JP2015049165A - 交流磁場測定装置および交流磁場測定方法 - Google Patents

交流磁場測定装置および交流磁場測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 振動する探針を用いて試料から発生する交流磁場を測定する装置において、試料が、探針装置の実効的なバネ定数が変化しなくなる程度に高い周波数の交流磁場を発生する場合であっても、当該交流磁場の測定を可能にする。【解決手段】 励振周波数ω0で励振する探針111に、試料2から高い角周波数ωsの交流磁場を与える。これとともに、交流磁場発生装置132により、角周波数ωsとわずかに異なる角周波数成分(たとえば、ωs−ωm等)を1つ以上含む交流磁場を与える。これらの交流磁場(変調交流磁場)と探針磁化との磁気的相互作用により、探針111の角周波数ω0の振動は、角周波数ωs−ωmの交流磁場を与えた場合、変調角周波数ωmで変調され、実効的なバネ定数が変化する。信号抽出器14により探針111の振動を検出し、検出信号から励振振動に生じた変調信号を抽出する。この抽出信号に基づき、交流磁場応答測定器15により、試料111の交流磁場応答性を測定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、振動する探針を用いて、試料(信号を与えることで交流磁場を発生する試料)の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する交流磁場測定装置およびに交流磁場測定方法に関する。
特に、本発明は、周波数が数KHzより高い高周波磁場(典型的には、GHz以上の周波数)を、試料が発生する場合であっても、当該試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定することができる交流磁場測定装置および交流磁場測定方法に関する。
図3に示すように、試料80(図3では磁気ヘッド)の印加磁場応答性に係わる磁気特性は、磁気特性測定装置(磁気力顕微鏡)8により測定することができる。
磁気特性測定装置8では、カンチレバー81の先端の下面に、試料80に向けてハード磁性体からなる探針(以下、「ハード磁性探針」とも言う)83が形成されている。また、カンチレバー81の始端には、励振器(ピエゾ素子)82が設けられている。励振器82は、探針83を、角周波数ω0(周波数f0(=ω0/(2π))で機械的に振動させる。
探針83の機械的な振動(角周波数ω0)は、試料80から発生する角周波数ωsの交流磁場により周波数変調を受ける。
すなわち、探針83が、試料80が生成する交流磁場から磁気力を受けると、カンチレバー81のみかけ上のバネ定数が変化する。これにより、探針83の角周波数ω0の機械的な振動に周波数変調が生じる。
図3では励振器82の電源をAC1で示し、試料80に接続された電源をAC2で示す。
探針83の振動(周波数変調振動)は、レーザ光源841とフォトダイオード842からなる振動検出器84により検出される。
すなわち、レーザ光源841からの光は、カンチレバー81の先端の上面に形成されたミラーにより反射され、反射光はフォトダイオード842により検出される。
フォトダイオード842からの信号は周波数復調器85に入射される。
復調器85は、入力信号を周波数復調し、復調信号を磁気特性測定回路86に送出する。
磁気特性測定回路86は、復調器85から受け取った復調信号を解析することで、試料80の、交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定することができる(特許文献1)。
WO2009/101991
図3の磁気特性測定装置を用いた交流磁場測定においては、試料80から発生する試料面に垂直な方向(z方向)の交流磁場の成分は、次式で表される。ここで、探針83が変位する方向を試料面と垂直な方向とする。
z(t)=Hz0 accos(ωst)=Hz0 accos(2πfst)
z0 ac:試料80から発生する試料面に垂直方向の交流磁場の成分の振幅
ωs:試料80から発生する交流磁場の角周波数
s:試料80から発生する交流磁場の周波数(fs=ωs/(2π))
探針(ハード磁性探針)83に、カンチレバー81の共振周波数と異なる周波数の非共振の交流磁場を印加すると、非共振の交流磁気力が探針83に加わり、前述したように探針83の機械的な振動に周波数変調(FM)が誘起される。この周波数変調(FM)を利用して、試料80から発生する交流磁場を測定することができる。
探針83が、単磁極型(探針83の先端の磁極が受ける磁気力が主となる磁性探針の様態)のハード磁性探針であり、試料80が発生する交流磁場の試料面に垂直方向の成分がHz0 accos(ωst)であるとき、非共振の交流磁気力が探針83(ハード磁性探針)の先端の磁極に加わる。このとき、カンチレバー81の実効的なバネ定数(みかけ上のバネ定数)の、時間変化Δk(t)は次式で与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z=qtip dc{∂Hz(t)/∂z}
=qtip dc{∂Hz0 accos(ωst)/∂z}
tip dc:探針83(ハード磁性体探針)先端の磁極
z0 ac:試料80から発生する試料面に垂直方向の交流磁場の成分の振幅
ωs:試料80から発生する交流磁場の角周波数
また、探針83が双磁極型(探針83の磁化(磁気モーメント)の両端の磁極が磁気力を受ける磁性探針の様態)のハード磁性探針であり、探針の磁化の方向が試料面に垂直方向(z方向)であるときには、非共振の交流磁気力が探針83(ハード磁性探針)の磁気モーメントに加わる。このとき、カンチレバー81の実効的なバネ定数の、時間変化Δk(t)は次式で与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z=Mz dc{∂2z(t)/∂z2
=Mz dc{∂2z0 accos(ωst)/∂z2
z dc:ハード磁性探針の磁気モーメントの試料面に垂直な成分
カンチレバー81実効的なバネ定数の時間変化Δk(t)が、カンチレバー81の本来のバネ定数k0と比較して、充分に小さい場合(Δk(t)<<k0)、Δk(t)は、探針83の機械振動に狭帯域の周波数変調を誘起する。
ここで、周波数復調信号の、試料が生成する磁場と同相の成分(cos(ωst)成分)をロックイン検出することで、試料80の表面に垂直方向の交流磁場Hz0 accos(ωst)の振幅の勾配(∂Hz0 ac/∂z)の分布、または当該勾配の微分(∂2z0 ac/∂z2)の分布を測定することができる。
なお、本発明では、Hz0 acがゼロの場合、ロックイン検出するcos(ωmt)成分が消滅するので、交流磁場のゼロ検出が可能である。また、本発明では、Hz0 acの方向が反転すると、cos(ωst)の位相が180°変化するので、垂直磁場の上向き・下向きも同時に検出できる特徴をもつ。
実効的なバネ定数の時間変化Δk(t)が誘起する狭帯域の周波数変調のスペクトルは、機械的に励振した共振角周波数ω0(共振周波数f0)近傍の周波数成分の他に、一対のサイドバンドスペクトル(角周波数(ω0±ωs))の周波数成分を有する。
ここで、角周波数(ω0±ωs)の一対のサイドバンドスペクトルは、ωsが増加すると、共振角周波数ω0から遠ざかるので、共振効果がなくなる。これにより、カンチレバー81の実効的なバネ定数が探針本来のバネ定数と変わらなくなり、探針83が変位しにくくなる。
したがって、ωsが増加したときには、周波数変調FMが検出できなくなり、交流磁場の測定が困難になる場合がある。具体的には、周波数が数KHzを超えると交流磁場の検出が困難になる問題が生じる。
本発明は、周波数が数KHzより高い高周波磁場(典型的には、GHz以上の周波数)を試料が発生する場合であっても、当該試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を、高分解能を維持したまま測定することができる交流磁場測定装置および交流磁場測定方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、従来、交流磁場の周波数が高くなると、探針装置の実効的なバネ定数が探針装置本来のバネ定数と変わらなくなり探針が変位しにくくなる、という上述の現象に起因する不都合を、探針の位置における試料からの交流磁場に加えて、外部から、周波数がわずかに異なる交流磁場を与えることにより解消できる、との知見を得て本発明をなすに至った。
すなわち、本発明では、磁性探針を、交流磁場で探針の磁化が時間変化しないハード磁性探針から、交流磁場で探針の磁化が時間変化するソフト磁性体からなる探針(以下、「ソフト磁性探針」とも言う)に変え、探針に試料からの交流磁場に加えて、外部から周波数がわずかに異なる交流磁場を印加することで生じる、時間変化する探針の磁化と交流磁場との間の磁気的相互作用を利用する。この磁気的相互作用を用いて、探針装置の実効的なバネ定数の時間変化を低い周波数に変換することで、高い周波数の交流磁場を測定することができる。
本発明の交流磁場測定装置は(1)〜(6)を要旨とする。
(1)
交流磁場を発生する試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する交流磁場測定装置であって:
磁性体からなる探針を備え、前記探針が前記試料から発生する交流磁場により磁化される(バネ振動を行う梁部材:基本的にはフックの法則に従う)探針装置と;
前記探針を励振周波数で励振する励振器と;
前記試料を駆動し、前記交流磁場を発生させて、前記探針の磁化を交流磁場の極性に応じて周期的に反転させる試料駆動源(典型的には探針磁化を、電流により発生する磁場で駆動する電源)と;
前記探針の位置に、前記試料駆動源から発生する交流磁場の周波数とわずかに異なる周波数の磁場(典型的には少なくとも1つの周波数成分を有する交流磁場)を生じさせる交流磁場発生装置と;
前記探針の振動を検出し、前記検出信号から、前記励振器による機械的振動に対して生じた変調信号(前記変調交流磁場により前記探針装置の実効的なバネ定数が変化することにより生じた信号)を抽出する信号抽出器と;
前記信号抽出器により抽出した信号に基づき、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する交流磁場応答測定器と;
を備え、
たことを特徴とする交流磁場測定装置。
本発明で測定する、励磁用のコイルが形成された、交流磁場を発生する試料として、たとえば磁気記録ヘッドがある。磁気記録ヘッドは、薄膜プロセスにより作成される。なお、本明細書では、薄膜プロセスにより作成される磁気ヘッドの構成等は周知であるので、詳細な説明はしない。
本発明では、探針は、典型的には強磁性体であるが、常磁性体であってもよい。
本発明では、試料駆動源とわずかに異なる周波数の磁場を探針に印加する、交流磁場発生装置は、少なくとも1つ以上の周波数成分を有する。
(2)
(1)に記載の交流磁場測定装置であって:
交流磁場発生装置が、
交流磁場を発生するコイルと、
前記コイルに電流を流す変調用電源と、
ことを特徴とする交流磁場測定装置。
また、交流磁場発生装置は、典型的には、1つのコイルと1つの電流印加用電源から構成される。
コイルからの交流磁場の強度が小さいときに複数のコイルと付随する電流印加用電源により交流磁場を発生させることができる。
交流磁場発生装置は、1つのコイルと1つの電流印加用電源から構成される場合において、コイルには試料から発生する交流磁場の角周波数(ωs)とわずかに異なる2つ以上の電流(たとえば、角周波数ωs−ωm、ωs+ωm:ωmは小さい値の角周波数)を流すことができる。これにより、コイルからは角周波数ωs−ωm、ωs+ωmの交流磁場が発生する。
また、交流磁場発生装置は、たとえば複数(典型的には2つの)コイルと複数(典型的にはコイルと同数の)の電流印加用電源から構成することができる。コイルと電流印加用電源が2つの場合(コイルと電流印加用電源との組が2組)には、1方のコイルから角周波数ωs−ωmの交流磁場を発生させ、他方のコイルから角周波数ωs+ωmの交流磁場を発生させることができる。
なお、コイルは、探針装置(カンチレバー)の先端(探針側または、ミラー側)に設けることができる。
(3)
(1)に記載の交流磁場測定装置であって、
前記信号抽出器が、
前記探針装置の振動を検出する探針振動検出器と、
前記振動検出装置により検出した振動にかかる信号から、前記振動検出装置に与えられた磁気信号に対応する信号を復調する復調回路と、
を備えた、
ことを特徴とする交流磁場測定装置。
(4)
(1)に記載の交流磁場測定装置であって、
前記探針装置が、
前記探針と、
前記探針が先端に設けられたカンチレバーと、
からなり、
前記励振器が、
交流電源と、
カンチレバーと、
を含む、
ことを特徴とする交流磁場測定装置。
(5)
(1)に記載の交流磁場測定装置であって、
さらに走査機構を備え、
前記走査機構は、前記探針装置の探針を前記試料に対して三次元移動させる、
ことを特徴とする交流磁場測定装置。
(6)
(5)に記載の交流磁場測定装置であって、
さらに画像表示装置を備え、
前記画像表示装置は、前記走査機構により走査した前記探針の前記試料の表面上での各位置での、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定し、当該測定結果を画像表示する、
ことを特徴とする交流磁場測定装置。
本発明の交流磁場測定方法は(7)〜(11)を要旨とする。
(7)
交流磁場を発生する試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を、磁性体からなる探針を備えた探針装置を用いて測定する交流磁場測定方法であって:
励振器により前記探針を励振周波数で励振する励振ステップ;
前記試料を駆動し、前記交流磁場を発生させて、前記探針の磁化を交流磁場の極性に応じて周期的に反転させるとともに、前記探針の位置に、前記試料駆動源から発生する交流磁場の周波数とわずかに異なる周波数の磁場(典型的には少なくとも1つの周波数成分を有する交流磁場)を生じさせることで前記探針の機械的振動を変調する、機械変調生成ステップ;
前記探針の振動を検出し、前記検出信号から、機械的振動に対して生じた変調信号(前記変調交流磁場により前記探針装置の実効的なバネ定数が変化することにより生じた信号)を抽出する信号抽出ステップ;および、
前記信号抽出器により抽出した信号に基づき、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する測定ステップ;
を含む、
ことを特徴とする交流磁場測定方法。
(8)
(7)に記載の交流磁場測定方法であって、
前記信号抽出ステップは、振動検出ステップおよび復調ステップを含み、
前記振動検出ステップでは、前記探針装置の振動を検出し、
前記復調ステップでは、前記振動検出ステップにより検出した信号から、前記磁気信号に対応する信号を復調する、
交流磁場測定方法。
(9)
(7)に記載の交流磁場測定方法であって、
前記励振ステップでは、交流電源により圧電素子を駆動し、探針装置を励振する、
ことを特徴とする交流磁場測定方法。
(10)
(7)に記載の交流磁場測定方法であって、
さらに走査ステップを含み、
前記走査ステップでは、前記探針を前記試料に対して三次元移動させる、
ことを特徴とする交流磁場測定方法。
(11)
(10)に記載の交流磁場測定方法であって、
さらに画像表示ステップを含み、
前記画像表示ステップでは、前記走査ステップにおいて走査した前記探針の前記試料の表面上での各位置での、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定し、当該測定結果を画像表示する、
ことを特徴とする交流磁場測定方法。
探針に与えられる交流磁場の周波数が、前記探針に機械的な振動に変調を生じさせることができない程度に高い場合(たとえば、GHz以上)であっても、高分解能を維持しつつ試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定することができる。
また、垂直磁場の上向き・下向きも同時に検出できる。
本発明(磁気特性測定装置および磁気特性測定方法)において、探針としてソフト磁性探針を用いた場合の作用を以下に説明する。なお、本発明の交流磁場測定方法は、本発明の交流磁場測定装置を用いて実施することができる。
本発明において、試料から発生した交流磁場は探針に与えられる。これと同時に探針の位置には、別途設けられた交流磁場発生装置から、周波数がわずかに異なる交流磁場(探針の磁化を時間変化させるための交流磁場)が与えられる。
試料は、たとえば、コイルが形成された磁気記録ヘッド(書き込みヘッド)である。
交流磁場発生装置が発生する交流磁場は、試料が発生する交流磁場(基本角周波数ωs(基本周波数:fs、ωs=2πfs))角周波数が異なる交流磁場成分を少なくとも1つ含む必要がある。
たとえば、スペクトラムに、基本角周波数ωsと異なる交流磁場成分を1つ含む場合がある。
また、振幅変調(AM変調)や狭帯域の周波数変調(FM変調)の場合では、スペクトラムに、基本角周波数ωsと異なる交流磁場成分を2つ含む。
まず、交流磁場発生装置が発生する交流磁場が、1つの周波数成分をもつ場合を以下に説明する。
この場合、試料から発生する交流磁場の基本角周波数ωsは、数KHzより高くてもよく、GHz以上でもよい。
探針の磁化は、次のようにして変調される。
試料に、基本角周波数(本実施例では、実際の使用時に試料に与える角周波数と同じ角周波数)ωsの交流磁場を発生させる。
一方、探針に、試料以外から、角周波数ωsとわずかに異なる角周波数ωs+ωmまたはωs−ωm(ωmは低角周波数)の交流磁場(本発明における、変調磁場)を印加する。ここで、ソフト磁性探針の磁化が、交流磁場発生装置からの交流磁場のみにより励磁される場合を考えると、探針は変調磁場により角周波数ωs+ωmまたはωs−ωmで励磁され、探針の磁化が変調される。
これにより、探針は、角周波数ωs−ωmまたはωs+ωmの変調磁場により励磁され、磁化が変調される。
探針に、以上のような変調した交流磁場を与えることにより、探針には、低角周波数(変調周波数)ωmの交流磁気力が誘起される。この低角周波数ωmの交流磁気力は、ソフト磁性探針と交流磁場との間の磁気的相互作用によるものである。
これにより、探針の機械的振動に周波数変調が生じ、この機械的な周波数変調を利用して、試料(磁気ヘッド)の交流磁場の応答性、あるいは、試料が発生する交流磁場(高周波磁場)の測定が可能となる。
以下に、角周波数ωsの交流磁場を発生する試料の磁場の検出を、交流磁場発生装置を用いて、外部からソフト磁性探針に、この交流磁場の角周波数ωsとわずかに異なる、ωs+ωm(ωmは低角周波数)の交流磁場を発生させて、ソフト磁性探針を励磁して行う場合について説明する。ここで、探針が変位する方向を試料面と垂直な方向とし、この方向をz方向とする。試料から発生する交流磁場のz成分を以下で表す。
z(t)=Hsample ac(t)=Hz0 accos(ωst) (数式1)
z0 ac:試料から発生する交流磁場(角周波数ωs)の、試料面に垂直な成分の振幅
ωs:試料から発生する交流磁場の角周波数
この場合、試料から発生する交流磁場の基本角周波数ωsは、数KHzより高くてもよく、GHz以上でもよい。
一方、交流磁場発生装置を用いて、探針に、外部から、角周波数ωs+ωmを与える。ここで、交流磁場発生装置から発生する交流磁場のz成分を以下で表す。
z(t)=Hexternal ac(t)
=αHz0 accos((ωs+ωm)t) (数式2)
α:交流磁場発生装置が発生する試料面に垂直方向の交流磁場成分の振幅の、試料から発生する試料面に垂直方向の交流磁場成分の振幅に対する比率
ωm:ωsと比較して非常に低い角周波数(ωm<<ωs
試料の交流磁場応答性を測定する際には、空間分解能を向上させるために、探針と試料との距離(「探針・試料間距離」と言う)を減少させる必要がある。前記探針・試料間距離の減少に伴い、探針の磁気的な挙動は、双磁極型(探針の磁化の磁気モーメントの両端の磁極が磁気力を受ける磁性探針の様態)から、単磁極型(探針の先端の磁極が受ける磁気力が主となる磁性探針の様態)に変化する。
最初にソフト磁性探針の磁化が、交流磁場発生装置からの交流磁場のみにより励磁される場合を考える。
ここでは、単磁極型のソフト磁性探針の場合について説明する。
交流磁場発生装置から探針に印加される交流磁場により、探針の先端には、次式の磁極が発生する。
ρ(t)=ρtip ac(t)
=ρ0 accos((ωs+ωm)t) (数式3)
試料から発生する交流磁場と、別途設けた交流磁場発生装置からの交流磁場により時間変化する、探針の磁極との相互作用により、実効的なバネ定数は次式のように与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z
=ρ(t)(∂Hz(t)/∂z)
=ρtip ac(t)(∂Hsample ac(t)/∂z)
=ρ0 accos((ωs+ωm)t)
(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωst)) (数式4)
上式から、低角周波数ωmで時間変化する実効バネ定数成分Δklowは、次式で与えられる。
Δklow
=(1/2)ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt) (数式5)
上式は、Δklowのcos(ωmt)成分による探針振動の周波数変調(FM)を利用し、高周波磁場Hz0 accos(ωst)を、低角周波数に周波数変換(ダウンコンバート)することで、高周波磁場の振幅(∂Hz0 ac/∂z)の測定が可能になることを意味する。
ここで、探針励磁用の交流信号に係わる、cos(ωmt)成分の振幅をロックインアンプにより検出することで、(∂Hz0 ac/∂z)の分布を、直流成分を利用する場合と比較して、交流磁場を高感度かつ空間分解能が向上する試料表面近傍でイメージングすることができる。なお、直流成分を利用する場合には、試料表面近傍では、表面に起因する近距離力と磁気力の分離ができないので、交流磁場の計測は困難である。
試料面に垂直な磁場成分である、Hz0 acがゼロの場合、ロックイン検出による、cos(ωmt)成分が消滅するので、磁場のゼロ検出が可能である。なお、直流成分を利用する場合には、磁場のゼロ検出は不可能である。
また、Hz0 acの方向が反転すると、cos(ωst)成分の位相が、次式のように、180°変化する。
(1/2)ρ0 ac(−∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt)
=(1/2)ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt±π) (数式6)
すなわち、本発明では、は垂直磁場の、上向き・下向きも同時に検出することができる。
上記の例では、探針を励磁する、交流磁場は、別途設けた交流磁場発生装置が発生する、角周波数がωsとは異なる1つの周波数成分(ωs+ωm)を持つ交流磁場であった。
次に、探針の磁化を励磁する、別途設けた交流磁場発生装置が2つの周波数成分を持つ典型的な例として、振幅変調した交流磁場を与える場合について説明する。このとき、交流磁場発生装置から探針に印加される交流磁場は、次式で与えられる。
z(t)=Hz0 accos(ωs+ωm)t+Hz0 accos(ωs−ωm)t
=(2Hz0 accos(ωmt))cos(ωst) (数式7)
この場合には、探針の磁化は、(数式7)の交流磁場により励磁され、これにより、単磁極型のソフト磁性探針の先端には、次式で与えられる磁極が発生する。
ρ(t)=ρtip ac(t)
=ρ0 accos((ωs+ωm)t)+ρ0 accos((ωs−ωm)t)
=ρ0 accos(ωmt)cos(ωst) (数式8)
試料から発生する交流磁場と、別途設けた交流磁場発生装置より励磁された探針の磁極との相互作用により、実効的なバネ定数は時間変化し、次式で与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z
=ρ(t)(∂Hz(t)/∂z)
=ρtip ac(t)(∂Hsample ac(t)/∂z)
=(ρ0 accos((ωs+ωm)t)
+ρ0 accos((ωs−ωm)t))
(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωst) (数式9)
上式から、低角周波数の実効バネ定数成分Δklowは、次式で与えられる。
Δklow=ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt) (数式10)
振幅変調した交流磁場を用いた場合、先に説明した1周波数の交流磁場の場合と比較して、cos(ωmt)成分の信号強度が2倍になる特徴がある。
次にソフト磁性探針の磁化が、交流磁場発生装置からの交流磁場に加えて、試料からの交流磁場によっても励磁される場合を考える。
ここでは、単磁極型のソフト磁性探針の場合について説明する。
ここで、探針が変位する方向を試料面と垂直な方向(z方向)とし、探針磁化を励磁する交流磁場の、試料面に垂直な成分を以下で表す。
z(t)=Hsample ac(t)+Hexternal ac(t)
=Hz0 accos(ωst)+αHz0 accos(ωs+ωm)t (数式11)
z0 ac:試料から発生する交流磁場(角周波数ωs+ωm)の、試料面に垂直な成分の振幅
α:交流磁場発生装置から発生する試料面に垂直方向の交流磁場成分の振幅の、試料から発生する試料面に垂直方向の交流磁場成分の振幅に対する比率
ωs:試料から発生する交流磁場の角周波数
ωm:ωsと比較して非常に低い角周波数(ωm<<ωs
上記の交流磁場により、探針の先端には、次式の磁極が発生する。
ρ(t)=ρtip ac(t)
=ρ0 accos(ωs+ωm)t+βρ0 accos(ωst) (数式12)
ρ0 ac:交流磁場発生装置から発生する交流磁場(角周波数ωs+ωm)による探針先端の磁極密度(探針磁極)の振幅
β:試料からの交流磁場(角周波数ωs)により発生する探針磁極の振幅の、交流磁場発生装置からの交流磁場により発生する探針磁極の振幅に対する比率
(数式11)および(数式12)より、実効的なバネ定数の時間変化は、次式で与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z
=ρ(t)(∂Hz(t)/∂z)
=ρtip ac(t)(∂Hsample ac(t)/∂z)
={ρ0 accos(ωs+ωm)t+βρ0 accos(ωst)}
{(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωst)
+α(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωs+ωm)t} (数式13)
(数式13)から、直流を含む、低角周波数の実効バネ定数成分Δklowは、次式で与えられる。
Δklow={(α+β)/2}ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)
+{(1+αβ)/2}ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt)
(数式14)
(数式14)は、実効バネ定数成分Δklowのcos(ωmt)成分による探針振動の周波数変調(FM)を利用し、高周波磁場Hz0 accos(ωst)を、低角周波数に周波数変換(ダウンコンバート)することで、高周波磁場の振幅(∂Hz0 ac/∂z)の測定が可能になることを意味する。
ここで、探針励磁用の交流信号に係わる、cos(ωmt)成分の振幅をロックインアンプにより検出することで、(∂Hz0 ac/∂z)の分布を、直流成分を利用する場合と比較して、交流磁場を高感度でかつ空間分解能が向上する試料表面近傍でイメージングすることができる。なお、直流成分を利用する場合には、試料表面近傍では、表面に起因する近距離力と磁気力の分離ができないので、交流磁場の計測は困難である。
さらに、cos(ωmt)成分を検出する本発明では、試料面に垂直な磁場成分である、Hz0 acがゼロの場合、ロックイン検出による、cos(ωmt)成分が消滅するので、磁場のゼロ検出も可能である。なお、直流成分を利用する場合には、磁場のゼロ検出は不可能である。
また、Hz0 acの方向が反転すると、cos(ωmt)成分の位相が、次式のように、180°変化する。
ρ0 ac(−∂Hz0 ac/∂z){(1+αβ)/2}cos(ωmt)
=ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z){(1+αβ)/2}cos(ωmt±π) (数式15)
すなわち、本発明では、垂直磁場の方向(上向き・下向き)も同時に検出できる特徴を持つ。
上記の例では、探針磁化を励磁する交流磁場は、ωsと(ωs+ωm)の2つの周波数成分を持つ交流磁場であった。次に、探針磁化を励磁する交流磁場が3つの周波数成分を持つ代表例として、ωsと(ωs+ωm)および(ωs−ωm)の角周波数成分を有する、振幅変調した交流磁場を交流磁場発生装置から発生させる場合について説明する。
このとき、探針磁化を励磁する交流磁場は、次式で与えられる。
z(t)=Hsample ac(t)+Hexternal ac(t)
=Hz0 accos(ωst)+αHz0 accos(ωs+ωm)t
+αHz0 accos(ωs−ωm)t
=Hz0 ac(1+2αcos(ωmt))cos(ωst) (数式16)
探針の先端には、次式で表される磁極が発生する。
ρ(t)=ρtip ac(t)
=ρ0 accos(ωs+ωm)t+ρ0 accos(ωs−ωm)t
+βρ0 accos(ωst) (数式17)
(数式16)および(数式17)より、実効的なバネ定数の時間変化は、次式で与えられる。
Δk(t)=∂Fz/∂z
=ρ(t)(∂Hz(t)/∂z)
=ρtip ac(t)(∂Hsample ac(t)/∂z)
={ρ0 accos(ωs+ωm)t+ρ0 accos(ωs−ωm)t
+βρ0 accos(ωst)}
{(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωst)
+α(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωs+ωm)t
+α(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωs−ωm)t} (数式18)
(数式18)から、直流を含む、低角周波数の実効バネ定数成分Δklowは、次式で表される。
Δklow={(α+β)}ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)
+{(1+αβ)}ρ0 ac(∂Hz0 ac/∂z)cos(ωmt) (数式19)
上記から、Δklowのcos(ωmt)成分による、探針振動の周波数変調(FM)を利用し、同様に高周波磁場の振幅(∂Hz0 ac/∂z)の測定が可能になることがわかる。
振幅変調した交流磁場を用いた場合、先に説明した1つの周波数の交流磁場の場合と比較して、cos(ωmt)成分の信号強度が2倍になる特徴がある。
図1は本発明の交流磁場測定装置の一実施形態を示す説明図である。 図2は本発明の交流磁場測定方法を示すフローチャートである。 図3は従来技術(交流磁場測定装置)の説明図である。
図1は本発明の交流磁場測定装置を示す説明図であり、交流信号を与えることで交流磁場を発生する試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を探針装置により測定することができる。
図1において、交流磁場測定装置1は、探針装置(カンチレバー)11と、励振器12と、試料駆動源131と、交流磁場発生装置132と、信号抽出器14と、交流磁場応答測定器15と、走査機構16と、画像表示装置17とから構成されている。
図1では、探針装置11は、カンチレバー112と、カンチレバー112の先端(自由端)に設けられたソフト磁性体からなる探針111により構成される。探針111はソフト磁性体から構成されており、探針111の先端の磁極の極性は、試料2が発生する磁場の極性に追従して変化する。
本実施形態では、探針111は、シリコン探針に保磁力が小さく飽和磁束密度の大きなFeCo合金等を被覆して形成される。
励振器12は、交流電源121と圧電素子(ピエゾ素子)122とからなり、探針111を励振する(機械振動させる)ことができる。交流電源121が圧電素子122に与える角周波数はω0である。励振器12は探針111を探針装置11の固有振動数または固有振動数に近い角周波数ω0(本実施形態では、周波数f0=300kHz程度)で励振している。
なお、探針111が交流磁場H0の影響を受けることで探針装置11の実効的な(みかけ上の)バネ定数が変化する。これにより、探針111の振動に周波数変調が生じる。
試料駆動源131は、角周波数ωsの交流電流を出力する電源(電流源または電圧源)である。試料駆動源131は、試料2を駆動し、試料2から角周波数ωsの交流磁場を発生させ、探針111の磁化を交流磁場の極性に応じて周期的に反転させる。すなわち、試料駆動源131は、試料2のコイル21に交流電流を流し、試料2から角周波数ωsの交流電流を発生させる。
交流磁場発生装置132は、コイル1321と、電源1322とからなり、電源1322はコイル1321に電流を流し、コイル1321は交流磁場を発生する。すなわち、交流磁場発生装置132は、探針11の位置における角周波数ωsの交流磁場H0cos(ωst}(試料2から発生した交流磁場)と周波数がわずかに異なる、探針磁化を励磁するための磁場(ωsと異なる1つ以上の周波数成分を有する)を探針111の位置に、印加する。
すなわち、交流磁場発生装置132は、角周波数ωsの交流磁場と角周波数がわずかに異なる角周波数(ωs±ωm)の交流磁場H0cos{(ωs±ωm)t}を探針111に与える。
図1では、試料2はコイル21を備えた磁気発生装置であり、試料2に与えられる交流信号(ωs±ωm)は、コイル21に流される交流電流である。なお、試料2は、典型的には、ハードディスクの書込み用の磁気ヘッドである。
信号抽出器14は、探針振動検出器141と、復調回路142とからなる。
探針振動検出器141は、探針111の振動を検出する。探針振動検出器141は、レーザ1411と光センサ(フォトダイオード)1412からなる。
探針111は、交流磁場が与えられていないときには、角周波数ω0で振動しているが交流磁場が与えられると機械振動に周波数変調を受ける。本発明では、交流磁場は変調された高周波数磁場であり、探針装置11は変調周波数ωmでバネ定数が変化するように振舞う。したがって、探針111の角周波数ω0で振動している探針111は、変調周波数ωmで変調を受けるようになる。
復調回路142は、探針振動検出器141の検出信号を入力し、検出信号に含まれる探針111の機械振動に生じた変調信号(振動周波数がω0から周期的に変調周波数で時間変化する変調信号)から変調角周波数ωmの信号を復調することができる。
交流磁場応答測定器15は、復調回路142により復調した信号に基づき、試料2の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する。言い換えると、交流磁場応答測定器15は、変調周波数ωmの信号は探針111の振動の周波数変調の程度より、試料2の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する。
交流磁場応答測定器15は、ロックインアンプ151、振幅測定回路152、位相測定回路153、同相成分測定回路154および直交成分測定回路155から構成することができる。
空間分解能向上のために、探針・試料間距離を減少させた場合に対応する、上述した単磁極型のソフト磁性探針の場合には、ロックインアンプ151の出力から、振幅測定回路152は周期変動磁場∂Hm/∂zの振幅を検出できるし、位相測定回路153は周期変動磁場∂Hzm/∂zの位相を検出できる。
走査機構16は、探針装置11を試料2に対して相対移動させることで探針111を試料2の面の上で走査させることができる。たとえば、走査機構16は、三次元移動ステージ(X−Y−Z方向に移動できるステージ)とすることができる。三次元移動ステージには、試料2が取り付けられる。
走査機構16による走査に際して、探針111と試料2との距離を予め検出しておくことができる。本実施形態では、走査機構16の機能が探針・試料間距離の調整を行うように構成されている。
画像表示装置17は、コンピュータとディスプレイから構成できる。画像表示装置17は、試料2の表面の交流磁場(または、交流磁場応答性)の測定結果を、走査機構16の走査位置情報(本実施形態では、xy座標情報またはxyz座標情報)をメモリに記憶しておくことができる。そして、画像表示装置17は、走査位置情報に対応させて交流磁場(または、交流磁場応答性:各位置における磁場の強度)を二次元表示または三次元表示する。
画像表示装置17は、走査機構16により走査された探針111の試料2の面の上での多数の位置で、試料2の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定し、測定結果をメモリに記憶しておくことができる。そして、測定結果を画像表示することができる。
図2は本発明の交流磁場測定方法を示すフローチャートである。
図2に示す、ステップS110〜200の処理は、上述した本発明の交流磁場測定装置における各構成要素(探針装置11、励振器12、試料駆動源131、交流磁場発生装置132、信号抽出器14、交流磁場応答測定器15、走査機構16および画像表示装置17)により行われる。
走査機構16が走査を開始する(初期座標X=0,Y=0に、座標がセットされる)(S110)。
試料駆動源131は、角周波数ωsの交流信号で試料2を駆動し、試料2は角周波数ωsの交流磁場を発生し、探針111に与える。交流磁場発生装置132は、角周波数ωsとわずかに角周波数の異なる(角周波数差:ωm)の交流磁場を発生し、探針111に与える(S120)。
励振器12により、探針111を励振し(機械振動させ)、探針111を2つ以上の周波数成分を持つ交流磁場で励磁し、交流磁場と探針磁化の磁気的相互作用により実効的なバネ定数を変化させる(S130)。
信号抽出器14の一部を構成する探針振動検出器141は、探針111の振動を検出し検出信号を生成する(S140)。
信号抽出器14の一部を構成する復調回路142は、検出信号に含まれる探針111の機械振動に生じた変調信号(機械的な変調による信号)を復調する(S150)。
交流磁場応答測定器15は、復調した信号に基づき、試料2の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する(S160)。探針111の振動に生じる周波数変調の程度より、試料2の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する。
交流磁場応答測定器15は、測定結果を記憶装置(図1の符号171参照)に格納する(S170)。
交流磁場応答測定器15は、走査機構16が全座標を走査したかを判断する(S180)。
走査機構16が全座標を走査していないときは、処理がS120に戻され、新たな座標についてS120〜180の処理が行われる。
走査機構16が全座標を走査したときは、画像表示装置17に、測定結果が画像表示される(S190)。
1 交流磁場測定装置
2 試料
11 探針装置
12 励振器
13 試料駆動源
14 信号抽出器
15 交流磁場応答測定器
16 走査機構
17 画像表示装置
21 コイル
111 探針
112 カンチレバー
121 交流電源
122 圧電素子(ピエゾ素子)
131 試料駆動源
132 交流磁場発生装置
141 探針振動検出器
142 復調回路
151 ロックインアンプ
152 振幅測定回路
153 位相測定回路
154 同相成分測定回路
155 垂直成分測定回路
171 記憶装置
1411 レーザ
1412 光センサ(フォトダイオード)

Claims (11)

  1. 交流磁場を発生する試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する交流磁場測定装置であって:
    磁性体からなる探針を備え、前記探針が前記試料から発生する交流磁場により磁化される(バネ振動を行う梁部材:基本的にはフックの法則に従う)探針装置と;
    前記探針を励振周波数で励振する励振器と;
    前記試料を駆動し、前記交流磁場を発生させて、前記探針の磁化を交流磁場の極性に応じて周期的に反転させる試料駆動源(典型的には探針磁化を、電流により発生する磁場で駆動する電源)と;
    前記探針の位置に、前記試料駆動源から発生する交流磁場の周波数とわずかに異なる周波数の磁場(典型的には少なくとも1つの周波数成分を有する交流磁場)を生じさせる交流磁場発生装置と;
    前記探針の振動を検出し、前記検出信号から、前記励振器による機械的振動に対して生じた変調信号(前記変調交流磁場により前記探針装置の実効的なバネ定数が変化することにより生じた信号)を抽出する信号抽出器と;
    前記信号抽出器により抽出した信号に基づき、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する交流磁場応答測定器と;
    を備え、
    たことを特徴とする交流磁場測定装置。
  2. 請求項1に記載の交流磁場測定装置であって:
    交流磁場発生装置が、
    交流磁場を発生するコイルと、
    前記コイルに電流を流す変調用電源と、
    を備えた、
    ことを特徴とする交流磁場測定装置。
  3. 請求項1に記載の交流磁場測定装置であって:
    前記信号抽出器が、
    前記探針装置の振動を検出する探針振動検出器と、
    前記振動検出装置により検出した振動にかかる信号から、前記振動検出装置に与えられた磁気信号に対応する信号を復調する復調回路と、
    を備えた、
    ことを特徴とする交流磁場測定装置。
  4. 請求項1に記載の交流磁場測定装置であって:
    前記探針装置が、
    前記探針と、
    前記探針が先端に設けられたカンチレバーと、
    からなり、
    前記励振器が、
    交流電源と、
    カンチレバーと、
    を含む、
    ことを特徴とする交流磁場測定装置。
  5. 請求項1に記載の交流磁場測定装置であって:
    さらに走査機構を備え、
    前記走査機構は、前記探針装置の探針を前記試料に対して三次元移動させる、
    ことを特徴とする交流磁場測定装置。
  6. 請求項5に記載の交流磁場測定装置であって:
    さらに画像表示装置を備え、
    前記画像表示装置は、前記走査機構により走査した前記探針の前記試料の表面上での各位置での、前記試料の交流磁場応答性を測定し、当該測定結果を画像表示する、
    ことを特徴とする交流磁場測定装置。
  7. 交流磁場を発生する試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を、磁性体からなる探針を備えた探針装置を用いて測定する交流磁場測定方法であって:
    励振器により前記探針を励振周波数で励振する励振ステップ;
    前記試料を駆動し、前記交流磁場を発生させて、前記探針の磁化を交流磁場の極性に応じて周期的に反転させるとともに、前記探針の位置に、前記試料駆動源から発生する交流磁場の周波数とわずかに異なる周波数の磁場(典型的には少なくとも1つの周波数成分を有する交流磁場)を生じさせることで前記探針の機械的振動を変調する、機械変調生成ステップ;
    前記探針の振動を検出し、前記検出信号から、機械的振動に対して生じた変調信号(前記変調交流磁場により前記探針装置の実効的なバネ定数が変化することにより生じた信号)を抽出する信号抽出ステップ;および、
    前記信号抽出器により抽出した信号に基づき、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定する測定ステップ;
    を含む、
    ことを特徴とする交流磁場測定方法。
  8. 請求項7に記載の交流磁場測定方法であって:
    前記信号抽出ステップは、振動検出ステップおよび復調ステップを含み、
    前記振動検出ステップでは、前記探針装置の振動を検出し、
    前記復調ステップでは、前記振動検出ステップにより検出した信号から、前記磁気信号に対応する信号を復調する、
    交流磁場測定方法。
  9. 請求項7に記載の交流磁場測定方法であって:
    前記励振ステップでは、交流電源により圧電素子を駆動し、探針装置を励振する、
    ことを特徴とする交流磁場測定方法。
  10. 請求項7に記載の交流磁場測定方法であって:
    さらに走査ステップを含み、
    前記走査ステップでは、前記探針を前記試料に対して三次元移動させる、
    ことを特徴とする交流磁場測定方法。
  11. 請求項10に記載の交流磁場測定方法であって:
    さらに画像表示ステップを含み、
    前記画像表示ステップでは、前記走査ステップにおいて走査した前記探針の前記試料の表面上での各位置での、前記試料の交流磁場(または、交流磁場応答性)を測定し、当該測定結果を画像表示する、
    ことを特徴とする交流磁場測定方法。
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