JP2015051953A - 血管弛緩作用を有するペプチド及び血管弛緩剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管の異常血管弛緩作用を有するペプチドや、かかるペプチドを有効成分とする血管弛緩剤並びに血流改善剤の提供。
【解決手段】分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有するペプチド(Pro−Gly−Gly−Val又はPro−Gly−Gly−Val−Gly)や、Pro−Gly−Gly、Pro−Gly−Gly−Val又はPro−Gly−Gly−Val−Glyのいずれかのペプチドを有効成分とする血管弛緩剤や血流改善剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、血管弛緩作用を有するペプチドや血管弛緩剤や血流改善剤に関し、より詳しくは、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Gly(配列番号1)を有する、Pro−Gly−Gly−Val(配列番号2)又はPro−Gly−Gly−Val−Gly(配列番号3)に示されたアミノ酸配列からなるペプチドや、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血管弛緩剤や、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血流改善剤に関する。なお、本発明において、「Pro」はプロリン、「Gly」はグリシン、「Val」はバリンを意味する。
我が国で狭心症、心筋梗塞、くも膜下出血後の脳血管攣縮の疾患による年間死亡者数は合計するとおよそ30万人であり、がんに続き2番目に多い。これらの疾患には臓器自体の異常によるものだけではなく、各臓器へ分布する血管における、血行障害を引き起こす大きな収縮(以下、「異常収縮」ということもある)が関与している。血管の収縮・弛緩は、主に血管内皮細胞が分泌する種々の生理活性物質によって血管平滑筋が収縮・弛緩することによって行われている。しかしながら、血清コレステロールの上昇等により血管の異常収縮が生じた場合には、いち早く血管を弛緩させて正常な血管の収縮・弛緩状態にしなければ、血行障害による狭心症、心筋梗塞、くも膜下出血後の脳血管攣縮等の致死的な病気を引き起こしてしまう。
近年、いくつかのペプチドが血行障害の改善剤として報告されている。例えば、アミノ酸配列A1−His−Phe、又はHis−Phe−A2(式中、A1は、Val、Leu、Ile、His、Phe、Tyr若しくはTrpであるか又は存在せず、A2は、Val、Leu、Ile、His、Phe、Tyr若しくはTrpであるか又は存在しない。)からなる血管弛緩作用を有するペプチド(特許文献1参照)や、魚類の動脈球より抽出されたエラスチンペプチドを有効成分として含むことを特徴とする血管改善剤(特許文献2参照)や、ジペプチドPro−Gly、その塩及びその誘導体からなる群より選択される1又は複数の化合物を有効成分として含み、血管内皮細胞の増殖促進活性を有することを特徴とする血管機能改善剤(特許文献3参照)や、魚類の動脈球から、脂質、可溶性タンパク質およびコラーゲンを除去して得られる不溶性タンパク質の加水分解物である1又は複数種のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする血管内皮細胞保護剤(特許文献4参照)や、Val−Pro−Pro及びIle−Pro−Proの少なくとも1つのペプチドを有効成分として含む血管拡張剤(特許文献5参照)が報告されている。
特開2007−126401号公報 特開2010−155820号公報 特開2010−202578号公報 特開2011−225495号公報 国際公開第2007/094340号パンフレット
上記のように、血管の異常収縮は致死的な病気を引き起こすため、より有効な血管弛緩剤の開発が切望されてきた。本発明の課題は、血管弛緩作用を有するペプチドや、かかるペプチドを有効成分とする血管弛緩剤や、かかるペプチドを有効成分とする血流改善剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、血管弛緩作用を有するペプチドを鋭意検討する中で、本発明者らの知見に基づき、アミノ酸20種類の様々な組み合わせを検討して血管弛緩効果を有すると予想されるいくつかの候補ペプチドを化学合成法により合成し、かかる候補ペプチドの血管弛緩効果を調べたところ、配列番号1〜3に示されたアミノ酸配列からなるペプチドが血管弛緩効果を有することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、[1]分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血管弛緩剤や、[2]分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血流改善剤や、[3]分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号2又は3に示されたアミノ酸配列からなるペプチドに関する。
本発明によると、血管弛緩作用を有するペプチドや、血管弛緩剤や、血流改善剤を提供することができる。また、本発明の血管弛緩剤は、血管の異常収縮状態を血管の正常な収縮・弛緩状態にするこができるため、血行障害による狭心症、心筋梗塞、くも膜下出血後の脳血管攣縮等の予防や治療が可能である他、有効成分のペプチドが水溶性であるため非経口投与を行うことが可能となり、突発的に血管の異常収縮が生じた患者に対して早急な治療が可能となる。さらに、本発明の血流改善剤は、血管の正常な収縮・弛緩状態を維持することによって末梢の血流を改善し、その結果として皮膚の健全性維持や血圧の低下が期待される。
弛緩作用を測定するための装置を示す図である。 弛緩率を説明する図である。 ペプチドA〜Dの弛緩率を示す図である。
本発明のペプチドとしては、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号2又は3に示されたアミノ酸配列からなるペプチドであればよく、かかるペプチドは血管弛緩剤や血流改善剤として有用である。なお、本発明において、各アミノ酸としてはL型アミノ酸が好ましい。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドの取得方法は特に限定されず、化学合成法や、酵素法等によって人工合成する方法を挙げることができる。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを、化学合成法によって人工合成することにより取得する方法としては、通常の液相法や固相法によるペプチド合成法を挙げることができ、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させて鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法を挙げることができる。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを、酵素法によって人工合成することにより取得する方法としては、ペプチドを合成可能な微生物由来酵素であるL−アミノ酸リガーゼを用いるペプチド合成法(特開2011−239707号公報)を挙げることができる。
上記方法等によって得られた配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドは、必要に応じてイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー等のペプチド化学の分野で汎用されている方法を適宜組み合わせて精製することができる。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドは人工合成で得ることができ、この場合、天然に存在するタンパク質をタンパク質分解酵素で処理して得た種々のペプチド混合物としてではなく、純度が高いペプチド成分として利用可能となり、加えて、タンパク質分解酵素を使用しないため、タンパク質分解酵素の製造ロットの違いによるペプチド成分のばらつきの問題も有さない点で好ましい。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドは、種々の塩の形で得ることもできる。かかる塩としては、塩酸、硫酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸との塩、若しくはナトリウムやアンモニア等の無機塩基や、トリエチルアミン、エチルアミン、メチルアミン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
本発明の血管弛緩剤としては、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチド、好ましくは配列番号2又は3に示されたアミノ酸配列からなるペプチド、より好ましくは、配列番号3に示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とするものであればよく、また、本発明の他の態様としては、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを対象に投与することを特徴とする血管の異常収縮による疾患の治療方法や、血管弛緩剤として使用するための、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドや、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドの、血管弛緩剤の調製における使用を挙げることができる。
ここで、本発明において「血管弛緩」とは、異常収縮状態の血管を弛緩し、正常な収縮・弛緩状態の血管とすることを意味し、血管内皮細胞が産生する生理活性物質や血管内皮細胞数に依存して異常収縮状態の血管を弛緩し、正常な収縮・弛緩状態の血管とする血管内皮依存性血管弛緩の他、血管内皮細胞が産生する生理活性物質や血管内皮細胞数に依存せずに、直接血管平滑筋に作用して異常収縮状態の血管を弛緩し、正常な収縮・弛緩状態の血管とする血管内皮非依存性血管弛緩も含まれる。なお、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを2つ又は3つ組み合わせて本発明の血管弛緩剤の有効成分としてもよい。
また、本発明の血管弛緩剤の別の態様としては、分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血管内皮非依存性血管弛緩剤を挙げることができる。
血管内皮細胞は血管平滑筋の収縮・弛緩の調節だけでなく、血管透過性の調節、単球の血管内面への接着抑制、血液凝固・線溶系の調節など多彩な生理機能において重要な役割を担っている。したがって、本発明の血管弛緩剤が、血管内皮細胞に依存せずに直接血管平滑筋に作用して血管を弛緩すれば副作用を伴う可能性がより低くなる点で好ましい。
本発明の血流改善剤としては、分子内にアミノ酸Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチド、好ましくは配列番号2又は3に示されたアミノ酸配列からなるペプチド、より好ましくは、配列番号3に示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とするものであればよく、また、本発明の他の態様としては、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを対象に投与することを特徴とする皮膚のたるみやしわの治療方法や、血流改善剤として使用するための、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドや、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドの、血流改善剤の調製における使用を挙げることができる。なお、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを2つ又は3つ組み合わせて本発明の血流改善剤の有効成分としてもよい。
配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドによって血管の異常収縮状態を正常な収縮・弛緩状態とすることにより血流が改善し、その結果、皮膚線維芽細胞におけるエラスチンの産生が促進され、加齢等に伴う皮膚のたるみやしわの発生を抑制することや、皮膚の健全性を維持することや、血圧の低下が期待される。
また、本発明の血管弛緩剤又は血流改善剤は、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドをそれ単独で、或いは、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合成分を添加することにより血管弛緩組成物又は血流改善組成物として用いることができる。特に製剤化した場合、使用方法等を記載した文書を添付することができる。投与方法は、通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできるが、速効性及びペプチドの分解予防の観点から、非経口投与が好ましい。
本発明の血管弛緩剤は、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として、血管弛緩剤に対して、0.01〜20重量%の含有量で配合することにより調製することができる。
本発明の血管弛緩剤の投与量や投与回数や投与濃度は、投与対象の血管の収縮の状態や投与対象の体重等に応じて、適宜調節することができるが、例えば成人1日あたりの投与量は本発明のペプチドに換算して0.001〜1000mg/kg、好ましくは0.01〜100mg/kgとすることができ、1日1回又は数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。なお、より優れた血管弛緩効果を得る観点から、本発明の血管弛緩剤を他の血管弛緩剤と併用してもよい。
本発明の血流改善剤は、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として、血流改善剤に対して、0.01〜20重量%の含有量で配合することにより調製することができる。
本発明の血流改善剤の投与量や投与回数や投与濃度は、投与対象の血管の収縮の状態や投与対象の体重等に応じて、適宜調節することができるが、例えば成人1日あたりの投与量は本発明のペプチド又はその塩に換算して0.001〜1000mg/kg、好ましくは0.01〜100mg/kgとすることができ、1日1回又は数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。なお、より優れた血流改善効果を得る観点から、本発明の血流改善剤を他の血流改善剤と併用してもよい。
また、本発明の血管弛緩剤を、魚肉を含む食肉類等に含有させることにより、血管弛緩作用を有する食品とすることができる他、本発明の血流改善剤を、魚肉を含む食肉類等に含有させることにより、血流改善作用を有する食品とすることもできる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(平滑筋条片の作製)
北九州市保健福祉局医療部食肉センターより入手した、新鮮なブタ左冠状動脈前下行枝を主幹分岐部の約1cm下から約3cm採取し、あらかじめ混合ガス(95%O2、5%CO2)でバブリングし、氷冷したKrebs液(123mM NaCl、4.7mM KCl、15.5mM NaHCO3、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgCl2、1.25mM CaCl2、11.5mM D−glucose)で動脈内の血液を洗浄した。採取当日に血管周辺の脂肪及び線維を取り除いた後、外膜を剥離し、Krebs液中にて4℃で保存した。実験当日、あらかじめ混合ガスでバブリングしたKrebs液中にて、血管を長軸方向に切り開き、綿棒を用い血管内腔を軽く一方向に擦って血管内皮細胞(内膜)を除去し、剃刀を用いて長軸方向に対して垂直に切断し平滑筋条片1mm×4mmを作製した。
(測定装置)
弛緩作用を測定するための装置を図1に示す。ワイヤーの片側に平滑筋条片を吊るし、反対側をトランスデューサ(FDピックアップ:Panlab社製)に繋ぎ、増幅器(歪圧力用アンプ:Panlab社製)を通して記録計(卓上型ペンレコーダーU−603:パントス社製)で張力を検出した。平滑筋条片は、マグヌス管中の7mlのKrebs液に浸し、Krebs液は常に混合ガス(95%O2、5%CO2)でバブリングした。マグヌス管外は、恒温槽にて37℃に保った水を循環させた。また、交換用のKrebs液についても、37℃で保温し混合ガスをバブリングしたものを用いた。
(実験手順)
上記試験装置を用い、Krebs液に10分間平滑筋条片を浸し、Krebs液を排出し、118mMの高カリウム溶液を加えて高カリウム脱分極による収縮を5分間引き起こし、その後高カリウム溶液を排出し、Krebs液に浸して10分間弛緩させる操作を繰り返し、高カリウム脱分極による収縮の安定性と大きさを指標に静止張力を最適化した。次に、高カリウム脱分極による収縮のトレースが安定したところで、40mMのカリウム溶液を加え、その収縮が定常状態に達した後、ブラジキニン(ペプチド研究所社製)を1μMとなるように加えて弛緩が生じなかったことで、血管内皮細胞が除去されていることを確認した。なお、血管内皮細胞が残っている場合、ブラジキニンを加えることで弛緩が生じる。
次に、ブラジキニンを含むカリウム溶液を排出し、Krebs液を加え10分間浸した後排出し、40mMのカリウム溶液を加えて収縮させ、アミノ酸配列Pro−Gly−Gly(配列番号1)からなるペプチドB、アミノ酸配列Pro−Gly−Gly−Val(配列番号2)からなるペプチドC、アミノ酸配列Pro−Gly−Gly−Val−Gly(配列番号3)からなるペプチドD、及び比較例としてアミノ酸配列Pro−GlyからなるペプチドAの4種類の化学合成ペプチド(ペプチドBはスクラム社、ペプチドA、C、Dは国産化学社にて委託合成)を11.6mM、5.8mM、1.16mM、0.58mM、0.29mMとなるように加え、弛緩率を求めた。弛緩率は、図2に示すように、40mMカリウム溶液を加えたことによる張力の増加量Xに対する、その後のペプチドを加えることによる張力の減少量Yの割合、すなわち、弛緩率(%)=Y/X×100で求めた。
(測定結果)
弛緩率を測定した結果を図3に示す。横軸が加えたペプチド濃度(mM)、縦軸が弛緩率である。図3に示すように、ペプチドB、C、Dは、血管弛緩作用を示し、ペプチドD、C、Bの順で弛緩率が高く、また弛緩効果は濃度依存的であった。具体的には、ペプチド濃度11.6mMの場合の弛緩率は、ペプチドAでは36%であるのに対し、ペプチドBでは52%、ペプチドC、Dは100%、ペプチド濃度5.8mMの場合の弛緩率は、ペプチドAでは21%であるのに対し、ペプチドBでは47%、ペプチドCでは45%、ペプチドDでは70%、ペプチド濃度1.16mMの場合の弛緩率は、ペプチドAでは9%であるのに対し、ペプチドBでは6%、ペプチドCでは13%、ペプチドDでは27%、ペプチド濃度0.58mMの場合の弛緩率は、ペプチドAでは0%であるのに対し、ペプチドBでは11%、ペプチドCでは5%、ペプチドDでは8%であった。
本発明のペプチドや本発明の血管弛緩剤は、血行障害による狭心症、心筋梗塞、くも膜下出血後の脳血管攣縮等の治療に用いることができるものであり、医療分野において産業上の有用性は高い。さらに、本発明のペプチドや本発明の血流改善剤は、末梢の血流を改善することができるものであり、化粧品分野において産業上の有用性は高い。

Claims (3)

  1. 分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血管弛緩剤。
  2. 分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号1〜3のいずれかに示されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする血流改善剤。
  3. 分子内にアミノ酸配列Pro−Gly−Glyを有する、配列番号2又は3に示されたアミノ酸配列からなるペプチド。
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