受付部130は、登録された作業手順書に含まれる作業工程のうち、作業手順書において検討結果情報の入力が行われた作業工程の個数を、リスクアセスメント実施項目数としてカウントする。
そして、例えば、工種選択画面430において、いずれかの工種が選択された状態で、アイコン433がクリックされたとする。この場合、作業選択受付部130は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)に含まれる複数の作業項目の一覧表(以下「作業項目一覧」という)を含む、作業項目選択画面を表示する。
図11は、初期状態の作業手順書作成画面の一例を示す図である。
図11に示すように、作業手順書作成画面440は、作業手順書に対する情報の追加および削除等の操作を行うための操作領域441と、作成中の作業手順書を表示し、編集を受け付けるための作業領域442とを含む。操作領域441は、例えば、アイコン443、444を含む。
なお、作業領域442に表示される作業手順書の各項目の順序は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)における各項目の順序と同一とは限らない。また、作業領域442には、作業手順書の全部が表示されるとは限らない。作業手順書の表示範囲は、例えば、画面スクロール操作を受けて変化する。
初期状態の作業領域442は、後述の作業選択操作がまだ行われていないため、ブランクである。なお、作業領域442の構成は、例えば、作業手順マスタテーブル310(図2参照)の構成を含む。
例えば、項目番号「1」の行が選択された状態で、アイコン443がクリックされたとする。この場合、作業選択受付部130は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)に含まれる複数の作業項目の一覧表(以下「作業項目一覧」という)を含む、作業項目選択画面を表示する。
図12は、作業項目選択画面の一例を示す図である。
図12に示すように、作業項目選択画面450は、作業項目一覧451を含む。作業項目一覧451のデータは、作業手順マスタテーブル310(図2参照)から都度生成されてもよいし、予め用意されていてもよい。
そして、図8のステップS1300において、作業選択受付部130は、工種および作業項目が選択されたか否かを判断する。
具体的には、以下の通りである。作業選択受付部130は、作業項目一覧451の任意の作業項目に対する選択操作を、ユーザから受け付ける。すなわち、ユーザは、工種に対応付ける作業項目を、自由に選択することができる。
作業選択受付部130は、いずれかの作業項目に対して選択操作が行われると(ステップS1300:YES)、作業項目選択画面450を閉じて、処理をステップS1400へ進める。なお、作業選択受付部130は、作業項目に対する選択操作が行われていない場合(ステップS1300:NO)、処理を後述のステップS1500へ進める。
ステップS1400において、リスク情報提示部140は、作業項目に対応する複数の作業工程およびリスク情報を作業手順書に追加し、追加後の作業手順書を表示する。
具体的には、以下の通りである。まず、リスク情報提示部140は、選択された作業項目に対応する複数の作業工程およびリスク情報を、作業手順マスタテーブル310(図2参照)から読み出す。
そして、リスク情報提示部140は、読み出した複数の作業工程およびリスク情報の内容を、作業手順書作成画面440の作業領域442の対応する欄に貼り付ける。リスク情報提示部140は、項目番号「1」の行が選択されている場合には、項目番号「1」の行を基準とする位置に、複数の作業工程およびリスク情報を貼り付ける。
図13は、作成途中の作業手順書作成画面の一例を示す図であり、図11に対応するものである。
図13に示すように、リスク情報提示部140は、作業手順書作成画面440の作業領域442(つまり、作成中の作業手順書)に、選択された作業項目に対応する、複数の作業工程およびリスク情報を、追加して表示する。
そして、図8のステップS1500において、リスク情報提示部140は、作業手順書に対する変更操作があったか否かを判断する。リスク情報提示部140は、作業手順書に対する変更操作があった場合(S1500:YES)、処理をステップS1600へ進める。なお、リスク情報提示部140は、作業手順書に対する変更操作がない場合(S1500:NO)、処理を後述のステップS1700へ進める。
ステップS1500において、リスク情報提示部140は、ユーザの操作に従って、作業手順書を変更し、変更後の作業手順書を表示する。
具体的には、以下の通りである。
リスク情報提示部140は、図13に示すように、リスク情報提示部140は、作業手順書作成画面440の作業領域442(つまり、作成中の作業手順書)に、プルダウンメニューを含める。また、リスク情報提示部140は、作業領域442のブランク欄へのテキスト入力や、既に入力されているテキストに対する修正を、ユーザから受け付ける。すなわち、リスク情報提示部140は、表示された作業手順書作成画面440の作業領域442の内容の少なくとも一部に対する変更を受け付ける。
図14は、作業手順書における各プルダウンメニューのメニュー項目の一例を示す図である。
図14に示すように、例えば、作業区分、起因物、災害分類、重篤度、可能性、および評価という項目のそれぞれに対して、予め、複数のメニュー項目が登録されている。
リスク情報提示部140は、プルダウンメニューのそれぞれに、選択された作業項目に対応する作業工程またはリスク情報を、初期状態において表示させる。すなわち、ユーザが変更操作をしなければ、作業手順書は、作業手順マスタテーブル310(図2参照)に記述された通りの内容となる。
なお、図11および図13には表れていないが、作業手順書作成画面440の作業領域442は、作業工程毎に、個々の作業工程に対対する評価、確認資料、および備考等といった、リスクアセスメントの検討結果に関する付加情報(以下「検討結果情報」という)を追加するための情報追加欄を、更に有する。リスク情報提示部140は、ユーザから、かかる情報追加欄に対する検討結果情報の追加を受け付ける。検討結果情報は、例えば、対応する災害防止対策を行ったか否かを示す情報、および、作業工程の様子を撮影した画像である。
そして、図8のステップS1700において、リスク情報提示部140は、ユーザにより、作成中の作業手順書に対する決定操作が行われたか否かを判断する。リスク情報提示部140は、作成中の作業手順書に対する決定操作が行われていない間(図8のステップS1700:NO)、図8のステップS1300〜S1600を繰り返す。そして、リスク情報提示部140は、作成中の作業手順書に対する決定操作が行われると(図8のステップS1700:YES)、その時点の作業手順書を登録情報格納部150に登録して(図8のステップS1800)、一連の処理を終了する。
図15は、登録された作業手順書の一例を示す図である。
図15に示すように、作業手順書460は、工種(工種名)461に対応付けて、複数の作業区分463および複数の作業工程(手順)464、リスク情報465〜468、470〜472、474〜477、および関係法令等469を記述している。また、作業手順書460は、既存の災害防止対策の優先度473、リスク低減措置の実施日478、措置を実施したことを示す確認資料479、ならびに備考480という、検討結果情報を記述している。
なお、リスク情報提示部140は、登録した作業手順書を、読み出して作業手順書作成画面440に再表示し、作業工程やリスク情報の変更、ならびに、検討結果情報の変更、追加、および削除を、ユーザから受け付けることができる。そして、リスク情報提示部140は、変更後の作業手順書で、登録内容を更新することができる。すなわち、ユーザは、作業手順書を、間欠的な作業により、作成していくことができる。
また、リスク情報提示部140は、登録した作業手順書に基づいて、新たな作業手順マスタテーブル310(図2参照)を生成してもよい。すなわち、リスク情報提示部140は、作業手順マスタテーブル310の変更をユーザから受け付けてもよい。これにより、作業手順マスタテーブル310の内容を、各作業における作業工程およびリスク情報の実態により適合した内容とすることができ、以降のユーザの作業負担を更に軽減することができる。
以上のような動作により、労働安全衛生管理システム100は、ユーザに対して、適切な作業工程とリスク情報とにより構成された作業手順書の作成を、効果的に支援することができる。
なお、労働安全衛生管理システム100は、登録された作業手順書、あるいは、未登録(作業中)の作業手順書に基づいて、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表を作成し、ユーザに提示することが望ましい。ここで、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表とは、作業手順書に沿ってリスク情報を参照しながら、リスクアセスメントを実施するための書類である。
具体的には、以下の通りである。工種選択画面430(図10参照)において、工事内訳431の中からいずれかの工種が選択された状態で、工種選択画面430に含まれる所定のアイコン(図示せず)がクリックされたとする。この場合、リスク情報提示部140は、選択されている工種について、作業手順書の内容に基づき、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表を生成し、表示する。また、リスク情報提示部140は、ユーザ操作を受けて、生成した作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表を、印刷する。なお、リスク情報提示部140は、ユーザから、表示中の作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表に対する修正を受け付けてもよい。
図16は、印刷された作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表の一例を示す図である。
図16に示すように、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表490は、工事情報記載領域491、工種名記載領域492、使用器具等記載領域493、作業手順書領域494、および確認印領域495を含む。
工事情報記載領域491は、ユーザ操作により選択あるいは入力された工事名および請負者を記載する。工種名記載領域492は、選択された工種の工種名を記載する。使用器具等記載領域493は、選択された工種における使用器具および作業概要を記載する。作業手順書領域494は、リスク低減措置の実施日478、措置を実施したことを示す確認資料479、および備考480等のリスクアセスメント実施に関する情報の記入欄を含む、作業手順書460(図15参照)の内容を記載する。確認印領域495は、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表490の記載内容に対する確認印等を押すための領域である。
すなわち、リスク情報提示部140は、工事の工種毎に、リスクアセスメント実施に関する情報の記入欄を含む作業手順書を、表示あるいは印刷する。これにより、ユーザは、作業手順を確認しながら、リスクアセスメントの検討および実施を行うことができる。
以上で、労働安全衛生管理システム100の作業手順書の作成に関する動作についての説明を終える。
次に、労働安全衛生管理システム100の重点法令リストへの関係法令の登録(重点法令リストの作成)に関する動作の一例について説明する。
図17は、労働安全衛生管理システム100の重点法令リストの作成に関する動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS2100において、罰則情報提示部160は、「事故事例」のアイコン4116(図6参照)に対するクリック操作を受けて、事故事例分類選択画面を表示する。
図18は、事故事例分類選択画面の一例を示す図である。
図18に示すように、事故事例分類選択画面510は、事故事例分類を一覧表示する領域511と、事故事例分類に対するテキスト検索を受け付ける領域512とを有する。
図17のステップS2200において、罰則情報提示部160は、事故事例分類選択画面510においていずれかの事故事例分類に対する選択操作が行われたか否かを判断する。罰則情報提示部160は、いずれかの事故事例分類に対する選択操作が行われた場合(S2200:YES)、処理をステップS2300へ進める。また、罰則情報提示部160は、事故事例分類に対する選択操作が行われていない場合(S2200:NO)、処理を後述のステップS3000へ進める。
ステップS2300において、罰則情報提示部160は、事故事例テーブル340(図4参照)を参照し、選択された事故事例分類に属する事故事例を抽出する。そして、罰則情報提示部160は、抽出した事故事例を記載した事故事例選択画面を生成し、表示する。
図19は、事故事例選択画面の一例を示す図である。
図19に示すように、事故事例選択画面520は、選択された事故事例分類に属する事故事例を一覧表示する領域521と、事故事例に対するテキスト検索を受け付ける領域522とを有する。
図17のステップS2400において、罰則情報提示部160は、事故事例選択画面520においていずれかの事故事例に対する選択操作が行われたか否かを判断する。罰則情報提示部160は、いずれかの事故事例に対する選択操作が行われた場合(S2400:YES)、処理をステップS2500へ進める。また、罰則情報提示部160は、事故事例に対する選択操作が行われずに、事故事例選択画面520を閉じる操作等が行われた場合(S2400:NO)、処理を後述のステップS3000へ進める。
ステップS2500において、罰則情報提示部160は、事故事例テーブル340(図4参照)を参照し、選択された事故事例に対応する関連法令を抽出する。そして、罰則情報提示部160は、抽出した関連法令を記載した事故事例帳票の画面(以下「事故事例帳票画面」という)を生成し、表示する。
図20は、事故事例帳票画面の一例を示す図である。
図20に示すように、事故事例帳票画面530は、事故事例の内容を表示する領域531と、関連法令を表示する領域532と、表示されている関連法令を重点法令リストに登録するための登録ボタン533とを有する。表示されている関連法令のテキスト(例えば、法令名の略語と条文の番号)は、クリックして選択する操作が可能となっている。
図17のステップS2600において、罰則情報提示部160は、関連法令が選択されたか否かを判断する。罰則情報提示部160は、関連法令が選択された場合(S2600:YES)、処理をステップS2700へ進める。また、罰則情報提示部160は、関連法令に対する選択操作が行われずに、事故事例帳票画面530を閉じる操作等が行われた場合(S2600:NO)、処理を後述のステップS3000へ進める。
ステップS2700において、罰則情報提示部160は、法令情報テーブル330(図あ3参照)を参照し、選択された関連法令に対応する罰則を抽出する。そして、罰則情報提示部160は、抽出した罰則を記載した法令検索画面を生成し、表示する。
図21は、法令検索画面の一例を示す図である。
図21に示すように、法令検索画面540は、法令表示領域541、法令検索領域542、条文表示領域543、関連法令表示領域544、罰則表示領域545、および登録ボタン546を有する。
法令表示領域541は、労働安全衛生規則、労働安全衛生法、および労働安全衛生法施行令等の各種法令の法令名および条項(条文番号および条文名)の一覧を、ツリー構造で表示する。法令検索領域542は、法令名、条文番号、条文名、および条文等に対するテキスト検索を受け付ける。罰則情報提示部160は、法令検索領域542において選択されている条項の条文を、条文表示領域543に表示する。
関連法令表示領域544は、法令検索領域541において選択されている条項に対応する他の関連法令の法令情報を表示する。罰則表示領域545は、法令検索領域541において選択されている条項に関連する罰則の法令情報を表示する。登録ボタン546は、表示されている関連法令を重点法令リストに登録するためのボタンである。
法令表示領域541は、初期状態において、直前に事故事例帳票画面530(図20参照)において選択された関連法令が選択されている。したがって、ユーザは、ユーザが事故事例帳票画面530において選択した関連法令に対応する罰則の有無およびその内容を、確認することができる。また、ユーザは、他の関連法令を選択し直すことにより、かかる他の関連法令についても、罰則の有無およびその内容を簡単に確認することができる。
図17のステップS2800において、重点法令登録部170は、法令検索画面540の登録ボタン546(図21参照)をクリックする操作、つまり、関係法令の登録操作が行われたか否かを判断する。重点法令登録部170は、関係法令の登録操作が行われた場合(S2800:YES)、処理をステップS2900へ進める。また、重点法令登録部170は、関係法令の登録操作が行われずに、法令検索画面540を閉じる操作等が行われた場合(S2800:NO)、処理を後述のステップS3000へ進める。
ステップS2900において、重点法令登録部170は、登録操作の対象となった関係法令を、重点法令リストに登録する。
なお、重点法令登録部170は、事故事例帳票画面530の登録ボタン533(図20参照)がクリックされた場合、事故事例帳票画面530に表示されている関係法令について、関係法令の登録操作が行われたものとする。これにより、事故事例に多数の関連法令が対応している場合や、1つの関係法令に多数の条項が従属しているような場合に、多数の条項を一括で重点法令リストに登録することができる。
そして、ステップS3000において、罰則情報提示部160は、ユーザ操作等により、重点法令リストへの関係法令の登録の処理の終了を指示されたか否かを判断する。罰則情報提示部160は、処理の終了を指示されていない場合(S3000:NO)、処理をステップS2200へ戻す。また、罰則情報提示部160は、処理の終了を指示された場合(S3000:YES)、一連の処理を終了する。
以上のような動作により、労働安全衛生管理システム100は、ユーザに対して、リスクアセスメントの必要度が高い関係法令のリストアップを、支援することができる。労働安全衛生管理システム100は、リストアップされた関係法令のリストを、重点法令リストとして、登録情報格納部150に格納する。
図22は、重点法令リストの一例を示す図である。
図22に示すように、重点法令リスト550は、例えば、法令を示す情報として、法令名551と条項(条文番号)552の組を、複数記述する。重点法令リスト550に記述される法令は、上述の通り、ユーザが、関連する罰則の有無およびその内容を確認した結果、リスクアセスメントにおいて重点を置くべきものとして選択した法令である。
なお、労働安全衛生管理システム100は、メニュー画面410の「法令検索」のアイコン4115のクリック受けた場合にも、法令検索画面540を表示し、ステップS2700〜S2900の処理を行ってもよい。
このようにして重点法令リストが生成されると、重点法令活用部180は、例えば、メニュー画面410(図6参照)の所定のアイコン(図示せず)に対するクリック操作を受けて、工事法令リストを取得する。
かかる工事法令リストは、例えば、登録情報格納部150に格納された作業手順書から抽出される、作業手順毎の工事の内容(以下「工事内容」という)と関連法令とを対応付けて記述するリストである。工事法令リストは、例えば、手作業手順書460(図15)から、工種名461、項目番号462、および関係法令等469を抽出して得られるリストである。
重点法令活用部180は、取得した工事法令リストに含まれる関連法令と、登録情報格納部150に格納された重点法令リストに含まれる関連法令とを突き合わせて、工事法令リストと重点法令リストとを統合した重点法令対策リストを生成する。そして、重点法令活用部180は、重点法令対策リストを含む重点法令対策画面を生成し、表示する。
図23は、重点法令対策画面の一例を示す図である。
図23に示すように、重点法令対策画面560は、重点法令対策リスト561、法令参照ボタン562、手順書参照ボタン563、および出力ボタン564を有する。重点法令対策リスト561は、重点法令リスト550(図22参照)に対応する領域565と、工事法令リストに対応する領域566と、記入領域567とから成る。
工事法令リストに対応する領域566は、工事法令リストのうち、重点法令リスト550にリストアップされた法令に関連する作業工程の部分を記述する。記入領域567は、作業工程毎に、リスクアセスメントを行ったか否かをチェックするためのチェック欄、および、各種情報を記入するための備考欄を有する。
すなわち、重点法令対策リスト550は、各作業工程の工事内容に関する情報を、リスクアセスメントの必要度が高いものに絞ってリストアップした内容となっている。
重点法令活用部180は、法令参照ボタン562に対するクリック操作を受けて、法令検索画面540(図21参照)を表示し、手順書参照ボタン563に対するクリック操作を受けて、作業手順書460(図15参照)を表示する。これにより、ユーザは、法令情報および作業手順を適宜参照しながら、重点法令対策リスト561を活用することができる。
また、重点法令活用部180は、出力ボタン564に対するクリック操作を受けて、重点法令対策リスト561の内容を印刷する。これにより、ユーザは、紙の重点法令対策リストを携帯してこれを用いることができる。
なお、重点法令リストとの突き合わせの対象となる工事法令リストは、上述の例に限定されない。例えば、工事法令リストは、作業手順書全体であってもよい。
以上で、労働安全衛生管理システム100の重点法令リストの作成に関する動作についての説明を終える。
以下、他の各種書類の作成に関する労働安全衛生管理システム100の動作について説明する。
例えば、リスク情報提示部140は、登録された作業手順書に基づいて、対策実施報告書を作成する。ここで、対策実施報告書とは、作業手順書兼リスクアセスメント実施一覧表490(図16参照)の総括表であり、工事全体におけるリスクアセスメントの実施状況の概要を他者に対して報告するための表である。
具体的には、以下の通りである。工種選択画面430(図10参照)において、工種選択画面430に含まれる所定のアイコン(図示せず)がクリックされたとする。この場合、リスク情報提示部140は、工種選択画面430の情報表示領域432の内容に基づき、対策実施報告書を生成し、表示する。また、リスク情報提示部140は、ユーザ操作を受けて、生成した対策実施報告書を、印刷する。なお、リスク情報提示部140は、ユーザから、表示中の対策実施報告書に対する修正を受け付けてもよい。
図24は、対策実施報告書の一例を示す図である。
図24に示すように、対策実施報告書600は、工事情報記載領域601、リスクアセスメント実施日記載領域602、リスクアセスメント実施概要記載領域603、報告用文章記載領域604、および確認印領域605を含む。
工事情報記載領域601は、ユーザ操作により選択あるいは入力された工事名および請負者を記載する。リスクアセスメント実施日記載領域602は、リスクアセスメントを検討した日および工事の施工開始日を記載する。リスクアセスメント実施概要記載領域603は、工種数、作業手順数、およびリスクアセスメント実施項目数として、それぞれ、工種選択画面430の情報表示領域432(図10参照)に表示された、総工種の総数、作業手順数、およびリスクアセスメント実施項目数を記載する。報告用文章記載領域604は、リスクアセスメントの実施を報告する文章を記載する。確認印領域605は、対策実施報告書600の記載内容に対する確認印等を押すための領域である。
すなわち、リスク情報提示部140は、工事毎に、工事全体におけるリスクアセスメントの実施状況の概要の一覧表を、表示あるいは印刷する。これにより、ユーザは、工事のリスクアセスメントの実施状況を、少ない労力で、他者に示すことができる。
また、例えば、リスク情報提示部140は、登録された作業手順書に基づいて、危険予知活動表を作成する。ここで、危険予知活動表とは、リスク情報を確認しながら具体的なリスク低減措置を検討して記入するための表である。また、リスク情報提示部140は、ユーザ操作を受けて、生成した危険予知活動表を、印刷する。なお、リスク情報提示部140は、ユーザから、表示中の危険予知活動表に対する修正を受け付けてもよい。
具体的には、以下の通りである。作業手順書作成画面440(図11および図13参照)において、作業手順書の中から、1つまたは複数の行(作業工程)が選択された状態で、アイコン444がクリックされたとする。この場合、リスク情報提示部140は、選択されている作業工程について、作業手順書の内容に基づいて危険予知活動表を生成する。
図25は、危険予知活動表の一例を示す図である。
図25に示すように、危険予知活動表610は、例えば、施工日表示欄611、工事名表示欄612、作業内容表示欄613、リスク情報表示欄614、行動目標記入欄615、会社情報表示欄616、および作業員数記入欄617を含む。
作業内容表示欄613は、工事内訳に含まれる工種を記述している。リスク情報表示欄614は、作業内容表示欄613に記述された工種に対応付けられた、作業手順書のリスク情報と、かかるリスク情報に対応する法令情報とを記述している。リスク情報提示部140は、例えば、ユーザから、危険予知活動表610の作成対象となる工事の工事名称および工種の選択を受け付ける。そして、リスク情報提示部140は、選択された工事明要および工種と、登録された作業手順書460(図15参照)に基づいて、作業内容表示欄613およびリスク情報表示欄614の記述内容を決定する。行動目標記入欄615および作業員数記入欄617は、ユーザが、行動目標や作業員数といったリスク回避対策を、記入するための欄である。
すなわち、リスク情報提示部140は、リスク情報、および法令情報と、ユーザがリスク回避対策を記入する欄とを、一斉に提示する。これにより、ユーザは、リスク情報を確認しながら、その日のリスク回避対策を適切に検討して、危険予知活動表610を完成させることができる。
また、例えば、リスク情報提示部140は、登録された作業手順書に含まれる検討結果情報に基づいて、実施状況写真一覧表を生成する。ここで、実施状況写真一覧表とは、リスク低減のためにどのような措置を講じたかを示す表である。
具体的には、以下の通りである。メニュー画面410において、「確認写真出力」のアイコン4114がクリックされたとする(図6参照)。その後、1つまたは複数の行(工種)が選択されると、リスク情報提示部140は、選択されている工種について、作業手順書の内容に基づいて実施状況写真一覧表を生成し、表示する。また、リスク情報提示部140は、ユーザ操作を受けて、生成した実施状況写真一覧表を、印刷する。なお、リスク情報提示部140は、ユーザから、表示中の実施状況写真一覧表に対する修正を受け付けてもよい。
図26は、実施状況写真一覧表の一例を示す図である。
図26に示すように、実施状況写真一覧表620は、例えば、作業工程毎に、工種名、実施日、およびリスク低減措置案等を記述するテキスト表示欄621と、確認資料を画像表示する画像表示欄622とを組にして、記載している。
このような実施状況写真一覧表620が生成されることにより、ユーザは、工事のリスクアセスメントを実施したこと、および、リスクを低減するための対策を講じたことを、少ない負担で、他者に対して示すことができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るリスクアセスメント支援システムを含む労働安全衛生管理システム100は、ユーザに対して、関連法令に関連付けて罰則を提示し、重点法令リストの作成を受け付ける。これにより、本実施の形態に係るリスクアセスメント支援システムを含む労働安全衛生管理システム100は、ユーザに対して、リスクアセスメントの必要度が高い関連法令や、当該関連法令と関連する作業手順およびその工事内容を抽出する作業を支援することができる。したがって、本実施の形態に係るリスクアセスメント支援システムを含む労働安全衛生管理システム100は、従来技術に比べて、ユーザのリスクアセスメントの作業の負担を軽減することができる。
また、本実施の形態に係る労働安全衛生管理システム100は、作業手順書を作成する際に、ユーザから、対象工事の工種に対応付けて、その工種で行われるべき作業の作業項目の選択を受け付けることができる。これにより、本実施の形態に係る労働安全衛生管理システム100は、従来技術に比べて、更に、ユーザのリスクアセスメントの作業の負担を軽減することができる。
なお、本発明に係る労働安全衛生管理システムの構成は、上記内容に限定されない。例えば、操作部210、通信部220、表示部230、および印刷部240の一部または全部は、労働安全衛生管理システムを構成してもよい。また、登録情報格納部150は、労働安全衛生管理システムを構成しなくてもよい。
また、工事内訳の取得手法は、上記内容に限定されない。工事内訳取得部120は、例えば、ユーザから工事に含まれる工種の入力を受け付けることにより、工事内訳を取得してもよい。
また、ユーザに提示する罰則は、広く各種の工事に関連する罰則であればよく、上述の例に限定されない。また、ユーザに提示する罰則は、一般的な意味の罰則ではなく、リスクアセスメントの必要度に関連する情報であってもよい。例えば、ユーザに提示する罰則は、リスクアセスメント支援システムを使用する工事会社が、法令毎に設定した、リスクアセスメントの必要度を示す指標値であってもよい。
また、重点法令リストの活用法は、上述の例に限定されない。例えば、重点法令活用部180は、工事の施工計画書に記載する法令の規定に基づき記載した文書、法令を引用した文書、および、法令に関連した文書の作成あるいは編集に、重点法令リストを活用する。かかる書類は、具体的には、例えば、施工計画書や建設関連の提案書等の、施工方法や安全管理、交通管理の計画に関する書類である。
また、リスクアセスメントに、罰則に違反する危険性およびその重大性に関する評価を含めてもよい。例えば、重点法令活用部180は、工事に関連する発注者や関係機関への提出書類一覧表の作成あるいは編集に、重点法令リストを活用する。かかる書類は、例えば、法律で規定されている提出書類であって、提出すべき書類名や「様式○号」等を一覧にしたもの、あるいは、発注者が規定する仕様書に基づいた提出書類である。