以下に添付図面を参照して本願に係る配電管理装置、異常検出方法及び異常検出プログラムについて説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[配電管理装置の構成]
図1は、実施例1に係る配電管理装置の機能的構成を示すブロック図である。図1に示す配電管理装置10は、電気事業者の変電所および需要家の負荷設備の間の配電系統に含まれる設備に異常が発生した場合に異常設備を検出する異常検出処理を実行するものである。
かかる配電管理装置10の一態様としては、上記の異常検出処理を実行するWebサーバとして実装することとしてもよいし、また、上記の異常検出処理に関するサービスをアウトソーシングにより提供するクラウドとして実装することもできる。他の一態様としては、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして提供される異常検出プログラムを所望のコンピュータにプリインストール又はインストールさせることによっても実装できる。
図1に示すように、配電管理装置10は、所定のネットワークを介して、クライアント端末30やスマートメータ50などの他の装置との間で通信可能に接続される。かかるネットワークには、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。なお、上記のクライアント端末30及びスマートメータ50は、それぞれ任意の台数接続することができる。
このうち、クライアント端末30は、上記の異常検出サービスの提供を受ける側の端末装置である。かかるクライアント端末30の一例としては、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)を始めとする固定端末の他、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末も採用できる。なお、クライアント端末30は、電気事業者の所属員、例えば配電部門の担当者や管理者等によって利用される。
スマートメータ50は、通信機能付きの電力の計量器である。かかるスマートメータ50は、需要家の分電盤等に接続される。一態様としては、スマートメータ50は、一定期間、例えば30分間ごとに需要家の負荷設備が使用する電力を計量する。このとき、スマートメータ50は、負荷設備によって使用された電力を累積して計量する。以下では、累積して計量された負荷設備の電力使用値のことを「電力使用量」と記載する場合がある。その上で、スマートメータ50は、電力使用量を配電管理装置10へ送信する。なお、ここでは、スマートメータ50が電力使用量を一定期間ごとにアップロードする例を説明したが、電力使用量を間欠的にアップロードすることもできる。また、スマートメータ50は、電力使用量を能動的にアップロードするのではなく、配電管理装置10からのリクエストに応答して電力使用量をアップロードすることもできる。
図1に示すように、配電管理装置10は、通信I/F(interface)部11と、記憶部13と、制御部19とを有する。なお、配電管理装置10は、図1に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入出力デバイスや撮像デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。
通信I/F部11は、他の装置、例えばクライアント端末30やスマートメータ50との間で通信制御を行うインタフェースである。かかる通信I/F部11の一態様としては、LANカードなどのネットワークインタフェースカードを採用できる。例えば、通信I/F部11は、クライアント端末30から各種情報の閲覧要求を受信したり、あるいは配電管理装置10から配電系統の異常箇所の報知をクライアント端末30へ通知したりする。また、通信I/F部11は、スマートメータ50から電力使用量を受信したり、あるいは電力使用量の送信要求をスマートメータ50へ送信したりする。
記憶部13は、制御部19で実行されるOS(Operating System)や異常検出プログラムなどの各種プログラムを記憶する記憶デバイスである。記憶部13の一態様としては、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。なお、記憶部13は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
記憶部13は、制御部19で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、位置情報14と、設備情報15と、電気接続情報16と、配電系統情報17と、負荷情報18とを記憶する。なお、上記に例示した情報以外にも、他の電子データ、例えば電気事業者が管轄する配電系統が収まった地図情報なども併せて記憶することもできる。
ここで、本実施例に係る配電管理装置10では、設備が設置される位置を管理する位置の管理と、各々の設備を管理する設備の管理と、互いが電気的に接続される設備を管理する電気接続の管理との3つに分けて配電系統が管理される。
このうち、位置の管理には、配電系統を形成する設備のうち所定の設備、例えば変電所、電柱、変圧器などが設置される位置「ロケーション(location)」がエンティティとして用いられる。また、設備の管理には、配電系統を形成する設備のうち1つの位置に紐付く設備「ユニット(unit)」と、2つの位置に紐付く設備「スパン(span)」とがエンティティとして用いられる。また、電気接続の管理には、互いの設備が電気的に接続される接続点「ノード(node)」と、複数の接続点によって定まる設備「ブランチ(branch)」とがエンティティとして用いられる。
図2は、エンティティの一態様を示す図である。図2に示すように、ロケーションの一例としては、例えば、電柱Pや柱上変圧器TRなどのように設置形態が架設ではない非架設の設備が設置される位置が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所(SS:SubStation)が設置される位置や変圧器が設置される位置もロケーションの範疇に含まれる。
ユニットの一例としては、電柱P、開閉器SW、柱上変圧器TRなどが挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、SVR(Step Voltage Regulator)や各種の計器、例えばスマートメータ50などもユニットの範疇に含まれる。
スパンの一例としては、配電用変電所および柱上変圧器TRの間で高圧電力が配電される高圧系統に敷設される電線WH、いわゆる「高圧線」が挙げられる。スパンの他の一例としては、柱上変圧器TRおよび需要家の負荷設備の間で低圧電力が配電される低圧系統のうち柱上変圧器TR及び引込線の区間に敷設される電線WL、いわゆる「低圧線」の他、引込線および負荷設備の区間に敷設される電線、いわゆる「引込線」などが挙げられる。なお、高圧線WH及び低圧線WLなどの電線Wについては、電柱Pに架設される単位の本数、例えば3本や2本を1つにまとめてスパンとして扱うことができる。
ノードの一例としては、図2中の拡大図21に示す高圧線WHと開閉器SWとの接続点、高圧線WHと柱上変圧器TRとの接続点、柱上変圧器TRと低圧線WLとの接続点が挙げられる。この他、図2中の拡大図22に示す高圧線WH21aと高圧線WH21bとが接続される点もノードの範疇に含まれる。具体的には、高圧線WH21a及び高圧線WH21bが通り装柱の電柱Pに架設されている場合にも、高圧線WH21a及び高圧線WH21b間が電気的に接続されているものとみなし、高圧線WH同士が接続される点を仮想的なノードとして扱われる。
ブランチの一例としては、図2に示す電柱P、高圧線WH、開閉器SW、柱上変圧器TR、低圧線WLなどの各種の設備が挙げられる。この他、図示されていない配電用変電所、引込線、スマートメータ50や負荷設備などもブランチの範疇に含まれる。これら配電用変電所や負荷設備などの端点に位置する設備は、1つしかノードを持たない場合がある。
これらロケーション、ユニット、スパン、ノード及びブランチなどのエンティティは、図3に示す関連性を有する。図3は、エンティティの相互関係の一例を示す図である。図3に示すように、ユニット及びスパンは、ロケーションとの間で互いに共通して位置が管理される点が関連する。また、ユニットおよびスパンは、ブランチとの間で互いに共通して設備が管理される点が関連する。さらに、ノードは、ロケーション及びブランチとの間で互いに共通して接続点が管理される点が関連する。
図1の説明に戻り、位置情報14には、上記のロケーションを管理するロケーションテーブル14aが含まれる。また、設備情報15には、上記のユニットを管理するユニットテーブル15aと、上記のスパンを管理するスパンテーブル15bとが含まれる。さらに、電気接続情報16には、上記のノードを管理するノードテーブル16aと、上記のブランチを管理するブランチテーブル16bとが含まれる。また、後述するように、配電系統情報17には、カレントノードテーブル17aと、カレントブランチテーブル17bとが含まれる。
このうち、ロケーションテーブル14aの一態様としては、位置ID(identifier)、位置識別、経度および緯度などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「位置ID」とは、設備が設置された位置を識別する識別情報を指す。また、「位置識別」とは、位置の種類の識別を指し、例えば、配電用変電所(SS)、電柱(POLE)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。なお、ロケーションテーブル14aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電系統の設備を管理する配電設備管理システムから変電所、電柱、変圧器などの特定の設備の位置情報を取得することができる。
図4は、ロケーションテーブル14aの一例を示す図である。例えば、図4に示す位置ID「SS0001」のロケーションは、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置し、配電用変電所があることを意味する。また、図4以降に図示する各種のIDは、例えば、配電用変電所を表す「SS」、電柱を表す「PO」や負荷設備「LL」などの設備の種別を識別可能な文字列をIDを構成する文字列の頭に付加して採番がなされる。この各種IDは、設備の種別を識別可能な文字列を、IDを構成する文字列の頭に付加して採番するに限らず、一意に認識できる値を付与して良い。なお、ここでは、設備の位置を特定する項目として経度および緯度を用いる場合を例示したが、他の項目、例えばローカルな座標値、住所などを用いることもできる。
ユニットテーブル15aの一態様としては、設備ID、位置ID、種別及び属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「設備ID」とは、設備を識別する識別情報を指し、ユニットテーブル15aではユニットの設備IDだけが格納される。また、「種別」とは、ユニットの種別を指し、例えば電柱(POLE)、開閉器(SW)、柱上変圧器(BANK)や負荷設備(LOADL)などの種類が挙げられる。また、「属性情報」とは、ユニットの属性に関する情報を指し、例えば、ユニットの型番や性能、例えばユニットが変圧器である場合には変圧器の容量や電圧比が登録される。かかる変圧器の容量や電圧比は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。例えば、ユニットが変圧器である場合には、抵抗値、リアクタンス値や変圧器の電圧比が登録される。なお、ユニットテーブル15aに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちユニットに分類された設備の属性情報が登録される。
図5は、ユニットテーブル15aの一例を示す図である。例えば、図5に示す設備ID「PO0001P1」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、電柱であることを意味する。また、図5に示す設備ID「PO000101」のユニットは、位置ID「PO0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置し、開閉器であることを意味する。また、図5に示す設備ID「PO000701」のユニットは、位置ID「PO0007」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分34秒30及び北緯50度27分27秒844に位置し、抵抗値「36800Ω」、リアクタンス値「31300Ω」、電圧比1を持つ柱上変圧器であることを意味する。
スパンテーブル15bの一態様としては、設備ID、位置ID1、位置ID2、種別および属性情報などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、スパンテーブル15bにはスパンの設備IDだけが格納される。また、「位置ID1」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち一方の位置IDを指し、「位置ID2」とは、スパンに紐付く2つの位置IDのうち他方の位置IDを指す。また、「種別」とは、スパンの種別を指し、例えば、高圧線、低圧線及び引込線などの種類が挙げられる。また、「属性情報」は、スパンの属性に関する情報を指し、例えば、スパンの型番、太さ、材質、径間、単位(m)当たりの抵抗値や単位(m)当たりのリアクタンス値などが登録される。かかる径間、単位当たりの抵抗値や単位当たりのリアクタンス値は、現系統の設備の電気的な接続情報が抽出された際に電圧降下の計算に用いることができる。なお、スパンテーブル15bに記憶される情報は、例えば、他の既存のシステム、例えば配電設備管理システムから取得され、取得された設備の属性情報うちスパンに分類された設備の属性情報が登録される。
図6は、スパンテーブル15bの一例を示す図である。例えば、図6に示す設備ID「SP0001」のスパンは、位置ID1「SS0001」に対応する位置および位置ID2「PO0001」に対応する位置の区間に架設された3相の高圧線であることを意味する。かかる区間は、図4を用いて説明したように、東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016から東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021の区間に相当する。さらに、設備ID「SP0001」のスパンの径間、抵抗及びリアクタンスは、それぞれ「21m」、「220Ω/m」、「150Ω/m」であることを意味する。なお、図6に示す種別が3Hである場合には、スパンが単相3線の高圧線であることを意味し、種別が3Lである場合には、スパンが単相3線の低圧線であることを意味し、また、種別がブランクである場合には、スパンが引込線であることを意味する。
ノードテーブル16aの一態様としては、ノードID及び位置IDなどの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ノードID」は、ノードを識別する識別情報を指す。なお、ノードテーブル16aに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電系統の監視や開閉器の遠隔操作を行う配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からノードが抽出された後にノードの所在位置と対応付けてノードテーブル16aに登録される。
図7は、ノードテーブル16aの一例を示す図である。例えば、図7に示すノードID「SS0001N01」の接続点は、位置ID「SS0001」に対応する位置、すなわち図4に示した東経128度08分48秒66及び北緯50度27分23秒016に位置することを意味する。また、図7に示すノードID「PO0001N01」及び「PO0001N02」の接続点は、いずれも位置ID「PO0001」に対応する同一の位置、すなわち図4に示した東経128度08分41秒76及び北緯50度27分23秒021に位置することを意味する。
ブランチテーブル16bの一態様としては、ブランチID、ノードID1、ノードID2、設備IDおよび開閉区分などの項目が対応付けられたテーブルを採用できる。かかる「ブランチID」とは、ブランチを識別する識別情報を指す。また、「ノードID1」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち一方のノードIDを指し、「ノードID2」とは、ブランチが持つ2つのノードIDのうち他方のノードIDを指す。ただし、配電用変電所や負荷設備などの端点に位置するブランチは、ノードID1またはノードID2のいずれかにしかノードIDを持たない場合がある。例えば、ノードID1及びノードID2のうちノードID1には、ノードID2よりも一次側、すなわち変電所寄りの接続点のノードIDが登録されるとともに、ノードID2には、ノードID1よりも二次側、すなわち負荷設備寄りの接続点のノードIDが登録される。また、ここで言う「設備ID」も、設備を識別する識別情報を指すが、ブランチテーブル16bにはユニットまたはスパンのいずれかの設備IDが格納される。また、「開閉区分」は、開閉器のスイッチの開閉状態を指す。かかる開閉区分には、ブランチが開閉器である場合には「開状態」または「閉状態」のいずれかが設定されるが、ブランチが開閉器以外である場合には「ブランク」とされる。
なお、ブランチテーブル16bに記憶される情報は、既存の他のシステム、例えば配電設備管理システムおよび配電自動化システムから取得される。例えば、配電設備管理システムから取得された低圧系統の設備の情報または配電自動化システムから取得された高圧系統の設備の情報からブランチが抽出された後にブランチが持つノードと対応付けてブランチテーブル16bに登録される。
図8は、ブランチテーブル16bの一例を示す図である。例えば、図8に示すブランチID「BR0001」のブランチは、ノードID1「SS0001N01」およびノードID2「PO0001N01」によって定義される設備ID「SP0001」の高圧線であることを意味する。また、図8に示すブランチID「BR0002」のブランチは、ノードID1「PO0001N01」およびノードID2「PO0001N02」によって定義される設備ID「PO000101」の開閉器であり、かつ開閉区分が「1」なので、開閉器が閉状態であることを意味する。なお、図8に示す開閉区分が「0」である場合には、開閉器が開状態であることを意味し、また、開閉区分がブランクである場合には、設備が開閉器ではないことを意味する。開閉器の閉状態とは、電気を流す状態であり、開状態は電気を流さない状態である。
なお、記憶部13に記憶される情報のうち上記の位置情報14、設備情報15及び電気接続情報16以外の配電系統情報17および負荷情報18については、これらの情報を生成、取得、あるいは使用する機能部の説明に合わせて後述する。
制御部19は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部19は、図1に示すように、検索部19aと、対応付け部19bと、取得部19cと、検出部19dと、出力部19eとを有する。
検索部19aは、電気接続情報16を参照して、所定のノードを起点とし、ノードの組合せに含まれるノードのうち未探索のノードを探索しながら当該組合せに対応するブランチを検索する処理部である。
一態様としては、検索部19aは、クライアント端末30を介して配電系統情報の閲覧要求を受け付けた場合や前回に処理が実行されてから一定期間が経過した場合に、処理を起動する。まず、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する。そして、検索部19aは、図示しない内部メモリに記憶された探索リストに対し、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを登録する。かかる探索リストには、探索の対象とするSSの位置IDの他、探索時に発見された未探索のノードやブランチが随時登録される。なお、ここでは、ロケーションテーブル14aからSSの位置IDを検索する場合を例示したが、ノードテーブル16aやブランチテーブル16bに記憶されたノードIDのうち文字列が「SS」で始まるノードIDを検索することとしてもかまわない。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する。その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストに登録する。なお、SSが複数のSSバンクを有する場合には、1つの位置IDを用いて検索がなされた場合でも複数のノードのレコードが検索される。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID1及びノードID2の組合せを持つブランチのレコードを検索する。その上で、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントブランチテーブル17bへ登録する。さらに、検索部19aは、ブランチテーブル16bから検索されたブランチを探索リストに登録する。このとき、探索リストに登録されるのは、ブランチを識別できる情報であればよく、例えば、少なくともブランチIDまたは設備IDのいずれかを登録すればよい。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する。そして、検索部19aは、スパンテーブル15bから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。このとき、ブランチがスパンである場合には、スパンテーブル15bから属性情報を検索できるが、ブランチがユニットである場合には、属性情報を検索できない。このため、検索部19aは、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合には、ユニットテーブル15aから先に選択が実行されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する。
その後、検索部19aは、ノードの組合せのうち探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクではない場合に、当該ブランチが開閉器であるか否かを判定する。そして、検索部19aは、ブランチが開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉区分が「1」であるか否かを判定する。このとき、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態である場合には、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索するまで、未探索のブランチの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索すると、探索リストに登録されたノードを全て探索するまで、未探索のノードの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。そして、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索するまで、未探索のSSの位置IDの選択からこれまでの処理を繰り返し実行する。
対応付け部19bは、探索が実行された接続点の組合せ及び検索の結果として得られた設備と、設備情報15に含まれる属性情報のうち検索の結果として得られた設備に対応する属性情報とを対応付ける処理部である。一態様としては、対応付け部19bは、探索が実行されたブランチのレコードと、スパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aから検索されたブランチの属性情報とを対応付ける。例えば、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチの設備IDまたはブランチIDに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する。このとき、対応付け部19bは、ユニットテーブル15aまたはスパンテーブル15bからブランチの設備IDに対応する位置IDを検索した上でその位置IDをさらに対応付けることもできる。
ここで、図4〜図8の各テーブルを用いて、検索部19a及び対応付け部19bによる処理内容を具体的に説明する。最初に、図4に示したロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置ID「SS0001」が検索される。すると、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置ID「SS0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、SSの位置IDが「SS0001」しか登録されていないので、位置ID「SS0001」が選択される。これを受けて、図7に示したノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置ID「SS0001」に対応するノードID「SS0001N01」が検索される。続いて、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」のレコードがカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、ノードテーブル16aから検索されたノードID「SS0001N01」が探索リストにも登録される。この場合、探索リストには、ノードIDが「SS0001N01」しか登録されていないので、ノードID「SS0001N01」が選択される。
すると、図8に示したブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうち先に選択が実行されたノードID「SS0001N01」が含まれるノードID1「SS0001N01」及びノードID2「PO0001N01」の組合せを持つ設備ID「SP0001」のブランチが検索される。その上で、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」のブランチのレコードがカレントブランチテーブル17bへ登録される。さらに、ブランチテーブル16bから検索された設備ID「SP0001」が探索リストに登録される。この場合、探索リストには、設備IDが「SP0001」しか登録されていないので、設備ID「SP0001」が選択される。
すると、図6に示したスパンテーブル15bから先に選択が実行された設備ID「SP0001」に対応するスパンの属性情報「径間21m、抵抗RH1、リアクタンスXH1」が検索される。なお、ここでは、スパンの属性情報が検索される場合を例示したが、「SP」以外の文字列で始まる設備IDの場合には、スパンテーブル15bからは属性情報が検索されず、図5に示したユニットテーブル15aからユニットの属性情報が検索されることになる。
このようにして得られた属性情報「径間21m、抵抗220Ω/m、リアクタンス150Ω/m」から、抵抗値4621(220×21)Ω、リアクタンス値3150(150×21)Ωがスパンテーブル15bの検索に用いられた設備ID「SP0001」のブランチのレコードに対応付けてカレントブランチテーブル17bに登録される。
その後、ノードID1「SS0001N01」及びノードID2「PO0001N01」の組合せには、探索に用いられたノードID「SS0001N01」とは対となる他方のノードIDに「PO0001N01」が値として設定されている。このように、他方のノードIDがブランクではないので、当該設備ID「SP0001」のブランチが開閉器であるか否かが判定される。そして、設備ID「SP0001」のブランチは、開閉区分の値がブランクであり、開閉器ではない。よって、ノードテーブル16aから他方のノードID「PO0001N01」のレコードを検索した上で他方のノードID「PO0001N01」のレコードが配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録される。さらに、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ追加される。
このように、他方のノードID「PO0001N01」が未探索のノードとして探索リストへ登録された時点では、ノードID「PO0001N01」以外にノードIDが登録されていない。このため、ノードID「PO0001N01」が選択された上で探索が継続される。
なお、ここでは、他方のノードIDがブランクではない場合を例示したが、他方のノードIDがブランクである場合には、探索リストに登録された未探索のブランチの探索が実行される。また、未探索のブランチがなければ未探索のノードの探索が実行される。そして、未探索のSSの位置IDがなければ探索が終了される。また、ここでは、ブランチが開閉器でない場合を例示したが、開閉器である場合には、開閉器のスイッチが閉状態でなければ他方のノードIDの検索、さらには、探索リストへの他方のノードの追加は実行されない。これは、開閉器のスイッチが開状態である場合に、他方のノードIDの検索や探索リストへの他方のノードの追加を実行すると、電気的に接続されていない異なる配電系統をカレントノードテーブル17aやカレントブランチテーブル17bに誤登録することになるからである。
上記の探索によって、ノードテーブル16aに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のノードを検索したカレントノードテーブル17aを生成できる。さらに、上記の探索によって、ブランチテーブル16bに登録されたブランチの中から探索が実行された時点で互いが電気的に接続された配電系統のブランチ及びブランチに対応する属性情報を検索した上でブランチ及び属性情報が対応付けられたカレントブランチテーブル17bを生成できる。なお、以下では、探索が実行された時点で互いの設備が電気的に接続された配電系統のことを「現系統」と記載する場合がある。
このようにして生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bを含む配電系統情報17が記憶部13に登録される。図9は、カレントノードテーブル17aの一例を示す図である。図10は、カレントブランチテーブル17bの一例を示す図である。これら図9及び図10には、ノードID「SS0001N01」を起点とし、図4〜図8に示した各テーブルを用いて生成されたカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bが図示されている。
図9に示すように、カレントノードテーブル17aのレコードのうち需要家の負荷設備と配電系統の設備との接続点であるノード「LL0001N01」、「LL0002N01」、「LL0003N01」、「LL0004N01」、「LL0005N01」、「LL0006N01」、「LL0007N01」及び「LL0008N01」のレコードには、スマートメータ等の計量器によって計量された電力使用量が属性情報の一例として登録される。かかる電力使用量には、負荷設備によって消費される「有効電力」と、負荷設備によって消費されない「無効電力」とが含まれる。このうち、無効電力は、遅れ無効電力とも呼ばれる。これらの電力使用量(有効)および電力使用量(無効)は、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
図10に示すように、カレントブランチテーブル17bのレコードのうちブランチの設備が開閉器であるレコードには、ブランチテーブル16bに登録されていた開閉区分の値が登録される。例えば、ブランチID「BR0002」、「BR0006」及び「BR0019」の開閉器には、いずれも開閉区分に「1」が登録されているので、開閉器のスイッチが閉状態であり、通電状態にあることを意味する。図10には、開閉区分が「1」である開閉器を例示したが、開閉器の開閉区分が「0」である場合には、開閉器のスイッチが開状態であり、通電状態にないことを意味する。また、カレントブランチテーブル17bの各レコードには、リアクタンス値Xと抵抗値Rとが属性情報の一例として登録される。このうち、ブランチの設備がユニットである設備、例えば開閉器や変圧器などには、ユニットテーブル15aに登録されていたリアクタンス値Xと抵抗値Rが属性情報としてそのまま登録される。一方、ブランチの設備がスパンである設備には、スパンテーブル15に登録されている単位当たりのリアクタンス値に径間の値が乗算された値がリアクタンス値Xとして登録されるとともに、単位当たりの抵抗値に径間の値が乗算された値が抵抗値Rとして登録される。これらユニット及びスパンのリアクタンス値X及び抵抗値Rは、各ノードにおける電圧を計算する場合に参照される。
なお、ここでは、電圧の計算に使用されるパラメータとして、電力使用量(有効)、電力使用量(無効)、抵抗値やリアクタンス値を例示したが、カレントノードテーブル17aまたはカレントブランチテーブル17bのいずれかのテーブルに変圧器が接続される接続相の項目を追加することによって電圧の計算をより精密に行うことができる。例えば、電線が単相3線である場合には、柱上で電線に接続される変圧器の1台目を「接続相1」とし、2台目を「接続相2」とし、3台目を「接続相3」とし、3線の電線のうち1本目と2本目に変圧器が接続される場合には値「A」を登録し、2本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「B」を登録し、1本目と3本目に変圧器が接続される場合には値「C」を登録することができる。
このように、図9に示したカレントノードテーブル17a及び図10に示したカレントブランチテーブル17bは、図11及び図12に示す配電系統のグラフ構造を表す。図11及び図12は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。図11及び図12に示す現系統は、SSバンクと設備ID「SP0001」の高圧線の接続点であるノードID「SS0001N01」のノードを階層構造のルート(1階層)に持つ。さらに、現系統は、ルートから終端となる設備ID「LL000101」、「LL000201」、「LL000301」、「LL000401」、「LL000501」、「LL000601」、「LL000701」、「LL000801」の8つの負荷設備へ向かう経路を持つ。このうち、SSバンクから設備ID「LL000801」の負荷設備までの階層が10階層と最も浅く、SSバンクから設備ID「LL000201」、「LL000301」及び「LL000401」の負荷設備までの階層が19階層と最も深いことがわかる。このように、上記の配電系統情報17を生成することによって、高圧系統や低圧系統といった大雑把な単位ではなく、設備単位、さらには、設備間の接続点単位に細分化して現系統の電気的な繋がりを把握することができる。
図1の説明に戻り、取得部19cは、スマートメータ50の電力使用量を取得する処理部である。一態様としては、取得部19cは、各需要家の負荷設備に接続されたスマートメータ50からアップデートされた電力使用量を取得する。続いて、取得部19cは、スマートメータ50が接続されている負荷設備の設備ID、アップデートの年月日、時刻、さらには、電力使用量が対応付けられたレコードを負荷情報18のロードテーブル18aに追加登録する。例えば、各スマートメータ50が一定期間、例えば30分間ごとに電力使用量をアップデートする場合を想定する。この場合、ロードテーブル18aには、1つのスマートメータ50につき、スマートメータ50に電力使用量の検針結果を通知させる検針間隔と、スマートメータ50及び配電管理装置10間の伝送遅延時間との和に相当する時間の周期で上記のレコードの登録がなされることになる。
ここで、記憶部13に記憶さえる負荷情報18の一例について説明する。上記の負荷情報18は、設備ID、年月日、時刻および電力使用量などの項目が対応付けられたロードテーブル18aを採用できる。図13は、ロードテーブル18aの一例を示す図である。図13に示すように、設備ID「LL1」の負荷設備に接続されたスマートメータ50から、2012年9月5日の14時40分18秒と15時10分19秒に電力使用量U11と電力使用量U12がアップロードされていることを意味する。また、設備ID「LL2」の負荷設備に接続されたスマートメータ50から、2012年9月5日の14時38分59秒に電力使用量U20がアップロードされて以降は少なくとも15時10分19秒までアップロードが途絶えていることを意味する。さらに、設備ID「LL3」及び「LL4」の負荷設備に接続された各々のスマートメータ50についても、2012年9月5日の14時40分29秒または14時42分33秒以降に30分間以上アップロードが途絶えていることを意味する。なお、図13には、異常箇所の検出について説明する便宜上、図5のユニットテーブル15aに示した設備の例とは独立した負荷設備の例を図示している。
検出部19dは、配電系統の異常箇所を検出する処理部である。一態様としては、検出部19dは、負荷情報18を用いて、需要家の負荷設備が持つノードごとに当該ノードの通電状態が通電または停電のいずれであるかを判定する。そして、検出部19dは、需要家の負荷設備が持つノードのうち通電状態が通電であるノードを対象に、当該ノードから変電所側、すなわち一次側へノードを探索することによって通電状態が通電であるノードを判別する。さらに、検出部19dは、需要家の負荷設備が持つノードのうち通電状態が停電であるノードを対象に、当該ノードから一次側へノードを探索することによって通電状態が停電であるノードを判別する。その上で、検出部19dは、通電状態が通電であるノード及び通電状態が停電であるノードを持つブランチを、故障や事故等の異常が発生しているブランチとして検出する。なお、以下では、需要家の負荷設備が持つノードのことを「末端ノード」、通電状態が通電であるノードのことを「通電ノード」、通電状態が停電であるノードのことを「停電ノード」、異常が発生しているブランチを「異常ブランチ」と記載する場合がある。
上記の末端ノードの通電状態の判定について説明する。例えば、検出部19dは、前回に異常ブランチの検出が実行されてからスマートメータ50の検針間隔+スマートメータ50及び配電管理装置10間の伝送遅延時間が経過する度に処理を起動する。まず、検出部19dは、カレントノードテーブル17aに登録された全てのカレントノードの通電状態に不詳を設定する。そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bからスマートメータ50が接続された負荷設備の設備IDを持つカレントブランチを検索する。続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストに登録する。
その後、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する。続いて、検出部19dは、ロードテーブル18aから、先に選択が実行されたカレントブランチの設備IDに対応するレコードを検索する。そして、検出部19dは、カレントブランチの設備IDに対応するレコードが検索できた場合に、検索されたレコードのうち最新のレコードが現時刻から所定期間、例えば検針間隔「30分間」+伝送遅延時間「α」内に取得されたものであるか否かを判定する。例えば、検出部19dは、最新のレコードの時刻に所定期間、例えば検針間隔+伝送遅延時間を加えた時刻が現時刻に収まるか否かを判定する。ここで言う「現時刻」とは、処理が実行される時点の年月日における時刻を指す。
このとき、検出部19dは、最新のレコードが現時刻から所定期間内に取得されたものである場合に、カレントブランチの一次側のノード、すなわち末端ノードの通電状態に「通電」を設定する。一方、検出部19dは、ロードテーブル18aからレコードを検索できなかった場合、あるいは検索できても最新のレコードの年月日及び時刻が現時刻から所定期間でない場合に、末端ノードの通電状態に「停電」を設定する。その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなるまで、末端ノードの通電状態の判定を繰り返し実行する。
ここで、図14〜図17を用いて、末端ノードの通電状態の判定についての具体例を例示する。図14は、カレントノードテーブル17aの一例を示す図である。図15は、カレントブランチテーブル17bの一例を示す図である。なお、図14及び図15には、図7に示したノードテーブル16a及び図8に示したブランチテーブル16bと略同一のものであるが、異常ブランチの検出に使用される項目を追加して図示する一方で、異常ブランチの検出に使用されない項目については図示を省略している項目も含まれる。例えば、図14に示すカレントノードテーブル17aには、図7に示したノードテーブル16aと比べて、異常ブランチの検出に用いる通電状態の項目が追加されている一方で、位置IDは図示していないが、図示が省略されているだけで当然のことながら位置IDも登録されているものとする。また、図15に示すカレントブランチテーブル17bには、異常ブランチの検出に用いない開閉区分は図示していないが、図示が省略されているだけで当然のことながら開閉区分も登録されているものとする。なお、図14及び図15には、異常ブランチの検出を説明する便宜上、図11及び図12に示した配電系統のグラフ構造とは異なる配電系統のノード及びブランチの例を図示している。
図16及び図17は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。図16及び図17には、図14に示すカレントノードと図15に示すカレントブランチとを用いて末端ノードの通電状態が判定される場合の通電状態の設定に関する遷移が図示されている。このうち、図16には、末端ノードの通電状態の判定が開始されて全てのカレントノードに通電状態「不詳」が設定された時点の通電状態の設定状況を図示し、図17には、末端ノードの通電状態に判定結果が設定された時点の通電状態の設定状況を図示している。また、図16及び図17には、各カレントノードの中に当該カレントノードの通電状態が図示されている。以降の説明では、ノードに設定された通電状態の値が「1」であれば通電を指し、「0」であれば停電を指し、「9」であれば不詳を指すこととする。
例えば、前回に異常ブランチの検出が実行されてから検針間隔+伝送遅延時間が経過した場合に処理が起動され、図16に示すように、図14に示したカレントノードテーブル17aに登録された全てのカレントノードの通電状態が「9(不詳)」に設定される。そして、図15に示したカレントブランチテーブル17bからスマートメータ50が接続された負荷設備の設備IDを持つカレントブランチが検索される。図15に示すカレントブランチの例で言えば、二次側にノードIDが設定されていない設備ID「LL1」、「LL2」、「LL3」及び「LL4」の4つのカレントブランチ、すなわちブランチID「B7」、「B10」、「B12」及び「B13」が検索されることになる。このようにして検索された設備ID「LL1」、「LL2」、「LL3」及び「LL4」の4つのブランチは、探索リストに登録される。
その後、探索リストからカレントブランチが1つ選択される。このとき、設備ID「LL1」が選択された場合を想定する。例えば、現時刻が15時20分00秒であるとしたとき、図13に示したロードテーブル18aに設備ID「LL1」を持つレコードが存在し、かつ最新のレコードの時刻「15時10分19秒」が現時刻「15時20分00秒」から所定期間、例えば30分+1分以内に収まる。このため、設備ID「LL1」のブランチが持つ一次側のノード、すなわち末端ノード「N7」の通電状態には「1」が設定される。その一方で、設備ID「LL2」、「LL3」及び「LL4」のカレントブランチが選択された場合には、現時点から所定期間以内に収まらないので、これらのブランチが持つ一次側のノード、すなわち末端ノード「N9」及び「N10」の通電状態には「0」が設定される。このようにして、末端ノードの通電状態が図17に示す状態に設定される。
次に、上記の通電ノードの判別について説明する。例えば、検出部19dは、末端ノードの通電状態の判定が終了すると、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち末端ノードの通電状態が通電に設定された末端ノードを検索する。その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索されたカレントノードを探索リストへ登録する。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する。続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bに登録されたカレントブランチのうち先に選択されたカレントノードを二次側に持つカレントブランチを検索する。
そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bからカレントブランチを検索できた場合に、当該カレントブランチの一次側のカレントノードを検索する。このとき、検出部19dは、一次側のカレントノードの通電状態に不詳が設定されている場合に、当該一次側のカレントノードの通電状態に「通電」を設定するとともに、当該一次側のカレントノードを探索リストに追加登録する。その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまで、末端ノードからSSバンクが持つ最上位のノードまで通電ノードを探索する処理を繰り返し実行する。
ここで、図17及び図18を用いて、通電ノードの判別についての具体例を例示する。図18は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。図18には、通電ノードの判別が終了した時点の通電状態の設定状況が図示されている。例えば、末端ノードの通電状態の判定が終了した後に、末端ノードの通電状態が通電に設定された末端ノード、すなわち図17に示したノードID「N7」を持つ末端ノードだけが検索された上で探索リストへ登録される。この場合、探索リストには、ノードID「N7」を持つ末端ノードしか登録されていないので、ノードID「N7」を持つ末端ノードが選択されることになる。すると、カレントノード「N7」を二次側に持つカレントブランチ、図15に示す例で言えば設備ID「SP4」を持つスパンが検索される。
そして、設備ID「SP4」を持つカレントブランチの一次側のカレントノード「N6」が検索される。このとき、一次側のカレントノード「N6」の通電状態には、図17に示したように、不詳が設定されているので、当該一次側のカレントノード「N6」の通電状態が「通電」に設定されるとともに、当該一次側のカレントノード「N6」を探索リストに追加登録する。その後、同様の流れで処理が実行された結果、カレントノード「N6」が選択されてカレントノード「N5」の通電状態が「通電」に設定されるとともにカレントノード「N5」が探索リストに追加登録される。以降、カレントノードの探索が「N5」、「N4」、「N3」、「N2」、「N1」の順に実行されることによって各々のカレントノードの通電状態が「通電」に設定される。そして、最上位のカレントノード「N1」の探索が終了すると、未探索のカレントノードがなくなり、通電ノードの判別が終了される。この結果、カレントノードの通電状態が図18に示す状態に更新される。
次に、上記の停電ノードの判別について説明する。例えば、検出部19dは、通電ノードの判別が終了すると、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち末端ノードの通電状態が停電に設定された末端ノードを検索する。その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された末端ノードであるカレントノードを探索リストへ登録する。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する。続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bに登録されたカレントブランチのうち先に選択が実行されたカレントノードを二次側に持つカレントブランチを検索する。
そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bからカレントブランチを検索できた場合に、カレントノードテーブル17aから当該カレントブランチの一次側のカレントノードを検索する。このとき、検出部19dは、一次側のカレントノードの通電状態が不詳に設定されている場合に、カレントブランチテーブル17bから当該通電状態が不詳に設定されているカレントノードを一次側に持つカレントブランチを検索する。その上で、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストへ登録する。なお、一次側のカレントノードの通電状態が不詳に設定されていない場合には、一次側のカレントノードの通電状態には通電または停電が設定されており、既知であることがわかるので、その場合には当該末端ノードからの探索は中止される。
続いて、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する。そして、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから先に選択が実行されたカレントブランチの二次側のカレントノードを検索する。そして、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された二次側のカレントノードの通電状態が通電以外であるか否かを判定する。その後、検出部19dは、二次側のカレントノードの通電状態が通電以外である場合には、探索リストから未探索のカレントブランチを1つ選択し、通電状態が不詳に設定されているカレントノードを一次側に持つ全てのカレントブランチの二次側のカレントノードについて探索を繰り返す。
その上で、検出部19dは、通電状態が不詳に設定されているカレントノードを一次側に持つ全ての二次側のカレントノードの通電状態が通電以外である場合に、通電状態を不詳としていたカレントノードの通電状態を「停電」に設定するとともに、当該カレントノードを探索リストへ追加登録する。そして、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまで、末端ノードからSSバンクが持つ最上位のノードまで停電ノードを探索する処理を繰り返し実行する。
ここで、図18及び図19を用いて、停電ノードの判別についての具体例を例示する。図19は、現系統のグラフ構造の一例を示す図である。図19には、停電ノードの判別が終了した時点の通電状態の設定状況が図示されている。例えば、通電ノードの判別が終了した後に、末端ノードの通電状態が停電に設定された末端ノード、すなわち図18に示したノードID「N9」及び「N10」を持つ末端ノードが検索された上で探索リストへ登録される。ここでは、一例として、ノードID「N9」を持つ末端ノードが選択される場合を想定する。すると、カレントノード「N9」を二次側に持つカレントブランチ「B9」が検索される。
そして、カレントブランチ「B9」の一次側のカレントノード「N8」が検索される。かかるカレントノード「N8」には、通電状態に「不詳」が設定されているので、当該カレントノード「N8」を一次側に持つカレントブランチ「B11」が検索される。かかるカレントブランチ「B11」には、通電状態が停電であるカレントノード「N10」が接続されている。つまり、カレントノード「N8」の配下には、1つも通電状態が停電以外であるカレントノードが存在しないことが判明する。この場合には、通電状態が不詳に設定されていたカレントノード「N8」の通電状態が「停電」に更新されることになる。この結果、カレントノードの通電状態が図19に示す状態に更新される。
次に、上記の異常ブランチの検出について説明する。例えば、検出部19dは、停電ノードの判別が終了すると、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち一次側がないカレントノードを検索する。その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された最上位のノードであるカレントノードを探索リストへ登録する。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する。
そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから、先に選択が実行されたカレントノードを一次側に持つカレントブランチを検索する。その上で、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストへ登録する。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する。その上で、検出部19dは、探索リストから選択されたカレントブランチの二次側のカレントノードをさらに検索する。その上で、検出部19dは、探索リストから選択されたカレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」であり、かつ二次側のカレントノードの通電状態が「停電」であるか否かを判定する。
ここで、カレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」であり、かつ二次側のカレントノードの通電状態が「停電」である場合には、当該カレントブランチが通電ノードと停電ノードを持つブランチであり、当該カレントブランチで通電が途絶えていると判明する。この場合には、検出部19dは、当該カレントブランチを「異常ブランチ」として検出する。
一方、カレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」であっても、二次側のカレントノードの通電状態も「通電」である場合には、当該カレントブランチで通電が途絶えていないことがわかる。この場合には、検出部19dは、当該カレントブランチの二次側のカレントノードを探索リストへ追加登録する。その上で、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなるまで通電ノードと停電ノードを持つ異常ブランチの有無の判定および二次側のカレントノードの探索リストの追加登録を繰り返し実行する。その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなると、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまでカレントノードを選択し、通電ノードと停電ノードを持つ異常ブランチの有無の判定を繰り返し実行する。なお、通電ノードと停電ノードを持つ異常ブランチが1つも検出されなかった場合には、電気事業者が持つ設備に異常が起こっていないことがわかる。
ここで、図19を用いて、異常ブランチの検出についての具体例を例示する。例えば、停電ノードの判別が終了した後に、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち一次側がないカレントノード「N1」が検索された上で、カレントノード「N1」が探索リストへ登録される。続いて、探索リストからカレントノード「N1」が選択されると、カレントノード「N1」を一次側に持つカレントブランチ「B1」が検索される。続いて、カレントブランチ「B1」の二次側のカレントノード「N2」がさらに検索される。
このとき、カレントブランチ「B1」は、一次側のカレントノード「N1」の通電状態及び二次側のカレントノード「N2」の通電状態の両方が「通電」であるので、当該カレントブランチ「B1」で通電が途絶えていないことがわかる。この場合には、検出部19dは、当該カレントブランチの二次側のカレントノード「N2」が探索リストへ追加登録された後にカレントノード「N2」の探索が開始される。その後、カレントノード「N2」、「N3」、「N4」の順に探索が実行されることによってカレントブランチ「B2」、「B3」及び「B4」においても、通電が途絶えていないことがわかる。そして、カレントノード「N2」の探索が実行された場合には、2つのカレントブランチ「B5」及び「B8」が検索される。
このうち、カレントブランチ「B5」では、一次側のカレントノード「N5」の通電状態及び二次側のカレントノード「N6」の通電状態の両方が「通電」であるので、通電が途絶えていないことがわかる。一方、カレントブランチ「B8」では、一次側のカレントノード「N5」の通電状態が「1」である一方で二次側のカレントノード「N8」の通電状態が「0」であるので、当該カレントブランチ「B8」で通電が途絶えていると判明する。この場合には、図19に示すカレントブランチ「B8」が異常ブランチとして検出される。
出力部19eは、クライアント端末30への出力制御を実行する処理部である。一態様としては、出力部19eは、配電系統情報17に含まれるカレントノードテーブル17a及びカレントブランチテーブル17bを用いて、現系統のグラフ構造の表示データを生成した上で表示データをクライアント端末30へ送信する。例えば、出力部19eは、記憶部13に記憶されたカレントブランチテーブル17bに含まれる設備IDのうち所定の設備ID、例えばSSの設備IDやクライアント端末30から指定を受け付けた任意の設備IDを選択する。そして、出力部19eは、先に選択された設備IDに対応付けられたノードIDの組合せのうちSSに最寄りのノードIDを階層構造のルートに設定する。続いて、出力部19eは、ルートから終端となる負荷設備の設備IDへ向けてノードの数を経るほどノードへ付与する階層を下げ、ルートから終端までの各ノード間に設備が配置された現系統のグラフ構造の表示用データを生成する。なお、ここでは、表示用データをクライアント端末30に表示させる場合を例示したが、配電管理装置10が有する表示部に表示させることとしてもかまわない。
他の一態様としては、出力部19eは、検出部19dによって異常ブランチが検出された場合に、現系統のグラフ構造のうち当該異常ブランチの注意喚起を促す表示データを生成することもできる。例えば、出力部19eは、当該異常ブランチの部分を他のブランチの表示態様と区別された表示データを生成することもできる。図19の例で言えば、出力部19eは、現系統のグラフ構造のうちカレントブランチ「B8」が他のブランチの色や塗りつぶしと区別された表示データを生成することができる。
このように、上記の従来技術では、異常が発生している範囲を開閉器の区間単位で表示させるのが限界であったが、本実施例では、異常が発生した設備であるカレントブランチ「B8」を表示できる。このため、電気事業者の関係者に配電系統のうち停電の原因となっている異常箇所そのものを把握させることができる。さらに、異常箇所が電気事業者側の異常なのか、あるいは需要家側の異常であるのかも把握させることができる。すなわち、上記の従来技術では、需要家から停電の申告を受けた場合に、その原因が電気事業者側の設備の異常によるものであるのか、あるいは需要家側の設備、例えば分電盤のブレーカのスイッチのOFFが原因であるのかは電気事業者または需要家が現地調査するしか解明する術がなかった。一方、本実施例では、図19に示す現系統のグラフ構造に含まれる各ノードの通電状態を表示させる。このため、需要家の負荷設備に接続されるノードの通電状態が「1」である場合には、需要家側の設備が原因である可能性が高いこと、例えば分電盤のブレーカ「OFF」が停電の原因として疑わしいことを把握させることができる。一方、需要家の負荷設備に接続されるノードの通電状態が「0」である場合には、電気事業者側の設備、例えば引込線、低圧線や変圧器等の低圧系統の設備あるいは高圧系統の設備に異常があることを把握させることができる。
更なる一態様としては、出力部19eは、異常ブランチとともに異常ブランチよりも負荷設備側にあるブランチを異常の影響範囲、すなわち停電範囲とし、当該停電範囲にあるブランチが他のブランチの表示態様と区別された表示データを生成することもできる。例えば、出力部19eは、図19に示す現系統のグラフ構造のうち異常ブランチ「B8」とともにそれよりも負荷設備側にあるブランチ「B9」〜「B13」が他のブランチの色や塗りつぶしと区別された表示データを生成することができる。このとき、出力部19eは、異常ブランチと停電範囲にあるブランチとの間でも表示態様を区別することもできる。これによって、異常箇所だけでなく、異常箇所が原因となって停電が起こる範囲を容易に把握させることができる。
他の一態様としては、出力部19eは、現系統に含まれる各ブランチを記号で表現して表示させることもできる。図20は、表示データの一例を示す図である。図20には、図19に示した現系統が記号によって表現された表示例を図示している。図20に示すように、表示データでは、変電所、高圧線、開閉器、変圧器、低圧線および負荷設備が記号によって表現されている。このうち、異常ブランチとして検出された低圧線の色は、他のブランチとは異なる色に設定されている。かかる表示によって、異常箇所の把握とともに、現系統に含まれる各ブランチをより直感的に識別することができる。
更なる一態様としては、出力部19eは、現系統のグラフ構造に含まれる各ブランチの位置情報を用いて、地図上にユニット及びスパンなどの設備が配置された表示データを生成することもできる。例えば、出力部19eは、カレントブランチテーブル17bに含まれる設備がユニットである場合には、位置情報14及び設備情報15を参照して、当該ユニットの設備の位置を取得する。一方、出力部19eは、カレントブランチテーブル17bに含まれる設備がスパンである場合には、当該スパンの設備の両端の位置を取得する。その上で、出力部19eは、ユニットの位置及びスパンの両端の位置を用いて、ユニット及びスパンが地図上に配置された表示用データを出力することもできる。さらに、出力部19eは、地図上に配置された現系統のブランチのうち異常ブランチ及び停電範囲が他のブランチの表示態様と区別された表示データを生成することもできる。
図21は、表示データの一例を示す図である。図21には、図11及び図12に示した現系統に含まれる各ブランチが地図上に表示される場合を例示しており、異常箇所が設備ID「SP0017」の低圧線330であり、停電範囲が設備ID「LL000301」及び「LL000401」の2つの負荷設備310及び320である場合を想定している。図21に示す表示用データ300では、ユニット及びスパンの表示位置が実在の位置と対応しているので、異常箇所であるスパン「SP0017」の低圧線330の修理を計画しやすい表示を実現できる。また、地図上にある地理的要素、例えば配電系統の設備以外の道路や鉄道などのインフラ、さらには、ランドマークとの間で見比べることができるので、停電範囲に含まれる「LL000301」及び「LL000401」の負荷設備310及び320の位置把握や現地調査により有用な表示を実現できる。
なお、制御部19には、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部19が有する機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る配電管理装置の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、配電管理装置10によって実行される(1)配電管理処理を説明した後に、(2)末端ノードの判定処理、(3)通電ノードの判別処理、(4)停電ノードの判別処理、(5)異常ブランチの検出処理の順に、説明することとする。
(1)配電管理処理
図22〜図24は、実施例1に係る配電管理処理の手順を示すフローチャートである。この配電管理処理は、クライアント端末30を介して配電系統情報の閲覧要求を受け付けた場合や前回に処理が実行されてから一定期間が経過した場合に、処理が開始される。
図22に示すように、検索部19aは、ロケーションテーブル14aに記憶された位置IDのうち位置種別が配電用変電所「SS」である位置IDを検索する(ステップS101)。そして、検索部19aは、ロケーションテーブル14aから検索されたSSの位置IDを探索リストへ登録する(ステップS102)。
続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを1つ選択する(ステップS103)。そして、検索部19aは、ノードテーブル16aに記憶されたノードのうち先に選択が実行されたSSの位置IDに対応するノードを検索する(ステップS104)。
その上で、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードのレコードを、記憶部13に配電系統情報17として記憶されたカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS105)。さらに、検索部19aは、ノードテーブル16aから検索されたノードを探索リストへ登録する(ステップS106)。
そして、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを1つ選択する(ステップS107)。続いて、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのうちステップS107で選択されたノードが含まれるノードIDの組合せ、すなわちノードID1及びノードID2の組合せを持つブランチのレコードを検索する(ステップS108)。
その上で、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチのレコードをカレントブランチテーブル17bへ登録する(ステップS109)。さらに、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチを探索リストに登録する(ステップS110)。続いて、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを1つ選択する(ステップS111)。
そして、検索部19aは、図23に示すように、スパンテーブル15bからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS112)。このとき、スパンテーブル15bから属性情報を検索できなかった場合、すなわち属性情報がヒットしなかった場合(ステップS113No)には、検索部19aは、次のような処理を実行する。
すなわち、検索部19aは、ユニットテーブル15aからステップS111で選択されたブランチの設備IDに対応する属性情報を検索する(ステップS114)。なお、スパンテーブル15bから属性情報を検索できた場合(ステップS113Yes)には、ステップS114の処理をとばしてステップS115の処理へ移行する。
そして、対応付け部19bは、カレントブランチテーブル17bに記憶されたレコードのうちスパンテーブル15bまたはユニットテーブル15aの検索に用いたブランチのレコードに対応付けて当該ブランチの属性情報を登録する(ステップS115)。
その後、検索部19aは、ステップS108で検索されたブランチが含むノードの組合せのうちステップS108で探索に用いられたノードとは対となる他方のノードがブランクであるか否かを判定する(ステップS116)。
このとき、他方のノードがブランクでない場合(ステップS116Yes)には、検索部19aは、当該ブランチが開閉器であるか否かをさらに判定する(ステップS117)。そして、ブランチが開閉器である場合(ステップS117Yes)には、検索部19aは、開閉器のスイッチが閉状態であるか否か、すなわち開閉器がON状態であるか否かをさらに判定する(ステップS118)。
ここで、開閉器がON状態である場合(ステップS118Yes)には、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
また、ブランチが開閉器でない場合(ステップS117No)にも、検索部19aは、ノードテーブル16aから他方のノードのレコードを検索した上で配電系統情報17のカレントノードテーブル17aへ登録する(ステップS119)。さらに、検索部19aは、他方のノードを未探索のノードとして探索リストへ追加する(ステップS120)。
一方、他方のノードがブランクである場合もしくは開閉器がOFF状態である場合(ステップS116NoまたはステップS118No)には、ステップS121の処理へ移行する。
その後、検索部19aは、探索リストに登録されたブランチを全て探索したか否かを判定する(ステップS121)。このとき、探索リストに登録されたブランチが全て探索されていない場合(ステップS121No)には、未探索のブランチが選択された後(ステップS111)、ステップS112〜ステップS121までの処理が繰り返し実行される。
そして、探索リストに登録されたブランチが全て探索されると(ステップS121Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたノードを全て探索したか否かを判定する(ステップS122)。このとき、探索リストに登録されたノードが全て探索されていない場合(ステップS122No)には、未探索のノードが選択された後(ステップS107)、ステップS108〜ステップS121までの処理が繰り返し実行される。
その後、探索リストに登録されたノードが全て探索されると(ステップS122Yes)、検索部19aは、探索リストに登録されたSSの位置IDを全て探索したか否かを判定する(ステップS123)。このとき、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索されていない場合(ステップS123No)には、未探索のSSの位置IDが選択された後(ステップS103)、ステップS104〜ステップS122までの処理が繰り返し実行される。
そして、探索リストに登録されたSSの位置IDが全て探索された場合(ステップS123Yes)には、図24に示すように、検索部19aは、ブランチテーブル16bに記憶されたブランチのレコードと、カレントブランチテーブル17bに記憶されたブランチのレコードとを突合する(ステップS124)。
ここで、ブランチテーブル16bにカレントブランチテーブル17bと一致しないブランチのレコードが存在する場合(ステップS125Yes)には、検索部19aは、当該ブランチのレコードに含まれる設備IDの設備を停電箇所として検出し(ステップS126)、処理を終了する。一方、ブランチテーブル16bにカレントブランチテーブル17bと一致しないブランチのレコードが存在しない場合(ステップS125No)には、そのまま処理を終了する。
(2)末端ノードの判定処理
図25は、実施例1に係る末端ノードの判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、前回に異常ブランチの検出が実行されてから検針間隔および伝送遅延時間の和をもとに設定された期間が経過する度に実行される。
図25に示すように、検出部19dは、カレントノードテーブル17aに登録された全てのカレントノードの通電状態に不詳を設定する(ステップS201)。そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bからスマートメータ50が接続された負荷設備の設備IDを持つカレントブランチを検索する(ステップS202)。
続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストに登録する(ステップS203)。その上で、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する(ステップS204)。続いて、検出部19dは、ロードテーブル18aから、ステップS204で選択が実行されたカレントブランチの設備IDに対応するレコードを検索する(ステップS205)。
このとき、カレントブランチの設備IDに対応するレコードが検索できた場合(ステップS206Yes)には、検出部19dは、次のような処理を実行する。すなわち、検出部19dは、ステップS205で検索されたレコードのうち最新のレコードが現時刻から所定期間、例えば検針間隔「30分間」+伝送遅延時間「α」内に取得されたものであるか否かを判定する(ステップS207)。
ここで、所定期間内に取得されたレコードである場合(ステップS207Yes)には、検出部19dは、カレントブランチの一次側のノード、すなわち末端ノードの通電状態に「通電」を設定する(ステップS208)。
一方、レコードを検索できなかった場合、あるいは検索できても最新のレコードが現時刻から所定期間内に取得されたものでない場合(ステップS206NoまたはステップS207No)には、検出部19dは、末端ノードの通電状態に「停電」を設定する(ステップS209)。
その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなるまで(ステップS210No)、上記のステップS204〜ステップS209までの処理を繰り返し実行する。そして、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなると(ステップS210Yes)、処理を終了する。
(3)通電ノードの判別処理
図26は、実施例1に係る通電ノードの判別処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、図25に示した処理が終了した場合に実行される。図26に示すように、検出部19dは、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち末端ノードの通電状態が通電に設定された末端ノードを検索する(ステップS301)。
その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索されたカレントノードを探索リストへ登録する(ステップS302)。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する(ステップS303)。
続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bに登録されたカレントブランチのうちステップS303で選択されたカレントノードを二次側に持つカレントブランチを検索する(ステップS304)。
そして、カレントブランチテーブル17bからカレントブランチを検索できた場合(ステップS305Yes)には、検出部19dは、当該カレントブランチの一次側のカレントノードを検索する(ステップS306)。
続いて、一次側のカレントノードの通電状態に不詳が設定されている場合(ステップS307Yes)には、検出部19dは、当該一次側のカレントノードの通電状態に「通電」を設定する(ステップS308)。そして、検出部19dは、当該一次側のカレントノードを探索リストに追加登録する(ステップS309)。
また、カレントブランチを検索できなかった場合、あるいは一次側のカレントノードの通電状態に不詳が設定されていない場合(ステップS305NoまたはステップS307No)には、ステップS310の処理へ移行する。
その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまで(ステップS310No)、上記のステップS303〜ステップS309までの処理を繰り返し実行する。そして、探索リストに未探索のカレントノードがなくなると(ステップS310Yes)、処理を終了する。
(4)停電ノードの判別処理
図27は、実施例1に係る停電ノードの判別処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、図26に示した処理が終了した場合に実行される。図27に示すように、検出部19dは、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち末端ノードの通電状態が停電に設定された末端ノードを検索する(ステップS401)。
その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された末端ノードであるカレントノードを探索リストへ登録する(ステップS402)。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する(ステップS403)。
続いて、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bに登録されたカレントブランチのうちステップS403で選択が実行されたカレントノードを二次側に持つカレントブランチを検索する(ステップS404)。
そして、カレントブランチテーブル17bからカレントブランチを検索できた場合(ステップS405Yes)には、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから当該カレントブランチの一次側のカレントノードを検索する(ステップS406)。なお、カレントブランチが検索できなかった場合(ステップS405No)には、以降のステップS406〜ステップS415の処理を実行せずに、ステップS416へ移行する。
このとき、一次側のカレントノードの通電状態が不詳に設定されている場合(ステップS407Yes)には、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから当該通電状態が不詳に設定されているカレントノードを一次側に持つカレントブランチを検索する(ステップS408)。なお、一次側のカレントノードの通電状態が不詳に設定されていない場合(ステップS407No)には、以降のステップS408〜ステップS415の処理を実行せずに、ステップS416へ移行する。
その上で、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストへ登録する(ステップS409)。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する(ステップS410)。そして、検出部19dは、カレントノードテーブル17aからステップS410で選択が実行されたカレントブランチの二次側のカレントノードを検索する(ステップS411)。
続いて、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された二次側のカレントノードの通電状態が通電以外であるか否かを判定する(ステップS412)。そして、二次側のカレントノードの通電状態が通電以外である場合(ステップS412Yes)には、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなるまで(ステップS413No)、上記のステップS410〜ステップS412までの処理を繰り返し実行する。なお、二次側のカレントノードの通電状態が通電以外である場合(ステップS412No)には、ステップS416へ移行する。
そして、通電状態が不詳に設定されているカレントノードを一次側に持つ全ての二次側のカレントノードの通電状態が通電以外である場合(ステップS413Yes)には、検出部19dは、通電状態を不詳としていたカレントノードの通電状態を「停電」に設定する(ステップS414)。そして、検出部19dは、当該カレントノードを探索リストへ追加登録する(ステップS415)。
そして、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまで(ステップS416No)、上記のステップS403〜ステップS415間での処理を繰り返し実行する。その後、探索リストに未探索のカレントノードがなくなると(ステップS416Yes)、処理を終了する。
(5)異常ブランチの検出処理
図28は、実施例1に係る異常ブランチの検出処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、図27に示した処理が終了した場合に実行される。図28に示すように、検出部19dは、カレントノードテーブル17aに登録されたカレントノードのうち一次側がないカレントノードを検索する(ステップS501)。
その上で、検出部19dは、カレントノードテーブル17aから検索された最上位のノードであるカレントノードを探索リストへ登録する(ステップS502)。続いて、検出部19dは、探索リストからカレントノードを1つ選択する(ステップS503)。
そして、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから、ステップS503で選択が実行されたカレントノードを一次側に持つカレントブランチを検索する(ステップS504)。その上で、検出部19dは、カレントブランチテーブル17bから検索されたカレントブランチを探索リストへ登録する(ステップS505)。
続いて、検出部19dは、探索リストからカレントブランチを1つ選択する(ステップS506)。その上で、検出部19dは、探索リストから選択されたカレントブランチの二次側のカレントノードをさらに検索する(ステップS507)。
ここで、探索リストから選択されたカレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」であり、かつ二次側のカレントノードの通電状態も「通電」である(ステップS508YesかつステップS509Yes)には、当該カレントブランチで通電が途絶えていないことがわかる。この場合には、検出部19dは、当該カレントブランチの二次側のカレントノードを探索リストへ追加登録する(ステップS510)。
一方、探索リストから選択されたカレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」であり、かつ二次側のカレントノードの通電状態が「停電」である(ステップS508Yes、ステップS509NoかつステップS511Yes)には、当該カレントブランチが通電ノードと停電ノードを持つブランチであり、当該カレントブランチで通電が途絶えていると判明する。この場合には、検出部19dは、当該カレントブランチを「異常ブランチ」として検出する(ステップS512)。
また、探索リストから選択されたカレントブランチの一次側のカレントノードの通電状態が「通電」でない場合、あるいは二次側のカレントノードの通電状態が「不詳」である場合(ステップS508NoまたはステップS511No)には、ステップS513の処理へ移行する。
その後、検出部19dは、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなるまで(ステップS513No)、上記のステップS506〜ステップS512までの処理を繰り返し実行する。そして、探索リストに未探索のカレントブランチがなくなると(ステップS513Yes)、探索リストに未探索のカレントノードがなくなるまで(ステップS514No)、上記のステップS503〜ステップS513までの処理を繰り返し実行する。その後、探索リストに未探索のカレントノードがなくなると(ステップS514Yes)、処理を終了する。
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る配電管理装置10は、所定の間隔以内にグループに含まれる全てのスマートメータ50から電力の使用量を取得できなかった場合に、当該グループに関連付けられた配電系統の設備を異常箇所として検出する。このため、本実施例に係る配電管理装置10では、上記の従来技術のように、異常の検出対象が高圧系統に限定されず、また、異常の検出範囲が開閉区間の単位に限定されることもない。したがって、本実施例に係る配電管理装置10によれば、配電系統の異常箇所を特定できる。