JP5050208B2 - 透磁率測定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、磁性体の透磁率を測定する透磁率測定装置に関し、特に、磁性体の一部である微少領域の透磁率を測定し、また、磁性体の非線形の透磁率を測定することができる透磁率測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体の透磁率μは、例えば、磁性体の磁界Hと磁束密度Bを求め、電磁気学における既知の関係式B=μHから求めることができる。原理的な測定方法としては、例えば、被測定材料をトロイダルコアとし、コアに巻き付けられたコイルに流れる電流から磁界Hを求め、磁束の変化として検出される電圧から磁束密度Bを求めることで、被測定材料の透磁率μを求めることができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、上記原理を用いた透磁率測定方法であって、被測定材料をトロイダル形状にすることなく、簡便に透磁率を測定するための構成が開示されている。具体的には、図5に開示されているように、参照コイルのギャップ部に磁位を形成する磁路を形成し、その磁路に磁束を発生させ、ピックアップコイルにより磁路中の磁束を検知し、参照コイルに磁束を発生させながら磁路のギャップ部に被測定材料を設置し、ギャップ部における被測定材料の有無によるピックアップコイルの磁束変動を検知することで、被測定材料の透磁率を測定する。
【0004】
また、下記特許文献2には、LC共振回路のコイルの近傍に非接触に被測定材料を配置し、被測定材料の透磁率に応じてコイルのインダクタンスが変化することを利用し、共振周波数の変化を位相差として取り出し、被測定材料の透磁率を求める方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3は、本発明の発明者によってなされた発明であって、共振器のコンデンサの容量変化により、被測定材料である誘電体の微少領域における非線形誘電率を測定する装置について開示しているが、磁性体の透磁率を測定するものではない。
【特許文献1】
特開2003−121419号公報
【特許文献2】
特開2002−296240号公報
【特許文献3】
特開平8−75806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献などに代表されるように、従来の透磁率測定は、被測定材料全体の透磁率を求めるものであって、被測定材料が一様な透磁率分布を有していない場合、被測定材料の透磁率の平均値しか測定することができず、透磁率が異なる微少領域単位の正確な透磁率を測定することはできない。
【0007】
また、被測定材料の磁気分極方向は、従来の透磁率測定で求められる一次(線形)の透磁率では求めることができず、被測定材料の微少領域単位に非線形の透磁率を測定する必要があるが、磁性体の非線形透磁率を微少領域単位に測定する方法についての提案はいまだなされていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、磁性体の線形透磁率及び非線形透磁率を微少領域単位に測定することができる透磁率測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第一の構成である透磁率測定装置は、被測定磁性体に所定周波数の交番磁界を印加する磁界発生手段と、交番磁界が印加された被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される前記交番磁界の周波数より高い共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域の透磁率の変化により前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、前記コイルのインダクタンスの変化に応じた前記共振器の共振周波数の変化により、被測定磁性体の前記微少領域の透磁率を測定する測定手段とを備えることを特徴する。
【0010】
本発明の第二の構成である透磁率測定装置は、上記第一の構成において、前記測定手段が、前記共振周波数の変化に応じた周波数の発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号を復調した電圧信号を出力する復調手段と、前記電圧信号の直流成分から線形透磁率を検出する検出手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の第三の構成である透磁率測定装置は、上記第一の構成において、前記測定手段が、前記共振周波数の変化に応じた周波数の発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号を復調した電圧信号を出力する復調手段と、前記電圧信号の交流成分から非線形透磁率を検出する検出手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第四の構成である透磁率測定装置は、上記第三の構成において、前記検出手段が、前記電圧信号の交流成分のうちの前記交番磁界の所定周波数成分から、最低次の非線形透磁率を測定し、前記交番磁界の所定周波数の2以上の整数倍の周波数成分から、最低次より高次の非線形透磁率を測定することを特徴とする。
【0013】
本発明の第五の構成である透磁率測定装置は、上記第四の構成において、前記検出手段が、最低次の非線形透磁率を含む奇数階テンソルの非線形透磁率の符号に基づいて、前記微少領域の磁化の向きを測定することを特徴とする。
【0014】
本発明の第六の構成である透磁率測定装置は、上記第四の構成において、さらに、前記探針を前記被測定材料に対して相対的に移動させる走査手段と、前記検出手段により検出される高次の非線形透磁率の測定レベルに基づいて、前記探針と前記被測定材料との間隔が一定距離になるように非接触制御する間隔制御手段とを備え、前記検出手段が、前記高次の非線形透磁率より低次の非線形透磁率を測定することを特徴とする。
【0015】
本発明の第七の構成である透磁率測定装置は、上記第四の構成において、前記磁界発生手段が、磁界方向が所定面内で順次回転する回転磁界を印加することを特徴とする。
【0016】
本発明の第八の構成である透磁率測定装置は、上記第一乃至第七の構成のいずれかにおいて、前記探針が、当該探針と接続し且つ前記探針とほぼ平行に被測定材料に近接する位置まで延びる延伸部を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第九の構成である磁界測定装置は、被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される所定の共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域の磁界の変化により前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、前記コイルのインダクタンスの変化に応じた前記共振器の共振周波数の変化により、被測定磁性体の前記微少領域の磁界を測定する測定手段とを備えることを特徴する。
【0018】
本発明の第十の構成である電子スピン共鳴装置は、被測定磁性体に所定周波数の交番磁界と直流磁界を重畳して印加する磁界発生手段と、前記被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される所定の共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域で生じる電子スピン共鳴により少なくとも前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、前記共振器の共振周波数又は共振レベルの変化により、被測定磁性体の微少領域における電子スピン共鳴を測定する測定手段とを備えることを特徴する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第一の構成によれば、磁性体の微少領域における透磁率の変化を高感度に測定することができる。本発明の第二の構成によれば、磁性体の微少領域における線形透磁率の変化を測定することができる。本発明の第三の構成によれば、磁性体の微少領域における非線形透磁率の変化を高感度に測定することができる。本発明の第四の構成によれば、最低次から高次の非線形透磁率を測定することができる。本発明の第五の構成によれば、微少領域の磁化の向き(磁気分極方向)を測定することができる。本発明の第六の構成によれば、透磁率測定に必要な感度を確保できるように被測定材料と探針との間隔が一定になるように制御し、非接触で高感度に透磁率を測定することができる。本発明の第七の構成によれば、回転磁界を印加することで、2次元又は3次元の全方向に対する磁気分極を測定することができる。本発明の第八の構成によれば、磁気回路における漏れ磁束を抑え、高感度な透磁率測定が可能となる。本発明の第九の構成によれば、磁性体の磁界を測定することができる。本発明の第十の構成によれば、磁性体の電子スピン共鳴を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における透磁率測定装置の構成例を示す図である。
【図2】強磁性体のヒステリシス曲線と非線型透磁率との関係を説明する図である。
【図3】磁気回路のモデルを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における透磁率測定装置の別の構成例を示す図である。
【図5】磁気ドメイン(磁区)の測定実施例を示す図である。
【図6】交番磁界の強度と非線形透磁率変化に対応する出力信号の強度との関係の計測結果を示す図である。
【図7】本実施の形態例における透磁率測定装置の磁界分布を測定するための構成例を示す図である。
【図8】本実施の形態例における透磁率測定装置の電子スピン共鳴を測定するための構成例を示す図である。
【図9】探針21直下の高周波磁界の分布を示す図である。
【図10】水平面に回転磁界を印加する原理構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1:被測定材料(磁性体)、10:磁界発生部、11:交流電源、20:プローブ、21:探針、22:LC共振回路、22a:コイル、22b:コンデンサ、23:発振器、24:復調回路、25:同期検波器、29:分布定数型共振器、31:直流磁界印加用電磁石、32:低周波磁界モジュレーションコイル
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態における透磁率測定装置の構成例を示す図である。なお、図1の構成は、被測定材料の非線形透磁率を測定する構成である。図1において、磁界発生部10は、角周波数ωpの交流電源11に接続されたコイルを有して構成され、磁性体である被測定材料1の直下に配置される。そして、コイルに交流電流を流すことで、被測定材料1に振幅が大きく且つ低周波の角周波数ωp(例えば10kHz)の交番磁界が印加される。
【0024】
磁界発生部10はほぼ水平な面を有し、その面上に、被測定材料1が載置される。被測定材料1の上面は下面とほぼ平行であり、被測定材料1の上面には、プローブ20が走査可能に配置される。
【0025】
プローブ20は、線形透磁率の高い常磁性体又はできるだけ常磁性体に近いその他の磁性体で形成された探針21、探針21に巻き付けられたコイル22a、外付けのコンデンサ22b及び発振器23とを有して構成される。
【0026】
探針21の尖った先端部分は、被測定材料1の上面に接し、好ましくは、探針21はコの字形状に形成され、探針21と接続し且つ探針21とほぼ平行に且つ被測定材料1に近接するように延びる延伸部21aを有する。これにより、探針21は、被測定材料1と一体となって磁気回路を形成する。磁気回路の磁気抵抗の変化は、後述するように、探針21の鋭く尖った先端部分に接する被測定材料1の表面近傍の透磁率変化に最も強く影響を受ける。
【0027】
探針21に巻きつけられたコイル22aと当該コイル22aに並列に接続されたコンデンサ22bとによりLC共振回路22が構成され、共振周波数による微少高周波磁界が、探針21直下の被測定材料1の微少領域に集中して印加される。LC共振回路22の共振周波数fLC(角周波数ωLC=2πfLC)は、磁界発生部10が発生する交番磁界の角周波数ωpよりはるかに大きい周波数(例えば、1GHz程度)を有する。
【0028】
磁気回路の磁気抵抗が変化すると、コイル22aのインダクタンスLが変化し、LC共振回路22の共振周波数が変化する。すなわち、磁気回路の磁気抵抗は、探針21の先端部分が接する被測定材料1の微少領域の透磁率の変化により変化するので、LC共振回路22の共振周波数は、被測定材料の微少領域の透磁率の変化により依存して変化することとなる。
【0029】
従って、磁界発生部10により印加される交番磁界が比較的低周波数ωpで変化していく中で、探針21直下の被測定材料1の微少領域における透磁率の変化は、高周波の共振周波数の変化として検出することができる。
【0030】
発振器23は自励発振器であり、その正帰還部にLC共振回路22が挿入される構成となっている。従って、発振器23は、LC共振回路22の共振周波数に同調して発振することにより、共振周波数の変化に応じて周波数変調(FM)された発振信号を出力する。
【0031】
FM復調回路24は、周波数変調された発振信号を復調することにより電圧信号に変換し、その電圧信号をロックインアンプ25に出力する。
【0032】
ロックインアンプ25には、参照信号として、交流電源の周波数ωpのn倍の周波数信号(nは自然数)が参照信号として入力され、FM復調回路24からの電圧信号と同期検波することで、電圧信号の交流成分から、参照信号の周波数と同一の周波数成分が抽出される。ロックインアンプ25の出力レベル(振幅A)は、被測定材料1の非線形透磁率の変化に基づく発振信号の周波数変化を表すものであり、この出力信号から、被測定材料1の非線形透磁率を測定することができる。また、ロックインアンプ25の出力信号は、電圧信号の位相(角度θ1)と参照信号の位相(角度θ2)の差(Δθ)の情報も含んでいる。
【0033】
そして、参照信号の周波数を、交流電源11の周波数ωpとすれば、最低次の非線形透磁率が測定でき、交流電源11の2倍の周波数2ωpとすれば、一次高次の非線形透磁率が測定でき、交流電源11の3倍の周波数3ωpとすれば、二次高次の非線形透磁率が測定でき、同様にして、参照信号の周波数を交流電源の周波数ωpのn倍(nは自然数)にすることで、順次高次の透磁率を測定することができる。なお、本明細書では、一次の透磁率を線形透磁率、二次以上の透磁率を非線形透磁率と呼び、非線形の最低次は二次とする。
【0034】
ここで、線形透磁率及び非線形透磁率について説明する。磁性材料のB(磁束密度)−H(磁界)関係は、透磁率の非線形性まで考慮すると、
式(1)
【0035】
【数1】
【0036】
と表すことができる。ここで、Bi,Hi,Miはそれぞれ磁束密度、磁界、磁化ベクトルの第i成分を(i=1〜3)示しMrは残留磁化を示す。また、上記式(1)は同じサフィックスが現れると1〜3までの加算を行うアインシュタインの規約に従っている。
【0037】
式(1)の各展開係数μij、μ′ijk、μ′′ijkl、μ′′′ijklm…は、それぞれ2階、3階、4階及び5階…のテンソル量であって、これらを1次(線形)、2次、3次及び4次…の透磁率と呼ぶ。テンソル量の階数にあわせて、線形の透磁率を2次、非線形の最低次を3次と呼ぶこともあるが、本明細書では、テンソル量の階数と透磁率の次数は一次異なることに注意する。
【0038】
例えば上記式(1)でB−H関係が与えられる材料に外部から比較的大きな振幅で発振周波数に比べ十分に低い周波数の交番磁界Hp3=Hpcosωptを3方向に印加した場合、上記式(1)を微分することで、その時上記fLCの周波数を持つ微小高周波磁界が感じる線形(微分)透磁率変化を求めると、
式(2)
【0039】
【数2】
【0040】
と表され、印加された交番磁界と同じ周波数成分ωpで変動する項に最低次の非線形透磁率(2次の透磁率)μ’が、2ωpの項に一次高次(3次)の非線形透磁率μ’’が更に3ωpに高次(4次)の透磁率μ’’’が含まれていることが分かる。
すなわち、2次の透磁率に関係して起こる線形透磁率の交番変化は、印加された交番磁界と同一周波数ωpで変化し、その振幅は印加磁界の振幅に比例し、3次の透磁率に対するそれは、印加された交番磁界の2倍の周波数2ωpで変化し、その振幅は印加磁界の振幅の二乗に比例する。
【0041】
従って、ロックインアンプ25に入力する参照信号の周波数を、測定したい次数の透磁率に対応する周波数とすることにより、所望の次数の透磁率を分離して測定することができる。
【0042】
なお、上記式(1)の3階のテンソル量である最低次の非線形透磁率(2次の透磁率)μ′ihkは、等方性物質には存在せず、異方性物質にのみ存在する。強磁性体の場合にはその磁気分極(N極、S極)の向きの反転に応じて2次の透磁率の符号が反転する。よって、2次の透磁率の符号を検出することにより磁化の向きが分かる。
【0043】
図2は、強磁性体のヒステリシス曲線と非線形透磁率との関係を説明する図である。図2において、簡便のためZ方向のみの現象を考える。B=Brの点では、ヒステリシス曲線は上に凸であるので、ヒステリシス曲線の2次曲線成分の係数である2次の非線形透磁率μ′333の符号は負となり、B=−Brの点では、ヒステリシス曲線は下に凸であるので、反対に2次の非線形透磁率μ′333の符号は正となる。
【0044】
なお、磁化の向きは、2次の透磁率のみならず、4次、6次のような偶数べき乗の非線形透磁率(奇数階テンソルの非線形透磁率)であれば、その符号から判別することができる。奇数べき乗の(偶数階テンソルの非線形透磁率)は、磁気分極が反転してもその符号は反転しない。また、等方性物質は、2次の透磁率に限らず、上記式(1)における偶数べき乗の項すべてを有さない。
【0045】
次に、透磁率μの変化とコイルのインダクタンスLの変化について説明する。上述のように、探針21と被測定材料1により形成される磁気回路において、その磁気抵抗の変化は、探針21直下の被測定材料1の表面近傍の微少領域の透磁率変化の影響を最も強く受ける。以下、図3を参照しながら、コイル22aのインダクタンスLと探針21直下の被測定材料1の表面近傍の透磁率との関係を示す。
【0046】
図3は、磁気回路のモデルを示す図である。図3のモデルは、計算を簡単にするため、実際の構成とは厳密には異なるあくまでも近似的なモデルである。図3に示されるように、磁気回路を、探針21と、探針21直下の高周波磁界が集中して大きな磁気抵抗を持つ被測定材料1の微少領域Pと、高周波磁界の磁束が被測定材料中大きく広がり前者に比して磁気抵抗の十分小さな被測定材料1内の磁束通過部分Qとに区分し、探針21の長さをl1、断面積をS1(実際は先端ほど細くなる形状を有するが、ここでは一様な断面積を有するものとして扱う)、透磁率をμ1とし、探針21直下の微少領域Pの長さ(深さ)をl2、断面積をS2、透磁率をμ2とし、被測定材料1内の磁束通過部分Qの長さをl3、断面積をS3、透磁率をμ3とする。
【0047】
そうすると、まず、磁気回路の磁気抵抗Rは、各部分の部分磁気抵抗の和なので、
式(3)
R=l1/(μ1・S1)+l2/(μ2・S2)+l3/(μ3・S3)
により表される。
【0048】
上式(3)で探針21直下の微少領域Pの磁気抵抗l2/(μ2・S2)とその他の部分Qの磁気抵抗l3/(μ3・S3)は圧倒的に前者が大きく殆ど前者で決まる。また、探針21の磁気抵抗は出来るだけ小さくなるように設計すると全体の磁気抵抗Rは微少部分Pの磁気抵抗のみで決まり感度の良い検出ができる。
【0049】
また、インダクタンスLのコイル22aの巻数をN、コイル22aに流れる電流をi、コイル22aを貫く磁束をΦとすると、N・Φ=L・iの関係から、磁気抵抗Rは、
式(4)
R=N・i/Φ=N2/L
により表すことができる。
【0050】
従って、式(3)と式(4)とにより、インダクタンスLは、
(式5)
L=N2/l1/(μ1・S1)+l2/(μ2・S2)+l3/(μ3・S3)
により表される。
【0051】
ここで、式の簡略化のため、部分抵抗l1/(μ1・S1)+l3/(μ3・S3)をR0と置き、透磁率μ2からμ2+Δμ2に変化し、インダクタンスLからL+ΔLに変化したとすると、
式(6)
L+ΔL=N2/[R0+l2/[(μ2+Δμ2)・S2]]
と表される。こうして、透磁率の変化によるインダクタンスLの変化が示された。
【0052】
LC共振回路の共振周波数fLCは、
式(7)
fLC=1/2π√(LC)
で表されるので、インダクタンスLからL+ΔLに変化することで、共振周波数fLCは、fLC+ΔfLCに変化したとすると、
式(8)
fLC+ΔfLC=1/2π√[(L+ΔL)・C]
と変化し、式(8)に式(6)を適用することで、被測定材料1の微少領域の透磁率変化に対する共振周波数を求めることができる。
【0053】
このように、本発明の実施の形態における透磁率測定装置では、上述の原理に従って、探針21直下の被測定材料1の微少領域の透磁率を測定することができる。具体的には、図1の構成において、ロックインアンプ25に交番磁界ωpのn倍の周波数信号を参照信号として入力することで、その参照信号の周波数に応じて、所望の次数の非線形透磁率を分離して測定することができる。特に、奇数階テンソル(例えば、2次)の非線形透磁率を測定することで、その符号の向きから磁化の向きを識別することができる。
【0054】
被測定材料1を探針21に対して相対的に移動させることで、被測定材料1の非線形透磁率分布、磁化分布を測定できる。被測定材料1を固定し、探針21を被測定材料1の表面上を走査可能にしてもよいし、探針21を固定し、被測定材料1が載置されている磁界発生部10を水平面内で移動可能なXYステージとして機能させ、被測定材料1を探針21に対して水平面内で移動させてもよい。すなわち、本発明の実施の形態例における透磁率測定装置は、走査型非線形透磁率顕微鏡(Scanning Nonlinear Magnetic Microscope : SNMM)を実現する。
【0055】
図4は、本発明の実施の形態における透磁率測定装置の別の構成例を示す図である。図4の透磁率測定装置は、図1の構成と比較して、LC共振回路22に代わって、分布定数型共振器29を用いた構成である。図4(a)は、分布定数型共振器29を用いたプローブ20周辺を表す図であり、図示されないが、図1の構成と同様に、FM復調回路24及びロックインアンプ25を備えて構成される。また、図4(b)は、分布定数型共振器29の等価回路を示す図である。分布定数型共振器29は、二本のほぼ平行な伝送線(同軸線を含む)29aの一端同士を短絡し、他端同士は探針21に巻き付けられるコイル22aを介して接続されている。LC共振回路22と同様に、被測定材料の透磁率の変化により、コイル22aのインダクタンスLが変化すると、分布定数型共振器29の共振周波数が変化し、その周波数変化から、透磁率を測定することができる。分布定数型共振器29は、同軸共振器を始めとして、さまざまな形式のものが存在するが、本発明では、その形式は問わない。また、LC共振回路、分布定数型共振器以外の他の電気的な共振器を用いてもよい。
【0056】
図5は、磁気ドメイン(磁区)の測定実施例を示す図であって、被測定材料の概観(a)と測定結果(b)を示す。図5(a)に示すように、被測定材料は周期的に分極反転した強磁性体であり、磁区間隔は約1mmである。プローブ20を磁区を横切るように走査し、100μmステップ毎に2次の非線形透磁率の変化に対応する出力信号(ωp成分)を計測すると、図5(b)に示すように、磁気分極の反転に応じた出力が得られ、強磁性体の磁気分極の分布測定が可能であることが確認できた。
【0057】
図6は、交番磁界の強度と非線形透磁率変化に対応する出力信号の強度との関係の計測結果を示す図である。横軸の電圧は、交番磁界を発生する磁界発生部10のコイルに加えられる電圧であり、発生する磁界強度に比例する。図6(a)は、印加交番磁界と同じ周波数ωpで変動する2次の非線形透磁率の出力信号(ωp成分)の強度であり、式(2)から導かれるとおり、印加交番磁界の強度に比例していることがわかる。図6(b)は、印加交番磁界の2倍の周波数2ωpで変動する3次の非線形透磁率の出力信号(2ωp成分)の強度であり、式(2)から導かれるとおり、印加交番磁界の強度に2乗に比例していることがわかる。
【0058】
上述では、典型例として図1の構成による非線形透磁率の測定について説明したが、本発明の実施の形態例における透磁率測定装置は、線形透磁率も測定可能である。具体的には、図1の構成において、FM復調器24からの電圧信号をロックインアンプ25に入力せず、そのままその直流成分を電圧計(図示せず)により検出し、発振周波数(または共振周波数)の中心周波数の変化を測定することにより、線形(1次)透磁率を検出することができる。
【0059】
線形透磁率に関しても、被測定材料1を探針21に対して相対的に移動させることで、被測定材料1の線形透磁率の分布を測定できる。
【0060】
さらに、本発明の実施の形態例における透磁率測定装置は、被測定材料の磁界分布を測定することも可能である。上述の原理による透磁率測定の場合は、被測定材料に外部から低周波交番磁界を印加し、その印加磁界の変化に応じた被測定材料の透磁率変化を測定する。すなわち、探針21の特性としては、高透磁率であるとともに、外部からの印加磁界の変化、さらには、被測定材料自体の静磁界に対して探針自体の透磁率ができるだけ変化しない(抗磁界が大きい又は完全に線形な常磁性体)ものが好ましい。外部印加磁界に対する探針21自体の透磁率変化が比較的大きいと、測定される透磁率が被測定材料のものか探針21のものか区別できなくなるからである。
[0061]
一方、磁界分布測定の場合は、被測定材料自体から出る静磁界に高感度に応答する必要があるため、探針21の特性としては、磁界の変化に対する透磁率の変化率が大きい軟磁性であることが好ましい。さらに、後述のように、磁気分極をも測定するのであれば、例えば、強磁性体のように奇数階テンソルの非線形透磁率(例えば、2次の非線形透磁率)を有することが好ましいが、磁界の強度のみを観測するためであれば、探針21は、奇数階テンソルの非線形透磁率を有さない、例えば常磁性体のような材料であってもよい。
[0062]
奇数階テンソル(例えば2次)の非線形透磁率を有する探針21を適用することで、上述の透磁率測定の説明でも述べたように、被測定材料の磁気分極分布も測定することができる。この場合、被測定材料1の透磁率測定のように、被測定材料1の磁化の向きにより反転する被測定材料自体の非線形透磁率の符号を検出するのではなく、被測定材料の磁化の向きにより反転する探針21の非線形透磁率の符号を検出することで、被測定材料の磁気分極分布を測定することとなる。
[0063]
図7は、本実施の形態例における透磁率測定装置の磁界分布を測定するための構成例を示す図である。図7の構成は、図示が簡略化されているが、検出系は、図1の構成と同様に、FM復調回路24及びロックインアンプ25のような同期検波器を備えて構成される。もちろん、図4の構成を用いてもよい。ただし、磁界の強度のみを測定する場合は、FM復調回路24からの電圧信号をモニタすればよく、ロックインアンプ25による同期検波は不要である。磁気分極を観測する場合は、磁界発生部10により交番磁界を印加し、ロックインアンプ25により、磁気分極の向きを示す符号を有する非線形透磁率成分を抽出することで、磁気分極が測定できる。この場合は探針21に抗磁界の小さなかつ2次の非線形透磁率の大きな強磁性体を用いることで探針21自体が被測定材料からの直流の磁力線で磁化し、その向きと大きさが探針21の非線形透磁率の測定から間接的に計測できることとなる。すなわち、上述の被測定材料の非線形透磁率を測定するモードで探針21を被測定材料とみなした測定と同じこととなる。(この場合、被測定材料を探針から少し離すことで、被測定材料の非線形透磁率は検出されない。)
さらに、本発明の実施の形態例における透磁率測定装置は、電子スピン共鳴(ESR)を測定にも適用可能である。
【0064】
電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin
Resonance)は、電子常磁性共鳴(Electron Paramagnetic Resonance:EPR)とも呼ばれ、核磁気共鳴(Nuclear
Magnetic Resonance:NMR)と同じ原理に基づく磁気分光法の一つである。常磁性物質の不対電子による吸収スペクトル法で、その電子状態やそれが置かれている環境についての情報を与える。電子は固有のスピン角運動量に起因する磁気モーメントを有している。静磁場中ではスピン状態に対応して、エネルギー準位が2つにゼーマン分裂し、両準位間にエネルギー差を生じる。このエネルギー差に等しいエネルギーをもつマイクロ波を共鳴吸収して、2つの電子スピン準位間に磁気双極子遷移が起こることを電子スピン共鳴という。電子スピン共鳴を観測することで、不対電子の有無及びその定量ができ、また、分子中の不対電子の位置及びその周囲の状態を観測することもできる。さらに、吸収の時間的変化から反応速度や反応機構を明らかにすることができる。
【0065】
本発明の実施の形態における透磁率測定装置で用いられる高周波磁界(プローブ20(探針21)から被測定材料1に印加される微少磁界)の周波数は、1GHz〜10GHz程度のマイクロ波帯であり、電子スピン共鳴による吸収されるエネルギーと同等の周波数帯である。従って、被測定材料1の電子スピン共鳴を測定するのに適用可能である。
【0066】
図8は、本実施の形態例における透磁率測定装置の電子スピン共鳴を測定するための構成例を示す図である。図8の構成は、図示が簡略化されており、被測定材料1とプローブ20周辺のみが図示されているが、図1の構成と同様に、プローブ20のLC共振回路22の共振周波数をFM変調する発振器23、FM復調回路24、ロックインアンプ25などの検出系を備える。もちろん、図4の構成を用いてもよい。
【0067】
特徴的な構成として、被測定材料1の両側面に、図示されるように、磁界強度をスイープ可能な直流磁界印加用電磁石31と低周波磁界モジュレーションコイル32とを配置し、被測定材料1に対して、低周波の交番磁界と直流磁界が重畳した磁界を印加する。そして、探針21から高周波磁界を被測定材料1に与えながら、直流磁界の強度を変化させる(スイープする)。
【0068】
ある磁界強度で電子スピン共鳴が探針21直下の微少領域で生じると、その領域の磁化の向きが直流磁界に垂直に印加された高周波磁界により変化(回転)する。理論上、磁化の変化は、磁化率χの実数部と虚数部の変化をもたらし、磁化率χの実数部は実質的に透磁率変化として、コイル22aのインダクタンスLの変化、従って発振信号の周波数変化として検出することができる。また、磁化率の虚数部は、エネルギー吸収による損失に対応し、発振信号の振幅変化(レベル低下)として検出することができる。振幅変化を検出する場合は、図1の構成における周波数変復調に代わって、振幅変復調を実施する発振器と復調器を有する構成となる(電子スピン共鳴における磁化変化の詳細については、例えば、「電子スピン共鳴」伊達宗行著、培風館、1978年初版発行、p28参照)。
【0069】
周波数変化を検出する場合は、モジュレーションコイルから低周波の交番磁界を直流印加磁界に重畳させることで、共鳴吸収現象が交番磁界に同期して変化するため、ロックインアンプ25を用いて、高感度に検出することができる。
【0070】
上述の各実施の形態例では、探針21は被測定材料1に接触させて測定するものとして説明したが、非接触による測定も可能である。ただし、透磁率が測定可能な程度に探針21からの高周波磁界を被測定材料1に進入させる必要があり、探針21の先端と被測定材料1との間隔が狭いほど、高感度な測定が可能となる。そこで、本実施の形態例では、高次の透磁率の測定感度を利用して、探針21と被測定材料1との距離を制御する方法を提案する。
【0071】
図9は、探針21直下の高周波磁界の分布を示す図である。図9から明らかなように、磁界のべき乗の次数が高くなるほど、磁界が及ぶ領域は狭くなり、集中度が上がる。集中度が高いということは、その部分の透磁率変化のみを検出していることであり、探針21と被測定材料1との間隔が同一であれば、より高分解能な観察が可能となる。すなわち、高次の磁界ほど集中度が上がるので、高次の透磁率測定に必要な感度を得るには、高次の磁界ほど探針21を被測定材料1に近接させる必要がある。また、高次の透磁率を測定できる程度に近接した間隔であれば、当然に、それより低次の透磁率はより高感度に測定することができる。
【0072】
従って、高次の透磁率の測定感度を間隔制御信号として利用して、それより低次の透磁率の測定を非接触で測定することが可能である。例えば、3次の非線形透磁率の測定感度が一定レベルを維持するように、探針21と被測定材料1との間隔を制御しながら、2次の非線形透磁率を測定する。これにより、探針21と被測定材料1との間隔をほぼ一定に保つように探針21の高さ制御が可能となり、測定感度のばらつきを抑えつつ、2次の非線形透磁率測定に必要な感度を確保した非接触測定が可能となる。
【0073】
また、上述の実施の形態例では、磁界発生部10から被測定材料1に印加される低周波交番磁界は、被測定材料1の垂直方向(Z方向)に印加される場合を例示した。この場合、原理的には、被測定材料1の垂直方向の透磁率変化及び磁化の向きを測定することができるが、測定したい方向が垂直方向になるように被測定材料1を配置する必要がある。逆に言えば、被測定材料1の水平方向(XY平面)の磁化の向きを非線形透磁率の例えばμ311成分の検出により測定するには、被測定材料1に水平方向の磁界を印加すればよい。
【0074】
最も単純には、XYZ軸の3次元を考える場合、X方向、Y方向、Z方向に磁界を発生させる磁界発生装置をそれぞれ設け、角周波数を方向毎に異ならせ、ロックインアンプで同期検波することで、所望の方向の透磁率及び磁化の向きを測定することができる。この例では、3次元ではあるが、X方向、Y方向、Z方向と固定された方向に対する測定しかできない。または、XY平面(水平面)を考える場合、X方向の磁界強度とY方向の磁界強度の割合を変化させることで、水平面内の任意の角度方向に磁界を印加することができる。例えば、X方向にHcosα、Y方向にHsinαの磁界を印加することで、XY平面において角度α方向に磁界を印加することができる。または、さらなる改良として、磁界強度を調節して方向を決めるのではなく、ある面(例えばXY平面である水平面)に回転磁界を印加することで、面内の全角度方向の透磁率及び磁化の向きを測定することができるようになる。
【0075】
図10は、水平面に回転磁界を印加する原理構成例を示す図である。図10は、被測定材料1が載置されたステージを上から見た図であり、被測定材料1に対して水平方向の交番磁界を印加する一対の磁界発生装置を2組、図示するように互いに直交するように配置し、互いの位相を90度ずらした交番磁界を印加することで、回転磁界を得ることができる。例えば、X方向の磁界は、Hx=Hcosωp、Y方向の磁界は、Ey=Hsinωpである。回転磁界を印加した場合のインダクタンスLの変化、すなわち、透磁率の変化は、角周波数ωtで周期的に変化する。これをロックインアンプで角周波数ωtを参照信号として同期検波すると、ロックインアンプの位相差情報(角度)が磁化の向きを直接表すことになる。よって、プローブ20を走査しながら、ロックインアンプ25の出力から位相差情報を取得することで、水平面内における磁化の向きの2次元分布を測定することができる。
【0076】
さらに、水平面(XY平面)内を回転する回転磁界と、垂直面(ZX平面又はYZ平面)を回転する回転磁界を印加し、それぞれの角周波数を変えて、それぞれロックインアンプで同期検波し、それぞれの位相情報(角度)を求めることで、磁気分極の3次元分布を測定することもできる。
【0081】
本発明の実施の形態例における透磁率測定装置は、ミクロな垂直磁気記録のビット観測などの磁性体評価やナノスピントロニクス計測としての応用が可能である。
Claims (10)
- 被測定磁性体に所定周波数の交番磁界を印加する磁界発生手段と、
交番磁界が印加された被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、
前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される前記交番磁界の周波数より高い共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域の透磁率の変化により前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、
前記コイルのインダクタンスの変化に応じた前記共振器の共振周波数の変化により、被測定磁性体の前記微少領域の透磁率を測定する測定手段とを備えることを特徴する透磁率測定装置。 - 請求項1において、
前記測定手段は、
前記共振周波数の変化に応じた周波数の発振信号を出力する発振手段と、
前記発振信号を復調した電圧信号を出力する復調手段と、
前記電圧信号の直流成分から線形透磁率を検出する検出手段とを有することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項1において、
前記測定手段は、
前記共振周波数の変化に応じた周波数の発振信号を出力する発振手段と、
前記発振信号を復調した電圧信号を出力する復調手段と、
前記電圧信号の交流成分から非線形透磁率を検出する検出手段とを有することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項3において、
前記検出手段は、前記電圧信号の交流成分のうちの前記交番磁界の所定周波数成分から、最低次の非線形透磁率を測定し、
前記交番磁界の所定周波数の2以上の整数倍の周波数成分から、最低次より高次の非線形透磁率を測定することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項4において、
前記検出手段は、最低次の非線形透磁率を含む奇数階テンソルの非線形透磁率の符号に基づいて、前記微少領域の磁化の向きを測定することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項4において、
前記探針を前記被測定材料に対して相対的に移動させる走査手段と、
前記検出手段により検出される高次の非線形透磁率の測定レベルに基づいて、前記探針と前記被測定材料との間隔が一定距離になるように非接触制御する間隔制御手段とを備え、
前記検出手段は、前記高次の非線形透磁率より低次の非線形透磁率を測定することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項4において、
前記磁界発生手段は、磁界方向が所定面内で順次回転する回転磁界を印加することを特徴とする透磁率測定装置。 - 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記探針は、当該探針と接続し且つ前記探針とほぼ平行に被測定材料に近接する位置まで延びる延伸部を有することを特徴とする透磁率測定装置。 - 被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、
前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される所定の共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域の磁界の変化により前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、
前記コイルのインダクタンスの変化に応じた前記共振器の共振周波数の変化により、被測定磁性体の前記微少領域の磁界を測定する測定手段とを備えることを特徴する磁界測定装置。 - 被測定磁性体に所定周波数の交番磁界と直流磁界を重畳して印加する磁界発生手段と、
前記被測定磁性体の微少領域に近接又は接触する探針と、
前記探針に巻きつけられるコイルを含み、前記探針が近接又は接触する前記微少領域に印加される所定の共振周波数の磁界を発生するとともに、前記微少領域で生じる電子スピン共鳴により少なくとも前記コイルのインダクタンスが変化する共振器と、
前記共振器の共振周波数又は共振レベルの変化により、被測定磁性体の微少領域における電子スピン共鳴を測定する測定手段とを備えることを特徴する電子スピン共鳴装置。
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