JP2015050604A - 固体撮像装置の信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体撮像装置において画素間の寄生容量による信号変化を除去する。
【解決手段】固体撮像装置は複数の画素を備え、各画素は、入射光によって電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を蓄える電荷蓄積容量と、前記電荷蓄積容量に蓄えられている電荷の量に応じた画素信号を生成する増幅器と、を有し、前記画素の電荷蓄積容量は、前記画素(k,l)の電荷蓄積容量と他の画素(k+a,k+b)の電荷蓄積容量との間に形成される寄生容量を有し、前記信号処理方法は、前記画素の前記画素信号の値から、前記電荷蓄積容量の値(C’FD+CC)と、前記寄生容量の値(CC)と、前記他の画素の前記画素信号の値Vpix’(k+a,l+b)と、に応じた補正係数を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値Vpix(k,l)を得る。
【選択図】図5
【解決手段】固体撮像装置は複数の画素を備え、各画素は、入射光によって電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を蓄える電荷蓄積容量と、前記電荷蓄積容量に蓄えられている電荷の量に応じた画素信号を生成する増幅器と、を有し、前記画素の電荷蓄積容量は、前記画素(k,l)の電荷蓄積容量と他の画素(k+a,k+b)の電荷蓄積容量との間に形成される寄生容量を有し、前記信号処理方法は、前記画素の前記画素信号の値から、前記電荷蓄積容量の値(C’FD+CC)と、前記寄生容量の値(CC)と、前記他の画素の前記画素信号の値Vpix’(k+a,l+b)と、に応じた補正係数を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値Vpix(k,l)を得る。
【選択図】図5
Description
本発明は、画像を電気信号として出力する固体撮像装置の信号処理方法に関する。
CMOS(Complementary Metal Oxide Secmiconductor)及びMOS(Metal Oxide Secmiconductor)エリアイメージセンサ(以下両者を併せてCMOS固体撮像装置と称する)、並びに電荷結合素子(Charge Coupled Devices)エリアイメージセンサ(以下CCD固体撮像装置と称する)は、入力光情報を光電変換することにより画像信号を生成する。これらの固体撮像装置は、機能素子として、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ネットワークカメラ、及び携帯電話用カメラ等、多岐にわたる撮像機器に用いられている。
従来の固体撮像装置は、半導体基板の最表面に、光電変換部(フォトダイオード)と読み出し回路部とを有する画素を二次元のアレイ状に配置した構成を有する。したがって、光電変換部の面積は光入射面において読み出し回路部の面積分削減される。これにより、従来の固体撮像装置では、開口率が低下するという課題がある。
この課題を解決するために、光吸収能を有する材料を基板上に積層した構成の光電変換部と、基板に形成した読出し回路とを有する積層型固体撮像装置が、特許文献1及び特許文献2に報告されている。
図1は、これらの文献に記載の積層型の固体撮像装置の断面構成の一典型例を示す模式図である。積層型固体撮像装置100において、各画素の光電変換部は、画素電極と、その上方(光入射側)に積層された光電変換膜と、その上面に形成された対向電極とを含む。積層型固体撮像装置100は、入射光によって発生した電荷群を電流信号として画素電極を介して光電変換部外に取り出す。積層型固体撮像装置100は、通常、信号電荷の符号を選択するために信号電荷を伝導し、その反対符号の電荷をブロックする電荷ブロッキング層を備える。当該電荷ブロッキング層は、画素電極に対向する、又は画素電極に直接接している。
図2は、特許文献1に記載されている有機膜を光電変換膜とする従来の積層型イメージセンサの画素部(画素)の回路を模式的に示した図である。画素200において、光電変換部201から画素電極203を通して出力された信号電荷は、基板上に形成された空乏層容量よりなる電荷蓄積部213に蓄積される。電荷蓄積部213は、配線を介して画素読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)211のゲートに接続される。電荷蓄積部213における蓄積電荷量の変動に伴う電圧変化が、増幅トランジスタ211にて検出される。当該検出の結果は、画素の読み出しタイミングを選択する選択トランジスタ209を介して読み出し信号として垂直信号線207に出力される。電荷蓄積部213の電荷をリセットするためにリセットトランジスタ205のドレインが電荷蓄積部213に接続されており、後続する信号電荷の読み出しを行う前に、リセットトランジスタ205は電荷蓄積部213を初期電圧に設定するリセット動作を行う。
しかしながら、従来の積層型固体撮像装置によれば、画素間での光の漏れ出しが起きていないにもかかわらず、画素間での光の漏れ出しが起きたときに生じるクロストークに似た画質劣化が生じるという問題がある。
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、上記画質劣化を低減または解消する信号処理方法を提供する。
上記従来技術の課題を解決するために、開示される一態様に係る信号処理方法は、固体撮像装置の信号処理方法であって、前記固体撮像装置は複数の画素を備え、各画素は、入射光によって電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を蓄える電荷蓄積容量と、前記電荷蓄積容量に蓄えられている電荷の量に応じた画素信号を生成する増幅器と、を有し、前記画素の電荷蓄積容量は、前記画素の電荷蓄積容量と他の画素の電荷蓄積容量との間に形成される寄生容量を有し、前記信号処理方法は、前記画素の前記画素信号の値から、前記電荷蓄積容量の値と、前記寄生容量の値と、前記他の画素の前記画素信号の値と、に応じた補正係数を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得る。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
前記固体撮像装置の信号処理方法によれば、画素間の寄生容量による信号変化が除去されるので、画質劣化を低減する信号処理方法を提供することができる。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、背景技術の欄において記載した従来の積層型固体撮像装置において生じる画質劣化に関して鋭意検討した結果、次のような原因を突き止めた。
本発明者は、背景技術の欄において記載した従来の積層型固体撮像装置において生じる画質劣化に関して鋭意検討した結果、次のような原因を突き止めた。
固体撮像装置上で画素は通常2次元状に配置されるため、画素電極203は、図2に示すように、垂直走査方向および水平走査方向にそれぞれ隣接して配置される。画素電極とそれに対向する一定電圧のノードとの間の容量値をC’FDとする。それぞれの画素電極についてC’FDは異なっていてもよいが、この場合は固定パターンノイズの原因となるので、通常C’FDは全画素でなるべく等しくなるように設計される。
画素電極が持つ容量としては、C’FDに加え、隣接する画素電極との容量がある。ここでは、縦横に隣接する4画素分を1単位として、複数の単位が2次元状に配列しているとする。その場合、隣接する画素電極との容量は、CC1、CC2、CC3、CC4の4つの量で表すことができる。
例えば、着目している画素に入射した光量が0で、隣接する画素に入射した光がある場合、着目画素の画素電極と隣接する任意の画素電極との容量CCを通じて、着目画素の画素電極の電圧が変化する。すなわち、Vpixが0であるはずのところ、容量CCによる影響をうけて正の値となる。これは、隣接画素から着目画素へ光が漏れ出た場合に画素出力電圧が正になる現象、すなわちクロストークと同じ効果となるので、出力画像において画質劣化が生じる。
開示される固体撮像装置の信号処理方法は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、上記画質劣化を防止することを目的とする。
開示される一形態に係る信号処理方法は、固体撮像装置の信号処理方法であって、前記固体撮像装置は複数の画素を備え、各画素は、入射光によって電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を蓄える電荷蓄積容量と、前記電荷蓄積容量に蓄えられている電荷の量に応じた画素信号を生成する増幅器と、を有し、前記画素の電荷蓄積容量は、前記画素の電荷蓄積容量と他の画素の電荷蓄積容量との間に形成される寄生容量を有し、前記信号処理方法は、前記画素の前記画素信号の値から、前記電荷蓄積容量の値と、前記寄生容量の値と、前記他の画素の前記画素信号の値と、に応じた補正係数を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得る。
このような構成によれば、画素間の寄生容量による信号変化が除去されるので、画質劣化を低減する信号処理方法を提供することができる。
また、前記補正係数は、前記寄生容量の値と、前記他の画素の画素信号の値と、に比例し、前記電荷蓄積容量の値に反比例してもよい。
このような構成によれば、前記補正係数が、単純な乗除算で得られる。
また、前記複数の画素は、マトリクス状に配置されており、各画素は、さらに、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットするためのリセットトランジスタと、前記増幅器で生成される前記画素信号を読み出すための選択トランジスタと、を有し、前記固体撮像装置は、前記マトリクスの同一行に位置する前記画素について、前記画素信号を読み出し、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットし、前記画素信号の読み出しを停止する一連の動作を、行ごとに順次行い、前記信号処理方法は、前記画素から読み出された画素信号の値から、前記画素と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第1補正係数と、前記画素と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第2補正係数と、を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得てもよい。
このような構成によれば、前記固体撮像装置がいわゆるローリング駆動される場合に適した補正処理を行うことができる。
また、前記複数の画素は、マトリクス状に配置されており、各画素は、さらに、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットするためのリセットトランジスタと、前記増幅器から出力される前記画素信号を読み出すための選択トランジスタと、を有し、前記固体撮像装置は、前記マトリクスの同一行に位置する前記画素から前記画素信号を読み出す動作を、行ごとに順次行い、前記画素信号を読み出す順序において前記画素が位置する行の次の行に位置する隣接画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットした後、前記画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットし、露光時間を経たあと、前記画素から画素信号を読み出し、前記画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットする動作を行い、前記画素から読み出された画素信号の値から、前記画素と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第1補正係数と、前記画素と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第2補正係数と、垂直走査順で前記画素の次行に位置しかつ前記画素に隣接する第3隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第3補正係数と、を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得てもよい。
このような構成によれば、前記固体撮像装置がいわゆる電子シャッタ駆動される場合に適した補正処理を行うことができる。
また、前記第3補正係数は、前記寄生容量の値に比例し、前記第3画素から読み出された画素信号の値に、露光時間から水平走査時間を引いた値を掛け、露光時間で割った値に比例し、かつ前記電荷蓄積容量の値に反比例してもよい。
このような構成によれば、露光時間に応じて高い精度で補正処理を行うことができる。
以下、実施の形態における固体撮像装置の信号処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、数式、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る固体撮像装置について、図3から図7を用いて説明する。
実施の形態1に係る固体撮像装置について、図3から図7を用いて説明する。
図3は、固体撮像装置301の構成の一例を示す機能ブロック図である。画素エリア303には、画素307が2次元状に配列されている。画素307には、例えば図2に示した画素200を用いてもよい。垂直走査回路305は、出力タイミングを示す走査信号を画素307に供給する。列アンプ309は、走査信号に応じて画素307から出力された信号を増幅する。相関二重サンプリング回路311は、画素307からの信号からリセット信号を差し引く。水平走査回路313は、各列の画素307からの信号を順次、出力アンプ315に伝達する。
図4は、画素エリア303の構成の一例を示す模式図である。図4において、周囲に8つの端子を持つ四角形は、例えば、図2に示した画素200を模式的に表している。
このような画素エリア303において、隣接する画素の画素電極間の容量によって生じる画質劣化、及びその補正のための信号処理について説明する。
図5は、画素が有する電荷蓄積容量の一例を示す模式図である。
前述したように、画素は、画素電極によって形成される電荷蓄積容量を有し、電荷蓄積容量は、当該画素電極と一定電圧のノードとの間に形成される画素内の蓄積容量に加え、当該画素電極と隣接する画素の画素電極との間に形成される寄生容量を有している。寄生容量は、隣接画素との間だけでなく、点線で示されるように隣接しない離れた画素との間にも形成され得る。
図5において、着目画素(k,l)への入射光量に応じて、電荷Q(k,l)が生じるとし、測定される画素出力電圧がVpix’(k,l)であるとする。各画素に対し求めたい量は、入射光量に応じた電荷Q、もしくは真の画素出力電圧Vpix、すなわち式(2)、式(3)より
である。他の画素との寄生容量CCが十分に小さい場合、
となる。
他の画素との寄生容量CCが無視できない場合を考える。この場合、周囲の画素と互いに影響を及ぼしあい、式(5)が成立せず、測定される画素出力電圧が真の画素出力電圧と一致しない。
図5のように、着目画素(k,l)から距離(a,b)離れた位置に配置される他の画素を画素(k+a,l+b)と表す。また、画素内の蓄積容量の値をC’FDと表し、着目画素(k,l)と他の画素(k+a,l+b)との間の寄生容量の値をCC(k,l)(a,b)と表す。着目画素について測定される画素出力電圧Vpix’(k,l)は、着目画素と他の全ての画素との間の寄生容量による影響を受ける。各画素のVpix’を用いて、未知数である電荷Q(k,l)は以下のように表される。
ここで、nは垂直方向の画素数であり、mは水平方向の画素数である。
式(6)の意味は、隣接画素の画素出力電圧が増加した場合、すなわち光が入射した場合、着目画素の画素出力電圧も、他の画素との間の寄生容量CCに応じて増加するので、その分を差し引くと、元の電荷Qを求めることができることである。
従って、全ての画素で測定された画素出力電圧を用いて、式(6)に基づいて信号処理を行えば、画素間の寄生容量の影響を完全に除去できる。
式(6)は、両辺を電荷蓄積容量の値CFD=(C’FD+CC(k,l)(−k,−l)+CC(k,l)(−k+1,−l)…+CC(k,l)(−k,−l+1)…+CC(k,l)(m−1−k,n−1−l))で除することで、次のように変形される。
式(7)から直ちに理解されるように、着目画素(k,l)の画素出力電圧Vpix’(k,l)から、電荷蓄積容量の値CFDと、寄生容量の値CC(k,l)(a,b)と、他の画素の画素出力電圧Vpix’(k+a,l+b)と、に応じた補正係数を減じることにより、着目画素について補正された画素出力電圧Vpix(k,l)が得られる。
前記補正係数は、より詳細には、寄生容量の値CC(k,l)(a,b)と、他の画素の画素出力電圧Vpix’(k+a,l+b)と、に比例し、電荷蓄積容量の値CFDに反比例する。
ここで、画素出力電圧Vpix’(k,l)は画素信号の値の一例であり、画素出力電圧Vpix(k,l)は補正された画素信号の値の一例である。
固体撮像装置がカラー出力可能で、画素上のカラーフィルタがベイヤ配列をなしている場合には、上述の信号処理を行うことで、当該固体撮像装置において寄生容量の影響によって生じる混色、すなわち画質劣化を完全に除去することができる。
以下では、そのような信号処理を行うための画像処理システムについて説明する。
図6は、画像処理システム400の構成を示す機能ブロック図である。
画像処理システム400において、固体撮像装置410から出力されたアナログ信号を、A/D変換器420によりデジタル信号に変換する。信号を画像信号に変換するために、信号処理装置430では、以下の処理を順番に行う。
まず、パラレル信号をデマルチプレクサ431によりシリアル信号に変換する。ただし、この処理が必要ない場合もある。信号に対し、黒レベルの補正、いわゆるオプティカルブラック(OB)補正432を行う。そのあと、式(6)または式(7)に従って、入射光量に応じた真の電荷Qを全ての画素について求めることで、信号から寄生容量の影響を完全に除去する混色除去433を行う。
そのあと、ベイヤ配列から色補間434を行う。そのあと、入射光に応じてホワイトバランス(WB)補正435を行い、色補正としてのマトリックス補正436及びγ補正437を行い、最終的に得られた信号を出力する。もちろん、さらなる信号処理もありえるが、ここでは省略する。
なお、上記では、固体撮像装置において画素上のカラーフィルタがベイヤ配列をなしカラー出力が可能な場合に得られる効果として、混色除去という表現を用いたが、式(6)または式(7)に基づく信号処理により得られる効果は、混色除去には限定されない。例えば、3板式でカラー出力が可能な固体撮像装置やモノクロの固体撮像装置に適用した場合でも、画素間の寄生容量により他画素から混入する信号が除去できるので、画質劣化を低減または解消する効果が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態1の信号処理方法は、固体撮像装置のいかなる駆動にも適用できる汎用性がある反面、1画素の出力を得るために全画素の画素出力電圧を用いて信号処理を行うため、信号処理量が膨大となる。
実施の形態1の信号処理方法は、固体撮像装置のいかなる駆動にも適用できる汎用性がある反面、1画素の出力を得るために全画素の画素出力電圧を用いて信号処理を行うため、信号処理量が膨大となる。
実際の固体撮像装置では、着目画素(k,l)の全周囲は高々8つの隣接する画素で占められていて、隣接していない離れた画素との間の寄生容量はごく小さい。また、図4のように画素が碁盤目状に配列されている場合、斜めに隣接している画素との間の寄生容量は、縦横に隣接している画素との間の寄生容量に比較して小さい。そのため、縦横に隣接している画素との間の寄生容量だけを考えても実用上は十分である。
実施の形態2では、固体撮像装置は、一例として図7に示される制御信号に従って駆動される。このような制御信号による駆動は、いわゆるローリング駆動と呼ばれ、処理を単純化できる点で優れている。
まず、第(i−1)行走査期間において、信号sel_(i−1)の印加により(i−1)行目の画素内の選択トランジスタをオンする。すると、各列の画素から、画素信号が出力される。この電圧をVpix’’とする。
次に、信号res_(i−1)の印加により(i−1)行目の画素内のリセットトランジスタをオンする。このことにより、画素の電荷蓄積部に蓄えられた電荷が画素から掃き出され、電荷蓄積部が所定の電圧に設定される。リセットトランジスタをオフした直後には、光電変換による電荷がゼロの状態となる。実際のセンサ動作では、ここでの画素出力電圧Vpix’’’を読み出して、先ほど読み出した出力電圧から差し引く。ただし、本明細書中では、断らない限り、この状態での画素出力電圧をゼロとする。すなわち、Vpix’=Vpix’’である。
次の第i行走査期間では、i行目の画素に対して、信号sel_(i)、信号res_(i)の印加により同様の動作を行う。第(i+1)行走査期間も同様である。
この駆動において、i行目のVpix’(k,i)が式(6)に対しどのように適用されるかを考える。式(6)は、駆動のどの時点でも成立する。ここで、着目フレームの前フレームのi行目のリセット直後にQ(k,i)がゼロ又はゼロ以外の定数となるとする。すると、この時点でのVpix’をVpix_0’とおくと、
でなければならない。
この条件の下で、着目フレームにおいて、i行目の蓄積電荷に対応した画素出力電圧を読み込む時点でのQ(k,i)が、求める電荷である。この時点での各画素の電荷蓄積部の電圧をVpix_s’とおく。
ここでは、固体撮像装置で、静止画、もしくはフレーム速度に対し十分動きの遅い被写体を撮影している場合を考える。
すると、各フレームにおける電荷蓄積部の状態は互いに同じなので、着目フレームでのi行目のリセット直後の各画素の電荷蓄積部の電圧はゼロとなる。
リセットに要する時間がごく短いとすると、Q(k,i)を得る時点での(i−1)行目と(i+1)行目の電荷蓄積部の電圧は、着目フレームでのi行目のリセット直後とほとんど変わらないはずである。すなわち、
となる。i行目については、これらのタイミングの間にリセット動作が挟まれるのであるから、式(9)のようにゼロにはならない。しかし、他の行とは違い、Vpix_s’は出力値として得られる値である。すなわち、式(6)は以下のように変形できる。
ここで、寄生容量の値は、図8に示す記号を用いて表される。すなわち、同一行の左隣接画素、同一行の右隣接画素との寄生容量の値がそれぞれ定数CC1、CC2で表される。固体撮像装置上の全画素が同一設計の場合は、全画素(端の画素は除く)で式(10)が成立する。
もしくは、ベイヤ配列の場合で、隣接2画素おきで同一設計となる場合は、
となる画素もある。いずれにせよ、水平方向の隣接する画素の出力信号を用いて、元の電荷Q(k,l)を比較的簡易に算出することができ、隣接画素による影響を除去することができる。
式(10)は、両辺を電荷蓄積容量の値CFD=(C’FD+CC1+CC2)で除することで、次のように変形される。
式(12)から直ちに理解されるように、固体撮像装置を上述したローリング駆動にて動作させる場合には、着目画素(k,i)から読み出された画素出力電圧Vpix_s’(k,i)から、着目画素(k,i)と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素(k−1,i)から読み出された画素出力電圧Vpix_s’(k−1,i)に応じた第1補正係数と、着目画素(k,i)と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素(k+1,i)から読み出された画素出力電圧Vpix_s’(k+1,i)に応じた第2補正係数と、を減じることにより、着目画素(k,i)について補正された画素出力電圧Vpix(k,l)が得られる。
ここで、画素出力電圧Vpix_s’(k,i)は画素信号の値の一例であり、画素出力電圧Vpix(k,i)は補正された画素信号の値の一例である。
(実施の形態3)
実施の形態2の信号処理方法は、信号処理量が少なく、容易に信号処理回路もしくはプログラムとして実装できる反面、露光時間を短くしたい場合における電子シャッタ駆動の場合には適用できない。
実施の形態2の信号処理方法は、信号処理量が少なく、容易に信号処理回路もしくはプログラムとして実装できる反面、露光時間を短くしたい場合における電子シャッタ駆動の場合には適用できない。
さらに、被写体の変化が激しい場合は適用できない。すなわち、実施の形態2において、前フレームで光照射があり、着目フレームで光照射がないように被写体が変化した場合、(i+1)行目の画素出力電圧Vpix_s’が負になり、式(9)が成立しないからである。この負値は、前フレームの画素出力を記憶しておかない限り分からず、式(10)または式(11)を用いた信号処理ができない。
この課題を解決するため、実施の形態3では、固体撮像装置は、一例として図9に示される制御信号に従って駆動される。このような制御信号による駆動は、いわゆる電子シャッタ駆動と呼ばれ、所望の露光時間を設定できる点で優れている。
まず、第(i−1)行走査期間において、(i−1)行目の画素内の選択トランジスタをオンする。すると、各列の画素から、画素信号が出力される。この電圧をVpix’’とする。
次に、(i−1)行目の画素内のリセットトランジスタをオンする。このことにより、画素の電荷蓄積部に蓄えられた電荷が画素から掃き出され、電荷蓄積部が所定の電圧に設定される。リセットトランジスタをオフした直後には、光電変換による電荷がゼロの状態となる。実際のセンサ動作では、ここでの画素出力電圧Vpix’’’を読み出して、先ほど読み出した出力電圧から差し引く。ただし、本明細書中では、断らない限り、この状態での画素出力電圧をゼロとする。すなわち、Vpix’=Vpix’’である。
ここまでは実施の形態2と同様であるが、このあと、電子シャッタ行(i−1+j)の駆動を行う。上記のように(i+1)行の画素出力電圧Vpix_s’が負になるのは、i行のリセット後に(i+1)行のリセットを行い、(i+1)行の電圧が減少するからである。これを防止するため、(i−1+j)行のリセット前に、(i+j)行のリセットを行う。i行目の駆動においても同様である。
ここで、固体撮像装置の垂直方向の行数をnとし、j水平期間の露光ができるように電子シャッタをかけるとする。すると、図7において、i行の電子シャッタ用リセットが成されるのは、第(i−j)行走査期間である。その第(i−j)行走査期間でのi行の電子シャッタ用リセットが終了した直後でのQ(k,i)がゼロ又はゼロでない定数となるとする。すると、この時点でのVpix’をVpix_0’とおくと、
が成立する。
この次の走査期間である第(i−j+1)行走査期間で(i+1)行がリセットされるが、露光時間が1走査期間しかないため、ほとんど電圧が変化することがなくゼロのままである。従って、その後、負になることがない。
この後、第i行走査期間にi行目の画素信号が読み出される。この時点(読出しのリセット直前)での各画素の電荷蓄積部の電圧をVpix_s’とおく。この時点でのQ(k,i)が、求める電荷である。
電子シャッタ時のリセット動作と、読出し時のリセット動作は同じなので、リセット後の電荷蓄積部の電圧は、電子シャッタ時及び読出し時の何れにおいてもゼロになる。それゆえ、直前にリセットの終わっている(i−1)行目については、下式がほぼ成立する。
一方、(i+1)行目はリセットが終了していないが、この時点での電荷蓄積部の電圧は、実際に測定できる信号である第(i+1)行走査期間での電圧Vpix_s’’にほぼ等しい。すなわち、
となる。この場合も、縦横に隣接している画素との寄生容量との寄生容量だけを考えても実用上は十分であるので、式(6)は、下式で表される。
ここで、寄生容量の値は、図10に示す記号を用いて表される。すなわち、同一行の左隣接画素、同一行の右隣接画素、垂直走査順で次行の隣接画素、及び垂直走査順で前行の隣接画素との寄生容量の値がそれぞれ定数CC1、CC2、CC3、CC4で表される。
式(16)の処理を行うことにより、電子シャッタを使用し、被写体が動く場合でも、真の電荷Q(k,i)を求め、寄生容量の影響を排除できる。
式(16)は、両辺を電荷蓄積容量の値CFD=(C’FD+CC1+CC2+CC3+CC4)で除することで、次のように変形される。
式(17)から直ちに理解されるように、固体撮像装置を上述した電子シャッタ駆動にて動作させる場合には、着目画素(k,i)から読み出された画素出力電圧Vpix’(k,i)から、着目画素(k,i)と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素(k−1,i)から読み出された画素出力電圧Vpix’(k−1,i)に応じた第1補正係数と、着目画素(k,i)と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素(k+1,i)から読み出された画素出力電圧Vpix’(k+1,i)に応じた第2補正係数と、垂直走査順で前記画素の次行に位置しかつ前記画素に隣接する第3隣接画素(k,i+1)から読み出された画素出力電圧Vpix’’(k,i+1)に応じた第3補正係数と、を減じることにより、着目画素(k,i)について補正された画素出力電圧Vpix_s’(k,i)が得られる。
ここで、画素出力電圧Vpix_s’(k,i)は画素信号の値の一例であり、画素出力電圧Vpix(k,i)は補正された画素信号の値の一例である。
以上、複数の態様に係る固体撮像装置の信号処理方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれてもよい。
例えば、実施の形態3で示した前記第3補正係数(式(17)の右辺第4項)には、さらに、露光時間から水平走査時間を引いた値を乗じ、露光時間で除して得られる値を用いてもよい。すなわち、前記第3補正係数は、寄生容量の値CC3と、前記第3隣接画素の画素出力電圧Vpix’(k,i+1)に露光時間から水平走査時間を引いた値を乗じ露光時間で除した値とに比例し、電荷蓄積容量の値CFDに反比例してもよい。
すなわち、式(17)は正確には、
であるからである。(i)行読出し時点での画素(k、i+1)の画素出力電圧Vpix_s’(k,i+1) (これは実際には出力されないので仮想の値である)と、(i+1)行読出し時点での画素(k、i+1)の画素出力電圧Vpix_s’’(k,i+1)との差は、水平走査時間分だけであるので、
である。ただし、Nは固体撮像装置の行数である。これを式(17)に代入すれば、
が得られる。
このような構成によれば、露光時間に応じて高い精度で補正処理を行うことができる。
本発明は、画質に優れた固体撮像装置として、ビデオカメラ、スチルカメラ、携帯情報端末、車載カメラ、などのあらゆる撮像装置に利用できる。
100 積層型固体撮像装置
200 画素
201 光電変換部
203 画素電極
205 リセットトランジスタ
207 垂直信号線
209 選択トランジスタ
211 増幅トランジスタ
213 電荷蓄積部
301 固体撮像装置
303 画素エリア
305 垂直走査回路
307 画素
309 列アンプ
311 相関二重サンプリング回路
313 水平走査回路
315 出力アンプ
200 画素
201 光電変換部
203 画素電極
205 リセットトランジスタ
207 垂直信号線
209 選択トランジスタ
211 増幅トランジスタ
213 電荷蓄積部
301 固体撮像装置
303 画素エリア
305 垂直走査回路
307 画素
309 列アンプ
311 相関二重サンプリング回路
313 水平走査回路
315 出力アンプ
Claims (5)
- 固体撮像装置の信号処理方法であって、
前記固体撮像装置は複数の画素を備え、
各画素は、入射光によって電荷を発生する光電変換素子と、前記光電変換素子で発生した電荷を蓄える電荷蓄積容量と、前記電荷蓄積容量に蓄えられている電荷の量に応じた画素信号を生成する増幅器と、を有し、前記画素の電荷蓄積容量は、前記画素の電荷蓄積容量と他の画素の電荷蓄積容量との間に形成される寄生容量を有し、
前記信号処理方法は、
前記画素の前記画素信号の値から、前記電荷蓄積容量の値と、前記寄生容量の値と、前記他の画素の前記画素信号の値と、に応じた補正係数を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得る
固体撮像装置の信号処理方法。 - 前記補正係数は、前記寄生容量の値と、前記他の画素の画素信号の値と、に比例し、前記電荷蓄積容量の値に反比例する
請求項1に記載の固体撮像装置の信号処理方法。 - 前記複数の画素は、マトリクス状に配置されており、
各画素は、さらに、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットするためのリセットトランジスタと、前記増幅器で生成される前記画素信号を読み出すための選択トランジスタと、を有し、
前記固体撮像装置は、前記マトリクスの同一行に位置する前記画素について、前記画素信号を読み出し、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットし、前記画素信号の読み出しを停止する一連の動作を、行ごとに順次行い、
前記信号処理方法は、
前記画素から読み出された画素信号の値から、前記画素と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第1補正係数と、前記画素と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第2補正係数と、を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得る
請求項1に記載の固体撮像装置の信号処理方法。 - 前記複数の画素は、マトリクス状に配置されており、
各画素は、さらに、前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットするためのリセットトランジスタと、前記増幅器から出力される前記画素信号を読み出すための選択トランジスタと、を有し、
前記固体撮像装置は、
前記マトリクスの同一行に位置する前記画素から前記画素信号を読み出す動作を、行ごとに順次行い、
前記画素信号を読み出す順序において前記画素が位置する行の次の行に位置する隣接画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットした後、前記画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットし、露光時間を経たあと、前記画素から画素信号を読み出し、前記画素の前記電荷蓄積容量に蓄えられた電荷をリセットする動作を行い、
前記信号処理方法は、
前記画素から読み出された画素信号の値から、前記画素と同一行に位置しかつ左に隣接する第1隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第1補正係数と、前記画素と同一行に位置しかつ右に隣接する第2隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第2補正係数と、垂直走査順で前記画素の次行に位置しかつ前記画素に隣接する第3隣接画素から読み出された画素信号の値に応じた第3補正係数と、を減じることにより、前記画素について補正された画素信号の値を得る
請求項1に記載の固体撮像装置の信号処理方法。 - 前記第3補正係数は、前記寄生容量の値に比例し、前記第3画素から読み出された画素信号の値に、露光時間から水平走査時間を引いた値を掛け、露光時間で割った値に比例し、かつ前記電荷蓄積容量の値に反比例する
請求項4に記載の固体撮像装置の信号処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013180593A JP2015050604A (ja) | 2013-08-30 | 2013-08-30 | 固体撮像装置の信号処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013180593A JP2015050604A (ja) | 2013-08-30 | 2013-08-30 | 固体撮像装置の信号処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015050604A true JP2015050604A (ja) | 2015-03-16 |
Family
ID=52700275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013180593A Pending JP2015050604A (ja) | 2013-08-30 | 2013-08-30 | 固体撮像装置の信号処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015050604A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019012980A1 (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-17 | Eizo株式会社 | 画像処理装置及び画像処理方法 |
-
2013
- 2013-08-30 JP JP2013180593A patent/JP2015050604A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019012980A1 (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-17 | Eizo株式会社 | 画像処理装置及び画像処理方法 |
US11094284B2 (en) | 2017-07-10 | 2021-08-17 | Eizo Corporation | Rearranging columns and rows of two-dimensional image pixel data |
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