JP2015052734A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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【課題】低温環境下、又はプロセススピードの速い画像形成装置においても、耐摩耗性とゴーストを両立する電子写真感光体を提供する【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1B)で表されるポリカーボネート樹脂及びB3LYP/6-31G(d,p)を用いた構造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoが、E_homo > −4.63(eV)を満たす電荷輸送物質を含有し、前記電荷輸送物質の含有量が前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、50質量部以下であり、且つ、前記感光層の電界強度3?105(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、1.8?10−6(cm2/Vs)以上であることを特徴とする電子写真感光体。【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体及び、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されてきている。電子写真技術の中核となる感光体については、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
有機感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流になる可能性も高く鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なストレスを受け劣化する。この様な劣化としては例えば帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリア−(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷はコピ−画像上に現れやすく、直接画像品質を損なうため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
一般に積層型感光体の場合このような負荷を受けるのは電荷移動層である。電荷移動層は通常バインダー樹脂と電荷移動物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、電荷移動物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。
また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性がよいことも必要となる。感光体の応答性は電荷移動層、なかでも電荷移動物質により支配されるがバインダー樹脂によっても大きく変わることが知られている。高速応答化のためには、高移動度、高感度、かつ露光時に十分な低残留電位を示す電荷輸送物質の開発が必要であり、トリフェニルアミン骨格やテトラフェニルベンジジン骨格にスチリル基等でπ電子系を拡張させた電荷輸送物質の検討が多数なされている(特許文献1〜3)。例えば、トリアリールアミン−スチルベンハイブリッド型の化合物が電子写真感光体用の電荷輸送物質として使用することが提案されている(特許文献1)。このような化合物群は、電荷移動度が非常に速く、電気特性も非常に良好であるため、電荷輸送材料として好適に使用できると知られているが、一般的に分子内でπ電子系を拡張させた化合物は、分子サイズが大きくなるに従い、分子間相互作用が大きくなり、溶解性が低下していく傾向にあり、電子写真感光体における使いこなしについては詳細に開示されていない。
一方、これまでの電荷移動層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられてきている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている。
例えば特許文献4にはビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特許文献5にはビスフェノールZタイプのポリカーボネートが、特許文献6にはビスフェノールP及びビスフェノールAの共重合タイプのポリカーボネートが、特許文献7にはビス(4ーヒドロキシフェニル)ケトンタイプの構造を含むポリカーボネート共重合体が、特許文献8、9には、ビフェノール成分を多く含んだポリカーボネート樹脂が、バインダー樹脂としてそれぞれ開示されている。しかし、前記ポリカーボネート樹脂を使用した有機感光体はトナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦など実用上の負荷によって表面が摩耗してしまったり、表面に傷が生じてしまうなどの欠点を有しているため、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
特許第2940502号公報 特開平7−36203号公報 特開2006−8670号公報 特開昭50−98332号公報 特開昭59−71057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平5−21478号公報 特開2011−26574号公報 特開2011−26575号公報
しかしながら、現状用いられているポリカーボネート樹脂では、電子写真プロセスに使用した場合、耐磨耗性、耐擦傷性、応答性、基盤との接着性、ゴースト等で未だ不十分な場合が多い。特に、耐摩耗性とゴーストは両立するのが非常に困難である。その理由は、耐摩耗性を向上させる手段として、感光層中の電荷輸送物質を減らす、保護層を設ける、バインダー樹脂を耐久性の高いポリエステル樹脂にすること等挙げることができるが、いずれも電荷の移動を阻害する要素を含む手段であり、電気特性と密接に関連するゴーストは悪化するためである。即ち、本発明の目的は、低温環境下、又はプロセススピードの速い画像形成装置においても、耐摩耗性とゴーストを両立する電子写真感光体を提供することにある。
そこで本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、感光層に特定の構造を有するポリカーボネート樹脂及び特定の電荷輸送物質を用いながら、特定の移動度とすることで、電荷輸送物質の使用量を増加することなく電気特性を向上させ、更には、低温環境下、又はプロセススピードの速い画像形成装置においても、耐摩耗性に優れ、ゴーストの起こらない感光体を得られることに知見し、本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、下記<1>〜<7>に存する。
<1>導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1B)で表されるポリカーボネート樹脂及びB3LYP/6-31G(d,p)を用いた構
造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoが、E_homo > −4.63(eV)を
満たす電荷輸送物質を含有し、前記電荷輸送物質の含有量が前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、50質量部以下であり、且つ、前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、1.8×10−6(cm/Vs)以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(化学式略)
<2>前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度5℃におけるホールの移動度が、5.2×10−7(cm/Vs)以上である<1>に記載の電子写真感光体。
<3>前記感光層が有する電荷輸送物質として、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有する<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。(化学式略)
<4>前記感光層が有する電荷輸送物質として、下記一般式(3a)で表される化合物を含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
Figure 2015052734
(式(3a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、水素原子を表す。)
<5>前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が電荷輸送物質を該電荷輸送層中のバインダー樹脂100質量部に対して10質量部以上45質量部以下の割合で含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<6><1>〜<5>いずれか1つに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、該現像されたトナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段、転写後の該電子写真感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段のうち、いずれか一の手段を有する画像形成装置。
<7>画像形成装置のプロセススピードが30ppm以上であることを特徴とする<6>に記載の画像形成装置。
本発明により、耐摩耗性、電気特性の特性を良好に保ちつつ更には、ゴースト性を両立する電子写真感光体、画像形成装置を得ることができる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
<下引き層>
導電性基体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましくは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10wt%から500wt%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
<感光層>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも、下記一般式(1B)で表されるポリカーボネート樹脂を含有し、かつ、感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、1.8×10−6(cm/Vs)以上である感光層を有する。ゴーストの観点から、好ましくは3×10−6(cm/Vs)以上、更に好ましくは4×10−6(cm/Vs)以上である。
本発明の電子写真感光体は、低温環境下、又はプロセススピードの速い画像形成装置においても特性を満たす為に、感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度5℃におけるホールの移動度が、好ましくは5.2×10−7(cm/Vs)以上、より好ましくは8×10−6(cm/Vs)以上、更に好ましくは2×10−5(cm/Vs)以上である。感光体の電界強度3×10(V/cm)における移動度は、TOF(Time−of−flight)法により求められる。
[1]層構成
感光層の具体的な構成として、
・導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層をこの順に積層した逆二層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層が積層され、該層中に電荷発生物質を分散させた単層型(分散型)感光体。
等が基本的な形の例として挙げられる。
[2]特定構造のポリカーボネート樹脂
本発明の電子写真感光体の感光層は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1B)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂を含有する。
Figure 2015052734
n/(m+n)は、0.25〜0.47である。n/(m+n)は、耐摩耗性確保の観点から、好ましくは、0.30以上、更に好ましくは0.35以上である。また上限は、製造安定性の観点から、好ましくは0.46以下、更に好ましくは0.45以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、特許文献5及び特許文献6に記載の方法に従って、製造することができる。一般式(1B)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂において、粘度平均分子量は、感光層を塗布形成するのに適するよう、通常20,000以上、好ましくは30,000以上、更に好ましくは40,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が20,000未満であると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,000以上であると、感光層を適当な膜厚に塗布形成する事が困難である。上述した本発明の樹脂は電子写真感光体に用いられ、該感光体の導電性支持体上に設けられる感光層中のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。
[3]その他のバインダー樹脂
本発明は、一般式(1B)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂に他の
樹脂を併用して用いても良い。この併用する樹脂はとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。併用する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、本発明の効果を十分に得るためには、本発明の式(1B)のポリカーボネート樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましく、特には他の樹脂を併用しないことが好ましい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 2015052734
混合して用いても良いバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、また、その上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,000以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光体の機械的強度が不足する可能性があり、大き過ぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。
(4)電荷輸送物質
本発明においては、感光層中の電荷輸送物質は、移動度が本規定の範囲内に入るものであれば特に限定はないが、特に電荷輸送物質の使用量を抑え、低温環境下、又はプロセススピードの速い画像形成装置におけるゴースト改良を両立するという観点から言えば、下記パラメーターを満たす電荷輸送物質の中から少なくとも1種類の電荷輸送物質を用いることが好ましい。
本発明では電荷輸送物質のB3LYP/6-31G(d,p)を用いた構造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoは、E_homo > -4.63(eV)であり、E_homo > -4.60(eV)がより好ましく、E_homo > -4.50(eV)が特に好ましい。HOMOのエネルギーレベルが高いほど、露光後電位が低く優れた電子写真感光体が得られるからである。一方、E_homoが高すぎると、耐ガス性の低下、ゴーストの発生等の不具合が出るため、通常、E_homo < -4.20(eV)であり、E_homo < -4.25(eV)が好ましく、E_homo < -4.30(eV)がより好ましい。
また、B3LYP/6-31G(d,p)を用いた構造最適化計算後に得られた安定構造におけるHF/6-31G(d,p)計算による分極率αの計算値αcalは、通常αcal > 80(Å3)であり、αcal > 90(Å3)であることがより好ましく、αcal > 110(Å3)であることが特に好ましい。αcalの
値が大きい電荷輸送物質を含む電荷輸送膜は高い電荷移動度を示し、該電荷輸送膜を用いることにより、帯電性、感度などに優れた電子写真感光体が得られるからである。一方、αcalが大きすぎると電荷輸送物質の溶解性が低下することから、通常αcal < 200(Å3)
であり、αcal < 150(Å3)であることが好ましく、αcal < 130(Å3)であることがより好ましい。
E_homo > -4.63(eV)及びαcal > 80 (Å3)の両方を満たす電荷輸送物質は、前述のような2つのパラメーター規定によるメリットを兼ね備えるものであり、露光後電位が低く、応答性も優れるため、低部数でも使用可能であり、そのためバインダーの性質を損ないにくい。それ故に、バインダー固有の接着性が課題となり、後述するように電荷発生物質とバインダの配合比を特定の範囲とすることにより、上記のような電荷輸送物質を含む場合にも電子写真感光体の機能を損なわない。
本発明においてHOMOのエネルギーレベルE_homoは密度汎関数法の一種であるB3LYP(A. D. Becke, J. Chem. Phys. 98, 5648(1993), C. Lee, W. Yang, and R. G. Parr, Phys. Rev. B37, 785(1988) 及び B. Miehlich, A. Savin, H. Stoll, and H. Preuss, Chem. Phys. Lett. 157, 200(1989)参照) を用い構造最適化計算により安定構造を求めて得た。この時、基底関数系として6-31Gに分極関数を加えた6-31G(d,p)を用いた(R. Ditchfield, W. J. Hehre, and J. A. Pople, J. Chem. Phys. 54, 724(1971), W. J. Hehre, R. Ditchfield, and J. A. Pople, J. Chem. Phys. 56, 2257(1972), P. C. Hariharan and J. A.
Pople, Mol. Phys. 27, 209(1974), M. S. Gordon, Chem. Phys. Lett. 76, 163(1980),
P. C. Hariharan and J. A. Pople, Theo. Chim. Acta 28, 213(1973), J. -P. Blaudeau, M. P. McGrath, L. A. Curtiss, and L. Radom, J. Chem. Phys. 107, 5016(1997), M. M. Francl, W. J. Pietro, W. J. Hehre, J. S. Binkley, D. J. DeFrees, J. A. Pople, and M. S. Gordon, J. Chem. Phys. 77, 3654(1982), R. C. Binning Jr. and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem. 11, 1206(1990), V. A. Rassolov, J. A. Pople, M. A. Ratner, and T. L. Windus, J. Chem. Phys. 109, 1223(1998), 及び V. A. Rassolov, M. A. Ratner, J. A. Pople, P. C. Redfern, and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem. 22, 976(2001)を参照)。本発明において6-31G(d,p)を用いたB3LYP計算をB3LYP/6-31G(d,p)と記述す
る。
更に分極率αcalは上記B3LYP/6-31G(d,p)による構造最適化計算により得られた安定構
造において、制限Hartree-Fock法計算(“Modern Quantum Chemistry”, A. Szabo and N.
S. Ostlund, McGraw-Hill publishing company, New York, 1989を参照)により求めた。この時、基底関数は6-31G(d,p)を用いた。本発明において6-31G(d,p)を用いたHartree-Fock計算をHF/6-31G(d,p)と記述する。
本発明では、B3LYP/6-31G(d,p)計算及びHF/6-31G(d,p)計算とも用いたプログラムはGaussian 03, Revision D. 01(M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, J. A. Montgomery, Jr., T. Vreven, K. N. Kudin,
J. C. Burant, J. M. Millam, S. S. lyengar, J. Tomasi, V. Barone, B. Mennucci, M. Cossi, G. Scalmani, N. Rega, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, M. Hada, M. Ehara,
K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, M. Klene, X. Li, J. E. Knox, H. P. Ilratchian, J. B. Cross, V. Bakken,
C. Adamo, J. Jaramillo, R. Gomperts, R. E. Stratmann, O. Yazyev, A. J. Austin, R. Cammi, C. Pomelli, J. W. Ochterski, P. Y. Ayala, K. Morokuma, G. A. Voth, P. Salvador, J. J. Dannenberg, V. G. Zakrzewski, S. Dapprich, A. D. Daniels, M. C. Strain, O. Farkas, D. K. Malick, A. D. Rabuck, K. Raghavachari, J. B. Foresman, J. V. Ortiz, Q. Cui, A. G. Baboul, S. Clifford, J. Cioslowski, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko, P. Piskorz, I. Komaromi, R. L. Martin, D. J. Fox, T. Keith,
M. A. Al-Laham, C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe, P. M. W. Gill, B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, C.Gonzalez, and J. A. Pople, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004.)である。
例えば、一般的な電荷輸送材料としては表−1のような値となる。
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
電荷輸送物質の分子量としては、電荷輸送能の観点から通常600以上、好ましくは650以上であり、溶解性の観点から通常2000以下、好ましくは1200以下である。具体的には、以下に挙げる式(1)〜(3)のような化合物が好ましく用いられる。式(1)又は(3)の化合物が特に好ましい。
Figure 2015052734
(式(1)中、R〜R5はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、又はアルコキシ
基を表す。nは0以上3以下の整数を表し、k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数、mは0以上4以下の整数を表す。Zは、フェニレン基又は単結合を表す。Aは、水素原子又は、アルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
Figure 2015052734
(式(2)中、R〜R12はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、又はアルコキシ基を表す。s、t、uはそれぞれ独立して0以上5以下の整数を表し、v,wはそれぞれ独立して0以上4以下の整数を表す。)
Figure 2015052734
(式(3)中Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar10〜Ar13はそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。a、bはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
上記式(1)においてR〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、ビニル基に対して、通常、o位、m位又はp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位又はp位のいずれかが好ましい。
上記(1)式において、Aがアルキル基を有していてもよいフェニル基の場合のアルキル基は上記R〜R記載した基が挙げられる。
k、l、m、o、pが2以上の整数を表す場合、ベンゼン環に結合する複数のR〜Rはそれぞれ異なっていてもよい。電気特性の観点から、mは0、o、pは2、k、lは1であることが好ましい。
nが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから好ましくは、1か2であること好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましくは2である。
ジフェニルアミノ基が結合するアリーレン基部分は、n=1の場合、フェニレン基、n=2の場合、ビフェニレン基、n=3の場合、ターフェニレン基を表す。2つのジフェニルアミノ基がアリーレン基と結合する位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、n=1の場合、電子写真感光体の帯電性の面から、2つのジフェニルアミノ基がフェニレン基の結合位置でm位の関係となることが好ましい。n=2の場合、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、ジフェニルアミノ基がビフェニレン基と結合する位置は、ビフェニレン基の4位と4’位に結合することが好ましく、n=3の場合、製造原料の汎用性からターフェニレン基の中でもp−ターフェニレン基が好ましく、p−ターフェニレン基へのジフェニルアミン基の結合位置は、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から4位と4’’位に結合することが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、感光層が、式(1)で表される化合物を単一成分として含有するものでもよいし、式(1)で表される異なる構造の化合物の混合物として含有してもよい。混合物としては、式(1)で表される構造のうち、R〜Rの置換位置だけが異なる、いわゆる位置異性体を複数種混合する場合が、互いの電子状態が近く電荷輸送のトラップになり難いことに加えて、塗布液あるいは膜中での結晶生成を抑制できる観点から、好ましい。位置異性体としては、R、Rの置換位置が異なるものをを混合して使用することが、化合物の合成の容易さの観点からより好ましく、R、Rの置換位置がo位,p位のものを混合して使用することが最も好ましい。
上記式(2)式において、R〜R12はアルキル基、アリール基、又はアルコキシ基のいずれかを表し、具体的には、R〜Rに記載した基本が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性の面から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面からは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が更に好ましく、電子写真感光体のオゾンに対する耐性面から、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、溶解性の面からは、炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキル基が最も好ましい。更にRがアルキル基である場合、ベンゼン環に対する置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位又はp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位及び/又はp位が好ましい。R,R10は、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子が特に好ましい。R11、R12は、製造原料の汎用性、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位又はp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位又はp位のいずれかが好ましい。
sは1以上2以下が好ましく、t、uはそれぞれ独立して0以上1以下が好ましく、v,wは0が好ましい。
上記式(3)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が好ましく、電荷輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル
基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。Ar〜Arがフェニル基である場合、電荷輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、また、Ar〜Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。Arは、窒素原子に対してオルト位又はパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、置換基としては、溶解性の観点から炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数5〜12のアルキル基が好ましい。
上記式(3)においてAr10〜Ar13は、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が例として挙げられ、この中でも電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、より好ましくはフェニレン基である。Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が更に好ましい。
Ar10〜Ar13が置換基を有すると、分子構造にねじれが生じ、分子内でのπ共役拡張を妨げ、電子輸送能力が低下する可能性があることから、Ar10〜Ar13は置換基を有さないことが好ましく、電子写真感光体特性の面からは1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,8−ナフチレン基がより好ましく、1,4−フェニレン基が更に好ましい。
a、bはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。a、bが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから、好ましくは2以下であり、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましくは1である。a、bが1の場合、エテニル基を表し、幾何異性体を有するが、電子写真感光体特性の面から、好ましくはトランス体構造が好ま
しい。a、bが2の場合、ブタジエニル基を表し、この場合も幾何異性体を有するが、塗布液保管安定性の面から、2種以上の幾何異性体混合物であることが好ましい。
また、感光体の電気特性の観点から、式(3)で表される化合物は、下記式(3a)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2015052734
(式(3a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、水素原子を表す。)
また、本発明の電子写真感光体は、通常、感光層に、式(3)で表される化合物を単一成分として含有するものでもよいし、式(3)で表される化合物の混合物として含有することも可能である。
以下に本発明に好適な電荷輸送物質の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
Figure 2015052734
本発明のポリカーボネート樹脂と電荷輸送物質を用いることによりゴースト性にも優れているという点においては、以下のような理由が考えられる。
電子写真感光体を用いた画像形成装置においては、後述するように、感光体が帯電部材により帯電され、露光部材により感光体を露光することで感光体上に静電潜像を形成し、そこへ現像剤を用いて現像し、記録材に現像剤を転写することにより、画像を形成する。その後、感光体が除電部材を用いず、何ら除電されないままでいると、次の帯電をする際、帯電電位について露光部と未露光部で差が生じた結果ゴーストとなって、画像に現れる。
この「帯電電位の差」は、一回目の現像が終わった際に、感光層中に残っている正孔に起因している。感光層中における正孔の移動度が低い場合、発生した正孔の輸送が不十分になることから、感光層中に正孔が残存しやすくなる。すなわち、低温環境下やプロセススピードの速い画像形成装置においては、正孔の移動度が十分でないため、一回目の画像形成が終わった後でも、感光層中に正孔が残存し、それが帯電電位の差を引き起こし、結果ゴーストを発生すると考えられる。ここで、本発明の電荷輸送物質を低部数用いて、かつ、本発明の感光層の移動度を感光体に持たせることにより、一回目の露光で全ての正孔が現像に寄与するため、耐摩耗性を確保しながらゴーストを改良することができる。
一方で、電荷輸送物質、バインダー樹脂の種類によっては、感光体としては移動度が本規定内に入るものが存在する一方で、実際に画像評価を行うとゴーストが生じる組み合わせも存在する。このような組み合わせについては、移動度だけでなく、感光層中における電荷の蓄積にも依存する。例えば、(1)式で表されるバインダー樹脂は、極性の高いビフェニル構造を多く含むため移動度が速くなるが、電荷の蓄積が起こりやすい。すなわち
、移動度が高かったとしても、その途中で正孔がトラップ、蓄積され、それが帯電電位の差を引き起こし、結果ゴーストを発生させると考えられる。従って、電荷の蓄積という観点からすれば、(1B)式で表されるバインダー樹脂を用いた場合には、電荷輸送物質のHOMOの値を大きくすることで発生した正孔をトラップせず、HOMOの値が大きくても相溶性が十分確保され、感光層中に正孔が蓄積されないようにすることができる。
これら電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
感光層又は電荷輸送層における本発明の電荷輸送物質の含有量は、耐刷性の点から、該感光層又は該電荷輸送層の式(1B)で表わされるポリカーボネート樹脂100質量部に対して50質量部以下、好ましくは45質量部以下である。下限は、電気特性の観点から10質量部以上であり、20質量部以上とすることが好ましい。
[5]積層型感光層
(イ)電荷発生層
本発明においては、必要に応じて、電荷発生物質を使用することが好ましい。電化発生物質は、通常、単層型感光層では当該単層型感光層に含有され、積層型感光層では電荷発生層に含有される。
電荷発生物質の具体例としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にはフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。なお、電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
使用されるフタロシアニンとしては、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコーン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、IIS型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニンのうち、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するものが好ましい。
また、上記オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に、明瞭な回折ピークを有することが好ましい。
また、上記オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5質量%以下であることが好ましい。なお、塩素含有量は、例えば元素分析により求めるこ
とができる。
また、上記オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式(3)で表される塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの割合が、下記式(4)で表される無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で、0.070以下であるものである。また、好ましくはマススペクトル強度比が0.060以下であり、より好ましくは0.055以下である。製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、0.02以上が好ましく、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、0.03以下が好ましい。塩素置換量は、特開2001−115054号公報の手法に基づいて測定することができる。
Figure 2015052734
これらオキシチタニルフタロシアニンの粒子径は、製法、結晶変換方法によって大きく異なるが、分散性を考慮すると、1次粒子径として、500nm以下が好ましく、塗布成膜性の面からは300nm以下であることがより好ましい
また、上記のオキシチタニウムフタロシアニンは、塩素原子以外に、例えば、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン基等の置換基で置換された、各種オキシチタニウムフタロシアニン誘導体を含有しても構わない。なお、これらの置換基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
アゾ顔料としては、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記式(5)に示す。下記式(5)において、Cp1〜Cp3はカップラーを表す。
Figure 2015052734
中でも、上記式(5)において、カップラーCp1〜Cp3としては、以下の構造が好ましい。
Figure 2015052734
フタロシアニン及びアゾ顔料を併用することによって、高感度かつゴーストのない電子写真感光体を作製することが可能である。
機能分離型感光体における電荷発生層に通常用いられるバインダー樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニ
ルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることができるが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
機能分離型感光体の電荷発生層において、上記バインダー樹脂と電荷発生物質との混合比は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、その上限は、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下である。使用量が少なすぎる場合、電子写真感光体としての感度が低下する可能性があり、多すぎる場合、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する可能性がある。また、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、その上限は、通常4μm以下、好ましくは0.6μm以下である。
電荷発生層の形成方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、積層型感光体の場合、通常は電荷発生物質を分散させた電荷発生層形成用塗布液を塗布・乾燥させることにより、形成することができる。
上記電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、超音波分散法等の公知の分散方法を用いることができる。この際粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが望ましい。
(ロ)電荷輸送層
電荷輸送物質及びバインダー樹脂として用いるポリカーボネート樹脂は上述したものが用いられることが好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質が、通常30〜200質量部用いられるが、好ましくは40〜150質量部以下、最も好ましくは上限を90質量部以下とするのが、ポリアリレートの機械特性を維持する上で有利である。また膜厚は一般に10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmである。
電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、増感剤などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
[6]単層型感光層
単層型感光層の場合には、上述したポリアリレート樹脂を主体とする電荷輸送媒体中に、積層型感光体と同様の電荷発生物質及び上述した電荷輸送物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものが使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下な
どの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50質量%の範囲で、より好ましくは1〜20質量%の範囲で使用される。感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。また
この場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
[7]その他の添加剤
感光層に場合により添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチレンブルーなどのチアジン染料、キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料やビリリウム塩、チアビリリウム塩、ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。
また、電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′、5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
[8]感光層の形成方法
感光層は、常法に従って、電荷輸送物質をポリアリレート樹脂を含むバインダー樹脂と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じ、適当な電荷発生物質、増感染料、電子吸引性化合物、他の電荷輸送物質、あるいは、可塑剤、顔料等との周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥して感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
また感光層は、製膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。アリールアミン系化合物を電荷輸送層中の電荷輸送物質として用いる場合の塗布液は、前記組成のものでもよいが、光導電性粒子
、染料色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよい。この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と必要に応じバインダーポリマーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解乃至分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により製膜とした層が挙げられる。
<その他の保護層>
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
更に必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
<各層の形成方法>
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機又はカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
以下、浸漬塗布法について説明する。
電荷輸送物質(好ましくは前述の化合物)、ポリアリレート樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が通常25〜40%、粘度が通常50〜300センチポアーズ、好ましくは100〜200センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類及びその分子量により決まるが、分子量が低すぎる場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。その後塗膜を乾燥させ、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常100〜250℃好ましくは、110〜170℃更に好ましくは、120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。この様にして得られる電子写真用感光体は高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安定性が良好であることから、高耐久性感光体として用いることができる。また、750〜850nmの領域の感度が高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体に適している。
<画像形成装置>
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置( 本発明の画像形成装置) の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施すること
ができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置(帯電手段)2、露光装置(露光手段;像露光手段)3及び現像装置(現像手段)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置(転写手段)5、クリーニング装置( クリーニング手段)6及
び定着装置(定着手段)7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
露光装置3は、電子写真感光体1 に対し露光( 像露光) を行なって電子写真感光体
1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED(発光ダイオード)などが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが一般に単色光が好ましく、例えば、波長が700nm〜850nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長300nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
特に、電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を使用する電子写真感光体を露光する場合には、波長700nm〜850nmの単色光を用いることが好ましく、アゾ化合物を用いる電子写真感光体を露光する場合には、白色光又は波長700nm以下の単色光を用いることが好ましい。特に本発明に係る電子写真感光体の場合には、露光波長が通常700nm以上、中でも750nm以上、また、通常850nm 以下、中でも800nm以
下の単色光を用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性に優れた感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができる。
現像装置4は、露光した電子写真感光体1上の静電潜像を目に見える像に現像することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置( 図示せず) を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず) によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーT
を担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレート、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレート、又はこうした金属ブレートに樹脂を被覆したブレート等により形成されている。この規制部材45は、通常、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレート線圧は0.05〜5N/cm) される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTと
の摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は必要に応じて設けられ、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値( 転写電圧) を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙( 用紙、媒体、被転写体) Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレートクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面) が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−6
00V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレート)45により薄層化するとともに、所定の極性( ここでは感光体1の帯電電位と同極性
であり、負極性) に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1
の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P 上へ
熱定着することで、最終的な画像が得られる。
画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。プロセススピードは、30ppm以上であることが好ましい。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
更に、電子写真感光体1及び帯電装置2、現像装置4(少なくとも現像ローラ及びトナーを含む)、クリーニング装置7、除電装置のうち少なくとも一つの装置を備えたカートリッジ(以下適宜、「感光体カートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されていてもよい。そして、例えば電子写真感光体1が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている画像形成装置でもよい。
本実施形態の画像形成装置は、本発明の感光体を用いているため、感光体の磨耗量が減り、結果として画像形成装置のメンテナンスの回数を軽減させることが可能であるとともに、形成される画像の高画質を実現することが可能である。更に、カートリッジとして実施した場合には、ユーザーかカートリッジを交換する回数を軽減することが可能となる。
[実施例1]
<感光体の製造>
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ260.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、以下に示す下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布し乾燥させる事で、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを得た。
<下引き層の製造>
下引き層形成用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−
3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。下引き層は乾燥後の膜厚が1.3umとなるように塗布した。
<電荷発生層の製造>
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、図2のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Aを調製した。
電荷発生物質として、図3のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで4時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Bを調製した。
電荷発生層形成用塗布液Aと電荷発生層形成用塗布液Bを6:4の割合で混合し、本実施例で用いる電荷発生層形成用塗布液を作製した。電荷発生層は、乾燥後の膜厚が0.4umとなるように塗布した。
<電荷輸送層の製造>
次に、電荷輸送物質CTM1として、下記式で表わされる物質を30質量部、バインダー樹脂については、Binder1として、文献8に記載された方法で製造された、下記繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)を100質量部、酸化防止剤として下記構造を有する化合物を8部、レベリング剤シリコーンオイル(信越化学性KF96−10CS)0.05部、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)770質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
粘度平均分子量は以下のようにして測定した。
ポリカーボネート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘
度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
電荷輸送層は、乾燥後の膜厚が30umとなるように塗布した。
Figure 2015052734
<移動度>
移動度は特開2009−31806号公報に記載の方法に従い、電界強度3×10(V/cm)における、5℃及び21℃での移動度をTOF(Time−of−flight)法により求めた。感光体としては、上記アルミ製シリンダーの代わりに、アルミニウムが蒸着したポリエステルフィルムを用いて、同じ下引き層、電荷発生層、電荷輸送層をフィルムアプリケータにより同じ膜厚となるように塗布したシート状の感光体を用いた。結果を表−2に示す。
<電気特性試験>
ここで作成した感光体ドラムの電気特性を測定した。
測定に関しては、電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電
のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの167ms後の表面電位(−V)を測
定した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。結果を表−2に示す。
<耐摩耗性試験及びゴースト試験>
更に、作製した感光体ドラムを用いて、画像特性試験を行った。
画像特性試験はヒューレット・パッカード社製カラープリンターColoerLaserJet4600を用いて行った。該複写機に搭載されている4色の感光体を抜き取り、作製した感光体ドラムを該複写機に装着した。温度10℃、湿度15%環境下で、8000枚の画像形成を行い、磨耗量の評価を行った。磨耗量は渦電流式Fisher Scope膜厚計を用いて、耐刷前の電荷輸送層の膜厚と耐刷前の電荷輸送層の膜厚の差を測定し、1000枚当たりの磨耗量を求めた。ゴーストは以下に述べるゴースト画像を8000枚耐刷後に印字し、印字画像を目視にて判断した。ゴースト画像とは、印字媒体の上方に文字が描かれており、その文字の下には、ハーフトーンのベタ印字が描かれたものである。当該ゴースト画像を印字し感光体2回目の回転部分に相当するハーフトーン上の位置に当該文字が現れるか否かでゴーストの試験を行うことができる。文字が強く現れているものは、ゴースト特性が悪く、全く文字が現れていないものはゴースト特性が良い。ゴーストにおける○は問題無いレベル。△は問題はあるが使用可能なレベル。×は使用できないレベルを表したものである。結果を表−2に示す。
実施例1の電子写真感光体の電気特性、対磨耗性、ゴースト特性は他の感光体と比較しても良好であった。
[実施例2]
実施例1において用いたCTM1の代わりに、下記構造式で表せる本発明に係る電荷輸送物質CTM2を30質量部混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
Figure 2015052734
[実施例3]
実施例1において用いたCTM1の代わりに、下記構造式で表せる本発明に係る電荷輸送物質CTM3を30質量部混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す
Figure 2015052734
[実施例4]
実施例1において用いたCTM1の質量部数を30質量部から50質量部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[実施例5]
実施例2において用いたCTM2の質量部数を30質量部から50質量部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[実施例6]
実施例3において用いたCTM3の質量部数を30質量部から50質量部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[比較例1]
実施例1において用いたCTM1の代わりに、下記構造式で表せる電荷輸送物質CTM4を30質量部混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
Figure 2015052734
[比較例2]
比較例1において用いたCTM4の質量部数を30質量部から50質量部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[比較例3]
実施例1において用いたポリカーボネート樹脂Binder1の代わりに、下記繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂Binder2(年度平均分子量30,000)を用い、またCTM1の質量部数を30部から60部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果
を表−2に示す。
Figure 2015052734
[比較例4]
実施例2において用いたポリカーボネート樹脂Binder1の代わりに、Binder2(年度平均分子量30,000)を用い、またCTM2の質量部数を30部から60部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[比較例5]
実施例3において用いたポリカーボネート樹脂Binder1の代わりに、Binder2(年度平均分子量30,000)を用い、またCTM3の質量部数を30部から60部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[比較例6]
実施例3において用いたポリカーボネート樹脂Binder1の代わりに、Binder2(年度平均分子量30,000)を用い、またCTM3の質量部数を30部から50部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
[比較例7]
実施例1において用いたポリカーボネート樹脂Binder1と、またCTM1の代わりにHCT106(CTM4とする)を質量部数を50部に変更して混合した塗布液用いた以外は同様の方法で感光体ドラムを作製した。また実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表−2に示す。
実施例2〜6においても各評価項目において良好であった。比較例1〜4とこれらを比較することにより電荷輸送物質の質量が低部数でも移動度を上げることができ、電気特性更には膜減りを改良できることがわかった。また、比較例1、2と実施例1〜6を比較することにより、本発明に係る特定の電荷輸送物質を用いることで、ゴースト特性を向上させ、他の特性も維持していることが分かる。
Figure 2015052734

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1B)で表されるポリカーボネート樹脂及びB3LYP/6-31G(d,p)を用いた構造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoが、E_homo > −4.63(eV)を満た
    す電荷輸送物質を含有し、前記電荷輸送物質の含有量が前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、50質量部以下であり、且つ、前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、1.8×10−6(cm/Vs)以上であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2015052734
  2. 前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度5℃におけるホールの移動度が、5.2×10−7(cm/Vs)以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層が有する電荷輸送物質として、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2015052734
    (式(1)中、R〜R5はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、又はアルコキシ
    基を表す。nは0以上3以下の整数を表し、k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数、mは0以上4以下の整数を表す。Zは、フェニレン基又は単結合を表す。Aは、水素原子又はアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
    Figure 2015052734
    (式(2)中、R〜R12はそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基を表す。s、t、uはそれぞれ独立して0以上5以下の整数を表し、v,wはそれ
    ぞれ独立して0以上4以下の整数を表す。)
    Figure 2015052734
    (式(3)中Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar10〜Ar13はそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。a、bはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
  4. 前記感光層が有する電荷輸送物質として、下記一般式(3a)で表される化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2015052734
    (式(3a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、水素原子を表す。)
  5. 前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が電荷輸送物質を該電荷輸送層中の全バインダー樹脂100質量部に対して10質量部以上45質量部以下の割合で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、該現像されたトナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段、転写後の該電子写真感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段のうち、いずれか一の手段を有する画像形成装置。
  7. 画像形成装置のプロセススピードが30ppm以上であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
JP2013186276A 2013-09-09 2013-09-09 電子写真感光体及び画像形成装置 Pending JP2015052734A (ja)

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