JP2015050780A - 損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置 - Google Patents

損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】配電設備毎の配電ロスを把握することができる損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置を提供する。
【解決手段】第1算定部19dは、電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された電気回路の電源側設備における送出電圧と電力消費設備の負荷情報から、前記配電設備毎の負荷電流を算定する。第2算定部19eは、算定した配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置に関する。
配電系統を構成する配電設備は、設備容量がピーク負荷に耐えられるものが用いられる。配電設備は、設置時に求められたピーク負荷電流を基に設備容量が決定される。設置後に負荷状況が変化した場合や経年による配電設備の取替が発生した場合は、その都度、最新の負荷状況に基づき、配電設備の設備容量が決定される。
特開2007−080260号公報
ところで、変圧器などの配電設備は、配電設備自体が電力を消費する。この配電設備で消費される電力は、発電されて需要家に送り届ける途中で消費され、需要家で使用される電力とはならないため損失として扱われる。このような配電系統での損失電力を配電ロスと言う。配電ロスは、配電設備の設備容量が小さくなると大きくなる。このため、負荷状況に応じて配電設備の設備容量を小さくした場合には、配電ロスが増加する。
しかしながら、従来は、配電系統の配電設備毎の電流値を把握できないため、配電設備毎の配電ロスを精度よく把握することができなかった。
1つの側面では、本発明は、配電設備毎の配電ロスを把握することができる損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置を提供することを目的とする。
一態様の損失算定プログラムは、コンピュータに、電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された電気回路の電源側設備における送出電圧と電力消費設備の負荷情報から、配電設備毎に負荷電流を算定する処理を実行させる。また、損失算定プログラムは、コンピュータに、算定した配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する処理を実行させる。
配電設備毎の配電ロスを把握することができる。
図1は、実施例1に係る損失算定装置の機能的構成を示すブロック図である。 図2は、エンティティの一態様を示す図である。 図3は、エンティティの相互関係の一例を示す図である。 図4は、ロケーションテーブルの一例を示す図である。 図5は、ユニットテーブルの一例を示す図である。 図6は、スパンテーブルの一例を示す図である。 図7は、ノードテーブルの一例を示す図である。 図8は、ブランチテーブルの一例を示す図である。 図9は、カレントノードテーブルの一例を示す図である。 図10は、カレントブランチテーブルの一例を示す図である。 図11は、配電系統のグラフ構造の一例を示す図(1)である。 図12は、配電系統のグラフ構造の一例を示す図(2)である。 図13は、ロードテーブルの一例を示す図である。 図14は、現系統の損失電力量の一例を示す図である。 図15は、現系統の損失電力量の一例を示す図である。 図16は、指定された設備の所定期間毎の損失電力量を表示したグラフの一例を示す図である。 図17は、配電設備の種別毎の各所定期間での損失電力量を表示したグラフの一例を示す図である。 図18は、配電設備の種別毎の一日の損失電力量を表示した円グラフの一例を示す図である。 図19は、実施例1に係る配電管理処理の手順を示すフローチャートである。 図20は、実施例1に係る配電管理処理の手順を示すフローチャートである。 図21は、実施例1に係る損失算定処理の手順を示すフローチャートである。 図22は、実施例2に係る損失算定装置の機能的構成を示すブロック図である。 図23は、単価情報の一例を示す図である。 図24は、設備性能情報の一例を示す図である。 図25は、配電設備の種別毎の各所定期間でのロス金額を表示したグラフの一例を示す図である。 図26は、配電設備の変更によるロス金額の変化を説明するための図である。 図27は、配電設備の変更による単価の変化を説明するための図である。 図28は、1年間当たりのロス金額の累積値を単価の差と比較した一例を示す図である。 図29は、シミュレーションの結果の表示の一例を示す図である。 図30は、実施例1〜3に係る損失算定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
以下に添付図面を参照して本願に係る損失算定プログラム、損失算定方法及び損失算定装置について説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[損失算定装置の構成]
図1は、実施例1に係る損失算定装置の機能的構成を示すブロック図である。図1に示す損失算定装置10は、電気事業者の変電所および需要家の負荷設備の間の配電系統に存在する各配電設備での配電ロスを算定する損失算定処理を実行するものである。
かかる損失算定装置10の一態様としては、上記の損失算定処理を実行するWebサーバとして実装することとしてもよいし、また、上記の損失算定処理に関するサービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。他の一態様としては、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして提供される損失算定プログラムを所望のコンピュータにプリインストール又はインストールさせることによっても実装できる。
図1に示すように、損失算定装置10は、所定のネットワークを介して、クライアント端末30やスマートメータ50などの他の装置との間で通信可能に接続される。かかるネットワークには、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。なお、上記のクライアント端末30及びスマートメータ50は、それぞれ任意の台数接続することができる。
このうち、クライアント端末30は、上記の損失算定サービスの提供を受ける側の端末装置である。かかるクライアント端末30の一例としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)を始めとする固定端末の他、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末も採用できる。なお、クライアント端末30は、電気事業者の所属員、例えば配電部門の担当者や管理者等によって利用される。
スマートメータ50は、通信機能付きの電力の計量器である。かかるスマートメータ50は、需要家の分電盤等に接続される。一態様としては、スマートメータ50は、一定期間、例えば30分間ごとに需要家の負荷設備が使用する電力を計量する。このとき、スマートメータ50は、負荷設備によって使用された電力を累積して計量する。以下では、累積して計量された負荷設備の電力使用値のことを「電力使用量」と記載する場合がある。その上で、スマートメータ50は、電力使用量を損失算定装置10へ送信する。なお、ここでは、スマートメータが電力使用量を一定期間ごとにアップロードする例を説明したが、電力使用量を間欠的にアップロードすることもできる。また、スマートメータ50は、電力使用量を能動的にアップロードするのではなく、損失算定装置10からのリクエストに応答して電力使用量をアップロードすることもできる。
図1に示すように、損失算定装置10は、通信I/F(interface)部11と、記憶部13と、制御部19とを有する。なお、損失算定装置10は、図1に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入出力デバイスや撮像デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。
通信I/F部11は、他の装置、例えばクライアント端末30やスマートメータ50との間で通信制御を行うインタフェースである。かかる通信I/F部11の一態様としては、LANカードなどのネットワークインタフェースカードを採用できる。例えば、通信I/F部11は、クライアント端末30から各種情報、例えば各種の指示情報を受信したり、あるいは損失算定装置10から各種画面の画像データをクライアント端末30へ通知したりする。
記憶部13は、制御部19で実行されるOS(Operating System)や配電管理処理プログラム、損失算定プログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶デバイスである。記憶部13の一態様としては、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。なお、記憶部13は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
記憶部13は、制御部19で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、位置情報14と、設備情報15と、電気接続情報16と、配電系統情報17と、負荷情報18と、損失電力量情報20とを記憶する。なお、上記に例示した情報以外にも、他の電子データ、例えば電気事業者が管轄する配電系統が収まった地図情報なども併せて記憶することもできる。
ここで、本実施例に係る損失算定装置10では、設備が設置される位置を管理する位置の管理と、各々の設備を管理する設備の管理と、互いが電気的に接続される設備を管理する電気接続の管理との3つに分けて配電系統が管理される。
このうち、位置の管理には、配電系統を形成する設備のうち所定の設備、例えば変電所、電柱、変圧器などが設置される位置「ロケーション(location)」がエンティティとして用いられる。また、設備の管理には、配電系統を形成する設備のうち1つの位置に紐付く設備「ユニット(unit)」と、2つの位置に紐付く設備「スパン(span)」とがエンティティとして用いられる。また、電気接続の管理には、互いの設備が電気的に接続される接続点「ノード(node)」と、複数の接続点によって定まる設備「ブランチ(branch)」とがエンティティとして用いられる。
図2は、エンティティの一態様を示す図である。図2に示すように、ロケーションの一例としては、例えば、電柱Pや柱上変圧器TRなどのように設置形態が架設ではない非架設の設備が設置される位置が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所(SS:SubStation)が設置される位置や変圧器が設置される位置もロケーションの範疇に含まれる。なお、ここでは、地上に設置される設備を例示したが、地下に設置される設備、例えばマンホールやハンドホールが設置される位置などもロケーションの範疇に含まれる。
ユニットの一例としては、電柱P、開閉器SW、柱上変圧器TRなどが挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、SVR(Step Voltage Regulator)や各種の計器、例えばスマートメータ50、さらには、地中の設備であるマンホールやハンドホールなどもユニットの範疇に含まれる。
スパンの一例としては、配電用変電所および柱上変圧器TRの間で高圧電力が配電される高圧系統に敷設される電線WH、いわゆる「高圧線」が挙げられる。スパンの他の一例としては、柱上変圧器TRおよび需要家の負荷設備の間で低圧電力が配電される低圧系統のうち柱上変圧器TR及び引込線の区間に敷設される電線WL、いわゆる「低圧線」が挙げられる。また、スパンの他の一例としては、引込線および負荷設備の区間に敷設される電線、いわゆる「引込線」などが挙げられる。スパンの更なる一例としては、地中に埋め込まれたケーブルが挙げられる。なお、高圧線WH及び低圧線WLなどの電線Wについては、電柱Pに架設される単位の本数、例えば3本や2本を1つにまとめてスパンとして扱うことができる。
ノードの一例としては、図2中の拡大図21に示す高圧線WHと開閉器SWとの接続点、高圧線WHと柱上変圧器TRとの接続点、柱上変圧器TRと低圧線WLとの接続点が挙げられる。この他、図2中の拡大図22に示す高圧線WH21aと高圧線WH21bとが接続される点もノードの範疇に含まれる。具体的には、高圧線WH21a及び高圧線WH21bが通り装柱の電柱Pに架設されている場合にも、高圧線WH21a及び高圧線WH21b間が電気的に接続されているものとみなし、高圧線WH同士が接続される点を仮想的なノードとして扱われる。
ブランチの一例としては、図2に示す電柱P、高圧線WH、開閉器SW、柱上変圧器TR、低圧線WLなどの各種の設備が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、引込線、スマートメータ50や負荷設備などもブランチの範疇に含まれる。これら配電用変電所や負荷設備などの端点に位置する設備は、1つしかノードを持たない場合がある。
これらロケーション、ユニット、スパン、ノード及びブランチなどのエンティティは、図3に示す関連性を有する。図3は、エンティティの相互関係の一例を示す図である。図3に示すように、ユニット及びスパンは、ロケーションとの間で互いに共通して位置が管理される点が関連する。また、ユニットおよびスパンは、ブランチとの間で互いに共通して設備が管理される点が関連する。さらに、ノードは、ロケーション及びブランチとの間で互いに共通して接続点が管理される点が関連する。
図1の説明に戻り、位置情報14には、上記のロケーションを管理するロケーションテーブル14aが含まれる。また、設備情報15には、上記のユニットを管理するユニットテーブル15aと、上記のスパンを管理するスパンテーブル15bとが含まれる。さらに、電気接続情報16には、上記のノードを管理するノードテーブル16aと、上記のブランチを管理するブランチテーブル16bとが含まれる。また、後述するように、配電系統情報17には、カレントノードテーブル17aと、カレントブランチテーブル17bとが含まれる。
このうち、ロケーションテーブル14aの一態様としては、位置ID(identifier)、位置識別、経度および緯度などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「位置ID」とは、設備が設置された位置を識別する識別情報を指す。また、「位置識別」とは、位置の種類の識別を指し、例えば、配電用変電所(SS)、電柱(POLE)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。なお、ロケーションテーブル14aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電系統の設備を管理する配電設備管理システムから変電所、電柱、変圧器などの特定の設備の位置情報を取得することができる。
図4は、ロケーションテーブル14aの一例を示す図である。例えば、図4に示す位置ID「SS0001」のロケーションは、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置し、配電用変電所があることを意味する。また、図4以降に図示する各種のIDは、例えば、配電用変電所を表す「SS」、電柱を表す「PO」や負荷設備「LL」などの設備の種別を識別可能な文字列をIDを構成する文字列の頭に付加して採番がなされる。この各種IDは、設備の種別を識別可能な文字列を、IDを構成する文字列の頭に付加して採番するに限らず、一意に認識できる値を付与して良い。なお、ここでは、設備の位置を特定する項目として経度および緯度を用いる場合を例示したが、他の項目、例えばローカルな座標値、住所などを用いることもできる。
ユニットテーブル15aの一態様としては、設備ID、位置ID、種別及び属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「設備ID」とは、設備を識別する識別情報を指し、ユニットテーブル15aではユニットの設備IDだけが格納される。また、「種別」とは、ユニットの種別を指し、例えば電柱(POLE)、開閉器(SW)、柱上変圧器(BANK)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。また、「属性情報」とは、ユニットの属性に関する情報を指し、例えば、ユニットの型番や性能、例えばユニットが変圧器である場合には変圧器の容量や電圧比が登録される。かかる変圧器の容量は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。例えば、ユニットが変圧器である場合には、抵抗値、リアクタンス値や変圧器の電圧比が登録される。なお、ユニットテーブル15aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちユニットに分類された設備の属性情報が登録される。
図5は、ユニットテーブル15aの一例を示す図である。例えば、図5に示す設備ID「PO0001P1」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、電柱であることを意味する。また、図5に示す設備ID「PO000101」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、開閉器であることを意味する。また、図5に示す設備ID「PO000701」のユニットは、位置ID「PO0007」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分34秒30及び北緯50度27分27秒844に位置し、電圧比1を持つ柱上変圧器であることを意味する。
スパンテーブル15bの一態様としては、設備ID、位置ID、位置ID、種別および属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、スパンテーブル15bにはスパンの設備IDだけが格納される。また、「位置ID」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち一方の位置IDを指し、「位置ID」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち他方の位置IDを指す。また、「種別」とは、スパンの種別を指し、例えば、高圧線、低圧線及び引込線などの種類が挙げられる。また、「属性情報」は、スパンの属性に関する情報を指し、例えば、スパンの型番、太さ、材質、径間、単位(m)当たりの抵抗値や単位(m)当たりのリアクタンス値などが登録される。かかる径間、単位当たりの抵抗値や単位当たりのリアクタンス値は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。なお、スパンテーブル15bに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちスパンに分類された設備の属性情報が登録される。
図6は、スパンテーブル15bの一例を示す図である。例えば、図6に示す設備ID「SP0001」のスパンは、位置ID「SS0001」に対応する位置および位置ID「PO0001」に対応する位置の区間に架設された3相の高圧線であることを意味する。かかる区間は、図4を用いて説明したように、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016から東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021の区間に相当する。さらに、設備ID「SP0001」のスパンの径間、抵抗及びリアクタンスは、それぞれ「21m」、「220Ω/m」、「150Ω/m」であることを意味する。なお、図6に示す種別が3Hである場合には、スパンが単相3線の高圧線であることを意味し、種別が3Lである場合には、スパンが単相3線の低圧線であることを意味し、また、種別がブランクである場合には、スパンが引込線であることを意味する。
ノードテーブル16aの一態様としては、ノードID及び位置IDなどの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ノードID」は、ノードを識別する識別情報を指す。なお、ノードテーブル16aに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電系統の監視や開閉器の遠隔操作を行う配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からノードが抽出された後にノードの所在位置と対応付けてノードテーブル16aに登録される。
図7は、ノードテーブル16aの一例を示す図である。例えば、図7に示すノードID「SS0001N01」の接続点は、位置ID「SS0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置することを意味する。また、図7に示すノードID「PO0001N01」及び「PO0001N02」の接続点は、いずれも位置ID「PO0001」に対応する同一の位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置することを意味する。
ブランチテーブル16bの一態様としては、ブランチID、ノードID、ノードID、設備IDおよび開閉区分などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ブランチID」とは、ブランチを識別する識別情報を指す。また、「ノードID」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち一方のノードIDを指し、「ノードID」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち他方のノードIDを指す。ただし、配電用変電所や負荷設備などの端点に位置するブランチは、ノードIDまたはノードIDのいずれかにしかノードIDを持たない場合がある。例えば、ノードID及びノードIDのうちノードIDには、ノードIDよりも一次側、すなわち変電所寄りの接続点のノードIDが登録され、ノードIDには、ノードIDよりも二次側、すなわち負荷設備寄りの接続点のノードIDが登録される。また、ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、ブランチテーブル16bにはユニットまたはスパンのいずれかの設備IDが格納される。また、「開閉区分」は、開閉器のスイッチの開閉状態を指す。かかる開閉区分には、ブランチが開閉器である場合には「開状態」または「閉状態」のいずれかが設定されるが、ブランチが開閉器以外である場合には「ブランク」とされる。
なお、ブランチテーブル16bに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からブランチが抽出された後にブランチが持つノードと対応付けてブランチテーブル16bに登録される。
図8は、ブランチテーブル16bの一例を示す図である。例えば、図8に示すブランチID「BR0001」のブランチは、ノードID「SS0001N01」およびノードID「PO0001N01」によって定義される設備ID「SP0001」の高圧線であることを意味する。また、図8に示すブランチID「BR0002」のブランチは、ノードID「PO0001N01」およびノードID「PO0001N02」によって定義される設備ID「PO000101」の開閉器であり、かつ開閉区分が「1」なので、開閉器が閉状態であることを意味する。なお、図8に示す開閉区分が「0」である場合には、開閉器が開状態であることを意味し、また、開閉区分がブランクである場合には、設備が開閉器ではないことを意味する。開閉器の閉状態とは、電気を流す状態であり、開状態は電気を流さない状態である。
なお、記憶部13に記憶される情報のうち上記の位置情報14、設備情報15及び電気接続情報16以外の配電系統情報17、負荷情報18、損失電力量情報20については、これらの情報を生成、取得、あるいは使用する機能部の説明に合わせて後述する。
制御部19は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部19は、図1に示すように、検索部19aと、対応付け部19bと、取得部19cと、第1算定部19dと、第2算定部19eと、集計部19fと、表示制御部19gとを有する。
検索部19aは、電気接続情報16を参照して、所定のノードを起点とし、ノードの組合せに含まれるノードのうち未探索のノードを探索しながら当該組合せに対応するブランチを検索する処理部である。
一態様としては、検索部19aは、クライアント端末30を介して配電系統情報の閲覧要求を受け付けた場合や前回に処理が実行されてから一定期間が経過した場合に、処理を起動する。まず、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する。そして、検索部19aは、図示しない内部メモリに記憶された探索リストに対し、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを登録する。かかる探索リストには、探索の対象とするSSの位置IDの他、探索時に発見された未探索のノードやブランチが随時登録される。なお、ここでは、ロケーションテーブル14aからSSの位置IDを検索する場合を例示したが、ノードテーブル16aやブランチテーブル16bに記憶されたノードIDのうち文字列が「SS」で始まるノードIDを検索することとしてもかまわない。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する。その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストに登録する。なお、SSが複数のSSバンクを有する場合には、1つの位置IDを用いて検索がなされた場合でも複数のノードのレコードが検索される。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID及びノードIDの組合せを持つブランチのレコードを検索する。その上で、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントブランチテーブル17bへ登録する。さらに、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストに登録する。このとき、探索リストに登録されるのは、ブランチを識別できる情報であればよく、例えば、少なくともブランチIDまたは設備IDのいずれかを登録すればよい。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する。そして、検索部19aは、スパンテーブル15bから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。このとき、ブランチがスパンである場合には、スパンテーブル15bから属性情報を検索できるが、ブランチがユニットである場合には、属性情報を検索できない。このため、検索部19aは、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合には、ユニットテーブル15aから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。
その後、検索部19aは、ノードの組合せのうち探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクではない場合に、当該ブランチが開閉器であるか否かを判定する。そして、検索部19aは、ブランチが開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉区分が「1」であるか否かを判定する。このとき、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態である場合には、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索するまで、未探索のブランチの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索すると、探索リストに登録されたノードを全て探索するまで、未探索のノードの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。そして、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索するまで、未探索のSSの位置IDの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。
対応付け部19bは、探索が実行された接続点の組合せ及び検索の結果として得られた設備と、設備情報15に含まれる属性情報のうち検索の結果として得られた設備に対応する属性情報とを対応付ける処理部である。一態様としては、対応付け部19bは、探索が実行されたブランチのレコードと、スパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aから検索されたブランチの属性情報とを対応付ける。例えば、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチの設備IDまたはブランチIDに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する。このとき、対応付け部19bは、ユニットテーブル15aまたはスパンテーブル15bからブランチの設備IDに対応する位置IDを検索した上でその位置IDをさらに対応付けることもできる。
ここで、図4〜図8の各テーブルを用いて、検索部19a及び対応付け部19bによる処理内容を具体的に説明する。最初に、図4に示したロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置ID「SS0001」が検索される。すると、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置ID「SS0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、SSの位置IDが「SS0001」しか登録されていないので、位置ID「SS0001」が選択される。これを受けて、図7に示したノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置ID「SS0001」に対応するノードID「SS0001N01」が検索される。続いて、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」のレコードがカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」が探索リストにも登録される。この場合、探索リストには、ノードIDが「SS0001N01」しか登録されていないので、ノードID「SS0001N01」が選択される。
すると、図8に示したブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードID「SS0001N01」が含まれるノードID「SS0001N01」及びノードID「PO0001N01」の組合せを持つ設備ID「SP0001」のブランチが検索される。その上で、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」のブランチのレコードがカレントブランチテーブル17bへ登録される。さらに、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、設備IDが「SP0001」しか登録されていないので、設備ID「SP0001」が選択される。
すると、図6に示したスパンテーブル15bから先に選択が実行された設備ID「SP0001」に対応するスパンの属性情報「径間21m、抵抗RH1、リアクタンスXH1」が検索される。なお、ここでは、スパンの属性情報が検索される場合を例示したが、「SP」以外の文字列で始まる設備IDの場合には、スパンテーブル15bからは属性情報が検索されず、図5に示したユニットテーブル15aからユニットの属性情報が検索されることになる。
このようにして得られた属性情報「径間21m、抵抗220Ω/m、リアクタンス150Ω/m」から、抵抗値4621(220×21)Ω、リアクタンス値3150(150×21)Ωが設備ID「SP0001」に対応付けてカレントブランチテーブル17bに登録される。
その後、ノードID「SS0001N01」及びノードID「PO0001N01」の組合せには、探索に用いられたノードID「SS0001N01」とは対となる他方のノードIDに「PO0001N01」が値として設定されている。このように、他方のノードIDがブランクではないので、当該設備ID「SP0001」のブランチが開閉器であるか否かが判定される。そして、設備ID「SP0001」のブランチは、開閉区分の値がブランクであり、開閉器ではない。よって、ノードテーブル16aから他方のノードID「PO0001N01」のレコードを検索した上で他方のノードID「PO0001N01」のレコードが配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ追加される。
このように、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ登録された時点では、ノードID「PO0001N01」以外にノードIDが登録されていない。このため、ノードID「PO0001N01」が選択された上で探索が継続される。
なお、ここでは、他方のノードIDがブランクではない場合を例示したが、他方のノードIDがブランクである場合には、探索リストに登録された未探索のブランチの探索が実行される。また、未探索のブランチがなければ未探索のノードの探索が実行される。そして、未探索のSSの位置IDがなければ探索が終了される。また、ここでは、ブランチが開閉器でない場合を例示したが、開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態でなければ他方のノードIDの検索、さらには、探索リストへの他方のノードの追加は実行されない。開閉器のスイッチが開状態である場合、他方のノードIDの検索や探索リストへの他方のノードの追加を実行すると、電気的に接続されていない異なる配電系統をカレントノードテーブル17aやカレントブランチテーブル17bに誤登録することになるからである。
上記の探索によって、ノードテーブル16aに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のノードを検索したカレントノードテーブル17aを生成できる。さらに、上記の探索によって、ブランチテーブル16bに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いが電気的に接続された配電系統のブランチ及びブランチに対応する属性情報を検索した上でブランチ及び属性情報が対応付けられたカレントブランチテーブル17bを生成できる。なお、以下では、探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のことを「現系統」と記載する場合がある。
このようにして生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bを含む配電系統情報17が記憶部13に登録される。図9は、カレントノードテーブル17aの一例を示す図である。図10は、カレントブランチテーブル17bの一例を示す図である。これら図9及び図10には、ノードID「SS0001N01」を起点とし、図4〜図8に示した各テーブルを用いて生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bが図示されている。
図9に示すように、カレントノードテーブル17aのレコードのうち需要家の負荷設備と配電系統の設備との接続点であるノード「LL0001N01」、「LL0002N01」、「LL0003N01」、「LL0004N01」、「LL0005N01」、「LL0006N01」、「LL0007N01」及び「LL0008N01」のレコードには、スマートメータ等の計量器によって計量された電力使用量が属性情報の一例として登録される。かかる電力使用量には、負荷設備によって消費される「有効電力」と、負荷設備によって消費されない「無効電力」とが含まれる。このうち、無効電力は、遅れ無効電力とも呼ばれる。これらの電力使用量(有効)および電力使用量(無効)は、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
図10に示すように、カレントブランチテーブル17bのレコードのうちブランチの設備が開閉器であるレコードには、ブランチテーブル16bに登録されていた開閉区分の値が登録される。例えば、ブランチID「BR0002」、「BR0006」及び「BR0019」の開閉器には、いずれも開閉区分に「1」が登録されているので、開閉器のスイッチが閉状態であり、通電状態にあることを意味する。図10には、開閉区分が「1」である開閉器を例示したが、開閉器の開閉区分が「0」である場合には、開閉器のスイッチが開状態であり、通電状態にないことを意味する。また、カレントブランチテーブル17bの各レコードには、リアクタンス値Xと抵抗値Rとが属性情報の一例として登録される。このうち、ブランチの設備がユニットである設備、例えば開閉器や変圧器などには、ユニットテーブル15aに登録されていたリアクタンス値Xと抵抗値Rが属性情報としてそのまま登録される。一方、ブランチの設備がスパンである設備には、スパンテーブル15に登録されている単位当たりのリアクタンス値に径間の値が乗算された値がリアクタンス値Xとして登録されるとともに、単位当たりの抵抗値に径間の値が乗算された値が抵抗値Rとして登録される。これらユニット及びスパンのリアクタンス値X及び抵抗値Rは、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
なお、ここでは、電圧の計算に使用されるパラメータとして、電力使用量(有効)、電力使用量(無効)、抵抗値やリアクタンス値を例示したが、カレントノードテーブル17aまたはカレントブランチテーブル17bのいずれかのテーブルに変圧器が接続される接続相の項目を追加することによって電圧の計算をより精密に行うことができる。例えば、電線が単相3線である場合には、柱上で電線に接続される変圧器の1台目を「接続相1」とし、2台目を「接続相2」とし、3台目を「接続相3」とし、3線の電線のうち1本目と2本目に変圧器が接続される場合には値「A」を登録し、2本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「B」を登録し、1本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「C」を登録することができる。
このように、図9に示したカレントノードテーブル17a及び図10に示したカレントブランチテーブル17bから生成された配電系統情報17は、図11及び図12に示す配電系統のグラフ構造を表す。図11及び図12は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。図11及び図12に示す現系統は、SSバンクと設備ID「SP0001」の高圧線の接続点であるノードID「SS0001N01」のノードを階層構造のルート(1階層)に持つ。さらに、現系統は、ルートから終端となる設備ID「LL000101」、「LL000201」、「LL000301」、「LL000401」、「LL000501」、「LL000601」、「LL000701」、「LL000801」の8つの負荷設備へ向かう経路を持つ。このうち、SSバンクから設備ID「LL000801」の負荷設備までの階層が10階層と最も浅く、SSバンクから設備ID「LL000201」、「LL000301」及び「LL000401」の負荷設備までの階層が19階層と最も深いことがわかる。このように、上記の配電系統情報17を生成することによって、高圧系統や低圧系統といった大雑把な単位ではなく、設備単位、さらには、設備間の接続点単位に細分化して現系統の電気的な繋がりを把握することができる。
図1の説明に戻り、取得部19cは、電力消費設備の負荷情報を取得する処理部である。例えば、取得部19cは、電力消費設備の負荷情報として、スマートメータ50の電力使用量を取得する。一態様としては、取得部19cは、各需要家の負荷設備に接続されたスマートメータ50からアップデートされた電力使用量を取得する。続いて、取得部19cは、スマートメータ50が接続されている負荷設備の設備ID、アップデートの年月日、時刻、さらには、電力使用量が対応付けられたレコードを負荷情報18のロードテーブル18aに追加登録する。例えば、各スマートメータ50が一定期間、例えば30分間ごとに電力使用量をアップデートする場合を想定する。ロードテーブル18aには、所定期間毎に取得された電力消費設備の負荷情報が記憶される。例えば、ロードテーブル18aには、1つのスマートメータ50につき、スマートメータ50に電力使用量の検針結果を通知させる検針間隔と、スマートメータ50及び損失算定装置10間の伝送遅延時間との和に相当する時間の周期で上記のレコードの登録がなされる。
ここで、記憶部13に記憶される負荷情報18の一例について説明する。上記の負荷情報18は、設備ID、年月日、時刻および電力使用量などの項目が対応付けられたロードテーブル18aを採用できる。図13は、ロードテーブル18aの一例を示す図である。図13に示すように、設備ID「LL1」の負荷設備に接続されたスマートメータ50から、2012年9月5日の14時40分18秒と15時10分19秒に電力使用量U11と電力使用量U12がアップロードされていることを意味する。なお、図13には、説明する便宜上、図5のユニットテーブル15aに示した設備の例とは独立した負荷設備の例を図示している。
第1算定部19dは、配電設備毎の負荷電流を算定する処理部である。最初に、第1算定部19dは、各カレントノードにおける電圧を算出する。一態様としては、第1算定部19dは、スマートメータ50からアップロードされた電力使用量に関する履歴がロードテーブル18aに更新された場合に、配電系統別に変電所が持つカレントノードから負荷設備が持つカレントノードへ向けて各カレントノードにおける電圧を算出する処理を起動する。
これを具体的に説明すると、第1算定部19dは、カレントブランチテーブル17bから電圧の計算に用いる情報を読み出す。例えば、第1算定部19dは、変電所から送出される電力の電圧、変圧器の電圧比、さらには、電線が持つ抵抗やリアクタンスなどを取得する。以下では、変電所から送出される電力の電圧のことを「送出電圧」と記載する場合がある。さらに、第1算定部19dは、ロードテーブル18aから各需要家の負荷設備における電力使用量を読み出す。例えば、電力発電量が電力使用量を超える場合に電力使用量が負の値をとることがある。このように、電力使用量が負の値をとる場合には、需要家の発電設備によって発電された電力が負荷設備から配電系統への方向に流れる逆潮流が発生する。この場合には、電気事業者が需要家から電力を買い取る買電が実施される。
その上で、第1算定部19dは、上記の変電所の送出電圧、変圧器の電圧比、電線の抵抗及びリアクタンスや負荷設備の電力使用量などのパラメータを用いて、各カレントノードの電圧を算出する。かかる電圧の算出方法の一例としては、BFS(Backward-Forward Sweep)を始め、Newton-Raphson法などの既知のアルゴリズムを適応的に採用できる。例えば、BFSが採用された場合には、配電系統が放射状であるという特性を活かし、負荷設備からの逐次計算と変電所からの修正を交互に実行することによって各カレントノードの電圧が算出される。このようにして需要家の負荷設備が持つ末端のカレントノードの電圧が算出されることになる。
そして、第1算定部19dは、配電設備毎の負荷電流を算出する。例えば、第1算定部19dは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの各配電設備について、配電設備に該当するカレントノードの電圧と当該配電設備の抵抗やリアクタンスから配電設備を流れる電流を算出する。
第2算定部19eは、配電設備毎の損失電力量を算定する処理部である。例えば、第2算定部19eは、配電設備毎の負荷情報18と、第1算定部19dが算定した配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する。例えば、第2算定部19eは、配電設備の抵抗値Rと、当該配電設備を流れる電流値Iの2乗とを乗算した値(R×I)を、当該配電設備における損失電力量として算定する。第2算定部19eは、例えば、逆潮流の場合についても、同様に算定する。
図14及び図15は、現系統の損失電力量の一例を示す図である。図14及び図15には、図11及び図12に示す配電系統の各配電設備毎の損失電力量が配電ロスとして示されている。図14の例では、設備ID「SP0001」の高圧線では、0.0087[wh]の損失電力が発生していることを示す。また、図15の例では、設備ID「SP0015」の引込線では、0.2183[wh]の損失電力が発生していることを示す。このように、損失算定装置10は、配電設備単位に損失電力を把握することができる。
電力消費設備の負荷情報は、所定期間ごとに取得される。第1算定部19dおよび第2算定部19eは、所定期間毎に、当該所定期間内で取得された電力消費設備の負荷情報を用いて配電設備毎の損失電力量を算定する。一態様としては、第1算定部19dおよび第2算定部19eは、前回に損失電力量を算定が実行されてから所定期間が経過する度に処理を起動して配電設備毎の損失電力量を算定する。第2算定部19eは、算定した配電設備毎の損失電力量を算定した所定期間の日時情報と共に、損失電力量情報20として記憶部13に記憶させる。
集計部19fは、損失電力量情報20に記憶された所定期間毎の損失電力量の各種の集計を行う処理部である。例えば、集計部19fは、後述の損失電力の表示条件を指定する指定画面で表示条件が指定された場合、指定された表示条件で損失電力量の集計を行う。
例えば、集計部19fは、何れかのノードが指定された場合、指定されたノードから下位階層の各配電設備の所定期間毎の損失電力量を所定期間毎に集計する。また、例えば、集計部19fは、配電設備の種別毎に集計が指定された場合、各配電設備の所定期間毎の損失電力量を所定期間および配電設備の種別毎に集計する。一態様としては、集計部19fは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの配電設備の種別毎に、各所定期間での損失電力量を集計する。また、例えば、集計部19fは、所定期間毎の損失電力量の総和の算出が指定された場合、所定期間毎の損失電力量の総和を算出する。例えば、集計部19fは、所定期間よりも長い所定の集計期間での損失電力量の総和を配電設備の種別毎に算出する。一態様としては、集計部19fは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの配電設備の種別毎に、一日での損失電力量の総和を算出する。
表示制御部19gは、クライアント端末30に対する表示制御を実行する処理部である。例えば、表示制御部19gは、損失電力を表示させる各種の表示条件を指定する指定画面をクライアント端末30に表示させる。そして、表示制御部19gは、指定画面で指定された条件に従い、クライアント端末30に損失電力量を表示させる。
例えば、表示制御部19gは、損失電力量を表示させる所定期間および配電設備が指定された場合、指定された所定期間および配電設備の損失電力量を損失電力量情報20を読み出して、クライアント端末30に表示させる。また、例えば、表示制御部19gは、クライアント端末30から表示させるノードを指定して損失電力量が指示された場合、集計部19fにより集計された、指定されたノードから下位階層の所定期間毎の損失電力量を表示させる。一態様としては、表示制御部19gは、配電設備の各所定期間の損失電力量をグラフ表示させる。
図16は、指定された設備の所定期間毎の損失電力量を表示したグラフの一例を示す図である。図16の例では、設備ID「PO0007 01」、「PO0012 01」および「PO0015 01」の各設備の所定期間毎の損失電力量が表示されている。このように所定期間毎の損失電力量をグラフに表示することにより、損失電力量の時間変化を把握できる。また、損失電力量のピークや損失電力量の状態を把握できる。
また、例えば、表示制御部19gは、配電設備の種別毎に集計が指定された場合、集計部19fにより配電設備の種別毎に集計された、所定期間毎の損失電力量を表示させる。一態様としては、表示制御部19gは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの配電設備の種別毎の各所定期間での損失電力量をグラフ表示させる。
図17は、配電設備の種別毎の各所定期間での損失電力量を表示したグラフの一例を示す図である。図17の例では、高圧線や変圧器、低圧線、引込線についての所定期間毎の損失電力量が表示されている。このように配電設備の種別毎に各所定期間での損失電力量を表示することにより、配電設備の種別毎の損失電力量の時間変化を把握できる。
また、例えば、表示制御部19gは、所定期間毎の損失電力量の総和の算出が指定された場合、集計部19fにより配電設備の種別毎に集計された、集計期間での損失電力量の総和を表示させる。一態様としては、表示制御部19gは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの配電設備の種別毎の一日での損失電力量の総和を円グラフで表示させる。
図18は、配電設備の種別毎の一日の損失電力量を表示した円グラフの一例を示す図である。図18の例では、高圧線や変圧器、低圧線、引込線についての所定期間毎の損失電力量が累計して表示されている。このように配電設備の種別毎に各所定期間での損失電力量を累計して表示することにより、どの種別の配電設備で損失電力量が多いかを把握できる。
なお、本実施例では、表示制御部19gは、クライアント端末30に各種の情報を表示させる場合を例示するが、損失算定装置10や他の装置が有する表示部に表示させることとしてもかまわない。
なお、制御部19には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部19が有する機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
[処理の流れ]
続いて、本実施例に係る損失算定装置10の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、損失算定装置10によって実行される(1)配電管理処理を説明した後に、(2)損失算定処理を説明することとする。
(1)配電管理処理
図19、図20は、実施例1に係る配電管理処理の手順を示すフローチャートである。この配電管理処理は、所定のタイミング、例えば、配電系統の配電設備された場合や、クライアント端末30を介して損失電力量の閲覧要求を受け付けた場合に、処理が開始される。
図19に示すように、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する(ステップS101)。そして、検索部19aは、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを探索リストへ登録する(ステップS102)。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する(ステップS103)。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する(ステップS104)。
その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS105)。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストへ登録する(ステップS106)。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する(ステップS107)。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうちステップS107で選択されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID及びノードIDの組合せを持つブランチのレコードを検索する(ステップS108)。
その上で、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチのレコードをカレントブランチテーブル17bへ登録する(ステップS109)。さらに、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチを探索リストに登録する(ステップS110)。続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する(ステップS111)。
そして、検索部19aは、図20に示すように、スパンテーブル15bからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS112)。このとき、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合、すなわち属性情報がヒットしなかった場合(ステップS113No)には、検索部19aは、次のような処理を実行する。
すなわち、検索部19aは、ユニットテーブル15aからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS114)。なお、スパンテーブル15bから属性情報を検索できた場合(ステップS113Yes)には、ステップS114の処理をとばしてステップS115の処理へ移行する。
そして、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチのレコードに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する(ステップS115)。
その後、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチが含むノードの組合せのうちステップS108で探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクであるか否かを判定する(ステップS116)。
このとき、他方のノードがブランクでない場合(ステップS116Yes)には、検索部19aは、当該ブランチが開閉器であるか否かをさらに判定する(ステップS117)。そして、ブランチが開閉器である場合(ステップS117Yes)には、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉器がON状態であるか否かをさらに判定する(ステップS118)。
ここで、開閉器がON状態である場合(ステップS118Yes)には、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
また、ブランチが開閉器でない場合(ステップS117No)にも、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
一方、他方のノードがブランクである場合もしくは開閉器がOFF状態である場合(ステップS116NoまたはステップS118No)には、ステップS121の処理へ移行する。
その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索したか否かを判定する(ステップS121)。このとき、探索リストに登録されたブランチが全て探索されていない場合(ステップS121No)には、未探索のブランチが選択された後(ステップS111)、ステップS112〜ステップS120までの処理が繰り返し実行される。
そして、探索リストに登録されたブランチが全て探索されると(ステップS121Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを全て探索したか否かを判定する(ステップS122)。このとき、探索リストに登録されたノードが全て探索されていない場合(ステップS122No)には、未探索のノードが選択された後(ステップS107)、ステップS108〜ステップS121までの処理が繰り返し実行される。
その後、探索リストに登録されたノードが全て探索されると(ステップS122Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索したか否かを判定する(ステップS123)。このとき、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索されていない場合(ステップS123No)には、未探索のSSの位置IDが選択された後(ステップS103)、ステップS104〜ステップS122までの処理が繰り返し実行される。
そして、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索された場合(ステップS123Yes)には、第1算定部19dは、配電設備毎の負荷電流を算定する(ステップS124)。例えば、第1算定部19dは、変電所から送出される送出電圧と、ロードテーブル18aから各需要家の負荷設備における電力使用量を用いてカレントノードへ向けて各カレントノードにおける電圧を求め、配電設備毎の負荷電流を算定する。そして、第2算定部19eは、配電設備毎の負荷情報と、算定された配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する(ステップS125)。第2算定部19eは、算定した配電設備毎の損失電力量を算定した所定期間の日時情報と共に、損失電力量情報20として記憶部13に記憶させ(ステップS126)、処理を終了する。
(2)損失算定処理
図21は、実施例1に係る損失算定処理の手順を示すフローチャートである。この表示制御処理は、例えば、クライアント端末30に表示された、損失電力の表示条件を指定する指定画面から表示条件が指定された場合に実行される。
図21に示すように、集計部19fは、指定画面で損失電力量を表示させる所定期間および配電設備が指定されたか否かを判定する(ステップS150)。損失電力量を表示させる所定期間および配電設備が指定された場合(ステップS150Yes)、表示制御部19gは、指定された所定期間および配電設備の損失電力量を損失電力量情報20を読み出して、クライアント端末30に表示させ(ステップS151)、処理を終了する。
一方、損失電力量を表示させる所定期間および配電設備が指定されていない場合(S150No)、集計部19fは、ノードを指定して損失電力量が指示されたか否かを判定する(ステップS152)。ノードを指定して損失電力量が指示された場合(ステップS152Yes)、集計部19fは、指定されたノードから下位階層の各配電設備の所定期間毎の損失電力量を所定期間毎に集計する(ステップS153)。表示制御部19gは、指定されたノードについて所定期間毎の集計された損失電力量を表示させ(ステップS154)、処理を終了する。
一方、ノードを指定して損失電力量が指示されていない場合(ステップS152No)、集計部19fは、配電設備の種別毎に集計が指定されたか否かを判定する(ステップS155)。配電設備の種別毎に集計が指定された場合(ステップS155Yes)、集計部19fは、各配電設備の所定期間毎の損失電力量を所定期間および配電設備の種別毎に集計する(ステップS156)。表示制御部19gは、配電設備の種別毎に集計された所定期間毎の損失電力量を表示させ(ステップS157)、処理を終了する。
一方、配電設備の種別毎に集計が指定されていない場合(ステップS155No)、集計部19fは、所定期間毎の損失電力量の総和の算出が指定されたか否かを判定する(ステップS158)。所定期間毎の損失電力量の総和の算出が指定された場合(ステップS158Yes)、集計部19fは、所定の集計期間での損失電力量の総和を配電設備の種別毎に算出する(ステップS159)。表示制御部19gは、配電設備の種別毎に集計された集計期間での損失電力量の総和を表示させ(ステップS160)、処理を終了する。
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る損失算定装置10は、電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された電気回路の電源側設備における送出電圧と電力消費設備の負荷情報から、配電設備毎に負荷電流を算定する。そして、損失算定装置10は、算定した配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する。これにより、本実施例に係る損失算定装置10では、配電設備毎の配電ロスを把握することができる。
また、損失算定装置10は、電力消費設備の負荷情報を、所定期間毎に取得する。損失算定装置10は、電源側設備における送出電圧と所定期間毎に取得される電力消費設備の負荷情報から、所定期間毎の負荷電流を配電設備毎に算定する。そして、損失算定装置10は、配電設備毎に算定された所定期間毎の負荷電流を用いて、所定期間毎の損失電力量を前記配電設備毎に算定する。これにより、本実施例に係る損失算定装置10では、配電設備毎に、所定期間毎の配電ロスを把握することができる。
また、損失算定装置10は、配電設備毎に算定された所定期間毎の損失電力量を、所定期間および配電設備の種別毎に集計する。そして、損失算定装置10は、所定期間および前記配電設備の種別毎に集計された損失電力量を表示させる。これにより、本実施例に係る損失算定装置10では、配電設備の種別毎に、所定期間毎の配電ロスを把握することができる。
また、損失算定装置10は、配電設備毎に算定された所定期間毎の損失電力量の総和を配電設備の種別毎に算出する。そして、損失算定装置10は、算出された配電設備の種別毎の損失電力量の総和を表示させる。これにより、本実施例に係る損失算定装置10では、配電設備の種別毎に、総和の配電ロスを把握することができる。
[損失算定装置の構成]
次に、実施例2について説明する。図22は、実施例2に係る損失算定装置10の機能的構成を示すブロック図である。実施例2に係る損失算定装置10の構成は、実施例1と略同一であるため、同一部分については同一の符号を付し、主に異なる部分について説明する。
図22に示すように、実施例2に係る損失算定装置10の記憶部13は、単価情報25と、設備性能情報26とをさらに記憶する。
単価情報25は、電力を金額に換算する際の単価に関する記憶したデータである。例えば、単価情報25は、電力の所定の単位あたりの単価が記憶される。
図23は、単価情報25の一例を示す図である。例えば、図23に示す単価情報25には、1kWhあたりの単価として18円が記憶されている。
設備性能情報26は、各種の配電設備に関する各種の情報を記憶したデータである。例えば、設備性能情報26は、配電設備の性能や配電設備の単価に関する情報が記憶される。
図24は、設備性能情報26の一例を示す図である。図24に示す設備性能情報26には、配電設備として変圧器容量の異なる変圧器に関する情報が格納されている。例えば、30kVAの変圧器は、単価が160,000であることを示す。また、10kVAの変圧器は、単価が120,000であることを示す。なお、設備性能情報26には、この他、設備の電気的な特性や性能に関する各種の情報が記憶されていてもよい。例えば、設備性能情報26には、変圧器の容量が記憶されていてもよい。
第2算定部19eは、配電設備毎の損失電力量から配電設備毎に損失電力量によるロス金額に算出する。例えば、第2算定部19eは、配電設備毎に、損失電力量に単価情報25に記憶された電力の単価を乗算してロス金額に算出する。
表示制御部19gは、損失電力量を表示させる際に、算出されたロス金額を表示させる。例えば、表示制御部19gは、高圧線や変圧器、低圧線、引込線などの配電設備の種別毎の各所定期間での損失電力量をロス金額として表示させる。
図25は、配電設備の種別毎の各所定期間でのロス金額を表示したグラフの一例を示す図である。図25の例では、高圧線や変圧器、低圧線、引込線についての所定期間毎のロス金額が表示されている。これにより、配電設備の種別毎に、損失電力量によるロス金額を把握できる。
また、制御部19は、シミュレーション部19hをさらに有する。
表示制御部19gは、配電設備を変更した際のシミュレーションの実行を指示するシミュレーション指示画面をクライアント端末30に表示させる。このシミュレーション指示画面では、設備性能情報26に基づいて、変更する配電設備を指定することが可能とされている。
シミュレーション部19hは、シミュレーション指示画面で配電設備の変更が指定された場合、指定された配電設備での配電系統に関する各種のシミュレーションを行う。例えば、シミュレーション部19hは、配電系統情報17のカレントノードテーブル17aおよびカレントブランチテーブル17bに記憶されたノードまたはブランチを構成する配電設備について、変更が指定された場合、変更した場合のシミュレーションを行う。ここで、例えば、配電系統の30kVAの変圧器を10kVAの変圧器に変更する指示がされた場合を例にして説明する。シミュレーション部19hは、設備性能情報26から変更前および変更後の配電設備の性能や配電設備の単価を読み出す。シミュレーション部19hは、設備性能情報26から30kVAの変圧器と10kVAの変圧器の変圧器容量および単価を読み出す。そして、シミュレーション部19hは、配電設備を変更した場合の配電ロスを求める。例えば、シミュレーション部19hは、変更前の配電設備について算定された電圧、負荷電流、設備性能および変更後の配電設備の設備性能から、変更後の配電設備での電圧および負荷電流を求める。一態様としては、シミュレーション部19hは、変圧器の変圧器容量が変更された場合の変更後の変圧器での電圧および負荷電流を求める。そして、シミュレーション部19hは、配電設備毎の負荷電流を基に、配電設備毎の損失電力量を算定する。
シミュレーション部19hは、配電設備を変更した場合の損失電力量の変化からロス金額の変化を算出する。例えば、シミュレーション部19hは、変更前の損失電力量から変更後の単位時間あたりのロス金額の変化を求め、1年当たりのロス金額の変化を求める。
図26は、配電設備の変更によるロス金額の変化を説明するための図である。図26に示すように、30kVAの変圧器は、単位時間当たりの損失電力量が0.349kwhであり、単位時間当たりのロス金額が6円であるものとする。この場合、1年間では、損失電力量が127.543kwhであり、ロス金額が2,296円となる。一方、10kVAの変圧器は、単位時間当たりの損失電力量が1.064kwhであり、単位時間当たりのロス金額が19円であるものとする。この場合、1年間では、損失電力量が388.213kwhであり、ロス金額が6,988円となる。
よって、10kVAの変圧器と30kVAの変圧器は、単位時間当たりの損失電力量の差が0.715kwhであり、単位時間当たりのロス金額の差が13円である。また、10kVAの変圧器と30kVAの変圧器は、1年間での損失電力量の差が261kwhであり、1年間でのロス金額の差が4,692円である。
また、シミュレーション部19hは、10kVAの変圧器を30kVAの変圧器に変更した場合の単価の差を算出する。図27は、配電設備の変更による金額の変化を説明するための図である。図14で示す変圧器の台数、3台分で金額を算定した場合、図27に示すように、30kVAの変圧器は、金額が480,000円(=160,000円×3)である。また、10kVAの変圧器は、金額が360,000円(=120,000円×3)である。この場合、30kVAの変圧器と10kVAの変圧器には、金額に120,000円の差がある。
シミュレーション部19hは、1年間当たりのロス金額の累積し、配電設備の変更による単価の差が何年分に該当するかシミュレーションする。図28は、1年間当たりのロス金額の累積値を単価の差と比較した一例を示す図である。図28の例では、1年間当たりのロス金額4,692円を26年分累積すると120,000円を上回る。ここでは1年間あたりのロス金額で比較しているが、月単位や日単位など任意の期間で比較することが可能である。
表示制御部19gは、シミュレーション部19hによるシミュレーションの結果に関する情報をクライアント端末30に表示させる。図29は、シミュレーションの結果の表示の一例を示す図である。例えば、図29に示すように、表示制御部19gは、1年間当たりのロス金額の累積値と単価の差をグラフとして表示させる。これにより、配電設備をどの程度利用すれば、コストを少なく抑えられるかを把握できる。例えば、図29の例では、26年以上使用する場合は、30kVAの変圧器の方がコストを少なく抑えることができる。一方、26年未満使用する場合は、10kVAの変圧器の方がコストを少なく抑えることができる。
[実施例2の効果]
上述してきたように、本実施例に係る損失算定装置10は、単価情報25に基づいて、損失電力量を金額に換算する。これにより、損失電力量を金額として把握できる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
[分散および統合]
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、検索部19a、対応付け部19b、取得部19c、第1算定部19d、第2算定部19e、集計部19f、表示制御部19gおよびシミュレーション部19hを損失算定装置10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、検索部19a、対応付け部19b、取得部19c、第1算定部19d、第2算定部19e、集計部19f、表示制御部19gおよびシミュレーション部19hを別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の損失算定装置10の機能を実現するようにしてもよい。
[損失算定プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図30を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する損失算定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
図30は、実施例1〜3に係る損失算定プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図30に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
HDD170には、図30に示すように、上記の実施例1、2で示した検索部19a、対応付け部19b、取得部19c、第1算定部19d、第2算定部19e、集計部19f、表示制御部19gおよびシミュレーション部19hと同様の機能を発揮する損失算定プログラム170aが予め記憶される。この損失算定プログラム170aについては、適宜統合又は分離しても良い。すなわち、HDD170に格納される各データは、常に全てのデータがHDD170に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD170に格納されれば良い。
そして、CPU150が、損失算定プログラム170aをHDD170から読み出してRAM180に展開する。これによって、図30に示すように、損失算定プログラム170aは、損失算定プロセス180aとして機能する。この損失算定プロセス180aは、HDD170から読み出した各種データを適宜RAM180上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、損失算定プロセス180aは、図1に示した検索部19a、対応付け部19b、取得部19c、第1算定部19d、第2算定部19e、集計部19f、表示制御部19gおよびシミュレーション部19hにて実行される処理、例えば図19〜図21に示す処理を含む。また、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
なお、上記の損失算定プログラム170aについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
10 損失算定装置
13 記憶部
14a ロケーションテーブル
14 位置情報
15a ユニットテーブル
15b スパンテーブル
15 設備情報
16 電気接続情報
16a ノードテーブル
16b ブランチテーブル
17 配電系統情報
18a ロードテーブル
19 制御部
19a 検索部
19b 対応付け部
19c 取得部
19d 第1算定部
19e 第2算定部
19f 集計部
19g 表示制御部
19h シミュレーション部
20 損失電力量情報
25 単価情報
26 設備性能情報

Claims (7)

  1. コンピュータに、
    電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された前記電気回路の前記電源側設備における送出電圧と前記電力消費設備の負荷情報から、前記配電設備毎に負荷電流を算定し、
    算定した前記配電設備毎の負荷電流を基に、前記配電設備毎の損失電力量を算定する
    処理を実行させることを特徴とする損失算定プログラム。
  2. 前記電力消費設備の負荷情報は、所定期間毎に取得され、
    前記負荷電流の算定する処理は、前記電源側設備における送出電圧と所定期間毎に取得される前記電力消費設備の負荷情報から、所定期間毎の負荷電流を前記配電設備毎に算定し、
    前記配電設備毎に算定された所定期間毎の負荷電流を用いて、所定期間毎の損失電力量を前記配電設備毎に算定する
    処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の損失算定プログラム。
  3. コンピュータに、
    前記配電設備毎に算定された所定期間毎の損失電力量を、前記所定期間および前記配電設備の種別毎に集計し、
    前記所定期間および前記配電設備の種別毎に集計された損失電力量を表示させる
    処理をさらに実行させることを特徴とする請求項2に記載の損失算定プログラム。
  4. コンピュータに、
    前記配電設備毎に算定された所定期間毎の損失電力量の総和を前記配電設備の種別毎に算出し、
    算出された前記配電設備の種別毎の損失電力量の総和を表示させる
    処理をさらに実行させることを特徴とする請求項2に記載の損失算定プログラム。
  5. コンピュータに、
    電力の単価を示す単価情報に基づいて、損失電力量を金額に換算する
    処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つ記載の損失算定プログラム。
  6. コンピュータが、
    電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された前記電気回路の前記電源側設備における送出電圧と前記電力消費設備の負荷情報から、前記配電設備毎に負荷電流を算定し、
    算定した前記配電設備毎の負荷電流を基に、前記配電設備毎の損失電力量を算定する
    処理を実行することを特徴とする損失算定方法。
  7. 電源側設備と配電設備と電力消費設備とが電気回路を構成するように接続された前記電気回路の前記電源側設備における送出電圧と前記電力消費設備の負荷情報から、前記配電設備毎の負荷電流を算定する第1算定部と、
    算定した前記配電設備毎の負荷電流を基に、前記配電設備毎の損失電力量を算定する第2算定部と、
    を有することを特徴とする損失算定装置。
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