図1は、本実施例1の空気調和機の室内機1、室外機2及びリモコン3を示す正面図である。
図1に示す空気調和機は、室内機1と、室外機2と、リモコン3とを備える。室内機1と室外機2とは冷媒配管で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機1が設置される室内を空調する。また、室内機1と室外機2とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信する。
リモコン3は、ユーザによって操作され、室内機1が有する受信部に向けて赤外線信号を送信する。室内機1は、リモコン3から送信された赤外線信号を受信するための受信部を有する。リモコン3から送信される赤外線信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、又は、停止要求などの指令である。空気調和機は、これらの信号に基づいて、冷房モード、暖房モード、又は、除湿モードなどの空調運転を行う。
本実施例の室内機1は、センサ4、電装品11、撮像部26、及び、温度検出部27を備える。電装品11は、プロセッサ及びメモリを有する。電装品11は、センサ4、検出部5及び制御部7等の処理部を備える。
電装品11が有する処理部は、プログラムであってもよく、また、集積回路等の物理的な装置であってもよい。
センサ4は、撮像部26及び温度検出部27と接続され、撮像部26及び温度検出部27によって撮像された画像データを保持する。
撮像部26は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラであり、室内を撮像する装置である。撮像部26は、A/D変換機に接続され、撮像した画像データのアナログ信号をA/D変換器に入力する。A/D変換器は、撮像部26から入力された画像データをデジタル信号に変換し、出力する電子回路である。A/D変換機を介して、画像データのデジタル信号はセンサ4に入力される。なお、撮像部26は、A/D変換器を内蔵してもよいし、センサ4がA/D変換器を内蔵してもよい。
温度検出部27は、例えば、横×縦が1×1画素、4×4画素、又は、1×8画素で構成されるサーモパイルであり、室内の温度を撮像する装置である。また、温度検出部27は、赤外線センサ又は赤外線カメラでもよい。
図2は、本実施例1の室内機1の側断面図を示す説明図である。
室内機1は、前述のセンサ4、電装品11、撮像部26、及び、温度検出部27の他、筐体ベース8、室内ファンモータ10、上下風向板14、前面パネル15、及び、空気吹出し口19を備える。
筐体ベース8は、室内機1の外部を覆う。空気吹出し口19は、室内機1の前面下方に設置される。室内機1によって温度及び湿度を調節された空気は、空気吹出し口19から室内機1の外に送られる。
室内ファンモータ10は、自らが回転することによって、室内の空気を取り込み、さらに、熱交換によって温度又は湿度を調節された空気を、空気吹出し口19に送る装置である。
前面パネル15は、室内機1の前面を覆うように設置される。前面パネル15は、下端を軸として前面パネル15用のモータ(図示せず)に従って回動してもよい。
上下風向板14は、空気吹出し口19から送られる空気の風向きを調節する。上下風向板14は、室内機1が備えるマイコン(図示せず)からの指示に従い回動する。上下風向板14は、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板14用のモータ(図示せず)に従って回動する。
図2に示す撮像部26及び温度検出部27は、空気吹出し口19の上部に設置される。そして、撮像部26及び温度検出部27は、上下風向板14の隙間から室内を撮像し、水平線37及び光軸36を基準に撮像する。光軸36は、撮像部26及び温度検出部27のレンズの向きに従って定まる方向であり、撮像部26及び温度検出部27が撮像する方向である。
撮像部26及び温度検出部27が室内機1の前面に設置されることにより、撮像部26及び温度検出部27は、室内機1による空気の調節を制御するための室内に関する情報を、室内機1の筐体ベース8等が遮蔽することなく、適切に取得することができる。
室内機1は、前述の構成の他、熱交換器、左右風向板、空気吸込み口、フィルタ、吹出し風路などの内部構造体を収容する。また、室内機1は、湿度センサ、照度センサ、臭いセンサ、又は、気圧センサ等の従来のセンサを備えてもよい。
図3は、本実施例1の撮像部26による撮像範囲を示す説明図である。
図3は、撮像部26の回動方向を含む平面における、撮像部26が撮像する範囲を示す。図3は、床側から天井側を見た場合の撮像部26が撮像する範囲を示す説明図である。室内機1が部屋の天井側に設置される場合、撮像部26は、光軸36と水平線37との最大角度が所定の角度になるようにレンズを下方に向けて設置される。
撮像部26は、水平線37と光軸36との最大角度と同じ角度だけ、鉛直方向から傾斜した軸を中心軸として回動する。また、撮像部26は、中心軸と並行(画像において縦)に、かつ、回動方向(画像において横)に室内を撮像する。
撮像部26による一回の撮像の回動方向の視野角は、例えばおよそ60°である。この場合、撮像部26は、回動方向に、左32、正面33、及び、右34の三つの方向を撮像する。撮像部26は、他のセンサ(センサ4以外の湿度センサ及び臭気センサ等)と独立して駆動する。
撮像部26は、回動方向の視野角が所定の角度分重複するように、各方向を撮像する。例えば、左32において撮像された15°分の画像と、正面33において撮像された15°分の画像とが重複するように撮像する。撮像部26は、重複した画像部分を対応させることによって、各方向において撮像された画像を撮像順に適切に並べることができる。
図3に示す撮像部26は、45°ずつ、回動することによって、合計150°の回動方向の視野角の室内の画像を取得する。図3は、室内全体の画像を回動方向に15°ずつ分割した場合の視野角を示し、10個の視野角を示す。
以下に示す撮像部26は、左32、正面33及び右34の順に室内を撮像した後、左32方向に戻る。ただし、撮像部26は、所定の時間内の室内全体の画像を取得できれば、いかなる順番で室内を撮像してもよく、右34、正面33及び左32の順に室内を撮像してもよい。
なお、以下に示す撮像部26は、図3に示すように、一回の撮像の回動方向の視野角が60°である。しかし、本実施例の撮像部26は、一回の撮像で150°又は十分に広い範囲の視野角を撮影することができる広角レンズを備えてもよい。撮像部26が広角レンズを備える場合、撮像部26は、回動せずに一回の撮像のみで室内の画像を取得してもよい。
図4は、本実施例1の温度検出部27による温度検出範囲を示す説明図である。
図4は、床側から天井側を見た場合の温度検出部27が温度を検出する範囲を示す。本実施例の温度検出部27は、撮像部26と同様に、光軸36と水平線37との最大角度が所定角度になるように、レンズを下方に向けて設置される。温度検出部27の光軸36と撮像部26の光軸36との角度の差は、十分に小さい所定の誤差内に設定されるように、ほぼ0に設定される。
温度検出部27は、水平線37と光軸36との最大角度と同じ角度だけ、鉛直方向から傾斜した軸を中心軸として回動する。また、温度検出部27は、中心軸と並行(画像において縦)、かつ、回動方向(画像において横)に室内の温度を検出する。温度検出部27は、他のセンサ(センサ4以外の湿度センサ及び臭気センサ等)と独立して駆動する。
温度検出部27の縦の検出範囲と撮像部26の縦の撮像範囲とが異なる場合、温度検出部27及び撮像部26は、各々の撮像範囲の上端がそろうように設置されてもよいし、各々の撮像範囲の縦の中心位置がそろうように設置されてもよいし、各々の撮像範囲の下端がそろうように設置されてもよい。
温度検出部27の回動方向の全体の視野角と、撮像部26の回動方向の全体の視野角とは、略同一である。また、温度検出部27又は撮像部26は、一方が他方より大きく回動するように視野角を変更することによって、他方の視野角と略同一の視野角を得るように設定されても良い。
温度検出部27による一回の検出の視野角は、例えば、温度検出部27のレンズが横1画素×縦8画素によって撮像する場合、横5°×縦45°程度である。このような温度検出部27が、左から右へ検出範囲が重ならないよう30回回動されることによって、温度検出部27は、合計150°の視野角の温度検出結果を得る。
本実施例の温度検出部27は、左から右へ順に30回室内を撮像した後、左方向に戻る。ただし、本実施例の温度検出部27は、所定の時間内の室内全体の温度を検出できれば、いかなる順番で室内の温度を検出してもよく、右、正面及び左の順に温度を検出してもよい。
なお、以下に示す温度検出部27は、図4に示すように、一回の検出の回動方向の視野角が5°である。しかし、本実施例の温度検出部27は、一回の撮像で150°又は十分に広い範囲の視野角を得ることができる温度検出部27でもよい。温度検出部27が、十分に広い範囲の視野角を得られる場合、温度検出部27は回動しなくてもよい。
撮像部26の駆動のタイミングは、温度検出部27の駆動のタイミングと同期する。具体的には、撮像部26の撮像する範囲と温度検出部27の検出する範囲が重なるタイミングで、撮像部26と温度検出部27とは駆動する。
例えば、撮像部26が左32を撮像するタイミングで、温度検出部27は左から温度の検出を開始し、撮像部26が正面33を撮像するタイミングで、温度検出部27は左から10回目の温度の検出を開始する。
これによって、撮像部26及び温度検出部27は、ほぼ同じ時間帯における室内の状態を撮像又は検出することができる。
図5は、本実施例1の撮像部26及び温度検出部27を回動させる方法を示す説明図である。
撮像部26及び温度検出部27は、ステッピングモータ42によって回動される。ステッピングモータ42は、室内機1に備わり、撮像部26及び温度検出部27の各々に直接的又は間接的に接続する。以下に、ステッピングモータ42が撮像部26及び温度検出部27を回動させる複数の方法を示す。
図5(a)は、本実施例1のギア43によって回動される撮像部26及び温度検出部27を示す説明図である。
室内機1は、複数のギア43を有してもよい。そして、図5(a)に示すステッピングモータ42は、組み合わされた複数のギア43を介して、撮像部26又は温度検出部27を回動させてもよい。
図5(b)は、本実施例1のアーム44によって回動される撮像部26及び温度検出部27を示す説明図である。
室内機1は、アーム44を有してもよい。そして、図5(b)に示すステッピングモータ42は、アーム44を介して撮像部26又は温度検出部27を回動させてもよい。
図5(c)は、本実施例1のステッピングモータ42によって直接回動される撮像部26及び温度検出部27を示す説明図である。
ステッピングモータ42は、撮像部26及び温度検出部27に直接接続され、撮像部26及び温度検出部27を直接回動させてもよい。
図6は、本実施例1の撮像部26及び温度検出部27が配置される位置の他の例を示す説明図である。
図1に示す撮像部26及び温度検出部27は、水平方向に配置された。しかし、撮像部26と温度検出部27とは、図6に示すように、鉛直方向に配置されてもよい。
なお、撮像部26と温度検出部27とは、室内を広く撮像又は検出でき、かつ、近接して配置されれば、室内機1のいかなる場所に配置されてもよい。例えば、室内機1が室内の下部に配置される場合において、撮像部26と温度検出部27とは、室内機1の前面中央部、又は前面上部などに配置されてもよい。
図7は、本実施例1の間仕切りを検出し、室内を空調する処理の概要を示す機能ブロック図である。
本実施例における間仕切りとは、一つの部屋と他の部屋又は廊下等との間に配置される物であり、例えば、扉、ふすま、又は、障子等である。
センサ4は、撮像部26が撮像した画像及び温度検出部27が検出した検出結果を収集し、収集された画像及び検出結果等のデータを、検出部5に入力する。
検出部5は、空間検出部29を少なくとも有する。また、検出部5は、人体検出部30及び温度マトリクス検出部31を有してもよい。
実施例1の空間検出部29は、撮像部26により撮像された画像を保持し、保持された画像に基づいて、室内機1が設置される部屋の間仕切りの有無を検出する。具体的には、空間検出部29は、過去の画像と現在の画像との間で異なる領域を抽出し、抽出した領域を解析することによって、間仕切りがあるか否かと、間仕切りが開いている状態か又は閉じている状態かとを検出する。また、間仕切りがあると検出された場合、空間検出部29は、間仕切りの位置、面積、形状、複雑度、及び、輝度等を検出する。
人体検出部30は、撮像部26によって撮像された画像を用い、在室者の有無と、在室者に関する情報とを検出する。人体検出部30は、在室者に関する情報として、例えば、在室者の位置、人数、活動量、属性、個人、及び、生活シーン等を検出する。
温度マトリクス検出部31は、温度検出部27による検出結果を用いて、室内機1の設置された室内の表面温度を検出する。温度マトリクス検出部31は、例えば、温度マトリクスを検出する。
空間検出部29、人体検出部30及び温度マトリクス検出部31等の検出部5の処理部は、検出された結果を、情報として制御部7に通知する。制御部7は、検出部5から通知された情報に基づき、空気調和機による空気の調節を制御する。また、制御部7は、センサ4以外の湿度センサ等から入力されたデータ、又は、リモコン3から入力されたデータに基づき、空気調和機による空気の調節を制御してもよい。
制御部7は、例えば、室内ファンモータ10、又は、室外機2に備わる圧縮機、室外ファンモータ、四方弁若しくは電動弁などと接続され、これらの装置の動作を制御することによって、空気調和機を制御する。具体的には、制御部7は、空気調和機を制御することによって、部屋への風量、風向、又は、部屋へ送る空気の温度等を調節する。
四方弁とは、室外機2に備わり、空気調和機の運転を冷房モード又は暖房モードに切り替えるための弁である。四方弁が切り替わった場合、空気の流れが逆転し、例えば、高温高圧の空気を冷却していた室外機2と室内の熱を奪っていた室内機1との役割が逆転する。
電動弁とは、室外機2に備わり、冷媒を膨張させるための弁である。また、室外ファンモータとは、室外機2に備わり、外気を取り入れるモータである。
図8は、本実施例1の撮像部26が回動する場合の間仕切りを検出する処理を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、撮像部26が室内全体の画像を3回の撮像によって取得する場合に、空間検出部29が間仕切りを検出する処理を示す。撮像部26は、あらかじめ設定された所定の周期において図8の処理を開始してもよいし、ステップ77において間仕切りを検出できないと判定した場合、又は、ステップ78において間仕切りに関する情報が制御部7へ通知された後に、図8の処理を開始してもよい(70)。
ステップ70の後、撮像部26は、図3に示す左32方向を撮像する。そして、撮像部26は、撮像された画像をA/C変換器を介してセンサ4に送る(71)。
また、ステップ71において、温度検出部27は、図4に示す左から順に少なくとも9回室内の温度を検出する。そして、温度検出部27は、検出された結果をセンサ4に送る。
検出部5が、センサ4を介して、撮像部26によって撮像された画像を取得した場合、空間検出部29は、撮像された画像を解析し、左32方向の画像に間仕切りが含まれる場合、間仕切りを検出する(72)。また、ステップ72において人体検出部30は、温度検出部27による検出結果に基づいて、左32方向の在室者の有無等を検出し、温度マトリクス検出部31は、温度検出部27による検出結果に基づいて、左32方向の温度マトリクスを出力してもよい。
ステップ73及びステップ74は、ステップ71及びステップ72の処理と同様であり、正面33方向の画像を撮像及び解析する処理である。また、ステップ75及びステップ76は、ステップ71及びステップ72の処理と同様であり、右34方向の画像を撮像及び解析する処理である。
ステップ73はステップ71の後に実行され、ステップ75はステップ73の後に実行される。また、ステップ74は、ステップ72の後、画像等のデータを検出部5が受信した場合に実行される。ステップ76は、ステップ75の後、画像等のデータを検出部5が受信した場合に実行される。
ステップ76の後、空間検出部29は、ステップ72、74及び76において間仕切りが検出されたか否かを判定する(77)。間仕切りが検出されない場合、図8に示す処理は、ステップ70に戻る。間仕切りが検出された場合、検出部5は、間仕切りの状態及び間仕切りの位置の情報を、制御部7に通知する(78)。
本実施例における間仕切りの状態の情報とは、間仕切りが開いている状態(開状態)であるか、又は、間仕切りが閉じている状態(閉状態)であるかを示す情報である。また、間仕切りの位置の情報は、間仕切りの中心座標、間仕切りの外周の座標(例えば、間仕切りの右上と左下の二点の座標で示される)、及び、間仕切りの方向のうち、少なくとも一つを示す。
なお、ステップ78における検出部5は、温度マトリクス検出部31の処理結果に基づいて、間仕切りの表面温度と、間仕切り以外の領域の表面温度とを制御部7に通知してもよい。
ステップ78の後、図8に示す処理は、ステップ70に戻る。
撮像部26が、室内全体の画像を2回又は4回以上の撮像によって取得する場合、ステップ71及びステップ72に相当する処理は、撮像する方向ごとに実行される。また、撮像部26が、室内全体の画像を1回の撮像によって取得する場合、ステップ71及びステップ72に相当する処理は、各々1回のみ実行される。
制御部7は、検出部5から通知された間仕切りの状態及び間仕切りの位置の情報に基づき、空気調和機による空気の調節を制御する。例えば、間仕切りが開状態である場合、制御部7は、間仕切りの方向に送る風の量を増やすように、空気調和機の各装置に送風を調節させる。
また、検出部5から通知された情報が、間仕切りの表面温度と間仕切り以外の領域の表面温度とにあらかじめ設定された所定の温度以上の差があることを示す場合、制御部7は、温度差がなくなるように間仕切りに向けた風量及び風向を調節してもよい。
これによって、間仕切りが開状態である場合にも、実施例1の空気調和機は、間仕切り付近の空気を調節することができ、室内全体を快適な状態に調節することができる。
図9は、本実施例1の空間検出部29の処理部の機能ブロックと、画像の処理結果とを示す説明図である。
実施例1の空間検出部29は、差分特定部291、領域分割部292、複雑度算出部294、間仕切り位置検出部295、及び、間仕切り開閉判定部296の処理部を少なくとも有する。また、空間検出部29は、必要に応じて間仕切り判定部293を有する。
空間検出部29が有する処理部は、プログラムによって実装されてもよく、物理的な集積回路によって実装されてもよい。
図9に示す画像A及び画像Bは、右に間仕切りを含む。図9に示す画像Aは開状態の間仕切りを含み、図9に示す画像Bは閉状態の間仕切りを含む。画像Aは、画像Bが撮像された後に撮像された画像である。
差分特定部291は、入力された二つの画像(画像A及び画像B)を比較し、画像Aと画像Bとで異なる領域(差分領域190)を特定する。画像90は、特定された差分領域190を示す。
領域分割部292は、差分特定部291によって特定された差分領域190を、間仕切りを含む領域の候補領域191として、他の領域から分割する。画像91は、分割された候補領域191を示す。
また、領域分割部292は、特定された差分領域190の画像Aにおける位置を特定する。これによって、間仕切りの画像Aにおける座標(間仕切りの外周の座標等)、又は、間仕切りの方向が決定される。
空間検出部29は、必要に応じて、間仕切り判定部293を実行し、間仕切り判定部293は、候補領域191が間仕切りを含む領域であるか否かを判定する。間仕切り判定部293が実行されない場合、空間検出部29は、候補領域191が間仕切りを含む領域に決定する。
複雑度算出部294は、画像Aにおける間仕切りを含む領域の複雑度を算出する。間仕切り位置検出部295は、間仕切りを含む領域の中心位置93を検出する。画像92は、検出される中心位置93を示す。
間仕切り開閉判定部296は、複雑度算出部294によって算出された複雑度に基づいて、画像Aにおける間仕切りが開状態であるか閉状態であるかを判定する。
図10は、本実施例1の間仕切りを検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、空間検出部29が間仕切りを検出する処理の詳細を示し、図8に示すステップ72、74及び76における処理に相当する。また、図10に示す処理は、間仕切り判定部293が実行される場合の処理を示す。
空間検出部29は、撮像部26によって撮像された画像データ(画像A)をセンサ4を介して受信した場合、前回受信した画像データ(画像B)を読み出す。具体的には、空間検出部29は、受信した画像データを撮像された方向毎にメモリに保持しており、センサ4から画像Aを受信した場合、画像Aが撮像された方向と同じ方向の画像Bを、メモリから読み出す。
なお、空間検出部29は、過去に実行された図10の処理の結果である間仕切りに関する情報(間仕切りの状態、及び、位置等)と、画像データとを、対応させてメモリに保持してもよい。そして、画像Bを読み出す際、画像Bに対応する間仕切りに関する情報も読み出してもよい。
そして、空間検出部29の差分特定部291は、画像Aと画像Bとの差分領域190を特定する(55)。差分特定部291は、画像Aと画像Bとの間の色差、又は、輝度の相違等を用いて、差分領域190を特定する。
画像Bの中に間仕切りが含まれ、画像Bを撮像した時から画像Aを撮像した時までの間に、間仕切りが開いた場合、又は、閉まった場合、画像Aと画像Bとの間には、画像が異なる領域、すなわち、差分領域190が含まれる。
ステップ55の後、空間検出部29は、ステップ55において少なくとも一つの差分領域190が特定されたか否かを判定する(56)。差分領域190が一つも特定されない場合、空間検出部29は、図10に示す処理を終了し(59)、ステップ72、74又は76の処理を終了する。
ステップ55において少なくとも一つの差分領域190が特定された場合、領域分割部292は、画像Aから差分領域190を、候補領域191として分割する。そして、候補領域191の画像Aにおける位置(外周の座標、方向等)を特定する(57)。ステップ57において、画像Aから差分領域190を候補領域191として分割することによって、検出部5は、差分領域190から、間仕切りを含む領域を検出することができる。
ステップ57の後、空間検出部29は、候補領域191のすべてにステップ60からの処理が実行されたか否かを判定する(58)。候補領域191が一つである場合、ステップ58は不要である。候補領域191のすべてにステップ60の処理が実行された場合、空間検出部29は、図10に示す処理を終了し(59)、ステップ72、74又は76の処理を終了する。
候補領域191のうち、ステップ60からの処理が実行されていない領域がある場合、空間検出部29は、ステップ60の処理を実行していない候補領域191(以下、候補領域C)を選択する。そして、間仕切り判定部293は、候補領域Cの円形度を算出する(60)。ステップ60によって、間仕切り判定部293は、候補領域Cの形状を特定する。
本実施例における円形度は、領域の形状が真円に近ければ近いほど高い値が算出される評価値である。
ステップ60の後、間仕切り判定部293は、ステップ60において算出された円形度が所定の閾値を超えるか否かを判定することによって、候補領域Cが円形に近いか否かを判定する(61)。
算出された円形度が所定の閾値を超え、候補領域Cが所定の基準より円形に近いと判定された場合、本実施例において候補領域Cが間仕切りである可能性は低い。このため、間仕切り判定部293は、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外する。そして、図10に示す処理は、ステップ58に戻る。
算出された円形度が所定の閾値以下であり、候補領域Cが所定の基準と比較して円形でないと判定された場合、本実施例において候補領域Cが間仕切りを含む領域である可能性は高い。このため、間仕切り判定部293は、候補領域Cの面積を算出し、間仕切りの大きさを特定する(62)。
なお、ステップ61において間仕切り判定部293は、所定の最小値と、所定の最小値よりも大きい所定の最大値とを用いて、候補領域Cの円形度が間仕切りとして適当な円形度であるか否かを判定してもよい。具体的には、間仕切り判定部293は、候補領域Cの円形度が所定の最小値以下である場合も、間仕切りを含む領域の候補から候補領域Cを除外してもよい。これは、候補領域Cの円形度が所定の最小値以下である場合、候補領域Cは、複雑な形状の領域である可能性が高いためである。
ステップ62の後、間仕切り判定部293は、ステップ62において算出された面積が所定の最小値以下か否かを判定する(63)。候補領域Cの面積が所定の最小値以下である場合、候補領域Cは、洗濯物又は人体である可能性が高く、間仕切りを含む領域である可能性が低い。このため、間仕切り判定部293は、このような候補領域Cの面積は間仕切りの大きさとして適当ではないと判定し、間仕切りを示す領域の候補領域191から候補領域Cを除外する。そして、図10に示す処理は、ステップ58に戻る。
候補領域Cの面積が所定の最小値を超えるとステップ63において判定された場合、候補領域Cは間仕切りを含む領域であると決定され、ステップ64が実行される。ステップ61及び63を実行することによって、間仕切り判定部293は、候補領域191の中から、間仕切りを含む領域である可能性がより高い領域を精度よく検出し、検出された領域を間仕切りを含む領域として決定することができる。
なお、ステップ63において間仕切り判定部293は、所定の最小値と、所定の最小値よりも十分に大きい所定の最大値とを用いて、候補領域Cの面積が間仕切りとして適当な面積であるか否かを判定してもよい。具体的には、間仕切り判定部293は、候補領域Cの面積が所定の最大値以上である場合も、間仕切りを含む領域の候補から候補領域Cを除外してもよい。これは、候補領域Cの面積が所定の最大値以上である場合、候補領域Cは、室内の照明の強さ等が変化し、室内の照度又は色が大きく変化したために生じた差分の領域である可能性が高いためである。
複雑度算出部294は、ステップ61及びステップ63によって間仕切りを含む領域であると決定された領域の画像Aにおける複雑度を算出する(64)。複雑度算出部294は、決定された領域に含まれるエッジの数等に基づいて複雑度を算出する。
本実施例における複雑度とは、画像に含まれる物体(壁、床、家具、及び人等)の密度であり、画像が含む色又は輝度等の量である。また、本実施例の複雑度は、領域に含まれるエッジの数が多ければ多いほど高い値が算出される。
遠くの風景が表示される所定の大きさの画像は、近くの風景を含む当該所定の大きさの領域よりも、一般に、多くの物体を含む。このため、間仕切りが閉まっている場合に間仕切りを含む領域には、一枚の間仕切りのみが表示されるが、間仕切りが開いている場合に間仕切りの領域には、多くの物体が含まれる。複雑度算出部294が複雑度を算出することにより、間仕切り開閉判定部296による後述する処理が可能になる。
ステップ64の後、間仕切り位置検出部295は、間仕切りを含む領域であると決定された領域の中心位置(図9に示す中心位置93に相当)の座標を算出する(65)。これは、空間検出部29が算出された中心位置の座標を制御部7に通知することにより、制御部7に風向を調節させるためである。なお、間仕切り位置検出部295は、室内機1が風向を定めることができるような座標であれば、いずれの方法を用いて中心位置の座標を算出してもよい。
ステップ65の後、間仕切り開閉判定部296は、算出された画像Aにおける複雑度が所定の閾値以下であるか否かを判定する(66)。これによって、間仕切り開閉判定部296は、決定された領域に含まれる間仕切りが、開状態であるか閉状態であるかを判定する。
一般に、開いた間仕切りを含む領域は、隣の部屋又は廊下に存在する人間、洗濯物又は家具等を含むため、閉じた間仕切りを含む領域の画像よりも複雑度が高い。このため、間仕切り開閉判定部296は、ステップ66において、ステップ64において算出された複雑度が所定の閾値より高い場合、決定された領域が示す間仕切りは開いている状態であると判定する。そして、間仕切り開閉判定部296は、ステップ57において特定された領域の位置(外周の座標、方向等)、ステップ64において算出された中心位置(座標)、及び、間仕切りが開いたことを出力する(出力68)。
ステップ66において、ステップ64において算出された複雑度が、所定の閾値以下である場合、間仕切り開閉判定部296は、決定された領域が示す間仕切りは閉じている状態であると判定する。そして、ステップ57において特定された領域の位置(外周の座標、方向等)、ステップ64において算出された中心位置(座標)、及び、間仕切りが閉状態であることを、処理結果として出力する(出力67)。
なお、ステップ66において、間仕切り開閉判定部296は、画像Bにおける決定された領域の複雑度が、画像Aにおける決定された領域の複雑度よりも低い場合、決定された領域が示す間仕切りは開いている状態であると判定してもよい。
出力67又は出力68の後、図10に示す処理は、ステップ58に戻り、空間検出部29は、候補領域191から新たな候補領域Cを選択する。
図8に示すステップ77において、いずれかの方向の画像に対して実行された図10の処理の結果、出力67又は出力68が出力されたと判定される場合、空間検出部29は、間仕切りが検出されたと判定する。そして、空間検出部29は、出力67又は出力68を制御部78に通知する。
なお、間仕切り判定部293は、下記に示す処理を、ステップ58の後からステップ64が開始される前までに行うことによって、候補領域Cが間仕切りを含む領域であるか否かを、精度よく判定してもよい。
前述のステップ61において、候補領域Cの円形度に従って候補領域Cが間仕切りを含む領域であるか否かを判定したが、間仕切り判定部293は、円形度の代わりに、又は、円形度に加えて、候補領域Cの上端、下端、左端、又は、右端の直線度に従って、候補領域Cが間仕切りを含む領域であるか否かを判定してもよい。これは、扉又はふすま等の間仕切りは、一般に長方形である場合が多いためである。
例えば、算出された直線度が、少なくとも一つの端が直線でないことを示す場合、候補領域Cは、カーテン、置物又は洗濯物を含むため、間仕切り判定部293は、間仕切りを含む領域の候補領域191から候補領域Cを除外してもよい。
さらに、間仕切り判定部293は、画像Aにおける候補領域Cの上端の位置に基づいて間仕切りであるか否かを判定してもよい。具体的には、候補領域Cの上端の位置が画像Aの上端から所定の距離以上である場合、その候補領域Cは天井から一定以下の高さに設置されたテレビなどである可能性が高いため、間仕切り判定部293は、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
さらに、間仕切り判定部293は、候補領域Cの上端の角度と画像Aの上端の角度との差が所定の角度の範囲内に無い場合、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
また、間仕切り判定部293は、候補領域Cの左端又は右端の位置に基づいて間仕切りを含む領域であるか否かを判定してもよい。具体的には、間仕切り判定部293は、候補領域Cの左端又は右端の各々の角度と、画像Aの左端又は右端の角度との差が所定の範囲内にない場合、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
また、間仕切り判定部293は、候補領域Cの輝度に基づいて間仕切りを含む領域であるか否かを判定してもよい。具体的には、画像Aと画像Bとの候補領域Cの輝度が所定の範囲より大きく変化した場合、候補領域Cはカーテンの開閉又は照明の点灯に伴う輝度の変化によって発生した差であると判定し、間仕切り判定部293は、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
さらに、間仕切り判定部293は、過去に複数回算出された複雑度に基づいて、候補領域Cが間仕切りを含む領域であるか否かを判定してもよい。例えば、過去に撮像された三つ以上の画像における候補領域Cの複雑度が各々異なる値に3回以上変化する場合、候補領域Cはテレビを含む画像である可能性が高い。このため、間仕切り判定部293は、このような候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
これは、テレビに表示される画像は常に変化するため、テレビの画像に対して算出される複雑度は様々に変化するためである。また、一方で、間仕切りを含む領域において算出される複雑度は、二つのパターンで変化するものと考えられるためである。このように、間仕切り判定部293は、間仕切り以外を含む領域を候補領域191から、複雑度を用いて除外することができ、間仕切りの検出精度を向上させることができる。
さらに、温度マトリクス検出部31が室内の表面温度を測定する場合、空間検出部29は、温度マトリクス検出部31の測定結果を用いることで、精度よく間仕切りを検出してもよい。例えば、領域分割部292は、ステップ57において、表面温度が画像Aと画像Bとで異なる領域を、候補領域191として画像Aから分割してもよい。
また、温度マトリクス検出部31により測定された表面温度の温度分布により、領域分割部292及び間仕切り判定部293は、間仕切りの位置及び面積を算出してもよい。
また、候補領域Cの表面温度が所定の最高温度より高い、又は、所定の最低温度より低い場合、候補領域Cが電化製品又は水槽などの家具を含む可能性が高いため、間仕切り判定部293は、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
また、温度マトリクス検出部31により測定された結果、室内気温と候補領域Cの表面温度との差、又は、候補領域Cの周囲の表面温度と候補領域Cの表面温度との差、が所定の差よりも小さい場合、候補領域Cは洗濯物等である可能性が高い。このため、間仕切り判定部293は、このような候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
また、画像B、又は、過去の複数の画像において特定された間仕切りに関する情報がステップ55において読み出されていた場合、間仕切り判定部293は、読み出された情報に基づいて候補領域Cが間仕切りを含む領域であるか否かを判定してもよい。例えば、過去に間仕切りを含む領域であると判定された領域の位置、面積及び形状等と、候補領域Cの位置、面積及び形状等とが、所定の基準に従って近似している場合、間仕切り判定部293は、候補領域Cが間仕切りを含む領域であると決定してもよい。
また、間仕切り判定部293は、読み出された過去の間仕切りに関する情報に基づいて、候補領域Cが間仕切りを含む領域であることの所定の確からしさを得られた場合、候補領域Cが間仕切りを含む領域であると決定してもよい。
また、間仕切り判定部293は、読み出された過去の間仕切りに関する情報に、テレビ又は洗濯物等を含む領域に関する情報が含まれる場合、過去にテレビ又は洗濯物を含む領域であると判定された領域と候補領域Cとが同じ又は近似する場合、候補領域Cを、間仕切りを含む領域の候補領域191から除外してもよい。
以下に、間仕切り開閉判定部296が、前述の処理以外に間仕切りの開閉を判定する処理の方法を示す。
間仕切り開閉判定部296は、ステップ66において、温度マトリクス検出部31の測定結果に基づいて間仕切りが開状態であるか閉状態であるかを判定してもよい。
例えば、間仕切りを含む領域の表面温度が当該領域の周辺と同程度の温度である場合、間仕切り開閉判定部296は、間仕切りは閉状態であるとステップ66において判定してもよい。これにより、間仕切りを介した隣室の温度と室内機1が設置される室内との温度とが均一になった場合にも、間仕切り開閉判定部296は、間仕切りに向けての空調を、間仕切り以外の方向に向けての空調と同程度にするよう、制御部7に適切に指示できる。
また、例えば、温度マトリクス検出部31は、室内気温及び室外気温を測定する。そして、温度マトリクス検出部31は、複数回測定された室内気温及び室外気温を学習することによって、間仕切りが開いた場合の室内気温、及び、間仕切りが閉じた場合の室内気温を概算する。そして、空間検出部29は、画像Bの撮像時における室内気温と、画像Aの撮像時における室内気温と、概算された室内気温とに基づいて、画像B撮像時から画像A撮像時の間に、間仕切りが開いたのか閉じたのかを判定してもよい。
なお、前述の室内機1は部屋の天井側に設置され、撮像部26は室内機1の下部に設置されていた。しかし、撮像部26は室内を広く撮像できれば、いずれの方向を向いて設置されてもよく、例えば、室内機1が床に近接して設置される場合、撮像部26のレンズは上方を向いて設置されてもよい。この場合、撮像部26は、間仕切り全体を撮像することができるように設置されることが望ましい。
実施例1によれば、部屋の間仕切りの状態及び位置を適切に検出し、検出結果に従って風量及び風向を調節するため、実施例1の空気調和機は、部屋の間仕切り近辺に空気を調節できない空間を発生させることなく、室内全体の空気を快適に調節することができる。
実施例2の検出部5は、撮像部26によって撮像された画像を用いて、室内の間取りを検出する。本実施例における室内の間取りとは、少なくとも、室内の角(以下、コーナー)から室内機1までの距離と、室内機1の正面方向からコーナーまでの角度とによって示される室内の形状及び大きさをいう。また、本実施例における部屋の奥行きとは、室内機1から最も遠いコーナーまでの距離である。
実施例2の室内機1、室外機2及びリモコン3は、実施例1と同じである。また、実施例2のセンサ4、撮像部26及び温度検出部27は、実施例1と同じである。そして、実施例2の電装品11は、空間検出部29以外、実施例1の電装品11と同じである。
実施例2の空間検出部29は、撮像部26によって撮像された画像を用いて、室内の間取りを検出する処理部である。実施例2の検出部5は、プログラムによって実装されてもよいし、集積回路等の物理的装置によって実装されてもよい。
以下において、室内機1が部屋の天井側に設置される場合を、主に示す。
図11は、本実施例2の空間検出部29の処理部の機能ブロックと、画像の処理結果とを示す説明図である。
実施例2の空間検出部29は、エッジ検出部81、直線生成部82、交点検出部83、及び、奥行き算出部84等の処理部を有する。実施例2の空間検出部29の処理部は、プログラムによって実装されてもよく、物理的装置によって実装されてもよい。また、実施例2の空間検出部29は、実施例2の処理部と、実施例1の空間検出部29と同じ処理部とを有してもよく、間取りと間仕切りとを検出してもよい。
図11に示す画像94がセンサ4を介して入力された場合、エッジ検出部81は、画像94に含まれるエッジを検出する。図11に示す画像95は、画像94からエッジを検出した結果である。
直線生成部82は、エッジ検出部81によって検出されたエッジのうち、選択されたエッジを延長する。図11に示す画像96は、直線生成部82によってエッジが延長された結果、生成された直線を示す。
交点検出部83は、直線生成部82によって延長された直線の交点を検出する。画像97は、画像96において検出された複数の交点98(98a〜98c)を示す。
奥行き算出部84は、画像97における交点98の位置に従って、コーナーまでの距離を算出し、コーナーに向かう方向を求める。そして、奥行き算出部84は、算出されたコーナー距離に基づいて、室内において室内機1から最も遠いコーナーを特定し、最も遠いコーナーまでの距離を部屋の奥行きに決定する。
図12は、本実施例2の空間検出部29の処理を示すフローチャートである。
撮像部26によって撮像された画像を入力された場合、図12に示す処理が開始される。なお、実施例2の空間検出部29は、図8に示す実施例1の空間検出部29の処理と同じく、撮像部26によって各方向において撮像された画像が検出部5に入力される都度、図12に示す処理を実行してもよい。
また、実施例2の空間検出部29は、図8に示すステップ77と同様に、図12に示す処理によってコーナーが検出されたか否かを判定し、判定結果に従って、間取りに関する情報を制御部7に通知する。そして、制御部7は、通知された間取りに関する情報に従って、空気調和機が送る風の量又は風の向きを制御する。
まず、エッジ検出部81は、入力された画像に含まれるエッジを検出する(85)。エッジとは、画像に写される異なる二つの色間の境界線であり、特に、本実施例においては直線である。
ステップ85の後、直線生成部82は、ステップ85において検出されたエッジから所定の長さのエッジを抽出し、抽出されたエッジを画像内で延長することによって直線を生成する(86)。
ステップ86の後、交点検出部83は、ステップ86において生成された直線の交点98を検出する(87)。ここで検出される交点98には、室内機1が設置される室内のコーナーに相当する交点が含まれる。ステップ87において交点98が検出されない場合、図12に示す処理は終了する。
なお、三つ以上の直線が一つの交点で交わらず、かつ、二つ以上の直線の交点が所定の位置の範囲に複数存在する場合、交点検出部83は、複数の交点の位置を平均し、平均の位置を交点98の位置として検出してもよい。
ステップ87の後、奥行き算出部84は、ステップ87において検出された交点98から、あらかじめ定められた所定の基準に従って、コーナーに対応する交点98(本実施例における消失点)として抽出する。所定の基準とは、例えば、撮像部26が水平面から下方を撮像する場合、画像において最も下に位置すること、又は、最も下に位置する交点98と同じ直線(縦方向を除く)上に位置することである。
これは、例えば、図11に示す画像97のように交点98が複数検出されている場合に、床と壁二枚とが交わるコーナーに相当する交点98cを消失点として検出するためである。なお、本実施例における消失点とは、画像においてコーナーに対応する点のことを示す。
そして、奥行き算出部84は、消失点の画像における位置と、あらかじめ保持する室内機1の高さとに基づいて、室内機1からコーナーまでの距離を算出し、さらに、コーナーの方向を求める。そして、奥行き算出部84は、算出されたコーナーまでの距離に基づいて、部屋の奥行きを決定する(88)。
ステップ88の後、空間検出部29は、コーナーの位置(コーナーまでの距離、コーナーの方向)、及び、部屋の奥行き等を出力する(出力89)。検出部5は、出力89を制御部7に通知する。
制御部7は、出力89に基づいて、空気調和機による空気の調節を制御する。例えば、制御部7は、部屋の奥行きに従って強くされた風を、奥行きを距離として算出されたコーナーの方向に向かって送るように、空気調和機の各装置を制御する。また、制御部7は、コーナーの方向に従って、風向がスイングするように、空気調和機の各装置を制御する。これによって、空気調和機は、室内の間取りに従って適切に空気を調節でき、室内を快適な状態に調節することができる。
以下に、奥行き算出部84によるコーナーまでの距離の算出方法を説明する。
図13は、本実施例2の奥行き算出部84によるコーナーまでの距離の算出処理を示す説明図である。
図13(a)は、本実施例2の画像における消失点99の縦の位置を示す説明図である。
図13(a)は、撮像部26が撮像した画像である。図13(a)の画像には、二つの消失点99(消失点99A及び消失点B)が含まれる。奥行き算出部84は、消失点99から画像上端までの縦の長さaと、消失点99から画像下端までの縦の長さbとを、画像の画素等に基づいて取得する。
図13(b)は、本実施例2の消失点の縦の位置とコーナーまでの距離との関係を示す説明図である。
図13(b)は、室内機1とコーナーとを含み、垂直方向と並行する平面を示す。図13(b)に示す撮像部26は、水平面から下方45°の画角を撮像する。このため、室内機1からコーナーまでの水平面上の距離Lと、画像における長さa及び長さbと、室内機1が設置された高さhとの関係は、以下の式1に示す比によって表現される。
L:h=(a+b):a (式1)
そして、式1から、以下の式2が導かれる。
L=(a+b)×h/a (式2)
奥行き算出部84は、長さa及び長さbと、室内機1が設置された高さhと、式2とを用いて距離Lを算出できる。図13(a)のように消失点99が複数検出されている場合、奥行き算出部84は、各々の消失点99に対応する距離Lを算出する。なお、例えば、室内機1が設置される高さhは2メートルであり、奥行き算出部84は高さh(2メートル)をあらかじめ保持する。
なお、前述の例では、撮像部26が水平面から下方45°の上下の画角を撮像した場合の画像を用いて長さa及び長さbを取得した。しかし、奥行き算出部84が、撮像部26が撮像する上下の向きを示す角度を保持していれば、撮像部26の向きは水平面から下方45°に限られない。
例えば、撮像部26が水平面を基準として上方10°から下方35°の画角を撮像していた場合も、奥行き算出部84が、撮像部26の上下の角度の情報に基づいて撮像部26と同じ高さに対応する位置を画像において特定することによって、長さaを取得することができる。また、奥行き算出部84は、長さbの代わりに、撮像部26によって撮像された画像の縦の長さ(a+b)を取得すれば、式2を用いて距離Lを算出することができる。
距離Lを算出した後、奥行き算出部84は、水平面上の距離Lと高さhと三平方の定理とを用いて、室内機1からコーナーまでの距離を算出する。
また、奥行き算出部84は、同じ方向の複数の画像に各々実行された、図12に示す処理の結果を用いて、コーナーまでの距離を算出してもよい。具体的には、奥行き算出部84は、複数回の図12に示す処理において算出された複数の結果の平均値を算出し、算出された平均値をコーナーまでの距離と決定してもよい。すなわち、奥行き算出部84は、算出されたコーナーまでの距離を学習し、例えば、最新の10回分の距離の算出結果を平均した距離をコーナーまでの距離と決定してもよい。
さらに、奥行き算出部84は、画像における消失点99の横の位置と、画像が撮像された方向(例えば、図3に示す左32、正面33又は右34)とに基づいて室内機1の真正面からコーナーまでの角度を算出することによって、コーナーの方向を求める。ただし、求められた方向に従って検出部5が制御部7に風向を指示できればいいため、奥行き算出部84は、前述の方法以外の方法を用いてコーナーの方向を求めてもよい。
例えば、奥行き算出部84は、同じ方向の複数の画像に各々実行された、図12に示す処理の結果を用いて、コーナーの方向を求めてもよい。具体的には、奥行き算出部84は、複数回の図12に示す処理の結果から求められた複数の結果の平均値を算出し、算出された平均値をコーナーの方向と決定してもよい。すなわち、奥行き算出部84は、求められたコーナーの方向を学習し、例えば最新の10回分の処理結果を平均した方向をコーナーの方向と決定してもよい。
そして、奥行き算出部84は、図13のように複数の消失点99に相当するコーナーまでの距離を算出した場合、最も遠い距離を部屋の奥行きに決定する。例えば、消失点99Bに相当するコーナーまでの距離が消失点99Aに相当するコーナーまでの距離よりも長い場合、奥行き算出部84は、消失点99Bに相当するコーナーまでの距離を奥行きに決定する。
さらに、奥行き算出部84は、消失点99の画像における座標を特定してもよい。そして、検出部5は、間取りに関する情報として座標を制御部7に通知してもよい。これによって、画像に含まれるコーナーが複数である場合、検出部5は、コーナー間をスイングさせるように風向を制御するための情報を、制御部7に通知することができる。
以下に、人体検出部30の処理結果又は温度マトリクス検出部31の処理結果を用いて、コーナーまでの距離を算出するその他の方法を示す。
図14は、本実施例2の人体検出部30の処理結果とコーナーの距離及び方向とを示す説明図である。
図14は、人体検出部30によって検出された室内の人体と、コーナーとの関係を示す。図14は、室内における床から天井を見る視点によって、人体の位置を示す。奥行き算出部84は、ステップ88において、撮像部26により撮像された画像に基づき、右のコーナーの方向48及び左のコーナーの方向49を特定する。そして、人体検出部30により検出された人体の位置に基づき、奥行き算出部84は、室内機1からコーナーまでの距離を推定する。
なお、人体検出部30は、例えば、人体の頭部を円とみなし、頭部に対応する円の大きさによって室内機1から人体までの距離を算出する。また、人体検出部30は、例えば、人体の頭部に対応する円の方向を求めることによって、人体が存在する方向を求める。
奥行き算出部84は、例えば、人体検出部30により検出された最も右側の人体46の位置を右側の壁の位置とみなし、最も右側の人体46を通過し、かつ、室内機1が設置される壁と垂直に接する壁101を仮想的に生成する。そして、奥行き算出部84は、生成された壁101と、撮像部26の画像から求められた右のコーナーの方向48との交点を右のコーナーに定める。そして、奥行き算出部84は、人体46の位置と方向48と室内機1の高さと三角関数とを用いることによって、室内機1から右のコーナーまでの距離及び右のコーナーの位置を推定する。
そして、奥行き算出部84は、定められた右のコーナーから室内機1が設置される壁と平行方向に、室内機1に対向する正面の壁102を仮想的に生成し、正面の壁102と左のコーナーの方向49との交点を左のコーナーに定める。そして、奥行き算出部84は、推定された右のコーナーの位置と、方向48及び方向49と、室内機1の高さと、三角関数とを用いることによって、室内機1から左のコーナーまでの距離を推定する。
さらに、奥行き算出部84は、正面33方向の最も遠い人体47の位置を室内機1に対向する壁103の位置と推定し、推定された壁103と方向48及び方向49との交点を各々右のコーナー及び左のコーナーに定める。そして、奥行き算出部84は、人体47の位置と方向48及び方向49と三角関数とを用いることによって、室内機1から右のコーナーまでの距離及び室内機1から左のコーナーまでの距離を推定する。
そして、奥行き算出部84は、人体46を用いて推定された右のコーナーまでの距離と人体47を用いて推定された右のコーナーまでの距離との統計値を算出し、算出された統計値を右のコーナーまでの距離に決定する。また、奥行き算出部84は、推定された左のコーナーの距離についても同様に統計値を算出し、左のコーナーまでの距離に決定する。ここで、統計値とは、平均値でもよいし、最大値又は最小値であってもよい。
また、奥行き算出部84は、最も左に位置する人体を用いて、右のコーナーまでの距離及び左のコーナーまでの距離を推定し、すべての推定結果を用いて、右のコーナーまでの距離及び左のコーナーまでの距離を決定してもよい。さらに、奥行き算出部84は、このように決定された距離を学習し、例えば10回分の結果を平均した値をコーナーの距離として決定してもよい。
さらに、他の方法として、奥行き算出部84は、例えば人体検出部30の処理結果に基づき、正面33方向に位置する人体のうち、最も遠い人体の位置を室内機1に対向する壁の位置とみなし、当該最も遠い人体と室内機1との距離を、部屋の奥行きとして算出してもよい。また、奥行き算出部84は、複数回算出された奥行きを学習し、例えば最新の10回分の算出結果の平均値を部屋の奥行きに決定してもよい。
さらに、室内機1が設置される部屋が長方形であり、室内機1が、一つの壁側面に平行に設置されている場合、奥行き算出部84は、人体検出部30の処理結果に基づき、最も左側に位置する人体の位置と最も右側に位置する人体の位置との間の距離、及び、室内機1から正面に位置する人体までの距離を用いて、コーナーまでの距離を決定してもよい。
ここで、最も左側に位置する人体の位置と最も右側に位置する人体の位置との間の距離は、室内機1に対向する壁の両端のコーナー間の距離とみなされる。また、室内機1から正面に位置する人体までの距離は、室内機1から室内機1に対向する壁までの距離とみなされ、部屋の奥行きとみなされる。
以下に、温度マトリクス検出部31により検出された結果に基づいて、奥行き、コーナーまでの距離等を算出する方法を説明する。
奥行き算出部84は、温度マトリクス検出部31により検出された室内の表面温度に基づき、室内の床を特定し、特定された床によってコーナーまでの距離を算出してもよい。
床の温度は、床をはさんだ部屋の外側の温度に影響される。このため、奥行き算出部84は、温度マトリクス検出部31によって検出された室内温度と表面温度との差により、床の位置を特定する。
床を特定できた場合、奥行き算出部84は、前述の式2と、検出された床の上下方向の画角に占める床の上下方向の画角の割合と、室内機1が設置されている高さhとによって、室内機1に対向する壁までの奥行き及びコーナーまでの距離を算出できる。さらに、奥行き算出部84は、算出された奥行きを学習し、例えば、最新の10回分の検出結果を平均した距離を奥行きとし、奥行きとコーナーの方向とからコーナーまでの距離を算出してもよい。
また、人体検出部30により検出された人体の位置に基づいて、奥行き算出部84は、空間のコーナーの位置及び方向を検出してもよい。具体的には、奥行き算出部84は、人体検出部30によって検出された人体のうち、最も左側の人体の位置を左側の壁の位置と仮定し、最も右側の人体の位置を右側の壁の位置と仮定し、最も正面方向に遠い人体の位置を正面の壁の位置と仮定し、さらに、これらの仮定された壁の位置の組み合わせによりコーナーを特定する。
さらに、奥行き算出部84は、特定されたコーナーの位置又は方向を学習し、例えば、最新の10回分の特定結果を平均した位置又は方向をコーナーの位置又は方向に決定してもよい。
また、温度マトリクス検出部31により検出された室内の表面温度に基づき、奥行き算出部84は、空間のコーナーの位置及び方向を検出してもよい。具体的には、室内温度と表面温度との差に基づいて壁の位置を特定し、さらに、特定された壁の位置に基づいてコーナーの位置又は方向を特定する。
さらに、奥行き算出部84は、撮像部26により撮像された画像に基づいて求められたコーナーまでの距離及び方向等と、人体検出部30の検出結果に基づいて求められたコーナーまでの距離及び方向等と、温度マトリクス検出部31の検出結果に基づいて求められたコーナーまでの距離及び方向等との統計値を算出し、算出された統計値を、コーナーまでの距離及び方向に決定してもよい。ここでの統計値は、例えば、平均値、最大値又は最小値でもよい。
さらに、空間検出部29が、室内機1の据付位置を撮像部26が撮像した画像を用いて推定し、推定された据付位置に基づいて、制御部7が風向を調節してもよい。例えば、正面33において撮像された画像における交点が右側に偏っている場合、空間検出部29は、室内機1の右34側に偏って据え付けられていると推定してもよい。そして、推定結果に従って、制御部7は、左32方向に風を送るように室内機1及び室外機2が備える装置を制御してもよい。
なお、前述の室内機1は部屋の天井側に設置され、撮像部26は室内機1の下部に設置された。しかし、本実施例の撮像部26は、室内を広く撮像できれば、いずれの方向を向いて設置されてもよく、例えば、室内機1が床に近接して設置される場合、撮像部26のレンズは室内機1の上部に設置されてもよい。
そして、室内機1が部屋の下部に設置される場合、奥行き算出部84は、室内機1から天井側のコーナーまでの距離を算出してもよい。奥行き算出部84は、天井側のコーナーまでの距離を、式2を用いて算出し、この場合、撮像部26の上下の画角は45°であり、高さhは室内機1から天井までの高さであり、長さaは水平面から天井側の消失点までの長さであり、長さ(a+b)は画像の縦の長さである。
実施例2によれば、検出部5が室内の間取り(コーナーの位置(距離、方向)、奥行き等)を適切に取得できるため、実施例2に制御部7は、室内の形状及び大きさ(間取り)にあわせて風量又は風向を適切に調節することができる。この結果、実施例2の空気調和機を、室内を快適な状態に調節することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除又は置き換えをすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手順は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル又はファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク若しくはSSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、若しくはDVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられる物を示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。